第 25 回日本臨床内科医学会(北海道) プログラム

日臨内科医会誌
平成23年9月10日発行
Vol.26 No.3
Sept. 10, 2011
平成23年9月
第26巻 第3号
第
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十
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巻
第
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成
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録
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年
第 25 回日本臨床内科医学会(北海道)
プログラム・抄録集
学会長
西家
皞仙
会期および会場:平成 23 年 9 月 18 日(日),19 日(月・祝)
札幌コンベンションセンター
学会長挨拶㌀
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㌀(269)
会場案内,日程表,ご案内など㌀
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㌀(270)
プログラム
特別講演,教育講演,学会長講演,日臨内会長講演,シンポジウム,日臨内ワークショップ,
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㌀(283)
医療安全研修会,禁煙研修会,ランチョンセミナー ㌀
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㌀(289)
会員発表(口演,ポスター発表) ㌀
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学会実行委員会名簿㌀
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〈本部事務局〉 第 25 回日本臨床内科医学会事務局(北海道内科医会事務局)
〒 060-8627 札幌市中央区大通西 6 丁目 6 番地
北海道医師会事業第三課内
TEL:011-231-1726 FAX:011-252-3233
E-mail:naika-ikai @ m.doui.jp
〈運営事務局〉 株式会社コンベンションワークス
〒 001-0027 札幌市北区北 27 条西 15 丁目 6-3
TEL:011-727-7738 FAX:011-727-7739
E-mail:25jpa @ conv-s.com
〈学会ホームページ〉 http://conv-s.com/25jpa/
一般社団法人 日 本臨床内科医会
C
B
NN03HY訂A
ご 挨
拶
第 25 回日本臨床内科医学会 学会長
西家 皞仙
この度の東日本大震災により犠牲になられた方々のご冥福をお祈りし,被害に遭われた
皆様に対し,謹んでお見舞いを申し上げます.また,被災地域の一日も早い復興をお祈り
いたします.
平成 23 年 9 月 18 日(日)〜19 日(月・祝)の 2 日間,北海道札幌市で第 25 回日本臨床
内科医学会が開催されますのは,平成 5 年以来 18 年ぶりとなります.心より本医学会開催
の成功を祈念しております.本医学会は,広く臨床内科に携わる全国の医師が年 1 回,一
堂に会し,臨床に直結する諸問題について学術発表,討論をする場であり,その成果を今
後の医学,医療の発展に寄与することを開催趣旨および目的としております.
現在,わが国の医療は,医師の地域的偏在と診療科の偏在による医療崩壊が叫ばれるな
か,多くの問題を抱えておりますが,いまだに有効な施策がとられておりません.このよ
うな状況下でも日本臨床内科医会は国民の医療と健康を守らなければなりません.そして
明日への医療へと発展していきたいと考えております.
今回の医学会テーマは「最新医療から臨床内科の応用へ ―そして検証―」といたしま
した.最近の医学医療の進歩発展は目覚ましく,また,日臨内は長年にわたる大規模臨床
試験に参加し臨床医学を検証してまいりました.その結果,最新医学を病める人へ還元し
てきました.2 日間にわたる医学会では,
「日本の臨床医学の現状と展望」と題して猿田日
臨内新会長の講演,学会長講演,特別講演 3 題,シンポジウム 3 題,教育講演 7 題,日臨
内ワークショップ,禁煙研修会,医療安全研修会,ランチョンセミナー,口演による会員
発表 45 題,ポスター発表 12 題と,余裕をもった会場と時間配分のなかで十分な討論が期
待されます.
会場となります札幌コンベンションセンターは人口 190 万人余を擁する札幌市の東に位
置する白石区にあり,すでに多くの国際・国内学会の会場となっております.懇親会は初
日夜に医学会会場で行います.この会場で,日本臨床内科医会会誌最優秀論文賞と第 25 回
日臨内医学会長賞表彰が行われます.また,アトラクションとして「札幌平岸天神」によ
る「YOSAKOI ソーラン」を予定しております.皆様の一層の相互交流を進めていただき
たいと存じます.
四季に富んだ広大な面積を有する北海道は,気候も 9 月が最高といわれており,秋は海
の幸,山の幸ともにすばらしい味覚の季節となっております.また,観光では世界遺産の
「知床」をはじめ,
「支笏洞爺」,
「大雪山」
,
「阿寒」,「利尻礼文サロベツ」,「釧路湿原」の
6 つの国立公園,「ニセコ積丹小樽海岸」など 5 つの国定公園があります.
会員の皆様におかれましては,札幌開催の第 25 回日本臨床内科医学会に多くの先生方
のご参加を心よりお待ち申し上げます.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
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第 26 巻第 3 号
2011平成 23年 9 月
役員会・委員会・日程
会合名
日 時
会
場
階
部
屋
理事会
17:00〜18:00
札幌コンベンション
センター
1階
中ホール A
代議員会
18:00〜19:30
札幌コンベンション
センター
1階
特別会議場
19:30〜20:30
札幌コンベンション
センター
1階
中ホール A
医療・介護保険委員会
19:30〜21:30
札幌コンベンション
センター
1階
101 会議室
IT 委員会
19:30〜20:30
札幌コンベンション
センター
1階
102 会議室
12:00〜13:00
札幌コンベンション
センター
2階
202 会議室
8:00〜8:50
札幌コンベンション
センター
2階
206 会議室
学術部合同委員会
ニュース編集委員会
常任理事会
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9 月 17 日(土)
9 月 18 日(日)
9 月 19 日
(月・祝)
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23)年 9 月
第 25 回日本臨床内科医学会(北海道)
メインテーマ
最新医療から臨床内科の応用へ
―そして検証―
学会長
西家
皞仙(北海道内科医会会長
会
期
平成 23 年 9 月 18 日(日)
,19 日(月・祝
会
場
札幌コンベンションセンター
〒 003-0006 札幌市白石区東札幌 6 条 1 丁目 1-1
役員会
理
事
TEL:011-817-1010
会
平成 23 年 9 月 17 日(土) 17:00〜18:00
会
平成 23 年 9 月 17 日(土) 18:00〜19:30
札幌コンベンションセンター 1 階
代
議
員
札幌コンベンションセンター 1 階
常
任
中ホール A
特別会議場
理 事 会 平成 23 年 9 月 19 日(月・祝) 8:00〜8:50
札幌コンベンションセンター 2 階 206 会議室
委員会
学術部合同委員会
平成 23 年 9 月 17 日(土) 19:30〜20:30
札幌コンベンションセンター 1 階
医療・介護保険委員会
中ホール A
平成 23 年 9 月 17 日(土) 19:30〜21:30
札幌コンベンションセンター 1 階 101 会議室
I
T
委
員
会 平成 23 年 9 月 17 日(土) 19:30〜20:30
札幌コンベンションセンター 1 階 102 会議室
ニュース編集委員会
平成 23 年 9 月 18 日(日) 12:00〜13:00
札幌コンベンションセンター 2 階 202 会議室
【本部事務局】第 25 回日本臨床内科医学会事務局(北海道内科医会事務局
〒 060-8627 札幌市中央区大通西 6 丁目 6 番地
北海道医師会事業第三課内
TEL:011-231-1726
FAX:011-252-3233
E-mail:[email protected]
【運営登録事務局】株式会社コンベンションワークス
〒 001-0027 札幌市北区北 27 条西 15 丁目 6-3
TEL:011-727-7738
FAX:011-727-7739
E-mail:[email protected]
【学会ホームページ】http://conv-s.com/25jpa/
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日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011/平成 23年 9 月
279
参加者ならびに座長・発表者へのご案内
参加者の皆様へ
ઃ.学会参加手続き
◆事前参加登録済みの方
・事前にお送りした参加証(ネームカード)をご持参し,事前参加受付までお越しください.
◆当日参加登録される方
・当日参加受付までお越しください.
・当日参加登録費は 15,000 円,同伴者の参加登録費は 3,000 円です.
◆ネームカードケースは受付にご用意いたします.
・会期中はネームカード(参加証)を必ずご着用ください.
◆参加受付時間について
参加登録受付の方は,下記時間内に受付を行います.
受付場所:札幌コンベンションセンター 1F エントランスホール
受付時間:9 月 18 日(日)
8:00〜18:00
9 月 19 日(月・祝) 8:00〜13:00
※日臨内会誌第 26 巻第 3 号(プログラム・抄録集)をご持参ください.
઄.懇親会について
下記の通り懇親会を開催いたします.
日時:平成 23 年 9 月 18 日(日) 18:30〜20:30
会場:札幌コンベンションセンター大ホール AB(学会第 1 会場)
※懇親会費は参加登録費に含まれております.ぜひご参加ください.
અ.コングレスバッグ配布について
・コングレスバッグ引き換え所にてお受け取りください.
આ.その他
◆研修証明書について
学会出席者には,日本臨床内科医会認定医・専門医研修として 20 単位と出席件数 1 件が与え
られます.また,日本医師会生涯教育制度自己申告のための証明書 10 単位(カリキュラムコー
ド:1 専門職としての使命感,2 継続的な学習と臨床能力の保持,4 医療倫理,7 医療制度と法
律,8 医療の質と安全,10 チーム医療,11 予防活動,12 保健活動,13 地域医療,14 医療と福
祉の連携,21 食欲不振,29 認知能の障害,45 呼吸困難,53 腹痛,73 慢性疾患・複合疾患の管
理,74 高血圧症,75 脂質異常症,76 糖尿病,80 在宅医療,82 生活習慣)が与えられます.
◆呼び出しについて
会場内での呼び出しは行いません.総合受付付近の会員連絡板をご利用ください.
◆喫煙について
喫煙は指定の場所でお願いします.
◆ランチョンセミナーについて
セミナー開催会場にお弁当のご用意がありますのでぜひご参加ください.
280
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23)年 9 月
ランチョンセミナー参加へは整理券が必要です.整理券は 1F エントランスホールで朝 8:
00 から配布予定です.
口演発表の皆様へ
会員発表は,パソコン発表のみで,会場には Windows 7 および PowerPoint2003,2007,2010
がインストールされたパソコンをご用意いたします.Macintosh の用意はありませんので,ご
注意ください.発表データは CD または USB フラッシュメモリのメディアにてご持参くださ
い.動画や音声の発表はできません.35 mm スライドや OHP,ビデオテープでの発表もでき
ませんので,ご注意ください.
①会場にお越しになる前に,必ずご自身で 1F 大ホール C「PC センター受付」へ発表 30 分前
までにお立ち寄りください.PC 受付に発表データの入ったメディアをご持参いただき,
所定の機器で動作確認を行ってください.メディアは当日発表されるデータ以外は入れな
いようにしてください.
②データ確認が終わりましたら,発表予定時刻の 15 分前までに各会場内左手前方の「次演者
席」に着席し,待機してください.
③登壇と同時に,スライドショーの 1 ページ目を主催者で表示いたします.プレゼンテー
ションは演台上のマウス(キーボード)を操作して,ご自身で行ってください.
④発表時間 5 分,質疑応答時間 2 分で行います.
⑤質疑応答は座長の指示に従い,所属・氏名を告げた後,発言してください.なお,時間厳
守でお願いします.
⑥発表の際は,提出されている抄録の内容を著しく変更しないでください.
⑦PC に取り込んだ発表データは,発表修了後,すべて消去いたします.
※パソコンをご持参の方は,発表時刻の 30 分前までに PC 受付にて動作確認を行ってくださ
い.その後,発表 15 分前までに会場内左手前方の「次演者席」に着席し,待機してください.
<データ作成および会場での取り扱いについて>
会場内の PC は Windows 版 PowerPoint2003,2007,2010 を使用いたします.
①Windows に標準搭載されているフォント(MS ゴシック,MSP ゴシック,MS 明朝,MSP
明朝など)のみ使用可能です.これ以外のフォントを使用した場合,文字・段落のずれ,
文字化け,表示されないなどのトラブルが発生する可能性があります.
②PowerPoint のスライド枚数に制限はありませんが,発表時間内に終了するようにしてく
ださい.
③画面の解像度は XGA(1024×768)です.解像度がこれより大きい場合は,画面の周囲が
切れてしまうことがありますので,ご注意ください.
④発表内容の写真などは,JPEG など汎用フォーマットで再生可能な形式としてください.
⑤発表データは,CD または USB フラッシュメモリのメディアにてご持参ください.CD は
汎用に再生できるようにしてください.
⑥発表データを CD にコピーする場合は,ファイナライズ(セッションのクローズ・使用し
た CD のセッションを閉じる)作業を必ず行ってください.この作業を行わなかった場合,
データを作成した PC 以外でデータを開くことができなくなり,発表が不可能になります.
⑦Macintoch でプレゼンテーションデータを作成される方は,ご自身の PC をお持ちいただ
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23@年 9 月
281
くか,上記 Windows 環境の PC にて動作確認を行ったデータをご持参ください.
Macintosh 本体をお持ち込みされる場合は,外部モニター出力端子の形状を必ず確認し,
必要な接続用のアダプターをご持参ください.接続は MiniD-sub15 ピン 3 列コネクター
(通常のモニター端子)となります.あらかじめ,スクリーンセーバー・省電力機能は解除
してください.
⑧不意のアクシデントに備えて,会場ではバックアップデータを発表者ご自身が携行してく
ださい.取り込んだデータは主催者で責任をもって管理し,
学会終了後に消去いたします.
ポスター発表の皆様へ
会員発表(ポスター)発表者の方々へ
・ポスターはあらかじめ指定された時間内に,指定された場所(ご自身の演台番号のパネル)
に貼付してください.発表後は指定された時間内に撤去してください.
・ポスター発表は以下のように行います.
貼付
9 月 18 日(日)
09:00〜11:00
発表
9 月 18 日(日)
11:00〜11:50
撤去
9 月 19 日(月・祝)
12:00〜12:50
なお,撤去時間が過ぎても外されずに
20cm
70cm
残っているポスターは,主催者にて処分い
たしますので,ご注意ください.
20cm
・ポスター発表者はポスター会場前のポス
ター受付にて発表の 30 分前までに受付を
No
演題名・演者名・所属
90cm
すませてください.
・ポスター掲示可能スペースは横 90 cm×縦
160cm
160 cm(ポスターパネルのサイズは横 90
cm×縦 210 cm)です.主催者にてパネル
左上に演題番号(20 cm 四方)を用意しま
す.
・ポスター貼付用の押しピンは主催者で用意
します.これ以外のピンやテープ類は使用
しないでください.
・ポスター発表に際して,発表開始時間の 10
分前までに,ご自身のポスター前に待機し
てください.
・発表時間 5 分,質疑応答 2 分で行います.
282
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23)年 9 月
下方 30cm 位は空けて
ご利用ください。
30cm
210cm
第 25 回日本臨床内科医学会
プログラム
平成 23 年 9 月 18 日(日) 学会 1 日目
札幌コンベンションセンター
開会の辞
8:55〜9:00
北海道内科医会 副会長
第 1 会場
会員発表(口演)
谷口
博
9:00〜9:50
推薦演題
Ⅰ-1〜7
第 1 会場
消化器疾患
Ⅱ-1〜7
第 2 会場
呼吸器疾患,感染症,血液・造血器疾患,臨床検査
Ⅲ-1〜7
第 3 会場
循環器疾患,その他
Ⅳ-1〜6
第 4 会場
腎・尿路疾患,内分泌疾患,代謝異常
Ⅴ-1〜6
第 5 会場
神経疾患,筋肉・関節疾患,腫瘍,地域医療関連内科領域
Ⅵ-1〜6
第 6 会場
地域医療関連内科領域,その他
Ⅶ-1〜6
第 7 会場
特別講演Ⅰ
10:00〜10:50
座長:浜上
第 1 会場
裕一(北海道内科医会 監事
高血圧の治療―最近のトピックス
札幌医科大学 学長
教育講演Ⅰ
10:00〜10:50
座長:木村
島本
和明
第 2 会場
孝(北海道内科医会 副会長
大きく変わったリウマチ治療
NTT 東日本札幌病院 院長/北海道大学
/
名誉教授
教育講演Ⅱ
10:00〜10:50
座長:伊藤
小池
隆夫
第 3 会場
正美(北海道内科医会 理事
間質性肺炎の診断と治療
札幌医科大学医学部内科学第三講座 教授
教育講演Ⅲ
10:00〜10:50
座長:本間
高橋
弘毅
第 4 会場
久登(北海道内科医会 理事
認知症の診断と治療
札幌医科大学医学部神経内科学講座 教授
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
下濱
俊
2011平成 23年 9 月
283
特別講演Ⅱ
11:00〜11:50
座長:渡邉
第 1 会場
直樹(札幌医科大学医学部臨床検査医学講座 教授
臨床医からのž橋渡し研究¢への挑戦
札幌医科大学分子標的探索講座 特任教授
会員発表(ポスター)
11:00〜11:50
新津洋司郎
ポスター会場
呼吸器疾患,循環器疾患
P Ⅰ-1〜6
代謝異常,学際的内科領域,地域医療関連内科領域,その他,腎・尿路疾患,感染症
P Ⅱ-1〜6
ランチョンセミナー 1
12:00〜12:50
座長:後藤
第 2 会場
由夫(日本臨床内科医会 名誉会長
糖尿病患者における血糖・血圧・脂質管理の重要性
東海大学医学部内科学系腎内分泌代謝内科 准教授
鈴木
大輔
共催:ファイザー株式会社
ランチョンセミナー 2
12:00〜12:50
座長:木村
第 3 会場
孝(静和記念病院 院長
2 型糖尿病の新しい治療戦略
旭川赤十字病院糖尿病・内分泌内科 部長
森川
秋月
共催:小野薬品工業株式会社
ランチョンセミナー 3
座長:下濱
12:00〜12:50
第 4 会場
俊(札幌医科大学医学部神経内科学講座 教授
認知症〜最近の診断・治療・ケア〜
京都大学医学部附属病院老年内科 講師・診療科長
武地
一
共催:エーザイ株式会社
ランチョンセミナー 4
12:00〜12:50
第 5 会場
座長:佐久間一郎(カレスサッポロ北光記念クリニック 所長
日常診療の中での積極的脂質管理の意義〜LDL/HDL-C
/
比の有用性〜
武田病院グループ予防医学・EBM センター長/京都大学医学部
/
臨床教授 桝田
出
共催:塩野義製薬株式会社
ランチョンセミナー 5
12:00〜12:50
第 6 会場
座長:南須原康行(北海道大学病院医療安全管理部 准教授
呼吸器感染症に対する抗菌薬使用の考え方〜患者満足度とは?
川崎医科大学総合内科学 1 准教授 宮下
共催:アステラス製薬株式会社・大正富山医薬品株式会社
284
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23年 9 月
修行
ランチョンセミナー 6
12:00〜12:50
座長:橋本
第 7 会場
洋一(苫小牧東病院 院長
人はなぜ肩がこるのか―肩こり研究会の挑戦―
大阪厚生年金病院脊椎外科 部長
細野
昇
共催:日本臓器製薬株式会社
学会長講演
13:00〜13:20
座長:坂牧
第 1 会場
純夫(北海道内科医会 理事
最近の診療報酬推移と規制―検査を中心に―
第 25 回日本臨床内科医学会 学会長,北海道内科医会 会長 西家
皞仙
セレモニー(日臨内会長挨拶,医学会長挨拶,来賓挨拶等)
13:25〜13:55
第 1 会場
日臨内会長講演
14:00〜14:50
第 1 会場
座長:西家 皞仙(第 25 回日本臨床内科医学会 学会長
日本の臨床医学の現況と展望
日本臨床内科医会 会長 猿田
シンポジウムⅠ
15:00〜18:00
享男
第 2 会場
「消化器悪性疾患における内科治療の進歩」
座長:高後
裕(旭川医科大学内科学講座
消化器・血液腫瘍制御内科学分野 教授
西里
卓次(北海道内科医会 副会長
ઃ.大腸がん診療における薬物療法の位置付けのその評価
旭川医科大学内科学講座消化器・血液腫瘍制御内科学分野 教授
高後
裕
札幌医科大学医学部内科学第四講座 教授
加藤
淳二
徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部消化器内科学 教授
高山
哲治
小野
裕之
઄.肝・胆道・膵領域におけるがん薬物療法の進歩
અ.胃癌の化学療法―最近の進歩―
આ.上部消化管早期癌に対する ESD
静岡県立静岡がんセンター内視鏡科 部長
ઇ.総合討論
シンポジウムⅡ
15:00〜17:30
第 3・4 会場
「インフルエンザ―最近の動向―」
座長:柏木征三郎(国立病院機構九州医療センター 名誉院長
Ⅰ.特別講演「鳥,ブタ,そしてパンデミックインフルエンザ騒動を斬る」
北海道大学大学院獣医学研究科 教授
喜田
宏
2011平成 23年 9 月
285
(人獣共通感染症リサーチセンター センター長
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
Ⅱ.日臨内インフルエンザ研究より
座長:岩城
紀男(日本臨床内科医会インフルエンザ研究 特任理事
ઃ インフルエンザにおける迅速診断キットの成績と HI 抗体価測定の成績
九州大学先端医療イノベーションセンター臨床試験部門長・特任教授
池松
秀之
઄ インフルエンザの流行状況とワクチン,抗イ薬の有用性について
日本臨床内科医会インフルエンザ研究班 班長
河合 直樹
અ 家族内感染の観察から得られたインフルエンザ(H1N1)2009 の特徴
―2010/11
/
年シーズンの流行を終えて―
日本臨床内科医会インフルエンザ研究班 副班長 廣津
伸夫
Ⅲ.総合討論(座長:岩城紀男,コメンテーター:柏木征三郎
医療安全研修会
16:30〜17:20
座長:橋本
第 5 会場
洋一(北海道内科医会 理事
「現実の医事紛争事案から学ぶ患者への対応〜医療側の常識と患者側の常識〜」
弁護士法人佐々木総合法律事務所 弁護士 佐々木泉顕
懇親会
18:30〜
第 1 会場
9:00〜9:50
第 1 会場
平成 23 年 9 月 19 日(月・祝) 学会 2 日目
札幌コンベンションセンター
特別講演Ⅲ
座長:長瀬
清(北海道医師会長,北海道内科医会 顧問
消化器癌の予防はどこまで可能か?
北海道大学大学院医学研究科がん予防内科学講座 特任教授 浅香
シンポジウムⅢ
10:00〜11:50
正博
第 1 会場
「次期診療報酬・介護報酬同時改定の展望」
座長:余
門野
昌英(日本臨床内科医会 副会長
豊(北海道内科医会 理事
ઃ.中医協審議の現況
京都府医師会 副会長 安達
秀樹
઄.なぜ診療報酬・介護報酬同時改定見送りを提案したのか
日本医師会 副会長
中川
俊男
全日本病院協会 会長
西澤
寛俊
અ.次期診療報酬・介護報酬同時改定の展望
આ.平成 24 年度診療報酬改定と臨床内科医の方向性
―前回診療報酬改定の影響を踏まえて―
日本臨床内科医会 常任理事 清水惠一郎
ઇ.総合討論
286
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23年 9 月
教育講演Ⅳ
10:00〜10:50
第 2 会場
座長:櫻井 正之(北海道内科医会 理事
エビデンスに基づく慢性心不全治療
北海道大学大学院医学研究科内科学講座循環病態内科学分野 教授 筒井
教育講演Ⅴ
10:00〜10:50
裕之
第 3 会場
座長:秋野 公孝(北海道内科医会 理事
消化器がんの分子標的治療の現状と今後の展望
札幌医科大学医学部内科学第一講座 教授 篠村
日臨内ワークショップ
10:20〜11:50
恭久
第 4 会場
座長:望月 紘一(日本臨床内科医会 副会長
ઃ.日本臨床内科医会会員健康度アンケート調査(第 2 報
日本臨床内科医会総務部・調査研究委員会 担当常任理事 安田
福輝
઄.「各地域における認知症診療の現状アンケート調査」の解析結果
日本臨床内科医会社会医療部・地域医療委員会 担当常任理事
座長:中
平田 泰彦
佳一(日本臨床内科医会 副会長
અ.JPPP,JPPP-GI の進行状況と学術各班の今後の課題
日本臨床内科医会学術部学術委員会 担当常任理事 菅原
正弘
આ.原発性アルドステロン症の実態調査
日本臨床内科医会学術部循環器班 班長
教育講演Ⅵ
11:00〜11:50
座長:谷口
中尾
正俊
第 2 会場
博(北海道内科医会 副会長
糖尿病性腎症の病態と治療―新たな展開―
旭川医科大学内科学講座病態代謝内科学分野 教授 羽田
教育講演Ⅶ
11:00〜11:50
座長:坂牧
勝計
第 3 会場
純夫(北海道内科医会 理事
血液疾患治療の最近の動向
北海道大学大学院医学研究科内科学講座血液内科学分野 教授 今村
ランチョンセミナー 7
12:00〜12:50
雅寛
第 2 会場
座長:西村 正治(北海道大学大学院医学研究科呼吸器内科学 教授
マクロライド系抗菌薬をどう使うか?〜新たな展望を見出す〜
東北大学加齢医学研究所抗感染症薬開発研究部門 教授
渡辺
彰
2011平成 23年 9 月
287
共催:ファイザー株式会社
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
ランチョンセミナー 8
12:00〜12:50
座長:木村
第 3 会場
孝(静和記念病院 院長
不眠と生活習慣病―ラメルテオン製剤の効用―
東京女子医科大学東医療センター 病院長
大塚
邦明
共催:武田薬品工業株式会社
ランチョンセミナー 9
12:00〜12:50
第 4 会場
座長:三好 秀明(北海道大学大学院医学研究科内科学講座・第二内科 講師
糖尿病の治療目標とその実践
信州大学大学院医学系研究科加齢病態制御学(糖尿病・内分泌代謝内科)教授 駒津
光久
共催:サノフィ・アベンティス株式会社
ランチョンセミナー 10
12:00〜12:50
第 5 会場
座長:柏木征三郎(国立病院機構九州医療センター 名誉院長
これからのインフルエンザ診療
九州大学先端医療イノベーションセンター臨床試験部門長・特任教授
池松
秀之
共催:第一三共株式会社
ランチョンセミナー 11
12:00〜12:50
座長:青木
第 6 会場
伸(青木内科クリニック 院長
高用量メトホルミンの使い方
医療法人社団糖友会 栗原内科 院長
栗原
義夫
共催:大日本住友製薬株式会社
ランチョンセミナー 12
12:00〜12:50
第 7 会場
座長:狩野 吉康(JA 北海道厚生連札幌病院 副院長
FibroScan による肝弾性度の測定は何を意味するか?
北海道社会保険病院消化器センター センター長 古家
乾
共催:中外製薬株式会社
禁煙研修会
13:00〜13:50
第 2 会場
座長:髙村 一郎(北海道内科医会 理事
医療マネジメントとしてのタバコ・コントロール―最近の禁煙治療を中心に―
札幌社会保険総合病院 院長
閉会の辞
13:50〜13:55
北海道内科医会 副会長
288
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23年 9 月
秦
温信
第 2 会場
木村
孝
会
員
発
表
9 月 18 日(日)
口
演
発
表
●第 1 会場(推薦演題)
◆座長:藤原
木村
9:00〜9:50
哲司(日本臨床内科医会学術委員会 委員長
直躬(日本臨床内科医会会誌編集委員会 委員長
Ⅰ-1.進行膵癌の診断契機となった臨床所見の検討
札幌共立五輪橋病院消化器病センター
本間
久登,他
Ⅰ-2.ピタバスタチン投与初期および早期の腎機能に及ぼす影響
角田医院
角田
弘一
佐々木
吉明
Ⅰ-3.在宅療養から脳死肺移植を行われた間質性肺炎の一例
北見中央病院
Ⅰ-4.ARB 内服で効果不十分な高血圧患者に対する多施設共同観察研究(S-RCH Study
長野内科胃腸科
長野
正裕,他
岩崎病院内科
岡本
紳也,他
貴田
秀樹,他
Ⅰ-5.EPA 少量投与の有用性
Ⅰ-6.進行性核上性麻痺例(PSP),大脳皮質基底核変性症例(CBD)の
死亡例についての臨床的検討
貴田神経内科・呼吸器科・内科病院
Ⅰ-7.高齢者・神経難病・がん患者における胃瘻の実態と
取り扱いガイドライン作成についての提言
医療法人若葉会 近藤内科病院・総合内科・緩和ケア科
●第 2 会場(消化器疾患)
◆座長:板谷
近藤
彰
9:00〜9:50
晴隆(北海道内科医会 理事
Ⅱ-1.経鼻上部内視鏡検査の現状と有用性
くらみつ内科クリニック
倉光
智之
Ⅱ-2.新しい穿刺針とアンカー付固定糸を用いた胃壁固定術・胃瘻造設術
札幌共立五輪橋病院・消化器病センター
岡本
哲郎,他
Ⅱ-3.成人に発症した特発性腸重積症の 1 例
広島共立病院内科 Wong Toh Yoon,他
Ⅱ-4.動注化学療法は進行膵癌の全身化学療法無効後の二次治療としても有効である
札幌共立五輪橋病院消化器病センター
本間
久登,他
藤本
研治,他
Ⅱ-5.C 型肝炎治療における Real-time Tissue Elastography・LE Score による
非侵襲的肝線維化評価法
国立病院機構 南和歌山医療センター臨床研究部
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
20115平成 23年 9 月
289
Ⅱ-6.肝疾患患者における腹部 CT 検査前補食の検討
清田病院消化器内科 村松
博士,他
Ⅱ-7.経皮内視鏡的 S 状結腸瘻造設にて在宅療養中の一例
北見中央病院
●第 3 会場(呼吸器疾患,感染症,血液・造血器疾患,臨床検査)
◆座長:皆川
佐々木吉明
9:00〜9:50
忠久(北海道内科医会 理事
Ⅲ-1.プライマリケアにおける COPD の早期発見と治療介入の試み
要町病院呼吸器内科
吉澤
孝之,他
川本
仁,他
Ⅲ-2.マイコプラズマ気管支炎の咳期間と気流閉塞に対する SFC の有用性
川本内科小児科呼吸器科クリニック
いびき・睡眠時無呼吸管理センター
Ⅲ-3.タミフル・カロナール投与後胆汁うっ滞型肝障害を認めた 1 例
今村クリニック 今村
憲市
Ⅲ-4.脳外科から紹介された鉄欠乏性貧血の一例
為久会 札幌共立五輪橋病院・血液腫瘍内科
古川
勝久,他
Ⅲ-5.赤芽球瘻癆の 1 例
大分県立病院血液内科
佐分利能生,他
Ⅲ-6.Eltrombopag により治療した primary immune thormbocytopenia の 3 症例
苫小牧市立病院内科
神田 真聡,他
Ⅲ-7.MHLW Respiratory Virus Cartridge(RVNATSP)を用いた
インフルエンザ感染症診断検査の臨床的有用性の検討
順天堂大学医学部附属練馬病院 朴
●第 4 会場(循環器疾患,その他)
◆座長:髙村
宗晋,他
9:00〜9:50
一郎(北海道内科医会 理事
Ⅳ-1.頸動脈不安定プラークの臨床評価
中藤クリニック
中藤
秀明
大阪府内科医会 泉岡
利於
Ⅳ-2.アドヒアランスを考えた生活習慣病のコントロールについて
Ⅳ-3.大阪府内科医会糖尿病患者アンケートに関する降圧剤の検討
大阪府内科医会
泉岡
利於,他
Ⅳ-4.長期降圧療法下における降圧目標血圧値達成率と脳心腎血管の新規イベント発症率の検討
―経年的推移の調査―
西内科・循環器科 西
征二
Ⅳ-5.アムロジピン効果不十分高血圧患者に対するテルミサルタン
またはカンデサルタンの併用効果の検討
あらいクリニック
Ⅳ-6.生活習慣病予防
新井
外来における栄養指導(微量元素をどうとるか
医療法人社団真成会 野口医院
290
正,他
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
20115平成 23年 9 月
野口
眞利
●第 5 会場(腎・尿路疾患,内分泌疾患,代謝異常)
◆座長:山本
9:00〜9:50
秀樹(北海道内科医会 理事
Ⅴ-1.大腸内視鏡検査日の早朝起床時随時尿より求めた
尿中食塩排泄量/経口食塩摂取量比:Salt
/
Index に関する検討
守口敬任会病院内科
大山
恭夫
Ⅴ-2.臨床内科医の糖尿病診療の実態―大阪府内科医会における調査結果より
大阪府内科医会 竺原
俊光,他
Ⅴ-3.DPP-4 阻害薬ビルダクリプチンの使用経験
医療法人野村内科医院
野村
俊也
Ⅴ-4.混合型インスリン製剤から基礎インスリンと経口糖尿病薬の併用(BOT)への切替
石川県済生会金沢病院内科 古川
健治
Ⅴ-5.DPP-4 阻害剤ビルダグリプチンの薬効効果
中田医院
中田 邦也
Ⅴ-6.テストミール負荷試験によるピタバスタチンの食後代謝異常に及ぼす影響
角田医院
●第 6 会場(神経疾患,筋肉・関節疾患,腫瘍,地域医療関連内科領域)
◆座長:橋本
角田
弘一
9:00〜9:50
洋一(北海道内科医会 理事
Ⅵ-1.トリプタン製剤による急性冠症候群を発症した 22 歳男性の一例
公立八女総合病院脳神経外科
坂本
六大,他
Ⅵ-2.Paramyotonia congenita の一例
神津内科クリニック
神津
仁
Ⅵ-3.当院での PEG 施行例に関する考察
苫小牧東病院
橋本 洋一,他
善仁会市民の森病院 膠原病・リウマチセンター
日高 利彦,他
Ⅵ-4.当院における高齢者への抗 TNF 製剤の治療効果と安全性
Ⅵ-5.開業 20 年間で経験した悪性疾患 290 例の検討
秦医院
秦
一敏
多賀
浩美
Ⅵ-6.口から食べられなくなったらどうしますか:特養での看取りの実践
太郎田医院
●第 7 会場(地域医療関連内科領域,その他)
◆座長:松本
9:00〜9:50
修二(北海道内科医会 理事
Ⅶ-1.地域連携クリティカルパス〜紙ベースからインターネット環境への展開〜
和歌山県内科医会 田中内科医院(和歌山市医師会会長) 田中
章慈
Ⅶ-2.福島第一原発事故に医師として対峙して
医療生協わたり病院 齋藤
紀
Ⅶ-3.高齢者糖尿病の診療の問題点―自験症例からの考察―
美波町国民健康保険由岐病院内科
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
本田 壮一,他
20115平成 23年 9 月
291
Ⅶ-4.地域での病診連携,多職種連携で支えるがん患者終末期の在宅緩和ケア
医)社団 坂本医院 坂本
仁
Ⅶ-5.開業医の処方意図を,どのようにして調剤薬局薬剤師に伝えるか?
