平成24年度 東北歴史博物館協議会議事録

平成24年度
東北歴史博物館協議会議事録
日時 平成25年2月7日(木)
午後1時30分~3時30分
場所 東北歴史博物館 大会議室
出席者・委員
宮城学院女子大学教授
多賀城市芸術文化協会会長
前岩沼市立岩沼西小学校校長
河北新報社常務取締役編集本部長
東北大学災害科学国際研究所所長
大平
聡
菊池 すみ子
千葉 宗久
西川 善久
平川
新
欠席者・委員
平泉文化遺産センター館長
仙台市立上杉山中学校校長
武蔵野美術大学講師
大矢 邦宣
須藤 由子
長岡 由美子
次
第
1 開会
2 開会の挨拶
宮城県教育委員会教育次長 熊野 充利
3 委員及び事務局職員紹介
4 議事
(1)平成24年度事業報告
(2)平成25年度事業計画
(3)東北歴史博物館中長期目標についての報告
(4)その他
5 閉会の挨拶
東北歴史博物館 館長 今泉 隆雄
6 閉会
(配布資料)
資料1 「平成24年度事業報告」
資料2 「平成25年度事業計画」
資料3 「東北歴史博物館中長期目標」
「宮城県の博物館(2012年度版)
」
1~3 記載省略
1
4 議
事
事務局: 当協議会の会議成立について確認いたします。当協議会は東北歴史博物館協議会条例
第6条第2項の規定により,会議の成立要件といたしまして,委員の半数以上の出席が
必要となっております。本日は委員5名の委員の皆様に御出席いただいておりますので,
会議が成立していることを御報告いたします。
次に,当協議会の会議は,同協議会条例第6条第1項の規定により,会長が議長とな
ると規定されております。昨年度の協議会におきまして,会長は平川委員,副会長に大
矢委員が選任されておりますので,議事の進行は,平川会長にお願いいたします。それ
では,平川会長,どうぞよろしくお願いいたします。
会 長: 本日はお寒い中,お集まりいただきまして,ありがとうございました。3.11の大
震災からまもなく2年ということでございますけれども,その間,この東北歴史博物館
は,様々なお仕事をされてきております。被災事業のレスキュー受入れ,色々な物の管
理を含めて,この東北歴史博物館が果たすべき役割というものを十分に発揮されてきた
のではないかと思います。そのことに,館の外にいる人間の一人として改めて御礼申し
上げる次第であります。なお,これから,24年度の館の活動のあらましとか,来年度
以降の計画も御提案になっておられますので,色々な御意見を頂戴できればと思います。
どうもありがとうございます。
議 長: それでは,議事に入る前に,傍聴者の有無を確認いたします。ございますでしょうか。
情サ班長:おります。
議 長: それでは,会議は公開ですので,入室していただいてください。
(傍聴者,入室)
議 長: お一人ですね。
情サ班長:はい。
議 長: それでは,議事に入りたいと思います。手元の資料でございますが,まず,議題(1)
として,平成24年度の事業報告について,事務局より説明願います。
中條副館長:それでは,私から御説明させていただきます。
始めに,東日本大震災によります災害の復旧工事が完了いたしましたので,そのとこ
ろから御報告をさせていただきたいと思います。被災後の状況でありましたが,本館自
体も建物は大きな被災はございませんでしたが,建物の周囲が沈下するなど,通路が波
を打った状況でありました。それから,浮島の収蔵庫も,建物自体は大きな被害はあり
ませんでしたが,建物の周囲の沈下や通路に段差ができたという状況でございます。そ
れから,内部的には収蔵棚が移動したり,歪んだり,それから収蔵箱が多数転倒したと
ころでございます。これまでに災害復旧工事が全て完了いたしまして,元通りというわ
けにはいきませんけれども,通常の業務には支障ない程度に戻っておりますので,その
点,御報告をさせていただきます。
それでは,平成24年度の事業につきまして,御報告をさせていただきます。
資料1「平成24年度事業報告」に沿って,概要を説明。
(説明の概略)
【平成24年度事業報告】
(資料1・1~7頁)
1 企画展示事業(1~3頁)
(1)常設展示
・テーマ展示(テーマ展示室1,2,3の3室)については,
「郷土玩具の世界」など,館
蔵資料を中心に13の展示を行った。
・総合展示,映像展示,今野家住宅については,通年と同様の展示を行っている。
※資料に記載はないが,観覧者数については,平成24年度,昨年の12月まで20,0
54人。このうち有料観覧者数が5,186人。無料観覧者数が14,868人で大半
が小学生の利用による。昨年度の平成23年度と比較すると,3,500人ほど増加。
平成22年度と比較すると,3,900人減で,震災前には戻っていない状況。
(2)特別展示
・一つ目は「神々への祈り」展を「東日本大震災復興祈念特別展」として開催。4月28
日から6月17日までの45日間。本展では,全国の代表的な御社の中から,伊勢神宮,
2
賀茂御祖神社(下鴨神社)
,出雲大社,鹽竈神社を取り上げ,それぞれの特徴ある各御社
の歴史と人々との結びつきをたどり,神々への信仰が如何にして継続してきたのかを探
り,人々の精神や社会の再生がどのように希(こいねが)われてきたかを紹介。開催に
合わせて,各御社の方々から記念講演をいただいた。観覧者数は,アンケート調査によ
る観覧者の満足度は高いものがあったが,目標とした10,800人を尐し下回り,6,
430人であった。
・二つ目は「家族でおでかけ!」展を7月7日から9月9日までの56日間開催。本展で
は,子どもたちの夏休みの過ごし方の歴史のうち,夏休みに家族で出かけるという行為
をテーマとし,昭和40年代を中心とし,その前後の時代・暮らしとの対比を明らかに
して,夏休みとは,家族とはといった今日的な課題を考えるきっかけとした。関連行事
として,記念講演会,塩釜レールサークルの支援をいただいて実施した鉄道模型運転会,
ボンネットバスの所有者が近隣にいたということで協力をいただき試乗会を開催。観覧
者数は,ここ数年夏休みに家族向けの展示を行っていることもあり,目標とした7,0
00人を上回る8,973人であった。
・三つ目は「みちのく鬼めぐり」展を10月6日から12月2日までの50日間開催。本
展では,東北地方の鬼の多様な姿,鬼に関わる物語を紹介し,人と鬼の多様な交信につ
いて考える機会とした。開催期間中,
「0NI84総選挙」として,展示している84の
鬼の中から「かわいい鬼」や「こわい鬼」の投票を観覧者に行っていただく企画を実施。
衆議院議員総選挙と重なり,報道機関にも取り上げていただくなど多くの投票があり,
人気と話題を呼んだ。観覧者数は,目標とした7,000人をわずかに下回る6,70
8人であった。
2 教育普及事業(3~4頁)
(1)施設運営
①こども歴史館
・利用者は小学校の団体が12月末現在で201校・21,612人の利用。震災前と比
較すると,団体数・利用者数で減尐がみられる。要因として,岩手県や山形県の小学校
において震災前には戻っていない状況があり,震災や原発の影響があるものと考えてい
る。
②図書情報室
・館長講座に関連して利用者数が増加。12月末現在で4,361人と,昨年をすでに上
回る状況。
③今野家住宅
・多くのボランティアの協力をいただき,古民家の維持・管理が行われている。見学者へ
の解説などの対応をしていただき,ほぼ震災前の利用者に戻っている。
(2)催事運営
・今泉館長による館長講座,博物館講座,体験教室などを開催。特に,館長講座について
は,昨年度は7回であったが,今年度は回数を15回に増加。1回あたりの受講者の平
均は263人と講堂がいっぱいになるくらいの盛況ぶり。合計では3,947人と昨年
度を大幅に増加。最終回には初めて修了証を179人に授与。これも受講の励みになっ
たものと思われる。毎回の出席者が40人ほど。
(3)その他の教育普及事業
※資料に記載のとおり
3 調査研究事業(5頁)
・考古,民俗,文書,美術工芸,建造物の各分野にわたり,資料に記載のとおり,継続も
含めて調査研究を行った。
4 資料管理事業(5頁)
(1)資料の収集・利用
・実物資料については438点の寄贈があった。図書の購入は84冊,寄贈は2,052
3
冊であった。
・利用については,実物資料が342点,写真が教科書などへの出版物に214点であっ
た。
(2)資料の修復
・縄文土器など77点。絵画資料が18点。
(3)保存環境・保存処理等
※資料に記載のとおり。
5 東日本大震災対応(6~7頁)
(1)文化財レスキュー事業関連活動
・石巻市,南三陸町,気仙沼市などの被災資料について一時保管や保存処理,修復を行っ
ている。また,これらの活動をパネルで公開している。
(2)他機関との連携
①宮城県被災文化財等保全連絡会議
・当館が代表幹事兼事務局として,被災資料の救出・保全・修理等への支援等の活動を推
進。※7頁の後ろに補足資料「文化庁被災ミュージアム再興事業」あり。被災した美術
館や歴史博物館の再興を図ることを目的に,資料の修理,整理とデータベース化,被災
した資料を活用した展示会を開催する事業である。
「事業概要」については,資料の「Ⅱ」
「1」から「6」までの記載のとおり。
6 その他(7頁)
(1)予算
・資料に記載のとおり。全体で2億5,100万円ほどになっており,震災前に戻ってい
るという状況。
(2)入館者統計
・今年度の12月末現在,112,720人で,ほぼ例年ベースに戻りつつあるか。
【
「東北歴史博物館友の会」について】
(資料なし)
・震災の影響で,1年遅れで昨年4月に設立総会を開催し,活動をスタート。今年度の会
員数は普通会員が221人,学生会員が3人,家族会員が62人,賛助会員が3団体。
