オペル

④繊毛虫のなかま
ふ ちゃく
(7)付着するなかま
検索表②:殻がないツリガネムシのなかま
解 説
たんどく
ぐんたい
単独生活
せん もう ちゅう
群体生活
ぐんたいたん い
えだ たん い
ふ ちゃく
枝単位
繊毛虫のなかまには泳ぐプランクトンのほか、水草などの上に付着して生活しているものがいます。
さまざまな
群体単位
グループの繊毛虫が付着性ですが、
ここではひとまとめにして紹介します。
また、付着性の繊毛虫であっても、はが
こ の 図 鑑 に の せ た な か ま
きゅうかんちゅう
吸管虫のなかま、
ラッパムシのなかま、
コスルニア属、
プシュードスリコーラ属、
ツリガネムシ属、
カルケシウム属、
ズーサムニウム属、エピスティリス属、
カンパネラ属、
オペルキュラリア属
柄が伸び縮みする
れて、水の中にただよっていると、
プランクトンネットで採集できることがあります。
マイオネーム
縮んだとき
ふ ちゃく
「付 着 するなかま」
の見分け方
繊毛はない
繊毛がある
柄がない
柄がある
ツリガネムシ属
繊毛
繊毛
カルケシウム属
柄
繊毛列は4∼6周
おちょぼ口
4∼6周
一周
ツリガネムシのなかま
検索表①へ
細くなった
おちょぼ口
エピスティリス属
カンパネラ属
原生動物 のなかま
ラッパムシのなかま
吸管虫のなかま
柄が伸び縮みしない
繊毛
ズーサムニウム属
群体生活
繊毛列は1周
きゅう かん ちゅう
連続している
とぎれている
え
え
マイオネーム
オペルキュラリア属
検索表①:ツリガネムシのなかま
殻がある
殻にふたがない
殻がない(検索表②)
トピックス ………
殻にふたがある
せ ん も う ちゅう
繊毛虫の増え方
ぶんれつ
繊毛虫は通常1回分裂すると1匹が2匹に、
すなわち数が倍になります。野外で
ついせき
実際に繊毛虫がどのように増えるのかを追跡することはとても困難です。
しかし、
ぐんたいせい
カルケシウムやエピスティリスなどの群体性ツリガネムシでは、
1つの群体のすべ
殻
ふ ちゃく
ての個体が最初に付着した1匹の子孫であるため、同じ群体の個体数の変化を追
ふた
ぞうしょくそくど
ゆう き
跡することによって、
野外での増殖速度を推定することができます。実際に有機
殻
ぶつ
物が多いどぶ川で群体性ツリガネムシの増殖速度を推定してみると、
条件が良い
ときには1日に3回分裂していました。これは1匹が1日後に8匹になることを意味
します。かりに体積が0.001㎣の繊毛虫が1匹いたとします。この繊毛虫が1日3回
群体性ツリガネムシの1種
分裂するとして、
まったく死ぬことがなかったとしたら、繊毛虫の合計体積は25日
で琵琶湖の体積275億㎥を超えてしまいます。実際には琵琶湖が繊毛虫でいっぱいになることはありません。これは、繊毛虫
りつ
コスルニア属
92
プシュードスリコーラ属
殻がないツリガネムシのなかま
検索表②へ
の数が増えるとそれを食べる動物が増えたり、
エサがたりなくなったりして、繊毛虫の死ぬ率が上がるためです。実際に野外
で死ぬ率を推定したところ、新しく生まれた繊毛虫の90%以上が次の日には死んでいました。
93
④繊毛虫のなかま
きゅう か ん ちゅう
吸管虫のなかま
きゅうかんちゅう
解 説
せいたい
せんもう
くだじょう しょく
コスルニア属
Cothurnia
吸管虫のなかまは、成体(おとな)
では繊毛がありませんが、子供のうちは繊毛があり泳ぎます。管 状の触
しゅ
プシュードスリコーラ属
Pseudothuricola
くだ
手でほかの繊毛虫などをつかまえ、その管で体液を吸います。そのため目立った口はありません。
解 説
解 説
から
え
透明なワイングラスのような殻があり、短い柄がありま
短い柄で水草などに付着します。殻には
す。
コスルニアに似ていますが、透明なふたで殻の口を
ふたがありません。
ふさぐことができます。
場合によっては殻の中に個体が2
生息場所:湖、ため池などの水草の上にす
つ入っていることもあります。
ふ ちゃく
んでいます。
個体の大きさ 50∼100㎛
生息場所:水草の上に住んでいます。個体の大きさ 90∼100㎛
から
トコフリヤ属
トコフリヤ属の一種
Tokophrya
え
Tokophrya sp.
解 説
え
から
透明なワイングラスのような殻があり、
トコフリヤは柄で水草や水中の石に付着しています。
トコ
フリヤによく似ていてワイングラス状の殻をもつものにアキ
ふ ちゃく
プシュードスリコーラ属
の一種
コスルニア属の一種
ネタがいます。
Pseudothuricola sp.
Cothurnia sp.
