観光に関する学術研究論文 - 慶應義塾大学SFC研究所

第 10 回 観光に関する学術研究論文
海 外 都 市 のブランド分 析
−インターネット社 会 調 査 データのSOMによる可 視 化 −
慶 應 義 塾 大 学 大 学 院 政 策 ・メディア研 究 科 後 期 博 士 課 程 3 年
慶應義塾大学 総合政策学部 2 年
小野田哲弥
井上裕史
1. 背 景 と 目 的
かつて海外は、日本人にとって
夢の世界
で し か な か っ た 。 渡 航 の 自 由 化 ( 1964 年 )
により海外旅行の門戸が開放されたが、それはあくまで制度上の話でしかなく、実質的に
は
高嶺の花
と い う 状 況 が 長 く 続 い た 。 そ の 転 機 と な っ た の は 1985 年 の プ ラ ザ 合 意 だ
と 言 わ れ て い る 。急 激 な 円 高 が 渡 航 に 拍 車 を か け 、5 年 後 の 1990 年 に は 2 倍 を 超 え る 1,000
万 人 が 海 外 へ と 旅 立 っ た 。そ の 後 も 日 本 人 海 外 旅 行 者 数 は 順 調 に 伸 び 続 け 、2000 年 に は 過
去 最 高 の 1,782 万 人 を 記 録 し た 。 新 型 肺 炎 SARS の 影 響 に よ り 2003 年 は 一 時 的 に 落 ち 込
み を 見 せ た も の の 、 概 ね 1,600 万 人 以 上 の 安 定 的 推 移 を 示 し て い る の が 現 況 で あ る ( 文 献
[14]p.7)。
このように海外旅行者の急増はバブル景気と機を一にしている。それはこの行動が、高
度経済成長期のような生産的文脈からではなく、消費的文脈によってのみ説明可能である
こ と を 示 唆 す る 。消 費 社 会 の 代 表 財 と し て は 様 々 な も の が 知 ら れ る が 、中 で も 海 外 旅 行 は 、
金 銭 の み な ら ず 時 間 を も 必 要 と す る 点 に お い て 異 彩 を 放 っ て い る 1 。ま た 、海 外 旅 行 の 大 衆
化が進んだのは事実だが、依然、誰しもという状況にはない。経験者とて、そう頻繁に世
界各地を旅しているとは考えにくい。手に取ったり試乗できたりしない分、海外旅行とは
「コード化された差異」が如実に示される、極めて特異な消費財だと位置づけられる。
本研究は、そのようなレジャー消費の最たる存在である海外旅行について、その性向を
計量的に構造分析することを目標に掲げる。より具体的には、海外都市のブランディング
に焦点を絞る。各都市のブランドは、訪れた経験よりもイメージが優先されるとの仮説を
根底に、まず社会調査によって認知データを得る。続いて解析では、脳内認知構造への接
近を図るべく、ニューラルネットワークを応用する。以上から、日本人の持つ海外都市イ
メージの構造を定量的に同定するとともに、秘められた構造をマイニングする。そして最
後に、その結果に基づいて政策提言を図ることが、本研究の目的である。
2. 分 析 手 法
分 析 に 用 い る 手 法 は「 認 知 構 造 分 析 モ デ ル 」( 文 献 [7]pp.8-11)と 名 づ け ら れ た 一 連 の 手
法 プ ロ セ ス で あ る 。こ の 7 ス テ ッ プ そ れ ぞ れ に つ い て 、本 研 究 の ケ ー ス を 対 照 さ せ な が ら 、
以下に記述する。
2-1. イ ン タ ー ネ ッ ト 社 会 調 査
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文化事象を計量分析するためには、通常、社会調査が不可欠である。しかし事象が多岐
に渡る場合、膨大な質問項目数とサンプル数、双方の条件が満たされなくてはいけない。
従来型質問紙調査法では、回答・集計の両コスト面からしてその実施は困難である。現時
点でこれに代替する方法として最有力なのは、インターネットを利用した調査法だと考え
ら れ る 。Web ブ ラ ウ ザ と 大 容 量 デ ー タ ベ ー ス を 活 用 す れ ば 、調 査 項 目 と サ ン プ ル は と も に
無 限 の 規 模 で 想 定 で き る た め で あ る 2。
本分析に関しては、慶應義塾大学熊坂賢次研究室において開発した社会調査サイト
『 iMap.gr.jp 3 』 の ジ ャ ン ル 「 海 外 旅 行 」 の デ ー タ を 用 い る 。
2-2. デ ー タ ク リ ー ニ ン グ
インターネット社会調査はインターネット利用者ならば誰でも自由に参加できるため、
多大なデータを回収できる。だが、ユーザ層の偏りや回答上のノイズといった、甚大なデ
メリットを同時に抱える。つまりインターネット社会調査は、取得データを適正に補正し
ない限り、実証分析に耐えうる信頼性は獲得できないのである。
iMap に お け る 当 該 問 題 点 と し て は 、ア イ テ ム( 海 外 都 市 名 )の 表 示 順 に 起 因 す る「 序 列
効 果 4」 と 、 層 化 抽 出 を 行 わ な い こ と に 伴 う 「 見 せ か け の 認 知 度 5」 が 補 正 必 要 事 項 と し て
挙げられる。よって、これらのデータクリーニングを入念に行った。
2-3. レ イ ヤ ー 分 割
アイテム数が非常に膨大であるとき、それら一つ一つについて優劣や選好の選択肢を設
けることは現実的ではない。このような場合、一回のクリックを基本とした平易な認知ベ
ースの質問票が妥当である。だがそれでは、有名性の高いアイテムほど多く回答されると
いう序列構造が存在してしまう。よって本質的な差異を分析するためには、事前処理とし
て 、認 知 度 が 同 等 な ア イ テ ム 同 士 に 階 層 区 分 を 行 わ な く て は な ら な い 6 。レ イ ヤ ー 分 割 を 客
観的に行う手法としては、頂点に位置するアイテムの認知度を参照し等分する方法が一般
的 だ が 、分 布 は 概 ね「 べ き 乗 法 則 7 」に 従 う 。そ の た め 、認 知 度 の 対 数 を 利 用 す る 方 法 を 採
用する。
本分析では、ウエイトバック後の認知度である「平均支持率」を対数化し、その最高値
を基準にレイヤー分割を行った。レイヤーの総数を 5 とし、上位 3 レイヤーに含まれるア
イテムを分析対象とした。
2-4. ク ラ ス タ リ ン グ
認知度の低いアイテムを個別に解釈することは至難であるため、殊に下位レイヤーにお
いては、クラスタリングによってオブジェクト数を縮減することが不可避の条件である。
クラスタリングのための入力テーブルは、各レイヤーにおいて行「アイテム」と列「ユー
ザ 」 と で 行 列 を 作 成 し 、 ク リ ッ ク さ れ た 場 合 を T、 さ れ て い な い 場 合 を F と し た 2 値 デ ー
タによる構成とする。膨大な数のアイテムを扱う認知度調査では、通常 F が圧倒的多数を
占 め る「 疎 行 列 」が 形 成 さ れ る た め( 文 献 [9]p.166)、固 有 値 計 算 技 法 よ り も ニ ュ ー ラ ル ネ
ッ ト ワ ー ク の 利 用 の 方 が 理 に 適 っ て い る 8 。た だ し ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク は 、非 再 現 性 が
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難 点 だ 9。 そ こ で 、 行 わ れ る ク ラ ス タ リ ン グ の す べ て が 間 違 っ て い な い と い う 仮 定 の 下 に
Kohonen ネ ッ ト ワ ー ク を 複 数 回 実 行 し 、 そ の た び に す べ て の ア イ テ ム 同 士 の 位 置 関 係 を 計
量 す る こ と で 2 ア イ テ ム 間 の 近 似 性 を 測 る 指 数 「 ア イ テ ム 間 得 点 」 を 導 き 出 す 10。 こ の 値
の高いペアから順次結びつけていけば、有機的なクラスタリング過程を追認しながらクラ
スタリングを達成することが可能である。
今回の分析では、出力ノード数を全レイヤーにおいて
10×10 の 100 ノ ー ド 、 試 行 回 数 を 10 回 で 統 一 し た 。 ア
イテム間の距離関係に基づくウエイトは表 1 とした。
レイヤー2 においては全アイテム間得点の累積比率上位
5.0%の ア イ テ ム の 組 み 合 わ せ を 有 効 と し て ク ラ ス タ リ ン
表 1 . 今 回 の 分 析 におけるウエ イ ト
3
3
4
3
3
3 4 3
4 5 4
5 10 5
4 5 4
3 4 3
3
3
4
3
3
グを行った。レイヤー3 においても同様にその閾値を上
中 央 をアイテム 1 の座 標 とし、これを基 点
位 確 率 2.5%と し た 。 な お 有 名 性 の 高 い レ イ ヤ ー 1 の ア イ
にアイテム 2 との位 置 関 係 を得 点 化 す
テムについてはクラスタリングを行わなかった。
る。表 外 のウエイトはすべて 0 である。
2-5. メ デ ィ ア マ ッ プ 描 画
前 項 の ク ラ ス タ リ ン グ に 用 い た 入 力 テ ー ブ ル に お い て 、行「 ア イ テ ム 」を「 ク ラ ス タ ー 」
