TDレポート Vol.18(2002.10)

T D R
Technology Development Report
2002.10.(第18号)
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はじめに
●不況こそチャンス・今こそ自分を売り込む時!
!
2
常務取締役 技術開発室室長 加藤雄一郎
特別寄稿
●照明計画のあり方
4
愛知工業大学教授 建築工学科 坪井常世
技術報告
●中部国際空港の資材共同購入方法導入
10
名古屋本部 内線工事部/酒井専吾
●テレスコブーム併用オーガー ・ 拡底掘削機の開発
14
電力本部 工務部 送電グループ/早瀬雄一
●長尺光通信ケーブル延線機(引張っ太郎)の開発
18
情報通信本部/北島勝利
●高所作業車用落下物防止ネット(1面タイプ)の開発について
22
配電本部 配電統括部 技術グループ/三井義夫 ・ 高橋和弘
●「ポリ管挿入ガイド」の開発について
24
配電本部 配電統括部 技術グループ/吉岡 修 ・ 高橋和弘
●空調計画支援ツールの開発
26
技術開発室/河路友也 ・ 千葉理恵
●低圧屋内電路における新地絡保護システムの研究
30
技術開発室/山本達也 ・ 伊藤公一
施工事例
●中光度白色航空障害灯のプレハブ配線について
34
電力本部 工務部 送電グループ/大井貞夫
●大型病院の発電機による無停電化制御方式
38
岡崎支店 刈谷営業所 施工第一課/田中秀孝
●寒冷地における氷蓄熱空調の設計 ・ 施工報告
42
名古屋本部 営業部 設計グループ(空調管担当)/馬場基次 ・ 林 哲也
飯田支店 営業部 施工課(空調管担当)/伊藤宣展
●ETC設備の概要と施工
46
岡崎支店 営業部 技術課/吉澤収一
●アサヒビール株式会社神奈川工場[B工区]の施工
50
神奈川支社/栗田博司
技術開発室だより
52
編集後記
56
T
D
Technology
Development
Report
2002.10.(第18号)
R
2002.10.(第18号)
不況こそチャンス・
今こそ自分を売り込む時
技術開発室室長 加藤
皆さん、日頃は業務に精励されていることと大変
ご苦労様に存じます。
現在の当社を取巻く環境が大変厳しい状況にある
ことは、ご承知のとおりです。これは、当社だけでな
く、
建設業全体がこの様な厳しい状態に置かれており、
特に、電力系の会社は電力の自由化を背景にした各
電力会社の設備投資抑制から、電力依存度の高い会
社ほど、もろに不況の波を被ることになっています。
勿論、経営的にもコスト削減策、
構造改革案が示され、
次々と実施されてきておりますが、従業員個人として
〔今何を為すべきか〕であります。
「仕事が少なく、細
かくなってきている」と、よく聞きますが……だから
こそ、
〔信用、品質、安全〕に最善を尽くすことが大切
です。信用の失墜が、企業の存続を危うくすることは、
言うまでも無く最近のニュースを見れば明らかなこ
とであります。
不況こそチャンスと、アクティブに考え、変に萎縮
しないことです。目を前に向け、自分が出来ることは
何か……、皆んながベクトルを一致させた時、勝ち組
になれると思います。
仕事が少ないと内向的になる前に、視野を広げて
自分の周りを見てみましょう。
1、改修・リニューアルの発見
今まで施工してきた膨大な顧客データがあります。
一般的に、設備の改修は1
5∼25年が時期であると言
われていますが、まさにバブル期又はそれ以前に建
設したものがこれに当てはまります。
98年に旧建設省
(現国土交通省)が纏めた所によると、95年市場規模
は約20兆円であり、2
010年には、この1.
5倍の巨大市
場になると予測しています。新規工事が減少する中
で増加傾向と云われ、建設各社が力を入れている所
以です。最近は、
電気・機械・化学・建築・土木と言っ
たような技術、学問ではなく、どちらにも入り、どちら
とも言えない所謂、システム工学のような技術が必
2
雄一郎
要とされて来ており、各大学もこの様な学科が多く
なってきています。まさに電気・空調・水廻りなど当
社の培って来た施工技術を土台とした提案が出来る
ところではないでしょうか。
何も高度な技術をどうこうする事ではなく日頃の
お客様が不自由している問題の改修・改善提案がソ
リューションの源であります。
「こんな事が」と思う事
でもお客様から相談を受けたときなど、先ず自分で
考え、後は社内の組織を使ってください。そのために
技術開発室がバックアップします。
●技術提案…ソリューションなど良く使われる言葉
ですが、自社の開発技術、工事中知見された技術で、
お客様に提案してみたらどうでしょうか……。 技術
開発室では、各部門の持つ技術資料をまとめ、カタロ
グ様にしてCDとして各部署に配布できるようにし
ております。是非利用して頂ければ幸いです。これ
を用いて各部署に説明懇談を実施します。よろしく
ご利用のほどお願い致します。
●提案営業…ここでは、地域密着としての考えであり
ます。
「仕事が細かくなる」
「商売になるのに長くかか
る」など聞きますが考えを変えて下さい。仕事は「有
る所からとってくる」のではなく「創出するものであ
る」
と言う気概を持ってください。
●「仕事が細かくて…」と言うまえにコンビニを見て
ください、数でこなせば大きなものに劣りません。
サービ スが緻密に行き渡ります。当社の組織にもっ
てこいでは有りませんか。
提案はこの特定部署に限らず、全ての部署で強力
に活動して行きましょう。
2、新規事業について
新規工事が減少し、改修・リニューアルが増加して
いると言っても、これは従来のものが補完されるも
のではなく、成長が見込まれる新規分野の事業創出
を図った成果であります。ES事業部が主に扱って
おりますがドリームベンチャー制度もあり一般の社員
からの応募を受け付けております。我々が普段やっ
ている業界の中に事業に結びつくものが混在してい
るものです。
●私事で恐縮ですが、皆さんに応援して戴きながら
フィルターの洗浄事業にも携わっております。 この
事業は好況時には、会社は絶対にOKと言わない事
業でして(扱い高が主体事業と比べあまりにも少な
い)、
この意味でも、不況こそチャンスの一例です。
その事業で扱うフィルターは、誰でも知っておりま
したがこんなに種類があるとは思いませんでした。
精々家庭用、自動車用のものをイメージしていたか
らです。事業を始める時に新品の価格が高額であり、
PRのキャッチフレーズではありませんが“エコロ
ジー andエコノミー”を実現するものとして、どの
ユーザーでも直ぐ飛びついてくると予想し、営業は
簡単であると思っていたので投資額が直ぐ回収でき
ると踏んでいましたが、開始してまもなく新品が40%
も暴落しました。洗浄が知られ始めメーカーが脅威
を感じたからだと思っています。
しかしながら実際にはまだユーザーの認知度は低
く、部品の1つとしてメンテナンス業者に一式で発注
されているのが現状です。ビル用は経費節減の煽り
から標準使用限界を超えるまで使用し、交換を延す
ところが多く出てきています。生産ユースは製品の
品質確保の面からも定期的な交換が必要であり、現
在この方面に力を注いでいるところです。エンジン
の吸気部分にも使われており、発電機、
トラック、など
定期的な取替えユースが予想されるため営業の大き
な柱の一つとしております。
現在は、吸気フィルターだけでは無く他の物の洗
浄も出来るよう研究開発中であります。やってみる
と、いろいろな業界で不自由していることが判ってき
て挑戦意欲がかきたてられます。不況の今がチャン
スとして、これに強い業種を目指して努力していると
ころです。
●話が横に逸れましたが、
事業化のためにはそれなり
の市場調査や採算性など検討することが多くあり、
「隣の芝生が青々として見える」といって直ぐ手を出
すと危険も待っている、そこにはそこなりの業界があ
り、何処へ行っても競争が有ることを忘れてはならな
いと思います。しかし、自分が考え挑戦することは楽
しいものであり、仕事は生きがいと思って挑戦してく
ださい。
3、まとめ
これまでリニューアル・新規事業を述べましたが、
勿論新規建設にも提案が必要であり、コア事業として
従来の仕事を否定するものでは有りません。むしろ、
もっと受注を増やし原価低減に努力するべきである
と思います。改修・リニューアル・新規事業といった
ものは全て、このコア事業を十分完遂した上での事
であり、今後もコアの事業がメインであることには変
わりは有りません。
省エネルギー、
空気・音・水・光環境、
IT化、少子高
齢化、健康、安全(セキュリティーを含む)対応などま
だニーズはいっぱいあり、伸びる分野は数多くあると
信じています。技術開発室としても(1)エネルギー・
環境関連 (2)高度情報化・メンテナンス・セキュリ
ティー関連 (3)高付加価値技術関連 (4)技術支援
として、現業の皆さんの力になる技術開発を推進し
ます。
今後も皆さんのご理解とアクセスを期待しており
ます。
3
特別寄稿
照明計画のあり方
建築物における照明設計
愛知工業大学教授
坪井 常世
1.まえがき
図1に示すように、視対象に光があたり、その明る
さ、形、大きさ、色彩などの情報を認識ことを視覚系
建築物を建築空間や居住空間として使うとき、照
明(明かり)は不可欠である。建築物において、照明
設備は居住環境の良否の1つとなる。照明は昔から
建築と深い関係があり、照明計画にあたっては、建築
と調和し、建築物を生かすことが重要である。
建築物での照明は、従来、昼光照明、人工照明と分
けて考えられがちであったが、その目的は同じであ
ることから、併せて考えることが多くなってきてはい
るが、必ずしも、人工照明計画が建築設計と同時進行
しないことが多い。人工照明は電気屋さんに「おまか
せ」といったケースでも、照明設備に携わる電気工事
会社の立場は脆弱なことが多い。建築を生かした照
明を完成するためには、与えられた空間に照明設計
するのではなく、建築の基本設計の段階から、照明の
コンセプトを取り入れるような建築設計との融合が
必要である。
といい、眼の構造、働きは生理学の分野であり、認識、
判断については心理学の分野である。照明を考える
2.照明とは
照明とは、快適に長時間疲労が少なく、安全に作業
場合、
この視覚系を理解することが大切である。
視覚系は、視対象からの光を像として結ぶ光学系
と光の強さを生理的な信号に変換する神経細胞、こ
の信号を伝搬する視神経、この信号から明るさ、大き
さ、形、色彩、動きなどを認識する大脳(皮質視覚中
枢)
で構成されている。
網膜には、生理的な電気信号に変換する錐体と桿
体が存在しており、錐体は明るいところで、明暗、色彩
を認識する能力が高く、桿体は光に対する感度は高
いが色を識別する能力に欠ける。
(1)視感度
眼が光として感じるのは、380(青)∼780(赤)
nmの波長範囲の電磁波ですべての波長で同じ明
るさに感じるのではなく、555nm(黄緑)あたりで
一番明るく感じ、青、赤の部分では暗く感じる。こ
れを視感度という。
(2)順応
が続けられるような、視環境を創り出すことである。
照明の基本となるのが視覚である。人間が視覚から
眼は明るい所、暗い所でも物が見える。このよう
に明・暗に眼が慣れることを順応といい、明暗の変
得る情報は90%といわれている。
照明には、その目的によって分けると、次のように
化によって網膜の感度を変化させ順応させている。
なる。
①明視照明……機能を目的とした照明で疲れなく、
光
眼
見やすいことが求められ、ある程度以上の照度
が必要である。
(明るさ、
グレア、全般照度)
②雰囲気照明……快適性を求めた照明で、目的に
あった明るさ、照明効果が求められる。
(照明器具のデザイン、
陰影、調光システム)
③防災・防犯照明……災害時の安全確保、悪の誘惑を
未然に防ぐ。
(非常用照明、誘導灯、防犯灯)
4
反射光
(透過光)
視対象
光
図1 視覚系
脳
視対象の
・形
・大きさ
・色彩
を脳で 認識する
暗い所で網膜の感度が高くなることを暗順応、明
るい所で網膜の感度が低くなることを明順応とい
う。
(3)視力
眼が物の形をどの程度細かく見分けられる能力
を視力といい、一般に、視力は2個の点を見た場合、
それらの点を2点として分離して見ることのでき
る最小視角の逆数で表す。
暗い所より、明るい所の方がよく見え、1,000lx
あたり迄は明るいほど視力は増す。視力は6才頃
に完成し、20才がピークで45才頃から落ちてく
る。
(4)視野
眼に見える範囲を視野といい、
左右で約100度、
上下で50∼70度の広がりをもっている。この範
囲がすべて均等に見えているわけでなく、はっきり
見えているのは注視点を囲む1度程度である。し
かし、ぼけて見えないのは、無意識のうちに眼が運
動し注視点が移動しているためである。
(5)明視の要件
物がよく見えるためには、明るさ、対比(輝度対
比・色彩対比)、大きさ、動き
(時間)の要件が満たさ
れていなければならない、例えば、闇夜のカラスが
見えないのは、明るさ、対比の要件に欠け、ピスト
ルの弾が見えないのは動きが早く、動きの要件に
欠けるためである。
3.照明計画
を進めていくことが大切である。建築図が完成して、
照明計画に入るのでは、満足のいく照明空間は作れ
ない。
照明プランナーは、建築計画の意図を十分把握し、
照明しょうとする場所の光のイメージを完成させる
ことである。このためには、意匠的な面だけにこだ
わってはいけないし、光の性質、明るさ(照度)も考慮
し両者の融合を常に心掛けなければならない。
視作業と照明との関係は、図2に示すようであり、
ライティングコンセプトをするうえでの留意点は以
下のようである。
(1)明るさ
(照度)
用途に応じた照度(生理的、視覚的な面からの必
要照度)を決める。照度の決定にあたっては、作業
面の水平面照度の他、鉛直面照度を考慮する必要
もある。一般的にはJISの照度基準がある。
人間がものを見る場合、対象物(視対象)からの
反射光(透過光)を見るのであり、見え方は明るさ
と視対象の性質(表面の反射率、色彩、表面の性質
など)によって変わってくるものである。しかし、視
対象は様々で特定できないことが普通であるので、
照明設計の基準値として照度が使われる。
(2)輝き
(輝度)
視環境の評価は、量的な明るさ(照度)が満足さ
れていれば、視野内の輝度分布の良し悪しに依存
することが多い。輝度は光源の大きさ、照明器具
の形、配置によって影響を受ける。グレアを発生さ
せたりする要因は除去する必要がある。
暗い場所で物が見えるためには、明かりが必要で
ある。その手段として照明がなされた時代が長く続
(3)質
視作業をする際の疲れの要因として、明るさは
いてきた。今日では、見やすい、長時間作業しても疲
れない、視覚的に見ても雰囲気が良い視環境である
勿論であるが、照度分布、均斉度、輝度分布が重要
ことが求められている。
照明設備には、照明自体を認識させないような照
照明器具
光源の種類、光束・配光曲線
直接照明/間接照明
明、すなわち、明視を目的としたオフィス照明などで
は、明るさだけが必要であり、照明器具の存在は邪魔
になることが一般的である。一方、照明をインテリア
の一部として取り入れた設備では、照明器具自身が
グレア
光束
視力
年齢
装飾要素であり、それから発する光による空間の演
出とあわせて視環境を創り出す手法もとられる。し
かし、オフィスの執務空間も、一日の作業形態から考
えて、居住空間と捉え、明視だけの照明から、視環境
も重視するようになってきている。両者の間の隔た
りは小さくなりつつある。
照明の質が問われるようになった現代において、
照明計画にあたっては、建築計画と併行し照明計画
光束発散度
照度
背景
視対象
反射率
色彩
形状・大きさ
反射率
色彩
図2 視作業と照明の関係
5
である。さらに、グレア、モデリング、光の流れを把
握することが大切である。
(4)演色性
ものの色彩の見え方は照明される光源の光色に
よって大きな影響を受ける。色彩を重要視するよ
うな場所(店舗、ホールなど)では、内装材の色彩の
選択と併せて光源の光色の選択が大切である。
(5)採光(昼光と人工光との調和)
採光によって得られる照度は窓際、部屋の奥に
よって大きな差があり、その差を人工照明によって
補う必要がある。これがプサリ
(PSALI)
である。
プ サリ・PSALI(Permanent Supplementary
Artificial Lighting of Interiors)は、1959年イ
ギリスのポプキンソン(R.
