医薬品インタビューフォーム

2006年9月(改訂第5版)
日本標準商品分類番号
876343
医薬品インタビューフォーム
日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成
血漿分画製剤(人血清アルブミン製剤)
特定生物由来製品
指定医薬品
処方せん医薬品
剤
規
一
形 注射剤
格
・
般
含
量
1mL中 人血清アルブミン50mg(1バイアル中
250mL入り)含有
名
和名:人血清アルブミン
洋名:Human Serum Albumin
製造・輸入承認年月日 輸 入 承 認 年 月 日:1986年(昭和61年)10月28日
薬 価 基 準 収 載 薬価基準収載年月日:2001年(平成13年)7月6日
・ 発 売 年 月 日 発 売 年 月 日:2002年(平成14年)3月18日
開 発 ・ 製 造 ・
輸 入・ 発 売・ 提携 ・ 製造販売 :CSLベーリング株式会社
販 売 会 社 名
担 当 者 の 連 絡 先
・電話番号・FAX番号
本IFは2006年7月改訂の添付文書の記載に基づき作成した。
IF利用の手引きの概要
日本病院薬剤師会
1.医薬品インタビューフォーム作成の経緯
当該医薬品について製薬企業の医薬情報担当者(以下、MRと略す)等にインタビューし、
当該医薬品の評価を行うのに必要な医薬品情報源として使われていたインタビューフォーム
を、昭和63年日本病院薬剤師会(以下、日病薬と略す)学術第2小委員会が「医薬品イン
タビューフォーム」(以下、IFと略す)として位置付けを明確化し、その記録様式を策定
した。そして、平成10年日病薬学術第3小委員会によって新たな位置付けとIF記載要領
が策定された。
2.IFとは
IFは「医療用医薬品添付文書等の情報を補完し、薬剤師等の医療従事者にとって日常業務
に必要な医薬品の適正使用や評価のための情報あるいは薬剤情報提供の裏付けとなる情報等
が集約された総合的な医薬品解説書として、日病薬が記載要領を作成し、薬剤師等のために
当該医薬品の製薬企業に作成及び提供を依頼している学術資料」と位置付けられる。
しかし、薬事法の規制や製薬企業の機密等に関わる情報、製薬企業の製剤意図に反した情報
及び薬剤師自らが評価・判断・提供すべき事項等はIFの記載事項とはならない。
3.IFの様式・作成・発行
規格はA4判、横書きとし、原則として9ポイント以上の字体で記載し、印刷は一色刷りと
する。表紙の記載項目は統一し、原則として製剤の投与経路別に作成する。IFは日病薬が
策定した「IF記載要領」に従って記載するが、本IF記載要領は、平成11年1月以降に
承認された新医薬品から適用となり、既発売品については「IF記載要領」による作成・提
供が強制されるものではない。また、再審査及び再評価(臨床試験実施による)がなされた
時点ならびに適応症の拡大等がなされ、記載内容が大きく異なる場合にはIFが改訂・発行
される。
4.IFの利用にあたって
IF策定の原点を踏まえ、MRへのインタビュー、自己調査のデータを加えてIFの内容を
充実させ、IFの利用性を高めておく必要がある。
MRへのインタビューで調査・補足する項目として、開発の経緯、製剤的特徴、薬理作用、
臨床成績、非臨床試験等の項目が挙げられる。また、随時改訂される使用上の注意等に関す
る事項に関しては、当該医薬品の製薬企業の協力のもと、医療用医薬品添付文書、お知らせ
文書、緊急安全情報、Drug Safety Update(医薬品安全対策情報)等により薬剤師等自ら
が加筆、整備する。そのための参考として、表紙の下段にIF作成の基となった添付文書の
作成又は改訂年月を記載している。なお適正使用や安全確保の点から記載されている「臨床
成績」や「主な外国での発売状況」に関する項目等には承認外の用法・用量、効能・効果が
記載されている場合があり、その取扱いには慎重を要する。
目
Ⅰ.概要に関する項目
1.開発の経緯 ………………………………1
2.製品の特徴及び有用性 …………………1
Ⅱ.名称に関する項目
1.販売名 ……………………………………2
(1)和名 ……………………………………2
(2)洋名 ……………………………………2
(3)名称の由来 ……………………………2
2.一般名 ……………………………………2
(1)和名(命名法) ………………………2
(2)洋名(命名法) ………………………2
3.構造式又は示性式 ………………………2
4.分子式及び分子量 ………………………2
5.化学名(命名法) ………………………2
