テーマ16 技術(情報通信)(PDF/862KB)

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技術(情報通信)
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世界の技術革新の中心都市東京
− 最先端の情報通信技術に支えられた大会
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TOKYO 2016 Vol.3 Theme 16
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技術(情報通信)
日本が、情報通信技術(ICT)分野における世界のリーダーである
ことは、異論の余地がない。また、日本が、ICTによって「いつでも、
どこでも、誰でも、誰とでも」接続可能な社会の構築を国家方針とし
ていることも、注目に値する。ICT社会の構築は、これまでも着々と
進められており、現在では、いわゆる「ユビキタス社会」の利点が、法
令にも明確である。
現在も、無線LANやRFIDをはじめとする最新技術について、よ
り良いサービスをもたらすべく研究開発が進められている。その恩
恵は、道案内や観光案内などさまざまな分野にもたらされる。
英国オックスフォード大学とスペインのオビエド大学が共同で作
成したブロードバンド品質指標によると、日本のブロードバンドサー
ビスによるデータ通信速度は、世界一と報告されている。
日本は、その卓越したICTにより、2007年の世界陸上大阪大会、
2005年の愛知万博、2008年のG8北海道洞爺湖サミットなど、国
際的イベント開催を成功させてきた。上記のイベントにおいては、い
ずれも高度なITシステムと環境技術を一体化することによって、効
率的かつ環境にやさしいイベント運営が実現された。
近年では、携帯電話やブロードバンドの市場も急 成長している。
今や携帯電話は、音声通話のみならず、地上波デジタルテレビジョ
ン放送、データ通信(インターネット接続)、音楽のダウンロード、さ
らに電子マネー機能まで提供しており、新たな付加価値サービスに
欠かせない役割を担っている。
当然ながら、東京は、ICT面において非常に進んだ都市であり、離
島を除く都内の光ファイバによるブロードバンドに加入可能な世帯
割合は、100%に達している。しかも、その料金は良心的である。国
際電気通信連合(ITU)の調査によれば、世界のブロードバンド通信
について、通信速度が同等なものの料金を比較した場合、日本が最
も安い。
2016年までには、現在よりもさらに信頼性が高く、環境にもやさ
しいITシステムが確立されている。オリンピックの関係者及び観客
の利便性を最大限にするために、身分証明書、競技観戦チケット、
公共交通機関の乗車券、買い物機能などを、1枚のICカードに集約
する考えである。
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左記以外にも、技術革新によって次のようなことが可能となる。
・ 情報掲示板を都内に設置し、競技会場への道案内、競技結果、メ
ダル獲得数など、大会に関連するリアルタイムの情報に直接アク
セスできるようにする。自然エネルギーを動力とするINFO2016
システムが、これらの情報を統合する。
・ 大 会の 観客が 競 技をより楽しめるよう、
「 ユビキタス・コミュニ
ケータ」を用いて、選手のプロフィールや会場案内などの情報を
提供する。
・ 大会期間中の円滑な輸送 運営を確保するため、高度道 路交通シ
ステム(ITS)による輸送の規制や管理を行う。
・ 大会の映像を、今までにないクリアな画像で世界に幅広く配信す
るために、技術革新によって超高精細映像機器を設置する。
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A ‒ 電気通信市場の規制撤廃
16.1 通信分野の市場における、競争自由化の程度について説明してください。
市場競争の幕開け
日本では、19 8 5 年に施 行された電 気 通信 事 業 法により、通信
サービスの提 供、すなわち電気 通信事業が自由化された。以降、多
数の通信事業者が参入し、電気通信市場は完全に自由競争となって
いる。電気 通信事業 者数は15,0 0 0 社以 上、通信産業の売上げは
年々増加しており、電気通信だけでも2006年で166,000億円の
売上げがある。この完全自由化により、事業者は競争力を高め、料金