G.Hopkinson)等に
よって提唱されて以来、その重要性が認められ、各
国の研究者によって研究がなされている。日本に
おいても、
「昼間人工補助照明」
と呼ばれている。
最近の壁面にガラス部分が多い建築物での屋内
照明では、昼間は外部から昼光を取り入れ、夜間は
逆に外に向かって光を発することになる、したがっ
て、夜間は建物外部から見た景観も考慮しなけれ
ばならない。特に、アトリウムの照明ではこの考え
方が大切である。
(6)光のフォルム
照明を感じさせない照明、建築化照明、照明器具
自身を装飾の一部とするような照明(シャンデリア、
スタンド、ペンダント)などがあり、どのスタイルに
するかによって、部屋の雰囲気、イメージが全く
違ったものになる。
照明設計は照明方式(直接照明、半間接照明、間
接照明)の選定、光源の種類(光色も含む)の選択が
基本で、照度計算により光源、照明器具が決まる。
光のバランス、意匠的なことを加味し照明器具の
配灯が決まってくる。さらに、省エネルギー、使い
やすさなどから点灯区分がきまる。
4.建築と照明
日が暮れてからの人間の行動には、明かりは不可
欠である。有史以来、人間は生活するうえで明かりを
使ってきている。人々が建物に居住するようになっ
て以来、建築物と照明のつながりは深く、建築物には
明かりは欠くことのできない存在となっている。
有史以来、油脂、樹脂、ろうそくなどを燃焼し明かり
としてきたが、1879年、エジソンが電球を発明し、
その後、エジソンとスワンによって白熱電球が発明
され、使い易さ、明るさにおいて照明に一大転換をも
6
たらすと同時に、照明文化を大きく変えた。
建築物に照明として、電灯が本格的取り入れられよ
うに な っ て、100年 ほ ど で あ る。我 が 国 で は、
1920年代になって二重コイル電球が作られるよう
になってからである。しかし、当時は高価なもので一
般に使われるようになったのは後のことである。
建築物に電灯照明が取り入れられるようになった
といっても、天井に照明笠(照明器具)を取り付けられ
ているといった表現が適切であった。その後、光源の
開発が急速に進み、高効率の光源が製品化された。
経済発展とともに照明器具のデザインに力が注がれ
るようになって種々の照明方式の照明器具が製品化
されてきた。さらに、現代では良い視環境が求められ
るようになり、その質も向上してきた。また、光を
使った演出照明がなされるようになり、建築と一体化
した建築化照明の時代になってきた。
長い間、建築空間での照明は、暗いところに明かり
を供給し、少しでも作業をし易くすることに力が注が
れてきた。建築空間を明るくするために、必要照度
を決めた「推奨照度」によって、照明計算がなされ、照
明器具の台数が算出され、照明器具が天井に配置さ
れるのが照明計画とされてきた。しかし、経済的にも
豊かになり、建築物自身のグレードも上がり、建築空
間の環境もより質の高いものが求められるように
なってきた。
人工照明は、1室1灯の明かりに頼っていた「電灯
の時代」から始まり、蛍光ランプの発明によって、数倍
の明るさ得られるようになり、高照度化を競うように
なった。さらに、1室に多灯の照明器具が取り付けら
れるようになった。しかし、最近では省エネルギーの
立場から高照度化の傾向が見直されるようになって
き て い る。ま た、店 舗 照 明 の 分 野 で は、VMD
(Visual Merchandising)のもと演出照明が進んで
きた。
HIDランプ、三波長域発光型蛍光ランプ、コンパク
ト化した蛍光ランプ、異形蛍光ランプ等の光源、照明
器具の開発は良い視環境創りに大きく貢献してきた。
a1960年代の明視照明……視る照明(高照度、照
明器具の開発)
a1980年代の演出照明……見せる照明(商業照明
の急進)
a21世紀の快適照明……感じる照明(人に優しい、
環境にマッチした照明、視環境)
省エネルギーが課題となり、タスク・アンビエント
照明が多く使われるようになる。また、高齢化が進む
なかで高齢者のための照明計画が重要になってくる。
視環境の良質化は、照明設備の改善によるところ
写真1 近年のオフィス照明(松下電工㈱カタログから)
が大きい。照明設備だけをいくら高級化しても、建築
と調和していなければ、その効果は半減する。建築
設計の立場からすれば、建築空間に欲しいものは光
であり、照明器具ではないことである。しかし、光を
供給するためには、光源、器具、配線などハード的な
ものが必要になる。そこで建築と照明の一体化(融
合)が必然的に発生してくる。建築計画と照明計画が
一体化し、その中から「建築を生かすような照明」が
生まれてくる、照明は建築の裏方であってもいけな
いし、照明が自己主張ばかりしても良い結果は生まれ
てこない。
5.これからの照明計画
これからの照明計画を考えたとき、い ろい ろな
キーワードがあげられる。現在でも行われているが、
今後さらに、進むであろう方向を考えてみる。
(1)省エネルギー
平成6年頃から、光検知センサを使った窓際の減
光制御、熱検知センサによる減光制御が積極的に
取り入れ、視環境の質を保ったままでの省エネル
ギーに貢献している。
また、従来の大部屋の作業スペースの照明は高
照度の全般照明を行っていたが、最近では、タス
ク・ア ン ビ エ ント 照 明(Task and ambient
Lighting)の取り入れた個室的な雰囲気を創り出
す傾向が強くなってきた。この照明手法は部屋の
雰囲気のためにアンビ エント照明を使い、作業面
の明るさの確保にはタスク照明によって補うもの
で、
消費電力の30%程度を節電することができる。
さらに、OA機器の急速な普及は、ディスプレイ面
のグレア除去、見やすさを確保しつつ、極度の高照
度化の傾向を見直しの時期にきている。
(写真1参
照)
(2)良い視環境
雰囲気を重視した場所だけでなく、オフィス空間
でも、良い視環境を志向する傾向が高まるであろ
う。
21世紀は高齢化がますます進み、2025年に
は、65歳以上の高齢者が4人に1人になるといわ
れている。居住空間の照明では、若年層に比べ視
覚機能が低下した高齢者に対応できる明るさを考
慮した視環境(照明設備)が求められる。そのため
に
①明るさ
(照度)の確保
②光源の光色(演色性)
③不快グレアの防止
等の考慮が必要である。
(3)照明設計
照明設計において、照明器具が建築空間に融合
しているか、照明器具の選択には、光源の種類(光
色、輝度、大きさ)
、照明方式(直接、間接)など多角
的に検討する必要があり、従来のような照明計算
をし、数字的、平面図的な表現では対処できなくな
り、近年急速に進歩してきているCGを使ったビ
7
ジュアル的なプレゼンテーションが必須となるで
あろう。写真2,3にその一例を示す。
●プロフィール
6.あとがき
建築物での明かり(照明)は、建築の歴史とともに
歩んできている。照明設備の目的が、建築空間に光
を供給し、良い視環境を創り出すことであることから
すれば、人工照明も昼光照明も一体化して扱うべき
であり、照明は建築の一端を担っていると考えること
が自然である。
(表1参照)
照明設備は人工光源(照明器具)を使って照明する
ことが基本である、人工照明は昼光照明に比べ、光源
の選択が自由にでき、光を使った空間の演出の可能
性が遙かに広くなる。建築と照明の融合は、最近では
かなり進んでいるが、まだ、与えられた建築空間に照
明設備を施設しただけといった建築物も多々見受け
られる。建築計画と照明計画が協調されるとにより、
写真2 照明のCG画像(1)
写真3 照明のCG画像(2)
8
より良い視環境が生まれ、人に優しい照明設備が構
築されることになる。
1942年12月25日 愛知県生まれ
明治大学工学部電気工学科卒業
明治大学大学院工学研究科修士課程修了
工学博士
明治大学工学部助手を経て、
現在愛知工業大学建築工学科教授
表1 照明の変遷
照 明 の 変 遷
主 な 建 築
aエジソンが白熱電球を点灯(1879年)
a東京銀行で実用的な照明(1886年)
a我が国でタングステン電球の製造(1911年)
aパリ万国博覧会(1900年)
a白熱電球を使ったコードつり、パイプつり、チェーンつりの照明器具を使った照
a東京駅完成(1914年)
明設備がなされる。
a法隆寺(金堂)に蛍光ランプ設置(1940年)
a蛍光ランプを使った照明の幕開け(1948年頃)
a住宅に普及(20W1灯用,10Wスタンド)
(1952年)
aサークライン蛍光灯(30W)発売(1956年)
a東京タワー竣工(1958年)
a40WH型,
逆富士型,
埋め込み型照明器具の定着
アクセントライトの増加(1960年頃から)
a光天井、システム天井(空調一体型器具)
(1964年)
シャンデリア普及(1965年頃から)
a大型ビルの建設ブーム(1967年頃から)
a霞ヶ関ビル竣工(1968年)
a一室多灯化が定着
a省エネルギー建築設計指針(建設省,1970年)
a大阪万国博覧会(1970年)
事務所の照明電力の目標値;20W/㎡ 以下
a石油ショック(1973年)間引き点灯
a低消費電力型・3波長域発光型蛍光灯・インバータ照明器具
省エネシステム(低損失型安定器・電子安定器)
(1977年以降)
a省エネルギー法(1979年)
a新東京国際空港開港(1978年)
aOA機器の導入始まる(1980年代)
a全般照明と重点照明の併用,HIDランプの使用(店舗照明)
aHIDランプ・ハロゲンランプの使用(大型店舗,1980年代以降)
aVDT作業のガイドライン(労働省,1984年)
a科学万博つくば'85(1985年)
水平面照度;500lx,
鉛直面照度;300lx(照明学会)
a建設ブーム(1988年頃から)
a東京ドーム竣工(1988年)
a高周波点灯専用蛍光ランプ(Hf蛍光ランプ)の商品化(1991年)
a東京新庁舎竣工(1991年)
aオフィス照明基準(照明学会,1992年)
水平面照度,鉛直面照度,
照明器具のグレア規制、
演色評価数を推奨
a省エネ法改正(1993年)
2,000㎡以上の事務所,店舗,学校,病院,ホテル等の照明設備は建築確認時に
「省エネルギー計画書」を提出必要がある。
a細径環形蛍光ランプ(T5環形,管径16㎜化)、二重環形蛍光ランプ発売(1996年)
a照度センサ、人感センサと連動し、
照明制御が可能な省エネ照明システムの商品
化(1997年)
a地球温暖化防止対策会議(京都COP3)
(1997年)
照明器具の軽量化,
小型化,
省施工化進む
aJRセントラルタワーズ竣工
a高出力形高周波点灯専用ランプ(16㎜管)発売(1999年)
(1999年)
9
技
術
報
告
中
部
国
際
空
港
の
資
材
共
同
購
入
方
法
導
入
10
中部国際空港の資材共同購入方法導入
名古屋本部 内線工事部/酒井専吾
1
はじめに
2005年に24時間国際空港として開港予定の
中部国際空港(図1)は、「環境への配慮」を空港づ
くりのキーワードの一つとしており、工事中におい
ても環境に配慮しています。
地球環境保全の関心が高まるなか、
トーエネック
においてはISO14001(環境マネジメントシステ
ム)を取得し、環境負荷の低減に取組んでおり、中
部国際空港に資材共同購入システムを導入します。
2
資材購入図
図1 中部国際空港完成予想図
3
4
導入の考え方
目 的
伊勢湾には海上交通の便が良い四日市港がある。
これを利用すれば、2時間余の航路で新空港に到
着できる。この航路を用いて、配送する工事材料
のボリュームを10tonトラック/一便(船)として
試算すれば、表1の様になる。
・産業廃棄物の削減
・資材コスト、間接費の削減
・工事方法の画一化
・集中配送による資材の円滑調達
方 法
表1 試算表
・梱包の簡略化
・購入と販売会社の組織化
・購入資材・仕様の画一化
・定期便(船)による集中配送
・Web発注システムの構築
効 果
船便の想定
・産業廃棄物を50%削減。
・資材購入コストを10%削減。
・資材配送遅れを“0”達成。
・通信コストを50%削減。
参加会社名
便数/週
トーエネック
A電業
B電工
C社 D電工
E電設
F工業
G電設
H電工
7
1
1
2
−
2
−
1
−
計
14便
備 考
※
技
術
報
告
中
部
国
際
空
港
の
資
材
共
同
購
入
方
法
導
入
※
※
定期便(船)の合計は14便/週、2便/1日の定
期便が必要となる。なお、小荷物は、混載等の方法
も考慮してさらに検討する。航路を図2に示す。
(注)※ 単独で手配できない業者
木
曽
川
知多市
伊勢湾
四
日
市
市
愛知県
四日市港
四日市航路 2時間5分
南5区航路 1時間
鈴
鹿
市
常滑市
空港島
3km
図2 航路
11
技
術
報
告
中
部
国
際
空
港
の
資
材
共
同
購
入
方
法
導
入
5
Web発注システム概要
リアルタイムに在庫数量を表示。メールで納期回答
定期便(船)
担当者ID、PWで24時間
発注可能
納品書発行
出荷指示
納入
商品、在庫データベース管理
メールで納期回答
仕入データ、
請求書発行
不足品発注
(在庫なし)
12
商品リスト
ログイン
技
術
報
告
中
部
国
際
空
港
の
資
材
共
同
購
入
方
法
導
入
購入履歴
注 文
6
購入履歴
おわりに
建設から完成に至るまで【環境保全は世界的な
流れ】である。中部国際空港の完成後も「循環型社
会形成」、「資源の再資源化」等の取り組みは不可
欠である。
建設廃棄物は産業廃棄物全体の約2割を占めて
おり、
【建設廃棄物を出さない】建設リサイクルの
実行が電気設備工事全体の課題であり、この資材
共同購入に多くの同業他社が参加します。
関係会社と円滑に運営してコストダウンと環境
保全に取組みます。
13
技
術
報
告
テ
レ
ス
コ
ブ
ー
ム
併
用
オ
ー
ガ
ー
・
拡
底
掘
削
機
の
開
発
テレスコブーム併用オーガー・拡底掘削機の開発
電力本部 工務部 送電グループ/早瀬雄一
1
はじめに
本工事は静岡県小笠郡浜岡町にある中部電力株
式会社の浜岡原子力発電所5号機の建設に伴い、
電 力 の 安 定 供 給 確 保 を 目 的とし て 計 画 さ れ る
500kV超高圧送電線である。ルートは浜岡原子
力発電所から静岡変電所を結び、工期は平成13年
7月∼平成16年6月で、当社は第1工区を担当し
ており、受け持つ鉄塔は19基である。
(図1.2)
今回、送電グループでは基礎工事作業の効率化・
構内作業のコスト削減を目標にして2種類の新型
掘削機を開発した。
以下に開発までの経緯と工法の概要を紹介する。
2
基礎工事の方法
鉄塔建設工事の基礎工事は次の2種類がありま
す。
2.