6.慣用名、別名、略号、記号番号 ………2
7.CAS登録番号 …………………………2
Ⅲ.有効成分に関する項目
1.有効成分の規制区分 ……………………3
2.物理化学的性質 …………………………3
(1)外観・性状 ……………………………3
(2)溶解性 …………………………………3
(3)吸湿性 …………………………………3
(4)融点(分解点)、沸点、凝固点 ……3
(5)酸塩基解離定数 ………………………3
(6)分配係数 ………………………………3
(7)その他の主な示性値 …………………3
3.有効成分の各種条件下における安定性 3
4.有効成分の確認試験法 …………………3
5.有効成分の定量法 ………………………3
Ⅳ.製剤に関する項目
1.剤形 ………………………………………4
(1)剤形の区別、規格及び性状 …………4
(2)溶液及び溶解時のpH、浸透圧比、
粘度、比重、安定なpH域等 …………4
(3)注射剤の容器中の特殊な気体の有無
及び種類 ………………………………4
2.製剤の組成 ………………………………4
(1)有効成分(活性成分)の含量 ………4
(2)添加物 …………………………………4
3.注射剤の調製法 …………………………4
4.製剤の各種条件下における安定性 ……5
5.電解質の濃度 ……………………………5
6.混入する可能性のある夾雑物 …………5
7.生物学的試験法 …………………………5
8.製剤中の有効成分の確認試験法 ………5
次
9.製剤中の有効成分の定量法 ……………5
10.力価 ………………………………………5
11.容器の材質 ………………………………5
12.その他 ……………………………………5
Ⅴ.治療に関する項目
1.効能又は効果 ……………………………6
2.用法及び用量 ……………………………6
(1)用法及び用量 …………………………6
(2)用法及び用量に関連する使用上の注意 …6
3.臨床成績 …………………………………6
(1)臨床効果 ………………………………6
(2)臨床薬理試験:忍容性試験 …………6
(3)探索的試験:用量反応探索試験 ……6
(4)検証的試験 ……………………………6
1)無作為化並行用量反応試験 ………6
2)比較試験 ……………………………6
3)安全性試験 …………………………7
4)患者・病態別試験 …………………7
(5)治療的使用 ……………………………7
1)使用成績調査・特別調査・
市販後臨床試験 ……………………7
2)承認条件として実施予定の内容
又は実施した試験の概要 …………7
Ⅵ.薬効薬理に関する項目
1.薬理学的に関連ある化学物又は化合物群 …8
2.薬理作用 …………………………………8
(1)作用部位・作用機序 …………………8
(2)薬効を裏付ける試験成績 ……………8
Ⅶ.薬物動態に関する項目
1.血中濃度の推移・測定法 ………………9
(1)治療上有効な血中濃度 ………………9
(2)最高血中濃度到達時間 ………………9
(3)通常用量での血中濃度 ………………9
(4)中毒症状を発現する血中濃度 ………9
2.薬物速度論的パラメータ ………………9
(1)吸収速度定数 …………………………9
(2)バイオアベイラビリティ ……………9
(3)消失速度定数 …………………………10
(4)クリアランス …………………………10
(5)分布容積 ………………………………10
(6)血漿蛋白結合率 ………………………10
3.吸収 ………………………………………10
4.分布 ………………………………………10
(1)血液−脳関門通過性 …………………10
(2)胎児への移行性 ………………………10
(3)乳汁中への移行性 ……………………10
(4)髄液への移行性 ………………………10
(5)その他の組織への移行性 ……………10
5.代謝 ………………………………………10
(1)代謝部位及び代謝経路 ………………10
(2)代謝に関与する酵素
(CYP450等)の分子種 …………10
(3)初回通過効果の有無及びその割合 …10
(4)代謝物の活性の有無及び比率 ………11
(5)活性代謝物の速度論的パラメータ …11
6.排泄 ………………………………………11
(1)排泄部位 ………………………………11
(2)排泄率 …………………………………11
(3)排泄速度 ………………………………11
7.透析等による除去率 ……………………11
(1)腹膜透析 ………………………………11