医療法人 坂東ハートクリニック 坂東 正章
Ⅶ-6.高齢社会における保健医療福祉の諸問題(第 19 報
東京内科医会 斉藤
ポ
ス
タ
ー
発
表
●ポスター会場(呼吸器疾患,循環器疾患)
◆座長:櫻井
欣一,他
11:00〜11:50
正之(北海道内科医会 理事
PⅠ-1.当院における高齢者肺炎の特徴と現状
静和記念病院内科
小野
博美,他
静和記念病院内科
小野
博美,他
静和記念病院内科
小野
博美,他
PⅠ-2.微熱と食欲不振を主訴に診断された左膿胸の 1 例
PⅠ-3.当院における高齢者心臓ペースメーカー留置術の現状
PⅠ-4.高齢者高血圧は体幹,下半身筋の凝りが大きな因子
(医)南和会 大川橋診療所 小延
知暉
PⅠ-5.プライマリケアにおける新規高血圧治療患者の背景
―年齢・治療開始の契機についての検討―
高知医療生活協同組合・四万十診療所 横矢
隆宏,他
PⅠ-6.当院における ARB イルベサルタンの使用経験
医療法人社団 長尾医院
長尾
信
●ポスター会場(代謝異常,学際的内科領域,地域医療関連内科領域,その他,腎・尿路疾患,感染症) 11:00〜11:50
◆座長:外園
光一(北海道内科医会 理事
PⅡ-1.骨粗鬆症患者におけるリセドロネートの抗動脈硬化作用
大橋クリニック
大橋
剛
PⅡ-2.手指レイノー症状に対する耳 warming の試み
札幌厚生病院 齋藤
巌,他
PⅡ-3.新型インフルエンザパンデミック時における広島県民(高校生以上)の
行動に関するアンケート調査
県立広島病院 桑原
正雄,他
PⅡ-4.HMGB1;新規脳梗塞バイオマーカー
公立八女総合病院脳神経外科
菊池 清志,他
PⅡ-5.腹部腫瘤を伴った前立腺癌の 1 例
静和記念病院内科 小野
博美,他
PⅡ-6.鎖骨上窩のリンパ節腫脹を契機に診断された結核性リンパ節炎の 1 例
静和記念病院内科 小野
292
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
20115平成 23年 9 月
博美,他
抄
録
●学会長講演
最近の診療報酬推移と規制
―検査を中心に―
第 25 回日本臨床内科医学会 学会長
西家
北海道内科医会 会長
皞仙
現在,わが国の医療は平均寿命,乳児死亡率の低さ,がん治療成績など世界一の水準と
いわれているが,総保健医療費支出の対 GDP 比,および一人当たり保健医療費支出にお
いては OECD 加盟国の平均より下位に位置しているなど多くの問題をかかえている.
医療においては,医師の地域的偏在と診療科の偏在による医療崩壊が叫ばれるなか,多
くの問題をかかえており,いまだに有効な施策がとられていない状況にある.このような
状況下でも,地域住民の医療を支えている日本臨床内科医会は国民の医療と健康を守らな
ければならない.そして明日の医療へと発展していきたいと考える.
一方,保険診療を担う医師は,療養担当規則の下,
「保険医療機関及び保険医療養担当規
則」は局長告示であるが,遵守する必要がある.また,
「診療報酬点数の解釈」の留意事項
では課長通知などで規制され,特に最近の改定では,区分の新設,項目の新設・削除およ
び注の変更など包括・統合は進み,内容は複雑多岐にわたり規制されている.
全国的な審査基準の標準化,診療報酬明細書の紙から電子媒体請求化への移行,さらに
画面審査が導入され,診療報酬点数の解釈なども,保険者再審の返戻も多岐にわたり,診
療側の一層の注意を喚起する必要がある.
講演では,
「診療報酬点数表の解釈で規制されている検査」として,検査を中心に約 800
項目を下記のように分類し言及する.
Ⅰ.主たるもののみ算定(2 項目以上),Ⅱ.対象疾患の診断など規制,Ⅲ.
期間・回数・部
位・臓器・項目などの規制,Ⅳ.
厚生労働大臣施設基準,Ⅴ.遺伝子検査,悪性腫瘍手術組
織,抗悪性腫瘍剤及び根治度など規定している.
例示すると,悪性腫瘍遺伝子検査では,患者本人の肺がんおよび大腸がんには,EGFR
遺伝子検査または K-ras 遺伝子検査を,患者 1 人につき 1 回に限り算定する.詳細な診断
および治療法の選択のため,目的,結果および選択治療法を診療報酬明細書の摘要欄に記
載する.悪性腫瘍遺伝子検査,血液細胞核酸増幅同定検査または免疫関連遺伝子再構成の
うちのいずれかを同一月中に併せて行った場合には,主たるもののみ算定する.免疫関連
遺伝子再構成は,悪性リンパ腫,急性リンパ性白血病または慢性リンパ性白血病の診断の
目的で検査を行った場合に,6ヵ月に 1 回を限度として算定できる.血液細胞核酸増幅同定
検査は,別に厚生労働大臣の定める基準に適合し,届け出た保険医療機関において,2ヵ月
に 1 回を限度として算定できる.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011"平成 23#年 9 月
295
●日臨内会長講演
日本の臨床医学の現況と展望
日本臨床内科医会 会長 猿田
享男
基礎医学研究に比して遅れが指摘されてきた日本の臨床医学において,この 10 数年間
かなりの変化がみられてきた.平成 11 年 1 月に発生した横浜市立大学医学部附属病院で
の患者取り違え事故を契機として,病院における診療内容が開示され,国民に開かれた医
療体制となってきた.各病院では医療事故を防止し,安全な医療を提供するため,チーム
医療を充実させてきた.
医療の提供体制の変化とともに,各診療領域において診療レベルの向上のため,従来の
経験的医療から,evidence based medicine(EBM)が重視されるようになった.EBM 普及
のための一方策として,診療ガイドラインの作成が有用であるとされた.しかしその作成
に必要な日本人のエビデンスが乏しいことから,諸領域で多くの大規模臨床試験が実施さ
れてきた.最近になってその成果が実り,立派なガイドラインが多数作成され,臨床医学
の向上に大きく貢献してきている.
以上のような臨床医学の変化は,臨床医の養成体制にも影響し,大学における臨床教育
や卒後の臨床研修制度が見直されることになった.これまで努力義務にすぎなかった旧医
師臨床研修制度から,基本的な診療能力を幅広く修得させる制度への改革が求められ,平
成 12 年に医師法等の一部が改正され,卒後の 2 年間の臨床研修が義務付けられ,平成 16
年から新しい臨床研修制度が始まった.このような制度の変更に伴い,従来の医療体制に
混乱を生じてしまったが,すでに 5 年が経過し,医療体制も徐々に落ち着いてきたように
思われる.今後,大学の医学・医療や地方の病院等がどう発展していくのか,その対応が
注目される.このような制度改革に,将来を担う若手医師は満足しており,一時的な影響
を受けた国民には,これまで以上に優れた安全な医療が提供されると思われる.
大学では,若手医師が以前より減少し,最先端研究の遅れが懸念されているが,これま
での臨床・教育・研究体制に問題がなかったわけではない.新しい制度の下で,しっかり
した体制の確立が待たれる.すでに最先端研究の進め方に変化がみられており,最先端の
医学研究をいかに早く国民に届けるのか,また経済発展に繋げるのか,橋渡し研究の推進
に力が入れられ,さらに新薬の開発や治験の実施に積極的に参加するようになってきた.
今回の講演では,以上のような臨床医学の変化とその対応について述べてみたい.
296
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23年 9 月
●特別講演Ⅰ
高血圧の治療―最近のトピックス
札幌医科大学 学長 島本
和明
高血圧は,患者数が約 4000 万人と最も頻度の高い生活習慣病で,脳卒中(脳出血,脳梗
塞),心臓病(心肥大,心不全,冠動脈疾患)
,腎臓病(慢性腎臓病,腎不全)などの合併
症の大きな危険因子である.それ故,血圧管理はこれら合併症の予防と治療の上で重要で
ある.日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン(JSH2009)における高血圧患者の降圧
目標は,130/85
/ mmHg 未満であるが,高齢者では 140/90
/ mmHg 未満,糖尿病,慢性腎臓
病,心筋梗塞既往患者では,130/80
/ mmHg 未満となる.しかしながら,実際の臨床におけ
る,降圧目標達成率は 30%までいっていないのが現状である.
高血圧治療は,通常は,JSH2009 に沿って治療が行われるが,まず降圧目標達成率を向
上させることが,緊急の重要課題であり,医師と患者で医療情報を共有し,治療実績を上
げていくというコンコーダンスの考えが大切となり,当然服薬アドヒアランスの向上にも
連なる.
降圧薬としては,Ca 拮抗薬,ARB,ACE 阻害薬,降圧利尿薬,b 遮断薬の 5 薬剤が第一
選択薬である.最近,ARB と利尿薬,Ca 拮抗薬との合剤が使用可能となり,服薬アドヒア
ランス向上,強力な降圧効果,廉価という特徴を有し,降圧目標達成に大きな貢献が期待
される.
さらに,新しい RAS 抑制薬として直接的レニン阻害薬(DRI)も使用可能となっており,
ACE 阻害薬,ARB,DRI という 3 つの RAS 抑制薬の使い分け,併用の可能性と適応が今
後の課題となる.
JSH2009 が 1 月に公表されたあと,2009 年秋に ESH/ESC
/
ガイドライン(2007)に対し
ての再評価が ESH/ESC(2007)の作成責任者である
/
Mancia らによって報告されている.
従来のガイドラインによる降圧薬療法に対して,最近のエビデンスの面から糖尿病合併高
血圧,脳卒中合併高血圧,心血管疾患合併高血圧,他リスクのない軽症高血圧の治療の是
非など,いくつかの課題を指摘している.本邦の高血圧治療における新しいエビデンスを
含めて高血圧治療のアップデートを紹介する.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011$平成 23%年 9 月
297
●特別講演Ⅱ
臨床医からの橋渡し研究への挑戦
札幌医科大学分子標的探索講座 特任教授 新津洋司郎
基礎研究で得られた seeds を臨床の場に生かしていく研究,つまり橋渡し研究の重要性
が指摘されるようになって久しい.しかしそういった研究の多くはもともと基礎学者の発
想によるものであり,臨床の現場からの needs を発想としているものはきわめて少ない.
演者は 40 年間臨床医として患者に直接接して来た経験から,必要に迫られて橋渡し研
究的なものを手探りして来た.幸いその内のいくつかは臨床の場に還元されたか,あるい
は前臨床の段階に進んだ.たとえば慢性肝炎に対するしゃ血療法は数年前保険適応になっ
た治療法だが,その基礎研究(理論的背影の構築)は,慢性肝炎から肝硬変へ,さらには
肝癌へと移行していく多くの患者を診ながら,どうも鉄含有食が症状を悪化させるという
観察がきっかけになっている(Kato J, et al. J Clin Invest, 15;984:923-929, 1996).現在
はより直接的に肝硬変を治療させる方法の開発に取り組んでいるが(Sato Y, et al. Nature
Biotechnol, Apr;264:431-442, 2008)
,その切っ掛けになったのも,きわめて身近な方が
この病態に悩んでいるのを知った事による.また大学院生の頃,最初に主治医となった患
者が急性骨髄性白血病の再発で短い人生を終えられたのが長い間頭に残り,再発予防薬の
開発を本気になって始める切っ掛けとなった(Matsunaga T, et al. Nature Med, Sep;99:
1158-1165, 2003)
.また,臨床の場に籍を置くと新しく開発された診断機器が持ち込まれ
て来て,応用法の開発を依頼される事がある.そんな事も橋渡し研究の切っ掛けになる.
大腸の拡大内視鏡を用いた前癌病変(ACF)の検出(Takayama T, et al. N Engl J Med, Oct
29;339 18:1277-1284, 1998)と そ の 大 腸 癌 予 防 へ の 応 用(Takayama T, et al. Clin
Cancer Res, 2011 Mar 8, 2011)はまさにそのようなものである.この研究は現在がんの分
子標的薬の開発へと思わぬ展開をみせている.
本講演では以上のような内容,つまり演者の個人的な体験を基にした橋渡し研究を述べ
るつもりだが,何がしかの成果について言及する事ができるとすれば,それは常に患者さ
んに接しながら,同じ志を持った多くの臨床家に恵まれたためと考えている.
298
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23年 9 月
●特別講演Ⅲ
消化器癌の予防はどこまで可能か?
北海道大学大学院医学研究科
浅香
がん予防内科学講座 特任教授
正博
わが国の死亡原因のトップは,悪性新生物すなわち癌であります.そのなかでも,胃癌
2 位,大腸癌(結腸癌+直腸癌)3 位,肝臓癌 4 位,膵臓癌 5 位と消化器癌が上位を独占し
ています.したがって,わが国における癌診療の多くは主として消化器病医によってなさ
れているといっても過言ではありません.
わが国の消化器癌における診療のレベルはきわめて高く,膵臓癌を除くと 5 年生存率は
世界のトップを走っています.たとえば,胃癌は世界各国で最も予後の悪い癌として知ら
れており,欧米諸国やアジア諸国の 5 年生存率は 20%を切っています.ところが,わが国
では胃癌の 5 年生存率はほぼ 60%を達成しており,世界各国より抜きんでています.さら
に内視鏡手術の技量は世界に誇るものであり,治療後の QOL の高さも群を抜いているの
です.
消化器癌の予防には,一次と二次があり,わが国では二次予防として癌検診が盛んに行
われています.近年,消化器癌発生の病態生理の研究が急速に進み,いくつかの癌ではそ
の原因が推定されるようになってきました.それに伴って,癌に罹患しないような予防法
すなわち一次予防の研究が進んできています.
消化器癌の成因は大きく二つに分けられます.一つは,喫煙,食事,環境などに基づく
生活習慣由来であり,もう一つは感染症由来であります.大腸癌が生活習慣由来の代表で
あり,肝細胞癌が感染症由来の代表と思われます.これまで生活習慣が重要といわれてき
た胃癌は H. pylori 感染との関わりが明らかになるにつれ,感染症由来の範疇に入るよう
になってきました.感染症に基づく癌の予防は感染源を遮断することにより容易に行うこ
とが可能です.肝細胞癌の予防は肝炎ウイルスのチェックとインターフェロンなどによる
肝炎ウイルスの治療が行われ効果を発揮してきています.然るに胃癌対策は二次検診たる
間接バリウム撮影のみであり,肝癌対策に比して大きく遅れを取っています.
大腸癌のような生活習慣病由来の癌の予防は容易ではありませんが,メタボ対策と似た
ような個人の自覚が重要になるため,内科医の役割はきわめて大きいと考えられます.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23年 9 月
299
●教育講演Ⅰ
大きく変わったリウマチ治療
NTT 東日本札幌病院 院長
小池
北海道大学 名誉教授
隆夫
関節リウマチ(以下リウマチ)を患われている方は日本には 70〜100 万人存在するとい
われている.
19 世紀までのリウマチの治療は温泉療法や瀉血ぐらいしかなく,現在でも使われている
痛み止めのアスピリンが登場したのは 19 世紀の末のことであった.20 世紀に入り,当初
結核の治療薬として開発されたO金製剤Sがリウマチに有効であることが見出された.
20 世紀も後半の 1970 年代になり,リウマチの治療には少し進展がみえてくる.金製剤
に加えて,サラゾスルファピリジン,D ペニシラミンさらには欧米ではクロロキン(日本
では網膜症のため使用できない)が登場してくる.当時は,すでに合成が成功していたス
テロイドとともに,これらの薬剤を試行錯誤を続けながら取っ換え引っ換え処方し,リウ
マチの治療を行ってきたが,必ずしも満足すべきものではなかった.
1980 年代に入り,リウマチの治療にも画期的な進展がみられてきた.それはメソトレキ
サート(MTX)の登場である.抗がん剤である MTX の週一回の投与で,これまでほとん
ど奏効しなかったリウマチの治療が激変した(ただし日本だけはこの MTX の治療も,認
可されたのは欧米の 10 年後で,治療量の上限も長い間制限されてきた)
.その後も欧米を
中心に,いろいろなリウマチ治療薬の投与法の工夫や,関節手術の進歩がみられたが,残
念ながらリウマチの完全寛解はわずか 2%にしか認められず,50%以上のリウマチ患者に
は何らかの機能障害が残っていたのが 20 世紀末までの現実であった.
この直後から,リウマチの診療は革命的な進展をみせた.それが生物学的製剤の登場で
ある.リウマチの真の原因はいまだ解明されていないが,リウマチの炎症を拡大させる物
質としてのサイトカイン,特に TNFa や IL-6 を阻害することにより,リウマチの症状が
劇的によくなることが,次第に明らかになってきた.
レミケードとエンブレルという TNFa をブロックする薬剤が相次いで登場してきたの
が,欧米では 20 世紀末のことであったが,日本においてもこれまた欧米に遅れること 5 年
で,ようやく処方できるようになり,リウマチ患者さんには多大な福音をもたらし始めて
いる.その後も数々の画期的生物学的製剤が登場してきて,リウマチの治療は革命的に変
わった.
本講演ではリウマチ治療のこれまでの流れを概説し,今後の展望や問題点につき解説す
る.
300
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23年 9 月
●教育講演Ⅱ
間質性肺炎の診断と治療
札幌医科大学医学部内科学第三講座 教授 高橋
弘毅
間質性肺炎は,肺胞と肺胞を隔てる間質に浮腫と炎症性細胞浸潤,さらには線維化を伴
い,組織の構造改変(リモデリング)の結果,ときとして蜂巣肺(honeycomb lung)を来
す疾患の総称です.臨床経過上,発症から数日から数週で進行する急性型から,数週から
数ヵ月単位で進行する亜急性型,発症の時期がはっきりせず半年から数年単位で徐々に進
行する慢性型に分けられます.間質性肺炎を起こす原因・基礎疾患は膠原病,過敏性肺炎,
薬剤性肺炎,放射線肺炎,石綿肺,特発性間質性肺炎(IIPs)など多岐にわたり,鑑別診断
に苦慮することも多く,また,治療方法が確立された疾患群から,治療不応な難治性疾患
群までさまざまなため,診断の正確さがその後の治療を左右します.
診断の柱は,原因・基礎疾患を明らかにすること,および疾患活動性・重症度の評価を
することの 2 点です.診断手順は,例外なく詳細な問診から始めることで,喫煙歴,職業
歴,粉塵吸入歴,環境歴,家族歴,常用薬剤,関節・筋症状などが鑑別診断に重要となり
ます.臨床検査では,高分解能 CT(HRCT),特異的血清マーカー(SP-A,SP-D,KL-6),
呼吸機能検査が基本であり,必要に応じて,気管支肺胞洗浄(BAL),経気管支肺生検
(TBLB),鏡腔鏡下外科生検(VATS)を加えます.読影に際しては画像所見が病理所見を
反映することを意識することが肝要で,すりガラス病変(ground glass attenuation:GGA)
は肺胞隔壁の浮腫と炎症性細胞浸潤を主に反映し,線状網状陰影は膠原繊維の蓄積による
線維化,特に蜂巣肺はその終末的病変を反映することが重要です.
治療方針は原因によって大きく異なり,治療成績も原因に大きく左右されます.ステロ
イド薬が基本となるが,治療開始のタイミング,投与量の初期設定と投与期間,漸減方法,
免疫抑制薬等の他剤併用を決める明確な基準がないため,結局のところ本疾患の診断・治
療に熟達した専門医家に任されるところが大きいのが現状です.なかでも,特発性肺線維
症(IPF)は IIPs の一亜型で患者数が最多かつ予後不良の疾患として知られており,診断・
治療の複雑さから,専門医家に任されることがほとんどです.最近,IPF 患者に関して精
度の高い疫学調査が北海道で施行され,全国の推定有病率と予後因子が明らかになりまし
た.治療には特効薬であるピルフェニドンが導入され,今後予後の改善が期待されていま
す.
本講演では,診断でどの所見を重視すべきかの重み付けを行い,また,治療をどの時点
で導入すべきか,いつまで継続したらよいのか等,実臨床に即し述べたいと思います.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011,平成 23-年 9 月
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●教育講演Ⅲ
認知症の診断と治療
札幌医科大学医学部神経内科学講座 教授 下濱
俊
日本人の平均寿命は,女性 86.44 歳,男性 79.59 歳(2009 年調べ)まで延び,今や世界
一の高齢社会となりました.それに伴い,加齢が最大のリスクファクターである認知症の
患者数も増加の一途をたどっています.2005 年には 169 万人であった患者数は 2015 年に
250 万人に達すると推定され,いつ自分や家族に降りかかるかわからない問題となってい
ます.もはや社会問題ともいえ,その病態解明と治療法の開発が強く望まれているのが認
知症です.本教育講演では,認知症の基礎疾患で最多といわれるアルツハイマー型認知症
を中心に取り上げ,その診断と治療について概説します.
アルツハイマー型認知症の確定診断は現在でもその特徴的な脳病理所見によります.す
なわち,進行性の認知症を呈し,神経細胞やシナプスの脱落とともに老人斑や神経原線維
変化が大量かつ広範に脳に蓄積する病態がアルツハイマー型認知症です.アルツハイマー
型認知症の診断に当たっては,認知症を呈する他疾患との鑑別と,いかに早期診断を行う
かが大切となります.頻度の高い鑑別を要する認知症疾患として,脳血管性認知症,レビー
小体型認知症,前頭側頭型認知症などがあげられます.一方,アルツハイマー型認知症の
早期診断のための検査として,頭部 MRI,脳血流 SPECT,PET,アミロイドイメージング
などの脳形態・機能画像検査に格段の進歩がみられ,早期診断が可能となってきています.
アルツハイマー型認知症の治療薬としては,認知機能障害とアセチルコリンとの関係に
着目したコリン仮説の研究成果として,アセチルコリンエステラーゼ阻害剤が誕生しまし
た.認知機能の改善に加え,日常生活動作を維持する効果や介護負担を軽減する効果など,
長期間にわたる進行抑制効果が期待されています.わが国ではこれまでアセチルコリンエ
ステラーゼ阻害剤はドネぺジル(アリセプト®
)のみでしたが,本年に入ってガランタミン
(レミニール®
)
,リバスチグミン(イクセロン®・パッチ,リバスタッチ®・パッチ)が承
認されました.さらに,NMDA 受容体拮抗薬であるメマンチン(メマリー®)が承認され,
一気に 3 つのアルツハイマー型認知症治療薬が使用できるようになりました.一方,アミ
ロイド前駆タンパクからベータアミロイド(Ab)が産生され,それが凝集して老人斑アミ
ロイド沈着に至るカスケードがアルツハイマー病発症機序の最上流部に位置し,その下流
にタウの異常リン酸化とその蓄積による神経原線維変化の形成過程が,さらにその下流に
神経細胞障害,神経細胞死を位置付けるアミロイドカスケード仮説に基づき,Ab の産生・
分解・凝集を修飾し,症状の進行を阻止する治療戦略が進められています.
302
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23 年 9 月
●教育講演Ⅳ
エビデンスに基づく慢性心不全治療
北海道大学大学院医学研究科内科学講座
筒井
循環病態内科学分野 教授
裕之
慢性心不全とは,虚血性心疾患,高血圧,弁膜症,心筋症などすべての器質的心疾患が
到る病態です.高血圧・糖尿病など生活習慣病の増加と人口の高齢化により慢性心不全患
者が増加しています.ひとたび心不全に陥ると自覚症状や運動耐容能の低下のため患者の
生活の質(QOL)は低下し,致死性不整脈による突然死の頻度も高く,その生命予後はき
わめて不良です.慢性心不全の治療目標は,血行動態の改善により自覚症状を軽減するば
かりでなく,その進行を抑制し生命予後を改善することです.心不全治療は,標準的治療
が安静,利尿薬,ジギタリスであった時代から,最近 30 年間に大きな進歩をとげてきまし
た.これは,基礎研究により心不全の発症・進展機序が分子レベルで解明されてきたこと
と大規模臨床試験に基づき生命予後を改善する治療のエビデンスが積み重ねられてきたこ
とによります.
収縮不全による慢性心不全に対しては,幅広い重症度の患者に対して ACE 阻害薬
(CONSENSUS,SOLVD 治療,SOLVD 予防)
・アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ELITEII,
Val-HeFT, CHARM, ARCH-J)と b 遮 断 薬(US Carvedilol, CIBISII, MERIT-HF, COPERNICUS, MUCHA)が第 1 選択薬に位置づけられています.利尿薬は,臓器うっ血の軽
減に有効ですが,アルドステロン拮抗薬(RALES, EMPHASIS-HF)は生命予後を改善す
ることも示されています.
近年,収縮機能(左室駆出率)が正常近くに保持された心不全(Heart failure with preserved ejection fraction;HFPEF)が注目されていますが,その多くは拡張機能障害が原
因と考えられます.このような患者は心不全全体の 30〜50%を占め,高齢,女性で,高血
圧や心房細動が多いのが特徴です.治療としては血圧コントロール,心房細動のレートコ
ントロール,うっ血の軽減には利尿薬が有効です.一方で,生命予後を改善する治療薬に
関するエビデンスは乏しく(CHARM-Preserved, PEP-CHF, I-PRESERVE)
,現在わが国
で臨床試験が進行中です(J-DHF, DEMAND)
.
慢性心不全患者は高齢者が多く,その生命予後が不良であるばかりでなく,心不全増悪
による再入院を反復します.再入院には,感染症,不整脈,高血圧,心筋虚血などの医学
的要因ばかりでなく,塩分制限の不徹底,内服薬の中断など治療アドヒアランス不良や身
体的・精神的ストレスなどが関与します.治療効果を最大限引き出し,再入院を減少させ
るには,看護師や薬剤師も含むチーム医療体制による疾患管理が必要です.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
20118平成 239年 9 月
303
●教育講演Ⅴ
消化器がんの分子標的治療の
現状と今後の展望
札幌医科大学医学部内科学第一講座 教授 篠村
恭久
近年,がんの増殖や進展に関わる特定の分子を標的とした分子標的治療薬が次々に開発
され,実際の臨床の場で用いられるようになっています.消化器がんにおいてはじめて臨
床に用いられるようになった分子標的治療薬は消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal
tumor, GIST)に対するイマチニブです.イマチニブはわが国において 2003 年に切除不能・
再発 GIST の治療に認可されました.GIST においては受容体型チロシンキナーゼ KIT の
機能獲得性変異が高頻度にみられ,イマチニブは KIT チロシンキナーゼ活性を阻害して
著明な抗腫瘍効果を発揮します.従来の殺細胞性抗がん剤が無効であった GIST に対する
イマチニブ治療の成功は,固形腫瘍に対する治療において腫瘍の増殖や生存に重要な働き
を担う最も適切な標的を選べば,効果が高く副作用の少ない治療を開発できることを明ら
かにした画期的な出来事でした.
わが国において罹患率の高い大腸がんや肝細胞がん,胃がんにおいても,2007 年以降に
分子標的治療薬が臨床で用いられるようになっています.大腸がんにおいては,VEGF(血
管内皮細胞増殖因子)に対する抗体医薬ベバシズマブ,EGFR(上皮細胞増殖因子受容体)
に対する抗体医薬セツキシマブとパニツムマブ,肝細胞がんにおいてはマルチターゲット
キナーゼ阻害薬ソラフェニブ,胃がんにおいては HER2 に対する抗体医薬トラスツズマブ
が認可になっています.分子標的治療薬は遺伝子変異や遺伝子発現の差異により効果が異
なる特徴があり,セツキシマブやパニツムマブでは投与前に KRAS 遺伝子変異の有無を
検査する必要があります.分子標的治療薬の副作用は従来の殺細胞性抗がん剤と異なり,
副作用のプロフィールが薬剤により大きく異なります.分子標的治療薬の副作用は適切に
対処することにより薬剤の継続が可能なものも多く,
副作用の早期発見や予防は重要です.
分子標的治療薬は分子特異性が高いため,遺伝子異常など個々のがんの特性を調べるこ
とにより,その効果をあらかじめ予測することが可能と考えられます.今後,分子標的治
療法が進歩することにより,個々のがんの特性を調べて最も効果的で副作用の少ない治療
薬を選択する個別化治療が発展することが期待されます.
304
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011%平成 23&年 9 月
●教育講演Ⅵ
糖尿病性腎症の病態と治療―新たな展開―
旭川医科大学内科学講座
羽田
病態代謝内科学分野 教授
勝計
糖尿病性腎症(以下腎症)は 1998 年より透析療法導入原疾患の第 1 位であり,2010 年に
は全導入症例の 43.5%を占めるに至っています.この現状を打破するためには,腎症の的
確な病態把握と早期治療が重要です.
腎症は,「微量アルブミン尿」の出現で診断され,
「糖尿病性腎症病期分類」に従ってそ
の病期が分類されていますが,慢性腎臓病(CKD)の概念およびそのステージ分類が登場
すると,両者で一致せず病期(ステージ)が逆転する症例が存在することが明らかになっ
てきました.すなわち,
「正常アルブミン尿」症例に CKD ステージ 3 以降の症例が少なか
らず存在すること,
「顕性蛋白尿」症例に CKD ステージ 1,2 の症例が存在すること,など
がこれに該当します.これは,CKD ステージ分類が eGFR のみで構成されていることに
起因していますが,同時に「正常アルブミン尿」で CKD ステージ 3 以降の症例は糖尿病性
腎症なのか,という疾患概念の根底に関わる問題も提起しています.
一方,GFR が加齢現象の範囲内を超えて低下する症例,GFR decliner,が存在すること
も報告されています.GFR decliner は「正常アルブミン尿」症例にも存在しますが,
「微量
アルブミン尿」症例に多く,かつ長期間観察すると末期腎不全にまで至ることが示されて
います.GFR decliner は baseline の GFR,尿アルブミン値からは予測できず,GFR decliner の予測方法が一つのテーマとなっています.演者らは,尿Ⅳ型コラーゲン高値例で
は,GFR の年間低下速度が速いことを報告し,GFR decliner の一つの予測因子として提唱
しています.
糖尿病性腎症の基本的治療法はほぼ確定しており,1.HbA1c(JDS 値&<6.5%を目指し
た厳格な血糖コントロール,2.糸球体高血圧の是正,が治療法の根幹です.糸球体高血圧
の是正には,レニン-アンジオテンシン系阻害薬が第一選択薬となっています.さらに,血
中脂質の是正,マイルドな蛋白制限などを加えた「集約的治療」により,腎症の remission
(寛解)が可能であることが示されています.実際,ADVANCE trial の再解析においても,
早期腎症の約 50%,顕性腎症の約 25%が「正常アルブミン尿」に寛解することが報告され
ています.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
20115平成 23&年 9 月
305
●教育講演Ⅶ
血液疾患治療の最近の動向
北海道大学大学院医学研究科内科学講座
今村
血液内科学分野 教授
雅寛
白血病治療のなかでも,慢性骨髄性白血病の慢性期に対する治療はイマチニブ,ダサチ
ニブ,ニロチニブのチロシンキナーゼ阻害剤の出現により,そのありようが激変しました.