計289の個人・団体が入会。活動として,会報の発行,会員限定の歴史講座,日帰り
の研修会,多賀城跡の発掘現場見学会などを行っている。
以上で平成24年度の事業につきまして,報告をさせていただきました。よろしく御
指導を賜りますようお願い申し上げます。
議
長: はい,ありがとうございました。ただ今の事業報告につきまして,何か御発言があり
ましたら,お願いいたします。
大平委員:昨年のこの会で,私,特別展の「家族でおでかけ」展について色々申し上げて,注文
も色々付けさせていただいたのですが,9月の終了間際に石巻の仮設の方々を招待して
見学をするということで,こちらに御協力いただきまして,今お見えの館の方々の何人
か一緒にお付き合いいただきまして,大変喜ばれました。やはり「懐かしい」というこ
とで,皆さん,自宅を失われた方々ばかりだったのですけれども,そのこともしばし忘
れて,学生たちに色々と教えながら見るということで学生と一緒に見てもらったんです。
それまでその方々を仙台市博物館と宮城県美術館を御案内したことがあったんですが,
そのとき宮城県美では「ベネチア展」を見たんですけれど,やっぱり見学中に,
「静かに
してください」と注意されたこともあったりして,そんなことお構いなしに,存分に楽
しませていただきました。こういう楽しみ方があるんだなと分かっていただけたと思い
ます。動態展示というものがありまして,学芸員の方が実は展示品の中にあったという
のは,なかなかユニークで良かったなと思います。私なんかは20年しかまだ暮らして
おりませんので,ベニーランドの関係の貴重な品とか,エンドーチェーンなんていうの
4
は,かろうじて分かるんですけれども,被災者の方々はすごくよく分かっておられて,
石巻からだと,
「休みの日に仙台に来た思い出があります。良かった」と言っています。
現代ものの展示というのは,非常に際どさがある展示だと思います。その点においても,
なかなか貴重なポスター等,導入のつくりとか工夫がされていて良かったと思うんです。
しかし反面,蘊蓄(うんちく)が無いということも申し上げねばならないと思います。
このことについて,私は申し上げました。それは何かというと,家族でおでかけができ
るというのはどういう条件が整ったときにできるようになったのか,家族旅行というも
のが,都会のごく限られたブルジョアジーのものであったのが,庶民が楽しめるように
なったのは,どういう条件があったのか。それから,東北地方で,家族でおでかけとい
うことはいつから始まるんだろうか。それまで,そういえば,先ほどの資料の中に,
「そ
の前後の時代・暮らしとの対比を明らかにしていく」ということを本当にどこまでなさ
ったのだろうか。今日追加で配られた資料の中に,私に対する回答があったんですけれ
ども,私はこんなお役所的な回答を求めたつもりはなくて,特に戦前,あるいは昭和3
0年以前の旅行っていう経験をどのようにしたかということ,それを取り上げてほしか
ったのに,
「学校行事としての旅行は取り上げないので,今回は除いた」というような,
こういう木で鼻をくくったような回答が出てくるとは,まず思ってもみませんでした。
夏休みとは何なのかというところから,おそらく今の子どもたちが知ったらびっくりす
ると思うんですけれども,戦前の夏休みは7月31日からです。どうしてか。6月に2
週間,農繁休業があるからですよ。なんで農繁休業があるかっていったら,子どもたち
がまさに労働力なわけですよ。その子どもたちが旅行に行けるようになった。しかも家
族で行けるようになった。産業構造の違い。そういうことが何ら説明されていなかった。
一体,この蘊蓄の部分というのを,その博物館の展示としては,私はやはり,そういう
ところが大事だと思います。たとえパネル1枚でもいいから,そういうものがあると無
しとでは,
「ああそうか,家族で旅行に行けるようになったのはそういうことなのか」と,
そういうことに気づかせるということが大事なことだと思います。
それから展示物について,私もびっくりしたんですけれども,こんなものは誰でも見
ても分かるだろうと思ったものが,実は学生が分からないというのがあって,しかもそ
れに説明が無いというのでもっとびっくりしたんですけれども,端的に言うと,ホーム
の列車の並ぶ位置の板ですよね。昔は特急の名前があって,ここに何号車というつり下
がって,今では新幹線のホームでかろうじて電光掲示板に映るんです。そうじゃなくて,
ああいうものがつり下げられていたという,それが展示されていても学生は分からない
んですよ。電車の鉄道のコーナーにあっても分かるのは大人であって学生は分からない。
そういうことが,実は私もびっくりしまして,
「この学生たちはこんなことも知らないの
かな」と思いました。やはり感覚のずれっていうのがあるんですよね。ですから,そう
いう感覚のずれをどういうふうにすり合わせる努力をするかということだと思うんです。
それが中長期のことにも関わってくると思うんですけれども。しかし,展示物の構成と
しては「本当によく,これ集めましたね」というものがあって大変面白うございました。
その点では節度と言いますか,やはり博物館ならではだなと思いました。松島の土産物
屋からレスキューしてきたという,骨董商にでも持って行ったら結構いい値で買えるよ
うな物も,びっくりしたのは同じような物がいっぱい並んでいるわけですけれども,そ
ういう今回の地震との関係で「こんなものを見つけてきました」というのがあったのも
そういうのは良かったと思います。展示自体としては,私は全体としては良かった,い
い企画だなと思います。ただやはり,博物館らしさ,現代ものの展示のときには博物館
らしさというところをどういうふうに出すのか。東京の有名な施設から貴重なポスター
を借りてきて,それで雰囲気をつくっていることも大切かとは思いますけれども,しか
し,私は申し上げたように,東北地方で家族が旅行に出かけられるようになったのはど
うしてだったのか。それは当たり前のことではなかったんだということを示してほしか
ったというふうに思いました。
議 長: はい,色々と甘口辛口の批評をいただきましたけれども,これについては回答はよろ
しいですか。
大平委員:いいです。
5
議 長: 委員からの感想ということで御発言がありました。ほかに何かございますでしょうか。
西川委員:よろしいですか。館長講座なんですけれども,先ほどもちょっと説明がありましたよ
うに,回数は前年の倍なんですね。それにしても,その前年度比で3,157人増とい
うのは,つまり前年度は800人ぐらいしか来なかった。そういう意味では5倍ぐらい
に増えているわけですね。この背景というのは,どういうことだったんですか。
中條副館長:この背景は,まず昨年の4月に今泉館長がこちらに就任をしていただきまして,館
長講座のテーマにつきましては,
「古代国家と蝦夷」ということなんですけれども,結構,
興味・関心を持っている方がこの近くにはおりまして,毎回出席をしていただくという
ような形でありました。先ほどお話ししましたように,修了証書を最終的に179人の
方にお渡しいたしましたけれども,それにもわかるように多くの方に毎回参加をいただ
くという形になっています。それで最終的に3,947人ということになりました。
西川委員:これは毎年,テーマは違うわけですね。
中條副館長:はい,そうです。
西川委員:そうすると,その前の年よりもテーマの設定もよかったということもあるんですか。
中條副館長:前の年は,館長の代わりに副館長が務めておりまして,テーマや内容は違っており
ました。
議 長:よろしいでしょうか。
西川委員:はい。
議 長: ほかに,何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは,24年度の事業報告につきましては以上ということにさせていただきます。
続きまして,平成25年度の事業計画について,これも事務局から。
中條副館長:はい。それでは平成25年度の事業計画について,御説明いたします。資料の2を
御覧いただきたいと思います。
資料2「平成25年度事業計画」に沿って,概要を説明。
(説明の概略)
【平成25年度事業計画】
(資料2・1~5頁)
1 企画展示事業(1~2頁)
(1)常設展示
・テーマ展示については,①の「宮城の瓦」や⑥の「仙台の近世絵画―多彩な近世絵画―」
など,14テーマについて展示。
・総合展示,映像展示,今野家住宅については,これまでより内容を充実した形で実施し
ていきたい。
(2)特別展示
・三つの特別展示を企画。
・一つ目は「美しき東北の街並み~鳥のまなざし 吉田初三郎の世界~」展で,4月27
日から6月16日までの45日間開催予定。吉田初三郎は昭和8年から昭和30年にか
けて東北地方各地の街並みを美しくかつ詳細に鳥瞰図に描いている。その中には,東日
本大震災以前の街並みの様子が鮮やかに描かれているものが数多くある。これらの鳥瞰
図を復興への一歩として紹介したい。
・二つ目は「考古学からの挑戦~東北大学考古学研究の軌跡~」展を開催予定。東北大学
総合学術博物館と福島県立博物館との共同企画展。東北地方の考古学は明治40年に開
学した東北帝国大学が先鞭を務め,開学以来,蓄積されてきた膨大な資料の中から,現
在,考古学上の基準となっている重要資料や先駆的な発掘調査の成果について紹介した
い。本展を通して,考古学が解明してきた東北の歴史を改めて見つめ直す機会となるこ
とを願って開催。
・三つ目は「東日本大震災復興祈念」として「神さま仏さまの復興」展を,平成26年1
月18日から3月16日までの50日間開催予定。東日本大震災により被災した後,修
復が完了する資料について,安全に管理されている県内の神像や仏像などを公開予定。