(2)血液透析 ………………………………11
(3)直接血液灌流 …………………………11
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
1.警告内容とその理由 ……………………12
2.禁忌内容とその理由 ……………………12
3.効能・効果に関連する使用上の注意
とその理由 ………………………………12
4.用法・用量に関連する使用上の注意
とその理由 ………………………………12
5.慎重投与内容とその理由 ………………12
6.重要な基本的注意とその理由及び
処置方法 …………………………………13
7.相互作用 …………………………………13
(1)併用禁忌とその理由 …………………13
(2)併用注意とその理由 …………………13
8.副作用 ……………………………………14
(1)副作用の概要 …………………………14
1)重大な副作用と初期症状 …………14
2)その他の副作用 ……………………14
(2)項目別副作用発現頻度及び
臨床検査値異常一覧 …………………14
(3)基礎疾患、合併症、重症度及び
手術の有無等背景別の副作用
発現頻度 ………………………………14
(4)薬物アレルギーに対する注意
及び試験法 ……………………………14
9.高齢者への投与 …………………………14
10.妊婦、産婦、授乳婦等への投与 ………15
11.小児等への投与 …………………………15
12.臨床検査結果に及ぼす影響 ……………15
13.過量投与 …………………………………15
14.適用上及び薬剤交付時の注意
(患者等に留意すべき必須事項等) …15
15.その他の注意 ……………………………15
16.その他 ……………………………………15
Ⅸ.非臨床試験に関する項目
1.一般薬理 …………………………………16
2.毒性 ………………………………………16
(1)単回投与毒性試験 ……………………16
(2)反復投与毒性試験 ……………………16
(3)生殖発生毒性試験 ……………………16
(4)その他の特殊毒性 ……………………16
Ⅹ.取扱い上の注意等に関する項目
1.有効期間又は使用期限 …………………17
2.貯法・保存条件 …………………………17
3.薬剤取扱い上の注意点 …………………17
4.承認条件 …………………………………17
5.包装 ………………………………………17
6.同一成分・同効薬 ………………………17
7.国際誕生年月日 …………………………17
8.製造・輸入承認年月日及び承認番号 …17
9.薬価基準収載年月日 ……………………17
10.効能・効果追加、用法・用量変更
追加等の年月日及びその内容 …………17
11.再審査結果、再評価結果公表年月日
及びその内容 ……………………………18
12.再審査期間 ………………………………18
13.長期投与の可否 …………………………18
14.厚生労働省薬価基準収載医薬品コード …18
15.保険給付上の注意 ………………………18
.文献
1.引用文献 …………………………………19
2.その他の参考文献 ………………………19
.参考資料
主な外国での発売状況 ………………………20
.備考
献血又は非献血の区別の考え方 ……………21
Ⅰ.概要に関する項目
1.開発の経緯
アルブミナー5%はZLB Behring(旧アーマー社)で開発・製造された
人血清アルブミン製剤で、富士レビオ株式会社が1986年に輸入承認を取
得し、1987年にローヌ・プーラン
ローラー株式会社に、2000年7月
にサノフィ・アベンティス株式会社(旧アベンティス
ファーマ株式会
社)に、その後2004年10月1日付けでZLBベーリング株式会社へ承継さ
れた。
2.製品の特徴及び
有用性
本剤は、肝炎ウイルス、HIV、CJD(クロイツフェルト・ヤコブ病)な
どのハイリスクグループを問診で除外し、HBs抗原、抗HCV抗体、抗
HIV-1抗体、抗HIV-2抗体が陰性で、かつALT
(GPT)
値でスクリーニン
グされた健康人血漿を原料としている。
さらに原料血漿の段階でHIV、HBV、HCV、HAV及びパルボウイルスB19
について核酸増幅検査を行っている。
またウインドウ期の血漿を排除するためにインベントリー・ホールドの
期間を設け、遡及調査ができる体制で製造されている。
アルブミナー5%は、このプール血漿をCohnの低温エタノール法で分
画、精製して得られた人血清アルブミンの5w/v% 溶液であり、製造工
