2003 年度 卒業論文 超小型マイクロ波エンジン のシステム化に関する研究 北海道工業大学 工学部 応用電子工学科 6−4−L−00−064 菅原 崇史 6−4−M−00−088 中野 雅晶 6−4−M−00−121 村上 和也 指導教員 佐鳥 新 助教授 目次 第1章 1−1 1−2 序論 はじめに 目的 第2章 2−1 2−2 2−3 2−4 2−5 2−6 電気推進 電気推進とは 電気推進の種類 打ち上げられた電気推進衛星について マイクロ波のシステムの構成について マイクロ波エンジンの原理 マイクロ波サイクロトロン共鳴(ECR)による プラズマ生成 ・・1 ・・1 ・・2 ・・2 ・・6 ・・9 ・・10 ・・10 第3章 3−1 3−2 3−3 3−4 3−5 3−6 3−7 加速電源 加速電源とは 安定化電源とは スイッチングレギュレータについて 降圧チョッパ方式について フライバック方式について トランスについて 動作原理 ・・16 ・・18 ・・24 ・・29 ・・31 ・・37 ・・39 第4章 4−1 4−2 4−3 4−4 4−5 実験装置 真空装置 各電源・測定装置 エンジンについて マイクロ波ユニット 加速電源用実験装置 ・・47 ・・52 ・・57 ・・59 ・・63 第5章 5−1 5−2 5−3 5−4 実験方法 小型マイクロ波アンプの作動実験 発振器の作動実験 マイクロ波系電源の作動実験 アンテナの最適化の実験 ・・70 ・・72 ・・73 ・・75 5−5 5−6 5−7 5−8 整合回路実験方法 DC ブロック実験方法 マイクロ波ユニットの真空作動実験 加速電源の作動実験 ・・76 ・・79 ・・80 ・・82 第6章 6−1 6−2 6−3 6−4 6−5 6−6 6−7 6−8 実験結果 アンプの作動実験結果 発振器の作動実験結果 マイクロ波系電源の作動実験結果 アンテナの最適化の実験結果 整合回路実験結果 DC ブロック実験結果 マイクロ波ユニットの真空作動実験結果 加速電源の作動実験結果 ・・85 ・・88 ・・90 ・・93 ・・96 ・・97 ・・98 ・・100 第7章 結論 ・・104 謝辞 ・・105 参考文献 ・・106 第1章 1−1 序論 はじめに 近年の衛星開発は、かつてのような一機で広範囲のミッションを実行する大 型・多機能のものから、開発期間の短縮、開発予算・人員の低減、また失敗によ るリスクの低減などの観点から、機能を分散化し、小型なものへと情勢が変化し つつある。そのような中で、大学生による衛星開発のひとつの到達点として、米 Stanford 大学の Twiggs 教授により CubeSat が提案された。CubeSat は、一辺の 大きさが 10[cm]、重量は 1[kg]以下の立方体状の超小型衛星である。重量による衛 星のクラス分けでは、1[kg]以下の Picosatellite 級に属し、総消費電力は 3[W]以下 である。 また、衛星が小型化される一方、衛星の姿勢制御・軌道制御に使用する推進器 にも、小型化が求められるが、従来のようなガスジェットでは高圧のガスタンク が必要で小型化が困難な上、推進剤を直接噴出させるため発生推力当たりの推進 剤の利用効率が低く、衛星の運用時間を短縮させる一因となっていた。イオンエ ンジンを含む電気推進は、推進剤を電離・プラズマ化し、電位を与え加速すると きの反作用によって、推進力を得る。そのためガスジェットに比べて推進剤の排 気速度を大きくできるため、有効な加速時間の指標である比推力が大きく、衛星 の運用時間を延ばすことができる。また時間当たりの推進剤消費量が小さいため、 推進剤タンクを小型にできる。 1−2 目的 超小型マイクロ波エンジンのシステム化を行うにあたり、本研究ではシステムの 一部であるマイクロ波ユニットと加速電源の設計・開発を行った。以下に目的を示 す。 1.DC ブロック、整合回路、アンプ、発振器、マイクロ波系電源を設計・開 し、マイクロ波ユニットとして真空中での動作確認をする。 2.0[V]、100[V]、300[V]の電圧を出力可能な加速電源を設計・開発する。 発 第2章 2−1 電気推進 電気推進とは 電気推進は、電気エネルギーを推進エネルギーに変換するタイプのエンジンで ある。電気推進は低推力、高比推力という特徴を持っている。このような特徴か ら、電気推進ではロケットを地上から直接打ち上げることはできないが、いった ん宇宙へ出た後では、エンジンに要求される推力が小さく、電気推進を使えば必 要となる燃料も少なくて済むために、衛星に大きなメリットを与えてくれる。宇 宙空間では地上と違って途中で燃料の補給が出来ないので、限られた小量の燃料 で遠くの天体へ行くための技術が極めて重要となる。 2−2 1 電気推進の種類 静電加速型 1―1−1 イオンエンジン 放電室内で生成するプラズマ中のイオン静電グリッドで加速噴射することによ り推力を得る。 e推進剤 + + eプラズマ生成部 図2−1 + 0 0 0 0 0 0 0 00 0 0 0 0 0 0 0 0 00 0 抽出・加速部 イオンエンジンのイメージ + e- 中和部 1−1−2 プラズマ生成部 イオンエンジンはイオンを加速して推力を生み出すという形式のため、それが 成りたつためにはそもそもイオンを生成しなくてはならない。そのためプラズマ 生成部(図2−1の左の部分)において推進剤を電離させてイオンと電子の混ざっ たプラズマを作る。プラズマ生成の方法の違いによって電子衝突型とマイクロ波 放電型に分けられる。 前者はタングステンフィラメントあるいはホローカソードなどの電子源からの 電子にエネルギーを与え推進剤と衝突させ推進剤を電離させる方法であり、後者 はマイクロ波により電子にエネルギーを与え推進剤を電離させる方法である。 1−1−3 イオンビーム加速部 イオンビーム加速部は、2枚または3枚のグリッドと呼ばれる多数の小穴の空 いた電極で構成されている。図2−1は一組の小穴部分を拡大したものである。 これらのグリッド間に電位差を与えてイオンを引き出し加速する。スラスターは イオンビームの排出の反作用により推力を得る。 数枚のグリッドのうち、プラズマ生成部に面しているグリッドをスクリーング リッドといい正の電圧が加えられる。次のグリッドは加速(アクセル)グリッド と呼ばれ負の電圧が加えられている。この2枚のグリッドでイオンを加速する向 きに電位勾配が作られる。加速グリッドの負の電圧はスラスター外部からの電子 が加速部へ逆流するのを防ぐ働きがある。この2枚のグリッド間の電位差でイオ ンビームを加速するわけだが、ビームの発散や(中和面を作り)エロージョンを 抑えるために3枚目のグリッドとして加速グリッドの後方に電位約0ボルトの減 速(ディセル)グリッドを加えることもある。最終的にイオンはスクリーングリ ッドの電位に等しいエネルギーの速度を持つ。 1−1−4 イオンビーム中和器 イオンビーム中和部には中和器と呼ばれる電子源があり、イオンビームと同じ 量の電子を放出してエンジン全体を中性に保っている。これは、エンジンの外に 引き出されたイオンビームを中和しないと、エンジンが負に帯電してイオンビー ムが逆流して推力を発生することが出来ないからである。また、加速グリッドに 高エネルギーのイオン粒子が衝突し、加速グリッドの損耗や2次電子放出による 放電などの問題が起こることもある。 1−2−1 ホールスラスタ ホールスラスタは、図2−2に示すように、大きく分けて陽極(アノード) と陰極(カソード)と加速チャネルの3つの部分があり、加速チャネルには軸方向に 電界、半径方向に磁界がかけられている。陰極から放出された電子は、加速チャ ネルに入り、加速チャネルにかけられた電場と磁場の作用により周方向にホール 運動を行う。この電子と投入された推進剤が電離衝突を行い、イオンが生成され る。このイオンは電界で加速されて軸方向に飛び出し、この反作用で推進機の推 力が得られる。この後、イオンは陰極から放出された電子と結合して中性粒子と なる。また、加速チャネル内でホール運動している電子は、衝突の作用によって 軸方向に徐々に移動し、やがて陽極に入っていく。 図2−2 2 ホールスラスタ 電熱加速型 2−1 DC アークジェット DC(Direct Current:直流)アークジェットは電気のエネルギーでアー ク放電をつくり推進剤を加熱し,その熱で推進剤を高速で噴射することで推力を 発生する電気推進である。 図2−3 DC アークジェット 3 電磁加速型 3−1 MPD アークジェット MPD とは MagnetoPlasmaDynamic,電磁プラズマ力という意味である。下 図2−4は、MPD アークジェットの原理を説明したものである。一万アンペアほ どの大電流と,それに伴い生じる磁場との相互作用による力(ローレンツ力,フ レミング左手の法則)によりプラズマ化した推進剤を噴射して推力を発生する。 エンジンの形は DC アークジェットと似てるが,DC アークジェットは推進剤の加 速方式に関して「電熱加速型」と呼ばれるのに対し,MPD アークジェットは大電 流で作動するため熱よりも電磁気的な効果が大きく,「電磁加速型」と呼ばれてい る。電力から推力にエネルギーを変換する効率が低く,実用化には至っていない が,大電力で動かすことで性能が発揮されるため,将来的には大型の宇宙構造物 の制御や惑星間資材輸送などの用途が期待されている。 図2−4 2−2 1 MPD アークジェット 打ち上げられた電気推進衛星について ギャラクシー8−1 1997 年 12 月 8 日、位置・姿勢制御用にキセノン・イオン推進システム(XIPS) を全面的に採用した静止通信衛星「ギャラクシー8−1」がケープカナベラル空軍 ステーション(CCAS)からアトラス 2AS ロケットで打ち上げられた。同衛星は メキシコ・中南米での CS 放送(DTH)に使用されるもので、ヒューズ・スペー ス&コミュニケーションズ(HSC)社が開発。HSC 社は「XIPS の採用で衛星の 搭載推進薬を 90%節減(100〜150kg 相当)でき、この分をミッション機器に割 り当てたり、衛星の寿命を長くすることができる」としている。ちなみにギャラ クシー8−1は XIPS 採用にともなう重量低減分をアンテナとトランスポンダに 振り向け、XIPSで 16〜17 年の運用、その後は化学推進に切り換えてそれを使 い切るまでの運用を予定している。 2 MUSES−C MUSES−C(ミューゼス C)は、宇宙科学研究所の工学実験探査機である。 「MUSES−C」計画で探査する天体は、地球接近型とよばれる小惑星である。宇 宙科学研究所は、この計画を通して、小惑星から表面の物質(サンプル)を地球 に持ち帰る技術を確立する(サンプル・リターン)。サンプルを持ち 帰れば地球上でサンプルの分析が行えるため、回収される量が少量であってもそ の科学的意義は極めて大きいものとなる。 表2−1 MUSES−C の推進エンジンシステム 電気推進 種類 キセノンを用いたマイクロ波イオン電気推進 電気推進 発生推力と比推力 15 mN, 2,980 sec 発生デルタV量 4,000 m/s 化学推進エンジン 種類 NTO とヒドラジンによる2液推進エンジン 化学推進エンジン 発生推力と比推力 20 N, 290 sec 図2−5 3 MUSES−C スマート 1 (SMART-1: スマート・ワン) スマート 1 は、アメリカが 1994 年に打ち上げたクレメンタイン探査機と同じよ うに、技術開発を主な目的として月に向かう計画である。この探査計画の目玉は、 電気推進使って月に行くという計画です。スマート 1 の打ち上げは 2003 年 9 月 3 日に予定されている(8 月 28 日の予定でしたが延期された)。本来は 2002 年 10 月 に打ち上げられる予定でしたが、ロケット(アリアン5)の打ち上げが延期された影 響で、遅れてしまいました。打ち上げられた後は、スイングバイ技術と電気推進 を使って、月の飛行は約 18 ヶ月(1 年半)が予定されており、順調に行けば、2005 年 2 月、SMART−1は月に到着することになりますこの SMART―1 探査機は、 大きさがたった 370kgしかない、非常に小さな衛星である。また、科学探査のた めの機器の重さはたった 20kg弱しかない。この機器の中には、カラーCCD カメ ラ、X 線スペクトロメータ、月表層の赤外線スペクトル探査装置などが積まれる予 定である。 