10 年以上前の薬物療法はハイドレアとインターフェロン療法で,その効果は限定的なた
め,根治を目指した同種造血幹細胞移植療法が一般的でした.しかし,耐性や副作用がな
い限り,上記薬剤で長期にわたる慢性期を維持でき,同種造血幹細胞移植数は著減しまし
た.急性骨髄性白血病治療の基本は,完全寛解導入療法としての抗がん剤併用療法ですが,
地固め,強化・維持療法を経て,病型によっては第一,第二あるいは第三完全解寛期に同
種造血幹細胞移植(ときに自家造血幹細胞移植)を行い,治癒を目指します.急性前骨髄
性白血病では,レチノイン酸,タミバロテン,亜ヒ酸等の分化誘導剤が効果的です.その
他,骨髄性白血病細胞に多く発現している CD33 を標的としたモノクローナル抗体に抗が
ん剤を付けたゲムツズマブオゾガミシンも開発されています.
急性リンパ性白血病治療も,
急性骨髄性白血病治療とほぼ同様ですが,自家造血幹細胞移植は効果が乏しいため,同種
造血幹細胞移植をより早期に行います.成人 T 細胞白血病治療に対する抗がん剤併用療
法は難渋しており,同種造血幹細胞移植に一定の効果がみられます.骨髄異形成症候群の
根治療法は同種造血幹細胞移植ですが,病型によっては薬物療法が効果的で,分子標的治
療剤としてのリナリドマイド,アザシチジンがあります.非ホジキンリンパ腫治療は,
CD20 陽性の B 細胞性であれば,CHOP に CD20 に対するモノクローナル抗体(リツキシ
マブ)を付け足すことで,効果が上がります.その他,プリンアナログとアルキル化剤の
両者の作用を有するベンダムスチンも用いることができ,治療抵抗性の低悪性度リンパ腫
やマントル細胞リンパ腫治療に効果が期待されています.多発性骨髄腫は根治を得ること
がむずかしく,従来の化学療法剤のほかに,サリドマイド,ボルテゾミブ,リナリドマイ
ドを基盤にデキサメサゾンを併用するのが一般的となっており,自家造血幹細胞移植も併
用する必要があります.この他,特発性血小板減少性紫斑病や夜間発作性血色素尿症など
の血液悪性腫瘍以外の最近の血液疾患治療についても紹介します.
306
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23年 9 月
●シンポジウムⅠ
消化器悪性疾患における内科治療の進歩 1
大腸がん診療における薬物療法の
位置付けのその評価
旭川医科大学内科学講座
高後
消化器・血液腫瘍制御内科学分野 教授
裕
わが国では,大腸がんの罹患率・死亡率は,男女とも増加傾向にあり,その診断,治療,
予防法に関する進歩が求められています.特筆すべき進歩は,
(1)早期診断,スクリーニ
ング,(2)ステージによる治療選択の標準化,
(3)進行大腸がん患者に対する薬物療法の
飛躍的発展,
(4)末期がん患者に対する緩和医療・サポート・ケアなどがあり,さらに(5)
分子マーカーを取り入れたがん細胞の特性を考慮にいれた個別化医療,
(6)大腸がんの化
学予防などにまとめられます.消化器がん検診の立場からは,一次スクリーニングは便潜
血反応検査が有効であることのエビデンスは得られています.便の将来遺伝子診断も有望
でしょう.その後は大腸 X 線検査(CF)または大腸内視鏡検査が推奨されていますが,後
者がより確実です.CT コノノグラフィーが代用できるのではないかとの考えもあります.
いわゆる 40 歳代以降のがん年齢では一度 CF を受けた後は,数年に一度のスクリーニン
グで早期発見が期待できます.しかし,未だに進行がんで発見される場合も多く,とくに
超高齢化社会に入ってきており,それに対する対策が重要です.
大腸がんの治療は,早期では内視鏡切除,その適応がない場合には手術療法,さらに予
後因子を加味して手術と薬物療法,併用薬物療法が予後を改善する方法として選択されま
す.生命予後は,がんの病期によって推測でき,その後の標準的治療を的確にアドバイス
することが必要です.とくに,進行大腸がんにおける薬物療法の進歩は著しく,FOLFOX
や FOLFORI などを施行することにより,画期的な生命予後の延長がみられてきていま
す.さらに分子標的治療薬の導入により,より改善がみられます.分子標的治療の効果は,
あらかじめ ras 遺伝子の検索により,治療反応性が異なることが明らかになってきており,
この進歩は,大腸がん患者薬物療法も個別化医療に進んでいくことを示すものです.この
分野の進歩は始まったばかりといってもよく,
癌細胞の特性をより詳細に研究することで,
さらに診断・治療法の進歩が期待されます.
ところで,大腸がんでは一般的にそのリスク因子として,食生活・嗜好品などがあげら
れていますが,世界的に認められたエビデンスとして確立されているものはまだ少ないの
が現状です.唯一,大腸がんの前がん病変である ACF に対する介入試験が有効であるこ
とが札幌医大のグループにより発表されています.私たちの教室では,大腸内視鏡診断の
精度向上の試みや,遺伝子診断,大腸がんの分子標的治療における耐性機序,プロバイオ
テイックスによるがん予防などに関する研究などを行っていますので,その一部も紹介し
ます.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23年 9 月
307
●シンポジウムⅠ
消化器悪性疾患における内科治療の進歩 2
肝・胆道・膵領域における
がん薬物療法の進歩
札幌医科大学医学部
内科学第四講座
加藤
淳二,宮西
浩嗣,林
毅
肝・胆道・膵領域における進行がんに対する薬物療法は,長らく有効性が確立された治
療法がなく,模索的・探索的に行われてきた.1997 年になって,ようやく進行膵臓がんに
対する 5-FU vs. Gemcitabine(GEM)の無作為化比較試験で GEM の有効性が証明され,
標準治療として確立された.その後 GEM+a vs. GEM の臨床試験が数多く試みられてき
たが,つい最近まで GEM 単剤治療を凌駕するレジメンは見出されなかった.ところが,
昨年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)でフランスのグループより GEM vs. FOLFIRINOX(5FU+ロイコボリン+イリノテカン+オキザリプラチン)の無作為化比較試験の結果が発
表され,後者の 4 剤併用療法の生存期間中央値(MST)が 11.4ヵ月と GEM 群の 6.8ヵ月
に比べ大幅に上回ったことから大変注目されることとなり,現在各国で追試の臨床試験が
計画されている.一方,われわれは進行膵がんを対象として 5-FU+GEM 併用動注化学療
法(第Ⅱ相試験)を施行し良好な成績を得たことより,現在第 3 相試験(vs. GEM)を行っ
ている.
胆道がんに関しては,まだ標準治療は確立されていないが,2009 年の ASCO において
GEM vs. GEM+CDDP の第 3 相試験の成績が発表され,後者が標準治療として有望視さ
れつつある.
肝細胞がんは,他のがん種と異なり,がんの進行度や肝予備能の状況によって治療選択
が行われる.肝切除,ラジオ波焼灼術,肝動脈化学塞栓療法(TACE)が標準治療として確
立されている.また,2007 年に進行肝細胞がんに対してマルチキナーゼ阻害剤であるソラ
フェニブの有効性が示され,Child-Pugh A の症例に対して有意な MST の改善が報告さ
れ,標準治療として確立された.その他,TACE 無効例,TACE の適応とならない巨大腫
瘍や門脈腫瘍栓を合併した例に対しては,5-FU+CDDP(アイエーコール)動注化学療法
が試みられている.
本シンポジウムでは,肝・胆・膵領域の進行がんに対する薬物療法の最近の進歩につい
て,我々のデータを交えて紹介したい.
308
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
20118平成 239年 9 月
●シンポジウムⅠ
消化器悪性疾患における内科治療の進歩 3
胃癌の化学療法―最近の進歩―
徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部
高山
消化器内科学 教授
哲治
わが国における胃癌死亡率は徐々に減少していますが,癌死亡率全体の中では依然高く
第 2 位を占めています.切除不能進行胃癌(Stage Ⅳ)に対する治療では,S-1+シスプラ
チン(CDDP)2 剤併用療法の有効性を示す第 3 相試験(SPIRITS 試験)が報告されて以
来,わが国では本療法が最もよく行われています.今年になり,S-1 単剤と S-1+Docetaxel の有効性を比較した第 3 相試験(START 試験)の結果が報告されましたが,残念な
がら両群に生存期間で有意な差は認められませんでした.海外では,S-1+CDDP と 5-FU
+CDDP の有効性を比較検討した第 3 相試験(FLAGS 試験)が行われましたが,前者の優
越性は示されませんでした.つまり,進行胃癌に対する治療レジメンとして未だ世界的に
標準治療は確立されていないといえます.我々はこれまで,切除不能進行胃癌を対象に S1+Doctetaxel+CDDP の 3 剤併用療法の第 1 相試験および 2 相試験を行い,高い奏効率
(87%)とダウンステージング率(23%)が得られることを報告しました(Br J Cancer 2007,
Cancer Chemother Pharmacol, 2009)
.また,Stage Ⅲの進行胃癌患者を対象に Neoadjuvant 療法(術前補助化学療法)として DCS 療法を行い,続いて手術を行う第 2 相試験を
行ったところ,高い R0 率(根治切除率)を達成しうることを報告しました.さらに,治療
前の胃癌生検組織標本を用いて,DCS 療法著効群と非奏効群に分けて,マイクロアレイ解
析によりヒト全ゲノム(41000 個)の遺伝子発現を解析し,効果予測マーカーとなる 10 遺
伝子を抽出しました.つまり,これらの遺伝子を調べることにより,DCS 療法が著効する
かどうかを予測しうると考えており,現在症例数を増やして検討中です.
一方,最近胃癌治療においても,初めて分指標的薬の有効性が報告されました.切除不
能胃癌を対象にした第 3 相試験において,HER2 に対するモノクローナル抗体薬(トラス
ツズマブ,ハーセプチン®)の 5-FU/Capecitabine+CDDP
/
に対する上乗せ効果が立証さ
れました.この試験結果を受けて,わが国でも今年 2 月に HER2 陽性胃癌に対してトラス
ツズマブが承認されました.胃癌の中で HER2 陽性のものはわずか 20%ぐらいですが,胃
癌における分子標的薬剤を用いた個別化医療の始まりとして注目されています.現在,そ
の他にラパニチブやパーツズマブなどの HER2 抗体薬やネラチニブなどの HER2 阻害剤,
インスリン様成長因子受容体(Insulin-like growth factor receptor)IGF-R 阻害剤,MET
阻害剤,mTOR 阻害剤などの分子標的薬の臨床試験が行われており,今後は抗癌剤とこれ
らの分子標的薬を組み合わせる治療が主流になると考えられます.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011C平成 23D年 9 月
309
●シンポジウムⅠ
消化器悪性疾患における内科治療の進歩 4
上部消化管早期癌に対する ESD
静岡県立静岡がんセンター内視鏡科 部長 小野
裕之
早期胃癌に対する ESD(内視鏡的粘膜下層剝離術)の対象となる病変は,「癌病巣が局
所に限局し,開腹手術と同等の成績を修め得る病変」である必要がある.胃癌学会では,
「2 cm 以下」
「潰瘍所見のない;UL(−)」
「粘膜内癌(cT1a(M)癌)と考えられる分化型
腺癌」を絶対適応とするガイドラインを発表した.また,適応拡大病変として,①潰瘍所
見のない場合:脈管侵襲のない,分化型 cT1a(M)癌(腫瘍径は問わない)
,②潰瘍所見の
ある場合:脈管侵襲のない,3 cm 以下の分化型 cT1a(M)癌,③2 cm 以下の UL(−)の
未分化型 cT1a(M)癌,を規定した.いずれもリンパ節転移の危険性が 1%未満と考えら
れており,外科切除とほぼ同等の成績を期待できることを報告した.しかし,この拡大し
た ESD の適応が妥当か否かは長期経過のデータが必要であり,現在 JCOG(日本臨床腫瘍
グループ)にて前向き試験が進行中である.適応をめぐる臨床試験を含めた現状を述べる.
また,技術的には,ESD により 2 cm を超える大きな病変や,潰瘍瘢痕を有する病変に
対しても一括で切除可能となった.ESD の難易度はスネアやフードを用いた従来の EMR
と比較して高く,施設間格差が大きいとされており,ESD が標準治療となるためには機器
開発,トレーニング法など,越えるべきハードルがまだいくつもある.しかし,IT ナイフ
をはじめ,機器開発の進歩も着実であり,安全かつ有用な手技が普及しつつある.より安
全かつ簡便な器具の開発が,ESD の普遍化に大きく寄与すると考えており,技術面での進
歩についても述べる.
ESD はまず早期胃癌を対象に開発されたが,その後食道表在癌,大腸の表面型腫瘍など
への応用が進んでいる.食道 ESD は胃と比べ壁が薄いことと,管腔が狭いことから技術
的に胃 ESD よりもむずかしく,またひとたび穿孔が起こった場合には重篤な状態を引き
起こしかねない.また,粘膜切除範囲が広い場合には瘢痕による狭窄が問題となる.これ
らについては,未だ専門施設にて行われるべき手技とされているが,技術的問題や狭窄へ
の対処も少しずつ進歩しており,現状について概説したい.
310
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011#平成 23$年 9 月
●シンポジウムⅡ
インフルエンザ―最近の動向― 特別講演
鳥,ブタ,そして
パンデミックインフルエンザ騒動を斬る
北海道大学大学院獣医学研究科 教授
同 人獣共通感染症リサーチセンター センター長
喜田
Head, OIE World Reference Laboratory for Animal Influenza
宏
H5N1 ウイルスによる家禽と野鳥のインフルエンザが,ユーラシアとアフリカ 62ヵ国に
拡がった.中国,ベトナム,インドネシアと,2006 年からはエジプトが,家禽にワクチン
を接種して,摘発・淘汰が徹底されなかったために,10 年以上もこのウイルスが感染を拡
大したのである.他の国では鎮静化したが,ウイルスがしばしば国境を越えて侵入し鳥イ
ンフルエンザの発生をみている.
2005 年以後,毎年春に,中国などで越冬中に H5N1 ウイルスに感染し,シベリアの営巣
地に帰る途上,斃死した水鳥がユーラシア各地で多数みつかっている.シベリアまでウイ
ルスを持ち込む水鳥もいる.2010 年 10 月,稚内で,シベリアから飛来したカモの糞便から
H5N1 高病原性鳥インフルエンザウイルスが分離された.これと近縁なウイルスが 11 月
末から 2011 年 3 月までに 9 県の鶏に感染し,鳥インフルエンザの発生が 24 件も続いた.
野鳥の感染・斃死も全国で 60 例を超えた.アジアの家禽のインフルエンザを封じ込めない
限り,毎年同じことが各国で起こる恐れがある.
H5N1 ウイルスのヒトへの感染は,15ヵ国で合計 558 例(6 月 3 日現在)
.うち 87%を,
ワクチン濫用 4ヵ国が占める.エジプトでは,鳥ワクチンを使い始めた 2006 年から 144 名
が感染している.一方,タイでは 2006 年まで 25 名が感染したが,2006 年にワクチンを禁
止し,摘発・淘汰を徹底する対策に切り替えてから,家禽の被害は激減し,以来ヒトの感
染はない.
鳥インフルエンザ対策の基本は,
「感染家禽の摘発・淘汰により,被害を最小限にくい止
めるとともにヒトの健康と食の安全を守る.鳥インフルエンザを家禽だけで終わらせる」
ことである.4ヵ国の鳥インフルエンザ対策をワクチン頼みから摘発・淘汰に転換してもら
わなければならない.これを国際機関と各国に働きかけ,一刻も早くアジア・アフリカか
ら H5N1 高病原性鳥インフルエンザウイルスを一掃する努力を続けている.
インフルエンザのような人獣共通感染症については,自然界から人間社会に至る病因微
生物の生態,伝播経路,感染と宿主生体の応答としての発症,免疫と宿主集団の疫学をトー
タルで捉えて,対策に活かす視点が欠かせない.昨今のインフルエンザ騒動は,かかる姿
勢が定まらない,いわゆる専門家,行政とメディアの誤解と妄想に基づく大合唱によって
引き起こされたものである.感染症の本質を踏まえた,筋の通った情報発信が欠けていた.
危機管理とは一般市民に安全・安心をもたらすための方策であって,いたずらに危機感を
あおることではない.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23年 9 月
311
●シンポジウムⅡ インフルエンザ―最近の動向― 日臨内インフルエンザ研究より 1
インフルエンザにおける迅速診断キット
の成績と HI 抗体価測定の成績
九州大学先端医療イノベーションセンター
池松
臨床試験部門長・特任教授
秀之
日本臨床内科医会のインフルエンザ調査研究では,従来インフルエンザの診断に迅速診
断キットを利用しています.迅速診断キットの精度は,ウイルスの変化やキットの改良な
どの影響で毎年若干異なっています.2009-10 年流行期は新型インフルエンザといわれた
H1N12009 ウイルスが流行し,分離されたウイルスのほぼ 100%がこのウイルスでした.
この際,迅速診断キットの感度低下が懸念されていましたが,従来の迅速診断キットでの
診断に問題はありませんでした.
今回,2010-11 年流行期にウイルス分離のために採取された検体の総数は 1284 件でし
た.このうち迅速診断キットとウイルス同定および PCR の結果が揃った検体は 852 件で
した.型判定は,H1N12009 が 257 件,H3N2 が 144 件,B 型が 153 例,陰性 298 例でした.
迅速診断キットで A 型と判定された 428 例中ウイルスが分離されるか PCR で陽性であっ
たのは 384 例(陽性試験予測率 89.7%)で,迅速診断キットの特異性は今シーズンも高い
と考えられました.ウイルス分離あるいは PCR のどちらかでウイルスが検出された症例
における迅速診断キットの感度は,96.0%であり感度も例年と比較して有意な差はみられ
ませんでした.
2010 年度のインフルエンザのワクチン株は A/California/7/2009(H1N12009)
/
/ /
,A/Vic/
toria/210/2009(H3N2)
/
/
,B/Brisbane/60/2008(B)が用いられました.ワクチン接種後の
/
/ /
HI 抗体価 40 倍以上の割合は 37 例において H1N12009 が 62.2%,H3N2 が 40.5%,B が
37.8%とあまり高い割合ではありませんでした.アジュバント添加ワクチンであるアレパ
ンリックス接種者 33 名の抗体価の追跡調査では,接種後良好な抗体価の上昇がみられ,抗
体価 40 倍以上の割合は 93.9%に上昇しており,6ヵ月後の抗体価 40 倍以上の割合も
90.9%と高い値でした.
2010-11 年流行期は,H1N12009,H3N2,B 型の 3 つの流行がみられ,迅速診断キットは
例年同様に有用であったと考えられます.ワクチンによる抗体価の上昇は全般にあまりよ
くなかったと思われます.アジュバント添加ワクチンの効果は 6ヵ月後も充分残っている
と考えられました.
312
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011,平成 23-年 9 月
●シンポジウムⅡ インフルエンザ―最近の動向― 日臨内インフルエンザ研究より 2
インフルエンザの流行状況とワクチン,
抗イ薬の有用性について
日本臨床内科医会インフルエンザ研究班 班長 河合
直樹
【背景】日本臨床内科医会では 2000/2001
/
年シーズンからワクチンや抗インフルエンザ
薬等の検証をインターネット,ウイルス分離,PCR,遺伝子検査等により行ってきました.
特にわれわれが検証した B 型(2002/2003
/
& 2004/2005
/
年等)
,アマンタジン耐性香港型
(2005/2006
/
年)
,H275Y 変異によるオセルタミビル耐性 A ソ連型(2008/2009
/
年),パンデ
ミック H1N1(2009/2010
/
年)などにおける抗イ薬の有効性については CID 誌,J Infect 誌
などに多数の論文を報告してきました.今回は実質的に 2010/2011
/
年シーズンから使用が
始まったラニナミビルやペラミビルと従来の抗イ薬との比較を中心に検討したので報告し
ます.
【結果の概要】①2010/2011
/
年シーズンの流行時期は季節性パターンを呈し,前半は A
型,後半は B 型が中心で,亜型では A(H1N1)が最も高頻度でした.②国産スプリットワ
クチンの有効性は 2010/2011
/
年シーズンは前シーズンのように高くはなく,これは今シー
ズン,A(H1N1)の他に A(H3N2)
,B との混合流行であったことや各株のミスマッチも
考えられましたが,安全性は従来同様に高いと考えられました.③解熱時間から判定した
ノイラミニダーゼの有効性は市販の 4 剤間で大きな差はありませんでしたが,全般的に A
(H1N1)型で最も高く,次いで A(H3N2)型,B 型の順と考えられました.しかし患者の
年齢層や,各ウイルス型・亜型によって,それぞれの抗イ薬の有効性が若干異なることも
判明しました.またこれらのウイルス型・亜型による有効性の差異はウイルス残存率でも
認められました.ただし in vitro における IC50(ノイラミニダーゼの 50%阻害濃度)は必
ずしも解熱時間やウイルス残存率と一致しておらず,抗イ薬の効果には IC50のみならず,
作用部位の組織内濃度や生体側の免疫性の良否などの影響も示唆されました.
【結論】2010/2011
/
年シーズンからノイラミニダーゼ阻害薬が 4 剤使用可能となって臨床
での選択肢が拡がりました.これらの抗イ薬はいずれも有効性が高いですが,それぞれ使
用方法が異なり,型・亜型や対象年齢によって有効性が若干異なっていましたが,詳細な
データにつきましては当日発表させていただきます.これらの抗イ薬をうまく使い分ける
ことは,今後の臨床現場におけるインフルエンザ診療に大きなメリットをもたらすものと
考えられます.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011.平成 23/年 9 月
313
●シンポジウムⅡ インフルエンザ―最近の動向― 日臨内インフルエンザ研究より 3
家族内感染の観察から得られた
インフルエンザ(H1N1)2009 の特徴
―2010/11
/
年シーズンの流行を終えて―
日本臨床内科医会インフルエンザ研究班 副班長
廣津
伸夫
2009/10
/ 年シーズンにパンデミックウイルスとして登場した新型インフルエンザ(A//
H1N1)は,今年,季節性のインフルエンザ(H1N1)2009 と名称を変えた(以下,便宜上
pdmH1)
.当初,当然ながらこのパンデミックウイルスに対する免疫はすべての人にない
と考えられ,全世代への感染が危惧されたが,実際には成人の感染率は低く,過去の季節
性インフルエンザ A(以下,Flu-A)に比べて乳幼児の感染も少なかった.しかし,7 歳か
ら 15 歳までの学校世代の罹患者は多く,pdmH1 ウイルスの年齢による感染の偏りがみら
れた.
2001/02
/ 年から 2008/09
/ 年までの Flu-A と 2009/10
/ 年の pdmH1 の家族内感染を比較す
ることにより,パンデミックウイルスの特徴を探索した.
家族の中で最も接触確率の高い母と乳幼児間の感染をみると,Flu-A では,母から乳幼
児への感染率(17.9%)と乳幼児から母への感染率(15.3%)との間に差はなかったが,
乳幼児から感染を受ける母の年齢の違いによる感染率は,30 歳未満(22.9%),40 歳未満
(15.9%),40 歳以上(8.8%)と母親の年代が上昇するにつれ感染率は低下した.これは,
母親の Flu-A に対する免疫能が年齢に従って高くなっていたためと思われる.一方,
pdmH1 では,母から乳幼児(23.1%)より乳幼児から母への感染(9.6%)は少なく,
pdmH1 において母は感染しにくいと思われた.母の年齢による感染率は 30 歳未満
(0.0%),40 歳未満(10.2%)
,40 歳以上(9.7%)と母親の年齢と感染率には相関がなかっ
た.これらの傾向は,父・祖父母の年齢層でもみられ,pdmH1 では,押しなべて 20 歳以
上の成人は年齢に関係なく感染を受けにくかったことを示していた.このように成人が
pdmH1 に感染しにくかった理由を,2008-09 年の Flu-A 罹患者のうち,pdmH1 に罹患し
た割合(23.7%)が季節性 B 罹患者のそれ(47.5%)より低く,しかも,年齢が上昇する
に従ってその傾向が強かった事実から考察する.
また,Flu-A,pdmH1 の違いを問わず,免疫をほとんど持たない乳幼児に対しての,不
可抗力と思える母からの感染率が Flu-A(17.9%)より pdmH1(23.1%)の方が高いとい
う数値に加え,乳幼児同士の感染率が,Flu-A(24.0%)に比べ,pdmH1(16.3%)の方
が低いといったいくつかのデータから,ウイルスの感染力やパンデミックにおける感染防
御対策の効果を考察する.
最後に,2010/11
/ 年シーズンに同時流行した Flu-A と pdmH1 を,条件が同じ感染防御
対策の中で比較し,pdmH1 の特徴を明らかにする.
314
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011 平成 23!年 9 月
●シンポジウムⅢ
次期診療報酬・介護報酬同時改定の展望 1
中医協審議の現況
京都府医師会 副会長 安達
秀樹
日本の総医療費は世界の先進国とのさまざまな比較において廉価です.この最大の原因
は病院の入院医療費の低評価にあります.皆保険制度の発足以来,50 年が経過しています
が,この 50 年間は,人類の歴史上かつて例をみないほど医療技術が進歩した 50 年でした.
進歩する先進医療は全体として高額になります.そのほとんどは,入院医療で使われます
が,日本の皆保険制度においてこの部分の評価が一貫して充分ではありませんでした.そ
の結果が,日本の総医療費を低く抑えていますし,同時に,そのことの積み重なった結果
が現在の医療崩壊(=病院崩壊)の原因であるといえます.つまり,医療崩壊は起るべく
して起った必然の結果だという事になります.現在の財務省には,この状態の改善の必要
性についての認識はありますが,このような病院崩壊の財源は,診療所の部分を削減しそ
れを病院分に回すことで対応可能という考え方が主流です.つまり財政中立的に,総医療
費は上げなくてもよい,という考え方です.しかしながら,近年の 10 年間において,医科
医療費の内訳は,入院:外来でおよそ 1:1.外来分の診療所分はその 60%,で推移してい
ます.つまり,診療所分は全体の 30%に過ぎず,この部分を削っても病院救済のための財
源としては圧倒的に足りません.現在,日本の医療費が伸びていく要因は大別して二つあ
ります.一つは,人口高齢化に伴う一般医療の需要の増大であり,もう一つは医療の進歩
による高額医療費の増加です.これらを,財務省の考え方のように財政中立の下で配分し
て賄っていくことは明らかに不可能です.中途半端な配分は,両者の共倒れを招く危険性
が高くなります.総医療費を上げる以外に現在の窮状を解決する方法はないようにみえま
すが,財務省が国家財政の立場から総医療費は極力上げないという立場から,その対応と
して提起するであろう政策を考えてみると,結局のところは,軽医療免責制,と高額医療
の保険適応外化と保険外併用療法の拡大,という事になると思います.これらをどうする
かが,まさに,政治主導,で行なわれるべき政治マターであると考えます.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23年 9 月
315
●シンポジウムⅢ
次期診療報酬・介護報酬同時改定の展望 2
なぜ診療報酬・介護報酬同時改定見送り
を提案したのか
日本医師会 副会長 中川
俊男
2010 年度の診療報酬改定は,10 年ぶりのプラス改定であったが,医科では急性期入院医
療に財源が集中した.2012 年度の同時改定では,必ずや財源の配分を正し,地域医療を再
生させなければならない.このため,日本医師会は,社会保険診療報酬検討委員会の下に,
基本診療料のあり方に関するプロジェクト委員会,医療と介護の同時改定に向けたプロ
ジェクト委員会を新たに設置し,同時改定に向けての準備を精力的に進めてきた.
しかし,3 月 11 日に未曽有の東日本大震災が発生した.福島第一原子力発電所事故は,
今なお現在進行中である.日本医師会は,国難の大混乱期において,国の制度の根幹を左
右する診療報酬,介護報酬の同時改定を行なうべきではないと考えた.そして,5 月,厚生
労働省大臣に,2012 年度の診療報酬・介護報酬の同時改定見送りを申し入れた.
このとき,医療経済実態調査についても中止を要請した.医療経済実態調査は,改定前々
年(調査年)と,改定前年の値が近似しているという前提で実施されるが,今回は,調査
年である 2010 年度と 2011 年度が同じとはいえない.東日本大震災の影響は,2011 年度に
こそ全国に波及すると予測される.こうした不正確なデータは,地域医療をさらに苦しめ
る結果につながると考えた.その後,6 月 3 日の中医協で,
「医療経済実態調査を行うとい
うことは,診療報酬改定の関係からいうと,診療報酬改定を行うことを決定するものでも
ない」が確認され,また,医療施設動態調査,病院報告等も併せて議論を行うことが合意
されたことから,日本医師会は調査の実施に協力することとした.さらにその後,誤配送
の問題が起き,徹底的な検証を求めている.
日本医師会は,同時改定の見送りと同時に,不合理な診療報酬,介護報酬について,留
意事項通知や施設基準要件の見直しなどを行うこと,必要な医療制度改革は別途行うこと
も要望した.日本医師会は,例年の決まった時期における改定率の決定を伴う大掛かりな
改定を行うべきではないと判断したが,診療報酬,介護報酬のあり方について議論を尽く
すことは継続すべきと考えている.
このように,東日本大震災発生後,日本医師会が同時改定の見送りを要請したが,その
背景と真意,そして,あらためて日本医師会の来年度診療報酬・介護報酬同時改定への思
いを述べる.
316
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23年 9 月
●シンポジウムⅢ
次期診療報酬・介護報酬同時改定の展望 3
次期診療報酬・介護報酬同時改定の展望
全日本病院協会 会長 西澤
寛俊
平成 24 年は 6 年に一度の診療報酬・介護報酬の同時改定が予定されています.同時改定
は,医療・介護制度および報酬の整合性をはかり,役割を明確化し,医療と介護サービス
のシームレスな連携を進める上で非常に重要です.
診療報酬を議論する中央社会保険医療協議会,介護報酬を議論する介護給付費分科会,
それぞれでの議論は当然ですが,お互い情報の共有化をはかり,合同で審議する事も考え
る必要があると思います.
前回,平成 22 年の診療報酬改定は 10 年ぶりのプラス改定でした.しかし全体改定率は
0.19%で,そのほとんどが急性期入院医療に配分され,同時に救急・産科・小児科・外科
の充実がはかられました.すなわち大学病院をはじめとする大病院に集中的に配分されま
した.
このような経緯から平成 24 年度改定は,前回取り残された内科等の診療科や中小病院
を評価すべきとの多くの声があります.
現在次回改定に向けた議論が中医協で行われていますが,今までの改定の流れから推測
すると,大きな柱は
・機能分化と連携の推進
・在宅医療・チーム医療の推進
・医療・介護サービスのシームレスな連携
等です.
より具体的な項目としては,入院基本料等の基本診療料,慢性期入院医療(療養病床,
一般病床の長期入院患者)
,在宅医療,訪問看護,リハビリテーション等があげられます.
一方,政府で社会保障と税の一体改革の政府・与党案が取りまとめられようとしていま
す.このなかで,医療提供体制,介護サービス提供体制の改革案が示されると思いますが,
診療報酬・介護報酬同時改定にも言及すると考えられます.私達医療提供側として,中医
協,介護給付費分科会だけに注目するのではなく,関係する情報の収集と適確な分析を行
い,対応する必要があります.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23年 9 月
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●シンポジウムⅢ
次期診療報酬・介護報酬同時改定の展望 4
平成 24 年度診療報酬改定と
臨床内科医の方向性
―前回診療報酬改定の影響を踏まえて―
日本臨床内科医会 常任理事 清水惠一郎
平成 22 年度診療報酬改定は民主党政権に交代後初めて行なわれたが,救急・産科・小児
科・外科分野等への重点配分や病院勤務医の負担の軽減に課題がおかれ,手術点数の大幅
なアップなど,特に急性期の入院医療に対する評価の充実が主眼であった.入院と外来の
医療費配分に,財務省の意見が色濃く反映された「政治主導」の手法がもちこまれ,病院
に厚く診療所に薄い結果となりマニュフェストで掲げた数値の
「医療費増額」に至らなかっ
た.診療所は,病院重視の影響を受けて再診料がマイナス改定となり,引き下げを補填す
るため,患者から時間外に受ける相談対応加算を評価した「地域医療貢献加算」の新設や,
患者の視点重視から,明細書の原則無料発行が義務化されたが,これに対し,現場からは,
「病名告知していない場合はどうするか」等の多少の混乱もあった.