普段なかなか目にすることのない神像や仏像は人々の祈りを受けとめた大切な役割を果
たしており,かけがえのない文化財を様々な困難を乗り越えて未来へ伝えていくという
ことで大切な行いを実感していただきたいという趣旨。
6
2 教育普及事業(3頁)
(1)施設運営
(2)催事運営
(3)その他の教育普及事業
・生涯学習社会が浸透する中で,各種講座への参加者がかなり多くなっている現状を踏ま
え,内容を充実して実施していきたい。
3 調査研究事業(4頁)
4 資料管理事業(4頁)
(1)資料の収集・利用
(2)資料の修復
(3)保存環境・保存処理等
5 東日本大震災対応(5頁)
(1)文化財レスキュー等被災文化財関連活動
(2)他機関との連携
※上記3~5については,平成24年度と同様に平成25年度も継続して実施していきた
いと考えている。
以上で説明を終わらせていただきます。よろしく御指導を賜りたいと思います。
議
長: 平成25年度の事業計画でございますが,これにつきまして御発言をお願いしたいと
思います。
千葉委員:お尋ねしたいのですけれども,4頁にある保存関係です。岩沼のかめ塚古墳の周溝を
発掘していまして,そこから二股(ふたまた)の鋤が出てきたんです。いずれ,ここに
保存処理をお願いすると思うんですけれども,そういう木製品は,各市町村で費用とい
うか,どれくらいかかるものなのかなということ。それから,今,岩沼市史編纂で動い
ているんですけれども,考古資料の横穴から出た鉄製品とか,私が聞かなくてもいいよ
うな話なんでしょうけれども,どれくらいかかるものかをお尋ねしたい。
それから続いて,5頁にある震災関係ですけれども,本当に被災した学校って随分あ
りますよね。ああいう中で,いわゆる学校資料というような学校沿革史とか日誌とか,
色んなものが流出したのか,うまく保存できたのか。私の知り合いで石巻の小学校に勤
務している者がいたんで,それを尋ねたら,
「金庫は見つかりました」と。
「中身も出し
て,かなり乾燥させて大変な思いをしたけど,あります」と言っていたんですが,他に
被災した学校のそういう資料というのは,情報として捉えられているのかなと。その2
点,お尋ねしたいと思います。
議 長:はい。それでは,お願いします。
学芸部長:まず,最初の保存処理のお話ですが,木製品も金属製品も,もちろんその大きさとそ
の残され具合が非常に良好であるのか,あるいはもうちょっと腐れかかっているのかに
よって,もちろん値段が相当に違いまして,木製品の小さいものでしたら数万弱くらい
から,大きくなりますとそれはもう天井知らずみたいな値段にもなります。ただ,発掘
調査の費用の中で,その処理が可能なこともあろうかと思いますが,それではなかなか
対応は全部難しいと思いますので,そのような物につきましては,うちの保存処理の方
で,依頼をしていただけましたら対応するというようなことをしております。もちろん,
能力,機材的にもマンパワーも限界がありますので,しばらく時間はいただきたいとい
うふうには思います。
2点目の学校資料のレスキューにつきましては,正直申し上げまして,公的な機関に
よるレスキュー事業としては,ほとんどできなかったんではないかなと思っております。
7
むしろ,これは平川先生の,あるいは大平先生のレスキュー事業の方がずっと有効に動
いたのではないかなと思っております。今回,色んな分野でレスキュー活動が行われた
わけですけれども,改めましてどういうことができたのか,どういうことができなかっ
たのかということを振り返って,今後のことに活かしていきたいなと考えているところ
であります。
議 長: 保存処理については,館の方にお願いすれば「ある程度対応できるところは大丈夫で
すよ」という御趣旨でうね。
学芸部長:はい,そうです。もちろん,予算的な問題もございまして,それは御相談もあります
が。
議 長: ということですので,岩沼の方でも御相談いただいてと思います。2番目の学校資料
については,今,学芸の方からお答えいただきましたけれども,私ども宮城資料ネット
が特に石巻の資料,それからもっと北の方の資料も大平先生がかなり被災地を歩いて発
見をして,それで救済をすると。クリーニングは私どもでお受けしてやるということで。
どのくらいやりましたかね。かなりの学校を。
ちょっと状況を御説明いただいてよろしいですか。
大平委員:平川先生の所に事務局を置いてますけれども,NPO法人の宮城歴史資料保全ネット
ワークに依頼があって,石巻の学校で何校か。
議 長: 五つぐらいですね。
大平委員:ですね。それから,去年の1月に仙台市博であったその関係のフォーラムに参加した
方が自分でタクシーをチャーターして雄勝の方を走ったんだそうです。それで学校を見
つけて,入り込んでみたら,古い学校日誌などが2階にそのままになっているというの
を発見したという情報が寄せられて,平川先生からすぐに教育委員会に連絡があって,
じゃそれがあるということで,レスキューをして洗浄をして,今それは,旧白石高校の
校舎で,取りあえず預かっていただいている。その他,私もあっちこっち歩いて,
「校歌
の額が波に洗われたのを何とかしてほしい」というような物を何点か預かって,平川先
生の所に持っていって処理をしていただいたということはありますけれども,すでに廃
棄してしまったという学校も尐なくありませんでした。
それから,これは善意でそういうふうにおっしゃっておられるんでしょうけれども,
ちょっと私は困ったなと実は思っていることがあって,学校資料は学校関係者でないと
触れられないものだからということで,教員のOBのグループの方々がレスキュー活動
を行っているという例があります。これは大変貴重なありがたいことなんですけれども,
ただ,学校資料は学校関係者しか扱えないということが流布して,それが定着してしま
いますと,私は資料保存の上でものすごく大きな問題だと思うんで,今後,研究をして
いこうと思っているんですけれども,実はそういう方々が早く処理をしていただいたお
蔭でカビが生えずに救われている事例が結構ありました。そこを私も,どういうふうな
処理をされたのかなということで回ってみましたところ,やはり砂の落とし方が不十分
と言いますか,やはりそれは無理もないことだと思うんです。それを実は,昨日も南三
陸町へ行って,だいぶ乾いている資料で砂の除去のクリーニングのお手伝いをしてきた
んですけれども,学校自体が自分たちの学校にあるそういう古い物が貴重な物であると
いう認識を,まずしていただけないことが多いという。それから,学校資料の中には確
かに個人情報のかたまりのような資料があるわけで,実は資料ネットの方でもその洗浄
をしたときに,中身によってはボランティアの方にすっと渡せないということで,これ
は誰が洗うと決めて洗ったということもあるというようです。それを配慮しなければい
けないという場合もありますので,その点はすごく難しいんですけれども,しかしそう
いうことも体系的に,私,実は今度研究してやろうと思っていまして,学校情報という
のは特に戸籍等を役所ごと流されてしまったような地域で戸籍を補えるような資料があ
るんです。ですから,何とか今からでもまだ間に合いますので,学校には「そういう資
料があったら,ぜひ,きちんとした洗浄をして」ということを,情報を流したいと思っ
ているんです。基本的には各市町村の教育委員会に行かなきゃいかなくて,できれば県
の教育委員会あたりから,わっと流していただくのが一番いいかと思うんですけれども,
教育委員会によっては,色んな事情があるようでして,
「お手伝いします」と言っても丁
8
重に断られたりすることもありまして,なかなか難しいところですけれども,もしもそ
ういう情報があったら,平川先生の所に寄せていただいて。大川小学校も,まだ入って
いないですよね。
議 長:そうですね。
大平委員:もしも,ただ乾かすだけでしたら,やっぱり洗浄した方がいいと思いますので。
議 長: ただ今,御説明ありましたように,宮城資料ネットで引受けをしていますので,その
ような物がお困りだということであれば,御相談をしていただきたいなと思います。私
どもとしては,宮城歴史資料保全ネットワークですので,歴史資料というものが受入れ
の対象としてきましたけれども,学校資料が被災した,津波でやられたと,そういうも
のをどういうふうに私たちが受け入れるか,受け入れる理由をどういうふうに考えるか
ということで当初,色々検討したんですが,大平先生が以前から学校資料,学校日誌を,
戦前からのもの,場合によっては創立期以来の学校日誌があって,大変貴重な歴史資料
であるという観点から,学校資料自体の受入れを始めてというようにして,この中には
成績が書かれたものとか,家庭の事情が書かれたものとか,特に戦前のものは非常に詳
しく書かれています。ですから,これを歴史資料として見れば,地域の生活状況がよく
分かるというようなことですが,ただ,個人が特定できる資料ですので,なかなか扱い
は難しいなというふうに思いました。
もう一つやっている中で感じたことは,それだけ個人情報が豊富ですので,地元の人
にクリーニングをさせるわけにはいかないなと。これはどこの誰さんかというのがすぐ
に特定できるような情報でしたので,私どもがお引受けしてかえってよかったなという
ふうに考えたところもあります。そんなようなことは,本当に流れに任せながら色々と
やってきたんですけれども,津波の常襲地帯でありますので,次に同様の事態が発生し
たときに歴史資料ということだけではなく,学校資料に対して,県として,教育委員会
として,どう対応するのかということを今回の事例をもとにマニュアルを御検討いただ
くとか,そのようなことは大きな課題になるんだろうなと思うんです。多分,大平先生
