SOP 要件の整理(VMP) SOP 作成のアプローチ 1. 該当する GMP(ガイダンスまで含める)の要件を抽出する(該当手順書に関連す るキーワードで抽出する)。 2. キーワードを整理する(手順書作成時に、必ずキーワードを入れること) 。 3. 各 GMP のキーワードを含む文章を整理する。関連項目に対応させるとより作業し やすくなります(表 2~4)。 4. 手順書の項目に合わせて、キーワードを含む文章を分類する(表 1)。 (オプション: 三極に対応するための文章を作る) 5. 表 1 を会社の状況に合わせて、更に肉付けする。 このような方法で、主要手順書を作成していくと、大きくはずれないものと思われます。 作成日 2011 年 作成者 西山昌慶 対応規則 □日本 ■米国 ■欧州 □WHO □その他( ) 参照資料 EUGMP ANNEX15 PIC/S PI 006-3 GMP MANUAL 7F”Validation Master Plan” John Y. Lee “Validation and Qualification – Compliance Requirements” Pharmaceutical Validation Master Plan, Syed Imtiaz Haider, St. Lucie Press LabCompliance Best Practice VMP FDA Guidance for Industry on Process Validation: General Principles and Practices, Jan. 2011 SOP 作成時の留意事項 参考にした EU GMP ANNEX15 は旧版です。 バリデーションマスタープランは、歴史的な変遷をたどっています。読む文献の年 代と著者の国によって異なりますので注意しましょう。 このプランは、サイトバリデーションマスタープランを意識しながら作成しまし た。 一部の図を上記図書から引用しています。 1 SOP 要件の整理(VMP) 内容 SOP 作成のアプローチ ...................................................................................................................................1 バリデーションマスタープラン...................................................................................................................3 1. 目的 ...............................................................................................................................................................3 2. 適用範囲 .....................................................................................................................................................4 3. バリデーション方針 .............................................................................................................................5 4. バリデーションの組織構造 ..............................................................................................................7 5. バリデーションと適格性評価...................................................................................................... 11 6. 文書化 ..................................................................................................................................................... 25 7. 変更管理................................................................................................................................................. 27 8. 対象サイトの説明(工場、工程、製品) ............................................................................ 27 9. バリデートする製品、工程、システム................................................................................. 28 10. 合格判定基準 ................................................................................................................................... 29 11. 計画とスケジュール ..................................................................................................................... 29 12. 用語の定義 ........................................................................................................................................ 29 別添1 ............................................................................................................................................................... 31 別添2 ............................................................................................................................................................... 42 別添3 ............................................................................................................................................................... 43 ◆FDA CGMPの要点 ......................................................................................................................... 44 ◆GMP省令の要点 .................................................................................................................................. 44 ◆EUGMP の要点 ...................................................................................................................................... 45 ◆ マ スタ ー プラ ンの 記載 ス トラ テ ジー ( PIC/S GMP ガイ ダン スと EUGMP ANNEX15 参照) .................................................................................................................................... 