平成 26 年度海外研修 経済学部国際経済学科 尾田温俊 1.次の研修計画が経済学部教授会の承認を得た平成26年度海外研修である。 目的地: フィリピン(マニラ近郊) 実施期間: 8 月 24 日(日)出国、8 月 30 日(土)帰国 実施の目的: アジアで最近高成長を遂げているフィリピンの現状を実地に視察する。アジア開発銀行、 世界銀行、JICA、JETRO、企業などの訪問を通じて、フィリピン経済の構造と課題、直接 投資の現状と投資環境、開発援助の実態と貧困削減への成果などについて全般的な理解 を深める。現在好調な経済と日比経済連携協定の存在のために、日本企業のフィリピン 進出は今後増加していくことが見込まれている。こうした現場を見ることの価値は高い と思われる。参加学生には規定の単位が与えられる。 宿泊先: Herald Suites 、Makati City、Philippines 旅行費用: 参加学生の旅費個人負担は 15 万円程度 訪問先予定:アジア開発銀行、世界銀行、JICA、JETRO、企業、文化研修(歴史理解) 引率者:引率教員 経済学部国際経済学科教授 尾田温俊 経済学部経済学科教授 早川達二 2.この計画に対してどのような研修を実施したか、日時を追って説明する。 【8 月 24 日(日)】 行程 岡山空港から韓国インチョン経由でマニラへ 韓国のインチョン空港へは午前中の 11 時半に到着した。マニラへの出発は 20 時なので約 8 時間という長い待ち時間である。この時間を利用して、訪問先に関する勉強会を実施した。学 生 3 名の割り当てとして、小林洋平君は、(株)メンテックワールド、(株)キャステム、豊ファ インパック(株)について、また秋田裕介君は(株)東洋シート、世界銀行、JETRO について、内 海愛さんは、アジア開発銀行 ADB、日本国際協力機構 JICA について報告、また早川先生によ るフィリピンのマクロ経済現状説明および尾田先生による中沢先生著書に記載されている豊フ ァインパックの紹介が行われた。 この空港内での待ち時間を利用した事前学習により、次のことが分かった。現在のフィリピ ン経済は現在成長率も高くて好調であること。フィリピンの金融政策に関する大きな特徴の一 つは、中央銀行のインフレターゲットが 4%と、先進国水準の 2%と比較して高めに設定して あることである。賃金上昇率に関しては概ね 5%であり、他のアセアン諸国の高い賃金上昇率 と比較すると、投資する側にとっては安心できる状況である。また労働力人口の 10%が海外 で働き、GDP の 10%を占める送金を行っている。特に船員として適している国民性と言われて いることも特徴である。こうした母国送金もあり経常収支は黒字を計上している。 インチョン空港内では韓国伝統衣装に身を包んだ行列のデモンストレーションが行われており、観光客の目を 引いていた。 マニラのアキノ空港へは深夜の到着となった。マニラの中心部に位置するホテルは一人一室 で、清潔であり快適な環境である。テレビでは NHK 放送が受信できて、日本語放送を聴けるた め心理的にも居心地が良かった。このホテルは日本人客が多く、日本人以外の人はあまり見か けなかった。 【8 月 25 日(月)】 行程 マニラから北部のメンテックワールドの関係会社訪問 (現地企業 ASEPHIL) マニラから北へ、ターラックにある現地工場を訪問した。この工場は東広島市にある(株)メ ンテックワールドの紹介である。当日は、道路案内を兼ねてアントニオ=ピネダ副社長じきじ きにホテルまで迎えに来て頂いた。マニラを出て高速道路に乗ることによりスムーズに移動で きた。トタンで屋根を葺いているような家屋も多く、見慣れた日本の住宅とは大きく異なる風 景が物珍しく感じられた。 現地工場到着後に説明を受けたが、百聞は一見に如かずということで工場を見学させてもら う。仕事内容は、プロパンガスのシリンダーの保守点検および修理である。1 日約 1000 本を 処理し、全体の 5%はスクラップになるそうである。実際に工場へ案内して頂き仕事の工程を 説明してもらった。メンテックワールドに研修生を派遣して技術指導をしているということで、 ピネダ副社長も日本での研修の経験があるということである。同社にとり同業他社は数社ある ということであるが、経営状況は安定しているということである。