1 深礎基礎工事
深礎基礎とは大型送電線鉄塔に用いる山岳地用
の基礎である。特徴としては
(1)従来から広く採用されている逆T字基礎を使
用することができない、急傾斜地での地形に
対応できる。
(2)支持層の深い地盤に対応できる。
(図3)
図3 深礎基礎工事
2.
2 深礎拡底基礎工事
深礎基礎の発展型である。
その目的としては
図1 工事概要
(1)引き揚げ支持力の拡大効果を利用して基礎の
深度を減少させることができる。
(2)圧縮支持力の拡大効果を利用して躯体径を減
少させることができる。
(図4)
図2 鉄塔・電線構造
14
図4 深礎拡底基礎工事
当現場においては全体の6割程度は深礎拡底基
礎になっている。この掘削は
a)掘削作業が通常基礎より手間がかかる。
b)明かり掘り作業になり、安全上に問題が出
る。
(現在は斜杭にて土留めし、施工しているが崩
れる心配がある)
この地域は独特の硬質泥岩層のため作業をより
一層難航させる原因になると予測していた。
では、
〔硬質泥岩層とはどんなものか、なぜ通常
掘削方法では難しいか〕
を説明する。
3
ダイナマイトによる掘削作業も検討したが、居住
地区が接近していること、地元の理解が得られな
いという2つの対外的理由と、泥岩でダイナマイト
を使用した場合の効果には限界があると判断して
使用を断念した。
また、拡底では斜杭打込後に手作業による明か
り掘りを行っているが、この作業は非常に危険があ
り、なんとか機械による無人化ができないかという
事が長年の送電業界の夢であった。
硬質泥岩層と一般掘削
もともと浜岡、御前崎一帯は大昔海底で、300
万年前ころから海中の泥や砂が堆積してできた地
層であり、それから徐々に地殻変動を繰り返して、
現在の地形を形成した。一般にモルタルのように
亀裂がなく均一であり、今までの一般工法である
テレスコ式クラムシェルによる掘削ではバケット
の爪が岩盤に刺さらず、ピック・ブレーカーでの人
力による掘削では、先端のビットが岩に刺さるだけ
で起こすことが非常に難しい。
図6 明かり堀り位置
今回開発した、『泥岩掘削用テレスコ併用オー
ガー』
『泥岩拡底掘削機』は、いずれも人力による作
業の省力化、より安全な掘削作業の推進を目的と
している。
(図5.6)
4
技
術
報
告
テ
レ
ス
コ
ブ
ー
ム
併
用
オ
ー
ガ
ー
・
拡
底
掘
削
機
の
開
発
テレスコブーム併用オーガーについて
オーガーは、当社の配電部門で広く使用されて
いるもので、浜岡町地内においても建柱車にオー
ガーを装備したもので作業を行っている。ここか
らヒントを得て、先端に硬質泥岩用に高強度圧延鋼
材のビットを取り付けたオーガーを深い穴でも作
業ができるテレスコブームの先端に取り付けるこ
とを考えた。
4.
1 オーガーの仕様
(1)直径350㎜ のオーガーとした。
(2)先端に削孔用高強度ビットを取り付けた。
4.
2 掘削施工手順
(1)掘削面に10箇所程度削孔する。
(2)オーガーを引き抜き、クラムバケットに変更す
る。
(3)バケットの爪をオーガーの穴に食い込ませて
削り取る。
図5 テレスコブーム掘削作業
15
技
術
報
告
テ
レ
ス
コ
ブ
ー
ム
併
用
オ
ー
ガ
ー
・
拡
底
掘
削
機
の
開
発
5
拡底掘削機の説明
(1)今まで手作業による掘削を余儀なくされてい
た拡底部分と土留め支保工時に発生する重機
で掘削できない側面部の掘削をすべて機械化
するために考案したものである。機械は既存
のミニバックホーの旋回部分より下部の走行
部分を取り外し、かわりに掘削時の反力を受け
止めるアウトリガを装着したものであり、これ
もテレスコブームの先端に取り付けて使用す
る。
(図8)
図8 拡底掘削機
図7 オーガー施工状態
4.
3 改善ポイント
(1)オーガーとクラムバケットを交換する手間が
非常にかかるため、今回新たに専用アタッチ
メントも同時に製作した。
交換時間 今まで約40分 → 約10分に短縮
(2)拡底掘削機は穴の中で作業員が運転操作する
ものであり、バックホー本体は油圧ユニットの
(2)2系統の油圧ポンプの独立した動作を圧力操
作弁を増設して系統をスイッチで操作できる
役目しかしない。しかしエンジンのかかった
状態で運転席を離れる事は労働安全衛生規則
ようにした。これにより、2ポンプから同時に
油量・圧力が出せるため、回転力がパワーアッ
第160条第2項で禁止されており、安全上で
も問題がある。このことから一台の掘削機に
プしてオーガーの硬質泥岩に対する摩擦力に
対応できるようになった。
(図7)
2名の作業員と、合図者1名の合計3名が必要
となるため、非常に不経済となる。
オ ー ガ ー 使 用 時には オ イル 流 量 が 最 大
160Î/分必要である。
ユンボの標準容量は2ポンプのうち、片側で
100Î/分であるため、2ポンプを同時に動
作させれば200Î/分となり、
クリアーできる。
16
機械の部品はすべて手持ち工具のミニバック
ホーからのリサイクルであるため、製作コスト
も新品部品の約50%程度に押さえることが
できた。
そこでバックホー本体を油圧ユニットのみの
状態にするよう、運転席でのレバー操作をロッ
クするスイッチを新たに取り付けた。これに
より運転席で誤ってレバー操作をしてもバッ
クホーは動作しないため、完全に油圧ユニット
としての役割のみの機能となり、人員削減に成
功した。この改善機能については労働基準監
督署へ報告し、許可を得た。
(3)掘削機のブーム先端に今回新たに考案した泥
岩層掘削専用の回転ビットを装着し、亀裂の少
ない硬質泥岩を削り取る事に成功した。
(図9)
(2)掘削穴に作業員が入る回数が約20%低減さ
れ、安全作業がより確立された。
(3)拡底掘削での懸案事項であった、明かり掘り作
業がなくなり、安全+品質が向上した。
本件で紹介した『泥岩掘削用テレスコ併用オー
ガー』
『泥岩拡底掘削機』は、平成14年6月に工法
特許を出願した。
7
顧客の評価と今後の課題
次に顧客である中部電力株式会社の評価を得た
点を下記に示す。
(1)従来、硬質泥岩層の掘削はピック・ブレー
カー・削岩機を使用しての手堀掘削によ
るものと思われていたが、機械化するこ
とで省力化・効率化を図ることができる。
(2)深い掘削穴への作業員の入坑が減り、安
全作業の確立につながる。
(3)今後の送電基礎において基礎形状・施工
方法が一新される可能性がある。
開発の成果
(1)現在の1班10名で2班体制を敷いている施
工業者の掘削作業が、機械化により1班5名程
度の人員削減に成功したため、工程調整して
いけば2班15名で施工が可能となり、外注費
のコストダウンにつながっている。
1基当たりの掘削金額
(概算) 750万円
機械化による掘削金額(概算) 650万円
コストダウン金額
テ
レ
ス
コ
ブ
ー
ム
併
用
オ
ー
ガ
ー
・
拡
底
掘
削
機
の
開
発
本件では硬質泥岩層の掘削を行ってきたが、他
の岩質での試験を行い、広範囲な軟岩、硬岩に対応
したアタッチメントや機械の見直しを実施してい
きたい。
また、施工性の良さ・高品質を顧客にアピールし、
受注拡大につなげるよう営業活動を展開していく。
図9 拡底掘削機施工状態
6
技
術
報
告
8
おわりに
今後、ますます送電線工事量は低迷し、それに伴
い受注コスト削減の要求が予想される。こうした
状況下で、新技術・新工法の提案を進め、
既存の技
術・工具を再認識・再検討を行い、
トーエネックブラ
ンドを確立していく。
〔競争力を常に高い位置に保
つ送電業界のリーダー〕
としての役割を果たしたい。
この開発により第二浜岡幹線新設工事が無事
故・無災害で完工するよう所員作業員一丸となっ
て努力します。
100万円
17
技
術
報
告
長
尺
光
通
信
ケ
ー
ブ
ル
延
線
機
︵
引
張
っ
太
郎
︶
の
開
発
長尺光通信ケーブル延線機(引張っ太郎)の開発
情報通信本部/北島勝利
1
はじめに
平成11年3月、国土交通省から地中通信ケーブ
ル工事【長尺ケーブルの延線・張力測定】を受注し
た。従来、通信ケーブルは500m程度であったが、
最近の情勢【接続箇所の減少、後分岐可能なケーブ
ルの完成】から長尺敷設(1km∼2km)が求められ
た。また損傷防止のため、延線張力の記録や管理
が必要になっている。このためこれにマッチした
長尺用の延線機と工法を開発した。
2
問題点
2.
1 敷設工事と装置
現状の敷設は区間の中間点にドラムを設置して、
区間の片方向から敷設を進め、敷設が完了すると
ドラムに残ったケーブルを、地面に8の字状に重ね
て巻戻し、さらに反対側方向の敷設を行う。この敷
設は通信ケーブルの許容曲げ半径に応じた作業領
域が必要である。この工法は牽引ロープの張力を
測定しており、構造上からケーブルを直接測定で
きないのが難点である。
(図1)
度試験時のケーブルが受ける側圧は、
中部電力規格により角度135°張力(T)150kgf
しごき強度P=2・T・COS{1/2θ}
=114.8
(kgf)
適合条件5∼6回繰り返し心線にロス残留が無
いこと。
(2)ゴム材質強度
1輪を固定し、他の1輪の間に通信ケーブルを
挟み、試験条件100kgfで車輪を圧縮したとき
に、通信ケーブルにかかる側圧を実測した結果、
30kgf/c㎡ であった。同一条件で車輪を回転
させた、しごき側圧も同じ値のため、これにより
ゴムの材質、硬度を決定した。
(3)構造
車輪と通信ケーブルの接触面積は、把持力と
牽引力と関係する。この接触面積を増加させる
ため、車輪外周に連続的な貫通孔を設け、雨天の
すべり防止の水切り溝も設ける。
(4)モーター
過去の工事実績から、ケーブル長1km程度の
張力は80kgf必要であり、
小型・軽量の必要
からトルク出力120kgf特性とする。
(図2)
図1 現状の敷設
2.
2 他社製品
関連する2社の製品は
(1)重ね巻き戻し作業は回避できる。
(2)機械の設置に時間を要する。
(3)延線が終了して機械を取外した後、再度末端
で牽引作業が残る。
(4)中間点での張力管理が出来ない。
ことが指摘されている。
3
概要
3.
1 延線機の検討
(1)ゴム車輪の強度
2輪のゴム車輪回転式送出構造の、しごき強
18
図2 速度−トルク特性
(5)構造
①作業区画が小さく、機器設置が容易なメッセン
ジャーワイヤー引掛け方式を採用。
②メッセンジャーワイヤー上に移動する車輪によ
り、張力センサーを介して電柱にロープで固定し、
牽引時の反力を測定することにより、ケーブル
及びロープに関係なく延線張力を測定する。
③牽引時の車輪締付け圧力測定センサーを設け常
時監視する。
④延線速度
通信ケーブルの延線は、施工者が歩行監視して
いる。この速度を最高速度24m/分と設定し、
連続可変式とする。
3.2 牽引強度
一般的な線種で牽引検査方法が規定されている
中部電力の基準4芯テープスロット型100、200
芯の規定値(光ケーブル)を満足すれば、他社使用
ケーブルも満足できる。表1に規定値を示す。
落下方式により一様に塗布して、塗布装置下部に受
け皿を設け余った滑剤を回収、ポンプで供給装置
に汲み上げ再利用することにした。これにより中
間牽引部での滑材塗布は機械化できた。この装置
をドラム場に設置すればケーブルドラムでの滑材
塗布も機械化できる。
4.
4 滑材の除去
滑材は、水圧で洗浄した後、拭取装置で除去する
方式とした。洗浄装置は密閉式で下部から洗浄水
を回収、外部廃棄は無い。
表1 規定値(光ケーブル)
4.
