中部結婚情報サービスこと高村直人

インターネットでの情報提供
提供予定日
5月22日
平成24年5月21日 県政記者クラブ配付資料
所
属
担 当 者
担 当 連 絡 先
環境生活政策課
消費生活係
直通 058-272-8204
内線 2389
桑原 秀幸
特定商取引法に違反する結婚相手紹介サービス業者に対して
業務停止命令を行いました。
県は、下記の3事業者に対し、平成24年5月21日付けで、特定商取引に関する法律(以
下、「特定商取引法」という。)の違反行為を認定し、特定商取引法第47条の規定に基づき
特定継続的役務提供に関する業務のうち、中国人女性との結婚相手紹介サービス業務の一部
(新規の勧誘、申込受付及び契約締結)を停止する命令を行いましたので公表します。
1 事業者の概要
(1) ①事 業 者 名
株式会社アルシェ
いとう
ちえとし
②代 表 者 名
伊藤
智敏
③所 在 地
④設立年月日
⑤資 本 金
⑥事 業 内 容
岐阜市芋島1丁目10番地13 アルシェビル
平成20年1月4日
100万円
結婚相手紹介サービス
たかむら なおと
(2) ①事 業 者 名
②所 在 地
③設立年月日
④資 本 金
⑤事 業 内 容
中部結婚情報サービスこと 高 村 直人
岐阜市加納上本町4丁目26番地 大忠ビル2C
商業法人登記なし
商業法人登記なしのため不明
結婚相手紹介サービス
(3) ①事 業 者 名
株式会社ティアラ(旧事業者名 日中国際総合事務所)
②代 表 者 名
③所 在 地
④設立年月日
⑤資 本 金
⑥事 業 内 容
たかむら
な な こ
高村 菜々子
岐阜市加納上本町4丁目26番地 大忠ビル2B
平成23年2月1日
100万円
中国人女性との結婚相手紹介サービス
2 取引の概要
① 株式会社アルシェは、フリーペーパーに掲載した広告や電話によるアポイントメント
などにおいて誘引した消費者からの申込を受け、結婚相手紹介サービスの会員契約を締
結しています。
② 中部結婚情報サービスこと高村直人は、フリーペーパーに掲載した広告や電話による
アポイントメントなどにおいて誘引した消費者からの申込を受け、結婚相手紹介サービ
スの会員契約を締結しています。
③ 株式会社アルシェまたは中部結婚情報サービスこと高村直人は、両社がそれぞれ契約
を締結した日本人男性に対し、株式会社ティアラと共同して中国人女性との見合サービ
スを勧誘する際、婚約が成立した場合は見合料金が発生するにもかかわらず「お見合無
料」「お試し」「女性を見るだけ」などとだけ告げていたほか、新たな契約となること
や、契約金額、契約内容について故意に事実を告げていませんでした。
株式会社アルシェまたは中部結婚情報サービスは日本人男性会員を、株式会社ティ
アラは中国人女性会員を、それぞれ役割分担して勧誘し、結婚相手紹介サービスの契約
を締結していました。消費者は、中国人女性との見合サービスが終了し、婚約が成立し
た際に初めて別会社の契約であることを告げられ、高額(約350万円)な契約書を締結
していました。
【3社の関係図】
解約対応
代理店・ 委託社員
消費者
︵看板・折込広 告・訪問販売︶
代理店契約
(消費者の紹介)
B (株)アルシェ
役割分担:日本人男性・中国人女性の勧誘
A
所在地:岐阜市/代表者:伊藤智敏
手数料支払
♂男性会員の勧誘
収納代行・営業活動への関与
(株)ティアラ
所在地:岐阜市/
代表者:高村奈々子
折込広告、ホームページ、
電話勧誘、訪問販売
旧 日中国際総合事務
所
C中部結婚情報サービス
所在地:岐阜市/代表者:高村直人
♂男性会員の勧誘
役割分担:日本人男性・中国人女性の勧誘
手数料支払
♀中国人女性会員の
勧誘
収納代行・営業活動への関与
解約対応
3 業務停止命令の内容
