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判例データベースの『ゆらぎ』と探索行動にみる接近法
判例 DB の「くせ」にみる検索行動の接近過程
稲垣直樹※12007/05/18(未定稿:第5回情報ネットワーク法学会)
抄録:
DB検索時や「判決文」の後読み時には、ほど遠い距離感を認識する事がある。「判決文」はその事
件の当事者に解るような説明文であり、時には1センテンスが超長文で書かれていたり、当たり前の法
ルールは自明の理として当然省記している。また法定用語での記述・論理の展開は独特の言い回しで
益々分かりにくなっている。それを素材に集合されたDBは『ゆらぎ』を内在しているので、検索時に
おいて適合率を低下させている。
また判例 DB は、機械的な制約から『ゆらぎ』を増幅させている、この課題については「形態素解析
技法の実証研究」※2 で報告した。また判決文表記上の『ゆらぎ』に起因する課題については「任意語検
索行動における『ゆらぎ』の実証研究」で発表した。
本報告は、
『ゆらぎ』を内在する判例 DB の利用時における検索行動の分析を通して、利用目的に対
する適合率を低下現象と利用者の要求行動における意図や動機上の違いの相互関連性を解明するとこ
ろにある。内在する『ゆらぎ』を与件として判例DBの「くせ」と称される検索行動の接近法を考察し
た。
Experimental study on seen “Wave in the business judicial DB” retrieval action. process
Naoki Inagaki※ JA2ANX/1 2007May18
The decision sentence is an explanation that the event person concerned understands,and has a far distance
feeling in the third party's use.
The data base that makes the decision sentence a material has the problem in the machine processing.
This problem was reported by "Experimental study on the morphological analysis technique". Moreover,
"Waver" problem in the mark was announced by " Experimental study on seen 'Waver' to the business judicial
data Base of free key word retrieval action.".of my other Report.
In the aspect of this report, isn't it "There is a difference in the motive also in the user's demand behavior. "
that the relevance ratio to the purpose of judicial precedent DB is low?
The approach technique of DB use was considered through the analysis of the retrieval action when judicial
precedent DB was used.
Key Word;user’s demand behavior, Waver in database, technique of DB use, approach technique
※1
※2
Naoki Inagaki
1-19-25 Aoba-dai Aoba Yokohama 227-0062 Japan E-Mail;[email protected]
拙稿;㈳情報処理学会
IPSJ SIG 2004-EIP-26(11)
2005/12/2 報告
1
第1章 判例 DB 検索行動のパターン分類
現在の商用 DB は、判例 DB を中核として判例体系別索引を付加したり、雑誌類 DB と統合した、複
層統合型の DB 構造が主流になりつつある。提供側ソースも1企業・組織から複数の組織間を Link し
て DB 利用者には「One-Stop-Service」に映る姿になりつつある。
これは「判例DB」の利用が法曹界ならではの専門集団社会の中で「判決裁判所+判決日」や「事件
番号」がユニークであり、斯界※3 で Link Key として活用できているからであり、従来引用、被引用
もこれを通して他の媒体物との参照を容易にして来た。
本邦でも法科大学院の創設を機会に、DB 提供方法や電子ジャーナルのあり方に大きな変革期を迎え
た。特に判例 DB の複層・統合型なかんずく付加コンテンツの追加には目を見張るものがあり、利用
者の DB 検索行動も変化を来たしている。
(残念であるが現在の最高裁ホームページ判例 DB サービスは、判決文その
ものだけの素材提供型 DB で付加価値は無い第1次サービス形態の域を超えていない)
第1図は、主に大学教育内で授業教材の活用面から DB 検索行動※4 を分類した。
第1図 判例 DB の検索行動パターン
「判例データベース」LLI/DBの検索利用パターン
情報検索パターン
K[S]+⊿I=K[S+⊿S]
「法情報」検索のながれ
検索目的例
「DB判例検索」
目的は
①最判平成2年12月13日(多摩川水害控訴)
決め打ち型
Ⅰ
授業参加
判例テキスト
②最昭和62年9月2日 昭和61年(オ)第260号
事前にシラバス等で
参考判例・関連判例
が提示してある。
(目的=検索語)
・・・・Booksの公式(1960UK)
ソクラテスメソッド参画型
③最判昭38・10・17 刑集17巻10号1795頁
④東京地平元.11.14 航空運賃請求 判時1362号74頁、判タ731号238頁
「任意語」検索→絞込み
①参照条文
決め打ち・条文見出し用語
(
課題接近型
Ⅱ
テーマが設定してあり、
授業で議論を進める
論点探しの予習形態
(目的≒講義語彙)
)と[
論理思考
法理の探求
判例「任意語」検索
法令検索
]
②「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)
2000年改正の評価
判決文
法令・判例
意思表示
指定教科書
動機
縁由
③法律行為の有効・無効について意思と表示の不一致
(93,94,95条)
資料参照;
商用判例DB 任意語検索行動にみる『ゆれ』の実証研究
Writing 能力
文献・解説
書誌情報
雑誌記事横断検索
④科学的証拠の証拠能力について
(DNA鑑定、伝聞証拠)
資料参照;刑事訴訟法の自己学修法
判例評釈
調査官解説
研究・探索型
Ⅲ
新しい法解釈・論理展開の
素材探し、論文・研究活動
(目的∝関連語、慣習語)
下級審判例
・ ○○主義 ××説 △△論、 →不法実質論と違法性阻却原理論、無制限説から制限説
・ 限定積極説の強制力説 vs 無限定積極説(公務振分け説)
・ 表示行為の錯誤(要素の錯誤) 動機の錯誤 → 共通錯誤
民95条(錯誤) →権利障害規定、権利根拠規定;最2平10(オ)897判タ1061号65頁
・ 現代法理論Legal System and Legal Theory
論文・紀要
電子ジャーナル
論文・判例評釈文献情報DB
人脈・学会活動
邦文法律雑誌記事索引DVD ※
人脈・献脈・電脈←法DBは「打ちでの小槌」ではない!