生息場所:湖、
ため池、河川などにすんでいます。
個体の大きさ 50∼60㎛
解 説
ラッパムシのなかまは5種類ほど、琵琶湖周辺で確認されていて、緑、
ピンク、青、白、茶色など色もさ
伸びたとき
さやに入ったとき
ラッパムシのなかま
ふ ちゃく
プランクトンとして採集されることもあります。
まざまです。通常はヨシや水草に付着していますが、
ラッパムシ属
ラッパムシ属の一種
Stentor
ツリガネムシ属
Stentor sp.
ら せん じょう しゅうしゅく
名前がつきました。おどろくと丸く縮みます。口のまわりにエサを取る
せんもう
ための繊毛があり、それを動かして水流をつくり、エサを集めます。
え
ら せん じょう
え
群 体 性で柄 は螺 旋 状 に収縮します。柄 の枝分かれ
ます。
部分でマイオネームがとぎれているところがあります。
個体の大きさ 30∼150㎛
(種類により大きさが異なります)
個体の大きさ 150㎛∼2㎜
ぐん たい せい
単独生活をし、柄は螺 旋 状 に収 縮し
生息場所:湖、
ため池、
川などにすんでいます。
生息場所:湖、
ため池、川などにすんでいます。
Carchesium
解 説
解 説
口のまわりが広がり、
まるでラッパのような形をしているのでこの
カルケシウム属
原生動物 のなかま
解 説
Vorticella
えだ たん い
このため、枝 単 位で収縮します。大きな群体は3㎜くら
いまでになります。
生息場所:湖、
ため池、川などにすんでいます。
ツリガネムシ属の一種
ツリガネムシのなかま
Vorticella sp.
個体の大きさ 50∼125㎛
カルケシウム属の一種 Carchesium sp.
解 説
こう ぎ
か
え
せんたん
つ
から
広義のツリガネムシには14ほどの科があります。多くの場合、柄の先端に細胞が付いています。
また、殻をもって
せんもうれつ
いる種類もあります。細胞の先端に口があり、口のまわりにある繊毛列で、水の中の細菌などの小さなプランクトン
か
しゅ
ツリガネムシのなかまは大きく分けて、1匹1匹が単独生活をしている種と、枝分かれし
をろ過して食べています。
え
ぐんたいせいかつがた
らせんじょう しゅうしゅく
かた
た柄の先に細胞が付く群体生活型の種がいます。群体生活をする種には柄が螺旋状に収縮するものと、柄が硬く
せん い
収縮しないものがあります。柄が収縮する種には、柄の中心部分にマイオネームと呼ばれる収縮する繊維をもって
います。
(P93、検索表②参照)
94
95
④繊毛虫のなかま
ズーサムニウム属
Zoothamnium
解 説
ぐん たい せい
エピスティリス属
Epistylis
解 説
え
ら せん じょう
せ ん も う ちゅう
繊毛虫のエサの取り方
せん もう ちゅう
繊毛虫の多くは口のまわりの繊毛を動かし、水中の細菌(バクテリア)や小型の植物プランクトンをろ過して食べていま
ぐんたいせい
え
せん
群 体 性で柄 は螺 旋 状 に収縮します。枝分か
群体性で柄は収縮しません。口のまわりに繊
れしてもマイオネームは連続していて、刺激を
毛列が1周しています。群体がプランクトンとし
もうれつ
す。なかには肉食性でほかの繊毛虫やワムシをエサにしているものもいます。下の写真はリトノータスが小型の繊毛虫を食
べるところを連続撮影したものです。
だい
繊毛虫によっては自分より大きなエサを飲み込むことがあります。サン=テグジュペリの『星の王子さま』にウワバミ
(大
じゃ
うけると群体全体が収縮します。
て採集できることもあります。
生息場所:湖、
ため池、
川などにすんでいます。
生息場所:湖、
ため池、川などにすんでいます。
個体の大きさ 40∼60㎛
個体の大きさ 50∼150㎛
ズーサムニウム属の一種
トピックス ………
蛇)
がゾウを飲み込む絵がありますが、繊毛虫の世界ではこんなことはあたりまえの光景です。
エピスティリス属の一種
Zoothamnium sp.
Epistylis sp.
❶ リトノータスがエサを探しています。
カンパネラ属
Campanella
ぐん たい せい
Opercularia
原生動物 のなかま
解 説
オペルキュラリア属
❻また泳ぎ出しますが、食べられたエサの
繊毛虫はそのまま体内に残っています。
解 説
え
ぐんたいせい
え
群 体 性で柄 は収縮しません。体はほかのツ
群体性で柄は収縮しません。
リガネムシより大きく、口の周りを繊 毛 列 が4
口がおちょぼ口になっています。
せん もう れつ
周から6周しています。
生息場所:湖、
ため池、川などにす
生息場所:湖、
ため池、川などにすんでいます。
んでいます。
個体の大きさ 130∼250㎛
カンパネラ属の一種
Campanella sp.
エサになる繊毛虫
❷小型の繊毛虫を見つけ、
くらいつきます。
❺ 口を閉じます。
個体の大きさ 45∼150㎛
オペルキュラリア属の一種
Opercularia sp.
エサになる繊毛虫
❸ 回転しながら飲み込みます。
96
❹ ほぼ飲み込んだところです。
97