に 置 き 換 え れ ば 、 レ イ ヤ ー 間 の T の 数 が 平 準 化 さ れ る 11。 こ れ は デ ー タ 的 に は 、 レ イ ヤ ー
分割時に致命的な問題とされていた認知度の格差解消を意味する。すなわちクラスターを
単 位 と し 全 レ イ ヤ ー を 解 析 す る の に 何 ら 支 障 の な い 状 態 と な る 。 よ っ て 複 数 回 Kohonen ネ
ッ ト ワ ー ク を 実 行 し 、 得 ら れ た 自 己 組 織 化 マ ッ プ ( SOM) の 中 か ら 座 標 分 散 が 最 大 の マ ッ
プ を 採 用 す る 12。 ヴ ィ ジ ュ ア ラ イ ズ に 際 し て は 上 位 レ イ ヤ ー の ク ラ ス タ ー ほ ど 円 周 を 大 き
く表現する。結果得られた事象鳥瞰図を「メディアマップ」と呼ぶ。
本 分 析 に お い て メ デ ィ ア マ ッ プ の 座 標 数 は 40×30 の 1,200 ノ ー ド と し 、張 力 を 変 更 し て
10 回 試 行 し た 。 そ の 中 で フ ェ ー ズ 1 お よ び 2 の 隣 接 値 が そ れ ぞ れ 10.0 お よ び 5.0 の 時 の
SOM を 最 適 と 判 断 し 採 択 し た 1 3 。
2-6. レ イ ヤ ー ス ラ イ ス
メディアマップから即座に有効な知見を得ることは困難である。そのため、クラスター
の 帰 属 レ イ ヤ ー ご と に ス ラ イ ス を 行 い 、各 レ イ ヤ ー 内 に お い て 、ク ラ ス タ ー 同 士 の 親 近 性 、
相違性を分析することが、効率的かつ合理的である。
解釈上の要であるこのステップについては第 4 章において詳述する。
2-7. 領 域 規 定
再度全レイヤーをマージする。これによりレイヤー別分析によって明らかとなったクラ
スター間の共有特性、差異特性が、上下を貫く領域として規定できる。以上をもって事象
構造の全体把握が完了する。
この最終ステップを本論文の結論部とした。
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3. デ ー タ 概 観
メ デ ィ ア マ ッ プ の 解 釈 に 入 る 前 に 、本 研 究 に 用 い た デ ー タ の 特 徴 を 、調 査 対 象( ユ ー ザ )
と分析対象(アイテム)の両面から明らかにしておきたい。
3-1. 調 査 対 象
iMap の 登 録 ユ ー ザ 16,030 名 の う ち 、ジ ャ ン ル「 海 外 旅 行 」に 回 答 し た ユ ー ザ は 男 性 763
名 ( 46.0%)、 女 性 896 名 ( 54.0%) の 計 1,659 名 で あ る 。
ステップ 2 の序列効果クリーニングにおいて適
正な回答をしていると判断されたユーザは男性
295 名 ( 41.4%)、 女 性 418 名 ( 58.6%) で あ り 、
こ の 時 点 で 713 名 に 絞 り 込 ま れ る 。
さ ら に 、有 効 な 世 代 を 生 年 1962 年 か ら 1982 年
ま で の 21 年 間 に 限 定 す る 。 こ の 結 果 、 本 分 析 に
お い て 直 接 的 に 調 査 対 象 と な る ユ ー ザ は 、図 1 の
分 布 に 示 す 、 男 性 246 名 ( 38.6%)、 女 性 392 名
( 61.4%) の 計 638 名 で あ る 。
図 1 . ユーザの生 年 性 別 分 布
3-2. 分 析 対 象
iMap の ジ ャ ン ル 「 海 外 旅 行 」 に ア イ テ ム と し て 登 録 さ れ て い る 都 市 は 2,613 あ る 。 膨
大な数にのぼるため、レイヤー分割とクラスタリングが要請される。
ステップ 3 のレイヤー分割は、次のように行う。全アイテムにおいて平均支持率を対数
化 し 1 4 、 最 高 の 認 知 度 を 示 す 「 パ リ ( フ ラ ン ス )」 の 値 2.643917 を 基 準 に 、 そ の 1/5 の 値
で あ る 0.528783 ず つ 、 等 間 隔 で レ イ ヤ ー を 分 割 し 5 レ イ ヤ ー を 得 た 。 各 レ イ ヤ ー に 帰 属
す る ア イ テ ム 数 は そ れ ぞ れ 、 レ イ ヤ ー 1 が 11 ア イ テ ム 、 レ イ ヤ ー 2 が 22 ア イ テ ム 、 レ イ
ヤ ー 3 が 75 ア イ テ ム 、 レ イ ヤ ー 4 が 256 ア イ テ ム 、 レ イ ヤ ー 5 が 1,562 ア イ テ ム で あ る 。
上 位 150 ア イ テ ム を 表 2 に 示 す 。こ こ に は 、各 ア イ テ ム の 男 性 支 持 率 、女 性 支 持 率 、お よ
び そ の 差 分 を 併 記 し た 。こ の う ち 上 位 3 レ イ ヤ ー に 含 ま れ る 108 ア イ テ ム が 今 回 の 分 析 対
象である。
続 く ス テ ッ プ 4 に お け る ク ラ ス タ リ ン グ の 結 果 が 表 3 か ら 表 5 で あ る 。こ こ で は 各 ク ラ
スターについて、ステップ 5 で採択されたメディアマップの座標を掲載した。
3-3. 基 本 デ ー タ の 考 察
調 査 対 象 の 男 女 比 は お よ そ 男 性 :女 性 =4:6 と 偏 っ て い る が 、20 代・30 代 の 海 外 旅 行 者 数
は 実 際 に 女 性 人 数 の 方 が 多 く 、 現 状 を 反 映 し て い る も の と 思 わ れ る 15。 よ っ て レ イ ヤ ー 分
割時においても性別に関してはウエイトバックを行っていない。
分析対象についてはその順位を見る限り、序列効果(あいうえお順)の影響は感じられ
な い 。 ま た 実 際 の 訪 問 者 数 に も 概 ね 近 似 し て い る 16。 ク ラ ス タ リ ン グ 結 果 に つ い て も 、 地
域 あ る い は 概 念 の 近 似 性 が 十 分 に 説 明 可 能 で あ り 17、 高 い 妥 当 性 が 保 証 さ れ て い る も の と
考えられる。
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表 2 . 上 位 150 アイ テムの一 覧
RANK LAYER
ITEM_NAME
1
1
パリ(フランス)
2
1
ニューヨーク(アメリカ)
3
1
ホノルル(ハワイ)
4
1
ロスアンゼルス(アメリカ)
5
1
ロンドン(イギリス)
6
1
バンコク(タイ)
7
1
サンフランシスコ(アメリカ)
8
1
ラスベガス(アメリカ)
9
1
ローマ(イタリア)
10
1
ソウル(韓国)
11
1
ヴェネツィア(イタリア)
12
2
シンガポール(シンガポール)
13
2
フィレンツェ(イタリア)
14
2
ミラノ(イタリア)
15
2
香港(中国)
16
2
グランドキャニオン(アメリカ)
17
2
台北(台湾)
18
2
シアトル(アメリカ)
19
2
アユタヤ(タイ)
20
2
シカゴ(アメリカ)
21
2
シドニー(オーストラリア)
22
2
ワシントンDC(アメリカ)
23
2
バルセロナ(スペイン)
24
2
クアラルンプール(マレーシア)
25
2
ナポリ(イタリア)
26
2
オックスフォード(イギリス)
27
2
タモン(グアム)
28
2
マイアミ(アメリカ)
29
2
プーケット島(タイ)
30
2
上海(中国)
31
2
ボストン(アメリカ)
32
2
マドリッド(スペイン)
33
2
サンディエゴ(アメリカ)
34
3
アテネ(ギリシア)
35
3
ミュンヘン(ドイツ)
36
3
アムステルダム(オランダ)
37
3
オーランド(アメリカ)
38
3
バンクーバー(カナダ)
39
3
北京(中国)
40
3
フランクフルト(ドイツ)
41
3
アトランタ(アメリカ)
42
3
ウィーン(オーストリア)
43
3
ピサ(イタリア)
44
3
ボローニャ(イタリア)
45
3
セントーサ島(シンガポール)
46
3
ベルリン(ドイツ)
47
3
チェンマイ(タイ)
48
3
マカオ(中国)
49
3
ジェノヴァ(イタリア)
50
3
チューリヒ(スイス)
51
3
プサン(韓国)
52
3
ヴェローナ(イタリア)
53
3
ケアンズ(オーストラリア)
54
3
ケンブリッジ(イギリス)
55
3
ダラス(アメリカ)
56
3
エディンバラ(イギリス)
57
3
ゴールド・コースト(オーストラリア)
58
3
ペナン島(マレーシア)
59
3
ジュネーブ(スイス)
60
3
グラナダ(スペイン)
61
3
ソルトレイク・シティ(アメリカ)
62
3
クタ(インドネシア)
63
3
西安(中国)
64
3
ニース(フランス)
65
3
ナイアガラ(カナダ)
66
3
セビーリャ(スペイン)
67
3
ジャカルタ(インドネシア)
68
3
ブリュッセル(ベルギー)
69
3
広州(中国)
70
3
ケルン(ドイツ)
71
3
トロント(カナダ)
72
3
デトロイト(アメリカ)
73
3
イスタンブール(トルコ)
74
3
フィラデルフィア(アメリカ)
75
3
ヴェルサイユ(フランス)
平均支持率 男性支持率 女性支持率
