Invensys が英国の電力需要に対応

産業分野:電力
SSE
www.sse.com
「Invensys Operations
Management が提供
するマイグレーション ア
プローチにより、既存ベ
ンダーのアップグレード
ソリューションへの代案
が実行可能なオプショ
ンであることが分かりま
した。」
ヒュー・ファーガソン
キードビー発電所 C&I エンジ
ニアおよび DCS アップグレード
プロジェクト マネージャ
© Jonathan Thacker - http://www.geograph.org.uk/photo/2006958
Invensys が英国の電力需要に対応
目標
•企業では、既存の DCS の老朽化を解決し、キー
ドビー発電所の稼動寿命を延ばす拡張可能なソ
リューションを提供する必要がありました 。
•ベンダーは、別のプラント プロジェクトと並行し
つつ、かつ最小限の試験時間で、計画的な大規
模休業に間に合うよう包括的なアップグレード ソ
リューションを提供する必要がありました 。
課題
•不完全な閉回路図、色あせたコンダクタの識別
ラベルおよび I/O 変換時における人的エラーの
リスクがアップグレードでの重大な障害と
なります 。
•既存のソフトウェアアプリケーションで利用できる
文書が限られているため、プロジェクトチームに
とってソフトウェアのマイグレーションとテストの
ジレンマとなります。
ソリューションおよび製品
•InFusion™ エンタープライズ・コントロール・
システム(英国初の重要な InFusion ソリュ
ーション)
•SimSci-Esscor® ROMeo オンライン・パフォ
ーマンス製品
•SimSci-Esscor® ROMeo オンライン・パフォー
マンス製品
•SimSci-Esscor ダイナミック・シミュレーション
製品
結果
•Invensys のソリューションは計画停電に間に合
い、プロジェクトの SSE 予算内で提供
されました。
•アップグレードは、老朽化と拡張可能性について
の問題の双方を解決しました。
•プラントの従業員は作業員のトレーニングと習熟度
の改善を含めたシミュレーションの主なメリットを実
感し、施設はプロセス試験用の厳密なテストベッド
をもつことになりました。
英国、ノースリンカーンシャー州スカンソープ —
トレント川は長年にわたって河流が変化する歴史があり、ウ
ィリアム・シェイクスピアの作品でもその曲折が語られていま
す。主要な商業用水路により英国北部と南部の間に因習的
な境界線を設けてからは、トレント川は比較的に安定してお
り、娯楽と飲料水、そして河川に沿った多くの石炭およびガ
ス火力発電所用の冷却水の水源とされています。こうしたプ
ラントのひとつである北リンカーンシャー州スカンソープに所
在するキードビー発電所は SSE が運営し、英国最大のエネ
ルギー供給会社の一つに数えられています。1996 年に商業
運転を開始したキードビー発電所は、複合サイクルガスター
ビンで 720 メガワットを発電する施設です。
キードビー発電プラントには General Electric フレーム 9FA
ガスタービン 2 機、Alstom 蒸気タービン 1 機、Babcock 三
圧圧力式廃熱利用ブロイラー 2 機、そして Siemens GT10B
補助ガスタービン 1 機があります。プラントはマネージャー
やエンジニア、技術者を含む計53名の従業員によって管
理、運転されています。SSE のマネジメントは、施設の分散
制御システムがプラント全体で老朽していることを確認し
て、プラントをより柔軟で拡張性がある、対応可能なソリュ
ーションにアップグレードするために Invensys Operations
Management を選びました 。
SSE はエネルギー公益事業と縦割りで統合されており、電力
の発電、送信、分配および供給、さらに天然ガスの貯蔵や分
配、供給、テレコミュニケーション、請負およびエネルギーサ
ービスに関与しています。SSE は英国内で1,000万以上の顧
客アカウントを有しており、天然ガスと電力を350万以上の家
庭やビジネスに供給しています。また、東ヨークシャー州ホー
ンジーにある英国最大の陸上ガス貯蔵所を所有し、現在アル
ドブローにさらに大規模な新施設を建設中です。さらに、SSE
は、英国屈指の電気工事請負ビジネスを有しており、60 の
支店を展開しています。SSE では英国最大の街路照明請負
業者として、100万個以上の光源を管理しています 。
新しいインフラストラクチャ
アプローチに脚光を当てる
アップグレードする前は、プラントのほとんどが Emerson