新設の地域医療貢献加算(3 点)は,算定に当たっては医療現場で諸問題が発生すること
も予想されたが,普段から患者とのコミュニケーションをとっていた医療機関では特段の
問題は生じなかった.明細書発行体制等加算(1 点)は診療所窓口では,患者が明細書に記
載されている点数の細かい説明を求め,業務に支障が出たときもあったが,一巡すると再
交付の希望は減少した.一方,外来管理加算については 5 分要件が撤廃されたが,
「懇切丁
寧な説明」は残り,簡単な症状のみで薬を処方する「お薬受診」には算定できないとされ
た.在宅医療関係では,往診料が 650 点から 720 点に引き上げられたが,積極的に在宅医
療を推進するまでには至らなかった.
平成 24 年度診療報酬改定は 6 年に一度の医療・介護保険同時改定であり,厚労省は地域
の医師・看護師・社会福祉士・介護職などの多職種連携を推進し,患者に医療・介護・予
防・住まい・生活支援サービスを切れ間なく,有機的かつ一体的に提供する「地域包括的
ケアシステム」基盤整備を目指している.その実現には地域医療に日夜従事している日臨
内会員に対して期待されるところが大である.しかし,甚大な被害を及ぼした 3 月 11 日の
東日本大震災以降,社会保障関連の財源の確保に対して政府・与党・野党の方針がいずれ
も明確でなく,実質的な改定は延期の意見も出ており前途多難な状況である.
318
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23年 9 月
●日臨内ワークショップ
1
日本臨床内科医会会員健康度
アンケート調査(第 2 報)
日本臨床内科医会総務部・調査研究委員会
担当常任理事
安田
福輝
ઃ.はじめに
本会の会員数は最近,毎年約 200 名が減少しています.その多くは死亡退会者で,患者
に健康管理を指導する現役の内科医が物故退会されることは大変残念なことと思います.
本会の会員である医師自身の健康について健康意識を知ることは本会の運営の今後に関係
することであり,さらには内科医という職業集団の健康度を知ることにもなり,大変重要
な意味をもつものと考えられます.本会員の健康度を 2010 年 7 月から 2011 年 5 月までア
ンケート調査した結果 2,025 名の回答があり,
集計できたところを今回ご報告いたします.
本会員がいかに自分自身の健康管理に努め,実行しているか否かを明確にできればと思
う次第です.
઄.まとめ
.2010 年 7 月 1 日から 2011 年 5 月 9 日までの回答者数は 2,025 名で,回答率は
12.6%であった.
.回答者の年齢は 33 歳から 97 歳までであった.回答者の平均年齢は男 64.5 歳,女
64.3 歳で,その内 70 歳以上が 41.7%であった.
.回答者の 80.4%が一般内科医である.その内訳は 74.9%は診療所の医師で,13.8%
が病院の医師である.
.診療勤務時間は平均 37 時間/週であったが,
/
全体の 42.8%は勤務時間が 40 時間/週
/
を超えていた.なお 60 時間/週を超えているのが全体の
/
5.3%に認められた.
.地域別にみると北海道・東北ブロック,中国・四国ブロック,九州ブロックの 3 ブ
ロックでは約 60%の会員が 40 時間以上/週の勤務をしていた.
/
.年代別にみると,70 歳代の 36.2%,80 歳代の 28.2%の会員の勤務時間が 40 時間//
週を超えていた.
.勤務年数は平均 25.6 年であり,40 年以上の勤務者は全体の 30.0%に達している.
.回答者の BMI(body mass index)平均値は 23.2 であった.地域差は認めなかった
が,年齢が増加するにつれ BMI が増加していた.
.健康診断受診回数の平均は年間 1.3 回で,年代とともに受診回数は増加の傾向で
あった.
10.最高血圧の平均値は 127.4 mmHg で,回答者の 80%は 140/90
/ 以下であった.なお
地域差は認められなっかった.
11.LDL-C は回答者の 67%が 140 mg/dl
/ 以下であり,HDL-C は 79%が 40 mg/dl
/ 以上
であった.なお中性脂肪 150 mg/dl
/ 未満の者は 65%であった.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011*平成 23+年 9 月
319
12.空腹時血糖 110 mg/dl
/ 未満の回答者は 69%であり,HbA1c 5.9%未満も 62%であっ
た.空腹時血糖,HbA1c は年代とともに上昇していた.
13.血色素量は回答者の 55%が 13.8 mg/dl
/ 以上であった.BMI の増加とともに血色素
量は増加した.
14.クレアチニンは回答者の 74%が 1.13 mg/dl
/ 未満で,しかも BMI が 18〜25 の範囲
の人では 77%であった.
15.尿酸は回答者の 64%が 6.9 mg/dl
/ 以下であった.しかしこの値は BMI の増加とと
もに上昇していた.
16.既往歴は,①高血圧,②糖尿病,③脂質異常症,④結核,⑤虫垂炎,⑥胆石,⑦前
立腺肥大,⑧尿管結石,⑨胃癌,⑩心筋梗塞の順位であった.これらは 70 歳代以上
に多く認められた.
17.既往歴のうち,BMI が 25 以上で多い疾患は高血圧,糖尿病,脂質異常症,胆石,尿
管結石であり,そして BMI が 18.5 以下で多い疾患は結核,前立腺肥大,胃癌であっ
た.
18.現在治療中の疾患は,①高血圧,②脂質異常症,③糖尿病,④前立腺肥大,⑤高尿
酸血症,⑥狭心症・心筋梗塞,⑦悪性新生物,⑧逆流性食道炎,⑨脊柱管狭窄症,
⑩アレルギー性鼻炎の順であった.これらは既往歴と同様に 70 歳代以上に多く認
められた.
19.BMI でみた治療中の疾患は,BMI が 25 以上で多い疾患は高血圧,脂質異常症,糖尿
病,高尿酸血症であり,BMI が 18.5 以下で多い疾患は悪性新生物,逆流性食道炎で
あった.
20.悪性新生物を治療中の 68 名(回答者 2025 名の 3.4%)の内訳は,①前立腺がん 18
名(悪性新生物 68 名の 12.2%)
,②胃がん 13 名(8.8%),③大腸がん 6 名(4.1%),
④肝がん,甲状腺がん,乳がん,膀胱がん,悪性リンパ腫が各 4 名(各 2.7%),⑨
肺がん 3 名(2.0%)
,⑩腎がん,直腸がんが各 2 名(各 1.4%)の順であった.
320
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011*平成 23+年 9 月
●日臨内ワークショップ
2
「各地域における認知症診療の
現状アンケート調査」の解析結果
日本臨床内科医会社会医療部・
平田
地域医療委員会
泰彦・田中耕太郎
アンケートの目的:今後わが国では,高齢化の急速な進行に伴い認知症高齢者も増加す
ると見込まれ,認知症への対応がますます重要視されてくる.その認知症対策には各地域
での医療・介護・福祉が連携する認知症地域支援体制を医師会や行政とともに構築するこ
とが必要と考えられる.しかし診療に関しては「認知症医療疾患センター」の設置や「認
知症サポート医」の認定などの施策は進められているが,行政の形式的な施策と地域の「か
かりつけ医」の意識の差は大きく,地域における診療ネットワークが構築されているとい
う実感はなかなか得られていない現状にある.今回この認知症診療が,全国・地域間でど
のような現状にあるのかを把握し,診療ネットワーク作りに必要な問題点の整理,検討を
行い,今後の行政への働きかけや診療報酬改定時の要望点をまとめることを目的としてア
ンケート調査を行った.
アンケート内容:会員プロフィールとして性別,診療形態,開業歴,所在地を質問した.
アンケートの調査項目は 17 項目とし,認知症診療の現状,診断・治療,入院の現状,認知
症診療に関する研修,専門医療機関とのネットワークの有無,他職種との連携等について
質問を行った.アンケートの回収は FAX もしくは郵送とし,期間は 6 月末から 7 月末ま
でとした.
アンケート結果:大都市圏とそうでない地域での認知症診療の現状における差異や認知
症対応の問題点を探りたい.また会員側の問題として地域医療に係わるかかりつけ医とし
ての認知症の正しい知識,診療への取り組みの差も同時に分析していきたい.
まとめ:認知症専門医だけでなく,かかりつけ医,家族を含め社会全体が認知症診療に
取り組むべきと考えられるが,そのことが可能になるのは,個々のかかりつけ医の力だけ
でなく,行政,医師会,協力病院,認知症疾患医療センター等のネットワークが有機的に
機能した場合と考えられる.今回のアンケートの集計結果が日本臨床内科医会での認知症
の正しい知識の普及・啓発に繋がり,その結果認知症の早期発見や,認知症高齢者や家族
が安心して生活できる地域作りに貢献できる一助になると考えられ,アンケート結果を発
表した.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23年 9 月
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●日臨内ワークショップ
3
JPPP,JPPP-GI の進行状況と
学術各班の今後の課題
日本臨床内科医会学術部
菅原
学術委員会担当常任理事
正弘
JPPP
モニタリング委員会の意見を踏まえ,予定通り本年度で終了することが決まった.研究
の質を担保するため,脱落例を 1 例でも減らすよう,ご協力をお願いしたい.
イベント確定件数は 957 件で,一次エンドポイント 296 件,二次エンドポイント 661 件.
死亡(脳梗塞 9 件,脳出血 7 件,くも膜下出血 7 件,心筋梗塞 9 件,その他の脳・心血管
系イベント 57 件,脳・新血管系以外の要因 335 件).非到死性脳血管障害 170 件(脳梗塞
131 件,脳出血 25 件,くも膜下出血 9 件,その他の脳血管系イベント 5 件),非到死性心筋
梗塞 37 件,一過性脳虚血発作 43 件,狭心症 77 件,外科手術またはインターベンションを
要する動脈硬化性疾患 135 件,輸血または入院を要する重篤な頭蓋外出血 71 件.累積イベ
ント発生率は割付後 4 年で 2.198%と当初の予想より低い.
JPPPGI
JPPP 症例を用い,消化管障害に着目したアスピリンのリスク & ベネフィットの検討(研
究代表者 池田康夫)
.二次調査の結果,全症例での消化管出血例は 0.9%で,上部消化管出
血 57%.このうち消化性潰瘍が 68%.下部消化管出血のうち大腸憩室が 24%と多かった.
詳細な解析は JPPP の key open 後に行われる.
学術各班の課題
循環器班を中心に二次性高血圧の調査を開始する.骨粗鬆症セミナーを全国で展開して
いるが,これと関連して,糖尿病の骨粗鬆症治療の実態調査を考えている.多くの会員の
参加をお願いしたい.
今後の課題として,各班から,関節リウマチ治療の現状調査,NASH・消化性機能異常症
の実態調査,タバコと肺がん,CKD の医療連携の現状,終末期医療の実態調査などの案が
出された.
322
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011%平成 23&年 9 月
●日臨内ワークショップ
4
原発性アルドステロン症の実態調査
日本臨床内科医会学術部循環器班 班長 中尾
正俊
はじめに
生活習慣病の一つである高血圧症は,外来血圧値は 140/90
/ mmHg 以上,家庭血圧値は
135/85
/ mmHg 以上,24 時間自由行動下血圧値は 130/90
/ mmHg 以上とされている.この
基準に従うと日本人の高血圧者の総数は男女計で約 4000 万人と推定される.高血圧症は
その原因により,本態性高血圧と二次性高血圧に分けられる.特に二次性高血圧である内
分泌性高血圧で注目すべき点は,これらの患者の多くが本態性高血圧症として治療されて
いて,偶然に行った検査で内分泌性高血圧が発見される頻度が高いことである.本態性高
血圧症と診断されて降圧薬が投与され,降圧効果が悪くなったり,高血圧に基づく臓器障
害を認めるようになったりして精査したところ,内分泌性高血圧が基礎にあることが判明
する場合もある.通常良性であることが多い内分泌性高血圧も,長期間に亘って高血圧が
持続して心血管障害が進行すると,原疾患を完治させても血圧が正常化しなくなるため,
早期に発見して治療することが望まれる.内分泌性高血圧の中で最も頻度が高く,検査法
の進歩により早期診断が可能となった原発性アルドステロン症は,最も特徴とされる低 K
血症が著明になる前に,血漿レニン活性やアルドステロンの測定値から気付かれることが
多くなっている.最近では内分泌性高血圧である原発性アルドステロン症は,高血圧患者
の 3〜10%程度を占めると報告されている.これらの調査研究は専門施設で実施されたも
のであり,日常臨床の場で多くの高血圧患者を対象に実施された調査研究は今までない.
高血圧診療において,
日常臨床の現状を踏まえた二次性高血圧の診断は極めて重要であり,
全ての高血圧患者の診療において念頭におくべきであると思われ,多くの先生方の調査研
究への参加を期待する.
実態調査の概要
(1 研究目的:初診無治療高血圧患者を対象にガイドラインに基づく二次性高血圧のス
クリーニング検査を用いて二次性高血圧の頻度を検討し,日常臨床の場における高血圧診
療に寄与すること
(2 研究方法:原発性アルドステロン症は頻度も高く,今回の二次性高血圧の対象疾患
として取り扱う.原発性アルドステロン症のスクリーニング法の測定項目は,PRA(血漿
レニン活性 ng/ml/hr:110
/ /
点)と PAC(アルドステロン濃度 pg/ml:140
/
点)であり,採
血姿勢は座位で良い.原発性アルドステロン症では PAC/PRA(ARR)が増大する.判定
/
基準は ARR>200 か,PRA が 1.0 ng/ml/hr
/ / 以下かつ PAC が 120 pg/ml
/ 以上とする.クッ
シング症候群は特徴的な徴候があり,頻度も 1.9%と低いため,血中コルチゾールの測定
は必須としない.褐色細胞腫も頻度が 0.3%と低く,血中・尿中のカテコールアミンの測定
は必須としない.
(3 調査研究実施期間:平成 24 年 2 月 1 日から 7 月 31 日までの 6ヵ月間実施
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011#平成 23年 9 月
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●医療安全研修会
現実の医事紛争事案から学ぶ
患者への対応
〜医療側の常識と患者側の常識〜
弁護士法人佐々木総合法律事務所 弁護士 佐々木泉顕
ઃ 平成 19 年 4 月,第 5 次医療法改正が施行され,これまで施行規則で規定されていた
医療安全に係る事項が,法律の条文で明記されることになりました.あわせて,病院,有
床診療所に義務づけられていた「医療安全管理指針」の整備等の対策が無床診療所にも義
務づけられることになりました.
「医療安全」とは,
「医療事故」を防止することです.
「医療事故」とは,医療における正
常でない出来事であって,医療の過程において患者に発生した望ましくない現象・医療提
供者の過失の有無は問わず,不可抗力と思われる事象も含むものです.
઄ 1999 年 1 月に起きた横浜市立大学病院の患者取り違え手術による医療事故発生以
来,つぎつぎに起った大病院の医療事故が報道され,医療界に対する信頼が揺らぎ,権威
が失墜しています.さらに長引く不況のために社会全体が殺伐とし,些細なことで暴言を
吐いたり,暴力を振るう,何かと金銭を要求するという,誠に嘆かわしい風潮となってい
ます.
ただ,すべての医療事故について紛争が発生するわけではありません.私は,医療事故
の患者側の方と交渉するなかで,医療者側と患者側(さらには裁判所)との間には認識に
大きなズレがあり,この認識のズレが原因となっている紛争事案が多数あると考えており
ます.
અ 一例をあげますと,患者側は,医療は万能かつ安全で当たり前だと思ってしまいま
すが,医療側は,医療が決して万能ではなく安全でもないことを知っています.
医療側 → 患者が訴えてくれなければわからない.
患者側 → 医師はすべて診察によって病名を判断できる.
ここに,「医師なら当然」という感覚に温度差が生じてしまいます.
「当然」の範囲がずれ
ているのだから,互いに信頼などできるわけがありません.
相互の認識のズレを解消することによって紛争を多少なりとも減少させたいものです.
324
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23年 9 月
●禁煙研修会
医療マネジメントとしての
タバコ・コントロール―最近の禁煙治療を中心に―
札幌社会保険総合病院 院長 秦
温信
日本のタバコ・コントロールの取り組みは欧米先進諸国に比べて大きく立ち遅れており,
タバコ・コントロールは国家的な課題である.ほぼすべての癌の発生や多くの疾患の原因
になっており,医療マネジメントとしてのタバコ・コントロールはますます重要になって
きている.ここでは演者がこれまでに関わってきた禁煙活動の一部とともに最近の禁煙治
療について述べる.
………………………………………………………
禁煙外来の設置施設数は現在かなりの数になっているが,当院では 1998 年 7 月より禁
煙外来を開設し,治療に当たっている.
基本的に医師全員が禁煙外来を担当することになっ
ており,通院患者はその通院診療科で,新患は総合診療科で担当する.患者数は 2005 年 4
月のニコチン依存症管理料の承認に伴って,さらに昨年 10 月タバコの値上げから急速に
増加している.現在,禁煙補助剤としては経口のものが主流になってきており,当院にお
ける禁煙成功率は 65%であった.
ニコチン依存症管理料の承認のためには敷地内禁煙が施設要件となっているが,当院は
2000 年元旦より全国に先駆けて敷地内全面禁煙を実施しており,さまざまな発信をしてき
た.病院機能評価の認定要件にもなったことから現在では多くの施設が敷地内全面禁煙を
目指すようになっている.
禁煙に対する苦情や禁煙についての相談に対する対応として,看護科長が毎日交代で病
院エントランスホールにおいて行っている「診療相談・看護相談」での「禁煙相談」にも
多くの相談があり,一定の効果を上げている.また,2006 年 3 月より市内タクシー協会の
協力も得て,当院での乗客待ちタクシーは禁煙車のみとしたのであるが,2008 年 7 月から
は札幌市全体のタクシー 6000 台以上にひろがった.
また,喫煙によってメタボリックシンドロームのリスクがたかまることは明らかであり,
その対策はきわめて重要である.喫煙者で禁煙意向をもっている人はかなりの数にのぼる
ことから,癌の予防およびメタボリックシンドローム双方の予防の意味でも健診での禁煙
指導はますます重要になってくると思われる.
………………………………………………………
喫煙による健康への影響に関する社会的関心が高まってきているにもかかわらず,日本
のタバコ・コントロールの取り組みは明らかに立ち遅れている.その要因は複雑に入り組
んでおり,その打開にはさまざまな困難が山積している.その取り組みの推進のためには
住民,事業所,行政,学会などすべての分野の連携がますます重要となってくる.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23年 9 月
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●ランチョンセミナー 1
糖尿病患者における
血糖・血圧・脂質管理の重要性
東海大学医学部内科学系
鈴木
腎内分泌代謝内科 准教授
大輔
糖尿病治療の目標は,
「血糖,体重,血圧,脂質の良好なコントロール状態を維持」し,
「糖尿病細小血管合併症(神経障害,網膜症,腎症)および動脈硬化性疾患(虚血性心疾患,
脳血管障害,閉塞性動脈硬化症)の発症,進展を防止」し,さらには「健康な人と変わら
ない日常生活の質(QOL)を維持し,健康な人と変わらない寿命の確保」とされている.
そのためには血糖のコントロールはもちろんのこと,血圧・脂質に関しても的確かつ適正
にコントロールする必要がある.
そこで本講演では 5 種類の経口血糖薬の特徴と使用方法について解説するとともに,一
昨年末から使用可能となった,従来の血糖降下薬とは作用機序が異なる新しい薬剤である
DPP-4 阻害薬と GLP-1 受容体作動薬について主に自験例を中心に解説する.
また,血圧の管理に関しては糖尿病患者への第一選択薬である ARB や ACE 阻害薬の
有用性について解説するとともに,レニン・アンジオテンシン(RA)系抑制薬とアムロジ
ピン 10 mg/日の併用療法がどのような臨床的有用性をもたらすかを検証した,
/
多施設オー
プン試験(TOWARD10:The clinical research of Tokai university to evaluate the way to
reach the treatment goal of diabetes patients by amlodipine 10 mg)について解説したい.
最後に脂質管理の重要性にも触れ,糖尿病患者の高血圧・脂質異常症合併患者における
通常療法からカデュエット配合錠への切り替えによる血圧・脂質・アドヒアランスにあた
える影響についても解説したい.
326
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
20113平成 234年 9 月
●ランチョンセミナー 2
2 型糖尿病の新しい治療戦略
旭川赤十字病院糖尿病・内分泌内科 部長 森川
秋月
糖尿病治療の目的は合併症の予防および進展防止である.そのため,合併症の予防・進
展防止に必要かつ十分な血糖コントロールの方法を確立することが,糖尿病治療の基本的
な戦略となる.
「血糖を可能な限り正常に近づけることが糖尿病性合併症を防ぐために有効である」と
いう仮説は,多くの大規模臨床試験の結果から,少なくとも細小血管障害(網膜症,腎症,
神経障害)については明確に証明されてきた.しかし大血管障害(心血管イベント)に関
しては,最近の ACCORD,ADVANCE,VADT 試験において「HbA1c 値を十分に低下さ
せる介入を行っても心血管イベントは有意に減少しない」という結果が示された.その理
由として,
ઃ「血糖を正常化すること」と「HbA1c 値を正常化すること」は等価ではない
઄「高血糖に対する治療介入の手段」の違いによって,合併症の進展防止効果は異なる
という 2 つの可能性が考えられる.HbA1c 値を目標に近づけるためにインスリンあるい
はインスリン分泌促進薬を過剰に投与することにより低血糖の頻度が増えれば,血糖上昇
のためにストレスホルモン(カテコールアミンやステロイド)が動員される.交感神経緊
張状態の持続は危険因子を多く有する患者においては,心血管イベントや突然死を誘発す
る危険がある.また適切な食事,運動療法がなされないままにインスリン過剰状態が続け
ば肥満,インスリン抵抗性を増悪させ,動脈硬化を促進させる可能性がある.したがって
求められるのは,
ઃ 高血糖も低血糖も排し,24 時間の血糖を正常域に保つ治療
઄ 肥満や高インスリン血症を誘導する介入方法を避け,適切な基礎・追加インスリン
分泌の誘導あるいは補充と,併せてインスリン抵抗性を解除する治療
であろう.最近使用が可能となったインクレチン関連薬(DPP-Ⅳ阻害薬,GLP-1 受容体作
動薬)を単独で,あるいは従来の治療薬と組み合わせて使うことにより,上記に合致する
治療を行うことが可能となってきた.
この講演においては,インクレチン関連薬を用いた糖尿病の薬物治療を中心に,具体的
な症例を多く供覧しながら,
合併症を防ぐための 2 型糖尿病の治療戦略を考察してみたい.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011 平成 23年 9 月
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●ランチョンセミナー 3
認知症〜最近の診断・治療・ケア〜
京都大学医学部附属病院老年内科
武地
講師・診療科長
一
社会の高齢化のなかで認知症患者は増加の一途をたどっている.認知症という脳の病気
は専門性が高い疾患であり,診断・治療・ケアで難しい側面ももつが,一方で,非常にあ
りふれた疾患であり,一線の内科医が担う役割は大きい.この 10 年余り,認知症について,
多くの知見が積み重ねられ,また 2011 年には国内で 3 種類のアルツハイマー型認知症治
療薬が新たに発売になり,新しい局面を迎えている.
まず,診断について,従来に比べて認知症という病気が幅広く知られてきたこと,治療
可能性があることが一般市民にも伝わり,
初期段階で医療機関を訪れる患者が増えてきた.
治療薬選択の意味でも,鑑別診断が重要となっている.疾患としては,最も患者数の多い
アルツハイマー型認知症,最初期段階としての軽度認知障害(mild cognitive impairment:
MCI)
,鑑別上重要なレビー小体型認知症,正常圧水頭症,脳血管性認知症などがあげられ
る.実地の診療において重要な病歴の聞き取り,症候,認知機能検査,形態画像としての
CT/MRI
/
の基本的な使い方,精査が必要な場合の SPECT の適応,病態生理的な検索とし
ての髄液検査やアミロイド PET の意義などの考え方を概説する.診断後の告知のあり方
についても触れる.
次に治療薬として,アミロイドに対しての根本的治療薬としてのワクチン,アミロイド
生成阻害剤などの開発・治験が精力的に行われてきたが,残念ながら市販されるに至って
いない.軽度から高度まで適応があるドネペジルと最近市販された 2 種類のコリンエステ
ラーゼ阻害剤,新たに加わったグルタミン酸 NMDA 受容体拮抗剤を適切に使用していく
ことが求められる.また,以前は周辺症状・問題行動と呼ばれ,最近では行動・心理症候
と呼ばれることが多い BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)につ
いての考え方,治療が重要である.認知症の診療を成功させるためには,認知症ケアや地
域連携の知識,多職種共同の実践が必要であり,その点についても触れたい.
328
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011+平成 23,年 9 月
●ランチョンセミナー 4
日常診療の中での積極的脂質管理の意義
〜LDL/HDL-C
/
比の有用性〜
武田病院グループ予防医学・EBM センター長,
桝田
京都大学医学部 臨床教授
出
わが国では平均寿命と健康寿命との格差が大きく,この原因として脂質異常症,糖尿病,
高血圧症など生活習慣病に基づく動脈硬化性疾患が増加していることが考えられます.動
脈硬化危険因子のなかで,LDL コレステロール(LDL-C)は最もハイリスクであり,スタ
チンによる LDL-C の積極的低下療法が動脈硬化の進展抑制や退縮に有効であることが明
らかにされています.慢性期冠動脈疾患を有する高コレステロール血症に実施された
COSMOS 試験では,ロスバスタチン投与によって LDL-C が 82.9 mg/dL,LDL-C/HDL/
/
C(L/H)比が
/
1.56 に低下し,プラークが有意に退縮することが日本人で初めて示されま
した.しかし,HbA1c や BMI が高いと退縮しにくいことから,糖尿病や耐糖能異常に対す
る管理は今後検討されるべき課題です.さらに,スタチン治療による頸動脈内膜中膜複合
体厚(IMT)退縮効果を検討した JART 試験も興味深い結果です.
冠動脈血管内超音波(IVUS)で冠動脈プラーク体積を評価したメタ解析では,LDL-C
の低下に加え HDL コレステロール(HDL-C)の増加が,冠動脈硬化の退縮に関連するこ
とが報告されています.すなわち,LDL-C と HDL-C のバランスである L/H
/ 比を意識し
た治療が求められています.最近,LDL-C を「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2007」の
管理目標値まで低下させたうえで,さらに一次予防では L/H
/ 比を 2.0 以下,二次予防では
L/H
/ 比を 1.5 以下に管理することが提唱されています.二次予防では,L/H
/ 比 1.5 以下で
あれば有意な冠動脈の退縮がみられることや虚血性心疾患の再発リスクが減少することな
どが報告されています.われわれは,人間ドック受診者を対象として動脈硬化性疾患一次
予防における L/H
/ 比の臨床的意義を検討しました.L/H
/ 比が高くなるほど動脈硬化性疾
患危険因子の保有数は増加しており,糖代謝異常やメタボリックシンドロームを有さない
例の平均 L/H
/ 比は 2.0 でした.
メタボリックシンドロームや肥満を伴う糖尿病では LDL-C が正常であっても心血管疾
患を発症する危険性が高いため,動脈硬化性疾患予防ガイドラインの管理目標値を遵守す
るだけでなく,L/H
/ 比を考慮することによって,心血管疾患の発症リスクを軽減できる可
能性が考えられます.L/H
/ 比は,実臨床で測定可能な指標であることから,エビデンスの
構築により有用な管理指標となることが期待されます.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011)平成 23*年 9 月
329
●ランチョンセミナー 5
呼吸器感染症に対する抗菌薬使用の考え方
〜患者満足度とは?
川崎医科大学総合内科学 1 准教授 宮下
修行
呼吸器感染症診療に関するさまざまなガイドラインが欧米を中心に発表されているが,
その目的は呼吸器感染症の治療効果の向上(個人防衛)と医療資源の節減(社会防衛)で
ある.本邦での呼吸器感染症に関する大きな特徴は,肺炎球菌やインフルエンザ菌に対す
る薬剤耐性化率が年々進んでいることで,耐性菌の少ない欧米が推奨する抗菌薬を選択す
ることは困難な状況にある.さらに,マイコプラズマの薬剤耐性株が 2000 年以降に日本各
地で分離されるようになり,急速に増加している.これらの耐性株は小児科領域に限局さ
れていたが,ここ数年成人領域でも観察されるようになり,さらに中国ではすでに 70%を
超える耐性率も報告され,今後の耐性動向が注目されている.すなわち,治療に際しては
耐性菌を考慮した抗菌薬の選択が必要となる.
わが国ではこれに加え「菌の耐性化予防や医療資源の有効利用」
(集団防衛)を基本理念
とし,2000 年以降に日本呼吸器学会から 4 つのガイドライン―市中肺炎,院内肺炎,気道
「抗菌薬の適正使用」にはさまざまな方法と解
感染症,医療ケア関連肺炎―が公表された.
釈がある.たとえば自然治癒する感染症に対して抗菌薬の投与は不要か?
私は主に集団
防衛の観点から抗菌薬が必要と考えている.ただし,投与する際には抗菌薬の種類や投与
期間を考慮しなければならない.さらに個人防衛の観点から患者満足度も考慮する必要が
ある.
本講演会では特に抗菌薬の特性に重点をおき,
「呼吸器感染症に対する抗菌薬使用の考
え方」について紹介し,会場の先生方と議論できればと思います.
330
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23年 9 月
●ランチョンセミナー 6
人はなぜ肩がこるのか
―肩こり研究会の挑戦―
大阪厚生年金病院脊椎外科 部長 細野
昇
肩こりは国民生活基礎調査の有訴者率では女性では常に 1 位,男性でも腰痛に次いで 2
位です.肩こりとはどんな病態であるのか特に説明せずとも理解できるのは,ほとんどの
人が経験しているからともいえます.しかし普遍的な愁訴であるがゆえにあらためて定義
することには困難を伴います.どの成書にもL頚から肩にかけて筋のこわばり感・疼痛で
筋疲労が原因であるYとなっていますが,驚いたことにこの記述が事実かどうか,あるい
はどの程度の evidence があるのかについて検証された研究,論文はほとんどありません.
この講演では肩こりに関するL常識のウソYについて review したうえで,今後どのような
方向で肩こりに関する研究を進めていけばよいのかを探ろうと思います.
肩こりに筋緊張を伴うかどうか,筋硬度計を使った研究はありますが,筋硬度は個人差
が大きく,また測定肢位にも影響されます.さらに種々の筋硬度計自体の信頼性は十分に
検討されていません.したがって「肩こりは筋緊張に由来する」とまでは結論できません.
肩こりにおいては痛みやこりが反射性に筋の硬直を生じ,この硬直のために循環が障害
されて疲労物質がたまり,さらにこの疲労物質が痛みやこりを起こすといった悪循環が生
じている,とされています.しかしその循環障害が動脈性なのか静脈性なのかは明確に述
べられていないだけでなく,疲労物質なるものの正体も記述されていません.最近では近
赤外線分光法(NIRS)を使った研究がいくつも行われていますが,皮下脂肪の厚みが測定
値に影響を与えるという問題があり,適当な対照を設定した研究もありません.
肩こりは単に筋の疲労でしょうか?
確かに歩き過ぎた後など大Ç四頭筋に痛みやはり
を感じますが,これは休むと軽快しますし,四頭筋の疲労を主訴に病院を受診する人など
まずいません.一方肩こりは筋を休めてもなかなか取れないことが多いものです.肩こり
を単に筋疲労と考えるには随分無理があるのです.
肩こりはなで肩の人に多いといわれます.なで肩の明確な定義はないのですが,たとえ
ば左右の肩峰を結ぶ線より第 2 胸椎棘突起のほうが高い状態と定義した研究では,肩こり
群と対照群でなで肩の頻度に有意差は見いだせませんでした.したがってなで肩に肩こり
が多いというのは女性に肩こりが多いことを別の面からみているにすぎない可能性があり
ます.
以上より,成書の述べる肩こりの特徴についてはほとんど根拠がなく,より高い evidence を求めて研究を進めていくべきかと考えます.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23年 9 月
331
●ランチョンセミナー 7
マクロライド系抗菌薬をどう使うか?
〜新たな展望を見出す〜
東北大学加齢医学研究所
渡辺
抗感染症薬開発研究部門 教授
彰
感染症治療における各種抗菌薬の繁用に伴い,薬剤耐性菌によって感染症治療が難治化
する症例が増加しています.わが国でよく行われてきた抗菌薬の「低用量・長期間投与」
という治療法では十分な治療効果が得られないばかりか,長期間処方による服薬コンプラ
イアンスの低下によって耐性菌が増加している,という意見も多くなっています.
そのような中,幾つかの抗菌薬では PK-PD(薬物動態学-薬力学)理論に基づく用法・
用量の見直しが行われています.これは,安全性を考慮しながら臨床効果を最大限に高め,
同時に耐性菌の発現を可能な限り抑制するための投与設計であり,いまある抗菌薬のポテ
ンシャルを最大限に引き出すための手段として注目されています.