47 2 SOP 要件の整理(VMP) バリデーションマスタープラン 1. 目的 1-1. 背景: バリデーションマスタープラン(以下 VMP という)は、会社におけるバリデーション および適格性評価を一貫して実施するためにガイダンスとして用いる文書である。この 文書は、バリデーションおよび適格性評価のプロジェクトの取り組みに関する会社の方 針と要求事項を明確に記載している。取り組むバリデーションおよび適格性評価の範囲 を明確にし、関与する組織とその責任、文書化の方法などを記述する。また、個別のプ ロジェクトやスケジュールなどについても概要を記述する。 1-2. 目的: (1) 本書は、[会社名]のバリデーションおよび適格性評価のプロジェクトを効果的かつ 一貫して実施するために、自社の方針および要求事項に関する要綱および各種プロ ジェクトへの適用(と説明)をまとめたガイダンスである。 (2) 本書は、自社の方針および要求事項の要綱をまとめたバリデーションマスタープラ ンとバリデーションプロジェクトに適用する方針および要求事項の要綱をまとめ たバリデーションプロジェクトプランで構成される。(図表 VMP-1:バリデーシ ョン文書構成参照) (3) 各バリデーションおよび適格性評価は、本書の記載事項に基づいて計画、実施、文 書化する。 図表 VMP-1:バリデーション文書構成 3 SOP 要件の整理(VMP) 図表 VMP-2:構成文書の定義 文書 内容 マスタープラン 会社の理念、方針、要求事項を簡潔に述べた文書 経営陣の指示に従い品質部門が作成し、部門長が部門承 認[自社の方針に合わせて確認でもよい]し、経営者が最 終承認する。 プロジェクトプラン 各種バリデーションに対して、より具体的にマスタープ ランを解釈し、会社の方針、要求事項、手順を述べた文 書。 プロセス、クリーニング、コンピュータ、滅菌、サイト など。 経営陣の指示に従い品質部門が作成し、部門長が部門承 認[自社の方針に合わせて確認でもよい]し、経営者が最 終承認する。 プロトコル マスタープラン、プロジェクトプランに基づき、個別の バリデーションプロジェクトの具体的な計画(規格と試 験を含む)を記述した文書。 実施部門が作成し、部門長が部門承認[自社の方針に合 わせて確認でもよい]し、品質部門が最終承認する。 レポート プロトコルに従って実施したバリデーション(適格性評 価を含む)の結果をまとめた報告書。 サポート SOP 品質保証部門が最終承認をする。 バリデーションの実施および逸脱、変更など、バリデー ションのプロセスに関連する SOP。 2. 適用範囲 (1) 本書の内容は、 [会社工場名]で重要な作業に対して実施する予測的・回顧的・コ ンカレントのバリデーションおよび主要装置の適格性評価のプロジェクトに適用 する。[ただし、プロセスバリデーション、クリーニングバリデーション、コンピ ュータバリデーションは、サイトプロジェクトプランに対する基本方針のみを記載 し、詳しいプロジェクトプランは、バリデーション手順書を適用する。] (2) 重要または大きなプロジェクト(新設工場、新設工程、新規製品の導入など)は、 本書の内容に基づいて、別途プロジェクトプラン(サイトプロジェクトプランなど) 4 SOP 要件の整理(VMP) を作成して適用することがある。 (3) (受託会社の場合)委託元の方針によって本書の内容と異なる取り組みを必要とす るときは、予め品質部門[自社の該当部門名を書く]が当該 GMP への適合性をレビ ューして承認し、経営陣の同意を得て、その旨を文書化した場合に限り、本書の適 用から除外することができる。 3. バリデーション方針 (1) 医薬品製造業の目的は、製品のライフサイクルを通して、再現性を有する製造シス テムで一貫して高質の医薬品を生産し供給することである。この目的を達成するた めに、医薬品製造業の品質保証システムをもとにした、主要装置・ユーティリティ の適格性評価を含む意図に適したあらゆるタイプのバリデーションを実施する。 (2) バリデーションは、新規のあるいは品質に影響をあたえる疑いのある変更を施した 工程、施設が稼働する前に実施されていなければならない。 (3) バリデーションに関連する建物、設備、装置、機械、コンピュータ、試験、要員、 原料供給業者は、バリデーションの意図に適していなければならない。そのためバ リデーションに先駆けて、これらの適格性評価またはバリデーションが実施されて いなければならない。 (4) バリデーションは多岐にわたる専門性が求められるため、社内の適切な部門の専門 家、必要なら社外の協力会社(製販業者を含む)の専門家を結集して実施する。 (5) 自社は、バリデーションのプロセスが円滑に実施されるために必要な経営資源を投 入し、これを支援する。 (6) 自社で実施するバリデーションの種類は次のとおりである。これらのバリデーショ ンは、図表 VMP-3 の定義とアプローチの条件に応じて実施する。 ① 予測的バリデーション(Prospective Validation) ② 回顧的バリデーション(Retrospective Validation) ③ コンカレントバリデーション(Concurrent Validation) ④ 再バリデーション(Re-Validation)プロセスバリデーション (7) バリデーションの効率化を図るため、適切な条件下でマトリキシング、ブラケティ 5 SOP 要件の整理(VMP) ング、ファミリーグルーピングの手法を採用することができる。(図表 VMP-4) 図表 VMP-3:バリデーションのアプローチ アプローチ 条件 予測的バリデーション 1. 新規医薬品、製品の品質に影響を与えるかもしれない(主要 (Prospective Validation) 装置・工程・処方・場所などの)変更を行った場合、それら の製品の流通の前に実施するバリデーション。 2. バリデーションは再現性を保証できるまで実施する必要が あるが、少なくとも 3 回は実施すること。 3. 通常のサンプリングよりも多くのサンプリングと試験を実 施する。 回顧的バリデーション (Retrospective Validation) 1. すでに流通している製品の蓄積された製造、試験および管理 データを基にしたバリデーション。 2. 予測的アプローチの多くの試験に代替するだけの多くのバ ッチの情報が必要。例えば、失敗していない連続 10~30 バッチの情報。 3. 最近変更された工程には適用しない。 コンカレントバリデーション 1. (治験薬、希少薬、小児科薬の少量生産、非常に高価な医薬 (Concurrent Validation) 品、再加工のバッチなど)1 回の製造が全ての規格と品質特 性を満たす製品を製造することを保証するために実施する バリデーション。 (工程ではなく、製造バッチをバリデート する方法である) 2. 少なくとも予測的バリデーション以上に信頼できる多くの サンプリングと試験を行う。 再バリデーション (Re-Validation) 1. 変更、修正、アップデート、製造設備や装置など、変更管理 システムに従って必要と判断された場合に再度実施するバ リデーション。[滅菌サイクル、メディアフィル、脱パイロ ジェン工程は、必要ですが本書では適用しません] 2. 重要な変更がなく、年次照査などで工程がバリデートされた 状態を維持していることを確認していれば、再バリデーショ ンの必要はない。 6 SOP 要件の整理(VMP) 図表 VMP-4:マトリキシング、ブラケティング、ファミリーグルーピング アプローチ 条件 マトリキシング 1. 同じ医薬品の異なる力価に対する工程を一緒にバリデート するときに、マトリキシング法を用いて実施してもよい。 2. この場合は、組成や製造工程が異なる場合は、予めリスク分 析を行って実施の可能性を評価すること。 3. マトリクス法を用いる場合でも、各力価を最低 1 回は実施す ること(たとえば、中間の力価をスキップしない)。 ブラケティング 1. 医薬品、工程などのワーストケース(たとえば、高力価と低 力価、難溶性と易溶性、工程条件の上下限など)を選定して、 ブラケティング法でバリデートしてもよい。 2. この場合は、ワーストケースの結果が中間のものに対しても 評価できることを示しておくこと。 ファミリーグルーピング 1. 類似の異なる医薬品に対して、グルーピングをしてバリデー トしてもよい。 2. この場合は、各医薬品が同じグループとして一緒にバリデー トできることを、処方や製造法の変動についてリスク分析で 評価して正当化しておくこと。 3. 装置や工程が異なる場合は、グルーピングをしてはならな い。 4. バリデーションの組織構造 [PIC/S GMP によれば、バリデーションの実施責任は一般的に製造部門長および品質 部門長にありますので、それに対応させました。] バリデーションおよび適格性評価 の計画、実施、文書化は、多くの専門技術(たとえば、開発、エンジニアリング、製造、 試験など)を結集しておこなわなければならないため、原則として、バリデーションプ ロジェクトチームを編成して、その任に当たらせる。また、必要に応じて社外の資源(た とえば、エンジニアリング、協力会社、供給業者、コンサルタントなど)を活用しても よい。