の方で,今後そういったような問題提起を検討いただいていることとして出ているんだ
ろうと思います。県の方でもどこが主体となって検討するかということはあると思いま
すけれども,歴博がやるのか,あるいは教育委員会のどこかの課でやるのかということ
があると思いますが,この問題意識だけは教育委員会全体で共有していただければと思
うところでありますので,よろしくお願いしたいと思います。
大平委員:すみません,もう一つだけ付け加えます。平成の大合併の影響が,震災と絡んで今,
非常に大きい勢い,ものすごい勢いで進んでいます。それは学校の統廃合が急速に進ん
でいるということです。明治5年,学制発布以来の学校が次々に廃校になっております。
百数十年の歴史のある学校が軒並み減っているというような状況です。ですから私は,
自然災害より,もっと人災の方が恐ろしいと思っています。いつか博物館で,今までも
昔の学校というのを取り上げたことは何回かあると思うんですけれども,小特集でもい
いので,学校資料の,所蔵している貴重な例などを紹介して「各学校にあったら,ぜひ,
それ捨てないで」っていうことをアピールするような,そういうちょっと小特集展示と
いうようなものをやっていただけたらと思います。何でもないところが校舎を建て替え
て,それを契機に,
「古い物全部捨てました」とか平気なんですよ。学校によっては,保
存年限が過ぎた物は捨てなきゃいけないということを真顔でおっしゃる。学校だけじゃ
なくて,教育委員会の,役所のでもそう信じている。保存年限というのは保存しなきゃ
いけない年限で,保存年限過ぎた物をどうするかということは規定が無いんですよ。だ
けども,捨てなきゃいけないという誤った認識でどんどん捨てられていくと,宮城県内
の今ある貴重な資料がどんどん減っていくということを座視しなきゃいけないというの
は非常に辛いことです。今,平川先生からお話があったのは,学籍簿とか指導要録とい
う類の物で,実は昨日,砂落としをしてきたのはそれなんですけれども,これはもう,
絶対地元の方に,御本人にも見せられない資料だと思うんですよ。
「あ,自分の肉親がこ
んなふうに書かれているんだ」というようなことはショックになるんで,学校に対する
不信感というものを煽ってしまうと思う。私は,本人にもその方の御親族の方にも見せ
ない方がいいと思うんですけれども,しかしそこは,先ほど平川さんからありましたよ
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うに,住所と職業等が書いてありますから,将来的にその地域の社会構造とか産業構造
とかいうことを復元する上では,またとない資料となると思うんです。だから,そうい
う資料をどうやってまず残すのか,使い方は,これは本当に智恵をしぼっていかなきゃ
いけないと思うんです。
「そういう危ない資料だから捨てた方が楽だ」という,そういう
モメントの方が実は強く働いていると思います。そういう御判断をされることに対して
は止めることはできませんでした。実際,今回も幾つかの所でそういう目録を作る作業
をさせていただいたんですけども,お手伝いさせていただきましたけれども,
「これは個
人情報なので捨てる」と言われたら,目の前にある宝の山でも「あぁ,そうですか」と
いうふうにして引き下がるしかできませんでした。何とか残すということと,使うとい
うことを分けて検討するということを提案できるような研究をしていきたいなと思って
おりました。ぜひ,東北歴史博物館でも,学校資料に着目した特別展なんかも開いてい
ただければと思います。
千葉委員:今の大平先生のお話なんですけれども,私も廃校するときに,
「学校資料どうするのか」
と。以前,それに対する回答が県の文化財保護課を通じて,各市町村の教育委員会に保
存とか,そういうことをお願いするというような通知か文書はいったんだと思うんです。
それが実際はどうなっているのかというのは,私も気になっているんです。今,ここで
は皆さんにお尋ねしませんけれども,被災した学校の資料も含めて,そういう保存とか
をすっかりもう一回考え直して,各市町村へ通知してほしいなと,そんなふうに思いま
す。
それから,学校の資料で年限を過ぎたら廃棄するということになっています。私の知
り合いがある学校で,
「廃棄するんだけど,千葉先生要らないか」って持ってきたものが
8ミリカメラとか,8ミリの映写機だったんですよ。耐用年数というか,もう年限が切
れたからどんどん廃棄するんですよね。OHPという昔,使っていた機械も全部廃棄な
んです。たまたま私が集めていて,あと「市の方にやるか」なんていう話をしていたん
で,たまたま持って来てくれたんですけれども,そういう人間がいなければ,もうどん
どん学校というのは,年限過ぎると廃棄してしまうなと,これもどうにか止められない
かなと。止めるっていうのは各市町村の保管できる場所に一時保管でもしなければと,
そのようなことを考えていました。
議 長: はい,ありがとうございます。多分,今残っているのは,たまたま残っているんだと
いうことだと思います。気付かれた方,関心を持っておられる方がおられた。そういう
資料だけが奇跡的に残っているんだと思います。そういう状態ではなくて,やはり県な
ら県全体で,学校資料に対してどういう対応の仕方をするかということを,そろそろ検
討していただいてもよろしい時期なんではないかと。統廃合が進んでいる,災害でも失
われるというようなことですので,今回の大惨事を契機に学校という問題について取り
組むべき一つの大きな課題として浮上してきていると思いますので,ぜひ,対応をお願
いしたいと思います。今,以外の件で,何かありますでしょうか。
大平委員:来年度の,この最初の吉田初三郎さんの世界展は,今からわくわくしますね。楽しみ
です。これは館にも資料があるんですか。それとも,あちこちから借りてくるんですか。
特別展担当(企画班長)
:当館では,以前,資料収集委員会の方で諮らせていただきましたけれど
も,数年前に東北地方を描いた吉田初三郎の鳥瞰図というものを購入資料として買わせ
ていただいております。それがありますのと,あとはお借りいたしまして,地方自治体
の方で現在所蔵されている鳥瞰図,あるいは初三郎のお孫さんという方がいらっしゃい
まして,そちらの方で現在貴重に保存されている鳥瞰図等の中から,東北地方を描いた
ものを中心に借用いたしまして展示する方向で,現在進めております。以上です。
大平委員:それから,
「東北大学考古学研究の軌跡」ですけれども,「趣旨」の所の「大正2年」
は1913年ですよね。それから,これも楽しみですね。それから最後の「神さま仏さ
ま」の復興展が,ちょうど今ぐらいの時期にということになると思うんですけれども,
ぜひ,復興だとすると,三陸の地域の雄勝の法印神楽とか,虎舞とか,あの中から復活
した色々な民俗行事,芸能がありますよね。何とかそれをこれに引っかけて関連行事の
中でできないのかな。ただ,表でやるのは寒いのでエントランスホールでできないのか
なということもちょっと思ったんですけれども,今からではもう無理ですか。これは,
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去年,色んな大きいお社の展覧会のときに,やっぱり地元,被災した地域のそういう信
仰とかいうのもやられた方がいいんじゃないかということも申し上げたんですけれども,
これはまさに修理完了した物,神像,仏像等を展示するということですから,何とかで
きないでしょうか。
企画部長:この展示につきましては,前に話がありましたように,修理が完了した神像,仏像を
展示するということで考えておりまして,今,大平委員の方からお話のありました雄勝
の法印神楽ですとか,虎舞などあの辺の民俗芸能については考えていなかったところで
ございます。それについてこの中にすぐに盛り込むというのは,今の状況だと難しい面
がありますので,それはまた別途で考えるような形でいきたいなとは思っております。
大平委員:以前,雄勝の法印神楽,ここでやったこともありますよね。
企画部長:やったこともございます。
議 長: 考古学の東北大学展ですけれども,これは多賀城跡調査研究所も考古学の中で大きな
役割を果たしてきていると思うんですが,この東北大学展と多賀城跡調査研究所との関
わりとか,そのようなものというのは,この展示の要素の中には出てこないんですか。
学芸部長:はい,私がお答えします。扱わせていただくつもりです。基本的には大学に所蔵され
る考古資料を一挙公開ということなんですが,それはもちろん,これまでの先生方の研
究の材料なんかをどういう研究がなされて,どういう意義があったかということを,物
を使って紹介しつつ,それから,例えば多賀城の方でしたら,その後の研究がどうなっ
てくるのかというところで多賀城跡調査研究所がこちらに登場するというつながりです。
議 長: 東北大学の宣伝をしてあげる必要は無いだろうなと思い,気になりましたので,ぜひ
絡めてというか,対等の形でスペースを取っていただいてもいいぐらいではないかと。
大平委員:ただ,多賀城は発掘50周年,50年でしたか,2年前でしたか。
館 長: 50周年です。
大平委員:あったんですよね。それで「第5章」のところに入るのかなと,私は思っていたんで。
一つ気になったのは,仙台市内にはもう一つ考古学の牽引役となっている大学がありま
すが,そこについては全然取り上げないのか,東北大学だけなんでしょうか。
学芸部長:実は,これは書き漏らしてしまったんですが,東北大学学術総合博物館が主催と,3
館主催ということで,大学資料の紹介ということで,予算的にも御参加いただくという