5 仕様
項 目
100芯
200芯
仕上外径
15㎜
20㎜
電
ケーブル
引張強度
2,060N以上
(210kgf)
3,720N以上
(370kgf)
消
屈 曲 性
最小曲げ半径:ケーブル外径の10倍
しごき強度
張力1,470N
(150kgf)
・
しごき角135°
圧縮強度
980N/50㎜ 以上(100kgf)
4
評価
延線機は表1の規定値を満足し、架空用は地中
用にも使用できる。
4.1 試験結果
当社の教育センターにおいて実証試験を行い、
さらに実工事において中部電力、CTCの協力によ
り敷設工事に使用して好評であった。
費
電
源
AC100V 50/60Hz
力
900W
最 大 牽 引 力
80kgf(ケーブル牽引時)
、
120kgf(ロープ牽引時)
最 大 牽 引 速 度
24m/min
適用ケーブル外径
φ10∼30mm
適用延線ロープ外形
φ12∼20mm
本
体
寸
法
W1100×D900×H1500mm
(地中用)
本
体
重
量
180kg(架空用30kg)
洗 浄 装 置 重 量
16kg(エンジン発電機含む)
(地中用のみ)
拭き取り装置重量
26kg(地中用のみ)
制 御 装 置 重 量
12kg(地中用のみ)
使 用 周 囲 温 度
0℃ ∼40℃
使 用 周 囲 湿 度
10∼90%以下(結露しないこと)
ゴ ム ロ ー ラ ー
クロロプレンゴム
ケーブル延線用(硬度45℃)
ロープ延線用(硬度70℃)
キャンドラ車輪
3kg、φ200×80mm
技
術
報
告
長
尺
光
通
信
ケ
ー
ブ
ル
延
線
機
︵
引
張
っ
太
郎
︶
の
開
発
4.2 敷設の問題点
地中通信ケーブルの延線においては、滑材を塗
布して管路での摩擦係数を低減する必要があるが、
一方滑材が付着すると、本延線機の車輪がスリップ
する。
4.3 滑材の塗布
滑材は一般的に水溶性の製品を用いているが、
開発機は、摩擦係数軽減のための滑材塗布を、自然
19
技
術
報
告
長
尺
光
通
信
ケ
ー
ブ
ル
延
線
機
︵
引
張
っ
太
郎
︶
の
開
発
写真1 架空用長尺ケーブル延線機
図3 架空施工
写真2 地中用長尺ケーブル延線機
図4 地中施工
20
4.6 工事方法
【架空用延線機】(写真1,図3)
①本機を通信ケーブル吊線に設置。
②張力測定センサーを介しロープで電柱に固定。
③動力用ケーブル・制御用ケーブルを接続、地上作
業場所の制御機、電源を接続する。
④車輪に牽引ロープを挟み込み可動側の車輪を締
め、作業準備が完了。コントローラで速度を調整
する。
⑤牽引張力を監視しながら延線する。
⑥延線ケーブルが到達したら、中間牽引の場合は、
ゴム車輪をロープ用に取り替えて作業を継続する。
新設工事等で吊線がないときは、仮設装柱で延
線機設置装置を作る。張力センサーのストロー
クは50cm以上必要。
【地中用延線機】(写真2,図4)
①ハンドホール、マンホールの通信ケーブルが許
容曲げ半径を保ち且つ牽引機の車輪に垂直に取
り込める位置に装置を設置し、制御機、電源の接
続を行う。
②牽引延線を開始する。
ロープ牽引では、拭き取り装置の片方の車輪を
キャンドラにすると強力な牽引力が得られる。
③ケーブルが到達したら洗浄装置・拭き取り装置・
余長処理装置・滑材塗布装置を設置して牽引す
る。
④洗浄水の供給と回収は大型のポリタンクで行う。
牽引距離により水量が異なるのであらかじめ予
想して、牽引張力、水量、滑材量を管理しながら
作業を進める。終端の使用は、ロープ牽引のみ
となるので、軽トラックに積載した状態で牽引す
る。なお、
積載は専用の積載架台が必要。
5
特徴と課題
【特徴】
①狭隘な場所でマンホールの近くに架台を設け延
線機を固定し牽引できる。
②軽トラックで運搬できる。
③次の延線機にケーブルを送り出す余長を、自動
処理する機能保有。
④架台に張力測定センサーを介して延線機を吊り
下げ、
張力を測定できる。
⑤キヤスター付のため移動、
設置の調整が容易。
⑥アウトリガーにより延線時の架台安定性向上。
⑦中間牽引で複数台を使用すれば2∼3kmの連
続延線が可能。
⑧作業スペースが縮小、工事交通規制の緩和に有効。
⑨使用車両が減少。
⑩衝撃的張力がかからない(しごき側圧の減少)。
⑪工事品質が向上する(延線のケーブルストレス
の解消)
。
⑫コストダウン効果が大きい。
【課題】
現状の1箇所の中間延線は、機器で連絡方法を
確保すれば十分対応できるが、複数台・2km以上
の延線工事を行う場合、無線連絡は困難であり、携
帯電話でも問題がある。また延線機相互の同期運
転も必要で相互の運転情報交換が必要となる。こ
のため遠隔制御装置および伝送装置の開発を進め
ている。また最近のスパイラルハンガー工法等へ
の適用を検討する。
6
技
術
報
告
長
尺
光
通
信
ケ
ー
ブ
ル
延
線
機
︵
引
張
っ
太
郎
︶
の
開
発
おわりに
現在、3台の延線機を常備し使用中です。長距
離延線のみでなく、キャンドラ設置困難な狭隘な道
路での工事にも対応できます。延線機は様々な条
件での工事が予想されます。問題点を抽出し更に
改良を進めてまいります。皆様のご協力をお願い
します。ご理解をいただいた中部電力、CTC、国
土交通省の皆様、製品の製作改良に努力をいただ
いた、㈱昭電始め各位に厚くお礼申し上げます。
なお、本機の開発に伴う特許は、2000−197230
始め10件申請中です。
商品紹介は、当社ホームページに掲載中
(http://www.toenec.co.jp/)。
国土交通省中部地方整備局中部技術事務所ホー
ムページ新技術情報提供システム(NETIS)に、新
技術として掲載されています
(http://www.cbr.mlit.go.jp/chugi/)。
21
技
術
報
告
高
所
作
業
車
用
落
下
物
防
止
ネ
ッ
ト
︵
1
面
タ
イ
プ
︶
の
開
発
に
つ
い
て
22
高所作業車用落下物防止ネット(1面タイプ)の開発について
配電本部 配電統括部 技術グループ/三井義夫・高橋和弘
1
はじめに
配電線工事は道路上での作業が大半であり、地
域の方々や通行車両などに対する公衆保安には充
分な配慮が不可欠である。特に高所作業による落
下物は公衆加害の危険が伴うことから、柱上作業
用として電柱用落下物防止ネット(写真1)、地上で
の作業区域の確保が困難な高低圧空中分岐箇所用
として高所作業車用落下物防止ネット(写真2)を
使用し、万が一落下物があっても途中で捕捉する
ことにより災害の防止に努めている。一方、高所作
業車用落下物防止ネットは、バケットの移動時に
ネットが他物に引っ掛かるなど支障があり、今回、
バケット1面タイプの落下物防止ネットを開発した
のでその概要を紹介する。
2
現行の問題点
(1)バケット3面への常時設置型のため、電柱際で
の作業時は折りたたんで使用するが、腕金、足
場ボルトおよび引込線や弱電の吊りハンガー
などにネットが引っ掛かりバケット操作の支障
となる。
(写真3)
(2)ネットの下部支持ベルトの着脱が容易でない。
(3)バケットへのネットの取付けは、地上で行う構
造であり、作業位置での取付けができない。
(4)車両の走行時は専用のバケットカバーを使用
している。
(写真4)
写真1 電柱用落下物防止ネット
写真3 折りたたみ状態
写真2 高所作業車用落下物防止ネット
写真4 専用バケットカバー取付け状態
3
開発の基本
4
開発品の概要
(1)作業位置での着脱を可能とする。
(2)作業する方向にネットがあれば落下物は防止
できるため、ネットはバケット1面へ取付ける。
(3)捕捉性能は現行品と同じ5kgとする。
(4)開発コストの低減をはかる。
構造および特徴
(1)作業位置での着脱および付替えがバケット内
から容易にできる。
①バケット側面取付け(図1)
②バケット前面取付け(写真5)
(2)水平屈曲パイプを折りたたむことで、コンパク
トに収納が可能である。
(写真6.7)
(3)バケットハンガーは衝撃に強い部材(ナイロ
ン6)を使用したことで、現行品と同等の重量
5.0kgまでの捕捉を可能とした。
(4)ネットの取付けフレームおよび取付け部品は
全て絶縁体を使用した。
写真5 バケット前面取付け(1面タイプ)
技
術
報
告
高
所
作
業
車
用
落
下
物
防
止
ネ
ッ
ト
︵
1
面
タ
イ
プ
︶
の
開
発
に
つ
い
て
写真6 ネット(1面タイプ)
写真7 収納状態
5
図1 バケット側面取付け(1面タイプ)
おわりに
高所作業車用落下物防止ネット(1面タイプ)の
改良により、バケットへの着脱が容易になった。ま
た高低圧空中分岐箇所での落下物の防止にも効果
がある。専用のバケットカバーも不要となりコスト
の低減に寄与している。
今後とも危険ゼロを目指した工法、工具の開発
に取組みたい。
23
技
術
報
告
﹁
ポ
リ
管
挿
入
ガ
イ
ド
﹂
の
開
発
に
つ
い
て
「ポリ管挿入ガイド」の開発について
配電本部 配電統括部 技術グループ/吉岡 修・高橋和弘
1
はじめに
配電線工事では、〔クレーン等、配電線への接
近・接触防止のための危険表示〕と、
〔配電線保護
のためポリエチレン線カバー(以下ポリ管・写真1)〕
取付の作業がある。この作業は先端部分が入りに
くいなど取付けに苦慮しており、今回、現場で簡単
にポリ管を取付けできる「ポリ管挿入ガイド」を開
発したのでその概要を紹介する。
3
基本的な考え方
4
開発品の概要
(1)両手で簡単に挿入できる構造とする。
(2)電線下部より楽な姿勢で取付けができる構造
とする。
(3)小型・軽量で電線への着脱が容易にできる構
造とする。
4.
1 概要図
(1)ポリ管挿入ガイド(写真3)
①対象電線サイズ:60›,125›
②対象ポリ管サイズ:25㎜,35㎜
③重さ約2kg
写真1 ポリエチレン線カバー
2
現状の問題点
(1)ポリ管を片手で支えながら、もう片方の手で電
線に割り込むように押え付け挿入するため、腕
に負担がかかる。
(写真2)
(2)活線作業では電線下部からの作業となり、夏
場では汗で手が滑り、冬場においてはポリ管が
固くなるなど取付け難い。
写真3 ポリ管挿入ガイド
4.
2 使用方法
(1)「ポリ管挿入ガイド」を電線に固定する。
(2)ポリ管を挿入ガイドに差込み両手で送り込む。
(3)2本目以降の取付けは、挿入ガイド手前でポリ
管を接続し両手で送り込む。
(写真4)
(4)ポリ管挿入後は「ポリ管挿入ガイド」を取外し、
ポリ管固定具を取付ける。
写真2 現行ポリ管取付作業
24
写真4 ポリ管挿入ガイド取付後のポリ管取付け作業
4.3 特徴
(1)電線より下部で、ポリ管を連続して取付けでき
る。
(写真4)
(2)ガイド先端部の舟板形状でポリ管を開き、ミニ
チュアベアリングにより摩擦抵抗が削減でき、
両手で楽にポリ管が取付けできる。
(写真5.6)
(3)小型・軽量、1箇所締付けにより、電線への着
脱が容易にできる。
(写真7)
(4)高所作業車、柱上のどちらでも使用できる。
現行の人力挿入力と 「ポリ管挿入ガイド」使用時との挿入力比較
ポリ管
挿入ガイド
現行の
人力挿入
5
写真5 ポリ管挿入ガイド先端部「ミニチュアベアリング」
電 線
ポリ管
(›)
(㎜)
ポリ管挿入力
(1本の挿入比較)
(N)
60
25
87
125
35
97
60
25
88
125
35
110
技
術
報
告
﹁
ポ
リ
管
挿
入
ガ
イ
ド
﹂
の
開
発
に
つ
い
て
おわりに
今回の「ポリ管挿入ガイド」の開発により、電線下
部の充電部分から離れた位置で、ポリ管を両手で
容易に取付けできることから、作業性と安全性の
向 上に繋が る。また、挿 入 力は 現 行 工 法に比べ
12%(125›の電線)削減し、高齢化にも対応で
きる見通しである。
今後、さらにポリ管カバーの挿入力の減少を目
指したい。
写真6 ポリ管挿入状況
写真7 ポリ管挿入ガイドを電線へ取り付けた状態
25
技
術
報
告
空
調
計
画
支
援
ツ
ー
ル
の
開
発
空調計画支援ツールの開発
技術開発室/河路友也・千葉理恵
1
ソフト開発の経緯
技術開発室では、業務効率化、独自技術の確立・
応用を目指し、各種ソフトの開発を行なっている。
ソフト開発は、ある意味では研究とは言えず、技術
開発室で行なうべきことなのか疑問視される場合
もある。しかし、既存のソフトを使っている限り、そ
の技術は独自技術ではなく、単に決められた操作
を行い、決められた出力しか得られない。応用も難
しく入力条件に対象物件が合致しなければ、検討自
体が困難となる。技術開発室でソフト開発を行な
う意義としては、当然、現業への技術移転を行い、
業務効率化を実現することも目的であるが、ソフト
で使用する技術を応用可能なものとし、新たな展
開を見出すことと考える。
空調関係で過去に開発を行なったソフトを図1
に示す。最初に空調の設計では最も重要な熱負荷
計算ソフト(TDレポート第13号参照)の開発を行
なった。このソフトは設計部、支店などでも使用さ
れ ており、使用者からの要望に応 える形で随時
バージョンアップを行なってきた。今年度は大幅
なバージョンアップを計画しており、現在作業を進
めている。空調熱負荷計算ソフトの理論を応用し
て開発したのが、室温上昇検討ソフトである。この
ソフトも設計部で主に変電所の室温上昇検討に使
用されている。水蓄熱槽最適設計ソフト(TDレ
ポート第15号参照)と水蓄熱経済性検討ソフトは、
(財)ヒートポンプ・蓄熱センターから受託して行
なったものであり、現在は研修会などを通じて一般
に公開・配布されている。そのため、当社固有の
ツールではないが、ソフトの内容に関する技術は
保有しているので、
内容の変更・応用が可能である。
以上のソフト開発により蓄積してきた、理論や入
出力手法を統合して開発したのが、今回紹介する
空調計画支援ソフトである。
2
ツールの概要
図2に空調計画支援ツールの全体構成を示す。
ソフトは大きく3つの部分に分かれており、空調熱
負荷計算部分、空調システム構築部分、エネルギー
消費量計算部分である。空調方式は同時に3シス
テムまでの入力が可能となっているので、異なる
26
システムの比較検討が出来るようになっている。
空調熱負荷計算ソフト
室温上昇検討ソフト
水蓄熱槽最適設計ソフト
水蓄熱経済性検討ソフト
空調計画支援ソフト
図1 過去の開発ソフト
START
建物の基本条件入力
負荷計算の為の各種データ入力
(簡易or詳細)
年間熱負荷計算の実行・表示
同時に3方式の空調システムが
入力可能
(熱源、
ポンプ、
空調機器などを選定)
年間エネルギー消費量の計算
年間ランニングコストの計算
結果表示
図2 ソフトの全体構成
本ツールでは以下の項目が検討可能である。
・建物の年間空調熱負荷計算
・建物の年間空調用エネルギー消費量
・建物の年間空調用ランニングコスト
・空調設備のイニシャルコスト概算
・空調用エネルギーの一次エネルギー換算値
・空調運転によるCO2発生量
・電気、
ガス、
油の比較が可能
3
空調熱負荷計算部分の特徴
