オーナー オペレーター 業界ニュース

発電
プラントの効率
資材管理
メガプロジェクト
水の浄化
再生可能エネルギー利用
I N S I G HT
Intergraph® Process, Power & Marine 発行 // 第 31 号 // 2012 年第 2 四半期
特集
オーナー
オペレーター
» 設備管理
» プラントの計装
» CAD の生産性
特集
レーザー スキャン
» フェンシュテルマーカー
» MAJA コンサルティング グループ
業界ニュース
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つな
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編集者:パトリック ホルコム
編集長:レブロン マイルズ
寄稿編集者:ジェリー フェルツ、
クリスティーナ ゴンザレス、
アイリーン タン
論説委員:ジャナ ミラー
上級グラフィック デザイナー:
リサ ディアーマン
Insight は Intergraph® Process,
Power & Marine
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ジア太平洋:61-2-9929-2888、中欧:49-8996106-0、東欧:48-22-495-88-20、北欧:4766-98-58-58、南欧:33-1-45-60-31-71、西欧お
よびアフリカ:44-1793-492500、中東:971-43367555、その他の地域:1-256-730-3707。ま
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よび High-Definition Surveying はその商標です。AutoCAD は
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明書の影響を受けます。Intergraph は不慮の誤りに対する責任
を負いません。
©2012 Intergraph Corporation.
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第 31 号 / 2012 年第 2 四半期
目次
8
注目記事
2
日本インターグラフからのご挨拶:ご挨拶
特集 - オーナー オペレーター
4
仮想設備の活用
6
トップの見解:オーナー オペレーター ビジネスの格段の成長
業界ニュース
8 十分な情報を提供する:O&M における設備管理の役割
12 スムーズ オペレーターのためのプラント計装の調整
16 オーナー オペレーターのための CAD の生産性向上
特集 - レーザー スキャン
20 レーザー スキャンと 3D設計の統合
顧客の視点
24
22 MAJA コンサルティング グループ:インテリジェントなレーザー技術
24 フェンシュテルマーカー:革新的なレーザー スキャン ワークフロー
業界ニュース
26 クラッシュしない自信
顧客の視点
30 エンプレサリオス アグルパドス:生産性の向上
32 テムコ:無制限
34 千代田化工建設:メガプロジェクトのための効果的な資材管理
36 アクシオナ アグア:再生可能エネルギーを使用して生産される
清浄な飲料水
38 IET:ターンキー プロジェクトのための高品質設計
部門
顧客の視点
30 ページ
40 クイックビュー
42 今後の予定
44 業界展望:変化の事例を作る
2012 年第 2 四半期
»
www.intergraph.com
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INSIGHT 1
日本インターグラフからのご挨拶
ごあいさつ
Insiight 第 31 号はオーナー オペレーター向けソリューションとレーザースキャン技
術を特集してご紹介します。
INPEX 様、ペトロナス様、ペトロブラス様など、当社ソリューションを設備管理に
ご採用になるオーナーオペレーター様が近年増えており、2011 年度全売上の 1/4 を
占め、さらに増加しています。今後、国内プラントオーナー様にも設備管理ソリュー
ションとしてご採用いただけるよう努力して参ります。Shell 様は ISO 15926 (旧 ISO
10303 part221) でプラント業界のデータ流通標準化をリードされていますが、この数
年は Shell プロジェクトを対象として当社ソリューションによるデータ流通の標準化に着手
されています。この特集では、オーナーオペレーター様のニーズを、運転保守での設備
情報の管理、プラント計装での各種調整、CADWorx 製品の活用という三つの視点でご
清田隆範
社長
Intergraph Process Power & Marine
日本インターグラフ
紹介します。
レーザースキャン技術は、この数年、急速に業界の注目を集めており、当社
SmartPlant Enterprise 製品群でも幅広くレーザースキャン製品とのインターフェース
を用意しております。特に、同じ Hexagon グループの Leica Geosystems 社とは、更
なる利便性と高付加価値をご提供すべく、連携を深めています。この特集では、二つ
の事例をご紹介致します。メキシコの大手石油企業 PEMEX 社での製油所改修工事で
は、レーザースキャンと 3D モデリングによる事前準備・計画が、コンサルタント企
業から提供され、測量調査の期間を7割削減するなどの成果を納めるとともに、改修
工事の品質改善・コスト削減が達成されています。また、アメリカの測量企業 フェン
シュテルマーカー社では、メキシコ湾のオフショア設備のレーザースキャンを、Leica
Geosystems 社の製品を活用して、お客様のご要望通り二日間で完了させました。
後半の「顧客の視点」では、千代田化工建設様での SmartPlant Material による
資材管理をご紹介致します。同時期に受注された世界最大規模の LNG プロジェクト
3件での運用で成功され、製品への信頼を深めていただきました。また、SmartPlant
Enterpriseによる電力プラントエンジニアリングの標準化、中手エンジ企業でのCADWorx
適用事例、水処理設備向けエンジニアリングで PDS 活用によるエラー半減、エンジサー
ビス小企業での SmartPlant Enterprise 活用もご紹介致します。
皆様の日々の業務のご参考として、是非、ご活用下さい。
2 INSIGHT
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第 31 号
» 2012 年第 2 四半期
編集者からのメッセージ
“
“
信頼
信頼は獲得する必要があり、年月を経てのみもたらされる。
アーサー アッシュ
信頼には高い価値がありますが、売り買いすることはできません。信頼は、長年の
試練に耐えて獲得する必要があります。SmartPlant Enterprise for Owner Operators な
どの Intergraph のソリューションは、世界中の複雑で多様なワークフローを解決する
試みを通して、多くのお客様の信頼を得ています。私が 2001 年に Intergraph に入社
した当時、Owner Operators の収益は全体の 10 パーセントにも達していませんでし
た。したがって、その 10 年後に Owner Operators の収益が全体の 27 パーセントを占
めるまでになったことは、ありがたく、喜ばしいことです。
パトリック ホルコム
Insight 編集者
エグゼクティブ バイスプレジデント
グローバル ビジネス開発担当
Intergraph Process, Power & Marine
Intergraph は成長を望んでいます。それは、さらなる信頼の獲得を目標にするとい
うことです。当社が大規模プロジェクトの生産性とライフサイクル全体における技術
設備情報の効果的な管理を重視していることで、当社のオーナー部門の業績は急速に
拡大しています。今号の Insight では、Owner Operators に注目し、お客様が当社のソ
リューションを使用してどのように成功を収めているかを特集します。
今号の Insight で特に注目したのはレーザー スキャン技術です。Intergraph は
2010 年に Hexagon 傘下に入ったため、現在は Leica Geosystems を初めとする
Hexagon のすべての部門と密接な関係を結んでいます。当社のスキャン ソリューショ
ンは常にオープンであり、業界全体で相互運用が可能でしたが、Leica とのパートナー
シップによって Leica とのより幅広い統合が可能になり、今後はさらにレーザー スキ
ャン技術の使用範囲を拡大してゆきます。Hexagon 2012 にご来場いただき、その目
でご確認ください。きっと Intergraph 技術の未来について新しい視点を持って会場を
後にすることができると思います。
PP&M のすべての社員は、「お客様を決して失望させてはならない」というゲアハ
ルトのルール No. 1 を知っています。当社は、お客様から信頼されることにより、今
日のマーケット リーダーになっているのです。この信頼に感謝します。当社は長い航
行の途上にあり、お客様の航行も喜んでご支援させていただきます。
ラスベガスで開催される Hexagon 2012 でお会いし、共に未来を構築してゆけるこ
とを楽しみにしております。
2012 年第 2 四半期 » www.intergraph.com
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INSIGHT 3
» 特集 «
オーナー オペレーター
仮想設備の活用
オーナー オペレーターはさまざまな課題に直面します。運転・保守部門は、予定外の
ダウンタイムを最小化し、OPEX を減らし、健全性と安全に対するリスクを最小化し、コ
ンプライアンスを確実に達成することを求めます。試運転、スタートアップ、引き渡しの
主な目的は、運転即応性を向上させ、運転・保守 (O&M) の対象になる仮想設備の品質と
完成度を最大化することです。同時に投資プロジェクト部門は、CAPEX
ジェクトのスケジュールを短縮しようとします。これらのビジネス
を減らし、プロ
ニーズに直面するこ
とで、株主の収益目標に応えることが困難になる場合があります。
ARC アドバイザリー グループは、「プラント オーナー オペレーターの生産性目標を
達成するには、別の設備ライフサイクル管理モデルと、すべての関係者間で効果的な相互
運用性を実現する情報管理インフラストラクチャーが必要になります」と述べています。
プラントに関する知識は、仮想設備です。今日のオーナー オペレーターは、この仮想
エンジニアリング情報資産を活用する方法を探しています。
SmartPlant Enterprise for Owner Operators は、プラントおよびオフショア プラット
フォームを安全に建設、運転および保守するための専用エンジニアリング
ソリューショ
ンです。Intergraph は、投資と運転経費を抑制して競争優位性を獲得することにより、プ
ラント オペレーターや船舶、オフショア プラットフォームの建造者が生産性を向上させ、
プロジェクトを推進できるようにします。
この後、Intergraph のソリューションがどのように生産性と収益性を大きく向上させ
ることができるかを詳しくご紹介します。Intergraph は、絶えず変化するエンジニアリン
»
グ設計基準を管理し易くします。
4 INSIGHT
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第 31 号
» 2012 年第 2 四半期
トップの見解:格段の成長 6
業界ニュース:十分な情報を提供する 8 スムーズ オペレーター 12 CAD の生産性向上 16
QUARTER 2, 2012
»
www.intergraph.com
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INSIGHT 5
トップの見解 » 業界リーダーの足固め
FROM THE TOP
オーナー オペレーター
ビジネスの格段の成長
“
Intergraph は、世界的な業界リーダーと
して強い伝統を築いて来ました。オー
ナー オペレーターは、Intergraph の成
長戦略の中心です。Insight は、先日
Intergraph Process、Power & Marine
の社長であるゲアハルト サリンジャーに
インタビューし、Intergraph のソリュー
ションがさらに多くのオーナー オペレー
ターのニーズをどのように満たしていく
かについて語ってもらいました。
ゲアハルト サリンジャー:ここ 2、3
年で、EPC (Engineering, Procurement,
and Construction)部門と比較して当社の
オーナー部門のシェアは急速に拡大して
います。2011 年では収益全体の約 27 パ
ーセントがオーナー部門ですが、これは
まだ比較的初期の段階にあると考えてい
ます。
オーナー部門の格段の成長にとって
何が新しく、何が成長をもたらしている
かというと、それは技術データの管理で
す。これまでオーナーは、ドキュメント
管理の方法を探していました。ただし、
オーナーが最も求めていたことは、その
種のデータそのものを管理することでし
た。何年もの間、市場にはドキュメント
管理システムを開発して販売するベンダ
ーがありました。Intergraph にもそれは
可能でしたが、当社のシステムはドキュ
メント管理に焦点を置いていません。
当社のビジネスは、むしろこれらのド
キュメントの背後にあるデータを管理す
ることにあります。5 年前には、ほとん
どの人はこのようなデータに注目しなか
6 INSIGHT
l
第 31 号
» 2012 年第 2 四半期
ったか、その価値を理解していませんで
したが、それが変化しました。そのかな
りの部分は、当社によってもたらされた
変化です。
当社は、基本的に「ドキュメントだけ
でなく、その背後にあるデータにも価値
がある。」という言葉を業界に広めよう
としています。ありがたいことに、多く
の企業にこれを理解してもらい、その価
値を認めていただきました。
Intergraph は、業界のデータ管理にお
けるリーディング カンパニーになりまし
た。SmartPlant Foundation、中でもその
上に構築された SmartPlant Enterprise for
Owner Operators は、大いに成功し、多
くのオーナーが迷わず採用しています。
ある主要顧客は、新規プラントを建設
するにあたり、そのプラント データを管
理するためのパートナーとして当社
を選択しました。その後、SmartPlant
Enterprise for Owner Operators は、実
装段階と試験段階を経て、昨年お客様か
ら十分に堅牢であり本稼動に移して問題
ないとの承認を得ました。このソリュー
ションは、すでに建設中の 5 つの新規プ
ラントに採用されています。今年の計画
は、さらに 7 つのプラントを新設し、す
“
Insight:オーナー オペレーター市場にお
ける Intergraph のシェアは、Intergraph
のオーナー オペレーター ソリューショ
ンの成長とともにどのように成長しまし
たか?