WDPF (Westinghouse 分散プロセス ファミリー) DCS シ
ステムによって作動していました。この中規模の制御シ
ステムには、26台の耐故障コントローラー、ヒストリアンと
6,046台の配線接続した I/O、8台の制御レベルデータリンク
(Modbus、Allen-Bradley DH+、GE-GSM)、3台のスーパー
バイザリーレベルデータリンク(Modbus-TCP、ODBC、OSIPI)、そしておよそ130のオーバーレイと48のシーケンスを含
む190のプロセス画面からなる12台の HMI ワークステーショ
ンがあります。
SSE エンジニアはまずキードビー発電所の DCS アップグレー
ド プロジェクトのために 7 つの主な条件を特定しました。リス
トのトップは、予定している大規模な停電に合わせてアップグ
レードを完了し、システムを最小限のサイト試験時間でマイグ
レーションする必要があることでした。また、新しい DCS シス
テムでは差し迫った老朽化の問題を解決し、プラントで予測
される残りのサービス寿命において常に最新の状態を保つよ
うにする必要がありました。制御メモリー、I/O キャパシティ、
およびネットワークバンド幅の十分な拡張可能性と簡易化した
オンライン設定も主な要件に挙げられました。操作手順やそ
の他の人的要因に影響する可能性があることから、エンジニ
アは新しいプラントソリューションでは既存の制御戦略と HMI
インターフェース基準を維持すべきだと考えました。
既存のオペレーションとアップグレードを
システムのアップグレード と調和させる
計画が進むうちに、DCS のアップグレードは、必須の主要メン
テナンス活動とその他の拡張プロジェクトに並行して実施す
る必要があることがはっきりしました。さらに、現場での作業
は、供給停止プログラムへの妨害を最小限に抑えながら行う
必要がありました。プロジェクト要件のリスク評価では、I/O ア
ップグレードとアプリケーション ソフトウェアのマイグレーション
という 2 つの主な懸念が特定されました。I/O のアップグレー
ドでは、キードビー発電所のプラントエンジニアが、コンダクタ
の識別ラベルの色あせや不完全な閉回路図、人的エラーのリ
スクや現場にある約 6,000 の閉回路の再配線と試験に関連し
た供給停止プログラムへの影響などの課題を指摘しました。
SSE には合計で 11,300 メガワット以上の最大出力が可能
であり、そのうち 2,000 メガワットは再生可能な設備出力能
力です。SSE は、全体でみると英国第2の生産ビジネスで
あり、再生可能資源を利用する電力発電所としては最大で
す。Scottish Hydro Electric と Southern Electric の合併に
よって成立した SSE では、さらに 100 箇所以上の火力およ
「既存システムの信頼性は今まで高かったですが、問題が
び再生可能エネルギー発電所の所有に関心を持っています。 起こりつつあります」とキードビー発電所の C&I エンジニアで
DCS アップグレードプロジェクトのプロジェクトマネージャーで
あるヒュー・ファーガソン氏は述べています。
「利用できなかっ
たり、これ以上修理できなくなったコンポーネントの数は増え
る一方です。また、コントローラのメモリーは容量の上限に達
しそうで、データハイウェイバンド幅のほとんどがすでに利用
されています。」
アプリケーション ソフトウェアのマイグレーションもまた、潜在
的な問題のあるエリアとして考慮されました。文書化は制限さ
れており、利用できる制御ナレーティブはありません。これは、
アプリケーション ソフトウェアそのものをマイグレーション プロ
セスのソースとして使用する必要があり、人的エラーやスキル
の必要性、機能承認テスト条件について問題を提起すること
を意味していました。
老朽化の可能性に基づいて、次世代型 WDPF プラットフォー
ムである Ovation へのアップグレードの代替案があるかどう
かは定かではありませんでした。しかし、ソフトウェア承認テス
トと既存 I/O ハードウェアを継続してサポートするという問題
のために、SSE ではプロジェクトで Tender を使うことに決め
ました。
やプラント エンジニア、作業員、マネージャー向けの厳密なフ
ルパワー ダイナミック シミュレーションと制御システム エミュ
レーションを提供します。また、多くのエンジニアリング会社や
プラントの悩みの種である、旧式製品や故障製品、実験製品、
使いにくい製品への最新式の代替案を提供します。
Invensys では、Invensys InFusion エンタープライズ制御シス
