一般的なプラスティネーション標本の製作工程 庄司方式によるプラスティ

一般的なプラスティネーション標本の製作工程
工程
仕様資材
作業
温度
期間
必要器材
組織固定
10%緩衝ホルマリン溶液
浸漬
室温
1-2週間
①検体が入る密封できる容器
②十分換気可能な施設セーフティキャビネなど
③ガスマスク
水洗
水道水
流水水洗
室温
24時間程度
①標本が入る容器
②ガスマスク
60~100%アセトン
60%~100%へ濃い濃度の溶媒に順次切替え浸漬する
濃度切替は、比重で確認する
-25℃以下
各濃度に1週間程度
標本が大きければ時間が
かかる
100%アセトン
浸漬
室温
1週間
硬化剤①(S3 #1)を混ぜたシリコン(S10 #1)
-25以下に冷却したシリコンに漬け込み、徐々に減圧しアセト
-25℃以下
ンを蒸発させる
約
6
週
脱水・脱脂肪
シリコン浸透
①標本が入る蓋付容器
約
1
週
アセトン臭が無くなるまで
硬化
硬化剤②(S6#1)(ガス)
シリコンが含浸した標本を密閉容器内で硬化剤②を蒸発さ
せ、気化した硬化剤②と反応させる
室温
表面がべとつかなくなるま
で。もしくは、シリコンが滲
み出なくなるまで
①-25℃以下を確保できる冷凍庫
②標本が入る容器
③ガスマスク
約
1
週
①シリコンと標本を入れる容器
②-25℃以下が確保できる冷凍庫
③耐圧チャンバー(400パスカル程度の耐圧性)
④真空ポンプ(400パスカル程度の到達圧力が必要)
気化した硬化剤②を標本に反応させることが可能な
密閉容器
ハイデルベルク大学の方式を基本にした製作工程(基本方式)の例です。
注) #1:BIODUR社製品
標本の大きさが200-­‐500g
程度の大きさの場合のお
およその期間です。
庄司方式によるプラスティネーション標本制作工程
工程
仕様資材
組織固定
作業
温度
期間
脱水・脱脂工程まではハイデルベルク基本方式と同じ
水洗
脱水・脱脂肪
硬化剤A
メチレンクロライド
硬化剤A混濁メチレンクロライドに浸漬
アセトンと置換する
この際、浮上る標本を完全に沈めることが肝要
室温
ステップ2
(シリコン含浸)
庄司方式専用シリコン(硬化剤なし)
減圧し、
メチレンクロライドのみ蒸発させる
室温
ステップ3
(予備硬化)
硬化剤B(ガス)
「硬化剤A+シリコン」が含浸した標本を気化させた硬化剤B
の蒸気に暴露・浸み込ませ(ガス硬化)、硬化に必要な初期
の重合反応を起こす。
室温
ステップ4
(硬化)
硬化剤C(ガス)
気化した硬化剤Cを標本に浸透させ硬化させる。
室温
ステップ1
必要器材
約
6
週
約1日
約
4
日
標本が大型の場合、ステップ2では、減圧を行わず50-70℃加熱によりメチレンクロライドを蒸発させ、シリコンを含浸させることも可能。
約1-3日
約
7
日
程
度
①サンプルが入る容器
②ガスマスク
①サンプルを入れる容器
②デシケータ(10000パスカル程度の耐圧性)
③真空ポンプ( 10000パスカル程度の到達圧力が必要 )
④ガスマスク
①サンプルを入れる密閉容器
①サンプルを入れる密閉容器
標本により完成までの時間は異なります。あく
まで目安とお考えください。
庄司方式の利点は次の通り
①シリコンに硬化剤が含まれていないため、残ったシリコンの室温での保管・再使用が可能である。
ただし、繰り返し使用すると標本からしみだした硬化剤が若干含まれるため長期間保管する場合はやはり低温で保管したほうが望ましい。
②室温でのシリコン含侵作業が可能となり、冷却によるシリコンの粘度上昇もなく比較低真空・短時間でシリコンを含浸させることが可能となるだけでなく、加熱によるシリコン含侵も可能となる
「コールドトラップの使用をお勧めします。」
「真空下でのシリコン含侵時に標本から蒸発したアセトンやメチレンクロライド等の有機溶媒は油回転式真空ポンプを損傷する恐れがあります。その為に油回転式真空ポンプの場合、真空ポンプオイルを頻繁に交
換する必要があります。その手間と経費を削減するためにコールドトラップの使用をお勧めいたします。詳しくはお問い合わせください。」