Copy right 2006/9/22 N.Inagaki [email protected]
※3 ここでは、法曹界+パラリーガル(隣接職)+法教育領域(教員+学部生・院生)等法律に携わる官民組織態を含む対象域
内を示すこととする。
※4 いままで検索研究は Web 検索を中心にした検索パフォーマンスと検索効率に関する調査研究が多い。
2
検索パターンⅠは大学教育ではシラバスが充実し公開され、授業の内容が垣間見られる。主に自習目
的として配布される教材は、検索目的である判例は「基本判例」や「参考判例」として明示されてい
る。また教科書書籍には法理・法条文解釈に事例ケースとして起点となった判決文や判例文がその各
所で明記されている。
各教科書の最後には「判例索引」として紹介した判例・判決文が一覧表となって、その教科書で引用
された全判例・判決文が年代別に鳥瞰できる構造となっており、参照行動は楽である。
生徒は膨大な「判例 DB」の山から目的の判例を探し出す行動は、法情報講座か、よほど授業が進ん
で模擬裁判等のシナリオ作りの時を除けば、検索パターンⅠでほぼ完結している。
(特にロースクール
の院生は汎用検索に DB を利用する時間は無いのが現状で、判例主義の米国ロースクールの姿と異な
っている)
ここでの検索行動は、目的と検索キーの一致となっており、
「判決日+出典名」で検索すれば、手元に
判決文が届くのである。
(パターンⅠを筆者の勝手で「決め打ち型」と命名した)
授業で特定の判例が明示できるのは個人毎の判例研究や判例カード方式による弛まざる努力の結果
であったり、先人の知見の蓄積(絞られて来ている)があるからである。
検索パターンⅡは、学習テーマや主題が設定されており、利用者の頭に課題が絞られてきていて目標
が大まかに描かれている場合に多い。その上で新たな(自分にとって)論理思考や論証構成の発見、論
理補強を行いたい願望が潜在意識として存在する行動である。
目的と意識間の距離が比較的近い、いわば複雑な情報を前にした時、自分のこれまでの知識を活用し
て効果的に解決するため「良い判例評釈」を求めるような行動ロジックが明確化したスタイルである。
検索対象に関する知識としては、検索する PC 操作知識(慣れ DB の癖を知れば高い壁でない)より
も法体系や要件事実また訴訟手続法などからの位置づけ出来ている知識が高い場合に効率的検索行動
となる。
また法令の溶け込み方式の実態や判例 DB の生成法や形態素解析ソフトの限界等機械処理の特性や雑
誌類の発行理念と編集方針実態を知っているかなど、DB のバックグラウンド知識量が検索行動をショ
ートカットさせる働きになる。領域知識の広い方がこのパターンの効果を左右させている。
検索パターンⅢは、DB 化された『邦文法律雑誌記事索引』※5 を検索の中核に置き、当該判例 DB や
判例評釈・解説記事に Link された統合型 DB 内をサーフィンして探索を続ける行動で、学者や研究者
が学説・通説の変遷を研究したり、評釈を加えるときに新たな視点の素材を探索する場合の行動である。
先生が通説の変化点や適応条文解釈の変遷を分かりやすく整理して生徒に渡す教材開発のために図
1のパターン3「研究・探索型」が利用されるのは、本邦で最高の文献情報であり、且つ適応条文・参
照条文毎に Index が付与されているので、
論点整理や新たな法理摘用を探るのに最適なパターンである。
※5
『邦文法律雑誌記事索引 DVD』最高裁判所図書館監修
法曹會発行
創刊から第48号まで
3
そのときは判例 DB だけではとても検索結果が素になる。網羅的視点から判例を探し出すには判例
DB のみでは不十分であるので文献情報 DB と襷掛け重複行動をとらねばならない。
実際、法律事務所で弁護士や裁判官が網羅的 DB 検索行動をする光景には接した事が無い。日頃の業務
を通して頭にある暗黙地が働いて(絞込み行動が)いるのであろう。
このときは、客観的な文献情報 DB と相互検証しながらスパイラル状に探索行動が進化する工程とな
る。検索キーは慣用語であったり法的ルールそのものであったり、主義や論説として一括りのまとまっ
た領域を指す語彙の任意語検索に多い、検索目的と検索用語との距離感は一番離れているケースである。
検索の動機と結果が出たときの満足度は同期比例する。
4
1-1 「決め打ち型」検索の実績値
大学では法情報学として DB 検索の操作法を習得する目的以外、任意語で判例文を自分で探してきて
目的の判例にたどり着く検索工程は必要ない。
大学では教科書に出典が表示されており、授業時の追加資料として手渡されるので生徒が DB を前に
して悩むことはない。ここでは民法総則「取引法」と「刑事訴訟法総合」科目の指定教材の基本判例を
見る。
科目「民事取引法」
2006年度 『取引法Ⅰ』レジュメのデータベース提供状況調査
「取引法:4単位30回コース その1」
第 回
授業テーマ
基本判例#
資料#
指示・表記等
参考判例# 追加資料#
第1回
取引の構造分析と民法
第2回
第3回
民法の原則
契約の成立
-
資料①
資料②
資料③
資料④
資料⑤
事例判例
各自調べよ
基本判例 巻 号 頁
参考判例
事例判例
LLI/DB検索
テキスト
最高裁判例解説(調査官解説)
大審院PDF 当該調査官解説
当該事件 (※)当該判決以降に続い
解説頁数 た
大判昭11・2・14民集15-158頁
最判昭36・4・20民集15-4-774頁
最判平10・6・11民集52-4-1034頁
○
○
○
大判昭19・6・28民集23-387頁原稿ミス
東京高昭57・6・29下民集33-5∼8-917頁
△
×
○
○
○
○
○
○
12
17
6
5判例
4判例
-
12
3判例
3
5
-
○
○
○
○
○
4
4判例
?
○
○
3
-
○
○
○
○
11
4
4判例
○
○
9
2判例
○
○
2
2判例
○
○
4
10判例
○
○
6
22
検索上の問題点・誤植・要検証等
→表記方法を変える案
他の文献・他のDB
3判例
-
※PDFのみ35頁
追加資料①
第4回
第5回
意思表示論1
設問判例
事例判例
設問あり
資料⑥
資料⑦
資料⑧
資料⑨
追加資料②
資料⑩
資料⑪
意思表示論2
基本判例19
基本判例20
基本判例21
基本判例22
基本判例23
基本判例24
意思表示論3
設問あり
資料⑪と同じ
資料⑫
資料⑬
基本判例26
第7回
資料⑭
資料⑮
資料③
権利主体論
基本判例4
参考判例
基本判例5
基本判例6
第8回
取引上の瑕疵効果
資料⑯
基本判例27
参照
基本判例5
第9回
代理(1)
第10回
代理(2)
資料⑰
基本判例18
参照
基本判例34
基本判例35
基本判例36
基本判例37
基本判例38
第11回
法人・社団
資料⑱
資料⑲
第13回
第14回
第15回
取引における時間1
取引における時間2
契約総論
契約総論2
※注)合併号表記と検索方法:判決日のみ7件あり→東京高昭57・6・29昭57(ネ)第105号
設問あり
設問あり
設問あり
設問あり
最判昭44・5・27民集23-6-998頁
最判昭45・7・24民集24-7-1116頁
最判昭38・11・28( )
最判昭45・7・24民集24-7-1116頁
最判昭45・9・22民集24-10-1424頁
大判大6・2・24民録23輯284頁
最判32・12・19民集11-13-2299頁
最判昭45・3・26民集24-3-151頁
大判大3・12・15民録20輯1101頁
最判40・6・4民集19-4-924頁
東京地平2・6・26(
)
東京地平3・9・26(
)
最判昭33・7・1民集12-11-1601頁
○
○
○
○
○
判決日のみ5件あり→最判昭38・11・28昭36(オ)183号
判決日のみ3件あり→東京地平2・6・26昭58(ワ)10546号
判決日のみ7件あり:特定不可→平2(ワ)4021号土地持分移転登記事件か?