PK-PD 理論に基づいて開発された抗菌薬の中にアジスロマイシン 2 g 単回投与製剤(ジ
スロマック SR)があります.本剤はマクロライド系抗菌薬ですが,国内臨床試験ではマク
ロライド耐性肺炎球菌性肺炎に対する有効率が 90%以上を示すなど,耐性菌時代の急性呼
吸器感染症治療薬として期待されています.マクロライド耐性でありながら臨床的に有効
となる理由はいまだ不明確ですが,マクロライド系抗菌薬が有する抗菌活性以外の作用に
よる可能性が示唆されています.肺炎球菌性肺炎では,肺炎球菌が産生するニューモリシ
ンという毒素をマクロライド系抗菌薬が抑制して臨床症状が改善している可能性があると
報告されています.そのほか,TNF-a や IL-6 などの炎症性サイトカイン抑制作用も報告
されており,アジスロマイシンは感染症の原因菌に作用するだけでなく,感染によって亢
進している炎症性サイトカインの産生を抑制することで臨床症状を改善に導いていると考
えられています.このようなマクロライドが有する抗炎症作用は慢性気道感染症の治療に
応用されていますが,近年,重症市中肺炎患者の生存率改善に寄与している可能性を示唆
する報告が相次いでいます.
本セミナーでは急性呼吸器感染症治療におけるマクロライド系抗菌薬の見直しを行いな
がら,アジスロマイシンに期待される臨床的役割と新たな可能性について考えて行きます.
332
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23年 9 月
●ランチョンセミナー 8
不眠と生活習慣病
―ラメルテオン製剤の効用―
東京女子医科大学東医療センター 病院長 大塚
邦明
体温や血圧の日内変動など,種々の生理機能には何らかの周期的変動があることは以前
から知られていました.また近年の研究により,これらの変動は体内時計によってコント
ロールされている生体リズムであることが明らかにされました.そこでこの講演では,生
体リズム研究の最近の進歩について概説し,生体リズムの乱れが生活習慣病や発癌に大き
く影響することを紹介します.
生体リズムとは,1 日単位や 1 週間単位,あるいは 1 年単位で起こる生理機能のリズム
性変動のことです.この生体リズムは,脳の視床下部視交叉上核(suprachiasmatic nucleus,SCN)に存在する体内時計(中枢時計)によって統括されています.体内時計(中
枢時計)には時計細胞が含まれており,各時計細胞に 6 個の時計遺伝子があること,そし
て時計遺伝子と時計蛋白との連関により時が刻まれることが明らかにされています.
一方,身体のほとんど全ての細胞に,中枢時計にある時計遺伝子と同じ時計遺伝子が存
在し,中枢時計と同様にコアループが回っていることが明らかにされました.末梢時計と
呼ばれています.末梢時計は,さまざまな神経や液性因子などを通じて伝わる中枢時計の
リズムに従い,個々の生理機能に適した固有のリズムを刻んでいます.
それゆえ,正しく生体リズムを維持するためには,これらの体内時計を外界の時刻と同
調させることが重要です.本来,体内時計は約 25 時間周期で時を刻んでいる(からだの自
転)ため,外界の 24 時間周期(地球の自転)と約 1 時間のズレがあります.このズレを修
正し,昼間は活動に適した状態,夜間は休息に適した状態になるようリズムを調整しなけ
ればなりません.
この調整因子が,朝の太陽光と朝の食事,そして就寝時のメラトニンです.その他,日
中の活動,昼夜の気温差,湿度の変化,機会あるごとに時刻を確認することなどさまざま
な環境因子の影響も,生体リズムの維持に寄与しています.
一方,現代社会では夜更かしが多く,起床就寝時刻が不規則になりがちで,暴飲暴食も
少なくなく朝食のリズムも乱れてしまいます.運動不足や精神的ストレスなど,さまざま
な生活習慣の乱れが,生活リズムを乱してしまいます.生活リズムの乱れは生体リズムの
乱れを引き起こし,その結果,さまざまな生活習慣病が発症してしまいます.生体リズム
の乱れは,高血圧症,糖尿病,脂質異常症(高脂血症),肥満,発がんなどの発症原因となっ
ています.最近,体内時計は骨代謝にも関与していることが報告され,健康長寿にも大き
く関わっているとされています.健康を維持するためには,各自それぞれに生活リズムを
守る工夫を心がけることこそ大切です.
昨年発売されたメラトニン受容体アゴニスト(ラメルテオン)の効果が期待されます.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23 年 9 月
333
●ランチョンセミナー 9
糖尿病の治療目標とその実践
信州大学大学院医学系研究科加齢病態制御学
駒津
(糖尿病・内分泌代謝内科) 教授
光久
糖尿病患者は日本をはじめ世界で急増しています.
現在,
日本の糖尿病患者は 1000 万人,
その予備軍は 1500 万人ほどと推定されます.また冠動脈疾患や脳梗塞などの動脈硬化性
疾患の背後に糖尿病が存在することが極めて多いのも周知の事実です.最近は癌や自殺な
どの頻度も糖尿病患者で多いことが明らかとなってきました.したがって,医療界のみな
らず社会的にも「糖尿病対策」は喫緊の課題です.糖尿病患者数の増加にくらべて糖尿病
専門医の数は圧倒的に少なく,また疾患の特性からすべての「内科医」が診療すべき疾患
といえます.
糖尿病治療の基本はいうまでもなく血糖コントロールです.厳格な血糖コントロールで
合併症の発症・進展が抑制されることはすでに科学的に証明されています.しかし,その
達成はさまざまな手段が利用できる現在でも必ずしも容易ではありません.これは血圧や
脂質のコントロールは医者のさじ加減に依存しますが「血糖コントロールは患者さん自身
のさじ加減によるから」といえます.さらに,血糖コントロールの目標は,実臨床の現場
では,常に the lower,the better ではなく,安全かつ現実的な設定が求められます.この
ことは,血糖コントロールが難しい症例ではあきらめても良いということではありません.
常に治療目標を意識し,それにむかって積極的に治療法を Up Date していくことが肝心で
す.本講演では,血糖コントロールに切り札として考えられているインスリン治療の現状
と「早期インスリン導入」の重要性をお話しします.具体的に,どのようにすればインス
リン導入やその後の調整が可能となるか,専門医からみたポイントを提示します.経口血
糖降下薬の進歩で,
インスリン導入をせずに目標コントロールが得られることが多くなり,
糖尿病診療の光明といえます.しかし,それでも血糖コントロールに難渋する症例ではイ
ンスリン導入に踏み切るという「われわれ医師の信念」が重要です.
糖尿病患者の治療は,生活習慣の改善,血糖コントロール,体重,血圧,脂質のコント
ロールなどトータルケアが求められます.目の前の患者さんのコントロール目標をどのよ
うに設定し,アプローチしていくかについて,少しでも皆様のお役にたてれば幸いです.
334
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23年 9 月
●ランチョンセミナー 10
これからのインフルエンザ診療
九州大学先端医療イノベーションセンター
池松
臨床試験部門長・特任教授
秀之
豚由来とされる AH1N1 型インフルエンザの人での流行が 2009 年に報告され,大きな
注目を集めました.その後,このウイルスは世界中で流行しましたが,日本では,感染者
は 1500 万人程度と推定され,入院に至る症例が例年と比較して著増することはありませ
んでした.日本において日常的になっている迅速診断キットによる早期診断と抗インフル
エンザ薬による早期治療が大きな役割を果たしたのではないかと考えられます.
臨床現場ではイムノクロマトグラフィーを原理としたウイルス抗原を検出する迅速診断
キットが用いられています.新型インフルエンザ出現時にはウイルスの変異により,従来
の季節性インフルエンザ診断キットの診断能の低下が懸念されていましたが,従来の季節
性インフルエンザの迅速診断キットでの H1N12009 の診断に問題はなかったようです.
日本では,季節性インフルエンザに対して,発症早期からオセルタミビルやザナミビル
による治療が広く行われています.2007 年 11 月頃から北欧を中心に AH1N1 ソ連型ウイ
ルスの中にオセルタミビル耐性となるアミノ酸の H275Y 変異をもつウイルスの分離が報
告され,日本でも,2008-2009 年流行期には分離された H1N1 ソ連型のほぼ 100%が変異
ウイルスとなっており,オセルタミビルの臨床効果が低下していることが報告され注目さ
れました.H1N12009 ウイルスにおいても同じ変異を持つオセルタミビル耐性ウイルスの
分離が少数ながら報告され,注意が必要と考えられています.
2010-2011 年流行期は,昨シーズンに続いて H1N12009 の流行がみられましたが,同時
に H3N2 型や B 型の流行もみられました.また,2 つのノイラミニダーゼ阻害剤であるラ
ニナミビル(イナビル)とペラミビル(ラピアクタ)が広く使用されるようになりました.
今回,従来から使用されているオセルタミビルとザナミビルに加えて,これらの薬剤にお
ける治療開始から解熱までの時間などの臨床効果に対する成績を紹介したいと思います.
また,迅速診断キットの成績や各薬剤に対する分離ウイルスの IC50値などの耐性ウイルス
に関する情報もあわせて紹介したいと思います.これらと従来からの知見を振り返り,今
後のインフルエンザ診療について考えてみたいと思います.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23年 9 月
335
●ランチョンセミナー 11
高用量メトホルミンの使い方
医療法人社団糖友会 栗原内科 院長 栗原
義夫
ビグアナイド薬は 1950 年代よりブホルミン,フェンホルミン,メトホルミンが使用され
てきましたが,1970 年代後半に米国においてフェンホルミンによる乳酸アシドーシスによ
る死亡例が多発し,世界的にその使用が制限されました.わが国においてもメトホルミン
の使用上限が 1 日 1500 mg から 750 mg に引き下げられました.しかし,1990 年代後半か
ら Multicenter Metformin Study,UKPDS(UK Prospective Diabetes Study)34,DPP
(Diabetes Prevention Program)などの大規模臨床試験の結果からメトホルミンが 2 型糖
尿病の発症,進展,そして細小血管症のみならず大血管症の予防に有効であることが,明
らかにされました.これを受けて 2005 年に国際糖尿病連合(IDF)が,また 2006 年以降の
米国糖尿病学会(ADA)と欧州糖尿病学会(EASD)の共同コンセンサスではメトホルミ
ンが 2 型糖尿病の第一選択薬となっております.
欧米ではメトホルミンは一般に 1 日 1700〜2550 mg と高用量で使用されており,用量依
存性の効果が確認され,SU 剤とほぼ匹敵する血糖低下作用を示すことも報告されていま
す.一方,わが国ではメトホルミンの承認用量が 1 日 750 mg までのままで,欧米の一般的
な用量と大きく異なる状況が長らく続いていました.この差を解消するため国内臨床試験
が行われ 2010 年 5 月に最高 1 日 2250 mg まで投与可能な高用量薬(メトグルコ®
)が承認
されました.本試験では,750 mg/日群に比し,1500
/
mg/日群では
/
HbA1c,空腹時血糖値
の有意な低下が認められました.
私は 1990 年代の後半からメトホルミンを使い続けていますが,使い始めた頃から 750
mg/日では足りないと感じていました.そこで
/
2001 年には 500 mg/日から
/
1000 mg/日に
/
増量した効果について学会発表し,12 週後に HbA1c(JDS 値)が平均 0.7%低下すること
を報告しました.また,メトホルミンはインスリン抵抗性改善薬と位置づけられているた
め肥満した 2 型糖尿病患者にしか効かないと考えられておりましたが,2002 年にメトホル
ミンの肥満度別効果を学会発表し,その効果は肥満度に関係なく有効であることを示し,
論文にいたしました.さらに 2010 年にはメトホルミン 750 mg/日から
/
1500 mg/日への増
/
量効果について発表し,6ヵ月後に HbA1c(JDS 値)が平均 0.9%低下することを報告しま
した.このように高用量のメトホルミンは肥満の少ない日本人においても十分に効果が認
められることが明らかになりました.
最近,欧米では高用量のメトホルミンにより発癌リスクの低下と癌死亡の予防効果がい
くつも報告されています.またメトホルミンが DPP-4 活性を抑制するとの報告や DPP-4
阻害薬との併用により血中活性型 GLP-1 濃度が相乗的に増加することが報告されていま
す.これらのことからこの「古くて新しい薬」の魅力は尽きないと思われます.
336
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
20118平成 239年 9 月
●ランチョンセミナー 12
FibroScan による肝弾性度の測定は
何を意味するか?
北海道社会保険病院消化器センター センター長 古家
乾
FibroScan はフランスの ECHOSENSE 社で開発された肝の弾性度を直接測定する装置
です.名前のとおり fibrosis を scan するということが容易に連想可能です.
肝の線維化を測定する Gold Standard はもちろん肝生検です.しかし,その浸襲性によ
る合併症とサンプルエラー(針生検のサンプルは肝全体の 5 万分の 1 といわれています)
や病理診断医の不一致性などから,より低浸襲性で簡便な線維化測定法の開発が古くから
望まれていました.血小板数や生化学的線維化マーカー(ヒアルロン酸,Ⅳ型コラーゲン
7S など)
,さらに各種のインデックス(APRI など)がその代表例ですが,各種肝疾患の線
維化を直接測定してはいないため限界がありました.
当センターでは 2005 年の秋からこの FibroScan を導入し,これまで約 1 万人を超える
症例に対して臨床研究を行ってきました.この装置の弾性度の測定原理は,低周波のせん
断波(shear wave)を肝臓に伝播させ,そのゆがみを超音波で画像化します.さらにその
せん断波の伝播速度から肝臓の固さをヤング率を用いて算出します.簡単にいえば,
「固い
ものほどせん断波が早く伝わる」という原理になります.
この測定原理からすると肝弾性度(elasticity)=肝の硬さ(stiffness)ですが,肝弾性度
は fiborosis も反映しますが,fiborosis 以外にも弾性度に影響する因子がいろいろあること
がわかってきました.
われわれは,まず日本人の肝弾性度の正常値を設定することに着手し,さらに検診例に
おける非アルコール性脂肪性肝障害(NAFLD)やアルコール性肝障害のハイリスクグルー
プの抽出を試みました.もちろん,ウイルス性慢性肝炎(HCV,HBV)や自己免疫性肝炎
などの線維化ステージ推定にも役立ちますが,そのほか急性肝炎やうっ血肝,閉塞性黄疸
などでも弾性度が上昇することが明らかになりました.
したがって,FibroScan の弾性度が背景肝疾患の病態ににより線維化以外のさまざまな
重症度を反映する可能性があり,応用範囲が広がってくる可能性がでてくる訳です.
今年の 2 月に日本でも厚労省の認可がおり,保険適応が認められる予定です.肝弾性度
が何を意味するのか,当センターでの経験とこれまでの review を含めて紹介させていた
だきます.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
20114平成 23)年 9 月
337
Ⅰ-1
進行膵癌の診断契機となった臨床所見の検討
会員発表
口
演
発
表
札幌共立五輪橋病院
2
共立病院
1
○本間 久登 ,秋山
1
大井 雅夫 ,岡本
1
古川 勝久 ,平田
2
福田 守道
1
消化器病センター ,札幌
1
1
剛英 ,高橋 稔 ,
1
1
哲郎 ,中野 洋一郎 ,
1
2
健一郎 ,女澤 慎一 ,
【目的】消化器癌の中で難治癌の代表である膵癌
は,発見時すでに BSC となる症例も多く,いかに
治療可能な進行度で発見しうるかがその予後を左
右する.そこで今回膵癌発見の向上を目的にその
発見契機となった所見を調べ,膵癌を考慮する際
に臨床上何が重要なのかを検討した.
【対象および方法】2006 年 1 月から 2011 年 1 月ま
で に 当 院 で 経 験 し た stage Ⅳ 進 行 膵 癌 221 例
(stage Ⅳa 74 例,stage Ⅳb 147 例)を対象とし
た.男女比は 117:104,平均年齢は男 62.9 歳,女
66.6 歳である.原発部位は膵頭部が 121 例,膵体
尾部が 97 例,全体が 3 例である.
【結果】膵癌発見の契機となった所見は,臨床症状
155 例(70.1%),血液検査 43 例(19.5%),画像
検査 23 例(10.4%)の順であった.これらの中で,
臨床所見では腹痛,背部痛,腹痛および背部痛の
訴えが 96 例(61.9%),黄疸が 34 例(21.9%)と
多 く,血 液 検 査 で は 糖 尿 病 の 悪 化 が 28 例
(65.1%),肝機能障害が 6 例(14.0%)と多く,
そして画像所見では他癌術後経過観察中の CT 検
査が 10 例(52.2%),健診の腹部超音波検査が 8
例(34.8%)と多かった.
【結語】腹痛や背部痛で受診した際には胃・大腸検
査のみならず膵癌も念頭におき精査する.また,
糖尿病治療中の血糖の悪化には膵癌を念頭に検査
する必要がある.
338
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011$平成 23年 9 月
Ⅰ-2
ピタバスタチン投与初期および早期の腎機能に及
ぼす影響
Ⅰ-3
在宅療養から脳死肺移植を行われた間質性肺炎の
一例
角田医院
北見中央病院
○角田
○佐々木
弘一
吉明
【はじめに】間質性肺炎(IP)は予後不良の肺疾患
【目的】昨年本会で,ピタバスタチン(P)長期投
で あ り,特 に 疾 患 の 増 悪 に よ る 在 宅 酸 素 療 法
与例の脂質の量的および質的管理状況,そして腎
機能に及ぼす影響を報告した.今回 P 投与の初期 (HOT)導入症例に関しては,社会生活の制限を
来し,著しく生活の質の低下をもたらす.今回 IP
並びに早期の腎保護作用について検討を加えた.
【方法】男性 12 名に P 2 mg を単回投与後,2,4, にて長期療養中の症例に対して,在宅訪問診療や
6 時間の初期,さらに投与 7,14 日後の早期の腎, 往診を行いながら脳死肺移植にこぎつけた症例を
経験した.
脂質代謝への効果を検討し,後日,内 7 名で初期
【症例】38 歳女性.28 歳時発症の Overlap 症候群
の対照試験(C 群)を実施した.
にてステロイド投与が開始される.31 歳より間質
【結 果】初 期 に お い て,P 群 で は 2H 後 Ccr は
性肺炎を併発し,34 歳時より HOT 導入となっ
132.5 か ら 183.0 ml/分,C
/
UA は 10.7 か ら 15.8
た.現行の治療継続を考慮したが,IP による呼吸
ml/分,血清尿酸は
/
5.6 から 5.4 mg/dl
/ と有意に
障害が本人の社会生活を著しく制限していた.
変化した.C 群では 2H 後,同指標に有意な変化
を認めず,Ccr,CUAの変化量は両群で有意な群間
2008 年 7 月より日本臓器移植ネットワークに登
録し脳死肺移植待機者となり,演者が在宅訪問診
差を認めた.また P 群 6H 後の Ccr,CUA,血清尿
療や往診にて対応した.待機中は呼吸器感染症な
酸の有意な変化はなく,一過性の変化であった.
どは認めず,2010 年 11 月 26 日朝,北見消防署や
尿 8-OHdG は P 群でのみ 6H 後 8.9 から 8.4 ng/
/
航空会社の多大なる配慮のもと,民間航空機を乗
mgCr と有意に減少した.脂質代謝では,TG が
り継ぎ北海道から仙台まで搬送され,同日東北大
両群で低下し LDL-C,HDL-C は有意な変化はな
学病院にて脳死肺移植(左肺)を施行された.術
かった.早期において,投与 7,14 日後の Ccr は
後経過良好にて 2011 年 4 月 2 日退院となった.
有意に増加し,尿 8-OHdG は有意に減少した.脂
現在は HOT から離脱している.
質代謝では,LDL-C は 7,14 日後,TG は 14 日後
【考察】予後不良の IP は,脳死肺移植の適応疾患
に有意に低下した.Ccr 変化量と尿量変化量は全
時点で有意な相関は認めなかった.
である.本症例においては,Overlap 症候群の病
【考察】P 単回投与後初期に急性効果として腎機
状が安定していたためと本人の今後の社会生活復
能改善と尿酸低下作用が認められ,これらは,
帰の希望もあり,脳死肺移植を考慮した.移植待
hyperfiltration に伴うものではなく,脂質改善作
機中は本人の負担を減らすため,極力在宅訪問診
用と独立した P の多面的薬理作用によるものと
療や往診にて対応した.在宅療養を継続し,遠隔
考えられ,さらに早期に脂質改善作用も加わり,
地での脳死肺移植にこぎつけた症例は稀であり,
腎保護作用に関与することが示唆された.
今後の移植医療の一助になると考え報告する.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011$平成 23年 9 月
339
Ⅰ-4
ARB 内服で効果不十分な高血圧患者に対する多
施設共同観察研究(S-RCH Study)
1
2
長野内科胃腸科 ,花壇医院 ,宮町通りクリニッ
3
4
ク ,草刈内科
1
2
3
○長野 正裕 ,武山 大也 ,中目 貴彦 ,
4
草刈 拓
【目的】高血圧治療の目標は合併症の予防と生命
予後の改善にあるが,その血圧目標達成率は必ず
しも高くない.本研究ではロサルタン/ヒドロク
/
ロロチアジド(以下 ROS/HCTZ)錠の降圧目標
/
未達成患者への有用性を検討した.
【方法】1ヵ月以上 ARB 通常用量単剤もしくは
ARB 通常用量とアムロジピン通常用量を併用し,
JSH2009 血圧目標値が未達の本態性高血圧患者
139 例が対象.前治療薬である ARB 通常用量を
ROS/HCTZ
/
錠に切替え,12ヵ月間フォローを
行った.主要評価項目は治療開始 3ヵ月後の SBP
変化量.
【成績】平均年齢 68 歳.男性が 50%.BMI 平均
24.39.投与開始 3ヵ月後の血圧値平均は,SBP
153.8±11.35 mmHg か ら 135.7±12.37 mmHg
(p<0.0001)
,DBP 87.4±9.37 mmHg から 78.4
±9.35 mmHg(p<0.0001)と低下し,ガイドラ
イン達成率は 47.5%から 89.9%へと上昇した.
臨床検査値変動は正常範囲内.尿酸は投与前 7.0
mg/dl
/ 以上群で投与 12ヵ月後に 0.43±1.08 mg//
dl 低下した.
【結論】目標血圧未達成患者への ROS/HCTZ
/
錠
の処方により,血圧を有意に低下させ,降圧目標
達成が 12ヵ月後に 91.4%となった.臨床検査値
への悪影響はなく,むしろ尿酸高値群で低下傾向
がみられ,実地臨床における有効性と安全性が示
された.
340
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
Ⅰ-5
EPA 少量投与の有用性
岩崎病院
○岡本
内科
紳也,岩崎
泰彦
【目的】n-3 系多価不飽和脂肪酸は血清アディポ
ネクチン濃度を上昇させ抗肥満作用を示すと考え
られている.しかし EPA の長期摂取がレプチン
抵抗性を惹起し,過食,肥満を生じる可能性も指
摘されている.少量の EPA 投与(900 mg/day)
/
が体重,糖代謝,脂質代謝,腎機能に及ぼす影響
を検討した.
【方法】血清脂肪酸分画を測定し多価不飽和脂肪
酸(EPA/AA)比を算出し得た
/
192 例を対象とし
た.EPA/AA
/
比が 0.35 以下と低値を示した例を
食事指導+EPA 投与群(E 群:32 例)と食事指導
群(N 群:32 例)に分け,1 年後の体重,腹囲,
糖・脂質代謝,腎機能の変化を検討した.EPA//
AA 比が 0.36〜0.65 の中等群(M 群:78 例)
,
0.66 以上の高濃度群(H 群:50 例)についても同
様の検討を行った.
【成績】年齢,性別,体重,腹囲,糖尿病,高血圧
の合併率に各群間に有意差はなかった.EPA//
AA 比は E 群 0.26,N 群 0.21,M 群 0.44,H 群
0.84 で E 群と N 群の間に有意差を認めなかっ
た.1 年後の体重,腹囲は各群とも有意な変化は
なかった.中性脂肪は E 群で有意な低下を示した
(148.3→132.7 mg/dl
/
p<0.05).N 群 で は
eGFR が有意に低下した(77.0→73.6 ml/min
/
p
<0.05)が,他の三群では有意な変化はなかった.
EPA/AA
/
比は E 群 0.69,N 群 0.28,M 群 0.48,
H 群 0.73 で,E 群と N 群で有意に増加したが,E
群と N 群の間には有意差を認めた(p<0.01).
【結語】EPA 少量投与は体重に変化を与えること
なく,低 EPA/AA
/
血症にともなう腎機能悪化を
改善する可能性が示唆された.
2011$平成 23年 9 月
Ⅰ-6
進行性核上性麻痺例(PSP)
,大脳皮質基底核変
性症例(CBD)の死亡例についての臨床的検討
1
2
貴田神経内科・呼吸器科・内科病院 ,泉川病院 ,
3
4
池田病院 ,健康保険諫早総合病院 ,久留米大学
5
医学部神経内科
1
1
1
○貴田 秀樹 ,松本 富枝 ,楠原 智彦 ,
2
3
4
泉川 欣一 ,小島 進 ,長郷 国彦 ,
4
5
5
西浦 義博 ,三浦 史郎 ,綾部 光芳 ,
5
谷脇 考恭
Ⅰ-7
高齢者・神経難病・がん患者における胃瘻の実態
と取り扱いガイドライン作成についての提言
医療法人若葉会
ケア科
○近藤
近藤内科病院・総合内科・緩和
彰
【はじめに】多発性脳梗塞,筋萎縮性側索硬化症
(ALS)
,頭頸部癌の胃瘻作成患者を経験し,胃瘻
【目的】発症から永眠に至るまでの経過を明らか
は単なる延命の手技で,はたして妥当な医療行為
にする.
【対象と方法】昭和 59 年から平成 23 年 3 月まで
なのかと疑問を持った.そこでその実態を調べ提
の期間に永眠された PSP 23 例,CBD 13 例につ
言する.
いて検討した.厚労省の診断基準を参考に臨床経 【方法】四国の急性期病院消化器科 3ヵ所,長期療
過,臨床所見,MRI,MIBG 心筋シンチ,脳血流
養病院 3ヵ所,神経難病病棟 2ヵ所,緩和ケア病棟
SPECT により診断した.
3ヵ所に胃瘻患者の頻度と問題点をアンケートし
【結果】PSP は男 15 例,女 8 例,CBD は男 10 例, た.
女 3 例で男が多かった.発症年齢は PSP は 74.3 【結果】急性期病院では胃瘻作成/全内視鏡件数は
/
歳,CBD は 77.5 歳,寝たきりまでの期間は PSP
計 102/10820(0.9%)
/
,長期療養病床では計 54//
は 4.2 年 CBD は 3.6 年.永眠までは PSP は 5.4
848(6.3%).胃瘻作成は患者の同意ではなく家族
年 CBD は 5.2 年であった.初発症状は PSP では
の同意でなされている.長期療養病床での胃瘻患
歩行障害,構音障害,運動緩慢,小脳症状,意欲
者/全入院患者数は計
/
94/527(18%)
/
,病院間で
低下,人格変化等多彩であったが,発症初期に見
5%〜22%と差があった.問題点は患者数が膨大
逃されている例もあり,転倒,骨折後,診断され
で医療経済の崩壊につながると危惧されている.
た例もあった.CBD 例の初発症状は一側上肢を
神経難病病棟では計 63/190(33.2%)
/
,疾患別で
動かさない等の症状に加え,言葉が出にくい,易
は ALS 16/23,パーキンソン病
/
13/39,筋ジスト
/
興奮,不眠等であった.PSP 例でも経過中,言語
ロフィ症(23/103)
/
,多系統萎縮(10/26)
/ .問題は
保続を認め CBD と鑑別困難な例もあったが,
患者増でこれ以上は対応できないことであった.
PSP 例で縮瞳,起立性低血圧,一過性の意識障害
緩和ケア病棟で計 21/1640(1.3%)
/
.患者の希望
を認める例もあり,CBD との鑑別に重要と思わ
に沿って胃瘻からの注入を減量中止している.
れた.両者とも直接死因は誤嚥性肺炎が最も多 【考察】少なくとも胃瘻作成は患者の意志決定が
かったが,CBD では喀痰による気道閉塞,急性呼
必要である.QOL の確保には非がん患者にも緩
和ケアを普及すべきであり,厚生労働省は緩和ケ
吸不全による例が 4 例あり,PSP で縮瞳を認め,
ア病棟への神経難病患者の入院を認めるべきであ
末期交感神経機能不全によると思われる死亡例が
る.高齢化社会を迎えるわが国では 胃瘻患者は
あり注意が必要と思われた.少数例で気切施行,
哲学的・社会的に大きな問題であり,関連学会が
人工呼吸器使用したが,延命効果があったような
胃瘻のガイドラインを作成する必要がある.
印象はなかった.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011$平成 23年 9 月
341
Ⅱ-1
経鼻上部内視鏡検査の現状と有用性
Ⅱ-2
新しい穿刺針とアンカー付固定糸を用いた胃壁固
定術・胃瘻造設術
くらみつ内科クリニック
札幌共立五輪橋病院・消化器病センター ,札幌
2
3
共立病院・消化器科 ,青葉台病院・外科
1
1
○倉光
1
1
○岡本 哲郎 ,大西 利佳 ,中野 洋一郎 ,
1
1
1
大井 雅夫 ,秋山 剛英 ,高橋 稔 ,
1
1
1
古川 勝久 ,平田 健一郎 ,本間 久登 ,
2
2
3
女澤 慎一 ,福田 守道 ,永田 眞 ,
3
永田 淳
智之
【目的】経鼻上部内視鏡検査は現在かなりの施設
で汎用されている.今回,当診療所で行った経鼻 【目的】胃瘻造設時の偶発症予防のため,胃壁固定
術の有用性が広く知られている.2 本針を同時に
内視鏡と経口内視鏡の患者を比較し経鼻内視鏡の
穿刺する従来の方法では,挿入に適した部位の広
現状と有用性を考える.
さが必要で穿刺角度によっては手間取ることも
【対象】対象は 2006 年 9 月より 2011 年 4 月まで
あった.今回我々は,新しく開発した 1 本で実施
当診療所で上部内視鏡検査を施行した 13 歳以上
可能な穿刺針を用いて胃壁固定術を行ったので,
の 3635 例である.挿入経路の選択は患者の希望
この胃壁固定具の使用経験を報告する.
に従い,経鼻の前処置はスティック法で行った.
術者は全例同一医師.鎮静剤は挿入経路にかかわ 【方法】永田らが開発した穿刺針は先端にスリッ
トがあり,そのスリットから固定糸のついたアン
らず希望者全例に使用した.内視鏡機種はオリン
カーを穿刺針内に充填できる構造となっている.
パス社製の経鼻は GIF-N260 と XP260NS,経口
アンカーに結紮された固定糸は穿刺針の外側を
は GIF-H260 を使用した.検査回数は当診療所で
の検査回数でカウントした.
通って胃内に挿入される.アンカーは穿刺針内筒
【結果】1)鎮静剤使用率は 1.05%(38/3635)
/
.2) により押し出され胃に挿入され,固定糸の張力を
保ちながらアンカーを引きあげて固定する.この
経口が 1732 例,経鼻が 1903 例で,経時的に経鼻
方法で 3 点で胃壁固定術を行なったうえで,通常
の増加はなかった.3)高齢者になるに従い経口選
のイントロデューサー法で胃瘻造設術を行った.
択率が高かった.4)経鼻の挿入成功率は 98.8%
今回の研究はインフォームド・コンセントと院内
(1880/1903)
/
.5)2 回目に挿入経路を変えた例は
倫理委員会の承諾を得て実施した.5 症例は,脳
12.4%(92/741)
/
,3 回目 7.1%(29/408)
/
,4 回目
血管性認知症の進行,誤嚥性肺炎の繰り返し,う
4.6%(11/241)
/
,5 回目 3.6%(4/112)
/
.6)進行
つ傾向の進行などにより経口摂取不良,低栄養と
胃がんの 63.6%(7/11)
/
,進行食道がんの 80%(4/
/
なり,胃瘻造設の適応となった症例で,そのうち
5)は経鼻で発見されていた.7)N260 で発見され
2 例は胃切除術の既往あり残胃に作成した症例で
た早期胃がん 3 例で生検がヒットせず経口内視鏡
あった.
を追加した.
【結果】要した時間はいずれも約 3 分程度で,術後
【まとめ】経鼻内視鏡は浸透しているが,経口内視
合併症もなく安定した経過であった.穿刺に適し
鏡を受容している患者も依然として多い.経鼻内
た部位が狭い症例でも 1 本の穿刺針を胃壁に対し
視鏡は内視鏡検査を拒絶していたがん患者の掘り
て直角に穿刺することが容易で,より安全に実施
起こしに役立っている.
