いぬのはねこのはねずみのは 宇宙誕生から137億年、地球誕生から46億年。 この地球上には実に数多くの動物たちが存在しています。 動物も人間と同じく「口腔」は食べ物を取り込む消化器官の入り口として、 「歯」はそれに付随する器官として常に重要な働きや役割を担ってきました。 そして歯は食物摂取のためだけのものではなく、 ♪ 獲物をつかまえる ♪ 食べ物を食いちぎる、あるいは粉砕する ♪ 攻撃や身を守る武器としての働き ♪ 物をくわえて運ぶ(人間の手のかわり) ♪ 生殖のための補助的役割 ♪ 歯をむき出して威嚇 ♪ その他 …など、いくつもの機能や役割を併せ持っていて、それらひとつひとつが人間のみならず、動物にとっても生 命を維持するために欠くことのできないものとなっています。 また、人間のように調理することや歯を失ったり虫歯になったときの治療手段など、高度の文化・文明をもた ない動物たちは「歯の喪失=死」を意味することにもなります。 動物の歯は食べるためだけではなく外敵から身を守るためや縄張り争い など、時として闘うための武器としての役割を併せ持っています。 そのため、メスよりもオスの歯が相対的に大きく出来ている動物も多く、 たとえばライオンやオオカミなどの肉食動物の歯は門歯(切歯にあたる 歯)が小さく、獲物を捕らえるのに役立つ犬歯が非常に発達しています。 また頬歯(前臼歯と臼歯を含めた呼び名)と呼ばれる歯は非常に鋭く肉を 切り裂き、そして引きちぎるのに適した形をしています。 わたしたちになじみの深いイヌやネコもライオンと同じく肉食動物の仲間ですが、やはり獲物を捕まえるため の犬歯が発達していて、闘うための武器の役割も果たしています。 ヒトに比較的近いとされるサルの犬歯もメスのものではとなりの切歯と同じくらいの長さであるのに対し、オ スの犬歯は長くて大きく、その上丈夫なつくりになっています。 また、ブタやイノシシも同様に犬歯はメスのものよりもオスのものの方が長くなっています。肉食動物や群れ を作り、絶えず外敵と戦うことを強いられる動物たちの歯については上で述べたとおりですが、比較的おとな しい草食動物の歯はどのようなつくりになっているのでしょう。 草食動物の中で、特にウマなどの歯は門歯が草木を食い切り やすいように発達しています。一方、ウシやキリンの仲間は 上顎の門歯が存在しない代わりに「歯板」という堅牢なつく りの歯肉があり、これが下顎の門歯と触れ合うことで歯とし 馬の歯 ての役割を果たしています。この「歯板と下の門歯」とのか かわりは、「まな板と包丁」との関係によく似ています。 肉食動物では発達しやすい犬歯は草食動物では一部の闘争用に発達した動物を除きあまり良く発達しておら ず、反対に頬歯は草木の繊維をすりつぶすため、肉食動物よりも大きく頑丈な臼(うす)状になっています。 ゾウの歯は草食動物の中でも特殊で6 本の「頬歯」が奥から 順に出てきます。やがて古い歯は磨耗してくると、今度は前 の方から抜け落ちていきますが、これを「水平交換」という そうです。 一般に「象牙」と呼ばれてるものは上顎の犬歯ではなく門歯 (切歯)が伸びたものをいい、これは生涯にわたって伸び続 け、中には4 メートルを越す長さを持つものもあります。 それでは次に、ヒトやクマなどの雑食動物の歯はいったいどうなっているのでしょうか。 これは肉食動物と草食動物の中間的な形をしていて、それぞれの歯はほぼ平均的な発達を 遂げ、動物の種類や習慣により、その中で草食性の強くなったものは草食動物の歯の形に 近づき、反対により肉食性の強い動物は肉食動物のそれに近づいていきます。 そのほかの例では魚を主食とするアザラシなどの歯は、鋭い円錐形をしていて捕らえた魚をあまり咬まずとも 飲み込めるような効率のよい形をしています。また、魚類のサメの仲間は一風変わった歯の生えかわりをする ことで有名です。サメの顎骨には鋭利な三角形をした歯が幾重にも存在し、生涯にわたり生えかわり続けます。 たとえ歯が1本だけ折れたり抜けたり擦り減ったりしたとしても、歯列全体の交換が行われ、まるでベルトコ ンベアの如く内側の歯が前方に移動して新しい歯列に入れ替わっていきます。一匹のサメが生涯に使う歯は最 大で数千にも及ぶ、ともいわれています。 【身近な動物たちの歯】 参考: ヒト サル 歯の本数は乳歯が20本、永久歯が28本 32本 ブタ、イノシシ 44本 犬歯は一生伸び続けます ウシ 32本 イヌ 42本(乳歯は28本) ウサギ 28本 (親知らずを含めると32本) ネコ 30本 ヤギ 32本 門歯、臼歯は一生伸び続けます ウマ 40本 カンガルー 30本 ネズミ、ハムスター、リス 16本 ネズミの仲間の門歯は上下1対ずつあり、硬い木の実などをかじることに適しています。門歯は一生伸び続けます。 モグラ 42本 モルモット 20本 ゾウ 26本 いわゆる象牙は一生涯伸び続け、臼歯は6回生えかわります。 イルカ 200本以上 すべて同系列の歯が並びます。 (これらを同形歯性といいます) コウモリ 30本 ヘビ ヘビやワニをはじめとする爬虫類の歯は 一生の間に何度も生え変わることが知られ、 すべての歯がほぼ同じような円錐形をしています。 アリクイ 0本 参考: トリ カメ これらの動物には歯がありません 東山動植物園、日本歯科医師会テーマパーク8020、大曲市仙北郡歯科医師会 HP、その他より
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