35.52%
31.19%
39.95%
32.08%
29.83%
33.49%
31.41%
28.14%
37.08%
30.44%
30.51%
32.30%
29.00%
23.39%
32.78%
27.03%
25.08%
26.79%
26.76%
29.83%
26.08%
22.98%
22.03%
23.68%
22.74%
18.64%
27.51%
21.53%
19.32%
23.68%
19.88%
16.95%
22.49%
19.75%
17.97%
18.42%
19.37%
16.61%
21.29%
18.72%
15.25%
22.49%
15.84%
13.56%
18.66%
15.82%
18.31%
16.03%
14.79%
15.59%
14.59%
14.76%
15.59%
14.35%
13.46%
10.85%
13.16%
12.86%
13.22%
11.96%
12.74%
10.51%
13.40%
12.48%
11.86%
11.72%
12.38%
9.83%
12.68%
11.93%
11.86%
10.05%
11.90%
9.49%
13.64%
11.75%
10.17%
11.96%
11.46%
10.17%
12.92%
11.31%
9.15%
11.72%
11.21%
8.14%
11.48%
11.16%
12.20%
9.09%
10.85%
9.83%
10.53%
10.79%
7.46%
11.24%
10.63%
13.90%
8.85%
10.35%
9.83%
10.53%
10.33%
12.88%
8.85%
10.30%
11.53%
9.33%
10.30%
8.14%
10.53%
10.11%
6.78%
12.68%
9.99%
9.83%
9.57%
9.93%
10.17%
11.00%
9.29%
8.81%
8.85%
9.05%
9.49%
8.85%
8.76%
8.14%
9.33%
8.70%
7.80%
9.09%
8.62%
6.10%
9.81%
8.35%
12.20%
6.22%
8.23%
5.42%
8.85%
7.96%
7.12%
8.13%
7.89%
6.44%
8.85%
7.88%
7.46%
8.85%
7.83%
7.12%
7.66%
7.80%
6.78%
8.61%
7.73%
8.81%
7.18%
7.71%
7.12%
8.37%
7.53%
7.46%
7.18%
7.43%
6.10%
7.89%
7.24%
6.10%
8.85%
7.22%
9.15%
5.26%
7.19%
8.47%
6.94%
7.18%
4.41%
7.42%
7.05%
8.81%
5.74%
7.04%
5.76%
8.13%
7.00%
4.41%
8.13%
6.90%
6.10%
6.94%
6.81%
5.42%
6.94%
6.80%
3.39%
7.18%
6.72%
5.08%
7.18%
6.68%
7.80%
5.74%
6.51%
6.44%
6.22%
6.48%
8.14%
5.98%
6.45%
5.42%
6.70%
6.40%
7.46%
5.98%
6.40%
6.44%
6.46%
6.34%
7.80%
5.98%
6.33%
5.76%
6.94%
5 / 15
性差
8.77%
3.66%
8.95%
1.79%
9.39%
1.71%
-3.75%
1.65%
8.87%
4.36%
5.54%
0.45%
4.68%
7.23%
5.10%
-2.28%
-1.00%
-1.24%
2.31%
-1.26%
2.89%
-0.14%
2.85%
-1.82%
4.14%
1.79%
2.75%
2.57%
3.35%
-3.11%
0.70%
3.79%
-5.05%
0.70%
-4.03%
-2.20%
2.39%
5.90%
-0.26%
0.84%
0.04%
-0.64%
1.19%
1.29%
3.71%
-5.98%
3.43%
1.02%
2.41%
1.39%
0.54%
1.83%
-1.64%
1.25%
-0.28%
1.79%
2.75%
-3.89%
-1.54%
3.01%
-3.07%
2.37%
3.73%
0.84%
1.51%
3.79%
2.09%
-2.05%
-0.22%
-2.15%
1.27%
-1.48%
0.02%
-1.82%
1.18%
対数値
2.6439174
2.5496656
2.5300932
2.5013015
2.4567712
2.3927885
2.3837766
2.2462806
2.2370565
2.1883247
2.1176771
2.1120811
2.0951926
2.0652068
1.9211319
1.9197582
1.8626063
1.8612240
1.7836844
1.7459692
1.7384379
1.7214075
1.7147817
1.6846341
1.6823163
1.6720262
1.6518111
1.6412038
1.6340771
1.6301165
1.6077298
1.6035138
1.5910141
1.5698706
1.5687400
1.5665487
1.5664455
1.5515441
1.5424385
1.5376546
1.4854304
1.4656121
1.4402801
1.4354706
1.4283626
1.4039934
1.3936222
1.3684414
1.3620283
1.3604320
1.3562450
1.3526610
1.3465314
1.3443805
1.3275740
1.3172108
1.2980271
1.2967148
1.2934112
1.2923972
1.2788903
1.2786206
1.2738966
1.2632915
1.2545092
1.2527108
1.2451818
1.2401248
1.2218603
1.2195207
1.2162613
1.2104767
1.2099158
1.2036560
1.2025417
閾値
2.1151339
1.5863504
第 10 回 観光に関する学術研究論文
RANK LAYER
ITEM_NAME
平均支持率 男性支持率 女性支持率
76
3
トレド(スペイン)
6.33%
3.73%
6.94%
77
3
ニューオリンズ(アメリカ)
6.32%
5.76%
6.46%
78
3
トリノ(イタリア)
6.28%
6.44%
5.74%
79
3
カルカッタ(インド)
6.25%
7.46%
5.50%
80
3
ウブド(インドネシア)
6.17%
4.75%
7.18%
81
3
南京(中国)
6.09%
6.10%
5.50%
82
3
マンチェスター(イギリス)
6.04%
4.75%
5.02%
83
3
ジョホール・バル(マレーシア)
6.00%
5.42%
5.26%
84
3
プラハ(チェコ)
5.97%
5.76%
5.50%
85
3
カイロ(エジプト)
5.96%
4.75%
6.70%
86
3
カルガリー(カナダ)
5.91%
5.42%
5.74%
87
3
アナハイム(アメリカ)
5.89%
6.10%
6.70%
88
3
カアナパリ(ハワイ)
5.88%
5.42%
7.89%
89
3
コルドバ(スペイン)
5.84%
3.73%
5.98%
90
3
パタヤ(タイ)
5.79%
4.75%
5.50%
91
3
バークレー(アメリカ)
5.77%
5.76%
5.98%
92
3
マニラ(フィリピン)
5.74%
5.42%
4.78%
93
3
オークランド(ニュージーランド)
5.74%
6.10%
4.78%
94
3
エアーズ・ロック(オーストラリア)
5.71%
5.08%
5.26%
95
3
ボルドー(フランス)
5.69%
6.10%
4.31%
96
3
ランカウイ島(マレーシア)
5.63%
5.08%
5.98%
97
3
台中(台湾)
5.57%
6.10%
5.26%
98
3
マルセイユ(フランス)
5.57%
4.07%
5.98%
99
3
ビクトリア(カナダ)
5.53%
1.69%
7.18%
100
3
モントリオール(カナダ)
5.52%
4.41%
5.50%
101
3
セブ・シティ(フィリピン)
5.48%
6.10%
4.55%
102
3
オタワ(カナダ)
5.43%
4.41%
4.78%
103
3
リヨン(フランス)
5.38%
5.76%
4.55%
104
3
カンタベリー(イギリス)
5.29%
4.41%
5.74%
105
3
高雄(台湾)
5.28%
5.08%
5.50%
106
3
ラハイナ(ハワイ)
5.27%
4.75%
5.98%
107
3
ホーチミン・シティ(ベトナム)
5.20%
4.07%
5.26%
108
3
デリー(インド)
5.17%
6.44%
3.83%
109
4
デンバー(アメリカ)
5.05%
5.76%
5.02%
110
4
サムイ島(タイ)
5.04%
3.05%
6.46%
111
4
ポンペイ(イタリア)
5.04%
3.39%
5.74%
112
4
ハンブルク(ドイツ)
5.02%
5.08%
3.59%
113
4
カンザス・シティ(アメリカ)
4.98%
6.44%
4.07%
114
4
