JSIA 第28回 SIサロン プロジェクトマネジャー育成の課題 人材育成研究委員会 久井信也 2008年11月26日 1 本日のアジェンダ はじめに 1. 取り組んだテーマと概要 2. プロジェクトを取巻く環境 3. PM育成の課題 4. PMを目指す人へのメッセージ おわりに 2 はじめに JSIAの発足:1990年 ・4つの常設研究委員会の発足 ① SIビジネスのあり方について 「SIビジネス調査研究委員会」 ② SIを構成する新技術の動向を調査する 「技術調査研究委員会」 ③ ビジネスにおける契約問題について調査研究する 「契約問題調査研究委員会」 ④ SIを具体的に実践する人材育成に関する 「教育問題研究委員会」 「JSIA 人材育成研究委員会の活動のあゆみから」 3 はじめに JSIA発足の時代的背景 ・協会が発足した1990年度の時代的背景は、社会の 経済環境はまさにバブルの絶頂期。 ・多くの参加企業はSIがどのように実現されていく のか強い関心が寄せられていた。 ・1980年代後半には、ネオダマ(ネットワーク化オープン化、ダ ウンサイジング化、マルチメディア化)といわれたハードウエア の技術革新の時代から、システムの最適化利用のためにシステム 群の統合的活用を目指した SI を提唱した時代。 4 はじめに JSIA発足の時代的背景 ・発足当時の研究委員会には、システムインテグレーション SI という言葉に新鮮な響きと期待感も寄せられていた。 ・参加メンバーは、大手SI企業、システム開発企業の管理職や 教育部門の関係者を中心に10数社の企業によって構成され 人材育成の様々な課題について常に熱心なディスカッションが 展開されていた。 ・教育問題だけでなく幅広く人材育成に関連するテーマを研究する との趣旨から平成16年度(2004年度)より人材育成研究 委員会に名称を変更した。 「JSIA 人材育成研究委員会の活動のあゆみから」 5 はじめに 1)活動テーマの一覧(1) 活動成果項目と参加メンバー(敬称略) 活動期間 成果の形 1 システムインテグレータ育成に関する現状と課題 (高度情報化社会をリードする実践的人材の育成を目指して) 福間康夫、古川嵩、岩崎法夫、河合基、佐々木雅敏、島田三郎、中園順三 春木嵩信、藤巻信隆、益永国彦松木豪、満田章道、水谷穣、久井信也 H2年 〜H5年 報告書 H 5年3月 2 「システムインテグレータ育成に必要な教育カリキュラムの調査研究」(外部教育機関に おけるシステムコンサルティングおよびプロジェクトマネジメント教育コースデータ)(教育 カリキュラムに関する現状調査) 安田隆春、古川嵩、岩崎法夫、佐々木雅敏、石原茂樹益永国彦、福寿一夫 満田章道、水谷穣、久井信也 H5年 〜H7年 報告書 H 6年3月 3 SIにおけるシステム導入後サービスの課題と人材育成 増谷修、岩崎法夫、佐々木雅敏、石原茂樹、浅野勉、水谷穣、下司公朗、久井信也 H7年 〜H10年 報告書 H 9年3月 4 魅力ある上級SEをめざす人のために (21世紀を支える情報システム構築のプロフェッショナル) 中村精志、増谷修、浅野勉、石原茂樹、福寿一夫、下司公朗、久井信也 H10年 〜 H12年 報告書 H 12年3月 5 「これからのIT人材育成のありかた」(副題:時代の転換期における人材育成) 五百井俊宏、中村精志、増谷修、木佐貫康夫、浅野勉、野神美緒、増田泰雄、下司公朗 、久井信也 H15年 〜H18年 報告書 H 18年5月 6 はじめに 1)活動テーマの一覧(2) 活動成果項目と参加メンバー(敬称略) 活動期間 成果の形 6 メンタル・ヘルスに関する課題と対応 五百井俊宏、中村精志、増谷修、永桶裕一、野神美緒、増田泰雄、下司公朗、久井信也 H 18年 各種資料 H 18年7月 7 メンタル・ヘルスに関する笑い・ユーモアの効用 五百井俊宏、中村精志、増谷修、永桶裕一、野神美緒、増田泰雄、下司公朗、久井信也 