平成23年度事業報告 - 新産業創造研究機構

平成23年度事業報告
(平成 23 年 4 月 1 日から平成 24 年 3 月 31 日まで)
Ⅰ 法人の状況に関する重要な事項
(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行規則第 34 条第 2 項第 1 号)
Ⅰ-1 平成 23 年度 財団の運営方針
1.現状認識
世界経済は激しい地殻変動の真只中にあり、産業構造が激変しつつある。日本の産業はその影響を
受け、内需の停滞・デフレが進行し、ものづくり産業においては空洞化が懸念される状況にある。
本年は東日本大震災と原発事故がこれに追い打ちをかけ、株安と円高にも見舞われ、企業はこの変化
への対応として、技術・製品の差別化とビジネスモデルの刷新を迫られている。
これらの困難を克服するため、国は新成長戦略を策定し、日本の強みを生かした成長分野として「環
境・エネルギー」と「健康(医療・介護)分野」に集中投資する一方、パッケージ型インフラの海外
輸出などのアジア市場展開、成長を支える科学・技術・情報通信プラットフォーム強化のための国家
戦略プロジェクトの推進等を謳っている。兵庫県では成長産業育成事業を展開し、ナノ、情報通信・
エレクトロニクス、健康・医療、環境・エネルギー、ロボット(人工知能)の5分野の産業育成を、
神戸市は医療産業都市構想、神戸 RT 構想(RT:ロボットテクノロジー)等を推進している。
(公財)新産業創造研究機構の役割は、こうした国・兵庫県・神戸市の施策と連動し、中小企業が
産学官連携・産-産連携等の成果を事業発展につなげるのを支援するところにあり、もって、競争力の
高い企業群が形成されることに寄与することである。
2.運営方針
(1) 産学官連携による新技術・新製品の研究開発
・ 変化に挑戦する中小企業・起業家を見出し、それらのニーズに応える新技術・新製品の研究開
発を支援する。
・ 企業のニーズ・動向の把握は、各部門が連携して企業とのネットワークの拡大に努めるととも
に、兵庫県の平成 22~23 年度事業である「ものづくり産業集積交流支援事業」の成果を活用す
る。シーズ情報の収集については、大学等の連携部門との連携を強化し、仕組みを整備する。
NIRO 職員は大学等の研究者との接触密度を高める。
・ 開発の最終目的は企業における事業化・収益への寄与であることから、研究開発の着手時点に
おいて十分な事業性の検討を行う。また、必要に応じ、他の支援機関と連携して計画の実行を
支援する。開発終了した案件についても定期的にフォローアップを実行し、事業化に障害・困
難が生じていれば、他の支援機関と連携し、その解決を支援する。
・ 国の新成長戦略、兵庫県の成長産業育成事業、神戸市の神戸医療産業都市構想・神戸 RT 構想等
の推進に努める。特に、環境・エネルギー分野、ロボット分野、介護・福祉分野については、
1
すでに立ち上がっている研究会活動を発展させ、この市場への参入を目指す中小企業・起業家
に必要な情報を提供するとともに、技術・製品開発プロジェクトの立ち上げを図る。
・ 事業遂行に欠かせないコーディネーターの育成については、兵庫県が取組む「ひょうご産学官
連携コーディネーター協議会」の活動を通じて、コーディネーターの協力体制の強化、外部資
獲得等の能力向上に役立つ情報の交流行い、コーディネーターの能力向上を図る。
(2) 大学等や民間の高度な技術の地域企業への移転
・ 国の特許等取得活用支援事業を活用し、県内の中小企業に対して、知財戦略の策定から特許
出願・活用・ライセンシングまでのワンストップ支援機能を提供する。研究開発が必要と判断
される課題に対しては研究部門と連携してプロジェクト化・外部資金の獲得を図る。
・ 民間特許を企業に移転する技術移転センターの活動と大学等特許を企業に移転する「TLO ひょ
うご」の活動を融合させ、一体運営による効率化を図る。課題によっては、適宜、産-産連携
(横連携・垂直連携)により取り組む。
・ 特許権等について定期的に評価し直し、先行き、実用化が見込めないと判断されるものは、
早急に処分する。
(3) 研修・技術支援による競争力の高い中小企業・起業家等の育成
・ 企業からの技術相談および機器利用への対応機能を一層充実させる。
・ 各部門が展開しているセミナー、研修会等の企画には、企業ニーズを敏感に反映させる。
2
Ⅰ-2 新産業の創造を目指した新技術等の研究開発事業(定款;第 4 条第 1 号)
1.基本方針
研究開発部門は、産学官の連携により「新産業の創造を目指した新技術・新製品の研究開発事業」
を行うことを目的とし、研究開発部門である研究所、神戸ロボット研究所、兵庫ものづくり支援
センター・コーディネート部にて、下記の基本方針により事業を推進した。
(1) 企業ニーズ情報は、NIRO の他部門との連携、技術アドバイザーの活用、他の支援機関との連携
等により広く収集し、企業ニーズに応える新技術・新製品の研究開発を支援する。
(賛助会員企業訪問、兵庫ものづくり産業集積支援事業を活用した企業訪問等)
(2) シーズ情報は、大学等の産学連携部門との連携強化により、ニーズにマッチする情報を広く収集
し、ニーズ・シーズのマッチングを推進することにより、企業における新技術・新製品の創出に
貢献する。 ((国大)神戸大学、兵庫県立大学等との産学連携活動)
(3) 産学官コーディネートは、これまで行ってきた R&D(Research and Development)スパイラルアッ
プ・システムを推進し、新技術・新製品の事業化に向けた支援とフォローアップを行う。
即ち自为研究事業をシーズとして発芽させ、技術シーズ育成事業に育て、更に国・地方自治体等
の委託・補助業務を活用した本格的研究開発事業まで導き、十分な事業性の検討を基に事業化に
向けた支援を行うと共に、研究開発終了後のフォローアップを実行する。
(4) 技術分野としては、国の新成長戦略、兵庫県次世代成長産業育成事業、神戸市の神戸医療産業都
市構想・神戸 RT 構想等に基づき、特に環境・エネルギー分野、ロボット分野、介護・福祉分野
に注力する。
2.事業活動
2.1 国・地方自治体等の委託・補助業務を活用した研究開発事業の推進
国の「新産業創造戦略」は平成 16 年度より策定され毎年度見直しが行われており、
「ロボット」、
「健康・福祉」
、「環境・エネルギー」
、「情報家電」、「燃料電池」、「ビジネス支援」、「コンテンツ」、
等の7重点分野に関わる研究開発、及び高度部材産業・基盤産業への施策重点化に関わる研究開発、
あるいは、人材・技術等の蓄積進化、知的財産重視の経営の促進等に関わる施策を示しており、ま
た兵庫県は次世代成長産業育成事業、神戸市は神戸 RT 構想を施策としてきた。
当財団の研究開発部門では、これらの研究開発施策に基づき下記の7分野に注力し、国・県など
からの補助金・助成金・委託事業を活用することにより、中小企業、大学、公立研究機関等と連携
して研究開発事業を実施してきており、事業実績はこれまで堅調に推移してきた。
・ 情報・エレクトロニクス、制御技術、人工知能などの研究開発に関わる「ロボットおよび情報メ
カトロ分野」
・ 高齢者・障害者の介護支援機器及び対象者の健康・福祉用の機器の研究開発に関わる「健康・福
祉分野」
・ 金属材料、有機材料の製造、機械加工などの研究開発に関わる「製造・加工技術分野」
3
・ 地方公共団体、企業が進める廃棄物の有効利活用等の研究開発をはじめ、低炭素社会構築に
関わる「環境・資源・エネルギー分野」
・ 機能性材料、ナノ加工、ナノカーボン等の先端的研究開発に関わる「新材料・ナノテクノロジー
分野」
・ 酒造業等の新製品開発や農・海産物資源の有効利活用等の研究開発に関わる「バイオ分野」
・ 鉱工業から農林水産業まで、兵庫県を中心とした地場産業である西宮の酒造り、西脇の播州織な
どの研究開発に関わる「地場産業分野」
平成 23 年度は、国の新成長戦略、兵庫県の次世代成長産業育成事業、神戸市の神戸医療産業都市
構想・神戸 RT 構想等に基づき、これらの技術分野を中心に、特に環境・エネルギー分野、ロボット
分野、介護・福祉分野に重点を置き、新産業の創造を目指した新技術・新製品の研究開発事業を、
432 百万円を目標として推進し、419 百万円の実績を計上した。
平成 23 年度 国・県の競争的資金による事業 <実績額>
419 百万円
具体的活動内容を以下に示す。
(1)ロボットおよび情報メカトロ分野
安心・安全でゆとりある 21 世紀社会を築くため、緊急時だけでなく平常時においても、また、
健康福祉分野から産業分野に至るまで幅広く、人間の活動を支援する機器の必要性が認識され、
その開発が期待されている。
神戸は震災を経験した都市であり、また今日、神戸医療産業都市構想を推進していることから、
災害救助や医療・介護福祉分野のロボット開発における強みと可能性をもっている。また、神戸
の企業には産業用ロボットの開発・製造の実績やものづくりの技術の蓄積がある。これらを踏ま
えて兵庫県・神戸市および産学官が連携して、ロボットの研究開発拠点を整備し RT(ロボットテ
クノロジー)の知的クラスター形成と中小企業群のものづくり技術の高度化を目指し、神戸 RT 構
想を推進した。
また、高齢化社会の進行に伴い、身体に障害を持つ人口の増加が想定され、不特定多数の方々
への介護福祉の役割、在宅医療の必要性、健康管理情報化、QOL(生活の質)の向上支援は不可
欠である。ロボット技術を初めとするメカトロ技術、情報通信技術を活用して、高齢者、障害者
の健康・介護福祉分野および生活支援分野の研究に取り組んだ。
高齢化の進展は労働力の減尐を伴う。それに対応すべく上記の分野以外でも、労働力支援分野
の研究に取り組む。具体的には、現在進行中の農業分野支援ロボット分野の研究を進める。
平成23年度は次の項目を実施した。
1)
新技術開発の活動
① 川上企業における要素技術の開発
中小企業には、材料や部品、サブシステム等を担当する川上型企業(多くの部品やサブシス
4
テムを組み上げて最終製品とする企業は川下型)が多く、中小企業活性化のためにこれら企業の
得意とする要素技術開発を支援している。
平成 22 年度に近畿経済産業局に戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン)として採択された
「150MHz 帯業務用アナログ/デジタル共用無線機開発」(参画機関:(公財)新産業創造研究機
構(事業管理機関)
、(株)大日電子、(株)国際電気通信基盤技術研究所)と「干渉縞直接測定方式
によるナノレベルパーティクルの検出技術の開発」(参画機関:(公財)新産業創造研究機構(事業
管理機関)
、北斗電子工業(株)、(国大)筑波大学)については、2 年目となり、本格的な研究開発
