画像処理入門 - 広島県立教育センター

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画像処理入門
ver1.0
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Ⅰ.基本知識
1.ペイント系とドロー系
画像を情報化するには,大きく分けて2つの方法があります。1つは,画像を細かい点の
集合(ビートマップ)として考え,各点の色情報を符号化して記録する方法です。こうして
記録した画像データはペイント系のデータです。もう1つの方法は,画像を構成する線や辺
の頂点の座標をデータとして記録する方法です。こうして記録された画像データはドロー系
のデータです。今回紹介するPaintShopProは,ペイント系の画像処理ソフトです。
これら二つのデータ化のしくみを示したものが下図です。ペイント系のデータで描かれた
(ビートマップデータ化)ものは,拡大すると線がギザギザになり,ドロー系のデータで描
かれた(ベクトルデータ化)ものは,拡大してもなめらかであることが分かります。
2.ピクセル
モニタの中に,ある画像が表示されているとします。ブラウン管
に近づいてその画像をみるとつぶつぶが見えます。このつぶの大
きさはインチを基準に考えられていて,1inch を 72 で割った大
きさです。(このことはすべてのディスプレイで言えます。)この
72×72 個の
点の集まり
粒の大きさのことをピクセルといって,1pixel=1/72inch≒0.353mm
となります。
PaintShopPro はピクセルに置き換えられたデータしか扱えません。
ちなみに,3.5cm 四方の画像は約 100×100 ピクセルとなります。
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1inch
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3.解像度
解像度を表す場合,一般に1インチの長さに何ドットが並んでいるかを基準にします。デ
ィスプレイの(画面)解像度は 72dpi(DotPerInch)です。また,本や雑誌の写真の解像度
は約 300dpi です。
4.色について
光の3原色(減法混色)
赤(Red),緑(Green),青(Blue)
RGB カラーと言います。
色の3原色(減法混色)
シアン(Cyan),マゼンダ(Magenta),イエロー(Yellow)
CMYK カラーとも言います。(K は黒のことで,実際の印
刷には黒インクまでも使うため)
PaintShopPro は一色(RGB それぞれ)について最大で 256 段階までの階調を判断すること
ができます。256 色が三色分(RGB)あるので,256×256×256=16777216 色ですべての色を表
示します。これだけの色を表示できる画面をよくフルカラー画面と言います。(256 は2の
8乗なので,三色分で2の8乗×2の8乗×2の8乗=2の(8×3)乗=2の 24 乗となりま
す。フルカラー画面のことを 24 ビット画面というのはこのためです。)
5.ファイル形式
画像データにはいろいろな形式(数 10 種類)があります。PaintShopPro は多くの形式に
対応しており,ファイル変換にも有用です。PaintShopPro で扱える形式は次の通りです。
①PaintShopPro 形式(このソフトの純正形式で,レイヤーなどのすべての機能をサポート)
②JPEG 形式(インターネット等で見られる圧縮画像形式,一般的には写真画像に使用)
③GIF 形式(インターネット等で見られる圧縮画像形式,256 色のみ,一般的にはイラスト
画像に使用)
④PICT 形式(Macintosh の基本画像形式)
⑤BMP 形式(Windows の基本画像形式)
⑥Photoshop 形式(画像処理ソフトの業界定番ソフトの形式)
⑦その他
Ⅱ.PaintShopPro の基本操作
1.初期画面
(1) 新しい画用紙の作成
メニュー→ファイル→新規作成を選択
画像サイズをピクセルで指定
2.線を描く
(1) ツールの選択
ツールパレット→ブラシやエアブラシ,ピ
クチャチューブなどを選択
(2) 太さの選択,濃淡の表現
コントロールパレットの中のツールコント
ロールやブラシの面で調節
(3) 色の選択
カラーパレット→希望の色を選択(描画色と背景色の選択可)
(4) 消しゴム
ツールパレット→消しゴムを選択(コントロールパレットのブラシの面で,変更可能)
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3.やり直し
描画には試行錯誤がつきものです。PaintShopPro には,複数回の作業をさかのぼってやり
直す大変便利な機能があります。失敗を恐れず,何度
でも試行錯誤できるということです。
(1) メニューからの実行
メニュー→編集→元に戻す
(2) ツールバーからの実行
「元に戻す」を選択
(3) ショートカットキーでの実行
Ctrl+Z
4.グラデーション
(1) 描画色,背景色の選択
