オーシャン・クリーンアップの展開

オーシャン・クリーンアップの展開
オランダ人青年ボイヤン・スラットは、数年前、海洋プラスチックごみを回収する画期的な方法を提
案しました。彼のビジョンは今現実のものとなりつつあります。
1994年生まれのボイヤン・スラットは、2013年にオランダでNPO「オーシャン・クリーン
アップ」を立ち上げ、浮遊型バリアを使い、有害なプラスチックごみ回収に乗り出しました。201
4年には、クラウドファンディングで約2億4千万円の資金を募り100名の科学者、技術者からな
るプロジェクト・チームを発足しました。
ボイヤンは、16歳の2011年夏、ギリシャの海に潜っていたとき、魚よりプラスチック袋に遭遇
し驚きました。もっと驚いたのは、この問題は解決策がないと思われていたことです。ボイヤンは、
パズルを解くが如く問題の解決策を見つけることが好きな高校生で、それならばプラスチックを追い
かけるより、海流を利用してこちらに引き寄せることを考えつきました。
2014年11月、ボイヤンは、国連環境賞を潘基文国連事務総長から受賞し、世界青年起業家20
人(Intel EYE50) のうちの一人にも選ばれました。ボイヤンの提案は、オランダ政府や国際社会で
も広く支持されています。
深刻な環境問題
漂流するプラスチックごみは、深刻な環境問題です。例えば、対馬列島では1万2千立方メートルお
のごみが海岸に流れついています。
科学者が近年指摘しているのは、プラスチックのごみが細かく砕けてゆき「マイクロプラスチック」
と呼ばれる破片になって漂流する問題です。5兆万個にも及ぶプラスチックの破片が世界中の海を汚
染していると推定され、その三分の一は、0.33から4ミリの大きさです。「マイクロプラスチッ
ク」は、有害な化学物質を含み、生命に危険を及ぼしかねません。
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画期的な対策法
ボイヤンは、海流を利用してプラスチックごみを回収する浮遊型バリアを考案し、ごみは再生可能エ
ネルギーとして利用することを提案しました。
今年2016年、オーシャン・クリーンアップは2キロにもおよぶ世界最長となるバリアを対馬沖の
海に設置する予定です。
最終的な目標は、太平洋のごみ約半分が漂流しているといわれる「太平洋ごみベルト」に位置するカ
ルフォルニアとハワイの間に取り付けることです。
海流を利用した固定バリア
オーシャン・クリーンアップの手法がユニークなのは、海流が運んできたごみを係留したバリアの中
心部に集めるところです。ごみを船や網をつかって回収しに行くのではなく、自然な海の流れを利用
する、発想の転換です。オーシャン・クリーンアップの装置は浮遊型なので海流を変えるわけではあ
りません。
この装置は、海底にとりつけ浮かせ、海流は魚や生物と共に装置の下を通り抜けます。水より軽いプ
ラスチックは浮遊型のバリアの前に集まるので、自然の流れと生態系を脅かすことはありません。ま
た、このバリアは、カバーする面積に対応し百万平方メートルまで伸はずことが出来ます。
大航海
2015年の8月、オーシャン・クリーンアップは「太平洋ごみベルト」調査のため、30あまりの
船を連ねロス・アンジェルスとハワイ間3百50万平方メートルを航海し、漂流プラスチックごみに
関する膨大なデータを集めました。
北海での実証
オランダ政府はスヘフェニンゲン沖北海23キロをオーシャン・クリーンアップの実証に使用するこ
とを許可し、悪天候における装置の稼働状況を調べます。
http://www.theoceancleanup.com/
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