を推進し、ほぼ当年度の開発目標を達成した。「150MHz 帯業務用アナログ/デジタル共用無線機
開発」については、戦略的基盤技術高度化支援事業の平成 23 年度第三次補正予算に採択され、
約 1,000 万円の追加予算を受けて平成 24 年 12 月を期限とする前倒し開発を実行している。
平成 21 年度に「兵庫県 COE プログラム推進事業」として採択された「UHF 帯 RFID 用広帯域
電波吸材料の開発」(参画機関:(公財)新産業創造研究機構(代表機関)、明興産業(株)、(国大)
大阪大学)は平成 22 年度で終了し、戦略的基盤技術高度化支援事業に提案して採択され、基礎
的な検討と試作等を行って平成 24 年度における本格的開発の準備を行った。
② 小型ロボットによる畦畔除草等自動化技術の開発
農林水産省農林水産技術会議事務局では、委託プロジェクト研究「農作業の軽労化に向け
た農業自動化・アシストシステムの開発」について、平成 22 年度の委託事業を実施するに
当たり、当該委託プロジェクト研究への参加を希望する企業・研究機関等を一般に広く募集
した。5 件のプロジェクト研究の募集があり、その中の「小型ロボットによる畦畔除草等自
動化技術の開発」プロジェクトに、当財団を中核機関として 7 つの研究機関と共同で提案し
た。
公募の研究要求内容は、
「人力によらず、自動又は半自動で畦畔除草を行う小型除草ロボ
ットを開発する。このロボットにより、中山間地での棚田や棚畑の急傾斜地の法面での作業
負担を大幅に軽減する。作業時には、人や障害物の検出機能を備え、安全対策を十分に行う。
さらに、農地等で実証を行い、経済性についても評価する。
」というものである。
応募した結果、NIRO 提案が採択され、5 年間のプロジェクトがスタートした。
平成 22 年度は初年度にあたり、要素技術の開発を为要課題して、実際に除草作業が可能
なロボットの試作を目標とし、製作した試作機により、急傾斜地での走行性能や基本的な草
刈性能の確認をおこなった。平成 23 年度は、その継続研究として要素技術の改良およびそ
の改良結果の試作ロボットへの反映とロボットの評価システムの構築を目標として、草刈性
能の向上、急傾斜地での登坂性能の向上などを目指して前年度の試作機を改良した。平成
23 年度に改良した試作機は、東京ビッグサイトで 11 月 9 日~11 月 12 日に開催された「2011
国際ロボット展」に出展した。
代表機関およびプロジェクトマネージャーは NIRO が務め、コンソーシアムに参画する他
の研究機関は、(独)農研機構 近畿中国四国農業研究センター、(独)農研機構 九州沖縄農業
研究センター、(国大)島根大学、(国大)京都大学、島根県中山間地域研究センター、明興産
業(株)、(株)システムワットの 7 機関であり、それぞれが研究課題を分担して、研究を進め
ている。
5
③ 広範囲光点変位センサを利用した傾斜崩落予知システム研究開発
従来の傾斜面崩落予知では種々の検出方法・装置が用いられている。古くは、杭とワイヤーに
より崩落を検出する方法が用いられたが、温度変化や動植物に由来するワイヤーの伸縮のため微
細な地面の変動と識別できず、崩落が発生した結果を検知するにとどまり、予知とは言えなかっ
た。これを解決するため、加速度センサや傾斜センサなど様々な電気・電子的手段を用いて微小
な崩落前兆を検出する試みが行われている。
一方、これら崩落が予想され機器の設置が要望される環境は山間地や傾斜地であるため、太陽
電池と蓄電池を電源として用い、検出情報の伝達も無線などの手段に依存せざるを得ない。使用
する太陽電池は、十分な日照が確保できなくても発電できる能力を持つ必要があり、しかも、太
陽電池による充電がなくても蓄電された電源によって1週間以上の測定が可能な電力消費の尐
ない変動検出・無線伝送システムの開発が待たれている。
そこで、(国大)岡山大学工学部、(株)WINGS、新和工業(株)及びサイエンティフィック・テクノ
ロジーズ(有)と共同研究体を構成し、広範囲光点変位センサと短距離無線通信システム、小型太
陽電池・蓄電電源を組み込んだ、数年程度の長期間・安定的動作するアドホック通信型低消費電
力傾斜斜面崩落予知情報検出システムの研究開発のプロジェクト化を図るべく、平成 23 年度戦
略的基盤技術高度化支援事業に応募したが、不採択となった。
そのため、屋内・屋外設置の完全ワイヤレス通信ネットワークを構築し、多種多様な用途に応用
するセンサネットワークシステムを開発する内容に変更し、同事業の補正予算の募集に応募した
が、これも不採択となった。
④ 組込みシステムにおける性能設計評価ツールの研究開発
平成 22 年度に近畿経済産業局に戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン)として採択さ
れ、参画機関は、(公財)新産業創造研究機構(事業管理機関)、兵庫県立大学、(株)ヴィッツ、
(株)きじねこである。2年目となり、継続して研究開発を推進した。
組込みシステムの動作不良原因は、組込みソフトウェア不具合が半数以上を占める。不具
合が起きる理由として、組込みソフトウェアの大規模化と複雑化に対して、十分な対策がと
られなかったためである。本研究開発では、不具合の重大な原因の一つである性能問題に関
連する設計工程を改善するために、性能設計評価ツールを開発する。このツールにより組込
みソフトウェアの品質向上とソフト開発の後戻り工数削減による開発コストの抑制を実現
する。
⑤ 太陽電池を搭載した小型軽量自立駆動型の遠隔環境計測センサーシステムの開発
平成 23 年度補正予算による戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン)に応募した。東日本大
震災以降、
災害予防や震災後対策のニーズが高まっているが、それには安価で設置工事が容易で、
継続して遠隔稼動できる自立駆動型センサの開発が重要である。その課題を解決するため、省電
力センサーデバイス、効率良い充放電プログラム、それらを管理し最適な稼動をする組込みソフ
トの技術を高度化し、太陽電池と無線を使用した小型の自立駆動可能な遠隔環境計測センサーシ
ステムを開発する予定であったが、不採択となった。
(参画機関:バイセン(株)、京セミ(株))
6
(2)新材料および材料製造・加工技術分野
材料およびその関連技術は、製造業の根幹を成す技術である。特に兵庫県下においては、鉄鋼、
造船、産業機械等の歴史のある分野および電子機器等の新しい分野の中核企業とそれを支えてい
る企業群の集積があり、材料関連技術の開発におけるポテンシャルは高いものがある。また、県
の西播磨地区には国内最大の大型放射光施設(SPring-8)を有し、様々な材料の評価、新材料の開
発を通じ、活発な産業利用が行われている。今年度も広く産業界の要請に応え、県内関係機関と
連携し、広範な材料関係新技術の開発・実用化を支援し、産業界の技術革新に貢献していく。
1)新規鋳造技術・材料製造技術の開発
① 省エネ型高品質軽合金鋳造装置の開発研究
平成 21 年度に近畿経済産業局の戦略的基盤技術高度化支援事業に申請し、採択された「省エ
ネ型高品質軽合金鋳造装置の開発研究」は平成 23 年度までの 3 ヵ年の計画で、今年度は最終年
度となる。本開発は、従来のダイカスト法におけるガスや酸化皮膜の巻き込みによる欠陥、装置
コスト、使用エネルギー量等の問題解決を目指す。また、低圧鋳造法等の生産性の低さを解消し、
より優れた高品質鋳造品をより低コスト・低エネルギーで生産できる鋳造装置の開発を目的とし
て、当初目標を達成した。
(参画機関:(公財)新産業創造研究機構(事業管理機関)、太洋マシナリー(株)、アイ・イー・ソリュ
ーション(株) 、日本坩堝(株))
②
2軸電磁攪拌・半凝固法鋳造技術の開発
平成 22 年度の近畿経済産業局の戦略的基盤技術高度化支援事業に申請し、採択された「2磁
軸攪拌溶湯による砂型鋳物品の高強度化の研究開発」は、2 年目を実施した。本開発は、アルミ
等の結晶微細化、均一化の効果で鋳造品として高強度が得られるため、近年、戦略的基盤技術
高度化支援事業(サポイン)等の国の委託事業でも多く取り上げられてきている半凝固鋳造法に
関わるもので、電磁攪拌を従来の 2 次元から 3 次元に行えるように工夫された東北大学の保有技
術を基にしており、微細結晶の均一化に効果があると期待している。また、従来のアルミを初め
として、ジュラルミンにまで適用範囲を拡大できれば、構造部材への適用も可能となり大きなイ
ンパクトを与える。適用する材料の種類についても幅広く検討する。一次ターゲットとして、具
体的引き合いのあるロボット用のアーム部材のアルミ化、薄肉化を目指して、導入したシミュレ
ーションも駆使しながら、砂鋳型の形状・構造の改良を重ね実験的に実証した。
(参画機関:(公財)新産業創造研究機構(事業管理機関)
、(有)ティミス、(株)小林合金 、(国大)
東北大学)
③ 兵庫県立大学を中心として研究開発を進めてきている「波状ロール成形法によるマグネシウム
およびアルミニウム合金の組織制御」の技術を実用化展開すべく、この技術の狙いとする結晶粒
の微細化、集合組織のランダム化による成形性や強度向上の効果を実証し、また、工業的なプロ
セスへの展開を図るべく、大学内で研究開発を継続しているが、平成 24 年度から 3 年間の科学
研究費助成事業に採択され、これを活用して研究継続する。
7
④ (国大)神戸大学、兵庫県立大学との連携により、新規開発テーマの発掘を目指す。
平成 22 年度の産学インキュベート事業で実施した「UV-LIGA と泥しょう鋳込の融合技術による
SiC-MEMS 耐熱素子の開発」
(兵庫県立大学)を平成 23 年度兵庫県 COE プログラムに応募して、
採択されたので、(株)シルバーロイ(兵庫県)、(株)アート科学(茨城県)、兵庫県立大学の共同
開発を継続した。
平成 22 年度から継続実施中の兵庫県 COE プログラムの
「多次モード共振 MEMS
デバイスを用いた超薄膜の物性定量計測法の開発」(兵庫県立大学、神港精機(株))の事業化、あ
るいは国の競争的資金獲得のための支援を TLO ひょうごと協力して実施した。
2)材料加工技術の開発
① ガスタービンエンジンの難削材複雑形状部品の加工技術の高度化の研究
平成 22 年度の近畿経済産業局の戦略的基盤技術高度化支援事業に申請し、採択された「ガス
タービンエンジンの難削材複雑形状部品の加工技術の高度化の研究」は、平成 23 年度までの 2
ヵ年の計画で 2 年目の研究開発を行なった。航空機用ガスタービンおよび発電用ガスタービンの
タービンブレードは、重要部品であるために従来工法からの変更が難しくコスト低減が進みにく