前述したように、空調熱負荷計算ソフトについて
は開発済みであるが、空調計画支援ツールに組み
込まれた空調熱負荷計算部分の特徴は以下の通り
である。
(1)365日24時間の年間を通した、空調熱負荷
計算が可能である。
(2)入力方法に簡易と詳細があり、建物の計画段
階から既存物件まで幅広く対応できる。
(3)建物用途として、事務所、商業施設、ホテルが
用意されており、
各デフォルト値が利用できる。
図3に空調熱負荷計算の入力から計算までの流
れを示す。詳細入力を選択した場合には、各室毎
に細かな設定を行なうことが可能である。簡易入
力を選択した場合には、建物用途を設定する。建
物用途に応じて必要な入力画面が表示されるので、
各入力項目について入力・選択すればよい。建物
の構造データや室内機器のスケジュールデータも、
建物用途に応じたデフォルトデータが用意されて
いる。これらのデフォルトデータは変更も可能で
あり、その内容をデフォルトデータの一つとして登
録しておくことも可能である。簡易入力であって
も最終的にはデータの形式を、詳細データと同じ
状態に変換するため、簡易入力で入力した後に、あ
る部分のみ詳細入力で変更することも可能である。
図4に事務所の簡易入力画面の一例を示す。平
面プランとしてコアの位置・寸法について指定で
きるようになっている。また、コア以外の部分の
ゾーニングも可能となっている。階毎に形状を変
化させることは出来ないが、使用形態の変化に対
応するため、スケジュール、室内発熱関係などは階
別に3パターンまで指定できるようになっている。
図5には詳細入力画面を示す。詳細入力につい
ては、図3で示したように建物用途による違いは無
く、入力画面は共通である。各室別に壁や窓の構
成、人体・照明・機器などの状態・スケジュールなど
を設定できるようなっている。設定温湿度や空調
時間についても、
室別に設定が可能となっている。
スタート
メイン画面
簡易入力
事務所
商業施設
ホテル
詳細入力
複 合
用途毎に負荷特性を考慮した入力画面を作成
● 構造データの設定
● 運転、
デフォルト
内部データの設定
データ利用
● スペースデータの設定
指 標
データ入力
スペース
データ入力
技
術
報
告
空
調
計
画
支
援
ツ
ー
ル
の
開
発
詳細データへ変換
計 算
結果(帳票)
の出力
図3 空調熱負荷計算の入力から計算の流れ
図4 事務所簡易入力画面
図5 詳細入力画面
27
技
術
報
告
空
調
計
画
支
援
ツ
ー
ル
の
開
発
28
4
空調システム構築部分の特徴
図6に空調システムの構築から計算実行、結果
表示までの流れを示す。最初に、3章で説明した
年間空調熱負荷計算結果を読み込み、その負荷に
対して空調システムを構築していく。本ソフトでは、
全館個別分散方式、全館熱源分散方式、およびこれ
らの組合せについて入力が可能となっている。表
1に空調方式の組合せとその内容について示す。
熱源中央方式の空調システムとしては、非蓄熱シ
ステム、水蓄熱システム、氷蓄熱システム、コー
ジェネレーションシステムが選択可能である。空
調システムおよび方式を選択すると、システム概
要がわかり易いように、概略系統図を表示すること
も可能である。次に、熱源・ポンプなどの選択を行
なうが、これらはデータベースに登録されている
ものの中から選択する。機種の選択は、読み込ん
だ空調熱負荷に基づいて、通常の設計に近い形で
行なえるようになっている。各室・ゾーン毎などで
細かく機器を選択することも可能であるが、計画
段階などで大雑把に入力したい場合には、機器能
力のみ設定すれば自動的に空調機の台数などを計
算する機能も用意している。
図7に水蓄熱槽の槽容量、熱源容量の設計画面
を示す。水蓄熱槽の設計においては、蓄熱槽効率
が重要な要素となる。蓄熱槽効率は、前記の水蓄
熱槽最適設計ソフトを利用すれば、詳細に求めるこ
とが出来るので、可能であれば水蓄熱槽最適設計
ソフトを実行させ、その結果得られた蓄熱槽効率を
入力することが望ましい。しかし、建物が計画段階
である場合や、時間的な余裕が無い場合には、本ソ
フトのみで対応が可能なようにしている。水蓄熱
槽最適設計ソフトを実験計画法により実行させて
得られた、効果推定表1)を利用して蓄熱槽効率を
算出できる機能を有している。
全ての機器の選定が終了すると、熱源の運転方
式の指定を行なう。これは、電気熱源とガス熱源を
設置するような複合熱源方式では、熱源の優先順
位によりエネルギー消費量、ランニングコストが異
なるため、設定する必要がある。全ての入力が完
了するとエネルギー消費量の計算が可能となる。
エネルギー消費量は、データベースに登録されて
いる熱源の特性式を元に、各時間の外気条件、負荷
条件から能力・効率を補正して求めている。エネ
ルギー消費量が算出されれば、その値を元にラン
ニングコストの計算、CO2排出量、一次エネルギー
消費量への換算を行い、結果を保存・印刷するよう
になっている。
START
年間空調負荷読み込み
個別分散or熱源中央or複合を選択
各空調方式・使用エネルギー選択
熱源・ポンプなどの選定
熱源運転方式の指定
年間エネルギー消費量の計算
年間ランニングコストの計算
も
結果出力(CO2排出量等)
図6 空調システム構築から計算の流れ
表1 空調方式の組合せ
方 式
全館個別分散方式
全館熱源中央方式
熱源中央方式+個
別分散方式
熱源中央方式+熱
源中央方式
内 容
ビルマル、エコアイス、ガスヒーポ
ンなど。
建物全体の空調熱負荷を中央の熱
源で処理する。
特定の室のみ個別分散方式で行い、
残りは熱源中央方式で行なう場合。
熱源中央方式であっても異なるシ
ステムを組み合わせたもの。二次
側も分離される場合と、同一系統
となる場合がある。
図7 水蓄熱システム設計画面
5
計算結果
空調熱負荷計算結果は、時間毎に室・ゾーン別に、
室内顕熱・潜熱、外気顕熱・潜熱が別々に出力され
る。また、部位別(壁、窓など)の時刻別負荷も保存
されるので、計算結果に対する各種検討が行なえ
る。図8に空調熱負荷計算結果画面の一例を示す。
この画面では、建物全体の夏期ピーク日の時刻別
負荷、各月の積算冷暖房負荷、年間の日積算冷暖房
負荷の降順グラフを表示している。この様に、1時
間から年間まで対象建物の熱負荷特性について考
察することが可能である。
エネルギー消費量の計算結果も時間毎に、各機
器別に出力される。図9には水蓄熱システム、非蓄
熱システム、氷蓄熱システムの熱源消費電力と蓄
熱量の変動グラフ表示画面を示す。蓄熱システム
での夜間運転の様子や、非蓄熱システムに対して
蓄熱システムでは熱源消費電力のピークが抑えら
れている状況を確認できる。このように、単に年間
のエネルギー消費量の合計値を出力するのではな
く、各時間の熱源の動きなどについても確認でき
るよう考慮している。図10には、機器毎の年間消
費出力の比較画面を示す。全体の消費電力の中で、
図8 空調熱負荷計算結果表示画面の一例
図9 熱源消費電力・蓄熱量計算結果画面
各機器がどの程度の割合かを確認でき、システム
間の差についても考察できる。
図11に年間のランニングコストの比較画面を
示す。ランニングコストは、実際の料金メニューを
利用して算出している。時間毎の消費量が得られ
ているので、時間帯や季節による料金の差につい
ても反映することが可能である。
この他、CO2排出量、一次エネルギー消費量換
算値も表示でき、ランニングコストのみでなく、地
球環境面からの評価も可能である。
6
技
術
報
告
空
調
計
画
支
援
ツ
ー
ル
の
開
発
今後の展開
本ソフトはまだ完全なものではなく、修正・改良
部分が残されている。また、現業への展開もこれ
からである。空調熱負荷計算ソフトの時と同様に、
使 用 者 の 意 見 を 反 映 さ せ な がら、新 規 物 件、リ
ニューアル物件の空調計画に有用なツールとなる
よう努力する。
〈参考文献〉
1)中原、他:
「運転シミュレーションを用いた実験計画
法による連結完全混合槽型蓄熱槽の蓄熱槽効率の推
定」、
空気調和・衛生工学会論文集、
№17
(昭和56年)
図10 項目別消費電力の計算結果画面
図11 年間ランニングコスト比較画面
29
技
術
報
告
低
圧
屋
内
電
路
に
お
け
る
新
地
絡
保
護
シ
ス
テ
ム
の
研
究
低圧屋内電路における新地絡保護システムの研究
技術開発室/山本達也・伊藤公一 中部電力株式会社/藤田秀紀
1
はじめに
近年、高度情報化社会の発展に伴い、
ビルや工場
などでは、OA機器が多用されるようになっている。
このため、最近の建物では、OA機器に内蔵された
電源フィルタの影響や、ケーブルの長大化によっ
て、低圧電路の対地静電容量が増加し、漏電遮断器
や漏電警報器(以下「ELCB等」
)が不要動作する障
害事例が多く報告されている。
この障害の形態には、対地静電容量の増大によ
り漏れ電流が増加してELCB等が不要動作する場
合、また、地絡事故時に地絡電流が対地静電容量を
介して隣接の変圧器バンクに回り込むことによっ
て、健全な回路のELCB等を不要動作させる場合
の2つがある。
これらの障害の対策として、ELCB等の電流整
定値を上げるなどが採られているが、根本的な対
策にはなっていない。また、法的に設置が義務付
けられている人体保護用(高感度型)の漏電遮断器
においては、整定値を上げることは許されない。
そこで、ELCB等の不要動作を防止するために、
低圧電路用地絡方向継電器(以下「低圧用DGR」
)
1)
を考案した 。
以下に、ELCB等の不要動作障害の実例を示し、
その対策となる低圧用DGRの動作原理および原
理の検証結果を報告する。
2
ELCB等の不要動作障害の概要
実際に直接接地電路で発生したELCB等の不要
動作障害例を2つ挙げる。
①漏れ電流の増加による不要動作2)
某工場の低圧電路に整定値以上の漏れ電流が流
れ、B種接地線に取り付けられた地絡継電器が動
作しつづける障害が発生した(図1)
。B種接地線を
流れる漏れ電流の測定値は1.5∼1.8Aで、継電
器の電流整定値0.8Aを大きく上回る状態であっ
た。
そこで、電路の対地静電容量を測定値から算出
した結果、12.
5μFと非常に大きくなっているこ
とが判明した。この電路は、ケーブル延こう長が約
10万メートルと非常に大きく、これによる対地静
電容量の増加が原因となり、継電器の電流整定値
30
図1 地絡継電器不要動作障害発生状況
図2 漏電警報器不要動作障害発生状況
以上の漏れ電流が流れるに至ったと考えられる。
②地絡電流の回り込みによる不要動作
某ビル低圧電灯回路(低圧電灯盤No.
1、単相3
線式200V−100V)で1線地絡が発生し、低圧電
灯盤No.1∼No.3の漏電警報器が一斉に動作し
た
(図2)。
原因は、地絡により当該回路の漏電警報器が正
常動作すると同時に、地絡電流が対地静電容量を
通じて隣接バンクへと波及したため、他の2箇所の
漏電警報器が不要動作に至ったと推定された。
このため全ての変圧器バンクごとに電路の対地
静電容量を測定した。
結果を表1に示す。
この測定の結果、電灯回路の対地静電容量が大
きく、地絡電流が電灯回路へ多く回り込むことが裏
付けられた。これはケーブルの長大化やOA機器
の多数設置などの要因によるものと考えられる。
電力供給の信頼性を高めるためには、このよう
な不要動作障害を早急に解決する必要がある。
表1 対地静電容量実測結果
3
変圧器バンク
対地静電容量[μF]
電灯盤No.1
6.1
電灯盤No.2
3.4
電灯盤No.3
5.1
電路の漏れ電流が大きくなる。
漏れ電流が大きい場合、先に示した従来の高圧
用地絡方向継電器の方向判別の方法では、地絡電
流の位相が影響を受け、地絡方向判別は困難であ
る。
低圧用DGRの動作原理
回路が地絡した場合、当該フィーダに流れる地
絡電流の流れる向きと、対地静電容量を通して隣
接フィーダに流れ込む地絡電流(これを以下「回り
込み電流」と呼ぶ)の向きは逆方向となる。した
がって、基準位相を定め、その位相に対して各回路
の零相電流の位相をみることで電流の方向判別が
可能である。
この原理は実際に高圧用地絡方向継電器に採用
され、地絡方向判別による選択遮断を実現してい
る。
一方、
ビルや工場の低圧回路では、一般に動力回
路に使用される3相200V回路の変圧器の低圧側
巻線にΔ巻線が使用され、その一端子にB種接地
が施される。このため、3相200V回路では、電路
の対地静電容量が平衡していても比較的大きな漏
れ電流が流れる。また、電灯回路に使用される単
相3線 式200V−100V回 路 は、各100V回 路 で
ケーブル長が異なる場合、対地静電容量が大地に
対して不平衡になり、漏れ電流が大きくなることが
ある。これらの理由により、一般に低圧回路では、
技
術
報
告
低
圧
屋
内
電
路
に
お
け
る
新
地
絡
保
護
シ
ス
テ
ム
の
研
究
図4 地絡前の電流分布
図5 位相判別回路
図3 低圧回路簡略モデル図(200V回路一線地絡)
今回考案した低圧用DGRは、
この影響を排除し、
低圧回路でも地絡方向判別を可能とした。以下に、
低圧用DGRの地絡方向判別原理を示す。
図3は、一 般 的 な 低 圧 回 路 を 模 擬し て おり、
200V回路で1線地絡(地絡抵抗Rg)が発生した
場合の回路図である。同図の回路は、図4と図5に
示す回路の重ね合わせで表される。
31
技
術
報
告
低
圧
屋
内
電
路
に
お
け
る
新
地
絡
保
護
シ
ス
テ
ム
の
研
究
図4に示す回路は地絡発生前の電流分布と同じで
あるから、以下の式が成り立つ。
図5の電流分布
=図3の電流分布−図4の電流分布
つまり、図5の回路の電流分布は、地絡後の電流分
布(図3)
から地絡前の電流分布(図4)
を差し引くこ
とにより求められる。
図6 図5の等価回路
である場合にDGRが動作する(図7 DGR動作領
域参照)。
この原理は、変圧器の巻線種類(Y、Δ等)や電圧
などによらず常に成り立ち、また、平常時の漏れ電
流の影響を受けないので、これに起因する不要動
作障害も解決できる。
4
検証
模擬回路による実験により上記動作原理の検証
を行った。
実験に用いた模擬低圧回路(図8)は三相200V
回路と単相200−100Vの2バンクで構成されて
いる。ここでは地絡スイッチSW1を投入した場合
の零相電圧(Vbd)および各バンクの零相電流測定
結果を示す。
測定波形を図9および図10に示す。
図9をみると、地絡発生後(時間t>0)は、地絡電
流と零相電圧がほぼ同じ位相になっている。
一方、図10をみると、回り込み電流の位相は図7
に示すような90°の遅れ位相にはなっていない。
図7 零相電流・零相電圧ベクトル
図5の等価回路を図6に示す。図6のZCT1(地
絡電流)およびZCT2(回り込み電流)に流れる零
相電流の位相関係は図7に示すように、地絡電流
I01´は零相電圧(B種・D種合成接地抵抗両端電圧)
V=Rbd・I´に対して必ず進み位相になるのに対
