車載電子機器のEMC規格

車載電子機器のEMC規格
ISO7637-2,ISO7637-3,ISO16750-2
菊水電子工業株式会社
販売促進課
2014/8/21
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1.国際規格 ISO7637-2.2011規格
過渡サージ試験&電源電圧変動試験要求
[適用範囲]
12V,24Vの電気系統を装備した乗用車及び軽商用車上に搭載された機器の伝導性電気的過渡現象の
両立性を確保するための試験。
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1.国際規格 ISO7637-2.2011規格
ISO7637-2規格の流れ
【現行規格】
1990年 ISO7637-1.1990 Ed1.0,ISO7637-2.1990 Ed1.0
2004年 ISO7637-2.2004 Ed2.0
2011年 ISO7637-2.2011 Ed3.0
※ ISO7637-2は1999年より2003年までDIS(ドラフト)を繰り返し、そ
の都度、パルスの校正値、校正方法、出力インピーダンス等を変更。
※ Pulse4,Pulse5a/5bがISO16750-2.2010に移行
【国内規格】
1994年 JASO D001.1994 ≠ ISO7637-1&2.1990 Ed1.0
1997年 JASO D007.1997 = ISO7637-1&2.1990 Ed1.0
2007年 JASO D007.2007 = ISO7637-2.2004 Ed2.0
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1.国際規格 ISO7637-2.2011規格
過渡サージ試験&電源電圧変動試験要求
[試験の目的]
自動車配線網の電源線や信号線で観測されるパルス、例えばモータからの誘導性雑音、エンジン始動や負荷投入に際し
て電源のドロップアウト、オルタネータの回転中にバッテリーが切り離された時に発生するパルスなどを想定した車載電
子機器の耐性を評価する。
[規格概要]
Pulse1
電源を誘導負荷から切り離すことで生じる過渡電圧に対する機器の耐性を試験する。誘導負荷に並列に接続さ
れている状況で自動車に実際に搭載される供試品が適用される。
Pulse2a
ワイヤリングハーネスのインダクタンスに流れる電流の突然の遮断によって生じる過渡電圧に対する機器の耐
性を試験する。
Pulse2b
電源がオフされた状態で、直流モータが発生器として動作する時の過渡現象をシミュレートしています。
Pulse3a/3b
スイッチングのプロセスによって生じる過渡電圧に対する機器の耐性を試験する。ワイヤリングハーネスのイン
ダクタンスやキャパシタンスにより影響する。
Pulse4
エンジンのスタータモータ回路の起動によって発生する電源電圧の低減をシミュレートする。
Pulse5a/5b
バッテリ切断時にオルタネータから発生するロードダンプサージに対する機器の耐性を試験する。5aはオルタ
ネータに内部保護機能(ツェナーダイオード)がついていない時に印加、5bはオルタネータに内部保護機能がつ
いている時に印加する。
※Pulse4とPulse5a/5bはISO16750-2.2010に移行しました。
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1.国際規格 ISO7637-2.2011規格
過渡サージ試験&電源電圧変動試験要求
① Pulse1[電源系ノイズ]
Pulse1は誘導性負荷が接続された回路で、スイッチをON(閉)から OFF(開)する時に発生する過渡現象を
シミュレートしています。
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1.国際規格 ISO7637-2.2011規格
過渡サージ試験&電源電圧変動試験要求
② Pulse2a[電源系ノイズ]
Pulse2aは被試験体と並列に接続された装置の電流が突発的に遮断することによってワイヤーハーネス
のインダクタンスによって発生する過渡現象をシミュレートしています。
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1.国際規格 ISO7637-2.2011規格
過渡サージ試験&電源電圧変動試験要求
③ Pulse2b[電源電圧変動]
Pulse2bは点火スイッチが切られた後に発動機として動作する直流モータから発生する過渡現象をシミュ
レートしています。
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1.国際規格 ISO7637-2.2011規格
過渡サージ試験&電源電圧変動試験要求
④ Pulse3a/3b[電源系ノイズ/誘導ノイズ]
Pulse3a/3bはスイッチの開閉過程で発生する過渡現象をシミュレートしています。
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1.国際規格 ISO7637-2.2011規格
過渡サージ試験&電源電圧変動試験要求
⑤ Pulse4[電源電圧変動]
Pulse4はエンジンのスタータモータ回路の起動によって発生する電源電圧の低減をシミュレートしています。
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1.国際規格 ISO7637-2.2011規格
過渡サージ試験&電源電圧変動試験要求
⑥ Pulse5a/5b[電源系ノイズ]
Pulse5a/5bは動作中のオルタネータからバッテリが遮断された時に発生する過渡電圧をシミュレートします。
過渡電圧の抑制器を持つオルタネータはPulse5b、持たないものはPulse5aが発生されます。
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付録
① ロードダンプ Pulse5bの対応
• Pulse5a 規格の確認
ISO7637規格ではAnnex Dで図のような波形確認が求められています。Pulse5aの確認方法はオフセッ
ト電圧が0V時のオープン波形と2Ωロード波形の規定となっています。この場合、発生器側の出力イン
ピーダンスを2Ωに設定して各々の波形確認を行います。
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付録
① ロードダンプ Pulse5bの対応
• Pulse5b 規格の確認
td(パルス幅)はPulse5aと同じ値を要求
td:Same as unsuppressed value
Pulse5aで設定したパルス幅を出力
しなければなりません。