い。また形状が 3 次元の複雑形状で難削材が使われており加工方法の変更はネックになっている。
本研究において、多刃カッターによる高能率加工方法やブレード翼面部の研磨加工の機械化を可
能とする重研削砥石等の開発と共に、ハイパー研削技術等を確立した。複合加工機で切削加工か
ら研削加工を行うことにより大幅な工期短縮と連続無人機械加工が可能となり、今後のタービン
ブレードの需要増大に対応できる。
(参画機関:(公財)新産業創造研究機構(事業管理機関)
、(株)ナサダ、(株)ニートレックス本社、
(国大)東京農工大学)
②
加工歪を生じない航空機タービンディスクのハイブリッド加工技術の開発
平成 22 年度の近畿経済産業局の戦略的基盤技術高度化支援事業に申請し、採択された「加工
歪を生じない航空機タービンディスクのハイブリッド加工技術の開発」は、平成 24 年度までの
3 ヵ年の計画で 2 年目の研究開発を行なった。本開発は航空機エンジン用タービンディスク等難
削材複雑形状薄肉部品の加工において、発生する歪等に対して要求品質の確保のため、多工程、
多機種、多段取り替え等課題があり、対応技術が確立されていない。本研究では、これらの課題
解決のため、ハイブリッド複合加工法等を開発し、1 機種で連続加工につなげ、精度、表面品質
を確保して、信頼性向上、コスト低減、増産化、国際競争力に対応したエンジン部品の新加工技
術の確立を目指す。
また、事業化のスピードを高めるために、平成 23 年度第三次補正予算戦略的基盤技術高度化
支援事業の前倒し事業に申請し、採択され平成 24 年 12 月を期限とする前倒し開発を実行してい
る。
(参画機関:(公財)新産業創造研究機構(事業管理機関)
、(株)ナサダ 、千代田金属工業(株)、
(国大)東京農工大学)
8
(3) 環境・資源エネルギー分野
地球規模での環境問題、特に温暖化問題が深刻化するにつれ、低炭素型社会への転換への取り組
みが本格化してきている。このような環境問題を克服するためには、技術開発のみならず社会制
度も含めた総合的施策による循環型社会構築が必要となっている。本分野では、循環型社会・低
炭素化社会構築に向けた取り組みとして、地域社会の環境問題解決と省エネルギー、省資源、ゼ
ロエミッション化、バイオマスの利活用に向けた技術開発等により、地域における社会制度作り
と産業技術の創造・活性化に貢献するための研究を行う。
平成 23 年度は、以下の課題に重点的に取り組んだ。
1)バイオマス(木質・食品廃棄物等)の再資源化技術の調査研究
① 有機廃棄物(特に食品廃棄物、剪定枝、下水汚泥等)の発酵乾燥品・炭化システムの事業化
平成 22 年度では、経済産業省の平成 20 年度「低炭素社会に向けた技術シーズ発掘・社会シ
ステム実証モデル事業(エネルギー自立型堆肥・炭化プロセスによる湿潤バイオマスの炭素固
定システムの実証)
」の補完研究として、発酵乾燥と炭化を組み合わせた複合システムの実用化
のための長期安定運転技術を確立し、平成 23 年度では(株)白滝有機産業による事業化に係わる
事業許可等、各種法的手続きを技術的な側面から支援した。また、原料組成変動等への対応技
術を確立し、安定した事業体制の確立を支援するとともに、開発した本システムの普及に向け
て、技術紹介等を行った。
③ 発酵乾燥・炭化物の高度利用技術の開発
湿潤バイオマスのエネルギー利用を促進するシステムとして、①で製造した炭化物の性状に
ついて原料組成変動の影響を明らかにした。 同炭化物の高度利用技術として脱灰による高カロ
リー化、リン成分の回収・高度利用技術を、兵庫県立大学、関西大学、兵庫県立工業技術セン
ター、兵庫県立農林水産技術総合センター等の協力を得て検討し、炭化物の用途開発を継続し
て実施した。
③ 鶏糞エネルギー利用システムの開発
鶏糞の再資源化に向けて、エネルギー利用システムと鶏糞焼却灰の有効利用を調査した。
④ バイオマス利用評価システムの開発
(国大)九州大学、(独)産業技術総合研究所バイオマス研究センター等によるバイオマス利活用
の促進のための地域調査を技術的な側面より支援した。また、引き続き兵庫県産木材供給セン
ターや宍粟市内の製材所で発生するバイオマス(木屑等)のエネルギー利用に向けた取り組み
を支援した。
⑤ バイオマス利活用の促進に寄与することを目指した兵庫県の取組に協力して、県下の企業の取
り組みを支援した。
2)革新的省エネルギー技術の調査研究
ひょうご神戸産学学官アライアンスのテーマ企画研究会で取り組んだ。界面活性剤を添加した
抵抗低減スラリー輸送技術を水和物スラリーに適用し、潜熱輸送スラリーによるビル空調、地
9
域冷暖房の革新的省エネルギー技術の開発を支援した((国大)神戸大学、神戸市立工業高等専門
学校、(株)ファンクショナルフルイッド、(株)ノーリツ)。
(4) ナノテクノロジー分野
原子・分子を操作する先端技術としてナノテクノロジーが脚光を浴び、21 世紀を代表する技術
として全世界で研究開発が行われており、広い分野での実用化が期待されている。本分野におい
て広く産官学連携を行いつつナノテクノロジーを活用した開発を進めてきたが、さらに県下の
電子機器・電子材料関連企業への技術開発支援を通じて、ナノテクノジーの実用化の検討を行う。
1)マイクロナノテクノロジー利用技術の調査研究
県下関連企業ニーズの積極的把握に努めて、ナノ加工プロセス、非鉛圧電材料、水銀フリー
深紫外発光材料などのナノ材料を適用した新技術の開発および実用化展開にターゲットを置い
て、新たな課題抽出と産学連携事業に取り組んだ。
① パワーデバイス用複合ウェーハの精密実装技術の開発
平成 22 年度の近畿経済産業局の戦略的基盤技術高度化支援事業に採択された「パワーデバイ
ス用複合ウェーハの精密実装技術の開発」は、平成 24 年度までの 3 ヵ年計画の 2 年目を実
施した。新材 料に よる各 種 パワ ーデ バ イス の開 発 が急 速に 進 展し てい る が、 パワ ー デバ
イス用基板は小型・歪・反りがあることから、シリコンデバイス用の高度な生産技術の
適用が困難である。本開発では、シリコンウェーハ上にパワーデバイス用ウェーハを
高精度に自動貼り合せ実装することで、研究・開発・量産を、同一装置で実施可能とし、
技術開発の迅速性・量産性・解像力の飛躍的向上を実現し、川下企業における量産実証
を行いつつある。本研究開発は戦略的基盤技術高度化支援事業の平成 23 年度第三次補正予算
の前倒し事業に採択され、約 1,000 万円の追加予算を受けて平成 24 年 12 月を期限とする前倒し
開発を実行している。
(参画機関:(公財)新産業創造研究機構(事業管理機関)、アユミ工業(株)、(独)産業技術総合研究所)
② 高性能ディスプレイ用有機半導体の超臨界下合成技術の開発
平成 23 年度の近畿経済産業局の戦略的基盤技術高度化支援事業に採択された「高性能ディス
プレイ用有機半導体の超臨界下合成技術の開発」は、平成 25 年度までの 3 ヵ年計画で初年度を
実施した。薄型軽量・フレキシブルで大画面なディスプレイとして電子ペーパーが期待され
ており、高精細・省電力等更なる高性能化が希求されている。このためには、画素駆動用半
導体デバイスを高機能化することが最重要である。本技術開発では、世界初の炭酸ガス超臨
界下で有機半導体材料の合成技術を確立し、高純度材料の生成を目指す。また超臨界処理で
接合界面を改質した高性能有機半導体デバイスを実現し、川下企業に応える。
(参画機関:(公財)新産業創造研究機構(事業管理機関)、神戸天然物化学(株)、(独)産業技術総合研
究所、兵庫県立工業技術センター)
10
③ 次世代アクチュエータのための非鉛圧電材料の開発」、
「社会インフラ用監視センサの開発」
平成 22 年度兵庫県産学インキュベート事業で取り組んだ「次世代アクチュエータのための
非鉛圧電材料の開発」
、「社会インフラ用監視センサの開発」については、実用化に向け、産学
連携による競争的資金事業への提案を目指し支援を続けている。
(5) バイオテクノロジー分野
バイオテクノロジーの分野は再生医療や創薬など高度先端技術分野と共に、兵庫県内の中小企
業では環境関連分野や食品加工分野、農林水産分野、機能性食品・化粧品分野などにバイオテク
ノロジーを活用し、産官学連携や産-産連携を行いそれぞれの技術を複合化することにより新規分
野への展開を図る企業が多い。とりわけ健康をキーワードとした食の安全性・機能性あるいは、
天然素材を活用した抗老化や抗炎症など機能を持つ化粧品が引き続き注目されている。
兵庫県には特徴ある農林水産資源が多く存在し、これらの資源と醸造・食品産業が保有している
バイオテクノロジーや大学のシーズを連携させることによって、時代のニーズにマッチした製品
開発や新規分野進出を支援する。
1)酒造用乳酸菌体抽出物による加齢肌防止用機能性化粧品素材の開発
現代社会では、若々しく健やかな生活を維持するため、女性を中心として老化防止(アンチ
エージング)への関心が非常に高まってきており、とりわけシミ・ソバカスの発生を抑制する
美白効果や皮膚加齢防止効果の高い化粧品に対する関心が高い。
最近の研究において、清酒製造における伝統的技術である「生もと」から分離した乳酸菌体の
アルコール抽出成分が、メラニン(シミ・ソバカスの原因となる色素)の生成に関与するチロ
シナーゼの働きを阻害するとともに、保湿効果やアンチエージング効果も併せ持つことが判明
した。そこで、加齢皮膚の予防やシミ・ソバカス等の予防を目的とした、安全で効果の高い新
たな美白剤の開発を行うため、
「生もとから分離した乳酸菌体抽出物を用いた機能性化粧品素材
の開発」が提起され、初期段階で支援を行った。
(参画機関:菊正宗酒造(株)、片倉チッカリン(株)、ヤヱガキ発酵技研(株)他)
2)生物多様性保全のためのシカ肉の食資源化と高機能化に関する技術開発
近年、野生のニホンジカの個体数が増加し農林業被害や植生破壊など生物の多様化維持に大
きな問題を引き起こしており、ニホンジカの捕獲の必要性が高まっているが、捕獲後の処理と
してシカ肉の食品としての消費が強く望まれている。シカ肉は牛肉や豚肉に比べ赤味の多い肉
で、鉄分やタンパク質などの栄養素を多く含み、脂肪分とコレステロール含量は低く、生活習
慣病予防およびアレルギー疾患予防の機能性食肉としての可能性が考えられる。
本研究では、第一に野生シカの肉質の変動性と変動要因解明を行い、天然シカ肉の特徴を把握
する。次にシカ肉の栄養性・機能性・嗜好性を向上するタンパク質に着目しプロテアーゼ活性
の高い麹を用いたシカ肉の熟成技術を確立し、機能性の評価を行う。麹菌が産生する酵素によ
りうま味や消化性、テクスチャーを向上させ、豊富なタンパク質をフル活用させることにより、
熟味シカ肉の製造方法を確立する。本研究開発は平成 22 年度兵庫県 COE に提案し採択され研