設問7の資料番号ミス?
○
○
○
大判昭7・10・6民集11-2023頁
大判明38・5・11民録11輯706頁(教科書37頁)
大判昭7・10・26民集11-1920頁
最判昭44・2・13民集2-2-291頁原稿ミス
最判昭40・6・4民集19-4-924頁
最判昭49・12・23
最判昭53・2・24民集32-1-110頁
関連問題
大判昭10・9・10民集14-1717頁
関連問題
最判昭37・8・10民集16-8-1700頁
大判昭7・10・26( )
レジュメに記載なし?
設問あり
最判昭42・4・20民集21-3-697頁
基本判例34の原審 ( )
基本判例35の参照 ?( )
設問あり
最判昭62・7・7民集41-5-1133頁
設問あり
最判昭39・5・23民集18-4-621頁
設問あり
最判昭35・10・21民集14-12-2661頁
設問あり
最判昭46・6・3民集25-4-455頁
設問あり
最判昭51・6・25民集30-6-665頁
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
15
5
10
13
11
2判例
3判例
-
説明
設問あり
設問あり
設問あり
設問あり
心裡留保説:参照
最判昭45・6・24民集24-6-625頁
最判昭44・7・4民集23-8-1347頁
最判昭47・6・2民集26-5-957頁
最判昭48・10・9民集27-9-1129頁
最判昭39・10・15民集18-8-1671頁
最判昭38・9・5民集17-8-909頁
レジュメに記載なし?
教科書参照
最判昭30・11・22民集9-12-1781頁
設問あり
最判45・6・18判時600-83頁
参考
最判昭43・3・1民集22-3-491頁
参考
大判大2・6・16民録19輯637頁
参考
大判大15・12・25民集5-897頁
設問あり
最判昭42・7・21民集21-6-1643頁
設問あり
大判大6・11・8民録23-1772頁
教科書350頁
最判昭53・3・6民集32-2-135頁
判例変更:参考
最判昭37・5・18民集16-5-1073頁
参考
最判平6・5・31民集48-4-1029頁
設問あり
最判平元・12・21民集43-12-2209頁
設問あり
最判平10・6・12民集52-4-1087頁
最判昭61・3・17民集40-2-420頁
参考
大判明43・1・25民録16輯22頁
参考
最判昭44・7・15民集23-8-1520頁
?
最判昭42・10・27民集21-8-2110頁
?
最判昭43・9・26民集22-9-2002頁
参考
大判昭7・10・6民集11-2023頁
事例
最判昭47・9・7民集26-7-1327頁
最判昭24・5・31民集3-6-226頁
参考
最判昭41・12・23民集20-10-2211頁
?
(基本判例178)をさしているのか?
条文にない民法原則
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
27
9
16
8
5
2
7判例
4判例
3判例
3判例
9判例
5判例
3
13
5判例
9判例
1判例
12
5判例
設問あり
例
○
設問あり
設問あり
(概略でよい)
→最判昭44・2・13民集23-2-291頁
判決日のみ4件あり→昭和49年12月23日昭和43年(オ)第520号か?
○
同一判決日のみ3件あり:特定不可
原審→仙台髙昭59・12・10昭58(ネ)352号?
資料⑳-1
資料⑳-2
基本判例7
基本判例8
基本判例9
基本判例10
基本判例11
第12回
→大判昭19・6・28民集23-15-387頁
評釈;判タ、ジュリ、金法、金商
条文にない民法原則
「要素」の理解
設問あり
第6回
○
参考
事例
参考
参考
資料⑳-3
基本判例29
基本判例39
基本判例249
基本判例4
基本判例178
基本判例179
基本判例180
資料21
追加資料②
資料22
最判昭29・7・27民集8-7-1455頁
大判大9・11・15民録26輯1779頁
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
-
-
15
4
4
19
18
19
4判例
3判例
1判例
4判例
9
7
15
1判例
10判例
8判例
9
1判例
5
1判例
1
5判例
-
調査:LLI/DBIntra対応版Version1.4 2006/8/21 By:[email protected]
※当表は判決文PDF及び解説・評釈の判例雑誌へのLink表示は省略する。
第1表 民事 取引法シラバスにみる判例 DB の適応表(一部のみ表示)
この「取引法科目」は4単位 30 回授業で、基本判例として 92、参考判例 28、資料としての判例紹介が
33 指定されている。(計 153 判例)
表中の○印が DB 検索結果である。
この例でも、
1回の検索行動では判例を特定できないケースがある。
事件番号が隠されていたり(先生が表記を忘れたり)、判決日付けのみではあるのも散見される。判例
を特定するには判示・判旨や他の仕掛けが必要とされる由縁である。
5
1-2 科目「刑事訴訟法総合」
『刑事訴訟法総合』教材のデータベース提供状況調査
その1/3
最高裁判例解説
第 回
検討課題
必須・参考別
第1回
問題1
必読の基本判例
任意捜査 問題1
必読の文献
問題1
必読の文献
問題2
必読の基本判例
問題2
必読の文献
問題2
関連問題
問題2
関連問題
問題3
必読の基本判例
問題3
関連判例
問題3
関連判例
問題3
関連判例
問題4
必読の基本判例
問題4
参考文献
第2-1回 身柄拘束1必読の基本判例
必読の基本判例
必読の基本判例
参考判例
参考判例
参考判例
参考文献
第2-2回 身柄拘束2必読の基本判例
必読の基本判例
必読の基本判例
参考判例
参考判例
参考文献
参考文献
参考文献
第3回
令状捜査・必読の基本判例
必読の基本判例
必読の基本判例
必読の基本判例
参考判例
参考判例
参考判例
参考判例
必読の基本判例
第4-1回 Ⅰ強制採尿
必読の基本判例
必読の基本判例
必読の基本判例
参考判例
Ⅱ電磁記録
必読の基本判例
必読の基本判例
参考判例
必読の基本判例 巻 号 頁
最決昭51・3・16刑集30-2-187頁
刑事訴訟法判例百選(6版6頁)
刑事訴訟法判例百選(7版4頁)
最判昭53・9・7刑集32-6-1672頁
刑事訴訟法の争点(3版46頁)
最判昭53・6・20刑集32-4-670頁
最決昭36・6・7刑集15-6-915頁
最決昭55・9・22刑集34-5-272頁
東京高昭47・11・30判タ288-289