(図表 VMP-4 参照) バリデーションプロジェクトチームの構成メンバーの適格性は、担当業務の技術要件に 照らして評価する。構成メンバーの概要は、担当業務の識別と適格性評価も含めて、文 書化してファイリングする。[仮想製薬工場では、個人の職務記述書の特別職務欄にバ リデーションプロジェクトチームのメンバー資格があることを記載します。] 7 SOP 要件の整理(VMP) 外部協力者は、担当業務の適格性を有する組織または人を選定する。担当業務に関する 技術契約書を取り交わして責任の所在を明確にし、業務実施担当者の適格性評価を含む 概要を文書化してファイリングする。[業務実施担当者の概要は、バリデーションコー ディネータがレビューして承認するとよいでしょう。協力会社が下請けを活用するとき にも提出させてください。] 4-1. 製造部門長 (1) 製造管理領域の責任者として、関連するバリデーションの責任を有する。 (2) バリデーションプロジェクトのレビューチームの一員として、バリデーション の実施の責任を有する。 4-2. 品質部門長[試験室を有する QA 部門を想定] (1) 品質管理領域の責任者として、関連するバリデーションの責任を有する。 (2) バリデーションプロジェクトのレビューチームの一員として、バリデーション の実施の責任を有する。 (3) レビューチームの意思決定の最終承認者。 4-3. バリデーションコーディネータ[バリデーション責任者] (1) プロジェクトチームのコーディネート役として、指名される。[品質保証部門 に所属しているとレビューと承認などの手続き上都合がよいが、要件ではな い] (2) 実際のバリデーションの計画、実行、文書化に責任を有し、チームの意思決定 事項を承認する。 (3) 外部協力者の窓口として、協力者の取りまとめをおこなう。 (4) バリデーションプロジェクトのレビューチームの一員として、バリデーション の実施の責任を有する。 4-4. プロジェクトレビューチーム (1) プロジェクトの運営委員会(steering committee) 。 (2) バリデーションの責任者(EUGMP 対応)である製造部門長、品質部門長およ び実行責任者のバリデーションコーディネータでメンバーを構成する。 (3) 必要に応じてその他のメンバーを選任してもよい。 8 SOP 要件の整理(VMP) 4-5. プロジェクトチーム (1) 個別のバリデーションプロジェクトに対して、各部門からメンバーを選抜して 編成する。 (2) メンバーは、バリデーション担当業務の適格性が評価されていなければならな い。不足部分については、追加の教育訓練を受けること。 (3) バリデーションプロジェクト業務実施前に、VMP の再確認を行う。 (4) チームメンバーから各種適格性評価およびバリデーションに対応したバリデ ーションチームを編成して、バリデーションを実施する。(図表 VMP-5:バ リデーション組織図) (5) 各部門のメンバーは、図表 VMP-6 に示す責任を有する。 4-6. 外部協力者 (1) 品質部門から委託業務の適格性を評価された外部協力者(エンジニアリング、 装置メーカー、コンサルタントなど)。 (2) 契約書を取り交わし、各種適格性評価およびバリデーションの専門業務のサー ビスをおこなう。 図表 VMP-5:バリデーション組織図 バリデーション プロジェクトチーム (レビューチーム) バリデーション コーディネータ [バリデーション責任者] 適格性評価 チーム プロセス バリデーション チーム クリーニング バリデーション チーム コンピュータ バリデーション チーム 外部協力者 バリデーション サービス 出典:Pharmaceutical Validation Master Plan, Syed Imtiaz Haider, St. Lucie Press 9 SOP 要件の整理(VMP) 図表 VMP-6:各組織の責任 組織名 責任 バリデーションレ 1. 対象領域の製造指図書原本を承認する。 ビューチーム 2. マスタープランおよびプロジェクトプランを確認する。 3. バリデーション計画・報告書、変更、フォローアップの提案を承認す る。 4. プロジェクトが円滑に実施されるよう支援する。 5. プロジェクトのコスト管理をする。 バリデーションプ 1. バリデーション作業の範囲を決定する。 ロジェクトチーム 2. リスク分析を実施する。 3. バリデーションプロトコルと試験計画をまとめる。 4. 実施項目の優先順位を決定する。 5. 時間と必要な資源(人、装置など)を計画する。 6. 必要に応じてバリデーションプロトコルの変更を提案する。 7. バリデーションの作業を実行する。 8. バリデーションの結果を評価する。 9. バリデーション報告書を作成する。 10. 必要なフォローアップを提案する。 11. 必要に応じて教育訓練を計画する。 バリデーションコ 1. バリデーションプロジェクトプランをまとめて更新する。 ーディネータ 2. バリデーションチームを招集する。 3. レビューチーム(製造部門長・品質部門長)に報告する。 4. バリデーションの計画・報告書および変更事項を確認する。 5. バリデーション文書の配布先を明確にする。 6. 日程、労働量(人・日) 、手順や情報を明確にして、バリデーションプ ロジェクトの進行を円滑にする。 7. バリデーションの計画および変更計画を承認前に関連部門に知らしめ る。 8. スケジュール管理をおこなう。 9. 教育訓練責任者に教育訓練の要請を行う。 品質保証 1. 次の文書の作成について、バリデーションチームとのミーティングで 検討する。 バリデーションプロトコル、バリデーション実施のモニタリング、バ リデーションデータおよび試験結果の分析とファイリング、最終報告 書など。 2. バリデーション文書は全て品質部門(QA)が完全性と GMP 適合性を 10 SOP 要件の整理(VMP) レビューする。 製造 1. 次の必要な SOP を作成する。 新規工程、装置の操作など。 2. 製造工程と装置の適格性評価のバリデーション実行ステップに参加す る。 3. バリデーションデータの収集を手伝う[現場でのサンプリング等]。 包装 1. 次の必要な SOP を作成する。 新規包装工程、装置の操作など。 2. 包装工程と装置の適格性評価のバリデーション実行ステップに参加す る。 3. バリデーションデータの収集を支援する[現場でのサンプリング等]。 エンジニアリング 1. 次の技術文書を作成する。 マニュアル、調査報告書、メンテナンス報告書、仕様書など。 2. これらの文書の保管および更新をする。 メンテナンス[エ 1. バリデーション実行ステップに参加して、次の必要な情報を明確にす ンジニアリングと る。 同じ部門のことも 装置の仕様、限度、能力、校正、メンテナンス要件など。 ある] 2. 設備・装置の IQOQ の実施に参加し、担当部門を支援する。 3. 装置の運転およびメンテナンスの教育訓練を行う。 4. 必要なユーティリティや装置の部品を供給する。 試験室 1. バリデーション実行ステップに参加して、サンプリング、試験、試験 結果の報告を行う。 2. 新規分析法の技術移転先としての作業を行う。 R&D[受託会社の 1. 次の技術支援または技術移転を行う。 場合は委託元] 工程の明確化、規格、限度、製造法など。 2. 分析法のバリデーションおよび分析法の技術移転を行う。 5. バリデーションと適格性評価 5-1. バリデーションと適格性評価の関係 自社が実施するバリデーションおよび適格性評価は、変更時の再バリデーション・再適 格性評価を含む以下のアプローチである。 (1) 設計時適格性評価(Design Qualification;DQ) 11 SOP 要件の整理(VMP) (2) 据付時適格性評価(Installation Qualification;IQ) (3) 運転時適格性評価(Operational Qualification;OQ) (4) 性能適格性評価(Performance Qualification;PQ) (5) プロセスバリデーション (6) クリーニングバリデーション (7) コンピュータバリデーション バリデーションと適格性評価のアプローチの関係は、次のようなバリデーションサイク ルのとおりである。 (図表 VMP-7) 図表 VMP-7:バリデーションと適格性評価の関係 バリデーションマスタープラン 設計時適格性評価 再バリデー ション リスク分析 再適格性評価 据付時適格性評価 モニタリング モニタリング 保守 運転時適格性評価 保守 変更管理 性能適格性評価 変更管理 クリーニング プロセス コンピュータ バリデーション バリデーション バリデーション バリデーション報告書 5-2. 適格性評価 (1) 設計時適格性評価(Design Qualification:DQ)[EUGMP の要件] ① 定義 12 SOP 要件の整理(VMP) DQ は、工場の設備・システム・装置の設計の草案が使用の意図に適している ことを示す文書化された証拠の提示である。