究を実施してきたが、平成 23 年度は農水省の競争的資金事業に提案すべく支援を行った。
11
(参画機関:兵庫県立大学環境人間学部、兵庫県立大学自然・環境科学研究所、
ヤヱガキ醗酵技研(株)、(株)丹波姫もみじ)
3)米由来の機能性調味料の開発
界面活性剤の大部分は、グリセリン脂肪酸エステルやショ糖脂肪酸エステルなどの合成添加
物が占めている。天然の添加物としては、大豆や卵黄から抽出されるレシチンが用いられてい
るが、レシチンは液の安定に好ましくない影響を与え風味も良くないため、使用には限界があ
るとされている。さらに、それらは酸性領域で乳化活性が低下するため、酸性の加工食品を効
率良く乳化させる機能としては不十分である。さらに大豆や卵黄は食物アレルゲンとして指摘
されている。
本研究開発においては抗アレルギー作用や抗酸化作用を持つとされる米糠由来の「こめ油」
などを「酒粕から抽出した界面活性剤」で乳化させて、米由来原料のみで、低アレルゲン、コ
レステロールゼロの機能性調味料(純植物性マヨネーズ風ドレッシング)を開発する。
本研究開発は、経済産業省の競争的資金事業に提案された。
(参画機関:関西大学、大阪市立大学、大関(株)、(株)カネカ)
4)褥瘡予防のための褥瘡発生予測診断装置の実用化研究
高齢化率の上昇とともに増加が懸念される褥瘡の未然防止が、医療現場や在宅介護の立場か
ら強く望まれている。
アソート株式会社は、(国大)大阪大学大学院医学研究科保健学専攻教室の研究をベースに、褥
瘡の発生危険度と発生要因との相関をデータベース化し、褥瘡発生要因その未然防止のために
発生予測診断装置の改良開発と実用化検証研究を行うこととし、経済産業省の「課題解決型医
療機器の開発・改良に向けた病院・企業間の連携支援事業」に応募提案を企画した。当機構は
その提案にあたり支援を行ったが、結果的に採択されなかった。
(参画機関:(公財)新産業創造研究機構(事業管理機関)、(国大)大阪大学、大阪大学附属病院、
アソート(株)、パラマウントベッド(株))
(6) 地場産業技術育成分野
地場産業である繊維産業において、特に低価格品については、中国等が安い人件費と品質向
上競争力アップが顕著である。また近年、ユニクロに代表される製造型小売業(SPA)を中心とし
た低価格品と、欧米の高級ブランドに代表される高級品が売れ筋となる二極化が進んでいると
言われている。また国内縫製業は、中国等人件費の安い国への流失で生産容量が減尐し、播州
織織物も中国縫製での日本持ち帰り輸出が近年増加傾向にあった。
しかし、中国の織物品質が向上し、「中国産織物による中国国内での縫製」が増加しており、
播州織産地の生産量は減尐している。またアパレルサイドからは、在庫リスクの回避や性急な
トレンド変化対応の為、短納期小ロット化が求められている。そのため、国産品への見直しが
されつつある。一方、ここ数年の展示会に播州織で織られていた変り織を参考出品するとアパ
レルサイドからのサンプル要求が非常に多く、高付加価値な新商品の開発への要求が強いため、
新技術を開発する。
12
1)刺繌織(スワイベル織)による無縫製織物ドレス実用化の研究開発
“衣料・生活資材に関する事項”の川下製造業者には、社会の多様化に呼応した高感性化の
ニーズがある。当該提案者は、伝統的な刺繌織(スワイベル織)の原理を利用して「世界初の
無縫製織物ドレス=オーダーメイド」の製造技術を開発したが、「筬等の損傷=高コスト化」、
「織段=縫製品位の下落」等の課題が残った。これらの課題を解決し、実用化を可能にする技
術を確立する。このテーマで、平成 22 年度の緊急経済対策による戦略的基盤技術高度化支援事
業の応募し、採択された。研究開発は本年度にまたがり、残された課題を解決し、刺繌織(ス
ワイベル織)による無縫製織物ドレスの実用化を図った。
(参画機関:(公財)新産業創造研究機構(事業管理機関)、(株)片山商店、播州織工業協同組合、
桑村繊維(株)、兵庫県立工業技術センター、(国大)神戸大学)
2)高生産性・短納期対応・廃棄物削減を目指した整経システムの開発
厳しい国際競争と熟練者不足の中で尐量多品種生産を志向する織物製造現場で、ネックとな
っている整経工程を改善するために、従来連動していない「整経準備工程と整経工程」との
連動システムを開発することを企画し、
「高生産性・短納期対応・廃棄物削減を目指した整経シ
ステムの開発」として、平成 21 年度に近畿経済局より戦略的基盤技術高度化支援事業の認定を
受けた。この認定事業のうち、
「整経工程を無人化運転可能とするシステム構築」の部分につい
て、平成 21 年度には補正予算事業で採択され開発を行った。
平成 22 年度に、認定事業の残りの部分である「整経準備工程におけるシステム開発」について、
別途、戦略的基盤技術高度化支援事業に採択された。平成 23 年度は、その第 2 年度目として
事業を継続した。前年に課題として残った糸繋ぎの確実性等の部分もクリアして、目標とした
開発を完了することができた。
(参画機関:(公財)新産業創造研究機構(事業管理機関)、(株)片山商店、(株)丸萬、
兵庫県立工業技術センター)
3)圧縮空気による糸繋ぎ技術を用いた新たな自動部分整経機の研究開発
前述のように、織物製造現場で厳しい産業状況のもとにあり、産地の活性化のためには従来
型の自動部分整経機を利用した自動化・前後工程との連動化開発と同時に、低価格・高生産性・
省スペース・熟練者を必要としない新たな自動部分整経機開発が期待される。それに応え、機
械価格 1/2、設置スペース 1/2、生産能力 2 倍を目標とし、圧縮空気による糸繋ぎ技術をベース
にして、シンプルな機構の新たな自動部分整経機および糸繋ぎステーションを用いた整経前工
程システムを開発することを計画し、地域イノベーション創出研究開発事業に、平成 22 年度に
2 か年事業として申請し採択された。平成 23 年度は、その第 2 年度目として研究開発を継続し
た。移動式の整経クリールを開発し糸繋ぎステーションと一体運用を可能とし、また整経機に
おいては、初年度のドラム部分に続いて巻取り部分を完成するなど、新機軸の部分整経機セッ
トを完成させた。
(参画機関:(公財)新産業創造研究機構(事業管理機関)、(株)片山商店、播州織工業協同組合、
兵庫県立工業技術センター)
13
2.2 技術シーズ育成事業
(県・市から委託された補助金・支援事業)
兵庫県は、次世代成長産業分野での事業化への期待が高い産学官連携の共同研究プロジェクト
を多く生み出すため、製品開発の市場性や事業可能性を検証するための予備調査に対して助成し、
産学官連携の共同プロジェクトの立ち上げを支援する技術シーズ育成事業を推進する。
また、神戸市は、ユネスコ認定の「デザイン都市」としての地域性発揮と並び、産業施策とし
ては「神戸 RT(ロボットテクノロジー)構想」、「神戸医療産業都市構想」を掲げ、特に RT 構想
においては、その具体化を当財団と協力し、推進している。
当財団は、これら兵庫県、神戸市の技術シーズ育成のための支援、補助金制度を活用し、大学、
公立研究機関等の保有する技術シーズを中小企業等の産業利用へ発展、応用するための技術開発
のコーディネートの役割を担っており、平成 23 年度もこれらの技術シーズ育成事業を推進した。
(1)技術シーズ育成
兵庫ものづくり支援センター・神戸、阪神、播磨に配置した研究コーディネーターを中心に、
各地域の特色を持った技術分野で産学官連携の技術シーズ育成を展開する。
各ブランチの研究コーディネーターは、NIRO の研究所や技術移転センター・ひょうご TLO お
よび技術アドバイザーと協力しつつ、企業や大学等の研究・技術シーズやアイデアを発掘する。 こ
れを産学官研究プロジェクトに育成すべく、技術ならびに市場性の調査、製品化・事業化の企画と
可能性検証を技術的に支援する。産学官連携の共同プロジェクトを立ち上げ、兵庫県 COE プログ
ラム推進事業や国の経済産業省・NEDO や他機関からの補助を獲得し、早期に製品化・事業化を目
指す。
以下に兵庫ものづくり支援センター・研究コーディネート部の活動結果を示す。
1) 兵庫ものづくり支援センター・神戸
兵庫県立工業技術センターと連携し、産学官連携による研究開発への支援や技術相談を行う
研究コーディネーターにより次世代成長産業育成に向けた中小企業の技術開発・製品開発を支
援した。
特に大きな成長が期待されるナノ、情報通信・エレクトロニクス、健康・医療、環境・エネル
ギー、ロボット(人工知能)の先端技術5分野を重点に、県内の次世代成長産業、ものづくり
産業育成のための先端技術開発及び研究活動を支援した。
① 産学官連携事業の推進
平成 22 年度戦略的基盤技術高度化支援事業「ガスタービンエンジンの難削材複雑形状部品
の加工技術の高度化の研究」
(平成 23 年度まで)及び「加工歪を生じない航空機タービンディ
スクのハイブリッド加工技術の開発」(平成 24 年度まで)について今年度も継続推進した。
② 産学インキュベート事業のフォロー
ⅰ) 平成 22 年度産学インキュベート事業のフォロー推進
平成 22 年度に実施した下記テーマをフォローし、競争的資金事業への展開を推進した。
・
「離型剤フリーを目指した金型表面への窒化ホウ素膜形成に関する調査・研究」
平成 23 年度兵庫県 COE プログラム推進事業(本格的研究開発移行枞)に採択(~平成 24 年)
。
14
・
「籾殻シリカを利用したシリカエアロゲルの製造に関する研究」
赤松工業㈱と皮革工業技術支援センターで共同研究実施し、事業化に向けて研究開発中。
・
「カーボン複合糸から作製したバネ材料の高性能化に関する調査研究」
平成 23 年度 JST 研究成果最適展開支援プログラム A-STEP(シーズ顕在化)(2 次)に採択。
ⅱ) 平成 23 年度産学連携技術シーズ育成
兵庫県の技術シーズ育成費用等を活用して、事業化への期待が高い産学官連携の共同研究
プロジェクトを多数産み出すため、先端技術分野における企業や大学等の研究・技術シーズ、
アイデアを発掘するとともに、産学官連携の共同プロジェクトの立ち上げを支援した。
2)兵庫ものづくり支援センター・阪神
(財)近畿高エネルギー加工技術研究所(AMPI)と連携のもと、次世代成長産業育成に向けて
中小企業を中心とした産学官連携による研究開発への支援を行った。
① 産学官連携事業の推進
産学官連携体制を強化して実用化に向けた事業へのステップアップを実施しており、以下
テーマを本年度も継続推進した。
・中小機構新連携事業「金型用高精度形状計測装置の開発」 (平成 21~23 年)
・戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン)