テムの主要コンポーネントである Foxboro I/A シリーズ分散
制御システムをサポートする豊富な実績を証明し、DCS シー
ケンス用のシーケンシャル機能チャートや、プラントのパフォ
ーマンス測定基準に対して ROMeo オンライン・パフォーマン
ス製品を含めた、システムをさらに強化する一連の製品を提
供することができました。
ROMeo は進歩型統一モデリング環境であり、ユーザーが各
作業ユニットで最高のパフォーマンスを引き出せるよう支援
するオンライン最適化アプリケーションを提供します。ROMeo
は、オンライン モデリングと方程式ベースの最適化機能で企
業全体でのプロセス最適化を実現し、変化する市場圧力や製
最終的に SSE は Invensys Operations Management を選び
品価値、エネルギーコスト、機器のパフォーマンスをよりよく管
ました。選択の理由となったのは、実証済みの WDPF 向けプ
理するための、従来以上に正確で最新の作業情報を
ラグイン I/O カード、WDPF マイグレーションにおける専門知
提供します。
識、社内シミュレーション能力とアプリケーション ソフトウェア試 験およびオペレータートレーニングに対するモデルベースのプ 「Invensys Operations Management が提供するマイグレー
ラントシミュレータの盛り込みでした。
ション アプローチにより、既存システムに代わる案が実行可能
なオプションであることが分かりました」とヒュー・ファーガソン
氏は述べています。
「シミュレーションは、複製の難しい問題の
Invensys はマイグレーションプロセスに精通
解決に非常に役立つ情報を与えてくれました。シミュレーショ
ンはアプリケーション ソフトウェアのマイグレーション時にプラ
Invensys WDPF マイグレーションスタイル FBM は、既存の
ント作業員の経験を活かす上でかけがえのないものとなりま
WDPF I/O ラックや電源、現場配線を新しい Foxboro IA シス した。」
テムでも再利用できる WDPF Q-Line I/O カードのプラグイン
交換品です。IA システムからみて、こうしたモジュールは標準
当初は、DCS アプリケーション ソフトウェアのマイグレーション
の Foxboro 200 シリーズ FBM に類似しています。
と OTS プラントの開発は個別の Invensys プロジェクトチーム
によって別途に並行して行われました。それが完了したあと、
Westinghouse アプリケーションを Invensys InFusion 環境に
この2つの要素が統合され、現場での設置前に工場内で機能
マイグレーションさせるために、半自動ツールが提供されまし
テストができるようになりました。
た。InFusion は、エンタープライズ制御用の Invensys 配信メ
カニズムで、組織全体での情報を総合的に見るために必要な システムのアーキテクチャとハードウェアが特定される
ハードウェアとソフトウェア コンポーネントで構成されており、
と、Invensys DCS チームはマイグレーションツールの開発とコ
人材とプロセス、システムの間の協調性を確保するための基
ード分析を開始しました。アプリケーションは HMI コンポーネ
盤となります。
ント、インターロック/保護ロジック、シーケンス、独自の戦略と
典型的な戦略に分解されました。マイグレーションされた DCS
SimSci-Esscor ダイナミック・シミュレーション製品では、仮想化 コンポーネントは、コード レビューと基本的な I/A シリーズ機
した DCS 制御プロセッサ、サードパーティの仮想コントローラ
能テストの組み合わせにより、モジュラーベースでテストされ
へのインターフェース、機能豊富なトレーニング環境を構成す
ました。
る完全型作業員研修シミュレータ (OTS) ソリューションを有効
にするプラットフォーム、さらにモデルベースのプラントシミュレ
ーションの双方を提供します。SimSci-Esscor ソリューションで
は、プラント設計の向上、制御の確認、作業員の訓練、さらにプ
ラントのパフォーマンスを改善するためのプロセス エンジニア
提案のマイグレーションプロジェクトに適格とされた DCS ベン
ダーは 6 社で、そのうちの4社にそれぞれの提案ソリューショ
ンの正式な技術評価を提出するように要請しました。
OTS チームの最初のタスクは、SimSci-Esscor DYNSIM プロ
セス モデルの条件範囲とトポロジーを明確にするために、プ
ラントの配管および計装図 (P&ID) にマークをつけることでし