形なものですから,基本は大学所蔵しなくても東北大学の先生が調査されたものは扱わ
せていただきますが,ちょっと今回は外れるかと思います。
議 長:もう一つ。
「神さま仏さま」のところで,今のお話ですと修復されたものを展示されると
いうことですけれども,実際に被災した段階で,要するに被災状況のお写真とか,その
ようなものは撮っておられると思うんですけれども,それと被災状況と,場合によって
は修復の過程の写真とか,そして修復された姿ということですと,その過程が出てくる。
修復されたものだけですと,かえってその動きが見えないかなという感じがするような
気がいたしますので,できればそのような展示の組み立て方も御検討いただきたいと。
観る方は「ああなるほど,こういうふうにして元に戻るのか」というのは見えてくるん
じゃないかと思うんですね。
企画部長:これは準備する過程で,その修理の記録等も取るような形で準備は進めてございます
ので,そういうのも取り込む形で考えています。
大平委員:平川さんのところでは,資料ネットでは信仰関係の資料の洗浄とかなされませんでし
たか。
議 長: はい。雄勝の大浜の石(いその)神社という所の資料が海に流れて,たまたま岩礁に
ひっかかって助かった。それが現在もお正月の神事に使われているということで,一昨
年震災のあった後に運びこまれて,
「翌年の2012年の正月の神事に使いたい」と。江
戸時代のものでございました。
「神楽の神事とか色々なものに,それを使いたいので,で
きるだけ速く,それだけでもきれいにしてもらえないか」ということで,それをもとに
昨年,今年もお正月の神事が行われたりして。そんなようなこととか,実際にございま
す。ただ,その神社の物は「あまり表には出したくない」というようなことは言ってお
られましたので,これをお借りして展示というのはなかなか難しい。そんなような事例
ですね。
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企画部長:その関連なんですが,その神社の資料,古文書なんですけれども,秋にやりました「み
ちのく鬼めぐり」の展示で,その平川先生の所で整理された資料をお借りして展示させ
ていただきました。
議 長: ああ,入っていたんですか,そうでしたか。最初は宮司さんが「あまり表には出した
くない」なんて言っておられたんで。
事業計画はいかがでしょうか。他に何か。
菊池委員:多賀城市の一市民として入館者が減尐しているということが一番ひっかかっておりま
す。今回,友の会ができたということで,これはおそらく私の想像ですが,館長講座,
初代の岡田館長さんからずっと始まって,その人たちの中から生まれ出たっていうのが
結構多いんじゃないかと思うんです。それで,大人の方で館長講座を楽しみにしている
方を本当にたくさん知っております。そういうことで,館長講座が始まっておそらく十
年ぐらい経って友の会もできたと思います。そういうことを含めまして,これからの先
を考えると,子どもたちの年間を通しての講座みたいな,子どもたちに対して歴史,文
化をどうやって面白く,
「そういうのも面白いんだよ」っていう。何ていうんですか,一
回限りのイベントではちょっとつかむものが尐ないと思うんです。館長講座もお互いに
「あっ,あの人も来ている」
「この人も来ている」ということで,皆さん顔なじみになっ
て,色々な向上心もその一つなんだと思います。これからやはり集客っていうか,そう
いうのを考えた場合に,年間何回か来たら出席簿みたいなもので,最初は本当に歴史の
楽しさ,例えば仙台市の子どもさんがいれば仙台市の「自分たちの街,こうやってでき
たんだよ」
,
「多賀城ってこうできたんだよ」ということでもいいと思うんで,本当に噛
み砕いて,お家に帰ってお母さんたちに「自分たちの住んでいる街ってこうだったんだ
よね」と語り合えるような,そういう子ども向きの勉強する場っていうのもこれから必
要ではないのかなって思っていました。来年とは言いませんが,そういうことも考えて
いただいて,そこの中から学芸員の方がうまれたら本当に最高だなと思っております。
議 長: はい。子ども向け企画は。
企画部長:そうですね,子どもについては今まで,例えば3頁の体験イベントでございますけれ
ども,こういうものの中で,内容を子ども向けにしている。それから,先ほどお話しあ
りました友の会についても,子ども向けの行事等も考えてございます。ただ,そういう
講座については今までそれほど発想としては無い状況でございます。館として取り組む,
あるいは友の会のところとして取り組むか,今後,検討していきたいと思います。
菊池委員:もう一つよろしいですか。今野家の方で,民話の会をされていると思います。それで
今年度は9月で終わる予定でありますが,これまでの数年度の入館者等を調べますと,
2,000人超しているんですね。ですから,秋保も含めて,今回3箇所から色んな協
力をしてもらうようになると思いますので,ぜひ,これも恒例化すればもっと皆さんが
来やすいというか,
「せっかくあるかと思って行ったのに無いんですね」という言葉も聞
くんですね。ですから,民話の会あたりの方の協力を得て,例えば第三,第四が民話の
会であるというようなことで,三つの民話の会の方たちに協力していただいて,ぜひ,
11月まで。今年度,昨年度を見ますと,2,000人超していますから,そういうと
ころも考えてもいいんじゃないのかと。どうして9月で終わるんだろうと思ったんです
が。
企画部長:それはそうですね,相手,御協力いただいている民話の会のこともございます。あと
11月,今野家だと寒さというか,その辺のところもございますので,ちょっと色々と
やはり総合的に考えた形で検討していくということで御了承いただきたいと思います。
菊池委員:そうですね,寒さもあるのは確かですね。
議 長: 今,出された御要望は,中長期計画が館の方で出され,配られたと思うんですが,そ
のあたりでどういうふうに取り扱うのか,御検討いただくというようなことだと思いま
す。他に何かございますでしょうか。はい,どうぞ。
西川委員:2点。一つは最初の方の特別展,吉田さんの鳥瞰図なんですが,これは全部で何点ぐ
らいあるんですか。
特別展担当(企画班長)
:展示資料は総数で120点ぐらいになりますが,その中で今回特に,原
画を中心に集めさせていただこうと思っています。
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西川委員:具体的な場所といいますか,都市にするとどのくらいになりますか。
特別展担当(企画班長)
:都市にすると,30弱になります。
西川委員:その中で,いわゆる被災地域の都市というのもかなりあるんですか。
特別展担当(企画班長)
:はい。具体的には志津川の鳥瞰図というものございました。というのが,
実は過去形になってしまうんですけれども,昭和8年に描いたものがありました。街並
みが非常に美しく描かれていたのですが,流されてしまったというものが写真のデータ
として私どもが持っていますのを公開したいと思っております。そのほかに女川の街で
すとか,釜石の街などが,実際にそこに描かれた景観が今は無くなっちゃったといった
ような状態になっております。特に釜石の場合ですと,戦前の釜石のものと,昭和25
年に描かれたものと,30年に描かれた3点がございますので,その辺を総合的に出し
ながら,現在はちょっとというような状態ではあるんですけれども,歴史的な変遷をた
どっていきたいなと思っております。
西川委員:色々判断はあるでしょうけれど,実はうちの方で出版した震災以前と後の空撮写真を
組み合わせた写真集が非常に反響を呼んだんです。今回,せっかく鳥瞰図をやるんでし
たら,被災後の現状はどうだっていう空撮と重ねられるような展示をしていただくと,
今回の震災との関連が強く出るんではないかという感じがしますけれども,できました
ら。それから,外向けに出すときには,被災地域にはこういう都市が,震災以前の姿が
ありますよと明確にアピールされた方がいいでしょうね。
それから,もう一つ。
「神さま仏さま」の方なんですが,
「第1章」のイメージがこの
文言だけでは分からないんです。かなり一般的なことを紹介されるだろうと思うんです
が,被災したのはほとんど沿岸部ですから,そうすると沿岸部における,特に神社なん
かが持っている漁業とか,海の暮らし,浜の暮らしとの関連みたいものというのはかな
り色々解説されるのかと期待はしたいところなんです。というのは,私どもも,例えば
牡鹿半島に現在行くと,何も建物が無くなったために赤い鳥居が小さな集落に無数とは
言わないですけれど,相当数あることが分かったのですね。あっちこっちにあって,こ
んなに神社がいっぱいあるのかっていう。今まで建物の影で分からなかったんですけれ
ども,何にも無いですから,鳥居だけ残っているという感じで,中心部であったり,山
の影であったり,ものすごくあるわけですよね。改めて,神社と浜の暮らしの結びつき
みたいなものを被災地で説明すると,被災地に来た人たちが関心をもつんですね,
「あれ,
なんでこんなに多いんですか」と。それから,バスから下りて,ある神社の境内に行っ
たりすると,同じ神社なんだけれども,それにくっついて色んなお参りするような所が
あるというようなことで,我々も勉強になります。その辺もやっていただくと,非常に
展示の広がりが出るのかなというような感じがいたしました。やれる範囲内で結構です
けれども,お願いしたいと思います。
議 長: 生活の中に組み込まれている信仰の姿といったようなものが,仏像等だけではなくて,
描ければというような御希望で,できる範囲ということでお考えいただければと思いま