任意の2色を決める。既に描画してある色から選択する場合(描
画色になる)はツールパレットの「色の選択」 から選ぶとよい。
(2) 選択範囲の決定
ツールパレットの「選択」を選び,グラデーションをつける領域を
作る。
ア
ツールパレット→選択ツール(コントロールパレットで四角
形,正方形,楕円,円の4種から選択)
イ
画面にドラッグ(選択された範囲枠が,アリ
の行列のように見える)
(3) グラデーションの設定
ア
コントロールパレットのツールオプション
→スタイル→○○グラデーションを選択(必
要に 応 じて オプ シ ョン や不 透 明度 を変 更 す
る)
イ
選択範囲内でクリック(マウスポインタの
形が「塗りつぶし」の形に変わっています。)
ウ
メニュー→選択範囲→選択の解除
Ⅲ.画像の編集
1.選択ツール
PaintShopPro には画像の一部を選択するための機能が豊富に用意されています。次にそれ
らをまとめます。
(1) 長方形や円の範囲選択
「選択」ツール
(2) ちょっと複雑な形の範囲選択
「自由選択」ツール
(3) 形は複雑でも色が似ている形
「自動選択」ツール
(4) 一度ですべてが選択できない場合
+shift
(5) 選択範囲から一部を除外
+Ctrl
(6) 選択範囲を自由に編集
「マスク」
(7) 離れた場所の似た色を選択
「選択範囲」→「変更」→「近似色の選択」
(8) 選択範囲を少しずつ広げる(縮める) 「選択範囲」→「変更」→「拡大」(「縮小」)
(9) 選択範囲をぼかす
「選択範囲」→「変更」→「境界をぼかす」
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2.自動選択ツール(MagicWand)
自動選択ツールは色を判断してくれる,とても便利で強力な選択ツールです。
(1) 「自動選択」を選択する
(2) コントロールパレットの「許容
誤差」を変更する(図に選択する
色の範囲を8にした場合と 40 に
した場合のものを載せます)
(3) 選択範囲を追加する→+shift
(4) 選択範囲を広げる→+ctrl
(5) その他
ア
選択範囲を反対側にする
メニュー→選択範囲→「反転」を
選択
イ
画面すべてを範囲指定する
メニュー→選択範囲→「すべてを選択」を選択
ウ
選択範囲を解除する
メニュー→「クリア」を選択
エ
選択範囲の画像を削除する
キーボードの delete キーを押す。または,メニュー→編集→切り取りを選択
3.写真の編集
この節では,写真のカラー調整などについて説明しますが,PaintShopPro のような画像処
理に重点を置いたソフトならではの用語や機能が数多く出てきます。
○
カラー調整について
カラー調整は,RGB モードと CMYK モードで行うことが
できます。画像をビデオモード(テレビ)で見る場合は
RGB で,プリンタに出力(印刷)する場合は,CMYK で編集
します。(今回は RGB で行います。)
デジタルカメラなどで得られた画像には若干のカラー
調整が必要な場合が多く,そのまま利用することはほと
んどありません。一般的には,次の手順でカラー調整を行
います。
(1) 画像の読み込み
画像ファイルを開く。
(2) 不要部分の削除(トリミング)
ツールパレット→トリミング→必要な部分をドラ
ッグ→範囲内でダブルクリックする。
(3) 不要部分の削除(ゴミ取り)
画面左下の虫を修正する。
ア.ツールパレット→ズームツールで画面を拡大する。
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イ.ツールパレット→クローンブラシ→shift キーを
押しながら元の画像(黄色部分)をクリックする。
ウ.修正したい場所でドラッグする。
(4) カラー調整(レベル補正)
メニュー→カラー→調整→明るさ/コントラストを選択 する。
ア.明るさ のスライダを調節する。(右→明るく,左→暗
く)
イ .コン トラストのスライダを調節する。(右→強く,左
→弱く)
☆
オートプ レビューにチェックマークをいれておくと,
全体を見ながら調節できる。
(5) カラー調整(色相/彩度/明 度)
メニュー→カラー→調整→色相/彩度 /明度を選択す
る。
ア.色相(色合いを表す)スライダを調節し,画面に,赤み,青み,黄みなどを加える。
イ.彩度(色相の純度を表す)スライダを調節し,画面の鮮やかさ,にぶさを加える。
ウ.明度(色の明るさを表す)スライダを調節し,画面を明るくしたり,暗くしたりする。
☆
オートシェーブにチェックマークにいれておくと,全体 を見ながら調節できる。
エ .ア ンシャープマスクの調節
これは,画像の境界をシャープにするために従来から使われている手法です。コントラスト
を強める機能があります。
メニュー→イメージ→シャープネス→アンシャープマ
スクを選択する。
○
強さ・・・コントラストを強める度合い
○
半径・・・シャー プ処理を適用するピクセル範囲(通
常は1か2)
○
クリッピング・・・シャープ処理を適用するピクセル
と隣接するピク セルの明るさの値の差(小さいほど,なめ
らかさがなくなる。)
4 .文字入力