図2−6 4 東京大学 CubeSat SMART−1 XI−IV 電気推進を搭載してはいないが日本の大学が製作した衛星が 2003 年 6 月 30 日 に EUROCKOT 社のロケット EUROCKOT での打ち上げが行われた。東大 CubeSat1 号機のミッションとしては、超小型衛星バスシステムの機能実証および 民生部品(宇宙用ではない部品)の動作実験を行う。通信に関してはアマチュア 無線帯での運用が決定している。そのほかに、カメラによる地球撮像実験も検討 されている。 図2−6 2−4 東京大学 CubeSat XI−IV マイクロ波システムの構成 本研究では下のブロック図のマイクロ波ユニットと加速電源の設計・開発を行 った。 エンジン ヘッド マイクロ波ユニット 加速電源 図2−7 H8 モデム マイクロ波システムのブロック図 無線 2−5 マイクロ波エンジン原理 この小型マイクロ波エンジンは、リング状の磁石の内側でキセノンガスをマイ クロ波放電でイオン化する。磁石の内側(=放電室)では電子サイクロトロン共 鳴(ECR)を満足する磁場強度と、電子の閉じ込めの狙った湾曲磁場が形成さ れる。放電室上流面の陽極と下流に設けた陰極との間に電圧を印加し、それによ り形成された電界でイオンを加速する。放電室下流にはエンジン全体の電気的中 性を保つための電子源としてビーターを設ける。このエンジンはイオンシース内 で加速するタイプのいわゆるイオンエンジンとは加速方式が異なっており、イオ ン電流の空間電荷制限が存在しないことが特徴といえる。 エンジンヘッド マイクロ波 + + + Xe ガス e + 中和器 図2−8 2−6 e マイクロ波エンジン原理図 マイクロ波サイクロトロン共鳴(ECR)によるプラズマ生成 ECR 放電について粒子モデルを用いて説明する。一般に電子は磁場中では螺旋 運動を行う。この運動は、磁力線に沿う速度 V‖の等速度運動と、磁力線に垂直な 速度 V⊥による反磁性円運動の重ね合わせである。円運動の半径(ラーマー半径)r は、 ⊥ r⊥ = V⊥ 2π eB 2πme ≡ V⊥ 2πf c [m] (2.1) [GHz] (2.2) と表される。ここで、 f c = eB 2πme = 28 ⋅ B[T ] である。 式中で、me[kg]は電子質量(≒9.1093×10-31)、B[T]は磁束密度(=104[Gauss])、 e[C]は素電荷をそれぞれ表している。fc は電子のサイクロトロン周波数である。fc に一致する周波数の電磁波を外部から供給すれば、磁場中で電子は右回りの螺旋 運動を行うので、右偏波電界から共鳴的にエネルギーを受け取り、運動が加速さ れる。左偏波電界の下では加速と減速が交互に起こり、有効なエネルギーの受け 渡しは起こらない。 図2−10 ECR 概念図 具体的な数値を見る為に、周波数 4.2[GHz]、電力 100[W]のマイクロ波が、代表 長 10[cm]の放電室に入射する例を考える。ECR が起こる磁場強度は 2 式より 1.5[kG]となる。簡単にするため電力密度 I[Wm-2]の直線偏波された平面波で近似 すると、その電界は E = I⋅ Z 0 [Vm-1] (2.3) で与えられる。ここで Z0:真空中の特性インピーダンス(=377[Ω])である。 平面波は右偏波と左偏はに分解できるが、そのうち電子へのエネルギー伝 搬に寄与するのが右偏波であることを考慮すれば、電界の振幅は 1/2・E となる。 即ち、 P = 100[W] = 10 4 2 100[cm ] [W・m-2] (2.4) Er = 1 10 4 [W ⋅ m − 2 ] ⋅ 377 [Ω ] = 9.7 ⋅ 10 2 [V・m-1] 2 (2.5) この値を使い右偏波電界で速度 0 の電子がガスの電離電圧まで加速される時間 を見積もってみる。ガスは通常イオンエンジンに用いられてるキセノン(電離電 圧=12.13[V])を仮定すると、 V⊥ = 2 T⊥ = 5.9 ⋅ 10 3 T⊥ [V ] = 5.9 ⋅ 10 3 12.13 = 2.05 ⋅ 10 6 m e [m・s-1] (2.6) 電子が V⊥間で加速される時間を t0 と置けば t0 = V⊥ eTr me = [ [ ] ] 2.05 ⋅ 10 6 m⋅ s −1 = 12 1.7 ⋅ 1014 m⋅ s −1 [n sec] (2.7) となる。マイクロ波の1周期は 0.238[n sec]なので、電子サイクロトロン共 鳴が放電に有効に作用するためには、少なくとも 50 回程度のサイクロトロ ン運動が維持されなくてはならない。この条件は放電室内の真空度(ガス圧) に上限を与える。電子‐中性ガスの衝突周波数ν[s-1]、マイクロ波の角周波 数ω[s-1]、中性ガス密度 n[m-3]、キセノンの衝突断面積σを用いて表すと、 ν = nσ V⊥ ≤ 1 ω ω 50 (キセノン、f = 4.2[GHz]) (2.8) となる。中性ガス密度を圧力 p[torr]で表すには、n[m-3]=3.54×1022・p[torr]で置 き換えればよい。キセノンの場合σ=1.85×10-19[m2]であるから、これらの数値を 不等式に代入すると、 p ≤ 0.04 [torr] (キセノン) (2.9) を得る。同様にしてキセノンより電離電圧の高いヘリウム(=24.95[V])に 対しては、 p ≤ 0.13 [torr] (ヘリウム) (2.10) となる。つまり、ガス種にもよるが、1[torr]未満であれば顕著な共鳴効果 が期待できる。 ECR イオン源にはいくつかタイプがあるが、イオンエンジンに用いるイオン源 には、軽量化の観点からカスプ磁場を利用したものが適している。カスプ磁場配 位は元来 DC 放電による大容量プラズマ生成のために考案されたもので、ECR と 組み合わせるにはそれぞれ異なった設計指針が必要となる。 以下にカスプ磁場の原理概略図を示す。 S N Xe 推進剤供給口 S e 主陰極 e Xe e Xe+ Xe Xe+ S Xe+ 磁場 N S 陽極 図2−11 カプス磁場の概略図 永久磁石によりカスプ型(三日月型)磁場を形成し,ミラー効果によりプラズ マの閉じ込めが行われる。N 極と S 極を交互に配置することで,放電室壁近傍に は強い磁場,放電室中央には弱い磁場が形成される。 次にプラズマの着火について説明する。ECR 領域で加速された電子は放電 室内の磁場中で▽B ドリフトによる効果が大きい。その速度は V∇B r B 1 = ν ⊥ γ ⊥ × ∇2 B 2 B (2.11) で与えられる。▽B ドリフトを模式的に表すと図2−2のようになる。 図2−12 ▽B ドリフトを模式図 電子がカスプ磁場に閉じ込められ、その電離作用による電子密度の増加が拡散 およびドリフトによって壁に失われる割合と釣り合うときに放電が開始される。 カスプ磁場配位をリング状に閉じた構造にすればドリフトによる電子の損失を最 小限に抑えることができ、低電力での放電が維持できると共にイオン生成コスト を低く保つことが可能である。その効果は実験でも確認されており、直接的な例 では、電子のドリフト電流をプローブで測定した実験や、間接的なものでは、カ スプを形成する磁石列のミスアライメントのためにイオン漏れ(壁面損失)が生 じる場合には最小放電維持電力が増大する事、電子のドリフト軌道を硝子板等の 障害物で遮ると最小放電維持圧力が上昇する事、などが報告されている。従って 性能の良いイオン源を設計する為には、 (1)磁石表面から離れた広い ECR 磁場領域を作ること (2)▽B ドリフト軌道が途切れないように保持すること に配慮する必要がある。 最後にプラズマの分散について説明する。プラズマが生成されて電子密度が増 えると、電子は単独に電磁波と相互作用できず集団運動に支配され、電磁波に対 r r して分散のある媒質となる。厳密な意味での ECR(f = fc)は k llB の場合にのみ成 r 、電子密度 ne には依存しないが、実際には磁場と電子 り立ち( k :波数ベクトル) 密度に依存して複数の伝搬モードが存在することが知られている。 第3章 加速電源 3−1 加速電源とは 加速電源とは、マイクロ波エンジンの出力を制御する電源回路である。 部品点数を少なくし、小型化するために IC を用いた。IC の詳細につい ては第 3 章 3−3−1 で説明する。電力効率は 80[%]〜85[%]である。 加速電源基板概観図及び、端子配置図を以下に示す。 図3−1 加速電源基板−表 図3−2 加速電源基板−裏 +12V Vout IC・ON/OFF IC トランス FET・ON/OFF Cmon Vmon 図3−3 加速電源−端子配置図 3−2 安定化電源とは 3−2−1 直流電源とは 電子機器はすべて、動力源となる電源部がなければ動作できない。 しかも、その大半が 5[V]や 12[V]の安定化直流電源を必要とする。そ して、これらの直流電源の元になるものの多くは、ハンディタイプの ポ―タブル機器はバッテリ(電池)であり、それ以外は商用電源の 100/200[V]である。 図 3−4 に示すように、商用電源を入力源とするものでは、電源トラ ンスによって必要な値へ電圧を変換し、整流して直流電圧にしてから 回路や機器へ供給する。しかし、整流しただけの直流電源では、入力 の AC100V が変化したり、トランスやダイオードの電圧降下などで電圧 の安定度や精度が悪く、十分に回路や機器の性能を引き出すことがで きない。 直流出力 定格値の2倍くらい の電圧変動となる 商用電源 AC90〜110V 位の範囲で 電圧変動する 電源トランス ブリッジ整流器 電解コンデンサ 出力電量が流れると 巻線による電圧降下 が発生する 中の各素子の順方向 電圧降下が発生する リプル電圧が 発生する 図3−4 直流電源 3−2−2 電圧変動の原因 図 3−4 を結線図としたのが図 3−5 ですが、この二つの図から、直 流出力電圧の変動する要因を考える。 △ 商用電源電圧の変動 日本国内は電源事情が大変よく、あまり商用電源電圧の変動はない。 通常では、100[V]に対して±5[V]以内の変動と考えてさしつかえはな い。 △ 電源トランスの電圧効果 トランスの大小によって異なるが、細い銅線を数百回以上も巻線し ているので、電線の抵抗によって電圧降下が発生する。 また、トランスの1次側、2次側にリーケージ・インダクタンスが直 列に挿入されるので、これによる電圧降下も発生する。 △ 整流ダイオードの電圧降下 整流用として多く使われるブリッジ・ダイオードは、図 3−5 のよ うに 4 個のダイオードで構成されているが、ダイオードは、流れる電 流によって順方向の電圧降下も発生する。 △ リプル電圧 商用電源の交流電圧はサイン波なので、電解コンデンサによって平 滑しても、必ずリプル電圧が発生する。これは、電源周波数の 2 倍で 連続的に変化する電圧変動と考えることができる。 しかも、実際には図 3−5 に示すような負荷の変動も考慮しなければ ならない。したがって、図 3−4 のような、ただの整流しただけの電 源では大きな電圧変動を発生してしまう。そして、すべての条件を考 慮すると、入力する商用電源の変動に対して 2 倍以上の電圧変動にな っている。 商用電源入力 ブリッジダイオード + 電流出力 Vo + 電解 コンデンサ トランス 0 図3−5 整流回路の構成 IL IL V3 RL1 RL2 RL3 RLn RL1〜RLnは各デジタル素子の動き(負 荷変動) 図3−6 電子回路負荷の変動 V3 3−2−3 ICや電子部品の動作に合う電源 トランジスタや IC などの半導体はもとより、モータやリレー、ラン プなど、すべての電子部品には印加できる最大電圧が規定されている。 そして、この電圧値を越えてしまうと、電子部品が破損したり、寿命 が極端に短くなったりしてしまう。 たとえば、ディジタル IC の TTL では、定格電圧が+5[V]で、動作を 保障する電圧は 4.5[V]〜5.5[V]、最大電圧は 7[V]になっている。 また、ランプなどは印加電圧が 10%上昇すると、消費電圧は 2 乗で 増加して 1.2 倍以上になる。そして、それによって寿命は半減すると いわれている。さらに、OP アンプなどによる微弱信号を増幅する回路 では、電源電圧の変動が信号に重畳して、信号の変動や安定性が得ら れなくなってしまう。 