の低廉化やサービスの多様化、通話料金等の通信料金の大幅な低
減が進んでいる。
16.2 以下に対していくつのライセンスが交付されていますか。
・固定型の電気ネットワーク事業
・第二世代(GSMなど)及び第三世代(UMTSなど)の携帯電話サービスの提供
電気通信ネットワークの拡大
日本におけるネットワーク事 業については、登 録(基 幹回線 ※ が
県を超えるか、ユーザ回線 ※が市町村を超えている場合)又は届出
(これを超えない場合)のみで事業者と認められる。なお、無線につ
いては別途無線のライセンスが必要な場合がある。
※:無線回線を含む
固定型ネットワークの広範なサービス
登 録 事 業 者 319 社のうち、3 0 0 社 が 固 定 型の 電 気 通 信ネット
ワーク事業のライセンスを取得し、加入電話、総合デジタル通信サ
−ビス(ISDN)、国際電話及び国際総合デジタル通信サ−ビス、公
衆電話、IP電話、CATVアクセス等のサービスを提供している。
第三世代移動通信システムについて
日本では、現在、携帯電話事業において、NTTドコモ、KDDI、ソフ
トバンクモバイル、イー・モバイル、ウィルコム、UQコミュニケーショ
ンズの計6社がライセンスを取得済みである。
具体的には、
・ 第二世代(PDC)
:NTTドコモ、ソフトバンクモバイル
・ 第三世代(W−CDMA)
:NTTドコモ、ソフトバンクモバイル、
イー・モバイル
・ 第三世代(CDMA2000)
:KDDI
・ 第三世代(モバイルWiMAX)
:UQコミュニケーションズ
・ PHS:ウィルコム
日本の携帯電話サービスは、モバイル・インターネットの普及等に
あわせて、すでに1億台を突破している。
第二世代では、日本独自の仕様が主流を占めていたが、第三世代
(IMT−2000)は、世界標準に対応した仕様を採用している。
さらに、携帯電話を利用した大容量データ(動画像等)の通信ニー
ズを受け、日本の携帯電話事業者では、第三世代方式よりも高速な
データ通信を実現するための第三世代の高度化システムとなるLTE
(Long Term Evolution)等の開発・導入に向けた検討がされてお
り、大会期間中は最高の通信サービスが可能となる。
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16.3 電気通信市場を規制する団体が存在するかどうか、その団体が政府当局に結びついているか、誰がライセンスを交付し
ているのかを述べてください。
図 16.4 通信迂回のイメージ
競技会場
通信ライセンスに関する効率的な規制団体
及び制度
日本における電気 通信市場については、政 府機関である総務省
が監督・規制を行っており、通信事業の許認可は総務大臣が行って
いる。
総務 省はわが国官庁の14省の1つであり、電気 通信事業以外に
も、国家の基本的仕組みに関わる諸制度、国民の経済・社会活動を
支える基本的システムを所管し、国民生活の基盤に広く関わる行政
機能を有する第一の省庁に位置づけられている。
総務 省における情 報通信担当組織は、
「 情 報通信国際戦略局」、
「情報流通行政局」、
「 総合通信基盤局」の3局から成り、日本におけ
る電気通信の効率的な市場、信頼性、高品質なネットワークサービ
ス等に対し、政府機関として情報の電磁的方式による適正かつ円滑
な流通の確保及び増進、電波の公平かつ能率的な利用の確保及び
増進等の業務を行っている。
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競技会場
総合通信基盤局は、その他にも
・ 情報の電磁的流通のための有線又は無線の施設の設置及び使用
の規律
・ 電気通信産業の発展、改善及び調整
・ 非常事態における重要通信の確保
・ 電波の監視及び電波の質の是正並びに不法に開設された無線局
及び不法に設置された高周波利用設備の探査
IBC/MPC
非競技会場
・ 電波が無線設備その他のものに及ぼす影響による被害の防止又
は軽減
・ 電波の利用の促進
・ 分 配された周波数の 使 用及び混信に関する国際電 気 通信連合
(ITU)及び外国の主管庁等との連絡並びに国際電波監視機関と
の連絡等の業務を行っている。
競技会場
NTT基幹網(中継回線)
選手村
加入者回線(2重化可能)
交換機・局等
無線 周波数のライセンス交 付は、周波数の割当て及び電波の監
督管理を行う総合通信基盤局が権限を持つ。
16.5 各々の競技会場及び非競技会場に関して、事業者の携帯電話網の現在の収容能力(同時処理できる通信)について説明
