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自己評価報告書 - 梅花女子大学

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梅 花 女 子 大 学
自己評価報告書・本編
【日本高等教育評価機構】
平成 21(2009)年 6 月
梅 花 女 子 大 学
梅花女子大学
目 次
Ⅰ.建学の精神・大学の基本理念、使命・目的、大学の個性・特色等・・・1
Ⅱ.大学の沿革と現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
Ⅲ.「基準」ごとの自己評価
基準01. 建学の精神・大学の基本理念及び使命・目的・・・・・・・・6
基準02. 教育研究組織・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
基準03. 教育課程・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
基準04. 学生・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42
基準05. 教員・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58
基準06. 職員・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・66
基準07. 管理運営・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・71
基準08. 財務・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・75
基準09. 教育研究環境・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・82
基準10. 社会連携・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90
基準11. 社会的責務・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・96
Ⅳ.特記事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ⅰ
梅花女子大学
Ⅰ.
建学の精神・大学の基本理念、使命・目的、大学の個性・特色等
1.建学の精神・大学の基本理念
本学園の建学の精神及び教学の基本理念は、以下のとおりである。
建学の精神:
キリスト教精神に基づき、他者への愛と奉仕の精神を備える自立した女性を育成す
る。
教学の理念:
梅花学園は、キリスト教精神に基づき、人間として自分の生きる道を見出してその
道を歩む力を身につけるとともに、多様な価値観を認めて隣人と連帯する意欲を持
つ人を育てる。さらにのびやかな感性を養い、調和のとれた知性をもって社会に適
応するとともに社会に貢献する人が育つように努める。
本学の歴史は、明治 11(1878)年の梅花女学校の創立に遡ることができる。当時大阪にあ
った二つのキリスト教会である梅本町公会(現・日本キリスト教団大阪教会)と浪花公会
(現・日本キリスト教団浪花教会)がキリスト教精神に基づく女子高等教育を目的として
女学校を開設し、この二つの教会名(梅本町公会の梅と浪花公会の花)をとって校名を梅
花女学校とした。
それは、切支丹禁制令が解除されて 5 年目のことであり、社会はまだキリスト教に理解
を示さない時代であったが、キリスト教の愛を、学校を通して家庭と社会に伝え、また女
性への高等教育を通して、社会に貢献する女性の育成を意図したものであった。創立者の
澤山保羅(さわやまぽうろ)は、イエス・キリストとともに生きる愛と信仰を第一とし、
キリストに対する信仰の証として、教会員だけによって維持する自給教会として当時の浪
花公会を設立した。この同じ原理に基づき、神の愛が人間の心を変える力を持つことを確
信し、神の愛に生きる女学校として梅花女学校は開校されたのである。澤山保羅は次の様
に述べている。
「神はみ子を遣わされたほどに、世を愛し給うた。清く聖なる神が、罪にみ
ちた人間を愛し給うなれば、われらはキリストのために生きるものとして互いに相愛さね
ばならない。もし心に愛の精神をもつならば、われらは神の手にささえられる」と。更に
澤山から受洗し、草創期の梅花女学校の核となる教員であった成瀬仁蔵(日本女子大学創
立者)は、まさに梅花女学校開校式において次のように述べた。
「婦女子を培養するは愛な
る女学校を設立し、愛の種を以て婦女子なる田に蒔くにしくはなし、余輩宜しく茲に志を
注がざるべけんや」と。梅花女学校は神の愛に出会った人間たちによって「愛なる女学校」
として家庭や社会に愛を伝達・発信する場となるべく誕生したのである。
創立者たちは、女性に男性と等しい高等教育を授け、愛情豊かな人格を形成することを
意図した。自給論者である澤山保羅は、女学校を経営するに際し外国からの教育宣教師派
遣という人的援助以外の経済的援助は受けなかった。これはキリスト教主義学校としては
我が国最初のことであり、以降の歴史にも引き継がれ、更にこの経営上の原則は教育の場
においても、女性が人間として固有の価値を持つ事を教え、自立心を養い、一人ひとりが
社会の構成員である点を自覚させるために適用されたのである。
以上のように、イエス・キリストの愛により、家庭にあっては愛に生きる人間を創り出
し、社会にあっては民主主義の理念に基づく社会の実現をめざして、厳しく自立しつつ、
1
梅花女子大学
愛の精神に生きる事を願って梅花女学校は創立された。この建学の精神は、昭和 39(1964)
年に設置された梅花女子大学及び昭和 52(1977)年に設置された梅花女子大学大学院に確実
に受け継がれている。
そして、学園創立 130 周年を迎えるに当たって、学校教育をめぐる環境が激変するなか
で改めて建学の精神を見つめ直し、常に帰るべき学園の原点としての建学の精神ならびに
教学の理念が、上記のような言葉で簡潔にまとめられたのである。
2.使命・目的
本学の基本的な教学理念は学園全体の教学の理念の下にある。人間あるいは社会人とし
て「生きる道」を見出し、その道を歩む「力」を会得させ、
「隣人と連帯する意欲」を育み、
民主的な社会を構成する一員として積極的に「社会に貢献する人」を育成する、これが学
園の教学の理念である。そしてそれは、本学の基本的な教学理念ともなり、この理念を、
教育をとおして具現させることが本学の教育上の使命・目的となる。
具体的には、豊かな人間性を育成しキリスト教の愛の精神を育むものとして、1 年次の
「キリスト教学」があり、幅広い知識を涵養するものとして全学共通科目が、そしてその
知識を深め、研究能力を高めるものとして各学部学科の専門教育さらには大学院教育があ
る。これらの各教育上の役割を十分に果たし、かつ有機的に結びつけることによって、他
者への愛と奉仕の精神を備え、社会人として生きる力を身につけ、広く国際社会に貢献す
る人材を育成することを、すなわち本学の教育的使命・目的を確実に果たすことを、本学
は目指している。
これを、梅花女子大学学則第 1 条では、
「キリスト教精神に基づいて人格の形成に努め」、
「深く専門の学芸を教授研究するとともに、国際社会の発展と文化の向上に寄与する人間
性豊かな女性を育成する」と表現し、また大学院の学則第 2 条では、
「学術の理論及び応用
を教授研究し、その深奥をきわめるとともに、キリスト教精神に基づいて、高尚な人格を
涵養し、もって社会の進展と文化の向上に寄与する女性を育成する」と、端的に表現して
いる。
3.本学の個性・特色等
本学の個性・特色は、建学の精神を具体化する取組みに現れている。それは、創立者澤
山保羅が目指した、キリスト教の愛の精神を学生や社会に伝達・発信する場としての「愛
なる女学校」の使命を実践することに他ならない。その一つに、入学式・入寮式・創立記
念行事・卒業式が全てキリスト教の礼拝形式で実施されること、理事会、常務理事会、教
授会が祈祷あるいは黙祷から始まることなどがある。しかし建学の精神や使命・目的をよ
り鮮明に具体化させるものとして、教育上の実践と並び宗教部を中心とする宗教的活動が
ある。
宗教部には、宗教部長(現在は宗教主事が代行)1 人、事務職員 2 人が配属され、さら
に業務委託 1 人のオルガン奏者がいる。教授会の下にある宗教委員会の助言や協力、他部
署の教職員や学生たちの協力によって宗教部の活動は成り立ち、チャペル・アワーの開催
や諸々の宗教行事を主催している。以下にその概略を記す。
①チャペル・アワー(礼拝)
2
梅花女子大学
チャペル・アワーは澤山記念館チャペルにおいて開催される。原則的には広く参加を呼
びかけているが、主に 1 年次生が対象となる。学部単位で、授業に準じた回数を開催し、
讃美歌、聖書朗読、祈祷、そして聖書に根ざした奨励が中心となる。礼拝終了後は学生た
ちに感想カードを配付し、奨励担当者あるいは宗教主事がコメントを添えて学生にそれを
返却しているが、これにより学生との間に、実り豊かな交流と信頼関係がもたらされる。
チャペル・アワーは、学生及び教職員にとってキリスト教精神をより深く理解するととも
に、それを会得する場となっている。
②宗教活動及び行事
宗教部主催の活動・行事としては、次のものがある。
映画上映会
キリスト教や聖書に関わる映画の紹介。5 月と 11 月の年 2 回実施。
卒業記念に植樹さ
宗教部スタッフを中心に、梅の実を採取し、学内で販売。この収益とチャペル・アワ
れた梅の実の採取
ーにおける献金を、社会福祉団体等へ寄付。
学生礼拝
11 月の小梅祭(大学祭)に行われ、小梅祭実行委員が司会。学生希望者が奨励を担当。
クリスマス・コンサ
12 月第 1 週の土曜日に、澤山記念館チャペルを会場としたクリスマス・コンサート
ート及びクリスマ
を開催。有志の学生団体を中心として、学内の学生・教職員を対象とする。12 月中
ス礼拝
頃に、クリスマスツリーの点灯式と澤山記念講堂で全学クリスマス礼拝を実施。
募金と支援活動
学内におけるクリスマス募金のほか、山岳少数民族・カレン族への越冬支援、大阪市
内の路上生活者への越冬支援。
学生と各種福祉団
主な交流先は、知的障がい者施設「止揚学園」
(滋賀県)、心臓疾患児を中心とした保
体との交流
育園「パンダ園」(京都市)、児童養護施設「救世軍希望館」(茨木市)、など。
このほか、卒業礼拝の主催や建学の精神研修会の開催、また学生会館前の宗教部掲示板
への聖書の言葉の掲示、宗教部通信の発行などがあり、宗教部の活動は多岐にわたってい
る。
キリスト教精神を人間形成の土台としてこれを活かすことは本学の重要な使命の一つで
ある。学生に対してその価値を教えるだけでなく、大学という共同体のあらゆる部分に建
学の精神が生きて働き、相互の人格的影響を与え合うことが必要である。宗教活動はその
重要な役割の一翼を担い、長年にわたるその個々の活動は、本学の顕著な個性・特色にな
っていると考える。
本学が創設されて 131 年、大学を取り巻く環境は変化し年々厳しくなっている。しかし
草創期からの建学の精神と理念、使命・目的が常に本学の原点であることに変わりはない。
この事を常に念頭に置きながら、今日の新しい社会のニーズに応え得る大学像の確立に向
けて一層の努力をしていきたい。
Ⅱ.
大学の沿革と現況
1.本学の沿革
土佐堀時代(1878~1908)
明治 11(1878)年 1 月
大阪市土佐堀裏町 10 番地に、梅花女学校を開校。
北野時代(1908~1926)
明治 41(1908)年
北野(大阪府西成郡豊崎村。現在の大阪市北区豊崎 3 丁目)に新校舎完成、移転。
3
梅花女子大学
大正 2(1913)年
大正 11(1922)年
高等女学校令により梅花女学校のほかに、梅花高等女学校(修業年限 4 年)を
北野学舎に新設。翌年、入学資格を高等女学校卒業程度とする梅花女学校専門
部(修業年限 2 年)が、英文科・家政科を設けて発足。
専門学校令により梅花女学校(英文科・家政科)を梅花女子専門学校に昇格し、
大正 15(1926)年には国文科を増設。
豊中時代(1926~1964)
大正 15(1926)年
校舎を大阪府豊能郡豊中村(現在の豊中市)に移転。
昭和 25(1950)年
学制改革により、梅花高等女学校は梅花中学校・梅花高等学校へ、同時に、梅
花女子専門学校は梅花短期大学(英語科)として発足、昭和 34(1959)年には家
政科を増設。
茨木・豊中時代(1964~現在)
昭和 39(1964)年
梅花女子大学(文学部日本文学科・英米文学科)が茨木市宿久庄に開設。
昭和 50(1975)年
梅花女子大学の開設にともない廃止されていた英語科を梅花短期大学に再設置。
昭和 52(1977)年
梅花女子大学に大学院(文学研究科 日本文学専攻・英米文学専攻)を設置。
昭和 56(1981)年
梅花短期大学、茨木キャンパスに統合(家政科、豊中から移転)。
昭和 57(1982)年
梅花女子大学に児童文学科を設置。
昭和 62(1987)年
梅花短期大学に国語科を増設、またこの年、梅花女子大学に国際交流部(現:国
際交流センター)を設置。
平成 4(1992)年
梅花女子大学に大学院児童文学専攻(博士前期課程)を設置。
平成 6(1994)年
梅花女子大学に大学院児童文学専攻(博士後期課程)を設置。
平成 9(1997)年
梅花女子大学に比較文化学科と人間福祉学科の 2 学科を増設、また同じ年にキャ
リア開発センター(現:キャリア支援部)を設置。
平成 11(1999)年
梅花短期大学家政科を生活科学科と改称。
梅花女子大学に人間科学科を増設。梅花短期大学英語科を英語コミュニケーショ
平成 12(2000)年
ン学科に、国語科を日本語表現科に改称。
梅花女子大学に大学院人間福祉学専攻を設置。またこの年、生涯学習センターも
平成 13(2001)年
平成 17(2005)年
平成 16(2004)年
平成 20(2008)年
始動。
大学院は文学研究科と現代人間学研究科の 2 研究科となった。
新しい教育体系がスタートし、現代人間学部と文化表現学部の 2 学部体系となる。
梅花短期大学を梅花女子大学短期大学部に名称変更。
梅花女子大学生活環境学科を募集停止。児童文学科に幼稚園教諭免許課程を設置。
2.本学の現況(平成 21(2009)年 5 月 1 日現在)
〔大学名〕梅花女子大学
〔所在地〕大阪府茨木市宿久庄 2 丁目 19 番 5 号
〔学部構成〕現代人間学部(人間福祉学科、心理学科、生活環境学科)
文化表現学科(国際英語学科、児童文学科、日本文化創造学科、情報メディ
ア学科)
大学院現代人間学研究科(人間福祉学専攻、心理臨床学専攻)
大学院文学研究科(日本語日本文学専攻、英語英米文学専攻、児童文学専攻)
4
梅花女子大学
〔学士課程〕<学生数>
・学部
学部
現代人間学部
学科・専攻
1 年次
2 年次
3 年次
4 年次
人間福祉学科・社会福祉専攻
9
13
18
36
人間福祉学科・保育福祉専攻
28
20
25
52
人間福祉学科・介護福祉専攻
7
13
16
39
心理学科
42
41
65
75
生活環境学科
-
-
28
23
86
87
152
225
国際英語学科
27
28
35
45
児童文学科
33
30
56
60
日本文化創造学科
36
44
74
80
情報メディア学科
34
46
40
53
130
148
205
238
216
235
357
464
2 年次
3 年次
4 年次
-
-
学部小計
文化表現学部
学部小計
合
計
・大学院
研究科
専攻(課程)
1 年次
現代人間学
人間福祉学科専攻
1
研究科
心理臨床学専攻
8
9
-
-
9
9
-
-
日本語日本文学専攻
3
4
-
-
英語英米文学専攻
2
-
-
児童文学専攻(博士前期課程)
4
1
1
1*
児童文学専攻(博士後期課程)
1
1
-
-
10
6
1
1
19
15
1
1
研究科小計
文学研究科
研究科小計
合
計
*長期履修コース(4 年制コース)
<教員数>
学部
学科
現代人間学部
教
授
准教授
講
師
助
9
9
3
1
22
心理学科
5
3
3
-
11
14
12
6
1
33
国際英語学科
6
2
-
-
8
児童文学科
8
-
2
-
10
日本文化創造学科
9
1
-
-
10
情報メディア学科
6
1
2
-
9
29
4
4
-
37
文化表現学部
学部小計
<職員数>
臨時雇用者
嘱託職員
47
合計
人間福祉学科
学部小計
専任職員
教
9
派遣職員
32
5
合計
6
94
梅花女子大学
Ⅲ.
「基準」ごとの自己評価
基準1. 建学の精神・大学の基本理念及び使命・目的
1-1.建学の精神・大学の基本理念が学内外に示されていること。
≪1-1の視点≫
1-1-① 建学の精神・大学の基本理念が学内外に示されているか。
(1)1-1の事実の説明(現状)
本学はキリスト教精神に基づき、他者への愛と奉仕の精神を備える自立した女性を育成
することを建学の精神としている。創立 120 周年に向けて、平成 8(1996)年、本学園創立
者澤山保羅の愛誦聖句「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしな
さい」(マタイによる福音書 7 章 12 節)をスクールモットーに定めた。このスクールモッ
トーは、建学の精神を象徴しており、本学の学生及び教職員が日常生活の指針とすべきも
のである。
この建学の精神及びスクールモットーは、学外に対しては、大学案内をはじめ、ホーム
ページなどの冒頭に記載し、何らかの説明を付している。さらに本学の生涯学習センター
が実施している「公開講座」や「出前講義」などのパンフレットなどにも、創立者及び建
学の精神に関するメッセージを記載している。
学内に対しては、入学式・卒業式や創立記念礼拝式等の式典で、学長はじめ宗教部長等
が建学の精神を繰り返し説き、プログラムには必ずこのスクールモットーを創立者の愛誦
聖句として記載している。また入学時に配布する『大学(院)要覧』、年度始めに配布する『授
業時間割表』にも記載し、チャペル(礼拝堂)、校舎内の主要な箇所及び教室等にも掲示し
ている。校庭には、学内外者の目にとまるように石碑が置かれている。
(2)1-1の自己評価
建学の精神は何か、また本学がどのような女性の育成を目指しているかは、上記のよう
な取組みにより、学内に十分に理解され、学外にも周知され理解が得られているものと考
える。ただ、説明文によっては表現の統一感に欠けるところがあり、より正確な表現が求
められる。
(3)1-1の改善・向上方策(将来計画)
本年度は、ホームページ委員会を中心に、次年度に向けたホームページの大幅な改訂を
準備し、これに合わせて建学の精神などの表現を見直し、的確な学内外への周知を図る。
その他の説明文も表現の統一を図り、より適切な理解が得られるように努める。
1-2.大学の使命・目的が明確に定められ、かつ学内外に周知されていること。
≪1-2の視点≫
1-2-① 建学の精神・大学の基本理念を踏まえた、大学の使命・目的が明確に定められ
ているか。
1-2-② 大学の使命・目的が学生及び教職員に周知されているか。
1-2-③ 大学の使命・目的が学外に公表されているか。
6
梅花女子大学
(1)1-2の事実の説明(現状)
本学は建学の精神に基づき、人間として「自分の生きる道を見出してその道を歩む力」
を会得させ、「隣人と連帯する意欲」を育み、「社会に貢献する人」を育成することを教学
の理念としている。つまり、キリスト教精神に基づく<他者への愛>と<奉仕の精神>を
備え、<自立した女性>を育成することが本学の使命であり教育目的である。これは本学
の根幹に関わることだけに、大学案内、『大学(院)要覧』をはじめ、ホームページなどの冒
頭に必ず掲げるようにしている。またこの使命・目的は、Ⅰの「2.使命・目的」で述べた
ように、大学学則第 1 章第 1 条及び大学院学則第 1 章第 2 条において明確に定められてい
る。
また、この本学の使命・目的を学生及び教職員に周知するということは、建学の精神や
スクールモットーの周知を図ることであり、これに関する取組みは、基準1-1の「事実
の説明」において述べたとおりである。また本学が目指す教育的使命や目的を端的に示す
学則の条文は、建学の精神やスクールモットーとともに、入学時に学生に配付する『大学(院)
要覧』に明記され、周知に努めている。同時に教職員にも、この『大学(院)要覧』は年度ご
とに配付されている。
さらに、本学の建学の精神や使命・目的を学生に周知する独自の教育的取組みとして、1
年次全員に「キリスト教学」
(4 単位)を必修科目として履修させ、キリスト教の歴史や思
想、倫理をはじめ、イエス・キリストの生涯とその教えと祈り、創立者澤山保羅がこれを
どのように理解し、本学を建学したのかなどを学ばせている。その学びは、チャペル・ア
ワー(礼拝)やクリスマス礼拝における学内外講師の説教や奨励などを通して日常生活の
中で再認識され、学生のキリスト教への関心が一層深まるように配慮している。また今年
度からスタートした、初年次教育とキャリア教育の基礎を兼ねた本学独自の科目「BAIKA
セミナー」
(1 年必修科目)の教科書の表紙裏にも、建学の精神に始まり、教学の理念やス
クールモットーまでを記載し、これが本学の建学の精神・教育目標を具現化する科目の一
つであることを明示している。
教職員に対しては、新任オリエンテーションで学園長が建学の精神や教育理念について
説明をするほか、平成 20(2008)年度には創立 130 周年を記念して、建学の精神に関する研
修会(教員対象 3 回、職員対象 2 回)を実施した(【資料 1­5】)。
学外に関しては、既述したように、本学のホームページをはじめ大学案内、公開講座・
出前講義のパンフレットなどに建学の精神や大学の使命・目的に関わる文章を掲載して、
本学が果たすべき役割を学外に広く公表している。
(2)1-2の自己評価
本学の建学の精神やスクールモットーは学内外に明示され、周知されている。従って、
その精神に基づく大学の使命・目的も明確にされ、周知されていると考える。またホーム
ページや大学案内、『大学(院)要覧』での冒頭に必ず掲載することで、それらが、本学が拠
って立つ原点であることをも明らかにしている。さらに、今年度から、このスクールモッ
トーの英語版の最初の言葉〈Do for others〉を本学のキャッチフレーズとして採用し、名
刺等に刷り込む取組みを始めた。
ただ、学則に明記された教育的使命や目的は、端的に記すことが求められているので具
7
梅花女子大学
体性に欠けている。これらは今の時代を反映する言葉に翻訳また適宜解釈し、より具体的
に分かりやすくする必要がある。さらには、この大学の使命及び目的が、たとえば全学共
通科目や専門科目のカリキュラム、各教員の授業などに、どのように活かされているか、
その精神を学生や教職員がどこまで深く理解し、学生生活や日頃の業務に具現させている
かという点においては、常に検証をする必要がある。
また、キリスト教精神の理解を深め、豊かな人間性を育む行事として、毎週実施してい
るチャペル・アワーがあり、1年次生を中心に全学生に参加を呼びかけている。その際に、
上級生が時間割上の制約を受けていることは解決すべき課題である。
(3)1-2の改善・向上方策(将来計画)
本年度は学園創立 131 周年という節目の年を迎えたこともあり、本学の教育的使命や
目的をより分かりやすく、具体的なものに改めた。学園の定める教学理念を、〈自立〉
〈他者への愛〉
〈社会貢献〉というキーワードの下に捉え直し、教育目的及び使命を学
部は 3 項目、大学院は 2 項目に整理し、以下のようにまとめた(【資料 4­1】)
(図表 1­2­1)【教育目標】
学
◎主体性を養い、創造力および課題発見・解決能力を身につけて、みずから生きる道を見出し、しな
やかな心を持って歩んでいく女性を育成する。
部
◎多様な価値観を認めて、隣人とコミュニケーションを深め、連携していく女性を育成する。
◎のびやかな感性を養い、調和のとれた知性をもって国際社会の発展と文化の向上に貢献していく女
性を育成する。
院学大
◎広い視野に立つ精細な学識を涵養し、創造性豊かな研究能力、実践的な高度の知識や技術、そして
深い人間性を身につけた確かな教育・研究者および専門的職業人を育成する。
◎高尚な人格と高度な専門的知識や能力をもって、国際社会の発展と文化の向上に貢献していく人材
を育成する。
さらに、この教育目的の下にそれぞれの学びが位置づけられるように、アドミッション
ポリシーを明確に定めた(【資料4­1】、基準4-1に詳述)。今後は、これらのアドミッシ
ョンポリシーが、カリキュラムや授業等においてどのように実践されているかを常に検証
する必要がある。部長会等で検討を進める。
平成20(2008)年に実施した研修会は、教職員が建学の精神の理解を一層深め、教育や学
生支援の面に具現させる方策を考える上で良い機会であった。これを今後も継続していく。
また学生に関しては、上級生のチャペル・アワーの参加を保証できる時間割等の工夫につ
いて宗教委員会及び教務委員会等で検討を進め、今年度中に解決を図る。
〔基準1の自己評価〕
本学における建学の精神及び果たすべき使命・目的については、その基本的な考えはさ
まざまな媒体(本学ホームページ、大学案内、『大学(院)要覧』など)を通して公開し、ま
た学生に対しては入学式や卒業式、キリスト教学、チャペル・アワーなどを通してそれら
の説明を繰り返し行っている。従って、学内外における周知は基本的にはなされていると
考える。ただそれは、あくまでも基本的な理解に留まっている。それらが本学の教育に具
体的にどのように活かされているのかという点においては、曖昧な面がある。
8
梅花女子大学
〔基準1の改善・向上方策〕
本学が掲げる建学の精神、果たすべき使命や目的を十分に具体化しているか、特に、教育
面を中心にして再度検証し、それを特化したわかりやすくかたちで学内外に発信する努力
をする。各学科会議、さらには部長会等で議論を進める。
9
梅花女子大学
基準2.教育研究組織
2-1.教育研究の基本的組織(学部、学科、研究科、附属機関等)が、大学の使命・目
的を達成するための組織として適切に構成され、かつ、各組織相互の適切な関連性が保た
れていること。
《2-1の視点》
2-1-① 教育研究上の目的を達成するために必要な学部、学科、研究科、附属機関等の教
育研究組織が、適切な規模、構成を有しているか。
2-1-② 教育研究の基本的な組織(学部、学科、研究科、付属機関等)が、教育研究上の
目的に照らして、それぞれ相互に適切な関連性を保っているか。
(1)2-1の事実の説明(現状)
本学は「建学の精神・大学の基本理念」に基づき、学則第 1 章第 1 条第 1 項に「本学は、
キリスト教精神に基づいて人格の形成に努め、教育基本法及び学校教育法に従い、深く専
門の学芸を教授研究するとともに、国際社会の発展と文化の向上に寄与する人間性豊かな
女性を育成することを目的とする」、大学院学則第 2 条に「学術の理論及び応用を教授研究
し、その深奥をきわめるとともに、キリスト教精神に基づいて、高尚な人格を涵養し、も
って社会の進展と文化の向上に寄与する女性を育成することを目的とする」という教育目
標を具体化する条文を掲げており、その実現のために、学部・学科、研究科、付属機関等
の教育研究組織を、次のように構成している。
(図表 2­1­1)梅花女子大学の基本組織図
社会福祉専攻
人間福祉学科
保育福祉専攻
介護福祉専攻
現代人間学部
心理学科
梅
生活環境学科(募集停止)
児童文学科
文化表現学部
日本文化創造学科
大
子
女
花
国際英語学科
学
情報メディア学科
日本語日本文学専攻(修士課程)
大学院
英語英米文学専攻(修士課程)
文学研究科
児童文学専攻(博士課程)
大学院
現代人間学研究科
人間福祉学専攻(修士課程)
心理臨床学専攻(修士課程)
心理・教育
相談センター
10
梅花女子大学
学部構成
本学は、平成 15(2003)年度まで文学部のみの学部構成であったが、それまで培ってきた
教育の伝統を活かしながら、新しい時代に建学の精神を具現化していく社会的使命を改め
て検討し、学部改組を行った。平成 16(2004)年 4 月に、時代に対応して自立的に生き、国
際社会の発展と文化の向上に寄与する人間性豊かな女性の育成を目指した革新的教育体系
を構築すべく 2 学部構成へと再編した。すなわち、自然の中での人間存在そのものに対す
る視点を持って学ぶ現代人間学部と、人間が営々と築き上げてきた文化に対する視点を持
って学ぶ文化表現学部の 2 学部をスタートさせたのである。なお、下表にあるように、平
成 21(2009)年 5 月 1 日現在、以前の文学部の学生が 1 人在籍している。
(図表 2­1­2)学部学科の入学定員数及び在籍数
学部
現代人間学部
学科
入学定員
編入学定員
収容定員
在籍学生数
人間福祉学科
150
―
600
276
(社会福祉専攻)
(50)
―
(200)
(76)
(保育福祉専攻)
(70)
―
(280)
(125)
(介護福祉専攻)
(30)
―
(120)
(75)
心理学科
70
10
300
223
140
51(注
60
10
(募集停止)
(募集停止)
220
10
1,040
550
国際英語学科
70
10
300
135
児童文学科
70
10
300
179
日本文化創造学科
70
10
300
234
情報メディア学科
70
10
300
173
計
280
40
1,200
721
文学部
―
―
―
総計
500
50
2,100
生活環境学科
計
文化表現学部
1(注
1)
2)
1,272
(注 1)平成 21(2009)年度時点、3・4 年次生が在籍。
(注 2)文学部人間福祉学科に在籍者 1 人。
【現代人間学部】
現代人間学部は、平成 16(2004)年 4 月以前の文学部時代に設置されていた人間福祉学
科・人間科学科(心理コース・健康環境コース)で培ってきた教育分野を基盤に、新しい
時代において建学の精神を具現化していく社会的使命を果たすべく、人間福祉学科・心理
学科・生活環境学科の 3 学科体制でスタートした。その後、平成 20(2008)年度入学生から、
生活環境学科の募集停止を経て、現在は 2 学科体制の組織となっている。上表にあるよう
に学部入学定員は 220 人、生活環境学科も含めた収容定員 1,040 人(編入学定員を含む)
の規模で、それぞれ大学設置基準数を満たす教員を配置している。
人間福祉学科は、それまでの社会福祉分野中心だった文学部人間福祉学科を基盤として、
社会福祉専攻・保育福祉専攻・介護福祉専攻の 3 専攻から構成されており、保育福祉専攻
には「保育士養成課程」を、介護福祉専攻には「介護福祉士養成課程」を設置している。
11
梅花女子大学
この体制により、これからの複雑化する福祉や保育の分野での社会的養成に応えるため
に、ソーシャルワークとケアワークの両方の高度な知識と技術を身につけた女性を育成し
ている。
心理学科は、文学部人間科学科の心理学コースの教育内容を充実し、一つの学科として
組織した。臨床心理、発達心理、社会心理、情報心理の分野を設け、人の心の専門家とし
ての臨床心理士の養成を目指している。
生活環境学科は、文学部人間科学科の健康・環境コースの教育内容を基盤に住居・イン
テリアの教育内容を合わせて再編した。人間生活のあらゆる活動の原点である健康・環境・
住居に関する諸問題について考察し、人間環境を永続させることの意義と重要性を深く理
解し、環境保全型の持続的地域社会の実現に貢献できる実践的な女性を育成している。
【文化表現学部】
文化表現学部は、既存の文学部の日本文学科・英米文学科・比較文化学科を基礎に再編
し、国際英語学科と日本文化創造学科を設置し、同じく既存の文学部人間科学科の情報文
化コースの教育内容を基盤に充実発展させて情報メディア学科を設置し、また既存の文学
部児童文学科の教育内容も充実発展させて新たな文化表現学部児童文学科として設置し、4
学科で構成している。本学部は、単に教養や知識のみを身につけるのではなく、主体的に
文化を受容して探求し、そこから得られた自分なりの新たな価値を、さまざまな手段と方
法を用いて表現・発信できる自立した女性の育成を目的としている。(図表 2­1­2)にあるよ
うに学部入学定員は 280 人、収容定員 1,200 人(編入学定員を含む)の規模で、基準5-
1に述べるように、それぞれ大学設置基準数を満たす教員を配置している。
国際英語学科は既存の文学部にあった英米文学科と比較文化学科を再編し、従来の文学
研究重視の教育課程を語学と文化重視の教育課程に改め、外国人教員を柱にした教員組織
を編成した。英語の重要性や文化的意味を捉え、現代の国際文化社会に即応できる英語力
を身につけた女性を育成している。
児童文学科は、既存の文学部児童文学科を再編した。従来の児童文学科は、児童文学を
体系的・総合的に教育する日本で唯一の学科であり、国内外の児童文学作品研究や絵本・
童話の創作を行っていた。新たな児童文学科では、知識の習得だけではなくより豊かに「表
現」していくという文化表現学部の基本理念の下に、従来からあった絵本・童話創作の分
野を充実させ、児童文学を深く理解し、さらには創作・表現する可能性を持った女性を育
成している。
日本文化創造学科は、既存の文学部にあった日本文学科と比較文化学科を再編し、従来
の日本文学・日本語学の教育分野に、日本文化・アジア文化の教育分野を加え、総合的に
日本文化を捉えることを目標としている。さらに、書道作品や文学作品の創作や表現が可
能なカリキュラムを編成し、よき伝統を知識として学ぶだけでなく、自らが主体的に考え
て表現・発信できる女性を育成している。
情報メディア学科は、既存の文学部人間科学科の情報文化コースの教育内容をさらに充
実し、一つの学科として組織した。インターネットに代表される双方向メディアに柔軟に
対応する能力を身につけ、情報文化社会のさまざまな可能性を拓いていける感性豊かな女
性を育成している。
12
梅花女子大学
研究科構成
本学の修士(児童文学専攻は「博士前期」)課程は、まず、昭和 52(1977)年に文学研究
科を日本文学専攻・英米文学専攻の 2 専攻で設置し、その後、大学の学科拡充を受けて、
平成 4(1992)年に児童文学専攻、平成 13(2001)年に人間福祉学専攻、平成 16(2004)年に心
理臨床学専攻を相次いで設置した。そして、平成 16(2004)年度に行った大学の現代人間学
部と文化表現学部の 2 学部構成への再編にともない、平成 17(2005)年 4 月から、それまで
の文学研究科のみの構成から、文学研究科と、現代人間学研究科(人間福祉学、心理臨床
学の 2 専攻)との 2 研究科構成へと再編した。なお、文学研究科・児童文学専攻について
は、博士前期課程・博士後期課程を設置している。
(図表 2­1­3)研究科の入学定員及び在籍学生数の表
入学定員
研究科
文学
研究科
修士(博
専攻
士前期)
在籍者数
修士(博
博士後期
士前期)
修士(博
博士後期
士前期)
博士後期
課程
課程
課程
日本語日本文学専攻
5
10
7
英語英文学専攻
5
10
2
児童文学専攻
5
2
10
6
7
2
15
2
30
6
16
2
計
現代
収容定員
人間福祉学専攻
8
16
1
心理臨床学専攻
8
16
17
16
32
18
人間学
研究科
計
総計
31
2
62
6
34
2
【文学研究科】
文学研究科は日本語日本文学、英語英米文学、児童文学、の 3 専攻で構成している。研
究科の入学定員は、修士(博士課前期)課程 15 人、博士後期課程 2 人、収容定員はそれぞ
れ 30 人、6 人の規模である。
日本語日本文学専攻は、日本文化の中枢を担う、日本語と日本文学の根本的及び先駆的
な教授・研究の推進を通して、広い視野に立つ精細な学識を涵養し、高度の専門的能力と
深い人間性を身につけ国際社会にも貢献できる優れた人材を育成する。
英語英米文学専攻は、英語学・英文学・米文学の 3 分野を中心に、英米の文化全般及び
比較言語や英語教育にわたって、国際化の時代に求められる高度な教養と見識を備えた人
材を養成する。
児童文学専攻は、伝承児童文学、近代以前日本児童文学、日本児童文学、外国児童文学
(英・独・仏語圏)の各分野にわたって深い学識を涵養し、高度な専門的研究能力を身に
つけ、独自の主題による研究を構築して日本の児童文学研究を牽引しうる人材を育成する。
【現代人間学研究科】
現代人間学研究科は、人間福祉学、心理臨床学の 2 専攻で構成している。研究科の入
13
梅花女子大学
学定員は、修士課程 16 人、収容定員は 32 人の規模である。
人間福祉学専攻は、社会福祉の科学的専門的研究の深化を追究するとともに、全人的な
人間理解、生活・社会・環境の理解などのバランスがとれた専門的力量を備えた専門的職
業人及び教育・研究者を育成する。
心理臨床学専攻は、総合的な人間理解の上に立って、心理学の専門的研究を行うととも
に、認知・発達的知見をしっかり修得し、臨床の高度な専門的知識と技能、及び研究態度
を身につけた人材を育成する。
付属機関
学部・大学院の付属機関としては、梅花女子大学大学院学則第 55 条に基づき、大学院現
代人間学研究科臨床心理学専攻生の研究指導施設として、梅花女子大学大学院心理・教育
相談センターを設置している。当センターは、梅花学園豊中学舎に平成 15(2003)年度に開
設され、乳幼児から成人まで、さまざまな人々の心の悩みや心理的問題についての相談に
応じている。また、平成 20(2008)年度からは、梅花学園茨木学舎の梅花女子大学キャンパ
ス内に、当センターの茨木分室(こども専門)も開設し、 中学生以下のこどもと保護者の
心理的問題についての相談に応じている。
(2)2-1の自己評価
3 学部 8 学科(文学部人間福祉学科及び現代人間学部生活環境学科を含む)、2 研究科 5
専攻で構成している教育研究組織は、本学学則第 1 条の「本学は、キリスト教精神に基づ
いて人格の形成に努め、教育基本法及び学校教育法に従い、深く専門の学芸を教授研究す
るとともに、国際社会の発展と文化の向上に寄与する人間性豊かな女性を育成することを
目的とする」という教育目標を達成するため、それぞれの学部・学科、大学院研究科など
が適切な規模や構成で配置されており、相互に十分な関連性を保っている。
しかし、教育目標を理念的に追求して構成した学部・学科は、(図表 2­1­2)で示した在籍
者数に明らかなように、受験生に対して十分には受け入れられていない。過去 3 年間の本
学の入学定員充足率は平均して 5 割を下回っており、この数値からも、本学の教育内容が、
今日の社会あるいは高校生のニーズに応えられていないことは明白である。急速に変化し
つつある社会情勢を見きわめた、学部・学科構成の再検討をできるだけ早急に行わなけれ
ばならない。
(3)2-1の改善・向上方策(将来計画)
本学では、平成 22(2010)年度入学者選抜試験から、現代人間学部を募集停止とし、組織
改編を行う。この変革に際しては、本学の教育目標、
「国際社会の発展と文化の向上に寄与
する人間性豊かな女性を育成すること」を、現状の急速な社会変化に対応して具現化する
ために、「幅広い知識と豊かな人格を備え、どんな困難にもくじけることのないしなやか
な心をもち、社会に積極的に貢献するたくましい女性を育成すること」と捉え、それを改
組のコンセプトとして、新学部・新学科の設置を行う予定である。新たに設置するのは、(図
表 2­1­4)に示したように、看護学部看護学科と心理こども学部こども学科・心理学科であ
る。
14
梅花女子大学
看護学部は、本学の建学の精神に相応しい、幅広い視点と深い人間理解に基づく看護が
展開できる人材、患者の心を自分の心とできるいわば「愛なる人」とも呼べるような看護
士の育成を目指す。
心理こども学部は、現代人間学部人間福祉学科保育福祉専攻、心理学科、文化表現学部
児童文学科の学びを発展的に統合させて展開する学部である。こどもの成長に関する深い
理解を持ち、こどもが持つ自然に成長する「力」を見出し、その心を豊かに育み、その成
長に深く関わることのできる能力を備えた女性の育成を目指す。
(以上、新学部・新学科の詳細については「Ⅳ 特記事項」を参照。)
学 大 子 女 花 梅
(図表 2­1­4)平成 22(2010)年度以降の学部・学科組織図
看護学部 ※1
看護学科
こども学科
心理こども学部 ※2
心理学科
国際英語学科
日本文化創造学科
文化表現学部
情報メディア学科
※1平成 21(2009)年 6 月 1 日現在、設置認可申請中
※2平成 21(2009)年 6 月 1 日現在、設置構想中(設置届出予定)