このように、電源電圧の変動は機器の性能や信頼性の面において大 きな障害要因となってしまう。 電源回路はまさに電子機器の心臓そのものである。ただの整流回路 ではほとんどの装置が満足に動作することができない。そこで、電子 的な手段を講じて安定化電圧を得ようとするのが安定化電源である。 3−2−4 安定化電源 二つの方式 主に用いられている直流安定化電源の方法としては、大別してドロ ッパ・レギュレータとスイッチング・レギュレータと呼ばれる方式が ある。 図 3−7 に示すのがドロッパ方式と呼ばれるもので、シリーズ・レギ ュレータやシャント・レギュレータと呼ばれるものがこれに属してい る。そして、これらの方法は特に電圧精度(安定度)を要求されるも のや、小さな電力を扱うものに好んで使用されている。これは、この ドロッパ・レギュレータは電気的なノイズの発生量が非常に少なく、 直流出力電圧に含まれるリプルも少なく、極めて安定度の高い電源を 構成できるからである。よって、ノイズを極端に嫌う無線機器や測定 器などには好んで用いられる。 ただし、ドロッパ・レギュレータは、入力電源である整流電圧と出 力電圧の差分を、すべて制御トランジスタが背負っている。そして出 力電流がそのまま制御トランジスタのコレクタ電流として流れる。な ので、出力電流の大きいものを作ろうとすると、このトランジスタに は大きな電力損失を生じてしまう。 電力損失はすべて熱になってしまうので、この制御トランジスタや ダイオードといった半導体類は、発熱によって使用許容温度を越えな いように、大きな面積の放熱器に取り付けなければならなくなってし まう。 そのため、ある程度大きな電力、例えば 20[W]程度以上の出力電力が 必要な場合には、電源部での電力損失が大きくなり、あまり用いられ ることはない。ただ、簡単な回路構成で高い信頼性が得られることは 捨てがたいメリットといえる。 商用周波数用トランス 大きくて重い、効率も悪い Trは不要な電力を熱として 放熱するので効率が低い Tr T DC出力 AC入力 大容量が必要 少ないとリプルが増加し、 Trの電力損失が増加 出力電量と同じ」電流が 流れて損失を発生する 回路構成は簡単、定電特性もよい 図3−7 ドロッパ・レギュレータ(シリーズ制御型)の構成 シリーズ・レギュレータとかシャント・レギュレータと呼ばれるド ロッパ・レギュレータに対して、図 3−8 に示すようなスイッチング・ レギュレータ方式では 70%以上の変換効率が得られる。したがって、 例えば、5V、6Aの電源の場合、ドロッパ・レギュレータでは 70Wの 損失であったものが、スイッチング・レギュレータだと 12[W]程度の損 失で済むことになる。なので、その分放熱に要する面識が少なくて済 む。 また、電源トランスは動作周波数が低いものほど大きくしなければ ならず、商用電源の 50/60[Hz]を変換するドロッパ・レギュレータでは、 重い大きなものとなってしまう。 一方、スイッチング・レギュレータでは、動作周波数を数十kHz にすることが容易なので、電力変換に使用するトランスは軽くて小型 のものでよいことになる。 このほか、ドロッパ・レギュレータでは、商用電源のトランスによ って、いったん電圧を下げてから整流して直流を得なければならない。 そのため整流回路には出力電流がそのまま流れ、整流ダイオードの損 失も大きく、平滑コンデンサも大型のものが必要となってしまう。 しかし、スイッチング・レギュレータでは動作周波数が数十[kHz]以 上になるので、平滑コンデンサも小型のものでよいことになる。 さらに、スイッチング・レギュレータは一般的に AC100[V]を直接に 整流した直流を入力源としますので、電圧が高い分だけ入力側の電流 が少なくて済み、整流ダイオードの損失を低減することができる。 ただし、スイッチング・レギュレータ方式は回路構成や動作が複雑 である。しかも、何にも増して、電気的なノイズを相当大きなレベル で発生してしまう。したがって、無線機、測定器、医療機器などの、 極めて微弱な信号を取り扱うものには不向きといわざるを得ない。 出力電流よりかなり小さな 電流で損失が少ない。 高周波トランス 小型軽量 ノイズ を発生 高周波用で 小型軽量 DC出力 AC入力 電圧が高いと 大きなエネル ギが取れる、 容量が小さく ても効率は低 下しない Trはスイッチング 動作で効率は良い がノイズを発生 Tr スイッチング トランジスタ PC パルス幅 制御回路 回路構成複雑、発生雑音が大きい 図3−8 スイッチング・レギュレータの構成 3−3 スイッチング・レギュレータとは 3−3−1 方式について 昨今の各種電子機器に使用される電源回路、電源装置は、特にアナ ログ回路的な面で問題がなければスイッチング・レギュレータを使う ということが当たり前のようになってきている。したがって、それだ けにスイッチング・レギュレータの方式は種々の目的にあわせて多岐 にわたっていて、正確な区別すら難しいような状態である。 しかし、それでも大ざっぱに分けてみると表 3−1 のような分類が でき、チョッパ方式と呼ぶものとコンバータ方式と呼ぶものに大別で きる。 ただし、チョッパ方式というのは基本的に入出力間を電気的に絶縁 することができないので、商用電源を使用するライン・オペレート型 電源としては使用できない。したがって、これはスイッチング・レギ ュレータと呼ぶにはふさわしくないのかもしれないが、直流から別の 直流電源を得るという DC−DC コンバータの用途には使用できる。つ まり、+5[V]から−5[V]電源を作ったりする用途である。 本格的なスイッチング・レギュレータはコンバータ方式と呼ばれる ものだが、その中でも主流になっているのが ・ 小型(小容量)ではRRC方式 ・ 中容量ではフォワード・コンバータ方式 ・ 大容量では多石式コンバータ方式 と呼ばれるものである。 また、スイッチング・レギュレータとは明らかに異なるが、似たよ うな技術を使うものに DC−DC コンバータというのがある。これは、 電圧を変換するだけでレギュレータ(電圧安定化)としての機能は特 に用意しない限り持ち合わせていないというものである。 表3−1 スイッチング・レギュレータの種類分け スイッチング・レギュレータ ・チョッパ方式 小型オンボード・ レギュレータなど (非絶縁型) ・コンバータ方式 ・フライバック・コンバータ方式 RCC方式 ・フォワード・コンバータ方式 ・多石式コンバータ方式 (絶縁型) (絶縁型) (絶縁型) 小容量 50Wくらいまで 中容量 150Wくらいまで 大容量 300Wくらいまで (絶縁型) カーバッテリ用インバータ など DC−DCコンバータ ・ロイヤー方式 ・ジュンセン方式 3−3−2 シリーズ・レギュレータとの損失の違い 従来までの主流であったシリーズ・レギュレータは、入力電力 VIN の 出力電圧 VO との差分を図 3−9 に示すように制御トランジスタのコレク タ−エミッタ間電圧 VCE として背負わせて、出力電圧を定電圧化させて いた。したがって、この状態では出力電流 IO が流れると、これは制御 トランジスタのコレクタ電流として流れるために、トランジスタの損失 PC が、 PC = IO ・ ( VIN − VO ) (3.1) となっていた。これは(3.1)式からも明らかなように、出力電流、およ びトランジスタに加わる電圧が直接消費電力に効くため、大変大きな 値となるのが一般的である。 これに対してスイッチング・レギュレータは、トランジスタが完全に ON 状態か、OFF 状態かの繰り返し(これをスイッチング動作という)で、 出力電圧を安定化している。このときトランジスタのコレクタ―エミッ タ間の電圧 VCE は、トランジスタが完全に ON 状態では VCE(sat)≦1[V]な ので、この間にコレクタ電流 IC が流れても、発生する電力損失は大き くならない。 また、スイッチング・トランジスタが OFF 状態ではコレクタ電流が 流れないので、当然、電力損失の発生をしない。これがスイッチング・ レギュレータの損失が小さいというポイントである。 ただし、このままでは出力は電流ではなくパルス波形となってしま うので、スイッチング回路の後には整流、平滑回路を付加して直流に 変換しなければならない。 部分がトランジスタ の損失になる トランジスタはONかOFF かのため損失が出ない 入力電圧Vin Vin 出力電圧 Vo Vo 0 0 Ton シリーズ・レギュレータ 図3−9 3−3−3 Toff スイッチング・レギュレータ シリーズ・レギュレータとスイッチング・レギュレータの損失 スイッチング・レギュレータの基本的な方式 スイッチング・レギュレータの方式には、先の表 3−1 に示したよう に多くの種類のものがある。そして、それぞれの方式には用途によっ て使い分けが行われている。 3−3−4 ローカル・レギュレータに適したチョッパ方式 スイッチング・レギュレータのもっとも簡単なものがチョッパ・レ ギュレータである。図 3−10 にこの特徴を示すが、このチョッパ・レ ギュレータは入出力間が電気的に絶縁れていませんので、使い方とし ては他励型の応用が多いようだ。 つまり、商用の電源トランスで AC ラインとの絶縁を行い、あとは必 要に応じてプリント板上(つまりローカル)に小さなチョッパ・レギュ レータを用意するというものである。この方式の特徴はトランスを使わ ないために小型にできるという点と、電圧の降圧だけでなく、昇圧や極 性変換も行うことができる点である。 3−3−5 50[W」以下で活躍するRCC方式 AC100[V]を直接入力するライン・オペレート型スイッチング・レギ ュレータを動作原理のうえから分類すると、フライバック方式とフォ ワード方式とになる。 フライバック方式とは、スイッチング・トランジスタが ON している 期間は出力トランスにエネルギを蓄積するだけで、出力への電力の伝 達をしないが、トランジスタが OFF すると、トランスの逆起電力で出 力は電力を放出する。なので、出力トランスの極性は図 3−11 のよう に、1 次側と 2 次側で逆極性に接続されている。また整流方式はコンデ ンサ・インプット型を採用している。 こ の フ ラ イ バ ッ ク 方 式 の 代 表 的 な も の が 、 RCC(Ringing Choke Converter)と呼ばれる自砺式のものである。RCC 方式は 50W 以下の電力 のものに好んで採用されている。というのは、この方式は回路構成が 簡単なので、安価に作ることができる。しかし、電力変換効率はあま り高くなく、大電力用には小型化するのが難しくなる。 またフライバック方式は、トランスの 2 次巻数をあまり多くしなく ても高い電圧を発生させることがでるので、高圧電源にもよく採用さ れている。テレビのフライバック・トランスとは、まさにこの用途の ために用いられているものである。 3−3−6 高周波に適したフォワード・コンバータ フォワード方式の代表的なのが、図 3−12 に示すフォワード・コ ンバータである。トランスの極性は、1 次側と 2 次側で同極性で接続 されるので、スイッチング・トランジスタが ON している期間に 2 次 側へ電力が伝達されている。 そして、このときに流れる電流でチョーク・コイル L にエネルギ が同時に蓄えられ、トランジスタが OFF すると逆起電力がダイオー ド D2 を通して流れている。ですから、2 次側にはいつも同じ電流が 流れ続けるので、出力リプル電圧もそれだけ小さな値になる。 フォワード・コンバータのトランジスタのコレクタ電流は、RCC 方 式のやく 1/2 となり、150[W]くらいまでの出力の電源に採用されて いる。また、この方式は高周波スイッチングに最適なので、スイッ チング素子にパワーMOS FET を利用した 500kHz の電源も製品化され ている。 i1 Tr1 Vin L Vin Io Vo TrのVce D i2 OFF ON ・入力と出力が絶縁されていない。 ・Tr1がONすると出力電流Ioを 流しながら、Lにエネルギを蓄える。 ・Tr1がOFFすると、OFFの逆起電力 で、Dを通して i2が流れる。 TrのIc 図3−10 チョッパ・レギュレータの特徴 Vin TrのVce ・入力と出力はトランスで絶縁されている。 ・NpとNsが逆極性。 ・Tr1がONの期間はNpにi1が流れ、 トランスにエネルギが蓄えられる。 ・Tr1がOFFすると、トランスの逆起電力 で出力側へi2を流す。 ・AC100V入力で50Wまでのものに 最適。 ・出力側の整流はコンデンサ・インプットなの で、チョーク・コイルが不要。 ・i1、i2共に最大値が大きい。 ・スイッチング周波数は30kHz程度まで。 Np Vin D i1 OFF Vo ON i2 Tr1 Ns TrのIc (i1) Nb i2 図3−11 RCC方式の特徴 ほぼ2Vin L Np Ns Vo D1 Vin Vin TrのVce Io i1 OFF D2 i3 ON i2 Tr1 TrのIc i2 i3 ・入力と出力はトランスで絶縁されている。 ・トランスのNpとNsは同極性。 ・Tr1がONするとNpにi1が流れる。同時 に出力側にi2が流れて出力電流Ioを流しなが らLにエネルギを蓄える。 ・Tr1がOFFするとLの逆起電力でD2を通し てioが流れる。 ・出力側はLを用いたチョーク・インプット型。 ・AC入力で150Wまでのものに使用される。 ・100kHz以上の高周波動作に適している。 i2、i3 0 図3−12 フォワード・コンバータの特徴 3−4 降圧チョッパ方式について チョッパ方式レギュレータは直流電圧を別の直流電圧に変換したい ときに利用するので、DC−DC コンバータ−の一種としてとらえられて いる。つまり、入力電源としてはバッテリが用いられたり、商用のト ランスによって降圧された整流電源などが用いられる。したがって、 ひとつのプリント回路板の中で別の直流電源を作ったりするオンボー ドレギュレータとしてもよく使用されている。 チョッパ・レギュレータは、図 3−13 に示すように入力電源をトラ ンジスタによって直接スイッチングする回路構成である。直流の入力 電圧 VIN をトランジスタによって高周波の電力に変換し、それを平滑 用のチョークコイル L とコンデンサ C で再度直流に変換するものであ る。 この回路における電圧変換のしくみは次のようになっている。今、 図 3−13 において、トランジスタ Tr が一定のデューティサイクルで ON/OFF を繰り返していることにすると。このとき、トランジスタが ON であれば入力電圧 VIN はチョークコイル L とコンデンサ C、さらに は負荷に対してエネルギを供給する。そして、L には電流が流れるこ とによってエネルギが蓄えられる。このとき、ダイオード D は OFF し ていますので、無いのと同じである。 次にトランジスタが OFF になると負荷へのエネルギの供給はなくな るのではないかと思いきや、今度はチョークコイル L に蓄えられてい たエネルギがダイオード D を通して供給されるのである。つまり、ダ イオードによって、チョークコイルに、蓄えられていたエネルギが還 流させられるのである。このダイオードのことを特にフライホイー ル・ダイオードと呼ぶことがある。 VIN ON OFF V CE(sat) IO IC Tr V IN 図3−13 L IF VF D 制御回路 + C チョッパ・レギュレータ(降圧チョッパ) 図 3−13 の回路のトランジスタの ON/OFF のスイッチング間隔、つま りデューティサイクルDを制御すれば、出力電圧 Vo の値を可変するこ とは予想がつく。 ディーティサイクルとは、トランジスタ Tr の ON している期間 Ton と、OFF している期間 Toff との比率で、これが、 D=TON/TON+Toff (3.2) と変化すると、出力電圧 Vo は Vo=VIN ・ D=VIN ・ TON/TON+Toff (3.3) と変化する。このように、トランジスタの ON/OFF 動作(チョッパ) を繰り返すことによって、入力電源と異なった電圧の出力電圧を得るこ とからチョッパ方式レギュレータと呼ばれている。しかし、この方式は 入出力間が絶縁されていないので、用途によっては注意が必要である。 3−5 フライバック方式について 3−5−1 フライバック方式 図 3−14 がフライバック・コンバータの基本型である。何らかの正 バイアスがスイッチング・トランジスタ Tr1 のベースに印加されると Tr1 は ON になる。そしてコレクタ‑エミッタ間の電圧は、飽和電圧 VCE(sat) となり、入力電圧がトランスの 1 次巻線に印加される。この時、トラ ンスの 2 次巻線は逆極性となっているので、2 次側のダイオード D1 に は電流が流れず、2 次巻線は開放状態と等しくなる。つまり、この状態 ではトランス内での電力の伝達は行われておらず、1 次巻線へ供給され たエネルギは、トランス内に蓄積されたことになる。 今、トランスの 1 次巻線のインダクタンスを LP、トランジスタの ON 期間を TON とすると、1 次電流は時間 T=TON で最大値となる 1 次関数的 に増加する波形となる。なので、1 次電流の最大値 I 1P は、 Ι 1Ρ = V IN ⋅ton LP (3.4) となる。したがってトランスには、 2 2 V ⋅ton 1 2 p = ⋅ LP ⋅ I 1P = IN (J ) 2 2L P (3.5) のエネルギが蓄積される。これは 1 パルス当たりのエネルギ量なの で、単位時間当たりでは周波数を f とすると、 2 V ⋅t 1 2 P = ⋅ LP ⋅ I 1P ⋅ f = IN on ⋅ f (W ) 2 2L P (3.6) となる。 トランスは極性が逆接なので、 Tr1がONでD1はOFFし、 トランスにエネルギを蓄える。 Tr1がOFFすると、逆起電力で D1がONし、トランスの エネルギを出力に放出する。 D1 i1 Vin Lp Ls Tr1 Io +Vo C1 0 Ic1 T 図3−14 フライバック・コンバータの基本構成 Tr1 が OFF した瞬間から、1 次巻線への電力の供給は停止しする。そ して同時にトランスの巻線には停止しする。次に、2 次側回路のダイオ ード D1 が同通し、トランス内の蓄積エネルギを出力側へ放出する。 コイルを流れる電流は連続になろうとするので、トランスを理想的 に考えると、 1 次対 2 次巻線の巻数に反比例した比率で電流は流れ出す。 この波形は、図 3−15 のように徐々に蓄積エネルギを放出しながら減 少していく。 トランスの 1 次側の巻数を NP、2 次側の巻数を NS とすると、2 次電流 の最大値 I 2 P は、 I 2P = NP ⋅ I 1P NS (3.7) となる。すると、トランスの 2 次端子電圧を V2、2 次巻線のインダ クタンスを LS とすると、2 次電流 I 2 は I 2 P から V2 /LS の比率で減少する ので、 I 2 = I 2P − V2 ⋅t LS = NP V ⋅ I 1P − 2 ⋅ t NS LS (3.8) と表すことができる。このように1次回路と 2 次回路の電流値と巻 数との積が等しい関係、すなわち、 I 1P ⋅ N P = I 2 P ⋅ N S (3.9) 以上を「等アンペア・ターンの法則」という。 I2p= Np Ns ・I1p 2次電流 I1p 1次電流 Ton Toff 図3−15 1次、2次の電流波形 ここで、直流出力電流を IO とすると、その値は 2 次巻線を流れる電 流 I2 の平均値となる。つまり、トランジスタの OFF 期間を Toff とする と、 IO = 1 ton+toff = ∫ toff 0 I 2 ⋅ dt 1 toff V2 ⋅ t dt I 2P − ∫ 0 T LS V2 ⋅toff 1 = I 2 P ⋅toff − T 2 LS 2 (3.10) = I 2 P ⋅toff 2T 2 次側はコンデンサ・インプット型整流となっているので、ダイオー ド D1 の順方向電圧を Vf とすると、トランスの 2 次端子電圧は図 3−16 のように、 V2 = VO + VF (3.11) と表せる。 Vf Io V2=Vo+Vf Vo(出力電圧) 0 図3−16 2次側整流回路 そして、Tr1 の ON 期間中にトランスに蓄えられた電力と、2 次側で 消費される電力とは等しくなければならない、つまり、 2 2 V ⋅ton 1 2 ⋅f LP ⋅ I 1P ⋅ f = IN 2 2 LP = I O ⋅ (VO + VF ) (3.12) の関係が成立する。 (3−5−9)式から、入力電圧や出力電流が変化すると、ON 時間 TON や 周波数 f の時間のパラメータを変えてやれば、出力電圧 VO を一定に保 つことができる。なお IO×VF の成分は出力電力とはならず、内部の電 力損失となってしまう。 3−5−2 蓄えたエネルギを放出するモード 次にトランジスタの ON 時間や周波数 f の時間のパラメータを変化さ せた時の動作モードがどう変化するのかを考えてみる。これは、トラ ンスが蓄えたエネルギを 2 次側でどのような時間のパラメータで放出 するかということである。そして、出力電圧 VO が一定という条件で、2 次電流 I2 を図 3−17 のように三つに分けて考えてみる。2 次電流の流 れる期間、つまりスイッチング・トランジスタが OFF している期間を Toff とすると、 (a) Toff 期間内にトランスの蓄積エネルギの放出が完了し、I2 の流れ ていない期間が存在する動作状態。 (b) T=Toff でちょうど I2=0となる動作状態。 (c) Toff 期間内にトランスの蓄積エネルギの放出が完了せず、 I2=0とならない動作状態。 以上の三通りが考えられ る。 I I I 1次、2次電流共に 直流バイアスが かかっている I2p I2pが大きくなる I2 I2p(最も小さくなる) I2 I2 I1 Ton I1 I1 Toff (a)Toff期間内に全部放出 T Ton Toff (b)Toff期間内にちょうど 放出してしまう T Ton Toff (c)Toff期間内に放出できない 図3−17 フライバック方式のいろいろな動作モード T 3−5−5 ①Toff期間内に全部を放出するモード (a)の動作状態では 2 次電流の流れている時間が短いので、同じ出力 電流 IO を流すには 2 次電流の最大値 I2P をその分大きくしなければなら ない。これは I2 の減少する傾斜をきつくするわけなので、トランスの 2 次巻線インダクタンス LS が小さくてよいことを示している。 I2 はすべて整流用コンデンサを流れる。コンデンサのリプル電流は I2 の実効値なので、三つの動作モードの中ではもっとも大きなリプル 電流となってしまう。つまり、同じ平均電流であれば、流通時間が短 ければピーク値を大きくしなければならない。そのため実効値も大き くなってしまう。 しかし、電解コンデンサはリプル電流によって発熱し寿命を短くし ますので、この方法はあまり好ましい動作状態であるとはいえない。 さらに、直流安定化電源の重要な特性である出力リプル電圧も大きく なり、悪い結果となってしまう。 ②Toff期間と同時に放出が終わるモード 次に(b)の動作モードを考えてみる。これは(a)と(c)との臨界点とい うことができる。実は RCC 方式は常にこの状態で動作をしている。 つまり、この方式は 2 次電流が 0 になった時点で、トランジスタ Tr1 がターン ON する。それから次のサイクルに移行するため、トランス 1 次か 2 次巻線には必ず電流が流れている。 ③Toff期間に全部放出できないモード トランジスタの導通期間中に蓄積されたエネルギが、OFF 期間中にす べて 2 次側へ放出し切れず、残留エネルギがある動作状態である。電 流波形としては、図 3−17 のように直流が重畳されて変化している。 よって、1 次、2 次の電流波形のピーク値はそれだけ小さくてよいこと になる。従って、回路部品の損失も出力リプル電圧も小さくなり、大 変都合のよい動作状態といえる。ところが、自励型の RCC 方式ではこ の動作状態を作ることができない。 これは発振周波数を固定した PWM 制御の他励型でのみ取り得る動作モードである。 3−6 トランスについて 昇圧回路に DC−DC コンバータを用いて設計するにあたって、まずト ランスとチョーク・コイルについて知らなければならないことが必須 である。それは、平滑用やフィルタ用としてならば標準品を採用する ことができる。しかし、複数の巻線を必要とするトランスやコイルは 標準品といえるものがほとんど存在しない。