優しい人 正しい人 栄えある人 Email [email protected] URL http://www.edu.city.yokohama.jp/sch/es/sakurai/ 学校だより №392 平成28年1月7日 横浜市立桜井小学校 温かなコミュニティに包まれて 校 長 藤 村 一 もくれん 早朝の清新な冬の青空を背景に立つ木蓮の木(昇降口前庭の木々の内の一本です)を仰ぎ見てみ ますと、その枝には、銀色の少し毛足の長いビロードのような毛に包まれた蕾がいつの間にか大き くなっていて、少しずつですがしかし着実に、春の開花に備えて準備を進めている様子が見られま す。この一歩一歩の、小さいけれど前へと歩む自然の営みにいつも以上の共感を覚えるのは、新し い年を迎え、この一年を少しずつでもよりよいものにしていきたいという強い願いのせいでしょう か。 明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、穏やかに新年を迎えられたこととお 慶び申し上げます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。私はこの年末年始、少し長い休みを 取ることができたので、我が家でのんびりし、明日からの仕事に向けて充電することができました。 ゆっくり時間が取れるときにはレンタルのDVDで映画を見ることがあります。新しい映画も手に 取るのですが、結局は、今まで何度も見てきた作品を借りることが習いになっています。年末に、 イタリア映画『ニュー・シネマ・パラダイス』を、もう何回目になるでしょうか、久しぶりに見ま した。高名な映画監督となった初老の男性が、映画に魅せられた少年時代と青年時代の甘くせつな い恋愛を回想する物語で、一人の男性の感傷と郷愁そして映画への愛情が描かれた 27 年前の作品 は、私の大好きな映画の一つです(知らない方にはすみません) 。時代は第二次大戦直後、舞台は イタリアのシチリア島にある小さな村で、 「トト」の愛称をもつ一人の少年が、村人たちが楽しみ に集うたった一つの娯楽施設である映画館の映写技師アルフレードとの交流を通して成長する十 数年間とその後を描いています。主題となるストーリーの展開もさることながら、この映画をさら に魅力的にしているのが、村の人々の個性とその人々が強く結びつきあうコミュニティの温かさで す。戦争で肉親を失う悲しさを抱えたり日々の食事にも事欠く貧しさがあったりしても、人々が互 いに支え合いながらその日その日を力一杯生き、そしてその中で子どもたちが成長していくこの作 品に描かれた社会は、現代ではなかなか望むことのできない贅沢ささえ感じます。 桜井小学校の子どもたちを包むコミュニティは、物質的に豊かになったという変化はあります が、この映画で描かれたように「温かさ」に満ちたものだと、私たち教職員は感じています。穏や かな自然環境を背景にもち、何よりも、子どもたちの成長を見守る保護者そしてまちの人々の、心 のこもった、時に厳しくまた優しい眼差しと言葉がけが、桜井の子どもたちの育ちの大きなエンジ ンとなっています。その中で子どもたちは、映画の中のトトのように夢をもち希望に燃え、またう まくいかないことに思い悩み、そして一つ一つ乗り越えて成長していっています。私たち教職員も、 子どもたちを包むコミュニティの重要な一員として、より温かな指導を目指し研鑽に励む一年間に していかなければならないと、年頭に当たり気持ちを引き締めています。
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