H 18年 資料 H 18年9月 8 仕事とモチベーション 五百井俊宏、中村精志、増谷修、永桶裕一、野神美緒、増田泰雄、下司公朗、久井信也 H 19年 資料 H 19年7月 9 「仕事に満足する人の思考スタイル」 五百井俊宏、中村精志、増谷修、永桶裕一、野神美緒、増田泰雄、下司公朗、久井信也 H 19年 資料 H 19年9月 10 人間力と人材育成 五百井俊宏、中村精志、増谷修、永桶裕一、野神美緒、下司公朗、久井信也 H 19年 資料 H 19年11月 11 企業が求める人材像 五百井俊宏、中村精志、増谷修、永桶裕一、野神美緒、下司公朗、久井信也 H 20年 資料 H 20年1月 12 JSIA教育問題研究委員会・人材育成研究員会活動の歩み 五百井俊宏、中村精志、増谷修、永桶裕一、野神美緒、下司公朗、久井信也 H 20年 報告書 H 20年2月 7 1.取り組んだテーマと概要 1番目のテーマ(平成2年10月〜平成5年3月) 「システムインテグレータ育成に関する現状と課題」 (高度情報化社会をリードする実践的人材の育成をめざして) ・委員会参加者のSIという言葉に持つイメージの幅が広く、共通の イメージを得る為に多くの時間を割いた。 ・月一度3時間程度の委員会で、十分に議論がしつくせないことが 多く、合意の形成に多くの時間を必要とした。 ・SIについて基本的なイメージを煮詰めるまでに約1ヵ年程度の期 間を必要とした。報告書の概要まで20回程度の委員会やワーキ ングを経て93年3月に報告書を作成完了した。 8 1.取り組んだテーマと概要 第2番目のテーマ: (平成5年6月〜平成7年3月) 「システムインテグレータ育成に必要な教育カリキュラムの調査研究」 ・調査の対象は、SIに大きく関わる三職種の人材 ①システムコンサルティング ②システムエンジニアリング ③プロジェクトマネジメント ・調査は、既存の教育研修企業20数社とJSIAに参加している企業 10数社の教育体系、研修カリキュラムに関する情報を収集。 それぞれの特徴を明確にした ・教育研修カリキュラム集を95年3月に作成を完了。 9 1.取り組んだテーマと概要 第3番目のテーマ(平成7年3月〜平成10年3月) 「SIにおけるシステム導入後サービスの課題と人材育成」 ・当時は既に富士通やIBM、日立、NECなどではダウンサイズ化 の影響もあって、ハードウエアビジネスからサービスビジネスへ 展開を始めたところであった。 ・当研究会も、サービスの価値、つまりノウハウや技術を正しく評 価する枠組みが脆弱な為、問題視されているところに注目した。 ・活動としては、サービスビジネスを展開していた日本IBMのサー ビス事業部門をはじめ、主要な企業のサービス戦略、人材育成の あり方について調査し、報告書を98年度に作成完了した。 10 1.取り組んだテーマと概要 第4番目のテーマ(平成10年4月〜平成12年11月) 「魅力ある上級SE目指す人のために」 ・若い人材が情報システム作りの仕事に興味を持つことに期待感 を込めたテーマとして取り組んだ。 ・バブル崩壊による大手金融機関の倒産が相次ぎ、学生の就職も 氷河期 といわれる状況であった。 ・ 21世紀を迎え、グローバル化時代の人材育成の有り方について 新たに大学人の参加も得て取組んだ。 ・大学の学生へのアンケート調査やディスカッションの場を設け企 業と大学、学生の認識の問題や、価値観のギャップについて報告 書をまとめた。2000年11月に作成を完了。 11 1.取り組んだテーマと概要 第5番目のテーマ(平成15年1月〜平成17年3月) 「家作りに学ぶプロジェクトマネジメント」 ・1990年代の後半から、米国PMIのプロジェクトマネジメント 方法論が日本にも紹介され、モダン・プロジェクトマネジメント 方法論として位置付けされるようになっていた。 ・IT情報システムに携わる人が分かりやすくプロジェクトマネジメ ントを理解することを目標に出版を試みたが失敗した。 ・プロジェクトマネジメントの失敗の原因と同じで、目的の共有化 認識の統合化、合意の形成に手間取り、別のところから全く同名 同じ主旨の本が出版されたために中断を余儀なくされた。 12 1.取り組んだテーマと概要 6番目のテーマ(平成17年5月〜平成18年5月) 「これからのIT人材育成のあり方」 (副題〜時代の転換期における人材育成〜) ・IT情報システム構築の企業を取り巻く環境も変化。 ・中国・インドを中心としたオフショア開発が活発化。 ・日本国内の企業の人材育成のありかたを、考え直すと言う観点 表記のテーマに取り組んだ。 ・大学での人材育成の視点と課題、大企業のSI企業とシステム開 発専門の企業での人材育成のあり方、特にビジネスの中核を担う 人材育成のあり方についてまとめた。オムニバス形式の報告書を 平成18年5月作成完了。 13 1.取り組んだテーマと概要 7番目のテーマ(平成18年6月〜平成19年3月) 「IT情報システムに従事者のメンタルヘルス」 ・特にプログラムの開発や、責任の重いプロジェクトマネジメント に関わる業務の従事者に発生する鬱病の傾向。 ・こうした問題は、個人の性格、気質などのこともあるが、企業の 人事戦略としての課題。 ・適切な休養と気分転換を奨励するマネジメント。 ・ユーモアや笑いが気分転換に効果的であることからJISAやプ ロジェクトマネジメント学会の中でも取り上げられている。 ・各位委員からの情報をベースに検討してきたが、研究委員会の 成果として統合的な形に出来ていないのが現状である。 14 1.取り組んだテーマと概要 人材育成研究委員会の活動のまとめ 成果: ・SI企業の多様な人事政策、教育・人材育成施策に ついて情報交流ができた。 ・研究会活動を長期間継続的に維持することができた。 ・研究会活動を通じて、協会以外との交流も深めることができた。 ・5つのテーマを完了報告書することができた。 反省: ・バブル崩壊もあったが、企業会員で委員会参加者の減少に歯止め ができなかった。 ・効率的・効果的な研究会の運営力(プロジェクトマネジメント 力)が不足していたために、途中で中断のテーマも発生した。 15 2.プロジェクトを取巻く環境 1)SIプロジェクトは多く人のつながりで成り立つ <発注企業> 経営者 企業戦略 IT戦略 戦略の﹁見える化﹂ 取引先 (顧客) <構築企業> 企業戦略 IT戦略 CIO 売上目標 営業責任者 RFP 企画担当 提案書 SOWと PM 役割合意 協同 プロジェクト 作業 メンバー 戦略に応じた 要求仕様提示 業務部門 責任者 ニーズの取込 ユーザー 経営者 利益目標 実施責任者 営業戦略 営業担当 必要資源 提案合意 最適配置 SOW定義&見積 外注先選定 SOWと役割合意 構築方針 協同 作業 構築 メンバー PM 外注先 外注先 外注先 (パートナー) 品質レビューと <プロジェクトチーム> 有効な支援 プロジェクト 支援部門 出典:PMの本質 スピカソリューションズ 代表 西山和民氏 16 2. SIプロジェクトを取巻く環境 2)SI構築のビジネスの現状と問題 戦略が見えない 成果主義 <発注企業> <構築企業> 経営者 経営者 売上至上 利益至上 企業戦略不明 営業責任者 実施責任者 CIO IT戦略無し 売上至上主義 最小資源配置 不明確なRFP 企画担当 非現実な提案 営業担当 形式的合意 コスト削減圧力 (コスト割れ) SOW不明確 提案不参加 丸投げ PM 丸投げの多重層化 PM 外注先 コスト削減圧力 外注先 プロジェクト 外注先 構築方針不明確 メンバー (パートナー) 構築 空洞化(要員と 重要度無視 顧客無視 メンバー スキル不足) の要求仕様 やる気低下 取引先 業務部門 形式的レビュー <プロジェクトチーム> (顧客) 