16.4 競技会場と非競技会場をつないでオリンピック・パラリンピック競技大会組織が必要とするトラフィック(電話、データ網、
音声・画像回路)をサポートする、既存のインフラと技術網について説明してください。
バックアップ目的の迂回経路が存在するかを教えてください。
してください。
すべての競技会場及び非競技会場を結ぶすべての通信網も、上記の事業者によって十分に網羅されているかを教えて
ください。
この情報は、業務を請け負う可能性のある通信事業者から入手しなければなりません。
上述のインフラを表す図を提出してください。
高度かつ環境維持に配慮した技術インフラ
現在日本のブロードバンド環境は通信速度・コストで世界最高水
準と評価されている。日本の光ファイバによるアクセス回線の普及
率はOECD加盟国の30カ国中トップクラスである。中でも東京は日
本の首都かつ国内最大の都市であり、光ファイバによるブロードバ
ンド加 入 が 可能な 世帯 割 合は一 部 離 島を除き10 0%に達するな
ど、通信インフラは他国に例を見ないほど整備されている。
さらに、このようなインフラ整備にあたっては、電力消費量が低い
通信機器やリサイクル比率が高いケーブル材料の使用等、環境に負
荷を与えない配慮がされている。
大会開催に十分なインフラ
オリンピック・パラリンピックの競技会場及び非競技会場が位置
する8km圏内は、現在でも加入電話、専用線や広域イーサネットIP
−VPNサービス、映像伝送サービス等、オリンピックで求められる
通信環境が十分に整っている。そして今後建設される会場について
も、通信事業者の既存の交換設備から数km以内の範囲に位置して
いるため、既存の通信インフラを容易に利用することができる。
従って、すべての競技会場及び非競技会場において、光ファイバ
を用いた大容量で高速な電気通信サービスが提供可能である。
また、大会開催時には、8km圏内全域で光アクセス回線をベース
とする次世代ネットワーク(NGN:Next Generation Network)
サービスを開始する。ITU電気 通信 標準 化部門の勧告に準 拠する
NGNは、他のネットワークやサービスとの相互接続も容易に実現
可能なため、オリンピック・パラリンピック競技大会では、高品質の
動画やコンピュータグラフィックスを用いた大容量データを広く配
信し、世界中の視聴者が臨場感のあるオリンピックの映 像・データ
をリアルタイム又はオンデマンドで楽しめるようになる。
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携帯電話網の発達及び現在進行中の改革
さらに、NGNは高い通信品質とセキュリティが要求されるオリン
ピック・パラリンピック競技大会において、データの種類に応じたト
ラフィック制御や、なりすまし防止、異常トラフィック検 知、輻輳時
の重要通信の確 保等、従 来のIPネットワークにはない 様々な付加
機能を有する十分な通信環境の提供を保証する。
十分な迂回経路能力
東京における最大の電気通信事業者はNTT東日本である。音声
やデータ通信などの電気通信サービスの基幹網は、メッシュやルー
プ構成となっており、一つの経路で障害が発生した場合でも、別経
路で通信できるよう複数の経路を確保して設計されている。海外へ
の通信についても、迂回経路を意識した網構成となっている。
また、基幹網を支える重要な通信機器については、高い耐震性の
ある建物に収容され、火災・風 水害や落雷などの自然災害に対して
多様な防護策を施し、非常時にも通信が影響を受けないよう配慮さ
れている。電 力面では、万が一 公 共の電 力 供 給 が 停止した場 合で
も、無停電電源装置や自家発電装置により非常用の電力を確保して
いる。
さらに移動電源車や移動衛星通信車等も保 持し、たとえ通信が
途絶されても、迅速に通信を回復するための設備や人的能力を準備
する等、何重にも及ぶバックアップを施して通信を確保している。
日本における携帯電話網の収容能力は、2008年9月現在、携帯電
話契約総数が1億件を超えており、さらに毎年400万台を超える膨
大な利用者の増加にも十分耐え得るだけの設備が整備されている。
日本を代表する携帯電話会社のNTTドコモが現在提供する携帯
電話のサービス・エリアは、東京都内がほぼ全域カバーされており、
すべての競技会場及びオリンピック関連施設において、多数の携帯
電話の音声・画像・データ通信が十分可能である。そして、これから