できると考えられた.今後も症例を重ねて検討し
ていきたい.
342
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011$平成 23年 9 月
Ⅱ-4
動注化学療法は進行膵癌の全身化学療法無効後の
二次治療としても有効である
Ⅱ-3
成人に発症した特発性腸重積症の 1 例
1
2
広島共立病院 内科 ,同 小児科 ,同 放射線
3
4
科 ,吉島病院 消化器科
1
1
1
1
札幌共立五輪橋病院 消化器病センター ,札幌
2
共立病院 消化器科
1
1
2
○Wong Toh Yoon ,中村 真也 ,迫本 実 ,
1
1
1
加太 周 ,三田尾 典子 ,岡田 隆雄 ,
1
2
3
西原 一樹 ,東 浩一 ,堀口 純 ,
4
岡原 史郎
○本間 久登 ,秋山 剛英 ,女澤 慎一 ,
1
1
1
高橋 稔 ,大井 雅夫 ,岡本 哲郎 ,
1
1
1
中野 洋一郎 ,古川 勝久 ,平田 健一郎 ,
2
福田 守道
成人腸重積は比較的まれであり全腸重積の 5〜
10%とされている.我々は 1 例を経験したので報
告する.症例は 18 歳の女性で間欠的な下腹部痛・
嘔気・下痢にて夜当院の救急外来を受診した.急
性腸炎との診断で内服処方にて帰宅したが症状は
改 善 せ ず 翌 日 に 再 診 し た.腹 部 造 影 CT に て
Target mass が指摘され腸重積を疑った.注腸造
影にて回盲部に Claw-like Appearance を認め,
腸重積と診断し高圧浣腸で注腸整復を施行した.
入院翌日に下部消化管内視鏡検査を行ったが盲腸
粘膜の虚血性変化(病理生検にて確認)を認める
のみで腫瘍性病変は指摘できなかった.整復後,
症状は改善し第 4 病日から食事を開始した.その
後も経過良好で第 7 病日に退院となった.退院
1ヵ月後に下部消化管内視鏡の再検査を行ったが
異常は認めず特発性腸重積だと考えた.今回は若
干な文献的考察を加え報告する.
【目的】進行膵癌(stage Ⅳ)に対する膵周囲動脈
塞栓術(TPPAE)後の肝脾動注化学療法(HSAIC)
は全身化学療法と比較してその治療成績を著しく
改善してきた.そこで今回,他病院で進行膵癌の
全身化学療法を行い,無効となった症例の二次治
療に TPPAE と HSAIC を施行してその治療成績
を後ろ向きに検討したので報告する.
【対象および方法】2001 年 4 月から 2011 年 3 月ま
でに当院で経験した stage Ⅳ進行膵癌は 301 例
(stage Ⅳa 74 例,stage Ⅳb 228 例)である.全例
組織学的に証明された膵管癌である.
このなかで,
初回治療に TPPAE と HSAIC を行った症例は
158 例(追跡不能 6 例),TPPAE と HSAIC 後に
外科手術を行った症例は 4 例,全身化学療法は 66
例,BSC は 25 例である.全身化学療法無効後に
紹介され TPPAE と HSAIC を行った症例は 48
例であり,この 48 症例を解析対象とした.
【結果】全身化学療法無効後の TPPAE と HSAIC
の 50% 生 存 期 間 は 約 7 ヵ 月 で あ り,有 効 率 は
29.1%(PR 14 例,SD 30 例,PD 4 例)であり,
平均生存期間(中央値)は 6ヵ月であった.
【結語】進行膵癌に対する TPPAE と HSAIC は全
身化学療法が無効となった症例の二次治療として
も有効である.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011$平成 23年 9 月
343
Ⅱ-5
C 型 肝 炎 治 療 に お け る Real-time Tissue
Elastography・LE Score による非侵襲的肝線
維化評価法
Ⅱ-6
肝疾患患者における腹部 CT 検査前補食の検討
清田病院
1
消化器内科 ,清田病院
2
内科
国立病院機構 南和歌山医療センター 臨床研究
1
2
3
部 ,同 内科 ,同 病理 ,市立貝塚病院 内
4
5
6
科 ,同 病理 ,大阪警察病院 内科
1
1
4
6
○藤本 研治 ,石田 哲士 ,岡田 章良 ,
3
5
2
古田 朋子 ,山崎 大 ,加藤 道夫
【目的】我々は組織の歪みから相対的な硬さをカ
ラー表示する Real-time Tissue Elastography(以
下 RTE)が非侵襲的肝線維化評価法として有用
であることを報告してきた.今回 C 型肝炎に対し
RTE を施行し,治療前後の経時的な肝線維化評
価を行った.
【方法】対象は 2005 年 5 月から 2011 年 5 月迄に
RTE を施行,肝生検病理組織で診断された C 型
慢性肝炎,肝硬変合計 84 例である.治療前の F
stage 内訳は F1:26 例,F2:28 例,F3:20 例,
F4:10 例.治療内容は PegIFNa2B/RBV
/
併用 26
例,PegIFNa2a 単独 20 例,PegIFNa2a/RBV
/
併
用 28 例,肝庇護療法 7 例.平均観察期間は 56.2ヵ
月であった.超音波診断装置は日立アロカ社製
HI VISION 900 である.RTE は肝右葉を観察,各
症 例 の RTE は 8〜12 ヵ 月 毎 に 施 行 し た.LE
Score は以下のごとく判定される.Score 1:ROI
全体がほぼ均一な緑.Score 2:ROI の緑に一部虫
食い様に青の信号を認める.Score 3:ROI は緑と
青がほぼ半分ずつ.Score 4:ROI は青表示が大部
分を占める.
(MEDIX Suppl,2007:24-27)
.全例
で LE Score の 3 年変化率(増減値/3
/ 年)を求め,
HCV 陰性化の有無,ALT 正常化,治療内容別に
比較検討した.
【成績】RTE の LE Score 1,2,3,4 は各々 F1,
2,3,4 に対応している.治療後の LE Score 3 年
変化率は IFN 投与例 SVR・HCV-RNA 持続陰性
例が NR・肝庇護療法例に比して有意に改善を認
めた(p<0.005)
.
【結論】RTE は C 型肝炎治療において経時的かつ
非侵襲的に肝線維化評価が可能と考える.
344
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
1
1
○村松 博士 ,菊池 尚平 ,猪股 英俊 ,
2
2
2
長町 康弘 ,野澤 えり ,山内 尚文 ,
2
2
井原 康二 ,西里 卓次
【目的】肝硬変患者は絶食により重篤なエネルギー
代謝障害をおこしやすいため,長時間の絶食をし
いる検査前に補食の有用性が報告されている.今
回,ゼリー状の飲食物による検査前補食が CT 診
断に悪影響がないかを検討した.
【方法】健常者 6 名にカロリーメイトゼリー(以下
ゼリー)を摂取前後に CT を実施し,補食の影響
が無視できる時間を推定した.次に肝疾患患者 22
名,計 78 回の CT を前処置により「食事制限なし」
「ゼリー補食」「絶食」に分け,画像診断に与える
影響を検討した.
3
【結果】健常者では,胆囊体積は補食前 25.6 cm
であったが,補食 2,3 時間後は減少し,4 時間後
3
には 24.3 cm と補食前に復していた.そこでゼ
リー補食は 4 時間前とした.肝疾患患者での検討
では,
1.胆囊収縮は,高度収縮(胆囊横径 50%未満)が
「食事制限なし」で 50.0%におきるが,
「ゼリー補
食」は 9.7%で「絶食」ではなかった.
2.胃内容の残留は,
「食事制限なし」で 87.5%に
固形物が残っていたが,
「ゼリー補食」
,
「絶食」で
は残留はほぼ液体状であった.
3.膵臓への影響として膨らんだ胃に膵臓が押さ
れる偏位が「食事制限なし」では 12.5%におきて
いた.
【考察】腹部 CT において,ゼリーの 4 時間前摂取
は,絶食とほぼ同様の画像が得られた.
「食事制限
なし」による検査は,胆囊・膵臓の画像診断に悪
影響を認めた.
2011$平成 23年 9 月
Ⅱ-7
経皮内視鏡的 S 状結腸瘻造設にて在宅療養中の
一例
Ⅲ-1
プライマリケアにおける COPD の早期発見と治
療介入の試み
北見中央病院
要 町 病 院 呼 吸 器 内 科 ,要 町 病 院 リ ハ ビ リ
2
3
テーション科 ,要町病院 看護部 ,要町病院
4
5
内科 ,日本大学練馬光が丘病院内科 ,日本大学
6
内科学系呼吸器内科学分野
○佐々木
1
吉明
1
【症例】80 歳女性.原疾患は脳梗塞後遺症.2003
年に脳塞栓症を発症し,呼吸管理のため気管切開
術を,また嚥下障害にて経皮内視鏡的胃瘻造設術
を施行された.その後,夫を主介護者として在宅
療養に移行した.長期臥床に伴い便秘を認めるよ
うになり,多量の下剤を併用しても排便コント
ロールに苦慮した.そのため,経皮内視鏡的盲腸
瘻(PEC)造設による順行性浣腸を予定するが,
詳細不明だが腹膜炎による回盲部切除術の既往歴
があり,下部消化管内視鏡が回腸末端付近に到達
しているが,腹壁からの透光サインも認めなかっ
た.その時点で PEC 造設を断念し,経皮内視鏡的
盲腸瘻(PES)造設に変更した.合併症なく PES
を Introducer 法にて造設した.現在は,主介護者
による PES からのグリセリン注入による浣腸に
て便通コントロールは可能で在宅療養を継続して
いる.
【考察】PEC による順行性浣腸は,2003 年宇野ら
によって,脳神経疾患が原因の巨大結腸症による
便秘に対する有効性と安全性が報告された.本症
例のような脳血管障害による廃用症候群の便秘に
は,PEC の適応症例であると考えられる.しかし
今回の症例は,腸管切除手術の既往から内視鏡的
に盲腸に瘻孔を造ることが不可能で S 状結腸に
瘻孔を造設した.本症例は巨大結腸症があり,下
部結腸に硬い便塊が貯留するタイプであったため
か,PES による浣腸で便通コントロールが可能と
なった.PEC 造設が不能の患者に対しては,PES
造設も試みるべきである.
2
3
○吉澤 孝之 ,岩城 基 ,溝口 真美 ,
3
4
4
西澤 美樹 ,古市 祥子 ,吉澤 明孝 ,
4
4
5
石黒 俊彦 ,行田 泰明 ,細川 芳文 ,
6
6
赤星 俊樹 ,橋本 修
【背景】呼吸器以外の疾患で開業医を受診してい
る患者のなかに COPD が多く潜在している可能
性が指摘されているが,プライマリケアの日常診
療でスパイロメトリーが普及していないのも事実
である.
【対象と方法】呼吸器疾患以外で当院外来受診し
た喫煙歴を有する 40 歳以上の患者 288 名を対象
に簡易スパイロメーター「ハイ・チェッカー」を
施行しスパイロメトリーとの相関と日常診療にお
ける COPD の潜在性について検討した.
【結果】ハイ・チェッカーとスパイロメトリーの各
指標は有意な相関を認めた.スパイロメトリーの
1 秒率 70%未満に相当するハイ・チェッカーの
FEV1/FEV6
/
最適カットオフ値は感度と特異度
の点から 0.738(感度 0.857,特異度 0.814)となっ
た.288 名中 60 名(21%)が COPD と診断され,
年齢が増加するとともに有病率も増加した.閉塞
性障害の程度は GOLD 分類で stage 1 が 60 名中
21 名(35%),2 が 29 名(48%),3 が 10 名(17%)
であった.疾患別 COPD の有病率は高血圧 131
名中 31 名
(24%)
,
脂質異常症 90 名中 25 名
(28%)
,
消化器疾患 68 名中 22 名(32%),糖尿病 51 名中
9 名(18%),心疾患 25 名中 15 名(60%),腎・泌
尿器疾患 16 名中 12 名(75%),悪性腫瘍 15 名中
7 名(47%)であった.診断された 60 名中 51 名
(85%)にチオトロピウムが処方された.
【考察】呼吸器疾患以外で通院中の患者のなかに
COPD が多く潜在することが示唆され,喫煙歴を
有する患者には積極的にスクリーニングをおこな
うことが必要であると考えられた.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011$平成 23年 9 月
345
Ⅲ-2
マイコプラズマ気管支炎の咳期間と気流閉塞に対
する SFC の有用性
Ⅲ-3
タミフル・カロナール投与後胆汁うっ滞型肝障害
を認めた 1 例
川本内科小児科呼吸器科クリニック いびき・睡
1
2
眠時無呼吸管理センター ,力田病院
今村クリニック
○川本
1
仁 ,中本
2
高志
○今村
憲市
【背景と目的】マイコプラズマ気管支炎は,菌体に
62 歳,女性.平成 23 年 3 月 14 日 38.3℃の発熱.
対する免疫反応による気道炎症がその原因であ
3 月 15 日 38℃で来院.ラピッド・テスタ陰性で
る.マイコプラズマ肺炎が抗生物質の投与なくス
あったが職業が病院看護助手のため,大事をとっ
テロイド投与のみで改善したとの報告があるが,
てタミフル(75)2T/日,カロナール(200)6T/
/
/
免疫反応による炎症をステロイドが改善させたた
日を 3 日間処方.服用 2 日後より茶褐色尿出現.
めと考えられている.
マイコプラズマ気管支炎は, 3 月 22 日になっても茶褐色尿持続のため再来院.
菌体に対する免疫反応による気道炎症であること
球結膜に黄疸を認め,ALT 148,AST 289 Al-p
より,気管支喘息同様にマイコプラズマ気管支炎
1036,gGTP 378,T・bil 4.2 と胆汁うっ滞型肝障
も気流閉塞を有し,ステロイドと b2 刺激吸入薬
害を認めた.各種肝炎ウイルス・肝炎関連ウイル
,ミトコンドリア抗体
合剤 アドエア(SFC)が有効ではないかと考え, ス抗体陰性,抗核抗体(−)
(−)
,両薬剤のリンパ球幼若化試験は陰性であっ
以下のことを検討した.
た.肝機能の完全正常化には 63 日を要した.タミ
【対象と方法】マイコプラズマ気管支炎 82 例(マ
フル添付文章には少なからず肝障害発生のあるこ
イコプラズマ抗体 320 倍以上)を対象にジェニ
ナック(GRNX)単独群(n=32)
,ジェニナック
とが記載され,実際に肝障害をきたした学会報告
(GRNX+SFC(n=50)群の 2 群の治療群に分け, 例も見られる.さらに,本患者からも肝障害の発
咳持続期間,PEFR,FEV1.0 について治療前後 2
現もあるということを伝えてほしかったとの申し
週間の改善を比較検討した.
出もあった.タミフル投与時には異常行動発現の
【結果】マイコプラズマ気管支炎患者治療前に
他に重篤な肝障害発症の可能性についての説明も
PEFR の 低 下 を 認 め た.GRNX 単 独 群 比 べ,
医療トラブルを避けるため重要と考えられた.
GRNX+SFC 群は有意に咳持続期間が短縮(p<
0.001)し,PEFR,FEV1.0 の有意の改善を認め
た(各々 p<0.001,p<0.01)
.PEFR に関しては,
治療による気道可逆性を認めた.
【考察】SFC はマイコプラズマ気管支炎の咳,気
流閉塞に有効な治療と考えられた.マイコプラズ
マ気管支炎患者も気流閉塞を有し,治療による気
道可逆性が認められたことより咳喘息に診断され
る可能性があり,マイコプラズマ気管支炎は,喘
息様気管支炎という病態を有すると考えられた.
346
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011$平成 23年 9 月
Ⅲ-5
赤芽球瘻癆の 1 例
Ⅲ-4
脳外科から紹介された鉄欠乏性貧血の一例
1
為久会 札幌共立五輪橋病院・血液腫瘍内科 ,
2
為久会 札幌共立病院 ,札幌医科大学医学部第
3
4
4 内科 ,札幌麻生脳神経外科病院
1
1
大分県立病院
1
2
血液内科 ,すみ循環器内科
1
○古川 勝久 ,秋山 剛英 ,高橋 稔 ,
2
2
3
女澤 慎一 ,平田 健一郎 ,宮西 浩嗣 ,
4
1
1
村田 純一 ,大井 雅夫 ,岡本 哲郎 ,
1
1
中野 洋一郎 ,本間 久登
60 歳台の女性,若いころ頭痛の精査で脳血管奇形
(AVM)を指摘され手術を勧められたが拒否して
いた.2004 年 2 月,頭痛あり近医脳外科を受診し,
AVM からの脳出血と診断され,摘出手術を受け
た.その後,脳外科外来通院中に貧血を認められ,
次第に増悪するため平成 21 年 6 月,当院を紹介
された.当科初診時には全身†怠感を自覚してい
た.既往歴では,10 年前から鼻出血を繰り返し耳
鼻科で治療を受けていた.家族歴に特記すべきこ
となし.身長 158 cm,体重 50.8 kg,体温 36.1 度,
血圧 130/82
/ mmHg,脈拍 94/min,整.眼瞼結膜
/
に貧血あり,その他に身体的異常を認めない.
4
WBC 4320,RBC 403×10 ,Hb 6.5 g,MCV60 血
小板 20.8 万,血清鉄は 15 mg/dl,フェリチン<
/
4.9 ng/ml
/ であった.さらに胃内視鏡検査により
胃粘膜に多数の毛細血管拡張像が確認され,焼灼
を行った.これらの結果から慢性出血による鉄欠
乏性貧血と診断した.腹部スクリーニングエコー
にて大網に血管腫と考えられる所見を認めた.本
例は,鼻出血(鼻粘膜毛細血管拡張)
・胃毛細血管
拡張からの出血・脳血管奇形・腹部血管腫などの
症状から遺伝性出血性毛細血管拡張症(オスラー
病)と診断した.本例では,各診療科にまたがっ
て症状がみられるので診断には全身的な原因検索
が必要と考えられた.
1
1
1
○佐分利 能生 ,佐分利 益穂 ,西田 亜季 ,
1
1
2
宮崎 泰彦 ,大塚 英一 ,隅 廣邦
【目的】赤芽球癆(PRCA)は赤血球の産生が著減
する稀な疾患である.PRCA 例を経験したので報
告する.
【症例】78 歳,男性.主訴:労作時呼吸困難.
【現病歴】平成 23 年初旬より,労作時呼吸困難あ
り,症状が増悪傾向にあり,隅循環器内科を受診
した.血液検査を行われたところ,Hb 4.2 g/dl
/
と著しい貧血を認め,当院に紹介された.
【現症】SPO 298%,眼瞼結膜:貧血(+)
,眼球結
膜:黄疸(−)
,心肺:異常なし,腹部:肝脾触知
せず,四肢:下肢に浮腫(+)
.
【検査所見】WBC 3230/ml,RBC
/
104 万/ml,Hb
/
4.2 g/dl,Ht
/
11.9%,PLT 41.7 万/ml,血液像
/
stab 0.5%,seg 35.5%,Lymph 53.0%,Mono
5.0%,Eo 5.5%,TP 6.9 g/dl,
/
Alb 4.5 g/dl,
/
Tbil 0.6 mg/dl,AST
/
15 IU/l,ALT
/
13 IU/l,ALP
/
177 IU/l,LDH
/
189 IU/l,BUN
/
16.8 mg/dl,Cr
/
0.81 mg/dl,CRP
/
0.01 mg/dl,骨髄
/
NCC 7.2
万/ml,Meg
/
16/ml,M/E
/
/ 201.5,Myelo 80.6%
(Blast 1.2%),Erythro 0.4%
【経過】骨髄の赤芽球の低下より PRCA と診断し
た.リンパ球の割合は増加していたが,顆粒リン
パ球(LGL)は 2000 以下で,特発性 PRCA と考
え,サイクロスポリン(CyA)を 220 mg/日で開
/
始した.その後 Hb は 4 月の下旬には 10 g/dl
/ ま
で増加した.CyA 投与前に CD4/8
/ が低下してい
ることより,TCR 再構成を検査していたが,陽性
であった.
【考察】本例は,LGL は 2000 以下であったが,
TCR 再構成を認め,クロナールなリンパ増殖性
疾患に続発した PRCA が考えられた.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011$平成 23年 9 月
347
Ⅲ-7
MHLW Respiratory Virus Cartridge
(RVNATSP)を用いたインフルエンザ感染症診
断検査の臨床的有用性の検討
Ⅲ-6
Eltrombopag により治療した primary
immune thormbocytopenia の 3 症例
苫小牧市立病院
内科
1
順天堂大学医学部附属練馬病院 ,順天堂大学医
2
学部附属順天堂医院
○神田
真聡,浄土
智
1
2
2
○朴 宗晋 ,村井 謙二 ,乾 啓洋 ,
2
1
2
内藤 俊夫 ,大蔵 隆一 ,礒沼 弘
特 発 性 血 小 板 減 少 性 紫 斑 病(Primary immune
thrombocytopenia;ITP)の治療は,従来の脾臓
摘出から,ステロイド治療となり 50 年が経過し,
近年トロンボポエチン受容体アゴニストの登場に
より,新たな局面を迎えようとしている.本邦で
は,2010 年 12 月より Eltrombopag,2011 年 4 月
から Romiplastin が使用可能となった.今回我々
は当科で Eltrombopag を使用した 3 例につき報
告する.
症例 1 は 40 歳代男性で,慢性 ITP に対してステ
ロイド大量療法を施行したが,
治療不応性であり,
Eltrombopag を使用した.症例 2 は 40 歳代女性
で,慢性 ITP に対してステロイド大量療法で寛
解導入を行ったが,副作用により,ステロイド忍
容性がないと判断され,Eltrombopag を使用し
た.症例 3 は 60 歳代男性で,発症 6ヵ月未満の
ITP に対し,ステロイド大量療法を施行したが,
治療不応性であり Eltrombopag を使用した.い
ずれも Eltrombopag 開始後,血小板数は増加に
転じ,重篤な副作用の出現なく使用できた.
ITP は血小板クリアランスの亢進が主たる病態
とされていたが,Olsson ら(Nat Med 2003)の報
告より,血小板産生障害もその病態に関与してい
ることが示唆され,トロンボポエチン受容体アゴ
ニストが新規治療薬として注目されるようになっ
た.費 用 や 長 期 予 後 の 面 で の 課 題 は 残 る が,
Provan ら(Blood 2010)は新しい ITP 治療ガイ
ドラインで難治例への有効性を認めており,本症
例のように安全かつ有効な治療選択肢である可能
性が示唆された.
348
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
【目的】インフルエンザ診断では,迅速ウイルス
キットは発熱初期の診断には診断力が不十分であ
り,オセルタミビル耐性インフルエンザウイルス
も検出不可能である.ナノスフェア(Nanosphere)
社製の Verigene Reader and Processor SP(FDA
承認)は,RVNATSP を用いて短時間で呼吸器疾
患原因ウイルス(インフルエンザウイルス A・B,
RSV-A・B,H3,2009H1N1,H275Y)を検出や判
別ができる.我々はその器械が迅速キットより臨
床的に優れているかを検討した.
【方法】平成 22 年 12 月 1 日から平成 23 年 3 月 31
日の期間に,順天堂大学医学部附属順天堂医院と
順天堂大学練馬病院の 2 施設の総合診療科外来に
て,18 歳以上の発熱などの感冒症状を主訴とした
患者 74 名を対象とした.その患者の鼻腔拭液を
インフルエンザ抗原迅速検査とナノスフェア法
(N 法)を行い,比較検討を行った.
【結果】74 症例のうち,どちらかのインフルエン
ザ検査が陽性は 53 症例.N 法と迅速検査の両方
が陽性は 37 症例,N 法のみ陽性は 16 症例であっ
た.迅速検査のみ陽性の症例は存在しなかった.
また,N 法にて 2009H1N1 が陽性は 38 症例,H3
が陽性は 11 症例,インフルエンザ B 陽性は 5 症
例であった.
【結語】ナノスフィア法の RVNATSP を用いたイ
ンフルエンザ診断検査は,今までの迅速検査と比
較してもとても有用であり,なおかつ発熱時間に
とらわれずに正しくインフルエンザ診断ができる
ので,とても優れた検査法といえた.
2011$平成 23年 9 月
Ⅳ-1
頸動脈不安定プラークの臨床評価
Ⅳ-2
アドヒアランスを考えた生活習慣病のコントロー
ルについて
中藤クリニック
大阪府内科医会
○中藤
○泉岡
秀明
【目的】日常診療上頸動脈エコーは動脈硬化の評
価に有用であり,頸動脈プラークは脳血管のみな
らず心血管疾患発症の重要な予測因子である.頸
動脈プラーク性状を評価し臨床面と脂質との関連
性につき検討した.
【対象と方法】外来通院患者 247 例に頸動脈エ
コー・CAVI・血液検査を行い,頸動脈病変の評価
をプラークなし(P-群)
・プラークありかつ不安
定プラークなし(UP-群)とプラークありかつ不
安定プラークあり(UP+群)の 3 群に分けて各指
標を比較検討した.
【結果】P-群 107 例・UP-群 65 例・UP+群 75 例
であった.3 群間で有意差が認められたのはそれ
ぞれ,年齢(62.4 vs 73.1 vs 69.4)
・CAVI(8.21
vs 8.96 vs 8.82)
・体重(60.0 vs 58.5 vs 64.7)腹
囲(88.1 vs 88.6 vs 92.6)であり,UP+群では体
重と腹囲が高値で UP-群に比し若年で CAVI は
低値であった.脂質項目は HDL-C(58.5 vs 55.0
vs 52.2)
・LDL-C/HDL-C(2.18
/
vs 2.40 vs
2.61)
・MDA-LDL(82.2 vs 89.1 vs 99.4)
・リポ
フォー HDL 分画(29.6 vs 27.9 vs 26.7)であっ
た.UP+群では HDL-C・リポフォー HDL が最
も低く,LDL-C/HDL-C
/
と MDA-LDL が最も高
かった.
【考察】頸動脈不安定プラークの成因には年齢よ
り体重や腹囲のメタボリックな因子が関与してい
た.メタボリック症候群における HDL-C の低下
は抗酸化作用を減弱させ,MDA-LDL 等の酸化
LDL を産生しプラーク形成に関与している.
利於
内服薬を少なくしてアドヒアランスを上げること
は,生活習慣病のより厳格なコントロールを行う
上で重要であることは,これまでの研究で言われ
ている.降圧剤は,合剤が多く開発されており糖
尿病領域においてもこれから開発されていくよう
である.そういうなかで,当院では以前よりアド
ヒアランスを考えた投薬を心がけている.今回,
当院における高血圧患者と糖尿病患者においての
処方について検討した.対象は,今年度 2 月に来
院された高血圧患者(481 人)内服のみで投薬さ
れている糖尿病患者(72 人)について検討した.
糖尿病患者においては,平均年齢が 64.9±12.7
歳,平均 BMI 26.2±4.4,平均 HbA1c 6.4±0.6%
であった.また,使用錠数としては 2 剤でコント
ロールされている患者が一番多く 30 例であった.
二番目は 1 剤で 19 例であった.また高血圧患者
に お い て は 平 均 年 齢 66.4±12.0 歳,平 均 血 圧
136.2±9.2/76.6±4.8
/
mmHg であった.また,
合剤を含めて 1 剤でコントロールできている患者
は 216 例と一番多く,2 剤が 177 例と二番目に多
かった.また,使用薬剤としては ARB が 36.7%
と一番多く Ca 拮抗剤が 30.7%と二番目に多かっ
た.また,合剤は 13.1%であった.生活習慣病患
者は合併症を持っている患者が多く,一疾患に対
してアドヒアランスを考えた処方を行うことが,
より厳格なコントロールにつながると考える.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011$平成 23年 9 月
349
Ⅳ-3
大阪府内科医会糖尿病患者アンケートに関する降
圧剤の検討
Ⅳ-4
長期降圧療法下における降圧目標血圧値達成率と
脳心腎血管の新規イベント発症率の検討―経年的
推移の調査―
大阪府内科医会
西内科・循環器科
○泉岡 利於,小林
福田 正博
敬司,樋口 徹,外山
学,
2010 年 10 月に大阪府内科医会推薦医を中心に糖
尿病患者に対するアンケートを行った.対象 1096
名の患者データのなかから高血圧合併患者 662 名
と当院の患者 60 名において比較検討を行った.
糖尿病患者において高血圧合併患者で大阪府内科
医会アンケートを A 群(662 名)とし当院患者を
B 群(60 名)とした.平均 HbA1c は A:B=6.6±
1.1:6.45±0.7%であった.平均血圧は A:B=
135±14/74±7.4:135±9/76±5
/
/
mmHg で あ っ
た.また,降圧剤の使用については Ca 拮抗剤が
A 群では 46.1%,B 群では 26.6%に使用されて
おり,ARB は A 群が 39.9%,B 群が 54.3%,
ACE 阻害剤は A 群が 8.5%,B 群が 2.1%,b ブ
ロッカーは A 群が 5.5%,B 群が 17.0%であっ
た.RAS 系阻害剤と使用していない高血圧合併
患者は A 群が 41%,B 群が 10%であった.内科
医会の会員アンケートについても当院においても
糖尿病の管理は良好であると考える.ただし,高
血圧患者においての血圧コントロールの第一選択
薬は RAS 系阻害剤と決められているが,双方と
もに使用されていない患者があり,また平均血圧
も目標の 130/80
/ 未満には達しておらず,より一
層の意識づけが必要であると考える.
350
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
○西
征二
【目的】長期降圧療法は,脳心腎血管の新規イベン
ト発症を抑制(1 次予防)し,また,既往の脳心腎
血管病の進展・再発を抑制(2 次予防)させる(大
規模介入試験)
.3 年間の降圧療法下での降圧目標
血圧値達成率と新規イベント発症率について報告
する.
【対象と方法】調査期間は,2008 年 5 月 1 日より
2011 年 4 月 30 日までの 3 年間である.降圧療法
(外来高血圧患者 854 名)
(平均年齢 68.1 歳)下で
の観察研究を実施した.
【成績】降圧薬処方は 90.7%,一般療法のみ 9.3%
である.患者背景として,危険因子の内訳は,脂
質 異 常 症 44.1%,高 尿 酸 血 症 22.1%,糖 尿 病
17.6%などである.降圧薬の処方内訳は,ARB
531 件(62.2%),CCB 356 件(41.7%)などであ
る.合併症(糖尿病・慢性腎臓病・心筋梗塞後・
脳血管障害など)を有する高血圧患者の降圧目標
血圧値達成率 38.2%は,合併症を有しない高血圧
患者の 33.8%より高い.糖尿病合併高血圧の達成
率は 22.2%,慢性腎臓病合併は 43.2%,心筋梗塞
後合併は 45.7%,脳血管障害合併は 52.0%であ
る.脳心腎血管の新規イベント発症は,脳梗塞 13
例・心筋梗塞 10 例・脳内出血 9 例・心房細動 9 例・
心不全 6 例など総数(延)53 例である.脳心腎血
管の新規イベント発症率(1000 名当り/年)は,
/
3.3%である.
【結論】合併症を有する高血圧患者(特に糖尿病合
併)の降圧目標血圧値達成率の向上(目標 60%以
上)
は新規イベント発症率の抑制に有用と考える.
2011$平成 23年 9 月
Ⅳ-5
アムロジピン効果不十分高血圧患者に対するテル
ミサルタンまたはカンデサルタンの併用効果の検
討
Ⅳ-6
生活習慣病予防 外来における栄養指導(微量元
素をどうとるか)
医療法人社団 真成会
1
野口医院
2
あらいクリニック ,おおくま内科クリニック ,
3
4
名和内科 ,あんどうクリニック ,てらしまクリ
5
ニック
○野口
1
2
眞利
3
○新井 正 ,大熊 俊男 ,千田 美穂子 ,
3
4
5
横山 仁美 ,安藤 文夫 ,寺島 寧
【背景・目的】JSH2009 の高血圧治療において,第
一選択薬としてカルシウム拮抗薬(CCB)
,アン
ジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)
,ACE 阻害
薬,利尿薬,b 遮断薬が同列で記載されており,
併用療法に対する薬物選択に関しても明確な指標
は示されていない.また,外来血圧のみでなく夜
間,早朝の高血圧に対する治療の重要性も指摘さ
れている.そこで,国内で最も繁用されている
CCB であるアムロジピン 5 mg で降圧不十分な症
例に対して,テルミサルタン 40 mg,カンデサル
タ ン 8 mg の そ れ ぞ れ の 併 用 効 果 に つ い て
ABPM(24 時間自由行動下血圧)を用い測定し,
比較検討した.