最終設計の段階でユーザー要求仕 様の必須項目と GMP 規則に準じた設計であることを証明し、文書化する。新 規設備、システム、装置のバリデーションの初めに実施する IQOQ に先駆け た適格性評価である。 ② DQ プロトコルの内容 次の項目を含む。 ・基本方針 ・対象設備・装置 ・設計要件・据付要件・据付技術 ・性能データ・機能仕様 ・管理・測定・保守・校正・クリーニング要件 ・提出文書 ・アフターサービス ・評価方法(ユーザー要求仕様) - 最終設計がユーザー要求仕様と GMP 規則に適合していることの確認 ・DQ 評価の要約 ・責任の所在 ③ DQ の手順 工場の設備・装置等に関してユーザーが求める条件や能力などをもとにユーザ ー要求仕様を作成する。ユーザー要求仕様は、必須項目とあれば望ましい項目 とに分け、最終的に現実的で可能な仕様になるよう調整する。ユーザー要求仕 様には、使用の適格性を評価したり、要求事項を試験することができるように、 ユーザーが求める仕様の限度を記載する。 供給業者の適格性評価で業者を選定し、ユーザー要求仕様をもとに技術仕様を まとめて作成した最終設計を評価する。評価は、設計がユーザー要求仕様の必 須項目を満たすことを確認する。 (2) 据付時適格性評価(Installation Qualification:IQ) ① 定義 IQ は、装置のすべてが、供給業者の仕様と DQ の要求仕様に従って据え付け られたことを示す文書化された証拠の提示である。新規または改修する設備・ 装置等について実施する。既存の装置で IQ が実施されていないものには、回 顧的に IQ を実施できる。 13 SOP 要件の整理(VMP) ② 基本原則 装置は据付計画通りに正しく設置されること。 校正、保守、クリーニングの要件の草案をレビューして、会社の SOP とし て承認する。 運転要件を設定して、装置が正しく稼働することを確認するために、正常な 条件およびワーストケースの条件で試験する。 新規装置に関連する運転担当者の教育訓練要件を文書化する。 ③ IQ プロトコルの内容 次の項目を含む。 ・基本方針 ・対象となる設備・装置等の説明 ・実施手順 ・署名の識別 ・許容基準 ・試験の規格 ・試験手順 - 文書(図面を含む)の完全性と更新の確認 - 装置の納入に関する確認 - 仕様通りの全装置・部品の確認 - 全装置・部品の識別(リスト) - 全装置・部品の据付技術と据付の完全性の目視検査 - 仕様通りの材料であることの確認 ・試験の結果 ・逸脱への対応 ・責任の所在 ④ IQ の手順 IQ は、DQ で求めた文書をチェックして、実施される。文書には、設備の図 面、据付リスト、構成部品リスト、据付マニュアル、運転指図、回路図、交換 部品リスト、摩耗部品リスト、保守手順、クリーニング手順、校正証明書、材 質等証明書、ソフトウェアとハードウェアの文書、製品接触部位リスト(表面 と材質)などが含まれる。文書は、正確で、完全で、更新されていること。 装置、配管、ユーティリティなどは、施工図および仕様に照らしてチェックす る。供給業者の提案する保守・校正要件と操作手順をチェックする。入荷部品 は目視検査を実施し、欠陥がなく、正しく組み立てられ、ユーティリティが正 しく接続され、機械の接続が全て正しいことを確認する。 14 SOP 要件の整理(VMP) 複雑で大きな装置については、製作現場でチェックした結果の一部(材質、寸 法など)を採用してもよい(FAT) 。 IQ で検出された逸脱や変更は、全て逸脱リストに記入し、改善責任者と改善 期日を決定する。ユーザー要求仕様に照らして改善の必要がない場合は、改善 の代わりに現状図を変更することでもよい。改善・変更結果は全て再チェック し、最終報告書に結果を記載する。 (3) 運転時適格性評価(Operational Qualification:OQ) ① 定義 装置・ユーティリティシステムが稼働条件内で、適切に再現性をもって運転で きることを示す文書化された証拠の提示である。OQ は、IQ が正しく完了し てから実施する。OQ が終了すれば、設備の適切性のチェックは完了したとみ なす。 ② 基本原則 実施前に計器の校正が実施され、承認されていること。 品質に影響を与えるような重要運転パラメータを OQ の段階で識別する。 稼働条件の上下限(ワーストケース)で試験し、再現性を確認する。 OQ が完了したら運転手順と運転担当者の指図書を最終化する。できれば保 守計画と校正計画も最終化する。 保守計画と校正計画を最終化する。 クリーニング手順の草案を最終化して、SOP を発行する。適用できる場合 は、この手順は、PQ の段階でバリデートする。 IQOQ が終了したら報告書を承認して、次の段階のバリデーションを実施す ることができる。 ③ OQ プロトコルの内容 基本方針 対象となるシステムの説明 実施手順 測定機器 工程の点検・ユーティリティ等 消耗品 試験手順 - 試験の目的 - 必要な装置 15 SOP 要件の整理(VMP) - 準備方法 - 試験手順 - 許容基準 - 記録するデータ - 追加試験 試験結果 機能不良時の手順 ④ OQ の手順 すべての装置のあらかじめ定めた機能をチェックするために、試験手順を開 発し、許容基準(合否判定基準)を事前に設定する。 OQ は、IQ が完了してから実施する。OQ のプロトコルで承認された試験手 順を実施する。許容基準に照らして合否判定を行う。第 2 者が試験の実施と 判定の確認をする。 すべての試験が終了したら、OQ の報告書を作成する。OQ の報告書をレビュ ーして承認の署名をする。 (4) 性能適格性評価(Performance Qualification:PQ) ① 定義 OQ が設備・装置を分離して評価するのに対し、PQ は特定の製品またはシス テムに連結した設備や工程が、長期間にわたって稼働条件内で、規格に適合す る品質の製品を生産することを示す文書化された証拠の提示である。これらの 評価を、プロセスバリデーション(PV)で実施する場合は、PQ を省略する ことができる。 ② 基本原則 設備・装置の個別の OQ が完了した後で実施する。 重要なばらつきの上下限、装置の運転限度、ワーストケースなどでの稼働を 含む。 PQ で記録したパラメータをまとめて、性能を評価する。 ユーティリティの稼働も含めて試験する。 PQ の段階で、 使用やクリーニングなど、 必要なすべての SOP を承認する。 PQ は PV の一部として実施することができる。 ③ PQ プロトコルの内容 基本方針 16 SOP 要件の整理(VMP) 対象となるシステムの説明 実施手順 工程の点検・ユーティリティ等 消耗品 試験手順 - 試験の目的 - 必要な装置 - 準備方法 - 試験手順 - 許容基準 - 記録するデータ - 追加試験 試験の結果 機能不良時の手順 ④ PQ の手順 OQ が完了した後で、それぞれの装置が工程に対応して、あらかじめ定めた要 件に合致することを示すため、OQ と同様に許容基準を設定して試験を実施す る。PQ では、代表的なサンプルを用いて、関連するユーティリティを含めて、 全体のシステムが設定条件の上下限(ワーストケース)で適切に稼働すること を確認するためのデータをとる。パラメータのデータと代表サンプルの評価デ ータをもとに、システムの性能の妥当性を確認する。 (5) 再適格性評価(Re-Qualification) 装置の回収や移設などは、正しくレビューして、変更管理手順に従って変更の提 案書を承認する。レビュー手順の一部として、装置の再適格性評価の検討を含む。 軽微な変更や品質に影響しない変更は、予防保守のシステムに基づいて処理する。 好ましくない傾向が見られた場合、マイナーな変更を繰り返してきた影響を判断 したい場合などにも実施する。 年次照査などで、重要な変更がなく、保守や校正などで適格性評価された時と同 じ機能を有していることを確認していれば、再適格性評価の必要はない。 (6) 既存装置の適格性評価 運転パラメータと重要変数の限度を裏付けるデータをもとに、回顧的に実施する。 校正、クリーニング、予防保守、運転手順、運転担当者教育訓練手順を文書化し、 17 SOP 要件の整理(VMP) SOP として使用する。 5-3. プロセスバリデーション(PV) (1) 定義 工程が特定されたパラメータで再現性と信頼性をもってあらかじめ定めた品質の 製品を製造できることを確認し文書化された証拠を提供することである。 プロセスバリデーションの計画書を作成しなければならない。プロセスバリデーシ ョンは、工場の各製品に対して実施しなければならない。バリデーション報告書は、 個別のバリデーション計画の結果をすべて含まなければならない。PQ のプログラ ムは、プログラムと報告を一つの文書にしてもよいのに比し、PV はプログラムと 報告を個別の文書にしなければならない。 (2) PV プロジェクトプランの内容 次の項目を含むこと。 ・バリデートする製品と製造工程 ・実施するバリデーションの種類(予測的、回顧的、コンカレント) ・製品製造工程のバリデーションのスケジュール ・バリデーションに用いるバッチ数 ・責任の所在 (3) PV プロトコルの内容 ・製品の説明と開発履歴 ・製造工程の手順とフローチャート ・製造に必要な装置すべてのリスト ・装置の校正状況 ・製品の品質に重要と思われる製造ステップ ・モニタリングするパラメータ ・スケジュール ・すべての試験手順 -サンプリング手順(いつ、どこで、どのように、どれぐらい) -サンプルの表示 -試験手順 -記録の方法 -評価手順 -中間製品と最終製品の規格 18 SOP 要件の整理(VMP) -合否判定基準 ・責任の所在 (4) PV の手順と文書化 PV の手順実施前に、すべての装置の適格性評価が完了していること。すべてのバ ッチの中間製品と最終製品の規格が満たされたときに、この工程はバリデートされ たことになる。 PV のスケジュールと他の要件は、すべて PV 計画書に記載する。 5-4. クリーニングバリデーション(CLV) (1) 定義 クリーニング手順が特定されたパラメータで、製品の接触表面、非接触表面のクリ ーニングが再現性と信頼性をもって実現できることを確認し、文書化された証拠を 提供することである。 (2) クリーニングバリデーションの方針 ① クリーニングバリデーションは、クリーニングの手順が次の基準をみたし、汚 染および交叉汚染を回避することを確実にするために実施する。 製品接触表面の有効成分濃度が、限度の規格を超えないこと。 製品非接触表面の高活性成分(ホルモンや細胞毒)濃度が、限度の規格を超え ないこと。 製品中の製品以外の活性成分(洗剤、消毒剤どな)の濃度が、限度の規格を超 えないこと。 製品接触表面の微生物数が、限度の規格を超えないこと。 ② クリーニングバリデーション計画書にバリデーション手順を記載すること。手 順は、代表的な装置及び工程を選定し(ブラケティング)、バリデーションを 実施してもよい。ブラケティングの基準は、バリデーション計画書に記載する こと。 ③ 専用ではない装置・工程の場合、個別の製品または製品群のクリーニング手順 をバリデートしなければならない。 ④ 1 品目専用の装置は、バッチ間のクリーニング手順を実施後、目視の確認をす 19 SOP 要件の整理(VMP) ることでよい。この場合、手順のバリデーションは必要としないが、クリーニ ング後の装置の微生物学的清浄度とクリーニングを軽減することによる製品 の安定性を確立しておかなければならない。 ⑤ 中間製品や最終製品が分解するような製品は、装置表面の分解物が許容基準を 超えないことを確認しなければならない。 ⑥ クリーニング手順の開発やバリデーションは、ふつう製品開発の一部として行 われるため、予測的バリデーションが採用される。 (2) CLV プロジェクトプランの内容 次の項目を含むこと。 ・バリデートする製造工程(製品マトリクス) ・実施するバリデーションの種類(予測的、回顧的、コンカレント) ・製品のプロセスバリデーションのスケジュール ・バリデーションに用いるバッチ数(一般的には 3 バッチ) ・責任 (3) CLV プロトコルの内容 次の項目を含む。 ・バリデーションの目的 ・責任 ・製品の情報(剤型、力価など) ・簡単な処方原本 ・検出すべき物質 ・クリーニング手順 ・サンプリングの方法(スワブ法、リンス法) ・分析法 ・結果の評価法 ・許容[合否判定]基準 ・クーニングする場所とサンプリングの場所 ・サンプリング手順 ・製造終了後からサンプリングまでの時間枠 ・バリデーション実施の回数(適格性を有する者[教育訓練済み]のみが実施) ・許容基準を超えた場合に必要な手順の説明 CLV プログラム(プロトコル)と CLV 報告書は個別に切り離して作成する。報 告書は全ての CLV 実施結果を記載する。 20 SOP 要件の整理(VMP) (4) 製品および装置のブラケティング バリデーションの手順に代表製品を選定しておこなうブラケティングにより、類似 製品を同じ装置で一緒にバリデートすることができる。この場合、CLV は製品の 重要パラメータに基づいて実施する。類似製品の代表を選定する基準は次のとおり である。 ・同一の投与剤型 ・同一の製造工程 ・類似した製剤 ・活性成分の特性 ・類似の治療効果 ・毒性 類似製品と同様に、製造工場も類似の工場で分ける。類似のレイアウトと機能を有 する工場を選定し、その CLV 手順を採用する。このタイプのブラケティングを採 用する場合は、選定した工場が同じクリーニングの SOP に従って、正確に同じ手 順でクリーニングすること。(図表 VMP-8 参照) 21 SOP 要件の整理(VMP) 図表 VMP-8:マトリクス/ブラケティングアプローチ 洗浄手順 CP101 (CIP;定置洗浄) 装置 ステンレス製ミル [I] 製品 A 2,3 C E 1,4 グラスライニング混合タンク [II] ステンレスタンク [III] A E B B A B 2,3 C D E 1,4 B 個別: 9 CP202 (マニュアル洗浄) 選定 マトリクス/ブラケット: 4 ステンレスポンプ [I] A 2,3 C E 1,4 プラスチック器具[II] A (スコップ、バケツ、トレーなど) B 2,3 C D E 1,4 ステンレス溶液タンク [III] A B 2,3 C E 1,4 ステンレス容器 [III] A B 2,3 C D E 1,4 個別: 17 A E B - プラスチック E - プラスチック B N/A マトリクス/ブラケット: 5 重要選定基準 化合物特性 装置設計 1 – 最も水に溶け難いもの [I] – 最もクリーニングしにくいもの 2 – 最も毒性の高いもの [II] – 中程度にクリーニングしにくいもの 3 – 最も力価の高いもの [III] – クリーニングしやすいもの 4 – 最も除去が難しいもの 5-5. コンピュータバリデーション(CSV) (1) 定義 CSV は、コンピュータシステムによって制御された工程が確認可能で、特定の製 品品質を再現性と信頼性をもって実現できること示す証拠文書を提供することで ある。 22 SOP 要件の整理(VMP) (2) CSV の方針(ライフサイクルアプローチ) コンピュータシステムのバリデーションは、ライフサイクルアプローチで実施する。 CSV のライフサイクルは、計画、プログラミング、テスト、スタートアップ、文 書化、運転、チェック、変更を含む。 (3) CSV プロトコルの内容 ① 要求事項に従ってソフトウェアをバリデートするために、次の項目を実施する。 ・文書化 - プロジェクトプランの作成と適用 - 品質計画 - ユーザー要求事項(UR)の作成 - 機能仕様の決定 - ユーザーマニュアルの作成 - システムオペレータ用のマニュアル作成 ・ライフサイクルの文書基準 ・リスク分析 ・パラメータ/コンフィギュレーションのコーディング ・モジュールとインテグレーションの試験計画と実施 ・ソフトウェア構築 ・バリデーション報告書 ・完了基準 ② 包括的に活動する場合は、次の項目も考慮する。 ・システムのインベントリ ・コンフィギュレーション管理 ・欠陥調査と是正処置 ・変更管理 ・教育訓練 ・責任 ・監査の計画と実施 ・レビューの計画と実施 ③ ハードウェアのライフサイクルは次のステップに分かれる。 ・調達と据付 ・運転 ・リタイア 23 SOP 要件の整理(VMP) ④ コンピュータシステムの環境条件は、作業に影響するため、次の条件を管理ま たは予防手段を構築しなければならない。 ・温度 ・湿度 ・電圧の安定性 ・発煙 ⑤ コンピュータ室では次の予防管理を実施する。 ・刺激性ガス ・電圧の変動 ・雷(稲妻) ・火災 ・水害 ・振動 ・静電気 予防管理の範囲は、個別のシステムの感度や関連するリスクによって、決定す る。 ⑥ バリデーション報告書は、すべてのバリデーションが終了後に作成する。バリ デーション活動の重要な部分をまとめ、バリデーションが終了したことを示す。 5-6. 分析法のバリデーション (1) 定義 原料、中間製品、製品の品質評価に用いる試験法が、正しく正確な結果を一貫して 得られることを示す証拠文書を提出することである。 (2) 分析法バリデーションの方針 ① バリデーションのプロトコルに含まれている試験法は、バリデートされたもの であること。 ② バリデーションは、原則 ICH Q2 に準じて実施する。 ③ 製販業者が開発し、バリデートした分析法を採用することができる。この場合 は、分析法の移転の手順に従って、自社での試験実施の妥当性を確認する。 24 SOP 要件の整理(VMP) 6. 文書化 (1) 文書管理 ① バリデーションコーディネータは、すべてのバリデーション文書に対する責任 を有する。 ② バリデーションの終了時点で、文書はバリデーションの責任者が保管管理する。 ③ 変更や再バリデーションが行われた場合は、文書を更新すること。 ④ バリデーションの責任者は、文書の最新改訂版を配布する。 ⑤ バリデーションチームに割り当てられた各部門は、図表 VMP-6 に示す文書管 理責任を有する。 (2) バリデーションプロトコルおよび報告書の書式 プロトコルおよび報告書の必須記載事項は次のとおりである。 ① バリデーションの実施のために作成する文書は、自社の基本書式(別添1:バ リデーション文書の書式チェックリスト)に従って作成することを原則とする。 ② 契約会社や協力会社によって異なる書式が使用されることを妨げないため、最 低限、基本書式の記載事項が含まれていれば、そのコピーを採用することがで きる。この場合は、文書管理のために自社の定めた表紙を用いる。 ③ 必須事項の記載漏れがないことを保証するために、各文書の作成責任部門は、 チェックリストを用いて記載内容をレビューし、自社の定めた表紙に部門承認 の署名をする。 ④ 協力会社のプロトコルや報告書に不足する項目があれば、追加を依頼するか、 自社での追加の作業を実施してもよい。 (3) バリデーションマトリクス VMP の中のすべてのバリデーション活動は、バリデーションマトリクスに要約す ること。このマトリクスには、次の項目で必要な活動を一覧できるようにする。 ① 適格性評価(DQ、IQ、OQ、PQ)の範囲 ② クリーニングバリデーション ③ プロセスバリデーションのアプローチ(予測的、回顧的、コンカレント) 25 SOP 要件の整理(VMP) ④ 再バリデーション ⑤ 現状と将来の計画 ⑥ グループ化、ブラケティング、マトリキシング このマトリクスには、用いる分析法のバリデーションおよびコンピュータバリデー ションについても記載する。[オプション:また、各活動の優先順位と責任の所在 が一覧できるように記載する。] マトリクスの項目が多岐にわたる場合、複数の 書式にまとめてもよい。 (図表 VMP-9 は、その一例である) 図表 VMP-9: 名称 製品# 混合工程 123 適格性評価 DQ IQ OQ ○ ○ ○ PV CLV CV AV 再V 予測的 ○ ブラ ○ ○ - PQ ケット 打錠工程 345 ○ ○ ○ ○ 予測的 ○ ○ 注:項目は、プロジェクトに応じてマトリクスの必要項目を記載する。 PV:プロセスバリデーション CLV:クリーニングバリデーション CV:コン ピュータバリデーション AV:分析法バリデーション 再 V:再バリデーション [業者の作成したマトリクスを採用するのが良いでしょう] (4) SOP バリデーションの各活動に必要プロトコルおよび SOP を確認し、リストを作成す ること。 (図表 VMP-10 は、その一例である) 図表 VMP-10:必要なプロトコルと SOP システム・装置 プロトコル IQ OQ PQ HVAC ○ ○ ○ 排水システム ○ ○ カプセル充填機 ○ ○ PV:プロセスバリデーション CL SOP FR OP PM ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ CL CAL CV ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ PM:予防保守 FR:最終報告書 OP:作業手順 CL:クリーニング手順 CAL:校正手順 CV:コンピュータバリデーション 26 SOP 要件の整理(VMP) 7. 変更管理 (1) 製品、工程、装置などに関する変更およびその他の品質に影響する可能性のある変 更が必要な場合は、全て変更管理手順書[文書番号を記載する]に基づいて実施する こと。これら変更は、調査、記録、承認すること。 (2) 変更の対象となった工程で製造した製品は、それが適合していることを正当化し、 品質部門の承認を得るまでは、出荷してはならない。 (3) 次のような変更については、原則として再バリデーションを実施する。再バリデー ションを実施しない場合は、その理由を文書化すること。 変更項目 原料、原料製造業者、包材、工程(混合時間、乾燥温度など)、装置(自動検出シ ステムを追加したなど) 、製造区域(区域の再割り付け、配置換えなど) 、サポート システム(新規の水処理法の採用)、その他の場所への工程の移転、予期しない変 更(自己点検や定期的傾向分析中に観察された対象) 8. 対象サイトの説明(工場、工程、製品) [この項目は、当該サイトの建物(製造棟)、工程、製品について概要を記載する。別途 工場概要に記載されていれば、それを参照する。] 当工場の概要は、別紙[文書名を記入]参照のこと。 <記載内容例> 工場、装置、製品の概要は、次のとおりである。各棟の主目的[正式名称を記入]棟 で、当工場敷地内に位置し(別紙工場配置図参照)、[工場の主要目的、製剤につい て記入]を製造する施設である。 27 SOP 要件の整理(VMP) 建物名 製造○棟 用途 経口固形剤の製造 製品 カプセル剤 錠剤 製造○棟 半固形製剤の製造 クリーム剤 軟膏剤 品質管理○棟 試験 全製品 原材料倉庫○ 原材料の受け入れ保管 全製品 危険物倉庫○ 危険物の保管 製品倉庫○ 最終製品の流通用保管 全製品 建物の設計および材料の選定は、GMP 規則に準じておこなう。製造区域の壁、床、 天井は、GMP 規則の提案に沿って設計する。 各部屋の仕様、環境、ユーティリティは、別紙[別添 2「建物の概要」に例を示す が、業者の作成した文書を参照する]を参照のこと。 当該施設に設置された主要設備・装置は、別紙[別添 3「設備・装置の概要」に例 を示すが、業者の作成した文書を参照する]を参照のこと。 9. バリデートする製品、工程、システム バリデートする製品、工程、システムを列挙して、バリデーションマトリクスに記載す る。次の項目について、考慮すること。[業者が提出した文書を参照するとよいでしょ う] 製品情報(製品名、力価、剤型、バッチサイズなど) 製品の品質規格 試験法(バリデートされていること) 製造工程フロー 重要パラメータ 工程管理規格 使用装置、システム バリデーションのアプローチ(予測的、回顧的、コンカレント) 実施するバリデーションの種類(プロセス、クリーニング、コンピュータ) 適格性評価の範囲と実施状況 28 SOP 要件の整理(VMP) 10. 合格判定基準 バリデーションプロトコルと試験計画に、記載される結果と許容基準をリストする。も し、バリデーションの結果がこの許容基準に適合しなかったら、その工程は管理下にな いことを意味する。許容基準は常に、第 1 回目のバリデーションを実施する前に明確 にしておかなければならない。許容基準を適切にけっていすることは、バリデーション プロジェクトにとって重要であるため、バリデーションプロトコルに含める必須項目で ある。[業者が提出した文書を参照するとよいでしょう] 許容基準を決定するときは、次のことを考慮すること。 製造指図 申請書類 製品の規格 研究開発とパイロットプラントからスケールアップまでの結果と経験 11. 計画とスケジュール 各適格性評価、バリデーションの調査は、個別に実施計画を作成し、品質部門[バリデ ーションレビューチーム]が、レビューと承認すること。 個別の実施計画によって行われる活動は、優先順位[オプション]、実施時間枠、担当部 門、必要人員、必要なトレーニングその他の注意事項などをまとめ、バリデーションマ トリクスに記載する。次の項目に考慮すること。[業者が提出した文書を参照するとよ いでしょう] 12. 優先順位 実施予定期間 人工(人・日) 担当部門 トレーニング 用語の定義 [次の用語は、EU Annex15 ”Qualification and Validation”の GLOSSARY に準じ て追記してください。] Change Control 29 SOP 要件の整理(VMP) Cleaning Validation Concurrent Validation Design qualification (DQ) Installation Qualification (IQ) Operational Qualification (OQ) Performance Qualification (PQ) Process Validation Prospective Validation Retrospective Validation Re-Validation Risk analysis Simulated Product System Worst Case 30 SOP 要件の整理(VMP) 別添1 バリデーション文書の基本書式チェックリスト [自社の定型の表紙を添付する;以下の内容が入っていることを確認する] 表紙 会社名: 自社名。必要に応じて工場名を記載する。 文書番号: 自社の文書管理規定にしたがった付番であること。協力会社の文書にもこの文書番 号を用いる(協力会社の文書のコピーにこの表紙をつける) 。 文書名: 文書の目的に合致した名称をつける。 日付: 作成日、承認日、発効日の年月日を記載する。 署名: (1) 作成者、確認者(部門承認)、承認者の氏名(フルネーム)と職位[オプション] および部門を記載する。 (2) 協力会社が作成した場合は、会社名、部門名[できれば職位も]、連絡先を記載 する。 改訂: 文書管理規定に従った改訂番号を記載する。 