したがって、個々に巻線 の仕様を決定し、専用のものを作成する。 3−6−1 チョーク・コイル用コアの選定方法 動作周波数が数十 kHz の高周波になると、コアには商用周波数の電 源トランスに用いられているケイ素銅板を使用するわけにはいかない。 ケイ素銅板によるものは、鉄損といわれるコアの損失が大きくて、損 失による温度上昇が高くなってしまうからである。また、チョーク・ コイルを流れる電流は図 3−18 のように直流の上に高周波のリプル電 流が重畳されている。なので、直流電流による磁気飽和が絶対に生じ ないようにしておかなければならない。 この二つの条件を満たすものとしては、モリブデンを主成分とした ダスト・コアがある。ところが、高周波で鉄損の少ないダスト・コア では透磁率が低く、必要なインダクタンスを得るには巻線数を多くし なければならない。また、フェライト・コアも高周波での鉄損が少な いのだが、これは直流重畳の特性があまり良好でなく、EI 型や EE 型の 形状ではギャップを設けなければならない。しかも、ギャップを設け ると透磁率は低下するが、ギャップから磁束がもれてノイズの原因と なってしまう。したがって、現在のところではアモルファス・コア(非 晶質コア)のトロイダル型のものがもっとも優れているといえる。 コイルが磁気飽和すると このような電流波形となる Io リプル電流 0 Ton Toff 図3−18 チョーク・コイルに流れる電流 3−6−2 チョーク・コイルの例 ①FLシリーズ コアはドラム型のフェライト・コアで、これはドラム・コ アの上に直接コイルが巻かれていて、二本のリード線が出て おり、自立型でプリント基板に実装することができる。 ②HPコイル これはトロイダル型状のダスト・コアにコイルが巻かれて いている。標準品としては、流せる電流が 20A までの大電流 用途のものがある。トロイダル型状のコアは、ドラム型や EI 型などと比較してリーケージ・フラックスが少なく、周辺の 部品に与える雑音を低減できる。また、放熱の条件も良好で、 そのぶん小型にすることもできる。 ③CYチョーク コアはアモルファス金属で、CY コアとしても別に販売され ている。アモルファス・コアは、フェライト・コアに比べて 透磁率が高く、大きなインダクタンスを得ることができる。 そのうえ、高周波でのコアの損失が少ないからである。 3−7 動作原理 加速電源は、IC・LM2588 を用いたフライバック方式である。バッテ リー電圧 12[V]をトランスにより昇圧する。出力ラインから IC へのフ ィードバックラインに、抵抗値を可変させる回路(リモート可変回路) を組み込み、出力電圧を可変させる。H8 の制御入力信号により、IC 及 び、FET の ON/OFF を行い、0[V]、100[V]、300[V]の切り替えを行う。 以下に加速電源の回路図及び、ブロック図を示す。 Vin 12V FB 3A D4 D5 C1 C5 D1 C2 R9 D2 R8 C3 SW Vi n LM2588ADJ ON/OFF H8 5V:OFF Vout R10 COMP R7 FB G R6 R3 R2 R4 Vmon R5 H8 5V:OFF 65μA R1 Cmon MOS‑FET リモート 可変部分 C4 D3 図3−19 加速電源−回路図 VIN 入力ライン フィルタ IC LM2588 トランス 制御信号 フィード バック H8 リモート 可変回路 整流 平滑 回路 フィード バック 制御信号 図3−20 加速電源―ブロック図 V OUT 3−7−1 ICについて IC(LM2588)は、フライバック、ステップ・アップ(ブースト)、及び フォワード・コンバータの用途に設計された、 モノリシック IC である。 200[kHz]まで可変できる周波数発信機を内蔵しており、他のデバイス と同期させることも可能である。また、複数のデバイスを同じスイッ チング周波数で動作させることができる。 図3−21 LM2588の外観 LM2588 の特徴 ・少ない外付け部品 ・広入力電圧範囲:4[V]〜40[V] ・可変スイッチング周波数:100[kHz] 〜 200[kHz] ・外部シャットダウン機能 代表的アプリケーションは ・フライバック・レギュレータ ・フォワード・コンバータ ・多出力レギュレータ ・ ステップ・アップ・レギュレータ である。 以下に LM2588 のピン配置図及び、ブロック図を示す。 7‑ VIN GND 6‑ Freq.Sync 5‑ Switch 4‑ Ground 3‑ Feedback 2‑ Compensation 1‑ On/Off 図3−22 LM2588ピン配置図 VIN Switch 7 5 2.9V REGULATOR SHUTDOWN INTERNAL SUPPLY VOLTAGE ON/OFF and 1 Freq.Adj. FREQ. ADJ. 100kHz OSCILLATOR CURRENT LIMIT, THERMAL LIMIT,AND UNDERVOLTAGE SHUTDOWN CONTROL LOGIC DRIVER STAGE CORRECTIVE RAMP CURRENT SENSE 5A,65V NPN SWITCH AMP R SENSE DUTY CYCLE COMPARATOR 3 Feedback R1 0.3V 1.23V SOFT‑ START CYCLE‑SKIPPING COMPARATOR 6 2 4 Frequency Synchronization Compensation Ground R2 図3−23 LM2588ブロック図 3−7−2 出力電圧の設定 可変レギュレータの出力電圧は、図 3−24 及び、(3.13)式による抵 抗 R1 と R2 により設定される。抵抗 R1 と R2 は、1.23[V]の内部基準電 圧と比較できるように、出力電圧を分圧する。 Vout Vin Vin Comp Switch 可変レギュ レータ On/Off and Freq,Adj . R1 フィードバック R2 GND Freq,Sync . 図3−24 可変レギュレータ構成図 V OUT = V REF (1 + R1 ) R2 [V] (3.13) ただし、VREF=1.23[V]である。(3.13)式を応用し、100/300[V]の可 変出力が得られる様に抵抗を選定する。R1 の抵抗値は、加速電圧モニ ター(VMON)に関係している。加速電圧モニターは出力電圧の 1/100 の 値を H8 側へ返す設計となっている。従って、図 3−19 の R3 及び、R4 は、100:1 の設定値であり、R3=2.2[MΩ]とした場合、R4=22[kΩ] となる。R1 と R3 は、並列接続なので、R1 の抵抗値は、2.2[MΩ]とな る。よって、R2 の抵抗値は、(3.13)式より、 R1 = R 2( VOUT − 1) VREF (3.14) R2 を X と置き、VOUT=100[V]、VREF=1.23[V]の値を代入し、 [Ω] 2.2[ M ]=χ( 100 −1) 1.23 [ Ω ] (3.15) X = 27396.9828….. ∴R2 ≒ 27[kΩ] と求まる。 3−7−3 トランスの設計方法 スイッチング・レギュレータにおいて、トランスの設計は最も重要 である。トランスの設計により、ほとんどの動作や特性が決まってし まう。RCC 方式においては、発振周波数までもトランスによって決定さ れる。 図3−25 製作したトランスの概観 インダクタンス値の計算を行う場合、最低入力電圧時のデューテ ィ・サイクル D が 1/2 となるように設計する。その場合、i1 は図 3−26 のように、のこぎり波となる。 i1p i1 t on = t offでは i1ave = 1/4 i1pとなる i1ave t on t off t 図3−26 トランスNp巻線の電流 i1波形 電力変換効率をη、出力電圧を P0、入力電圧の最小値を VIN(MIN)、1 次 電流の平均値を i1(ave)とすると最大値 i1P は、 i1P = 4 × i1( ave ) = 4 × V IN 2 (min) η ⋅ P0 [ (3.16) A ] H ] となり、1 次巻線 NP に必要なインダクタンス LP は、 LP = V IN (min) ⋅ t on i1 P [ (3.17) 以上の式に、それぞれ 今回の設定条件で VIN = 12[V]、i1P = 4[A]、 ton = 5μ[sec]を代入し計算すると L P = 12 4 ⋅ 5 [H] ( 3.18) = 15[μH] しかし、以上の計算で求めたインダクタンス値では、通常は値が大 き過ぎてしまう。これでは、規定の出力電圧を得ようとすると、発振 周波数が低すぎて磁気飽和を起こす可能性がある。そこで、コアの実 効透磁率を下げて、必要値まで、インダクタンスを減らす必要がある。 実際は、EE 型のコア PQ20/16 を用いるので、図 3−27 のようにギャ ップを挿入する。 磁束の通路に2箇所の ギャップが存在する lg ギャップ センタ・ポール 磁束は左右の脚に 分かれて流れる 図3−27 コアのギャップ ギャップを求める計算式は以下のようになる 2 A ⋅N lg = 4π⋅ e P × 10 −8 ( mm ) LP (3.19) コアの有効断面積 Ag=62[mm2]、1次側巻数 NP=7 回 インダクタン ス LP=15[μH] を代入し計算すると、 0.62 ⋅ 7 2 −8 × 10 ( mm ) lg = 4π⋅ 15 × 10 − 6 (3.20) lg = 0.2545108….(mm) 求めた lg は、磁路内の合計ギャップの厚みである。センタ・ポール と外部の 2 ヶ所に、同時にスペーサを挿入するため、ギャップ紙の厚 みは lg/2 となる。よって、 lg ≒ 0.127(mm) の厚みのスペーサを挿入する。 3−7−4 PQ20/16コアについて C1 mm‑1 0.603 実効磁路長 le mm 37.4 実効断面積 e A 2 62 mm 実効体積 e V 3 mm 2310 中脚断面積 Acp mm2 60.8 2 Acp min. mm 58.1 巻線断面積 Acw mm2 47.4 g 13 12.0‑0 質量(組) Ф8.8±0.2 最小中脚断面積 14.0±0.4 10.3±0.3 16.2±0.2 Dimensions in mm 図3−28 PQ20/16コアの寸法図 20.5±0.4 コア定数 18.0±0.4 表3−2 PQ20/16コア パラメータ 図3−29 PQ20/16コアの写真 第4章 4−1 実験装置 真空装置について 図4−1 ガラスチャンバー ピラニ真空計 リ ー ク ゲ ー ト 真空装置の全景 高真空バルブ バルブ バルブ リ ー ク バルブ ロータリー ポンプ 1 電離真空計 ディフュージョン ポンプ 高真空バルブ リ ー ク バルブ 図4−2 真空装置の構成 ロータリー ポンプ 2 4−1−1 真空チャンバー 内部にスラスタを入れ測定するための装置。 図4−3 4−1−2 ロータリーポンプ 真空チャンバー (×2) チャンバー内、及びディフュージョンポンプ内の空気を粗引きするた めの装置。 図4−4 ロータリーポンプ 4−1−3 ディフュージョンポンプ ロータリーポンプで粗く真空にした後、さらに高い真空度にするため の装置。 図4−5 4−1−4 ディフュージョンポンプ ピラニ真空計 チャンバー内の真空度を測定する装置。2.0×103〜2.0×10―1[Pa] まで測定可能。 図4−6 4−1−5 ピラニ真空計 電離真空計 チャンバー内の真空度を測定する装置。×10−4〜×10−7[torr]まで測 定可能。 図4−7 電離真空計 4−1−6 Xe ガスタンク Xe( キ セ ノ ン ) ガ ス が 入 っ て い る タ ン ク 。 本 実 験 で は 、 Xe ガ ス を 0.3[sccm]を注入する。 図4−8 Xe ガスタンク ・装置の仕様 1) ロータリーポンプ A UST―100 OIL ROTARY VACUUM PUMP 100[L/min] NO.9909201 2) ロータリーポンプ B TUKUDA OIL―SEALED ROATRY VACUUM PUMP 300[L/min] NO.900015743 3) ピラニ真空計 OKANO WORKS LTD:AVP202N12 PIRANI GAUGE RANGE 0.2〜2000[Pa] NO.03J175 4) 電離真空計 Unitec IONIZATION GAUGE IG・8 RANGE 1.0×10−4〜10−7 真空装置の実験手順 1. リーク弁 を閉める。 