工場には日本製の機械が屋 外に設置してあった。 工場内での作業現場 記念撮影【ASEPHIL 工場】 ピネダ副社長(左手前)を囲んで (スービック湾) 帰路は旧クラーク米軍基地の近くを通り、その後旧米軍基地のスービック湾で遅い昼食をと った。フィリピン料理のスープと麺は値段がリーズナブルでとても美味しいと大好評であった。 ハエが多かったが料理は美味 スービック湾を背景に 洪水のために大混乱する マニラ市内の交通 スービック湾をスタートした直後から激しいスコールが断続的に降り始めた。マニラ市内に 入ると大渋滞となっていた。低い道路は排水ができずに腰まであるような深さとなり、混乱に 拍車が掛かっていた。しかも、全ての車が前車との車間距離を割り込まれないように詰めよう とするため、ニッチもサッチもいかない状況に陥っていた。このような渋滞を日常的に経験し ているマニラのドライバーはさぞかし忍耐強いだろうなと想った。短い距離を何時間もかけて ようやく宿泊しているホテルの近くにあるリトル東京へ到着した。そこで夕食を取った後、ホ テルの前まで来たとき、そこでは何とホテル前の道路が 20 センチほど冠水していて横断不可 能となっていた。立ち往生しているわれわれのところに自転車タクシーが 2 台来て 5 人全員計 100 ペソで乗らないかともちかけてきた。彼らにしてみると稼ぎ時なのであろう。しかしわれ われはその申し出を受けて、靴を濡らすことなく全員が無事に横断し終えた。雨で洪水となる 経験および道路を横断できないという貴重な体験となったのである。 【8 月 26 日(火)】 行程 マニラから南のカビテ経済特区とサンタローサ市へ (株式会社キャステム) マニラ中心部から南に進み、(株)キャステム社屋のあるカビテ地域まで行くのに海岸地域を 走る。浅瀬になっている海の上に建てられた家が多く見られたが、後で聞くとこうした地域は 治安も衛生も悪いそうである。 キャステムでは、最初に、20 年前にさかのぼる同社のフィリピン進出についての説明があ った。それによれば、社長が、フィリピンの国民は親日的という理由も含めて決断されたそう である。だが、進出当初は工場内の器物の盗難が多発したこと、ワーカーが「イエス、サー」 と言った後に本当に理解しているかどうか必ず確認する必要があったと言われていた。その他 に、女性のまじめさは他のアセアン諸国と共通であること、転職も多く、毎月平均 3%から 5%が転職すること。ワーカーは 410 名であるが、内半分が派遣労働者である。この比率に関 して、リーマン・ショック前は正社員が 100%であったということで、200 名の従業員をリス トラしたリーマン・ショック後に社員雇用政策が大きく転換したことを物語っている。 カビテ経済特区入口 キャステム工場内 工場見学後の昼食(フリーランチ?) (後列左 2 人目仙倉副社長、前列右石井副社長) 試用期間は 6 ケ月あるが、同社ではワーカーに対する労働環境の厳しさは、厳しくもなく甘 くもなくその中間であると説明されていた。派遣労働者に関しては、よく働くそうである。別 の業種のスーパーのレジなどは派遣労働者で占められており、5.5 ケ月で契約を切られるのが 一般的ということである。フィリピンのワーカーの特徴として、洪水などの災害時に自宅が浸 水するなどしても出勤してくる一方で、ローンの手続きや歯痛という理由で休むこともあり、 この表向きの理由の裏には、パスポートの申請に行ったり、他社の面接を受けるなどしている のではないかと言われていたのが興味深かった。 エストラダ前大統領がマニラ市長となり、市内交通渋滞解消策の一つとして、コンテナトラ ックを昼間 1 車線とする規制を今年の 2 月から導入したために、工場の入庫と出庫が大幅に遅 れるという大問題が発生したということである。飛行機便を利用した場合には時間的制約から は解放されるが、コストが高くなり利益がなくなるために利用できないとのことである。交通 規制が企業経営に重大な悪影響を与え始めていることが実際に分かった。 インチョン空港での勉強会で最大の興味の対象となったのはキャステムの「ロストワックス 精密鋳造」部品を生産することである。