メルボルン(オーストラリア)
4.96%
5.42%
4.78%
115
4
ブダペスト(ハンガリー)
4.95%
3.39%
5.98%
116
4
キーウエスト(アメリカ)
4.95%
3.05%
5.74%
117
4
ガラパン(サイパン)
4.94%
4.07%
7.18%
118
4
リヴァプール(イギリス)
4.89%
4.41%
3.83%
119
4
ヒューストン(アメリカ)
4.88%
5.42%
4.55%
120
4
バンフ(カナダ)
4.86%
3.73%
5.98%
121
4
バース(イギリス)
4.86%
3.05%
5.02%
122
4
カイルア・コナ(ハワイ)
4.82%
3.73%
6.70%
123
4
ザルツブルク(オーストリア)
4.82%
4.75%
5.26%
124
4
シエナ(イタリア)
4.81%
5.08%
4.31%
125
4
ボンベイ(インド)
4.79%
6.10%
3.35%
126
4
成都(中国)
4.76%
5.08%
3.35%
127
4
バーミンガム(イギリス)
4.73%
5.08%
3.59%
128
4
カンヌ(フランス)
4.64%
3.05%
5.50%
129
4
ブレーメン(ドイツ)
4.54%
4.75%
3.59%
130
4
ロッテルダム(オランダ)
4.46%
4.41%
3.83%
131
4
アンコール・ワット(カンボジア)
4.45%
4.75%
3.35%
132
4
ヌサ・ドゥア(インドネシア)
4.45%
3.73%
5.98%
133
4
モスクワ(ロシア)
4.41%
3.73%
3.83%
134
4
ギザ(エジプト)
4.40%
3.39%
5.02%
135
4
カプリ島(イタリア)
4.36%
1.36%
5.02%
136
4
マラッカ(マレーシア)
4.32%
4.75%
2.63%
137
4
ワイレア(ハワイ)
4.28%
3.73%
5.26%
138
4
ハイデルベルク(ドイツ)
4.27%
4.41%
5.74%
139
4
アッシジ(イタリア)
4.26%
1.69%
5.98%
140
4
フェニックス(アメリカ)
4.26%
4.07%
4.31%
141
4
ハナ(ハワイ)
4.26%
2.71%
6.70%
142
4
ストックホルム(スウェーデン)
4.26%
3.05%
4.31%
143
4
ノッティンガム(イギリス)
4.23%
3.73%
3.83%
144
4
キャンベラ(オーストラリア)
4.22%
4.07%
4.07%
145
4
バレンシア(スペイン)
4.20%
4.07%
3.11%
146
4
ペルージャ(イタリア)
4.17%
4.75%
3.59%
147
4
キンタマーニ(インドネシア)
4.14%
3.73%
3.11%
148
4
パース(オーストラリア)
4.13%
4.07%
3.83%
149
4
ドーヴァー(イギリス)
4.09%
3.39%
4.31%
150
4
クライストチャーチ(ニュージーランド)
4.08%
4.07%
4.07%
性 差 は( 女 性 支 持 率 - 男 性 支 持 率 )の値 である。
6 / 15
性差
3.21%
0.70%
-0.70%
-1.96%
2.43%
-0.60%
0.28%
-0.16%
-0.26%
1.95%
0.32%
0.60%
2.47%
2.25%
0.76%
0.22%
-0.64%
-1.32%
0.18%
-1.80%
0.90%
-0.84%
1.91%
5.48%
1.10%
-1.56%
0.38%
-1.22%
1.33%
0.42%
1.24%
1.20%
-2.61%
-0.74%
3.41%
2.35%
-1.50%
-2.37%
-0.64%
2.59%
2.69%
3.11%
-0.58%
-0.88%
2.25%
1.97%
2.97%
0.52%
-0.78%
-2.75%
-1.74%
-1.50%
2.45%
-1.16%
-0.58%
-1.40%
2.25%
0.10%
1.63%
3.67%
-2.11%
1.53%
1.33%
4.29%
0.24%
3.99%
1.26%
0.10%
0.00%
-0.96%
-1.16%
-0.62%
-0.24%
0.92%
0.00%
対数値
1.2022312
1.2014146
1.1967379
1.1934818
1.1849333
1.1761307
1.1695895
1.1659416
1.1621024
1.1608067
1.1552997
1.1523758
1.1515465
1.1463932
1.1415102
1.1384113
1.1357240
1.1350878
1.1313548
1.1290785
1.1219090
1.1154389
1.1150858
1.1102574
1.1093956
1.1033351
1.0976982
1.0917089
1.0807907
1.0792104
1.0773656
1.0694653
1.0647501
1.0497316
1.0490798
1.0486744
1.0465793
1.0411152
1.0377457
1.0367783
1.0365940
1.0362919
1.0293702
1.0276058
1.0253999
1.0249830
1.0196699
1.0194299
1.0187438
1.0158930
1.0116468
1.0086047
0.9959631
0.9824647
0.9708556
0.9700648
0.9699550
0.9637227
0.9632583
0.9563416
0.9517118
0.9449839
0.9439033
0.9434015
0.9431565
0.9431443
0.9424778
0.9383570
0.9370701
0.9334718
0.9300538
0.9252121
0.9239357
0.9187071
0.9161760
閾値
1.0575670
第 10 回 観光に関する学術研究論文
表 3 . レイ ヤー 1 クラ スターの 一 覧
CLUSTER_ID
ITEM_NAME
X座標
Y座標
1001
パリ(フランス)
3
12
1002
ニューヨーク(アメリカ)
1
15
1003
ホノルル(ハワイ)
40
26
1004
ロスアンゼルス(アメリカ)
1
30
9
1005
ロンドン(イギリス)
1
1006
バンコク(タイ)
17
3
1007
サンフランシスコ(アメリカ)
2
20
1008
ラスベガス(アメリカ)
2
25
1009
ローマ(イタリア)
1
5
1010
ソウル(韓国)
33
1
1011
ヴェネツィア(イタリア)
6
6
表 4 . レイ ヤー 2 クラ スターの 一 覧
CLUSTER_ID
X座標
Y座標
2001
ボストン(アメリカ),ワシントンDC(アメリカ),シカゴ(アメリカ)
ITEM_NAME
7
16
2002
シアトル(アメリカ),サンディエゴ(アメリカ)
7
20
2003
フィレンツェ(イタリア),ミラノ(イタリア)
6
11
2004
マドリッド(スペイン),バルセロナ(スペイン)
40
10
2005
上海(中国),香港(中国)
27
1
2006
クアラルンプール(マレーシア),シンガポール(シンガポール)
35
25
2007
タモン(グアム),プーケット島(タイ)
32
30
2008
ナポリ(イタリア)
6
1
2009
シドニー(オーストラリア)
36
21
2010
アユタヤ(タイ)
28
17
2011
マイアミ(アメリカ)
12
30
2012
オックスフォード(イギリス)
13
17
2013
グランドキャニオン(アメリカ)
7
24
2014
台北(台湾)
34
6
表 5 . レイ ヤー 3 クラ スターの 一 覧
CLUSTER_ID
3010
ITEM_NAME
エアーズ・ロック(オーストラリア),カイロ(エジプト),
アテネ(ギリシア),ピサ(イタリア),イスタンブール(トルコ)
ニース(フランス),マルセイユ(フランス),
ボルドー(フランス),リヨン(フランス)
アトランタ(アメリカ),オーランド(アメリカ),
ダラス(アメリカ),ニューオーリンズ(アメリカ)
グラナダ(スペイン),コルドバ(スペイン),
トレド(スペイン),セビーリャ(スペイン)
ジェノバ(イタリア),トリノ(イタリア),
ボローニャ(イタリア),ヴェローナ(イタリア)
モントリオール(カナダ),オタワ(カナダ),
ナイアガラ(カナダ),トロント(カナダ)
ベルリン(ドイツ),ミュンヘン(ドイツ),
フランクフルト(ドイツ),ケルン(ドイツ)
マンチェスター(イギリス),カンタベリー(イギリス),
エディンバラ(イギリス),ケンブリッジ(イギリス)
ランカウイ島(マレーシア),ペナン島(マレーシア),
ジョホール・バル(マレーシア),セントーサ島(シンガポール)
西安(中国),南京(中国),北京(中国)
22
2
3011
ウィーン(オーストリア),アムステルダム(オランダ),チューリッヒ(スイス)
17
10
3012
パタヤ(タイ),ホーチミン・シティ(ベトナム),チェンマイ(タイ)
24
15
3013
カルガリー(カナダ),バンクーバー(カナダ),ビクトリア(カナダ)
22
19
3014
プラハ(チェコ),ブリュッセル(ベルギー),ジュネーブ(スイス)
39
14
3015