文字も絵と同様に,貼り付けたあとは画像となりますが,レイヤー(後述)を使うことによ
って,文字のみに様 々な効果をつけることができます。
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(1) 入力
ア.文字色にしたい絵を描画色にしておく。
イ.ツール パレットのテキストツールを選択する。
ウ.図のようなウィンドウに文字や point 数な どを入
力する。
エ.OK をクリックすると範囲指定で文字が貼り
付くので,移動 したい場合は,文字上でドラッ
グして移動する。
オ .メニュー→選択範囲→レイヤーに変数を選
択する。
(2) レイヤーの登場
ここで,レ イヤーパレットに注目してくださ
い。今入力した文字は ,レイヤー1(選択範囲と
い う名前になっている)にあります。
(2枚の透
明 OHP シートがあって,上の方のシートに字が
描いてあるというイメージです。)
Ⅳ.ロゴデザイン
1 .影文字
文字に影をつける ことで,立体感を表現します。一般的には,2枚のレイヤーをつくり,表側
にくっきりし た文字,背面にぼかした文字を用意し,それらを重ねることで影文字の効果を出
し ますが,PaintShopPro には,ワンタッチで描ける機能があります。
(1) 文字を入力する
ア.文字色にしたい色を描画色にしておく。
イ.新規ファイルを開 き,文字を入力する。
ウ.フローティングのまま適当な場所に文
字を移動する。
(2) 影を加える
ア .メニュー→イメ ージ→特殊効果→影を
加える。
イ.属性やオフセットを調節する。
ⅰ )影の色を 選択する。
ⅱ)不透明度のスライダを調節する。
ⅲ)同様に,ぼかしや水平,垂直方向のオフセットを調節する。
2 .テクスチャ文字
文字に単純な色をつけるのではなく,テク
スチャ(任意の模様) を貼り付けます。
(1) テクスチャの準備
文字の背面に貼るためのテクスチャを開 く。
(2) 文字の入力
ア .任意の文字を入力する。(文字の色は,後
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で消去するため何色でも可)
イ.選択状態のままにしておく。
(3) 文字のレイヤーを作る
ア.メニュー→選択範囲→レ イヤーに変換(文字だけのレイヤーができる)
イ.自動選択ツールで文字をクリック(文字色を拾う)
ウ.メニュー→選択範囲→変更→近似色の選択(文字すべ てが選択される)
エ.メニュー→選択範囲→反転
ⅰ)背景部分の色を描画色に指定 する。
ⅱ)塗りつぶしツールで,背景部分に色を付ける 。
ⅲ)メニュー→選択範囲→反転
ⅳ)メニュー→編集→切り取り
(4) レイヤーの結合
現在,OHP シートが2 枚重なった状態です。これを1
枚 に結合します。
メニュー→レイ ヤー→すべて結合
3 .エンボス文字
立体感のある文字 を作ります。PaintShopPro には,切り抜き効果というワンタッチで描け
る 機能があります。
(1) 加工したい画像の 準備
画像ファイルを開く。
(2) 文字の入力
ア.任意の文字を 入力する。
イ.選択状態を解除しておく。
(3) 立体感を出す
ア.メニュー→イメ ージ→特殊効果→切り抜き
イ.属性やオフセットを調節する。
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Ⅴ.付録
ペイントショップのツールおよびツールパレット
カラーパレットの
切り取り
上書き保存
新規作成
貼り付け
元に戻す
開く
実寸表示
やり直し
表示/非表示
ツールパレットの
レイヤーパレットの
表示/非表示
表示/非表示
ヒストグラムの
全画面表示
表示/非表示
印刷
コントロールパレット
コピー
の表示/非表示
配置
ズーム
変形
トリミング
移動
選択
自由選択
自動選択
色の選択
ブラシ
クローンブラシ
カラー消しゴム
レタッチ
消しゴム
ピクチャーチューブ
エアブラシ
塗りつぶし
テキスト
ドロー
図形
ベクタ選択
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注意
※
PaintShopPro はJasc Software, Inc. の米国およびその他の国における登録商標です。
P&A.,Inc.(株式会社ピーアンドエー)はJasc Software, Inc. の国内代理店です。
※
MicrosoftR,Windows 2000R,Windows NTR,Office,Internet Explorerは米国Microsoft
Corporation の米国およびその他の国における登録商標または商標です。
※
その他,本書に掲載したプログラム名,システム名,CPUなどは一般に各社の登録商標で
す。
※
本文中では,Rマークは省略しました。また,一般に使われている名称を用いている場合
があります。
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平成15年3月31日
初版発行
発行
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東広島市八本松南1丁目2‑1