東京高昭51・2・9刑月8巻1=2号6
大阪高平2・2・6判タ741-238
最決昭59・2・29刑集38-3-479頁
新刑事手続Ⅰ 229頁以下
最決昭57・8・27刑集36-6-276頁→(刑集36-6-726頁)
京都地昭44・11・5判時629-103頁
福岡高昭42・3・24判時483-79頁
東京高昭54・8・14判時973-130頁
鳥取地昭46・5・14判時650-100頁
福岡高昭49・10・31判時771-107頁
新実務刑事訴訟法Ⅰ118、131
最決昭52・8・9刑集31-5-821頁(狭山事件)
大阪高昭59・4・19高刑集37-1-98頁(神戸まつり事件)
福岡地平12・6・29判タ1085-308頁
金沢地七尾昭44・6・3刑月1-6-657頁(蛸島事件)
浦和地平2・10・12判時1376-24頁
刑事訴訟法判例百選(7版)40頁以下
刑事訴訟法判例百選(6版)34頁以下
新刑事手続Ⅰ 314頁以下
最大昭33・7・29刑集12-12-2776頁
最判昭51・11・18判時837-104頁
最決平14・10・4刑集56-8-507頁
最決平6・9・8刑集48-6-263頁
最決昭30・11・22刑集9-12-2484頁
最決昭44・3・18刑集23-3-153頁
大阪高平6・4・20高刑集47-1-1頁
東京高平6・5・11高刑集47-2-237頁
最決昭55・10・23刑集34-5-300頁
最決平6・9・16刑集48-6-420頁
福岡高昭50・3・11刑月7-3-143頁
仙台髙昭47・1・25刑月4-1-14頁
最決平3・7・16刑集45-6-201頁
大阪高平3・11・6判タ796-264頁
最高決平10・5・1刑集52-4-275頁
東京地平10・2・27判時1637-152頁
LLI/DB検索
テキスト
当該判決
判例解説
頁数
当該判決以降に
続いた判例解説
の有無
○
16
11
○
○Vpass
○Vpass
○
○
21
13
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
×
×
○
25
10
17
25
24
5
4
2
○
○
○
○
○
○
○
×
×
×
×
×
7
-
1
○
○
○
○
○
○Vpass
○Vpass
○
○
×
×
×
20
25
-
2
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
×
×
○
○
○
○
○
×
×
○
×
○
×
11
8
5
6
29
51
12
20
-
2
他の文献・他のDB
参考
目的判決文?同日4件該当なし 合併号=表記 LLI/DB∼表記
「掲載誌」ボタン→741号238頁可
1
研修271号103頁
高刑20巻2号114頁
高刑速2367号
刑月6巻10号1021頁
判時1376号24頁
2
判タ743号69頁
3
1
2
2
1
4
3
1
1
1
1
調査:LLI/DBIntra対応版Version1.4 2006/8/21 By:[email protected]
※当表は判決文PDF及び解説・評釈の判例雑誌へのLink表示は省略する。
この2つの「民事取引法」「刑事訴訟法」の事例の様に「決め打ち型」検索では「ゆらぎ」によるヒッ
ト率の低下はない。
検索行動のほぼ 100%が、検索条件入力すれば検索結果が表示される。
判決文が表示されないのは(a)入力ミスか{利用者の画面入力操作ミスか、DB 作成時の入力ミス}、
(b)DB そのものに登録されてない{そもそも判決文素材が無い;非公開である。素材が間違い;特にタイ
プライターの判決文作成時代や出版方法が活版印字方式時代で間違いが散見される。活版印刷時代の名
残で合併号表示法}など特殊の場合を除き、授業学習用の意図では「ゆらぎ」はないと判断できる。
(補)ディジタル時に斯界全体で規格を決めておかなかった咎めが「合併号表示」に出ている。
活版印刷時代での合併号は「=」で表示され、オンラインの現在「=」を半角で入力すると検索ソフトの Control
Code で使用されているので入力画面で変換や Protect の要がある。事件番号や判決日は、判決文の「縦書形式」
から「横書形式」に変更のため漢数字変換や全角、半角数字変換等必要とされ、極小であるが DB 生成時の「も
れ」も含有されてしまっているケースもある。
6
第2章
内在する「ゆらぎ」DB の接近方法
2-1 上位概念語による接近法
広義語や概念語からと法令用語、法律語彙検索の実際は、やみくもに検索キーを入力するのでなく、
その上位概念語(その分範囲が広くなりヒット率は上がるがゴミも多くなる:戦局が分からなくなった
時一度高い山から眺めてみるに等しい)から探索範囲を広げた行動である。その事例を民事から「物件」
「錯誤」の例で見てみる。
民事「物件」
条文見出し
シラバス・テーマ個別項目語彙
物権の変動対抗要件
第三者の範囲
判例六法
(有斐閣)
LLI/DB 雑誌見出し横断検索(Version 1.4)
邦文法律雑誌記事索引DVD LLI/DB
最高裁判例解説
判例DB
判タ ジュリ 金法 金商 労判 百選
全文検索
模範六法 論文・記事
判例評釈
民事
刑事
(三省堂)
民177条
民177条
不動産に関する物件
の変動の対抗要件
不動産物件の
対抗要件
88
最高20
21 高裁35
11
4
0
2
2
1
0
0
10
地裁32
無制限説 or 制限説
4
20
119
1
0
0
0
0
0
0
0
賃借人 And
(賃料請求 or 賃料
解除)
2
54
370
8
0
0
0
0
0
0
5
第三者不法占拠者
背信的悪意者
背信的悪意者 And
転得者
民事「錯誤」
条文見出し
シラバス・テーマ個別項目語彙
判例六法
(有斐閣)
①錯誤の意義
②要素の錯誤
③動機(縁由)の錯誤
④表意者の重大な過失
⑤錯誤の効果
⑥他の制度との関係
動機の錯誤
5
82
188
3
1
2
0
2
0
0
10
26
26
233
14
0
6
7
2
0
0
10
2
13
23
1
0
2
2
1
0
0
2
LLI/DB 雑誌見出し横断検索(Version 1.4)
邦文法律雑誌記事索引DVD LLI/DB
最高裁判例解説
判例DB
判タ ジュリ 金法 金商 労判 百選
全文検索
模範六法
論文・記事
判例評釈
民事
刑事
(三省堂)
①要素の錯誤
②動機の錯誤
③本条但書
④本条の適用
表示行為の錯誤
346
50 最高 23
12
×
表示行為の錯誤or表示上の錯誤
×
内容の錯誤
×
要素の錯誤
因果関係
因果関係 or 重要性
意志欠缺
意志欠缺 or 不存在