ドキュメント
だけでなく、
その背後にある
データにも価値
がある。
べてにこのソリューションを実装し、お
そらくはグローバル ネットワークで管理
することです。
コノコフィリップス社は、2、3 のプ
ロジェクトで当社のデータ管理ソリュー
ションを使用しています。当社は、世界
中の多くの大規模石油・ガス企業に対し
てビジネスを拡大するように努めてい
ます。このような企業には、アドノッ
ク、ENI、ペトロブラス、ペトロナス、
レプソル、サウジ アラムコなどがあり、
その数はさらに増加しています。
この潜在的な成長性は非常に大きく、
当社がこれまであまり実績を残してこな
かった多くのオーナー企業の扉を開くこ
とになりました。今後数年間でオーナー
オペレーター ビジネスは、容易に 2 倍
または 3 倍に成長するでしょう。オーナ
ー ビジネスが当社の収益に占めるシェア
は 30 パーセントから 35 パーセントにな
り、現在のシェアをはるかに凌ぐように
なるでしょう。
今後の展望として、高成長を続ける BRIC
諸国 (ブラジル、ロシア、インド、中国)
はどうでしょうか?
ジャナ ミラー
ゲアハルト サリンジャー:当社の中
国における 2011 年の成長率は 53 パー
セントでした。ブラジルでは 25 パーセ
ントでした。ロシア、中東、およびイン
ドでは、すべての地域で 20 パーセント
を少し超える位でした。当社は、これら
の高成長地域において、非常に良い業績
を残していると思います。
これらの地域では、オーナー部門に
も同じ潜在的な成長が見込めます。BRIC
諸国での成長率は、世界の先進諸国より
はるかに高くなっています。このトレン
ドは、持続するでしょう。BRIC諸国での
収益の割合は、今後数年間にわたって増
加するでしょう。
当社で最も成長の著しい部分は、実
際に BRIC 地域とオーナー ビジネスか
らもたらされています。当社で最も成
長している 2 つの製品は、SmartPlant
Foundation/SmartPlant Enterprise for
Owner Operators と、オンショアおよび
オフショア業界向けの新しい Smart 3D製
品です。今後の成長については、最も活
発な領域としてオーナー、BRIC、新しい
Smart 3D製品の 3 つを挙げます。
Intergraph は、ここ数年間ソリューショ
ン ポートフォリオとその市場を多様化し
てきました。さらに、Leica Geosystems
を初めとする Hexagon グループ企業との
連携も始まっている今、お客様にどのよ
うなサービスを提供できますか?
ゲアハルト サリンジャー:その点で、
Leica のレーザー スキャン技術は非常に
魅力的です。点群を CAD モデルと組み
合わせる必要があるためです。当にはそ
のためのかなり優れたソリューションが
すでにありますが、今後数か月でさらに
多くの動きがあるでしょう。これは、ラ
スベガスで開催される Hexagon
2012 での重要なメッセージの一
つです。
この技術を販売部門に見せました
が、かなり競争力があります。業界は、
この技術に注目しています。これは、既
設プラントにおいて、プラント情報やプ
ラント データを電子形式で取得し、改修
や拡張を行う際に極めて魅力的な手法だ
からです。
この技術や業界がどれほど加熱して
いるかを探るための指標として、競合他
社を見れば、彼らがいくらか遅れながら
当社に追随していることがわかります。
ある企業は、最近当社と Leica の競争相
手となる企業のソリューションを買収し
ました。競争相手は、ある意味でしつこ
い追跡者のようです。彼らはトレンドを
確認し、当社の動向を見てからそれに追
随します。データ管理とオーナー オペレ
ーターの領域でも同じことが言えます。
統合についても同じです。これは、当社
が業界をリードしていることの証です。
レーザー スキャンは、確かに興味深
い市場です。収益について、厳密な予測
をすることは多少困難です。今年は確実
に数百万ドルになり、2、3 年で当社の
ビジネスの中心の 1 つになるでしょう。
Intergraph は、2010 年にコーエイドを
傘下に収めました。このこと
は、Intergraph の成長をどの
ように支援しましたか?
ゲアハルト サリンジャー:
Intergraph CADWorx® & Analysis部門は、
配管応力解析の CAESAR II®、タンク解析
の TANK™、圧力容器解析の PV Elite®、
プラント設計の CADWorx の各製品によ
り、極めて業績は良好です。CADWorx
は、AutoCAD® にベースにした 3D 設計
機能を提供し、その領域では極めて強力
です。CADWorx は、操作性に優れ、中
小規模プロジェクトに適しており、当社
は業界の支持を得ていると見ています。
現在は、CADWorx の収益の 80 パー
セントを米国とカナダから得ているた
め、この製品が大きく成長する可能性は
北米以外の地域にあります。この製品
が、ヨーロッパやアジアで北米と同様の
成功を収められない理由は見当たりませ
ん。今後 3、4 年で、CADWorx の収益が
3 倍または 4 倍になる可能性があると見
ています。
したがって、アジアとヨーロッパに
適切な目標設ける必要があります。2011
年にはこれをかなり達成でき、これら 2
つの地域でさらに数段階業績をアップさ
せる準備ができています。当社には、こ
れを実現してお客様を成功に導けるだけ
のスタッフとリソースがあります。■
www.intergraph.com/ppm
ジャナ ミラーは Insight の論説委員です
(米国アラバマ州ハンツビル)。
2012 年第 2 四半期 » www.intergraph.com
l
INSIGHT 7
業界ニュース » HYDROCARBON ENGINEERING
アドリアン パーク
十分な情報を提供する
» 安全、効果的、持続可能なプラント運転保守における設備管理の役割
この記事は、『Hydrocarbon Engineering』誌の許可を得
て再掲しています。
急
速に変化する業界では、迅速な技術
開発によってプラントの経年変化が
プロジェクトの採算性を左右するレ
ベルまで加速しています。スムーズ
で効果的なプラントの運転保守に
は、プラント設計の初期段階におけ
る「正確さ」が不可欠です。安全、
効果的、持続可能な運転を行う上で、エンジニアリング設計基
準とプラント設備の整合性が果たす役割がますます重要になっ
ています。
オーナー オペレーターは、スムーズな引き渡しと運転の立
ち上げを確実に行い、時間と経費がかかり危険を伴うプラント
保守作業を回避するために、プラント ライフサイクル情報管理
戦略と、それをサポートする技術が必要であることを認識して
います。
特定のプラント設計基準は、プラント保守の最適化に大い
に関係があります。プラント保守の中心は信頼性と安全性なの
で、技術者が複数のプラント設備と運転に対して効果的な保守
作業を行うためには、これらの課題に緊密にリンクした設計概
念を理解することが必要です。
Intergraph は、SmartPlant Enterprise for Owner Operators
によるワークプロセスがプラント ライフサイクルにおける設
備投資経費と運転経費の両面でオーナー オペレーターを最適
に支援できるように、これらの評価基準を管理、分析、詳細
に監視します。コントラクターは、これと同等の SmartPlant
Enterprise ソリューションを使用してエンジニアリング設計基
準を構築し、プロジェクトを効果的に実行できます。
プラント設備管理
「仮想プラント」の設備とコンポーネント (通常は EPC コ
ントラクターが設計)、すべてのプラント内ドキュメント、およ
び IT システムは、運転中のプラントの現在の物理的な状態との
整合性が維持されている必要があります。整合性が維持されて
いなければ、プラント内ドキュメントは信頼できないものにな
り、プラントの状態が正しいかどうかを確認するために絶えず
見回りが必要になり、無駄な手間がかかり、そして作業員は転
8 INSIGHT
l
第 31 号
» 2012 年第 2 四半期
倒や転落の危険に無駄にさらされることになります。迅速な判
断を必要とするプラント事故が発生したときは、現場で確認作
業を行う時間がない場合があるため、プラント作業員は信頼性
が低い情報に基づいて判断することになり、スタッフ、プラン
ト、および周辺環境を危険にさらす可能性もあります。
プラントの信頼性を管理するには、重要なプラントの設備
やリソースがどのように配備され、活用されているかをより広
い視野で把握する必要があります。プラント
オーナーは、設
計の初期段階から完全なプラント設備管理 (PAM, Plant Asset
Management) システムを実装し、プロジェクト開発中にコント
ラクターから早い段階での引き渡しを求めるようになっていま
す。これにより、運転スタッフには以下のことが可能になりま
す。
•
•
•
•
生産停止リスクの評価
今後の保守業務の計画
スペア パーツの評価
運転スタッフのトレーニング資料の準備
PAM システムは、一貫性のある正確で高品質な情報を提供
する必要があります。これは、エンジニアリング設計基準とプ
ラント内ドキュメントを管理するために重要です。PAM システ
ムは、1 つの設備に関連するすべての組織 (部署、コントラクタ
ー、オーナー オペレーター企業の組織単位、供給業者) の調整
や運転・保守業務の計画においても重要な役割を果たします。
設備の整合性、サプライチェーン管理、および規制遵守は、
プラント設備の情報管理に直接関連があります。タグ、モデ
ル、設備 (一連の機器)、メーカーの関係を管理することは、プ
ラント オーナーにとって非常に重要です。新設/既設プロジェ
クトでこれらの関係を確立できれば、プラントのコンピュータ
ー化された保守管理システム (CMMS) に必要なプラント設備構
造を構築するための優れた基準になります。
SAP® MM あるいは他の既存資材カタログにすべてのデータ
の相互参照を確実にすることは、保守・修理・運転(MRO) 在庫
削減や機器ドキュメントの正規化を実現するための基礎になり
ます。
PAM システムと CMMS を実装することで、以下の作業をサ
ポートできます。
• 保守スケジュール
• 定修計画
• 稼動中のプラント変更管理
• トラブルシューティング
• 在庫管理と購入
これらのシステムがオートメーション、生産スケジュール、
製造システムなどと統合されると、その価値はさらに高まりま
す。
相互運用性の範囲
相互運用性は、複数の IT システム間でシームレスにデー
タを表示および共有する能力です。Intergraph の SmartPlant
Enterprise for Owner Operators は、優れた統合機能をすぐに
使用できる状態で備えています。次のように、サードパーテ
ィのシステムとの迅速な統合が可能です。
• CMMS、DCS、コンテンツ管理などのシステムを使用し
てエンジニアリング設計基準 (インテリジェント配管計装
図、3D モデル、レーザー スキャンなど) から取得した情
報に、1 つの共通Web ポータルからシームレスにアクセス
する
• CMMS がある場所で保守作業を行うための通知として、
SmartPlant Enterprise for Owner Operators の変更内容を
承認後に CMMS に受け渡す
• エンジニアリング設計基準と CMMS の両方がプラント構
成の変更に対して常に最新の状態を維持するように、これ
らのシステム内の変更を自動的に同期する
変更管理
稼動中のプラントの変更に沿ってエンジニアリング設計基
準を動的に維持することは、安全上重要でしかも大変な業務で
す。プラント設計とプラントの構成 (承認サイクル、規制遵守、
情報フィードバック、エンジニアリング データと保守データの
相互通知) は変更されることが多いため、適切に追跡、記録、共
有しなければ、プラント運転に重大な影響が及びます。プラン
トの主要なエンジニアリング、保守、運転情報の正確性を維持
することは、安全で効率的なプラント運転に不可欠です。