2-2.人間形成のための教養教育が十分出来るような組織上の措置がとられていること。
《2-2の視点》
2-2-① 教養教育が十分出来るような組織上の措置がとられているか。
2-2-② 教養教育の運営上の責任体制が確立されているか。
(1)事実の説明(現状)
本学の教養教育は、全学共通科目として位置づけられた科目群を中心に、基準3に挙げ
るカリキュラムに基づいて行われている。旧体制の文学部では、一般教育科の発展的学科
であった人間科学科が教養教育のカリキュラム作成から運営までを担っていた。しかし、
平成 16(2004)年の改組後の新体制では、基準2-3でふれる専門委員会の一つである共通
科目委員会が、全学共通科目による教養教育を運営している。学則別表にも示しているよ
うに、平成 21(2009)年 5 月現在、本学の全学共通科目は、キリスト教科目・基礎スポーツ
科目・情報科目・教養科目・外国語科目の五つの科目群からなっている。
共通科目委員会の本学の教学体制における組織的な位置づけについては後述するが、そ
の委員構成は、本学における教養教育科目として配置されている全学共通科目のそれぞれ
の科目にほぼ対応するかたちでなされている。
構成員は、教務部長、各学部 2 人、外国語担当 1 人からなり、委員会内で、基礎スポー
ツ科目担当、情報科目担当・キリスト教科目及び教養科目担当、外国語科目担当の役割分
担制を敷き、それぞれの科目運営にあたっている。そして、この共通科目委員会の委員長
が、共通科目担当教務委員として全学の教務委員会の構成メンバーとなり、全学における
15
梅花女子大学
教養教育の組織上の運営責任者として機能している。
共通科目委員会の主な職務としては、カリキュラム改訂時における全学共通科目カリキ
ュラムの素案作成、年度ごとの全学共通科目の開講計画作成の二つが挙げられ、とくにカ
リキュラムの素案作成という点において、共通科目委員会が本学の教養教育運営に大きな
責任を担っている。
本学における教養教育の具体的な運営が共通科目委員会で行われていることは上述した
とおりだが、組織における運営上の責任体制については、以下の 3 点において全学的視点
から述べることが出来る。
①
全学共通科目のカリキュラム作成
共通科目委員会
素案作成
カリキュラム検討委員会で
合同学部教授会
の検討を経て、教授会へ提案
審議・決定
教養教育のカリキュラム作成面においては、共通科目委員会が作成するのは素案までで
あり、委員会自体はその決定権を有していない。カリキュラム決定に至るまでには、全学
的に組織されているカリキュラム検討委員会での審議・検討を経て、合同学部教授会を通
過しなければならない。その意味において、本学の教養教育の内容について、その実質的
な責任を負っているのはカリキュラム検討委員会である。
カリキュラム検討委員会は、学長諮問の委員会であり、カリキュラム改訂時に組織され
てきたもので、平成 21(2009)年 5 月 1 日現在で組織されている委員会構成員は、学長補佐、
短期大学部長、現代人間学部長、文化表現学部長、教務部長、共通科目委員長、教務部 GM
(グループマネージャー)である。
構成員は、教学面・事務運営面の双方にわたり、全学の教育組織全体の意見が汲み上げ
られる体制になっている。とくに全学共通科目つまり教養教育のカリキュラム内容につい
ては、この委員会において共通科目委員会からあがってくるカリキュラム案の検討・決定
を行っている。
②教養教育の実施面
全学共通科目の開講に関する事柄については、全学教務委員会がその責任を負っている。
共通科目委員会によって作成された開講計画は、全学教務委員会での審議・承認を経ては
じめて実施される仕組みとなっている。
③全学共通科目担当の教員人事
・共通科目委員会の要請を受
けて学長発議による公募
・共通科目委員会から、候補
者を部長会へ推薦
部長会における
人事審査
学長発議による
合同学部教授会
での審議・決定
教養教育に携わる教員人事については、部長会がその責任を負っている。たとえば、全
学共通科目において非常勤人事を行う場合は、まず、共通科目委員会の要請を受けて学長
が発議し、合同学部教授会において担当者の公募を行う。共通科目委員会が応募者の中か
ら候補者を絞り込んで部長会に推薦する。部長会では、その候補者の履歴書・業績表によ
って人事審査を行って候補者として決定し、合同学部教授会において審議されるという手
続きとなる。以上が本学における教養教育の運営上の責任体制ということになる。
16
梅花女子大学
(2)2-2の自己評価
教養教育が十分できるような組織上の措置という点では、まずカリキュラムの素案作成
という面において、全学から委員が選ばれていることと委員会内での役割分担制によって、
人間形成のための教養教育が分野等による偏りなくバランスよく行われている。
また毎年度の全学共通科目の開講手続きの面においても、共通科目委員会と教務委員会
との連携において、全学的な責任体制が敷かれている。
しかし、キリスト教科目という、本学の人間形成のための基幹科目については、現行の
共通科目委員会の体制では十分に運営できていない。直接的にキリスト教科目担当委員が
構成員となれば、共通科目委員会が本学における教養教育を支える組織として十分に機能
するはずである。また、本学では、全学体制による全学共通科目の企画・実施を、共通科
目委員会が中心となって行っているが、共通科目委員の職務内容の専門化から、2 年ごと
の委員の改選が空洞化し、一部のメンバーが固定化している点も問題点として指摘できる。
次に、全学共通科目担当の非常勤教員人事の面においても、学長、共通科目委員会、部
長会との連携は、少々煩瑣ながらも現状では問題なく機能している。だが、緊急を要する
非常勤人事を進める際などには、現状の学長・共通科目委員会・部長会という三者がお互
いに連絡を取り合わなくてはならない連携関係の煩雑さは改善の余地があると考えている。
(3)2-2の改善・向上方策(将来計画)
教養教育が十分できるような組織上の措置という点において、上記の自己評価に指摘し
た問題点の改善を図るためにまず取組まなくてはならない課題は、共通科目委員会の構成
員に、本学の基幹科目である「キリスト教学」担当教員を加えることである。この点に関
しては、今年度中に「専門委員会規程」の共通科目委員会の項を変更し、構成員の内訳を
改善する予定である。
また、共通科目委員の固定化や、人事面での煩雑さについては、他大学などに見られる
全学共通科目センターのような組織の立ち上げが考えられる。そこに専属教員を配置すれ
ば、教養教育の運営を専門に担当することができ、教養教育の運営をより充実させること
が可能である。さらにはそのような組織であれば、非常勤人事の手続きなども簡素化でき
る。全学共通科目センターに関しては、本学全体の組織作りの問題であるから、まずは共
通科目委員会で、そのような組織作りをすることの意義や現実面での必要性を検討してい
く予定である。
2-3.教育方針等を形成する組織と意思決定機関が、大学の使命・目的及び学習者の要求
に対応できるよう整備され、十分に機能していること。
《2-3の視点》
2-3-① 教育研究に関わる学内意思決定機関の組織が適切に整備されているか。
2-3-② 教育研究に関わる学内意思決定機関の組織が大学の使命・目的及び学習者の要
求に対応できるよう十分に機能しているか。
(1)事実の説明(現状)
本学の基本的な教育研究組織の概略と、組織構成の理念については基準2-1に述べた
ので、本項目では、それぞれの組織が相互関連性を保つことによって本学の教育研究目標
17
梅花女子大学
を達成するために活動している各種会議体について述べる。
(図表 2­3­1)会議体の組織図
部
長
会
各学科会
文化表現学部教授会
各学科会
教
学
現代人間学部教授会
会
授
長
学
全
合同学部教授会
(文学部教授会)
専
門
委
員
会
大学協議会
まず本学では、梅花学園内に併設されている梅花女子大学短期大学部と本学を一つの大
学組織として機能的かつ適正に運営するため、「大学組織運営規程」(【資料 2­5】)を定め
ており、これを根拠規程として、教育研究に関わる意思決定機関として、部長会、大学協
議会、全学教授会、学部教授会、学科会議、専門委員会の会議体を置き、それぞれが相互
関連性を保ちつつ機能している。
(以下、本項目では「大学」と称した場合は梅花女子大学及び梅花女子大学短期大学部
を一括していい、「本学」と称した場合は梅花女子大学をいう)
部長会は、大学運営に関わる基本的な事項を審議し、決定する機関であり、根拠規程は
前出の「大学組織運営規程」第 4 条である。構成員は、学長、学長補佐、現代人間学部長、
文化表現学部長、短期大学部長、入試広報部長、学生部長、教務部長、宗教部長、図書館
情報センター長、及び学園本部の総務部長である。
部長会は、「部長会運営規程」(【資料 2­5】)に基づき、大学の機構、組織ならびに制度
に関する事項や、教学上の基本方針及び教育研究環境に関する事項などの決定権を有して
おり、本学運営の執行部として機能している。
大学協議会は、その名称のとおり、併設されている梅花女子大学短期大学部と本学とに
またがる諸問題について協議する会議体として位置づけられている。根拠規程は「大学組
織運営規程」第 5 条であり、構成員は、上記部長会メンバーに、各学部の学部教授会及び
短期大学部教授会から選出された教員 6 人と事務職員から選出された職員 3 人である。
全学教授会は、梅花女子大学と梅花女子大学短期大学部にわたる教学運営に関する事項
について審議する。根拠規程は「大学組織運営規程」第 6 条である。構成員は、学長及び
専任の教授、准教授、講師、助教であり、別に定めた「全学教授会運営規程」
(【資料 2­5】)
に基づき、年度初めと終わりに開催され、名誉教授の選任などを審議している。
学部教授会は、本学の教学運営に関する事項について審議する。根拠規程は「大学組織
運営規程」第 7 条ならびに梅花女子大学学則(【資料 F­3】)第 46 条である。構成員はそれ
ぞれの学部に所属する専任の教授、准教授、講師、助教である。
18
梅花女子大学
本学の学部教授会には、平成 16(2004)年の改組以前の文学部教授会、それ以降の現代人
間学部教授会と文化表現学部教授会の三つがある。学部教授会は、旧体制の文学部の事案
も扱わなくてはならないために、基本的には 3 学部合同で開催されており、最初に 3 学部
に共通する事案の報告・審議を行ったのち、現代人間学部と文化表現学部、あるいは文学
部のいずれかが会議室を移動することにより、それぞれ単独の学部教授会を行っている。
単独の学部教授会で審議する事案は、それぞれの学部における人事案件となっている。
本学では、
「梅花女子大学合同学部教授会規程」を設け、上記の 3 学部合同の教授会を「合
同学部教授会」と称し、教学(教育・研究)面での問題については、基本的に合同学部教
授会で審議している。
以上が、教授会に関する現状説明であり、この下部に学科会議を位置づけている。学科
会議の開催は「大学組織運営規程」第 16 条第 3 項に定めているように、各学科長に委ねら
れており、学科における具体的な教学事案を審議・決定している。
もっとも学生に近い立場での会議体であり、学生の出席状況の把握や情報の共有なども
行っている。学科会議の大きな事案としては、学科所属の教員の採用人事の発議と候補者
の決定(この点については、基準5-2を参照)、学科専門科目カリキュラムの素案作成の
二つがある。とくに、学科専門科目のカリキュラム素案の作成においては、実際に授業を
行っている担当教員の立場から学生の要望を反映するように配慮している。
この他に、全学教授会の下に専門委員会を置き、(図表 2­3­2)にあげた 13 委員会がある。
専門委員会の根拠規程は、「全学教授会運営規程」第 8 条に基づき定められた、「専門委
員会規程」(【資料 2­5】)に拠る。各委員会の主な業務と構成メンバーは、次のとおりであ
る。
(図表 2­3­2)専門委員会の概要
名称
学則
入試運営
学生
学寮
教務
教職課程
国際交流
生涯学習
主な業務
(1)教授会から委嘱を受けた諸規則の制定及び
改正のための原案起草に関する事項
(2)学内諸規則とその運営に必要な改正事項
(1)学生募集に関する事項
(2)入学試験の大綱立案及び実施運営に関する
事項
(1)学生生活に関する事項
(2)学籍異動に関する事項
(1)学生寮の管理及び運営に関する事項
(2)寮生の生活に関する事項
(1)学年暦、教育課程及び年間授業計画に関す
る事項
(2)履修登録、授業及び試験に関する事項
(1)教職課程に関する事項
(2)教育実習の計画と指導に関する事項
(1)外国の大学・短期大学・研究機関との姉妹
校協定又は交流提携に関する事項
(2)外国からの客員教授・研究員の招聘及び受
入れに関する事項
(3)外国人留学生の受入れ、指導及び支援に関
する事項
(4)学生の外国大学・短期大学等への留学、研
修及び実習に関する事項
(1)公開講座、出前講義に関する事項
19
構成メンバー
各学部 1、総務部 1(合計 4)
入試広報部長、各学科 1、総務部 1、
入試広報 G2、(合計 14)
学生部長、各学科 1、学生支援 G1(合
計 12)
学生部長、総務部 1、学生支援 G1、
国際交流 G1、生活指導主任(合計 5)
教務部長、各学科 1、共通科目 1、教
務 G2(合計 14)
教務部長、教職、国語・書道、英語、
福祉、情報、教務 G 各 1、幼教 4(合
計 11)
教務部長、学生部長、各学部 1、国際
英語 1、日本文化創造 1、国際交流 G1
(合計 8)
生涯学習部長、教務部長、各学部 1、
梅花女子大学
(2)資格・キャリア開発等の講座に関する事項
(1)キリスト教科目、基礎スポーツ科目、情報
科目、外国語科目、教養科目に関する事項
(1)図書の予算に関する事項
(2)図書館利用に関する事項
(3)紀要の編集・発行に関する事項
(1)就職に関する事項
(2)編入学、進学等に関する事項
(3)インターンシップに関する事項
(1)宗教活動に関する事項
(1)ファカルティ・ディベロップメント(FD)
に関する事項
共通科目
図書・紀要
キャリア支援
宗教
FD
(注)
生涯学習 G1、教務 G1(合計 7)
教務部長、各学部 2、外国語担当 1(合
計 8)
図書館情報センター長、各学科 1、図
書 G1(合計 12)
キャリア支援部長、各学部 1、キャリ
ア支援 G1(合計 5)
宗教部長、各学部 2(合計 7)
各学科 1、教務 G1(合計 11)
「G」はグループの略。「各学部」には短期大学部を含む。
専門委員会は、大学全体の教育・研究の充実を図るために連携をとりながら機能してい
る。全ての専門委員会は、梅花女子大学及び梅花女子大学短期大学部の構成員からなり、
全学にわたる専門的な事案について具体的に検討する。検討する事案が学科レベルの問題
である場合は学科会議の意見を集約し、それぞれの専門委員会での検討を経て、合同学部
教授会もしくは各学部教授会に対して、報告もしくは審議事項として発議する。
さらに、本学においては期間限定の業務内容について、学長諮問の委員会を組織するこ
とがある。たとえば、基準2-2の教養教育の責任体制の説明で記述したカリキュラム改
定に携わるカリキュラム検討委員会や、学部学科の改組にともなう本学のホームページの
改訂に携わるホームページ委員会などである。これらの学長諮問委員会の根拠規程はなく、
学長の意思によって組織され、限定期間の職務を終えると解散するが、そこでの検討によ
って教授会での審議が必要であると判断された案件は、学長の発議を通じて合同学部教授
会において審議・決定される。とくに本学の教育の根幹であるカリキュラムについては、
カリキュラム検討委員会の担っている責任は重いものとなっている。
大学院の教育研究における研究科の意思決定組織としては、大学院委員会がある。根拠
規程は「大学組織運営規程」第 11 条と大学院学則(【資料 F­3】)第 50 条である。構成員
は、学長、研究科長、専攻主任及び大学院授業担当の専任教授、准教授、講師、助教なら
びに教務部長、入試広報部長、学生部長及び図書館情報センター長である。(図表 2­3­4)に
示したように、大学院委員会の下位組織には各研究科委員会があり、さらにその下位に各
専攻会議がある。専攻会議は専攻主任によって招集され、各専攻に所属する大学院生にも
っとも近い会議体として、院生の研究遂行上における要望などの情報を共有し、そこから
上位の会議体へと院生の要望を反映させるよう努め、小所帯の大学院であることの利点を
活かしている。
(図表 2­3­4)大学院の会議体組織図
会員委 院学大
長
学
文学研究科
各専攻会議
委員会
現代人間学研究科
委員会
20
各専攻会議
梅花女子大学
(2)2-3の自己評価
教育方針等を形成する組織については、学長の下で、合同学部教授会、各学部教授会、
学科会議及び専門委員会が機能しており、とくにカリキュラム作成の面において、学科会
議という学生の意見を直接的に集約できる会議体から、カリキュラム検討委員会を経て合
同学部教授会での決定にまでいたる連携関係は機能している。大学院においても、各専攻
会議から大学院委員会までの連携関係が機能している。
しかし、組織を運営する諸規程と現実の教授会運営にはすくなからず齟齬が生じている。
現行の「大学組織運営規程」ならびに本学学則に準ずれば、教授会の運営は原則的には学
部ごとに行われるべきだが、実際は合同学部教授会というかたちで行われている。また、
梅花女子大学短期大学部との間の全学教授会についても、原則的には両学にまたがる教学
案件について開催されるべきだが、実際は部長会での調整に委ねられている。
さらに、梅花女子大学短期大学部との間にある大学協議会は、昨年度 1 回しか開催され
ておらず、十分に機能していない。したがって、大学組織における位置づけや役割を改め
て検討し、存在の要・不要も含めて見直しを行う必要がある。
(3)2-3の改善・向上方策(将来計画)
梅花学園では、併設されている梅花女子大学と梅花女子大学短期大学部が、できるだけ
会議体組織を共有することにより、学園全体を通じて、合理的によりよい組織運営を行う
ことを目指して「大学組織運営規程」を設けている。本学の学長をはじめとする役職者の
位置づけやそれぞれの会議体の根拠規程ともなっており、梅花女子大学でもその規程に基
づいて組織運営をおこなっており、専門委員会の運営などは両学にまたがって機能してい
る。しかし、上記に指摘したように、全学教授会・大学協議会などは、現実的にその規程
どおりには運営できていない。会議日の設定など現実的な観点からすると、そもそもの規
程にも問題がある。本学では、上述のとおり、来年度から学部構成などの組織改編を行う
ため、それにともなう会議体の運営規程などの見直しが迫られており、そこでの検討に合
わせて、来年度までに、教授会運営に関する諸規程の整備を行う。
〔基準2の自己評価〕
本学の教育研究組織は、現状では 2 学部 6 学科(募集停止学科は除く)、2 研究科 5 専攻
よりなっており、それぞれに連関性を保ちながら、本学の使命、教育目的に沿った運営が
できるような組織配置となっている。しかし、基準2-1で示したように、その学部・学
科の構成が、受験生に対しては十分に魅力あるものとはなっておらず、入学生は年々減少
してきている。急速に変化しつつある社会情勢を見きわめた、学部・学科構成の再検討が
必要である。
〔基準2の改善・向上方策(将来計画)〕
基準2-1の改善・向上方策にも示したように、本学では平成 22(2010)年度入学者選抜
試験から、現代人間学部を募集停止とし、新たに看護学部看護学科と心理こども学部心理
学科、同こども学科を設置する予定である。
その結果、平成 22(2010)年度からは、旧体制として残る現代人間学部と、看護学部・心
21
梅花女子大学
理こども学部・3 学科体制となる文化表現学部の 4 学部によって本学は組織される。
当然ながら、教育研究に関わる組織運営については、その 4 学部の合同学部教授会を頂
点として行わなくてはならず、そのため、梅花学園の「大学組織運営規程」や本学の「教
授会運営規程」などの整備が急務である。各種規程の整備は本年度の 11 月末までに行う予
定である。
また、平成 22(2010)年度以降、文化表現学部の国際英語学科、日本文化創造学科、情報メ
ディア学科については、入学者定員充足率が平均 5 割まで落ち込んでいるために、こちら
の組織改編も必要であり、現在、基準7-2に詳述する「大学・短期大学部改組検討プロ
ジェクトチーム」において検討中である。
22
梅花女子大学
基準3. 教育課程
3-1.教育目的が教育課程や教育方法等に十分反映されていること。
≪3-1の視点≫
3-1-① 建学の精神・大学の基本理念及び学生のニーズや社会的需要に基づき、学部、
学科又は課程、研究科又は専攻ごとの教育目的が設定され、学則等に定められ、かつ公表
されているか。
3-1-② 教育目的の達成のために、課程別の教育課程の編成方針が適切に設定されてい
るか。
3-1-③ 教育目的が教育方法等に十分反映されているか。
(1)3-1の事実の説明(現状)
学部、学科及び大学院の各専攻の教育目的は、『大学要覧』『大学院要覧』(ともに【資
料F­5】)の教育課程に関する説明の冒頭に掲げている。ただし、大学院研究科全体の教育
目的については、制定していたものの提示していなかったため、以下のように来年度から
要覧に掲げる。
大学院文学研究科
文学や言語に対する高度の知識や研究方法を学び、高い専門性を身につけるととも
に、その専門的な能力を活かして社会に幅広く貢献する人材を養成する。
大学院人間学研究科
現代社会の抱えるさまざまな問題を解決するための高度な知識や技術を習得し、他
者への暖かいまなざしや共感を持って、社会に貢献する人材を養成する。
教育目的を達成するための過程編成の方針と教育方法の現状について、以下に、学科・
研究科(各専攻)ごとに述べる。
【現代人間学部】
(人間福祉学科)
社会福祉士受験資格と併せて、他の国家資格を取得することにより、視野の広い専門職
を養成することが可能となるカリキュラム編成を行っている。
社会福祉専攻
保育福祉専攻
介護福祉専攻
国民のメンタルヘルス向上にかかわる専門職(精神保健福祉士)に必要とされる価値・知識・
技術の基礎を学び、精神保健福祉士受験資格の取得を可能にする。
保育士養成課程として、保育士の資格取得を可能にする。
介護福祉士養成課程として、介護福祉士(平成21(2009)年からは准介護福祉士)の資格取得
を可能にする。
各専攻共通して、1・2年次では「社会福祉援助技術論」によって、ソーシャルワーカーが
身につけるべき基本的援助技術を講義形式で学ぶとともに、
「社会福祉援助技術演習」で、
ロールプレイなどの実践を通じ、それらを体得する。また「社会福祉基礎演習」では、少
人数クラスで、担当教員がクラスアドバイザーとなり、大学生活全般について支援してい
る。
(心理学科)
学生の多様なニーズに応え、心理学をさまざまな分野から学ぶことができるよう、「臨
床心理」「発達心理」「社会心理」「情報心理」の各分野からなるカリキュラムを構成し、
異なる分野の科目を総合的に組み合わせることができるようにしている。
臨床心理
心の病の理解と、治療援助の技法の習得。
発達心理
乳幼児期から老人期にいたるまでの生涯発達についての学びと、発達障害の理解と教育に役立
23
梅花女子大学
つ実践的知識の修得。
社会心理
日常社会場面においての人間の心理機序を学ぶ。
情報心理
人間の感覚や知覚、記憶・学習・思考など、人間の心理と行動の特色について学ぶ。
「心理学概論A・B」「心理学基礎演習」などの「学科基礎」科目を必修したうえで、分
野ごとに設けられた授業科目を、各人の問題関心に応じて組み合わせて履修し、卒業論文
の作成を目指す。あわせて在学中に認定心理士の資格の仮認定を目指すことができる。
(生活環境学科)
平成16(2004)年に開設した当初は、「自然環境」「健康科学」「住居・インテリア」の3
分野制のもと、領域にとらわれず複数の分野にわたる授業を履修することを可能としてい
たが、学科の学びの特色を明確にするため、平成19(2007)年度より2コースとし、2年次か
らコースごとに置かれた科目を履修し、資格の取得を目指すこととした。
住居・インテリア
環境・健康
1・2級建築士試験受験資格や、インテリアプランナー登録資格など、建築設計やインテリ
アデザインなど住環境作りに関わる資格取得を目指すコース。
自然・環境・生態系、運動・栄養・休養などの知識を深め福祉・教育・コミュニティス
ポーツなどの資格取得を目指すコース。
各コースともに、体験学習やフィールドワークのプログラムを設定し、通常の「講義」・
「演習」と併せて総合的に学べるように工夫した。設計能力を養うための「演習」科目に
ついては、TA(Teaching Assistant)を配置した。環境野外活動の授業では、地域の森林保
全活動、炭焼き教室、野外清掃活動への参加や、ネイチャーゲーム指導者講習会を組み込
むことによって、自然体験活動リーダー、ネイチャーゲームリーダーの資格取得者が毎年1
0数人~20数人いる。大半の学生が森林インストラクター、レクリエーションインストラク
ター、ネイチャーゲームリーダー、CONEリーダー(自然体験活動推進協会に登録される
指導者)などの資格を修得し、卒業後、地域などで役立てている。
【文化表現学部】
(国際英語学科)
英語の技能を学び運用能力を高めるための習熟度別「語学演習」科目、就職に必要とさ
れる技能や免許、資格にむけた「実習・実務」科目、英語圏の社会や文化などについて学
ぶ「講義」科目、卒業研究にむけた研究演習を行う「演習」科目で教育課程を構成してい
る。2年次後期に海外実習プログラムを必修として設定し(平成21(2009)年度入学生より選
択科目)、外国の文化的特質を実践的に学ぶことを目指す。
「語学演習」ではSpeaking(週2回)とWritingをネイティブ・スピーカーが、Readingを
日本人教員が担当し、習熟度別の少人数クラスのメリットを最大限に活かしつつ英語運用
能力を向上させている。海外実習プログラムにさまざまな事情で参加しない学生に関して
は、ネイティブ・スピーカーによる授業などで代替する。各学生の問題関心に応じて言語
学・文学・文化研究・地域研究についてのテーマを定め、卒業論文・制作・発表に向けて
「演習」「講義」の授業を組み合わせて学習する。
(児童文学科)
教育課程は、〈研究〉〈創作〉〈伝達〉の3分野からなり、児童文学と子どもに関する基
礎となる知識や考え方とともに、日本・外国の児童文学作品の読み方を学ぶ。
3分野の授業は、それぞれの特性を踏まえて次のように意図している。
研究
伝承児童文学や外国児童文学、マンガ学や絵本学などの多様な分野についても学び、視野を広げて
自分のテーマを掘り下げる。
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梅花女子大学
創作
伝達
授業で学んだ技術に基づいて自由に絵本や物語の創作を行い、作品の合評会を通して実力を磨く。
絵本の読み語りやストーリーテリングを行い、文庫活動などの授業外の活動と授業とを連動させ、
より実践的な学びを目指す。
以上の分野は独立したものではなく、各自の問題関心に応じてどの分野の科目も履修す
ることができる。またこれら3分野の学びを実践するために、幼稚園教諭免許の取得を目指
すことができる。
(日本文化創造学科)
「日本語・日本文学」「日本・アジア文化」「創作」「書道」の4分野を設け、日本語の
読み・書き・話し・聴く力を養うことを全体の基盤とし、日本語の特徴を学習し、また日
本文学を読み解く、日本文化だけでなく、中国や韓国・朝鮮などの文化を学び、グローバ
ルな視野に立って日本文化を理解する、小説や詩歌、書道などで新たな文化を創造し表現
するさまざまな手段を学び、その力を養成する。この4分野はそれぞれ独立しているのでは
なく、相互に補完するものであり、学生は個々の興味と関心に基づいて授業科目を選んで
履修し、それぞれが目指す方法で表現していく。
そのため、学科共通の基礎科目として、日本語の読み・書き・話し・聴く力を養う「日
本語トレーニング」のほか、上記分野の入門科目を必修としている。そのうえで、文学作
品を読む授業や、作品創作の基礎を学ぶ演習形式の授業などを、段階を追って学ぶ。学年
が進むと、表現手段として、論文・小説・詩歌・エッセイ・書道・Web発信のそれぞれに
取り組める科目を設定している。また日本語を学ぶ一環として、外国人に日本語を教育す
る資格取得を目指す日本語教員養成コースを置いている。
(情報メディア学科)
「コンテンツデザイン」「システムデザイン」「情報サービスデザイン」「ビジネス」
「メディアリテラシー」の五つの分野を置き、1年次には各分野を理解するための基礎科目
を配置するとともに、MCAS(マイクロソフト認定アプリケーションスペシャリストの略
称)の資格取得を必須要件としている。2年次では各分野を実践的に学習できるように「メ
ディアラボ」に複数のクラスを設置し、各種資格の取得とともに3年次の情報メディア演習
にむけた方向づけを行っている。それぞれの分野は独立したものでなく相互に深く関連し
ており、広く学ぶことによって自己の特性を把握し、興味ある専門分野を選択することに
なる。3年次からのゼミ選択にあたっては「入ゼミ活動」を行い、エントリーシート作成・
面接指導を通じて、各自のモチベーションを向上させるとともに、適切なマッチングが図
れるように配慮している。電子化された講義の内容(e­Leaningシステム「てすと君」、基
準4-2参照)を学生が自習に活用し、ネットワークを利用して実際の講義を実況配信で
きるような協調学習システム(ネット会議)「BLIVE」も積極的に活用している。
【大学院文学研究科】
(日本語日本文学専攻)
日本語と日本文学に関わる学術の根本的及び先駆的な教授・研究を推進するため、より
専門的な「演習」・「講義」科目を置いている。同一の科目を重複して履修することも認め
ており、それによって特定の分野についてさらに専門性を深めることができる。教員は、
日本語、日本文学、中国文学をおのおの専門としており、学生は専攻する分野の指導教員
の指導の下で修士論文を作成する。
(英語英米文学専攻)
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梅花女子大学
英文学、米文学、英語学の3分野にわたり、学部における研究、教育の発展及び充実を図
るため、「特殊講義」と「研究・演習」を配している。「特殊講義」については3分野、「研
究・演習」については2分野以上にわたる科目履修を義務づけ、修士論文に結実する研究を、
幅広い見識に基づかせることを意図している。ネイティブ・スピーカーによる授業科目を
配置し、英語での論文執筆を指導する「英語表現法」という科目も、ネイティブ・スピー
カーが担当している。
〔児童文学専攻(博士前後期課程)〕
伝承児童文学、近代以前日本児童文学、日本児童文学、外国児童文学(英・独・仏語圏)
の各分野の中から、独自のテーマを定めて研究を進める。博士前期課程では、研究基盤育
成のための科目「児童文学原論」を必修とし、「児童文学創作論」と「児童文学特殊講義」
を選択必修とする。なお研究の幅を拡げるために、研究主題に関連する他専攻の科目を「特
殊講義」として履修することを認めている。博士後期課程では、各自の主題について研究
を深めて博士論文にまとめられるよう、担当教員が指導する。研究に対する姿勢を育て、
個々の状況に応じた指導ができるように、主指導の教員以外に副担当教員を決め、専攻会
議で各院生の指導状況を報告しあい、専攻全体で支援できるようにしている。
【大学院現代人間学研究科】
(人間福祉学専攻)
社会福祉の科学的専門研究を深めるとともに、全人的な人間理解、生活・家族・地域・
全体社会の理解を踏まえた専門職・福祉実践者を育成することができるよう、社会福祉の
発達・援助技術・調査という基礎理論科目と、地域福祉、国際比較、女性福祉、障害者福
祉などの実践的科目を配置している。必修の「社会福祉研究実習」は、社会福祉機関など
において臨床・支援・計画・運営の実習を行いつつ、社会福祉に関する社会調査とその分
析を学ぶことによって社会調査設計に応用しようとするもので、各人の問題意識に基づく
研究の深化とあわせて社会福祉の専門職あるいは社会福祉の実践者を養成している。
(心理臨床学専攻)
臨床心理士を養成する課程として、基本的な技術を身につけるための必修科目群と、さ
まざまな領域に拡大し、複雑化している臨床の現場に対応できるよう、臨床の各分野の選
択科目群からカリキュラムを編成している。臨床心理の新しい動向を学ぶために、現場経
験豊富な研究者を非常勤講師として迎え、また臨床心理の実習・実践教育活動については、
実習施設として梅花女子大学大学院心理・教育相談センターを豊中と茨木に設けており、
豊富な経験を積むことが可能である。
(2)3-1の自己評価
【現代人間学部】
人間福祉学科では、学科全体として、ソーシャルワークとケアワークの両方に通じる高
度な専門性の獲得を目指し、社会福祉士受験資格と精神保健福祉士受験資格、保育士ある
いは(准)介護福祉士のダブル資格取得を実現させた。しかし保育士や(准)介護福祉士
とのダブル資格を目指す場合、必修科目や実習の負担が大きく、社会福祉士受験資格の取
得を諦める学生、さらには進路変更を希望する学生も現れた。
心理学科では、臨床心理、発達心理、社会心理、情報心理の 4 分野の専門科目群を用意
し、特に入学者の過半数が興味を示している臨床心理の分野に関しては、臨床心理士の資
26
梅花女子大学
格を有する 5 人の教員を配している。学生のニーズに応え、興味を惹くと思われる多様な
カリキュラムを置いたが、その学習の成果が卒業後の進路に直接的には繋がりにくかった。
生活環境学科では、当初異なった専門分野において学生をトータルに指導していくのが
困難となり、そのためにコース制を採用して学生の目標設定や履修科目を選択する上での
便宜を図った。しかし入学生数が得られず、平成 20(2008)年度より募集を停止した。現在
は3年次生以上が在籍するのみである。
現代人間学部全体としては、自立した女性の育成を目指すという目的達成に向けて、各
学科の学びを活かした資格取得や専門職に就くことを奨励してきたが、学生一人ひとりの
精神的、社会的自立や自己実現を支援するための視点と具体的方策を学部として示すとこ
ろにまでは至らなかった。
【文化表現学部】
国際英語学科では、「語学演習」を少人数クラスで行うことが授業効果を発揮している。
また海外実習の経験は、卒業生が就職する割合の高い観光・ホテル・金融等の業界におい
て有用であると考えている。反面、英語を基礎から学び直す必要のある学生も増してきて
おり、カリキュラムの構成だけでなく、授業を担当するのに相応しいのは日本人かネイテ
ィブ・スピーカーかという問題を、科目ごとに検討する必要が生じている。
児童文学科では、〈研究〉〈創作〉〈伝達〉の 3 分野を総合的に学ぶという意図に対して、
学生の関心は〈創作〉と〈伝達〉に集中しており、毎年 3 回開く絵本制作展でも毎回 700
~800 人の入場者を得るという成果を上げている。一方、それらの基盤に位置する〈研究〉
分野への学生の関心は高くはなく、現代的な作品や課題を扱えるようにするなどの方策に
よって関心を喚起する必要がある。
日本文化創造学科では、創作の分野を設けたことによって、創作を志す学生が年ごとに
増えてきており、卒業時に長大な創作作品を完成させる者も現れている。また学科内で留
学生が一定の割合を占めていることは、外国人に日本語を教育することを目指す学生にと
っては、有効な環境となっている。しかし基準5で述べるように、教員が担当できる専門
分野に片寄りがあり、「日本語・日本文学」「日本・アジア文化」「創作」「書道」の 4 分野
を総合的に学ぶという目標を十分には達成できていない。
情報メディア学科では、初年次の科目を通して学生の適性把握に努めており、TA を配し
た演習科目において到達度別のクラス編成を行い、効果を上げている。しかし 1 年次にお
いて MCAS 資格を取得できない学生がいるほか、基礎的な計算能力が不足している学生も
目立ってきており、そうした学生に対し「てすと君」などの自習用システムを中心とした
学習支援態勢づくりが必要になっている。
文化表現学部全体としては、言語や文学、文化や情報に関する「専門知識の習得」につ
いては、従来の文学部時代からの伝統を引き継ぎ、各学科とも十分なカリキュラムが設定
され、授業システムも機能しているが、「学び」から得られた成果を「多様な手段と方法
を用いて文化を表現し、発信する」という、本学部の新たな教育については、残念ながら
いまだ発展途上の段階にあると考える。
【大学院文学研究科】
修了生の多くは教職関連の職業に就いているが、博士後期課程を持つ児童文学専攻から
は大学勤務者、研究書出版者を輩出すると同時に、文学を専門とする司書として公共図書
27
梅花女子大学
館や学校図書館等で活動する人材も輩出している。また大学院全体として中国人留学生が
増えていることから、日中友好に役立つ人材も輩出している。しかし、従来の文学部を基
盤とした大学院であるだけに、文学部が文化表現学部となり、基盤となる学科の教育目標
や内容が変貌したのを受けて志願者の動向が様変わりしており、各専攻とも基盤となる学
科の動向を見据えて、教育目標や内容に大きな検討を加える時期に来ている。
【大学院現代人間学研究科】
人間福祉学専攻では、高度な知識を身につけると同時に、社会福祉士国家試験への合格
を目指せるカリキュラムを編成したが、学部の社会福祉専攻の入学生が減少し、大学院志
願者も 1 人あるかないかの状況である。
臨床心理士の養成課程となっている心理臨床学専攻では、多くの志願者を得ている。臨
床家を目指す大学院生が、心理療法の幅広い知識を身につけられる授業を置き、実習施設
となっている心理・教育相談センターを豊中学舎に加えて茨木学舎にも設けたことで、密
度の濃い実習が可能となった。
両専攻に共通する問題は、それぞれの基盤となる学科を配置していた現代人間学部の募
集停止にともなって、本研究科組織についての抜本的な見直しが必要なことである。
(3)3-1の改善・向上方策(将来計画)
【現代人間学部】
基準3の改善・向上方策で後述するように、現代人間学部については平成 22(2010)年度
より募集停止とする。それにともない、人間福祉学科保育福祉専攻は、文化表現学部児童
文学科と統合して、心理こども学部こども学科とする。心理学科も、心理こども学部心理
学科として再出発する。各学科の教育課程における問題点については、この改組改編によ
ってできるかぎり解消するとともに、在籍している学生に対しては、カリキュラムを保障
し、できる限りきめ細かな指導を行う。
【文化表現学部】
児童文学科については、平成 22(2010)年度より募集停止とし、心理こども学部こども学
科に移行する。児童文学科以外の 3 学科についても、改組改編の方針が示されてはいるが、
当面、現体制が継続することになっている。そのため学科ごとの将来計画を述べることに
する。
国際英語学科では、到達度による少人数のクラス編成の効果をより発揮できるよう学科
内での議論を続ける。また海外実習を選択しない学生に対して配している授業をネイティ
ブ・スピーカーの担当とし、海外に行かない学生についても英語力の向上を図る。
日本文化創造学科では、多くの学生が希望する「創作」「書道」分野の教育に力を入れ、
コンクールなどへの応募や、人前で発表するという機会をもっと多く設ける。その際に日
本語学の科目「現代の日本語」の必修化を検討する。留学生への対応を意識した教育課程
については、今後も学科において検討する。
情報メディア学科では、社会的ニーズを検討しながら、教育分野を常に見直す必要があ
るが、当面、学習成果を卒業後の社会活動で生かすためのビジネス系資格の取得をいっそ
う推進する。教育ポートフォリオシステムと連動した学習支援、サイバーキャンパス整備
事業で開設された協調学習システム(ネット会議)「BLIVE」による授業・勉強会を推進
28
梅花女子大学
する。
各科に共通する課題は、文化表現学部に見合った「表現」
「発信」教育に軸足を置いた教
員スタッフの拡充であるが、それが望めない現状では、現有の教員スタッフでどのような
「表現」
「発信」に関する教育の強化・充実が可能であるのかを検討することである。その
ため、学部長と各学科選出の教員によるチームで 1~2 年のうちに検討し、具体案を提示す
る。その際、現行の文化表現学部、その下に設置された各学科の枠組み、教育内容に対し