同社のホームページの説明では、ロウのパーツを複数 つなげた「ツリー」を作成すると記載されているが現場で実物を見るまではそれが何なのか分 からなかった。事前の話がはずんだため長くなり、工場内での作業工程の説明をゆっくりと聞 くことができなかった。親切にも昼ご飯の接待して頂いた。グローバル人材という言葉に対し ては、ネパールに留学しインドで仕事をした経験のある仙倉さんから「海外が好きであること」 という回答を頂いた。 (豊ファインパック) 豊ファインパック(株)は本社が福井県の企業であり、中沢先生にご紹介頂いて訪問が実現し た。カビテからサンタローサへ向かう道路の渋滞により約束時間を遅れ、また到着直後は隣の 会社に間違って行くなどハプニングがあった。フィリピンでの業務体制はまだ立ち上げたばか りであり、ドライバーを含めて 5 名で運営されているそうだ。 根津さんからの説明 工作機械はまだ 1 台である 根津さんを囲んで記念撮影 創業時の苦労した点として、役所に提出する書類作成を「スタンプラリー」のように大変で あると述べられていた。つまり、A という書類作成のために B という書類が必要で、そのため には C という書類を準備しなくてはならないということである。また、操業開始までには電力 が必要であるが、電力供給には操業実績が必要であるため、当初は隣の会社から電力を借りな くてはならなかったこと、さらにワーカーの人選における苦労があること、日本語を話すとい うだけでワンランク上がること、フィリピン進出のメリットとして、高い失業率による低賃金、 フィリピン人の人懐こいキャラクター、言語が英語で比較的意思疎通が容易であること、逆に 不安材料としては治安、医療、物資調達をあげられていた。根津さんによるグローバル人材と は、「失敗を失敗と考えない人」ということである。 【8 月 27 日(水)】 行程 東洋シート 文化研修(イントラムロス) (株式会社東洋シート) 東洋シートは前日の豊ファインパックと同じサンタローサの工業団地敷地内で操業されてい た。納入先はマツダが主で 95%であるがその他にも日産、トヨタ、スズキ、ダイハツ等とも 取引がある。フィリピンではフォードに納入していたが、フォードが撤退し、その後に三菱自 動車が移転する予定となっている。技術的には自動車のシートのロックを得意としていると言 われていた。その他に映画館用の椅子も製造されている。従業員は現在 380 名で、そのうち 140 名が正社員である。1999 年からのフィリピンへの進出理由として、安い人件費、英語圏で あること、労働者の質が良いことが要因であり、先のキャステム、豊ファインパックと共通し ている。コンテナ規制の混乱については同社も困っており、現在改善策を陳情中であるという ことである。現地ワーカーの 5~10 名を本社へ 1~3 年間研修させているが、地位と能力が付 くと他の企業へ転職する人もいるということである。また、現地のワーカーは家族の価値を最 重視しており、日本人の仕事に対する価値観とは異なっているという指摘があった。 鷹嶋さんは女性であり、ご家族は日本にいるということである。子供とご主人は日本で「ほ か弁漬け」の毎日になっているとユーモラスに答えられていた。昼食の予定がなければ食べて いきませんかと言って頂き、ご一緒させてもらった。グローバル人材に関しては鷹嶋さんのほ うから、前向きにチャレンジする心構えが重要であるというコメントを頂いた。 レクチャー模様 生産ラインで作業工程の説明を受ける様子 フリーランチの様子 記念撮影(前列右から 2 人目原田副社長、3 人目鷹嶋 副社長、4 人目木村副社長) (イントラムロス) イントラムロスへ向かう道路では、コンテナトラックが左のレーンを占拠し大渋滞となって いた。ただでさえ渋滞することに加えて、規制によりトラックがまるまる 1 レーンを占拠する のであるから、混雑に拍車がかかっていた。企業訪問でお聞きした規制の影響を肌で感じた。 歩道へ車を誘導して手数料をとる商売が行われており、われわれの車もその抜け穴を利用し渋 滞を避けて近道できた。イントラムロスとは内部を意味するイントラと壁を意味するムロスの 合成語であり、300 年間以上続いたスペインの植民地支配時代に作られた城塞都市である。フ ィリピン独立運動の英雄リサールの記念館がある。またマニラ大聖堂にあるステンドグラスが 鮮やかであった。 