共通錯誤
高裁110
地裁213
×
22
0
0
0
0
2
2
0
4
2
1
1
14
2
0
0
0
0
0
0
0
1
12
0
0
0
0
0
0
0
0
0
17
271
17
22
0
25
4
111
4
7
2
20
10
1
23
0
0
1
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
22
0
0
0
2
0
1
12
0
0
0
0
1
0
17
0
0
0
0
0
0
6
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
10
117
120
0
88
2
① 民事:
「物件」例
第3表は物権の学習で「無制限説や制限説」、
「賃借人 AND(賃料請求 or 賃料解約)」、「第三者不法
占拠者」
、
「背信的悪意者 AND 転得者」の検索を行うと表の判例が表示されるが判例が正しい範囲をカ
バーしているといい難い、この場合上位概念語として「第三者の範囲」またその上位として「物件の変
動対抗要件」等と遡れば検索動機との距離感は縮小する。
上位概念語は、法条文に付けられた条文見出し語(民間の努力で)が慣用語となったり、法的言こと
ばで表現されているので、その使命を果たし易い。
また、本邦では三審制度を採っているので検索語彙に捉われないで最高裁判決は見逃せない。
② 民事:
「錯誤」例
「動機の錯誤」では、被検索判例数 346 件で「物件」判例の約 4 倍近い対象となり、条文解釈や適応
判例件数に歴史が刻み込まれている。世情に合わせ永年に渡り学説・通説が争われ発展的な分野であり
一語で語れない。ここでは「錯誤とは何か」の学習面から大まかな検索目的を「表示行為の錯誤」か、
7
「要素の錯誤」か、または最近の傾向を知りたい「共通錯誤」なのかの動機に基づく用語検索が適切と
なる。また従来法廷語として使われた「意志の欠缺」が現代語化されて民法では「不存在」と表記され
るようになったので判例 DB 検索知識として現代語化以前の用語も習得すれば、目的と結果が近くなる。
③刑事:
「証拠能力」例
刑事「証拠能力」
LLI/DB Version 1.4
条文見出し
邦文法律雑誌記事索引DVD
判例DB
シラバス・テーマ個別項目語彙
証拠能力
判例六法
模範六法
(有斐閣)
(三省堂)
○
○
民訴247条
刑訴320-328条 刑訴320-328条
伝聞証拠
緊急行為
緊急避難
正当防衛
表記なし
○
表記なし
○
民720条
刑37条
刑37条
○
○
民720条
刑36条
民720条盗犯1
刑36条
論文・記事
全文検索
判例評釈
19
182
110 最高36
高裁96
最高裁判例解説
判タ ジュリ 金法 金商 労判 百選
民事
刑事
0
12
0
1
0
0
0
67
地裁50
10
23
38
0
0
0
0
0
0
0
0
86
670
567
3
6
3
7
0
0
0
22
157
83
922
2
32
15
17
0
0
0
44
○
×
38
127
235
0
0
0
0
0
0
0
0
いわゆる
○
危険への接近理論
×
3
20
72
1
0
2
0
0
0
0
0
いわゆる
遊戯行為
×
0
2
6
1
0
0
0
0
0
0
0
自力救済
×
「証拠能力」についても検索動機に基づいて用語の絞込み・選択をした上で、上位概念語から下位概
念へ、また下位語彙から上位概念へ向う複層した複数回の検索が有用となっていることを示している。
第1図で「課題接近型」と命名した検索方法である。
ここで注目したいのは、この 表にある「いわゆる危険への接近理論」とか「いわゆる遊戯行為」と
いった「いわゆる」が判決文や解説、評釈文中に多用されている。判決文中にある「いわゆる」に続く
用語が日常語や慣用語と法的ルールや法解釈を含有した中間用語として機能している。
手形訴訟制度の濫用問題では、「いわゆる私製手形に係る手形金請求の・・・」であり、賃貸借契約
に基づく借地借家法の賃料減額請求の可否、第三者の範囲は「いわゆるサブリース契約」である。
また同一判決文(最判平 15・7・10 平成 15(あ)第 60 号)のなかには「同条がいわゆる併科主義による
過酷な結果・・・、いわゆる加重主義を採った趣旨に・・・」と解説的に両論併記も診られるので法解
釈学習目的には有用な接近技法となろう。
「いわゆる」に続く語彙は、広義な表現上の「ゆらぎ」として捉え、上位概念語として用いると検索
行動が効率的になる。
2-2「ゆらぎ」の破壊
同義語・同意語や上位概念語で、検索の幅を拡げてきたが「ゆらぎ」の概念範囲を超越すると検索は不
能となる。
研究課題として検索用語『せり上がり』で、教材判例を探索する例を見る。
『せり上がり』の任意語検索ではゼロ表示である。この『せり上がり』は一言で云う便宜的慣用語(法
律用語でも登載されていない)で、次ぎのことを示す。
『せり上がり』とは、「特定の攻撃防御方法の主張において、その主張を主張自体失当
8
としないために、再抗弁的な働きをする要件事実をも併せて主張しなければならない
場合を便宜的にいう」である。(「民事訴訟における要件事実」 法曹會)
民事訴訟の運用・利用時の実践、抗弁の仕方として要件事実学習過程で出てくる用語であり、判決文自
体に表記されることではない。
ちなみに『せり上がり』検索を行うと 21 件の表示があり
①東京高平 14.1.31 平 9(行コ)135 号では「油圧式のせり上がり舞台」が・・・
②浦和地平 13.3.21 平成 7 年(わ)第 39 号等「両足がダッシュボードの上にせり上がり、
」
③平成 7.3.29 判タ 888 号 84 頁で、
「ライド同士が接触してせり上がり現象を起こし・・・」
のように「ゴミ」が表示されることになってしまう。
この場合「攻撃的防御方法」や「不利益陳述」また「法律効果」等でも表示されない、この場合『せり
上がり』の検索行動は「ゆらぎ」の破壊である。破壊検索行動となる。
2-3 異種 DB 交差利用による「ゆらぎ」の補完
任意語検索からみた登載の参照条文記載例 クロス検索のための解説
「証拠能力」AND「伝聞証拠」AND「最高裁」の検索結果表示の明細
1
事件番号
参照条文記載
平7・6・29平6(行ツ)16号
民事訴訟法294-1条
民事訴訟法2編3章4節
刑事訴訟法226条
2 平7・6・20平2(あ)72号
3 平7・2・22昭62(あ)1351号
4
5
6
7
8
昭61・3・3昭58(あ)1458号
昭58・11・10昭58(あ)79号
昭42・10・13昭41(あ)2598号
昭41・3・11昭38(オ)1141号