「パワーデバイス用複合ウェーハの精密実装技術の開発」(平成 22~24 年)
「電気自動車用リチウムイオン電池の量産化のための高速高精度リモートレーザ溶接シス
テムの開発」
(平成 22~24 年)
・JST 研究成果最適展開支援プログラム A-STEP(シーズ顕在化)「外部磁気ノイズの影響を
除去可能な高精度磁気式触覚センサの開発」
(平成 22~23 年)
また、本年度採択された以下の事業にも注力して推進した。
・戦略的基盤技術高度化支援事業「高性能ディスプレイ用有機半導体の超臨界下合成技術の
開発」
(平成 23~25 年)
・地域企業立地促進等事業費補助金事業(成長産業人材育成等支援)「太陽光発電関連産業
高度ものづくり技術者養成」(平成 23 年)
3)兵庫ものづくり支援センター・播磨
(公財)ひょうご科学技術協会と連携し、中小企業を中心とした産学連携による研究開発支援を
推進する。
① 産官学連携事業の推進
「硝酸態窒素:排水中 NO3 の Fe 触媒による除去技術」は、兵庫県立大学の技術をベースに平
成 22 年度に実用化が始まった。貴金属リサイクル協議会加盟団体等での事業化の動きもあっ
たが、産廃の引取り価格の大幅下降により現在ビジネスは停滞中である。また高濃度の廃液
処理に改善点も必要であることが判明し、平成 23 年度(公財)ひょうご科学技術協会の高度化
支援事業に採択され改良研究を推進するとともに実用化支援含め活動を推進した。
15
② 産学インキュベート事業のフォロー
ⅰ)平成 22 年度産学インキュベート事業のフォロー推進
平成 22 年度に実施した下記テーマをフォローし、競争的資金事業への展開を検討推進した。
・
「低コスト・高耐久性フッ素ナノコーティング技術の開発」
大手光学メーカのリクエストの部品で先方評価を実施。親水性技術は満足するには至らな
かったが、その原因を突き止めた。親水性膜技術の更なる改善と共に市場の類似技術の状
況調査も実施した。
・
「壁間保温材注入による耐震、省エネ住宅の研究」
既に技術を有する大手建材メーカがあり、必要に応じてコラボしていくこととなった。
・
「天然ナフトキノン誘導体のアレルギー性皮膚炎治療薬としての有用性検討」
→2.3(3)シコニン研究会 参照
・
「重篤疾患の病態解明・診断が可能なスクリーニングキットの開発」
JST 研究成果最適展開支援プログラム A-Step に採択され白血病の診断薬として研究を推進。
この診断薬をビジネス展開する企業として京都にあるS化成を紹介、さらに T 社との連携
により、研究進展中。
・
「多階層並列計算システムを用いた超並列計算技術の画像検査システム」
「複眼的画像収集ブロック」と「多階層計算機ブロック」の改善により、実用化を推進。
生産工程途上での材料表面に出来た微小な傷を高速で判断する装置を開発、実用化した。
ⅱ)平成 23 年度産学連携技術シーズ育成
兵庫県立大学に対して下記のような有力なテーマを発掘し、適切な連携企業のコーディネ
ート支援を行った。
・
「生体計測用の細胞レベル高分解能4次元断層顕微鏡」:メーカと共同研究を準備中。
・
「ドキュメントプロセッシング技術」
:メーカとの共研で特許を取得。次ステップへ展開中。
ⅲ)平成 23 年度企業ニーズの育成
・
「豆乳チーズの開発」
:平成 23 年度、JST 研究成果最適展開支援プログラム A-Step 探索タイ
プ「食品ハイドロコロイドのナノ構造制御による新規大豆食品の開発」を兵庫県立大学と
メーカとの間で共同研究を開始したが、それまでに積み重ねたノウハウで商品化。食の情
報誌「HARIMA」創刉号に掲載、神戸新聞(1/11 朝刉 18 面;ドリアに豆乳チーズを活用 →
アンテナショップ)
)にも取材掲載された。
(2)神戸市 RT 構想
1)「神戸 RT 事業開発補助事業」の運営
神戸市では、ロボット開発を通じた産学民官の連携によるものづくり技術の高度化と市内産
業の振興を図るため、
「神戸 RT 事業開発補助金」交付をおこなっている。この補助金の採択
業務、採択案件のフォロー、その成果発表などを神戸市と協力して支援していく。平成 23 年
度は、トイレ清掃ロボット・RT 映像処理機能を活用した営業支援システム uROB Vision・
「医療・製薬・ライフサイエンス分野」における RT を活用した製品開発の支援を行った。
16
2)「神戸ロボット工房」における活動
平成 22 年 11 月二葉小学校跡地(神戸市長田区)に開設した「神戸ロボット工房」において、
市内中小企業のロボット開発に向けた共同研究や共同開発、RT を活用した新しいビジネスの
創出等の支援を行う。平成 22 年度から始めたロボット適用技術保有者によるニーズ探索のた
めの中小企業訪問を引き続き行い、潜在的な RT 開発テーマおよび産業用ロボットの適用可能
性の探索に努めた。
また、平成 23 年度も産業用ロボット体験スクールを充実させることよりロボット導入の検討
機会の増大を目指した。産業用ロボットセミナーとして、2 月 13 日~14 日:3 名、3 月 19 日:
5 名を行った。また、11 月 27 日開催の産業用ロボット操作体験(ふたばまちの文化祭協力)
では、244 名の参加があった。
2.3 自主研究事業 (研究会等による調査・技術探索事業)
社会のニーズや技術動向ならびに国、地方自治体の重点分野の施策等を踏まえ、当財団では研
究会を自为研究事業として为催し、技術ニーズ・シーズの動向を調査し、研究開発の具体的案件
を孵化させるための活動を実施しており、今年度も更に自为研究事業を推進した。
(1) 神戸 RT 研究会
神戸 RT 研究会では、最新の RT 関連情報を地域の企業に発信するとともに、ロボット関連の
専門委員会および調査研究活動を通じて、産業用ロボット以外の分野として、介護福祉用ロボッ
ト、医療用ロボット、農林水産業ロボット、その他の生活支援ロボットおよび災害救助ロボット
等のロボット適用分野の中から介護支援ロボット、農業支援ロボット、医療用ロボットに的を絞
り、具体的な開発テーマの抽出をおこなった。その結果、農業分野では畦畔除草ロボットの開発
研究テーマが農林水産省の委託事業に採択され、5 年のプロジェクトがスタートした。平成 23
年度は、畦畔除草ロボットの開発研究を継続するとともに、介護分野での支援ロボットについて
も開発テーマを探索すべく、介護支援ロボット開発研究会を 4 月 25 日、7 月 21 日、2 月 8 日の
3 回開催したが、新たな研究開発に結びつけられなかった。
RT 情報発信のRT研究会は、以下のように 5 回開催した。
・6 月 14 日;
「画像処理技術とその応用について」神戸大学 深尾隆則准教授:参加者 33 名
・9 月 22 日;
「ロボットという商品の特徴とコミュニティで創り育てる実用ロボット」
(国大)東京大学 佐藤知正教授:参加者 45 名
・11 月 17 日;
「サービスロボットの安全性に関するセミナー」(国大)長岡技術科学大学 木村哲
也准教授、(独)労働安全衛生総合研究所 池田博康上席研究員、日本認証(株) 丹羽邦
幸プロジェクトエンジニア、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 貞本敦
史为査、(国大)名古屋大学 山田陽滋教授、パナソニック(株) 岡本球夫リーダー、旭
光電機(株) 和田貴志取締役技術部長:参加者 74 名
17
・3 月 7 日「人の手によるぬくもり豊かな作業を支える軽労化技術」(国大)北海道大学 田中孝之
准教授、
「農業用アシストスーツの開発」(国大)和歌山大学 八木栄一教授
:参加者 39 名
・3 月 21 日「ポストものづくりのビジネス・イノベーション」(国大)神戸大学 伊藤宗彦教授、
「食料生産に関わる自動化、ロボット化、情報化」(国大)京都大学 近藤直教授
:参加者 36 名
(2)先端マグネシウム合金研究会
比重はアルミニウムの 3 分の 2、鋼の 4 分の 1 と実用金属中最軽量といわれる「マグネシウム」
は、この数年、自動車や携帯用端末の構造材として急激に需要が伸びている。マグネシウムの用
途は、ノート型パソコンの筐体、カメラ、携帯電話などがよく知られている。また、実用金属中
最大の振動吸収性(減衰能)を有しており、自動車用ホイール、ステアリングカラム、シートフ
レーム、更に新幹線車両への採用なども注目されている。このようなマグネシウムの持つ潜在能
力に着目し、国内の各地域で9つの研究会活動が行われてきている。兵庫県立大を中心として開
催してきた「先端 Mg 合金研究会」は、国内のこれら地域の研究会活動の中では一番古く歴史が
ある。しかしながら、県内・近畿地区の企業のマグネシウム事業からの撤退など、活動環境は必
ずしも追い風ではない。そこで、用途ならびに需要の拡大が予想されるマグネシウム合金の技術
動向を把握するとともに、新しい開発テーマを選定すべく、大阪府立大学が NEDO プロジェク
トで実施した、第一原理計算という理論を基盤として中小企業が実施の事業化展開までを総括し
た成功事例、埼玉県の地域で(国大)東北大学の技術をコアにして企業連携を活発に行っている事
例などを講演してもらった。引続き活動の活性化に貢献することを目指している。
(3)シコニン研究会
アレルギー皮膚炎に苦しむ方々は日本中に数十万人と言われ、ステロイド使用による拗れた症
状から抜け出せない状況で一生を棒に振る方も相当数存在する。このように悩まされ続けている
アレルギーの方々に光明をもたらせたいとの想いで平成 22 年度産学インキュベート「天然ナフト
キノン誘導体のアレルギー性皮膚炎治療薬としての有用性の検討」
(リーダー:姫路獨協大学)に
て可能性を探索した。その結果の進展が見られ、関係者で新たなステップへ進むことになり、本
研究会を平成 22 年 10 月に発足した。
平成 23 年度には天然ナフトキンの誘導体の一つであるシコニンをアレルギー性皮膚炎むけの
軟膏(雑品扱い)として使い、最終目的は人間薬を、また、その前に動物薬としての認定を目指
している。動物モデルにおける有効性は獣医師がこの軟膏を犬に湿布、その有効性を確認実証済
みであった。先ずは化粧品、ハンドクリームとして販売するためにベンチャー企業を平成 23 年 7
月に神戸に設立し、平成 24 年 2 月から販売を開始。これに先がけて神戸にある日本ケミカル組合
に 500 本を寄贈し、ビジネス展開を開始した。今後も技術課題を整理し、研究会を推進する。
18
Ⅰ-3 特許流通等による技術移転事業(定款;第 4 条第 2 号)
1.基本方針
(1)事業の目的:
技術移転の目的は、新しい技術を企業が事業化することによる新事業の創造である。従って
あくまで『企業の事業化まで』を見据えた活動とする。
(2)人材の機動的活用:
