ライフル型救命索発射銃の実験結果について

消防科学研究所報 15号(昭和53年)
ライフル型救命索発射銃の実験結果について
宰本
上
野
畠
山
富
ー
ー
*
本
堀
井
幸
一一**
村
上
信
義料
1
. はしがき
現在,火災または風水害等により危険な場所に取残
された場合に,消防隊が使用する救命索発射銃として
は,数種のものがある。
このうち,中高層建物火災等が発生し高所で逃げ遅
れ,救助を求めている人身に救助ロープ等をとどける
ために使用されているものは,主に M-3型発射銃で
あり,射程は高度約40m (発射仰角 800 I
侍)である。
近年建築物の高層化が進み,これに伴って高層建物
が増加する傾向にあることから当然,長射程の発射銃
の必要性が要求されるようになってきた。今度,米国
製のライフル型〈ブリッジャー型)救命索発射銃を入
手し,その性能実験を実施したので結果の概要を報告
する。
2
.
写真 1 ライフル型(ブリッジ+ー型)
実験の概要
ライフル型救命索発射銃は,射手が銃床尾を肩に当
てて射つ型式のもので s射程,命中率等の性能のほ
か,発射体が飛び出す瞬間,肩部にどの程度の反動力
がかかるかが実用上の問題となる。
そのため,真ちゅうとアルミ製の 2種類の発射体を
使い,反動力,初速及び射程等の性能実験を行った。
3
.
銃の形状諸元
銃の形状,付属品及び諸元は写真 1, 2,表 1の通
りである。
4
.
実験方法及び結果
(
1
) 反動力の測定
写真 2 銃及び付属品
写真 3の通り,反動力を確実に受けられるように,
床尾に鉄板をはりつけた発射銃と荷重変換器を取付け
こ状態で,固定台の下にほぼ水平に吊
た錘箱を密着 Lt
し,発射時に床尾が荷重変換器に作用した力を反動力
-第三研究室長
H
第三研究室
として計測した。なお,発射時に射手が上半身に受け
(5
3)
表
2
ぉ発射体の到達高度につい…日丸発射体の形状が
初速
N
o
. (m/s)
反動力
備
(
k
g
)
6
0
0
3
6
0
6
2
0
考
表 3の実測値を基に推測した。
図 2は索付の真ちゅう,及びアルミ発射体の軌跡を
l
発 射体の挿入
i
不充分
90 )の最高は,真ち
示したもので,垂直射程(仰角 7
ゅうの場合約 100m,アルミの場合約 80m,水平射程
3
30 )の最高は, 潟、ゅうの機会約 140m,ア
の綴合約 98mである。
索射
に発
体て
射け
や
日
1
0
2
.
1
1
1
6
.
6
発つ
5
.
f
f
123456789
1
0
0
小さく写真記録などによる測定ができなかったため,
"
考
ゅう発射体〈賃登210g とアノ,多数射体(重量
6
3g) について実験結果から,発射体重量を約 30%に
軽量化すると,垂直射程(高度),及び水平射程は約
2 0 %-30% 短かくなる。また,反動力は約 40%~50%
少なくなる。
々回実験した銃は銃身が災く$議議長室をも多いので長
る特徴があり,高総書訟のものといえるが,反
きく,その作用時慨が長し、燃の欠点があるた
券?っ場合には射手の肩と銃球給部民党分な緩衝体
討対立が金属製の細
う必要がある。まずこ p 持 j
長い棒状のものであるから上空から落下する際に人体
等に二次的危害を及ぼさないように注意して取扱う必
要がある。
写真4
表3
発射体
種,]Ij
真
戸邑
斤t
ち
水平到達距離
銃射方向か
右へのずれ
(m)
風速
(m/s)
右
1
.4
追い風
2
1
6
9
.
7
左
2
.
2
3
1
3
6
1
7
5
右
6
.
0
"
"
1
1
6
1
7
5
右
1
3
.
4
右
4
2
.
81
.8
右
3
4
.
3
5
2
.
4
右
2
ι
2
2
3
9
5
左
6
.
5
追い風
33
9
7
.
9
左
6
.
0
4
2
8
7
.
4
1
1
1
右
1
0
.7
"
"
4
9
8
6
1
0
9
右
2
2
.
0
6
7
.
6
右
3
5
.
5
3
右
3
4
.
4
9
右
1
6
.
2
3
1
3
4
.
4
3
3
1
4
0
.
9
4
2
4
9
"
ゆ
1
0
0
付
う
き
ア
ノ
レ
風
横
風
3
3
.
5
3
2
2
.
5
3
3
.
5
、
風 3
.
5
叩
ndwqu
FD
FD
〈日〉
1:発射角
2
:発射角度
真ちゅう発射体
110
アルミ発射体
4兄・
490
60・
69
3
:発射角度
4
:発射角度
100
・
5
:発射角度
6
:発射角度
90
・
79
80
7
0
60
5
0
40
3
0
2
0
程
。
。
1
0
(m)
1
02
03
04
0 5
06
07
08
09
01
0
01
2
01
3
01
4
01
5
0
一一一ー水平射程 (m)
図 2 索付発身打率の軌跡
度
(m)
到達時間
ls
e
c)
h
度
(
0
)
径
〈皿)
身 長
ぉ;…コ司
1
8
包ミ
近 距 離 N N火薬1.2g
遠 距 離 N N火薬 2.5g
装 薬 量
(g)
弾体重量
(kg)
初 速
一約約約一約約約一⋮部一
一薬薬盟薬薬弾一一一
一進進ム一進進ム一一一
推推ゴ一推推ゴ一一一
近距離
遠距離
(m)
高
-1321
花﹁﹁│
水平到達距離
3
6
2
5
0
60g
36g
発射薬
L5g
ゴム
弾 一 約1
50g
浮体付発射体
360g
推進薬
推進薬
(m/s)
鋭 重 量
〈kg)
総 重 量
〈
匂
〉
3
.7
3
5I
(弱〉
0
6
. おわりに
現在,市販の救命索発射銃の諸元,及び形状を参考
まで表 4 ,写真 5~8 に示す。
写真 5 M-3型(ピストル型)
写真 7 MS-3型
写真 6 KM-6型
写真 8 M S -l
O
型
①:収容ケース
②:発射筒〈索入り)
③:銃把付
④:推進薬缶
⑤:推進薬
@:発射薬(1.5g)
⑦:浮体付発射体
③:銃本体
⑨:属J
I毛
⑬:発射薬缶
⑪:薬室ネジ回し
⑫:ゴム弾
(5
1)