Intergraph の変更管理 (MOC) プロセスは、実証可能な規制
遵守を実現するために、完全なトレーサビリティと監査証跡
を備えたエンジニアリング情報の厳密な MOC 機能を提供しま
す。すべての変更要求は、プラント ブレークダウン ストラクチ
ャーの影響を受けるタグ、ドキュメント、パーツに関連付ける
ことができます。これにより、同じアイテムに影響する現在考
慮中またはすでに承認済みの変更点を識別したり、考慮すべき
さまざまな変更要求の間に相乗効果または不一致がないかどう
かを分析することができます。
事前に設定されている MOC プロセスとしては、レビュー、
プラント変更委員会による承認、エンジニアリングによるエン
ジニアリング設計基準の変更の設計と承認のほか、オプション
で、変更を行うための保守通知 (プラント保守システムに通知レ
コードを作成する) があります。承認後に保守に引き渡されなか
った変更は、その後の定修の候補として残すことができます。
継続的な保守整合性
データおよびデータ間の相互関係は、プラントの設備構成管
理にとって重要です。アズビルト プラントの設計基準への変更
が常に迅速に CMMS に反映されるようにすることは、稼動中
のすべてのプラントの課題です。ほとんどのオーナー オペレー
ターは、プラント設計の変更を CMMS に手動で反映しています
2012 年第 2 四半期 » www.intergraph.com
l
INSIGHT 9
» 充分な情 報を提 供する
が、このようなプロセスがしばしばエラーの原因になったり、
首尾一貫して実行されない結果になります。たとえば、以下の
ようなことが起こります。
•
•
•
•
十分な情報を提供する
機器への不正な保守計画の適用
機器がまったく保守または点検されない
不正な交換機器やパーツの調達
CMMS に基づくエンジニアリング設計基準の変更を自動的
に同期すれば、効果的かつ信頼できる方法で CMMS を最新の
状態に維持できます。
SmartPlant Enterprise for Owner Operators は、エンジニアリ
ング設計基準と CMMS の間でデータを同期し、SAP PM などで使
用できます。エンジニアリング設計基準でタグが作成、更新、
または終了すると、SmartPlant Enterprise for Owner Operators
は、プラント保守システム内の対応する機能場所で、
自動的に作成または更新をトリガします。実際には、すべての
タグが機能場所として SAP PM に送信されるわけではありませ
ん。どの種類のタグをライフサイクルのどの状態で SAP に転送
するかというルールを各オーナーが独自に設定します。たとえ
ば、ほとんどのオーナーはケーブルや信号を SAP PM に送信し
ません。また、ほとんどのオーナーは、タグが初めて予約され
た段階では SAP に送信せず、それが計画済またはアズビルト状
態になった場合にのみ送信します。これにより、CMMS への余
分な機能場所の作成を避けることができます。
この SmartPlant Enterprise for Owner Operators プロセスに
は、ライフサイクル状態に基づいて CMMS に送信するタグを柔
軟に設定するルールが含まれます。エンジニアリング設計基準
と保守システムの間の情報の同期には、重要な運用プロセスに
対して大きな相乗効果のメリットがあります。
者からオペレーターが受け取ったデータの品質を検証したり、
既存運転システムのデータの品質をチェックするには、数百万
のレコードをチェックする必要があり、しかもデータの完全
性、正確性、一貫性の検証は複雑なので、これは非常に困難な
作業です。
このような困難を克服するために、Intergraph は、プラント
設備データの品質のチェックを必要とするコントラクターやオ
ーナーを、VTL (Validation, Transformation and Loading) ツー
ルによって支援します。このツールは以下の用途に使用できま
す。
• 設備投資プロジェクトの間、プラント エンジニアリング
成果物を監視する
• 最終成果物の品質を監視する
• データ移行プロセスの一環として既存システムのデータを
チェックする
Intergraph の VTL ソリューションを使用すると、複数のコ
ントラクター、供給業者、または既存データ システムから受け
取ったデータを検証できます。データは「検査場所」にあるス
テージング領域にインポートされ、以下のような広範なビジネ
ス ルールに基づいて検証されます。
• 命名方法が正しいか
• 必須情報が提供されているか関係が有効か
• 有効な値の範囲が限られている EX コード、IP クラスなど
のフィールドが正しいか
検証結果レポートは、コントラクターまたは供給業者に訂正
が必要なデータを返すために、また訂正の基本データとして使
用できます。適用されたすべての検証ルールの詳細および結果
が、トレーサビリティのために保持されます。
検証後のデータは、ターゲット システムにエクスポートさ
れ、インポートから検証、エクスポート、ターゲット システム
での読み込みまで、プロセス全体を自動化できます。
安全性
プラント保守における安全性の問題は、多くの場合、脆弱な
変更管理が発端になって起こります。危険な事象の多くが、プ
ラント設備の変更や不正なデータまたは古いデータに基づく誤
った判断によって発生しており、これらは適切な MOC の手順
によって防止可能です。プラント構成は、改修プロジェクト、
定修、保守更新などによっていつでも変更される可能性がある
ため、プラントの安全性には、プラント設備データ、運転マニ
ュアル、および運転手順の正確性とそれらをいつでも利用でき
ることが重要です。
アズビルト 3D モデルの保守は、プラントの安全性に重要な
役割を果たします。モデルが最新の状態を維持し、信頼できる
ものであれば、以下のことが可能になります。
プラント設備データの検証
高品質なプラント設備情報は、安全で効果的そして持続的な
運転のための前提条件です。しかし、コントラクターや供給業
10 INSIGHT
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第 31 号
» 2012 年第 2 四半期
• 必要になるプラントの見回りや、それに付随する転倒や転
落などの危険を減らす
• スタッフがプラントに精通し、避難経路の最新情報を入手
するための重要な対話式トレーニング ツールになる
• 機器の解体や交換などの複雑な手順をシミュレートする
SmartPlant 3D と SmartMarine® 3D のルールに基づくイン
テリジェントな 3D モデリングにより、規制遵守を維持するた
めの安全ルールをモデルに組み込めるようになりました。たと
えば、プラント内のある場所で電動機器の防爆等級がそこでの
領域区分に準拠していない場合は、その場所をハイライトでき
ます。
LOTO (Lock Out and Tag Out) は、機器を安全な方法で操
作するために隔離するプロセスです。隔離を計画するプロセス
には、プラントの最も経験豊富なスタッフが何人か集まって相
当の時間を費やす必要があります。また、依然として紙ベース
のシステムに頼る部分も多く、安全上主要な意味を持つエラー
が発生する原因になっています。統合型のインテリジェントな
スケマチック設計ツール、3D モデル、および情報管理リポジ
トリは、隔離の計画と実行を支援する新しいソリューションの
設計を可能にしました。この方法により、プラントの保守にお
いて、隔離の計画、実施の安全、監視と監督を改善できます。
プラント プロセス安全チームによる HAZOP (Hazard and
Operability Study) 分析の実行は、プラントの安全を確保する
ための重要な要素です。このチームの有効性は、チーム内の経
験豊富な技術者、運転スタッフ、および安全の専門家の安全知
識を活用できるかどうかに大きく依存します。
Intergraph ソリューションは、企業が自社に蓄積された安
全知識をルールベースの知識リポジトリに収集できるように
します。このアプリケーションは、危険識別の大部分を自動
化することで、HAZOP 調査に要する時間と経費を半分に削減
できます。
ポータルベースのインターフェースから HAZOP 分析にアク
セスし、エンジニアリングデータウェアハウスから得たインテ
リジェントな P&ID を使用して、自動的に危険性と運転性の問
題を追跡できます。この機能により、プラントに変更があった
場合に HAZOP レポートを素速く更新できます。
事故に対する迅速な対応
結局は、プラント設備データとプラント保守の管理が、よ
り迅速なリスク査定とより優れた意思決定に直接つながりま
す。事故に対する最善の対応は、必要なすべての情報を迅速に
収集し、プラント システム、設備、およびスタッフをより適切
に制御することによって達成されます。
プラント事故への対応は秒単位の作業です。プラントの現
場作業員と技術者が、主要なプラント エンジニアリング情報だ
けでなく、DCS、保守システムなどの他の運用システムのデー
タに簡単迅速にアクセスできるようにすれば、重要な意思決定
プロセスをサポートする際に大きな差になります。
実例
北海の石油ガス処理施設の改修と合理化を設計する際、エ
ンジニアリング会社であるグリーンランド グループと
Intergraph の間では、これらの要素の多くがコラボレーション
の中心に置かれました。生産性の向上に対する圧力の増大に直
面しているオーナー オペレーターが求める主要な要件は、耐
久性と最適な保守のための設計でした。
既存のプラントの合理化には、いくつかのプロセスの再
設計、組立工法の情報、改修後の設計、保守の最適化が必要
でした。このプロジェクトの主要な課題は、複数のコントラ
クター、供給業者、既存システムから受け取ったデータを検
証するためのデータ収集、計装、および中央リポジトリでし
た。Intergraph は、プラントのライフサイクル全体に対して真
に効果的なソリューションを求める EPC の要求に応えるため
に、Intergraph のエンジニアリング ソフトウェアや運転ソフト
ウェアを、他の優れた業界ベンダーの補完ソフトウェアと組み
合わせたパートナーシップ アプローチを採用しました。■
www.intergraph.com/ppm/spo
アドリアン パークは、Intergraph のオーナー オペレーター ソ
リューション担当グローバルエグゼクティブディレクターです
(ノルウェー、スタバンゲル)。
2012 年第 2 四半期 » www.intergraph.com
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INSIGHT 11
12 INSIGHT
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Issue 29 »
QUARTER 2, 2011
業界ニュース » HYDROCARBON ENGINEERING
フランク ユープ
スムーズ オペレーターのための
プラント計装の調整
» コントロール システム エンジニアリングはプラント
運転の安全性、効率、経済性を改善する
『Hydrocarbon Engineering』誌の許可を得て
再掲しています。
設プロジェクトであ
れ既設プロジェクト
であれ、プロジェク
トがますます大規模
化し、複雑化するこ
とで、プロセス シス
テムや制御システム
の限界とパフォーマンスが試されています。より
効率的に設計されたプロジェクトをより速く提供
することを求める圧力が高まっています。その結
果、設計と運転の技術者は計装と制御に目を向け
ました。なぜなら、この部署がプラント運用のす
べての領域に影響し、プラントの信頼性と効率、
運転コスト、保守コストを大きく左右するからで
す。既存の計装システムや制御システム、さらに
それらのコンポーネントの信頼性を向上させるこ
とで、プラント オペレーターは、ワークフローの
中で可能な限り迅速に情報に基づく意思決定を行
うことができます。これにより、費用の掛かる手
直しや、最悪の場合はプラント コンポーネントの
再発注や生産の停止を回避できます。
新