程でウイルス不活化のためにパスツリゼーション(60℃、10時間の液状
加熱)処理を行っている。
しかし、血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19
等のウイルスを完全に不活化・除去する事が困難であるため、本剤の投
与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に
観察すること。
本剤は生物学的製剤基準「人血清アルブミン」に適合した製剤で、保存
剤は含まれていない。
―1―
Ⅱ.名称に関する項目
1.販売名
(1)和名
アルブミナー5%
(2)洋名
ALBUMINAR− 5%
(3)名称の由来
アルブミン及びアルブミン含有量の5%に由来する。
2.一般名
(1)和名(命名法)
人血清アルブミン(生物学的製剤基準)
(2)洋名(命名法)
Human Serum Albumin
3.構造式又は示性
式
アミノ酸585個よりなるポリペプチド
4.分子式及び分子
量
分子量:約66,5001)
5.化学名(命名法)
該当しない
6.慣用名,別名,
略号,記号番号
該当しない
7.CAS登録番号
該当しない
―2―
Ⅲ.有効成分に関する項目
1.有効成分の規制
区分
特定生物由来製品、指定医薬品、処方せん医薬品
2.物理化学的性質
(1)外観・性状
緑黄色から黄色ないし黄褐色の澄明な液剤
(2)溶解性
水に溶けやすい
(3)吸湿性
該当しない
(4)融点(分解点),
該当資料なし
沸点,凝固点
(5)酸塩基解離定数
該当しない
(6)分配係数
該当しない
(7)その他の主な示
ヒト血漿アルブミンの物理化学的性状2)
性値
沈降定数 S20w
4.6
拡散定数 D 20 w
6.1
偏 比 容 固有粘性 0.733
分子サイズ
38×150
分子容積
81,
000A3
電気泳動易動度
(pH 8.6,barbital,=0.
1)
5.92
等電点 pI
4.7
吸光度 E280n m(1%溶液,セルの厚さ1㎝)
5.8
0.042
3.有効成分各種条
件下における安
定性
「Ⅳ.製剤に関する項目 4」5頁参照
4.有効成分の確認
試験法
生物学的製剤基準「同定試験」による。
5.有効成分の定量
法
生物学的製剤基準「アルブミン含量試験」による。
―3―
Ⅳ.製剤に関する項目
1.剤形
(1)剤形の区別,規
格及び性状
区別:静注用製剤(液状)
規格:1mL中人血清アルブミン50㎎含有(1バイアル中250mL、人血
清アルブミン含量12.5g)
性状:緑黄色から黄色ないし黄褐色の澄明な液剤
(2)溶液及び溶解時
の pH , 浸 透 圧
pH:6.
4∼7.4
浸透圧比:約0.
9(生理食塩液に対する比)
比,粘度,比重,
安定なpH域等
(3)注射剤の容器中
該当しない
の特殊な気体の
有無及び種類
2.製剤の組成
(1)有効成分(活性
性
状
成分)の含量
1 mL 中 1バイアル中
の 分 量 (250mL)の分量
備 考
ヒト血液由来成分
(2)添加物
採血国:ドイツ
有効成分 人血清アルブミン
50㎎
12.
5g
注)
採血の区分:献血
採血国:米国
注)
採血の区分:非献血
添 加 物
アセチルトリプトファン 0.9852㎎
246.3㎎
カプリル酸
0.5768㎎
144.2㎎
水酸化ナトリウム
適量
適量
炭酸水素ナトリウム
適量
適量
氷酢酸
適量
適量
塩化ナトリウム
適量
適量
ナトリウム含量(3.7mg/mL以下)と塩素含量の実測値は外箱及びラベ
ルに表示してある。
注):
「 .備考 献血又は非献血の区別の考え方」21頁参照
3.注射剤の調製法
1.5%ブドウ糖液、生理食塩液等の中性に近い輸液・補液以外の他剤
との混合注射を避けること。
2.使用後の残液は、細菌汚染の可能性があるので使用しないこと(本
剤は細菌の増殖に好適なたん白であり、しかも保存剤が含有されて
いないため)。
―4―
Ⅳ.製剤に関する項目
4.製剤の各種条件
下における安定
性
製剤品質規格に適合している事を立証する目的で、本剤3ロットを用い、
許容保存温度の上限値である30℃で36ヶ月保存して安定性試験を行った。
<保存条件>
保存期間:36ヶ月、保存温度:30℃、保存中のボトルの向き:横向き
(ゴム栓との接触を確保するため)、保存中の保護:遮光保存
<結果>
たん白含量:適合
PKA
:適合
ナトリウム:適合
ヘム
:適合
純度
:適合
同定
:適合
重合物
:適合
無菌
:適合
pH
:適合
PKA:プレカリクレイン活性化因子
5.電解質の濃度
Na:3.