左レーンはトラック大渋滞 【サンチャゴ要塞の壁の上】 川向こうは中華街 馬車に乗って見学 ガイドさん 【サン・アグスティン教会前】 大聖堂を見た後、馬車に乗ってイントラムロスの壁に沿って見学をしたが、説明をしてくれ たガイドさんによると、プロテスタントの 8 派がそれぞれに教会を建設しそのほとんどは地震 や戦争のために破壊されたこと、その跡地には現在学校が建設されており、その関係の寮があ り学生街でもあるということである。ガイドさんの説明には年号が必ずあり、そして破壊され たという言葉も必ず最後に登場したのが印象的だった。 【8 月 28 日(木)】 行程 世界銀行 JETRO (世界銀行) 世界銀行のミッションは、ウォルフェンソン総裁時には、Knowledge Bank 知識提供銀行で あったが、現在の金総裁時には Solutions Bank 解決策提案銀行へと変化したということであ る。現在は金総裁が設定した二つの目標(twin goals)があり、それは第一に 1 日 1.25 ドル未 満で暮らす人々の割合を 2030 年までに世界人口の 3%以下に減らすこと、第二に各国の所得 の下位 40%の人々の所得を引き上げることである。 最初に中国系フィリピン人という Chua さん(上級エコノミスト)からフィリピン経済につい て説明してもらった。Chua さんの英語を早川先生に日本語に通訳してもらった。Chua さんに 続き、日本人の神田さんから説明をしていただいた。フィリピンは中所得国でありプロジェク トの資金はあるが、世界銀行も資金の貸し付けを実施している。世界銀行は他の援助提供源 (日本、アジア開発銀行、米国等)とともに技術協力および予算支援を実施していることなどで ある。フィリピン援助の戦略としては、統治機構、社会インフラ、経済発展、気候変動と災害、 平和などを対象として支援が実施されているという。その中で、中国などの BRICs 諸国が投資 銀行を設立するという点をどのように考えるかをお聞きしたが、世界銀行としては「アジアの インフラ需要は巨額なので、そうした動きを歓迎したい」というスタンスであった。 C.Kanda 副所長(右より 3 人目)を囲んで記念撮影 【世界銀行マニラ事務所】 グローバル人材についておうかがいすると、世界銀行は各国から職員が集まっているため、 自己主張をしっかりしないと自分のした仕事まで他人の手柄となってしまうことで、日本人は この点で控えめなために損をする場合があるということ。世界銀行の会議では、発言ができな いと欠席とみなされるそうである。そのために長いミーティングとなるそうだ。次に、ネット ワークで様々な人脈を持っておくことが重要であること。ドアを閉めてどんなに良い仕事をし てもあまり高い評価はないということであった。 (JETRO) 次にマニラ JETRO 事務所を訪問し石川雅啓ディレクターからフィリピン経済について説明を していただいた。ここでの総合的な説明により今までの企業訪問でお聞きした断片的事実が一 つにまとまった感じがした。フィリピンは今年の 7 月には人口が遂に 1 億を突破したこと、マ ニラは 13 市の総和としての首都圏であり、人口は約 1400 万人で世界のトップテンに入ること、 フィリピンの過去には、スペインは植民地として宗教を残し、米国は植民地として英語を残し たこと。日本も 1942 年から軍政を実施し第二次世界大戦ではマニラで 100 万人が死亡したそ うである。 石川雅啓ディレクター(左から 3 人目)を囲んで 【マニラ JETRO 事務所】 フィリピンの人口ピラミッドはきれいなピラミッド状であり、若年層が豊富であり、人口ボ ーナスの恩恵を受けやすい国で、今後の市場としての成長が期待できること。特に最近のフィ リピンは 7%台の高い経済成長を実現している。フィリピン経済の最大の特徴の一つは、海外 就労者が労働人口の一割の 1000 万人もあり、その母国送金額は国民総所得の一割にも達して いる点である。日本の商船の船員として活躍していることは有名である。フィリピンではジー プニーという乗合バスとトライシクルというオートバイタクシーの普及により、自動車販売が 低調に推移していること。 