ても検討を加え、必要があれば学部全体にかかわる改組改編についても着手する。
【大学院文学研究科・現代人間学研究科】
平成22(2010)年度より現代人間学部及び文化表現学部児童文学科が募集停止となるため、
今年度の入学生が4年次生となる平成24(2012)年度までに、大学院委員会において、大学院
全体の枠組みの検討を終えるが、その際、人間福祉学専攻については、基盤となる学科が
なくなることを踏まえなければならない。それまでは現体制が継続するため、その範囲で
述べることとする。
日本語・日本文学専攻、英語英米文学専攻ともに、中国人留学生が中心となっているこ
とから、日本人学生に進学を勧める広報を行うとともに、各専攻において、留学生に対応
するためのカリキュラムや、日本語能力の向上のためのプログラムの検討を行う。児童文
学専攻では、引き続き在籍する院生と修了生との連携を図り、地道な研究の場を醸成する
とともに、院生については授業以外の研究活動を用意することで、学習・研究を支援する。
心理臨床学専攻に在籍している院生については、国家試験受験も視野に入れ、本人の希望
する研究分野の指導に努める。また、拡張された心理・教育相談センターでの豊富な実習
を有効に活かせる指導について、専攻内で議論を深める。
3-2.教育課程の編成方針に即して、体系的かつ適切に教育課程が設定されていること。
≪3-2の視点≫
3-2-① 教育課程が体系的に編成され、その内容が適切であるか。
3-2-② 教育課程の編成方針に即した授業科目、授業の内容となっているか。
3-2-③ 年間学事予定、授業期間が明示されており、適切に運営されているか。
3-2-④ 単位の認定、進級及び卒業・修了の要件が適切に定められ、厳正に適用されて
いるか。
3-2-⑤ 履修登録単位数の上限の適切な設定など、単位制度の実質を保つための工夫が
行われているか。
3-2-⑥ 教育内容・方法に、特色ある工夫がなされているか。
3-2-⑦ 学士課程、大学院課程、専門職大学院課程等において通信教育を行っている場
合には、それぞれの添削等による指導を含む印刷教材等による授業、添削等による指導を
含む放送授業、面接授業もしくはメディアを利用して行う授業の実施方法が適切に整備さ
れているか。
「該当なし」
(1)3-2の事実の説明(現状)
全学科に共通する教育科目として、
「全学共通科目」の科目群を置いている。
『大学要覧』
の「全学共通科目」の項で全体的な位置づけと内容の説明を行っているが、その構成は、
29
梅花女子大学
キリスト教科目・基礎スポーツ科目・情報科目・外国語科目・教養科目からなっており、
本学の建学の精神であるキリスト教について学ぶ授業をはじめ、現代社会に求められる幅
広い知識と教養、各種のスキルを身につけるための科目を配置している(それぞれの科目
の卒業要件単位数は【資料 F-5】『2009 大学要覧』参照)。そのうち教養科目については、
授業内容から「コミュニケーション&スキル」
「女性と生き方」
「社会と自然」
「芸術と文化」
「キャリアプラニング」の 5 分野に分かれ、他に梅花女子大学短期大学部で開講している
教養科目についても、単位互換制度によって履修することが可能である。
授業内容についてみると、キリスト教科目は、キリスト教に関する基礎的な知識に加え
て、各人の興味に応じた内容のものを履修することになっている。基礎スポーツ科目は、
体力・健康作りと各種スポーツの基礎を学ぶ。外国語科目のうち英語については、平成
16(2004)年度以来、グレード別の授業を行っており、そのため入学直後と 1 年次末にプレ
ースメントテストを行い、それぞれの能力に応じたクラス編成を試みている。情報科目は、
当初、基礎と応用の 2 種類の授業(1 セメスター)を設定し、各自の能力に応じて選択履
修することとしていたが、平成 20(2008)年度のカリキュラム改革によって、通年(2 セメ
スター)の授業とし、希望する学生についてはより高度な授業も履修できるようにした。
また語学・基礎スポーツについても、それらを進めた内容の授業を提供する科目を教養科
目に設けている。さらなるスキルを目指す学生向けに、生涯学習センターにおいて各種の
ブラッシュアップ講座を設けている。
【現代人間学部】
(人間福祉学科)
1年次
基礎演習を中心に、各専攻と関連分野についての基礎的な理解力を養う。
2年次
各専攻に関わる知識や技術を演習や実習を通じて身につける。
施設・現場での実習を通じて、これまでに学んだ知識や技術を検証し、実践能力を身につける。
3・4年次
4年次では、学びの集大成として卒業論文作成に取組む。
以上の方針で専門科目のカリキュラムを編成している。授業科目・内容ともに指定され
ているため、各専攻を通して、少人数、双方向の授業で探究心、思考力、独創性を養う学
生主導の授業展開を目指している。
(心理学科)
臨床、発達、社会、情報の四つの分野すべてを網羅した心理学全体の基礎を講義形式で学ぶ。また
1年次
心理学の基礎と、心理学独自の研究方法の基礎について学ぶ。
実験、調査を体験しながら研究法の知見を深めるとともに、調査や卒業論文で必要となる統計の基
2年次
礎を学ぶ。さらに、文献の探し方、まとめ方、発表の仕方などを学び、心理学各分野の基礎的知見
を身につける。
自らの研究テーマを見つけ深めるという作業をスタートさせるとともに、各分野の最新の研究や知
3年次
4年次
見に触れる。
自らの研究テーマを深め、調査等を行い、研究をまとめる作業を完結させる。
以上の方針で専門科目のカリキュラムを編成している。心理学が扱うテーマは身近な生
活の中で経験する内容を多く含み、授業の中で与えられた知識を吸収するだけでなく、自
らの体験を通して確認し、生活と密接に関わる知識を得ることが出来る。体験を重視した
科目として、たとえば「アニマルセラピー」では、馬を使った心理療法としてのホースセ
30
梅花女子大学
ラピーの方法や有効性を理解するために、事前学習を行った上で、実際に牧場に行き、馬
の世話や、乗馬を通した馬とのコミュニケーションを体験し、学ぶ内容になっている。箱
庭療法や心理学的アセスメントについても、実際の体験を通した学習を重視している。
(生活環境学科)
専門分野への導入として、人間と自然環境に関する幅広い基礎知識を習得し、住生活・環境・健
1年次
康に関する基礎的な知識を総合的に学ぶ。
「住居・インテリアコース」「健康・環境コース」の二つに分かれ、自ら発見し、考え、想像力
2~4年次
を高めるとともに、資格取得に向けたカリキュラムにそって学習する。
以上の方針で専門科目のカリキュラムを編成している。「住居・インテリアコース」は、
生活環境という視点で住居インテリアを学ぶことから、建築系の大学に比べて生活環境理
解のための演習実習など体験学習の時間を多く設けている。「健康・環境コース」では、
大学の所在地が北摂地域であることを活用し、近隣の野外活動センター、森林センターな
どを実習の場として、自然観察や森林保護の実際を体験できる授業を展開し、環境との共
生に貢献できる資格の取得を支援している。
【文化表現学部】
(国際英語学科)
専門科目は、内容的に大きく二つのグループに分けられる。「語学演習」及び「実習・
実務」科目と、「講義」及び「演習」科目の二つである。語学演習科目(必修)では、基
礎学力を高めるためのSpeaking、Reading、Writingの科目を配し、1~3年次に履修する。
「実習・実務」科目では、異文化理解への導入科目のほか、「TOEFL」「TOEIC」「時
事英語」など、高度な英語運用能力を身につけ、卒業後のキャリアに繋がる科目を置いて
いる。言語学・文学・文化研究・地域研究の4分野の「Global English Seminar」という
「演習」を3~4年次に選択し、卒業論文・制作・発表へと繋げていく。
専任教員が、日本人4人に対し、英語のネイティブ・スピーカー教員が4人であることか
ら、専門科目の5割はネイティブ教員が英語で教える授業となっている。また授業以外でも、
ネイティブ教員との豊富な接触の機会を設けている。
(児童文学科)
1・2年次に児童文学と子どもに関する基礎の知識や考え方を学ぶとともに、演習の仕方や作品の
〈研究〉
読み方の基礎を学ぶ。日本・外国の児童文学の作品研究と合わせて、さまざまな分野にわたる講
義を履修することによって視野を広げ、3年次・4年次の演習を通して卒業論文をまとめる。
物語、絵本について、1年次から4年次まで段階を追って制作の方法を学びながら経験を積む。物
〈創作〉
語については合評会、絵本についても絵本制作展で作品を発表して実力をつけていく。これらの
学びの下に、卒業制作をまとめる。
絵本の読み語り、ストーリーテリング、文庫活動、児童書編集など、子どもに本を伝える活動の
〈伝達〉
理論と実習を学ぶ。学科内に組織されている児童文学会や児童文学・絵本センターの活動が、授
業の学びを支援している。
以上の3分野の学びを軸としたカリキュラムを編成している。見聞を広める「ヨーロッパ
児童文学研修」「口承文芸フィールドワーク」などは、特色ある科目として、学生の感性
や思考を刺激している。平成20(2008)年度から設置された幼稚園免許課程は、〈研究〉〈創
作〉〈伝達〉の学びの下で「子どもの本に強い」という特色を持っている。
(日本文化創造学科)
「日本語・日本文学」「日本・アジア文化」「創作」「書道」の4分野を学べるようにし、
それぞれの分野について、1年次から学年が上がるにつれてグレードを上げるカリキュラム
31
梅花女子大学
にしている。
学生が読み・書き・話し・聴く力を実践的に高めるための科目、日本語・日本文学・日本文化の
1年次
基礎を学ぶ科目を置く。
基礎演習、応用演習において、上記の4分野について、具体的な資料・作品・データ・場所など
2・3年次
を取り上げて分析・研究・創作・制作して、議論し発表する研究能力を高めるようにしている。
3年次では、ほかに総合的な演習科目として「フィールドワーク」を置いている。
学びの集大成として卒業研究(日本語・日本文学・日本アジア文化)・卒業創作(小説・詩歌な
4年次
ど)・卒業制作(書道)のいずれかを選んで取組む。
日本にある言語は、日本語以外に日本手話もあることから、手話の言語学を授業に取り
入れている。小説・詩歌・エッセイなどの創作の授業では実際に作家を講師に招き、課題
を与えて鍛えている。書道では4年次に卒業制作展を開催している。
(情報メディア学科)
「コンテンツデザイン」「システムデザイン」「情報サービスデザイン」「ビジネス」「メデ
1年次
2年次
ィアリテラシー」五つの分野の基礎となる科目群を配置する。
実習を通じて五つの分野を体験する「メディアラボ」を必修とする。
各人の興味に合わせての五つの分野にわたる専門科目を履修し、4年次に卒業研究・卒業制作を
1~4年次
行う。
以上の方針で専門科目のカリキュラムを編成している。入学者にはノートPCを貸与し、
必要なソフトウエアをインストールするとともにセキュリティやメンテナンスの体制を整
えている。1年次の「情報メディア基礎演習」でノートPCの基礎知識やさまざまな活用方
法を学び、「てすと君」や「BLIVE」の使用法をマスターして他の授業で活用できるよう
にしている。基本的なアプリケーションの扱いや情報通信技術の基本知識に習熟するため
の科目を基礎として配置し、より高次の検定・資格あるいは幅広い資格が取得できるように
各種資格・検定試験と講義内容の対応表を作成し、各授業とコース別の資格・検定との対
応を明示し、取得状況をもとに授業科目の内容を検討し年度ごとに更新している。
【大学院文学研究科】
(日本語日本文学専攻)
日本語・日本文学・中国文学の分野があり、日本語学については、学会誌に掲載された
論文を読む演習や類義語の講義などが行われている。日本文学については、古代と近代の
作品を読む演習や講義が行われている。中国文学については、古代を扱う演習や講義が行
われている。修士論文を書く学生は、授業とは別に指導教員の下で毎週、指導を受ける。
(英語英米文学専攻)
英文学、米文学、英語学の3分野にわたる「特殊講義」と「研究・演習」に加えて、論文
指導用に「英語表現法」が配されており、日本人とアメリカ人、両方の教員による指導を
受ける機会を設けている。英文学においてはイギリス演劇や英詩理解の基礎知識、米文学
においては『緋文字』、『ハックルベリー・フィンの冒険』といった、いわゆる「キャノ
ン」が中心に学ばれている。英語学では英語の動詞や英語教育の変遷が研究されている。
アメリカの現代小説に対する学生の関心に応えるため、第二次大戦後の小説を扱う「米文
学研修・演習」を1クラス配することが多い。
(児童文学専攻(博士前後期課程))
分野ごとに基本的な作品や理論を取り上げ、主体的に取組むように演習形式を取りなが
32
梅花女子大学
ら進み、その中で各自がテーマを探り、研究を深められるように、チュートリアルも利用
しながら進めている。「研究・演習」「特別研究」では、伝承、近代以前日本、近・現代
日本、英語圏、ドイツ語圏、フランス語圏の各分野を用意している。「児童文学原論」「児
童文学創作論」は、他大学では見られない特色ある科目である。また、多分野にわたって
「演習」科目を置いていることは全国でも珍しい。
【大学院現代人間学研究科】
(人間福祉学専攻)
キリスト教福祉と女性福祉をベースにおき、本人の希望にあわせ、国際福祉、老人福祉、
障害者福祉、地域福祉、児童福祉、調査・統計等の分野別のカリキュラムを置いている。
さまざまな分野の講義によってバランスの取れた専門性を身につけ、研究実習によって援
助技術の実践、又は調査設計を学んで論文に結実させる。
(心理臨床学専攻)
心の問題の治療や援助に必要な基礎的知識を身につけるための臨床心理学の専門科目を
用意している。学校実習や病院実習、福祉実習を現場で行い、心理臨床の実践に必要な人
間の包括的理解に役立つ臨床心理以外の領域の専門科目を用意している。
豊中と茨木の心理・教育相談センターにおける実習では、基準9-1で述べるように通
常のカウンセリングと遊戯療法のほか、自閉症の集団療育や個別療育も含んでいる。カウ
ンセリングや遊戯療法の対象とする症例の多種多様さ(重症例から軽症例まで)にも特色
がある。また、最近その重要性が認識されつつある発達障害の理解と対応についても、実
践を通して学んでいる。ただ、昨年度、臨床心理士資格試験の合格者は、受験した 15 人中
8 人で、恵まれた条件を充分に活かすことができなかった。
年間行事予定については、新年度に配付する『大学(院)要覧』及び『授業時間割表』にお
いて「学年暦」として学生及び教職員に周知しており、これに加えて、本学ホームページ
においても公開している。この「学年暦」では、入学式・卒業式のほか、授業の開始・終
了時期、追試験・再試験の日程などを明示し、さらには授業回数を数字で明示してシラバ
スと対照できるようにしている。
授業期間については、1年を前期と後期の二つのセメスターに分け、各学期とも全ての授
業において15回の授業を実施できる体制をとっている。また、祝日等の影響により、通常
の暦どおりでは授業回数が確保できない場合については、休日等に授業を行うことにより、
授業時間数を確保している。
年次別の履修科目の上限については、学則では規定していないが『大学要覧』の「履修
の手引き」の項で「年間履修登録単位の上限について」として、1年間の上限を48単位以内
に定めている(卒業年次においては制限なし)。ただし、人間福祉学科の保育福祉専攻及
び介護福祉専攻については、カリキュラム配置等を考慮し、各学年の上限を58単位として
いる(卒業年次においては制限なし)。なお、教職課程や司書課程などを希望する学生に
ついては、これらの卒業要件に含まれない授業科目に限って、上限を超えて履修すること
を認めている。
各年次及び卒業時の学生の質を検証・確保するための方途については、教職課程におい
てのみ、指定科目に合格しなければ次段階へ進めない措置をとっているが、それ以外では
特に規制は設けていない。したがって卒業の要件を満たしていない学生は、最終年次にお
いて留年することになる。また休学した学生については、休学時の学年に復学するものと
して履修指導を行っている。
33
梅花女子大学
卒業の要件については、『大学要覧』の「卒業の要件」の項に、「卒業に要する最低修
得単位数」を学科ごとに掲げている。学生は、入学時及び各年次の新学期始めに行う学科
別オリエンテーションにおいて、これに基づいた指導を受けるとともに、各人がWeb上で
履修登録を行う際に、それらの要件を満たしていない場合に表示される「履修・基本条件
エラー」によってそれぞれの誤りを認識し、それを自ら修正する。そのことによって学生
自身が、卒業の要件を満たしていることを確認することになる。卒業認定については、2
月末に卒業年次生に成績発表を行い、3月の判定教授会において審議している。
大学院の修了の要件については、『大学院要覧』の「履修方法・授業科目及び担当者」
の項において、専攻ごとに「課程修了の要件」を掲げており、3月の大学院委員会において
修了判定を実施している。
過年度生については、前期末で要件を満たした場合に、9月での卒業修了を認めている。
1年間の授業計画及び成績評価方法については授業ごとにシラバスに明記し、あらかじめ
ホームページ上などにより学生に周知している。また、シラバスは全学的に統一されたフ
ォームで作成している。成績の評価基準は、学則において80点以上を「優」、70~79点を
「良」、60~69点を「可」、59点以下を不可とし、「優」「良」「可」を合格と定めている。
成績発表後に学生が成績に疑問を持った場合は、所定の申請用紙により確認の申請ができ
る制度を設けている。なお、教員には平成19(2007)年度から全ての授業において、授業終
了後に受講生の「出席簿」の提出を義務付け、答案等の成績評価の根拠となるものを、授
業終了後も最低1年間は保管するように依頼している。
(2)3-2の自己評価
全学共通科目のキリスト教科目については、入学者数の減少にともない開講クラス数が
減ったため、当初に構想していたような授業提供が実現していないため、現実には各人の
興味に応じた内容を選ぶことができていない。2種類の外国語科目を必修としていることに
ついては、外国語を苦手としている学生にとっては大きな負担になっており、そのために
卒業が遅れる事例もある。
また教養科目については、学生の要望に応えると同時に関心を広げるため、分野別に科
目を編成している。基準4-1で述べるように、科目によっては受講生が殺到し収容教室
をなかなか用意できない場合がある一方で、受講生が基準数に満たないために閉講する授
業もあり、授業科目の編成については今後も検討を続けていく必要がある。それと同時に、
全学生に共通して必要とされるという考えから、教養科目でありながら必修としている授
業科目については、その位置づけが明確になるような工夫が必要である。
【現代人間学部】
人間福祉学科では、基礎的な理解力を養い、各専攻の知識や技術を学び、施設・現場で
の実習を通して実践能力を身につける、というカリキュラム編成を取っており、関連領域
も含めて豊富な授業が用意されている。これらはダブル資格を取得するうえでその内実を
与えるものであるが、上掲「年間学事予定について」の項で述べたように、保育福祉専攻・
介護福祉専攻においては年次別履修科目の上限が他学科よりも多く、学生にとって負担と
なっている。社会福祉士国家試験の合格率は 18%で、全国平均(29%)を下回った。
心理学科では、各年次のニーズ、学習段階に応じてカリキュラムを編成しているが、学
生が自由に選択する科目については、1 年次生が履修できる科目が少なかったため、平成
34
梅花女子大学
20(2008)年度から科目の配当年次を見直した。また体験型の学習と理論的な学習のバラン
スに配慮して授業科目を構成しているが、体験型の授業が学生の興味を惹き積極的な学び
の姿勢を引き出していることから、より生活に即した内容となるよう検討を続ける。
生活環境学科は募集停止となっているため、教員の削減を図りながらも、在籍している
学生の資格取得のためのカリキュラムを保証している。フィールドワークを重視した実践
的な授業を展開したが、こうした魅力を広く理解してもらうことができなかった。
【文化表現学部】
国際英語学科では、当初のカリキュラムを見直し、ほぼ全ての学年に開放されていた選
択必修科目について、平成 20(2008)年度より学年配当を行うことで授業内容の充実を図っ
た。また 4 年次に行う卒業論文・制作・発表の前段階の演習科目を 3 年次に設定したこと
により、言語文化研究に取組む意識が向上することを期待している。
児童文学科では、学生数の減少にともない、多様な授業の全てを毎年開講することは難
しくなっており、必修科目の妥当性やカリキュラムの構造の検討が必要になっている。そ
の一方で、実践的な〈伝達〉や〈創作〉の授業については、段階を踏まえて継続すると同
時に活動を行うために時間的な余裕が求められる。平成 20(2008)年度入学生から幼稚園教
諭免許の取得が可能になったため、幼児教育系科目と文学系科目との関係を検討する必要
もある。この問題は、そのまま改組改編後の心理こども学部こども学科の問題となる。
日本文化創造学科では、1 年次から段階を踏んで基礎から応用へと学んでいけるように
なっており、卒業研究・創作・制作も学術雑誌に発表できるレベルのものも提出されてい
ることから、教育課程の内容がうまくいっていると判断している。しかし編入生、特に留
学生は基礎的な日本語能力が不足しており、多くの専門科目を一時に学ぶことに無理が生
じている。留学生専用の授業を設けるなどの工夫をしているが、留学生の質的な変化もあ
り、対応は充分とはいえない。
情報メディア学科では、五つの分野のうち「ビジネス」分野について早い段階から進路
への関心が高まり、そのことが他の学生に対してもよい影響を与えている。
「簿記」2・3 級、
「JAVA 検定」「MCA セキュリティ」など、各種資格の取得に向けた勉強会が成果を上げ
ており、「てすと君」や「BLIVE」の活用機会も増えている。こうした取組みは、学生か
らは高く評価されているが、通常の授業以外に特定の教員に負担が集中することになって
いる。
【大学院文学研究科】
日本語日本文学専攻では、ほとんどが留学生であるため、彼女らの日本語能力の問題も
あり、日本語学・日本文学ともに研究テーマはそれに合わせたものになることが多い。留
学生はインターネットや先行研究に依存してしまう傾向があるため、参考文献の取扱いに
ついては厳しく指導している。
英語英米文学専攻では、英文学、米文学、英語学の 3 分野にわたる学習と、修士論文に
つながる独自の専門研究、さらに英語論文指導が専攻における教育の三つの柱である。今
後、たとえば映像芸術のような、時代に即した分野への拡張を検討する必要がある。
児童文学専攻(博士前後期課程)では、研究分野が多岐にわたるため、授業内容も多様
であり、専任教員だけでは対応しきれない部分がある。この多様性は院生の視野を拡げる
ことに役立つもので本学の特色であるが、その一方で混乱や過重負担を強いる可能性もあ
35
梅花女子大学
り、院生の状況を踏まえた指導が必要である。
【大学院現代人間学研究科】
人間福祉学専攻では、さまざまな分野を学べるカリキュラムを設けたが、在籍する院生
が 1 人のため、全ての授業がマンツーマンとなり、教育効果が発揮されているとは言えな
い状態にある。
心理臨床学専攻では、教育課程については、体系性・内容ともに満たされていると考え
る。臨床実習については、大人だけでなく、こどもの臨床心理に幅広く対応できる実践的
な実習ができており、院生からも高い評価を得ているが、その一方で授業から取り残され
る者が少数出ている。
年間学事予定は『大学(院)要覧』及び『授業時間割表』、ホームページを通して学内外に
周知している。全授業の15回確保については、平成18(2006)年度から実施している。また、
月曜日の授業回数に関しては、休日等に授業を実施することにより対処している。なお、
授業期間内の「保育実習」のため欠席した人間福祉学科保育福祉専攻の学生に対しては、
特別に期間を設け補講を実施している。さらに、休講に対する補講も完全実施を目指して
いるが、一部においては実施できていないものもある。
履修科目の上限設定・卒業・修了要件は、『大学要覧』及び『授業時間割表』に記載し、
年度始めの学科別オリエンテーションにおいて、学生への周知を図っている。また、履修
科目の上限を設けたことにより、過登録による授業の途中放棄は減少している。修得単位
について不安や疑問を覚えた学生に対しては、各学科の教務委員のほか、学生サービスセ
ンター教務担当や学部事務室の窓口においても相談できる体制がとられている。
卒業・修了判定については、各学科・専攻の教務委員と教務グループ職員が学生ごとに
チェックを行ったうえで、教務委員会及び教授会(大学院は大学院委員会)で厳格に審議
されている。
(3)3-2の改善・向上方策(将来計画)
全学共通科目のキリスト教科目については、基準2-2でも述べたように共通科目委員
会に当該科目の授業担当者を加えることによって議論を進めていく。
外国語科目については、新たな外国語を1年間だけ学ぶことに充分な意義が認められない
ことから、平成22(2010)年度より選択する外国語を2言語選択から1言語選択へと変更し、
余裕をもって学習できるようにする。その措置によって、英語の比重が相対的に増すこと
が予想されるので、授業の内容や評価方法について、英語担当者連絡会議、共通科目委員
会において、より進んだ議論を行う。
初年次教育については、平成 21(2009)年度から教養科目のなかに、将来の進路を視野に
入れながら、大学で学ぶことの基礎を身につける科目として「BAIKA セミナー」を置いた。
これをさらに特化する方向で、来年度より全学共通科目の枠組みに、新たに「キャリア基
礎科目」を設け、授業科目の内容を明確にして提示する。それと同時に、現在、さまざま
な内容の科目が分類されている教養科目「キャリアプランニング」分野について、その分
野の性格を明確にするため授業科目の整理を行う。
【現代人間学部】
人間福祉学科では、平成 22(2010)年度より入学生の募集が停止されるために抜本的な改
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革を行うことができない。当面の対応策として、社会福祉士国家試験については、通常の
授業と試験のための勉強をリンクさせることで受験の便宜を図る。
心理学科では、心理学に対するモチベーションを高めるために、平成 22(2010)年度カリ
キュラムから、選択できる専門科目を基礎科目・応用科目に分け、基礎科目については 1
年次から履修できるようにする。今後に向けて、体験学習型の科目、生活や生きる力に直
結する科目の設定について検討を続ける。
生活環境学科では、平成 20(2008)年度から入学生を迎えていないため、在籍する学生に
対して資格取得を見据えたきめ細かな指導を行う。
【文化表現学部】
国際英語学科では、学生とのコミュニケーションを高める方法について意見交換・情報
交換を行うため、ネイティブの教員も含めたミーティングを学科内で積極的に行う。また
英語と関わる各種資格取得を支援できる授業科目の設定や、選択科目の適切な学年配当に
向けて検討を続ける。
児童文学科では、授業科目の構成、及び「演習」科目と卒業研究・制作等との繋がりに
ついて検討を続ける。心理こども学科への改組にあたり、研究分野の科目と資格関連の科
目との連携を図るとともに、現在の特色ある科目については、継続しつつ新たな仕組みの
なかで調整していく。
日本文化創造学科では、編入生とくに留学生に対する教育課程について、学科内でさら
に議論を重ね、1~2 年のうちに結論を出す。また学生が希望する〈創作〉分野の強化につ
いては、教員スタッフの拡充が望めない中での方策について、学科内で議論を重ねる。
情報メディア学科では、コンテンツ分野の専門技術がメディア機器の進歩により大衆化
しているなかで、有用な人材のあり方や育成の仕組みについて学科内の議論を深め明確化
する。「BLIVE」を通じて、日常的なメディアコミュニケーションを実現するとともに、引
き続き資格取得の勉強会を通して社会的な関心を高め、授業へのモチベーションを高める。
その際、特定教員に負担が集中しないよう、学科内における負担の分散化を図る。
【大学院文学研究科】
日本語日本文学専攻では、留学生については、基礎学力の不足を補うために、学部の授
業を積極的に聴講するよう勧めるとともに、研究に関してさまざまなことを学ぶことがで
きるよう、日本文学に関する論文講読の授業を開講することを検討する。
英語英米文学専攻では、英語文学に触れる機会が減少している院生の状況に対応できる
よう、学生の興味を惹く現代アメリカ文学や、新たなジャンルの設定について、ネイティ
ブ・スピーカーも含めた教員間の話し合いを進める。
児童文学専攻(博士前後期課程)では、特色ある大学院として引き続き専攻の充実を図
る必要があり、その一つとして要望の多い絵本研究の分野の授業を設ける。多岐にわたる
専攻分野があることの利点を発揮することができるよう、教員間の連絡を密にする。あわ
せて専任がいない分野については、非常勤・専任が連携し指導できる態勢を整える。
【大学院現代人間学研究科】
人間福祉学専攻では、各人の希望する研究分野に対応できるよう、多様な分野別のカリ
キュラムを用意したが、平成 22(2010)年度から、人間福祉学科が募集停止となるため、そ
のことを踏まえて本専攻のあり方を検討する。
37
梅花女子大学
心理臨床学専攻では、臨床心理士の資格試験の合格率の向上を図るため、今以上の試験
対策を検討するとともに、カウンセリングの現場への就職させることができるよう、1~2
年かけて支援プログラムを策定する。
年間学事予定の公開については、ホームページなどを活用して保証人にまで周知してい
く。また、授業回数の確保については、これまでどおり全ての授業において15回確保する
ことを前提とし、月曜日の授業確保は休日の開講などをもって対処していく。なお、各種
資格取得に必要な実習については、事前の日程調整により可能な限り授業期間と重複しな
いように勤めていく。さらに休講については、極力行わないことを教員へ依頼するととも
に、休講した場合は必ず補講を実施することを周知徹底していく。
履修科目の上限設定については、今後 GPA 制度を導入し、履修取消期間を設けることや、
成績が優秀な学生を対象に上限を超えて登録できることも検討していく予定である。
卒業・修了判定については、これまでどおり厳格に行っていく。単位の認定については、
授業科目間における成績評価のばらつきについても検証を行い、各授業担当者に改善を促
すことにより、評価の厳格化に努める。
3-3.教育目的の達成状況を点検・評価するための努力が行われていること。
≪3-3の視点≫
3-3-①
学生の学習状況・資格取得・就職状況の調査、学生の意識調査、就職先の企
業アンケートなどにより、教育目的の達成状況を点検・評価のための努力が行われている
か。
(1) 3-3の事実の説明(現状)
学生が本学で学んだことをどのように評価しているかを知るために、平成 20(2008)年6
月、卒業生に対するアンケートを実施した(【資料 3­5】)。アンケートの趣旨と QR コード、
アクセス URL を記した依頼文を平成 18(2006)年度及び 19(2007)年度の卒業生全員に送り、
それぞれが大学 HP にアクセスして回答するという形式である。回答総数は 110 人と多く
はないが、卒業生の意識の一端を知ることができる。110 人の内訳は平成 18(2006)年度の
文学部卒業生 46 人、平成 19(2007)年度の 2 学部体制最初の卒業生 64 人である。
まず、本学で学んだ共通科目(キリスト教科目・基礎スポーツ科目・情報科目・外国語
科目・教養科目)を通して身に付いた内容を問うたのに対しては、次のような回答数を得
た。(複数回答可)
教養・知識
78
職業上役に立つ知識と技術
22
物事を考える多角的な視点
48
自ら課題を立て、解決する姿勢
17
多様な文化の理解
47
論理的な思考力
16
コミュニケーション能力
40
問題解決の技術
8
考え方の柔軟性
38
特に何かが身に付いたとは思わない
3
特に専門的な知識と技術
32
共通科目に関する質問であるため、回答は広い意味での教養・知識に関する項目に集中
している。専門的な知識と技術が得られたとする回答については、この中に情報科目が含
まれていること、また教養科目の中に社会福祉士受験資格取得のための科目のほか、手話
38
梅花女子大学
や書道などが含まれていることによると思われる。
各学科の専門科目を含め、本学で受けた教育内容に対する評価は、以下のとおり。
満足している
39
満足していない
2
どちらかといえば満足している
60
無回答
3
どちらかといえば満足していない
6
「どちらかといえば満足していない」
「満足していない」と感じている者は、こうしたア
ンケートに回答しないであろうことを考慮するならば、この結果を手放しで喜ぶ訳にはい
かないが、本学における教育が卒業生から一定の評価を得ていると判断してよいと考えて
いる。また、卒業後の進路については、以下のようである。
民間企業
60
学部編入/転入または進学
1
福祉施設/保育園(所)
23
専門学校へ再進学
1
就職・進学ともしなかった
7
その他
4
学校/図書館(教員/司書など)
4
無回答
7
回答者の半数以上が民間企業に就職しているが、その一方で福祉施設・保育園などへの
就職者が23人いる。文学部人間福祉学科及び現代人間学部人間福祉学科卒業生の回答総数
が38であり、その3分の2近くが在学中の学びを活かすことのできる就職先を選んでいたこ
とがわかる。
現段階において、学生が本学の授業に対してどのような意識を持っているかについては、
今年度に入って公表された、昨年度後期の授業評価アンケートの分析結果があり、それを
グラフ化したのが以下のものである。(【資料 3­6】)
4.5
教養 (短大)
私
は
こ
の
授
業
に
満
足
し
た
4.4
基 礎 ス ポー ツ
4.3
国際英語
4.2
4.1
日本文化創造
4
3.9
キ リ ス ト教
情報
教職
情 報 メ デ ィア
日本語表現
生活科学
英 語 コ ミュ 心 理
全体
教養
児童文学
外国語
生活環境
人間福祉
3.8
司書
3.7
4.1
4 .1 5
4 .2
4 .2 5
4 .3
4.35
私 は こ の 授 業 に 積 極 的 に 出 席 した
4.4
(注)キリスト教・基礎スポーツ・情報・外国語・教養は全学共通科目。
各学科の専門科目は学科名で示している。教職・司書はそれぞれの資格に関する科目。
教養(短大)・生活科学・英語コミュ・日本語表現は短期大学部開講科目。
これまで、授業評価アンケートの結果については、授業を担当する教員が個別に対応す
ることとしており、学科の授業が総体としてどのように学生から評価されているという視
点での分析は行ってこなかった。今回、公表された分析結果は、授業科目群ごとに学生の
39
梅花女子大学
評価を集計し、全体的な傾向、とりわけ学科の専門科目について学生がどのように感じ、
かつ行動しているかを捉えようとするものであった。ここでは全体的な傾向を見るために、
「私はこの授業に積極的に出席した」
「私はこの授業に満足した」という二つの調査項目の
相関関係を示すグラフを掲げた。数値は、最高の「強くそう思う」を5、
「どちらともいえ
ない」を3、
「まったくそう思わない」を1として数値化したもので、科目群ごとの平均値
をもとに作成している。
授業に積極的に参加すること、授業に満足することすなわち授業内容と教員に対する評
価は見事に比例している。これは、授業に対する学生の期待が満たされておれば、学生に
よる積極的な学びを引き出すことができることを示している。今回の分析結果については
各学科に伝えられ、現在、学科ごとに議論が進められている。
(2)3-3の自己評価
初めて行った卒業生の意識調査であったが、本学における教育について一定の満足が得
られていることは確認できた。しかしながらこの調査の結果を踏まえて次にどのような行
動をとるかはまだ十分に検討できていない。各学部・各学科の教育目的の達成を評価する
ためには、まず学部・学科ごとの点検・評価が必要であり、今回行った意識調査は、本来
なら、そうした点検・評価を補うべきものであろう。各学科の教育内容と関わるさまざま
な資格、たとえば英語検定や漢字能力検定、あるいは MCAS 資格などについては、これま
で各学科がその結果を把握しているとはいえ、それを全体で共有する仕組みを持っていな
かった。資格取得だけが学科の教育目的では決してないが、各学科における教育の成果の
一つの現れと考え、学科内、さらには学部内で今後の取組み方について議論する必要があ
る。その際、FD 委員会で行っている授業評価を通して得られる在学生の意識もあわせて議
論する必要がある。
(3) 3-3の改善・向上方策(将来計画)
教育目的の達成度を向上させるための課題は、当面、三つある。一つめは毎期末に行っ
ている授業評価のアンケートの項目の精査とその分析結果の活用方法である。項目の精査
については現在 FD 委員会で原案を検討中である。また改善のためには、より厳密な評価
を行うことが前提となるため、検討の際には、教務委員会における GPA 制度の導入につい
ても注意を払う。二つめは各学科の学びと直接的または間接的に関係する各種資格試験の
取得状況の把握である。これについては、各学科と生涯学習センターに分かれている前年
度のデータをキャリア支援部が集計し、学長に報告する。学長はこの報告を受けて、部長
会を経て、各部署の問題点を指摘し、年内に改善策を策定させ、翌年度に実行に移す。三
つめは卒業生の満足度及び意識調査の改善である。現在、キャリア支援部が卒業時に行っ
ている進路調査に加えて、全卒業生を対象として専門教育を含む本学教育の学習満足度を
調査し、その結果をキャリア支援部は学長に報告する。学長は部長会を経て教授会に報告
し、各部署の改善策を年度前半に提出させ、各部署はこれを翌年度に実施する。
なお、本学の社会的評価の一端としての就職先の企業アンケートについては、今年度か
らキャリア支援部がその書式を作成し、実施及び整理の後、社会が求める教育のありかた
について、本学の問題点を学長に報告する。学長は部長会を経て教授会に報告し、各部署
40
梅花女子大学
の改善策を年度前半に提出させ、各部署はこれを翌年度に実施する。
〔基準3の自己評価〕
学部・学科、研究科・専攻それぞれにおいて教育課程について工夫を重ね、また運営し
ているとはいえ、本学に入学する学生数や在学生による授業評価の結果から判断するなら
ば、それらの工夫が充分な支持を得ているとは言えない。リクルートが約4,000人の高校生
を対象とした「進学ブランド力調査2008
報告書」(平成20(2008)年)によれば、「卒業後
に社 会 で活 躍で き る可 能 性の あ る大 学か ? 」「将 来 の選 択肢 が 増え る 可能 性 のあ る大 学
か?」といった項目について、今日の高校生の本学に対するイメージは0%に近い調査結果
になっている。このような現状に対して有効な対応策を取ることができなかった原因の一
つは、教育課程におけるさまざまな問題点に対して、大学として組織的な対応ができてい
なかったことである。基準3-3の自己評価において、今回行われた授業評価アンケート
分析結果から、授業を行う教員側の努力や思い入れと、授業を受ける学生側の受け止め方
に大きなズレがあることを指摘したが、大学全体として学生の希望を組織的に吸い上げ、
学生に具体的なかたちでフィードバックしていけるように、組織間の連携を踏まえた取組
みを実現する必要がある。
〔基準3の改善・向上方策〕
上記の調査結果、さらに本学の厳しい現状を考慮し、本学では大幅な改組改編を通して、
学生の要望を吸い上げ教育の充実を図ることにした。そのために、基準2-1の改善・向
上方策で述べたように、資格あるいは就職、さらには女性の生涯というものを強く意識す
る「キャリア教育」を中核にして、社会に積極的に貢献するたくましい女性を育成するこ
とができる教育課程として、平成 22(2010)年 4 月に 2 学部 3 学科を新しく設置する。一つ
は本学にとって全く新しい分野である「看護学部看護学科」
(設置認可申請中)であり、も
う一つは、既存の教育資源を発展的に活用する「心理こども学部こども学科・心理学科」
(設置届出予定)である。この学部・学科は、これまでの本学の現代人間学部人間福祉学
科保育福祉専攻及び心理学科、さらには文化表現学部児童文学科の学びを発展的に統合し、