7㎎/mL以下(161mEq/L以下)であり、実測値は直接の容器
に1mL中の㎎数で表示
Cl:実測値を直接の容器に1mL中の㎎数で表示
6.混入する可能性
のある夾雑物
本剤は血漿分画製剤であるため血漿成分の混入は否定できない。
7.生物学的試験法
生物学的製剤基準「人血清アルブミン」の項参照
8.製剤中の有効成
分の確認試験法
生物学的製剤基準「同定試験」による。
9.製剤中の有効成
分の定量法
生物学的製剤基準「アルブミン含量試験」による。
10.力価
Ⅳ−9、製剤中の有効成分の定量法の項参照
11.容器の材質
バイアル
上
部:ポリプロピレン
キャップ:アルミニウム
ゴ ム 栓:クロロブチルゴム
本
体:ガラス(ソーダ石灰ガラス)
ラ ベ ル
表 示 部:ハンガー部一体で、PET(ポリエチレン・テレフタレート)
12.その他
特になし
―5―
Ⅴ.治療に関する項目
1.効能又は効果
アルブミンの喪失(熱傷、ネフローゼ症候群など)及びアルブミン合成
低下(肝硬変症など)による低アルブミン血症、出血性ショック
2.用法及び用量
(1)用法及び用量
通常成人1回100∼250mL(人血清アルブミンとして5∼12.5g)を緩
徐に静脈内注射又は点滴静脈内注射する。
なお、年齢、症状、体重により適宜増減する。
(2)用法及び用量に
<用法及び用量に関連する使用上の注意>
関連する使用上
本剤の大量使用はナトリウムの過大な負荷を招くことがあるので注意
の注意
すること。
投与後の目標血清アルブミン濃度としては、急性の場合は3.0g/dL
以上、慢性の場合は2.5g/dL以上とする。
本剤の投与前には、その必要性を明確に把握し、投与前後の血清アル
ブミン濃度と臨床所見の改善の程度を比較して、投与効果の評価を3
日間を目途に行い、使用の継続を判断し、漫然と投与し続けることの
ないよう注意すること。
<参考:アルブミン投与速度の目安3 )>
<5%製剤>
出血などに対し、等張アルブミン製剤を急いで投与する場合を除き、成人
では5mL/分以下とする、これは1時間あたり負荷するアルブミンを10g
前後に制限して循環器系に過剰な負担をかけないように配慮するため。
3.臨床成績
(1)臨床効果
該当資料なし
(2)臨床薬理試験:
該当資料なし
忍容性試験
(3)探索的試験:用
該当資料なし
量反応探索試験
(4)検証的試験
1)無作為化並行
該当資料なし
用量反応試験
2)比較試験
該当資料なし
―6―
Ⅴ.治療に関する項目
3)安全性試験
該当資料なし
4)患者・病態別
該当資料なし
試験
(5)治療的使用
1)使用成績調査・
該当しない
特別調査・市販
後臨床試験
2)承認条件として
該当しない
実施 予定の内
容又は実施した
試験の概要
―7―
Ⅵ.薬効薬理に関する項目
1.薬理学的に関連
ある化合物又は
化合物群
該当しない
2.薬理作用
(1)作用部位・作用
機序
アルブミンは正常人血漿蛋白の約60%を占める最も多いたん白で、血漿
4)
膠質浸透圧の維持に寄与している。
5%製剤は正常の人血漿と同じ膠質浸透圧効果を持っている。投与によ
り循環血漿量は増加し維持されるため、体全体の体液循環が改善され
る。5)
(2)薬効を裏付ける
該当資料なし
試験成績
―8―
Ⅶ.薬物動態に関する項目
1.血中濃度の推移・
測定法
(1)治療上有効な血
中濃度
投与後の目標血清アルブミン濃度としては、急性の場合は3.
0g/dL以上、
5)
慢性の場合は2.
5g/dL以上とする。
<参考>
投与量の算定には下記の計算式を用いる。
必要投与量=期待上昇濃度(g/dL)×循環血漿量(dL)×2.5
ただし、期待上昇濃度は期待値と実測値の差、循環血漿量は0.4dL/
kg、投与アルブミンの血管内回収率は4/10(40%)とする。
例えば、体重Akgの患者の血清アルブミン濃度を0.