広州(中国),マカオ(中国)
28
6
3016
クタ(インドネシア),ウブド(インドネシア)
25
24
3017
カルカッタ(インド),デリー(インド)
33
14
3018
マニラ(フィリピン),ジャカルタ(インドネシア)
33
17
3019
台中(台湾),高雄(台湾)
29
11
3020
フィラデルフィア(アメリカ),デトロイト(アメリカ)
16
29
3021
バークレー(アメリカ),ソルトレイク・シティ(アメリカ)
19
24
3022
ラハイナ(ハワイ),カアナパリ(ハワイ)
26
30
3023
ゴールド・コースト(オーストラリア),ケアンズ(オーストラリア)
40
21
3024
セブ・シティ(フィリピン),オークランド(ニュージーランド)
23
10
3025
プサン(韓国)
35
10
3026
ヴェルサイユ(フランス)
37
2
3027
アナハイム(アメリカ)
20
30
3001
3002
3003
3004
3005
3006
3007
3008
3009
7 / 15
X座標
Y座標
1
1
40
1
7
30
40
6
11
1
18
17
11
10
13
23
30
22
第 10 回 観光に関する学術研究論文
4. 結 果 と 解 釈
本 章 で は ス テ ッ プ 5 に お い て 採 択 さ れ た メ デ ィ ア マ ッ プ に つ い て 、ス テ ッ プ 6 の レ イ ヤ
ー ス ラ イ ス を 行 い 、レ イ ヤ ー ご と に 解 釈 を 加 え る こ と で 、日 本 人 の 海 外 都 市 観 を 捉 え 直 す 。
メディアマップとは個々人の持つミクロな「メンタルマップ」を、社会調査によって集積
さ せ 、 マ ク ロ な 「 メ ン タ ル マ ッ プ 」 と い う 、 超 越 的 構 成 に 昇 華 さ せ た も の で あ る 18。 こ の
マップは脳内シナプスの座をモデルにしたネットワーク構造を成している。そのため、従
来 型 多 変 量 解 析 に 用 い ら れ る 軸 解 釈 は 、 必 ず し も 適 合 的 で は な い 点 に 留 意 さ れ た い 19。
4-1.レ イ ヤ ー 1
レ イ ヤ ー 1 に 位 置 す る 11 ク ラ ス タ ー は 、日 本 人 が 即 座 に 思 い 浮 か べ る 海 外 都 市 の 代 表 格
であり、海外旅行に関して絶大なブランド力を誇る都市である。
図 2 . メ ディアマッ プ( レイ ヤー1 )
内部構造としてまず目を引くのは、明らかに異なるポジションをとる「ホノルル」の存
在である。レイヤー1 唯一のビーチリゾートとして、また日本から適度に近い観光都市と
し て 、 メ デ ィ ア マ ッ プ に お け る ホ ノ ル ル の 座 標 は 、 今 日 に お い て も 「 ハ ワ イ 幻 想 」( 文 献
[13]p.142) が 強 固 で あ る こ と を 実 証 し て い る 。
その他のマップ構成は、2 つの領域に大別される。1 つ目は、左に連なる「欧米領域」
であり、2 つ目は下部中央から右に位置する「アジア領域」である。欧米領域は文字通り
2 領 域 に 分 割 可 能 で あ り 、「 ニ ュ ー ヨ ー ク 」と「 パ リ 」と の 間 を 境 に 、上 部 に は「 ア メ リ カ
都市」の 4 クラスターが、下部には「ヨーロッパ都市」の 4 クラスターが存在している。
マ ッ プ 下 部 に 限 っ て さ ら に 掘 り 下 げ て み る と 、ヨ ー ロ ッ パ の 3 大 都 市 と し て 日 本 人 に 認
知 さ れ て い る「 パ リ( フ ラ ン ス )」
「 ロ ー マ( イ タ リ ア )」
「 ロ ン ド ン( イ ギ リ ス )」が ほ ぼ 同
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第 10 回 観光に関する学術研究論文
一 の X 座 標 に よ っ て 縦 に 連 な り 、 や や 外 れ て 「 ヴ ェ ネ ツ ィ ア ( イ タ リ ア )」 が 存 在 し て い
る。そのイメージにはややアジア的テイストが含まれることを、マップにおける「バンコ
ク( タ イ )」と の 近 さ が 示 し て い る 。ま た 隣 国 韓 国 の 首 都「 ソ ウ ル 」も ハ ワ イ 同 様 に 独 特 の
位置を占めており、日本人にとって格別な都市として認知されていることが伺い知れる。
4-2.レ イ ヤ ー 2
レイヤー2 も多くの日本人観光客によって賑わいを見せる、名の通った主要都市によっ
て構成される。レイヤー1 の都市の影響を根底では継承しつつも、属性の融合や、例外的
な領域の登場が見られるのが、このレイヤー独自の特徴である。
図 3 . メ ディアマッ プ( レイ ヤー2 )
大 局 的 に は 2 つ の 大 領 域 に 分 か れ て ク ラ ス タ ー が 配 置 さ れ る 。左 方 の ク ラ ス タ ー 群 が「 ヨ
ーロッパおよび北アメリカ」であり、右方のクラスター群が「アジアおよびオセアニア」
である点は一目瞭然だ。ただし唯一、地理的に違和感を伴うクラスターが存在している。
それは「マドリッド、バルセロナ」からなるスペインのクラスターである。この例外領域
からは、日本人の意識におけるスペインが、通常ヨーロッパが想起させるものとは大きく
異なり、ともすればアジアのイメージを喚起するものとして解釈できる。
2 大領域にそのまま適合的なクラスターについても、内部特性を探っていきたい。まず
「 シ ア ト ル 、サ
北アメリカ領域の流れを汲むものは、
「マイアミ」
「 グ ラ ン ド キ ャ ニ オ ン 20」
ン テ ィ エ ゴ 」「 ボ ス ト ン 、ワ シ ン ト ン DC、シ カ ゴ 」の 4 ク ラ ス タ ー で あ る 。こ の 中 で は 一
定の距離が置かれる「マイアミ」の存在が興味深い。リゾート色の強いフロリダ州に位置
するマイアミは、アメリカ本土ではあるものの、レイヤー1 で「ホノルル」が位置したビ
ー チ リ ゾ ー ト 領 域 か ら の 張 力 を 受 け て 、メ デ ィ ア マ ッ プ 上 で は こ の 位 置 に 表 示 さ れ て い る 。
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次 に ヨ ー ロ ッ パ 領 域 を 構 成 す る の は 「 フ ィ レ ン ツ ェ 、 ミ ラ ノ 」「 ナ ポ リ 」 と い う 2 つ の
イタリアクラスターと「オックスフォード」というイギリスクラスターである。オックス
フォードのみアメリカ領域と融合的なのは、この都市が観光地というよりも留学地として
知 ら れ 、 そ れ ぞ れ に 有 名 大 学 を 抱 え る 「 ボ ス ト ン 、 ワ シ ン ト ン DC、 シ カ ゴ 」 ク ラ ス タ ー
と親和性が高いためだと考えられる。
「 フ ィ レ ン ツ ェ 、ミ ラ ノ 」と「 ナ ポ リ 」の 位 置 か ら は 、
同じイタリアという国でありながら日本人のイメージでは、いくらか違いが見られること
が示される。これは地理的にはレイヤー1 の「ローマ」および「ヴェネツィア」が同経度
で あ り 、「 フ ィ レ ン ツ ェ 、 ミ ラ ノ 」 は そ れ よ り 西 に 、「 ナ ポ リ 」 は そ れ よ り 東 に 、 そ れ ぞ れ
位 置 し て い る こ と か ら も 客 観 的 に 説 明 で き る 。 ま た 1001 の 「 パ リ 」 お よ び 、 3001 の 世 界
遺産クラスターの座標を参照することで、前者はファッション的色合いが、後者は史跡的
色合いが強い地域としても区分できそうである。
概 念 的 に は ハ ワ イ の 影 響 下 に あ る と 思 わ れ る ビ ー チ リ ゾ ー ト 領 域 に つ い て は 、「 タ モ ン
( グ ア ム )、 プ ー ケ ッ ト 島 ( タ イ )」 ク ラ ス タ ー の 座 標 は 説 得 的 で あ ろ う 。 し か し 「 ク ア ラ
ル ン プ ー ル ( マ レ ー シ ア )、 シ ン ガ ポ ー ル ( シ ン ガ ポ ー ル )」 お よ び 「 シ ド ニ ー ( オ ー ス ト
ラ リ ア )」 の 2 ク ラ ス タ ー は 近 代 都 市 で も あ る 。 こ れ は ハ ワ イ が 、 ビ ー チ で 有 名 で あ る の
み な ら ず 、 シ ョ ッ ピ ン グ を も 想 起 さ せ る 点 と 無 関 係 で は あ る ま い 。「 ア ユ タ ヤ ( タ イ )」 だ
けは上記文脈からは解釈不能であり、遺跡としてのイメージが強いためこの座標に位置し
て い る も の と 考 え ら れ る 。 同 じ タ イ 国 内 の 3 地 域 が 、 1006「 バ ン コ ク 」( 大 都 市 )、 2007
「 プ ー ケ ッ ト 島 」( ビ ー チ リ ゾ ー ト )、 2010「 ア ユ タ ヤ 」( 史 跡 ) と 、 ま っ た く 異 な る 座 標
に分布している点は、独自性の強い有力ブランドを複数抱える、観光大国タイの特徴をよ
く示している。
「 上 海 、香 港( 中 国 )」
「 台 北( 台 湾 )」ク ラ ス タ ー は 、や や 距 離 が あ る が 、メ デ ィ ア マ ッ