【対象・方法】アムロジピン 5 mg を 2ヵ月以上投
与されていても外来血圧 140/90
/ mmHg 以上の高
血圧患者を対象に,本研究に対する同意を取得し
た上で ABPM を原則 24 時間以上,60 分間隔で
測定し,翌日よりテルミサルタン 40 mg(T 併用
群),カンデサルタン 8 mg(C 併用群)に割り付
け併用投与した.他の降圧薬の併用は不可とし,
2,4,6 週後の外来血圧と 6 週時の ABPM を測定
した.
【結果】T 併用群,C 併用群ともに夜間血圧,昼間
血圧が投与前より低下した.また,T 併用群の夜
間及び早朝血圧は C 併用群に比し低下した.
【結論】降圧効果不十分なアムロジピン 5 mg 使用
例に対するテルミサルタン 40 mg の併用はカン
デサルタン 8 mg 併用に比べて有用である可能性
が示された.当日さらに詳細に解析し報告する.
最近,若い人の食生活は,ファーストフード,ジャ
ンクフード,マヨラーなど,食育のせいか問題が
多く,また 30 代の心筋梗塞なども多く報告され
ている.
当院では外来において食生活の是正を行って,生
活習慣病予防のため食事指導を行っている.米国
版ではあるが,がん予防のデザイナーズフードな
どを利用すると,抗酸化食材は直接的に活性酸素
に対する食品として(外的スカベンジャー)
(内容
はビタミン C,E,そしてポリフェノールなどで
あるが)容易に指導することは可能である.
一方,
バランスの良い食事が必要とよくいわれる.
この意味はどういうことだろうか.
我々の体には活性酸素に対する防御として体内で
産生する SOD,カタラーゼなどの酵素(内的スカ
ベンジャー)が知られている.そしてこの酵素は
外的スカベンジャー以上に重要とされている.
この酵素を作るのに必要なのは良質の蛋白質,そ
してマンガン,胴,亜鉛,鉄,セレンなどの微量
元素といわれている.これらを踏まえてわかりや
すく患者さんに食事指導を提案するのは,資料も
少なく,なかなか大変である.
そこで食品栄養表より 1 日に必要な微量元素の量
を計算し,表を作り指導を行っている.微量元素
の摂りかたについて検討してみた.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011$平成 23年 9 月
351
Ⅴ-1
大腸内視鏡検査日の早朝起床時随時尿より求めた
尿中食塩排泄量/経口食塩摂取量比:Salt
/
Index
に関する検討
Ⅴ-2
臨床内科医の糖尿病診療の実態―大阪府内科医会
における調査結果より
大阪府内科医会
守口敬任会病院
○大山
内科
恭夫
○竺原 俊光,泉岡 利於,外山
小林 敬司,福田 正博
【緒言】早朝起床時随時尿より算出した尿中食塩
排泄量(Salt Excretion=S. Ex)は,前日の食事の
影響を受けることが推察される.今回我々は,前
日の経口食塩摂取量(Salt Intake=S. Int)の条件
をほぼ一定(3.7 g/日)にすることが可能な大腸
/
内視鏡(CS:Colon Scope)検査当日の早朝起床時
随時尿より算出した S. Ex と前日の S. Int との比
Salt Index(=S. Ex/S.
/ Int)について検討した.
【対象と方法】CS 検査施行 71 例(男/女=35/36,
/
/
平均 60.8 歳,HT17 例,DM8 例)を対象.CS 検
査前日は検査食(食塩相当量=3.7 g/日)を摂取
/
した.検査日の早朝起床時随時尿より尿中 Na 濃
度と Cr 濃度を測定し S. Ex を算出.S. Ex 及び
Salt Index と eGFR,血圧,脈拍数,BMI との関
連について検討した.
【結果】S. Ex は,全症例で 8.8±2.1 g/日,CKD
/
Stage 別で Stage 1=10.5 g/日
/ (n=1)
,Stage 2=
8.7±2.1 g/日(n=25)
/
,Stage 3=8.7±2.1 g/日
/
(n=45)
.Salt Index は,全 症 例 で 2.4±0.6,
CKD Stage 別では stage 1=2.8(n=1)
,Stage 2
=2.3±0.6(n=25)
,Stage 3=2.3±0.6(n=45)
.
S. Ex と Salt Index は,BMI が大きい症例の方が
高値を示す傾向を認めたが有意差は無かった.ま
た,eGFR,血圧,脈拍との有意な相関関係はな
かった.
【総括】早朝起床時随時尿より算出した S. Ex は,
前日一日の S. Int の範囲内のみではなく約 2 倍量
の食塩排泄があり,それまでに体内に蓄積されて
いるナトリウムの排泄も含まれていることが推察
された.
352
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
学,樋口
徹,
大阪府内科医会会員を対象に糖尿病に関するアン
ケート調査を行った.内容は日常診療における各
種糖尿病関連検査の施行頻度と一昨年末より処方
が可能になったシタグリプチンに関したもので
300 の回答を得た.糖尿病日常診療において患者
の診察は月 1 回以上という施設は 90%であった
が,毎月 HbA1c を測定している施設は 49%で
あった.最近は糖尿病腎症の進行阻止のために早
期介入が強調され,早期腎症の指標である尿中微
量アルブミンの測定が推奨されているが,定期的
に施行しているのは 40%であり,眼底や超音波検
査の頻度と同等であった.一方,尿中微量アルブ
ミン測定を施行していない施設は 35%と,眼底や
超音波検査の 20%より多かった.実施した検査の
患者への報告では 70%が「検査結果用紙の手渡
し」であり,糖尿病手帳の利用は 25%であった.
シタグリプチンは 70%の会員が処方していると
回答.処方した会員の 53%は他剤との併用処方も
しており,Su 薬との併用が 74%,ビグアナイド,
ピオグリタゾンとの併用は 12 から 14%であっ
た.処方した感想は 75%が「予想どおりまたはそ
れ以上」であり,期待する効果として「HbA1c 改
善効果」
「低血糖の少なさ」
「膵 b 細胞機能保護作
用」が上位であった.一方,処方していない理由
は「低血糖,その他の副作用の心配」などであっ
た.なお,実際の処方例での副作用としては,胃
腸障害や低血糖(非重篤)を経験したという回答
がそれぞれ 12%あった.
2011$平成 23年 9 月
Ⅴ-3
DPP-4 阻害薬ビルダクリプチンの使用経験
Ⅴ-4
混合型インスリン製剤から基礎インスリンと経口
糖尿病薬の併用(BOT)への切替
医療法人野村内科医院
石川県済生会金沢病院
○野村
○古川
俊也
【症例 1】男性,54 歳.速効型インスリン分泌促進
薬投与時,HbA1c は 7%前後であったが,DPP-4
阻害薬を投与開始し,6%前後となり,有効であっ
た.
【症例 2】男性,60 歳.a グルコシダーゼ阻害薬投
与時は HbA1c 6.6%であったが,上昇したため,
DPP-4 阻害薬に変更,6.1%となり,有効であっ
た.
【症例 3】男性,61 歳.高血圧症の治療中,糖尿病
は食事・運動療法を行い,定期的に HbA1c を測定,
6.8%となり,DPP-4 阻害薬を開始,6.0%となり,
有効であった.
【症例 4】男性,60 歳.速効型インスリン分泌促進
薬投与時 HbA1c は 6.8%前後であり,DPP-4 阻
害薬に変更,6.3 まで低下,有効であった.
【まとめ】1.DPP-4 阻害薬を使用した,4 症例を
提示した.2.全例とも男性であり,平均 58.7 歳,
食事・運動療法もよく行われ,服薬状況も良好な
症例であった.3.4 症例ともに,DPP-4 阻害薬投
与による,体重に変化は認めなかった.BMI の平
均は 24.0 であった.4.DPP-4 阻害薬投与前の
HbA1c の平均は 6.8%で,服用半年後の平均は
6.15%であった.DPP-4 阻害薬が全例とも有効
と考えられた.5.DPP-4 阻害薬投与前の空腹時
血糖値は平均 146.2 mg/dl
/ で,服用半年後には
129 mg/dl
/ であった.個々の症例を見ると,空腹
時血糖値には影響が少なく,食後血糖を低下させ
たのではないかと推測された.6.糖尿病のコント
ロールの指標として HbA1c,空腹時血糖値を使用
したが,HbA1c が投薬治療の経過観察に有用性が
高いと考えられた.
内科
健治
【目的及び方法】混合型インスリン製剤 1 日 2 回
注射療法と,持効型インスリン 1 日 1 回注射と経
口糖尿病薬の併用療法(以下 BOT)を比較するた
め,混 合 型 イ ン ス リ ン 製 剤 1 日 2 回 注 射 か ら
BOT に切替え,その治療効果,副作用につき比較
検討した.HbA1c に関しては,全 21 例で,変更
前,治療 1ヵ月後,2ヵ月後,3ヵ月後,6ヵ月後を
比較,また変更前後の低血糖頻度を比較した.
【結果】HbA1c は,変更前 7.29%に比し,治療 1ヵ
月 後 7.00%(P<0.05),2 ヵ 月 後 6.76%(P<
0.01),3ヵ月後 6.83%(P<0.05),6ヵ月後 6.80%
(P<0.01)と有意に低下した.HbA1c≧7.0%の
群(H 群)と HbA1c<7.0%群(L 群)に分けて検
討したところ,H 群 13 名では,HbA1c は,変更前
7.85%に比し,治療 1ヵ月後 7.40%(P<0.01),
2ヵ月後 7.13%(P<0.01),3ヵ月後 7.12%(P<
0.01),6ヵ月後 7.15%(P<0.01)と有意に低下
した.L 群 8 名では,HbA1c は,変更前 6.38%に
比し,治療 1ヵ月後 6.35%,2ヵ月後 6.16%(P<
0.05),3ヵ月後 6.38%,6ヵ月後 6.56%と著変な
く,低血糖は,変更前 5 例に認めたが,いずれも
変更後消失した.
【結語】混合型インスリン製剤 1 日 2 回注射より
BOT に切り替えることにより,HbA1c が低下し,
低血糖が消失した.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011$平成 23年 9 月
353
Ⅴ-5
DPP-4 阻害剤ビルダグリプチンの薬効効果
Ⅴ-6
テストミール負荷試験によるピタバスタチンの食
後代謝異常に及ぼす影響
中田医院
角田医院
○中田
邦也
○角田
DPP-4 阻害剤が本邦で発売され 1 年余り経過し
ている.実地臨床の場において,平均血糖降下作
用を調査した報告は少ない.
そこで当院にて DPP-4 阻害薬(特にビルダグリ
プチン)を処方した 2 型糖尿病患者約 200 例のう
ち,3ヵ月以上 HbA1c 及びグリコアルブミンを観
察しえたそれぞれ 80 例,20 症例について検討し
た.
結果,
未治療患者への単独投与及び既単独治療
(ビ
グアナイド,a グルコシダーゼ,グリニド,ピオ
グリタゾン,少量 SU)からの切り替え投与にお
いても優れた血糖降下作用を示した.また数種の
既治療薬を DPP-4 阻害剤単剤に切り替えても良
好なコントロールを得ることができた.
354
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
弘一
【目的】食後高血糖と食後高脂血症を同時評価可
能なテストミール E460F18(ジャネフ)を用いて,
ピタバスタチン(P)の食後代謝に及ぼす影響を
検討した.
【対象と方法】研究趣旨に同意の得られた外来通
院 10 名を対象とし,P 投与前および投与 1ヵ月後
テストミール負荷試験を行い,0 分,60 分および
120 分後の糖,脂質代謝,酸化ストレスならびに
炎症反応を評価した.
【結果】P 投与前後の負荷 0 分値を比較すると,投
与後 LDL-C,ApoB,インスリンは有意に低下し
た.次に,負荷に伴う食後代謝異常に与える影響
を P 投与前後で検討すると,負荷による増加面積
(incremental area under the curve:iAUC)は,P
投与後 iAUC-TG は 5097→3309(p=0.0113),
iAUC-RLP-C は 166→68(p=0.0012)といずれ
も有意に減少した.また,負荷 120 分において尿
中イソプロスタンは,P 投与前 2.56→2.95 ng//
mgCr と増加,P 投与後 2.80→2.01 ng/mgCr
/
と
減少し,その変化量には有意な群間差を認めた(p
=0.0006).またイソプロスタン生成速度につい
ても同様であった(p=0.0423).
【考察】P はテストミール負荷による TG,RLP-C
の増加を抑制し,食後代謝異常を改善する可能性
が考えられ,その機序の一つとして食後の酸化ス
トレスの上昇を抑制する可能性が示唆された.
2011$平成 23年 9 月
Ⅵ-1
トリプタン製剤による急性冠症候群を発症した
22 歳男性の一例
1
2
公立八女総合病院脳神経外科 ,同 放射線科 ,
3
4
同 内科 ,同 心臓血管内科
1
1
Ⅵ-2
Paramyotonia congenita の一例
神津内科クリニック
1
○坂本 六大 ,宮城 尚久 ,菊池 清志 ,
2
3
3
水上 直久 ,吉田 博 ,池園 友 ,
4
4
4
草場 健 ,工藤 博司 ,野原 正一郎 ,
4
佐々木 雅浩
【はじめに】国内で実施された臨床試験でトリプ
タン製剤の副作用が報告されたのは 274 例中 51
例(18.6%)で あ り,主 な 副 作 用 は 傾 眠 21 件
(7.7%),†怠感 8 件(2.9%)
,
めまい 6 件
(2.2%)
,
口渇 5 件(1.8%)
,脱力 4 件(1.5%)
,悪心 3 件
(1.1%),感覚減退 3 件(1.1%)であった.また,
不整脈,狭心症,あるいは心筋梗塞を含む虚血性
心疾患様症状を起こすことがまれにあるとされて
いるが頻度は不明である.
【症例】22 歳男性.2011 年 2 月午前 3 時に頭痛で
夜間救急外来を受診し NSAID,トリプタン製剤
を処方され帰宅.帰宅後トリプタン製剤を内服し
た直後より胸痛が出現し救急外来を再受診.心電
図上Ⅰ,V2-6 で ST 低下,Ⅱ,Ⅲ,aVF で陰性 T
波を認めニトロ舌下で症状改善,ST 変化の軽減
が認められたが胸痛残存し,ニトログリセリン持
続注射で症状は消失した.トロポニン T 陽性で
かつ心筋逸脱酵素の上昇を認めたため急性心筋梗
塞と考えヘパリン投与,抗血小板剤の内服,また
トリプタン製剤による冠攣縮性狭心症を疑い Ca
拮抗薬の内服も開始した.2 日後,冠動脈造影検
査施行し左冠動脈主幹部に 25%,
前下行枝に 25%
の狭窄を認めた.有意な狭窄はないものの若年で
あることから動脈硬化は強いと考えられ,この状
態に冠攣縮性狭心症が関与した可能性が疑われ
た.
【まとめ】今回トリプタン製剤により心疾患の既
往のない 22 歳の若年男性で冠攣縮性狭心症から
急性心筋梗塞を発症したと考えられる症例を経験
したので報告する.
○神津
仁
Paramyotonia congenita(PMC)は,最 近 で は
Channelopathy の一部と見なされている.そのほ
とんどは常染色体優性遺伝形式をとる遺伝性家族
性疾患であるが,まれに弧発例が見出される.世
界でも弧発例の報告は少なく,本症例はそのまれ
な一例と考えられたので文献的考察を加えて報告
する.
【症例】22 歳,男性.職業,格闘技選手.主訴:全
身がつって訓練に支障がある.現病歴:14 歳の頃
から運動中に両足が動かなくなったことがあっ
た.その後次第に足から顔,腕を含めて全身に頻
回につる症状が拡がった.冬になって症状が強く
なったため,平成 23 年 2 月 25 日に当院受診.家
族歴:なし.現症:全身の筋肉発達良好.運動負
荷にて筋痙攣(+)
.percussion myotonia(+).
検査所見:CK 値 339 IU/l,K
/
値 4.0 mEq/l,甲状
/
腺,副甲状腺ホルモン正常.筋電図所見:myotonic discharge(+),一部で低振幅 MUP が観察
されるが,正常あるいは高振幅 MUP も観察され
る.治療:フェニトインにて改善あり.
【考察】本例は Eulenburg が報告した paradoxical myotonia を呈する PMC と考えられた.本症
はヨーロッパに多くアジアには少ない.日本での
報告も 20 数例で弧発例はまれである.今後は本
症例の mutation についても明らかにして行きた
い.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011$平成 23年 9 月
355
Ⅵ-3
当院での PEG 施行例に関する考察
Ⅵ-4
当院における高齢者への抗 TNF 製剤の治療効果
と安全性
苫小牧東病院
善仁会 市民の森病院 膠原病・リウマチセン
1
2
ター ,宮崎大学医学部 感染症・膠原病内科
○橋本
深町
○日高 利彦 ,橋場 弥生 ,久保 義和 ,
1
1
2
春山 聡志 ,黒田 宏 ,坂口 翔太 ,
2
2
梅北 邦彦 ,岡山 昭彦
1
洋一,船木 上総,西原 功,
唯博,牧野 茂,高橋 春子
PEG(経皮内視鏡的胃瘻造設術)は 1980 年に米国
で開発されて以来,日本でも主要な栄養摂取法と
して普及し,在宅復帰率の向上にも大きく貢献し
てきた.当院で過去 12 年間に施行した 575 例に
ついて検証したのでここに報告する.
基礎疾患別では脳卒中が一番多く,最高年齢は
100 歳以上にも及んだ.厳格な嚥下機能の予後予
測の結果,嚥下機能の回復により,経口摂取が可
能となった症例は数例にとどまった.胃壁と腹壁
の剝離のため,再度,PEG を施行した症例や食道
狭窄のために拡張術を施行して PEG を施行した
症例,胃癌による胃全摘のために十二指腸瘻を造
設した症例等についても言及し,今後の PEG の
あり方について考察したので報告する.
356
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
1
1
【目的】当院における抗 TNF 製剤(インフリキシ
マブ(IFX),エタネルセプト(ETN),アダリブ
マブ(ADA))の高齢者に対する効果および安全
性を調べた.
【方法】当院で抗 TNF 製剤を導入した 65 歳以上
の関節リウマチ(RA)患者 69 例(IFX 15 例,
ETN 42 例,ADA 12 例)を対象とし,EULAR 判
定による 6 および 12ヵ月後の治療効果,安全性を
比較した.
【結果】抗 TNF 製剤を使用した全患者のうち高齢
者の占める割合は 34%であり,ETN の使用頻度
が最も多かった(IFX:22%,ETN:61%,ADA:
17%).患者背景では,MTX の使用できない患者,
ステロイド薬併用の患者に ETN が選択される傾
向にあった.改善判定では moderate 反応率,
good 反応率,寛解率は,それぞれ,
(6ヵ月時)IFX:
67,20,7%,ETN:85,40,15%,ADA:83,
42,25%,
(1 年時 IFX:60,20,13%,ETN:82,
25,18%,ADA:83,50,42%であった.有害事
象は,IFX:60%,ETN:57%,ADA:67%,各
製剤と関連が否定できない重篤な有害事象は
IFX:13%,ETN:10%,ADA:17%に認めた.
【結論】各製剤間の効果・有害事象に有意差はな
かったが,重篤な有害事象が市販後全例調査より
多く高齢者に対して抗 TNF 製剤を使用する際は
注意深い観察が必要と考えられた.
2011$平成 23年 9 月
Ⅵ-5
開業 20 年間で経験した悪性疾患 290 例の検討
Ⅵ-6
口から食べられなくなったらどうしますか:特養
での看取りの実践
秦医院
太郎田医院
○秦
○多賀
一敏
【目的】わが国のがんの死亡者数は全死亡の 3 割
を超え,1981 年以来死因のトップを占めている.
今回,1991 年 4 月から 2011 年 3 月までの 20 年間
に消化管を主体とした一般内科診療の中で経験し
た悪性疾患について検討したので報告する.
【対象と方法】対象は 1991 年 4 月から 2011 年 3
月までの 20 年間に診断した悪性疾患 290 例(男
性 184 例,女性 106 例)で,1991 年 4 月から 2001
年 3 月までの前期と 2001 年 4 月から 2011 年 3 月
までの後期に分けて,性,年齢,部位,進行度,
治療,予後等について比較検討した.
【結果】症例数は前期が 120 例で,後期は 175 例と
増加していた.逆に外科的手術件数の割合は前期
の 58.3%に対して後期は 40.6%と減少していた.
5 年生存率は前期の 50.4%から後期は 59.2%と
上昇していた.部位別にみると大腸癌が前期 9 例
から後期 33 例へと著明に増加し,5 年生存率も前
期の 66.7%から後期は 83.3%と優位に上昇して
いた.これは 2002 年から検査法を注腸造影検査
から内視鏡検査に変えたことに起因すると考えら
れ,早期大腸癌発見には内視鏡検査の方が注腸造
影検査よりもはるかに優れていることが示唆され
た.
【結論】後期にがんの早期発見数が増え,死亡率の
低下につながったのは,大腸検査の方法を変えた
ことが要因のひとつと考えられ,全大腸内視鏡検
査のトレーニングを 50 歳を過ぎて始め,積極的
に取り組んだことが効を奏したと考えられる.
浩美
平均在院日数に縛られた現行の医療保険制度のも
と,病院では嚥下機能が改善しない高齢者に対し
胃ろう造設での退院を促す傾向にある.筆者が嘱
託を務める特養 MM 苑では入所者 80 名の 1 割程
度という基準で胃ろうを受け入れてきた.ところ
が H21 年に 5 名,H22 年に 2 名の胃ろう退院が
あったため胃ろう造設者が 15 名を数えることと
なり,マンパワー的に受け入れを中止せざるをえ
ない状況になってしまった.胃ろうがついている
のにペースメーカを挿入されたり,腎臓癌の告知
がされないままに胃ろうが造設されて家族に喜ば
れないケースも発生した.入所者の高齢化で H23
年 1 月 2 月 3 月で 6 件の窒息事故が起こり一人が
死亡したため行政の指導を受けた.一方 MM 苑
では H18 年 4 月以来 23 名の家族と看取り介護の
書類を交わし,
施設での看取りに取り組んできた.
看取り時の平均年齢は 88.8 歳,要介護度の平均
は 4.6 であった.毎年誕生日にリヴィングウィル
を書き直して妹さんに預けていた脊髄腫瘍術後対
麻痺の 80 歳女性の他は,家族によく話し合って
相談してもらった.看取りは末梢からの 1 日 500
ml ビタミン入り補液(または皮下輸液)が基本で,
2 週間から 2ヵ月の経過となる.必要であれば在
宅酸素療法も併用する.全室個室であることから
家族の夜間付き添いも可能である.胃ろうを選択
しないことが見捨てることではないという意味
で,石飛幸三氏の平穏死のすすめをテキストにス
タッフの学びもすすめている.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011$平成 23年 9 月
357
Ⅶ-1
地域連携クリティカルパス〜紙ベースからイン
ターネット環境への展開〜
Ⅶ-2
福島第一原発事故に医師として対峙して
和歌山県内科医会
会会長
医療生協わたり病院
○田中
田中内科医院(和歌山市医師
○齋藤
章慈
医師の不足や偏在による地域医療崩壊の危機が叫
ばれるなかで,切れ目のない良質な医療の提供を
進める有効な手段として地域連携クリティカルパ
ス(以下連携パス)が介在する専門医療機関とか
かりつけ医の二人主治医制度による診療が注目さ
れるようになった.和歌山市医師会は,すでに診
療報酬の裏付けを持つ大¡頸部骨折,脳卒中なら
びに 5 大がん(肺,胃,大腸,肝ならびに乳がん)
だけでなく糖尿病や心筋梗塞についても連携パス
を活用した医療の普及・啓発に努めてきたが,報
酬算定に必須とされる診療情報の交換は連携手
帳,診療情報提供書や紹介状等を患者に託して行
われているにすぎない現状であり,このような紙
ベースの情報伝達手段では即時性に欠け,確実性
に乏しいといえる.そこで連携パスをサーバー内
に置いて,専門医療機関,かかりつけ医双方から
書き込みと閲覧ができる,いわゆるクラウド型で
の情報交換を,地域医療支援を模索していた医薬
品卸事業者である株式会社スズケンと共同開発を
試みることになった.課題はセキュリティである
が,厚生労働省の「医療情報システムの安全管理
に関するガイドライン」に準拠して実施され,現
在,和歌山市内地域支援病院と和歌山市医師会員
の間で糖尿病患者について運用開始となったもの
である.今後,多種の連携パスの開発と充実に努
め,良質な地域医療の確保に努めてゆきたいと考
えている.
358
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
紀
【目的】福島第一原発事故はレベル 7 とされる未
曾有の環境汚染である.事故から 2ヵ月,医師と
して放射線の人体への影響について説明し不安を
除去することに努めてきた.そのなかで放射能汚
染と直面した住民の精神の軌跡について報告す
る.
【結果】
[当初の時期]そもそも放射線障害とは何
かという基本的な内容を伝えることに努め,住民
は受容することで一定の安心を得ることができ
た.
[次の時期]毎日繰り返し報道される空中線量
値と共存してゆく時期であり,住民はこの数値の
もつ意味を知ろうとすることに移った.そして安
心論と危険論が鋭く対立する現象のなかで,極め
て不安定な状況を迎えた.
[現在の時期]汚染地域
で生きてゆく基準として示された「20 mSv」にと
もなう混乱は安心論と危険論の再燃であり,混乱
は一見ヒートアップするかに見えたが,ここで初
めて住民は自らの手で除染という行動に立ちあが
るきっかけを得たことになった.つたなくとも,
運動の新しい芽生えとみる.
【考察と結論】住民の精神的軌跡はもちろん単純
ではないが,本質を素早く理解し,克服するぞと
いう能動性を自ら鍛えてきたとみる.チェルノブ
イリ事故後の出来事として伝え聞く住民の精神的
破綻は,現在,この地においては免れているとみ
るが,なお営農の破綻や苦難はこれからである.
医師として何が可能か熟慮したい.
2011$平成 23年 9 月
Ⅶ-3
高齢者糖尿病の診療の問題点―自験症例からの考
察―
1
美波町国民健康保険由岐病院 内科 ,徳島赤十
2
3
字病院 代謝・内分泌科 ,海陽町宍喰診療所 ,
4
徳島大学大学院 HBS 研究部 分子薬理学
1
2
○本田 壮一 ,新谷 保実 ,白川
1
4
小原 聡彦 ,吉本 勝彦
3
光雄 ,
Ⅶ-4
地域での病診連携,多職種連携で支えるがん患者
終末期の在宅緩和ケア
医)社団
○坂本
坂本医院
仁
【目的】当院は,徳島県南部の小病院(50 床)であ 【はじめに】今後の在宅医療,特にがん患者終末期
る.住民の高齢化に伴い,糖尿病の高齢患者を診
の在宅緩和ケアにとり,地域での病診連携,多職
療する機会が増えている.また,当県は糖尿病の
種連携による対応は重要といえる.当院がかか
合併症による死亡率日本一が続いており,種々の
わった症例について報告する.
対策が練られている.自験例を示し,問題点を提
【症例】平成 21 年 1 月から 22 年 12 月までに訪問
起する.
診療を開始し,在宅緩和ケアとして対応したがん
【症例 1】76 歳男性.臨床診断:トリオパチーを伴
終末期患者は 46 名であった.当院は医師 1 名の
う 2 型糖尿病,高血圧,認知症,転倒外傷後.臨
無床診療所であり,1 例を除き退院した 17 病院か
床経過:20 年来の糖尿病があり,インスリン・グ
ら紹介された.36 例が 7ヵ所のステーションから
ラルギンを導入.2007 年 10 月散歩中に転倒し,
訪問看護を受け,また非がん患者への対応と同様
に多職種によるケアカンファレンスは頻回に開催
顔面外傷で当院に 3 週間入院.その後インスリン
された.現在継続中の 2 例を除き,訪問開始時在
自己注射ができなくなり,家族の協力も得られな
宅看取り希望は 28 例で,そのうち結果在宅死は
かった.感染症を伴い入院後逝去.
25 例,病院看取り希望は 16 例で,そのうち 6 例
【症例 2】65 歳女性.臨床診断:2 型糖尿病,高血
は在宅療養中に次第に決心して在宅死となり,在
圧,腎臓機能低下,左下¡切断術後(ASO)
,脳塞
栓,発作性心房細動,うっ血性心不全,狭心症(ス
宅看取り率は 67%であった.しかし,在宅死希望
テント挿入後).臨床経過:1996 年から糖尿病で
から 3 例は病院死となっており,決して在宅看取
通院.2008 年 3 月に左足部壊疽,5 月左下¡切断
り至上主義ではなく,あくまでも本人の意向に沿
術.同年 11 月,冠動脈造影で左前下降枝の狭窄. うように対応した.緊急入院例,予想よりも大変
だったなどの例では,家族はやや不満となった.
薬剤溶出性ステントを追加.2010 年 3 月より左片
麻痺が出現し脳梗塞を合併.再梗塞で脳外科入院 【まとめ】一人医師診療所においてがん患者終末
期の在宅緩和ケアを行うためには,人と人とのつ
後,逝去.
ながりを基盤とした地域の多職種によるケアチー
【考察】認知症を伴う糖尿病患者に難渋している.
ム形成が不可欠であり,本人の意向を汲んだ無理
また,血管合併症を併発する前の糖尿病治療が重
要である.脳・心臓の合併症は,専門科にコンサ
のない対応が大切と思われた.
ルトが必要である.
【結論】近年,当医療圏では医師不足となっている
が,地域連携パスを用い糖尿病患者に対し「顔の
わかる温かい医療連携」が望まれる.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011$平成 23年 9 月
359
Ⅶ-5
開業医の処方意図を,どのようにして調剤薬局薬
剤師に伝えるか?
Ⅶ-6
高齢社会における保健医療福祉の諸問題(第 19
報)
医療法人
東京内科医会
○坂東
坂東ハートクリニック
○斉藤 欣一,須藤 秀明,井関 恵子,
木島 冨士男,小松 英昭,渡辺 仁,
青井 禮子,久米 和夫,清水 惠一郎,
菅原 正弘,望月 紘一,神津 康雄
正章
【目的】心不全症例への b 遮断薬や ARB 処方の
際,また頻脈性心房細動へのベラパミル処方の際
に,調剤薬局では前者は降圧薬,後者は狭心症薬
と説明されることが多く,医師の説明との齟齬に
戸惑う患者がいた.服薬のアドヒアランスを向上
させるためにも,開業医の処方意図を調剤薬局薬
剤師に適切に伝える方法を検討した.
【方法】平成 15 年 9 月の開業以来,診療終了後に
電子カルテの二号用紙を印刷し,患者に渡してき
た.当院に対応する調剤薬局は 50〜60 局存在し,
カルテを各調剤薬局で見せれば医師の処方意図が
わかると説明した.しかしすべての調剤薬局は
オープンカウンターであり,周囲に人も多く,そ
のような環境でカルテを調剤薬局薬剤師に提示す
る患者は皆無に近かった.このような実態が判明
して以来,処方意図が誤解されそうな場合には処
方箋の処方コメント欄に処方意図を入力するよう
にした.また薬剤を増減・中止した場合等も,そ
の旨をコメント欄に記した.門前薬局とは定期的
に問題点を話し合い,どのようなコメントがあれ
ば効果的かを話し合った.
【結果】この方法の効果を定量的に評価すること
は困難ではあるが,各調剤薬局にアンケートを行
うと,患者の病態・変化がよくわかるとの意見が
寄せられた.
【結論】処方コメント欄に処方意図を追加入力す
るには時間も要するが,患者の確実な服薬と調剤
薬局薬剤師に処方意図を伝えるためには必要な方
法であると考えている.
360
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
保健医療福祉の連携を進める上で最も大切なのが
マンパワーと財源であろう.ところが厚生白書平
成 2 年版には近年の保健医療福祉のマンパワーの
増加は,65 歳以上の老齢人口の増加率におおむね
比例していると述べてあり,保健医療福祉対象者
を 65 歳以上と十把一絡げに論じているが,東京
内科医会はそれらの連携をすすめるには,いわゆ
る old-old と称する 75 歳以上の高齢者対策に視
点を置くべきことを平成 3 年 10 月第 5 回日臨内
学会(於横浜)に問題提起した.ところが平成 5
年版厚生白書によると,高齢者の中で 75 歳以上
の後期高齢者人口は著しく増加する,と初めて 75
歳以上に視点を向けそれに伴って介護を要する高
齢者が増えていくことは避けられない,
と述べた.
そして当時ゴールドプランの財源に 5 兆 2500 億
円の上乗せ,ホームヘルパーの確保 10 万人から
20 万人へ倍増,その他施設の見直し等々,そして
新ゴールドプランでは保健医療福祉の連携にはマ
ンパワーと財源がより重要であることを追認した
のであろう.要するに高齢化社会に対しての情報
分析が欠けていたとしかいえまい.東京内科医会
は 20 年以上前より,以上に関して厚労省の後手
に回る政策を批判し論述してきた.今回も以上に
関して行政のデータを示し述べてみる.