6g/dL上昇させ
たいときには、0.6g/dL×(0.4dL/kg×Akg)
×2.
5=0.
6×A×1=
0.6Agを投与する。
すなわち、「必要投与量=期待上昇濃度(g/dL)×体重(kg)」と
簡単に算出される。一方、アルブミン1gの投与による血清アルブミ
ン濃度の上昇は、体重Akgの場合には、〔アルブミン1g×血管内回
収率(4/10)
〕
(g)/〔循環血漿量〕
(dL)
、すなわち〔1g×0.4/
(0.
4
dL/kg×Akg)=1/A(g/dL)
」
、つまり体重の逆数で表現される。
(2)最高血中濃度到
達時間
ヒトに標識アルブミンを静注すると、最初の3分間では、脾、肝及び頭
部の血漿中には平衡時より高い濃度で存在するが、前腕や下肢において
は少なくとも6分間は平衡時の濃度よりも低い。この結果より、血管内
プールへのアルブミンの広がりは、その部分又は組織の血流量/血液含
量比に依存していることを示している。静注後10∼15分には、血管内プー
ルにおいて完全に平均的に分布する。血管内プールより血管外プールへ
の移行は非常に緩徐である。静注されたアルブミンが平衡状態に分布す
るのには約1週間近く要する。2)
(3)通常用量での血
該当資料なし
中濃度
(4)中毒症状を発現
アルブミン製剤による中毒症状は報告されていない。
する血中濃度
2.薬物速度論的パラ
メータ
(1)吸収速度定数
該当資料なし
(2)バイオアベイラ
該当資料なし
ビリティ
―9―
Ⅶ.薬物動態に関する項目
(3)消失速度定数
該当資料なし
(4)クリアランス
該当資料なし
(5)分布容積
該当資料なし
(6)血漿蛋白結合率
該当資料なし
3.吸収
該当資料なし
4.分布
(1) 血液 −脳関 門
該当資料なし
通過性
(2)胎児への移行性
母体のアルブミンは、その羊水中にも存在し、さらに妊娠3
月におい
2)
て、すでにその胎児の胎盤を通してのアルブミンの移行が認められる。
(3) 乳汁中へ の移行
該当資料なし
性
(4)髄液への移行性
該当資料なし
(5)その他の組織へ
該当資料なし
の移行性
5.代謝
(1)代謝部位及び代
謝経路
アルブミンの異化は皮膚、筋肉、肝臓、腎臓などで行われ、半減期は約1
5∼20日である。蛋白喪失や蛋白合成抑制のみられる疾患では、ホメオ
6)
スタシスが働いて半減期が25日以上に延長するといわれている。
(2)代謝に関与する
該当資料なし
酵 素( CYP450
等)の分子種
(3)初回通過効果の
該当資料なし
有無及びその割
合
― 10 ―
Ⅶ.薬物動態に関する項目
(4)代謝物の活性の
該当資料なし
有無及び比率
(5)活性代謝物の速
該当資料なし
度論的パラメー
タ
6.排泄
(1)排泄部位
該当資料なし
(2)排泄率
該当資料なし
(3)排泄速度
該当資料なし
7.透析等による除
去率
(1)腹膜透析
該当資料なし
(2)血液透析
該当資料なし
(3)直接血液灌流
該当資料なし
― 11 ―
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
本剤は、貴重なヒト血液を原料として製剤化したものである。原料と
なった血液を採取する際には、問診、感染症関連の検査を実施すると
ともに、製造工程における一定の不活化・除去処理などを実施し、感
染症に対する安全対策を講じているが、ヒト血液を原料としているこ
とによる感染症伝播のリスクを完全に排除することはできないため、
疾病の治療上の必要性を十分に検討の上、「血液製剤の使用指針」等
を参考に、必要最小限の使用にとどめること。
(「使用上の注意」の項
参照)
1.警告内容とその
理由
該当しない
2.禁忌内容とその
理由
【禁忌(次の患者には投与しないこと)
】
本剤の成分に対しショックの既往歴のある患者
【原則禁忌(次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要
とする場合には慎重に投与すること)
】
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
3.効能・効果に関
連する使用上の
注意とその理由
該当しない
4.用法・用量に関
連する使用上の
注意とその理由
「Ⅴ.治療に関する項目
5.慎重投与内容と
その理由
2.」6頁参照
慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
ハプトグロビン欠損症の患者[過敏反応を起こすおそれがある。
]
心臓障害のある患者[循環血漿量の増加により心負荷増大の可能性
がある。
]
循環血漿量が正常ないし過多の患者[急速に注射すると、心過負荷
等の循環障害及び肺浮腫を起こすことがある。]
溶血性・失血性貧血の患者[ヒトパルボウイルスB19の感染を起こ
す可能性を否定できない。感染した場合には、発熱と急激な貧血を
伴う重篤な全身症状を起こすことがある。
]