責任者 有効な支援無し 戦略が見えず プロジェクト ユーザー 部分最適追求 支援部門 出典:PMの本質 スピカソリューションズ 代表 西山和民氏 17 2. SIプロジェクトを取巻く環境 3)発注企業の課題−必要な3つの力 企業戦略立案し社員と共有 戦略立案力 戦略立案力 ITによる戦略実現策作成 プロ ロジ ジェ ェク クト ト プ 成功 功へ への の課 課題 題 成 戦略を実現する 新プロジェクトを企画 要求の重要度判断基準 を社員で共有化 発注企業 発注企業 の課題 の課題 構築企業 構築企業 の課題 の課題 要求仕様 要求仕様 定義力 定義力 要求仕様を明確に定義 仕様変更プロセスの確立 適切に資源を配置する (要員、スキル、体制) プロジェクト プロジェクト 遂行力 遂行力 プロジェクト プロジェクト チームの課題 チームの課題 出典:PMの本質 スピカソリューションズ 代表 西山和民氏 ステークホルダー(顧客)を 含むプロジェクト管理 「見える化」と継続的コミ ュニケーションによる一体 感(やる気)醸成 18 2. SIプロジェクトを取巻く環境 4)構築企業の課題− 顧客の真のニーズ把握 プロジェクトを支える3つの力 発注企業 発注企業 の課題 の課題 提案力 提案力 最適なソリューション 提示(差別化) プロ ロジ ジェ ェク クト ト プ 成功 功へ への の課 課題 題 成 妥当な価格の提示 適切な資源を配置 (要員、スキル、体制) 構築企業 構築企業 の課題 の課題 システム システム 構築力 構築力 実効性のあるプロジェク ト構築手法の確立 現場のQCD達成を 支援する仕組み提供 プロジェクト プロジェクト チームの課題 チームの課題 PJ:プロジェクト QCD:品質、コスト、納期 品質確保のための 組織プロセスを確立 組織力 組織力 出典:PMの本質 スピカソリューションズ 代表 西山和民氏 権限と責任を明確化 継続的な人材育成 19 2. SIプロジェクトを取巻く環境 5)プロジェクトチームの課題−必要な3つの力 ①システム構築力 ・要求定義/設計/プログラミング/・・・ ②プロジェクト管理力 ・進捗管理/品質管理/リスク管理/・・・ ③プロジェクトを組織として運営する力 (複数の人々が集まって、定められた期間内で目的を達成 するために、いかに効果的に協同作業するか) PMは組織を動かすマネジャーとしての力が必要 出典:PMの本質 スピカソリューションズ 代表 西山和民氏 20 3.PM育成の課題 1)PM人材育成の構造 PM人材育成 Project Management 人材 育成 21 3.PM育成の課題 2)PM人材育成への 多様な認識 PM人材育成関係者の視点 4 8 1 12 5 11 13 9 2 7 10 6 3 1 プロジェクト 2 マネジメント 3 人材 4 育成(教育) 5 プロジェクトマネジメント 6 マネジメント人材 7 マネジャーとしての期待役割 8 プロジェクト人材 9 プロジェクトマネジメント人材 10 マネジメント人材育成 11 プロジェクト人材育成 12 プロジェクト・マネジャー育成 13 プロジェクトマネジメント人材育成 22 3.PM育成の課題 3)PM人材育成:構成する言葉の意味 ・プロジェクト: PMBOKの定義→ ・有期性 ・独自性 ・段階的詳細化 ・マネジメント:管理・監理 ・人材:才能があり、役立つ人 →才能:物事を巧みになしうる生まれつきの能力 →能力:物事を成し遂げることのできる力 ・育成:育てあげる。育てて立派にする。 →才能を伸ばす。才能を引き出す。 →知識を与える。経験をさせる。 23 3.PM育成の課題 4)PM人材とはどのような人材か ・PM人材とは: 様々なプロジェクトの目的と、目標達成のために責任と権限を 委譲され、プロジェクト全般に関るマネジメントを実行できる 能力を有する人物である。 ・プロジェクトマネジャーの能力とは: 立ち上げフェーズ、計画フェーズ、実行フェーズ、終結フェー ズの各フェーズで発揮すべきマネジメント・スキルが異なる。 24 3.PM育成の課題 5)各フェーズでのマネジメント・スキル ・立ち上げフェーズ: 経営の視点からスポンサーやオーナーとの交渉、合意形成が 主要な能力として要求される。 ・計画フェーズ: 緻密な企画立案能力に、リスクの予見、要員の調達、チーム ビルディングなど、豊富な知識と経験が要求される。 ・実行フェーズ: 進捗管理、計画との差異への対応、変更や突発 事項への臨機応変の対応力などが重要になる。 ・終結フェーズ: プロジェクトチーム組織、各ステークホルダーとの合意形成 することなどが要求される 25 3.PM育成の課題 6)理想的なPM人材とはどのような人材か ・プロジェクトをマネジメントする人材 ・多岐に渡る能力を、プロジェクトの進行に沿って、ある時は 集中的に、局面的に、全体としては統合的に発揮できる。 ・タフでありながらも繊細な気配りもできる人間 ・単なる知識、経験だけではなく、ゆとりのある精神力と行動力 も併せ持った人材。昔風でいえば、 大もの 現代風にいうと 人間力のある人 ・人間力のある人物には、人間としての魅力も備えている。 ・人間の魅力とは、その人の基で動く人々が、信頼、尊敬に値する 人物という気分になる。 26 3.PM育成の課題 7)PMとして理想的な人物の育成 ・理想的な人物の育成は、どのようにしてできるかが大きな課題。 ・PMとしての成長段階で適切な精神的刺激が影響する。その刺激 とは 志 、ビジョンである。つまり、やる気のもとは 志 。 夫志気之帥也(孟子) ・いかなる恵まれた教育環境においても、気分盛り上げる場面の ないところに個人の意欲や意識の芽生えはなく、教育による知 識も上滑りする。 ・PM人材育成には、気分を盛上げることと、個人の志と明確な ビジョン形成力をもった人を選別することが重要といえる。 27 3.PM育成の課題 8)PMとしての人間力<1> ・人間力を構成する ①意欲、②意識、③知識、④見識 ・4つの言葉は連鎖し、経験を糧にその内容も進歩する。 ①意欲とは: やる気である。やる気はモチベーションともいう。 モチベーションには他発・他動的なものと、自発・自動的な ものがある。また、やる気はビジョン、志とも関係している。 ②意識とは、 周囲の期待だけでなく、自分自身の目標を目指す気持ちの強さ 覚悟の程度。この気持ちのことを意識という。 28 3.PM育成の課題 9)PMとしての人間力<2> ③知識とは: ・人間が行き抜くために、また、仕事や生活していく為に必要 な整理された情報である。 ・知識はその個人が所属する場によって大きく異なる。 ・多くの知識を有することは、新たな問題や課題に遭遇しても 比較、分別、類推することで、問題や課題の本質を洞察する ことが可能となる。 ・ベテランとはこうした知識を基に、新たな問題や課題に対し ても臨機応変に対応できる人のことである。つまり、知識は 信頼、尊敬される人間力のある人の条件といえる。 29 3.PM育成の課題 10)PMとしての人間力<3> ④見識とは: ・見識とは、優れた判断力、洞察力があることをいう。 ・見識は、意欲、意識、知識に裏打ちされたもので、その人 の人格に繋がるものである。 ・人格とは、人間の品格ともいえる。品性ともいう。企業の 組織活動であれば経営指標としてのBSCとか経営品質と も言えるもの。 ・見識が優れているということは一流の証明でもある。 30 3.PM育成の課題 11)PM人材とはどのような人材か ・まとめると、下記の視座(立場)での能力が求められている。 ①経営者の視座 ②企画・計画者の視座 ③管理・監督者の視座 ④教育者の視座 31 3.PM育成の課題 12)みなさんはPMをどのように選んでいますか? PM選択の基準は? 