た。モデルを構築したあとは、モデル承認テストを実施して
最終的なプロセスのシミュレーションを検証しました。
また、拡張性の問題は、新しい DCS が 2,000 個まで
のノードに対応し、セントラル プロセッサが容量の 25
パーセント以下でロードすることで解決されました。キ
ードビー発電所では、簡易化されたオンライン設定に
ついても評価しています。
統合および試験段階では、DCS および OTS チームが共同で
作業をしました。DCS 制御とサードパーティのガスタービン制
御 (GE-Mark-Vie) がロードされ、これらの間の I/O 断面図とプ
ロセスモデルが作られ、検証されました。
Invensys はまた、モデルベースの OTS システ
ム、DCS シーケンス強化、プロセス インターロック分
析/上書き、ROMeo 製品の一部である Automated
Rigorous Performance Monitoring 製品を介したオン
ライン熱収支調整済みパフォーマンス パッケージ、さら
にサードパーティの PAS PlantState 製品を介したアラ
ーム性能分析を提供しました。
「プラント シミュレーションはソフトウェアのマイグレーションプ
ロセスで大いに役立ち、システムを現場で取り付ける前に一
連のソフトウェア統合上の問題を把握することができました。こ
れなしでは、プラントの営業再開はここまで円滑に進まず、明 「プロジェクトは当社の技術目標のすべてを満たし、以
前のシステムの制限によって保留にしていた一連の制
らかにもっと多くの試験時間が必要になったことでしょう」とヒ
御強化の実施に必要な機能も備えたサポート可能なシ
ュー・ファーガソン氏は述べています。
「しかし、ソフトウェア承
ステムを手にすることができました」とヒュー・ファーガ
認テストでシミュレーターを使用する際には、DCS コードをあ
ソン氏は述べています。
「マイグレーションは、日常的な
まり早くから統合しないことです。
(プラントで実際起こるよう
に)制御のアップレートには時間がかかります。導入やテストに プラント運転への影響を最小限に抑えて完了しただけ
でなく、以前のシステムの見た目と感触のほとんどを残
さらに(仮想)
プラント準備期間が必要になる場合には、特に
しながら、一貫性と操作性、システムの設定可能性を
時間がかかります。」
改善できました。」さらに、ツールボックスの中に新しい
バランスオブプラント 1、バランスオブプラント 2、ガスタービ ツールをたくさん持つことができました。たとえば、シミ
ュレーターはマイグレーション プロジェクトにおいて重
ン、廃熱利用ボイラー、蒸気タービンなど、エリアごとの仮想
要な役割を担っただけでなく、従業員トレーニングや
プラントテストがプラントで実施されました。シミュレータ上
制御とプロセスの変更に対する厳密なテストベッドとし
の仮想プラントテストでは、経験豊富なキードビー発電所の
て、大変に役立っています。」
作業員によるプラントの始動前、始動時、定常状態の操作と
シャットダウンを含む、実際のプラントで起こりえることを模
キードビー発電所での広範囲にわたるマイグレーション
倣しました。既存の操作手順にしたがってプラントを操作可
アップグレードは、プラントにいくつかのメリットをもたら
能であることが証明されると、SSE は DCS アップグレードの
しました。SSE は、Invensys を優れた標準化マイグレー
現場導入段階に「ゴーサイン」を出しました。
ション ソリューションを提供する企業として認めました。
よく工夫されたプランはよく機能するプラン
プロジェクトの提供はキードビー発電所の計画停電に間
に合い、SSE の予算パラメータ内に収まりました。予定
では18日間であった機器のアップグレードは13日間以
内に完了しました。新しい DCS へのマイグレーションが
原因で営業再開プログラムに2時間の遅延が生じました
が、問題はこの些細なものだけでした。Invensys 独自の
プラグイン I/O モジュールでのマイグレーション ソリュー
ションによって、プロジェクトのダウンタイムは最小限に
抑えられました。
Invensys Operations Management • 5601 Granite Parkway III, #1000, Plano, TX 75024 • 電話番号:(469) 365-6400 • ファックス:(469) 365-6401 • iom.invensys.com
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Rel. 02/12
PN IF-0112-JP