こどもの問題を共通の基盤とする新たな「学び」への展開を意図するものである。
現代人間学部人間福祉学科の社会福祉専攻・介護福祉専攻、文化表現学部の国際英語学
科、日本文化創造学科、情報メディア学科についても、将来を見据えたキャリアデザイン
に積極的に取組み、自立した女性の育成を目指す学部・学科構成にすべく議論を続けてい
る(「Ⅳ 特記事項」参照)。
教育目標の設定と教育課程の編成に向けた議論は、改組改編によって新たな学部・学科
が生まれたところで終わるものではなく、社会状況の変化のなかで社会や学生の要望は常
に変化するものであり、そうした変化のなかで教育目的・教育課程は常に点検・評価され
るべきものである。繰り返し述べてきたように、本学ではそうした変化への対応が組織化
されておらず、改善の努力が学科や専攻での個別レベルでしか行われてこなかったことに
最大の問題がある。今回の調査・分析、点検・評価の作業を通して明らかになった課題に
ついて、学長を中心に全学をあげて改善の努力を続けていかなければならない。
41
梅花女子大学
基準4. 学生
4-1.アドミッションポリシー(受入れ方針・入学者選抜方針)が明確にされ、適切に
運用されていること。
≪4-1の視点≫
4-1-① アドミッションポリシーが明確にされているか。
4-1-② アドミッションポリシーに沿って、入学者選抜等が適切に運用されているか。
4-1-③ 教育にふさわしい環境の確保のため、収容定員と入学定員及び在籍学生数並び
に授業を行う学生数が適切に管理されているか。
(1)4-1の事実の説明(現状)
梅花女子大学では、平成19(2007)年度に全選考区分を対象としたアドミッションポリシ
ーを学科単位で以下のように作成し、AO入試に活用している【資料4­1も参照】。
(図表4­1­1)
学科(専攻)
アドミッションポリシー
さまざまな問題を抱えた人をありのままに受け入れることができる人。相手を尊重しながら、同じ目線に立って、自
社会福祉専攻
科 学祉 福 間 人
立を支えることができる人。そして、明日の社会福祉を創造する意欲にあふれた人を望みます。
子どもが好きで、子どもの成長発達を見守りながら、必要な支援を冷静な判断のもとにできる人。あわせて一人ひ
保育福祉専攻
とりの子どもの幸福と利益のために、家庭や地域社会にも目を向け、努力を続ける意欲を持つ人を望みます。
未来の自分のために役立つ資格を取りたい人。福祉に関連したやりがいのある仕事につきたいと考えている人。
介護福祉専攻
高齢者の笑顔にほっとし、障がいのある人を見かけるとお手伝いしたくなる、そういう人を望みます。
何事にも好奇心や遊び心をもち、誠実に取組む人。人との関わりを大切にしたい人。赤ちゃんからお年寄り、家族
心理学科
から地域社会、男性と女性など、広く人の心に興味を持ち、さまざまな体験をしたい人を望みます。
専門的に勉強することで英語力を伸ばしたい人、ネイティブ・スピーカー教員の授業が楽しみな人、文化の異なる
国際英語学科
人とのコミュニケーションに関心を持つ人、英語を通して自分の世界を広げる意欲を持つ人を望みます。
絵本や物語などの児童文学に関心を持ち学ぶ意欲を持っている人、子どものための物語や絵本を創作することに
児童文学科
情熱を持っている人、子どもの本や文化を通して子どもたちと触れあうことを求めている人を望みます。
「創りたい」という思いだけで<創造>はできません。広く学び深く考える、そこから新しい文化が生まれます。学
日本文化創造学科
び、考える気持ちを持ち続け、好奇心やチャレンジ精神を持って自分を表現できる人を望みます。
インターネットを使いこなしたい。グラフィックやサウンドを使ったコンテンツ制作をしてみたい。プログラミングを学び
情報メディア学科
たい。情報関連のビジネスに挑戦したい。このように考える人を望みます。
各選考方式の入学者選抜方針は平成20(2008)年度からホームページに掲載しながら募集
活動を展開している【資料4­1】。
(図表4­1­2)
1 AO入試
オープンキャンパス等を通じ出願前に志望学科について学び、本学と相互理解を深めた者を選抜する。
2 推薦入試
学校長の推薦を得た者で、本学が課す基礎適性検査を通じ本学の教育に適合すると判断できる者を選抜する。な
お、選抜には高等学校での成績も加味する。
3 一般入試
本学が課す学力試験において優秀な成績を取得した者を選抜する。
4 センター試験利用
当該年度の大学入試センター試験を受験した者で、本学が利用する大学入試センター試験の教科・科目において
入試
一定の成績を取得した者を選抜する。
42
梅花女子大学
5 チアリーディング
入試
出願以前にチアリーディング活動において優れた実績を持ち、本学において入学後チアリーディング活動と学業を両
立させる意欲がある者を選抜する。
6 梅花ファミリー入試
本学園の卒業生あるいは在学生の4親等以内の親族で、スクールモットーに理解を示し、小論文を通じ大学教育に
ふさわしい能力を有すると判断できる者を選抜する。
7 社会人入試
社会経験を有し、面接・小論文を通じ大学教育にふさわしい能力を有すると判断できる者を選抜する。
8 帰国生入試
海外での就学経験を有し、面接・小論文を通じ大学教育にふさわしい能力を有すると判断できる者を選抜する。
9 指定校推薦入試
本学が指定する高等学校の学校長の推薦を得た者で、人物・学業ともに優れ、入学後、他の学生の模範になると期
待される者を選抜する。
10 学内推薦入試
梅花高等学校長の推薦を得た者で、人物・学業ともに優れ、入学後、他の学生の模範になると期待される者を選抜
する。
12 外国人留学生
入試
本学が課す学力試験・面接において、優秀な成績を取得し、大学教育にふさわしい能力を有すると判断できる者を
選抜する。
13 指定校推薦
編入試験
本学が指定する短期大学等の学校長の推薦を得た者で、人物・学業ともに優れ、入学後、他の学生の模範になると
期待される者を選抜する。
14 一般編入試験
小論文・面接を通じ、大学3年次からの教育にふさわしい能力を有すると判断できる者を選抜する。
15 社会人編入試験
社会経験を有し、面接・小論文を通じ大学3年次からの教育にふさわしい能力を有すると判断できる者を選抜する。
16 外国人留学生
本学が課す学力試験・面接を通じ、優秀な成績を取得し、大学3年次からの教育にふさわしい能力を有すると判断
編入試験
できる者を選抜
本学のAO入試は、オープンキャンパスでミニ授業を行い、後日、丁寧に面談を重ねなが
ら、各学科・専攻のアドミッションポリシーに適した者を選抜している。推薦入試は、高
等学校の評定と本学独自の基礎適性検査の得点から、成績優秀と判断した者を選抜してい
る。一般入試は、本学独自の学力試験の得点から、成績優秀と判断した者を選抜している。
センター試験は、大学入試センター試験の指定する教科や科目の得点から、成績優秀と判
断した者を選抜している。
選抜に当たり、願書受理後の記載事項入力や受験結果の一覧表作成は、複数人が複数回
入カチェックをするなど、細心の注意を払って作業を進めている。合否判定は、入試運営
委員会で原案を作成し、部長会で検討した後に、教授会で審議して最終結果としている。
授業を行う学生数の管理という面においては、本学の定員は、平成 16(2004)年度より入
学定員 635 人、編入学生を含む収容定員は 2,680 人、平成 20(2008)年度からは入学定員
500 人、編入学生を含む収容定員は 2,120 人となっている。在籍する学生数は、【表 F­4】
【表 F­5】のとおり、定員を満たしていない状態にある。
入学定員 500 人とする本学の学生数規模と全学共通科目の開講数、及び学科ごとの入学
定員数と専門科目の開講数を勘案し、授業の適性人数については、
「講義」
「演習」
「実験・
実習」「実技」の授業形態別に下記のとおり 1 クラスあたりの標準人数を設けている。
(図表 4­1­3)
授業形態
講義
演習
実験・実習
実技
標準人数
70~80
15~20
20
40
しかしながら、現実の本学の入学生数は定員を満たしていない状態にあるため、各授業
はおおむね標準人数内で行われているといえる。以下、授業形態ごとに見ていく。
43
梅花女子大学
「演習」については、15~20 人を基準にした小人数で行っているが、全学共通科目である
外国語科目については、30 人前後で 1 クラスを編成している。
「実験・実習」
「実技」につ
いても、小人数で行う授業であることから、標準人数に合うように複数のクラスを設けて
いる。なお、全学共通科目である「コンピュータ実習」については、1 クラス 30~40 人で
行っていることから、TA(Teaching Assistant)を各授業クラスに 1 人配置することにより、
標準人数の超過分に対応するよう努めている。
「講義」については、平成20(2008)年度実績では、全講義科目の86%が80人以下で行わ
れているが、全学共通科目の教養科目群においては、150人以上で行っているものが13科
目ある。その他 については、全ての授業において標準人数以内で授業を実施している。
次に梅花女子大学大学院では、大学院学則第2条【資料F­3】に記す教育目的に基づいて、
実践する各研究科・専攻の取組みを「大学案内」【資料F­2】等に紹介しながら募集活動を
展開している。
大学院の入学者選抜試験では、外国語科目と各研究科・専攻ごとに出題する専門科目の
試験のほかに調査書や面接を加えて合否を判定している。合否判定の原案は専攻ごとに作
成して入試広報部長がこれを取りまとめ、部長会において検討し、その後に大学院委員会
で審議して最終結果としている。
大学院の授業における学生数は、専門性を深めた教育研究の場として、(図表4­1­4)にあ
るような平均クラス人数で授業を行っている。もともとの収容定員に見合った少人数クラ
スが実現できており、クラス数・学生数ともに適切に管理されている。演習系科目の人数
が多いのは、臨床心理学専攻における演習系科目の受講生数の影響による。
(図表4­1­4)
授業形態
講義系科目
演習系科目
平均人数
5.2
7.1
(2)4-1の自己評価
平成19(2007)年度に作成したアドミッションポリシーは、大学全体あるいは学部単位の
アドミッションポリシーと必ずしも連動していない。いわば入学試験用のアドミッション
ポリシーというべき内容の弱さを抱えていた。その利用も、AO入試に関わるオープンキャ
ンパスガイドに掲げた程度で、周知が不十分なものであった。
以上のように、本学ではアドミッションポリシーの周知が不十分であったため、入学者
選抜も方針だけの確認に留まり、アドミッションポリシーとの連関性についての理解が不
足していた。しかし入学者選抜の合否そのものについては、厳正かつ正確な事務処理と合
否判定の原案について入念な審議を行っており、公正かつ正確な選抜を実施している。
授業を行う学生数の管理については、全学共通科目である教養科目の一部において標準
人数内で実施できていないが、これは学生の履修希望を優先することを重視していること
から、人数制限を行っていないためである。ただ、出席調査に多くの労力を要するという
問題もあり、改善が必要である。
一方、受講希望者が極めて少ない授業科目においては、「演習」、「実験・実習」、「実技」
科目については 4 人以下、
「講義」科目については 9 人以下で原則不開講としているが、必
44
梅花女子大学
修や選択必修科目においては可能な限り開講するように努めている。
次に、大学院では、
「大学案内」等に記す各研究科・専攻の紹介文をアドミッションポリ
シーのようなものとして扱うにとどまり、アドミッションポリシーとして明示できていな
い。しかし、入学者選抜試験の合否については、部長会と大学院委員会で十分な審議を経
て、公正な選抜を実施している。ただ、合否判定の原案作りが各専攻に任されている点に
おいて組織的な弱さを抱えており、その組織力の弱さが学部に比べてアドミッションポリ
シーへの取組みが遅れた原因となっている。
大学院開講授業の院生数については、大学院教育の専門性を考慮しつつ、適正な人数に
おいて授業が行われているが、人間福祉学専攻については、平成 21(2009)年度はそもそも
在籍者数が 1 人のみという状況であり、カリキュラム上では 17 科目が開講予定であったが、
そのうち 10 科目が閉講となっている。大学院での教育研究の水準の維持という観点からは
入学者数を確保する必要がある。
(3)4-1の改善・向上方策(将来計画)
アドミッションポリシーの周知については、これまでの反省に基づき、平成21(2009)年
度から、大学としてのアドミッションポリシーや教育目標を明らかにし、なおかつ学部・
学科・専攻のアドミッションポシシーまで定め、
「大学案内」や募集要項などを通じて周知
することで、本学が求めている学生像を明確にしていく(「大学案内」【資料F­2】)。
また、設置認可申請中の看護学部及び設置届出予定の心理こども学部についても、学科・
コースに至るまで同様の作業を終え、ホームページに掲載している「入学者選抜方針」
((図
表4­1­2)【資料4­1】)も、入試運営委員会においてアドミッションポリシーまでを確認して
いる。これにより、募集要項などを通じて、それをよく理解した上での受験を求める態勢
を整えている。
さらに心理こども学部については、実習施設の規模に応じた受入れ可能人数を明らかに
する。もし資格の取得に人数制限が設けられている場合は、入学者選抜試験の際に区別す
ることで、入学後に不利益が生じないようにする。こうした姿勢を明らかにすることで、
本学が担うべき社会的役割と選抜の公平性を保ちながら定員の充足を目指していく。
授業を行う学生数の管理面では、まず多人数科目の出席調査の負担を減らすために、来
年度より、「学生証」の IC カード化による出欠管理システムの導入を計画している。次に
受講希望者が少ない授業科目については、隔年開講などにより、一定の受講生を得るよう
に努めており、今後も継続していきたい。
教育環境を維持・向上させるためには、学部・学科の改組改編を行い、一定数以上の学生
を確保する必要があるが、この点については基準2-3に詳述している。
大学院については、学部での取組みに合わせて、アドミッションポリシーを明らかにし
た(【資料4­1】)。平成22(2010)年度入試より、募集要項などを通じて周知していくように
する。
大学院における合否判定の原案作成をめぐる組織的な弱さについては、各専攻から大学
院入試担当を選出し、連絡会議などを行える体制を整えた。また、研究教育水準を維持・
向上させるための一定数以上の学生を確保することについては、内部進学者を増やすため
の学部における専門教育の充実に努力していく。
45
梅花女子大学
4-2.学生への学習支援の体制が整備され、適切に運営されていること。
≪4-2の視点≫
4-2-① 学生への学習支援体制が整備され、適切に運営されているか。
4-2-② 学士課程、大学院課程、専門職大学院課程等において通信教育を実施している
場合には、学習支援・教育相談を行うための適切な組織を設けているか。「該当なし」
4-2-③ 学生への学習支援に対する学生の意見等を汲み上げる仕組みが適切に整備さ
れているか。
(1)4-2の事実の説明(現状)
学生に対する学習支援は、当然ながら教職員の個々の自覚において行われているが、本
学における組織的な取組みとしては、教務部の教務グループを中心とする正課に関わる学
習支援、学生部の学生支援グループが行う障がいを持つ学生に対する学習支援、教務部の
国際交流グループが行う留学に関わる学習支援、キャリア支援部・生涯学習部が行うキャ
リア教育に関わる学習支援の四つが挙げられる。このうち、キャリア支援部・生涯学習部
が行っている取組みについては、基準4-4で記述することとし、ここではそのほかの三
つの学習支援について記述する。
正課に関わる学習支援の中心は、全学生に対する履修登録指導である。まずシラバスは、
授業目標をはじめ、各回の授業計画、評価方法、使用テキストを掲載する内容で、全ての
授業科目を対象に作成している。学生への公開については、後述する学内ポータルサイト
の CCS(Baika Campus Community System)に載せるほか、Web 履修登録画面から、授
業科目へとリンクして見られるようにもしている。さらにインターネットへの接続手段を
持たない学生への対応として、CD­ROM 版を作成して希望者に配付するほか、学科コミュ
ニティルーム及び学生サービスセンター、学部事務室での閲覧用として冊子版も作成して
いる。
新入生の履修登録指導については、入学式後のオリエンテーション期間中に実施してい
る。具体的には、学科ごとに会場を設け、カリキュラム全体についての説明の後、各学科
の専門科目の履修方法について説明を行っている。また、これとは別に、教職課程や司書
課程などの資格関連科目についての説明会も実施している。さらに、学生の個別の相談に
応じるため、この期間中に複数回の履修相談日を設けている。
在学生については、新年度前の 3 月末に成績配付日を設け、各学科の教務委員から学年
ごとに個別に「成績通知票」を配付したうえで、新年度の「時間割の組み方」について履
修指導を行っている。
上記の期間以外に学生が履修方法についての質問がある場合は、学生サービスセンター
の教務担当窓口か学部事務室で、いつでも相談できる体制をとっている。またクラスアド
バイザー、ゼミの指導教員も個別の相談に応じている。なお、各教員のオフィスアワーに
ついては学科のコミュニティルームなどに掲示されている。
休学から復学した学生、留年生、さらに社会人学生など、個別の配慮を要する学生につ
いても、基本的に上記の枠組みで対応している。社会人学生については、入学者選抜にお
いて特別選考を行っているが、それ以外は特段の配慮はしていない。科目等履修生・聴講
生については、各学期の開始前に受付を行っており、事前の科目選択の検討時点において、
46
梅花女子大学
シラバスを配付するが、それ以外は特段の配慮はしていない。
上記の履修指導のほかに、携帯電話からも閲覧可能な学内ポータルサイトの CCS を活用
して学生に対する学習情報の提示を行っている。授業の休講や補講、教室変更、その他の
情報などが CCS を通じて発信されており、従来は主たる掲示手段であった学内の掲示コー
ナーは補助的な役割に回っている。CCS へのアクセスはインターネットから行い、入学時
に発行されたユーザー名・パスワードを用いる。なお、このユーザー名とパスワードは、
本学の Web メールのユーザー名・パスワードともなっている。この Web メールは、通称
「梅花メール」と呼ばれ、1 年次必修科目「コンピュータ実習 A」で操作方法を学び、卒
業時まで利用できる。学習支援という面では、メールを通じて学生が教員に質問や連絡を
行いつつ、添付ファイル機能を用いてレポート提出もできるようになっている。
さらに CCS 上からは e­Learning システムも利用できる。本学の e­Learning システムは、
平成 17(2005)年度から(株)サンモアテックと共同開発し、平成 18(2006)年度から運用開始
した「てすと君」と呼ばれるもので、インターネットからアクセスし、授業内容に即した
練習問題の提供や、教員から配布されるファイルのダウンロード、学生からはレポートな
どをアップロードできるようになっている。「てすと君」では、とくに平成 21(2009)年度
からは、学科ごとに、それぞれの専門科目への導入教材として作成された初年時教育の学
習教材を提供している。
正課に関わる施設面での学習支援としては PC 教室の開放を行っている。これは、学生
の授業発表準備や各種情報収集の便を図るために授業で使用されていない PC 教室を開放
するもので、学生はユーザー名・パスワードを用いてログインする。学内のパソコンから
は、サーバー上に提供されている個人フォルダ(容量 500MB)を利用することができるよ
うになっており、授業に関わるファイルの保存などに用いられている。また、開放教室で
は、学年ごとに定められた枚数ポイント(1~2 年次 150、3 年次 200、4 年次・院生 250)
の範囲内で自由に印刷することも可能である。PC 教室は時間帯によっては、ほぼ満席とな
る。教室が開放される時間帯は各教室に掲示されているほか、CCS からも確認できる。教
室の開放ということでは、ピアノ練習室・書道教室を利用することもできるようになって
いる。
障がいを持つ学生に対する学習支援は、ボランティアルームが中心になって行っている。
ボランティアルームは、基準4-3に後述する学生部・学生支援グループが管理・運営し
ている。そこで行われている学習支援は、授業時における配慮を要する学生からの要望を
受け、各授業担当者に対して学生ごとに「特別配慮」を要請すると同時に、聴覚障がい者
についてはノートテイカーを募る。応募者には事前のボランティアノートテイク講習会を
実施している。なおノートテイクを行った学生については、教養科目学外研修科目に配当
されている「ボランティア」の単位を時間数に応じて認定している。さらに視覚障害を持
つ学生に備えて、点訳機器もボランティアルームに設置している。
外国人留学生に対する学習支援ならびに留学を希望する学生に対する学習支援について
は、国際交流部が中心となって行っている。外国人留学生に対しては、外国語科目の中で
「日本語」を必修とするほか、文化表現学部の児童文学科や日本文化創造学科においては、
外国人留学生を対象とした授業科目を開設し、日本語及び日本文化の理解を深めるような
工夫をしている。留学生への学習支援については、とくに国際交流部においてチューター
47
梅花女子大学
を募集し、時間割等を考慮しつつ日本人学生が留学生の支援を行えるように外国人留学生
チューター制度を設けている。チューターは授業内容理解の手助け、ノートテイク、課題
レポートの相談など学習活動全般に関する支援を行っており、外国人留学生の留学目的の
達成を図ることができるよう支援している。チューターへの謝金は本学が負担している。
一方、梅花女子大学から国外の教育機関に留学を希望する学生に対する学習支援も、国
際交流部で行っている。本学では、半年・1 年留学、短期研修旅行、実習プログラムの 3
つのプログラムを用意し、学生の留学希望に応じており、その 3 つのプログラムを紹介し
た小冊子を国際交流グループのカウンターなどで配布している。なお、過去 3 年間の上記
3 プログラムの実績は、以下のとおりである。
(図表 4­2­1)
年度
平成 18(2006)年度
平成 19(2007)年度
平成 20(2008)年度
参加数
104 人
52 人
61 人
次に、学習支援に対する学生の意見を汲み上げるシステムとしては、第一に、毎年度前
後期において全学部学科の全授業おいて行っている授業評価アンケートがある。この調査
結果については、全て結果を担当者に通知し、それに対する所見と今後の改善点が必要な
場合は書面での提出を求めており、学生からの意見が一方通行に終わらないように配慮し
ている。これらの調査結果及び教員からの所見などについては、学内向けには学内ポータ
ルサイトの CCS 上で公開している。また、平成 20(2008)年度実施分の授業評価アンケー
トについては、学科ごとに調査結果を分析し、ホームページ上にて学外にも公開した。
その他の学生の意見を汲み上げる手段としては、オフィスアワーの設定とクラスアドバ
イザーの配置、またコミュニティルームの設置による学生と教員とのコミュニケーション
の場の確保などがあげられる。
オフィスアワーについては、全ての専任教員が週一回のオフィスアワーを設け(必要に
応じて随時)、学習面のさまざまな相談にのっている。クラスアドバイザーについては、学
科において学年ごとにクラスアドバイザーを決め、学生との面接を学期ごとに 1 回は行い、
その際の面接記録を残し、学科内でその情報を共有することによって、学生の就学上の問
題・悩みなどを細かく把握するようにしている。
さらに、各学科にはコミュニティ・ルームがあり、学生と教員の交流の場となっている。
ここは、先輩と後輩の交流の場でもあり、学生は先輩や教員から随時アドバイスを受ける
ことが出来る。
(2)4-2の自己評価
教務グループを中心とする正課に関わる学習支援の面では、大学での学習の第 1 歩とな
る新入生の履修登録指導について、教務グループと各学科の教務委員との連携が密接であ
り、学生の自律的な学習活動への支援として十分に機能している。また正課の授業内容を
知らせるためのシラバスについては、全学部・学科共通の様式で統一し、授業科目ごとに
「授業のテーマ」・「授業概要」・「到達目標」をはじめ、1回ごとの「授業計画」、「成績評
価基準」、「質問・相談方法」、「使用テキスト」などを記載することにより、授業選択時の
参考資料として役立っている。さらにシラバスの閲覧方法についても、Web 履修登録画面
上から時間割表と連動して見られるようにしている。また、CCS を通じて授業別または教
48
梅花女子大学
員別に検索できるようになっており、学生へのシラバスの周知という面での学習支援は十
分にできていると思われる。
シラバス様式は全学的に統一できたが、記載内容については教員間でまだまだばらつき
があり、学生からの不満も出ており、この点は改善が必要である。
次に、外国人留学生に対する学習支援の面では、それぞれの所属学科の教員と国際交流
部との連携関係において留学生に対する支援態勢が取られており、チューター制度も活用
されている。また本学から海外へ向けての留学支援の面でも、提携校をはじめとする留学
先との交渉や学生にわかりやすい冊子を発行するなどの国際交流グループの取組みが実を
結んでいる。
学習支援に対する学生の意見等を汲み上げる仕組みの面では、授業アンケートから汲み
上げられた学生の意見に対して、教員個々人による授業改善の努力は図られているが、ア
ンケート結果全体の分析をもとに大学全体で学生の意見と向かい合う態勢には至っていな
い。また、授業の出席状況の把握と連動した学生指導についても、除籍者・退学者の問題
と関連して検討が必要である。
オフィスアワー、クラスアドバイザー、コミュニティルームについては、この三つの取
組みが、学生と教員と大学とのつながりを密接なものとするのに役立っており、最近増加
傾向にある心に問題を抱えた学生の把握に有効であり、さらにはここ数年の退学・除籍者
数の減少に貢献している。しかしながら、オフィスアワー制度の学生への浸透度は十分と
は言えず、またクラスアドバイザー制度についても、熱心さにおいて教員間にばらつきが
ある。さらにコミュニティルームについても、それがうまく機能している学科とそうでな
い学科の二極化が進んでいる点などは検討が必要である。
(3)4-2の改善・向上方策(将来計画)
シラバスの記載面における教員間のばらつきについては、来年度開講科目から模範的な
記入例を授業形態ごとに提示するなどにより、内容・質の向上に努めていきたい。
オフィスアワー、クラスアドバイザー、コミュニティルームについては、クラスアドバ
イザーが教員からのアプローチで成立するのに対して、コミュニティルームとオフィスア
ワーは学生側からのアプローチで利用されるものであり、それらは学生たちの自主性に任
されている。そのために、学生の利用率にも大きな違いがあり、利用しない学生もいる。
その意味で学生と教員間のコミュニケーションを補完するのがクラスアドバイザーである。
今年度から開始した「BAIKA セミナー」は、入学したばかりの 1 年生と学科教員の信頼関
係を築く役割も担っており、その担当者が 1 年次のクラスアドバイザーとして位置づけら
れているため、今後大学、教員と学生との関係をさらに密にするためには、「BAIKA セミ
ナー」を通じて築かれた信頼関係を、オフィスアワー及びコミュニティルームの利用促進
に波及させていく努力が必要である。
除籍者・退学者の問題については、授業を休みがち、あるいは欠席が続いている段階で
把握し対応していく必要がある。各期の授業が開始してからおおよそ 1 ヵ月後に、語学・
体育については非常勤講師を含む全教員に対して、各学科の専門科目については各学科に
対して、学生の欠席状況の調査を依頼している。これらを集約し、問題を抱えている学生
については個別に面談を行い問題解決に努めている。平成 19(2008)年度からは、これとは
49
梅花女子大学
別に、
「欠席等報告カード」を随時、提出できる仕組みをつくり、学生の出席状況の把握の
さらなる徹底を図っている。授業の出席状況の把握と連動した学生指導については、基準
4-1で取り上げた「学生証」のICカード化による出席管理システムの導入と合わせて
検討していく必要があり、来年度からの実施までに方針を立てる予定である。
4-3.学生サービスの体制が整備され、適切に運営されていること。
≪4-3の視点≫
4-3-① 学生サービス、厚生補導のための組織が設置され、適切に機能しているか。
4-3-② 学生に対する経済的な支援が適切になされているか。
4-3-③ 学生の課外活動への支援が適切になされているか。
4-3-④ 学生に対する健康相談、心的支援、生活相談等が適切に行われているか。
4-3-⑤ 学生サービスに対する学生の意見等を汲み上げる仕組みが適切に整備されて
いるか。
(1)4-3の事実の説明(現状)
学生生活に関する事項を統括している組織は学生部である。さらに、学生部と連携して
いる全学教授会の下での学生委員会・学寮委員会、また梅花学園の委員会組織である澤山
奨学金委員会・食堂委員会の 4 委員会がある。学生委員会は、各学科から選出された学生
委員からなり、その活動は厚生補導の全学的な調整や審議及び指導・助言にかかわり、年
間 20 数回の委員会を開催する。学寮委員会は清明寮の管理運営を担当する。澤山奨学金委
員会は澤山奨学金の広報活動及び候補者選出を行う。食堂委員会はキャンパス内の二つの
学生・教職員食堂及びコンビニエンス・ストアーの管理運営を担当する。
これらの諸委員会の事務を所管するのが学生部・学生支援グループである。その職務内
容は、学生の学籍及び学籍異動、学生証・各種証明書類、学生の活動(自治会・課外活動
等)、学生の賞罰、学生の教育研究災害傷害等保険、奨学金、学生ロッカーの使用管理、ス
クールバスの使用管理及び運営、学生のアルバイト、入学式、卒業式・修了式、入学時の
消費者・防犯講座、『大学要覧』等の作成、教育後援会、学生への各種調査・アンケート、
外部業者との契約、等々に関することで、多岐にわたる。加えて、前述の 4 委員会との連
携業務や、学生支援グループに属する保健室、学生相談室及びボランティアルームの運営・
管理を行う。日常的な取組みとしては、喫煙マナーの徹底、トレーニングルームの運営管
理を担当している。また、梅花学園の委員会であるセクシャル・ハラスメント防止に関す
る委員会にかかわる業務も行う。さらに、教育後援会の事務・広報を代行している。
学生に対する経済的な支援については、本学独自の奨学金、日本学生支援機構奨学金、
地方自治体奨学金、民間団体等の奨学金がある。概ね4月上旬に奨学金説明会を開催する
とともに、各種奨学金についての情報提供を学生支援グループから随時行っている。
本学独自の奨学金は、以下のとおりであり、学生たちのさまざまなニーズに合わせた奨
学金が準備されている。
奨学金の種類
対
象
者
澤山奨学金
就学の熱意があるにもかかわらず、経済的理由により就学困難な学生
特別奨学金
突発的な理由による家計の急変により就学が困難な学生
50
梅花女子大学
奨学金の種類
梅花学園貸与奨学金
梅花学園特待生奨学金
梅花女子大学教授会奨学金
対
象
者
卒業見込みはあるが、経済的理由により就学困難と認められる学生
入学時の成績優秀者の学生
教授会独自の奨学金であり、就学の熱意はあるが、経済的理由により就学が困難な学生
上表の「梅花学園特待生奨学金」では、チアリーディングに特化し、入学前のチアリー
ディング活動の業績を評価し、入学時に経済的支援を行っているものもある。
また、私費外国人留学生に対しては授業料減免制度があり、所定の手続により認められ
た外国人留学生には、学費の半額相当の金額を減免し、留学生が勉学に専念できるように
サポートしている。
本学におけるクラブなどの活動については、現在のところ体育会(12 部、3 サークル、
1 同好会)と文化会(21 部、3 サークル)となっている。クラブなどへの学生の登録者数
は、延べ 347 人であり、全学生数 1272 人の約 27%である(平成 21(2009)年 5 月期の調査)。
体育系クラブのチアリーディング部の活動は特に目覚ましいものがあり、昨年度開催され
た第 1 回 IFC ワールドカップ優勝など国内外のチアリーダーズ競技では常勝の活躍を見せ
ている。最近では新しい競技であるキンボール部が関西の中心的存在となって活躍してい
る。こうしたクラブ活動を資金的に支えているのが、学生自治会費(約 150 万円)と教育後
援会費(約 375 万円)であり、コーチ費用、遠征費用、練習場費、大会参加費、会場費等
に当てられ、クラブ員の経済的負担の軽減につながっている。
クラブ員たちで構成するクラブフェスティバル委員会は、年間行事として 4 月当初のオ
リエンテーションの期間中に新入生勧誘を目的としたクラブフェスティバルを開催し、ク
ラブの活動を紹介したさまざまなポスターを学内に掲示して部員獲得活動を行っている。
また国内外のコンテストにおいて常勝の成績を上げているチアリーディング部に関して
は、学園の幼稚園、中学そして高校のチアリーディングクラブも含めて、活動を組織的に
サポートする梅花チアリーディングクラブ後援会がある。
学生に対する健康相談、心的支援、生活相談等については、保健室と学生相談室がある。
この両施設と学生支援グループとが連携を取りながら、学生が心身ともに健康で明朗な快
活な学生生活を送ることができるように適切なサポートを行っている。
保健室は、学生の健康管理について、常駐する看護師が中心になって健康上の一般的な
指導や相談を行っている。看護師は 2 人で、月曜日から金曜日は 9:00~18:00 まで、土
曜日は 9:00~16:20 まで開室している。利用者は、内科的なものでは風邪症状や体調不
良(めまい、疲労感)が多く、傷症状では外傷や打撲ねんざが多くなっている。また身体
の健康管理にかかわる保健室であるが、精神的な相談事もかなりの件数になる。
(詳しくは、
【表 4­8】を参照)また、保健室には、体脂肪率測定器、体重計、血圧計などを常備し、
学生たちの日ごろの健康管理に役立てることができるようにしている。全学生を対象とす
る春の健康診断も保健室を中心に実施している。
学生相談室は、学生の心の健康管理・相談を行っている。担当職員(カウンセラー)は 4
人で、月曜日から金曜日は 9:00~18:30(火曜日のみ 10:40~16:00)まで開室して
おり、緊急を要する場合をのぞき予約制で対応している。相談内容は、学業、進路、家庭、
生活、交友等に関わる心理相談が主である。相談の延べ件数は1ヵ月あたり 50~150 件。
51
梅花女子大学
多い月は前期の 4 月から 7 月と後期の開始時期の 10 月となっている。また、本学の学生
相談室は、ハラスメントの相談受付窓口の一つとなっている。
学生サービスに対する学生の意見等を汲み上げる仕組みについては、自治会との連携が
ある。本学では、学生は自治会に属し、自治会の役員は有志たちによって構成され自治会
を管理・運営している。自治会は前期後期の年 2 回の学生総会を開催し、クラブ、自治会
及び小梅祭実行委員会の予算と決算の審議・承認を行う一方で、大学各部署と教職員の業
務及び授業等に関するアンケートを行い、自治会からの要望書としてまとめ、それをもと
に大学側との回答会において、クラブ活動、バス運行、授業等さまざまな点の改善要求を
行っている。
学生たちによるアンケート調査とは別に大学主体の学生生活満足度調査を定期的に実施
している。これは、郵送による調査方法をとり、無作為に抽出した約半数の学生たちが無
記名にてアンケート項目に応えるかたちのものである。この結果を受け、各部署では学生
サービスについて検討している。
上記の他に、学生の意見を汲み上げる仕組みとしては、CCS 上に設置されている掲示板
もある。この掲示板には、学生からの学習や大学生活上の質問や、大学施設・設備への意
見や苦情などが寄せられ、時には学生間での意見交換の場ともなっている。
さらに基準4-2に既出のクラスアドバイザー制度は、学生の学習支援ばかりでなく社
会生活・キャンパス生活などに関する意見・苦情を直接汲み上げることができるシステム
としても機能している。
(2)4-3の自己評価
学生サービス及び厚生補導の組織に関しては、学生支援グループと学生委員会及びその
他の各種員会が設置され、適切に機能している。特に学習支援を必要とする学生及び最近
増えつつある心的支援を必要とする学生に対しては、学生支援グループ(ボランティアル
ーム、保健室と学生相談室)、教務グループとクラスアドバイザーとの連携をとり、支援
を必要とする各学生を適切に支援している。
学生に対する経済的な支援に関しては、学内奨学金には成績優秀者に対するものと経済
的に困窮している学生に対するものがあり、また家計支持者の死亡あるいは災害罹災等の
緊急時に対するものと、卒業時の貸与型の奨学金が用意されている。これに加えて、学外
からの奨学金、日本学生支援機構奨学金や民間団体・地方自治体等によるものもあり、十
分な経済的支援が行われている。
学生の課外活動に関しては、本学の立地的・時間的な制約の中で、クラブ活動を活性化
するのに苦慮している。キャンパス利用の時間的な制約は、避けられない問題である。具
体的には、キャンパスへの出入りは、バスの運行時間と密接にかかわっており、9:00~18:00
が基本である。それ以後、または日曜日・祭日のキャンパス利用は事前の届け出が必要と
なっている。以上の時間的な制約は、安全警備の上から致し方のないものとなっている。
同様にキャンパス内では活動が行えず、学外の施設を借りて活動を行わざるを得ないク
ラブがある。
健康相談、心的支援、生活相談等に関しては、保健室と学生相談室が中心となって、学
生に対応しているが、学生サービス、厚生補導のところで述べたように、心的支援を必要
52
梅花女子大学
とする学生に対しては、必要に応じて教務グループ、当該学科長、クラスアドバイザーと
密接な連携を取り、学生が健全な学生生活を送れるよう支援できる態勢にある。
学生の意見を汲み上げるシステムとして、学生が主体となる自治会からの要望書、学生
が自由に書き込めるCCS掲示板、そしてクラスアドバイザー(オフィスアワーとコミュニ
ティルーム)と三つの異なったチャンネルを持ち、十分に機能しているといえる。
(3)4-3の改善・向上方策(将来計画)
学生数の減少が深刻化している中で、キャンパスを活気あるものとし、充実したキャン
パス生活のために、クラブ活動の活性化が必要である。現在クラブ活動を活性化する奨励
制度としては、梅花学園同窓会からのクラブ奨励金と創立記念日に際して、年度内に顕著
な活動結果を示したクラブを奨励している。これは間接的な活性化策であり、積極的な活
性化を図る必要がある。現在、学校行事にクラブの参加を依頼しており、たとえば、入学
式の最後にマンドリンクラブの演奏を行っており、式典後の会場外では吹奏楽の歓迎演奏
もある。また、Photo 部は本学のさまざまな行事の撮影をし、本学ホームページ上で公開
している。このような機会をさらに増やすことによってクラブの活性化を後押しできる。
小梅祭(大学祭)へのクラブの参加はもとより、ゼミ単位での参加等を積極的に働きかけ
ていく。クラブの活性化及びキャンパス生活の活性化について、学生委員会において検討
し、今年度を試験的期間として実施していく。
また、入学者の多様化により心に問題を抱えた学生の数が増加しており、心的支援の方
策及び危機管理の方法を検討する必要がある。現在、心的支援の中心となっているのは、
学生相談室と保健室であるが、必要に応じて学生の属する学科の学科長やクラスアドバイ
ザーに連絡を取り対応しているが、そのシステム化が急務であり、学生委員会において今
年度中にマニュアルを作る。
4-4.就職・進学支援等の体制が整備され、適切に運営されていること。
≪4-4の視点≫
4-4-① 就職・進学に対する相談・助言体制が整備され、適切に運営されているか。
4-4-② キャリア教育のための支援体制が整備されているか。
(1)4-4の事実の説明(現状)
本学における就職・進学支援等は、キャリア支援部を中心に行う授業外の教育・支援活
動と、授業内で行うキャリア教育に大別される。キャリア支援部は、部長の下に担当スタ
ッフ 5 人を配置している。相談助言体制の特徴は、5 人の担当スタッフによる学科担当制