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付録
① ロードダンプ Pulse5bの対応
• AMP方式のPulse5a発生器では
Pulse5a:ANNEX Dに対して規格を満たします。
◎ANNEX D 要求事項
2Ω負荷抵抗接続時に電圧(Us)とパルス幅(td)が
1/2となる事
アンプ方式は、電圧(Us)とパルス幅(td)は1/2になります。
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付録
① ロードダンプ Pulse5bの対応
• AMP方式のPulse5a発生器では
Pulse5b:Us(電圧)が分圧されず、td(パルス幅)も短くなりません。
Pulse5a波形生成信号を基準として波形をクリップさせているため、Usは分圧さ
れず、またアンプ方式なので、tdをPulse5a設定値に保てます。
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付録
① ロードダンプ Pulse5bの対応
• LCR方式のPulse5a発生器では
Pulse5a:ANNEX Dに対して規格を満たします。
◎ANNEX D 要求事項
2Ω負荷抵抗接続時に電圧(Us)とパルス幅(td)が
1/2となる事
アンプ方式は、電圧(Us)とパルス幅(td)は1/2になります。
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付録
① ロードダンプ Pulse5bの対応
• LCR方式のPulse5a発生器では
Pulse5b:td(パルス幅)が短くなり規格に合致しません。
Pulse5aを発生
ツェナーダイオード相当のクリップ回路
クリップ電圧は保たれるが・・・
Pulse5aで設定したパルス幅
(400ms)が100ms近辺になり、極
端に短くなってしまう。
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付録
過渡サージ試験&電源電圧変動試験要求
ISO7637-2.2004規格 Pulse5bについて
TC22/SC3/WG3 議事録にて
N1170:2004年3月~N1184,1190,1193,1238,1263….
※アンプ方式とLCR方式での相違について議論された。
<見解>
・ANNEX D,Eを満たす電子回路であれば問題なし。(LCR方式を限定するものではない。)
<問題点>
・LCR方式では、負荷条件によって波形のリンギングが起きてしまう。またPulse5b生成時、
様々な電圧抑制素子が使用されるため規格通りにクラ ンプすることは難しい。
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1.国際規格 ISO7637-2.2011規格
ISO7637-2.2004とISO7637-2.2011主な変更点
 Pulse4,Pulse5a/5b削除、ISO16750-2規格へ移行
 付属書F(情報)にスイッチングトランジェント試験追加
※Ford CS2009規格 CI220 A1,A2,B1,B2,C同様
 その他
項目
コネクタの位置
2004
50mm +10,-0
試験配置
2011
50mm ±5
(図1等の指示寸法が異なる)
3aのUs(12Vsys)
-112V to -150V
-150V to -220V
3aのUs(24Vsys)
-150V to -200V
-150V to -300V
3aのUs(12Vsys)
+ 75V to +100V
+ 75V to -150V
3aのUs(24Vsys)
+150V to +200V
+150V to +300V
2a,2bのUS(Verification No Load)
+ 50V to ± 5V
+ 75V to ±7.5V
2a,2bのUS(Verification 50Ω Load)
+ 25V to ± 5V
+37.5V to ±7.5V
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2.国際規格 ISO7637-3.2007規格
過渡サージ試験要求
[適用範囲]
12V,24Vの電気系統を装備した乗用車及び軽商用車上に搭載された機器の電源線以外の線を経由す
る容量性及び誘導結合による過度電気伝送。
[試験の目的]
スイッチの開閉操作(誘導性負荷の開閉、リレーの接点のはね返り等)によって引き起こされる過渡現象
をシミュレートし、その容量性及び誘導性結合に対する車載電子機器の耐性を評価する。
[試験方法と試験パルス]
CCC法:capacitive coupling clamp
DCC法:direct capacitive coupling
ICC法 :inductive coupling clamp
Slow transient pulse
= Pulse2a positive & negative
Fast transient pulse a/b
= Pulse3a/3b
Transient type
CCC method
DCC method
ICC method
Slow(Pulse2a)
-
○
○
Fast(Pulse3a/3b)
○
○
-
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2.国際規格 ISO7637-3.2007規格
ISO7637-2規格の流れ
【現行規格】
1995年 ISO7637-3.1995 Ed1.0
↓
2007年 ISO7637-3.2007 Ed2.0
【国内規格】
1994年 JASO D001.1994 ≠ ISO7637-1&2.1990 Ed1.0
1997年 JASO D007.1997 = ISO7637-1&2.1990 Ed1.0
※ JASO規格は現在、改訂作業中。2009年末までには、ISO7637-2.2004と整合化したものを発行予定。
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2.国際規格 ISO7637-3.2007規格
ISO7637-3.2007試験方法
CCC method : Capacitive coupling clamp
DCC method : Direct capacitive coupling
ICC method : Inductive coupling clamp
Transient type
CCC method
DCC method
ICC method
Slow
(Pulse2a)
-
○
○
Fast
(Pulse3a/3b)
○
○
-
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2.国際規格 ISO7637-3.2007規格