有り No 臨機応変? yes PM経験? 信頼・安心感? PMスキル? 人間力? 稼動状況? 32 3. PM育成の課題 13)PMの期待役割 これはあくまで も基本 1.プロジェクトを目標通りに完了する。 2.プロジェクトの目標 Q:品質 C:コスト D:納期 3.ステークホルダーの満足度を高める。 プロジェクト・オーナー (発注側の経営責任者) プロジェクト・スポンサー (受注側の経営責任者) プロジェクトメンバー、協力企業の経営責任者、メンバー 導入システムの利用者 その他にも沢山のステークホルダーがいる。 4.プロジェクトを通しての人材育成 33 3. PM育成の課題 14)問題はどうするか、どうすれば良いか ・PM育成は、教科書的なことも基本として大事だが、もっと 大切なことがある。 ・1番大切なこと。 ・才能(素質と言ってもよい)を見抜く ・基本的な知識や技能以外に人間関係能力を見抜く ・2番目に大切なこと ・教訓を活用する仕組みを持つ ・残す・伝える ・3番目に大切なこと ・動機付け→PMgerにふさわしい扱い ・立場が人を育てる 34 3. PM育成の課題 15)PMはどのように育成していますか? 1)先輩PMと組んでOJT的に計画的に育成する。 ・先輩の経験を伝える 2)いろんなPM経験を積ませている ・修羅場を潜らせる 1 3)基本教育を充実させている。 5 2 ・基本知識としてしっかり叩き込む 育成 4)PM資格制度などを奨励している。 ・資格の保有で向上心を醸成する 4 3 5)自己啓発を奨励している。 ・所詮は本人の気持ち次第 35 3. PM育成の課題 16)PMとして最も重要な職務 <結果> <出発点> 品質、コスト、納期をまもる 高い業績のチームを作る 顧客満足度をあげる・・・ 良い結果は 良好なプロセ スで実現する <めざすべき姿> プロジェクトに関わるメンバ プロジェクトに関わるメンバ ー一人ひとりの才能(素質) ー一人ひとりの才能(素質) を、プロジェクトの目的達成 を、プロジェクトの目的達成 に結びつける最前の方法を見 に結びつける最前の方法を見 つけて実現すること つけて実現すること プロジェクトに関わるすべての プロジェクトに関わるすべての メンバーが、プロジェクトの目 メンバーが、プロジェクトの目 的を達成するために必要な自分 的を達成するために必要な自分 の役割を、自ら進んで果たす の役割を、自ら進んで果たす 出典:PMの本質 スピカソリューションズ 代表 西山和民氏 36 3. PM育成の課題 17)PMの4つの基本行動 (あるべき姿をめざして) プロジェクトに関与する メンバー ① 役割に適した人を選ぶ (才能を見極める) ④ 気づかいを示す 実行 実行 ② 期待する仕事の内容と重要 度(PJでの位置付)をはっき り示す ③ 成果を認めること褒め ること(動機付け) 出典:PMの本質 スピカソリューションズ 代表 西山和民氏 37 3. PM育成の課題 18)技能・知識・才能と役割の一致 18)技能・知識・才能と役割の一致 ・技能= ・技能= 仕事のハウツー(仕事をいかにこなすか)→ 仕事のハウツー(仕事をいかにこなすか)→ 練習 練習 ・知識= ・知識= ①「事実についての知識」(業務上の実用的知識)→学習 ①「事実についての知識」(業務上の実用的知識)→学習 ②「経験的知識」<②「経験的知識」<- 過去の実践からの振り返り 過去の実践からの振り返り ・才能=その人個々の思考、感情、行動の習慣的パターンを形成する ・才能=その人個々の思考、感情、行動の習慣的パターンを形成する 脳の中のシナプス回路→生まれてから今までのシナプスの成長 脳の中のシナプス回路→生まれてから今までのシナプスの成長 ・技能や知識、才能は個人のパーフォーマンスにとって別々の要素 ・技能や知識、才能は個人のパーフォーマンスにとって別々の要素 (最高の成果を挙げるには、役割に適した才能が不可欠) (最高の成果を挙げるには、役割に適した才能が不可欠) ・技能と知識は教えられるが、才能は教えられない ・技能と知識は教えられるが、才能は教えられない ・非凡なパフォーマンスを生み出す→人の才能と役割の一致をはかる ・非凡なパフォーマンスを生み出す→人の才能と役割の一致をはかる 出典:PMの本質 スピカソリューションズ 代表 西山和民氏 38 3. PM育成の課題 19)メンバー人選に必要なPMのスキル ・理想的には ①人を選ぶ: 経験や知識、意思の強さをもとにして ②要求を設定:正しい手順を定めることで ③動機付け: 本人の弱点を見極め、その克服に力を貸す ④育てる: 学習により、決められた役割に「人を作りかえる」 ・現実の課題 人の才能(素質)は変えられない 足りない才能を植え付けようとしても時間の無駄 その人の中にある強みを引き出す努力をすべき ・成功するPMの行動 ①人を選ぶ: 才能で人を選ぶ ②要求を設定:役割の重要性と求める成果を適切に定義 ③動機付け: メンバーの強みを生かすことで ④育てる: メンバーの強みに適した役割を探り当てる 出典:PMの本質 スピカソリューションズ 代表 西山和民氏 39 3. PM育成の課題 20)PMに必要な才能 ① ② ③ ④ 人を選ぶ:才能で人を選ぶ 要求を設定:役割の重要性と求める成果を適切に定義 動機付け:メンバーの強みを生かすことで 育てる: メンバーの強みに適した役割を探り当てる これらのスキルを活かして、成果を生み出すために 必要なPMの才能(素質)とは何か? メンバー一人ひとりに興味を持ち、 メンバー一人ひとりに興味を持ち、 一人ひとりの強みを引き出すことで 一人ひとりの強みを引き出すことで 成長を手助けすることを心から喜べる才能 成長を手助けすることを心から喜べる才能 出典:PMの本質 スピカソリューションズ 代表 西山和民氏 40 4. PMを目指す人へのメッセージ 21)PMが守るべき3つの心得 ① 人を信じる(X理論=性善説に立つ) 人は納得すれば必ず自分の役割を果たす (誰もプロジェクトを失敗させようとは思っていない) ② 木をみる前に森を見る 鳥の目で要求されているシステム全体を見よう (なぜその人はそんな行動を取るかを考えよう) ③ 人を疑う前にプロセスを疑う うまくゆかない時は人の能力ではなくプロセスを疑え (誰でも出来るシンプルなプロセスを確立しよう) 出典:PMの本質 スピカソリューションズ 代表 西山和民氏 41 4. PMを目指す人へのメッセージ 22)人間は「プロジェクト」をおこなう動物である 人類が誕生して以来、「プロジ ェクトを如何にうまくやるか」 は人類の永遠の課題 <ナウマン象を狩りする人たち> プロジェクトマネジャーは、「人類の永遠の課題」に挑戦する。 プロジェクトマネジャーは、「人類の永遠の課題」に挑戦する。 人間に興味を持ち、果敢にチャレンジしょう。 人間に興味を持ち、果敢にチャレンジしょう。 出典:PMの本質 スピカソリューションズ 代表 西山和民氏 42 プロジェクトマネジャー育成の課題 まとめ ・企業組織として、PM人材育成の計画をもつ 事業戦略→組織戦略→人事戦略→PM人材育成計画 ・個人のスキル、才能を把握する仕組み スキルズインベントリーの仕組みを活かす ・定常組織の管理者がPM育成の目標をもつこと マネジメントが責任を持って関わる覚悟が必要 ・先人の経験・教訓を活用する 事例の展開。共有化する場を計画的にもつ 43 おわりに ご清聴ありがとうございました。 また、永い間JSIA人材育成研究委員会の活動を ご支援頂き心より感謝申し上げます。 プロジェクトの成功を祈念しています。 JSIA人材育成研究委員会 44
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