技術移転センター、TLOひょうごに所属する職員、技術アドバイザーをタイムリーに機動
的に部門内で活用する。また財団内の他部門の人材も必要に応じて協力依頼する。
(3)情報の共有化:
部門内全職員による定期的なミーティングで、シーズ情報、ニーズ情報、企業・人材ネット
ワーク情報等を絶えず共有化し、技術移転活動に生かす。
(4)技術移転活動期間の設定:
技術は絶えず進歩するため、対象とするシーズの技術移転活動はその技術が陳腐化するまで
に実施する必要がある。その判断を徹底させ、技術移転の可能性が薄れた案件に対しては活
動を停止するとともに、保有する対象特許の棚卸を行う。
2.事業活動
2.1 特許流通による民間の技術移転事業 ・・・ 担当部門:技術移転センター
本事業は、民間企業、大学、公的機関及び個人が所有する知的財産を、それを必要とする企業に
技術移転すること等を目的として、以下を実施した。
(1)兵庫県知財総合支援窓口(特許等取得活用支援)事業
(新規事業)
本事業は、地域の中小企業等が企業経営の中でノウハウも含めた知的財産活動を円滑にできる体
制を整備し、アイデア段階から事業展開までの一貫した支援を行うとともに、知的財産活用してい
ない中小企業等の知的財産マインドの発掘を行うものである。そのための窓口を設置し、専門の人
材を配置することとし、中小企業等が抱える知的財産権に関する悩みや課題をワンストップで解決
できる支援を行うことによって、より多くの中小企業等の知的財産活用・事業化推進につなげ、地
域の活性化を図ることを目的として実施した。具体的には以下の事業を実施した。
なお、以下の事業は(一社)兵庫県発明協会とコンソーシアムを組んで近畿経済産業局の特許等取得
活用支援事業(兵庫県)に応募・採択され、実施した。
① 中小企業等の課題等を一元的に受け付ける窓口を開設した。
② 中小企業等の知的財産に関する課題等を踏まえて、当該窓口に課題等をその場で受け付け解決
を図る窓口担当者を配置して、アイデア段階から事業展開、海外展開までの課題等に対するワ
ンストップサービスを提供した。なお,当部門と(一社)兵庫県発明協会との概略役割分担は,
前者が为として『特許等の活用』,後者が为として『特許等の取得』に重きを置いた活動とし,
相互に協力する体制とした。
③ 上記②の中で、専門性が高く窓口担当者による解決が困難な課題等に対しては、知財等の専門
19
家を活用して窓口支援担当者と共同で解決を図った。
④ 課題に対して解決できる支援を効率的・網羅的に行うため、関係する支援機関やその機関の専
門家等との連携を十分に図った。
⑤ 知的財産を有効に活用できていない(もしくは活用が不十分な)中小企業等の発掘を行い、知的
財産の活用促進を図った。
⑥ 上記のほか、本事業に必要な下記の業務を実施した。
ⅰ)連携する支援機関と適宜情報共有のための連携会議開催
ⅱ)事業の周知・広報活動
ⅲ)支援後のフォローアップ
(2)その他の技術移転、知財支援事業
① 为として、兵庫県及び神戸市の企業を対象に「兵庫県知財総合支援窓口事業」の対象になら
ない技術移転支援及び知財支援(特許相談、特許出願支援、特許戦略策定支援等)を実施し
た。
具体的には、以下の案件について NIRO 技術アドバイザーを活用して本事業を推進した。
・土砂分級技術、装置の開発
・二次電池の休息充電技術
・潜熱蓄熱カプセル・潜熱蓄熱空調システムの実用化
・木材薄皮を利用する複合材料の普及、実用化
・イオン測定器の開発
・栗渋皮を用いた加工食品の製造方法
・オゾン水発生装置の開発
・毛髪中の金属濃度成分測定による体調の検査方法
・レンコンアイスクリームの製造技術
・大気中ホルムアルデヒド濃度測定器の開発
・持ち歩き型ハンディータイプ太陽光発電装置の開発
・低在波レーダーによる距離測定技術 等
について昨年度に引き続き支援を実施した。
また、新規案件として以下の支援を行った。
・半径流蒸気タービンの実用化
・循環型簡易トイレの実用化
・ネットワーク型蛍光灯 LED 照明システムの実用化
・豆乳加工食品の開発・事業化支援
④ 医療機器、医学・医療分野に関しては、神戸市および(社)神戸市機械金属工業会等と連携し
て企業訪問を実施し、各企業が抱えている経営課題等を把握すると共に、シーズ及びニーズ
の発掘を行った。今後は、支援案件ごとに必要な支援を行っていく。
20
(3)中小企業等の研究開発・事業化支援事業
上記(1)
、
(2)で実施した支援案件の内、更に企業からの要請により技術開発支援・事業化
支援を有償にて実施した。これにより、企画立案から事業化までの一連の支援をワンストップで支
援できることになる。この支援活動は、研究所、兵庫ものづくり支援センターを含めた NIRO 共同
事業と位置付けて実施した。
なお、企業の技術開発・事業化支援活動で成果として得た知的財産を NIRO にて特許等に出願す
る場合、ライセンス料(NIRO 単独出願の場合はライセンス料、NIRO との共同出願の場合は不実
施補償料)等を技術移転先企業に負担いただくことも考慮して実施した。
(4)他支援機関との連携
上記の事業を通じて中小企業の新産業創造支援を効率的に行うために、他機関及び NIRO 他部門
と連携して活動した。
① 兵庫県知財総合支援窓口事業において(一社)兵庫県発明協会とコンソーシアムを組み、連携し
て本事業に取り組んだ。
② (公財)ひょうご産業活性化センターを中核とする「中小企業支援ネットひょうご」に参画し、
神戸商工会議所、(公社)兵庫工業会、(公財)神戸市産業振興財団他の支援機関との連携を行っ
た。
③ 兵庫県立工業技術センター、(財)近畿高エネルギー加工技術研究所、(公財)ひょうご科学技術
協会、およびその他研究機関の技術移転・技術相談等に協力した。
④ NIRO 内組織である兵庫ものづくり支援センター、研究所およびTLOひょうごと有機的に連
携し、県下企業への支援を効率的に行った。
2.2 大学の研究成果の特許流通等による技術移転事業 ・・・ 担当部門:TLOひょうご
本事業は、大学、高専(以下、
『大学等』と称す)が所有する知的財産(含、TLOひょうご出願の
知的財産)を、それを必要とする企業に技術移転すること等を目的として、以下を実施した。
なお、TLO事業の適正化を計るため、運営協議会を設けている。具体的には関連する大学等の
知的財産関連部門長及び学部長を委員として1回開催し、TLOひょうごの活動方針、実績等を示
して事業活動が適正に実行されていることの評価を得た。(平成 23 年 12 月 8 日実施)
(1)技術移転事業
下記の大学等との個別『技術移転契約』に基づいて技術移転活動を行った。
(国大)神戸大学連携創造本部、 (国大)大阪大学知的財産本部、(国大)京都工芸繊維大学、
(国大)東京工業大学、神戸学院大学および兵庫医科大学の 6 大学に加え、下記大学等を追加。
近畿大学、関西学院大学、(国大)九州工業大学、明石高等工業専門学校、兵庫県立工業技術
センター。
更に、東北テクノアーチ(株)との業務提携契約により(国大)東北大学の技術移転活動も行う
ことになった。
21
(2)大学等の知的財産等に関する相談・評価及び創生支援事業
本事業はそれぞれの大学の事情(知財部門の有無、知財部門の組織、コーディネーター人員規
模、知財の量等)に基づき、大学の業務を補完・支援するものである。本事業は大学との個別契
約により実施した。
平成 22 年度は、(国大)神戸大学とアーリーステージ活動(知財出願前の開発案件の発掘・相談)
として実施し、平成 23 年度も継続実施した。
また、神戸学院大学、神戸市立高等専門学校と本事業の趣旨に沿った新たな契約を締結し
て活動を実施した。
更に兵庫県立大学、関西学院大学、明石高等専門学校との新たな契約を目指して交渉中で
ある。
一方、近畿大学、(公大)大阪市立大学、大阪医科大学等これまで大阪TLO(平成 22 年度末に
事業清算)と連携してきた大学ともそれぞれの大学の事情に沿ってTLOひょうごと新たな契約
締結を目指している。
① 総括的支援
大学等との個別『総括的支援契約』に基づき、シーズとなりえる研究の初期段階から技術移
転に至るまで、継続的な支援を行うものである。具体的には出口戦略に基づき、競争的資金の
獲得支援、企業との共同研究支援、特許出願支援、ライセンス契約支援等を行う。
業務は、NIRO 他部門との連携を強化して実施する。
② 発明相談、発明評価等の個別支援
大学等との個別『業務委託契約』に基づき、発明発掘、発明評価等の業務を行うものである。
③ 共同研究支援
大学等のシーズを更に実用化、事業化のために企業との共同研究が必要となった場合、対象
企業の選定、共同研究契約、共同研究管理等の支援を行うものである。
本支援業務は、
『大学と企業とTLOひょうご』による契約、または『大学とTLOひょうご』
及び『企業とTLOひょうご』による契約に基づいて実施する。
④ 個別プロジェクト支援
大学の個別プロジェクト事業からの「業務委託契約」に基づき、プロジェクトの管理業務、
知財戦略支援、市場調査等の支援を実施するものである。
(3)その他
① 日本ベンチャーキャピタル(株)「ひょうご新産業創造ファンド」技術評価委員会支援
② (国大)神戸大学 医学部「技術相談」支援
③ 兵庫県 COE プログラム推進事業
④ (独)科学技術振興機構 JST「知財活用促進ハイウェイ(大学特許価値向上支援)事業」
⑤ NIRO 及びTLOひょうご出願特許管理業務
⑥ TLOひょうご出願特許の棚卸及び NIRO 他部門出願特許の棚卸支援
⑦ TLOひょうご運営協議会、NIRO 発明委員会等の運営
22
Ⅰ-4 中小企業、起業家等に対する研修・技術支援事業(定款;第 4 条第 3 号)
1.基本方針
これまで、各部が兵庫県あるいは神戸市と協議しながら、前年度の事業を踏襲する形で事業計画
を策定し、研修・技術支援事業を行ってきた。今年度から技術支援部門が組織されるのを機に、
経済情勢と地元企業のニーズを反映する形で技術支援部門として事業計画を策定する。
2.事業活動
中小企業および起業家の技術力向上を目指し、技術相談や設置機器の開放・技術指導を実施した。
2.1 機器開放事業 ・・・ 担当:兵庫ものづくり支援センター・ものづくり試作開発支援センター
兵庫県・神戸市の事業を一体運営し、効率化と活用の推進を図る。利用者満足度の向上に努め、
可能な対策を講じた。
(1)「兵庫ものづくり支援センター 神戸・阪神・播磨」
・ 保有する機器を中小企業者等に開放し、機器使用を補助した (技術コーディネーター)。
・ 使用機器の保守を行うとともに、企業に積極的に働きかけ、機器活用に係る指導・相談等を
行った。
機器利用件数:1,188 件(3 ブランチの合計)
(2)「ものづくり試作開発支援センター」
・ 保有する CAD、CAE、CAM、形状計測、樹脂造形等の機器を中小企業者等に開放し、機器使用を