建設する競技会場などは、設 計段階から携帯電話が通話できるよ
う設 計、建設されるため、すべての競技会場・関係施設において携
帯通信が可能となる。
また2016年には、現在導入が検討されているLTEシステムも提
供されている予定であり、携帯端末で光ファイバ通信並みの高速な
画像・動画等のマルチメディア通信が可能となる。これにより、場所
や通信機材(ケーブル 等)の制約を受けずに「いつでも、どこでも」
様々なオリンピック映像・データを発信できるようになる。
すべての競技会場及び非競技会場を結ぶ通信網は、日本を代表
する通信事業者であるNTT等の通信事業者により十分な整備がな
されている。
16.6 オリンピック・パラリンピック競技大会組織をサポートするために固定電話網と携帯電話網の追加インフラが
必要な場合、そのインフラについて説明し、どの事業者が設置の準備をしているのかを列挙してください。
上記の事業者は追加インフラの敷設費を大会組織委員会に請求しますか。あるいは、大会開催時に開催国で施行され
ている標準的な料金表に基づいて、使用料金のみが大会組織委員会に請求されるのですか。
2016年までには、固定通信網においては日本を代表する通信事
業者であるNT TグループのNGNサービスが提 供されており、オリ
ンピック関係施設にもNGNサービスのインフラが提供される。
大会を開催するにあたり、万が一、IOC等の要求によって追加の
インフラが必要となった場合には、通信事業者によって電話網を整
備する準備がある。
すべての競技会場及び非競技会場は、固定、移動通信インフラが
整った都心部に配置されており、今後建設される施設についても既
存の通信インフラが会場予定地のすぐ近くまで整備されている。例
えば、東京の臨海地域に建設される予定のメインスタジアムは、最寄
りのNTT設備拠点から約1kmの距離に位置しており、極めて短期
間でスタジアムまで既存のインフラを拡張することができる。従っ
て、既存の通信インフラの活用により、大会で求められる固定通信
網への技術的な要求は満足すると考えられ、大会のための追加イン
フラの必要はない。
基本的に、大会時に追加インフラの必要はないため、大会組織委
員会に対する請求もない。しかし、既設や新設の競技会場及び非競
技会場で恒久的な利用を考えている施設において、追加インフラが
必要となった場合には、各通信事業者の負担で整備をさせ、使用料
金のみを大会組織委員会が負担する。
また、仮設の施設に限っては、通信設備の拡張やアップグレード
における追加インフラの整備費用及び使用料金ともに大会組織委
員会が負担する。
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16.9 オリンピック競技大会開会式の1か月前からパラリンピック競技大会閉会式の1週間後までの割当周波数に関する予約
B ‒ 公共利益における周波数規制
とサービスについて、以下のクライアントグループには無料とするという関係当局の保証を提出してください。
16.7 無線通信に必要な周波数の割当と規制を受け持つ団体(とその結びつきの有無)を教えてください。
無線通信周波数の公正かつ効率的な活用
日本国内において無線周波数の割当、規制、監視を行っているの
は政府機関である総務省である。無線周波数の割当は総務大臣が
行っている。
総務省は、電波の公平かつ能率的な利用を確保し、公共の福祉を増
進することを目的として、電波法に基づき周波数管理を行っている。
また、周波数管理の基準や方針を定めるに際し、透明性を確保す
るため、審議会への諮問やパブリックコメントの募集を行っている。
大会運営に必要となる無線周波数については、大会組織委員会
が周波数コンサルタントを採用し、日本の周波数権限を持つ総務省
との支援 体制のもとで、無線通信に必要な周波数の割当が十 分行
われるよう調整する。
16.8 オリンピック・パラリンピック競技大会組織が必要とする周波数の割当、管理、規制を行う用意がある旨の
保証を、その権限を有する団体から入手して提出してください。
・選手
・大会組織委員会
・IF
・放送関係者
・IOC
・NOC
・報道関係者
・オリンピック競技大会パートナー
周波数の無料使用に関する保証
東京都は、大会開催時に必要となる無線周波数の割当てについ
て、すべての大会関係者に対して料金を請求しないことを保証して
いる。
保証については、保証ファイルを参照のこと。
16.10 上記クライアントグループの要件を完全に把握し、オリンピック競技大会開会式の1か月前からパラリンピック競技大