31 SOP 要件の整理(VMP) [自社の定型用紙を添付する;以下の内容が入っていることを確認する] DQ のユーザー要求仕様 設備/装置の目的 設計要件: 技術データ、構造と構築技術、付属品と交換部品、製品接触表面・部品の材質 据付要件: 寸法、環境条件(部屋、ユーティリティ、HVAC、安全など) 性能データ: 製品リスト(規格) 、作業工程の説明(フローチャート、工程のばらつき、条件)、 使用頻度、製造量 設備の管理、測定方法 保守、校正、クリーニングの要件 設備・装置の機能面の証拠(製作現場での試運転など) 提出文書: 技術文書、証明書(CE など) 、校正と基準の証明書、運転マニュアル、材質証明、 交換部品リスト、ソフトウェアやソースコードの品質証明、運転者用の教育訓練文 書 アフターサービス 要求仕様にあわせた改造と補足文書 据付スケジュール 32 SOP 要件の整理(VMP) [自社の定型用紙を添付する;以下の内容が入っていることを確認する] IQ のプロトコル記載内容 IQ の要件 責任 メーカーの仕様と発注仕様: 製造業者、部品番号、モデル番号、シリアル番号、寸法、容量、材料、仕上げ、ユ ーティリティ(電気、空気、蒸気、窒素、加熱、冷却)など 設備・装置の機能面の証拠(製作現場での試運転など) FAT の記録(現場での実施軽減のため) 、SAT のプロトコル 実施の詳細な指図:[EU はチェックリストを要求している] 入荷装置・部品のチェック(DQ の要件との比較) 図面・リスト・文書のチェック(更新された文書が完備しているか) 正しく組み立て据付されたことのチェック(施工計画に基づいて) 主要部品と構成品の据付のチェック 完全性のチェック(基礎、配列、位置、リーク試験など) 材料、仕上げのチェック 溶接のチェック ユーティリティの接続と能力のチェック 装置の洗浄/不動態化処理の実施 試験装置の校正のチェック 校正の実施 許容基準: 上記に対応する許容基準 変更の手順: 逸脱のフォローアップ 文書の確認: 設備・装置の図面、配管および据付の施工図、据付リスト、構成部品リスト、据付 マニュアル、回路図、交換部品リスト、摩耗部品リスト、保守手順、校正手順、ク リーニング手順、校正証明書、材質等証明書、ソフトウェアとハードウェアの文書、 製品接触部位リスト(表面、材質など) 、試験証明書(安全性など)、ソフトウェア やソースコードの品質証明、運転者用の教育訓練文書(運転マニュアル)、業務担 33 SOP 要件の整理(VMP) 当者の適格性評価 記録と報告書の作成: 現状図の作成 レビューと承認の責任: 現状図の承認 34 SOP 要件の整理(VMP) [自社の定型用紙を添付する;以下の内容が入っていることを確認する] OQ のプロトコル記載内容 OQ の目的 責任: 初回の校正と記録および校正の間隔の決定: 品質に影響を与える機能の識別: 運転手順書: 性能データ: 製品リスト(規格) 、作業工程の説明(フローチャート、工程のばらつき、条件)、 使用頻度、製造量 必要な SOP 実施の詳細な指図: 初回の校正と記録および校正の間隔の決定(完了していなければ) 電磁波の干渉に関するチェック(影響がないこと) 品質に影響を与える機能のチェック(パラメータの確認を含む) 安全装置、警報などのチェック 環境条件のチェック 運転マニュアルにもとづいた運転手順書の編集 試験に用いる装置の校正のチェック ユーティリティの接続と能力のチェック コンピュータ関連システムの機能試験 一般的な運転と管理のチェック 運転試験(ワーストケースでの再現性の確認) ログブックの作成 保守プログラムの作成 必要に応じてクリーニング・消毒・滅菌の手順の採用 記録と報告書の作成 35 SOP 要件の整理(VMP) レビューと承認の責任 36 SOP 要件の整理(VMP) [自社の定型用紙を添付する;以下の内容が入っていることを確認する] バリデーションプロトコル記載内容 背景情報: 装置、システム、製品、工程などの履歴、工程や作業の説明または参照、バリデ ーションまたは適格性評価をする理由、必要ならバリデーションのアプローチを 決定または支持する履歴データの傾向、開発・スケールアップ報告書や以前の適 格性評価やバリデーションの文書の参照などを記載する。[常に必要な記載事項で はない] 目的: この文書を書く目的を記載する。 適用範囲: 製品、工程、システム、装置など、バリデーションや適格性評価の範囲や影響を 記載する。 バリデーションの対象とアプローチの仕方: (1) 工程の条件や装置の仕様は何か、ワーストケースや安全マージンをとるのか 通常の作業条件で行うのか、プロトコルの作成やレビューでの重要事項(必 要なサポート情報、測定のパラメータ、許容基準)など、 「何を」を簡潔かつ 明確に記載する。 (2) また、予測的、回顧的、コンカレントなど、バリデーションアプローチを選 定の根拠を含めて、 「何故か」を簡潔かつ明確に記載する。 責任: 誰(部門)が何をするかを記載する。 (1) 実施(バリデーション、適格性評価) (2) 文書化(プロトコル、報告書) (3) データの分析 (4) レビューと承認(プロトコル、報告書、逸脱) (5) サンプリング、試験、試験結果の報告 (6) プロジェクトのコーディネート (7) 記録の保管と配布 文書リスト: (1) 必要文書(SOP、図面など)をチェックするためにリストする(文書が全て 揃わなければ計画を実施できないので注意すること)。 (2) 文書は文書番号と作成日(または発効日)で特定できること。 37 SOP 要件の整理(VMP) 工程の説明またはフロー: 対象となる建物、工程、システム、製品などの説明やフロー図を記載する。 (1) プロセスバリデーションの場合は、工程のフローチャート、工程のバッチ記 録の参照またはコピーの添付、 (必要なら)重要工程および重要工程パラメー タの参照またはリストなどを記載する。 (2) 装置の適格性評価のための運転の場合は、運転のモードや順序のフローチャ ート、装置の機能の説明、仕様のリストや参照(IQ 時の設計仕様、OQ 時の 機能仕様)を記載する。 実施手順: この手順で実際に実行できる程度に詳細に記載した指図であること。 (1) 何をチェック、何をサンプルにするか、何を試験するかなど。 (2) 上記をどのように実行するか。 (3) バリデーションや適格性評価の機能、工程のステップ、採用しない工程パラ メータの合理的根拠の説明または参照。 必要な材料や道具のリスト: 使用する装置、器具、マテリアルなどを記載する。 (1) 測定機器 (2) サンプリング機器と容器 (3) 試験キットや機器 サンプリング、測定、モニタリング場所: サンプリング場所、測定場所、モニタリング場所などを記載する。 (1) 可能なら、図で示すとわかりやすい。 (2) 場所の選定の是非の正当性を含めるか参照する。 (3) ワーストケース、問題が起こりやい場所、代表的な場所のモニタリングをサ ポートする記述または文書を参照する。 ワーストケースの条件: あらかじめ定めた規格範囲での再現性を確認するときにチャレンジする条件を記 載する。一般的には、重要な工程パラメータの規格の上下限、装置の仕様の範囲 または稼働条件の上下限などの条件のワーストケース、製品グループの特性の中 で最も高い製品、構造が最も複雑な装置などブラケティング、マトリキシングア プローチで採用するワーストケースなど。 サンプリング計画および指図: 38 SOP 要件の整理(VMP) サンプルサイズ、サブサンプルや混成サンプルの情報、サンプリングの方法、サ ンプルの識別などを含めた、サンプリングの場所、数量、頻度などを記載する。 (必 要に応じて統計的手法が用いられているかどうか確認する) 試験検査法: 実施する試験の識別、採用する試験法や検査法の識別、特別な試験の手順の識別 を記載する。 記録方法: 記録するデータおよび記録の方法(電子的、紙はのマニュアル記載など)を特定 して記載する。 報告方法: 試験結果やモニタリングの個別の結果、平均値、再現性や一貫性に関する報告内 容について記載する。 (1) 試験やモニタリングの個別の結果 (2) 試験やモニタリングの平均値 (3) 再現性や一貫性の要件(例えば、RSD) (4) (必要なら)データの統計学的分析 再現性または一貫性の要件: 例えば、RSD や統計学的分析(工程能力など)など、再現性や一貫性を評価する ために必要な要求事項を記載する。 工程が同等であることの評価: プロセスバリデーションの場合に、治験薬および安定性バッチの製造工程との同 等性を示す評価方法を記載する。 ばらつきや失敗・逸脱・異常の処理方法: (1) バリデーションや適格性評価の SOP や計画の一部として記載しておく。 (2) 逸脱や失敗に対してとる手段(バリデーションを中断するのか、逸脱を報告 してバリデーションを続けるのか、すぐに調査を行う条件はなにか、継続す るために事前の承認に必要なことはなにかなど)を記載する。 許容基準: 次のような基準を記載する。 (1) 定量的な基準や限度 (2) 期待される結果 39 SOP 要件の整理(VMP) (3) 規格への適合 (4) 一貫した作業 バリデーション後の計画: 例えば、年次照査などによる継続的なモニタリングや、ある期間継続的にバリデ ーションを実施してより確実にするための情報収集を行うなど、バリデーション 後の活動計画を記載する。 