プ 全 体 を 通 し て 見 れ ば 、 1010「 ソ ウ ル ( 韓 国 )」 お よ び 3015「 広 州 、 マ カ オ 」 に よ っ て そ
の間隙は埋められており、マップ上の整合性に問題はない。
4-3.レ イ ヤ ー 3
レイヤー3 になると、個性的な観光都市に混ざって、オリンピックなどの世界的行事に
より一時的に知名度を上げた都市や、産業都市なども散見されるようになる。クラスター
の属性も融合的要素が強まり、1 つのクラスターが複数領域の特性を具有するなどの多様
性が見られるようになる。
上位レイヤーと同様に左上にはアメリカ本土領域が存在するが、
「 ア ナ ハ イ ム 」に 至 っ て
は右上のビーチリゾート領域との中間地点に位置し、座標的にはどちらの解釈も可能であ
る。これはこの地の代名詞ともいえるディズニーランドのリゾートイメージの強さを物語
る結果でもある。
3008「 マ ン チ ェ ス タ ー 、 カ ン タ ベ リ ー 、 エ デ ィ ン バ ラ 、 ケ ン ブ リ ッ ジ ( イ ギ リ ス )」 ク
ラ ス タ ー は 2012「 オ ッ ク ス フ ォ ー ド 」 と X 座 標 が 共 通 し て お り 、 学 園 都 市 か ら の 説 明 も
可 能 で あ る 。カ ナ ダ の 2 つ の ク ラ ス タ ー は 、マ ッ プ 右 の リ ゾ ー ト 地 へ の 接 近 も 見 ら れ る が 、
寒冷地という差異から、マップ上では中和的な座標を獲得していると考えられる。
右 上 に 位 置 す る「 ラ ハ イ ナ 、カ ア ナ パ リ( ハ ワ イ )」
「 ク タ 、ウ ブ ド( イ ン ド ネ シ ア )」
「ラ
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ン カ ウ イ 島 、ペ ナ ン 島 、ジ ョ ホ ー ル ・バ ル( マ レ ー シ ア )、セ ン ト ー サ 島( シ ン ガ ポ ー ル )」
ク ラ ス タ ー は ビ ー チ リ ゾ ー ト そ の も の で あ り 、 1003「 ホ ノ ル ル 」、 2007「 グ ア ム 、 プ ー ケ
ッ ト 」の 共 有 特 性 を よ り 強 固 な も の に し て い る 。
「 ゴ ー ル ド コ ー ス ト 、ケ ア ン ズ( オ ー ス ト
ラ リ ア )」 ク ラ ス タ ー も 、 レ イ ヤ ー 3 だ け に 着 目 す る と 孤 立 し て い る よ う に 映 る が 、 2009
「 シ ド ニ ー 」と 1003「 ホ ノ ル ル 」に 挟 ま れ て 存 在 し て い る 点 を 踏 ま え れ ば 、オ ー ス ト ラ リ
アのビーチリゾートという特性が絶妙に表現されている。
図 4 . メ ディアマッ プ( レイ ヤー4 )
3017「 カ ル カ ッ タ 、 デ リ ー ( イ ン ド )」 ク ラ ス タ ー と 3018「 マ ニ ラ ( フ ィ リ ピ ン )、 ジ
ャ カ ル タ( イ ン ド ネ シ ア )」ク ラ ス タ ー は 、一 方 で 2010「 ア ユ タ ヤ( タ イ )」に 通 じ る 歴 史
情 緒 溢 れ る ア ジ ア 色 を 出 し な が ら 、 他 方 で 、 縦 に 連 な る 2005「 上 海 、 香 港 」、 1010「 ソ ウ
ル ( 韓 国 )」、 2014「 台 北 ( 台 湾 )」、 3025「 プ サ ン ( 韓 国 )」、 2006「 シ ン ガ ポ ー ル 」 の ア
ジ ア 先 進 地 域 の 一 角 を 担 う 二 面 性 が マ ッ プ か ら 理 解 で き る 。3012「 パ タ ヤ 、( タ イ )、ホ ー
チ ミ ン ・ シ テ ィ( ベ ト ナ ム )、 チ ェ ン マ イ ( タ イ ) 2 1 」 に つ い て は 、 カ ナ ダ に 認 知 が 近 い と
いうよりも、上記文脈からは独立しているため、このような座標に位置していると考えら
れ る 。 他 方 、 ヨ ー ロ ッ パ 領 域 に 隣 接 す る 3024「 セ ブ ・ シ テ ィ ( フ ィ リ ピ ン )、 オ ー ク ラ ン
ド( ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド )」ク ラ ス タ ー の 座 標 は 、ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド の 欧 州 的 イ メ ー ジ に よ っ
てもたらされたものと推察できる。
中 国 ク ラ ス タ ー は 2 つ 存 在 し 、 北 部 に 位 置 す る 政 治 色 の 強 い 3010「 西 安 、 南 京 、 北 京 」
と 、南 部 に 位 置 す る 経 済 色 の 強 い 3015「 広 州 、マ カ オ 」か ら 成 る 。後 者 は 地 理 的 に も 妥 当
だ が 、 2014「 台 北 」 を は じ め 3019「 台 中 、 高 雄 」 と い っ た 台 湾 都 市 と の 親 和 性 の 高 さ が
特徴的である。
最後に、地理的には近接しながら、メディアマップ上では大きく分離してしまっている
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ヨーロッパのクラスターについて考えたい。その理由としては 3 点挙げられる。第 1 は、
2004「 マ ド リ ッ ド 、 バ ル セ ロ ナ 」 の 座 標 に 求 め ら れ る 。 こ の ク ラ ス タ ー は 、 レ イ ヤ ー 2 に
おいて他のヨーロッパ地域と異質な国としてスペインを説明する際には役立ったが、この
存 在 が 局 所 解 を 量 産 し て し ま っ た と す る 説 で あ る 。こ の 2004 が 3014 を 呼 び 込 む こ と が な
け れ ば 、3011 と の 間 で 、よ り 自 明 で 安 定 し た 領 域 を 形 成 し た か も し れ な い 。た だ し 一 方 で 、
フランスとスペインとの親和性の高さを証明する根拠ともなる。それはマップ右下の「フ
ランス・スペイン領域」が如実に示す通りである。第 2 に、日本人の中欧および東欧圏に
対する相対的な認知不足が指摘できる。明確な概念規定ができないために、マップ上に広
く 分 散 し て し ま っ た と の 理 由 付 け で あ る 。 3011「 ウ ィ ー ン ( オ ー ス ト リ ア )、 ア ム ス テ ル
ダ ム ( オ ラ ン ダ )、 チ ュ ー リ ッ ヒ ( ス イ ス )」 お よ び 3014「 プ ラ ハ ( チ ェ コ )、 ブ リ ュ ッ セ
ル ( ベ ル ギ ー )、 ジ ュ ネ ー ブ ( ス イ ス )」 は い ず れ も 世 界 的 に は 主 要 な 都 市 で あ る が 、 1001
「 パ リ 」、1005「 ロ ン ド ン 」、1009「 ロ ー マ 」の よ う な 明 確 な 観 光 イ メ ー ジ を 我 々 は 掴 め て
いないのではあるまいか。その意味で、殊に対日本人アピールに乏しいのはドイツであろ
う。ヨーロッパ最高の人口と産業力を誇りながら、レイヤー3 においてはじめて登場する
ば か り か 、そ の 座 標 も 極 め て ニ ッ チ な 領 域 に 位 置 づ け ら れ る 。そ し て 第 3 の 点 は 、3026「 ヴ
ェ ル サ イ ユ 」を 特 異 な も の と し て 除 外 す る な ら ば 、1001「 パ リ 」に 次 ぐ フ ラ ン ス の 観 光 都
市 は 、ク ラ ス タ ー と し て の 3002「 ニ ー ス 、マ ル セ イ ユ 、ボ ル ド ー 、リ ヨ ン 」と な る 点 で あ
る 。要 す る に こ れ ら の 都 市 が 日 本 人 の 頭 の 中 で は パ リ と は 直 接 的 に 結 び つ か な い の で あ る 。
フランスという国は、パリの高貴で華やかなブランドイメージがあまりにも強烈すぎるた
めに、第二の都市イメージを我々に付与しないものと解釈できる。
5. ま と め と 提 言
「認知構造分析モデル」を用いて解釈を進めることにより、日本人の持つ海外都市イメ
ージの構造が領域規定された。まずは自明性の同定であり、その大枠は、レイヤー1 の分
析結果として、表 6 にあるような 4 象限に集約される。この 4 象限は、続くレイヤー2 の
分 析に よ っ て 、多 少 の 例 外も 含 み つ つも 、表 7 の よ う に 内部 分 裂 し てい る こ と が確 か め ら
れた。さらに階層をレイヤー3 まで掘り下げると、日本人の海外都市に対する深層イメー
ジが表 8 のようにマイニングされた。
表 6 . レイヤー 1 における領 域 規 定
表 7 . レイヤー 2 における領 域 規 定
表 8 . レイ ヤー 3 に現 われた 例 外 領 域
ハワイ・グアム
アメリカ
ビーチリゾート
アメリカ
大都市
アメリカ
リゾート都市
アジアンリゾート
オーストラリア
ヨーロッパ
ファッション都市
ヨーロッパ
東南アジア
アジア
ヨーロッパ
遺跡都市
中国
台湾
韓国
欧米留学地
エジプト
トルコ
カナダ
アジア遺跡
ドイツ
オーストリア
オランダ
スイス
ニュージー
ランド
スペイン
チェコ
ベルギー