エンジニアリング会社やプラント オーナーは、
ビジネスを改善し、プロジェクトの遂行とプラン
トの運転のリスクを軽減し、ニーズに最も適合す
るエンジニアリング ソリューションを常に探して
います。エンジニアリングの基本はそれほど変化
していません。技術者は依然として計器の仕様を
定め、データシートを作成し、配線したりする必
要があります。ただし、ビジネス推進要素 (スケ
ジュール、コスト、プロジェクトの規模、製品の
市場投入までの時間) には、エンジニアリング デ
ータのより全体的な手法とより効率的な管理を求
めるという変化がありました。
制御システム エンジニアリングは、プラント
稼動時間、品質、柔軟性、プラントの信頼性、お
よび運転コストの主要な構成の 1 つです。したが
って、オーナーは最新の制御システムを求め続け
ています。さらに、ますます増える課題に対応し
て目標を達成するために、制御システムに新しい
技術を採用し続けています。設備はより大規模で
複雑になっており、多くの設備は、ブラジル、ロ
シア、インド、中国などの新興国のエネルギー需
要の高まりに対応するために、大きな時間的圧力
の下で建設されています。
エンジニアリングとプロジェクト遂行の視点
から見ると、このような大規模プロジェクトは
EPC (Engineering, Procurement and Construction)
企業によって実行されることが多くなっていま
す。これには、設計や制御システムをオーナー側
の業務慣行と要求に一致させる必要があるという
点でさまざまな困難が伴います。
改善の原則
技術開発部門は、新しい課題に対応するため
に、業界をさらにインテリジェントな統合ソリュ
ーションに牽引することを目標にしています。制
御システム エンジニアリングでは、以下の 3 つが
今日の改善内容の原則になっています。
• ルールに基づく設計 ‒ オーナーが一貫性を
持って標準とベスト プラクティスを決定で
きるように、一連のルールが設定されてカ
スタマイズされます。これにより、プロジ
ェクト全体に亘ってコントラクター間の整
合性を確保し、より迅速で正確な意思決定
が可能になります。
2012 年第 2 四半期 » www.intergraph.com
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INSIGHT 13
» スムーズ オペレーターのためのプラント計装の調整
• 関係エンジニアリング ‒ プラント設備、制御システム、お
よびさまざまなチームを連携します。これらの関係と接続
性モデル自体が、ユーザーによる総体的プラントの理解
と運用を助け、すべてのプラント コンポーネントで同時
に変更内容を再現できるようにします。
• 設計の正確な表現 (ビュー) となる成果物 ‒ 成果物は、計装
データベースからレポートとして作成されます。これは主
たる生産性機能の 1 つです。これは主たる生産性機能の 1
つです。
整合性と正確性
制御システムの工事と試運転は、オーナー、ベンダー、パッ
ケージ ベンダー、エンジニアリング コントラクター、運転チー
ムなどのさまざまな関係者がかかわる複雑なタスクです。これ
は、新設と既設のどちらのプロジェクト設計でも同じです。設
計と工事のプロセスが、できるだけ効率的であることが成功の
鍵になります。制御システム エンジニアリング ソフトウェアの
ルールに基づく設計では、一貫した指針と計器を早い時期に設
定でき、その出力とパフォーマンスを制御保守チームが容易に
監視できます。技術者は、設計がクライアントのベスト プラク
ティスや建設地のエンジニアリング標準に沿っていることを確
認できます。早期のルール設計には経済的な影響もあります。
一般的な実例に基づくと、設計段階で見つかったエラーのコス
トは 1 米ドルですが、プロセス段階で同じエラーが検出される
と 10 米ドルかかり、建設段階で見つかると 1,000 米ドルかかる
ということです。
制御システム エンジニアリングのもう 1 つの基本要素は関
係性です。一般に制御システム設計とは、同じ計器を異なる見
方で表す成果物を作成する専門部署です。たとえば、1 つの計
器がループ図、配線図、スペックシート、工事図面などに表示
されます。変更が発生した場合の課題は、異なるすべての成果
物を一貫性ある正確な方法でしかもできるだけ早く生成するこ
とです。正確性と整合性を確保し、最適な変更のアップグレー
ドを行うには、成果物とそれらの間の関係性を単一のソースか
ら生成する必要があります。このように出力される関係性とそ
のアップグレードは、運転、保守、そして最終的にプラントの
パフォーマンスに大きく影響します。
ルールに基づく関係性ツールの市場で最も先進的な 1 つが
Intergraph SmartPlant Instrumentation です。このソフトウェ
アは、容易にアクセスして更新できる単一の計装情報ソースと
なり、さまざまな計器タスクと成果物に一貫性を提供します。
統合された計装の生成
制御システム エンジニアリングは、孤立した専門部署では
ありません。これには、他の専門部署や供給業者との複数の「
結びつき」があります。制御システム エンジニアリングは、他
の専門部署からの出力を統合し、プロジェクトが最も効率よく
実行されるようにするための基礎的な役割を果たします。
14 INSIGHT
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» 2012 年第 2 四半期
配配管計装図 (P&ID) は、プラントのプロセスと制御機能の
両方を表します。これらの機能は、その機能を構成する物理コ
ンポーネントとして具体的に展開されます。このプロセスは、
データの統合とルールの適用を通して行われます。たとえば、
流量の測定と調整は、以下のような要素を組み込んで展開され
ます。
•
•
•
•
•
•
流量検出器
発信器
入出力
バルブ
I/P 変換器
数百のループ
すべての計器とプロセス データはスペックシートに生成す
る必要があります。スペックシートは、プロジェクトで最初に
作成する最も重要な成果物の 1 つです。スペックシートは長年
作成されてきましたが、品質を向上させ、より速く作成するこ
とで、さらに効率を上げることができます。最新の制御システ
ム エンジニアリング ソフトウェアのスペックシートでは、選
択リストを使用して、一貫性のあるデータを迅速に入力できま
す。さらに、計器の役割に応じて特定のフィールドをハイライ
トし、個々の計器の必須フィールドが確実に入力されるように
することで、よりインテリジェントな方法でデータを管理でき
ます。
オートメーション ベンダーがプロジェクトの遂行に果たす
役割は、ますます重要になっています。したがって、分散制御
システム (DCS) の設定や必要な配線など、オートメーション ベ
ンダーのシステムとのインターフェースは重要です。エマソン
などのオートメーション ベンダーは、柔軟なシングルストリッ
プ マーシャリング機能である CHARMS などの革新的なシステ
ムの開発を押し進めています。SmartPlant Instrumentation な
どのインテリジェントなソフトウェアは、ベンダーと緊密に連
携してエンジニアリング ソリューションの革新をサポートしま
す。SmartPlant Instrumentation は、試運転にて計装建設試運
転パッケージの単純化したアセンブリを提供し、テスト ステー
タスを最新かつ正確に維持し計画およびレポートができるよう
にします。
アズビルト ドキュメントの保管
制御システムのアップグレード プロジェクトの今後を牽引
するのは、主に OPEX コストの軽減、製品品質の向上、および
プラントの効率と生産性の向上です。これらの目的をプラント
のアップグレードや拡張によって達成できるかどうかは、利用
できるプラント データやアズビルト ドキュメントに大きく依存
します。多くの既設プロジェクト (プラントの改修、既存のプラ
ントのアップグレードなど) では、アズビルト ドキュメントが
古すぎるか、紙のドキュメントしかないか、紛失したり最初か
ら無い場合さえあります。
1 つの解決法は、既存のプラントをレーザー スキャンして既
存の設置物とそれらの場所や現況を記録し、すべてのデータを
再生成することです。この方法は、新しいシステムがフィール
ドバスベースの場合は必須です (ケーブルの長さやスパー上の機
器の数)。 レーザー スキャンの方法は、機器や接続箱などのプ
ラント アイテムにタグを付けることによって機能を強化できま
す。これにより、コストを削減し、フル稼動に戻るまでに必要
な時間を短縮できます。
アズビルト データの迅速な入力が促進されると、コンプライ
アンスを満たす安全な立ち上げと運用だけでなく、より適切な
プラント停止スケジュールが可能になります。正確な最新のデ
ータと機器の動作の長期的な見通しが得られることで、複数の
プロジェクトの遂行が可能になり、プロダクション シナリオに
複数のプロセス ケースを加えることができます。
新設プロジェクトの場合、最初からやり直せることは大きな
メリットです。同じプロジェクトは 2 つとありませんが、他の
経験から学んだことは利用できます。最初から、エンジニアリ
ング ルールを設定し自動化されたデータを生成すると、プロセ
スと運転を継続的に改善できるようになります。
プラントの設計と建設のために作成されたすべてのデー
タが運転中に使用されます。紙のドキュメントの山をやり取
りする時代は終わりました。現在は、エンジニアリングから
運転部門にすべてのデータをデジタル形式で渡すことができ
ます。SmartPlant Instrumentation に統合された Intergraph
SmartPlant Enterprise for Owner Operators は、プライマリ
データだけでなく、ほかから取得したデータやドキュメントも
保存して管理できます。このソフトウェアが関係性を生成する
ので、運転チームは迅速に特定のベンダー ドキュメント、専門
部署 キュメント、または制御システム ドキュメントを再確認で
きます。さらに、SAP などのエンタープライズ リソース プラニ
ング (ERP) システムとの統合を行えば、相互に関連する保守記
録を表示することができます。
データの共有と監視
SmartPlant Instrumentation は、Fluke へのリンクによる較
正など、オリジナル較正データを取得するための機能も備えて
います。計装の較正、データ検証、電気設計などを制御下に置
けば、エンジニアリングの範囲や業務の方法論が変わります。
しかし、運転保守技術者にはどこでどのような変更が発生して
いるかがわかるため、変更はもはや脅威にはなりません。
インテリジェントな制御システム エンジニアリング ソフト
ウェアは、複数の専門部署、コントラクター、ベンダー企業が
すべての計装データを共有し、あらゆる情報の更新に即座にア
クセスできるように、さまざまなワークシェア機能を提供しま
す。プラントを稼動させている国とは別の国で計装データベー
スをホストしているオーナー
オペレーターが増えており、さ
まざまなEPC企業がさまざまな単位でそのプロジェクトに参加
し、それらすべてが同じデータベースに接続しています。
制御システム エンジニアリングは、安全面においても主要
な役割を果たしていることを忘れてはなりません。自動化され
たソリューションは、HAZOP (Hazard And Operability Study)
を改善し、多くの場合、リスクの検出と迅速な対応は制御シ
ステムによって実行されます。統合安全レベルの推奨ファク
タは、SmartPlant Process Safety で作成してから SmartPlant
Instrumentation に移すことができます。この情報に基づき、正
しい保護機能とバックアップ レイヤーを使用して正しいシステ
ムを設計できます。このシステムは、設計業務中および運転中
に迅速に HAZOP 分析を行い、原因結果レポートを自動的に作
成できます。
■
www.intergraph.com/go/es
フランク ユープは、Intergraph Process, Power & Marine の