0
し、回り込み電流I02´は遅れ90°
となる。
低圧用DGRではこの位相の違いを利用した地
絡方向判別を行っており、上記の位相条件(電流位
相が零相電圧Vに対して0∼90°
の進みであるこ
と)に加え、零相電流実効値の増加分が整定値以上
32
B種・D種合成接地抵抗(1
0Ω)
図8 模擬低圧回路図
これは、漏れ電流の影響を受け、回り込み電流の位
相が変化したためと考えられる。この位相変化に
よって、従来の方向判別の原理では不要動作の可
能性が残る。
図9 零相電圧および地絡電流波形
図11 図9の漏れ電流をキャンセルした波形
図10 零相電圧および回り込み電流波形
図12 図10の漏れ電流をキャンセルした波形
測定された零相電圧および地絡電流波形から平
常時(地絡前)の漏れ電流および零相電圧波形を
キャンセルした(差し引いた)波形を図11、図12
に示す。図11は図9からキャンセルしたもの、図
12は図10からキャンセルしたものである。
この波形の電流電圧の位相関係は、図11に示す
様に地絡電流は、ほぼ零相電圧に対して同位相、回
り込み電流は零相電圧に対して90°遅れになって
おり、図7の位相関係のとおり正確な方向判別が可
能となる。
この結果のほかに、対地静電容量C3、C1および
地絡抵抗R3、R1を変化させ、さまざまな条件で検
証を行った結果、平常時漏れ電流及び零相電流を
キャンセルした場合は、すべての条件で正しく地絡
方向判別を行うことができた。
5
技
術
報
告
低
圧
屋
内
電
路
に
お
け
る
新
地
絡
保
護
シ
ス
テ
ム
の
研
究
まとめ
今回、ELCB等の不要動作障害の新しい対策と
して低圧用DGRを提案し、その動作原理が正しい
ことを実験により確認した。
この低圧用DGRにより、地絡発生時に電路の選
択遮断が確実に行われるようになり、ELCB等の
不要動作障害を解決できると考える。
今後は試作機を製作し、動作確認試験を行う予
定である。
(中部電力と特許共同出願中)
≪参考文献≫
1)低圧電路用地絡方向継電器の開発研究:藤田秀
紀、伊藤公一、山本達也、平成14年度電気設備
学会全国大会講演論文集、G-21
2)漏洩電流の無停電判定手法:本田浩一、平成10
年度電気設備学会全国大会講演論文集、F-2
33
施
技
術
工
報
事
告
例
中
光
度
白
色
航
空
障
害
灯
の
プ
レ
ハ
ブ
配
線
に
つ
い
て
中光度白色航空障害灯のプレハブ配線について
電力本部 工務部 送電グループ/大井貞夫
1
害灯が追加制定されました。地上高が105m以下
の構造物では頂部一灯です。
はじめに
航空法により飛行機の航行安全確保のため、地
上高が60m∼150mまでの送電用鉄塔や煙突等
には航空障害灯と昼間障害標識(赤白塗装)を設置
しなければならなかった。
(図1)しかし、平成12年
12月の航空法施行規則の改正により、中光度白色
航空障害灯を採用する場合には赤白塗装を省略で
きるようになった。
中部電力㈱では、景観緩和および総合コストの
低減策から、送電用鉄塔の航空障害灯に中光度白
色航空障害灯を積極的に導入することとし、灯具
を取り付け るための鉄塔構造を見直すとともに
ケーブル配線仕様を決定した。
この中光度白色航空障害灯は、鉄塔下部の管制
器から頂部および中間部の灯具まで電源線と信号
線を配線する工事が必要である。
これを受け、当社ではプレハブ配線分岐仕様を
決定したので、その概要について紹介する。
2
図1 従来の航空障害灯の設置方法
改正法
平成12年12月の航空法施行規則で改正され
た概要は次のとおりです。
表1 航空障害灯の性能
航空障害灯
の 種 類
中光度白色
(今回追加)
高 光 度
(参 考)
適用高さ
60∼150m
150m以上
仕 様
白色閃光
白色閃光
(閃光回数) (20∼60回/分) (40∼60回/分)
実
行
光
度
昼 間
20,000cd
±25%
200,000cd
±25%
薄 明
20,000cd
±25%
20,000cd
±25%
夜 間
2,000cd
±25%
2,000cd
±25%
表1のとおり中光度白色航空障害灯の実効光度
は従来からある高光度航空障害灯と薄明、夜間で
同一光度となっており、光害面での検討が必要に
なる。特に航空障害灯設置箇所の周囲に人家があ
る場合には地形上の横断面図をもとに閃光、まぶ
しさ防止対策を事前に航空局と協議が必要である。
図2に示すように、規則改正により中光度白色障
34
図2 改正された航空障害灯の設置方法
3
プレハブ配線
3.
1 プレハブ化する目的
図2に 示 す よ うに 鉄 塔 の 地 上 高 が105m∼
150mにおいては鉄塔中間部に2灯∼4灯設置す
る。また中部電力㈱の配線仕様は布設条数を減ら
す中間分岐の形態となっている。
この中間部の分岐箇所を工場でプレハブ加工す
る目的は、接続部の品質安定また鉄塔上配線作業
の効率化、安全のためである。
3.2 ケーブル仕様と固定用配線金具
(仕様内容)
①電源線の種類は、遮へい付架橋ポリエチレン絶
縁ビニルシースケーブル(CV−S)
②中間灯の電源線は、中間部で分岐する形態とす
る。なお、頂部灯用の電源線は管制器から単独
回路(図3)
(表2)
③信号線の種類を、銅テープ遮へい付制御用ビニ
ル絶縁ビニルシースケーブル(CVV−S)
④中間灯のある場合の信号線の本数(2本あるい
は4本)を減らすため多芯ケーブルを採用。頂部
灯用の信号線は管制器から単独回路(図3)
(表
2)
⑤鉄塔固定用サドルは配線指示材に固定(2mピッ
チ)
(表3)
電源・信号線の
プレハブ接続
(モールド処理)
表2 ケーブル仕様
頂部1灯用
および分岐灯用
サ
中間2灯用
イ
(幹線)
ズ
中間4灯用
(幹線)
電 源 線
600V CV−S
信 号 線
CVV−S
5.5›×3C
2.0›×7C
8.0›×3C
2.0›×15C
14.0›×3C
2.0›×30C
表3 ケーブル固定用配線金具
サドルの穴ピッチ
(単位:㎜)
概 略 図
(管制器∼頂部)
W1=45
頂部1灯
(頂部・電源線)
(60≦H≦1
05)
W2=45
(頂部・信号線)
(中間∼頂部)
頂部1灯
W1=45
+中間2
(4)
灯 (頂部・電源線)
(1
05<H<1
50) W2=45
(頂部・信号線)
施
工
事
例
中
光
度
白
色
航
空
障
害
灯
の
プ
レ
ハ
ブ
配
線
に
つ
い
て
(管制器∼中間)
W1=45
(頂部・電源線)
頂部1灯
W2=45
(頂部・信号線)
+中間2灯
(105<H<1
5
0) W3=45
(中間・電源線)
W4=45
(中間・信号線)
(管制器∼中間)
W1=45
(頂部・電源線)
頂部1灯
W2=45
(頂部・信号線)
+中間4灯
(105<H<1
5
0) W3=55
(中間・電源線)
W4=55
(中間・信号線)
3.
3 試験項目
図3 航空障害灯配線図(例)
中光度白色航空障害灯の配線においては、従来
の航空障害灯の電源線の他に、新たに信号線を追
加布設することになる。信号線の素線径(2㎜φ)
が細いことまた多芯ケーブル(7C,15C,30C)で
あることさらに自然環境にさらされる鉄塔へ垂直
取付となることから、中間灯分岐部の導体接続部
引張強さ試験とサドルによる把持力試験を実施し
プレハブ配線の検証を行った。
35
施
技
術
工
報
事
告
例
中
光
度
白
色
航
空
障
害
灯
の
プ
レ
ハ
ブ
配
線
に
つ
い
て
(1)導体接続部引張強さ試験
①目 的
中間灯用の信号ケーブル分岐部の導体接続方法
は幹線を分岐線のコア導体を突き合わせし、絶縁
被覆付B型スリーブにより直線圧着接続する構造
とした。分岐線が何らかの影響により引張られた
場合、分岐線のコア導体7本に均等な荷重が加わ
るとは限らない。このため信号線分岐部のコア導
体がどの程度の引張荷重に耐え得るかを確認する
ため、接続部引張強さ試験を実施した。
②試 料
信号線のコア導体(軟銅より線2›・7本/0.6
㎜)
を絶縁被覆付Bスリーブで直線圧着接続
試料数:5本
③試験日時・場所・方法
・試験日時:2002年1月25日
・場 所:西日本電線本社工場内引張試験室
・試 験 機:RS−2形引張試験機
(写真1)
・引張速度:100㎜/min
写真1 引張試験の様子
クタ 通 則 ― 分 離 不 能 形)に 規 定 す る引 張 強 さ
290Nをクリアすることが確認した。
また【電気設備技術基準の解釈】第12条では、電線
を接続する場合の引張強さを20%以上減少させ
ないことと規定されており、今回の試験結果から2
›軟銅線の引張強さ434N以上を満足することを
確認した。
(2)サドルによるケーブル把持力試験
①試験の目的
中光度白色航空障害灯の信号用ケーブルは、垂
直方向に布設され、その長さも送電鉄塔の高さに
応じて長くなること、また屋外に暴露されることか
ら長期にわたりケーブルを確実に支持する必要が
ある。このため、ステンレス製サドルによるケーブ
ル把持力の確認とサドル締め付けによるケーブル
シースや内部の絶縁体への影響を確認した。
②試 料
信号用ケーブルCVV−S(2.0› 30C、2.0›
15C、
2.0› 7C)
・ステンレス製サドル・介在用自
己融着テープ
③試験日時・場所・方法
・試験日時:2002年2月22日
・場 所:西日本電線本社工場内引張試験室
・試 験 機:RH−50形引張試験機
(写真2)
・引張速度:100㎜/min
・試料の作り方
ケーブルに介在用自己融着テープを巻き付け
サドル止めを行う。締め付けは所定のスプリン
グ座金がフラットになるまで締め付ける。片端
にフリーティンググリップをケーブルに装着し、
引張荷重を加える。
④結 果
試料№
破断荷重(N)
備 考
1
458
スリーブ内導体破断
2
478
〃
3
479
〃
4
483
〃
5
467
〃
平均値
473
⑤考 察
試験結果からJISC2810(屋内配電用電線コネ
36
写真2 フリーティンググリップによる引張
④結 果
・サドル把持力試験
サドルによるケーブルの鉄塔への固定間隔は
中部電力の鉄塔製作仕様書で2m以下となって
いるため2mのケーブル自重と比較すると十分
な把持力があることがわかった。
試 料
ケーブル自重 把持力
(N/m)
サドルに加わる
ケーブル荷重
(N) (2m毎の支持力)
(N)
2› 7C
10.7
1370
21.4
2› 15C
5.8
780
11.6
2› 30C
3.0
780
6.0
・サドル留めによるケーブルへの影響
上記のサドル把持力試験を行った後、サドル締
め付けによるケーブルへの影響を確認するため、
導通試験・絶縁抵抗試験およびケーブル解体に
よる撚り合わせ断面およびコアの観測を行った
が異常なかった。
⑤考 察
送電鉄塔に沿わせて垂直布設する信号用ケーブ
ルの支持材としステンレス製サドルの使用は問題
ない。
3.4 試験要領と判定基準
3.3項による確認試験および分岐モールド部の
試作結果をもとに、信号用・電源用のプレハブケー
ブル仕様書(案)を作成した。仕様書は基本的に日
本電線工業会規格(JCS)、日本工業規格(JIS)に
準拠しており、その試験項目・試験要領・判定基準
は表4のとおりである。
表4 試験要領書(電源線・信号線)
項 目
試 験 要 領
判定規準
観
目 視・手 触 り に よ り き 有害なきず、汚
ず・汚れの有無を調べる。れのないこと。
ケーブル構造
ケ ー ブ ル 寸 法 を ス 指定値以上であ
ること。
ケールで測定する。
外
分 岐 モ ー ル ド 各 部 の 寸 法 を ス ケ ー ±10% 以 内 で
部
寸
法 ルで測定する。
あること。
導
通
試
験
導通試験用ブザーによ 断 線 の な いこ
り断線の有無を調べる。 と。
導体相互および遮へい
耐 電 圧 試 験 層 間 にAC3000Vを1
分間加えこれに耐える。
1分間耐えるこ
と。
耐電圧試験後1000V
メ ガ ー で 導 体 相 互 間 200MΩ 以 上
絶縁抵抗試験
お よ び 遮 へ い 層 間 の であること。
絶縁抵抗を測定する。
分岐部引張試験後、水
槽 内 で0.03MPaの
200MΩ 以 上
分岐部防水試験 水圧を加え1000Vメ
であること。
ガーで絶縁抵抗を測
定する。
圧縮接続した相互の
コア間に規定の引張
分岐部引張試験
荷重を徐々に加え10
秒間保持する。
施
工
事
例
中
光
度
白
色
航
空
障
害
灯
の
プ
レ
ハ
ブ
配
線
に
つ
い
て
破損・永久変形・
接続電線の抜け
ずれ切断他の異
常がないこと。
これにより、分岐モールド部を製作し、形式試験
(耐電圧、絶縁抵抗、分岐部防水、
および分岐部引張
の各試験など)を行い、いつでも施工できる態勢を
ととのえておく。
4
あとがき
平成12年12月の航空法施行規則改正により
①中光度白色航空障害灯の採用により赤白塗装が
不要となった。
②建設コスト、維持管理コストの節減および自然と
の調和が期待できる。
今後中光度白色航空障害灯が設置される場合には、
今回のプレハブ配線を積極的に提案していきたい。
また既設の赤白塗装鉄塔の経年劣化により再塗装
時に、中光度白色航空障害灯への設備取替と再塗
装の経済性を比較検討し提案していきたい。
(追記)
中部電力㈱では中光度白色航空障害灯の灯器水
写真3 しゃ光板設置状況
平面より下方へ洩れる光を防止した効果的なしゃ
光板(写真3)
を開発した。
37
施
技
術
工
報
事
告
例
大
型
病
院
の
発
電
機
に
よ
る
無
停
電
化
制
御
方
式
大型病院の発電機による無停電化制御方式
岡崎支店 刈谷営業所 施工第一課/田中秀孝
1
はじめに
市民病院を持たない安城市と西三河南部に、安
城更生病院(写真1)
(工期・平成11年11月1日∼
平成14年3月31日)が完成した。当社はこの医療
施設の電力設備を施工した。この病院は延べ床面
積58,147㎡(内免震構造54,711㎡)、病床数約692
床の病院である。この病院の
“設計コンセプト”
は
①健康的な心やさしい癒しの療養環境の創造
②安全性の高い病院施設
③病院建築の高機能化
④エネルギーの安定供給と省エネルギー
⑤ライフサイクルへの適応
となっており、これに対する電気設備は、【電源の
無停電化】及び【保守・メンテナンスの容易さ】
が求
められた。この病院における、新技術【常用発電機
の単独運転による無停電制御】
について紹介する。
2
システム概要
3
発電機を伴う無停電化制御
b受電方式 3φ3W 6.6kV 60Hz
(本線、予備線の2回線受電)
bトランス容量 10,650kVA
b契約電力 2,500kW
b自家発電設備
・非常電源用 空冷ガスタービン発電機
2,000kVA×1基
・常 用 ガスエンジン発電機
400kVA×2基
・保 守 用 ディーゼル発電機
300kVA×1基
b直流電源設備 1500Ah/10Hr
(制御弁式据置鉛蓄電池)
b無停電電源設備 150kVA×2式
(自動無瞬断切替)
で構成され常用発電機2基が系統連系している。
(図1)
3.