スイス
フランス
(パリ以外)
ア メ リ カ と ヨ ー ロ ッ パ を 媒 介 す る「 カ ナ ダ 」、東 南 ア ジ ア 領 域 に 含 ま れ な が ら 、オ ー ス ト
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ラリアと欧州を媒介する「ニュージーランド」など、図示されてみれば、合点のいくクラ
スター配置であろう。この中で極めて例外的なクラスターは、アジア領域に出現したヨー
ロッパ系クラスターのみである。このクラスターが示すものとは、1 つは欧州におけるス
ペインの特異性であり、2 つ目は中欧東欧地域に対する我々日本人の認知不足である。そ
し て 3 つ 目 は 、ス ペ イ ン とフ ラ ン ス との 親 和 性 の高 さ も さ るこ と な が ら、そ れ 以 上に フ ラ
ンスにおけるパリとそれ以外の都市との歴然たるイメージ格差であろう。
最 後 に 、 忘 れ て は な ら な い の が 、 レ イ ヤ ー 1、 2、 3 の い ず れ に も 登 場 し て こ な か っ た 地
域 の 存 在 で あ る 。 中 南 米 、 北 欧 、 中 東 、 中 央 ア ジ ア 、 ア フ リ カ 22と い っ た 地 域 は 、 一 般 的
な日本人の脳裏には観光イメージとして浮かんでこないことがデータ的に示されたことに
なる。国際理解を深める上で、特定の国や地域にばかり注意が傾くことは望ましくはある
ま い 。で あ る な ら ば 、レ イ ヤ ー 3 や 今 回 の 分 析 で は 扱 え な か っ た レ イ ヤ ー 4、レ イ ヤ ー 5 の
諸都市にまで、我々の意識が及ぶような施策が必要ではあるまいか。それは経済的に強い
パートナーシップを築きながら、観光都市として想起されなかった国々に対しても同様で
ある。また政策的観点からだけではなく、我々の生活をより豊かにするためにも、下位レ
イヤーの都市へ関心を向けることが肝要である。日本人がもっとも重視する余暇の分野は
「 旅 行 」 と い う 研 究 報 告 も あ る 23。 旅 行 目 的 地 の 選 択 肢 が 広 が り 、 旅 行 経 験 が 増 え れ ば 、
世界の、より広範囲の人々との交流が活発となる。その結果、歴史、文化への理解も深ま
り、人間性も陶冶されていくに違いない。
本 研 究 も 、上 記 目 的 に 寄 与 す べ く 、レ イ ヤ ー 4、レ イ ヤ ー 5 へ と 分 析 の 歩 み を 進 め る と と
もに、継続的に調査を行っていきたいと考えている。
参考文献
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[12] 日 戸 浩 之 (2004) : 変 わりゆく日 本 人 の消 費 スタイル−「プレミアム消 費 」と「利 便 性 消 費 」への対 応 −,生 活
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[16] 『地 球 の歩 き方 』編 集 室 (2003,2004) : 地 球 の歩 き方 <2003∼2004 版 >, ダイヤモンドビッグ社 .
1
ボ ー ド リ ヤ ー ル は 文 献 [2]の 中 で 次 の よ う に 述 べ て い る 。「 消 費 社 会 の 現 実 の 、 あ る い は 架 空 の 豊 か さ
の な か で 、時 間 と い う 概 念 は 一 種 の 特 権 的 地 位 を 占 め て い る 。こ の 極 め て 特 殊 な 財 に 対 す る 需 要 は 、そ
れ 以 外 の あ ら ゆ る 財 に 対 す る 需 要 に 匹 敵 す る ほ ど 大 き な も の な の だ 」( 邦 訳 版 p.225)
2 ブ ラ ウ ザ の フ レ ー ム 機 能 、検 索 機 能 、そ し て マ ウ ス ク リ ッ ク に よ る 簡 便 な 回 答 な ど 、ユ ー ザ ビ リ テ ィ
の 大 幅 な 向 上 が 期 待 で き る 。ま た 調 査 者 に と っ て も 、自 動 化 や リ ア ル タ イ ム 演 算 な ど 、メ リ ッ ト は 数 知
れ な い 。サ ン プ ル の 代 表 性 に 問 題 が あ る こ と は 確 か だ が 、イ ン タ ー ネ ッ ト は す で に 特 殊 の 域 を 脱 し て い
る 。デ ィ ジ タ ル デ ィ バ イ ド と い っ た 問 題 に 関 し て も 、イ ン タ ー フ ェ ー ス の 改 良 な ど 他 の 研 究 分 野 の 協 力
によって、近い将来での克服が期待されている。
3 iMap は 35 ジ ャ ン ル に わ た る 17 万 件 の 文 化 的 ア イ テ ム を 、 調 査 項 目 と し て デ ー タ ベ ー ス 化 し た サ イ
ト で あ る 。 調 査 期 間 は 2000 年 10 月 か ら 2004 年 6 月 ま で の 3 年 半 で 、 そ の 間 の 登 録 延 べ 人 数 は 16,030
名 で あ る 。登 録 ユ ー ザ は ジ ャ ン ル ご と に 表 示 さ れ る ア イ テ ム 群 の 中 か ら 、興 味 を 惹 か れ る ア イ テ ム を 逐
次 ク リ ッ ク し て い く こ と で「 自 分 史 」や 「 カ ル チ ャ ー マ ト リ ク ス 」 を 作 成 す る 。 ア イ テ ム と ユ ー ザ を 一
対 と し た 回 答 ト ラ ン ザ ク シ ョ ン の 総 数 は 約 600 万 件 で あ っ た 。
4 「 序 列 効 果 」 に 対 し て は 、 ま ず 回 答 ア イ テ ム の イ ニ シ ャ ル 音 を 50 音 順 の 数 値 に 置 換 し 、 ユ ー ザ ご と
に そ の 標 準 偏 差 を 算 出 す る 。 ユ ー ザ i の 回 答 が {x i1 ,
x i2 , … , x in 1 } ( n 1
はユーザ i の回答数)であると
す る と 、 ユ ー ザ ご と の 標 準 偏 差 は {s i ; i= 1,2,…,k } ( k は ユ ー ザ 数 ) と な る 。 次 に 同 一 音 に し か 回 答 し て
い な い ユ ー ザ は 対 象 外 と し て s i の ヒ ス ト グ ラ ム を 表 示 し 、理 論 分 布 と し て N(μ ,σ 2 )を 仮 定 す る( た だ
し μ = Mo(hist{s i ;s i ≠ 0}},σ =SD{s i ;s i ≠ 0} )。 平 均 μ の 信 頼 区 間 を P=α %と し 、 棄 却 域 の ユ ー ザ を 削 除
す る こ と で ク リ ー ニ ン グ が 達 成 さ れ る 。 今 回 は α =75 と し た 。
5 「 見 せ か け の 認 知 度 」に 対 し て は 、各 ア イ テ ム に つ い て 回 答 し た ユ ー ザ の 生 年 情 報 を 参 考 に 世 代 ご と
の 支 持 率 を 算 出 し 、そ の 値 の 全 世 代 加 重 平 均 で あ る「 平 均 支 持 率 」に よ っ て 置 き 換 え る こ と で 解 決 を 図
る 。 今 回 は 生 年 1962 年 ∼ 1982 年 を 3 年 刻 み の 7 世 代 に 区 分 し 、 以 下 の 式 に よ り 平 均 支 持 率 を 求 め た 。
6
ベ ン 図 を 思 い 描 く と わ か り や す い が 、ユ ー ザ の 重 複 率 は 認 知 度 の 高 い ア イ テ ム 同 士 に お い て 必 然 的 に
高 い 。 ま た 支 持 率 ( Support) の 小 さ な ア イ テ ム は 大 き な ア イ テ ム に 内 包 さ れ る た め 、 そ の 条 件 付 確 率
( Confidence) も 一 方 的 に 高 く な る 。 こ の よ う に 有 益 な 知 見 を 獲 得 す る 上 で い く つ か の 障 害 が あ る 。
7 べき乗法則としては「ジップの法則」
( George Kingsley Zipf, 1949) が 有 名 だ が 、 文 献 [6]で は そ の
他 に も 、雪 崩 の 大 き さ 、地 震 規 模 、輸 入 額 の 国 別 順 位 な ど が 紹 介 さ れ て い る 。本 研 究 と 直 接 因 果 関 係 が
あ る と 思 わ れ る 事 例 は 「 都 市 人 口 と ラ ン ク 」( p.55) で あ る 。
8 因 子 分 析 な ど の 基 と な る 固 有 値 計 算 は 、全 体 の 構 造 が 可 視 的 な 場 合 に 適 合 的 だ と 考 え ら れ る 。な ぜ な
ら 固 有 値 は 、全 変 数 の 重 心 と 共 分 散 に 依 拠 す る か ら で あ る 。一 方 、全 体 構 造 が 不 可 視 な 場 合 に は 、乱 数
を 発 生 さ せ て 競 合 学 習 を 行 わ せ る ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク の 方 が 適 合 的 で あ る 。そ れ は 疎 行 列 が い わ ば