特定商取引法第41条第1項に規定する特定継続的役務提供に関する業務のうち、中国人
女性を見合相手とする結婚相手紹介サービスに係る次の業務を停止すること。
(1) 内 容
ア 特定継続的役務提供契約の締結について勧誘すること
イ 特定継続的役務提供契約の申込を受けること
ウ 特定継続的役務提供契約の締結をすること
(2) 停止命令の期間
平成24年 5月22日から平成24年 8月21日までの期間(3か月間)
4 違反行為の概要
(1) 重要事項不告知(特定商取引法第44条第2項)
株式会社アルシェまたは中部結婚情報サービスは、それぞれ株式会社ティアラと共同し
て中国人女性との見合サービスを勧誘するに際し、中国人女性と婚約が成立した場合は見
合料金が発生するにもかかわらず「お見合無料」「お試し」「女性を見るだけ」などとだ
け告げていたほか、新たな契約となることや、契約金額、契約内容などについて故意に事
実を告げていませんでした。
(2) 概要書面の不交付・不備記載(特定商取引法第42条第1項)
株式会社ティアラ及び中部結婚情報サービスは特定継続的役務提供契約を締結するま
でに、契約の概要について記載した書面を、その相手方に対し交付していませんでした。
また、株式会社アルシェは特定継続的役務提供契約を締結しようとするまでに交付して
いる契約の概要について記載した書面に、特定継続的役務提供契約の解除に関する事項や、
書面をよく読むべき旨を赤枠の中に記載していませんでした。
(3) 契約書面の不備記載(特定商取引法第42条第2項)
株式会社ティアラ及び株式会社アルシェ、中部結婚情報サービスは特定継続的役務提供
契約を締結したときに交付している当該契約の内容を明らかにする書面に、当該役務提供
の形態又は方法、当該役務を提供する時間数、回数その他の数量の総計、書面をよく読む
べき旨を赤枠の中に赤字で記載していませんでした。また、株式会社ティアラ及び中部結
婚情報サービスは同書面に、当該契約の解除に関する事項について記載していませんでし
た。
(4) 財務等書類の備付け義務違反(特定商取引法第45条第1項)
株式会社ティアラ及び中部結婚情報サービスは特定継続的役務提供に先立って、その相
手方から特定商取引法施行令第13条で規定する5万円を超える金銭を受領する前払取
引を行っているにもかかわらず、その業務及び財産の状況を記載した書類を特定継続的役
務提供契約に関する業務を行う事務所に備え置いていませんでした。
5 相談の状況
(1) 相談件数と契約当事者の概要
契約件
数
(件)
26
契約当事者の年齢
平均
最高
最少
(歳)
(歳)
(歳)
41.8
52
30
性別
男
(人)
26
女
(人)
0
(2) 相談事例
別紙「相談事例」のとおり。
(3) 特記事項
県が行った特定商取引法による行政処分(業務停止命令及び指示)は、今年度1件目。
同法に基づく行政処分としては、通算12件目。
別紙
相 談 事 例
【事例1】
平成23年1月上旬頃、消費者Aと両親は、アルシェの従業員X1から結婚相手紹介サー
ビスの勧誘を受けた。その後Aは、52万5千円のコースを契約し、携帯電話サイで計8人
の女性との見合を申し込んだが、後日いずれの人からも会社を通じて断られた。
Aは、その後、アルシェの社長から年収などを理由に、
「日本人の結婚相手は見つからな
い。中国人とテレビ見合をしてみないか。」と言われた。契約してから1ヵ月しか経っていな
かったが、それまで見合相手からことごとく断られたため、中国人であれば結婚相手も探せ
るかもしれないと思い承諾した。
3月上旬にティアラという所でテレビ見合をすることになったが、アルシェの社長から勧
められていることや、新たな契約になるとの説明は受けなかったため、アルシェのサービス
だと考えた。社長からは、この段階では中国人女性とテレビ見合することを家族には言わな