す。
次に中長期目標の御説明もございますので,そちらとも絡めた形でございましたら御
意見をいただければと思います。それでは,
「3.東北歴史博物館中長期目標」について,
事務局からお願いします。
中條副館長:はい。それでは中長期目標につきまして,資料3より,御説明を申し上げたいと思
います。
中條副館長:資料3「東北歴史博物館中長期目標」に沿って,概要を説明。
(説明の概略)
【東北歴史博物館中長期目標】
(資料3)
はじめに
・開館以来13年が経過。博物館を取り巻く環境は,財政の運営面での効率化や博物館の
役割の重要性が一層増し,これまでになく大きな変化の中にさらされている。様々な対
策や改善にもかかわらず,入館者数の減尐傾向に歯止めがかからない状況にあることか
ら,平成22年度に職員のアンケート調査を実施し,問題の把握に努めてきた。その直
後,大震災が発生し,中断を余儀なくされたが,被災文化財の救援活動や復旧活動への
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関わりの中で,博物館の役割の大きさ,その重要性を再確認したところ。平成23年度
の後半から,今後の博物館の進むべき方向,あり方について,検討・協議を重ね,現在,
求められる新たな対応に取り組むこととして,具体的な施策や事業を推進していくため
に目標を設定した。今後,5か年を中心とした活動計画をまとめたところである。
Ⅰ 活動方針(1頁)
・9つの方針を設定。各分野ごと。
・一番最後にある「東日本大震災対応」に関しては,今後の復旧や復興だけでなく,歴史
的にも大震災を伝えていく必要があるだろうということで設定。
・平成25年度から29年度を中期目標,30年度以降を長期目標として取り組む。今後,
着実な実行をはかるために,推進組織を立ち上げ,進捗状況を常に把握するPDCAサ
イクルの考え方に基づき,適切な進行管理を行っていきたいと考えている。
・概要については,当協議会でも報告させていただき,また,ホームページ等にも掲載し,
御意見や御指導をいただくこととしている。
Ⅱ 目標(2頁)
※重点事業についてのみ説明。
1 常設展示・企画展示(2頁)
(2)①魅力的な展示企画・運営の充実について
・県民の要望を捉えるためにアンケート調査などを検討したい。
②外部の巡回展の積極的な誘致について
・外国も含めた魅力ある巡回展の誘致活動も博物館として行っていきたい。
2 教育普及事業(3頁)
(1)①各種講座・教室や体験イベントの充実について
・生涯学習の意欲に応えられるような常に新しい魅力あふれる講座,イベント等
を検討したい。
4 資料の収集と保管・活用(5頁)
(2)②収蔵資料のデータベース化の充実,収蔵資料の公開の推進について
・資料の公開事業については,ホームページ上での目録紹介や収蔵資料のダイジ
ェストの作成や Web 展覧会などの充実をはかりたい。
5 情報の発信(6頁)
(2)①広報の手段と方法の再検討について
・現在の広報システムの再検討や若者向けのツイッターやフェイスブックの導入
についても今後検討していきたい。
6 県民参加(7頁)
(2)③博物館友の会の充実について
・現在,発足して1年目であり,組織体制の充実や会員の増加,事業の育成・支
援をはからなければならないと考えている。
9 東日本大震災対応(10頁)
(1)①県内の文化財レスキュー活動について
・震災後まもなく2年であるが,当館が中心となって,早急な対応を講じたい。
被災資料の救出・保全・修理,レスキュー活動の情報公開,被災地支援活動,
他機関との連携・協働を重点的に取り組んでいきたい。
※11~12頁は全体の取組の概要である。9項目の19目標,57事業がある。重点
事業については,
「重点」項目欄に○を付したが,11事業あり,これらについて重点
的に行っていきたい。かなり広範囲にわたる目標を掲げているので,逐次,取り組ん
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でいきたい。
以上で説明を終わらせていただきます。よろしく御指導を賜りますようお願い申し上げ
ます。
議 長: はい,ありがとうございます。ただ今の「中長期目標」についてでございましたが,
取りあえずは5年ぐらいのところで具体化できるような問題ということで,御指摘をい
ただいたわけですが,これにつきまして,何か御発言がございますでしょうか。
大平委員:大学で学芸員課程の責任者をずっとやっておりますので,私は別に博物館に勤めたこ
ともないんですけれども,ヘビーユーザーの方ですから,特に学生の指導ということも
あって,いろいろ気づいてしまうんですけれども,大学では法律の改正によって,学芸
員の資格を取るための単位数がものすごく増えてしまいました。その結果どういうこと
が起こっているかというと,教職と並行して取っていた学生がいたんですけれども,学
芸員の資格を取っても学芸員になれないから,それだったら教職の方に行くということ
で,学芸員課程を選択しない学生が増えてきました。これは非常に危機的なことだと思
っておりまして,全国大学博物館学講座協議会というのがあるんですけれども,そのと
きにはそのメンバーが文科省に入って単位数を増やして,即戦力を養うという,机上の
学問を増やせば,それだけ知識も増えて即戦力になるという単純な発想でそうしたお蔭
で,全国的に博物館の学芸員の資格を取ろうという学生が減ってきています。これはど
ういうことを意味するかっていうと,将来的に博物館・美術館を利用して人生を楽しも
うという世代が,18歳人口の減尐とともにますます減っていくということです。そう
すると,もっともっと先細りのことになっていきかねなくなる。まず,それを申し上げ
ておきたいと思います。その上で,以前,今日入っていた小冊子の宮城県の博物館等連
絡協議会の講習会で,私がここでお話をさせていただいたときに,
「学校は博物館の恋人」
っていう題で話をさせていただいて,「学校っていうのは小学校だけじゃないんですよ」
と,大学っていうのは,もうこれからすぐ社会へ出ていく,しかも資格を取ろうとして
いる,そういう学生たちにこそ,何とかそういう場を広げていただきたいということで,
お話をしたことがあるんですけれども,そこで一つは,宮城県美術館はもう始めておら
れますけれども,キャンパスメイトっていうのがあります。これをぜひ御検討いただき
たいということです。博物館のすぐ裏に駅があるっていうのは,電車の本数が尐なくと
も,移動距離からすれば強みになる。これが活かせないというのが残念でなりません。
それから,小学生は確かに1校来れば,結構多い人数で稼げる。人数的には稼げると
思うんですけれども,やはり博物館・美術館を理解して利用してっていうことになれば,
大学生っていうのはもっとターゲットにしていいんじゃないかと思うんですよ。特に仙
台市内には,学芸員資格を出している大学が結構あります。そういう学生たちをくすぐ
って,尐なくともそういう学生たちは1回,特別展があれば特別展へ足を向けるという
ふうにすれば,それでも結構集めることができると思うんですけれども。そこで,何を
お願いしたいかっていうと,私は1年に1回ここに来ますので,この場でないと,これ
だけの多くの館の方を相手に一遍に申し上げる機会が無いので,ここでいつもしゃべっ
ているんですけれども,こういう会を,要するに外部利用者の声を直接聞く会っていう
のをもっと開けないんでしょうか。それは例えば特別展を開いたときに,学芸員が,
「私
のつくったこの特別展を皆さん博物館の学芸員の卵としてどう観ますか」っていうこと
を自分で展示を説明して,そしてこういう場所を使って「皆さんどうでしたか」ってい
う意見を聞く。そういう場を作ったらいかがなんでしょうか。外部評価っていうことが
問題になって,大きく言われて,大学でもそれは外部評価って言われてますけれども,
私たちにとってみると,学芸員が自分のつくった展示を説明して,それについて直接感
想を言える場っていうのは,学生にとっては願ってもない勉強の場なんですよ。そうい
うことを特別展開催中になさるということは,私はそんなに難しいことではないと思う
んですけれども。まず,館の中で,学芸室の中で,そういうことって語り合われたこと,
無いんでしょうか,あるんでしょうか。私が冒頭に申し上げた,ずれっていうのはそう
いうことです。笠原さんを名指ししてしまうようで申し訳ないんですけれども,西川委
員からも出ていましたけれども,私は「神さま仏さまの復興」って言ったときに,まず
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頭に浮かぶのは,地域で生きている神さま仏さまの復興なんですよ。人々の生活がどう
復興していくか,その中に神さま仏さまっていうのがあってのことだから,だから雄勝
法印神楽のことも申し上げたし,虎舞のことも申し上げたけれども,
「しかし,今回の展
示は物としての像が,どういう破損で,それがどう処理を受けて,復元されたかという,
物でしかない」というように私には聞こえてしょうがないんです。博物館っていうのは
確かに物を扱うところですけれども,物の背後に人間がいるのは当然なわけで,神さま
の復興,仏さまの復興って言われたときに,私はすぐに頭に浮かぶのが人間生活の復興
ですよ。その中で神さま,仏さまがどういう意味をもっているのかというようなことが,
人文の博物館だったらあってしかるべきではないかなと思います。先ほどの西川委員の
御意見をうかがっていても,神さま仏さまも,なぜ信仰していたのかって言えば,当然
その地域の産業構造があり,社会構造があるから,そういうものの復興っていうものを