2. 冷却系のスイッチを入れる。 3. ロータリーポンプ のスイッチを入れる。 4. ゲートバルブ を開ける。 5. ディフュージョンポンプのスイッチを入れる。 6. リーク弁 を閉める。 7. ロータリーポンプ のスイッチを入れる。 8. ゲートバルブ を開ける。 9. 2.0×10[pa]になったらゲートバルブ を閉める。 10. ゲートバルブ C を開ける。 11. クイックバルブを開ける。 12. 真空チャンバー内が 2.0×10 −5 [torr]になるまで待つ。 4−2 各電源・測定装置 プラズマの点火に使用した装置、イオン電流の測定に使用した装置とイオ ンの加速に使用した装置の構成を示す。 マイクロ波 スラスタ イオンコレクタ 点火用電源 点火器 Xe 加速用電源 イオン電流 1kΩ 1kΩ イオンコレクタ 用電源 V V 加速電圧 加速電流 図4−9 4−2−1 V コレクタ電圧 V 各電源・測定装置 点火用電源 スラスタ内の点火器に電流を供給するための定電流源。 本実験では、点火器側を 5[A] 、中和器側を 2[A]までとする。 図4−10 4−2−2 点火用電源 加速用電源 スラスタ本体に接続し、生成されたイオンに斥力を与えて加速するための電 圧源。本実験では 0〜300[V]まで印加する。 図4−11 4−2−3 加速電源 イオンコレクタ用電源 イオンコレクタに接続して、イオンの量に応じた電流を流すための電圧源。 図4−12 4−2−4 イオンコレクタ用電源 マルチメータ 複数チャネルからの電圧入力を、同時に計測できる。 図4−13 4−2−5 マルチメータ パワーメーター マイクロ波の電力をパワーセンサで検出して測定するための装置。電力を検 出し、電気信号に変換して測定する。100[kHz]〜90[GHz]まで測定可能。 図4−14 4−2−6 パワーメーター DC 電源 ゲート電圧-4.65[V]、ドレイン電圧 5.8[V]、ドレイン電流 500[mA]流すため に使用。 図4−15 DC 電源 4−2−7 イオンコレクタ スラスタから出てくるイオンを捕集するための金属板。 4−2−8 抵抗(1[kΩ]) 並列に接続された電圧計の読みから、電流を求めるためのもの。 4−2−9 点火器 一時的に電流を流して白熱させて、スラスタ内のガスに、プラズマを点火で きるだけのエネルギーを与える。 ・装置の仕様 1) 点火用電源 KIKUSUI ELECTRONICS REGULATED MODEL 2) DC CORP POWER SUPPLY POWER SUPPLY PAD 抽出電源(加速電源用) TAKASAGO LTD REGULATED DC GP0350−0.5 3) 引き出し用電源(イオンコレクタ用) TAKASAGO REGULATED LTD GP0500−1R DC POWER SUPPLY 4) マルチメータ GRAPHTEC THERMAL TYPE 5) CORP ARRAYCORDER WR8500 DC 電源 KENWOOD REGULATED DC POWER SUPPLY PR18−3A 点火手順 1. Xe(キセノン)を 0.3[sccm]流す。 2. 流れているのを確認した後、加速電圧を 100[V]まで上げる。 3. 点火器電源のスイッチを入れ、5[A]まで上げる。 4. μ波発振器のスイッチを入れる。 5. μ波アンプのスイッチを入れる。 6. 点火器のスイッチを入れる。 7. 点火した後反射が大きい場合、ラインストレッチャーで調整する。 4−3 エンジンについて エンジンヘッドについては,2002年に製作した中で一番優秀なタイプA― 2という形状を選んだ。 26.0 9.0 0.5 2.2 8.0 0.5 0.5 鉄 1.5 Sm-Co 真鍮 9.7 2.2 2.6 5.0 図4−16 図4−17 エンジンの仕様 マイクロ波エンジン概要図 ・点火器に使用したフィラメント 25%レニウム・タングステン ・使用した磁石 0.10[mm] を使用 材質はサマリウム・コバルト(Sm-Co)を使用。 本研究では、4×2×1.2[mm]の磁石を円状に26個並べ、エンジン上部に乗せ、 リング型磁石をエンジンにはめ込んでいる。 エンジン上部に乗せる磁石の磁場強度とリング型磁石の磁場強度下表に示す。 表4−1 下流側(角型 Sm-Co:4×2×1.2)磁石の各磁場強度 個数 磁場(G) 個数 磁場(G) 1 192 14 201 2 194 15 191 3 195 16 179 4 186 17 165 5 183 18 148 6 198 19 158 7 203 20 160 8 181 21 166 9 168 22 167 10 198 23 168 11 212 24 168 12 211 25 171 13 222 26 185 表4−2 リング型磁石の磁場 リング型(φ8×φ4×1.5) 2430[G] 4−4 マイクロ波ユニット マイクロ波ユニットの構成を図3−17に示す。本研究では、DC ブ ロック、アンプ、発振器、電源、整合回路は自作した。 エンジンヘッド アンテナ DCブロック コレクタ電源 ラインストレッ チャー 方向性結合器 アンプ 発振器 加速電源 図4−18 マイクロ波ユニットの構成 4−4−1 ラインストレッチャーと整合回路 マイクロ波回路の線路長を可変させて回路の整合をとる装置。 図4−19 ラインストレッチャー ラインストレッチャーで決めた線路長の整合を回路にしたもの。 図4−20は自作した整合回路である。 電源 図4−20 整合回路(表と裏) 4−4−2 方向性結合器 マイクロ波の入射波と反射波の一部(30 ㏈)を伝送路から別々 に取り出す装置。 この装置を使うことで、入射波と反射波の出力を測定すること が出来る。 図4−21 方向性結合器 4−4−3 DC ブロック スラスタ側からの電流が、マイクロ波アンプに逆流するのを防 ぐ装置。 図4−22 DC ブロック(表と裏) 図4−23は自作した DC ブロックである。 図4−23 自作 DC ブロック(表と裏) 4−4−4 発振器 周波数 1.5[GHz]のマイクロは発振器。 図4−24 発振器 4−4−5 マイクロ波パワーアンプ 発振器からのマイクロ波を増幅する装置。 図4−25 マイクロ波パワーアンプ 4−4−6 マイクロ波系電源 電源は、ゲート電源用、ドレイン電源用、発振器用の3つから 成り立っている。 図4−26 マイクロ波系電源 4−5 加速電源実験装置 実験装置及び、測定機器を以下に示す。 4−5−1 デジタルマルチメーターFLUSK75Ⅲ(精度は V=3.2[V]の時、 0.001[V]±0.4[%]+1) 図4−27 デジタルマルチメーターFLUSK75Ⅲの外観 4−5−2 オシロスコープ(TDS2000シリーズ) 表4−3 デジタルオシロスコープのパラメータ オシロスコープ一般使用 表示 表示方法 145mm(5.7 インチ、対角)液晶表示 表示分解能 320×240 ピクセル コントラスト 調整可能(温度補正) バックライト輝度 (代表値) 65cd/m2 プローブ補正出力 出力電圧 (代表地) 5V(≧1MΩの負荷において) 周波数 (代表値) 1kHz 電源 電圧および周波数 100〜120VACRMS(±10%)、45〜440Hz、CATⅡ 120〜240VACRMS(±10%)、45〜66Hz、CATⅡ 消費電力 30W 以下 ヒューズ 1A、T 定格、250V オシロスコープ一般仕様 図4−28 オシロスコープTDS2000シリーズの外観 4−5−3 LCRメータ トランスを製作する際、ギャップ作成時に使用 表4−4 LCRメータのパラメータ 表示 文字高 13mm、液晶 LCD 機能 キャパシスタンス・インダクタンス・抵 抗の測定 計測不能表示 「1」を表示部にて表示 仕様温湿度 0 〜 50℃、Max 80%RH サンプリングタイム 0.4 秒 電源 DC9V 006P 1 ケ 消費電力 L : DC 約 8mA C : DC 約 9mA R : DC 約 9mA 寸法 120(H)×72(W)×37(D) 重量 約 185g(電池含む) 図4−29 LCRメータの外観 4−5−4 Hitach製H8/3048 加速電源の制御には、Hitachi 製 H8/3048 を使用する(図 4−30) 。 機器性能の仕様はクロック周波数 16MHz、A−D・D−A チャンネル 8ch、 タイマ ITU5ch、シリアルポート 2ch である。この CPU の選定理由は、 多機能と言うだけではなく、宇宙放射線環境において、耐性を持って いるからである。 表4−5 H8/3048パラメータ 駆動電圧 5V 電流 50mA クロック周波数 16MHz 内臓メモリ 4kbyte A−D チャンネル 8ch、分解能 10bit ITU タイマ 5ch シリアル(SCI) 2ch ウォッチドクタイマ 1ch I/O ポート 78 本 図4−30 H8/3048の外観 4−5−5 LPKF 加速電源の回路基板は、基板加工機 LPKF (図 4−31)にて作成した。 コンマ単位の精密な基板の作製が可能である。 図4−31 基板加工機LPKFの外観 4−5−6 マイクロメータ トランスの製作にあたり、スペーサとして絶縁テープを挿入した。 絶縁テープの厚みを図る場合、5 枚、もしくは 10 枚を重ねマイクロ メータ(図 4−32)で厚みを測り、計測した値をその枚数で割り、1 枚の厚さを算出する。 図4−32 マイクロメータの外観(最小目盛0.01mm) 4−5−7 定電圧・定電流電源PR18−3A 図4−33 定電圧・定電流電源の外観(最大電圧18V・3A)PR18− 3A 第5章 5−1 実験方法 小型マイクロ波アンプの実験方法 このアンプは以前に(有)先端研で長田淳氏が作成した物である。アンプの回 路図と写真を以下に示す。 図5−1 図5−2 マイクロ波アンプ回路図 キューブサット用小型マイクロ波アンプ 実験方法 1 小型マイクロ波アンプを DC 電源と繋ぎ、ゲート電圧-4.65[V]、 ドレイン電圧 5.8[V]、ドレイン電流 500[mA]流し、出力を測定。 2 エンジンヘッドのみ真空チャンバー内に入れ、小型マイクロ波アンプ と組み合わせて作動確認を行う。 真空中で点火を行い、0〜300[V]まで 50[V]きざみで、ビーム電流を測 定した。また、10 回データを取った後、大気開放を 2 時間行い、再度 データを 10 回取得した。 3 小型マイクロ波アンプを真空チャンバー内に入れての点火実験。 真空中でのマイクロ波アンプの実験は、マイクロ波アンプを作動 させ、プラズマを点火させる事で確認する方法をとった。 4 真空中でのビーム電流とアンプの温度特性を測定。 真空中でのビーム電流とアンプの温度特性を測定した。温度測定には LM35DZ(ナショナル・セミコンダクタ製)を使用した。使用した素 子の特性上 1℃/10[mV]となっている。 5−2 発振器の実験方法 マイクロ波発振器の BBM は FDK 製の INA33B という VCO(電圧 制御発振器)を使用して作成した。発振器の回路図および写真を以下 に示す。 図5−3 発振器回路図 図5−4 発振器の写真 実験方法 1 新発振器の DC 電源と組み合わせての電圧変化による周波 数変化と出力変化の測定。 2 新発振器と組み合わせてのプラズマ点火実験および以前の 発振器との比較。 実験は、0〜300[V]まで 50[V]きざみで、加速電流とビーム 電流を測定した。 5−3 マイクロ波系電源の実験方法 マイクロ波系電源の回路図および写真を以下に示す。 