いよう釘を刺された。
ティアラへ行くと、アルシェの社長、アルシェの従業員Y1、アルシェの部長、男女のス
タッフ2名がいた。ここでも、社長らからアルシェとは別契約になり別料金が発生すること
などの説明は受けなかったので、アルシェとの契約だと考えた。テレビ見合は、双方が通訳
を置き、社長の進行で2人の女性と計20分ほど話したが、終わったところで、社長から気
に入った女性ともう1回会うよう誘われたので、後日、またテレビ見合することにした。こ
こでも社長は、両親には言わないよう釘を刺した。
3月中旬、前回同様ティアラでアルシェ社長を進行役とし、相手女性の結婚の意志などに
ついて約10分にわたり確認した。見合後、社長は「ウエブ見合から結婚までの費用明細」
と記載した書面を示し、
「見合から現地での結婚までに350万円ほど要る。準備してくださ
い。
」と言った。Aは、テレビ見合は、アルシェのサービスだと思っていたので、社長の要求
は唐突で、金額の大きさにびっくりしたが、既に事がレールに敷かれて進んでいたこともあ
り、「分かりました」と返事した。社長は、両親に話は自分から話すと言った。
社長は、Y1と自宅に来て、Aの結婚を許すよう説得したが、両親は反対した。
その後Aは、両親に黙って婚約を申込んだ。双方が婚約書に署名指印したものをFAXで
やりとりするという手順だった。この後社長から渡された契約書に署名しティアラと契約を
交わし、結婚に関するスケジュール表をもらったが、その夜、Aは両親に婚約したことを伝
えると猛反対されたため、解約することにした。
【事例2】
平成22年12月、消費者Bの家にアルシェの女性従業員X2が突然やってきた。Bの母
親は、この会社が自社ビルを持っていることなどから、信用して契約し、入会金をその場で
支払った。Bは、その後店に行き、インターネットで見合相手を検索し、何人かの女性に見
合のエントリーをした。ほかに、デートレッスンなどを受けた。
Bは、日本人の見合相手を都合9回10人に申し込んだが、いずれも断られ、集団見合も
2回参加したがそれもだめだった。見合後、アルシェの社長に呼び出され、中国人とウエブ
見合を勧められた。
2月上旬、岐阜市内の事務所に行った。この事務所は、アルシェの一部門だと認識した。
そこには、アルシェの社長のほか、中国語が話せるスタッフがおり「高村事務所」と呼ばれ
ていた。社長の指示により通訳を介して中国人6人とシナリオ通り設問し見合し、気に入っ
た女性に来週結婚を申し込むことと、親には言わないよう言われた。
その日の夜、社長とアルシェ従業員X2がB宅を訪問し、
「うちが紹介する子はいい子ばっ
かりだから。
」と強調した上、相手女性がBのことを気に入ってくれていると言った。これに
舞い上がり、このような状況で中国人との結婚について深く考えることなく承諾した。この
とき、婚約に関する契約金については、一切何も言われておらず、社長から勧められた見合
であったため、婚約料金はアルシェとの契約に含まれていて費用はかからないものだと思っ
た。ましてや婚約を解除すると違約金が100万円かかる、などとは一切聞いていない。
翌週、社長の指示通りプロポーズをした。その時初めて婚約にかかる費用として350万
円を振り込むよう言われたが、何の代金がいくら、何の費用がいくらなどという費用明細に
ついては一切知らされず、突然この金額のみを言われ非常に高いと驚いた。しかし社長は「
成婚料をまけたる。330万円でいい」と言うので、値引きしてくれるのならと金額に納得
して契約した。3月終わりに、Bは母親に依頼して社長から指示された別会社の口座に33
0万円を振り込んだ。
【事例3】
平成22年11月、中部結婚情報サービスの従業員X3が消費者C宅を訪問し、会員勧誘