である。これによって、学生と相談スタッフの関係を密にし、キャリア支援部と学生との
間に信頼関係を構築した上で、以下のような面談・助言を行っている。
① 個人面談の実施(3 年次の 8 月~10 月)
担当スタッフが、3 年次生全員を対象に 1 人あたり 20 分の個別面談を実施する。卒業後
の希望進路、それに対する準備状況の確認(就職模試受験の有無、就職サイトへの登録、
就職資料室の利用方法など)を行い、就職活動までの準備と就職活動のタイムスケジュー
ルを提示し、就職意識を向上させることを目的とする。
② 個別進路指導(3 年次の 11 月~進路決定まで)
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梅花女子大学
3 年次生への個人面談時に「履歴書準備シート」
(書類選考対策ワークシート)を配布し、
全員に課題を与え、就職準備意識を喚起する。学科担当者は「履歴書準備シート」の質問
項目に的確に回答できるまで、何度も提出させ、アドバイスを行って返却する。このよう
な懇切丁寧な「履歴書」記入の個別指導を通じて、学科担当者と学生が信頼関係を構築し、
あわせて学内外の業界セミナー、合同企業説明会や学内の OG 懇談会への参加を促し、業
界や仕事内容への理解を深めさせ、進路の方向づけを行うと同時に、実践的な面接講座の
受講も促す。「履歴書準備シート」未提出の学生には電話連絡を行う。
学科担当者は、毎月定期的に担当学生に連絡し、エントリー状況や受験状況などの進捗
状況を確認するとともに、書類選考や面接選考で不合格となった学生に対して模擬面接を
実施し、マナーも含めた不合格の原因を明らかにしていく。以上のキャリア支援部の活動
は、キャリア支援部を訪れた学生に対する面談利用件数で表すことができる。
年度
平成 18(2006)年度
平成 19(2007)年度
平成 20(2008)年度
利用者数
6,103 件
7,197 件
5,960 件
なお、キャリア支援部では上述の学生に対する支援と平行し、保証人に対しても、専門
講師によるセミナーを開催し、就職活動の現況や学生本人への助言のあり方についての説
明を行っている。さらに、3・4 年次生の保証人対象に、6~9 月の期間に月 2 回、キャリ
ア支援部からメールマガジンを定期的に配信している(希望者のみ)。
授業を通じてのキャリア教育は、平成 20(2008)年度以前までは一部の学科でキャリア支
援教育が行われていただけで、全学的な取組みは実施されていなかった。しかし、平成
20(2008)年度入学生から、教養科目に「キャリアプランニング」分野を置いて本格的にキ
ャリア教育を導入し、その学年進行と平行して整備を行っている。
まず平成 20(2008)年度入学生に向けては、キャリアプランニング分野に職業観育成を目
指す「キャリアデザイン」を必修科目として置き、2 年次生となった平成 21(2009)年度
から、社会人基礎力やスキルの向上を目的とした「コミュニケーションスキルアップ」
「ビ
ジネス実務論」「簿記入門」「キャリア形成」を選択科目として開講している。
平成 21(2009)年度入学生からは、「スタディ・ライフ・バランスの充実」をスローガ
ンとする「BAIKA セミナー」を 1 年次前期の必修科目として開講して、生活・学業両面か
ら学生を支援し、大学での学びとキャリア教育の第1歩としている。「BAIKA セミナー」
では、入学生が教員やクラスメイトと信頼関係を築けるように、また学業面において自ら
のキャリアを開発するという意識が持てるように、本学独自に作成した全学共通のテキス
トと、ニンテンドーDSi を学習・情報機器として導入して授業を行っている。このように
1・2 年次生に向けて、就職に対する意識向上や、そのためのキャリア形成に対する支援教
育に積極的に取組みを始めている現状である。
上記とは別のキャリア関連教育には、インターンシップの単位化が挙げられ、キャリア
支援部を窓口として、男女共同参画社会を考える行政機関へのインターンシップ実習など
を含めた本学単独型のインターンシップを春期・夏期にわけて実施している。また、公募
型のインターンシップへの参加も促している。インターンシップについては、実習時間が
30 時間以上の場合は 1 単位、60 時間以上の場合は 2 単位として、教養科目の学外研修科
目(卒業要件単位内)として単位認定している。本学学生のインターンシップの出願者数
ならびに実習参加数は以下のとおりである。
54
梅花女子大学
2006 年度
2007 年度
2008 年度
出願者数
16
12
20
実習参加者数
11
12
17
インターンシップ実習については、インターンシップ用の自己紹介書・対象企業研究シ
ートを応募書類として面接を実施して選考を行い、事前事後指導を必修としている。事前
指導では情報リテラシースキルやビジネスマナーなどを指導し、事後指導では実習内容を
プレゼンテーション形式で報告させている。
キャリア支援部による学生へのキャリア支援としては、上記のインターンシップ実習に
加え、各学年に応じたキャリアガイダンスを開催して、学生自身が自己を見つめ、将来の
目標を発見できるように指導をしている。ガイダンスの内容は、仕事やライププランニン
グに関する知識や、就職への心構えや自己分析から資料請求、会社訪問にいたるまでの知
識を教育するとともに、社会で活躍するプロを招いての「マナー講座」や「模擬面接講座」
を行うなど、学生の就職活動を実践的にサポートしている。
他に正課外のキャリア教育支援としては、生涯学習センターのブラッシュアップ講座が
ある。この講座は授業外のものとして開講しており、キャリア開発、資格取得、就職サポ
ー ト の 一 環 と し て の 役 割 を 担 っ て お り 、 平 成 20(2008) 年 度 に は 「 秘 書 検 定 講 座 」 や
「MOS(Microsoft Office Specialist)講座」など 10 講座が開かれている。これらの講座は
おおむね各種検定の対策講座として開かれている。平成 20(2008)年度学内試験場を設けて
実施した検定試験は、
「TOEIC®IP」
「TOFEL®ITP」
「日本漢字能力検定」
「Microsoft Office
Specialist」
「ファイリング・デザイナー検定(2・3 級)」
「電子化ファイリング検定(B 級)」
の 6 検定で、受験者申込数は 690 人にのぼった。
(2)4-4の自己評価
就職・進学に対する相談・助言体制の面では、面談件数は年度ごとの学生数に比例して
いるが、学科担当スタッフによる個別支援を徹底していることから、学生からのキャリア
支援部への信頼性は高くなってきている。面談以外では、採用選考時期の 4 年次には、学
科担当者から定期的に全ての学生へ個別にメールあるいは電話によって連絡をとり、就職
活動の進捗状況の確認や求人情報の提供などを行い、就職活動を停滞させないように常に
努めている。しかし、学生の多様化にともない職業観醸成の必要性がある学生、定期的な
連絡に応じない学生への対応は、今後の課題である。
キャリア教育の面では、平成20(2008)年度からカリキュラム内にキャリア教育を導入し、
平成21(2009)年度入学生からは、1年次必修科目「BAIKAセミナー」、2年次必修科目「キ
ャリアデザイン」を開講したことにより、低学年次からの職業観醸成に対応できる体制が
整えられた。しかし、現3・4年次生については、カリキュラム上でのキャリア教育が行わ
れておらず、課外でのサポート体制の整備が急務である。
(3)4-4の改善・向上方策(将来計画)
職業観醸成の必要性がある学生、定期的な連絡に応じない学生への対応については、平
成 21(2009)年度から開講した「BAIKA セミナー」のほか、平成 22(2010)年度から 2 年次
生の必修科目として「キャリアデザイン」を開講し、学生の多様化に応じたキャリア教育
55
梅花女子大学
を行っていく。サポート体制の整備という面では、学生のキャリアの指導とは無関係であ
ると考えている教員も少なからずいるため、教員全てが学生一人ひとりのキャリア指導に
責任を持たなければならないという考え方を浸透させていく。
「就職率」
「進路決定率」
「就
職満足度」といった具体的な指標を用いて、学生のキャリア支援に対して各教員が自己点
検を行うことができる機会を設ける予定である。
また、教員によるキャリア指導を充実させるために、学部、学科、ゼミといった各ユニ
ットにおいて、それぞれの教育内容が学生のキャリアにいかに役に立つかを具体的に考え
る機会を設ける。具体的には、2 年次と 3 年次の春に、学生に「エントリーシート(将来
計画書)」を作成させ、教員がキャリア支援部の協力を得ながら、学生の将来目標を踏まえ
た履修指導、生活指導、また資格取得指導を行うことを平成 21(2009)年よりスタートさせ、
今後発展させていく。
インターンシップの取組みとしては、就業体験というキャリア教育を外部の事業所に任
せるだけでなく、教育機関である本学内でのインターンシップ実習について平成 21(2009)
年度からの実施を始めた。平成 21(2009)年度には、夏休みにキャリア支援部の他、入試広
報部におけるインターンシップが行われる予定である。
昨今の就職環境の変化である「求人の早期化」「厳選採用」「人物本位の採用」の傾向に
対して、キャリア支援部では、
「 求人の早期化」に対しては「キャリアガイダンスの前倒し」、
また「厳選採用」
「人物本位の採用」に対しては、卒業生のロールモデルを明確にし、それ
を踏まえたキャリア指導を平成 22(2010)年度から予定している。
〔基準4の自己評価〕
本基準では、学生の自律的な学習活動に対する組織ごとの支援体制について述べてきた
が、ここでは、本学全体の視点からの自己評価を記しておきたい。大きな視点から見れば、
本学では、入学者選抜の時点から本学独自の選抜方針を打ち出し、入学後の学習支援につ
いてもシラバスの充実や履修指導の徹底などが着実に行われており、生活面での支援では
各種奨学金などの制度を整備し、学生相談室の運営も行われている。また昨今の就職難の
状況に対応すべく、キャリア支援の態勢も年々強化してきているところである。
しかしながら、以上の取組みは、残念ながら、入試広報部、教務部、学生部、キャリア
支援部といった個々の部署での取組みの域を脱しておらず、本学全体を横断する有機的な
取組みと言えるまでには至っていない。
〔基準4の改善・向上方策〕
各項目の事実の説明及び自己評価に記したように、本学での組織ごとの取組みはそれぞ
れに効果的に機能し始めているが、基準4の自己評価に記したように、その取組みを全学
的な取組みとして機能させるために、それぞれが挙げている成果ではなく、むしろそれぞ
れが抱えている問題点を共有することのできる体制作りが必要である。具体的には、入試
広報部、教務部、学生部、キャリア支援部の各部長及び各部署の GM(グループマネージャ
ー)が連絡関係を築き、そこで提出された問題点を連携的に解決していく体制作りが必要で
ある。しかし、これは別段新たな組織が必要なわけではなく、連絡調整が主である現行の
GM 会議において、各部署の問題点の共有と問題点の解決策の検討を定例議題として継続
56
梅花女子大学
的に審議する。そして GM 会議で議論された各種問題に対する解決策を、各グループが共
有できるようにマニュアル化し、それを総務部長が部長会にあげて大学全体に周知する。
このような組織的取組みを、今年度後期から始めていく。
57
梅花女子大学
基準5. 教員
5-1.教育課程を遂行するために必要な教員が適切に配置されていること。
≪5-1の視点≫
5-1-① 教育課程を適切に運営するために必要な教員が確保され、かつ適切に配置され
ているか。
5-1-② 教員構成(専任・兼任、年齢、専門分野等)のバランスがとれているか。
(1)5-1の事実の説明(現状)
本学の教員組織は、【 表 F­6】に示すとおりである。専任の教員数は 70 人であり、大学
院を含めた大学設置基準上必要専任教員数 70 人を満たしている。各学部の教員数について
も、いずれも基準数を超えており適切に配置している。また専任教員の中、教職課程に 2
人、司書課程に 2 人がそれぞれ兼務している。非常勤講師は 140 人で、全学共通科目(キ
リスト教科目、基礎スポーツ科目、情報科目、外国語科目、教養科目)及び専門科目を担
当している。
大学院には学部専任教員の36人が兼担し配置されている。文学研究科は21人、現代人間
学研究科は15人で、それぞれの設置基準上必要専任教員数15人、10人をいずれも充足して
いる。また非常勤講師は9人である。
開設授業科目において専任教員が担当する授業の割合は、以下のようになる。
(図表 5­1­1)
学部・学科・専攻
人間福祉学科
現代人間学部
文化表現学部
専兼比率(%)
社会福祉専攻
65.44
保育福祉専攻
64.34
介護福祉専攻
72.49
67.21
64.07
心理学科
64.53
生活環境学科
49.75
国際英語学科
95.24
児童文学科
73.33
日本文化創造学科
63.94
情報メディア学科
56.00
全学共通科目
70.89
38.52
教員構成における専任・兼任の割合は上に示すとおりである(【表F­6】も参照)。専門教
育科目について専任教員の担当する比率は現代人間学部が64.07%、文化表現学部が
70.89%で、学部により差はあるが、専任教員の担当する比率は比較的高い。ただ情報メデ
ィア学科については、各分野のスペシャリストを非常勤講師として招いている科目が多い
ため、他の学科よりも比率が低くなっている。教養教育にあたる全学共通科目については、
専任教員の担当する比率は38.52%と低く、非常勤講師に依存する割合が高くなっている。
これは、専任教員だけでは多分野にわたる授業をカバーできないことに加えて、全学共通
科目の情報科目と教養科目「キャリアプランニング」分野の一部を特化して外部に委嘱し
ているためである。
年齢別構成は【表5­2】に示すとおりで、51歳以上の教員が39人、55.7%と高い割合を占
めている。職階について見ると、教授は50歳代以上が32人(教授の74.5%)、准教授は40
58
梅花女子大学
歳代が7人(准教授の43.8%)、講師は30歳代が6人(講師の60%)となっており、年齢と
職階との対応関係が見られる。これを学部別に見ると、現代人間学部では各年齢層に分散
しているのに対して、文化表現学部では51歳以上の教員が24人(64.9%)で、そのほとん
どが教授となっている。文化表現学部では教員の年齢層が高く、かつ教授の割合も高い。
男女比は【表5­1】に示すとおりで、現代人間学部では女性教員がやや多いが、文化表現
学部では男性教員が4分の3近くを占める。大学全体では男性が42人(70%)、女性が28人
(30%)で男性の比率が圧倒的に高い。階層別に見ると、教授は男性の割合が高く、准教
授・講師・助教は女性の割合が高い。
(2)5-1の自己評価
教育課程を運営するために必要な教員数は確保しているが、年齢構成や階層構成はバラ
ンスを大きく欠いている。文化表現学部において年齢層が高くて教授の割合も高いのは、
18歳人口急増期に、文学部の教学を充実するために採用した教員がそのまま年齢を重ねた
ためである。一方、現代人間学部は、先行する文学部人間福祉学科が平成9(1997)年に、人
間科学科が平成12(2000)年に開設され、それらを拡充して平成16(2004)年に開設された。
そのため、女性を含む広い年齢層の女性教員が新たに採用され、男女比率、年齢構成とも
にバランスが取れている。
しかしながら基準4-1で述べたように、入学生数が定員を大きく下回っている現状に
おいて、専任教員数が多いにも関わらず専任担当科目の割合が低い現代人間学部について
は、効率がよいとは言えず、改善策を早急に立てる必要がある。文化表現学部も入学生数
が定員を大きく下回っており、早急な改善策が必要であることについては同じであるが、
専任教員の年齢層が高いことから、定年退職等により教員構成を大きく変えていくことが
可能となる。
(3)5-1の改善・向上方策(将来計画)
基準5-2で述べるように、採用については、欠員が発生すれば補充するというかたち
で対応しており、昇格については勤務年限と業績等に基づいて審議・実行されるため、現
状をすぐに改善することは困難である。しかしながら基準2-3の改善・向上方策(将来計
画)および「Ⅳ 特記事項」で述べるように、本学では平成 22(2010)年に学部・学科の改
組改編を予定しており、それを通して教員構成のアンバランスを改善していかなければな
らない。現代人間学部は平成 22(2010)年度より募集を停止し、現代人間学部心理学科の教
員は、設置構想中の心理こども学部心理学科の教員として配属し、また、現代人間学部人
間福祉学科の保育福祉専攻を中心とする教員と、文化表現学部児童文学科の教員を、心理
こども学部こども学科の教員として配属する予定である。残る人間福祉学科教員と、文化
表現学部の児童文学科以外の教員は、更なる改組を通じて新たな学部・学科に配属される
予定であるが、その構成については現在、検討されているところである。その際、定年等
による教員の退職と合わせて、各学科の教員構成が大きく変わると同時に、男女比率や年
齢構成についても改善される予定である。
5-2.教員の採用・昇任の方針が明確に示され、かつ適切に運用されていること。
59
梅花女子大学
≪5-2の視点≫
5-2-① 教員の採用・昇任の方針が明確にされているか。
5-2-② 教員の採用・昇任の方針に基づく規程が定められ、かつ適切に運用されている
か。
(1)5-2の事実の説明(現状)
教員の採用・昇任については、教授会の審議事項を定めた梅花女子大学学則第 48 条第 2
号「教員人事に関する事項」に基づき、「梅花女子大学教員任用・昇格審査基準」を定め、
教授、准教授、講師、助教の審査基準を明確にしている。本学学則第1条では「キリスト
教精神に基づいて人格の形成に努め」と掲げており、教員の採用にあたっては、本学の建
学の精神を尊重し、キリスト教主義教育に協力できる者という条件を付している。
教員の採用・昇任に関わる規程は、
『梅花学園規程集』の「就業規則」
・
「教職員任免規則」、
梅花女子大学の「梅花女子大学教員人事審議規程」(以下a)・「梅花女子大学人事審査委員
会規程」(以下b)・「梅花女子大学教員任用・昇格審査基準」により定められている。
(図表5­2­1)<専任教員の任用に関する人事の流れ>
《学科》
公募原案の作成
《教授会》
《部長会》
公募要領を教授会に提案
公募
公募終了後
応募書類の検討お
よび候補者の推薦
人事審査委員会の設置
《人事審査委員会》
《理事長》
候補者の審査・報告
審議・議決
任用
専任教員の採用については、専門分野及び年齢構成・職階を部長会が勘案し、当該学科
が公募原案(要領)を作成する。それを部長会において検討し、教授会の議を経て公募が
行われる。同時に教授会は人事審査委員会を設置する。応募者より提出された履歴書等の
公募書類は、学長より学部長を経て、当該学科の検討に委ねられる。人事審査委員会は、
学科より推薦された候補者の審査を行い、その結果を教授会へ報告する。教授会は報告に
基づいて、無記名投票により議決する(a第5条)。人事審査委員会の議決、及び教授会の議
決は、いずれも出席者の3分の2以上同意を必要とする(a第2条、b第7条)。教授会の審議
の後、理事長は常務理事会の同意を得てその人事を行うことになっている。
(図表5­2­2)<昇格人事の流れ>
《学科》
昇格候補者の推薦
《部長会》
《教授会》
審議後、教授会に推薦
人事審査委員会の設置
《人事審査委員会》
《理事長》
昇格候補者の審査・報告
審議・議決
昇格
昇格については、各学科で昇格候補者を推薦し、部長会の審議を経た後、教授会に推薦
して人事審査委員会を設置する。人事審査委員会は推薦された候補者の審査を行い、その
結果を教授会へ報告する。教授会は報告に基づいて審議し議決するが、議決は出席者の3
分の2以上同意を必要とするのは採用人事と同じである(a第2条、b第7条)。教授会の審議
60
梅花女子大学
の後、理事長は常務理事会の同意を得てその人事を行うことになっている。
非常勤講師の採用については、上述の専任教員の採用の流れから人事委員会を省略した
方式をとっている。ただし全学共通科目の担当者については、学科から人事を起こすこと
ができないため、基準2-2で述べたように、部長会が学科に代わる役割を果たすことに
なっている(a第7条)。
(2)5-2の自己評価
教員の採用・昇任については、規程どおりに運用されている。採用については、欠員が
発生すれば補充するというかたちで対応していることから、基準5-1で述べたバランス
の悪さを是正するに至っていない。非常勤講師の採用については、時間的な制約が大きく
規程どおりに運用するのが難しい場合があり、その際は教授会が部長会に審議を委ねるこ
とによって対応している。
(3)5-2の改善・向上方策(将来計画)
基準5-1で述べたように、新規に採用する教員の専門分野については、平成22(2010)
年度より予定されている改組改編によって、必要とされる分野を常務理事会及び部長会に
おいて慎重に検討する。この改組改編に合わせて採用・昇任に関する各種規程を修正する
必要が生じる可能性があるが、採用・昇任の方針を明確にするという趣旨に反しないよう、
部長会及び学則委員会において迅速に検討する。また新学部・新学科への移行期間におけ
る人事の運用については、部長会において調整を行う。共通科目の人事の進め方について
は、現行の方式でも可能であるが、基準2で述べた教養科目の責任体制とかかわる問題で
あり、共通科目委員会の議論を踏まえて部長会で検討する。
5-3.教員の教育担当時間が適切であること。同時に、教員の教育研究活動を支援する
体制が整備されていること。
≪5-3の視点≫
5-3-① 教育研究目的を達成するために、教員の教育担当時間が適切に配分されている
か。
5-3-② 教員の教育研究活動を支援するために、TA(Teaching Assistant)・RA
(Research Assistant)等が適切に活用されているか。
5-3-③ 教育研究目的を達成するための資源(研究費等)が、適切に配分されているか。
(1)5-3の事実の説明(現状)
専任教員の1週あたりの担当授業時間数は【表5­3】のとおりで、週10時間を責任授業時
間数としている。本年度の全体の平均は11.4時間であり、その中で、教授の平均は11.6時
間、准教授の平均は12時間、講師の平均は10.8時間である。
大学・大学院を合わせた専任教員の授業担当時間は以下の(図表5­3­1)のようになる。10
時間の責任授業時間数を満たしていない教授が多いのは、役職者の責任授業時間数が2時間
少なく設定されていることと、特別専任教授等が含まれており、その責任授業時間数が週6
時間(特任A・B)ないしは8時間(特任C)と少なく設定されているからである。
61
梅花女子大学
(図表5­3­1)
授業時間数
教授
准教授
講師
助教
計
15~
8
3
1
­
12
10.5~14.5
17
10
5
1
33
10
3
1
2
­
6
~9.5
15
2
2
­
19
専任教員には、授業の他に学生指導や委員会業務などがあり、その負担のバランスが取
れるよう、適切に配分するよう配慮しているが、実情は、一部の教員に担当する授業数や
委員会業務が偏るところがある。
TA(Teaching
Assistant)については、全学的なものとしては、必修の情報科目「コ
ンピュータ実習」
(情報メディア学科を除く)の各授業において、情報メディア学科から推
薦された学生 1 人を配している。このTAは、いわば先輩としての立場で授業の補助を行
うもので、受講する学生にとっても質問しやすい存在となっている。
生活環境学科では、住居インテリア分野の支援のためにTA2人をおくことにしている。
この分野の科目は実習・実技の向上が最も重要であるとの観点から、担当教員の指導の下
で、TAによる緻密な指導を行うべく設けたものであるが、入学生数の減少にともない、
授業規模が小さくなったために、現在は行われていない。
情報メディア学科では、全学生にノートPCを貸与し、情報科目を履修しない代わりに、
1年次に履修する「オフィスアプリケーション」「情報メディア基礎演習」などの科目にお
いて、コンピュータの基本操作からホームページ作成、画像処理の方法などを学んでいる。
それらの授業では、上位学年の学生1人がTAとして加わり教員の指導を補うことによって、
受講生の知識や技術の修得を援助している。この方式は、授業を円滑に進めると同時に、
学生間の学年を超えた交流を促すうえで効果を発揮している。
教員の研究費については、平成 20(2008)年度の専任教員個人研究費は 1 人当たり 30 万
円(特任は 20 万円)である。学会出席や資料収集等に係る研究旅費、研究用図書費などに
使用できる。この個人研究費については、年度始めに研究計画書の提出を求めて計画的な
執行を促すと同時に、前年度の研究結果報告書の提出も求めている。さらに専任教員の積
極的な教育研究活動を支援するために研究助成制度があり、個人に交付する「研究助成(1
件 20 万円以内)」と、共同研究に交付する「プロジェクト研究助成(1 件 30 万円以内)」、
さらに研究成果の幅広い公表を促進するための「自費出版助成(1 件 100 万円以内)」もあ
る。これらの研究助成制度は、1 人当たり 30 万円の個人研究費とは別枠であり、研究に対
する教員のインセンティブを高めるための制度である。
(図表5­3­2)<研究助成制度、過去3年の申請件数と採用件数と総金額>
現代人間学部
文化表現学部
大学合計
2006 年度
申 請件 数
3
採 択件 数
申 請件 数
採 択金 額
申 請件 数
採 択件 数
採 択金 額
7
1,400,000
10
10
2,000,000
プロジェクト研 究 助成
3
3
900,000
3
3
900,000
自費出版助成
2
2
2,000,000
2
2
2,000,000
12
12
4,300,000
15
15
4,900,000
計
3
3
600,000
採 択件 数
7
研究助成
3
採 択金 額
600,000
62
梅花女子大学
現代人間学部
文化表現学部
大学合計
2007 年度
申 請件 数
採 択件 数
2
採 択金 額
採 択金 額
申 請件 数
採 択件 数
採 択金 額
6
1,200,000
8
8
1,600,000
プロジェクト研 究 助成
3
3
900,000
3
3
900,000
自費出版助成
4
4
3,022,900
4
4
3,022,900
13
13
5,122,900
15
15
5,522,900
計
2
400,000
採 択件 数
6
研究助成
2
申 請件 数
2
400,000
現代人間学部
文化表現学部
大学合計
2008 年 度
申 請件 数
採 択件 数
3
研究助成
2
採 択金 額
申 請件 数
400,000
プロジェクト研 究 助成
自費出版助成
計
採 択件 数
採 択金 額
申 請件 数
採 択件 数
採 択金 額
3
2
400,000
6
4
800,000
2
2
600,000
2
2
600,000
1
1
820,500
1
1
900,000
2
2
1,720,500
4
3
1,220,500
6
5
1,900,000
10
8
3,120,500
(2)5-3の自己評価
教員の教育担当時間については、個々の教員が置かれている状況を見ると、担当授業数
や委員会等の業務が集中している者がいる一方で、担当授業数・委員会等の業務ともに比
較的余裕のある者がいることも事実である。業務を平準化していくためには、大学全体の
組織のあり方や教員の勤務条件と合わせて議論を重ねる必要がある。
TAについては、情報メディア学科の学生がTAとなることは、受講する学生を援助す
るだけでなく、TAとなっている学生自身が成長する効果も生まれ、授業進行だけでなく、
授業に対する学生の満足度を高めるうえでも効果を発揮しているといえる。
教員に配分される個人研究費については、幅広く自己研究に使用することができるもの
で、研究支援という意味では望ましい制度といえるが、コンピュータ関連機器などへの偏
った使用も散見される。一方、希望者が申請する研究助成制度については、申請者が固定
する傾向がある。また科学研究費補助金等の外部研究費についても、限られた教員だけが
申請を行っているため、獲得件数は少ない。
(3)5-3の改善・向上方策(将来計画)
教員の委員会等大学運営に関わる業務量や責任授業時間数については、改組改編の作業
を進めるなかで見直しを検討しなければならないが、このことは本学だけの問題だけでは
なく、梅花学園の「就業規則」の改訂に及ぶ可能性もある。
研究助成制度については、もっと幅広い教員、とりわけ若手教員からの申請を促す必要
がある。その研究成果の公表方法については、報告書提出や学内紀要への掲載だけでなく、
各種学会等での公表を求める議論が理事会においてなされている。科学研究費補助金の申
請件数を増加させることについては、今年度の事業計画に掲げ、各学科長を通じて申請を
促すことになっている。
5-4.教員の教育研究活動を活性化するための取組みがなされていること。
63
梅花女子大学
≪5-4の視点≫
5-4-① 教育研究活動の向上のために、FD等組織的な取組みが適切になされているか。
5-4-② 教員の教育研究活動を活性化するための評価体制が整備され、適切に運用され
ているか。
(1)5-4の事実の説明(現状)
平成 16(2004)年改組時に設けられた教員及び事務職員からなる自己点検・評価運営委員
会は、その後平成 17(2005)年 1 月より、FD(Faculty Development)活動に特化した FD
委員会と本来の自己点検・評価運営委員会へと発展した。FD 委員会では教育内容の向上の
ために、毎年度前後期における全学部学科の全授業を対象に、受講生への授業評価アンケ
ートを実施している。各授業の調査結果については担当者に通知し、これに対する所見と
今後の改善点につき、書面での提出を求めている。調査結果及び教員からの所見などにつ
いては、学内向けに CCS(Baika Campus Community System) 上に公開している。また、
平成 20(2008)年度後期分については学科ごとに調査結果の分析を行い、その詳細は基準3
―3に述べたとおりである。
このほか、平成19(2007)年度には、学部におけるFD義務化をにらみ、全教職員を対象に
「FD義務化と本学における今後の取組み」と題する研修会を開催し、現状認識を共有する
とともに、意見交換を通じて今後の方向性について検討した。
教員の教育研究活動を評価するしくみとして運用されているものは、現状では次の二つ
である。一つは学園に対して研究助成を申請した者に対して、助成の対象とするか否かに
ついて、研究テーマの独自性、研究成果への期待が評価される。その際、研究成果が、学
生に対する教育に反映されうるものであるか否かも判断の目安となる。平成 20(2008)年度
においては、翌年から導入することになっている初年次教育のための教科書作成及び刊行
のための共同研究も対象となった。もう一つの教員に対する評価は、昇格等の人事審査に
おいて、所属学科、人事審査委員会等において、業績数と内容、及び学生指導における役
割等が評価されている。
(2)5-4の自己評価
本学における FD 活動については、授業評価アンケートの実施は着実に定着している。し
かし、その分析結果を細かく検討し、本学の教育の向上に関する問題点を全学的に共有す
るシステムとはなっていない。アンケートへの対応は、教員個々人による授業改善の努力
だけでなく、アンケート結果全体の分析を踏まえて、学生の意識や授業評価を汲み上げ、
教育研究活動に反映させるために組織的に取組むものでなければならない。今回行った全
体的な分析は、そのための第 1 段階の作業である。
教員の教育研究に対する評価については、事実の説明に記した程度であり、十分なもの
とは言えない。
(3)5-4の改善・向上方策(将来計画)
本年度は授業評価アンケートの結果の詳細分析を行い、その結果を踏まえて各学部、各
学科において議論する。また、受講生からの満足度の高い授業などをピックアップして公
開授業を実施するなどの取組みを行う予定である。基準3-3で述べたように、アンケー
64
梅花女子大学
トの項目の見直しが必要となっており、今年度後期の調査に向けて、FD委員会にて検討を
行う。
また、将来的には現行のFD委員会を発展させ、現在行っている授業評価だけでなく、キ
ャリア形成を見据えた授業形態を考えるなどの活動を担う部署として、「FD開発センター
(仮称)」の設置を検討するために、調査研究を行う。
次に教員の教育研究活動に対する評価については、基準5-3にも述べたように、前年
度の研究報告及び当年度の研究計画の提出を義務づけるだけでなく、研究業績を全体とし
て把握し評価する仕組みを作る方向で、今年度より検討を始める。
〔基準5の自己評価〕
教育課程を遂行するための教員構成については、文学部時代の教育課程における教員構
成の影響が残り、バランスを欠いた状態にある。そのような状態で現在の教育課程を運営
していくために、一部の教員に仕事が集中する構造になっていると言わざるをえない。
研究費等の配分については、公平に行われ等しく研究条件が保障されているが、それに
基づいて行われる研究結果を把握し評価する仕組みが整えられていないことは、教育研究
活動を活性化する要因を欠いたぬるま湯状態にあることを意味する。そうした体質の改善
がまず必要である。
〔基準5の改善・向上方策〕
教員構成については、来年度から予定されている改組改編を通して是正していくことに
なるが、教員の授業担当時間の片寄りについては、すぐに改善することは困難だと思われ
る。しかしながら、教育担当時間の多い教員が積極的に研究活動を行おうとしていること
を考えると、まず、研究業績を把握する仕組みを機能させることが、教育研究活動を活性
化させる第一歩だと言える。今年度については、全教員のこれまでの研究業績を改めて提
出させ、今後、継続的にその追加・修正を行う。そのうえで、教育活動や学内行政などを
含めた教員評価の体制づくりにむけた検討を、学長を中心に進める。
65
梅花女子大学
基準6. 職員
6-1.職員の組織編制の基本視点及び採用・昇任・異動の方針が明確に示され、かつ適
切に運営されていること。
≪6-1の視点≫
6-1-① 大学の目的を達成するために必要な職員が確保され、適切に配置されているか。
6-1-② 職員の採用・昇任・異動の方針が明確にされているか。
6-1-③ 職員の採用・昇任・異動の方針に基づく規程が定められ、かつ適切に運用され
ているか。
(1)6-1の事実の説明(現状)
事務組織に関する規程は、学園全体の事務組織に関する組織、職制及び事務分掌につい
て定めた「学園事務組織基本規程」(【資料 6­1】)を根幹とし、法人事務局の運営に関して
定めた「法人事務局組織運営規程」(同上)及び女子大学・女子大学短期大学部の運営に関し
て定めた「大学組織運営規程」(【資料 2­5】)からなっている。
本学の事務組織編成は、【資料 6­1】の梅花学園事務組織図のとおりであるが、管理部門
の事務は総務部であり、法人事務局総務部と女子大学・女子大学短期大学部総務部を兼務
している。教学部門の事務は、女子大学・女子大学短期大学部の業務を兼務しており、入
試広報部、学生部、教務部、宗教部、キャリア支援部、図書館情報センター、生涯学習部
となっている。なお、職員の配置は下表のとおりである。
【職員配置人数表】
平成 21(2009)年 5 月 1 日現在
専任職員(正規)
部
署
名
内
管理職
非正規
常勤嘱託
職員
特任嘱託
職員
臨時
雇用者
計
派遣
職員
総務部
14
4
2
1
1
1
19
入試部
7
3
­
­
­
2
9
学生部
4
1
1
1
4
­
10
教務部
8
2
2
­
1
1
12
宗教部
1
­
­
­
1
­
2
キャリア支援部
3
2
2
­
­
1
6
図書館情報センター
7
2
2
­
5
­
14
生涯学習部
3
­
­
2
1
6
福祉実習支援室
­
­
­
2
­
­
2
大学院心理・教育相談センター
­
­
­
6
4
­
10
学科所属
­
­
­
­
4
­
4
47
14
9
10
22
6
94
50.5%
100%
計
正規・非正規比率
49.5%
66
梅花女子大学
【職員退職数推移】
年度
専任
常勤嘱託
特任嘱託
臨時雇用
計
派遣
2006 年度
6
0
3
11
2
22
2007 年度
3
2
2
15
8
30
2008 年度
2
3
3
7
6
21
【職員採用数推移】
年度
専任
常勤嘱託
特任嘱託
臨時雇用
計
派遣
2007 年度
1
3
5
11
10
30
2008 年度
0
3
3
13
6
25
2009 年度
0
1
1
5
0
7
【職員配置人数表】において、正規の比率が49.5%に対し、非正規は50.5%で、雇用形
態が多様化していることを示している。また、職員の退職者の推移と採用者の推移を見る
と、専任職員の退職に対し、非正規職員で補充していることを示している。
職員の採用に関しては、職員組織のスリム化及び学園財政とのバランスを図り、退職に
よる減少に対して必ずしも補充することは行わず、専任職員の採用数を抑制し、業務内容
に応じて有期の非正規の職員を雇用している。採用までの手順は、各部署からの要望を勘
案し、人事グループが一括してインターネット上で公募し、雇用形態に応じて書類審査、
筆記試験、面接を実施している。昇任・昇格に関しては、職員人事考課制度の運用ができ
ていないが、職員人事考課制度要領の資格等級基準書を参考にして昇任・昇格を実施して
いる。異動に関しては、基本は5月から7月の期間に、各部署からの要望及び業務遂行の効
率性等を勘案して実施しているが、結果的には長期的に特定業務、特定部署に携わってい
る職員がいるのも事実である。
職員の採用・昇任に関しては、梅花学園の「教職員任免規則」「役職者任免規則」によ
り定められている(【資料6-2】)。採用については、専任職員は、所属長が法人事務局長と
協議のうえ、常務理事会に申請し、理事長が行っており、有期の職員は、法人事務局長と
所属長の協議に基づく申請により、理事長が行っている。昇任については、総務部長が所
属長及び法人事務局長との協議に基づき常務理事会に申請し、理事長が常務理事会の審議
を経て行っている。昇格については総務部長が法人事務局長と協議し、理事長が常務理事
会の審議を経て行っている。異動に関しては、
「 就業規則」の中で記載されているのみで(【資
料6-3】)、特に規程はないが、先に述べた方法で、理事長が常務理事会の審議を経て行っ
ている。
(2)6-1の自己評価
正規の専任職員の退職に対する補充は、非正規の有期雇用の職員である常勤嘱託職員、
特任嘱託職員、臨時雇用者、派遣職員等で業務内容に応じて行っており、雇用の多様化に
より、事務体制が雇用条件の違う職員で構成されるようになった。業務のマニュアル化が
進んでいない上に、雇用条件がそれぞれ違うため、業務分担や職場環境に問題が生じてい
67
梅花女子大学
る。たとえば、学生等の個人情報に関わる業務に対し、有期職員の責任範囲が、どの範囲
の業務まで関わることができるのか明確にしておらず、整備されていない。また、雇用が
1 年ごとの契約期間としているため、責任の高い長期的な業務を担当させにくい面があり、
一部の専任職員の業務負担が増大している。
【表6­1】の正職員合計に対する年齢別の割合で示されているように、30歳代から50歳
代は均等ではあるが、20歳代の専任職員が2.1%と極端に少なく、将来の学園を担う人材が
不足している。
(3)6-1の改善・向上方策(将来計画)
事務組織を合理化し、統廃合及び事務体制の一部部門の業務委託化を検討する。学園財
政の収支バランスを図るためにも、今後も専任職員の人員数を減らし人件費を抑制する。
そのためには部署ごとにコアとなる専任職員を育成し、コアとなる専任職員が中心となっ
て判断業務を担い、常勤嘱託職員、臨時雇用者、派遣職員等による有期雇用の職員で日常
業務を担う体制へと整備する。同時に各部署の業務マニュアルを作成し、専任職員と有期
職員の業務分担、責任範囲を明確にして整備する。また、学園が求める職員像を明確に掲
げ、人事グループが主体となって中長期的な人事計画を策定することに取組む。採用につ
いては、抑制しつつも、組織の活性化を図るため、将来の学園を担う新卒者の採用をはじ
め、コアとなる人材の補充については、短期的には即戦力としての学校経験者の中途採用