0.1[μF] 7.5[mH]〜Vout = 4.4[V] IN VCB 6 Vin 3〜5 100[μF] UWT1C101MCR LM2651 Avin 7 COMP 0.1[μF] C3216JB2J222K 10 2.2[nF] SD(SS) 8 15[kΩ] 28.6[μH]〜Vout = 5.8[V] SW 1〜2 25.5[kΩ]〜Vout = 4.4[V] 44.2[kΩ]〜Vout = 5.8[V] FB 9 AGND 12〜13 4.7[nF] C3216JB2J472K PGND 14〜16 744inductunce-22[μH] OUT 2012サイズ精密チップ抵抗 RN732A MBRS340TR ISS344 147[μF] UWT1C101MCR+ 10.0[kΩ]〜Vout = 4.4[V] 12.0[kΩ]〜Vout = 5.8[V] 2012サイズ精密チップ抵抗 RN732A 図5−5 マイクロ波系電源回路図 図5−6 電源の写真 実験方法 1 電源用 IC LM2651 の動作確認。 電源の基盤加工に(有)先端技術研究所のLPKFを用いた。動作チェ ックの入力電源として Kenwood PR18-3A を使用し、入力ラインには AWG22 のツイストペア線を製作して実験を行った。 2 電源基盤(ゲート、ドレイン、発振器用)の3つを基盤加工 機で製作し、基盤に IC やコンデンサ等を取り付け、動作確認 を行い、出力を調べる。また、ドレイン電源用の正負反転コ ンバータを製作する 3 入力電源を一つにして各電源基盤の作動実験。 入力電圧 9.03[V]にしての各電源の出力を調べる。 入出力電圧と入出力電流を調べる。電源の入力端子の長さを 20[cm]とし た。 5−4 アンテナの最適化の実験方法 アンテナは自作で 1.0[mm]の真鍮棒で製作した。 また、実験のアンテナの位置は次に示す通りとなっている。 ※ 高さ→磁石からの高さ 横幅→中心からの長さ 図5−7 実験方法 1 アンテナの位置 エンジンヘッド内のアンテナの位置を決めるため、5つの大きさの違う アンテナを用意し、真空中に入れ、0〜300[V]まで 50[V]きざみで、加速 電流とビーム電流をそれぞれのデータを取った。 5−5 整合回路製作 図5−8 実験方法 整合回路(表と裏) 自作整合回路と組み合わせてのプラズマ点火実験。実験は、0〜300[V]まで 50[V]きざみで、加速電流とビーム電流を測定した。 整合回路製作方法 整合回路作成には出力端のインピーダンス、即ちプラズマインピーダンスの数値 を出す事が重要となる。 プラズマインピーダンス測定に関して直接測定する事は不可能である。そこで、 反射から、反射係数を算出、その反射係数からプラズマインピーダンスを算出する、 という方法をとる。算出過程を以下に記す。 反射係数をΓとすると、Γは入力波 a と反射波 b で次のように表される。 Γ=b a (5.1) ここで、入射波の出力に関しては、方向性結合器からパワーメーターを用いて測 定可能である。しかし、出力波はプラズマ中になる為出力の測定は不可能である。 そこで、パワーメーターと方向性結合器を使用して反射を測定し、入力波出力から 差し引く事で出力波出力を算出する。 今、入力波 a が次式で表される。 s V a= Z0 (5.2) この(2)式を 2 乗すると、 a = 2 r2 V Z0 (5.3) となる。ここで、電力の式 P = V2/R より、 2 a = Pin ※Pin:入力波出力 (5.4) として表される。このとき反射波の出力を Pref とすると、以下の関係が表される。 Pref = b (5.5) そして、反射波 b を式で表すと入力波 a と同様に s V b= Z0 (5.6) Z0 (5.7) として表される。 更に、(3)式と同様に、 b = 2 s2 V と表す事が出来る。 ここで、a、b 共に(3)、(6)式より算出し、(1)に代入する事で、反射係数Γ が算出可能となる。 この反射係数Γは次式で表す事が出来る。 Γ= ※ ・ ・ ・ ・ Z L − ZS* Z L − ZS (5.8) ZL〜出力側インピーダンス=プラズマインピーダンス ZS〜入力側インピーダンス *〜共役 この(8)式を展開すると次の様に変形できる。 −(ΓZ& s + Z& S* ) Z& L = Γ −1 (5.9) となる。ここで、ZS = RS + jXS とすると、(9)式は次のように変形する事が出来る。 ( Γ + 1) Z& L = − RS + jX S Γ −1 (5.10) となる。これによって出力側のインピーダンスを算出し、その値を元に整合回路を 作成する。 5−6 自作 DC ブロックの実験方法 図5−9 実験方法 自作 DC ブロックの写真(表と裏) 自作 DC ブロックと組み合わせてのプラズマ点火実験。実験は、0〜300[V]ま で 50[V]きざみで、加速電流とビーム電流を測定した。 5−7 マイクロ波ユニットの真空作動実験方法 実験方法 マイクロ波エンジンヘッド、DC ブロック、整合回路、アンプ、発 振器、方向性結合器、マイクロ波系電源を組み合わせ真空チャン バー内に入れ、プラズマ点火実験を行い、それぞれの出力を調べ た。真空中で作動可能できるか実験を行った。 真空チャンバー エンジンヘッド コレクタ アンテナ ラインストレッ チャー DCブロック 方向性結合器 アンプ 発振器 電源 整合回路 コレクタ電源 加速電源 図5−11 マイクロ波ユニットの真空作動実験概要図 図5−12 マイクロ波ユニットの写真 電源 エンジンヘッド 整合回路 方向性結合器 DC ブロック 発振器 アンプ DC電源 イオンビーム ビーム電流 加速電流 Ia エンジン コレクタ 加速電源 コレクタ電源 図5−13 ビーム電流測定概要 Ib 5−8 加速電源の作動実験 製作した加速電源回路基盤に、H8 を想定した複数電源による動作確 認を行った。動作確認終了後、電源を H8 に置き換えて実験した。以下 に実験手順を示す。 5−8−1 H8 を想定した実験手順 ① ② ③ ④ ブロック図のように、各種配線を行う。 Ⅰの安定化電源を ON にし、入力電圧を 12[V]とする。 Ⅱの安定化電源を ON にし、0V想定時の出力電圧を測定する。 Ⅱの安定化電源を OFF にし、Ⅲの安定化電源を ON にし、100[V] 想定時の出力電圧を測定する。 ⑤ Ⅳの安定化電源を ON にし、300[V]想定時の出力電圧を測定する。 5−8−2 H8 による実験 上の実験方法より、安定化電源を H8 に置き換えて実験を行う。 安定化電源 安定化電源 Ⅱ(5V) 安定化電源 Ⅰ(12V) Ⅰ(12V) Ⅲ(5V) 試験体 加速電源回路 (S/N 5020037) 図5−14 H8 を想定した実験方法ブロック図 図5−15 H8 想定時の実験風景 安定化電源 試験体 Ⅰ(12V) 加速電源回路 (S/N 5020037) パソコン H8 テスター:FLUKE 75Ⅲ 図5−16 H8 による実験方法ブロック図 図5−17 H8 による動作確認の実験風景 6−1 実験結果 実験結果 小型マイクロ波アンプの実験結果 1 アンプの作動実験の結果を以下の表6−1に示す。 表6−1 小型マイクロ波アンプ作動結果 VD[V] 5.8 VG[V] -4.65 ID[mA] 500 POUT[dBm] 30.4 Pin[dBm] 0.5 アンプの動作に関しては特に問題がなかった。しかし、効率が 38[%] となり、効率の数値自体はデータシートにあるものとほぼ同じ値なので 問題はないが、この効率でエンジンを動かす場合、目標である 3[W]以内 に消費電力を抑えることは困難であると考えられる。 2 エンジンヘッドのみ真空チャンバー内に入れ、小型マイクロ波アンプと組 み合わせて作動確認および出力の測定結果。 その結果と過去のデータを比較したグラフを図7−1に示す。 1000 950 900 850 Ib[μA] 第6章 自作アンプ 自作アンプ(大 気開放後) 過去のデータ (H15.2.7) 800 750 700 650 600 0 50 100 150 200 Va[V] 250 300 350 図6−1 新アンプと旧アンプのビーム電流比較図 グラフからわかるように、キューブサット用のマイクロ波ユニットで 行った実験の方が、過去のデータより多くなっていることがわかった。 この原因として考えられるのは、放電室の上流に設置しているリング磁 石の交換がある。リング磁石が破損してしまい、磁石を交換した為放電 室内の磁場が強くなり、ECR ポイントが磁場解析のデータにより忠実に なったと考えられる。その為、磁場解析のデータに合わせ最適化したア ンテナの先端が ECR ポイントに来ることで、このような結果になったと 考えられる。 3 小型マイクロ波アンプを真空チャンバー内に入れての点火実験結果。実 験は表6−2の条件で行った。 表6−2 真空中でのアンプ作動実験の各機器のパラメータ 真空度[torr] コレクタ〜エンジン間距離[mm] 3.4×10-5 12 加速電圧[V] 0〜300 点火電流[A] 2.8 点火電圧[V] 5 ゲート電圧[V] -4.4 ドレイン電圧[V] 5.8 ドレイン電流[mA] 800 以上の条件で 5 回点火実験を行い、5 回とも点火に成功した。これにより 真空中において現マイクロ波アンプでプラズマの点火は可能であること が分かった。 4 真空中でのビーム電流とアンプの温度特性を測定。測定結果 6−2に示す。 を図 700 600 600 500 500 400 400 300 300 200 200 100 100 0 Ib[μA] Vout[mV] 700 マイクロ波 アンプ温度 ビーム電流 0 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 時間[分] 図6−2 小型マイクロ波アンプの温度上昇 図6−4よりアンプ作動開始 5 分で 40 度以上まで上昇している。これ はアンプに取り付けた銅の放熱板に速やかに熱移動が行われた為と考え られる。その後曲線が緩やかになっているのは、放熱板とアンプの温度 差が近づいた為と考えられる。しかし、アンプ温度が 60 度以上とかなり 上昇していることが分かる。この値もアンプ本体に温度センサーを取り 付けた訳ではないので、アンプ本体は若干高い温度であることが十分予 測される。 ビーム電流に関して、予想したよりも減少量が少なかった。ただ、温 度上昇に伴いアンプの動作が不安定になる為か、値にばらつきが見られ る。 以上の実験から、放熱板をより大きく、且つより熱容量の大きい物へ 逃がす形をとることが必要である事がわかった。現時点ではフランジへ と逃がす方法が最適であると考えられる。 この実験結果より、小型マイクロ波アンプの動作とプラズマ点火・維 持に関しては特に問題は無いと言える。 6−2 発振器 実験結果 1 マイクロ波発振器の電圧変化による周波数変化と出力変化 の結果を以下の表6−3、6−4に示す。 表6−3 発振器作動実験 Vc[V] Vcc[V] Fout[GHz] Pout[dBm] 0 1 2 3 4 4.49 4.48 5.96 5.93 6.28 1.4895 1.509 1.5315 1.5525 1.572 3.156 3.181 5.187 5.01 5.101 5 6.57 1.594 5.074 表6−4 Vc = 0 時の発振器作動実験 Vc[V] Vcc[V] 0 0 0 3.01 3.17 3.7 Fout[GHz] 1.4895 1.4895 1.4895 Pout[dBm] -1.951 -0.977 1.28 以 前 ま で 使 用 し て い た 発 振 器 の 出 力 は 1.4[mW] ( 約 1.4[dBm])である。このことから、新発振器は充分な出力 を持つことが確認された。 2 新発振器と組み合わせてのプラズマ点火実験および以前の 発振器との比較。 実験結果は以下の図6−3に示す。 1600 1500 [μV] 1400 1300 Ib Ia 1200 1100 1000 900 800 0 50 100 150 200 加速電圧[V] 250 300 350 図6−3 自作発振器作動実験 実験結果より、今回作製した発振器でもプラズマの点火 と維持は可能であることがわかった。更に、以前まで使用 していた発振器と比較したグラフを以下の図6−4に示す。 [μA] 150 0 反射[mW] 60 140 0 55 130 0 50 45 1200 40 1100 35 100 0 30 900 25 Ib old Ib new Pref old Pref new 20 800 0 50 100 150 200 250 加速電圧[V] 300 350 図6−4 旧発振器と新発振器のビーム電流・反射比較図 旧発振器より新発振器のビーム電流が大きいのは、新発振 器の出力が若干大きかった為である。 