Engineering & Schematics 事業開発担当エグゼクティブ ディ
レクターです。(米国アラバマ州ハンツビル)。
2012 年第 2 四半期 » www.intergraph.com
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INSIGHT 15
業界ニュース
» CHEMIE TECHNIK
ペーター ファン デル バイデ
オーナー オペレーターのための
CAD の生産性向上
» スケーラビリティと統合がライフサイクル全体でプラントの
生産性を大きく向上させる
『Chemie Technik』誌の許可を得て再掲しています。
3
D プラント設計ツールの使用は、ほとんどの中大
規模エンジニアリング企業において「当然の選
択肢」です。ビジネス利益が非常に大きいた
め、これを使用せずにプラントを設計すること
は考えられません。今日の 3D プラント設計ツー
ルは、設計プロセスをスピードアップし、設計
の品質と安全性をさらに高めます。
世界最大クラスの EPC やオーナー オペレーターは、大規模
プロジェクトや巨大プロジェクトに Intergraph の最先端ハイ
テク ソリューションを選択しています。Intergraph は、最近
これまでとは完全に異なるプラント設計セグメントにサービス
を提供します。パッケージ ユニット、スキッドマウント設備、
または容器、ポンプ、コンプレッサなどの機器を組み立てる企
業も CADWorx を活用できます。
小規模プロジェクトと大規模プロジェクトの最大の違いは、
小規模プロジェクトではトレーニング、管理、および保守にか
かる時間または予算が不足することです。大規模プロジェクト
に適用されるエンタープライズ プラント設計ソフトウェアを使
用する場合、これは重要な要素です。
情報は資産
AutoCAD ベースの CADWorx ソリューションを使用して、より
小規模のそれほど複雑ではないプロジェクトへのサービスも開
始しました。Intergraph の CADWorx は、 停止されたプロジェ
クトを含む既存のプラントの改修、定期修理、増強のようなよ
り小規模のプロジェクトに携わるエンジニアリング企業など、
16 INSIGHT
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第 31 号
» 2012 年第 2 四半期
オーナー オペレーターは、たとえば、食用油、耐熱プラス
チック、錠剤成型など、それぞれの中核事業に重点を置きま
す。業界内にはエンジニアリング部門を持つ大手企業もありま
すが、他の多くのオーナーはエンジニアリング部門を持たない
ため、エンジニアリング部署については EPC のサービスに依存
しています。その場合でも、情報管理とプロジェクト管理は、
統合調整レベルが異なる複数の部門によって行われることが普
通です。
多くの場合、オーナーが管理するプラント情報は、ドキュメ
ントと図面が無造作に積み上げられ、命名規則、プラント構成
明細の構造、保存形式などがすべて異なっています。図面内で
使用されているいくつかのシンボルが、紙に印刷した場合には
同じに見えても、詳細に調べると、1 つのシンボルの作成にさ
まざまな異なる方法が使用されていることがすぐにわかるもの
です。
多数の AutoCAD 図面や MicroStation 図面は、さまざまな
EPC や他のユーザーが長年にわたって図面を変更してきた結果
です。何らかの標準的なエンジニアリング/情報プロセスと、情
報が正確で標準に準拠していることを保証する適切な作業手順
がなければ、プラントをフル稼動させることは困難になります。
プラントをスムーズに運用できなくする問題がもう 1 つあり
ます。オリジナルのプラント設計を最新の状態で維持している
プラント オーナーはごく一部で、プラントの正確な 3D モデル
を所有しているオーナーはさらに少数です。これまで、小規模
プロジェクトの保守や運用のために 3D モデルを更新し続ける
ことには、多額の費用がかかりました。ソフトウェアの維持は
非常に高価でした。しかし、それはもはや当てはまりません。
コストは格段に下がり、3D はこれまでになく使いやすくなりま
した。
ビジネス推進要素との合致
CAD と CAE を実装すると、どうして運用が容易で生産性の
高いプラントを実現できるのか。これに答えるために、オーナ
ーにとって最も重要なビジネス推進要素を確認します。
• 製品化までの時間 ‒ プラントをできるだけ長く運用し、で
きるだけ多く生産
• 保守、運用、プロジェクトのコストを削減
• エンジニアリング データ、出力、成果物の品質
この 3 つのビジネス推進要素はどれも、健康、安全、および
環境に関する政府規制に準拠している必要があります。
製品化までの時間
製品化までの時間が短縮すると、投資利益率が大幅に向上し
ます。市販の CAD ツールは、プラントを早期に再稼動できるよ
うに、保守修理サイクルの短縮を重視しています。そのために
標準化が行われます。標準化は、エンジニアリング データの品
質の向上や保守運用コストの削減にも役立ちます。
品質
品質の基本は、以下のような企業の標準を CAD ソフトウェ
アに組み込むことにあります。
•
•
•
•
パイプ スペックとカタログ
シンボルのライブラリ
命名規則
図面テンプレート
これで、標準を何度も作成し直したり入力し直す必要がなく
なります。企業標準は必須事項として適用され、すべてのユー
ザーやプロジェクトで利用できるようになります。
インテリジェントな P&ID
生産性を向上させるもう 1 つの重要な要素として、インテリ
ジェントな P&ID の生成があります。P&ID は、オーナーにとっ
て最も重要なドキュメントの 1 つです。これにより、プラント
内のさまざまな専門部署から収集されたほとんどの設備の概要
がわかります。
•
•
•
•
機器
配管
計装
電気
P&ID には、流れ方向や媒体など、プロセスの接続情報や基
本情報が含まれます。インテリジェントな P&ID は小さなデー
タ ウェアハウスです。P&ID 図面はデータベースとのインター
フェースになります。
今日の業界最先端の CAD ツールを使用すると、P&ID データ
ベースから多くの成果物を自動生成できます。ライン リスト、
計器リスト、電気消費機器リスト、基本の材料集計(BOM)
な
どについて考えてみます。これらすべてのリストを個別に作成
および編集するために必要なソリューションの数が減り、ソフ
トウェアのコストが削減され、エラー発生のリスクが減少しま
す。
インテリジェントな P&ID を生成すると、エンジニアリン
グ以外の面でも、はるかに効率的な作業が可能になります。情
報を極めて迅速に探すこともできます。Microsoft Access のユ
ーザー フレンドリーなインターフェースを使用して、データベ
ースにクエリーを実行できます。図面上を検索できるだけでな
く、データベース内のオブジェクトの属性やオブジェクト間の
関係も検索できます。多くのパブリッシング ツールでは、Web
を使用して P&ID を共有できます。P&ID を HTML に変換するこ
とで、特別なプラグインがなくても、任意の HTML ビューアで
P&ID を表示したり印刷することができます。
2012 年第 2 四半期 » www.intergraph.com
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INSIGHT 17
» オーナー オペレ ーターのための C A D の生産性向上
3D モデル
プラント オーナーが運用と保守で 3D モデルを使用すれば、
そのメリットは大きくなります。3D モデルには以下の情報が含
まれます。
•
•
•
•
•
寸法
エレベーション
重量
体積
プラントの重心
3D モデルには、以下のようなさまざまなメリットがあります。
• コミュニケーションが改善します。担当者がモデル内をナ
ビゲートしながら、それぞれの問題について詳しく説明で
きます。
• 新しいスタッフのトレーニングが容易になります。たとえ
ば、避難経路をリアルタイムにたどることができます。
• 保守業務の計画がはるかに効率的になります。リアルタイ
ム表示機能により、HAZOP ミーティングの参加者がプラ
ントについてはるかによく理解できるようになります。
• 測定を机上で簡単に済ませることができるため、実地検証
の回数が大幅に減少します。はるかに効率的になるだけで
なく、危険区域にスタッフを派遣する時間も短縮されま
す。
• 機器の経路定義を事前にシミュレートできるため、足場費
用を最小に抑えることができます。
コラボレーションの手法
最適な結果を得るには、やはりオーナーと EPC のコラボレ
ーションが必要です。オーナーと EPC の両方に、インテリジェ
ントな P&ID と統合化 3D システムを実装するメリットがありま
す。両者のコラボレーションが成功の鍵になります。
CADWorx Plant Professional
市販されている製品の中で、最もスケーラブルで優れた統合
CAD ツールの 1 つが Intergraph の CADWorx です。CADWorx
Plant Professional は、AutoCAD ベースのプラント設計システ
ムです。CADWorx Plant Professional は、配管、構造、機器、
およびダクト (ケーブル トレイ、HVAC など) にモジュラー設
計に基づく 3D モデリング機能を提供します。CADWorx Plant
Professional は以下の機能を提供します。
• 設計のレビュー ‒ AutoCAD について学ばなくても、手軽
に 3D表示機能を提供する
• ISOGEN® ‒ パイプのアイソメ構造図を生成する
• CADWorx P&ID ‒ P&ID と PFD を設計する
• CADWorx Internet Publisher ‒ Web を介して CADWorx
P&ID を共有する
通常、セットアップには 1 時間もかかりません。AutoCAD
やプ ラ ン ト 設 計 エ ン ジ ニ ア リ ン グ の 基 本 知 識 が あ る ユ ー ザ
ーであれば、CADWorx P&ID、CADWorx Plant 3D、Design
Review、ISOGEN、CADWorx Internet Publisher を含むスイート
全体を 5 日以内に完全に使用できるようになります。
18 INSIGHT
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第 31 号
» 2012 年第 2 四半期
CADWorx Plant Professional はラーニング カーブが短く、
セットアップが迅速なので、ごく小規模の保守関連のプロジェ
クトから、大規模改修、定期修理、廃棄プロジェクトに至るま
で、オーナーにとってもコントラクターにとっても理想的なソ
リューションになります。
CADWorx Plant 3D
CADWorx Plant 3D は、CADWorx P&ID やいくつかの CAE ツー
ルに統合されています。そのような CAE ツールには、CAESAR II
(パイプ応力解析)、PV Elite (圧力容器と熱交換器の解析と
設計) などがあります。CADWorx Plant 3D は、SmartPlant
Instrumentation、SmartPlant Electrical、SmartPlant Isometrics、
SmartPlant Review などの SmartPlant Enterprise ソリューショ
ンにも統合されています。
DIN、ANSI などの数多くのパイプ クラス定義を標準で利用
できます。既存のパイプ クラスは簡単に追加できます。新しい
パイプ クラスは、使いやすいスペック エディタを使用して作
成できます。CADWorx は、極めて簡単な構造のコンポーネント
プロパティを採用し、これらを単純な XML ファイルで表しま
す。これにより、コンポーネントを既存のソースからコピーし
たりライブラリから抽出して、新しいスペックを作成できま
す。
CADWorx Plant 3D の新しいパイプ ルーティング エンジ