ア ド ホ ッ ク な 関 係 性 の 集 積 で あ る 点 に 基 づ く 。 文 献 [1]に も 「 ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク の 最 大 の 魅 力 は
学 習 機 能 で あ り 、い ろ い ろ な 応 用 に お け る 問 題 を 高 速 に 解 決 す る 能 力 性 を 持 っ て い る 。特 に 、従 来 の 手
法 で 解 け な い 問 題 、ま た は そ の 問 題 の 定 式 化 お よ び モ デ ル 化 が 困 難 な 問 題 に 向 い て い る 」
( p.9)と あ る 。
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9 初期シードの設定を変更するたびに異なる出力結果をもたらすため、
「ニューラル・ネットワークに
対する長年の批判の一つは、それが「ブラックボックス」であり、解釈困難であり、その振る舞いや、
な ぜ そ の 結 論 に 到 達 す る か を 説 明 で き な い と い う こ と で あ っ た 」( 文 献 [3]邦 訳 版 p.130) に 代 表 さ れ る
数 々 の 指 摘 が あ る 。だ が 見 方 を 変 え れ ば 、文 化 事 象 の 多 様 性 を 把 握 す る の に は む し ろ こ の よ う な 偶 発 性
や柔軟性は好都合といえる。問題は一回の試行によって最適解が得られるとの誤認こそにあろう。
10
(x 1 i , y 1 i ) : ア イ テ ム 1 の 試 行 i 回 目 の 座 標
(x 2 i , y 2 i ) : ア イ テ ム 2 の 試 行 i 回 目 の 座 標
と す れ ば 、 ア イ テ ム 間 得 点 ( Score Between Items) の 一 般 式 は 次 の よ う に な る 。
11
通常、上位レイヤーほど 1 クラスターに含まれるアイテム数は少なく、下位ほど多い。アイテムか
ら ク ラ ス タ ー へ の 置 換 に 際 し て は 和 集 合 ( OR 関 係 ) を と る た め 、 ア イ テ ム 数 が 多 い ほ ど T の 値 は 増 加
する。レイヤー1 においてクラスタリングを行わなかった意図もここにある。
12
各 SOM の 標 準 偏 差 を
si=
min { SD {x i1 ,…,x in i }, SD {y i1 ,…,y in i }} と す る と 、 採 択 さ れ る SOM は
max {s i ; i=1,2,…,k } で 与 え ら れ る 。
13 隣 接 値 と は 、 学 習 中 に 勝 ち 取 っ た ユ ニ ッ ト と と も に 更 新 さ れ る 半 径 の 開 始 サ イ ズ の こ と で あ る 。 本
研 究 で 利 用 し た SPSS 社 Clementine8.1 で は 、フ ェ ー ズ 1 の 間 、隣 接 サ イ ズ は「 フ ェ ー ズ 1 の 隣 接 値 」
か ら 始 ま り「 フ ェ ー ズ 2 の 隣 接 値 +1.0」 ま で 低 下 す る 。同 様 に フ ェ ー ズ 2 で は「 フ ェ ー ズ 2 の 隣 接 値 」
か ら 始 ま り 「 1.0」 ま で 低 下 す る 。
1 4 厳 密 に は 、平 均 支 持 率 の %値 に 自 然 対 数 の 底 e=2.71828 を 加 え 、そ れ を 対 数 化 し た 値 か ら 1 を 引 い た
も の を 用 い て い る 。平 均 支 持 率 を SUPAVG と す れ ば 、log ( SUPAVG * 100 + e ) - 1 に よ っ て 求 め ら れ る 。
1 5 2002 年 の 「 日 本 人 海 外 旅 行 者 数 の 性 別 ・ 年 齢 階 層 別 推 移 」
( 文 献 [14]p.11) に よ れ ば 、 20 代 に お け
る 男 性 の 旅 行 者 数 は 1,290,985 人 ( 38.1%)、 女 性 の 旅 行 者 数 は 2,100,693 人 ( 61.9%) で あ る 。 本 研 究
調査対象データの比率はそのデータと比較して、ほとんど遜色がない。
1 6 2002 年 の「 日 本 人 海 外 旅 行 者 各 国 別 訪 問 人 数( 受 入 国( 地 域 )統 計 」
( 文 献 [14]p.9)に よ れ ば 、100
万 人 以 上 の 日 本 人 受 入 地 域 は 7 地 域 あ り 、 1 位 ア メ リ カ ( 3,627,264 人 )、 2 位 中 国 ( 2,925,553 人 )、 3
位 韓 国 ( 2,320,837 人 )、 4 位 ハ ワ イ ( 1,483,121 人 )、 5 位 香 港 ( 1,395,020 人 )、 6 位 タ イ ( 1,239,421
人 )の 順 で あ る 。訪 問 者 数 に 比 し て 平 均 支 持 率 の 高 い 都 市 に つ い て は 、強 い ブ ラ ン ド 力 を 誇 示 す る 都 市
と考えられる。特に、資本主義世界の中心と言っても過言ではない 2 位「ニューヨーク」を上回った 1
位の「パリ」については、次章、次々章の解釈を参照されたい。
1 7 た と え ば レ イ ヤ ー 2 に お い て 、 同 じ ア メ リ カ で も 2001 は 東 部 地 区 、 2002 は 西 部 地 区 と い う 違 い が
そ の ま ま ク ラ ス タ ー に 現 わ れ て い る 。同 様 に イ タ リ ア に つ い て も 2003 は 北 部 、2008 は 南 部 で あ る 。概
念 的 な ク ラ ス タ ー と し て 興 味 深 い の は レ イ ヤ ー 3 の 3001 で あ り 、 こ れ ら の 都 市 は い ず れ も 名 高 い 世 界
遺産を有する共通項がある。
18 本 研 究 は 現 象 学 に お け る 以 下 の 課 題 に 取 り 組 ん だ 結 果 で も あ る 。
「 相 互 主 観 性 と は 、私 と 他 者 が 同 じ
も の を 共 有 す る こ と で は な い し 、そ の よ う な 保 証 も な い 。け れ ど も 、そ の 一 方 で 私 と 他 者 が 同 じ も の を
共 有 す る 可 能 性 は あ り 、現 実 に は 超 越 的 構 成 と し て 、状 況 的 に 共 有 す る こ と は 少 な く な い と 考 え ら れ る 。
共 有 が 保 証 さ れ て い な い こ と と 、共 有 す る こ と と が 同 時 に 成 立 す る 可 能 性 は あ り 得 る の で あ る 。そ し て 、
そ の 延 長 に お い て 集 合 的 メ ン タ ル マ ッ プ が 成 立 す る 可 能 性 は 十 分 あ り 得 る の で あ る 」( 文 献 [11]p.23)
19 「 脳 は あ る 意 味 で 全 体 的 で あ る が 、 そ の 一 方 で 局 所 的 な 機 能 を も も っ て い る 」
( 文 献 [11]p.24) た め
で あ る 。そ れ を 逆 手 に と り 、例 外 的 な 座 標 か ら 新 た な 知 見 発 掘 を 目 指 す の が デ ー タ マ イ ニ ン グ の 立 場 と
いえよう。
2 0 2013「 グ ラ ン ド キ ャ ニ オ ン 」 は 都 市 で は な い 。 3001「 エ ア ー ズ ・ ロ ッ ク ( オ ー ス ト ラ リ ア )
」も同
様 で あ る 。 こ の 他 、 2007「 プ ー ケ ッ ト 島 ( タ イ )」、 3009「 ラ ン カ ウ イ 島 、 ペ ナ ン 島 ( マ レ ー シ ア )、 セ
ン ト ー サ 島( シ ン ガ ポ ー ル )」も 島 の 名 称 で あ り 、3022「 カ ア ナ パ リ( ハ ワ イ )」、3016「 ク タ 、ウ ブ ド 」
は 都 市 で は な く ビ ー チ 名 で あ る 。本 研 究 で は こ れ ら の 地 域 を 都 市 と 同 等 な も の と 判 断 し 、分 析 対 象 と し
て い る 。 た だ し 「 バ リ 島 ( イ ン ド ネ シ ア )」 な ど の よ う に 、 調 査 時 に ア イ テ ム と し て 設 定 し な か っ た も
のについては、残念ながら分析対象にできなかった。
21 こ の 3 都 市 は 地 理 的 に は 親 和 性 が 高 い が 、 厳 密 に 見 れ ば 地 域 の 特 性 は 異 な っ て い る 。 パ タ ヤ は 都 市
で は な く 都 市 型 リ ゾ ー ト 地 で あ る 。ま た ホ ー チ ミ ン ・ シ テ ィ は 商 業 都 市 、チ ェ ン マ イ は「 芸 術 と 緑 の 都
市」と言われている。
2 2 3001 の 「 カ イ ロ ( エ ジ プ ト )
」を除く。
2 3 文 献 [12]で は 、
「今後積極的に消費を行いたい分野」と題する、旅行、趣味、ファッション、人づき
あ い 、 家 電 製 品 、 自 動 車 、 家 具 ・ イ ン テ リ ア 、 外 食 を 選 択 肢 と し た 調 査 の 中 で 、「 旅 行 」 の 突 出 し た 数
値の高さが示されている。
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