昭39・1・28昭36(あ)2147号
9 昭38・10・17昭35(あ)1378号
10 昭37・8・21昭34(あ)1686号
11 昭37・3・9昭36(オ)929号
12 昭36・6・7昭31(あ)2863号
13 昭34・8・10昭29(あ)1671号
14
15
16
17
18
19
昭34・7・30昭33(あ)1537号
昭33・3・6昭32(あ)1531号
昭31・7・17昭30(あ)2629号
昭30・12・9昭29(あ)2784号
昭27・12・5昭25(オ)181号
昭26・9・6昭25(あ)2589号
出典参考
刑訴1条、刑訴320-1条、321-1条
憲法37-2条
刑訴1条、146条、226条、248条、317条
憲法38-1条
刑訴323条
-
裁判集刑事232-787頁
裁判集刑事164-745頁
裁判集民事82-669頁
裁判集刑事150-291頁
刑訴317条、324-2条、320-1条、321-1条
刑訴220-1条.、220-2条
憲法35条
刑法60条
刑訴99-2条、303条、305条、306条、317条、
318条、335-1条、392条、393条、404条、
411-3条、414条
刑法95-1条
刑訴298-1条
刑訴321-1条、321-2条、317条
刑訴320条、324条、321条
-
裁判集刑事145-13頁
裁判集民事59-105頁
検索後の表示件数のみでは、求める目的に対して検索結果はなんとも評価のしようがない。
検索結果の事件番号ごとの参照条文から、目的の2、9、16、17が候補にあがるが(この4件は『最
高裁判例解説』もあり、学修教材に手早い材料提供してくれている)授業でよく使われる必須の基本判
例「最判昭 44・6・25 刑集 23 巻 7 号 975 頁」が抜け落ちる。これは判決文自体に「証拠能力」という
9
単語が使われていない。全文検索は一見ヒット率は高い印象を与えるが、判決文中に目的語彙がなけれ
ばヒットしなく、DB の中に埋没してしまう。
これは判決文自体が当該事案について裁判官の言葉で結論への過程説明であり、必ずしも全ての論理
過程を明示する必要性がないからです。裁判に係る3者(原告、被告、裁判官)が納得出来れば、法律
家ならば誰でも知っている既知の適用条文や論理過程を全ては表記していないからです。
判決文は裁判所の判断を示す文書であるから、主として証拠の評価、事実の認定に関する判断が記載
され、しかも簡単に記載されるにすぎないため、検索の動機が「法理の学習」する目的の場合適さない
ミスマッチ行動となる。全ての要求には DB 素材そのものがむいていない査証である。
また、交差的利用が有効か異種複数各 DB を交差的に検索してみる。
明確化のため判例数を絞り前述した「錯誤」問題で「民法 95 条」平成元年 1 月 1 日から 12 月 31 日ま
での裁判例について検索結果は
適用条文「民法95条」 AND 平成元・1・1∼平元・12・31までの 裁判例一覧
『民事裁判例索引』 『邦文法律雑誌記事索引』
LLI/DB
最高裁判例解説判例タイムズジュリスト 金融法務事情金融商事判例 労働判例 百選
判例評釈記事
判例検索システム
法曹会
事件番号\検索後の表示件数
12
3
11
4
2
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
1 名古屋地平元・12・21昭62年(レ)75号
○
2 仙台高平元・9・28昭63(ネ)270号
○
○
○
3 大阪高平元・9・22平元(ネ)28号
4 最判平元・9・14昭63(オ)385号
○
○
○
○
○
○
○
東京地平元・8・29昭63(ワ)13961号
5 東京地平元・8・21昭61(ワ)4442号
横浜地平元・7・13昭60(ワ)3356号
○
0
6
1
6 昭61(ワ)1581号
○
横浜地平元・6・27昭63(ワ)169号
○
7 大阪高平元・5・23昭61(ネ)1992号
0
○
○
○
0
備考
※交通事故民事裁判例集22巻4号962頁
○
※交通事故民事裁判例集22巻3号727頁
8 大阪高平元・4・25昭63(ネ)2127号
○
○
9 東京高平元・3・29昭63(ネ)992号
○
○
○
○
○
○
○
○
横浜地平元・2・14昭56(ワ)443号
10 昭57(ワ)83号
昭63(ワ)248号
11 東京地平元・1・31昭59(ワ)14963号
© [email protected] 2006/10/19
第 表 異種複数 DB の交差検索結果
『民事裁判例索引』※6 が網羅的であるので、それを基準に各 DB の検索結果をみると LLI/DB で 11 件、
判タで 6 件、ジュリストで 4 件、金融法務事情で 2 件、金融商事判例で 1 件となっている。
雑誌 DB にはその専門ジャンル以外は登載しないのが当然であるが粗雑さが目立つ結果となっている。
最近では、残念であるがこのような最高裁事務総局の編集苦労が世に出ていないので、何が一番網羅
的であるかの基準が見当たらない。その時に応じてなるべく沢山の DB を並べて利用する心構えが DB
利用時の知恵のひとつとなろう。
※6
『民事裁判例索引』(財)法曹会刊等「総判例索引」書籍は不定期で最近は発刊をしていない。
10
第3章 機械的な課題で「ゆらぎ」を増幅している要因
3-1 ソフト上の課題と検索行動からの複層問題
特に最高裁の棄却判決文は上告の審理のみで事件の内容に触れていないことが多く、また係属した事
件のみならず他の事件にも適用することができるような法理を提示することが多く幅広く多目的に活
用できる反面、判決文中の語彙のみに集中した「全文検索」で検索する場合には、この事を念頭に置い
た検索行動が望まれる。
裁判官の表現上の癖や慣習、慣用句を熟知すれば、検索行動が効率的となる。
また、表記上の異なる表現の検索用語を使う場合は、「ゆらぎ」概念ではどうしてもカバーできな
い機械上の制約もある。これら点を念頭に置いて検索時の基盤知識とすると検索時の効率化が図れる。
機械やソフト上の検索経路遮断があれば致命傷となる。DB 生成過程で随所に思考経路遮断の要因が溶
け込んでいるので、ここで概説する。
3-2 全文検索技術システム上の課題
法 DB の「癖」を知るにはある程度の使いこなしが必要であるが、構造的な問題がどこに潜む余地が
あるかを把握しておくだけでも検索行動に隘路に陥らない真理的余裕がでる。
そこで、ここでは DB 生成過程を観る中で、機械的な構造的問題が内在していることを示す。
公刊物、雑誌類
原本コピー
※現段階のHPサービスの実務利用は最高裁のみ
OCR変換処理
OCR変換処理