ISO7637-3.2007 CCC法
CCC method : Capacitive coupling clamp(Pulse3a/3b)
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2.国際規格 ISO7637-3.2007規格
ISO7637-3.2007 DCC法
DCC method : Direct capacitive coupling:I/Oライン
Test Pulse
Capacitive
Slow(Pulse2a)
0.1μF
Fast(Pulse3a/3b)
100pF
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2.国際規格 ISO7637-3.2007規格
ISO7637-3.2007 DCC法
DCC method : Direct capacitive coupling:CAN BUSライン
Test Pulse
Capacitive
Slow(Pulse2a)
470pF
Fast(Pulse3a/3b)
100pF
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2.国際規格 ISO7637-3.2007規格
ISO7637-3.2007 ICC法
ICC method : Inductive coupling clamp
ISO11452-4で規定されるインジェクションプローブを
使用。(FCC社 F-120-8など)
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2.国際規格 ISO7637-3.2007規格
ISO7637-3.2007 ICC法
インジェクションプローブの構造
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2.国際規格 ISO7637-3.2007規格
ISO7637-3.2007 ICC法
ICC法の波形確認方法
発生器等を下図のように配置し、Slow Pulse をISO11452-4で規定されたインジェクションプローブとイン
ジェクションプローブ構成治具、ショート端子を使用して確認する。
ここで注意する点として、ISO7637-3.2007規格の中では使用するインジェクションプローブについ
ての詳細仕様は明記されていない。そこで当社では、一般的にISO11452-4規格で使用されるイン
ジェクションプローブ(FCC社製3種類:写真はF-120-8と校正治具の組み合わせ)を用いて出力波形の
違いの確認を行った。その結果を次ページに記す。
Parameters
12V system
24V system
42V system
tr in μs
<1.2
<1.2
<1.2
td in μs
7±30%
7±30%
7±30%
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2.国際規格 ISO7637-3.2007規格
ISO7637-3.2007 ICC法
ICC法の波形確認方法 実証実験
発生器等を右図のように配置し、Slow Pulse をISO11452-4で
規定されたインジェクションプローブとインジェクションプローブ校正
治具、ショート端子を使用して確認する。
MODEL
Insertion Loss
Watts
≦6dB
≦10dB
≦15dB
≦20dB
≦25dB
F-120-8
700kHz-100MHz
300kHz-275MHz
150kHz-375MHz
75kHz-400MHz
40kHz-425MHz
200
F-120-6A
-
300kHz-275MHz
70MHz-450MHz
30kHz-475MHz
13kHz-500MHz
100
F-140
2MHz-350MHz
900kHz-700MHz
450kHz-1GHz
200kHz-1.3GHz
150kHz-1.35GHz
100
項目
tr in μs
td in μs
Us in V
極性
+
+
+
-
規格範囲
<1.2
4.9~9.1
+10%,-0%
F-120-8
F-120-6A
F-140
0.632
0.665
0.617
0.620
0.669
0.600
6.599
9.152
4.528
6.489
8.828
4.484
8.352
8.497
7.238
8.324
8.417
7.057
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3.当社製品のご紹介
● 車載電子機器用EMC試験システム:KES7000システム
MODEL
MODEL
仕様
仕様
KES7702/7703
メインフレーム
SPEC80677/80678
Load Dump Suppressor
KES7711A
Pulse1-12V
KES7400A(KES7410A)
BPPS 60V,12.5A (SW付MODEL)
KES7713B/7714
Pulse1-24V
KES7401A(KES7411A)
BPPS 60V,25A (SW付MODEL)
KES7721
Pulse2a
KES7402A(KES7412A)
BPPS 60V,37.5A (SW付MODEL)
KES7731
Pulse3a/3b
KES7403A(KES7413A)
BPPS 60V,50A (SW付MODEL)
KES7750/7751
Pulse5a/5b
KES7100
アプリケーションソフトウェア
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クルマの進化とともに起こる様々な
イノベーションを支え続けます。
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お見積り、お問合せ等は
弊社営業までお願いします。
東北営業所
TEL 022-374-3441
北海道/青森県/岩手県/宮城県/秋田県/山形県/福島県
北関東営業所 TEL 048-865-5010
群馬県/埼玉県/茨城県/栃木県/千葉県/新潟県
首都圏営業所 TEL 045-593-7530
東京都/神奈川県/山梨県/長野県/静岡県(富士川以東)
東海営業所 TEL 052-774-8600
静岡県(富士川以西)/愛知県/三重県/岐阜県
関西営業所 TEL 06-6339-2203
富山県/石川県/福井県/滋賀県/京都府/奈良県/
和歌山県/大阪府/兵庫県/島根県/岡山県/広島県/
鳥取県/愛媛県/香川県/高知県/徳島県
九州出張所 TEL 092-263-3680
山口県/福岡県/佐賀県/長崎県/熊本県/大分県/
宮崎県/鹿児島県/沖縄県
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