見据えた展示をつくっていただきたいっていうのが,私は「出来る限りそれでいいです
から」じゃなくて,やはりそれが人文系の博物館としてはなされるべきことではないか
と思うんです。地域の博物館っていうのはそういう機能があるべきなんじゃないでしょ
うか。こういう意見をこの場でしか聞くというのではなくて,もっと展示をつくってそ
れを観て,観た人から直接意見を言っていただけるような,アンケートで紙に書いたも
のを見せていただくというだけじゃなくて,直接それを,生の声を聞くような,そうい
う企画というのを館の方で考えになったことがあるのかどうか。先ほどの大学生に向け
ての,学芸員課程の学生に向けての,そういうことも館の中でお話しになったことがあ
るのか無いのか,ぜひ,うかがわせていただきたいものです。
議 長: はい。という問いかけがなされておりますので,いかがでしょうか。
企画部長:はい。館として積極的な働きかけをして,という形ではないんですけれども,毎年,
各大学の学芸員課程の方にこちらに来ていただいておりますので,そのときに,館内を
御案内して説明させていただいています。そういう中で,色々学生の方の話を聞いてい
る,そういう機会を,それは大学の方から来ていただいている形になりますけれども,
職員はそういうふうに接する機会はあります。昨年はちょうど秋の展示をやっていると
きにそういう機会がございまして,展示の方も説明させていただきまして,具体的にそ
ういう場,意見・感想等も聞く機会がございました。ただそれは定期的に,あるいはこ
ちらで働きかけてというところは今までございませんでしたけれども,その辺がもし可
能なんであれば,また今後の計画の中でになるかと思いますけれども,考慮していく,
それは先方の方とすると,課程を受けている人にとって博物館,実際に来る機会を設け
ている,そういうところもありますので,ちょっと一方的には難しい面もあるかと思い
ますので,考慮しながらということになると思います。
議 長: 今,大平委員から出された意見をきっかけにということになるんですけれども,実際
に展示されたものに対しての評価という問題があって,それはどう観覧者が観ているか,
評価しているかという意見を聞くことも非常に大事な話だと思うんです。次の企画に活
かすということにもなりますが。
もう一つ考えられるのは,展示企画の段階で,展示プランについての意見をいただく
という,多分,館の中では企画の責任者の方やその周辺の方々が,そのプランをもみあ
って,どういうふうにいい方向にもっていくかという検討が当然されているんだろうと
思いますけれども,その過程の中に外部の関係者の意見を入れるような仕組みというも
のは,今はあるんでしょうか。
企画部長:今は無いです。
議 長: 今は無いですね。多分,大平委員がおっしゃられたような外部からの意見ということ
を取り入れる仕組みができれば,その企画・展示のプランが完成する前に,組むべき意
見も幾つかは出てくるかもしれない。そうするとそれが,魅力ある展示に活かされてい
くということは可能性としては結構あるんじゃないかなというふうに思いますので,こ
の中長期計画の中で,よりより展示を目指していくということを一歩でも現実化してい
く一つの方法として,今の大平さんの提案を,そういうわけで具体化していくというこ
とは,あってもよろしいんじゃないかなと今,思いますが,いかがでしょうか。それを
すぐにやるかどうかということじゃなくても,非常に大きな問題提起だと思います。ぜ
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ひ,御検討いただければと思います。
大平委員:一つお願いしたいことがあるんですけれども,私,去年も6月に「多賀城探検」と称
して,私のゼミ生を連れて多賀城を歩いて,ゴールがここなんですよ。ゴールがここで
学生もだいぶへばってきているところで着いて,受付に来まして,実習費で支払いがで
きますので,
「領収書をください。宮城学院女子大学として書いてください」って言う
と,領収書を書きながら,もう一人の受付の方が,やおら机の下から1枚のファイルケ
ースに入ったペーパーを出しまして説明を始める。どういう説明か。
「会場では静かに
してください」というような説明を始めるんですよ。これは,受付の方々への指示とし
て,そういうことをなされているんですか。つまり,大学と学校で教員が引率してきた
場合には,そういう展示を観るマナーの注意を行うということが,マニュアル化されて
いるんでしょうか。これを教えてください。
議 長: いかがでしょうか。
企画班長:実はその件につきましては,その担当の解説員から話は聞いております。ということ
があったと。それで,マニュアル的に対応してしまったということに対して,非常にお
詫び申し上げたいというような話は受けております。
大平委員:いや,そういうマニュアルがあるんですか。
企画班長:特に大学生に対してというものはございませんので,小学校等の団体が来たときには,
振り仮名の振ったペーパーがございまして,そちらの方を渡して説明するということは
ありますけれども,そのときの担当の解説員がそのような対応をとったということに関
しましては,深くお詫び申し上げたいと思っております。
大平委員:いや,
「単純にお詫びをしてくれ」ということではなくて,それは,そういうことに
してあるんですか。
企画班長:してはありません。
議 長: 担当の方が団体のメンバーの方に対して,機械的にそのような対応をされたというこ
となんですね。
企画班長:という報告は受けております。
大平委員:うん,だから機械的にするということは,そういうマニュアルがあるから,そうする
んじゃないですか。ということを私は言っているんですよ。
中條副館長:多分,小学生向けには,そういった,騒ぐ子どもさんなんかもいますので,それは
用意してあります。ただ,それを大学生の方にそのままというわけではないと思ってい
ます。ただそれが,解説員がたまたま大学生の方に最初からそういうことを話してしま
った…
大平委員:いや,大学生じゃなくて,私にですよ。引率者である私がそれをされたんですよ。
議 長: という事態もあるということが判明をいたしましたので。
中條副館長:はい,分かりました。そこは解説員に対して。
議 長: 小学生,中学生あたりまではどうなのかという感じはしますけれども,そういう団体,
引率者の方は当然,理解はしておられるでしょうけれども,そういう子どもたちに対し
ての説明は必要なことはあると思いますから,やはりそこは臨機応変に対応,判断をし
て,大人でも必要な方はいらっしゃる可能性はありますので,それは,大人に対しては
やらないということではなくとも,現場,条件を見ながら,接客ということでの対応を,
現場の担当の方を含めて,ぜひ,再検討いただけると。
館 長: 十分,教育に関してやっていきたいと思います。
議 長: よろしくお願いします。ほかに何かございますでしょうか。
西川委員:よろしいですか。活動方針,全体としては大変結構だと思うんですけれども,特に,
東日本大震災の対応に関連して,常設展示事業での展開を目指すということは大変重要
ではないかと。やはり多賀城自体も被災地ですし,多賀城市も減災・防災でリサーチセ
ンターもつくっているんで。積極的に復興に関わりを強調していこうというふうな新し
いまちづくりの一環として。そういう中で,こういう文化財の方の面からの常設展示,
震災と文化財というような視点での展示は,ぜひやっていただきたい。もっと大きく柱
として打ち出していい事業ではないかと。これは県なり国に対して,やはりその地域の
博物館としての使命だというところで,事業内容も含めてできる限り充実させて,予算
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も獲得するような方向を目指すべきじゃないかなと。その関連で言いますと,別に順番
にこだわるわけじゃないんですけれども,9番目に置くよりは,この順番で言うと5番
目ぐらいに,
「情報発信」の前あたりに置かれた方がいいんじゃないかと。
「組織・人員」
の後に置くということだと,何となく付け足しという言い方は失礼ですけれども,そう
誤解されかねません。もしこれができますと,やり方によっては歴史博物館の新しい役
割になり,入館者の層の拡大にもつながります。これからとにかく10年,20年復興
は続くわけで。
今,私も石巻なんかへもよく通っているんですけれども,やはり震災復興に関わるビ
ジターズ産業というか,そういうものをどういうふうにやるかということを今やってい
まして,そういうものにも非常に関わることなので,これはこの博物館だけの問題では
なく,こういうものがあるということで仙台なり宮城県なりにも,色々人が来る。その
大きな柱にもなる。ぜひ,声を大にして,いわば博物館の使命であるということで,強
調していただきたいと思います。
議 長: はい,という要望でございますので。確かにそう言われてみると,9番目というのは,
その付け足しという感じがあるんですね。付け足しではなくて,これは特別だという意
味なんだろうと思いますが。
私から1点ちょっと,お願いって言いましょうか,申し上げたいんですが,今回,こ
の「中長期計画」の中で,
「県民」っていう言葉が非常にたくさん出てまいります。「県
民が何度も訪れたくなる」あるいは「県民の利用率を高める」とかですね。あるいは「成
果を県民に還元する」といったような言葉が随所に出てくるんですけれども,確かにこ
の博物館は県立だというふうに思いますので,県民の方々に利用していただくというの
は第一義的な施設であるとは思いますけれども,しかし,その入館者数をどうやって増