第2図は DB 生成までの工程を図示する。
特に工程 2、工程 3 にあたる部分が利用者に
裁判所HP
※現段階でのディジタル直接入力は不可
第1次DB
変換ミス・人手による用語修正
目検 校正作業
第1次DB '
は隠れている。この部分で検索が「ひっかか
って」いることが多い。
ここでは、検索作業の最も中核となる大規
模インデックス作成部分の技術、すなわち狭
第1次DB '
自動文書整形チェック
不足項目(参照条文や判示・要旨)、事件番号による二重チェック(公文書レベル高い方
に置換)、別紙PDFLink、縦書き横書き、特殊記号(合併号=表記)、出典表記チェック等
文書フィルタリング
義の意味での全文検索技術には、様々な意味
でのトレードオフ問題が潜んでいることを
指摘する。
第2次DB
他のDB
第2次DB
自然語処理の限界
工程 3
形態素解析
インデックシング作業
法律辞書
※独自な法分野文章構造
※再現性と適合率の基準
①インデクシングの手間がかかる。
(日本語形態素解析の手間がかかる)
生成済みIndex
Index がデカくなる。
第3次DB
+
既存DB
他のDB
商用・経済性
※ユーザー支援(法務用語入力変換、IME/一太郎の無互換
※個人独自の同義語登録、検索結果の付箋ずけ、シラバスとの連動
※検索エンジンとブラウザ相性問題
②再現率(recall)が下がる。
(全ての対象文書は拾えない)
作成済みIndex
工程 4
検索エンジン
オンラインインターフェース
DB利用者
③適合率(precision)が下がる。
(結果的にゴミが増える)
第2図 DB 生成中に「ゆらぎ」が内在されてゆく過程
11
検索技法には、
①キーワード検索(検索キー対象が設定されたキーワード)
完全一致、AND、OR、ブーリアン代数型の検索。
②インデックス検索(検索対象が全文対象で事前に Index を生成し、そこを検索する)
完全一致、AND、OR ブーリアン代数、頻度による重み付を表示する。
③あいまい検索(シソーラス、同義語、関連語、類似語等の辞書を介して)
単語の持つ意味を解釈して他の用語に関連付ける。
④複層交差型検索(複数の異性質 DB を相互に交差させて検索結果を照合する)
なるべく出典方法や検索エンジンの異なるサイト利用がよい。
等があり、それぞれ限界と特徴がある。
例えば「インデックスの必要が無い」と唄っている検索エンジンは、検索スピードが落ちるか、もし
くは再現率が下がっていることを、同時に考慮に入れておかねばなりません。
「あらゆる文字列で検索が可能」と唄っている検索エンジンは適合率が下がっていることも考慮に入
れておく必要があり、また「形態素解析を用いて云々・・・・」と唄っている検索エンジンは、インデック
シングにかなり時間がかかり(形態素解析を用いないものと比べて2∼3倍)且つインデックスの大き
さが巨大になることを考慮しなければならない。
どこの部分を重視して、どこの部分に目をつむったかによって内部的な DB の特質となる。
「法 DB」で一般的となっている全文検索手法は、
「AND」や「OR」をつかったブーリアン方式である
ので限界がある。ブールアン方式では単語検索した場合、該当する単語が多過ぎ、複数の単語で絞り込
むと、該当文書数が少なくなって目的に判例文に近づけない欠点を内在しているのである。
3-3 「ゆらぎ」が発生する内的要因と外的要因
これまでは主に法律用語の検索事例から「ゆらぎ」問題を摘出するなかで DB の素材と機械処理構造
に焦点を合わせ考察した、いわば「ゆらぎ」の内部要因がそうさせていた。が、法 DB は法律の全面改
訂や用語の現代化等「ゆらぎ」を生じさせる大きな与件が打寄せている。
制度改革や使用言語の改定、表記方法の社会的潮流に合わせる、外部からの「ゆらぎ」要因で大きく
揺られるのである。
「法 DB」は、旧来の素材を生かしながら新しい与件を含有して、連続性を保持しながら増殖ゆく宿
命を持ち続けるのである。
外部要因で表記上の大きなインパクトを与えているのは
①「同音の漢字による書きかえ」昭和 31 年 7 月 5 日
国語審議会報告
②縦書きから横書きへ
③『改正要領』昭和 29 年 11 月 25 日内閣法制局通知「法令用語改善の実施要綱」
別紙「法令用語改正要領」&昭和 56 年 10 月 1 日通知
等。
④「民法の一部を改正する法律(平成16年法律第147号)
」2004 年 12 月 1 日公布
「民法表記の現代語化:その表記を平仮名・口語体に改め、用語を平易なものに改め表記の現
12
代用語化を目指したもの」
⑤『改正刑法草案』昭和 49 年 5 月 29 日
法制審議会法務大臣答申書提出
「刑法のひらがな、口語化時に残された→他の法律は難語やまぎらわしい類語のまま据え置か
れている」
⑥現代語化プロジェクト「
」
等々、国民に分かり易い裁判への潮流は、それ自体がそれぞれの節目で大きな表記上の「ゆらぎ」要因
となって過去物との連続性が保持されないのが DB 構築の変動与件となっている。
第3図は、内部要因と外部要因を含有した情報検索時のスパイラル工程を示す。
蓄積される知得
事案
他の手段
選択
検索の意図
仮説目標との
差
課題接近型
検索
決め打ち型
検索
研究・探索
型検索
「ゆらぎ」の内部要因
×n回
判例コメント
判例解説
DB
法令DB
判例DB
﹁ゆらぎ﹂
の外部要因︵外部環境要因︶
検索ルート
文献情報DB
雑誌DB
検索結果3
検索結果1
検索結果2
第3図 DB構造からくる「ゆらぎ」の内部要因と外部要因としての探索行動の「ゆらぎ」
検索結果をみて初期の意図との「差:ずれ」で、その差異部分を修正要求として、再度検索行動に入
る。サイクリックに繰替えされるその経路はスパイラル状に階段を上りながら、絞り込まれ自立的に修
正・補正され問題に接近するのである。
この経験値が集積されて「法情報調査のセンスを磨く方法」※qの具体的知得となってゆくのである。
※q
参照;『法情報学』加賀山・松浦著有斐閣刊 99 頁∼124 頁
13
第4章
「ゆらぎ」を減衰させる手段の考察
「ゆらぎ」増幅の要因
① 判例文の構造統一化
② 判例表記法の標準化
③ 法令用語の現代化、法律に見出しの付与
「ゆらぎ」を減少させる手段
① 適切な判示・判旨を付加する
② 適切な解説・判例評釈と相互 Link 重複させる
③ いわゆる語や俗称事件名と関連づけさせる
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DB 利用の目的が一般社会人となると別次元のアプローチが必要となる。生活者の日常生活次元と法