補助した。
・ 使用機器の保守を行うとともに、利用者に対する教育・指導などを行った(CAD 指導員)。
機器利用件数:453 件
2.2 研修・技術相談事業 ・・・ 担当:兵庫ものづくり支援センター・ものづくり試作開発支援
センター・支援企画部
兵庫ものづくり支援センター、ものづくり試作開発支援センター、神戸ロボット工房で研修・
技術相談事業を実施した。地元企業を訪問し、ニーズに応える出前技術相談事業を積極的に展開し
た。
(1)「兵庫ものづくり支援センター 神戸・阪神・播磨」
神戸・阪神・播磨地区の全県的に展開した特性を生かし、地域の企業に積極的に働きかけ、技術
相談などを通して、技術力の向上を支援した。
技術指導件数:1,664 件(3 ブランチの合計)
(2)「ものづくり試作開発支援センター」
ものづくり試作開発支援センターは神戸リエゾンラボ事業に位置付けられており、神戸市と
(公財)神戸市産業振興財団と役割を分担し、兵庫県立工業技術センター、神戸芸術工科大学及び
23
神戸市立高等専門学校等の協力を得て、企業ニーズを反映した研修会・セミナーを連携して開催
した。
・ 「CAD セミナー」
・
「5 軸加工+CAM セミナー」など開放機器に関連する研修
・ 工業デザイン相談(神戸芸術工科大学・兵庫県立工業技術センターと連携)の開催
・ 共同受注・共同開発支援(NIRO 技術アドバイザーが支援する運河プロジェクト:UP 会等)
・ 製造現場に出向き技術的なアドバイスを行う「ものづくり出前技術相談」
・ 社内の技術・技能伝承教育の充実を図るため「ものづくり技能・技術伝承セミナー」
技術相談件数:789 件
(3)「神戸ロボット工房」
新長田の地域人材支援センターに展開した神戸ロボット工房の神戸ロボット研究所中小企業
相談室で、神戸 RT 構想の実現に向けた企業向けのセミナー等を開催した。
・ 産業ロボット体験スクール
・ ロボット技術相談
(4)「支援企画部」
時代の趨勢・技術や市場動向および企業ニーズを反映したテーマ、あるいは国・地方自治体の
施策にマッチした先端技術セミナー等を他の支援機関と連携して開催した。
・ 国際先端技術セミナー(英国溶接研究所(TWI)セミナー)(9 月 21 日、12 月 1 日開催)
2.3 他支援機関・大学等との連携・支援
当財団の研究開発部門、技術移転部門および研修・技術支援部門において、それぞれの立場から
他支援機関あるいは大学等と連携した活動を行っているが、これら情報を財団内部で共有し、効率
的な連携活動を目指した。
(1) ひょうご産学官連携コーディネーター協議会
・ ひょうご産学官連携コンソーシアムを発展的に解消した産学官連携コーディネーター協議会
を円滑に立ち上げ、企画・運営した。
・ コーディネーターのスキルアップ(人材育成)と情報ネットワーク構築を目指した情報交換会、
研修会を開催した。
・ 企業の求める研究者・大学等にスムーズに橋渡しをするワンストップ窓口機能の構築を目指し
た。
・ 兵庫ものづくり産業集積交流支援事業等に参画し、企業間連携・産学連携による技術開発・
事業化を支援に努めた。
24
(2) 技術獲得・事業化に重点を置いた地元企業支援を他の支援機関との連携
兵庫県・神戸市並びに他の支援機関が取組む下記の事業を連携して取組み、企業の産学連携・
産-産連携による技術獲得、事業化を支援した。
・ (公社)兵庫工業会が県の委託で実施する「ものづくり産業集積交流支援事業」
・ (公財)ひょうご産業活性化センターを核に取組む「中小企業支援ネットひょうご」
・ 神戸市が取組む「神戸リエゾンネットワーク(産学官民連携推進会議) 」
・ (公財)神戸市産業振興財団の神戸産学官交流会
・ (社)神戸市機械金属工業会の「医療機器開発研究会」
・ (財)計算科学振興財団および(独)理化学研究所計算科学研究機構が取組むスパコンの産業利用
に係る活動
・ 兵庫県立工業技術センターが为宰する「ひょうご技術開発支援連絡会議」
(3) 大学等との産学連携
大学等との連携関係を強化し、支援体制を整備するとともに、大学等が保有するシーズを探索・
育成に努めた。
・ (国大)神戸大学 連携創造本部 ・・・ アーリーステージ活動
・ 兵庫県立大学 産学連携機構
・・・ 連携コーディネーター称号と学内活動の活性化、契約に
基づくライセンシング活動
・ 神戸市立高等専門学校 地域協働研究センター ・・・ 研究開発資金獲得や地元企業との連携
(4) 金融機関との連携
地元企業の経営実態とニーズを把握する金融機関との連携を強化し、地元企業のニーズである
技術相談・施策情報提供、補助金申請補助等の対応に努めた。
(5)
「国際フロンティア産業メッセ2011」の開催
中小企業・起業家の保有技術・製品の公開、広報業務を支援するため「国際フロンティア産業
メッセ2011」実行委員会の事務局としてメッセの企画・運営を行った。
開催日時:平成 23 年 9 月 21 日(水)・22 日(木)
開催場所:神戸国際展示場 2 号館
構成機関:兵庫県、神戸市、(公財)新産業創造研究機構、神戸商工会議所、(公社)兵庫工業会、
(公財)ひょうご産業活性化センター、(公財)ひょうご科学技術協会、
(公財)兵庫県国際交流協会、(財)神戸国際観光コンベンション協会、
(公財)神戸市産業振興財団、(財)ひょうご環境創造協会、ひょうごエコタウン推進会議
出店規模:239 社・団体、271 小間(同時開催事業含む)
来場者数:17,253 名
25
Ⅰ-5 その他この法人の目的を達成するために必要な事業(定款;第 4 条第4号)
1.基本方針
震災からの産業復興を目指して設立された当財団も、震災後 15 年を経て使命と果たすべき役割を
見直す時期となり、公益財団法人への移行を機に、財団の経営理念を明確にし、再スタートを切って
いる。しかしながら、経済情勢は厳しく、近年の産業・市場のグローバル化と国内経済の停滞に円高
が加わり、生産拠点の海外流出・国内ものづくりの空洞化が進んでおり、支援対象である中小企業の
技術力の強化とビジネスモデルの刷新が急務となっている。
事務局部門では 1) 円滑な法人運営と、他の支援機関および大学・金融機関の連携を深め、効率的
に中小企業支援を行うとともに、2) インターネットを活用した情報発信や印刷物による広報活動を
行う。これらにより企業の啓発と当財団を利用する企業の発掘を行うとともに賛助企業を募り、企業
ニーズに応える、頼りにされる財団作りを目指すことを基本方針とした。
2.事業活動
2.1 法人運営に係る活動
財団の経営理念に掲げる技術開発、技術移転および研修・技術支援の事業を通して、広く地域の
産業振興による活性化を実現すべく、各事業部門の活動を下支えする企画・総務・経理・人事業務を
遂行した。本年度は 4 月より公益財団法人に移行し、執行体制も変わるため、規程類と実施体制の
整備を含め円滑な移行に留意した。
(1) 公益財団法人への移行に伴う規程ならびに体制整備
公益財団法人への移行を機にコンプライアンス規程や利益相反マネージメントポリシー、競争的
資金等取扱規程、内部監査実施要領等を整備するとともに、事業毎に部門を設置して責任者を明確
にした。コンプライアンス委員会や不正防止計画委員会、内部監査委員会などを設置し、体制を整
備した。
(2)公益財団法人移行に伴う会計処理の変更および経理業務
公益財団法人への移行後は事業区分毎の損益を明確にする必要があり、共通費の各事業への配賦
基準を定めた。また、公益財団法人への移行を機に新-新会計基準(平成 20 年基準)を採用し、会計
規程を見直すとともに、これに準拠した会計ソフトに移行し、適正に会計処理を行うとともに、内
閣府および兵庫県公益法人室への報告作業を円滑に進めた。
(3)賛助会員の満足度向上
NIRO は地域企業の技術的側面での支援活動を展開しており、その趣旨に賛同いただける企業に
賛助会員となっていただき、その会費で活動している。その意味で NIRO 活動の原点がこれら企業
のニーズであり、NIRO の評価である。各事業部門の協力を得て、賛助企業を訪問し、企業が抱え
るニーズ把握に努めており、必要に応じて NIRO 活動の見直しあるいは重点のシフトを検討する
計画である。
26
2.2 広報活動
財団の諸活動を広く公知し、地元企業等が NIRO を活用しやすい環境を整備するとともに信頼を
獲得し、賛助企業として支援いただくことを目指した。本年度は 4 月の公益財団法人への移行と
執行体制の交代に対応した広報に留意し、以下の活動を行った。
・ カタログ類の更新(公益財団法人移行時)
・ NIRO News の定期発刉(Vol.22、Vol.23)
・ ホームページの定期更新
・ メルマガの定期発信(毎月 15 日、月末)と送付先開拓
・ 事業報告会の開催(7 月 29 日開催、112 名参加)と平成 22 年度 事業報告書の発行
・ 国際先端技術セミナー等の開催 (9 月 21 日、12 月 1 日)
・ 各種展示会での NIRO の広報・展示
・・・ 市中小企業加工技術展示商談会、神戸ロボット工房等
27
Ⅰ-6 法人の概況
1. 法人の概況
(1) 役員等に関する事項
(評議員 9 名)
① 評 議 員 名 簿
氏
名
あおき
ひで あ き
所 属 ・ 役 職
青木 秀彰
おおた
太田
おおで
大出
こでら
小寺
しげた
繁田
(平成 23 年 4 月 25 日登記、五十音順、敬称略)
(公財)ひょうご科学技術協会 専務理事
備考
4/21 選任
いさお
勲
兵庫県立大学 副学長・産学連携機構長
つとむ
勉
三菱電機株式会社 関西支社 兵庫支店長
たかし
隆
神戸商工会議所 常務理事 事務局長
あきら
彰
関西電力株式会社 神戸支店副支店長
たどころ はじめ
田所
創
兵庫県 産業労働部長
たにぐち ときひろ
谷口 時寛
やまだ
山田
神戸市 産業振興局長
たけし
猛
(財)近畿高エネルギー加工技術研究所 専務理事
わだ なおや
和田 直哉
近畿工業株式会社 代表取締役社長
② 役 員 名 簿
氏
理 事 長
専務理事
理
理
理
理
理
理
事
事
事
事
事
事
(理事 9 名、監事 2 名)
名
おおはし ただはる
大橋 忠晴
きのうち
そうすけ
木野内 総介
かわしも
やす し
きたの
のぶお
きたむら
しんぞう
川下 安 司
北野 信雄
北村 新三
くればやし
よういち
榑林 陽一
たかはし
としき
はなおか
まさひろ
高橋 敏樹
花岡 正浩
ふじもと
事
藤本 義兼
監
事
桑原 克 介
事
所 属 ・ 役 職
備 考
川崎重工業株式会社 会長
(代表理事)
川崎重工業株式会社 嘱託
(業務執行理事)
神港精機株式会社 相談役
(公財)ひょうご産業活性化センター 常務理事
兵庫県立工業技術センター 所長
神戸大学 連携創造本部 副本部長
(公社)兵庫工業会 専務理事