バリデーションマトリクス[PIC/S PI006 で要求されている] (1) サイトのプロジェクトの場合は、バリデートまたは適格性評価すべき全ての 製品、工程、システムを一覧表(マトリクス)にする。(図表 VMP-●) DQ、IQ、OQ、PQ の状況 バリデーションの状態を決定するのに用いる分析法のバリデーション クリーニングバリデーションの状況 プロセスバリデーションのアプローチ(予測的、回顧的、コンカレント) 再バリデーションの活動 現状と将来の計画 グループやファミリーの構成;ブラケティングとマトリキシング (2) マトリクスの個別の作業は、優先順位、責任部門をつけ、プロジェクト全体 を概観できるようにする。 40 SOP 要件の整理(VMP) [自社の定型の表紙を添付する;以下の内容が入っていることを確認する] 報告書の内容 プロトコルの試験要件に対する分析結果の考察: (1) プロトコルの要件を要約する(目的、サンプリングとモニタリング、プロトコ ルの参照など) 。 (2) 適合状況を記載する。 (3) 試験結果と許容基準の要約を記載する。 データの集計: 容易にレビューできるようにスプレッドシートやデータベースにまとめる。 生データの場所の参照: 容易に取り出せるように生データの保管先を参照する。 逸脱、不一致、除外、失敗の要約: (1) これらがバリデーションまたは適格性評価に及ぼす影響について詳細に評価 し、結論づける。 (2) 報告、調査、フォローアップ活動の文書(計画、記録、報告書)を参照する。 要約または結論: (1) バリデーションまたは適格性評価の目的と重要な許容基準について再度記載 する。 (2) 全体的な適合状況を述べる。 (3) バリデートまたは適格性評価したパラメータをリストする。 □ 承認の署名: プロトコルに記載した承認要件に従った署名をする。 41 SOP 要件の整理(VMP) 別添2 建物の概要 工事 部屋# 区域 作業 床 構成 壁 被覆 構成 天井 被覆 構成 被覆 水 蒸気 区域の要件 部屋# 区域 作業 相対湿 温度 ルクス 度 音響レ ベル 42 ガス SOP 要件の整理(VMP) 別添3 装置の概要 秤量区域 部屋# 装置の名称 製作業者 備考 この表を次の工程(区域)ごとに作成する。[該当しない工程は記入しない] □ 秤量区域 □ 調合・造粒・混合・篩過区域 □ カプセル化区域 □ 打錠区域 □ コーティング区域 □ 充てん包装表示区域 □ その他必要な区域 43 SOP 要件の整理(VMP) ◆FDA CGMPの要点 表2 VMP の要件 GMP の直接要件ではない。 FDA 査察官は、バリデーション実施の一貫性を見たいため VMP の閲覧をリクエストする。 もし VMP がない場合、バリデーション文書を複数見て調査し、 一貫性を確認する。有る場合は、代表的なバリデーション文書 をひとつ調査する。 業界標準的に VMP を作成している。 ◆GMP省令の要点 表3 VMP の要件 バリデーション手順書として要求しているが、バリデーション マスタープランとは明確に識別していない。 44 SOP 要件の整理(VMP) ◆EUGMP の要点 表4 VMP の必須項目 作成 バリデーションの方針 バリデーション実施の組織構造 バリデートする施設、システム、工程の概要 文書の書式:計画書と報告書の書式 計画とスケジュール 変更管理 既存文書の参照 バリデーション計画の重要要素を VMP または同等の文書で明 確に定義して記載すること。 大きなプロジェクトでは、個別の VMP を作成する必要がある かもしれない。 バリデーション クオリフィケーションとバリデーションをどのように実施す 計画書 るかを記載する。 計画書は照査、承認されること。WHO? 計画書には重要な段階と許容基準(合否判定基準)を特定する。 報告書 報告書と計画書は相互参照する。 報告書は、結果の要約、観察された逸脱のコメント、結論、欠 陥の是正に必要な変更の提案を含むこと。 DQ IQ に含む項目 計画書からのいかなる変更も文書化して、適切に正当化する。 新規のものに適用する GMP を遵守した設計と文書化 現状図と規格に対して、装置、配管、供給、器具の据え付けを チェックする。 OQ に含む項目 供給業者の操作および運転マニュアルと保守要件を収集する。 校正要件 構成材料の確認 工程、システム、装置の知識によって開発された試験 試験には運転の上下限(ワーストケース)の条件を含める (アメリカは再現性を求めている) OQ では、校正、運転とクリーニングの手順、作業者の訓練、 予防保守の要件を考慮する。 OQ に成功したら、施設、システム、装置が正式に使用可能に なる。 PQ に含む項目 上限下限の設定条件を含む実施した試験 使用した原材料 45 SOP 要件の整理(VMP) 適格性を認めた代替またはシミュレートした製品 既存装置のクオ パラメータとばらつきの需要な限度を裏付けて確認できる証 リフィケーショ 拠があること ン 校正、クリーニング、予防保守、操作手順、作業者の教育訓練 手順と記録を文書化する プロセスバリデ 三種類のバリデーションがある。1)予測的バリデーション、 ーション 2)コンカレントバリデーション、3)レトロスペクティブバ リデーション プロセスバリデ 新規工程およびその後の変更または定期的に関連して行う(再 ーションの実施 バリデーション) 。 VMP には、以下の項目を含むこと バリデーションの方針 バリデーション活動の組織 すでにバリデートしたもの、これからバリデートすべきものの状態を示し、設備・ 装置、システム、装置、工程の概要またはリスト(表にして、実施済み・計画中の 欄を作ってリストする) 文書様式(計画書、報告書など)。使用する様式を VMP に記述するか、参照する こと。 計画とスケジュールについて。計画は、前述の表で示すことを考慮する。VMP は 定期的にアップデートし、訓練とバリデーション作業を遂行するためのその他の要 件を示す。 変更管理 相互参照 46 SOP 要件の整理(VMP) ◆マスタープランの記載ストラテジー(PIC/S GMP ガイダンスと EUGMP ANNEX15 参照) プラン 記載内容 マスタープラン 1. 目的 2. 用語の定義 (1) VMP の定義について記載する。プロジェクトプラ ンとの関係も。Glossary はガイダンスのものを採 用 3. 適用範囲 (1) 工場における製品と工程管理に関する重要な作業 に関するバリデーションを全て含める。 (2) 主要装置の適格性評価も含む。 (3) 予測的、コンカレント、回顧的バリデーション、再 バリデーションを含む。 (4) 新規工場プロジェクトでは、新規プロジェクトのプ ロジェクト(マスター)プランを作成する。 4. バリデーション方針 (1) バリデーション方針 (2) バリデーション、適格性評価、プロジェクトの概説、 場所とスケジュール(優先順位) 5. バリデーションの組織構造 6. バリデーションする設備、システム、装置、工程 (1) 工場、工程、製品の記述) ① 多部署との相互参照 ② バリデーションのアプローチと範囲について バリデーションする/しないの根拠を記述す る。ワーストケースチャレンジの説明。ワース トケースのグルーピングの根拠。 (2) 特定の工程で考慮する点 ① 工場/工程の特異的な特徴(固形剤)/要件に 望んで、重要な製品の収量と特別注意すること を完結に述べる。 (3) バリデートする製品・工程・システムのリスト ① バリデーションマトリクス (4) 主要な合否判定基準 7. 文書の書式 (1) 必要な SOP 47 SOP 要件の整理(VMP) 8. 計画とスケジュール 9. 変更管理 10. IQOQ (1) 原則 (2) DQ の全般的な記述 (3) DQ の必須要素 (4) IQ の全般的な記述 (5) IQ の必須要素 (6) 校正要件 (7) 供給業者のチェック (8) ユーザーのチェック (9) IQ (10) OQ の必須要素 (11) 再適格性評価 (12) 既存の装置の適格性評価 11. プロセスバリデーション(非無菌)プロジェクトプラン (1) 原則 (2) 一般要件 (3) 予測的バリデーション (4) コンカレントバリデーション (5) 回顧的バリデーション (6) 再バリデーション (7) 変更管理 12. クリーニングバリデーションプロジェクトプラン (1) 原則 (2) 目的と適用範囲 (3) 一般要件 (4) 文書化 (5) 要員 (6) 装置 (7) 微生物学的展望 (8) サンプリング ① 直接表面サンプリング ② リンスサンプル (9) 洗剤 (10) 分析法 (11) 限度の設定 13. コンピュータバリデーションプロジェクトプラン 48 SOP 要件の整理(VMP) (1) バリデーション方針 (2) システムのインベントリ (3) バリデーション計画 (4) システムの記述 (5) バリデーションプロセス (6) 合格判定基準 (7) 提出文書 (8) 各フェースでの提出文書 (9) ハードとソフトの仕様 (10) UR の例 49
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