1 常用発電機の無停電化制御
写真1 安城更生病院全風景
(1)システムの原理
この装置は本線の停電を検出すると同時に、
保安負荷を持つ常用発電機群を切離し単独で負
図1 受電・発電機系統図
38
施
工
事
例
大
型
病
院
の
発
電
機
に
よ
る
無
停
電
化
制
御
方
式
図2 本線と予備線の停電フロー図
荷を供給する無停電運転システムである。単独
運転成功後に負荷の再投入が無いため、起動電
流による過負荷がなく安定した運転が可能であ
る。
(図2.3.4.5)
(2)単独運転の問題点
発電機を切離し後、安定に運転できるか否
かは、【保安系負荷を持っ発電機を切離すま
での時間】が重要である。切離しが遅れると、
発電機に過負荷や電力動揺が発生し出力限界
の超過・周波数低下・電圧低下により発電機は
停止となる。
(3)無停電化の方策
①連系点を遮断して発電機を安定に運転するた
め
【超高速遮断器・HBS 写真2】
を採用した。
これは真空遮断器(VCB)で1サイクルで遮断
する性能を持っている。この動作時間はリレー
検出と遮断時間で0.017秒(1Hz)
である。
発電機の単独運転が成功する条件は、
①ガスエンジン発電機の過負荷運転可能時間
過負荷125%0.2秒(at58.5Hz)⇒12Hz ②停電検出リレーによる遮断時間
検出リレーの停電検出3サイクル(0.05秒)
+下位負荷群遮断時間2秒 ⇒123Hz
③単独運転検出リレーによる遮断時間
単独運転検出リレーの検出は0.1秒+
遮断時間0.05秒 ⇒9Hz
単独運転成功は、
【9Hz未満で切離し】が条件
となる。
写真2 超高速遮断器・HBS(富士電機製)
39
施
技
術
工
報
事
告
例
大
型
病
院
の
発
電
機
に
よ
る
無
停
電
化
制
御
方
式
②遮断器動作の条件は
【故障電流の外部流出+母線電圧低下】
である。
この富士継電器(QF30L−A)の整定は発電
機が1台で動作可能な値(直流分を含むため
最大波高値の2.5倍)
、電圧低下は20∼30%
である。
③HBS内蔵のVT.CTの電気信号を光信号によ
り遮断器駆動ユニットへ伝達する。
④復電はこの遮断器で商用電源と同期並列して、
商用系統に無停電で切戻しする。
(4)継電器の整定値
設定ポジション
Ip
(電流瞬時値:3A)
・ΔV
(電圧低下率:20%)
3.
2 非常用発電機回路の無停電制御
阪神大震災の教訓としてパイプで供給する【ガ
スや水はストップする】ことがわかった。このため
地下タンクの信頼性が高いことに着眼し、地下にA
重油30,000リットルのタンク2基を設置した。
①非常回路負荷
空冷式のガスタービン発電機で供給する。停
電時40秒の起動時間を要する事は従来と変
わらない。
②手術室、ICU室、メインコンピュータ回路負荷
には、CVCF装置を設置し、さらに復電時の停
電も解消できる瞬時系統連系システムとした。
母線連絡用遮断器で2秒以内系統接続を行な
い、非常用発電機を切り離す。
(写真3)
図3 故障検出の概念図
図4 継電器と駆動ユニット
40
施
工
事
例
大
型
病
院
の
発
電
機
に
よ
る
無
停
電
化
制
御
方
式
図5 システム適用図
4
おわりに
【常用系発電機と保安系回路】の構成により無停
電で供給するシステムを構築した。復電時の停電
も無く、防災系(非常用)回路の無停電切替も可能
である。このため保守は容易で、メンテナンス費
用も大きく低減できると考えている。
このシステムの問題点は
①故障点が構内の場合、電圧が大幅に低下し単
独運転に失敗することが考えられる。
②遮断により無効電力の方向・値により電圧変動
がある。
③発電機と保安系負荷のバランスは一定ではな
い。
従って
《HSB・超高速遮断器》実動作による単独成
否、電圧低下の検証が課題となる。
写真3 非常用発電機
41
施
技
術
工
報
事
告
例
寒
冷
地
に
お
け
る
氷
蓄
熱
空
調
の
設
計
・
施
工
報
告
寒冷地における氷蓄熱空調の設計・施工報告
名古屋本部 営業部 設計グループ(空調管担当)/馬場基次・林 哲也
飯田支店 営業部 施工課(空調管担当)/伊藤宣展 1
はじめに
近年、省エネルギーに対する社会的ニーズは空
調分野でも〔エネルギーの有効利用技術〕や、
〔シ
ステム新技術〕で実践されている。蓄熱によるエ
ネルギーの有効利用についても環境への配慮とと
もに、エネルギーコストの削減効果が期待されて
いる。蓄熱システムは消費量を時間と総量で捉え、
社会性・経済性などの評価を行うことにより、その
役割は一層明確となってきた。
今回、中部電力㈱飯田支店ビルへの蓄熱システ
ム導入について、当社空調管設備部門で受注し、完
成したので設計・工事の概要を報告する。
2
空調設計のコンセプト
飯田支店ビルの機器は昭和59年に設置され、平
成11年、12年に空調設備診断を実施、主要熱源機
器の不具合が確認された。特に温水ボイラーは、
漏水があり取り替えが急務であった。また、水冷チ
ラーにおいても能力の低下が確認された。この
21世紀最初の大規模設備改修は環境に優しい設
備を目指している。
(1)電力の負荷平準化
(2)熱エネルギーの有効利用
(3)既設設備の有効利用による建築廃材の削減
この建物の負荷平準化を達成するため、蓄熱槽
を新たに設置した。また、大温度差送水による搬送
動力の削減もテーマである。
3
表1 機器リスト
機器名称
仕 様
台数
(空) 冷却能力 125.6kw
空気・水熱源
※
加熱能力 146.5kw
氷蓄熱ヒートポ
ンプチラー
(ブ)
加熱能力 167.4kw
(AHP−1)
※
1
(空) 冷却能力 167.4kw
空気・水熱源
※
加熱能力 195.3kw
ヒートポンプチ
ラー
(ブ)
加熱能力 223.2kw
(AHP−2)
※
1
製氷コイル
(XC−1)
蓄熱槽水量 40„
外融式 コイルヘアピン型式
蓄熱量 3,420MJ
IPF 16%
4
4
熱交換器
(HEX−1)
プレート型水−ブライン熱交換器
交換熱量 39
0.6kw
1
熱交換器
(HEX−2)
プレート型水−水熱交換器
交換熱量 39
0.6kw
1
その他
ポンプ類
※ 表中の
(空)
は空気熱源方式、
(ブ)
はブラインによるカスケード運転
システム概要
飯田支店ビ ルは既設建物であり、蓄熱槽の設置
場所に制約があった。この建物は地下1階地上5
階建の建物であり地下部には湧水槽等に利用され
ている二重スラブがある。そのうち現在使用され
ていない二重スラブ内を蓄熱槽に改修利用した。
飯田市は夏期最高温度30.3℃であるが利用可
能な二重スラブ空間より氷蓄熱方式を採用する必
要があった。また、冬期最低温度は−4.6℃ であり
冬期の暖房対策が必要である。そこで今回、夜間
蓄熱した温水を昼間の冷凍機熱源として利用する
カスケード運転のシステムとした。
42
冷凍機は、蓄熱用として運転するAHP−1とそ
れ以外のAHP−2の2基とした。
表1に主な機器リストを示す。
図1 冷房配管系統図
夏期において、夜間AHP−1により蓄熱槽へ製
氷運転する。また昼間の空調運転については、図1
に お い てAHP−1、AHP−2で13℃から8℃に1
次冷却し蓄熱槽の冷水によってHEX−2を介して
8℃から5℃まで2次冷却を行う。これによって負
荷側の空調機では5℃から13℃のΔt=8℃の利
用が可能となる。
交換したブライン温度1℃を熱源として運転した
とき、冷凍機の暖房能力は約1.2倍。さらにブライ
ン温度15℃としたとき、冷凍機の暖房能力は約
1.9倍となる。
冷凍機の運転方式をカスケード運転とすること
により懸念された暖房時における冷凍機の能力不
足が解消された。
5
図2 暖房配管系統図
一方、冬期における暖房運転は夏期と同様、夜間
AHP−1により蓄熱槽へ温水を蓄熱する。空調運
転時の最大負荷となる朝の立ち上がり時には、夜
間に蓄熱した温水によってHEX−1を介してブラ
インを加温する(図2)。加温されたブラインを熱
源として冷凍機AHP−1・AHP−2を運転させる。
これによって外気温度に左右されず最大の暖房能
力利用が可能となる。
4
経済効果
図4に夏期の冷房時におけ る冷凍機の運転パ
ターンを示す。
空調負荷は技術開発室のトーエネック動的熱負
荷計算プログラムを使用し計算を行った。その結
果、冷房ピ ーク負荷356kw、日冷房負荷として
12,350MJと な る。ま た 蓄 熱 量3,420MJより
ピークシフト率26%となる。
図5に冬期の暖房時におけ る冷凍機の運転パ
ターンを示す。
施
工
事
例
寒
冷
地
に
お
け
る
氷
蓄
熱
空
調
の
設
計
・
施
工
報
告
冷凍機のカスケード運転
カスケード熱利用とは、熱エネルギーの温度レ
ベルにあわせて適材適所に熱エネルギーを利用す
るシステムである。この熱利用理論を今回空調に
取り入れたのが、冷凍機によるカスケード運転であ
る。
図3にカスケード運転の暖房能力変化を示す。
JISB8616による低温暖房能力(外気温度2℃
DB、1℃WB)を基準とすると、蓄熱槽の温水で熱
図3 カスケードによる暖房能力の変化
図4 冷房時の冷凍機運転パターン
図5 暖房時の冷凍機運転パターン
43
施
技
術
工
報
事
告
例
寒
冷
地
に
お
け
る
氷
蓄
熱
空
調
の
設
計
・
施
工
報
告
暖房のピーク負荷380kw、日暖房負荷12,970
MJとなり、蓄熱量6,070MJより朝の立ち上がり
時より約5時間のカスケード運転が可能である。
6
廃材の削減
建築廃材は、処分地及び大気への影響が大きく
廃棄することが難しくなってきている。そのため、
既設材料の利用を検討した。この結果、既設の冷
温水配管及び冷却水配管の調査を行い腐食は少な
く再利用が可能であった。
既設設備を利用することにより、以下の問題が
ある。①負荷と配管サイズの関係である。決めら
れた配管サイズによる流量、圧力損失の確認が必
要で、ブライン配管系統については蓄熱量との検
討も行った。②狭い二重スラブ内の空間を、より有
効に利用するため、蓄熱槽を側面断熱、底面は断熱
防水を行い、スラブの上部を断熱した。
(写真1)③
上部の断熱による熱損失のため、蓄熱槽周囲1m
までの断熱処理を施した。蓄熱槽は空調機械室内
下部のピットであり、人が立ち入る場所でもある。
このため断熱保護のためにフリーアクセスによっ
て床面を上げ、
(写真2)
これにより配管類・電線類
の設置スペースとして利用した。
この結果、
廃材が5.6t削減した。
7
工事概要
この工事は、事務所ビ ルを利用したままの工事
であるため居住者へ配慮した施工の必要があった。
この事項を列記し、その概要を以下に示す。
写真1 蓄熱槽内及び製氷コイル
写真2 蓄熱槽上部フリーアクセス
7.
1 騒音対策
既設冷却水配管2系統を、それぞれ冷温水配管・
ブライン配管へ再利用するため、配管の再生工事
が必要であるが、
この工事は配管内の研磨・塩ビラ
イニング加工を行うため、再生時の圧縮機による
騒音が発生する。そこで再生工事は休日を利用す
る必要があった。そのためA・S工法とし配管をバ
イパスさせて2系統の配管を1系統にまとめるこ
とにより作業工程を短縮した。
(写真3)
写真3 配管研磨作業状況
44
7.2 機材の搬入
主要機械室が地下1階にあり、機械はドライエリ
アより食堂・主廊下を経て機械室へ搬入する。主
要機器の搬入は日曜日、配管材等は食堂閉鎖後の
毎日、搬入・撤去を繰り返し行ったため、
工期への影
響が大きかった。
務』で計測及び検証を開始した。計測ポイントにつ
いては図6の通りである。これらの計測データは
PHS回線により遠隔での確認を行っている。
今後の計測データを基に、暖房時の最適な蓄熱
温度を決定する。これによりシステムの運転方法
を検討し、室内環境を維持した寒冷地における氷
蓄熱システムの有効性を検証する。
7.3 蓄熱槽断熱
蓄熱槽断熱は既存二重スラブを利用したため、
形状が均一でなく断熱工事は吹付方式のものとし
た。この方式は溶剤に有機剤を使用しているため
断熱槽内・機械室内・直近の居室(食堂)の換気には
特に留意した。建物を利用した状況での作業であ
るため既存換気ダクトを今回工事中のみに一部改
修を行い(一種換気を三種換気2系統)有機溶剤の
排気及び工事中ほこりの建物内飛散を防止した。
8
今後の展開
寒冷地での氷蓄熱システムの欠点である暖房時
における冷凍機の能力不足は、カスケード運転の
採用により解決された。平成14年5月23日∼平
成16年3月19日にわたり『現場築造型氷蓄熱空
調システムの実用性能評価に関する調査・分析業
9
おわりに
一般に環境温度(気温や海水温度など)に近い温
度をもつ熱エネルギーは、利用しやすいといわれ
ている。しかし、熱エネルギーは利用されるたびに
有効なエネルギーを失い、その温度レベルは徐々
に環境温度に近づいていく。
今まで氷蓄熱システムの、温水蓄熱利用におい
ては利用されることなく捨てられていた。この熱
エネルギーを、カスケード運転により有効なエネル
ギーに変換することによって、エネルギー利用効
率が向上できた。今後、これらの技術を利用し熱エ
ネルギー有効利用を進めていく。
最後に設計および工事に際し、関係各位より多
大なご指導ご協力を頂きましたことに対し感謝を
申し上げます。
施
工
事
例
寒
冷
地
に
お
け
る
氷
蓄
熱
空
調
の
設
計
・
施
工
報
告
図6 計測点
45
施
技
術
工
報
事
告
例
E
T
C
設
備
の
概
要
と
施
工
ETC設備の概要と施工
岡崎支店 営業部 技術課/吉澤収一
1
はじめに
日本道路公団のETC試行運用が本格的にサー
ビ スを開始しました。このETC設備をトヨタが受
注し、当社は設備の試験調整、工事を行いました。
このETC設備の概要と施工を紹介します。
写真1.2参照
2
施工と分担
施工工事は、東名地区高速道路および中部地区
高速道路です。工事、分担を以下に示します。
写真1 ICのETC設備
2.