株式会社神戸製鋼所 常務執行役員
よしかね
理
監
(平成 23 年 4 月 25 日登記、五十音順、敬称略)
くわはら
かつすけ
さだ くに
なおみち
貞國 直道
(公財)神戸市産業振興財団 専務理事
株式会社三井住友銀行 公務法人第二営業部長
(公財)新産業創造研究機構
28
4/14 選任
③ 顧 問 名 簿
氏
い
ど
名
兵庫県 知事
神戸市長
のぶ あ き
熊谷 信昭
よしかわ
備 考
たつろう
矢田 立郎
くまがい
所 属 ・ 役 職
としぞう
井戸 敏三
や だ
(顧問 4 名)
兵庫県 参与
ひろゆき
吉川 弘之
(独)科学技術振興機構 研究開発戦略センター長
④ アドバイザリー会議構成員 (構成員 16 名:H23.4.8 第 1 回理事会にて選出) (所属五十音順、敬称略)
氏
名
山田 好秋
南
努
所属・役職
大阪府立産業技術総合研究所 所長
独立行政法人 産業技術総合研究所 関西センター所長
野村 育世
新日本製鐡株式会社 広畑製鐡所生産技術部 部長
田中 厚世
住友金属工業株式会社 大阪総務室 担当課長
山田 拓士
住友ゴム工業株式会社 研究開発本部 研究企画部 部長
東
陽一
住友電気工業株式会社 NEXT センター 为席
株式会社 竹中工務店 神戸支店 営業担当部長
竹田 守
公益財団法人 地球環境産業技術研究機構 副所長
石井 宏
西日本電信電話株式会社 法人営業部 担当課長
津田 高宏
西日本旅客鉄道株式会社 鉄道本部 技術部 担当課長
守上 精一
日本電気株式会社 神戸支社長
西川 雅弘
富士通株式会社 神戸支社長
乾
健治
小笠原 貴生
前川 真一
株式会社三菱東京 UFJ 銀行大阪公務部公務第二課 部長代理
株式会社 みなと銀行 法人業務部 部長
株式会社りそな銀行 ひょうご地域リージョナルオフィサー
オブザーバー
氏
名
幸田 徹
山本 琢也
考
株式会社 IHI 相生事業所 総務部長
田口 隆久
大久保 総一郎
備
(敬称略)
所属・役職
兵庫県 産業労働部 産業振興局 新産業情報課長
神戸市 産業振興局 工業課長
29
備
考
(2) 賛助会員の状況
賛助会員一覧表 (平成24年3月末日現在)
会 社 名
会 社 名
会 社 名
1 アイ・イー・ソリューション㈱
51 ㈱高東電子
101 パナソニック㈱
2 ㈱IHI
52 神戸アドテック㈱
102 ㈱ハマダ
3 ㈱アイティーティー
53 ㈱神戸工業試験場
103 ハマックス㈱
4 ㈱アイデン
54 神戸商工会議所
104 阪神内燃機工業㈱
5 葵鋼業㈱
55 ㈱神戸製鋼所
105 ビー・エル・オートテック㈱
6 アクティブリンク㈱
56 ㈱神戸ポートピアホテル
106 PCテクノロジー㈱
7 アクロナイネン㈱
57 ㈱国土開発センター
107 東向鉄工㈱
8 ㈱アコオ機工
58 ㈱小林合金
108 ㈱姫科エンジニアリング
9 ㈱アシックス
59 ㈱コベルコ科研
109 姫路信用金庫
10 アユミ工業㈱
60 サイエンティフィックテクノロジース㈲
110 兵庫県中小企業家同友会
11 ㈱新井組
61 坂井化学工業㈱
111 (社)兵庫工業会
12 ㈱いけうち
62 ㈱システムワット
112 フコクインダストリー㈱
13 池端商事㈲
63 シバタ工業㈱
113 富士通㈱
14 ㈱稲坂歯車製作所
15 ㈱イナハラ
64 ㈱白滝有機産業
65 ㈱シンクチューブ
114 ㈱藤橋商店
115 ㈱寳角ギヤー
16 イマグノーシス㈱
66 神港精機㈱
116 北斗電子工業㈱
17 岩機ダイカスト工業㈱
67 神鋼リサーチ㈱
117 ポニー工業㈱
18 ㈱ヴィッツ 大阪事業所
68 新コスモス電機㈱
118 マイクロストーン㈱
19 エア・ウォーター防災㈱
20 エイチビィアイ㈱
69 新日本製鐵㈱
70 ㈱シンリョー
119 マロール㈱
120 ㈱三井住友銀行
21 オークラ輸送機㈱
22 大関化学工業㈱
71 スマートティプス㈱
72 住友金属工業㈱
121 三菱重工業㈱
122 三菱電機㈱
23 ㈱大塚商会
24 快足館
73 住友ゴム工業㈱
74 住友精化㈱
123 三菱電機コントロールソフトウェア㈱
124 ㈱三菱東京UFJ銀行
25 ㈲香川ダイカスト工業所
26 ㈱カコテクノス
75 住友電気工業㈱
76 ソニー㈱
125 ㈱みなと銀行
126 明興産業㈱
27 ㈱片山商店
77 ダイソー㈱
127 ㈱明光堂
28 川崎エンジニアリング㈱
78 ㈱大日電子
128 名東産業㈱
29 川崎重工業㈱
79 大日本土木㈱
129 森合精機㈱
30 ㈱カワサキマシンシステムズ
31 カワサキモータースジャパン㈱
80 ㈱ダイヘン
81 大和建物サービス㈱
130 ㈱森久エンジニアリング
131 ㈱ヤマシタワークス
32 ㈱カワサキライフコーポレーション
33 川重明石エンジニアリング㈱
82 武田薬品工業㈱
83 ㈱竹中工務店
132 ㈱山本金属製作所
133 UCCホールディングス㈱
34 川重神戸サポート㈱
84 田辺三菱製薬㈱
134 美岡工業㈱
35 川重車両コンポ㈱
36 川重車両テクノ㈱
85 ㈱チュウオー
86 ㈲ティミス
135 吉田実業㈱
136 ㈱りそな銀行
37 川重商事㈱
38 川重テクノロジー㈱
87 東京海上日動火災保険㈱
88 トクセン工業㈱
137 菱三印刷㈱
138 若狭技研工業㈱
39 川重マリンエンジニアリング㈱
40 川重冷熱工業㈱
89 ㈱トランスプロ
90 中西電機工業㈱
41 関西電力㈱
91 ㈱ナサダ
42 (財)関西文化学術研究都市推進機構
43 カンロ㈱
92 西日本電信電話㈱
93 西日本ビバレッジ㈱
44 ㈱木下技研
45 近畿工業㈱
94 西日本旅客鉄道㈱
95 ㈱日建設計
46 ㈱きんでん
47 黒木工業㈱
96 日新信用金庫
97 日本電気㈱
48 ㈱恵信工業
98 ノイエス㈱
49 ㈱ケイキャリアパートナーズ
50 ケイライントラベル㈱
【138社】
99 ㈱ノーリツ
100 ㈲パイプ美人
30
(3) 評議員会、理事会等に関する事項
開催年月日
H23.4.8
会
議 名
第 1 回 理事会
報告及び議決事項
・平成 23 年度事業計画・収支予算の報告(旧財団で議決)
・評議員選定委員の選任、評議員候補者の推薦
・規程制定(組織規程、決裁規程、購買規程、謝金規程、監事監査
規程)の承認、
・アドバイザリー会議構成員の選任
H23.4.14
第 1 回評議員会
・定款・平成 23 年度事業計画・収支予算の報告(旧財団で議決)
・制定した規程の報告
・理事の選任、役員報酬の承認
H23.4.21
第 1 回評議員
選定委員会
H23.6.10
第 2 回理事会
・評議員の選任
・平成 22 年度事業報告
・平成 22 年度決算の承認、
・平成 23 年度借入金限度額見直しの承認
・評議員会の招集
H23.6.17
第 2 回評議員会
・平成 22 年度事業報告
・平成 22 年度決算の承認
H24.2.28
第 1 回アドバイ ・公益財団移行後の活動状況報告
ザリー会議
H24.3.8
第 3 回理事会
・第 3 回理事会の議案(案)の報告
・平成 23 年度事業計画(見直し)の承認
・平成 23 年度補正予算の承認
・平成 24 年度事業計画の承認
・平成 24 年度予算の承認
・平成 24 年度借入金限度額と資金調達及び設備投資の見込み
の承認
31
Ⅱ 法人の業務の適正を確保するための体制の整備について
(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行規則第 34 条第 2 項第 2 号)
1. 制定した規程類および体制の整備
制定した規程
施行日
コンプライアンス規程
H23.4.1
利益相反マネージメントポリシー
H23.6.28
競争的資金等取扱規程
H23.8.22
競争的資金等にかかわる内部監査実施要領
H23.10.1
競争的資金等の適正執行の確保に向けた取り組みについて
H23.10.18
備考
法人の業務を適正に確保するため上記の規程類を整備し、理事長を最高管理責任者、専務理事を統
括管理責任者とする「コンプライアンス委員会」を設置した。また、同委員会の下に「利益相反委員会」
および「不正防止計画委員会」を設置し、不正防止計画を策定した。計画で対象とした競争的資金等を
活用した研究開発案件について内部監査委員会で監査を実施し、公正性の確保に努めた。
業務の適正を確保する体制の概要は下図の通りである。
コンプライアンス委員会:財団の社会的信頼性と業務運営の公正性を確保するために設置
(最高管理責任者:理事長、統括管理責任者:専務理事、部局責任者:各部門長)
利 益 相 反 委 員 会:利益相反に係る審議・審査ならびに情報伝達体制と公開性の確保
不正防止計画委員会:公的資金による事業運営・管理を適正に行うための環境整備と
不正防止計画の策定・実施
内部監査委員会:公的資金の適正な管理体制の確保
上記の体制を整備する中で、 決裁規程、購買規程および 謝金規程を改定し、法人業務の適正性の
確保に努めた。
関係する委員会等の開催状況および審議事項は下表の通りである。
開催年月日
H23.6.20
会 議 名
報告及び議決事項
第 1 回コンプライアンス委員会
・神戸市税・固定資産税の件
・TCI 社からの未収金および特許権の件
H23.8.9
H23.10.18
(競争的資金等の採択機関向け)
経理説明会
第 1 回 不正防止計画委員会
32
・利益相反マネージメントポリシーの件
・採択機関の研究者・事務代表者への経理処
理要領の説明・注意喚起
・競争的資金にかかわる不正防止計画と実行
計画(案)
・競争的資金等の適正執行確保に向けた取り
組みについて(案)
H23.10.24
(財団職員向け)
・競争的資金等の適正執行確保に向けた取り
競争的資金等におる NIRO 事業に
組みについて
かかわる運営・管理体制 説明会
・競争的資金にかかわる不正防止計画と実行
計画
・検収の二重チェック体制、相談・通報窓口、
内部監査について
H23.12.14
第 1 回内部監査委員会
・農水省 畦畔除草ロボット案件
H23.12.20
第 2 回内部監査委員会
・近経局 特許等取得活用支援事業
H24.1.10
第 2 回不正防止計画委員会
・内部監査結果報告
H24.3.14
第 3 回内部監査委員会
・農水省 畦畔除草ロボット案件(内部確定検査)
H24.5.14
第 3 回不正防止計画委員会
・平成 23 年度不正防止計画のフォロー
平成23年度事業報告(案)には、
「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行規則」第 34 条
第 3 項に規定する附属明細書「事業内容を補足する重要な事項」が存在しないので作成しない。
平成 24 年 6 月
公益財団法人 新産業創造研究機構
33