や、中長期的には研修等により人材育成を行う。
6-2.職員の資質・能力の向上のための取組み(SD等)がなされていること。
≪6-2の視点≫
6-2-① 職員の資質・能力の向上のための研修、SD等の取組みが適切になされている
か。
(1)6-2の事実の説明(現状)
職員の能力向上・開発への取組みとして、外部へのSD(Staff Development)研修等に参加
する者へは自己啓発の支援として経費補助を実施しており、平成20(2008)年度の実績は、
京都コンソーシアム大学職員セミナー、全国学生相談研修会、日本学生支援機構研修、私
立大学図書館協会研修会等42件で延べ人数83人であった。また、平成20(2008)年度は日本
私立大学連盟主催のキャリアディベロップメント研修に1人を参加させた。
平成20(2008)年12月、平成21(2009)年2月には外部講師を招き、2日間で延べ人数45人の
若手職員に対して、現状認識を深め、改善を志向する人材育成の研修を実施した。
(2)6-2の自己評価
日本私立大学連盟主催のキャリアディベロップメント研修への参加、若手職員に対する
外部講師による研修を通じ、現状の認識を深めることができた。また、部署間を越え、横
断的なコミュニケーションが取れるようになった。しかし、一方で、学園が求める職員像
が明確にされておらず、体系的な育成計画が実施されていない。また、資質向上について
各人に任せているため、個人差が生じている。自己啓発等の研修に参加しても、そこでの
研修の成果が個人にとどまっているだけで、共有するためのシステム化が必要である。
68
梅花女子大学
(3)6-2の改善・向上方策(将来計画)
若手職員には、現状認識を深め、改善を志向するための集合研修を実施するとともに、
自立した人材への育成、コミュニケーション能力の資質を高める研修を人事グループで体
系化し実施する。さらに、自らの知識、スキルを深めるための自己啓発等の研修に参加し
た成果を、それぞれの部署で共有するための方策として、報告書の有効的な活用をシステ
ム化する。
6-3.大学の教育研究支援のための事務体制が構築されていること。
≪6-3の視点≫
6-3-① 教育研究支援のための事務体制が構築され、適切に機能しているか。
(1)6-3の事実の説明(現状)
本学において、学生の学習支援については基準4で記述しているが、教育研究支援に関
わる事務組織は、教務部、図書館情報センター及び、経費、科研費申請、教授会運営等教
育研究の後方支援的業務として、管理部門である総務部が担う体制である。科研費等に関
わる事務については、文部科学省のガイドラインにより、競争的資金等の運営・管理を行
うために、下記図の実施体制をとっており、適正な運営を心がけている。
【競争的資金等に係わる事務組織と各部署の関係図】
最高管理責任者
モニタリング
(学長)
不正調査部
兼
通報(告発)受付窓口
統括管理責任者
(学長補佐)
経費管理責任者
(庶務グループGM)
経費管理担当者
(庶務グループ職員)
不正防止計画推進部
総務部長
モニタリング
納品検査責任者
(庶務グループ職員)
学内監査責任者
(財務グループGM)
学内監査担当者
(財務グループ職員)
兼
事務処理手続きに関する相談受付窓口
モニタリング
学 内 監 査
使用に関するルール等の相談受付窓口
(2)6-3の自己評価
本学には、教員の研究支援のための専門部署はなく、総務部庶務グループ職員及び財務
グループ職員の数人が事務担当をしており、外部からの競争的資金等の事務に精通してい
る事務職員が少数である。そのため、教員からの問い合わせに対して、一部の事務職員し
69
梅花女子大学
か対応できず、教員への研究支援が十分に出来ているとは言いがたい。外部からの競争的
資金等を獲得していくことは重要で申請数も増加すれば、現状の体制では対応しきれない
事態が予想される。
(3)6-3の改善・向上方策(将来計画)
研究支援の事務体制については、多数の事務職員が競争的資金等の事務に精通するため
に研修会の開催や、競争的資金等の申請を推進するための委員会を発足させる。また、将
来的には、教員の研究支援の専門部署を設置する。
〔基準6の自己評価〕
職員の人事に関する規程や手続は整備されているが、学園としてどのような人材を求め
育成するかが明確となっていないため、学園方針に基づいた人事計画が実施されていない。
専任職員の退職の補充は、学園の財政面を優先し、正規の専任職員の採用を抑制しており、
業務内容に応じて非正規の有期雇用の職員(常勤嘱託職員、特任嘱託職員、臨時雇用者、
派遣職員等)で行っている。その結果、雇用形態の多様化が進み人件費の抑制は図れては
いるが、一方で雇用形態ごとに業務マニュアルが整備されてないため、雇用形態の違いに
よる責任の範囲が明確にされておらず、正規の専任職員との業務分担や職場環境に問題が
生じている。職員研修についても、体系的な研修を実施しておらず、計画的な人材育成が
できていない。また、外部の研修に参加し専門的知識を得ているが、個人に留まっている
ことが多く部署内等で共有されていないため、資質向上に個人差が生じている。部署や業
務によっては正規の専任職員と非正規の有期職員との業務内容に差異がないのは、正規の
専任職員に対して計画的な人材育成研修を実施していないためである。
〔基準6の改善・向上方策〕
学園財政の収支バランスを図りながら、今後も採用については正規の専任職員の人員数
を抑制し、非正規の有期職員で補充する。そのためにも雇用形態の多様化に対応できるよ
うに、短期的には正規の専任職員と非正規の有期職員との業務の責任範囲、業務分担等を
人事グループにおいて明確にしたものを作成する。正規の専任職員はコアとして育成し、
主として判断業務を担い、非正規の有期職員で定例的な日常業務を担う事務体制へと整備
する。また、中長期的には人事グループを中心に事務体制の統廃合による合理化と一部業
務の外部業者への業務委託化を行う。
今後の学園が求めるコア人材は、業務を担うための専門知識を習得した、経営マネジメン
トのできる自立した人材である大学職員アドミニストレーターとし、大学職員アドミニス
トレーター育成を目標として、人事グループにおいて若手職員には中長期的な人事計画と
あわせて、昨年度実施した集合研修をベースに、体系的な育成プログラムの研修を構築し、
中堅職員には自らの知識、スキルを深めるための自己啓発等の研修への参加を促進する。
また、大学職員アドミニストレーターへの育成を主旨としている職員人事考課制度を運用
することは有効であり、実施へ向けて全職員の理解を深めるよう努める。
70
梅花女子大学
基準7. 管理運営
7-1.大学の目的を達成するために、大学及びその設置者の管理運営体制が整備されて
おり、適切に機能していること。
≪7-1の視点≫
7-1-① 大学の目的を達成するために、大学及びその設置者の管理運営体制が整備され、
適切に機能しているか。
7-1-② 管理運営に関わる役員等の選考や採用に関する規程が明確に示されているか。
(1)7-1の事実の説明(現状)
法人の管理運営は、「学校法人梅花学園寄附行為」(以下、「寄附行為」、【資料 F­1】)及
び「学園事務組織基本規程」(【資料 6­1】)、
「学園業務運営委員会規程」
「職員会運営規程」
など組織運営に関する諸規程(【資料 2­5】)に従って行われる。
教学の管理運営は、
「大学組織運営規程」(【資料2­5】)、梅花女子大学学則及び梅花女子
大学大学院学則(【資料F­3】)に従って行われる。
法人事務局は「法人事務局組織運営規程」(【資料6­1】)の規定により、法人事務に加え
て大学の総務部を兼ねる体制になっており、教学の管理運営も担っている。その機能や運
営方法などは同規程に定めているとおりである。なお現在、法人事務局長が法人事務を所
管する総務部長を兼務しているため、法人事務局長が法人と大学の総務部業務を統括して
いる。
理事会は、「寄附行為」第 12 条の規定により法人の業務の意思決定を行い、理事の職務
執行を監督する。なお、理事会の開催状況は【資料 7­1】のとおりである。
監事は、「寄附行為」第 17 条の規定により、法人の業務及び財産の状況を監査し、これ
らの状況について理事会・評議員会に報告する。監事の執務については、基準8-1で述
べるが、平成 20(2008)年度においては、監事監査、文部科学省主催の監事研修会のほか、
拡大常務理事会、定時理事会、評議員会などに出席している。
評議員会は、「寄附行為」第 25 条の規定により、予算や事業計画などの重要な事項につ
いて理事長から諮問を受ける。評議員会の開催状況は【資料 7­1】のとおりである。
法人全般に係る業務の執行方法を協議し、理事会から委任された事項を審議する機関と
して常務理事会を置いている。常務理事会は原則として毎週定例的に開催され、その機能
を果たしている。さらに予算・決算に関する事項、将来構想など特に重要かつ学外の学識
や知見を集めての審議が相応しい場合は、定例常務理事会に財務担当等学外理事を加えた
拡大常務理事会を開催することにしており、数ヵ月に1度の割合で招集されている。
役員等の選考や採用に関しては、「寄附行為」において、理事の選任は第6条、監事の選
任は第16条、評議員の選任は第27条で規定されている。理事の内、学園長は、「寄附行為」
第31条で規定されており、理事会において理事総数の過半数の議決を得て選任される。女
子大学長兼女子大学短期大学部学長の選任は、
「女子大学長兼女子大学短期大学部学長選任
規則」「女子大学長兼女子大学短期大学部学長選任規則取扱細則」(【資料2­3】梅花女子大
学学内規定集)に規定されており、理事会は選出された学長候補者につき審議し学長を決定
し、理事長が任命する。高等学校長、中学校長、幼稚園長は理事会における理事総数の過
半数の議決を経て、理事長が任命する。
71
梅花女子大学
(2)7-1の自己評価
法人と教学は、それぞれ「寄附行為」と学則等に従い適正に管理運営されている。
理事会、監事及び評議員会はその開催状況又は執務状況に見るとおり、
「寄附行為」の定
めに従い、法人の運営について審議・決定し、業務や財産の状況を監査し、あるいは理事
長が諮問する事柄について真摯に審議し、それぞれの機能を十分に果たしている。
法人全体に関わる業務執行方法を協議する機関としての常務理事会は、ほぼ毎週開催さ
れ、法人と教学の連携、さらに大学・短大部と校地を異にする高校・中学・幼稚園との連
携が比較的密になっている。各学校の行事や高大連携等の諸事業の調整、予算統制や人事
面の諸問題等についても全学園的視野で協議できる環境といえる。
また、管理運営に関わる役員等の選考や採用は、規程が明確にされており(【資料7­4】)、
適正に運用されている。
ただし、学園経営の最重要事項について、学外の学識や知見を集める趣旨の拡大常務理
事会の開催状況については、当初月 1 回程度を目標としていたことから考えると、現状は
十分とは言えない。また、基準6-1で述べたように、法人事務局が大学の総務部を兼ね
る体制を採っているため、両者間の業務上の整合性を図ることができるという利点はある
が、その一方で、総務部の業務が複雑になり職員の負担が大きすぎる傾向がある。加えて
法人事務局長が負う責任も過大となり過ぎている。
(3)7-1の改善・向上方策(将来計画)
学園経営の要とも言える常務理事会の更なる活性化が今後の課題である。日常の問題点
等については各設置学校長から近況報告がされるなど、その下地はあると考えられるが、
外部の学識や知見を集めることなどの積極的な取組みが、常務理事会をより活性化させる
と考える。拡大常務理事会の定期的開催などを図る。
また、法人事務局総務部が抱える課題については、法人事務局でその業務内容及び分担
について検討を進め、法人の業務と大学の管理運営業務とを明確に仕分ける。さらに後者
の事務責任者を配置することを通して、法人事務局長の負担軽減を図り、業務執行上の問
題解決を図る。
7-2.管理部門と教学部門の連携が適切になされていること。
≪7-2の視点≫
7-2-① 管理部門と教学部門の連携が適切になされているか。
(1)7-2の事実の説明(現状)
「寄附行為」第 7 条に、理事長は「この法人を代表し、その業務を統理する」と規定さ
れ、同 31 条第 2 項では、学園長は「全学園の教育を統理する」と規定されている。
さらに、常務理事としての学長及び法人事務局長は、同第 8 条第 3 項に「理事長を補佐
し理事会の議決に従い、この法人の業務を分掌する」と規定されている。
教学部門との連携を図りながら、大学の管理運営を担っている機関は、常務理事会であ
る。
常務理事会は原則毎週 1 回開催されるが、学長は、教授会等で審議された学事に関する
重要事項を仔細に報告し、法人の代表者である理事長と教学の統括者である学園長との連
72
梅花女子大学
携をとりつつ教育活動を統括している。また、法人事務局長は常務理事として、大学運営
と法人事務の円滑な推進等の観点から助言する体制を採っている。
なお、常務理事会は平成 19(2007)年 3 月に、教学との連携を図りつつ学園全体の改革を
推進するために、常務理事会の諮問機関として学園改革推進本部(以下、推進本部という)
を臨時的に立ち上げた。この推進本部の答申を受けた常務理事会は、審議を加えた後理事
会に提案し、理事会は、「Ⅳ 特記事項」に詳述する大学改革の案を承認した。これを受け
て学長は、教授会において大学改革の具体的な内容を報告・説明し、審議を経た後、改革
に着手することとなった。
(2)7-2の自己評価
管理部門と教学部門との連携は、常務理事会を中心に行われている。学長は、教授会等
で審議されたさまざまな事柄を、常務理事会で報告し、逆に、理事会や常務理事会で大学
運営に関して決定された事項を、教授会に逐一報告している。なお推進本部は、臨時的に
設けられたものであったため、議事録は残しているがその役割等に関する規程は定められ
ていない。推進本部の活動は今後も継続が想定されるため、規程等の整備が必要である。
(3)7-2の改善・向上方策(将来計画)
管理部門と教学部門の連携のあり方をより充実させるために、これまで以上に情報公開
に努める。また、推進本部の今後の運営のあり方を検討し、規程等の整備を図る。
7-3.自己点検・評価のための恒常的な体制が確立され、かつその結果を教育研究をは
じめ大学運営の改善・向上につなげる仕組みが構築されていること。
≪7-3の視点≫
7-3-① 教育研究活動をはじめ大学運営の改善・向上を図るために、自己点検・評価の
恒常的な実施体制が整えられているか。
7-3-② 自己点検・評価の結果を教育研究をはじめ大学運営の改善・向上につなげる仕
組みが構築され、かつ適切に機能しているか。
7-3-③
自己点検・評価の結果が学内外に適切に公表されているか。
(1)7-3の事実の説明(現状)
本学では、平成7(1995)年度に教学面の、平成8(1996)年度に管理運営・財政面の、さら
に翌年度には、研究・教育・社会の分野における教員の活動状況についての自己点検・評
価を行った。その結果を、教学面は『梅花女子大学の現状と課題-自己点検・評価報告書
(1)』
(平成8(1996)年3月)に、管理運営・財政面は『梅花女子大学の現状と課題-自己点
検・評価報告書(2)』(平成9(1997)年3月)に、同年9月には研究・教育・社会の分野にお
ける教員の活動状況について『梅花女子大学教員活動報告書(1)』にまとめ、学内外に公
表した。さらに大学基準協会の認証評価を受けるために自己点検・評価を行い、その結果
を『梅花女子大学の現状と課題-自己点検・評価報告書-平成10年(1998)』(【資料】7­6)
にまとめ、同書224頁に記載するように、学外機関に配布して公表した。
これらの自己点検・評価の結果を踏まえて、平成13(2001)年度からカリキュラム改革を
行った。またその後、短期大学をも含めた、学園運営全般の見直しが必要だとの認識から、
73
梅花女子大学
カリキュラム、組織運営等についての教職員による検討委員会の議論を経て、平成16(2004)
年4月に大規模な改組を実施し、それにともなって新たに「梅花女子大学自己点検・評価規
程」(【資料7­5】)を定め、改組の完成年度を待って自己点検・評価を実施することとした。
平成16(2004)年度からの改組にいたる検討委員会の議論は、新たな学則、カリキュラム、
各種委員会規程等のかたちで結実している。
(2)7-3の自己評価
これまで本学が実施してきた自己点検・評価に関する活動は上述したことが全てである。
それ以来、この「自己評価報告書」の作成に取りかかるまで、いわゆる自己点検・評価活
動とみなせる組織的な系統だった活動は、休眠状態にあった。このことは、「梅花女子大
学自己点検・評価規程」が、自己点検・評価を行う際の実施方法を定めた規程であったこ
とと関わりがある。学則第2条において「前条の目的及び社会的使命を達成するため自己点
検・評価を行う」ことは定めていても、常に、組織的にその作業を行い、点検・評価結果
を大学運営に活かすという認識が薄かったと言わざるを得ない。
(3)7-3の改善・向上方策(将来計画)
今回の自己点検・評価活動をきっかけとして、本来あるべき点検・評価活動に立ち返る
必要がある。そのためにはまず、絶えず自己点検・評価を行うための仕組みを作る。現在、
自己点検・評価に関する恒常的な委員会が置かれていないため、新たな委員会を設置する
か、もしくは現行のFD委員会の活動内容を見直すなどの方策を部長会において検討する。
同時に、梅花学園全体としても自己点検・評価を行うことのできる態勢作りについて検討
していく。
〔基準7の自己評価〕
法人の管理運営体制(理事会、監事、評議員会など)は、本学園「寄附行為」等の定め
に従って整備され、それぞれが適正に機能していると考える。さらに、理事会から委任さ
れた事項を審議し、法人全般に関わる業務の執行方法を協議する常務理事会は、週1回の開
催と、さまざまな議論をとおして、学園及び大学の管理運営の要としての機能を果たし、
かつ教学部門との連携を図っている。ただし、基準7-1・2の「自己評価」で述べたと
おり、常務理事会の活性化、法人総務部における業務内容及び責任体制の明確な分担、梅
花学園全体としての自己点検・評価の取組みに関することなど、いくつかの課題を抱えて
いるのも事実である。
〔基準7の改善・向上方策〕
常務理事会の活性化に関しては、拡大常務理事会を当初の予定どおり月 1 回の開催に戻
すなどの方策を含めて検討を進め、また、法人総務部内の課題は法人内で解決を図るよう
にする。さらに、自己点検・評価の恒常化の課題は、新たな委員会の設置等をとおして、
年度ごとに各部署・各委員会の自己点検・評価を実施し、それぞれの結果をまとめるとと
もに、その都度、教育面や大学運営面における改善に活かすことのできる仕組みの確立を
検討する。
74
梅花女子大学
基準8. 財務
8-1.大学の教育研究目的を達成するために必要な財政基盤を有し、収入と支出のバラ
ンスを考慮した運営がなされ、かつ適切に会計処理がなされていること。
≪8-1の視点≫
8-1-① 大学の教育研究目的を達成するために、必要な経費が確保され、かつ収入と支
出のバランスを考慮した運営がなされているか。
8-1-② 適切に会計処理がなされているか。
8-1-③ 会計監査等が適正に行われているか。
(1)8-1の事実の説明(現状)
大学部門の平成 15(2003)~平成 21(2009)年度の消費収支状況の推移は下表のとおりで
ある。
(図表 8­1­1)
大
学
部
(単位:千円)
門
平成 15 年度 平成 16 年度
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
平成 20 年度
平成 21 年度
(2003 年度)(2004 年度) (2005 年度) (2006 年度) (2007 年度) (2008 年度) (2009 年度)
収入の部
<予算>
学生生徒納付金
1,779,079
1,969,904
2,132,745
2,236,048
2,208,993
1,829,659
1,479,616
手
数
料
8,454
34,285
30,013
24,143
18,952
15,078
9,926
寄
付
金
11,505
12,201
13,398
17,796
9,980
7,750
4,695
補
助
金
212,422
280,256
380,558
351,643
243,685
202,442
183,937
資産運用収入
17,710
18,448
25,018
25,016
30,456
32,606
26,932
資産売却差額
0
0
0
0
0
0
0
73,374
事業収入
雑
収
入
67,175
73,723
99,376
98,974
90,648
80,748
49,918
26,174
57,628
79,537
144,670
138,819
31,279
帰属収入
合計
2,146,265
2,414,993
2,738,738
2,833,160
2,747,387
2,307,104
1,809,759
基本金組入額
合計
0
▲ 57,931
0
0
0
0
0
消費収入の部
合計
2,146,265
2,357,062
2,738,738
2,833,160
2,747,387
2,307,104
1,809,759
<予算>
支出の部
1,315,374
1,479,605
1,480,990
1,468,184
1,445,294
1,351,413
1,174,431
教育研究経費
664,705
849,653
951,091
926,934
860,235
790,352
807,629
管理経費
190,231
263,509
330,444
348,781
340,550
300,282
220,353
0
0
0
0
0
0
0
人
件
費
借入金等利息
資産処分差額
徴収不能引当金繰入額
消費支出の部
合計
22,470
8,244
336
1,904
174
354
128
5,677
5,384
1,970
6,721
1,203
865
1,966
2,752,526
2,647,459
2,443,269
2,204,507
99,928
▲ 136,164
▲ 394,748
2,198,459
2,606,397
2,764,832
当年度消費収支差額
人件費比率
(人件費/帰属収入)
人件費依存率
(人件費/学生生徒納付金)
▲ 52,193
▲ 249,334
▲ 26,093
80,634
61.3%
61.3%
54.1%
51.8%
52.6%
58.6%
58.6%
73.9%
75.1%
69.4%
65.7%
65.4%
73.9%
73.9%
参考:全国平均人件費比率
49.7%
50.4%
50.0%
50.6%
50.8%
教育研究費比率
31.0%
35.2%
34.7%
32.7%
31.3%
34.3%
44.6%
(注)全国平均人件費比率は日本私立学校振興・共済事業団編集の『今日の私学財政』よ り。
大学部門の学生生徒納付金収入の推移を見ると、平成 15(2003)年度が約 17.8 億円であ
ったが、平成 16(2004)年度の学部学科改組によって学生数の増加が見られ、完成年度を迎
えた平成 19(2007)年度決算においては、約 22 億円まで増加した。しかし、平成 20(2008)
75
梅花女子大学
年度は再び約 18.3 億円まで減少し、平成 21(2009)年度予算案では約 15.0 億円まで減少す
る見込みである。一方、平成 16(2004)年度以降、資産運用収入や公開課外講座収入などで
収入増を図るとともに、支出については、人件費を中心に削減を行ってきたことにより収
支のバランスを保つよう図ってきた。その結果として、大学部門収支は、平成 18(2006)年
度よりプラスに転じたが、平成 20(2008)年度には再びマイナスとなった。人件費比率も平
成 15(2003)年度の 61.3%以降徐々に下げ続け、平成 19(2007)年度には 52.6%まで低下させ
たが、平成 20(2008)年度には 58.6%と再び上昇する結果となった。しかし、教育研究経費
比率はこの間も 30%超を保ち、教育研究にかける支出には十分に配慮している。設備面に
おいても、心理・教育相談センターの設置、学生食堂(緑風館)のリニューアルや新たな
カフェの設置、光風館エレベーター設置工事、e­Learning や遠隔授業を実施するための施
設設備の整備、さらに老朽化した空調設備の取替え更新を毎年 1 棟ずつ行うなどの施設面
での充実は継続して実施中である。
法人全体の財政状態は、平成 19(2007)年度決算において、借入金がゼロのため固定負債
構成比率=6.0%、流動負債構成比率=3.0%となっており、いずれも全国の大学法人平均値
よりも低い数値である。一方、流動負債に対する流動資産の割合(流動比率)は 586.4%を
確保し、一般に 200%以上が優良とされている数値よりもかなり高い数値を維持している。
さらに、流動負債に対する現金・預金比率も 544.2 %と非常に高く、教育研究活動に要す
る資金は十分に確保している。
会計処理については、学校法人会計基準及び本学園「経理規程」「予算統制規程」(【資
料 8­5】)に基づき適切に会計処理が行われている。具体的な会計処理の流れは以下のとお
りである。
本学園では、学科・部署ごとに予算が配分され、それぞれの経理業務責任者及び経理責
任者が捺印のうえ、伝票に証憑書類を添付して法人事務局へ回付する。その際、執行金額
が 3 万円以上であれば、法人事務局総務部長の決裁がなければ執行されない。さらに執行
金額が 10 万円以上であれば、
「経理規程」
「予算統制規程」の定めるところによって、予め
稟議書を提出して、最終的に理事長の決裁が下りてからでないと執行されないシステムと
なっている。
また、各部署の 1 ヵ月単位での予算執行状況を「予算実績対比表」として配布し、各部
署においても徹底した予算管理が行えるよう図っている。
会計処理上において疑問が生じた時や判断に窮する事項が発生した場合は、公認会計士
や日本私立学校振興・共済事業団に問い合わせて助言、指導を受けている。
本学園の会計監査は、公認会計士による会計監査と監事による監査を行っている。先ず
公認会計士による監査は、平成 20(2008)年度実績では年間 14 日間行われ、毎回公認会計
士 2 人と会計士補 2 人、延べ 49 人によって行われた。監査内容としては、理事会の議事
録、伝票、証憑書類、会計帳簿、月次決算書類、稟議書等の関係書類で、取引内容を確認
しながらの監査を受け、会計処理の誤りなどがあれば訂正している。さらに監事による監
査では、決算書原案については、理事会・評議員会の前に会計帳簿等の監査を行い理事会・
評議員会に備え、予算書については、理事会・評議員会に上程する前の常務理事会におい
て十分な意見を述べてもらっている。さらに公認会計士と監事が協議する場の設定につい
ては、平成 20(2008)年度は、公認会計士 2 人及び監事 2 人による意見交換の場を 2 回設定
76
梅花女子大学
した。その場において、本学園の問題点や課題などをおのおのの立場から率直に意見交換
することができた。
(2)8-1の自己評価
平成 16(2004)年度の改組改編による学生数増加及び予算管理の徹底を実施することによ
って、徐々に収支バランスが回復し、平成 18(2006)、19(2007)年度はプラスとなったこと
は評価できる内容である。また、教育研究経費比率 30%超を維持できたことも評価に値す
る。しかし、平成 20(2008)年度以降は再びマイナスとなり、平成 21(2009)年度予算では、
更にマイナス幅が拡大する。
現在の学園の状況は、単年度では確かに支出超過に陥っているが、過去の蓄積や借入金
がゼロであることなどが寄与して財政状態は比較的良い状態であるために、大学の教育研
究目的を達成するために必要な経費が確保され執行されている。つまり資金収支レベルに
おいては、数年間資金はほとんど減少させていない。しかし、消費収支レベルにおいては
確かに支出超過の状態である。この原因は、学生数の減少(毎年度の入学者数減)である
ことは明白である。今後適正な学生数を確保することで、収支バランスの均衡を図らなけ
ればならない。また、会計処理については、「経理規程」「予算統制規程」に定められた方
法で適切に執行されている。さらに会計監査についても本学規模の学園においては十分な
日数及び人数で実施されていると考えている。なお、監事監査の一つである業務監査につ
いては不十分であると認識している。
(3)8-1の改善・向上方策(将来計画)
学園収支の悪化は、学生数の減少であることは明白である。この問題を解決しなければ
学園財政の建て直しは不可能である。よって平成22(2010)年度において看護学部看護学科
の新設、及び既存学部・学科の改組改編による心理こども学部こども学科・心理学科を設
置して、学生増による学生生徒納付金収入の増加を図る。
一方、大学の教育研究目的を達成するために必要な経費は十分に確保しなければならな
いと考えているが、可能な限りコストダウンは実行したいと考えている。現状10万円以上
の執行に対しては稟議書に相見積(現状は2社以上)を添付させている。それを3社以上に
するなどして更なる経費削減を図る。また財務グループが中心となり、たとえば「経費削
減プロジェクトチーム」などを発足させ、より組織的な経費削減を実施する。今回の新学
部が完成年度を迎える平成25(2013)年度には学園全体の収支バランスを均衡させる中期財
政計画を策定する。
また、監事の役割が重要となっている現在、理事会・評議員会で意見を述べたり、会計
監査の実施にとどまっている監事の役割を、可能な限り常務理事会へ出席することや業務
監査実施(予算執行状況や契約書関係のチェックや各部署業務が規程に即しているかなど)
に拡大することについて常務理事会で今後議論する。
8-2.財務情報の公開が適切な方法でなされていること。
≪8-2の視点≫
8-2-① 財務情報の公開が適切な方法でなされているか。
77
梅花女子大学
(1)8-2の事実の説明(現状)
私立学校法の一部改正に伴って、財務情報の公開が義務付けられたことから、平成
17(2005)年度決算より、事業報告書、資金収支計算書、消費収支計算書、貸借対照表、監
事による監査報告書、財産目録を法人事務局に備え付け、希望すれば閲覧できるよう体制
を整えている。さらに平成 19(2007)年度決算よりもっと広く一般に情報公開するため、梅
花学園ホームページ上でも前述の資料を公開している。
(2)8-2の自己評価
今までは事業報告書、計算書類、監査報告書、財産目録を法人事務局にて閲覧というス
タイルを採っていたが、平成19(2007)年度よりホームページに掲載するようになり、幅広
く一般に情報公開が可能になったことは十分評価できる。
(3)8-2の改善・向上方策(将来計画)
各年度の決算を終えた情報をホームページ上に掲載しているが、今後は予算書や事業
計画書までも含めた情報公開を行う。また、一般の人が見ても理解しやすいように、計
算書類の解説をさらに充実させてわかりやすい情報公開を心がける。
8-3.教育研究を充実させるために、外部資金の導入等の努力がなされていること
≪8-3の視点≫
8-3-① 教育研究を充実させるために、外部資金の導入(寄附金、委託事業、収益事業、
資産運用等)の努力がなされているか。
(1)8-3の事実の説明(現状)
事業収入としては、寄宿舎収入や公開課外講座収入が大きな比重を占めている。平成
13(2001)年度よりに立ち上げた生涯学習センター主催による公開課外講座収入は当初、年
間 1,000 万円足らずであったが、平成 20(2008)年度には約 4,560 万円まで伸びている。ま
た、資産運用収入は、低金利状態が継続中及び本学園の「寄附行為」による定めの中、元
本保証、低リスクでの運用のため多くの運用益を得ることはできていない。そのため現状
の「寄附行為」で定められた範囲内及び理事会での申し合わせ事項の範囲内で、できるだ
け有利な資産運用ができるよう金融機関等から金利動向の情報収集を行い運用にあたって
いる。補助金収入は、一般補助金はもちろんであるが、特別補助、とりわけ教育・学習方
法等改善支援経費には積極的に申請して補助金獲得を目指している。寄附金収入に関して
は、
「教育設備の充実及び教育環境の整備・維持のための寄付金」として、新入生・在学生
の保護者、教職員、などに働きかけて募集を行っている。なお、以前は新入生の保護者の
みを対象に寄附金募集を行っていたが、平成 20(2008)年度より募集対象を拡大したもので
ある。
科学研究費補助金については、(図表 8­3­1)のとおりである(過去 5 年分の申請件数、採
択件数、採択金額、ただし前年度からの継続分は含めていない)。
78
梅花女子大学
(図表 8­3­1)
現代人間学部
2004 年度
2005 年度
2006 年度
2007 年度
2008 年度
合 計
申請件数
0
6
3
1
2
12
採択件数
0
2
1
0
0
3
採択金額
0
2,200,000
1,900,000
0
0
4,100,000
文化表現学部
2004 年度
2005 年度
2006 年度
2007 年度
2008 年度
合 計
申請件数
4
5
5
2
4
20
採択件数
0
0
2
0
2
4
採択金額
0
0
2,300,000
0
3,640,000
5,940,000
(注)申請件数、採択件数の単位:件
採択金額の単位:円
(2)8-3の自己評価
外部資金の導入については、補助金収入、公開課外講座収入、資産運用収入、寄附金収
入等において積極的に努力している。ただ、本学の規模や現状の枠組みの中で行うことの
限界もあるので、十分な収入は得られていない。また、現在は資産運用規程が整備されて
いない状態での運用となっているため、財務グループで資産運用規程の原案を策定し、常
務理事会及び理事会において十分議論して早急に整備しなければならない。
(3)8-3の改善・向上方策(将来計画)
一般補助が削減され、その分特別補助に配分されている昨今の補助金事情からすると、
財務グループが中心となって情報収集し、各学科・各部署との連携を強めて該当する補助
金項目があれば、即申請できる体制作りを構築する。そのためには普段からの連携を今以
上に密接にする。
資産運用収入については、学校法人として安全確実を心がけるべきとの判断からハイリ
スクハイリターンの運用は避ける。しかし、今後、資産運用収入は大学の重要な収入源の
ひとつとして認識していることから、安全性を第一に考え、少しでも運用益を上げる。そ
のためには、現在、理事会での申し合わせ事項で有価証券として国債の保有が認められて
いるが、たとえば政府保証債や自治体発行の地方債、電力債など、少しでも運用益がアッ
プするようなポートフォリオが許されるよう理事会での十分な議論を経て、今年度中に資
産運用規程を整備する。
寄附金収入については、現在募集対象にしていない同窓会組織とも連携しながら、同窓
生からの寄附金を常務理事会レベルで検討し、同窓会との話し合いの場も設定する。また、
企業等からの寄附金についても同様に検討する。
〔基準8の自己評価〕
現状の本学園の最大の問題は収支バランスの不均衡であり、学生数の減少に起因してい
ることは明白である。この問題を解決することで学園財政の立て直しは可能であると考え
79
梅花女子大学
ている。
現在の学園財政は、単年度赤字を過去の蓄積でカバーしている状態である。現在はまだ
資金流出まで至らず、日本私立学校振興・共済事業団が示した「定量的な判断指標に基づ
く経営状態の区分」において、平成17(2005)年度以降、平成20(2008)年度決算まで、教育
研究活動のキャッシュフローはずっと黒字を確保している。このため経営判断指標として
は「B0(イエローゾーンの予備的段階)」に留まっている状態である。つまり、まだ資
金的にも余力がある状態である(運用財産としては約74億円超を保有)。このような状態
を維持するため、ここ数年間は、人件費を中心にコストダウンを実施しながら、何とか大
学の教育研究目的を達成するための必要な経費(教育研究経費)を確保してきた。一方、
学生生徒納付金収入以外の収入(外部資金の導入)については、課題も多いことは事実で
あり、特に科研費については申請件数も少なく、採択件数及び金額も少ない。
財務情報の公開については、昨年度より梅花学園ホームページに公開することで、一般
の人々も自由に閲覧することができようになり、情報公開がかなり進んだと言える。さら
に今年度からは、当年度の事業計画書及び当年度の予算書をも情報公開している。
〔基準8の改善・向上方策〕
資金的にも余力がある状態で、学園財政の立て直しを図らねばならない。その立て直し
計画の具体的行動が、平成22(2010)年度に開設予定の看護学部看護学科であり心理こども
学部こども学科・心理学科である。この改組改編を軸にして、4年後の平成25(2013)年度に
は大学部門はもちろんのこと、学園全体で単年度黒字を目指す。先行投資として平成
21(2009)年度より平成23(2011)年度まで、校舎の改築工事や新学部新学科用の図書や備品
等の支出を行うため、次 年度繰越支払資金 は 、平成20(2008)年度時点と比較すると平 成
22(2010)年度末時点において約7億円流出することになるが、その後回復し、完成年度を
迎える平成25(2013)年度には約50億円程度まで回復する見込みである。さらに消費収支に
おいても、開設年度より2年間は、単年度収支は支出超過を余儀なくされるが、平成24(2012)
年度より学園全体として約4億円の収入超過を見込み、さらに平成25(2013)年度においては、
約8億円弱の収入超過を目指している。このような中期財政計画により、学園収支のバラン
スを均衡させ、さらなる発展を目指す計画を持っている。
平成25(2013)年度までの各年度における資金収支状況及び消費収支状況は次頁に掲げる
図表のとおりである。
80
梅花女子大学
平成21(2009)年度~平成25(2013)年度 資金収支予算書(学園全体)
平成21年度
(2009年度)
2,499,010
46,950
9,147
585,093
61,392
100,000
121,007
49,220
530,063
1,804,487
△ 440,967
3,599,266
8,964,668
平成22年度
(2010年度)
2,925,319
52,680
10,440
617,418
64,157
500,000
121,227
123,603
656,421
1,909,032
△ 649,401
2,925,153
9,256,049
平成23年度
(2011年度)
3,304,844
54,640
11,420
651,666
64,156
100,000
121,227
127,619
656,421
1,811,557
△ 779,775
2,885,850
9,009,625
平成24年度
(2012年度)
3,663,299
54,807
12,900
705,978
64,155
100,000
121,228
140,585
656,421
2,054,378
△ 792,742
3,194,496
9,975,505
(単位 千円)
平成25年度
(2013年度)
3,883,649
55,046
13,500
720,978
64,157
200,000
119,201
135,932
656,421
1,852,211
△ 783,088
3,969,252
10,887,259
平成21年度
(2009年度)
2,386,011
847,744
543,327
325,430
241,882
581,268
1,189,749
30,000
△ 105,896
2,925,153
8,964,668
平成22年度
(2010年度)
2,661,628
859,781
413,099
25,000
111,171
1,197,586
1,181,934
30,000
△ 110,000
2,885,850
9,256,049
平成23年度
(2011年度)
2,623,437
827,185
404,149
16,695
123,941
701,748
1,189,974
30,000
△ 102,000
3,194,496
9,009,625
平成24年度
(2012年度)
2,630,540
847,414
406,291
25,000
55,081
911,187
1,201,740
30,000
△ 101,000
3,969,252
9,975,505
平成25年度
(2013年度)
2,557,585
860,546
416,952