1 ETC工事と区間
【東名高速大井松田IC∼三ヶ日IC】
【小田原厚木自動車道小田原IC∼平塚IC】
【豊橋チェックバリア∼春日井IC】
【伊勢自動車道松坂IC∼伊勢IC間】
2.
2 ICカードリーダーの施工
【伊勢湾岸自動車道大府IC∼湾岸弥富IC】
2.
3 工事分担
岡崎支店(豊田営業所、豊橋営業所)
静岡支店(支店内線工事課、掛川・沼津営業所)
東京本部(神奈川支社)
三重支店(上野営業所)
名古屋本部(名南営業所)
本店情報通信部
3
システムの概要
3.
1 ETC
ETCは、自 動 料 金 収 受シ ス テ ム(Electronic
Toll Collection System)
です。
車が有料道路の料金所を出る瞬間に、ゲートと車
載器の間で通信を行い、クレジットカードや料金別
納カードで、支払いを済ませます。このため料金支
払いのための一旦停止が不要です。
料金所の待ち時間が大幅に短縮できるため料金所
付近の交通渋滞緩和や、ノンストップの排出ガスの
低減などの環境改善も期待されています。
システム構成図、システムの入口及び出口の概要
46
写真2 ETC工事
図を図1.
2.3に示します。
3.
2 ETCを構成する設備
ETCを構成する設備は、路側機器、料金所設
備、上位系設備の3つに大別できます。
詳細 表1参照
●路側機器
料金所用路側無線装置、
トールゲート表示板、車
両検知器、車両監視カメラ路側表示器、発進制御
器、車高計、ICカードリーダー、インターホン車線
サーバー。
●料金所設備
ETC車線監視制御盤、料金所サーバー。
●上位系設備
道路公団支社・局装置、管理事務所装置。
図1 システム構成図
施
工
事
例
E
T
C
設
備
の
概
要
と
施
工
図2 システム入口概要図
図3 システム出口概要図
47
施
技
術
工
報
事
告
例
E
T
C
設
備
の
概
要
と
施
工
表1 機器構成表
設備
分類
路 側 設 備 名
設 備 の 用 途・目 的
入口
ETC処理を行うために、車両に取り付けられた車載器と無線通信を行
料金所用路側無線装置
う装置(車線サーバを含む)
ETCレーンのガントリー上等に設置されETC車線であることの表示
トールゲート表示板
並びに車線運用状況の案内を行う表示板
ETCレーンを通過する車両に対してETC処理の各機能の動作指示や
車両検知器
各種計測を行うものとして車両の進入及び退出等を検知する装置
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
車両監視カメラ
新入車両の監視を行うためのITVカメラ(既存カメラがあれば設置しない)
○
○
○
○
路側表示器
新入車両に対して適切に「通行の可否」等、出口にあっては「料金表示」
等を含めたメッセージを表示する装置
○
○
○
○
発信制御機
料金収受、情報処理等を確実に行うため、新入車両の発進を制御する装置
○
○
○
○
○
−
−
○
−
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
車両制限令に定める高さに違反する車両を検出し、車線サーバへ通知す
車高計
る装置(既存車高計があれば設置しない)
ETC車が路側無線装置の無い入口発券方式の入口車線を通過する際や、
器
ETC処理が異常に処理された車両等をICカードによりキャッシュレ
ICカードリーダー
スで通過させるための処理を行う装置
発信制御器等により停止指示を受けた車両に対して、料金事務所内の料
インターホン
金所係員が連絡を取るための装置
路側無線装置と対をなし、新入車両のETC/非ETC判別、課金処理、
各路側機器の監視制御、各種データ処理、上位との通信処理等の各種処理
車線サーバ
を行う中枢装置。
ETC機器動作管理、発信制御器の開閉制御、トールゲート表示板の制御、
ETC車線監視制御盤
料金所
インターホンによるお客様との通信を行う装置
ETC車線処理情報(請求データ、交通量、通過車両台数等)及び課金処理
設 備
料金所サーバ
情報(料金、ネガティブデータ)の管理、上位系設備への伝送を行う装置
上位系 支社・局装置
設 備 管理事務所装置
支社・局において必要とされる処理を行う装置
管理事務所において必要とされる処理を行う装置
施工概要について
4.
1 機器メーカーの選定
主要機器はトヨタ自動車㈱の支給品でガント
リー、分電盤、インターホン、防護柱は当社調達品
です。
ETC工事は全国一斉に発注され、竣工時期が同
時なため納期厳守が前提になる。このため元請
(JV)各社において集金所回りのコンクリートプロ
テクター(NP−1)など機材を調達して据付工事も
行った。
4.
2 施工の問題点
インターチェンジ(料金所)での工事は、作業時
間が9時∼17時と決められており、他の時間は使
用可能にする必要がある。
このため、
(1)毎日の作業量を確実に実施して翌日に残さな
い作業計画策定。
(2)昼間の時間帯は両隣のレーンを使用している
48
単純
徴収
出口 方式
チェック
バリア
機 4
設置場所
入口発券方式
ため、
ガントリー工事中の安全確保。
(3)第三者への障害防止。
(4)既設設備機器、配線、光ケーブル、配線の確実
施工。
(5)細心の注意と施工。
など毎日の工事管理が重要となる。
4.
3 施工の要点
(1)機器配置ミスによる障害発生。
(2)路盤面へ設置する機器の基礎レベル調整。
(3)日本道路公団共通仕様書の遵守。
4.
4 工事の特殊性
(1)施工工事は、工事全体の約6∼7割が土木工
事、公団の仕様は、資料、強度計算書の作成が
必要。
(2)試験調整時間が短いため、教育、管理が重要。
4.
5 施工状況
写真3∼9参照。
施
工
事
例
E
T
C
設
備
の
概
要
と
施
工
写真7 杭打工事
写真3 ガントリー
写真8 踏み板(車両検知器)
写真4 NP−1
写真5 交通規制
写真9 路側無線装置 5
写真6 基礎工事
おわりに
【日本の大動脈、東海地方の主要幹線】である
【東
名高速道路のインターチェンジ】のETC設備が平
成13年11月30日に完成しました。これも関係各
位の多大な協力と御支援によるものと感謝致しま
す。ETCシ ス テ ム は、5GHz帯 の 無 線 通 信 技 術
(5.8GHz)が使用されており、1Mbpsのマルチア
クセス通信技術、料金決済のためのセキュリティ技
術、車載環境との信頼性技術など話題の技術です。
今後もETCシステムをはじめ、I T関連事業に積
極的に参加していきたいと思います。
49
施
技
術
工
報
事
告
例
ア
サ
ヒ
ビ
ー
ル
株
式
会
社
神
奈
川
工
場
[
B
工
区
]
の
施
工
アサヒビール株式会社神奈川工場[B工区]の施工
神奈川支社/栗田博司
1
概要
アサヒビール神奈川工場は世界最高水準の品質
管理技術と最新鋭の生産設備を導入したビール工
場です。また環境創造工場として廃棄物再資源化
100%完全ノンフロン化の実現を始め省資源、省
エネルギーなど新しい環境保全を進めています。
(写真1.2参照)
2
お客様
3
施工内容
建物名称 アサヒビール神奈川工場
(ゲストハウス・管理棟)
所 在 地 神奈川県南足柄市怒田1223
工 期 平成12年10月∼平成13年9月
階 数 地上4階
動力設備・照明コンセント設備・放送設備・IT
V設備・出入管理設備・防災設備・映写ホールA
V設備(写真3.
4.5.6参照)
写真1 ゲストハウス・管理棟
写真2 全景
50
写真3 管理室
施
工
事
例
ア
サ
ヒ
ビ
ー
ル
株
式
会
社
神
奈
川
工
場
[
B
工
区
]
の
施
工
写真4 映写ホール
写真5 ゲストホール
写真6 見学コースの照明
51
技
技
術
術
開
報
発
室
告
だ
よ
り
技術開発室だより
●平成12年度を初年度としてスタートした中期経営方針
Ⅰ.
「受注の確保・拡大」
Ⅱ.
「低コスト構造の確立」
Ⅲ.
「技術力の強化」
Ⅳ.
「組織総合力の発揮」 に沿って平成14年5月21日に緊急構造改革と部門個別施策が示された。
●技術開発室はこの基本方針に沿って平成14年度の業務実施計画を以下の通り
とした。
Ⅰ.受注の確保・拡大
重 点 実 施 事 項
取 組
①省エネルギー診断ソフトウェアの開発(拡張版)
電力共同
②エネルギー診断における計測・検証手法と応用
電力受託
③ペリメータレス空調の開発
独自技術
④電力消費機器の調査と性能の検証
独自技術
⑤空調の搬送動力削減方策
電力受託
⑥機能水・水熱の調査
独自開発
⑦リアルタイム解析システムの開発
共同研究
⑧マルチベンダデータシステムの試作
電力受託
Ⅱ.低コスト構造の確立
①太陽光発電等新エネルギーの効率利用
②LCM(ライフサイクルマネジメント)
に於ける設備の調査研究
Ⅲ.技術力の強化
①需要家電気設備の電源品質に関する研究
②環状接地の雷障害防止効果の検証および接地現象に関する検討
③侵入監視(アウトドアー)
システムの開発
Ⅳ.組織総合力の発揮 ①最大効果を発揮する情報共有化
を推進している。
52
技
術
開
発
室
だ
よ
り
電 設 工 業 展
平成14年6月4日から4日間、インテック大阪
において2002年電設工業展が開催され、情報
通信本部と技術開発室は①引張っ太郎②省エネ
診断ソフト③侵入監視装置④ヘルメット無線機
⑤サーキットアイ⑥電線支持材を出展した。こ
の展示会は毎年最新の製品が展示され、関係者
期待の催しである。この出展に8.3万余人が訪
れた。今年も新エネルギー関連に力点を置き展
示の規模も年々拡大している。
技 術 研 究 発 表 会
平成13年12月6日、教育・研究棟6階講堂にお
いて第11回全社技術研究発表会が開催され、研究
開発の成果や最新の施工事例について11件の発
また特別講演として、岐阜大学清水宏晏教授の
特別講演「地球環境と新エネルギー」が好評であっ
た。
表が行われた。その結果は以下のとおりであった。
賞
内 容
部 署
優 秀 賞
洞道内ケーブル布設新工法の開発
電力本部
奨 励 賞
成層型蓄熱槽の高効率化について
名古屋本部
審査員特別賞
努 力 賞
新長田ジョイプラザリニューアルについて
大阪本部
六本木ヒルズにおける Lon Works について
東京本部
仮送電工事用機械の開発
配電本部
53
技
技
術
術
開
報
発
室
告
だ
よ
り
学 会 で の 研 究 発 表
件 名
発表機関・掲載誌
環境影響を考慮したエネルギー設備
のライフサイクル評価
○ 小林 浩 技術開発室
高橋和宏 技術開発室
佐原利臣 中部電力
柴山直幹 中部電力
電気設備学会全国大会
2002.9
2
全電化学校給食施設におけるエネル
ギーの使用量測定
○ 水野 誠 技術開発室
近藤俊作 技術開発室
森田吉彦 中部電力
森 英樹 中部電力
野本智子 中部電力
電気設備学会全国大会
2002.9
3
低圧電路用地絡方向継電器の開発研
究
○ 山本達也 技術開発室
伊藤公一 技術開発室
藤田秀紀 中部電力
電気設備学会全国大会
2002.9
4
TLD−systemの開発
○ 伊藤公一 技術開発室
山本達也 技術開発室
電気設備学会全国大会
2002.9
ポスターセッション
5
雷害対策における環状接地極の効果
に関する実雷による実験
○ 箕輪昌幸 技術開発室
草間義光 名立風力発電
前田一善 有志貴工業所
電気設備学会全国大会
2002.9
6
地絡電流補償装置を使用した非接地 ○ 伊藤公一 技術開発室
式低圧配電システムの評価(その2) 山本達也 技術開発室
1
54
発表者(執筆者○)および関係者
電気設備学会全国大会
2002.9
技
術
開
発
室
だ
よ
り
電力ソリューションフェアへの出展
【豊かな社会を拓く快適エネルギー】と題し
て「電力ソリューションフェア2002」が、中部
電力㈱の主催で名古屋市中小企業振興会館吹
上ホールにおいて8月6日∼8日の日程で開
催され、
この出展に1.5万余人が訪れた。
当社はグループ企業として【空調の蓄熱経
済比較ソフト(TES ECO 1.1)デモ】
【画像伝
送システム(音声双方向対応画像伝送)
】また
【TLDシステム(低圧電路保護装置)】を紹介し
て好評を得た。
大 学 と の 交 流
技術開発室は大学と、技術交換、学術知識、基礎
技術を吸収するため、
①瀬戸フィールド試験場においては、接地抵抗の長
期観測を実施して新技術の構築
②インターン学生の短期受入れ
③大学の非常勤講師の要請に対し、3名を派遣
上原副室長、青木副研究主査は名古屋工業大学
へ、今枝グループ長は、愛知工業大学及び中部大学
を行っている。
社内から技術開発室へのアクセス
技術開発室は、研究開発状況やその概要
を紹介しています。
解り易い技術表現、利用し易い情報、を目
指します。
http://www.
fslab.toenec.co.jp
技術開発室・体験コーナー
55
教育センター:西川 昇氏 撮影
編集後記
今年は6月中旬から暑かったですね。新規事業推進室が新設され何かと多忙な中で執筆者を
始め皆様の協力を得て第18号が発刊となりました。また今年から全社技術パンフレット【全社
の売り物】を発刊しました。皆様の成果を積極的にリポートしていきたいと思います。
『現場だ
けでは不安だ』
『ドクターは開発室にいる』
『提案は最新技術が必要だ』
『トーエネックの商品
は?』などお客様への対応は無限です。良き相談相手として『現場と共にある技術開発室』を
目指します。
TDレポート第18号 平成14年10月発行
〒457-0819 名古屋市南区滝春町1-79
編 集
株式会社トーエネック技術開発室/TDレポート編集委員会
TEL
( 052)619-1707 FAX( 052)619-1705
TDレポート
Technology Development Report
2002.10.(第18号)
名古屋市中区栄1丁目20番31号
TEL
( 052)221-1111