この実験結果より、発振器の動作とプラズマ点火・維持に 関しては特に問題は無いと言える。 6−3 マイクロ波系電源の実験結果 実験結果 1 実験結果は以下の表6−5の様になった。 表6−5 動作試験結果 7 入力電圧[V] 入力電流[mA] 490 出力電圧[V] 5.8 出力電流[mA] 574 得られたデータからこの電源 IC の効率を計算した。計算式は以下の通 りである。 Pin = I in × Vin η= Pout 、 Pin Pout = I out × Vout × 100 (1) (2) となる。この計算式から得られた効率は約 96.4[%]となった。LM2651 の 最大効率は 97[%]である為限りなく近い電力変換効率を得られる事が分 かった。 2 それぞれ製作したゲート、ドレイン、発振器用電源の動作確認の結果と 正負反転コンバータの動作確認の結果。 表6−6 ゲート電源基板動作試験結果 ゲート電源 入力電圧[V] 9.02 出力電圧[V] 4.4 入力電流[mA] 6.53 出力電流[mA] 3.36 入力電力[mW] 58.9006 出力電力[mW] 14.784 効率[%] 25.09991409 表6−7 ドレイン電源基板動作試験結果 ドレイン電源 入力電圧[V] 9.02 出力電圧[V] 5.67 入力電流[mA] 380 出力電流[mA] 590 入力電力[mW] 3427.6 出力電力[mW] 3345.3 効率[%] 表6−8 97.59890302 発振器用電源基板動作試験結果 OSC 電源 入力電圧[V] 9.01 出力電圧[V] 3.66 入力電流[mA] 9.65 出力電流[mA] 10.92 入力電力[mW] 86.9465 出力電力[mW] 39.9672 効率[%] 表6−9 45.96757776 正負反転コンバータ作動試験結果 コンバータ 入力電圧[V] 4.4 出力電圧[V] -4.34 入力電流[mA] 3.36 出力電流[mA] -3.34 入力電力[mW] 14.784 出力電力[mW] 14.4956 効率[%] 98.04924242 ゲート、発振器共に効率がドレイン電源は効率が 90%であるのに比べ かなり低い事が分る。これは恐らくコイルによる直流抵抗が原因と考え られる。データシートに効率が最大になるには、直流抵抗を出力電力の 2%であると記載されている。今回の実験結果から、コイルは現時点で最 も直流抵抗が少ない WE-PD744777122(直流抵抗:0.11[Ω])を使用し たが、出力電力の 2%以内に収まっていない為、このように効率が低下し たと考えられる。より低い直流抵抗のインダクタを使用することで改善 可能であると考えられる。 しかし、どちらの基板もミリワットオーダーでの話なので、改善する 必要は無いと考えられる。 3 実験結果は以下の表6−10、6−11、6−12の様になった。 表6−10 同入力電源による各基板の出力電圧表 基板名 出力電圧[V] OSC 用 3.68 ゲート用 4.39 正負反転コンバータ 4.33 ドレイン用 5.74 表6−11 ゲート電源 入力電圧[V] 9.01 入力電流[mA] 6.39 出力電圧[V] 4.39 出力電流[mA] 3.37 表6−12 ドレイン電源 入力電圧[V] 9 入力電流[A] 0.5 出力電圧[V] 5.81 出力電流[A] 0.72 入力電圧は 9.03[V]、マイクロ波出力は 1.75[W]となった。これ によって各基板が十分作動する事を確認した。そのため、電源の入力端 子を一つにまとめた。 6−5 アンテナの最適化の実験結果 実験結果 新アンテナ1(高さ 3.4mm 1 横幅 3.5mm)で実験を行った。実験結果 は以下の図の通りである。 800 700 600 [μA] 500 Ib Ia 400 300 200 100 0 0 50 100 図6−5 150 200 Va[V] 300 350 新1アンテナ使用時の実験結果 新2アンテナ(高さ 3.35mm 2 250 横幅 4mm)で実験を行った。実験結果 は以下の図の通りである。 600 500 [μA] 400 Ib Ia 300 200 100 0 0 50 100 図6−6 150 200 Va[V] 250 300 新2アンテナ使用時の実験結果 350 新3アンテナ(高さ 5.25mm 3 横幅 3.8mm)で実験を行った。実験結果 は以下の図の通りである。 700 600 [μA] 500 400 Ib Ia 300 200 100 0 0 50 100 図6−7 4 150 200 Va[V] 250 300 350 新3アンテナ使用時の実験結果 新4アンテナ(高さ 5.6mm 横幅 3.0mm)で実験を行った。この実験 では点火しなかった。原因はアンテナの高さがありすぎたため、ECR ポイントからはずれたためだと考えられる。 5 新5アンテナ(高さ 3.3mm、横幅 3.8mm)で実験を行った。実験結果は 以下の図の通りである。 300 250 [μA] 200 Ib Ia 150 100 50 0 0 50 100 図6−8 150 200 Va[V] 250 300 350 新5アンテナ使用時の実験結果 700 600 [μA] 500 Ib-1 Ib-2 Ib-3 Ib-5 400 300 200 100 0 0 50 100 150 200 250 300 350 [V] 図6−9 新1〜5アンテナの出力の比較 図6−5〜図6−8は点火に成功した場合のビーム電流において統合 したものである。図6−9より、新しく作成したアンテナの中では、新 1 アンテナが一番出力が大きいことが分かる。しかし、新1アンテナの出 力はこれまで行ってきた実験の出力の半分程度しか出ていないため、ア ンテナの更なる改良が必要である。 6−5 自作整合回路の実験方法 実験結果は以下の通りである。Ib はビーム電流、Ia は加速電流である。 1200 1000 [μA] 800 Ic Ia 600 400 200 0 0 50 100 150 200 250 300 350 [V] 図6−10 自作整合回路と組み合わせての作動実験 自作 DC ブロックの実験結果 実験結果は以下の通りである。Ib はビーム電流、Ia は加速電流である。 800 700 600 500 [mA] 6−6 Ia Ib 400 300 200 100 0 0 50 100 図6−11 150 200 加速電圧[V] 250 300 自作 DC ブロックの実験結果 350 6−7 マイクロ波ユニットの真空作動実験の結果 実験結果は以下の通りである。Ib はビーム電流、Ia は加速電流である。 1500 [μA] 1200 Ib-1 Ia-1 Ib-2 Ia-2 900 600 300 0 0 100 200 加速電圧[V] 300 ※ 1はエンジンヘッドのみを真空チャンバー内に入れた場合 2はマイクロ波ユニットを真空チャンバー内に入れた場合 図6−12 真空動作実験の結果 図6−13 プラズマ点火時の写真 6−8 加速電源の作動実験結果 標準負荷 10[kΩ]において、100[V]想定時及び、300[V]想定時におい て、ほぼ想定された出力電圧を確認する事ができた。また、軽負荷 22[k Ω]においても同様に、ほぼ想定された出力電圧を確認できた。 出力電圧の 1/100 の値を H8 へ返す出力電圧モニター(VMON)、加速電流 値を H8 へ返す電流モニター(CMON)の正常な動作を確認した。各条件にお ける SW 端子波形(デューティサイクルの波形)を以下に示す。 表6−13 SW端子の各波形 入力電圧 測定ポイント 指令電圧 負荷 図 No. 12[V] sw 端子 100[V] 10[kΩ] 1 12[V] sw 端子 300[V] 10[kΩ] 2 12[V] sw 端子 100[V] 22[kΩ] 3 12[V] sw 端子 300[V] 22[kΩ] 4 GND 位置 ( VOLTS/DIV 10[V] TIME/DIV 2.5[μS] カップリング DC ) 図6−14 SW端子の波形その1 GND 位置 ( VOLTS/DIV 10[V] TIME/DIV 2.5[μS] カップリング DC ) 図6−15 SW 端子波形その2 GND 位置 ( VOLTS/DIV 10[V] TIME/DIV 2.5[μS] カップリング DC ) 図6−16 SW 端子波形その3 GND 位置 ( VOLTS/DIV 10V TIME/DIV 2.5μS カップリング DC ) 図6−17 SW 端子波形その4 各条件におけるSW端子の波形写真より、ほぼ想定した通りのデュ ーティサイクル波形を確認できた。 6−8−1 電力変換効率について 標準負荷及び、軽負荷での電力変換効率を測定した。ブロック図を 以下に示す。 ブロック図 加速電源 負荷抵抗 A 1 入力 V 出力 10kΩ 及び 22kΩ 1 DC電源 PR18‑3A (S/N 14725) テスター(電流計):FLUKE 75Ⅲ (電圧計):FLUKE 75Ⅲ デジタル オシロスコープ TDS2012 (S/N C014725) 図6−18 電力変換効率測定ブロック図 図6−19 電力変換効率―測定風景 6−8−2 計算方法 Pi = A1V1 η= PL <1 Pi PL = A2V2 Pi>PL (6.3) PL の電流値は、出力電圧及び、負荷抵抗より算出する。(6.3)式を用 いて、電力変換効率を求める。 6−8−3 計算結果 標準負荷:10kΩ 出力100V 効率 % 300V 効率 82% 軽負荷:22kΩ 出力100V 効率 300V 効率 % % 以上の電力変換効率が得られた。 第7章 1 結論 電気推進は、アンプ・DC ブロック・整合回路・発振器・電源を製作し、これら を組み合わせ、マイクロ波ユニットとして真空中でのエンジンの作動を確認す ることができた。これにより、マイクロ波ユニットの実験モデルを完成とする。 今後の性能向上のための課題として、アンテナ、マイクロ波伝送路の改良が必 要であると考えられる。 2 加速電源の製作にあたり、100[V]及び、300[V]想定時において安定した出力電 圧を確認した。これにより、地上での 0[V]、100[V]、300[V]の出力可能な加速 電源の設計・開発に成功した。今後の展開として、フライトモデルに向けた小 型化、改良を行う必要がある。また、耐久試験・真空試験なども行っていく。 参考文献 (1) 田中吹雪 北海道工業大学工学部応用電子工学科 2001 年度卒業論文 「外部磁場によるマイクロ波エンジンの逆流電子制御」 (2) 安達 渉 安保 英俊 上島 広史 北海道工業大学工学部応用電子工学科 白崎 健太 2002 年度卒業論文 「CubeSat に関する基礎研究」 (3) 栗木恭一、荒川義博「電気推進ロケット入門」、東京大学出版会、2003 (4) 東京大学荒川電気推進研究室 (5) 東京大学 CubeSat http://www.space.t.u-tokyo.ac.jp/cubesat/ http://al.t.u-tokyo.ac.jp/ (6) 戸川 (7) トランジスタ技術 SPECIAL No.28 治朗 「実用電源回路 「特集 (8) 最新・電源回路設計技術のすべて」、CQ 出版社、1997 トランジスタ技術 「特集 (9) 石川 設計ハンドブック」、CQ 出版社、2002 7月号 低消費電力&高効率回路の研究」、CQ 出版社、1998 智浩 北海道工業大学工学部応用電子工学科 1999 年度修士論文 「次世代型超小型衛星(マイクロサット)のシステム研究開発」 (10) National Semiconductor 社 (11) TDK 社 PQ シリーズ LM2588 データシート PQ20/16 コア データシート 謝辞 研究を行うにあたり、ご指導いただいた佐鳥新助教授に深く感謝の意を表しま す。そして、研究において、様々な助言を与えてくださり、研究に多大な協力を していただいた先端技術研究所の伊藤康正氏、金尚郁氏、福島充氏、木崎隆義氏、 長田淳氏に深く感謝の意を表します。 また、実験や実験以外のことでも様々な助言・指導をして頂いた北海道工業大 学修士の田中吹雪氏、上島広史氏にも心から感謝いたします。
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