40,000
40,081
811,187
1,204,206
30,000
△ 101,000
5,027,702
10,887,259
(収入の部)
科 目
学生生徒等納付金収入
手 数 料 収 入
寄 付 金 収 入
補 助 金 収 入
資産運用収入
資産売却収入
事 業 収 入
雑
収
入
前 受 金 収 入
そ の 他 の 収 入
資金収入調整勘定
前 年 度 繰 越 支 払 資 金
収 入 の 部 合 計
(支出の部)
科 目
人 件 費 支 出
教育研究経費支出
管理経費支出
施設関係支出
設備関係支出
資産運用支出
その他の支出
〔 予 備 費 〕
資金支出調整勘定
次 年 度 繰 越 支 払 資 金
支 出 の 部 合 計
平成21(2009)年度~平成25(2013)年度 消費収支予算書(学園全体)
平成21年度
(2009年度)
2,499,010
46,950
12,547
585,093
56,694
121,007
49,251
3,370,552
△ 363,136
3,007,416
平成22年度
(2010年度)
2,925,319
52,680
14,590
617,418
64,157
121,227
123,603
3,918,994
△ 33,298
3,885,696
平成23年度
(2011年度)
3,304,844
54,640
15,570
651,666
64,156
121,227
127,619
4,339,722
△ 84,436
4,255,286
平成24年度
(2012年度)
3,663,299
54,807
17,050
705,978
64,155
121,228
140,585
4,767,102
△ 40,407
4,726,695
(単位 千円)
平成25年度
(2013年度)
3,883,649
55,046
17,650
720,978
64,157
119,201
135,932
4,996,613
0
4,996,613
平成21年度
(2009年度)
2,381,518
1,278,698
629,214
768
3,062
30,000
4,323,260
平成22年度
(2010年度)
2,628,960
1,259,839
498,680
768
3,062
30,000
4,421,309
平成23年度
(2011年度)
2,589,621
1,182,473
489,458
768
3,062
30,000
4,295,382
平成24年度
(2012年度)
2,593,020
1,169,427
490,596
768
3,062
30,000
4,286,873
平成25年度
(2013年度)
2,521,394
1,151,848
500,349
768
3,062
30,000
4,207,421
△ 1,315,844
△ 535,613
△ 40,096
439,822
789,192
(収入の部)
科 目
学生生徒等納付金
手
数
料
寄
付
金
補
助
金
資産運用収入
事 業 収 入
雑
収
入
帰 属 収 入 合
計
基 本 金 組 入 額 合
計
消 費 収 入 の 部 合
計
(支出の部)
科 目
人
件
費
教育研究経費
管 理 経 費
資産処分差額
徴収不能引当金繰入額
〔 予 備 費 〕
消 費 支 出 の 部 合 計
収 支 の 差 額
81
梅花女子大学
基準9. 教育研究環境
9-1.教育研究目的を達成するために必要なキャンパス(校地・運動場、校舎等の施設
設備)が整備され、かつ適切に維持、運営されていること。
≪9-1の視点≫
9-1-① 校地、運動場、校舎、図書館、体育施設、情報サービス施設、附属施設等、教
育研究活動の目的を達成するための施設設備が適切に整備され、かつ有効に活用されてい
るか。
9-1-② 教育研究活動の目的を達成するための施設設備等が、適切に維持、運営されて
いるか。
(1)9-1の事実の説明(現状)
本学の茨木キャンパスは、大阪府の北部に位置する茨木市にあり、最寄りの阪急宝塚線
石橋駅・阪急京都線茨木市駅・阪急千里線北千里駅・北大阪急行(地下鉄御堂筋線)千里
中央駅・JR 京都線茨木駅の 5 駅からスクールバスを運行しており、どの駅からも所要時間
約 20 分の距離にある。
(図表 9­1­1)
(L 棟 )
82
梅花女子大学
(図表 9­1­2)アクセスマップ
スクールバス乗車地
・阪急宝塚線石橋駅
・北大阪急行(地下鉄御
­­­­­­­
堂筋線)千里中央駅
・阪急千里線北千里駅
・阪急京都線茨木市駅
・JR 東海道本線(京都線)
茨木駅
校地・校舎に関わる数値については【表 9­1】に掲げたとおりだが、ここでも示してお
く。校 地の 面積 は、78,201.8 ㎡( 全て 短期 大学部 と共 用) であり 、設 置基 準上の 面積
21,000.0 ㎡を満たしている。
校舎は前頁「学内見取り図」に明らかなように、主に教室、研究室、事務室として使用
している建物が 8 棟ある(山草館A・B・C・D・F棟、松栄館、秀英館、光風館)。教室
は多様な授業形態に対応すべく順次整備を行っている。校舎の面積は、32,494.1 ㎡、(大
学専用:8,546.3 ㎡、短期大 学部との共 用: 23,947.8 ㎡)であり、設置基準 上の面 積
10,742.0 ㎡を満たしている。
図書館は、大学・短期大学部のほぼ中央に位置し、6,396 ㎡のスペースを擁し各階は主
題別フロア制を採用している。
体育施設は、体育館、テニスコート(4 面)、アーチェリーレンジ、トレーニングルーム
(ウエイトトレーニング用マシン 8 台、エアロバイク 6 台など)があり、授業以外に、ア
ーチェリーレンジを除く各施設を学生、教職員に開放している。
83
梅花女子大学
(図表 9­1­3)
教 育研 究 活 動 の 目的 を 達 成 す るた め の 施 設 設 備
としては、図書館があげられる。図書館の開館時間
は、平日は 8 時 50 分~17 時 45 分、土曜日は 8 時
50 分~16 時である。出入り口は上掲 L 棟の 3 階に
あり、ブックディテクションを設置し、カウンター
を設けている。現在図書館の所蔵資料は、図書
333,351 冊(うち外国書 75,177 冊)、雑誌 2,924 種
(うち外国誌 483 種)、視聴覚資料 21,547 点、デー
タベースの契約 5 種である。資料の収書については、
「図書管理規程」に基づき図書館を中心に行われて
いる。また「リクエスト制度」を設け、学生からの
購入希望にもできる限り応じている。
座席数は全館で 606 席ある。図書は 95%が開架
式で運用されている。所蔵資料検索用の利用者端末
(OPAC)は、2 階 2 台、3 階 6 台、4 階 2 台、5 階 1
台、6 階 1 台の計 12 台を設置し、どの階からでも検
索が可能である。
図書館の概要は(図表 9­1­3)に示したとおりであ
る。1 階は、保存書庫で閉架式である。2 階にはグ
ループ閲覧室(席数 12)を設けている。3 階のマルチ
メディア閲覧コーナーには、インターネット接続用
のパソコン 17 台、文書作成用端末 2 台、マイクロ
リーダープリンター1 台、複写機 3 台を設置してい
る。
4・5 階は南館(図内下側)と北館(上側)に分か
れている。 5 階南館は、視聴覚資料を中心とするフ
ロアで、DVD などの視聴室が 5 室、視聴覚資料室、
マイクロ資料室、多目的室(席数 84)がある。 5 階
北館には、在学中に亡くなった学生の遺族からの寄
贈による「水嶋純子文庫(英語関係図書 1,103 冊、資
料 206 点)」がある。 6 階は、貴重書庫と特別書庫
のフロア。閲覧個室(9 室)、グループ閲覧室(席数 12)もある。閲覧個室 3 室には、文書作
成用端末を備えており、卒業論文や修士論文を執筆する学生・院生などが利用している。
情報サービス施設としては、研究教育施設としての PC 教室を設けており、L 棟 3 教室、
A 棟 5 教室、E 棟 3 教室に合計 372 台のパソコンを設置している。PC 教室のアプリケー
ションソフトは、適宜バージョンアップしている。全てのパソコンが学内 LAN に繋がり、
インターネットに接続することが可能である。他に、メディアスタジオ・編集室(A301 教
室)がある。基準4-2の学習支援の項目でも記述したが、全ての学生は学内 LAN に入り、
学内ポータルサイトの CCS(Baika Campus Community System)や Web メールを利用する
84
梅花女子大学
ことができる。CCS のサーバーは 24 時間作動しており、ネットワークへの不正侵入に対
する防御策も講じている。また、緑風館・学生会館・F 棟・A 棟の 4 階には無線 LAN が敷
設されており、ノート PC やニンテンドーDSi からのインターネット利用が可能となって
いる。研究面では、遠隔講義システムを導入したマルチメディア講義室(F 棟 501 教室)が
あり、国内では日本女子大学、海外では韓国の釜山情報大学・釜山外国語大学、台湾の義
守大学などとの授業交流の試みを行っている。また教育・研究の両面の観点から、総合学
術ポータルサイト「学び舎」を設け、講義の動画配信や研究活動データベースの公開など
を行っている。
梅花女子大学の付属施設としては、基準2-1に記述した「心理・教育相談センター」
がある。これは、大学院現代人間学研究科心理臨床学専攻の付属実習施設として、平成
15(2003)年度に豊中キャンパス(大阪府豊中市)に開設したもので、さらに平成 20 (2008)
年 5 月には、茨木キャンパスに当センターの茨木分室をこども専門の相談センターとして
開設した。
心理・教育相談センター(豊中)は、年間平均、初回面接 200 件、延面接数 3,000 件を
超える面接、遊戯療法、療育を行っている。この数値は、他の大学院付属相談センターと
比べて、当センターがはるかに多い面接・相談を受け、高い評価を得ていることを示して
いる。当センターは、これまで北摂地区を中心に、大阪府・兵庫県下の精神科や心療クリ
ニック、小児科などの医療保健機関や、教育機関、療育機関との幅広い連携ネットワーク
を構築してきた。その結果、こどもから高齢者まで、幅広い年代、多様な心理的問題及び
発達上の障がいを抱えるクライエントを多数受け入れることができ、また大学院生の活発
な実践教育活動を積み重ねることができるようになった。クライエントのなかには、重篤
な心理的問題や精神科的な疾患を抱えている場合もあるが、嘱託のベテラン臨床心理士及
び教員が対応し、医療機関からの信頼も得ている。また大学院生がそのようなケースを見
聞きすることは、良き実践教育になっている。また、教員がほぼ毎日相談室に常駐し、大
学院生たちの面接等の相談を受けられる体制をとっている。これにより大学院生たちは、
安心して実践にあたることができ、またそれぞれ学外でスーパーヴァズを受けられる制度
もあり、多くのケースを安全に担当することができる。
心理・教育相談センター茨木分室は、通称「こどもセンター」と呼ばれており、中学 3
年生までのこどもたちの遊戯療法やカウンセリング、発達障害のこどもたちの療育、また、
育児に関する母親面接などを行っている。平成 21(2009)年 2 月現在、開室後 9 ヵ月で、延
べ 460 件の相談を受けている。当センターでは、嘱託カウンセラーとしては発達障害の療
育のために 1 人の臨床心理士が 3 日間勤務しているだけであるが、教員は常に同じキャン
パス内の研究室に複数常駐しており、また、センターでの直接指導にも当たっている。大
学院生は、主にこどもの緘黙や不登校などの問題に対し、遊戯療法、カウンセリング、ま
た、発達障害のこどもたちの療育、母親面接に当たっている。大学院生は、豊中センター
では医療系のカウンセリングを中心に実践実習をするのに対し、当センターではこどもた
ちの遊戯療法、相談業務、母親の指導、相談等に関する実践実習を行っている。
梅花学園の記念施設としては澤山記念館がある。この建物は、昭和 63(1988)年 9 月に、
学園創立 110 周年を記念して梅花学園創立者澤山保羅の名を冠し、茨木キャンパス正門の
西北に建設した。澤山記念館には、宗教部、チャペル、講堂、資料展示室などがあり、チ
85
梅花女子大学
ャペルでは毎週チャペル・アワーが行われている。また、クリスマスの時期には各種イベ
ントなどが開催される。講堂は、梅花女子大学と梅花女子大学短期大学部の入学式や卒業
式・修了式、大きな催事・講演会などで利用している。なお、本チャペルでは梅花学園の
卒業生及び教職員に限って結婚式も行われている。
(2)9-1の自己評価
本学の校地・校舎面積は、その設置基準を満たしているが、立地の関係から屋外に運動
場がないため、体育会系のクラブにとっては活動場所の確保が課題となっている。
本学の図書館は、女子大学・短期大学部、両大学共用の図書館として運営されているた
め、資料の利用、利用者の利便性については、大変有効に行われている。現状の蔵書数か
ら考えて収容能力(約 40 万冊)にも余裕がある。また、大学院のある大学図書館として研究
用資料も充実している。しかし、一方で学部学生の質の変化に応えられていない懸念があ
る。近年、図書館資料費の減額が続く中で、授業に直結した資料や学生用の図書と、研究
用図書の予算配分の問題が大きく出てきた。本学は文学部だけの大学図書館として成長し
た経緯があり、とくに児童文学科を擁しているために、児童文学関係の充実がめざましく、
内外からも高く評価されている。しかし、現行は現代人間学部と文化表現学部の 2 学部と
なり、従来の文学部中心の図書館では大学の現状に合わなくなりつつある。図書館利用の
促進を図って、平成 19(2007)年度には 5 階南館に多目的室を設けたが、現実にはあまり活
用されていない。また、閉館時間が 17 時 45 分となっている点については、都市部にある
大学と異なり早いようであるが、利用者の状況、職員の確保等を検討した結果であり、現
在のところ特に問題はないと判断している。
メディアセンターが管理運営する情報サービス設備の利用環境の面では、学内 LAN 設備
は現状ではおおむね整っており、活発に利用されている。ただし、平成 21(2009)年度入学
生からニンテンドーDSi を入学生全員に配付して、無線 LAN を通じてインターネットに自
由に接続できる状況となったため、今後、利用が集中した場合には無線ポート数が不足し
てくる可能性が高い。遠隔講義システムも一定の成果をあげているものの、相手校との連
携の問題などあって、当初の期待ほどの成果が得られていない。総合学術ポータルサイト
「学び舎」は充実しているが、内容の更新などについて教員の協力が期待どおりには得ら
れず、現状を維持するのが精一杯である。
大学院付属実習施設である心理・教育相談センターは、院生の実習状況等からその機能
を十分に果たしていると考える。
澤山記念館は、学園の催事などで使用できない日を除いては、クラブ活動や学科の催事
などにも使用しており、幅広く活用されていると言える。
(3)9-1の改善・向上方策(将来計画)
体育会系クラブの活動場所の確保が困難な点に関しては、現在、学外施設を活用するこ
とでこの問題を克服しているクラブがある。今後は、各クラブの事情、意見を吸い上げ、
学外施設等の活用がしやすくなる環境を整える方向で検討を進める。
また、本学は平成 22(2010)年度から新しい看護学部・学科の設置を予定しているが、こ
の学部・学科の開設に当たり、F棟の 1 階から 5 階までの改修工事を行う。これにともな
86
梅花女子大学
い、他の棟にある各教室の教育設備等の充実を同時に図る予定である。
図書館をめぐっては、まず、学生用図書費の確保については、全体の予算が減少してい
る限り、研究図書費の削減を視野に入れなければならない。図書・紀要委員会において、
図書館資料費の抜本的な見直しが要求されるが、現在のところ適切な方策が見つかっては
いない。更に検討を進める。多目的室の利用に関しては、学内への周知が徹底していなか
ったことを反省する。室内の整備を図り、利用マニュアルを早急に整え、図書館主催の講
演会や各種ガイダンスを開催して、図書館所蔵資料を利用した授業等に活用できるよう、
各方面に利用を呼びかけていく。さらに、児童文学を中心とする現状は児童文学科の募集
停止が決まっても維持しつつ、新たな学科編成に対応できる図書館となるよう、学内の意
識を変える呼びかけを行っていく。閉館時間については、今後も学生の要望・学内世論を
考慮しながら検討を続けていく。図書館としてはむしろ開館日の拡大、開館時間内のサー
ビスの更なる向上をめざす。
最後にメディアセンターの取組みとしては、これまで以上に教員への働きかけを行う。
学園・大学をあげて、情報教育・情報設備の充実に積極的に取組む姿勢が必要である。
9-2.施設設備の安全性が確保されていること。
≪9-2の視点≫
9-2-①施設設備の安全性(耐震性・バリアフリー等)が確保されているか。
(1)9-2の事実の説明(現状)
施設設備の安全性の確保という観点での規程は未整備である。
施設の維持・管理の事務組織上の所管部署は、法人事務局総務部庶務グループがこれに
あたり、建物管理や設備関連の業務を主とする担当職員を配置している。エレベーター設
備、構内の樹木管理整備については、専門の業者を選定し保守契約を締結し管理を行って
いる。保守点検や日常の点検などで危険な箇所や不具合な点などが確認された場合は、早
めの修理整備を行うようにしている。
建物の耐震診断は、平成 11(1999)年に簡易診断を実施して以降、行ってはいない。
キャンパス内のバリアフリーについては一部未整備の部分があるが、校舎外側からのア
プローチとして、エレベーター、スロープ(学生会館・F 棟横 K 館前)を設置している。
ただし、山草館 D 棟 4 階へは、階段があり車椅子などの利用には適さないところもある。
(2)9-2の自己評価
設備担当職員は、茨木キャンパスだけでなく、豊中キャンパス、学寮の設備点検等を担
当して行っているため、その安全管理は十分とはいえない。また、一部の施設設備では深
刻な経年劣化が発生しているため、その修理費用が負担増となっている。施設設備の安全
対策はどれだけすれば十分だというものではなく、関連する部署だけではなく教職員全員
の協力も不可欠である。
(3)9-2の改善・向上方策(将来計画)
安全維持管理のための日常点検の実施を徹底させ、それに携わる人員の補充等の検討を
進める。とくに、耐震診断については、今年度着手すべく計画を立てている。危険を未然
87
梅花女子大学
に防ぐ観点から、法人事務局総務部庶務グループの職員の日常のミーティングを増やし、
情報の共有や意見交換を密にしていく。
9-3.アメニティに配慮した教育環境が整備されていること。
≪9-3の視点≫
9-3-① 教育研究目的を達成するための、アメニティに配慮した教育研究環境が整備さ
れ、有効に活用されているか。
(1)9-3の事実の説明(現状)
学生の自習室・控室として使用できるコミュニティルームを学科ごとに配置し常時開放
している。キャンパス内ではこれ以外に、F棟内の各階に設けたオープンスペース、学生会
館、B棟・D棟の渡り廊下にソファーを、学生会館前の屋外フリースペース、屋外の芝生広
場にはベンチを配置して開放している。
校舎内には、給茶機・自動販売機(飲料)を設置し、学生・教職員が利用できるように
している。また、緑風館には食堂、コンビニ、購買部を設け、授業期間にあわせて営業を
行なっている。学生生活に快適な環境を提供するために建てられた学生会館には、2階にカ
フェ、学生相談室・保健室、また、3階には食堂を設けている。
校舎内は全て全館禁煙とし、屋外の指定された場所以外での喫煙を禁止している。また、
全ての教室に空調設備を備え、授業形態や学生の状況に応じて適正な温度設定にするよう務め
ている。
研究活動の環境面においては、専任の教員に個人研究室を設けている。研究室1室あたり
の平均面積は、15.5㎡で、デスク・チェアーなどの事務機器を備え、学内LANの敷設によ
ってネットワーク環境も整っている。
(2)9-3の自己評価
コミュニティルームの管理・運営は各学科に委ねているため、学科教員の個人研究室と
近い位置に設けたが、学科によって活用状況はさまざまである。
キャンパスに設置されている自動販売機については、定期的に設置場所や商品構成など
を検討している。また、キャンパス内のオープンスペース、フリースペース、芝生広場は、
催事や休憩などに有効活用されている。
(3)9-3の改善・向上方策(将来計画)
アメニティに配慮した、学生へのサービス及び快適な教育研究環境の維持・向上のため
に、たとえば学生自治会からの要望書や個々の学生・教職員の意見や声に真摯に耳を傾け、
必要なところには改善を図るようにする。また学生同士や学生と教員とが自由にコミュニ
ケーションをとり、交流を深める場として設けられたコミュニティルームの活用に関して
は、各学科において、その積極的な活用方法の検討を進める。
〔基準9の自己評価〕
本学における教育研究の目的を達成するための、各施設設備(図書館、体育施設、情報
関連設備、付属施設等)は、本学の規模からすれば、おおむね整備され有効に活用されて
88
梅花女子大学
いると考える。特に、図書館の設備や資料の充実、情報関連設備の充実、さらには心理臨
床学専攻の院生の実習・実践教育の場としての心理・教育相談センターの充実は維持しな
ければならない。また、アメニティに配慮した教育環境の整備に関しては、工夫が求めら
れる点があるにしても、おおむね整えられ活用されている。ただし、施設設備の安全性に
関しては、一部に経年劣化が見られたり、バリアフリーに関して未整備の部分があったり
して十分とは言えない。
〔基準9の改善・向上方策〕
施設設備を十分に整備し、またそれらの快適さ、さらには安全性を常に配慮する維持管
理に努めることは、教育機関として当然のことである。特に、施設設備の安全性の確保は
最重要課題と言える。法人事務局を中心として、他部署との連携を図りながら、必要なら
施設設備の全面的な点検を実施し、常務理事会等で、施設設備の十分な安全確保に向けた
中・長期計画の検討を進める。とくに耐震対策については、耐震診断に今年度中に着手す
る予定である。
89
梅花女子大学
基準10. 社会連携
10-1.大学が持っている物的・人的資源を社会に提供する努力がなされていること。
≪10-1の視点≫
10-1-① 大学施設の開放、公開講座、リフレッシュ教育など、大学が持っている物的・
人的資源を社会に提供する努力がなされているか。
(1)10-1の事実の説明(現状)
本学では、大学における教育・研究の成果を地域・社会へ広く還元するため「公開講座」
を開催している。公開講座を管轄するのは生涯学習部で、対外的には「梅花学園生涯学習
センター」として運営している。平成 13(2001)年の発足当初は 18 講座であったが、平成
20(2008)年度には 129 講座(【表 10­2】)を実施し、受講延べ人数は 2,201 人に増加してい
る。各種講座は茨木キャンパスにおいて日曜日を除く週 6 日開催している。豊中キャンパ
スでは土曜日に開催している。茨木での受講生は、食堂やカフェを自由に利用でき、図書
館での閲覧・貸し出しなども登録すれば可能である。キャンパス内での受講生同士の交流
も活発に行われている。各種講座のカテゴリーは「くらし・健康・芸術」「パソコン」「文
学・歴史」
「時事」
「創作」
「外国語」
「英会話」など 14 種と多岐にわたっている。特に「英
会話」や「文学・歴史」の講座の人気が高く、本学園の伝統的な特性が如何なく発揮され
ている。公開講座の管理運営に当たってはコンピュータ管理システムを導入し、受講申込
から会員管理にいたるまで事務の合理化を図りサービスの向上に努めている。また、全て
の講座でアンケートを実施し(通常 2 回、短期 1 回)、講座内容の質的向上を図っている。
上記以外に、学外でも公開講座を実施している。地元の茨木市生涯学習センターでの講
座は昭和 52(1977)年に開始し、平成 20(2008)年度の第 41 回を迎えた。その他、豊中市千
里公民館との提携講座、高松・福岡・広島・名古屋での教育後援会との共催地方講座、 阪
神奈大学・研究機関生涯学習ネットの「公開講座フェスタ」への参加などの活動を、それぞ
れ継続的に行っている。また平成 13(2001)年度から、学校をはじめPTAや自治会組織な
どからの要請を受けて「出前講義」を実施している。以上の取組みの平成 19(2007)年度、
平成 20(2008)年度の実績は以下のとおりである。
(図表 10­1­1)
2007 年度
学内公開講座数
2008 年度
121
129
[1,065]
[1,217]
学外講座数
19
17
出前講義数
26
31
[学内公開講座実施回数]
図書館の地域社会への開放については、昭和 45(1970)年から 15 歳以上の一般女性を対
象に実施している。また、生涯学習センターの会員(男性を含む)については、平成 14(2002)
年より図書館の利用者証を発行している。これらの年間延べ利用者数は、約 250 人程度で
ある。また、図書館では年に 5~6 回、所蔵資料の企画展示を行い、展示テーマに関連した
講演会を実施している。開催情報は図書館のホームページで発信している。図書館情報誌
として『Baika Library Times』を年 2 回(4 月・10 月)発行し、ニュースや図書館利用に関
90
梅花女子大学
する情報を発信している。所蔵資料展示としては、
「 ヒックマン・コレクション(1982­2006)」
の展示や、明治初期の小型和綴本である「ちりめん本」の展示を行った。これらの貴重資
料の画像ファイルについては、平成 18(2006)年 4 月から本学が運営する総合学術ポータル
サイト「学び舎」の「デジタルコンテンツ」として Web 上に公開している。
体育施設の開放については、テニスコートでは年間の延べ利用者数は約300人程度である。
その他、学内者が関係する学外団体の施設利用にも提供している。
(2)10-1の自己評価
公開講座では「英会話」
「文学・歴史」に対する需要が高い。これらは旧文学部をひきつ
ぐ伝統的領域であるが、昨今の学部教育においては関心の多様化とともに基礎学力の低下
が目立っており、教育と研究のかい離状況が生まれている。今後、学部教育の方向性や質
的な変化により、生涯学習のあり方について見直しを要する。平成22(2010)年度の新学部
開設により、「心理」「保育」など、こどもの教育に関わる教育研究成果の地域還元がいっ
そう強く求められている。また、現状においても全般的に受講生の高い評価を得ているだ
けに、講座の体系化やより質の高い高度な講座構成に発展させることが、課題となってい
る。
図書館における所蔵資料展示は、特に普段目に触れることの少ない資料を中心に、テー
マを設けて定期的に実施している。平成 16(2004)年度からは展示コーナーを 3 階メインフ
ロア(出入口)に移したことにより、見学者も増え好評である。図書館ホームページについて
は、平成 19(2007)年に見やすく、使いやすいものにリニューアルした。インターネットの
環境の下では、誰でもどこからでも本学図書館所蔵資料の検索が可能である。機関に属さ
ない一般社会人の資料に関する問合せも増えている。昭和 25(1950)年以前の児童書等につ
いては、国内では本学のみが所蔵する資料もあり、遠方からの研究者の来館利用もある。
(3)10-1の改善・向上方策(将来計画)
公開講座については、今後、生涯学習の重要性がいっそう増加するという観点から、卒
業生の再教育に関するサービスの充実を計り、生涯にわたって知識・情報を提供する大学
の一翼を担える図書館としての体制を整える必要がある。そのために職員の資質向上のた
めのプログラムを具体化する必要がある。
図書館の一般開放については、その内容、方法、広報について見直す時期がきている。
対象を女性に限定していること、貸出制限などの緩和措置の検討である。また立地条件か
ら利用者の増加は難しく、リピーターを確保・拡大する方策が必要である。資料の電子化
については貴重資料から順次進めていく。すでに電子化したイギリスの絵本 116 点、チャ
ップブック 104 点については、早期にウェブ上に公開する。
10-2.教育研究上において、企業や他大学との適切な関係が構築されていること。
≪10-2の視点≫
10-2-① 教育研究上において、企業や他大学との適切な関係が構築されているか。
(1)10-2の事実の説明(現状)
他大学との適切な関係の構築という点においては、四つの取組みがある。
91
梅花女子大学
第一に、本学は大阪府内の 4 年制大学で構成される NPO 法人「大学コンソーシアム大
阪」に加盟しており、その中での大学間連携の取組みとして、各大学の学生が相互に授業
を履修し、単位認定される「単位互換事業」を行っている。この事業への参加大学は、平
成 18(2006)年度は 30 大学、平成 20(2008)年度は 34 大学となっている。なお、本学の参
加実績は以下のとおりである。
(図表 10­2­1)
年度
送り出し
(本学学生が他大学の授業を履修)
受入れ
(他大学生が本学の授業を履修)
人数
科目数
人数
科目数
2006 年度
12
17
1
1
2007 年度
1
2
0
0
2008 年度
4
9
0
0
第二に、生涯学習部では、平成18(2006)年秋以降、日本女子大学との共催公開講座を毎
年開催している。これは、本校の創立に深く関わり第5代校長であった成瀬仁蔵が、日本女
子大学の創立者でもあるという、両校の深い関係から実現されたものである。テレビ会議
システムを活用し、両大学同時双方向的に講座が開講されている。生涯学習部では、平成
13(2001)年度から「阪神奈大学・研究機関生涯学習ネット」に加入し、毎年開かれる「公
開講座フェスタ」にも参加している。
第三に、図書館では、他大学図書館との相互利用協定を結んでおり、他大学図書館から
の要請に応じて、複写・閲覧・貸出等の業務を行なっている。当然ながら、本学からの要
請に他大学図書館が応じる態勢も整っている。なお、公共図書館からの依頼、あるいは本
学からの要請も大学図書館に準じるかたちで実施している。
第四に、本学は、近畿地区女子大学就職問題業務研究会の会員校として、学生の就職関
係業務の諸問題に関する情報交換も行っている。
企業との連携という点では、第一にキャリア支援部での取組みとしての業界セミナーが
ある。これは、キャリア教育の一環として、学生が業界理解・業界の仕事理解を深めてい
くことを目的に、大学3年生を対象とし、例年 11 月中旬に開催している。各業界の人事採
用担当者または営業担当者を講師として招き、1 業界 90 分で行っている。平成 17(2005)
年度から継続して行い、平成 17(2005)年度(11 業界)、平成 18(2006)年度(12 業界)、平成
19(2007)年度(12 業界)、平成 20(2008)年度(14 業界)となっている。また、基準4-3で詳
述したインターンシップも実施している(詳細は基準4-3を参照)。
企業との連携の第二は「寄付講座」の実施である。本学では、教養科目「キャリア形成」
において、株式会社野村證券による「寄付講座」を行っている。この取組みは本学からの
申し入れを野村證券が受け入れて実現し、運営は共通科目委員会が行い、野村證券豊中支
店から派遣された講師が、本学学生に向けて株式入門を内容とする講義を行っている。
(2)10-2の自己評価
「大学コンソーシアム大阪」については、平成20(2008)年度実績から見ると、本学から
他大学の授業を履修する学生数は4人であり、他大学からの受入れ学生については0人であ
り、決して盛況であるとは言えない状況である。生涯学習部が運営している日本女子大学
92
梅花女子大学
との共催公開講座は、日本女子大学「福岡サテライト」「札幌サテライト」にも同時中継
され、現在までに4講座が実施されたが、多くの参加者を得ている。また、近畿地区女子大
学就職問題業務研究会への参加は、他大学の抱える諸問題やその対応、他大学の学生の動
向を把握する上で役立っており、会員校間で適切な関係を構築している。
業界セミナーについては、例年一定数の業界からの参加があり、学生の業界・仕事研究
として本学と各業界の企業との適切な関係を構築している。また「寄付講座」も毎年多く
の学生が受講している。
(3)10-2の改善・向上方策(将来計画)
「大学コンソーシアム大阪」での、本学への受入れ学生が 0 人である点については、梅
花女子大学への交通アクセスの悪さが原因と考えられるが、それを乗り越えてでも履修し
たいと他大学生に思わせるような魅力ある講義を提供できるように努力をつづけていくの
みである。また、生涯学習部の共催公開講座については、日本女子大学との共催を維持し
つつ、新たな共催先の開発に努力していきたい。また、近畿地区女子大学就職問題業務研
究会については、女子大学の共学化にともない、会員校が減少傾向(平成 14(2002)年度 20
校→平成 21(2009)年度 17 校)にあるが、学生の就職に関連する諸問題や対応について活発
に議論を行える場であるので、今後も積極的に参加する予定である。
キャリア支援部の運営する業界セミナーについては、講師・受講生双方向での取組みが
必要と考えている。平成 21(2009)年度からは、できるだけ、本学の卒業生を講師または、
講師アシスタントとして招き、質疑応答のできる環境を整えていく方向で検討している。
また、基準4-3で詳述したインターンシップについては、受入れ依頼の企業訪問を積極
的に行う方向で検討している。
「寄付講座」については、継続的に連携先を確保する努力を
続ける。
10-3.大学と地域社会との協力関係が構築されていること。
≪10-3の視点≫
10-3-① 大学と地域社会との協力関係が構築されているか。
(1)10-3の事実の説明(現状)
地域社会の連携という点については、本学の所在地である大阪府茨木市における産官学
連携の取組みをあげることができる。平成 18(2006)年 11 月 13 日、本学、茨木市、茨木商
工会議所の三者は、茨木市地域活性化を目指した産・官・学連携基本協定を締結した。地
域の活性化が地域社会の発展にとって極めて重要であることに鑑み、福祉・産業・教育・
文化・芸術・スポーツなどの分野で積極的に連携を行い、相互に協力することにより地域
の発展に努めることを目指した。この基本協定に基づく共同事業として、平成 20(2008)年
3 月 15 日に文化フォーラム「次世代とともに歩むいばらき~ことばとこころを豊かに育む」
を開催した。この催しは、詩人・谷川俊太郎氏、音楽家・谷川賢作氏父子による詩朗読と
ピアノ演奏のコラボレーションライブ、谷川俊太郎氏と本学教授(児童文学者)との対談、さ
らに茨木市・茨木商工会議所・本学によるパネル展示など多彩な内容のものであった。本
事業は茨木市市制 60 年、茨木商工会議所創立 60 周年、梅花学園創立 130 周年を記念する
事業でもあった。
93
梅花女子大学
この他、各種イベントなどに地域住民をキャンパスに招待する機会や学生が中心となる
地域交流事業もある。毎年クリスマスの時期にはゴスペルコンサートなどのイベントを中
心とする「クリスマス・イヴニング」を開催している。これには同じく茨木市に所在する
早稲田摂陵高等学校のブラスバンド部のレギュラー参加を得ている。また、児童文学科と
児童文学・絵本センターを運営母体とする「絵本の読み語り<おはなし会>」が、複数の
地元小学校や近隣地域団体等に出向いて、月平均7~8回の頻度で活動を続けている。この
活動を契機に、茨木市教育委員会から学校ボランティアの依頼があり、具体的には学生が
ボランティアとして地域の小学校に出向き、学習活動の支援などに協力している。また、
同教育委員会教育研究所からの依頼によって、本学心理学科の学生が不登校支援員(学生ボ
ランティア)として、児童・生徒の再登校自立支援などの活動を行っている。
基準2-1及び基準9-2において詳述した心理・教育相談センターでは、豊中キャ
ンパス(大阪府豊中市)でも、茨木キャンパスにおいても北摂地域から幅広く相談を受け入
れており、相談者は増加している。
地域社会との連携という点で本学が積極的に取組んでいるのは、高大連携授業である。
現状では、福井高校・茨木西高校・箕面東高校と協定を結び、科目等履修生として高校生
を受け入れて大学教育を提供している。茨木西高校とは、高校側の放課後にあたる本学の
第 5 限に開講されている教養科目への履修を女子学生のみ認めている。福井高校・箕面東
高校と間には、それぞれの生徒のみで編成したクラスにおいて、教養科目の「教養特講」
として大学教育の入門編にあたる授業を提供している。なお、高大連携授業には同じ学園
内の併設校である梅花高校との学園内高大連携授も行っている。これらの高大連携授業の
運営については、学園委員会としての高大連携授業委員会が主管している。
生涯学習部では基準10-1に前述した「出前講義」において、近隣の複数の高校から
毎年依頼を受けており高校教育との良好な協力関係が育っている。国道 171 号線(旧西国街
道)で結ばれた西宮市の高齢者社会教育活動「宮水学園」にも毎年講師を派遣している。
この他、人間福祉学科の11人、心理学科・国際英語学科・児童文学科・日本文化創造学
科・情報メディア学科の6人の教員が、関西圏内を中心とする50の各種公的協議会・審議会
等の委員として地域貢献を果たしている。
(2)10-3の自己評価
行政との連携は、前述の産官学連携基本協定の締結とこれに基づくさまざまな具体的取
組みによって一定の成果をあげつつある。とりわけ行政と大学が双方向的に連携する事業
等が推進されている。
地域住民との関係からみた協力関係は、児童文学・絵本センターの読み聞かせ・読み語
りの展開、生涯学習センターや高大連携の取組み、心理こども教育センターの活動がある。
心理こどもセンターは臨床心理士の実習機関であり十分な広報活動に至っていないが、教
育に支障がない限度での地域への情報提供が必要である。
近隣ニュータウンにある彩都コミュニティひろば(旧・彩都まちづくり館、平成(2007)
年7月改称)のイベントへの学生の派遣などで協力した。また CCP­Toyokawa2( 豊川中学
校区教育協議会 )(注)では、近隣の小・中学校へ学生を派遣し、協議会主催の豊川フェスタ
にも参加した。これらの活動は平成 19(2007)年度に実施したが、平成 20(2008)年度は、協
94
梅花女子大学
議会を構成する公立学校や企業が橋下大阪府知事の府政改革と不景気の影響をこうむった
ため、事業そのものが頓挫している。
(注)CCP­Toyokawa2(豊川中学校区教育協議会)
事務局豊川中学校。豊川中学校区の地 域のさまざまな人々や組 織とともに子どものことを考えていく 協議会。参加企業は
近畿キャタピラ三菱、大成化工、西濃運輸、JICA 国際協力事業 団ほか、参加公共施設は、地区内公民館・子ども会・自治
会ほか。参加教育機関は、郡山敬愛幼 稚園、早稲田摂陵高等学 校・中学校、関西大倉高等学校・中学 校、福井高校、地区
内公立中学・小学校・保育所、各校の PTA。
(3)10-3の改善・向上方策(将来計画)
多様な学科を持つ本学としては、地域に開かれた大学としてその持てる教育資源をより
一層地域に還元し、地域社会から期待され支えられる教育機関として充実を図るべきであ
る。今後は、地域社会への貢献・交流をより一層促進するために、地域との交流イベント
などを継続するほか、隣接する豊川地区や彩都地区など地域のまちづくりへの取組みにも
地元教育機関としての関与を一層強めたいと考えている。
そのため府からの予算措置に左右されない学校ボランティアなどの草の根の活動への協
力を強化し、大学からの情報発信や人的交流に注力する計画である。
伝統的な文学部系の知的資源の活用については、生涯教育の観点から高齢社会への対応
のみならず、現役世代の再教育や継続教育の体制を整える必要がある。
〔基準10の自己評価〕
梅花女子大学における社会連携活動については上記のとおりであるが、図書館及び生涯
学習センターの活動においては、人文系学問分野を中心とする知的資源を社会に提供し、
地域社会からはおおむね好評を得てきた。ただし大学が社会の需要の変化に応じて学部学
科構成の刷新を進めており、従来どおりの成果の還元という体制を維持することは困難に
なることが予想される。とくに人文系の知的資源については、その維持発展の基盤を見つ
けなければ将来的に枯渇することも危惧される。この状況を打開するためには、よりひろ
い領域に生涯学習を位置づけ、成果の還元にとどまらず生涯にわたる学習機会と継続的な
情報サービスを提供する役割を担う必要がある。