免疫不全患者・免疫抑制状態の患者[ヒトパルボウイルスB19の感
染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、持続性の貧
血を起こすことがある。
]
― 12 ―
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
6.重要な基本的注
意とその理由及
び処置方法
重要な基本的注意
[患者への説明]
本剤の使用にあたっては疾病の治療における本剤の必要性とともに、本剤
の製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているが、
血液を原料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除す
ることができないことを患者に対して説明し、理解を得るよう努めること。
本剤の原材料となる血漿については、HBs抗原、抗HCV抗体、抗HIV−
1抗体、抗HIV−2抗体陰性で、かつALT(GPT)値でスクリーニングを
実施している。さらに、プールした試験血漿については、HIV、HBV
及びHCVについて核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を
本剤の製造に使用しているが、当該NATの検出限界以下のウイルスが
混入している可能性が常に存在する。
その後の製造工程であるコーンの低温エタノール分画法及び60℃、10
時間液状加熱処理は、HIVをはじめとする各種ウイルス除去・不活化
効果を有することが確認されているが、投与に際しては、次の点に十分
注意すること。
血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19等のウ
イルスを完全に不活化・除去することが困難であるため、本剤の投与に
よりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観
察すること。
現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)
等が伝播したとの報告はない。しかしながら、製造工程において異常プ
リオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJD等の伝播の
リスクを完全には排除できないので、投与の際には患者への説明を十分
行い、治療上の必要性を十分検討の上投与すること。
血清アルブミン濃度が2.5∼3g/dLでは、末梢の浮腫等の臨床症状を
呈さない場合も多く、単なる血清アルブミン濃度の維持を目的として使
用しないこと。
慢性の病態に対する使用では、アルブミンの合成能の低下を招くことが
ある。特に血清アルブミン濃度が4g/dL以上では合成能が抑制される
ことがあるので注意すること。
肝硬変などの慢性の病態による低アルブミン血症では、たとえアルブミ
ンを投与しても、血管内に留まらず、血管外に漏出するために血清アル
ブミン濃度は期待したほどには上昇せず、かえってアルブミンの分解が
促進されるので注意すること。
「血液製剤の使用指針」を参考に、蛋白質源としての栄養補給等を目
的とした本剤の不適切な使用を避けること。
7.相互作用
(1) 併用 禁忌と そ
該当しない
の理由
(2) 併用 注意と そ
該当しない
の理由
― 13 ―
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
8.副作用
(1)副作用の概要
本剤は使用成績調査等の副作用発現率が明確となる調査を実施してい
ない。(再審査対象外)
1)重大な副作用
ショック、アナフィラキシー様症状(頻度不明)
…ショック、アナフィ
と初期症状
ラキシー様症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、呼
吸困難、喘鳴、胸内苦悶、血圧低下、脈拍微弱、チアノーゼ等が認め
られた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
<初期症状>
呼吸困難、全身潮紅、浮腫、寒気、冷や汗、口や手足のしびれ、悪心、
吐き気、尿意・便意が起きる、喘鳴 等
2)その他の副作
用
頻度不明
過敏症
発熱、顔面潮紅、蕁麻疹等
その他
悪寒、腰痛
注)
注)このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
(2)項目別副作用発
該当資料なし
現頻度及び臨床
検査値異常一覧
(3)基礎疾患、合併
該当資料なし
症、重症度及び
手術の有無等背
景別の副作用発
現頻度
(4)薬物アレルギー
該当資料なし
に対する注意及
び試験法
9.高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を観察し