【8 月 29 日(金)】 行程 アジア開発銀行 JICA (アジア開発銀行) 最初にアジア開発銀行本部の立派な建物と設備を説明してもらった。福山大学の訪問の前に 広島大学、立教大学、早稲田大学等の訪問があったことを伝えられ、他大学の活発な活動を肌 で感じた。次に、上級エコノミストの谷口さんのほうからアジア開発銀行の活動について説明 をしていただいた。説明は多岐にわたる濃い内容であった。世界銀行グループと同様、アジア 開発銀行も公的部門だけでなく、民間企業にも融資を実施していることが分かった。人口が多 く存在する社会の底辺層に対する BOP(Bottom of Pyramid)ビジネスに対する取り組みの例と しては、ソーラーパネルの電力を使用して使用料を支払い、最終的にはそのソーラーパネル設 備を買い取ることで貧困層を支援する民間セクター・プロジェクトがインドで実施されている。 谷口上級エコノミスト(左) 【アジア銀行本部】 小口理事(右から 2 人目) 谷口さんによると、グローバル人材の要件として、(1)英語でどれだけ話せるか、そのため に普段から英語の本を読んでおくこと、次の本を紹介して頂いた「Think Like a Freak: How to Think Smarter about Almost Everything, by Steven D. Levitt and Stephen J. Dubner」(2)興味があ ることを徹底して行い自信を持つこと、(3)多様性を認める柔軟性を備えていることと述べら れていた。語学としての英語は上手く話せる必要がないという方が多かった中で、初めてグロ ーバル人材の大切な要件に英語が出たことが却って新鮮に感じられた。中庭で記念撮影をして、 最後には図書施設を案内してもらった後に小口理事を表敬訪問させて頂いた。 (JICA) JICA によるフィリピン支援の取り組みについて氏家陽子 NGO コーディネーターから説明し て頂いた。人による技術支援、資金を提供する方法は二つあり、一つは電車、道路などを含む インフラ整備への有償資金援助、二つ目は生活に直結している無償資金援助がある。また海外 青年協力隊のような市民参加、災害への援助が実施されている。単なる一方的な援助ではなく、 日本が貧困、地域紛争、保健などの支援を行う代わりに、日本は被援助国からエネルギー、労 働力、食料などの供給を受けるというウィンウィンの関係構築が重要であること。JICA の原 資は税金、寄付金、融資からの受け取り金利であることと述べられていた。氏家さんにとって、 グローバル人材とは、異なる考えの中で努力できる人で、氏家さんご自身は「議論をすると欧 米人に押されてしまうが、respect される」そうである。 氏家氏のレクチャー【JICA マニラ事務所】 【8 月 30 日(土)】 氏家氏(左から 3 人目)を囲んで記念撮影 帰国 マニラ空港 インチョン空港 岡山空港 マニラ空港は世界ワーストワンと評価されている空港である。入国時には深夜でよく見えな かったが、出国時の朝にはよく分かった。空港の整備などもぜひ取り組んでほしい点である。 韓国のインチョン空港ではミニコンサートを催すなど相変わらずサービス精神旺盛なところを 見せていた。韓国からの出発が遅延したために、岡山到着が遅れ、岡山駅ではスーツケースを 引きずりながら山陽本線に駆け込んだ。 出国手続きが終わりマニラ空港でホッと一息 インチョン空港のミニコンサート 当初の計画通りに全ての研修先を訪問できたが、そこで働く人々の顔を見て生の声をお聞き した。対応して頂いた方々が携わっている仕事は簡単にいくことばかりではなく、むしろその 一つ一つが困難に満ち満ちていることを実感できた。フィリピンという国についても日本との 比較で色々と考えさせられた。中でも、1 日 1.25 ドル以下の生活をする人が全体の 25%であ ること。英語の映画が字幕なしで公開されているフィリピンで、現地の方と英語でコミュニケ ーションをとりたいという思いが高まった。フィリピン国内で雇用が不足しており、人口の 10%が外国で就業し、フィリピンに送金を続けているという厳しい現実があった。これらのこ とを実際に体験できた研修であった。お世話になった人々全てに感謝をしたい。
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