をした。Cは、事務所へ行き、社長から「日本人を紹介する、見合をしてみよう」と入会を
勧められ、契約書に署名した。このとき契約書以外の書類は何も受け取っていないし、中国
人を紹介するなどとは一言も聞いていない。もしこの時中国人を紹介されると聞いていたら、
決してこの会社へは行かなかったし、契約もしなかった。その後20∼30歳代の日本人女
性の写真5∼6枚から3人に申し込み、うち1人と見合したが、その後断りの電話があった。
1週間後、中部結婚情報サービスから見合相手の写真を見るため事務所に来るよう言われ
た。この女性はアルシェの会員であるとのことだった。2月、中部結婚情報サービスの従業
員の車でアルシェに行き見合した。見合が終わると、アルシェの社長から「今日の見合はだ
めだったよ。」と言われたとともに、「あなたはおとなし過ぎて日本人はだめだから。無料で
中国人を3人紹介するから、1回やってみんか。」と勧誘を受けた。まさか中国人と見合する
ことになろうとは思っていなかったため、この唐突な提案をすんなりと受け入れることはで
きなかったが、「中国人はいい子ばっかりやから。
」と強調する社長に押され、Cは気軽な気
持ちで見合体験をする事にした。
3月上旬、中部結婚情報サービスの隣にあるティアラに行くと、ティアラの社長のほか、
スタッフがいた。アルシェの社長もここに来ており、パソコンの前へCを案内し、3人の中
国人女性と15∼6分、通訳を挟んで会話した。テレビの見合後、アルシェの社長から1人
と女性と再度見合するよう促され結婚を前提に付き合ってみないかと勧めてきた。また、
「結
婚が決まったら中国で結婚式をやるよ。
」と早くも結婚についてのことを言った。社長は、結
婚の協力をするとともに、結婚が決まるまでは親に言わないよう言った。
親には言うなと口止めされたが、Cは、母親に「中国の子にプロポーズしたよ。
」と告げた
。しかし、Cの母親は反対したため、それを社長に伝えると、自分から母親に話をすると言
った。中国人との見合は無料だと言われており、何ら代金の請求も受けていなかったことか
ら、このサービスは中部結婚情報サービスとの契約に入るものと思っていたが、結婚するた
めには350万円程度必要だとアルシェの社長から突然言われ驚いた。
3月下旬、母親の反対を無視しティアラとの契約書と婚約書を交わした。その夜社長が家
にやって来て、母親にCの中国人女性との結婚を勧めたが、母親は反対した。社長は、
「中国
に行くための費用や、披露宴のドレスや引出物などに350万円以上必要だ。
」と話すととも
に、
「乗用車を買うと思えば同じものだ。」
「結婚を決めるのは本人だ。
」と言うので、Cの母
親は結婚を認めた。次の週350万円を中部結婚情報サービスの社長に現金で払った。
4月末に中国で結婚式を行う予定だったが、相手女性の親が、
「放射能汚染が危ぶまれる日
本には行かないでほしい。
」と結婚を反対し、この話はご破算となった。婚約解消となったこ
の日のうちに、アルシェ社長は、Cを気に入っているという別の中国人女性を紹介してきた。
母親にそれを話すと簡単に結婚相手を決めることについて反対されたため、電話で断ったが、
社長は「婚約解消となるとキャンセル料がかかる。それにこの子は非常に明るい性格で、あ
なたの息子さんのようなおとなしい人にはいいと思うよ。」と母親を説得し、Cもこれを逃し
たら二度と結婚できないという焦りから婚約することになった。そして4月下旬にもう1人
の結婚予定の人と一緒に中国へ出発することになった。前回は婚約書を交わしたが、今回は
書面を交わしていない。渡航前に費用についてもう一度説明を受け、350万円以外にも、
日本語学校への通学費用10万円と小遣いを余分に持って行くよう言われた。結局、最初の
契約金額だけでは済まず、自己負担も併せると400万円以上かかった。