ンは極めて強力です。パイプ ルーティングがこれほど容易に
なったことはありません。パイプ コンポーネントは自己認識
型です。パイプ コンポーネントは、別の配管コンポーネント
に対してどのように配置されるべきかを「認識」しており、
配置のオプションを「理解」しています。パイプ コンポーネ
ントの配置は、配置のさまざまな回転角を提示するツール チ
ップによってガイドされます。開始点と終了点が選択される
と、自動配線システムが最も妥当なルーティングを提示しま
す。最も論理的なルーティングを選択すると、最終的なパイ
プ ルーティングが作成されます。マウスを 1 回クリックする
だけで、すべてのインライン コンポーネントと一緒にライン
のサイズを変更できます。CADWorx は、既設プロジェクトで
プラントのアップグレードや改修を行うために、レーザー ス
キャン ツールと組み合わせて統合することもできます。
他の市販ツールと CADWorx Plant 3D の大きな違いは、CAD
と CAE の間のインターフェースにあります。パイプ ルーティン
グを実行した後に、3D パイプ ルーティングを CAESAR II にエ
クスポートして、配管系の応力解析を実行できます。マテリア
ル、圧力などのパイプ クラス情報は維持されます。CAESAR II
は、構造、配管、および配管サポートの設計上の組み合わせに
問題がないかどうかを判定します。
CAESAR II
問題がある場合は、CAESAR II の内部で設計を変更できま
す。たとえば、ノズルや機器に大きな応力がかからないように
エキスパンション ループを配置し、設計応力レベルが許容範囲
内に収まるまで、CAESAR II で直接設計を再確認できます。そ
の後、設計内容を CADWorx3D にエクスポートしてモデルを更
新します。
CAESAR II は、配管系の応力解析のマーケット リーダーとし
て世界中で知られています。このソフトウェアは、エラーを減ら
し、承認されるまでの時間を短縮することによって生産性を向上
させます。
30 以上の国際配管規格に基づいて配管システムを解析評価す
ることができます。このツールは、熱、自重、および圧力負荷に
対する配管システムを評価するだけでなく、風、支持の沈下、地
震荷重、および波浪荷重の影響も解析します。サポートの浮き
上がり、ギャップの有無、摩擦などの非線形的な影響も含まれま
す。CAESAR II は、上下に大きく移動する支持を有するシステム
に対して適切なスプリングも選択します。動的分析機能には、モ
ード解析、調和振動解析、応答スペクトル解析、時間履歴解析が
あります。
既存の容器の現況と余寿命評価には、API 579 (供用適性評価) の
ルールも含まれます。
SmartPlant 3D が使用されている大規模プロジェクトの下請業
者になったエンジニアリング企業では、CADWorx モデルを
SmartPlant 3D 参照ファイルに変換できます。これにより、すべ
てのオブジェクトが表示される状態で、CADWorx モデルを
SmartPlant 3D モデルに取り込むことができます。一方で、
CADWorx オブジェクトをクエリーし、それらのプロパティを表
示することもできます。さらに、クラッシュ チェックによってオ
ブジェクトを認識し、複合図面を生成できます。
■
PV Elite
同じタイプのインターフェースが機器設計に適用されま
す。CADWorx Plant 3D で機器のモデリングを実行した後、その
設計を PV Elite にエクスポートして解析することができます。機
器解析後に設計変更があれば、3D モデルに直接取り込むことが
できます。
PV Elite は圧力容器の設計と解析を可能にし、オペレーター、
EPC、コントラクター、公認機関などの多くの組織が選択した業
界トップの製品として、抜群のマーケット シェアを獲得してい
ます。PV Elite は、4 つの国際設計規格に基づいて圧力容器を解
析します。PV Elite は、ASME セクション VIII-Div.1 と 2、PD
5500、および EN 13445 に基づいて計算を行います。施設内の
www.intergraph.com/go/cadworx
ペーター ファン デル バイデは、Intergraph CADWorx & Analysis
Solutions のエグゼクティブ ディレクターです (オランダ、ホーフ
トドルプ)。
2012 年第 2 四半期 » www.intergraph.com
l
INSIGHT 19
» 特集 «
レーザー スキャン
レーザー スキャンと
3D設計を統合する
メリット
最新のレーザー スキャンと 3D プラント設計技
術を統合すると、プロセス、電力、および海事業
界に大きなビジネス メリットがあります。Hexagon
ファミリの一員になって以来、Intergraph と Leica
Geosystems は、既存のパートナーシップを強化し、
Intergraph SmartPlant Enterprise、Smart 3D
(SmartPlant 3D と SmartMarine 3D)、および
Intergraph CADWorx 設計ソリューションを Leica
CloudWorx™とともに使用するメリットをさらに拡
大できるように努めています。
Leica CloudWorx は、より優れたレトロフィッ
ト設計、建設、および運用のために、レーザー ス
キャナによってキャプチャされたアズビルトの点
群データを直接 Intergraph Smart 3D 内から効率
的に操作するためのプラグインです。ユーザーは
正確な 2D および 3D のアズビルトを作成でき、提
案された設計や既存の条件に照らし合わせたチェッ
クを行い、主要な建設製造の品質保証などを確実に
行います。そしてすべてのことが、SmartPlant 3D
または SmartMarine 3D から直接実行可能です。イ
ンポートを必要としない使いやすいシームレスな
インターフェースを備えています。
最近の調査では、改修プロジェクトに Smart 3D、
Intergraph の SmartPlant Review ビジュアル化ソリ
ューション、および Leica CloudWorx を共に使用す
ると、約 2.5 パーセントのコストを削減でき、正確
性を維持し、プロジェクトの期間を 10 パーセント
短縮できることが報告されています。この調査にお
いては、1 億米ドルのプロジェクトに対して 230 万
米ドルのコストの削減が推定されました。その内訳
は次のとおりです。
•
フィールド データ収集の軽減:400,000 ドル
•
ワークシェアの機会:900,000 ドル
•
再作業の軽減:100 万ドル
どのようにしてかというと、データ収集や移動に
よるコストの削減 (80 パーセントのコスト削減)、現
場での変更の減少 (平均 5 パーセントから 1 パーセ
ント未満)、そして機器の再配置や重量物の運搬のシ
ミュレーションによって実現されます。スケジュー
ルを最適化することで、効果的なコミュニケーショ
ンやクライアント レビューが可能になります。正確
なアズビルトの参照によって品質を向上させること
ができます。危険区域に入るスタッフの数と滞在時
間を減らし、配置の改善によって足場を効率化し、
機器の経路やリフト計画を適切に定義することで、
安全性は向上します。
スムーズな改修・プロジェクトによる、工程の
削減は、プラントの稼動を早め、収益を増し、オー
ナー オペレーターはクライアントの満足度を向上さ
せることができます。スムーズな改修・プロジェク
トによる、工程の削減は、プラントの稼動を早め、
収益を増し、オーナー オペレーターはクライアント
の満足度を向上させることができます。
レーザー スキャンまたは 3D設計の専門家では
なく、点群を表示して計測するだけのユーザーのた
めに、Leica は Cyclone™ PUBLISHER and TruView.
Cyclone PUBLISHER と TruView を提供していま
す。Cyclone PUBLISHER は、世界中の任意の場所か
らアクセスできるように、ウエブベースの共有と表
示が可能な点群データをパブリッシュします。無料
の TruView パノラマ点群ビューアを使用し、点群の
表示、ズームイン、パンすることができます。実際
の 3D 座標を抽出して、距離を正確に測定すること
もできます。
ウォーリーパーソンズの経験した導入事例が含
まれている Intergraph Smart 3D-Leica の特長を詳
細に学習するには、Intergraph GetSmart! Webinar
シリーズを参照してください。
www.intergraph.com/ppm/webinars にアクセスし、
[Recorded Webinars]>[Featured]を選択して、
オンラインセミナーをダウンロードしてください。
このまま Insight を読み進めていただくと、
Intergraph CADWorx と Leica の技術を使用した
メキシコの石油会社 PEMEX のプロジェクトなど
から、Intergraph と Leica が提供するメリットに
対する理解をさらに深めることができます。ラス
ベガスの Hexagon 2012 でこれをお読みになってい
るお客様は、TechExpo の Intergraph と Leica のブ
ースで、統合化レーザー スキャン 3D設計ソリュー
ションの詳細をご確認ください。
»
顧客の視点:MAJA コンサルティング グループ 22 フェンシュテルマーカー 24
業界ニュース:クラッシュしない自信 26
顧客の視点
» MAJA コンサルティング グループ
スマートな設計のための
インテリジェントなレーザー技術
» MAJA コンサルティング グループは調査期間を 70 パーセント削減
メ
キシコのベラクルスに本社を
置く MAJA コンサルティング
グループは、革新的な設計と
エンジニアリング ソリューシ
ョンを提供しています。主要
なクライアントの 1 つである
PEMEX (ペトロレオス メキ
シカノス) 社は、上流から下流そして最終製品の販売まで
手掛ける世界でも数少ない石油会社の 1 つです。PEMEX
は、メキシコ最大の企業で、メキシコの財政に最も貢献し
ている企業です。メキシコのマデロ-カデレイタ地帯にあ
る PEMEX 傘下の精油所は、北メキシコで最も重要な施設
の 1 つです。改修案をサポートするため、PEMEX は、機
械システム、パイプライン、計装、補助サービス、土木工
学、プロセスの 6 つの工程をモデル化するように MAJA に
依頼しました。
この 1,000 万米ドルの PEMEX プロジェクトでは、20
のタービン、70 以上のポンプ、電動モーター、7 つの
200,000 バレル石油貯蔵タンク、24 のフィルタリング シ
ステム、6 セットの計装用空気系、直径 0.5 インチから 35
インチまでの 52,000 メートルのパイプを含むすべてのプ
ロセスのモデル化が要求されました。相互に連結されたシ
ステムが数多くあるため、ハイレベルの詳細情報が必要で
した。さらに、この 8 か月のプロジェクトでは、初期の
28 日間を 8 エーカー (約 32,400 ㎡) の生産施設の測量に
当てる必要があるため、モデル化は短期間で完了する必要
があります。
レーザー スキャンとインテリジェントな 3D モデルのリンク
MAJA は、PEMEX にインテリジェントな 3D モデル
を紹介し、特にこのようなタイトなタイムフレームのプ
ロジェクトに大きなメリットがあることを具体的に示し
ました。プロジェクトの技術主任であるアンナ マリア マ
シアス フアレスとグスタボフアレス ソリス、技術者のエ
マニュエル ベガ、およびベガの下の MAJA 専門家チーム
は、3D モデルのメリットを確信したことで、PEMEX 内に
ある支配的な考え方を打破し、初めて PEMEX の生産施設
のインテリジェントな 3D モデルを確立しました。
目的は、施設や表面処理に関する新たな技術の開発
と PEMEX がサポートする改修案を手助けするためのイン
テリジェントな 3D モデルを確立することでした。Leica
22 INSIGHT
