新郎・新婦の気持ちが伝わる カタログギフトの開発・販売

経営革新
新郎・新婦の気持ちが伝わる
カタログギフトの開発・販売
ギフトの老舗が新たなカタログギフトを開発
支援機関:伊予銀行
支援内容:新事業展開支援
支援区分:経営革新
株式会社 いつき
【企業概要】
社 名/株式会社 いつき
代 表 者/代表取締役 平田 健治
業 種/ギフト専門店
所 在 地/松山市鴨川2丁目11番38号
資 本 金/10,000,000円
設 立/昭和50年6月
従 業 員/46名
経営革新への取り組み経緯
当社は、昭和35年に郷土民芸品、記念品卸売業
出物カタログ」を立ち上げ、従来の「引出物カタロ
として事業展開。昭和48年に小売を開始し、現在
グ」と差別化を図り売上増加を目指すこととなった
松山鴨川に店舗を構え、記念品、贈答品、内祝品等
が、企画内容、デザイン等においては不十分な状況
の販売を行っている。平成22年6月に愛麺㈱(松
にあった。そこで、専門家の視点から企画の内容、
山市)が当社事業を引き継ぐこととなり、事業内容
デザイン等についてアドバイスを行い新サービスを
の見直し、新たな企画の検討を行っている状況であ
十分なものにすると共に、経営革新計画の作成支援
る。
を行うことで、販売計画の策定、既存の事業内容の
この度、当社は新サービスとして「オリジナル引
見直しを行うこととした。
内・外部環境の把握
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まず、状況整理を行う上で、内・外部環境の把握
挙式スタイル、流行、平均費用、想定顧客像などの
を行うこととした。
調査を行い、挙式動向を分析した。また、当社はメ
外部環境については、松山市の結婚式場で約1割
ルパルク松山と提携予定であるため、メルパルク松
のシェアを占めるメルパルク松山に対してヒアリン
山での挙式に関する特色および、ターゲットとなる
グを実施し、
松山全体の市場調査を行った。挙式数、
客層の大まかな把握も行った。
株式会社 いつき
れまでのJP(日本郵便)向けのサービスのシステ
業務とシステム、またギフト注文はがきの受け入れ
ムを持っており、今後カスタマイズを行う予定であ
から出荷までの業務フローを確認した。当社は、こ
る。
経営革新
次に、当社内部の体制と環境を確認。現在の入力
課題の明確化
当社は愛麺において、BtoCの経験に乏しいため、
リスクを生み、デザイン制作会社にとっても負担に
一般消費者の顧客動向を読み、自らの判断でサービ
なり、結果的にコストがかさむことになる。デザイ
スを改善していくことは新しいチャレンジである。
ンについては、バリエーションを設定することが重
今回の新サービスでは、式場の満足度は言うまで
要である。また、結婚情報誌などとの連携による情
もなく、挙式カップルや、挙式の列席者までが顧客
報の収集も有効な手段といえる。
満足の対象になっているため、全体最適の視点が欠
その他の課題としては、営業担当者の業務負担が
かせない。
増えることが想定される。そのため、新事業開始後
カタログデザインの善し悪しで購入を決めるジャ
のスムーズな業務の流れを確立し、提携式場の評判
ンルでもあるため、カタログのデザイン処理が最大
を落とすようなトラブルの発生リスクを想定した対
の課題といえる。あてずっぽうにデザインを作成す
応を構築する必要がある。
ることは当社にとって的外れなデザインをそろえる
事業ドメインの設定
内・外部環境の把握、課題の明確化により、新サー
・二人の希望する写真とメッセージをメモリア
ルギフトの中に入れる
ビスについて①だれに、②なにを、③どうやって、
の3つの要素を満たす事業ドメインを設定した。
・メモリアルギフトをオンデマンドで短時間、
短納期で製作対応
①自分らしさを表現したい、結婚するカップル
②引出物を自分たちで選んだ中から、挙式の出席
者に選んでもらえるメモリアルギフトを
③・GPシステム(当社のギフト受発注管理シス
以上のようなドメイン設定の結果、当社はブライ
ダルギフトのコンシェルジュであるという結論に達
した。
テム)を活用する
・商品の多大な品揃えと流通システムを活用す
る
「オリジナル引出物カタログ」開発の経過
1.業者への情報提供依頼
松山市でブライダル誌「マリアージュ愛媛」を手がける株式会社エス ・ ピー ・ シーと面談。ブライダル
業界や挙式顧客の動向などについて情報提供を受けた。当社は年代で挙式スタイルの好みが分かれると考
えていたが、最近は年代で区切りにくいとのことであった。デザインの種類については幅を持たせること
とし、まずは販売してから売れ行きの様子を見て再検討することとなった。
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2.デザインの決定
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デザインについてはバリエー
ションの設定が重要なため、協
議の結果、次の5パターンに絞
り込むこととした。
・カワイイ系
・ゴージャス系
・シック系
・グリーン系
・和装系
今後、デザインについては株式会社エス ・ ピー ・ シーと
改良を進めていく予定。
3.商品のPRポイント
当社のオリジナルPRポイントは以下の点である。
・ギフト業界で46年の実績
・約9,000点の商品の中からチョイスできる
・全国で人気のある引出物の情報をもっている(売れ筋ギフトの情報をもっている)
・挙式の二人の写真が参列者の手元に残る
・好きな写真が掲載できる
・これまでになかった引出物のシステムである
4.販路について
まずは、メルパルク松山を顧客として販売テストを行い、今後販路開拓していく方針。メルパルク松山
以外の販路については、検討の結果以下の3つとなった。
①愛媛県内の式場、会館、ホテルへの営業
②ブライダルプランニング会社への営業
③写真館、前撮りカメラマンへの営業
以上のように、まずはB to B取引を獲得することとなった。
愛媛県内の式場、会館、ホテルへの営業については、伊予銀行によるビジネスマッチングのサポートを
受ける。
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株式会社 いつき
新業務プロセス案の作成
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当社の受注体制について、業務改善の土台とな
る新業務プロセス案を作成した。
今後、業務フローのもたつきの解消、役割分担
の明確化、固定費削減の可能性などの検討資料と
して活用する。
経営革新申請を目指す
新サービスの営業ができる体制が整ってきたた
め、販売計画を作成し経営革新申請を目指してい
く。
新業務プロセス案
拠点を利用した事業者の声
ギフトの会社を経営して最初に疑問を感じたのはブライダルの引出物として多様化
している「カタログギフト」の事でした。ギフト本来の姿を見失っていないか、一石
を投じていくことが私どもの使命ではないかと考えました。それで考え出したのが『メ
モリアルギフト』でした。それは、素人の単なる思いつきであり、現実に商業ベース
に乗せて、お客様の訴求に合った商品にするには、何からすべきか判りませんでした。
その中で、この支援事業を通じてアドバイザーの飯尾様、伊予銀行の後藤様といろい
専務取締役 平田啓惠
ろ話し合い分析していく中で確実なものに近づいて来ています。
Staff Voice
当社向けの今回の支援は折り返し地点に入ったと
ころです。新サービスの「オリジナル引出物カタロ
グ」は専門家のワクタル 飯尾渉氏に指導して頂い
たおかげでようやく形になってきたところです。㈱
いつきの平田社長、平田専務の「気持ちのこもった
カタログギフト作りたい」という強い思いを実現す
るために伊予銀行のビジネスマッチングでしっかり
とサポートしていきたいと思います。
平田専務(左)と飯尾専門家(中)、後藤の打ち合わせ風景
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