ながら慎重に投与すること。
― 14 ―
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
10.妊婦、産婦、授
乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険
性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に
関する安全性は確立していない。本剤の投与によりヒトパルボウイル
スB19の感染の可能性を否定できない。感染した場合には胎児への障
害(流産、胎児水腫、胎児死亡)が起こる可能性がある。
]
11.小児等への投与
低出生体重児、新生児に対する安全性は確立していない。
12.臨床検査結果に
及ぼす影響
本剤の投与により血清アルブミン値の上昇が認められる。
13.過量投与
該当資料なし
14.適用上及び薬剤
交付時の注意
(患者等に留意
すべき必須事項
等)
調製時:
1)5%ブドウ糖液、生理食塩液等の中性に近い輸液・補液以外の
他剤との混合注射を避けること。
2)使用後の残液は、細菌汚染の可能性があるので使用しないこと
(本剤は細菌の増殖に好適な蛋白であり、しかも保存剤が含有
されていないため)。
投与時:
混濁しているものは投与しないこと。
15.その他の注意
特になし
16.その他
特になし
― 15 ―
Ⅸ.非臨床試験に関する項目
1.一般薬理
該当資料なし
2.毒性
(1)単回投与毒性試
該当資料なし
験
(2)反復投与毒性試
該当資料なし
験
(3)生殖発生毒性試
該当資料なし
験
(4)その他の特殊毒
該当資料なし
性
― 16 ―
Ⅹ.取扱い上の注意等に関する項目
1.有効期間又は使
用期限
有効期間:検定合格の日から2年間
2.貯法・保存条件
凍結を避けて室温に保存
3.薬剤取扱い上の
注意点
本剤は特定生物由来製品に該当することから、本剤を投与又は処方した
最終有効年月日は外箱及びラベルに表示
場合は、医薬品名(販売名)、その製造番号(ロット番号)
、投与又は処
方した日、投与又は処方を受けた患者の氏名、住所等を記録し、使用日
から少なくとも20年間保存すること。
4.承認条件
該当しない
5.包装
250mL×1バイアル
6.同一成分・同効
薬
同一成分薬
アルブミン(5%)
・カッター(バイエル)
ブミネート5%(バクスター)
献血アルブミン(5%)−Wf(三菱ウェルファーマ)
同効薬
加熱人血漿たん白
人血清アルブミン25%
人血清アルブミン20%
7.国際誕生年月日
不明
8. 製造・輸入承認
年月日及び承認
番号
輸入承認年月日:1986年(昭和61年)10月28日
9.薬価基準収載年
月日
2001年(平成13年)7月6日
承 認 番
号:16100EZY00363000
10.効能・効果追加、 該当しない
用法・用量変更
追加等の年月日
及びその内容
― 17 ―
Ⅹ.取扱い上の注意等に関する項目
11.再審査結果、再
評価結果公表年
月日及びその内
容
該当しない
12.再審査期間
該当しない
13.長期投与の可否
否
14.厚生労働省薬価
基準収載医薬品
コード
6343410X2050
15.保険給付上の注
意
特になし
― 18 ―
.文
献
1.引用文献
1)Peters T Jr:All About Albumin. Biochemistry, Genetics, and M
edical Applications Academic Press, San Diego:16, 1996
2)平山千里 他:血漿タンパク質 構造・機能・病態(医歯薬出版):
134−147, 1979
3)寮 隆吉 他:Medical Practice 9 (臨時増刊)
:216−222, 1992
4)大谷英樹:血漿蛋白とその臨床 (中外医学社)
:6−8, 1978
5)「血液製剤の使用指針」
(平成11年6月10日付
厚生省医薬安全局長
通知、医薬発第715号)
6)菊池修一:臨床成人病 27(6):807−812, 1997
2.その他の参考文
献
特になし
― 19 ―
.参考資料
主な外国での発売状
況
5%製剤は米国、イタリア、ベルギーなど7ヶ国で発売されている。
(2006年7月現在)
― 20 ―
.備
考
献血又は非献血の区
別の考え方
献血又は非献血の区分は製剤の安定性の優劣を示すものではありません。
この表示区分は、下記の手順に従って決められています。
採血国の政府が「自発的な無償
供血」の定義を定めているか
「非献血」の表示
いない
いる
その定義が1991年国際赤十字・
赤新月社決議と同じ趣旨か
異なる
確認できない
同じ趣旨
当該国の「自発的な無償供血」
定義にそって採血されたこと
が確認できるか
― 21 ―
確認できる
「献血」の表示
CSLベーリング株式会社
URL:http://www.cslbehring.co.jp/
ABN5 IF 5−①(3,000)WAC