l
第 31 号
» 2012 年第 2 四半期
Laser Scanner HDS® 600 を使用し、プロジェクト チーム
は、土木工事、配管サポート、パイプライン、機械、お
よび機器をたった一度の高精度スキャンでキャプチャし
ました。CADWorx fieldPipe™ for Leica fieldPro は、計測
している間に配管をリアルタイムにモデル化するため使
用されました。CADWorx 上に表されたデータには、Leica
CloudWorx データと簡単にやり取りしながら、パイプラ
イン、計装、機器、サポートと、その他のコンポーネント
を含む 3D モデル全体像が取得されていました。スキャナ
を使用して点群データを取得したため、現場に必要な調査
員は 3 人だけで、モデルの構築に必要な専門家は 5 人でし
た。
調査期間は 70 パーセント短縮
Intergraph CADWorx プラットフォームを使用してイン
テリジェントな 3D モデルを入手するという判断は大成功
でした。CADWorx プラットフォームを使用した PEMEX の
最初のプロジェクトは素晴らしい結果を収め、調査期間が
70 パーセント短縮され、PEMEX の最短記録を達成しまし
た。4 か月以内に 3D モデルを完成できたことで、プロジ
ェクト チームはプロジェクト リソースと生産コストも削
減しました。さらに、ユーザーは完成モデルの表示結果が
改善されていることを確認し、モデリング スキルを容易に
獲得でき、コンポーネントの編集の幅が広がったという報
告が上がりました。
「3D モデリング技術を使用することで、クライアント
が抱く当社の企業イメージが大きく向上しました。またソ
フトウェアを扱うための専用サーバーの設置にかかわる多
額のコストの削減と、2 人のユーザーが同時に作業するの
で専門の担当者も必要がなくなりました」とベガは言って
います。
このインテリジェントな CADWorx3D モデルは、PEMEX
の運転手順の最適化や保守業務のスケジュールの最適化に
貢献するでしょう。機器の状態に関するリアルな情報によ
り、リスクに関する判断が容易になり、コストのかかるエ
ラーを防止でき、改善案のアップグレード、変更、拡張な
どの実現性が高まりました。このように施設とプロジェク
トを新しい視点から見ることで、PEMEX はデータ品質を
向上させ、プラントの安全性を高めると同時に、コストも
削減しています。
■
アイリーン タン
なぜ CADWorx® fieldPipe™なのか
プラント プロジェクトの範囲や複雑性
が増すと、サイト情報の収集は困難かつ
複雑になり、危険を伴うこともありま
す。サイト オペレーターは、貴重な情報
を取得する過程で、梯子を昇り降りした
り、通路を伝って足場によじ登る必要が
あり、常にケガの危険性にさらされてい
ます。
オンサイトのマークアップやスケッチ
を使用してサイト情報を入手する従来の
方法が最も有効であるとは限りません。
バック オフィスで図面を作成する際に、
データを間違って解釈することはよくあ
り、そのためにサイトを何度も訪れるは
めになります。これは、ただでさえ多大
なコストと労力を要するプロセスです
が、遅延が発生すれば、プロジェクトの
予算やスケジュールが破綻してしまう可
能性があります。
レーザー スキャン技術
プラント プロジェクトでは、安全性を
高め、データの正確性を保証し、エンジ
ニアリング設計を進めるために、最新技
術が果たす役割がますます重要なってき
ています。レーザー スキャナやレーザー
トラッカを使用することにより、より正
確にアズビルト情報を収集したりレポー
トすることができ、安全性も向上しま
す。
「アズビルト」データ モデルを生成
するには、レーザー スキャナを使用して
プラントの特定のエリアをスキャンしま
す。レーザー スキャン結果を生成するに
は、サイトのさまざまな地点にスキャナ
を設置し、物理的なレイアウトを文書化
するようにスキャナを設定します。スキ
ャナはレーザー ビームを放ち、ビームが
オブジェクトにぶつかると、空間内でビ
ームがオブジェクトにぶつかった正確な
3D 位置を決定します。1 つのエリアをキ
ャプチャしたら、スキャナを次の位置に
移動してこのプロセスを繰り返し、前の
ビューの視野に入らなかったオブジェク
トやビューをキャプチャします。
スキャナによって検出されたオブジ
ェクトの正確な図面が作成されます。さ
らに、生成されたスキャン結果が統合さ
れ、スキャナによってキャプチャされた
数百万から数十億のポイントから成る単
一の点群モデルが作成されます。ただ
し、このモデルは正確ですが、それはイ
ンテリジェンスなしで生成されます。建
設中に必要なる成果物を作成する自動化
ツールはありません。
インテリジェントなアズビルト 3D モデ
リング
Intergraph CADWorx fieldPipe
Professional は、Intergraph の AutoCAD
ベースのプラント設計ソリューションで
ある CADWorx Plant Professional と組み
合わせることでレーザーによる寸法取得
の正確さとスピードを提供します。そし
て、世界トップレベルのプラント設計/成
果物作成ツールが備える柔軟性と機能を
AutoCAD プラットフォームで完全に統合
できます。この組み合わせにより、技術
者や設計者は多機能のインテリジェント
なプラント モデルを携え、オンサイトで
工作成果物の作成が可能となるため、後
処理の必要もなく、現場から離れること
が可能となります。CADWorx fieldPipe
は、サイトからアズビルトのプラント/
配管ドキュメントを取得できる市場最速
の手段です。
3D モデルが完成したら、技術者や設
計者は、誰もがレビューできるインテリ
ジェントなモデル形式でサイトを正確に
レビューできます。製造用アイソメ図
や部品表などの成果物も作成すること
ができます。これらはすべて、オンサ
イトでリアルタイムに行うことができ
ます。また、完全な正確さが保証され
ます。CADWorx fieldPipe は、配管、機
器、スチール、HVAC、およびケーブル
トレイ機能を備えています。また、外部
データベースや CAESAR II (業界で広く使
用されているパイプ応力解析アプリケー
ション) への双方向リンクも用意されてい
ます。
Intergraph CADWorx fieldPipe は、現
場で正確なアズビルト成果物を生成する
ためにインテリジェントなプラント設計
システムに連結するレーザー スキャン機
能を備え、無駄な費用のかかるエラーや
プロジェクト遅延を阻止します。
www.majaconsultinggroup.com
アイリーン タンは Insight の寄稿編集者です (オーストラリア、メルボルン)。
顧客の視点
» フェンシュテルマーカー
革新的なレーザー スキャン ワークフロー
» CADWorx と CloudWorx™、HDS による設計とアズビルト モデリング
の相乗効果
フ
ェンシュテルマーカーは、1950 年に
地方の小規模の測量会社として設立
されました。現在では、米国南部最
大級の測量およびマッピング会社に
成長し、極めて複雑なマッピングお
よび測量のソリューションを開発し
たことで知られました。
当社の成功の大部分は、意欲的に技術の進歩を取り入れて適
応させたことにあります。その結果として、2008 年に先進技
術部が設立されました。
先進技術部は、水中音響映像 (UAI)、高精度測量(HDS) など
の専門的な現地サービスを担当し、石油/ガス産業にトップサイ
ドおよび水中のアズビルトマッピング サービスを提供していま
す。オフィスでは、強力な 3D CAD モデリングと点群ソフトウ
ェアを導入し、包括的なアズビルト測量、インテリジェントな
3D CAD モデル、および詳細な 2D アイソメ スプール図面を提
供します。
これらのすべてのツールの組み合わせによる相乗効果によ
り、当社は、従来の測量方法ではなし得なかった高解像度の
3D 可視化、正確さ、および詳細をプロジェクトに提供する機会
を得ています。
初期のスキャン
フェンシュテルマーカーは、先進技術部の設立に先立
ち、2006 年に、Leica Geosystems のジョー ラフランカの協
力を得て、レーザー スキャンを開始しました。ハリケーン カ
トリーナ後に堤防などのインフラ プロジェクトが大幅に増加
したため、当社の主要な顧客は米国陸軍工兵隊 (USACE) でし
た。USACE 用の最初のレーザー スキャンは、1 つのポンプ ス
テーションと、ニュー オリンズのレイク ショア ドライブを横
断する 6 マイルの地形測量でした。当時、フェンシュテルマ
ーカーは、点群や他のモデリング システムから 3D モデルを抽
出するため、Leica Cyclone 3D 点群処理ソフトウェアの Leica
CloudWorx for AutoCAD に依存していました。
このプロジェクト以降、石油/ガス産業にとってスキャン
機能は欠かせないものになると確信しました。2007 年に、ジ
ョージア ガルフ社の化学施設のレーザー スキャンを完了し、
製作に必要な 2D スプール アイソメ図をモデル化して生成す
るために、AutoCAD 上で動作する Intergraph CADWorx Plant
Design Suite を初めて導入しました。当社には初めての化学施
設でしたので、現場とオフィスでいくつかの課題に取り組まな
24 INSIGHT
l
第 31 号
» 2012 年第 2 四半期
ければなりませんでした。現場では、何度か振動抑制技法を試
み、施設の稼動中の測量ながらミリメートルのクロージャを生成
できるようになりました。オフィスでは、Leica Cyclone、Leica
CloudWorx、および Intergraph CADWorx によるワークフローを
合理化しました。Cyclone でスチールを生成し、CloudWorx でパ
イプの中心線を抽出し、CADWorx でインテリジェンスを追加し
ました。
まもなく、フェンシュテルマーカーの測量士は、従来の測量
方法に切除スキャン技法を組み合わせ、これまでの正確さをは
るかに凌ぐ測量を可能にしました。
アズビルト モデリング
ジョージア ガルフのプロジェクトの後、当社は、スチール構
造やモジュールの大規模製造、さらにジャンパやハブの配置な
ど、高い精度が要求される寸法管理プロジェクトにおいて、従来
のトータル ステーションでレーザー スキャンの試験的な使用を
開始しました。スキャナ、Cyclone、CloudWorx、CADWorx、お
よびトータル ステーションのすべてのツールを活用して、独自
の相乗効果を引き出すワークフローを作成しました。これによ
り、高精度のインテリジェントな設計モデルを従来より効率よく
開発してクライアントに提供できるようになりました。
最近のプロジェクトとしては、既存のインフラのアップグレ
ードを目指す大規模の石油/ガス会社から、ガルフ コーストから
50 マイル沖合にあるオフショア プラットフォームのアズビルト
モデルを開発するように当社グループに依頼がありました。
当社の作業範囲は、プラットフォームのトップサイドと下部
デッキの既存の構造をマッピングすることでした。特に、あら
かじめ確認されている接合点と、パイプが通っていると思われ
る経路や提案された機器の場所付近の一般情報に注意する必要
がありました。このデータは、接合点が 1/8 インチの精度に収
まり、フェンシュテルマーカーがクラス A ‒ レベル 1 として定義
するアズビルト モデル分類で納品する必要がありました。クラ
ス A ‒ レベル 1 は接合点/製造グレードの精度を持ち、モデル化
されたすべてのコンポーネントにスペックに基づくインテリジ
ェンスを付加します。
時間の余裕はほとんどありませんでした。クライアントから
は、プラットフォーム上でのすべての現場データの収集(移動を
含む) を 2 日で完了するように求められました。
従来の方法では無理だったでしょう。プリズムやトータル
ステーションなどの従来の技法の場合、正確な結果は得られて
も、一部しか完了できず、時間もかかり、安全上のリスクも伴
ラ イア ン ・ J ・フュースリア・P. E. ・P.L .S.