2011$平成 23年 9 月
PⅠ-1
当院における高齢者肺炎の特徴と現状
会員発表
ポ
ス
タ
ー
発
静和記念病院
内科
表
○小野 博美,木村 孝,岡部 實裕,
川上 雅人
【目的】当院における高齢者肺炎の特徴を後ろ向
きに検討する.
【方法】2009 年と 2010 年の 2 年間に,肺炎と診断
され当院に入院した高齢者を対象とした.症例は
135 例(男性 67 例)
,年齢は 85.7±7.0(67-106
歳)である.主訴,主要疾患,血液・生化学所見,
肺炎の種類,治療法,予後に対し検討した.同時
に死亡例と生存例を 2 群に分け比較検討した.
【成績】主訴は,発熱が 61 例,咳嗽が 24 例,呼吸
困難が 16 例であった.主要疾患は,脳血管障害が
60 例,認知症が 25 例,慢性心不全が 12 例であっ
た.体温は 37.3±0.9(℃)
,SpO2 は 92±5.1(%)
であった.血液・生化学所見では WBC が 8952±
4562(/ml)
/ ,CRP が 8.5±7.2(mg/dl)であった.
/
肺炎の種類は,市中肺炎が 79 例,誤嚥性肺炎が
46 例,異型肺炎が 8 例であった.初回投与した抗
生剤は,TAZ/PIPC
/
が 83 例(61%),PIPC 12 例,
CTRX 9 例,SBT/ABPC
/
8 例であった.入院期間
は 42±49(日)であった.予後は,死亡が 50 例
(37%)で生存期間が 51±56(日)であった.死亡
50 例(A 群)と生存 85 例(B 群)を 2 群に分け比
較検討した.SpO2 が A 群で 90±5.9(%),B 群
で 93±4.3(%)で(p=0.0018),CRP が 各々
10.1±8.4 と 7.6±6.2(mg/dl)
/ (p=0.032),
Albumin が 3.1±0.5 と 3.5±0.6(g/dl)
/ (p=
0.00023),抗 生 剤 投 与 期 間 が 42±44 と 23±27
(日)(p=0.0046)と有意差を認めた.
【結論】当院高齢者における肺炎の特徴として,死
亡例では入院時呼吸状態が悪く炎症所見が強く低
栄養状態であり,誤嚥性肺炎が比較的多く抗生剤
がより長く投与される傾向にあった.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011$平成 23年 9 月
361
PⅠ-2
微熱と食欲不振を主訴に診断された左膿胸の 1 例
PⅠ-3
当院における高齢者心臓ペースメーカー留置術の
現状
静和記念病院
静和記念病院
○小野
川上
内科
○小野
川上
博美,木村 孝,岡部 實裕,
雅人
【目的】微熱と食欲不振を主訴に診断された左膿
胸の 1 例を報告する.
【方法】
(症例)64 歳,男性.
(主訴)微熱,食欲不
振.
(既往歴)44 歳 糖尿病,62 歳 脳梗塞.
(家
族歴)特記事項なし.
(現病歴)2010 年 10 月 9 日
より微熱及び食欲不振出現し,他院での胸部レン
トゲン上左胸部に異常陰影を認めた為,10 月 12
日当院入院した.(入院時現症)身長 160 cm,体
重 43 kg,血圧 146/88
/ mmHg,心拍数 84/min
/
不
整,体温 35.8℃,意識清明,眼瞼結膜に貧血なく
眼球結膜に黄疸なし.左胸部で呼吸音減弱.腹部
は平坦・軟,腫瘤を触知せず.下肢に浮腫を認め
ず.
【成績】(入院経過)胸部 CT 所見にて左肺に胸水
あり一部膿瘍と考えられる所見を認めた.左胸腔
穿刺を実施した所,悪臭を伴う灰褐色の膿を多量
吸引した.培養では細菌を確定できなかったが悪
臭を伴うため,嫌気性菌による感染と考えた.治
療として,抗生剤(CLDM)による点滴及び胸腔
ドレーンを実施し生食による洗浄を繰り返した.
洗浄により膿の排出が減少し,
左膿胸は軽快した.
【結論】胸腔ドレーン洗浄が膿胸治療に有効であっ
た.過去 29 年間の医学中央雑誌の検索にて嫌気
性菌による膿胸は 114 例報告されており,若干の
文献を含めて考察する.
362
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
内科
博美,木村 孝,岡部 實裕,
雅人
【目的】高齢者の心臓ペースメーカー留置術の特
徴を後ろ向きに検討する.
【方法】2005 年 6 月から 2010 年 12 月までに当院
に入院し体内式心臓ペースメーカーを初回留置し
た高齢者を対象とした.症例は 38 例(男性 18 例)
で,年齢は 82.1±7.1(66〜92 歳)であった.入
院理由,主要疾患,Holter ECG,UCG の術前評価,
術後評価,入院期間,予後について検討した.
【成績】主訴は意識消失発作が 13 例(34%),めま
い 6 例,胸痛 4 例,除脈 3 例,食欲不振 3 例,息
切れ 2 例,全身†怠感 2 例,その他 5 例であった.
主要疾患では SSS 15 例(40%)
,Af bradycardia
14 例,2 度房室ブロック 5 例,3 度房室ブロック 2
例,その他 2 例であった.BMI は 22.2±3.3(kg//
2
m)
,血圧は 135.1±17.4/72.7±13.6(mmHg)
/
,
体温は 36.4±0.52(℃),血液・生化学所見では
WBC 6274±2035(/ml)
/ ,BNP 362.3±534.5(rg//
ml),術前 Holter ECG,UCG による評価では Max.
R-R 3.20±1.6(s),Mini. HR 42.3±8.1(/min.)
/
,
EF 58.2±16.9(%)であった.術後評価では,
Max. R-R 1.20±0.16(s)
,Mini. HR 58.8±6.2(//
min.)
,EF 68.3±13.3(%)であった.入院期間
は 43.1±29.2(日)で,予後は 8 例が死亡され生
存期間は 325±346(日)であった.死亡原因は肺
炎が 3 例,急性心筋梗塞が 2 例,うっ血性心不全
増悪が 2 例,不明 1 例であった.
【結論】術後 Max. R-R の短縮,UCG 上 EF の改
善を認め,高齢者においても心臓ペースメーカー
留置術は,安全で予後の延長に寄与する.
2011$平成 23年 9 月
PⅠ-4
高齢者高血圧は体幹,下半身筋の凝りが大きな因
子
(医)南和会
○小延
知暉
大川橋診療所
PⅠ-5
プライマリケアにおける新規高血圧治療患者の背
景―年齢・治療開始の契機についての検討―
1
高知医療生活協同組合・四万十診療所 ,高知生
2
3
協病院 ,旭診療所
1
○横矢 隆宏 ,佐藤
2
田辺 敏保
2
真一 ,原田
3
健 ,
【NO1】加齢による,骨,筋肉の退行変性は,高齢 【背景】高血圧は定期通院の契機となる疾患とし
て重要であるが,治療開始時の患者背景や受療の
者の身長の短縮,姿勢変化と筋力低下,起立歩行
理由についての検討は少ない.
能力低下をもたらす.主に動脈の血流抵抗による
【対象と方法】県庁所在地にある小規模病院と県
高齢者高血圧でも,人体最大臓器,筋肉の老化に
内遠隔地の無床診療所において,高血圧の内服治
よる血流抵抗増加も大きな因子ではないか.
療を初めて開始した患者のうち,当該治療が初め
【NO2】筋肉は収縮弛緩にて,自身の血液循環を
ての慢性疾患療養であった 112 人(病院 81 人;診
行い,長時間の運動を可能にしている.高齢者で
療所 31 人).検討項目は外来で行った諸検査と質
は,動脈硬化による血液循環低下のため,運動に
問紙への自己記入内容.
て筋肉繊維に乳酸などの疲労素が蓄積し,筋繊維
【結果】対象は平均年齢 61.5±12 歳(男性 60%).
腫腸,その間の毛細血管が圧迫され,血流抵抗が
増加し,凝り,血圧が上がりやすい.高齢者の運
動脈硬化危険因子や腎機能といった患者背景は,
動不足も,
筋肉自身の血液循環の低下をもたらし,
BMI≧25:41%,LDL-C≧140:4%,HDL-C<
2
動脈硬化と悪循環し,老化と因果関係にある.
40:15%,HbA1c≧6.1:8%,eGFR/1.73
/
m <60:
【NO3】猫背や,腰曲がりが多い高齢者の体幹筋,
15%,現在の喫煙 27%であった.高血圧治療を開
特に傍脊柱筋は常に過伸展状態で,血液リンパ循
始することになった受療の理由は,自宅血圧高値
16%,他愁訴での受診 44%,検診後の受診勧奨
環の低下による疲労素蓄積,凝り状態にある.
32%であった.
【NO4】そのような方に,背臥位,脊柱の介達索引
にて,傍脊柱筋の凝りを,また,下半身筋の凝り 【考察】治療開始年齢は,立地背景の異なる医療機
関でともに 62 歳頃であり(病院 61.3 歳;診療所
を空気圧マッサージにて和らげると,血圧が劇的
62.1 歳 t=0.75),これが一般的な開始年齢かも
に低下し,それらの方は,いずれも楽になること
しれない.国民栄養調査では高血圧罹患数の急速
より,老化筋肉の循環障害が,動脈硬化に次いで,
な増加は 50 代にあり,発症平均年齢はより若年
本態性高血圧の大きな因子であると推定しえた.
の可能性がある.治療開始の契機は,高血圧以外
【NO5】体幹,下半身にロコモティブシンドロー
の受診や検診後の受診勧奨が多く,79%が家庭血
ムのある高齢者の起立歩行は,健常人に比し,余
分の力を要し,心臓の負担は増加する.そのよう
圧計を有していたにもかかわらず,家庭血圧高値
な方に,背臥位自転車漕ぎ運動が有効で,パルス
が契機であったのは 16%と少なかった.これらよ
オキシメーターでも証明できた.
り,家庭血圧とその解釈,遅滞ない治療開始の重
要性など,一層の啓蒙が重要であると考える.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011$平成 23年 9 月
363
PⅠ-6
当院における ARB イルベサルタンの使用経験
PⅡ-1
骨粗鬆症患者におけるリセドロネートの抗動脈硬
化作用
医療法人社団長尾医院
大橋クリニック
○長尾
○大橋
信
【はじめに】ARB イルベサルタン(アバプロ錠)
の使用により良好な降圧効果が見られたため,後
ろ向きであるが投与後の血圧推移を報告する.
【対象】2008 年 7 月から 2009 年 6 月の期間におい
て,SBP 140 mmHg 以上または DBP 90 mmHg
以上を示した高血圧症例において 1 年間以上の経
過観察可能であった症例を抽出し検討した.対象
症例は 55 例で投与開始時の患者背景としては,
男性 14 例,女性 41 例,平均年齢は 67.3 歳,外来
時血圧は 154.7±35.3/90.5±29.5
/
mmHg,併用
薬ありは 25 例(ACE 阻害薬 1 例,Ca 拮抗薬 18
例,利尿薬 9 例,b 遮断薬 3 例)であった.
【結果】アバプロ錠を投与した 55 症例の 12ヵ月の
外来血圧は 125.85±8.24/75.53±8.40
/
(P<0.01)
投与後に他の降圧薬を変更しなかった 26 症例の
外来血圧は 127.31±8.10(P<0.01)
,また他の
ARB から切り替え後に他の降圧薬を変更しな
かった 12 症例では 127.33±8.88/74.75±7.37
/
(P
<0.01)で,投与後に他の降圧薬を変更せずに 6ヵ
月間経過観察可能であった 5 症例の早朝家庭血圧
では SBP-22.20±10.28(P=0.008)DBP-8.80±
9.42(P=0.15)であった.
【まとめ】投与開始 1ヵ月の時点で SBP DBP とも
に有意な降圧が認められ,1 年後でも安定した降
圧が認められた.併用薬を変更していない患者群
においても同様な降圧を認めた.他の ARB から
の切り替え例においても投与開始後 1ヵ月の時点
で SBP DBP ともに有意な降圧を認めた.5 症例
であるが早朝家庭血圧においても SBP において
有意な降圧を認めた.
364
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
剛
【目的】昨年の本学会にて,骨粗鬆症治療薬である
リセドロネートが,
アンチエイジング効果があり,
ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)を低下
させることを報告した.そこで,今回,リセドロ
ネートの抗動脈硬化作用を検討した.
【方法】2009 年 4 月から,12 月にかけて,骨粗鬆
症と診断し,リセドロネートを投与開始した患者
のなかで,糖尿病,慢性腎臓病,RAS 系抑制剤投
与中の高血圧,スタチン剤投与中の脂質異常症を
除く 30 例を対象とした.比較として,同時期に骨
粗鬆症と診断し,活性型ビタミン D3 投与を開始
し,リセドロネートと同じ除外基準を満たした 27
例を対象とした.両群ともに,投与前と投与 1 年
後に,骨代謝マーカーである血清 1 型コラーゲン
N-テロペプチド(NTX),動脈硬化のサロゲート
マーカーとして,Cardio-Ankle Vascular Index
(CAVI),頸動脈内膜中膜肥厚度(IMT)
,尿中微
量アルブミン及び BNP を測定した.
【成績】リセドロネート投与群は,投与 1 年後,有
意に NTX の減少を認めたが,対照群は,逆に有
意の増加を認めた.また,リセドロネート投与群
は,CAVI,IMT,尿中微量アルブミン全てに,有
意な減少を示したが,対照群は,有意な増加を示
した.リセドロネート投与群は,BNP の有意な減
少を示した.
【結論】リセドロネートは,骨代謝マーカー,BNP
のみならず,動脈硬化のサロゲートマーカーであ
る CAVI,IMT,尿中微量アルブミンを減少させ,
抗動脈硬化作用を有することが示された.
2011$平成 23年 9 月
PⅡ-2
手指レイノー症状に対する耳 warming の試み
1
PⅡ-3
新型インフルエンザパンデミック時における広島
県民(高校生以上)の行動に関するアンケート調
査
2
札幌厚生病院 ,朋佑会札幌産科婦人科
1
○齋藤
1
巌 ,齋藤
康子
2
2
県立広島病院 ,広島県健康対策課 ,広島県医師
3
4
5
会 ,広島大学検査部 ,広島大学感染科 ,新田小
6
7
児科 ,安芸市民病院 ,広島大学疫学・疾病制御
8
学
1
2
3
○桑原 正雄 ,松岡 俊彦 ,堀江 正憲 ,
4
2
5
横崎 典哉 ,岸本 益実 ,大毛 宏喜 ,
3
6
7
柳田 実郎 ,新田 康郎 ,横山 隆 ,
8
2
田中 純子 ,碓井 静照
狭心症と高血圧症の通院患者が診察中に左右の全
手指が白くなった.レイノー症候群の 62 歳女性
に対する簡単なプライマリケア対処を紹介する.
【病名】狭心症,高血圧,頸腕症候群,レイノー症 【目的】平成 21 年度の新型インフルエンザパンデ
候群.
ミックでは広島県の推定患者数は約 40 万人で
【既往歴】15 年前に乳ガンの摘出手術.3 年前に狭
あった.この実態および対策の総括は昨年広島医
心症.
学に報告したが,さらに,受療行動などを知るた
【家族歴】母親に両手足にレイノー症候群.
めに県民にアンケート調査を行った.
【現病歴】夫の会社の大型冷凍庫で長年仕事して 【方法】広島県地域保健対策協議会では,平成 22
いたが,数年前から指先の白色化と痛みが頻回に
年 7 月〜10 月に一般県民を対象として,高校生以
上の一般用アンケートおよび中学生以下の保護者
なり仕事を辞めた.3 年前に胸痛で狭心症と高血
用アンケートを配布し,有効なインフルエンザ情
圧で通院,2 年前に本院に転院.夫の急死や直後
の肺炎で緊急入院した話の最中に突然,両手の全
報の入手,インフルエンザ罹患と時期,家族内感
指が白くなった.
染,予防,ワクチンなどを調査した.
【耳 warming】外耳道に綿花を軽く入れて外耳道 【成績】県内全域から一般用 5 万 398 件および保
を温める.症状を説明し写真を撮り,耳 warm護者用 12 万 8271 件を回収し,このうち一般用成
ing を試み,前後の写真で末梢血流の変容を調べ
績について報告するが,一般用回収率は高校生以
上の全県民の 3.8%であった.1)役に立った情報
た.白い手指が 7〜8 分で次第に赤くなり,通常の
はテレビが 79.0%と最も多かった.2)25.3%が
皮膚色に戻った.レイノー症状の緩和維持に,A)
罹患したと思い,このうち 76.7%がかかりつけ
今まで同様に微温等に手をひたす,手をこすり血
流をよくする.また,B)耳 warming も試みるよ
医,16.5%はかかりつけ医以外の医療機関を受診
う勧めた.約 1 年半の経過観察でも指が白くなる
していた.3)高校や仕事を休んだのは 29.3%,そ
ことや痛みもなく安心感がある.
の理由は自分が罹患した(66.7%),学校が休みに
【考察とまとめ】耳 warming の作用機序は,4 種
なった(19.7%)で,平均 5.0 日間休んだ.4)予
類の中枢神経と関連する.レイノー症状には外耳
防対策では咳エチケットは守られていなかった.
道の迷走神経枝を介して,血管系の拡張,血流増
5)32.9%がワクチン接種を受けており,受けた理
由として家族からの勧奨(34.9%),予防に有効と
加を起こし皮膚温を高めると推定され,簡単な対
判断(34.7%)が多かった.7)不安は,命・健康
処法になると思われた.
に関することが最も多かった.
【結論】新型インフルエンザでは季節性インフル
エンザとは異なった状況が浮かび上がった.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011$平成 23年 9 月
365
PⅡ-5
腹部腫瘤を伴った前立腺癌の 1 例
PⅡ-4
HMGB1;新規脳梗塞バイオマーカー
1
公立八女総合病院 脳神経外科 ,鹿児島大学大
学院 医歯学総合研究科 顎顔面機能再建学講座
2
歯科保存学分野 ,鹿児島大学 臨床獣医学講座
3
画像診断分野 ,鹿児島大学大学院 医歯学総合
4
研究科 システム血栓制御学 ,札幌医科大学
5
医 学 部 麻 酔 学 ,大 牟 田 市 立 病 院 脳 神 経 外
6
科 ,大阪工業大学 工学部 生命工学科 機能
7
性食品研究室
1
2
3
○菊池 清志 ,森元 陽子 ,三浦 直樹 ,
4
5
1
伊藤 隆史 ,名和 由布子 ,坂本 六大 ,
1
6
7
宮城 尚久 ,倉本 晃一 ,川原 幸一
【背景と目的】敗血症,DIC,心筋梗塞,慢性関節
リウマチ,脊髄損傷,歯周炎,潰瘍性大腸炎,外
傷,癌など,様々な疾患で,血中において,炎症
性 サ イ ト カ イ ン の 一 つ で あ る High mobility
group box-1(HMGB1)が,上昇することが知ら
れており,脳梗塞患者においても,同様である.
本研究では,神経保護作用を持つエダラボンとミ
ノサイクリンが,ラット脳梗塞モデルや虚血条件
の PC12 細胞において,HMGB1 放出にどのよう
に作用するかを検討した.
【結果】ラット脳梗塞モデルにおける HMGB1 の
放出をエダラボンが抑制した.さらに PC12 細胞
を虚血モデルである低酸素・低グルコース状態に
したところ,HMGB1 の放出がみられ,エダラボ
ンとミノサイクリンの投与にて放出が抑制され
た.
【考察】放出された HMGB1 を測定することで,
薬剤の効果を評価できる可能性がある.今回の発
見は,脳梗塞の予後の評価,あるいは,脳梗塞の
新しい治療法の開発に役立つかもしれない.
366
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
静和記念病院
内科
○小野 博美,木村 孝,岡部
川上 雅人
實裕,
【目的】腹腔内に巨大腫瘤を伴った前立腺癌の 1
例を報告する.
【方法】
(症例)84 歳,男性(主訴)腹痛,背部痛
(既往歴)急性心筋梗塞術後,認知症,慢性腎不全
(家族歴)特記事項なし(現病歴)2008 年 8 月上旬
より腹痛,背部痛を自覚した.10 月より疼痛が増
大したため近医受診し腹部腫瘤を指摘され,治療
目的で 2008 年 11 月 18 日当院入院した.
(入院時
現症)身長 162 cm,体重 54.4 kg,血圧 103/59
/
mmHg,心拍数 74/min,整,体温
/
36.1℃,意識清
明.頸部,鎖骨上窩,腋窩部,鼠径部の表在リン
パ節を触知せず.心肺は正常,腹部で腫瘤を 5 横
指触知する.
【成績】(入院経過)腹部 CT 上傍腹部大動脈に径
10.5×6.5 cm の腫瘤を認めた.悪性腫瘍の転移,
悪性リンパ腫を疑ったが,PSA 821.3 ng/ml
/ と上
昇を認め,
骨シンチ検査にて多発骨転移を認めた.
前立腺癌の腹腔内転移,骨転移,stage Ⅳと診断
した.治療として化学療法(MAB 療法)リュープ
ロレリン酢酸塩,ビカルタミドを開始した.2009
年 5 月 20 日の腹部 CT にて径 2.8×2.2 cm と腹
部腫瘤は著明に縮小した.6ヵ月間の化学療法で
PR と診断した.
【結論】ホルモン療法は前立腺癌の腹腔内転移に
対し効果的であった.前立腺癌の傍腹部大動脈に
腫瘤を認めた症例は,過去 26 年間の医学中央雑
誌の検索にて 18 例と稀であり若干の文献を含め
て報告する.
2011$平成 23年 9 月
PⅡ-6
鎖骨上窩のリンパ節腫脹を契機に診断された結核
性リンパ節炎の 1 例
静和記念病院
○小野
川上
内科
博美,木村 孝,岡部 實裕,
雅人
【目的】両側鎖骨上窩のリンパ節腫脹を主訴に診
断された結核性リンパ節炎の 1 例を報告する.
【方法】
(症例)82 歳,女性.
(主訴)両側鎖骨上窩
のリンパ節腫脹.(既往歴)高血圧 50 歳,右下肢
蜂窩織炎 79 歳.(家族歴)夫に肺結核.(現病歴)
2008 年 3 月下旬に両側鎖骨上窩のリンパ節腫脹
を自覚したため,4 月 3 日に近医を受診し紹介に
て 4 月 9 日当院入院となった.
(入院時現症)身長
143.5 cm,体重 63.5 kg,血圧 110/58
/ mmHg,心
拍数 86/min,整,体温
/
36.5℃,意識清明,両側鎖
骨上窩で 4 個のリンパ節を触知し腫瘤は可動性あ
り疼痛なし.頸部,腋窩部,鼠径部のリンパ節を
触知せず.心肺は正常,腹部で腫瘤を触知せず.
下肢の浮腫を認めず.
【成績】
(入院経過)頭部,腹部では CT 画像上腫
瘤を認めず,胸部 CT では器質化肺炎像を認めた.
消化管内視鏡検査にて悪性腫瘍を認めず.ツ反強
陽性であり結核を考慮したが,悪性腫瘍のリンパ
節転移,悪性リンパ腫の鑑別診断目的にて左鎖骨
上窩のリンパ節生検を実施した.病理学的に乾酪
壊死を伴う類上皮肉芽腫の形成を認め,結核性リ
ンパ節炎と診断した.INH,RFP,SM の抗結核剤
にてリンパ節腫脹は消失,改善した.
【結論】リンパ節生検は診断に有用であった.鎖骨
上窩の結核性リンパ節炎を認めた症例は,過去 25
年間の医学中央雑誌の検索にて 31 例と比較的稀
であり文献を含めて考察する.
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011$平成 23年 9 月
367
日本臨床内科医学会
回
数
開催地
会
長
会
開催一覧
期
会
場
第1回
京 都 市
高久
芳衛 昭和 62 年 11 月 8 日
京都商工会議所
第2回
福 岡 市
古寺
秀喜 昭和 63 年 11 月 6 日
大手門会館
第3回
東 京 都 神津
康雄 平成 1 年 10 月 21〜22 日
全共連ビル
第4回
大 阪 市 樋口
正大 平成 2 年 9 月 16 日
ホテルプラザ
第5回
横 浜 市 松田文太郎 平成 3 年 10 月 19〜20 日
神奈川県立音楽堂
第6回
名古屋市 宇野
立男
名古屋市中小企業振興会館
第7回
札 幌 市 佐藤
勝巳 平成 5 年 9 月 25〜26 日
札幌市教育文化会館
第8回
広 島 市 平野
太郎 平成 6 年 11 月 19〜20 日
広島国際会議場
第9回
金 沢 市 梅田
俊彦 平成 7 年 9 月 23〜24 日
金沢市文化ホール
第 10 回
別 府 市
安部康三郎 平成 8 年 11 月 3〜4 日
別府ビーコンプラザ
第 11 回
秋 田 市
熊谷
秋田県民会館
第 12 回
松 山 市 松原
第 13 回
岐 阜 市
藤原
久義 平成 11 年 10 月 10〜11 日
岐阜グランドホテル
第 14 回
仙 台 市
後藤
由夫 平成 12 年 9 月 23〜24 日
江陽グランドホテル
第 15 回
鹿児島市 花牟禮文太郎 平成 13 年 10 月 6〜8 日
鹿児島サンロイヤルホテル
第 16 回
和歌山市 伊藤
周平 平成 14 年 9 月 21〜23 日
和歌山県民文化会館
第 17 回
横 浜 市
中山
脩郎 平成 15 年 9 月 13〜15 日
パシフィコ横浜
第 18 回
岡 山 市
亀山
一郎 平成 16 年 9 月 19〜20 日
岡山衛生会館
大手
信重 平成 17 年 9 月 17〜19 日
奈良県新公会堂
望月
紘一 平成 18 年 9 月 16〜18 日
東京プリンスホテル
太田
宏 平成 19 年 9 月 16〜17 日
平成 4 年 9 月 19〜20 日
正之 平成 9 年 9 月 14〜15 日
洋 平成 10 年 11 月 22〜23 日
松山市総合コミュニティセンター
【中間法人日本臨床内科医会】
第 1 回(通算 19 回)
奈 良 市
第 2 回(通算 20 回)
東 京 都
第 3 回(通算 21 回)
愛 知 県
第 22 回
長 崎 県
迫
龍二 平成 20 年 9 月 14〜15 日
名古屋国際会議場
長崎ブリックホール
【一般社団法人日本臨床内科医会】
368
第 23 回
埼 玉 県
大島
誠一 平成 21 年 10 月 11〜12 日
大宮ソニックシティ
第 24 回
石 川 県 近藤
邦夫 平成 22 年 10 月 10〜11 日
石川県立音楽堂,他
第 25 回
北 海 道
西家 皞仙 平成 23 年 9 月 18〜19 日
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011(平成 23)年 9 月
札幌コンベンションセンター
日本臨床内科医会
回
数
開催地
会
長
会
総会
開催一覧
期
会
場
第1回
名古屋市
毛利
孝一
昭和 60 年 4 月 6 日
名古屋市中小企業振興会館
第2回
東 京 都
神津
康雄
昭和 61 年 4 月 5 日
ホテルニューオータニ
第3回
東 京 都
神津
康雄
昭和 62 年 4 月 4 日
日本大学会館
第4回
仙 台 市
甘糟
元
昭和 63 年 4 月 2 日
仙台市民会館
第6回
京 都 市
高久
芳衛
平成 1 年 4 月 2 日
国立京都国際会館
第7回
東 京 都
神津
康雄
平成 2 年 4 月 7 日
全共連ビル
第8回
京 都 市
新井
多聞
平成 3 年 4 月 4 日
国立京都国際会館
第9回
東 京 都
神津
康雄
平成 4 年 4 月 4 日
笹川記念会館
第 10 回
岡 山 市
藤原
弘
平成 5 年 4 月 3 日
岡山衛生会館,
三木記念ホール
第 11 回
新 潟 市
笹川
力
平成 6 年 4 月 16 日
ホテル新潟
第 12 回
名古屋市
宇野
立男
平成 7 年 4 月 6 日
名古屋国際会議場
第 13 回
横 浜 市
松田文太郎
平成 8 年 4 月 13 日
横浜国際会議場
第 14 回
大 阪 市
樋口
正大
平成 9 年 4 月 26 日
MID シアター
第 15 回
福 岡 市
宮崎
募
平成 10 年 4 月 11 日
マリンメッセ福岡
第 16 回
東 京 都
川上
忠志
平成 11 年 4 月 1 日
東京国際フォーラム
第 17 回
京 都 市
桝田喜久吾
平成 12 年 4 月 8 日
国立京都国際会館
第 18 回
横 浜 市
川上
忠志
平成 13 年 4 月 14 日
パシフィコ横浜
第 19 回
名古屋市
太田
宏
平成 14 年 3 月 30 日
名古屋国際会議場
第 20 回
福 岡 市
山本
愛文
平成 15 年 4 月 3 日
福岡サンパレス
第 21 回
東 京 都
川上
忠志
平成 16 年 4 月 10 日
東京国際フォーラム
山家
健一
平成 17 年 4 月 9 日
大阪国際会議場
望月
紘一
平成 18 年 4 月 16 日
パシフィコ横浜
山家
健一
平成 19 年 4 月 8 日
ヒルトン大阪
望月
紘一
平成 20 年 4 月 13 日
東京国際フォーラム
(第 5 回なし)
【中間法人日本臨床内科医会】
第 1 回(通算 22 回)
大 阪 市
第 2 回(通算 23 回)
東 京 都
第 3 回(通算 24 回)
大 阪 市
第 25 回
東 京 都
【一般社団法人日本臨床内科医会】
第 26 回
東 京 都
後藤
由夫
平成 21 年 4 月 11,12 日
東京国際フォーラム
第 27 回
東 京 都
後藤
由夫
平成 22 年 4 月 10,11 日
東京商工会議所
(平成 23 年総会は,東日本大震災の影響により中止)
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23)年 9 月
369
第 25 回日本臨床内科医学会(北海道)
実行委員会名簿
学 会 長 西家 皞仙
(北海道内科医会会長)
実 行 委 員 長 西里 卓次
(北海道内科医会副会長)
副実行委員長 谷口
博
(北海道内科医会副会長)
〃
木村
孝
(北海道内科医会副会長)
実行委員
(総務・会場担当)
赤倉 昌巳(北海道内科医会理事)
〃
髙村 一郎
(北海道内科医会理事)
〃
松本 修二
(北海道内科医会理事)
〃
伊藤 正美
(北海道内科医会理事)
〃
橋本 洋一
(北海道内科医会理事)
実行委員
(渉外・会計担当)
秋野 公孝(北海道内科医会理事)
〃
外園 光一
(北海道内科医会理事)
〃
山本 秀樹
(北海道内科医会理事)
〃
千秋
亨
(北海道内科医会監事)
〃
浜上 裕一
(北海道内科医会監事)
実行委員
(プログラム・展示担当) 櫻井 正之
(北海道内科医会理事)
〃
佐川
昭
(北海道内科医会理事)
〃
板谷 晴隆
(北海道内科医会理事)
〃
坂牧 純夫
(北海道内科医会理事)
〃
本間 久登
(北海道内科医会理事)
実行委員
(懇親会・宿泊担当) 門野
豊
(北海道内科医会理事)
〃
皆川 忠久
(北海道内科医会理事)
【本部事務局】 第 25 回日本臨床内科医学会事務局(北海道内科医会事務局)
〒 060-8627 札幌市中央区大通西 6 丁目 6 番地 北海道医師会事業第三課内
TEL:011-231-1726 FAX:011-252-3233 E-mail:[email protected]
【運営登録事務局】 株式会社コンベンションワークス
〒 001-0027 札幌市北区北 27 条西 15 丁目 6-3
TEL:011-727-7738 FAX:011-727-7739 E-mail:[email protected]
日本臨床内科医会 会誌編集委員会
(学術部委員会)
中 佳一(副会長)
安藤忠夫(担当常任理事)
福田正博(副担当常任理事)
木村直躬(編集委員長)
洞庭賢一(編集副委員長)
委員:石塚尋朗,武石昌則,岡啓嗣郎
日本臨床内科医会会誌
第26巻第અ号
平成23年ઋ月10日発行
編集/発行人
猿
発
一般社団法人日本臨床内科医会
行
所
田
享
男
〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台 2-5
東京都医師会館
3階
Tel.03-3259-6111
E-mail
Fax.03-3259-6155
jpa @ oregano.ocn.ne.jp
ホームページ
http://japha.umin.jp/
製作/インテルナ出版 〒170-0003 東京都豊島区
駒込1-43-9 Tel.03-3944-2591 Fax.03-5319-2440
日本臨床内科医会会誌
第 26 巻第 3 号
2011平成 23年 9 月
371