やすかという,非常に大きな問題を抱えている中で,県民に来てもらえればいいという
話では多分ないんだと。お考え自体はそういうことではないとは思うんですが,しかし,
計画を書くとなると,
「県民」のところに目がいってしまう,そういう文章のつくりにな
ってしまうのかなという印象を,今回これ拝見して述べました。必要な所では「県民」
っていうふうなことがあってもいいんだろうと思いますけれども,それと同時に,県の
内外の多くの人々にという形でのアピールの仕方,成果還元の仕方,県税を使っている
んですけれども,それは国税でもあるわけですので。そういうユーザーというものの広
がりをもう尐し大きめに広めに捉えてもらって,この中長期計画自体を考えていただく
ということは大事なのではないかなと思います。情報の発信も,インターネットで配信
をするということが計画されているんですが,これは県民だけじゃないですね。世界中
で見られるような話になって,このホームページを見て,「ここにこういう情報がある,
それ本物を見たいね」とか,
「もっと行って,色んな情報を得たいね」というような,い
わば「引き」の手段になるような形で,
「あそこに行ってみよう」,
「宮城に行ってみよう」,
「東北歴博に行ってみよう」ということを国の内外から関心をもってもらえるような,
そのような視点で,もう一度文言を,内容的には今後色々考えなければいけないという
ことを気づかれたところを上げられているのでよろしいと思うんですが,具体策はこれ
からだと思います。取りあえず,大きな指針として出されていて,ここで今,
「具体的に
どうするつもりですか」って聞いてしまうと大変な話になりますから,今日は,議論は
しないとしても,そういったような目線で,改めて文言を検討いただけると,より見え
てくるものがあるんではないかなと。
中條副館長:はい,分かりました。そこはちょっと見直しさせていただきたいと思います。
議 長: あと,もう1点ですが,PDCAをやるということで,評価が入ってくるわけですけ
れども,達成度評価みたいなものですね,どこまでできたかという。これはどのくらい
の間隔でなさる予定なんですか。
中條副館長:一応毎年度,各項目,ちょっと今のところ各事業ごとにするかどうかなんですけれ
ども,その辺をある程度,数値化の評価を付けまして,まずは内部評価で,場合によっ
ては外部評価も考えながら,点数化をして評価をしてまいりたいと思っております。基
本的には毎年度になるのか,まだちょっと館内でも統一した見解は出ておりませんけれ
ども,今後,検討させていただきたいと思います。
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議 長: 自己評価と外部評価とあって,外部評価は今日のような厳しい意見が出されたりする
こともあって,それはそれで参考になるようなところもあるだろうと思いますが,その
後の評価の仕組みということについても色々と御検討いただければと思います。
この中長期計画について,いかがでしょうか。先ほど,菊池委員から,「子ども講座」
というような話も出ておりましたけれども,それに関わるような教育普及の所の「中長
期計画」の中で,先ほどのような御要望なども取り扱っていただければと思います。
他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは,「中長期目標」については,
以上ということに致しまして,議事の(4)
「その他」でございますけれども,いかがで
しょうか。
無ければ,私から1点だけ,ちょっとお尋ねさせていただきたい点がございます。そ
れは,昨年のこの協議会でも,経緯をお尋ね申し上げた件でございますが,県の図書館
の資料について,この博物館へ移管という問題がございました。これは報道もされてい
たわけでございますけれども,実は昨年,協議会でお尋ねをしたときに教育長さんでし
たでしょうか,お答えいただいたのは,
「教育委員会の中に検討委員会をつくって検討す
る」と,
「そういう御予定だ」というところまでの話は承ったわけですけれども,それ以
後の経過がどうなっているのか。ほとんど情報が分かりませんので,解決したのかどう
かも,この辺,あるいはまだ途上であるのかどうかも含めて,ちょっと御説明をいただ
ければと思います。
中條副館長:まず,簡単に御説明をさせていただきますと,図書館資料につきましては,図書資
料以外に色んな歴史資料の絵画とか,それから工芸品とか,多様な資料があります。文
化財的な価値をどうかということで,東北歴史博物館に移管をしたらどうかということ
であったわけなんですけれども,その後,移管に対する請願等が提出されました。それ
で,どういった問題があるのか,論点なり問題点を尐し整理をさせていただきまして,
県の教育委員会等でも検討させていただきました。もう尐し教育委員会以外で検討する
ことがあるという形で,また図書館の方でもその辺をもう尐し議論する必要があるとい
うことで,その辺の論点について,例えば,所蔵している資料の適切な評価についてど
うかとか,あとは保管の環境についてはどうかとか,それから県民の利用については図
書館がいいのか博物館がいいのかということの論点整理をするということになっており
まして,まずは図書館の協議会で検討をしていただくことになっております。それがあ
る程度されまして,あと県の教育委員会でそれを検討されまして結論が出るというよう
な形になっております。全て移管の作業等は,今,中断というか,そのままの状態にな
っているというところでございます。
学芸部長:大体,そんなに細かい話ではないんですけれども。今,副館長申し上げました県の内
部の検討会というのは,昨年度から始まりまして,教育次長をトップに3回行われまし
て,今後,図書館の文化財的な資料を活用していくために,どういう形が一番ふさわし
いかということを考えるための論点を,申し上げたように評価,研究ということですか,
価値づけということですか,それについてはどうだろうかとか,保存環境についてはど
うだろう,あるいは県民ということになると思いますけれども,公開あるいは外部の活
用についてはどういうことになるだろうかとか,あるいは資料の由来ということも考え
なければならないでしょうというような幾つかの論点をまとめております。その論点に
ついて,繰り返しになってしまうんですが,図書館協議会で,おそらく伺っているとこ
ろですと,もう2回は検討が行われていると思いますが,結論的にどういう方向になっ
ているのかについてまでは,ちょっと私の方へは情報は入っておりません。
議 長: そうしますと,県の教育委員会の中に検討委員会がつくられているということに,そ
れはどのような関係者の方々が委員ということに。
学芸部長:次長をトップに,生涯学習課,図書館,文化財保護課,東北歴史博物館です。
議 長: そうですか。そしてそこで問題点の洗い出しを行って,図書館協議会の方に出してそ
こで判断をしてもらうということですかね。そうすると,この東北歴博としては,
「引き
受けるよ」とか「引き受けませんよ」とかそのようなことの意思表示をするような関係
ではないということですか。
中條副館長:そういうことになると思います。図書館の方でどういうふうにするか議論をして,
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それを教育委員会の方で判断をするという形になります。
議 長: 管理状況とかどんな状態にあるかということは,こちらの館の環境とかいったような
ことは申し上げて。
中條副館長:はい,直接御説明しております。
学芸部長:1回,図書館協議会がこの場で行われました。そして収蔵庫を御案内して,どういう
環境にあるか御覧いただきました。
議 長:なるほど,そうですか。
学芸部長:この部屋でした。
議 長: なるほど。あの1点だけですが,
「25年度の事業計画」の4頁の所なんですが,これ
「文書」の欄ですが,
「県図書館から移管文書の整理等を行う」と書いてあるのは,これ
は今の話とは関係ない,それとも。
館 長: もう移管してあるものです。
議 長: もう部分的に受け入れたものを,という意味ですか。
学芸部長:それ以前にお預かりした,平成13年に。
議 長: 要するに,だいぶ昔。今回の問題とはまた別ですね。
学芸部長:そうです。
議 長:分かりました。いつ結論が出るかは,なかなか分からない。
学芸部長:そう遠くはないとは思いますけれども。
議 長: 分かりました。大方の方々が「そういう結論なら」というふうに,受け止められるよ
うな形に落ち着くことを,ぜひ期待したいと思います。歴史に関わっている私の方から
すると,県図書館で利用できたような利用状況というものが博物館に移されることによ
って利用がしにくくなったという話にならないような状態で,ぜひお願いをしたいと思
います。それは移管という結論になった場合でもありますけれども,移管にならないと
いう結論もあるのかもしれません。その辺は我々が今,立ち入るような話ではないと思
いますけれども,利用者の環境が悪くなるという動きにはならないような形を,ぜひお
願いできればと思います。
「その他」です。ほかに何かございませんでしょうか。それでは,本日の議題は一通
り終わりました。それでは進行を事務局の方にお戻ししたいと思います。
事務局: 平川会長,どうもありがとうございました。それでは,閉会にあたりまして,東北歴
史博物館館長・今泉隆雄が御挨拶申し上げます。
5 閉会の挨拶
東北歴史博物館 館長 今泉 隆雄
6 閉会
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