的次元ではコミュニケーション目的や機能が異なっており、日常ことばから検索されるケースは翻訳
DB を介在しないと辿りつけない。法分野の DB は理科系、医学系に比しまだまだ完成度が低い。
また法廷用語の現代語化の努力が日弁連で研究されているが著についたばかりその距離感は埋まら
ない。判決文そのものに解決を求めると永遠に埋まらないので、ここでは「短文賦課方式2段階 DB 方
式」の試案を提示する。
関連付け DB
国民の目線
2チャンネル敗訴確定
管理者に削除 義務
最高裁 第2小法廷2005年10月 7日
「 2ちゃんねる」
イン ターネット上の掲示板
に 書き 込まれた発言で名誉を傷 つけられたと して ,
東京都 内の 動物病院と経営者の獣医師 が,
掲 示板の管理者に計500万円の賠償などを求めた訴
訟で,最高裁第2小法廷は ,管理者側の上告 を退 ける決定 をした。管理者に400万円の支払い
と書き 込み の削除を命じた1,2審判決が確定した 。管理 者側の弁護士によると,インターネッ
ト掲示 板へ の書き込みをめぐり,管理者 に賠 償と削除を命じた判決が最高裁で確定したのは初め
て。
「 2ち ゃん ねる」内に開設された 「悪徳動物病院
一,二 審判 決によると,2001年1月以降,
告発」など の掲示板に,この獣医 師の 病院を名指しして「えげつない病院」などの書き込みがさ
れた。 獣医 師は同年6月 ,管理者に削 除を求めたが,応じなかったため,提訴した。
一審・東京地裁判決は「管理者は,名誉毀損に当たる書き込み を知 った時点で削 除する義務があ
ったの に, 削除を怠 った 」と判断。二 審・東京高裁も支 持した。
専門家の目線
判決文DB
事件番号
法令条文
テキスト
イメージ
第4図 「やわらかな」短文で2重構造化した判例 DB 概念図
これに近い実務的 DB(国税不服審判所 Website)※zが出現し、ここでは「裁決検索システム」の事
例要旨にその核がみられる。
辞書作成・短文作成や「フレンドリーな法 DB」を構築するには、1箇所で集中開発方式より分散開
発方式のほうが民間や第3セクター(公的機関)で1箇所に集約された環境下でより完成度の高い DB
を目指すよりも、グリッドコンピューティングや WikiPedia 方式で開放されたネットワーク上で皆が参
加し分業する「By Product」的※a1 に集積される方式の方が、効率よくまた早く出来上がるのでないか。
各自が事業所内に LAN 接続されている PC 作業からサーバーが見られるような、全国に分散してい
る元書記官や法曹経験者がそれぞれの得意部門(公法・民法・刑法等分野別に法律用語を知った方が平
易な言葉で要約する;briefing)で、より広範囲な部分習合化の構築が望ましい。
本報告で示した「ゆらぎ」は多分に人間臭い部分であり、機械に任せるより永年蓄積した人間の知恵
を全体として集約し活用する仕組み作りの方向が経済的効果が高いのでないか。
※z
※ a1
http://www.kfs.go.jp/index.html
専門用語や社内用語を組織内に配信・共有できる差分辞書配信機能システム;「ATOK Business Solution 辞書配信システム
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【参考文献】
[1]:
『民事訴訟における要件事実』第一巻 平成 17 年 11 月刊 法曹会
[2]:
『民事訴訟における要件事実』第二巻 平成 16 年 6 月刊 法曹会
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『要件事実の基礎と実践』升田 純 (社)金融財政事情研究会 平成 15 年 5 月
[4]:
『要件事実の実践と裁判』升田 純 (社)金融財政事情研究会 平成 16 年 6 月
[5]:
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司法制度改革と先端テクノロジー研究会編 2004 年 2 月
[6]:
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「Information Retrieval Interaction」Ingwersen, P; Graham T /London UK
[8]:
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[10]「Semiotics for Beginners」Daniel Chandler; University of Wales, http://www.wind.sannet.ne.jp/masa-t/
[11]『法的思考のすすめ』陶久俊彦著 2003 法律文化社
[12] 『論理トレーニング』野矢茂樹著 1997 産業図書
[13] 『情報検索のスキル』未知の問題をどう解くか 三輪 眞木子著;中公新書
[14] 『法情報学』加賀山茂・松浦好治著 2002 有斐閣
[15] 『法律文献学』西野喜一著 2002 成文堂
[16] LEXIS-NEXIS
A law student’s guide to using
[17] Discovering Westlaw & Researching Case and Statutes, Using Westlaw.com 2004
[18] 「法廷用語の日常語化に関するプロジェクトチーム中間報告」
日本弁護士連合会裁判員制度実施本部日常語化 Project 平成 17 年 11 月
[19] 「マルチメディア・インターネット事典」ディジタル・クリエイターズ連絡協議会
http://www.jiten.com
[20]『実践判例検索』リーガル・リサーチ研究会編集 中山知己・西島良尚著 平成 19 年 4 月 第一法規
【参考 Web】
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2:http://icrouton.as.wakwak.ne.jp/pub/kks/index.html 法律用語電子化辞書
3:http://www.kfs.go.jp/index.html 国税不服審判所
4:http://www.justsystem.co.jp ジャストシステム「類似情報抽出技術」
5:http://www2.cali.org/ CALI;The Center for Computer-Assisted Legal Instruction
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