会閉会式の1週間後までの間に必ず適切な周波数がこれらのクライアントグループに割り当てられるようにするために、
すべての関係グループ、大会組織委員会、さらには周波数使用の割当、管理、監視を受け持つ当局を関与させるための
周波数割当に関する保証
大会組織委員会は、2016年東京大会において必要となる無線周
波数が、適切に割当・監理・監視されることに対して、総務大臣から
保証を得ている。
保証については、保証ファイルを参照のこと。
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提案をどのように行うのかを説明してください。
無線通信周波数
大会では、大会運営用に多くの無線周波数を必要とするが、大会
組織委員会は周波数コンサルタントを採用し、日本の周波数権限を
持つ総務省との支援体制のもとで、クライアントグループに対し、オ
リンピック大会開会式の1か月前からパラリンピック大 会閉会式の
1週間後まで適正な周波数を割り当てる。総務省はクライアントグ
ループが、自国から持ち込む無線機器がライセンスされるように調
整する。もし、その無 線 機 器が技 術的な理由で使 用できない場 合
は、大会組織委員会が替わりのレンタル機器の提供を用意する。
総務省は、1998年に行われた長野冬季オリンピック競技大会や
2002FIFAワールドカップTM、2008年G8北海道洞爺湖サミットに
おいても、管轄の総合通信局に違法電波の監視を行うための特別体
制を実施し、監視強化と妨害排除ため、迅速・的確な対応を可能とす
る万全の体制を構築し、円滑な大会運営を実施した実績がある。
2016年東京大会においても、正規に許可された無線機器の良好
な電波利用環境を確保するため、大会期間中は総務省を中心として、
特別な電波監視体制を築き、徹底した違法電波の対策を実施する。
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C ‒ プライベート無線ネットワークのメリット
16.11 トランク無線サービスに周波数を割り当てていますか。
混信や傍受をされないトランク無線サービス
日本において、トランク無線サービスはMCA無線サービスと解さ
れ る 。M C A 無 線 サービ ス は 、現 在 、財 団 法 人 移 動 無 線 センター
(MRC)と財団法人日本移動通信システム協会(JAMTA)の2事業
者 が サ ー ビ スを 提 供して お り 、周 波 数として 、8 0 0 M H z 帯 と 、
1500MHz帯が割り当てられている。
無線機器に、あらかじめ通話可能な周波数帯を記録したROMを
取り付けることで、使用できる周波数を制限し、他の無線機器がそ
の周波数を使用できない仕組みで、混信や傍受が困難な、非常にセ
キュリティの高いシステムとなっている。
また、東 京都では、防災等の緊急時の 公 共 業 務用無 線システム
に、安全かつ信頼性の高いデジタル移動通信システムネットワーク
を導入しており、周波 数として2 6 0 M Hz帯が 割当てられている。
2016年東京大会においても、緊急時の運用が可能である。
16.12 稼働しているトランク無線網は何種類ありますか。現地及び地域のサービスエリアはどの程度ですか。
トランク無線ネットワークによる全域網羅
電波利用効率の良いデジタル方式が主流
日本におけるトランク無線サービスは、MRCとJAMTAの2事業
者が提供しており、無線網の種類は、デジタル方式を主流として、周
波数帯等の区別により5種類ある。
全競技会場及びオリンピック関連施設のエリアをカバー
MRC及びJAMTAが提供する稼働中のトランク無線のサービス
エリアは、東京都全域を含む「関東地方」内の主要都市をはじめ、全
競 技会 場及びオリンピック大 会関連 施 設がカバーされている。ま
た、サッカーの予選会場である札幌市及び大阪市においても、同法
人の提供するトランク無線サービスの「北海道地方」、
「 関西地方」の
サービスエリアに含まれており、大会におけるすべての関連施設で
使用可能である。
16.13 このようなネットワークの加入者数を教えてください。
トランク無線の加入者数
2008年8月末時点において、MRC及びJAMTAが提供するトラ
ンク無線の関東地区におけるネットワーク加入者数は、約12.7万局
である。なお、全国におけるネットワーク加入者数は、約36.5万局で
ある。
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