〔基準10の改善・向上方策〕
今後の社会連携活動を考えてみるとき、本学が大学の知的資源を社会に提供するための
手段としてインターネットの活用は欠くことができない。同時に、公開講座の経験から明
らかなように、講師と参加者の交流の場が求められる。こうした交流の場を、自治体や地
域及び企業との協力関係のなかで生み出し、継続的に運営していくことが課題となってい
る。そのため学園の保有する施設の有効利用とともに、ソフト面での拡充が必要である。
今後の課題は、既存施設の有効利用と地域社会との協力関係による新しい大学のかたちを
生みだすことである。そのためには大学の教育研究を地域社会へのサービスに変換する仕
組みを構築する必要がある。本学は立地のうえでハンディキャップを背負っており、集中
的なキャンパスから分散的なネットワークへの移行を推進しなければならない。中小大学
のサバイバルとして、特色のある知的資源を活用しつつ、公共施設や他大学のサテライト
とのネットワークを構築することも視野に入れなければならない。こうした事業の推進母
体となる専門部署の設置も検討課題である。
95
梅花女子大学
基準11. 社会的責務
11-1.社会的機関として必要な組織倫理が確立され、かつ適切な運営がなされている
こと。
≪11-1の視点≫
11-1-① 社会的機関として必要な組織倫理に関する規定がされているか。
11-1-② 組織倫理に関する規定に基づき、適切な運営がなされているか。
(1)11-1の事実の説明(現状)
本学園は、
「梅花学園寄附行為」第 3 条に「この法人は、キリスト教精神をもって徳育の
基本とし、教育基本法及び学校教育法に従い、教育の実をあげることをもって目的とする」
と定めている(【資料 F­1】)。これが、社会的機関としての本学が社会と連携し教育活動を
展開する規範である。この規範に基づき、
「就業規則」第 4 条では服務規律が定められてお
り(【資料 6­2】)、学園の建学の精神を堅持しつつ教職員が一致協力して職務を遂行するこ
ととされている。
また、
「学校法人梅花学園セクシャルハラスメント対応指針」及び「セクシャル・ハラス
メント防止に関する規程」を定め(【資料11­3】)、学生・教職員は、互いに人格を尊重し、
健全な就学環境ないし職場環境の保持に努めている。同規程第4条で、セクシャル・ハラス
メント防止に関する委員会(以下、セクハラ防止委員会という)の設置を定め、セクシャ
ル・ハラスメントに関する相談、被害者救済・援助、さらには防止のための啓発に関する
事項等について審議することとしている。また、『大学(院)要覧』に掲載している「ハラス
メント防止のためのガイドライン」では、基本方針として、本学教職員は「誰もが安心し
て就学や教育・研究、就労に打ち込める環境を維持するために、全てのハラスメント防止
に努め」、本学が「キリスト教の愛の精神に基づき、全ての学生や教職員の権利を尊重し、
生活を脅かすいかなる人権侵害をも容認」しないことを明確にしている(【資料11­3】)。
さらに、
「学校法人梅花学園個人情報保護に関する規程」
(以下「個人情報保護規程」
【資
料 11­2】)を定め、法人及び設置学校等が保有する個人情報の取扱いについて規定してい
る。その規程に基づき、個人情報の適正な取得、利用、管理及び保存に関する学園の責務
を明らかにするとともに、自己に関わる個人情報の開示、訂正及び削除を請求する権利を
本人に保証し、もって学園における個人の権利利益及びプライバシーの保護に資すること
としている。
一方、学園の教育・研究活動上取り扱う広範な情報資源のセキュリティを確保する観点
から、
「学園情報セキュリティポリシー」を制定した(【資料 11­2】)。これにより、情報資
源利用者が学園の重要な資産である情報を取り扱う上での倫理等に関する基本方針を明確
にした。
教職員の行動規範としての服務規律については、採用時の研修で説明を行い、社会的機
関の一員としての自覚を促している。また、ハラスメント防止への取組みとしては、上述
した「ハラスメント防止のためのガイドライン」において、セクシャル・ハラスメント及
びアカデミック・ハラスメントの定義・事例や対処方法などを具体的に示し、意識向上と
ハラスメントの発生防止を図っている。
一方、
「個人情報保護規程」第4条において学園個人情報保護委員会を置くことを規定し、
学園の個人情報保護に関わる事項を審議する体制を採っている。学生に対しても『大学(院)
96
梅花女子大学
要覧』に「個人情報の保護について」を掲載し、本学の個人情報に対する基本姿勢を示し
ている。また、個人情報保護ニュースを適宜発行する活動や、本学ホームページでその基
本精神を公開するなどの啓発活動を推進している。
(2)11-1の自己評価
梅花学園の設置学校は、キリスト教精神に基づく教育を行うが、日常的に本学の教職員・
学生が関わり合って行く上で重要な役割を果たしているのがスクールモットー「人にして
もらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい」である。これは教職員と学
生の総意で制定したもので、これをふまえることにより、教職員は建学の精神を堅持しつ
つ、相互に人格を尊重し、協力して職責を遂行すべしとする服務規律が、より一層強い意
味を持ち得ると評価している。
さらに、個人情報保護という考え方は、個人の尊重という立場から教職員の大方の理解
を得て業務に活かされているうえに、日常的に個人情報流出防止策や適正な個人情報取得
のあり方などについてキャンペーンを行うなどの行動を通して成果をあげている。しかし、
ハラスメント防止のための措置はまだ十分とは言えず、学生及び教職員に対するより積極
的な啓発活動が必要である。
(3)11-1の改善・向上方策(将来計画)
「セクシャル・ハラスメント防止に関する規程」等は比較的早期に実施したが、アカデ
ミック・ハラスメントやパワー・ハラスメントなどの予防を含む規程の整備が必要であり、
その検討を、今後、セクハラ防止委員会及び法人事務局で進め、教職員への啓蒙・研修を
強化する。加えて、ハラスメント防止に関するこれまで以上の啓発活動の実施に向け、同
委員会で検討を進め、教育機関としての社会的責任を果たして行く。
11-2.学内外に対する危機管理の体制が整備され、かつ適切に機能していること。
≪11-2の視点≫
11-2-① 学内外に対する危機管理の体制が整備され、かつ適切に機能しているか。
(1)11-2の事実の説明(現状)
学内外に対する危機管理については、部長会で審議決定しているが、危機管理マニュア
ルは整備できていない。キャンパス内の安全管理については、正門に警備員を配置し、入
校者に対するチェック及び校内巡回を実施している。また、キャンパスには防犯カメラを
設置し、教職員は、執務中には常に教職員証を携行することになっている。
本学は学生送迎用としてスクールバスを運行している。現状では、授業期間に合わせて
運行し、運行不能時には、あらかじめ定めた取扱いに従って対応しているが(【資料 11­6】)、
スクールバスに関する特別の規程は整備していない。
消防訓練は、年 2 回実施し、自衛消防隊組織を編成し有事に対応できるようにしている。
また、個人情報の取扱いに関しては、
「学校法人梅花学園個人情報保護に関する規程」に基
づき、各部署で業務に沿った対応をしているが、情報流出時に緊急対応するマニュアルは
整備できていない。
97
梅花女子大学
(2)11-2の自己評価
危機管理については、部長会においてその都度審議し行っているが、全ての責任を部長
会で担うことには限界がある。したがって、学園レベルで危機管理に関する指針を立て、
それに基づく大学の危機管理体制を整備する必要がある。また、スクールバスについては、
運行・安全管理に関する規程が必要である。個人情報流出に関する緊急対応マニュアルも
早急に整備する必要がある。
(3)11-2の改善・向上方策(将来計画)
危機管理体制の整備に関しては、常務理事会に危機管理マニュアルの指針を求め、それ
に基づき、今年度中に部長会で大学の危機管理マニュアルを作成する。また、スクールバ
スに関する規程も、今年度中に学生部・学生委員会において作成する。個人情報流出に関
する緊急対応マニュアルについては、学園個人情報保護委員会において、梅花学園全体の
取組みとして検討していく。
11-3.大学の教育研究成果を公正かつ適切に学内外に広報活動する体制が整備されて
いること。
≪11-3の視点≫
11-3-① 大学の教育研究成果を公正かつ適切に学内外に広報活動する体制が整備さ
れているか。
(1)11-3の事実の説明(現状)
学園情報ネットワーク運営委員会は、豊中学舎にある高校・中学・幼稚園も含めて、大
学・短期大学部の間のネットワークを構築し、情報発信の手段を検討している。ホームペ
ージの管理・運営は、学園ネットワーク運営委員会が審議し、メディアセンターが行って
いる。また、ホームページの中の総合学術ポータルサイト「学び舎」では、
「教育・研究活
動」(学園の研究助成の一覧、遠隔地教育の取組みの事例報告)、「教員データベース」(本
学各教員の所属と研究分野の一覧)、
「学術データベース」
(各教員の研究成果、一部は内容
の閲覧可)、
「デジタルコンテンツ」
(本学教員の講義の動画)等の教育研究情報を公開して
いる。
紙ベースの学術成果の公表については、1 年に 1 度紀要を発行している。紀要は学部ご
とに『梅花女子大学
文化表現学部紀要』
『梅花女子大学
現代人間学部紀要』として刊行
している。発行までの手順は以下のとおりである。
1. 7 月頃、図書・紀要委員会委員長名で、「紀要掲載論文について」の投稿者確認の
文書を専任教員全員に配布する。
2. 10 月 1 日付で「紀要論文投稿用紙」を専任教員全員に配布する。
3. 10 月末日を締切日とし、図書館事務室で担当者が直接論文を受領する。
4. 論文本文の校正については各執筆者に任せる。
5. 体裁・編集については各学科図書・紀要委員で検討し、委員長が決定する。
6. 「梅花女子大学紀要 執筆・編集要項」に基づき、年 1 回発行する。
刊行された紀要は
1. 各大学及び研究所への送付を図書館が行なう。
98
梅花女子大学
2. 送付先については、各学科の図書・紀要委員にあらかじめ前年の送付リストを配布
し確認をとる。
3. 国立情報学研究所学術基盤推進部学術コンテンツ課へ送付する(論文の電子化)。
4. 総合学術ポータルサイト「学び舎」で公開する。
というかたちで、外部への発信を確実に行っている。
しかし、紀要については長く文学部だけの大学として編集してきたが、改組改編によっ
て文化表現学部・現代人間学部へと分かれ、さらに短期大学部委員を含めた図書・紀要委
員会となったために、全体の足並みが揃いにくく、旧体制のままの編集指針で行っている。
文化表現学部の投稿は多いが、現代人間学部の投稿は多くない。人間福祉学科教員の業績は
ペーパーのかたちをとらないことが多く、心理学科教員の業績は当該学会誌に発表することが
多いことが、紀要への投稿の少なさに反映している。
また、本学では、厳密な査読審査は行っておらず、各学科の図書・紀要委員の判断に基
づき、とくに問題となる論文についてのみ委員会で審議している。
(2)11-3の自己評価
「学び舎」に関しては、外部に誇れる高い水準にあったがやや停滞気味である。「学び
舎」の中の教員のデータベースは、教員自身の入力に任せており、精粗のばらつきが見ら
れる。講義コンテンツに登場する教員は、学園情報ネットワーク運営委員会に諮りながら、
図書館情報センター長が依頼するかたちであるが、今のところ全学のバランスもとれてい
る。
紀要の発行には、現在のかたちでとくに不都合は出ていない。しかし、学部ごとの紀要
形式を改めて 1 冊にした方がよいのか、書冊形式の紀要を廃した方がよいのかは検討課題
であるが、種々の意見があるために合意の見通しは立っていない。紀要原稿の厳密な査読
審査には、根強い反対意見もあり、同種または隣接する専門分野の教員が複数いないなど、
教員数を考慮すると困難な状況にある。
また、紀要への投稿者が一部の教員に偏っており、全学的に紀要への意識が高まらない
傾向にあるといわざるを得ない。
(3)11-3の改善・向上方策(将来計画)
平成 21(2009)年 4 月から、学長の下に入試広報に力点をおいたホームページ改訂委員会
が発足し、ホームページの大幅な改訂が検討されている。しかし「学び舎」に関しては、
今後も学園情報ネットワーク委員会が管理・運営することになっており、外部資金の導入
を模索するなど、本学ホームページ新設時の創作意欲の復活を図る。
紀要規程は早急に制定し、執筆要領の改訂もしなければならないが、来年度にむけて大
幅に改組改編が行われるため、その方向を見定めて規程などに関する全学の合意をとりつ
けたい。
近年、学園・大学の期待は教員の教育・学内諸業務に傾いているが、教員の研究発表の
場である紀要の刊行は現状維持を目標とする。紀要を補う「学び舎」は、時代の要請に応
えつつ、教員のデータベースなどのコンテンツの充実を図るために、教授会等を通して教
員に積極的な協力を呼びかけていく。
99
梅花女子大学
〔基準11の自己評価〕
社会的機関として必要とされる組織倫理と危機管理の体制については、最低限必要とさ
れるものについては整備されているが、それを運用するための議論については充分にでき
ているとは言えない。各基準項目で述べたように、個々の問題について議論され実行され
てはいるが、包括的な規程、あるいは体制の構築が遅れているために、対応が後手にまわ
る危険性が高い。そのため総務部を軸に、現行の体制を点検し問題点を洗い出す必要があ
る。
〔基準11の改善・向上方策〕
総務部長を中心にして、問題点を確認し対応策を講じる。基準7で述べた法人総務部内
の業務内容及び責任体制の明確な分担の問題と大きく関わってくるが、来年度からの改組
改編を前にして、移行期の規程を整備するなかで現状の改善を図る。
100
梅花女子大学
4.
特記事項
はじめに
少子化に伴う大学全入時代を目前にして、大学を取り巻く環境は厳しいものがある。学
生確保の面では、かつてない過当競争を強いられ、大手の有名私立大学が着実に志願者を
集めている一方で、約 47%の私大が定員割れを起こしている。大学間における二極化が確
実に進み、小規模大学が淘汰される時代を迎えつつある。また、大学への進学率は同年齢
の過半数が高等教育を受けるというユニバーサル段階に入り、いわばレベルの低い学生、
勉学意欲の乏しい学生など、多様な学生を受け入れる状況にある。
一貫して女子の高等教育を使命とし、入学定員も 500 人と小規模な大学である本学は、
このような環境の中にあり、ここ数年非常な苦戦を強いられている。過去 3 年間の本学の
入学定員充足率は平均して 5 割を下回っており、この数値からも、本学の教育内容が、今
日の社会あるいは高校生のニーズに応えられていないことは明白である。
常務理事会は、ますます困難さを増す私学経営に、これまでの歴史と伝統の上に立って、
新たな歴史を刻むための改革を推進することを決断し、平成 19(2007)年 3 月に常務理事会
の諮問機関として学園改革推進本部(以下、改革本部という)を臨時的に立ち上げた。改
革本部は理事長・学園長をはじめとして全設置学校長及び学長補佐、高校教頭、法人事務
局長、企画 GM(グループマネージャー)で構成され、教学と経営が一体となった形で学
園全体の改革の方向性や具体策について検討作業を進めた。主要な課題としては、学生一
人ひとりを大切にして寄り添う教育の実施、また学園の中・高と大学・短期大学部の連携
を深めることなどであり、また各設置学校における募集力強化に向けた取組みを検討し、
特に大学は、教育内容の特化や教育力の向上、学生支援や広報力の強化に向けた取組みを
表明した。
しかし、これらは一つの方向性の表明であり、本学の現状を早急に打開する具体策では
なかった。昨今の本学への入学者数減少は、法人全体の経営状況の悪化に直結している。
このことから、前述の改革本部では大学の再建策をその中心的課題と位置づけ、本学園の
建学の精神に合致し、かつ入学者数増に繋がる学部・学科構成と学生支援の充実等を改め
て検討することとなった。
第一に、改革本部は大学と短期大学部の将来像を描き、改組への運びを具体的に検討す
る作業チームとして、改革本部の下に、大学・短大部改組プロジェクトチームを設けた。
リーダーとして学長、ほかに法人事務局長、入試広報部長、人事・財務・企画グループの
GM という構成である。このチームでは、活発に検討作業を進め、大学の改革・改組の具
体策をまとめた。その具体策は改革本部に提案・承認され、常務理事会・理事会において
も承認・決定された。
第二に、学生支援の充実を図る具体策として、改革本部の意向を受けた学長により、初
年次教育実施準備委員会が組織され、改組に先立つ平成 21(2009)年度から入学生を対象
として開始すべき正課の初年次教育の具体的内容の検討を行った。委員会のメンバーは、
文化表現学部長、共通科目委員長ら教員 4 人と、教務部とキャリア支援部の職員 1 人ずつ
の計 6 人で、本学が提供すべき初年次教育の授業として「BAIKA セミナー」を企画した。
以下、本項では、梅花女子大学の「生き残り」をかけた、上記の二つの取組みについて
記しておきたい。
i
梅花女子大学
I.梅花女子大学の改組改編について
(1)
現状
本学は平成 16(2004)年に改組を行い、文学部のみの 1 学部から、現代人間学部、文化表
現学部(短期大学部は除く)の 2 学部制にした。発足後の 2 年間の入学定員充足率は平均
して 8 割強であったが、4 年後には 5 割台に落ち込み、特に現代人間学部の人間福祉学科
及び生活環境学科のそれは 4 割前後と極端な落ち込みであった。そこで、様々な条件を考
慮し、生活環境学科のみを平成 20(2008)年 4 月から募集停止にしたが、それ以外の改革に
乗り出すことはなかった。
今日の大学は、まさに厳しい自由競争のなかにあり、大学によっては、常に受験生のニ
ーズに応えるため、毎年のように何らかの手を打ち、新しい大学の姿を社会に PR すると
いう積極的な姿勢を示している。高等教育を担う大学が、教育内容を次から次へと変えて
良いのかという、批判や考えは確かにある。しかしそうせざるを得ない状況に私学の弱小
大学がおかれているのも事実であり、本学にその認識、危機感が欠けていたという深い反
省がある。そしてこの危機感あるいは積極性に欠けていた結果が、学生確保における先に
示したような状況を招き、それはひいては、本学の教育内容が今日の高校生のニーズに応
えられていないということを示している。約 4,000 人の高校生を対象としたリクルート社
のアンケート調査(平成 20(2008)年)によれば、今日の高校生が本学への興味をほとんど
抱いていないという厳しい結果が出ている。特に「卒業後に社会で活躍できる可能性のあ
る大学か?」
「将来の選択肢が増える可能性のある大学か?」といった項目においては、本
学は 0%に近い調査結果になっている。本学の今の教育が、高校生に将来の可能性、夢を
与えられていないという厳しい高校生の評価である。
(2)
改革・改組の基本的な考え
このような調査結果及び本学の厳しい現状を考慮し、大幅な改革・改組を通して、教育
の充実と発展を図ることにした。その基本的な考えは、
「本学の建学の精神・教育目標がこ
れまで以上に具現化される教育内容であること」に尽きる。つまり、他者への愛と奉仕の
精神を備え、精神的にも、社会的にも自立した女性を育成する。言い換えれば、資格ある
いは就職、さらには女性の生涯というものを強く意識する「キャリア教育」を中核として、
幅広い知識と豊かな人格を備え、どんな困難にもくじけることのないしなやかな心をもち、
社会に積極的に貢献するたくましい女性を育成する、この点にこそ、今日の女子大学の存
在意義があり、本学の重要な使命だと考え、この使命を果たすべく教職員全てが心を一つ
にして努力し、今日の社会のニーズに応えられる新しい大学像を確立することにした。そ
れは、新しい教育体制の確立と教育内容の充実を通して、本学がこれまで以上に、学生一
人ひとりの能力・個性を伸ばし、学生たちの将来の可能性が広げられるような真の教育力
をもつ大学になることに他ならない。
(3)
改革・改組
この改革・改組の基本的な考えに基づき、また最近の各教育分野の志願者の動向などを
考慮して、平成 22(2010)年 4 月に 2 学部 3 学科を新しく設置することになった。一つは本
学にとって全く新しい分野である「看護学部看護学科」
(設置認可申請中)であり、もう一
ii
梅花女子大学
つは、既存の教育資源を発展的に活用する「心理こども学部こども学科・心理学科」
(設置
届出予定)である。
1)看護学部・看護学科(入学定員 80 人)
この学部・学科では、本学の建学の精神にふさわしい、幅広い視点と深い人間理解に基
づく看護が展開できる人材、患者の心を自分の心とできるいわば「愛なる人」とも呼べる
ような看護師の育成を目指す。特に、看護に関する知識、理論、技術などの基礎教育を、
きめ細かい指導体制のもとで徹底して行い、全員の看護師の国家試験合格を目標にする。
<資格>看護師と保健師の国家試験受験資格及び養護教諭一種免許の資格取得可能。
2)心理こども学部
こども学科(入学定員 80 人)・心理学科(入学定員 70 人)
この学部・学科は、これまでの本学の現代人間学部人間福祉学科保育福祉専攻及び心理
学科、さらには文化表現学部児童文学科の伝統的な学びを発展的に統合させて、新しく展
開する学部・学科である。特に<こども>と<こどもを取り巻く大人たち>の心の理解や、
こどもの成長に関する深い理解を持ち、こどもが持つ自然に生長する「力」を見出し、そ
の成長に深く関わることのできる能力を備えた女性の育成を目指す。
<こども学科>
この学科は、こどもとこどもの本に関する専門性を身に付け、幼児教育・保育、児童文
学・絵本のそれぞれの視点からこどもにアプローチできる人材の育成を目指す。また以下
のような2コース制にする。
○幼児教育・保育コース:児童文学・絵本の学びに加えて、こどもを健康で情操豊かに育
む上で不可欠な、音楽・幼児体育・あそびなどの知識や技能を習得させながら、保育
士や幼稚園教諭として活躍できる人材の育成を目指す。資格は、保育士と幼稚園教諭
一種免許両方の資格取得が可能。
○児童文学・絵本コース:主に児童文学・絵本に関する専門的知識を身につけ、さらに物
語や絵本を創作し、伝えることのできる人材の育成を目指す。例えば、図書館司書、
学校司書、読書活動支援リーダー、児童文学・絵本作家、幼稚園教諭として活躍でき
る人材である。資格は、幼稚園教諭一種免許、司書、レクレーションインストラクタ
ーなどの取得が可能。
<心理学科>
この学科では、日常の暮らしや人間関係に目を向け、こどもから大人まで広く人の心や
行動に興味を持ち、こども発達心理、社会心理、感性心理、臨床心理といった分野にわた
って、主体的に学んで専門性を身につけた人材の育成を目指す。例えば、教育機関などに
おいてこどもの心に注視しながら組織や業務を運用していく立場の人材、企業などで人の
心の動きに着目して業務に対する提案のできる人材などである。
資格:認定心理士、社会調査士、レクレーションインストラクター、司書などの資格
取得が可能。
以上が新しく設置する予定の 2 学部・3 学科の概略であるが、この学部・学科の設置に
より、既存の現代人間学部人間福祉学科、心理学科、及び文化表現部児童文学科は平成
22(2010)年 4 月から募集停止となる。
iii
梅花女子大学
現代人間学部人間福祉学科は、「社会福祉の利用者に対し、幅広い専門的サービスを提
供し、利用者一人ひとりのウェルビーイングを高めることができる、高度な専門的知識と
優れた実践力を身につけた人材育成」という教育目標を掲げ、また社会福祉の基礎資格で
ある社会福祉士国家試験受験資格取得という共通目標を持ち教育を実践してきた。社会福
祉士国家試験受験資格取得という点では、ここ数年、卒業生の約 96%がその受験資格を取
得しているが、その試験の合格率でいえば、その対策講座等を開講しているにもかかわら
ず、平均すれば約 18%(平成 19(2007)年度までの過去 4 年間の平均)であり、全国平均の
約 29%に比べて低調といわざるを得ない。これはこの学科の教育が学生の要望に十分に応
えきれていないことの一つの証であろう。また、ここ数年の受験生の動向をみても福祉離
れは顕著であり、この学科の入学定員充足率は、平成 21(2009)年度では 20.3%であった。
もちろん、この結果には、学科が抱える問題だけでなく、本学全体の様々な問題が絡み合
っていることは当然であるが、しかし経営的にみてこの学科を維持することは困難である
と判断せざるを得ず、平成 22(2010)年 4 月から募集停止にすることになった。ただし、こ
の学科の保育福祉専攻の学びは、新しい学部学科である心理こども学部こども学科の中の、
幼稚園教諭一種免許と保育士の両資格取得が目指せる幼児教育・保育コースで発展的に活
かすことにした。
また、文化表現学部の国際英語学科、日本文化創造学科、情報メディア学科の改革につ
いては、上記の大学・短期大学部改組検討プロジェクトチームにおいて現在検討中である
が、先の改革・改組の基本的な考えに基づき、将来を見据えたキャリアデザインに積極的
に取組み、社会で活躍できる社会人基礎力や専門的知識を備える自立した女性の育成を目
指す学部・学科にする予定である。
さらに、これらの改革によって本学は 3 学部体制になるが、入学定員は現行の 500 人(3
年次編入定員 60 人)から、410 人(3 年次編入定員 50 人)に減ずる予定である。
iv
梅花女子大学
II.梅花女子大学の初年次教育「BAIKA セミナー」について
大学では「全入時代」を迎え、勉学意欲の薄い学生やその目的が明確でない学生など、
多様な学生を受け入れる状況になっている。
「大学では何をどのように学ぶか」ということ
を考え、身につける場を、入学したばかりの1年生(段階的には 2 年生までを視野に入れ
ることもある)に提供する教育である。同時に、自分の将来を意識させる場である必要も
ある。先行している大学で行われている初年次教育は、たとえば、大学での講義の受け方、
レポートの書き方、演習授業での発表の仕方(プレゼンテーション)などに代表される、大学
で学ぶための「How to」内容や、近い将来に必要となる就職活動に向けての準備のための
「How to」内容を中心として行われている。
本学では、そのような他大学での試みを先行例とし、改革本部の意向を受けた学長が初
年次教育実施準備委員会を諮問委員会として招集し、本学独自の初年次教育のあり方を検
討させた。その成果として、平成 21(2009)年度 4 月からスタートしたのが、本報告書のい
たるところに登場する「BAIKA セミナー」という 1 年次前期必修の正規科目である。各基
準での記述のみでは、その全体像が見えにくいため、本項では、本学の初年次教育の状況
を「BAIKA セミナー」を中心に記しておきたい。
「BAIKA セミナー」は 6 月末の時点で 3
分の 2 の授業計画を終えていることを考慮し、ここでの記述形式も各基準の記述方法にな
らい、事実の説明(現状)、自己評価、改善・向上方策(将来計画)の順に進めていく。
(1)事実の説明(現状)
上記の初年次教育実施準備委員会(以下、準備委員会)での検討は、今、学生に、何から教
育するべきか?という議論から開始した。中央教育審議会大学分科会「学士課程教育の構
築に向けて」〔平成 20(2008)年 3 月〕によれば、初年次教育において重要であると考えら
れる項目には、以下のようなものが挙げられている。
① レポート・論文の書き方などの文章作法(63.7%)
② プレゼンテーションやディスカッションなどの口頭発表の技法(51.1%)
③ 将来の職業生活や進路選択に対する動機付け(31%)
④ 受講態度やマナーの涵養(27.7%)
⑤ 大学への帰属意識の向上(13.4%)
この調査結果をふまえて、本学では、現在抱えている緊急の問題「入学者数の減」
「途中
退学者の多さ」などを考慮し、まず、⑤に関連する内容ということで、自分の所属する学
科こそ「大学における自分の居場所」なのだという強い意識を学生一人ひとりに持たせる
ことを目標とした。観点を変えれば、学科の教員に対する信頼関係と同じ学科で学ぶ学生
同士の信頼関係を築くということである。したがって、準備委員会では、この授業はこれ
までの学び一辺倒の授業ではなく、「いかに教員と学生が互いに相手のことを知り合える
か」ということを第 1 の目標とすることとした。また第 2 の目標として「就職意識の醸成」
を掲げることを確認し、4 年間を通した「キャリア教育の第 1 歩」としてこの科目を位置
づけることとした。そして、授業のテーマを、近年我が国でも注目されつつある「ワーク
ライフバランス」という考え方を大学生向けに翻訳した「スタディ・ライフ・バランス(学
びと生活の調和)の実現」とし、授業名をその名も「BAIKA セミナー」とすることで、本
v
梅花女子大学
学独自の初年次教育を目指すこととなった。
以上の確認事項をふまえて、準備委員会では、「BAIKA セミナー」を独自のものとする
ための基幹策は、既存の大学初年次教育向けの市販テキストに頼るのではなく、本学独自
のテキストを作成することであり、そのための授業内容の検討に入った。学科の違いにか
かわらず、梅花女子大学に入学した学生に一律に同じ初年次用の教育を提供するためには、
授業担当者の違いによって授業内容が異なることは、学生と教員の信頼関係を築くべき
「BAIKA セミナー」を瓦解させかねない。準備委員会では毎週のように会議を重ね、しっ
かりとしたテキスト作りを目指した。その成果として結実したものがテキスト『BAIKA セ
ミナー ―スタディ・ライフ・バランスの実現―』(本編【資料 1­5】)である。以下、授業
内容を紹介するためにも、その目次を提示する。
目
次
はじめに ..................................................... 1
学長メッセージ ...................................................1
ニンテンドーDSi の有効利用について ...............................3
Ⅰ
キャンパスライフをスタートしよう ......................... 4
第1節
自己紹介をしよう ........................................4
第2節
大学生活をはじめるにあたって ............................9
第3節
メディアセンターと図書館 ...............................19
第4節
はじめての共同作業 .....................................25
Ⅱ
自分の進路を視野に入れながら、学びの基礎固めをしよう .... 27
第1節
自分の将来を考えながら、自分を客観視してみる ...........27
第2節
大学での学び方の基礎練習 ...............................30
第3節
キャリアとは何か .......................................33
第4節
様々な職業を知る・漢字能力検定にチャレンジ .............37
第5節
自分の考えを文章にまとめてみよう .......................40
おわりに .................................................... 49
「BAIKA セミナー」の授業内容は、上に示したテキストの「目次」に示したように、
vi
梅花女子大学
「Ⅰ
キャンパスライフをスタートしよう」「Ⅱ
自分の進路を視野に入れながら、学びの
基礎固めをしよう」という二 部構成からなる。まずⅠ部では、学内設備の確認や学生サービ
ス部署の教職員との初顔合わせを目的とするキャンパスツアーから始まり、クラスメイト
とのゲーム形式の自己紹介や、1週間の生活記録を実際につける等々の生活面での支援を
行う。次にⅡ部では、高校までの授業とは異なる大学における「講義」の受け方やノート
の取り方などの指導から始まり、実際に社会の現場で活躍する女性へのインタビュービデ
オ(本学経営学研究部作成)を観て話の内容を要約する練習や、キャリア開発に関する講演会
を聴くこと、さらには資格・検定試験の入門編として漢字能力検定にチャレンジするなど、
大学 1 年次から就職を見据えて自分のキャリアを開発するという意識づけを目指している。
その意味では、本学のキャリア教育の導入授業に位置づけている。
全学共通のテキストの完成後、次に問題となったのは、実際に授業を担当する教員たち
がどのように全学共通の授業を展開するかという点であった。「BAIKA セミナー」の適正
クラス学生数は、多くとも 30 人以内という設定のもと、開講予定クラスは 13 クラスを予
定していた(実際の開講は 12 クラス)。13 クラスが、ほぼ同じ進度で、同じ教育目標を達成
するには、一にも二にも担当教員同士の意思の疎通を図り、「BAIKA セミナー」という授
業の重要性に対する共通認識がえられなければ実現できない。そのために準備委員会では、
授業 1 回ごとの展開例を作成した(【資料[特]­1】)。以下に掲げるのは、その一部である。
第8回
テ キ ス ト P27 ( 木 5/28、 金 5/29、 月 6/8、 火 6/9)
時間配分
指導内容(学生の活動)
5分
・着席
10分
▼漢検ドリル
教員の留意点
呼名による出欠確認
(目標設定した級の練習問題)
15分
①自分の道を進むために
テキスト P27 参照。キャリア支援部・共通
梅花のキャリア指導計画表の提
示と概要説明
50分
科目委員会作成の表を解説。
P27 を読む。
②「履歴書・自己紹介書」
「履歴書・自己紹介書」の具体的な書き方
A3用紙(2 枚)を配布
を解説
P28~29 の文章を読む。
「履歴書・自己紹介書」を書くときの留意
下書き用と清書用
点……P28~29
テキストの訂正箇所
P29-4 の 4 行目「部でもらえます」→「部
にて 1 枚 10 円で販売しています」
5分
宿題の指示
提出方法は各先生にお任せします。
「履歴書・自己紹介書」の提出
添削・コメントを入れて返却
清書用を次週提出
次回、教室変更するクラスは変更先(委員会で調整中)を指示する。
5分単位での授業進行までを制約されることに、授業担当者各位は少なからずとまどい
をみせたが、大学で開講する授業に「展開例」を用意するということの意義は伝わったよ
うであった。
準備委員会では、開講計画がほぼ固まった昨年度 2 月以降、何度か担当者会議を開催し、
vii
梅花女子大学
担当者間の意思の疎通を図るとともに、実際に開講した 4 月以降は、2 週間に 1 度の割合
で担当者会議を開催し、教室で起こる様々な想定外の出来事への対応や、先の展開例の不
具合の調整などを確認している。これらの対処により、各クラスの授業進行はほぼ平均化
しており、6 月末時点で大きく進度が異なる状況は生じていない。
また、
「BAIKA セミナー」では、21 世紀での大学教育ならではという試みとして、大
手ゲームメーカーの任天堂から発売されているニンテンドーDSi を学習機器として導入し
た。ニンテンドーDS シリーズの資格対策ソフトの充実ぶりは大学生教育にこそ効果的だと
考えたからである。これは、建学者の一人である澤山保羅が 131 年前にいち早く英語教育
を女子教育に取り入れた「進取の精神」の現代版として企画された。ゲーム機を学内公認
にすることには反発もあったが、その取組みやすさから、学習習慣を自ら獲得することが、
学生の自律的生き方の醸成につながればという効果を期待したのである。
「BAIKA セミナー」におけるニンテンドーDSi の位置付けは「未来の自分を開発するマ
シン」である。具体的には、資格・検定などの試験対策の学習のため、またインターネッ
ト接続機能を活かして、授業時のさまざまな情報収集や Web メールの送受信端末として利
用することを目指している。
最後に「BAIKA セミナー」という授業の成績評価については、その授業内容の特性から、
合格者には単位を認定する「単位認定科目」としている。大学における他の正課授業のよ
うに、成績を得点化するという評価方法とは、以上に説明してきた本授業の教育目標や授
業内容とはそぐわないためである。学生にはとにかく出席することに意義がある授業とい
うことを周知させるようにしている。
(2)自己評価
上述したように、6月末現在で、「BAIKA セミナー」の授業計画はほぼ 3 分の 2 を消化し、
Ⅱ部に企画した講演会が終了した時点である。これまでの経過をもとにすれば、第 1 の教育目
標である教員と学生・学生同士の信頼関係の構築については、この授業がなかった昨年度まで
の新入生と比較すれば明らかに違いが見て取れる。全ての担当教員が達成できているわけでは
ないが、教員が担当している学生の名前を覚え、名表を見ずに出欠確認をするという状況は、
学生にとっては教員との間に強い絆を感じ取れるものとなっている。また、第 2 の目標に関連
することとしては、漢字能力検定への取組みも、昼休みや空き時間にニンテンドーDSi を利用
して自律的に学習する姿をキャンパス内で見ることができる。「未来の自分を開発するマシ
ン」としてのニンテンドーDSi のあり方が徐々にではあるが浸透している。
しかし、全学的な観点からは、様々な問題点も浮き彫りとなってきている。一つは、授
業進行は平均化しているものの、学生の「BAIKA セミナー」の意義に対する理解度にはか
なりの違いが生じつつあるということである。それは、そのまま担当教員の「BAIKA セミ
ナー」に対する意識の違い、あるいはこのような新奇の授業を担当することへのとまどい
と呼応しており、12 クラス全てを同じ内容で授業を行うことの難しさを痛感している。さ
らに、1 年の準備期間を経て開始したとはいえ、授業内容の特性から、緊急に各部署に協
力方をお願いすることが多く、各部署において少なからず混乱が生じたため、来年度に向
けては、全学的な連絡を密に取る必要がある。
viii
梅花女子大学
(3)改善・向上方策(将来計画)
梅花女子大学の初年次教育の中核として開始した「BAIKA セミナー」については、今後
も発展・継続していく予定である。今年度の経験を活かして細かい改善は当然のこととし
て行っていく。しかし、この授業が学生にとってさらに有意義なものとなるためには、上
記の「自己評価」に記したように、梅花女子大学全体での取組みとして、教職員全員の意
思の疎通が図られるべきである。そのために、今年度の実践報告を兼ねて、各部署への連
絡の徹底や担当教員以外の教員たちの認識を深めるための説明会を、来年度に向けて開催
していく予定である。そのような全学的理解を基盤として、実際の担当者がこの授業の意
義を十分に理解し実践してこそ、「BAIKA セミナー」が梅花女子大学の教育にもたらす効
果が十全になると考えている。
初年次教育の充実ということでは 、「BAIKA セミナー」だけではなく、今後は入学者選抜
試験の合格後から入学までの間に行う「入学前プログラム」を充実させることも社会的に要請
されており、上記の取組みとあわせて検討していく。なお、初年次教育実施準備委員会は、準
備という役割を終え、平成 21(2009)年 6 月より「初年次教育運営委員会」として改組し、梅花
女子大学における今後の初年次教育のあり方について、今後も継続的に議論していく予定であ
る。
おわりに
本学は以上のような改革・改組、さらには教育内容のさらなる充実を図る予定であるが、
今後、私たちが心を一つにしてこれまで以上に取り組まなければならないことは、
①本学が今後どのような方向に進むのかを明確に社会に訴えていく努力
②その方向に従った教育目標の達成度を年度ごとに分析し、改善していく努力
③本学の教育内容、学生の動向などを、あらゆる機会を捉えて、きめ細かく外部へ発信
していくという努力
だと認識している。本学の部長会を中心にして、入試広報部や各学部学科と密に連携し、
その方法及び実施に向けた検討を今後進める。
ix
平成 21(2009)年度
自己評価報告書・本編
発行 2009 年 6 月 30 日
梅
花
女
子
大
学
http://www.baika.ac.jp/
〒567­8578 大阪府茨木市宿久庄 2 丁目 19 番 5 号
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