います。
その代わりに、当社は、HDS スキャナから Cyclone、
CADWorx、CloudWorx ソフトウェアに至るまで、すべてのスキ
ャンとモデリングのワークフローを作成し、このプロジェクト
を成功へと導きました。
高度なワークフロー
当社はクライアントとスケジュールを打ち合わせた後、
Leica Geosystems HDS6000 レーザー スキャナを使用して、プ
ラットフォームの上部デッキと下部デッキの 45×45 フィート
の領域をマッピングするため、ヘリコプターで 2 人の測量スタ
ッフを現場に送り込みました。 初日は、上部デッキで 9 回の
スキャンを実行してから、下部デッキの準備を行いました。翌
日は、下部デッキで 7 回のスキャンを実行し、本社に戻りまし
た。
測量チームは、オフィスに戻ると、Cyclone ソフトウェアで
スキャン データを後処理して登録しました。主要な構造物と配
管サポート鋼材をモデル化し、このモデルを使用してプロジェ
クト座標系を設定しました。
TruViews がパブリッシュされました。TruViews は、点群ソ
フトウェアの詳しい知識がなくても、誰でも簡単にレーザー点
群データを表示したり測定することが可能です。TruView では
以下の操作を行うことができます。
•
•
•
•
プロジェクトのニーズに応じたコラボレーション
マークアップの生成
設備の管理
3D 座標データと測定値の取得
モデリングの相乗効果
トロフィットやアップグレードを効果的かつ効率的に構築でき
ます。設置時に再作業を行う必要もなくなります。
スキャナからのデータは極めて正確かつ包括的であったの
で、基礎構造のゆがみが見つかりました。モデルの処理中に、
メイン デッキの鋼材構造のゆがみを確認し、クライアントに通
知することができました。この垂直方向のゆがみを、プラット
フォームの上部全体のカラー レリーフ マップでレポートするこ
とができました。この視覚的分析的データを使用することで、
クライアントは、そのエリアの構造コンポーネントを強化また
は交換して修正する方法をスマートに判断し、提案されたスキ
ッド荷重に対応しました。このような予期しないゆがみによっ
て大幅に設置が遅れていたかもしれなかったのですが、機器を
移動する前に対処することができました。
クライアントは、最終成果物として、インテリジェントなア
ズビルト 3D モデルを特に評価してフェンシュテルマーカーの
Surv-DMS (データ管理システム)製品を要求しました。SurvDMS
は、TruViews、モニュメント データシート、3D モデル、設計
図/構造図など、プロジェクト関連のすべての成果物を提供する
ポータルです。
今後の展開
フェンシュテルマーカーは、成功と実績を生かし、引き続き
石油/ガス サービス業の最先端のソリューションを構築してい
きます。多くの会社や施設は、データと管理の隙間を埋めるこ
とにおいては、まだ初期の段階です。
当社は、アズビルトと設計の間に相乗的なつながりがどのよ
うに存在しているかについて幅広い知識を持つというユニーク
な立場に立っています。近い将来、当社のクライアントは、点
群エンジンを装備したプロジェクト管理、設計、建設、設備管
理、およびトレーニングの間で双方向コミュニケーションが可
能な機能豊富なエコシステムに参加することになります。
モデルは、Cyclone Object Exchange (COE) 形式を使用して
AutoCAD にエクスポートしました。当社の設計者は、AutoCAD
内で CloudWorx を起動し、配管要素、フランジ、および機器
をモデル化し、スペックに基づくインテリジェンスを付加しま
した。
Intergraph CADWorx と Leica CloudWorx は、相互にうまく
www.fenstermaker.com
補完し合いました。どちらもネイティブ AutoCAD 環境内で動作
するメニュー型プログラムです。この 2 つのプログラムによる
相乗効果は、機能面と当社全体のワークフローの効率面におい
て明らかでした。これらを組み合わせることで、既存状況のイ ライアン・J・フュースリア・P.E.・P.L.S.は、フェンシュテルマー
ンテリジェントな設備モデルを開発でき、設計者は、施設のレ カーの先進技術部です (米国ルイジアナ州ラフィエット)。
2012 年第 2 四半期 » www.intergraph.com
l
INSIGHT 25
26 INSIGHT
l
Issue 29 »
QUARTER 2, 2011
業界ニュース
» ECONOMIC ENGINEERING
サティッシュ ホタ
クラッシュしない自信
» 3D モデリングとデータ スキャン ‒ クラッシュ検出、
レビュー、分析の強力な組み合わせ
『Economic Engineering』誌の許可を得て再掲しています。
ほ
とんどのエンジニアリン
グ ワークプロセスは、順次
にではなく、並列そして相
互的に行われます。設計と
ワークプロセスの多くの面
で、導入に備えて、他のエ
ンジニアリング専門部署や顧客とのレビューや調
整が必要になります。すべての要素をまとめ、組
み立てや統合を行う際には、データの可視化と設
計検証が重要な役割を果たします。
3D設計の開発はさまざまな可能性を開いてき
ました。たとえば、技術者は数多くの設計オプシ
ョンやプロセスを検討できるようになりました。
プロジェクトが大規模になるほど、また複雑にな
るほど、さまざまなエンジニアリング/構造コン
ポーネントの設計でクラッシュの発生率が高ま
ります。このため、今日のツールは、設計検証を
行うことで、設計から建設、メンテナンス段階ま
で、プロジェクトにクラッシュがないことを確認
できる必要があります。
クラッシュ検出は、3D プロジェクト モデル
内の干渉を効果的に識別、検査、およびレポート
し、コンポーネントの分析と統合を通してモデル
の一貫性を保証します。オプションの検討と設計
の最大活用は、概念設計の段階で仮想モデルによ
って行うことができ、またそうすべきです。これ
により、新設プロジェクトでは建設スケジュール
が短縮され、既設プロジェクトではプラントへの
影響が最小限に抑えられます。
現在では、従来の 3D ジオメトリとレーザー
スキャンされた点群間でクラッシュ テストを実施
できるツールが提供されています。動的干渉チェ
ック機能は、同じ 3D 空間を共有するオブジェク
トを示します。精密コントロールだけでなくマウ
スやジョイスティックを使用してモデル内でオブ
ジェクトを移動する間も、干渉がレポートされま
す。
これらの干渉やクラッシュのチェックを特定
のプロジェクトで自動化して適用することで、カ
スタマイズされたルールを作成できます。これを
カスタム クラッシュ テストとして組み込めば、
誰でもプロジェクトのさまざまな段階でこのテス
トを再利用できます。この一連のテストを直接選
択して実行することができます。カスタム クラッ
シュ テストは、組織内に標準化されたテスト セ
ットを提供できる優れた方法です。
建設時間とコストの削減
3D ソフトウェア ソリューションの強力な設計
機能は、概念設計の段階での複雑なシミュレーシ
ョンやビジュアル効果の確認を可能にします。ま
た、手動チェックを回避し、エンジニアリング ボ
トルネックを軽減し、エラーを最小限に抑えるこ
とができます。仮想クラッシュ検出には、以下の
メリットがあります。
品質の向上
• 再作業量の軽減
• 正確な情報に基づく設計の改善
安全性の向上
• 危険にさらされるスタッフの時間と数の削減
• 足場費用の削減と配置の改善
• 機器の経路定義と据付計画の改善
また、品質保証の改善により、建設段階の製
作業者を支援し、プロジェクト遂行において品質
標準を高めることができます。さらに、意思決定
をすばやく行い、プラント稼動のための最新の情
報を提供できます。適切な機器の移動を計画する
ことで、安全性や操作手順も改善されます。ま
た、スタッフの生産性が高まり、遅延がなくな
り、ワークフローが単純化され、最終的にプロジ
ェクトのパフォーマンスが向上します。
市販されているさまざまなツールの中で
も、Intergraph SmartPlant 3D と SmartMarine
3D (合わせて Smart 3D) および SmartPlant Review
は、3D 設計時にプラントのさまざまな物理コン
ポーネントのクラッシュを検出、軽減、および回
避するための機能を数多く備えています。Smart
3D には、クラッシュ検出 (または干渉チェック)
2012 年第 2 四半期 » www.intergraph.com
l
INSIGHT 27
By
» クラッシュしない自信
S AT I SH H OTA
を実施するためのモードが 2 つあります。
1. 独自の対話式モードでは、モデリングの実行中にクラッシ
ュを通知することで、設計者に即時にフィードバックが提
供されます。このように、このモードはクラッシュ回避メ
カニズムとして機能します。Smart 3D がクラッシュの発
生を未然に防止するため、後で検出して対処する必要はあ
りません。
2. サーバーに展開される堅牢なクラッシュ チェック サービ
スは、常にバックグラウンドでクラッシュをチェックしま
す。このサービスは、新しく作成および変更されたすべ
てのオブジェクトのクラッシュを効率よく検出し、Smart
3D データベースに記録します。このようなクラッシュを
レビュー、レポート、および承認したり、クラッシュを軽
減する作業を行うためのツールが用意されています。
TSmart 3D のクラッシュ チェック機能は、新設プロジェク
トと既設プロジェクトの両方で活用できます。新設プロジェク
トの場合、クラッシュ チェックは、ネイティブな Smart 3D デ
ータに加えて、ジョイント ベンチャー (JV) パートナーから提供
されるデータにも拡張できます。ベンダーや JV パートナーは、
以下のようなさまざまなツールからデータを提供できます。
•
•
•
•
•
•
•
別の Smart 3D モデル
PDS®
PDMS
CADWorx
Tekla
Speedikon
InRoads
また、以下の形式のインテリジェントおよび非インテリジェ
ントな 3D グラフィック データ関してもクラッシュさせること
28 INSIGHT
l
第 31 号
» 2012 年第 2 四半期
が可能です。
•
•
•
•
XMpLant
MicroStation .DGN ファイル
AutoCAD .DWG ファイル
.SAT ファイル
このような外部データはすべて、Intergraph 3D Interop 技術
を使用して Smart 3D モデルで参照できます。したがって、こ
れらのデータに対して、クラッシュ チェックや次のような付加
価値機能を実行できます。
•
•
•
•
可視化およびレビュー
測定およびモデリング
レポート
図面の生成
3D Interop は、2 つのベンダーまたはパートナーから提供さ
れるデータのクラッシュを検出します。元請業者がいくつかの
下請業者から提供されたデータの間のクラッシュを確認できる
ため、これはとても便利な機能です。3D Interop は、下請業者
やパートナーから提供されたデータセット内のクラッシュはチ
ェックしません。これらのクラッシュのチェックは、データを
提供する側の責任です。
既設プロジェクトのワークフローを推進させるため、Smart
3D では、Leica Geosystems、カンタポイント、トリンブル、
Z+F などのさまざまなベンダーのレーザー スキャン点群デー
タを参照できます。既設プロジェクトの 3D CAD モデル (オリ
ジナル CAD モデルまたは変換モデル) が存在する場合も、3D
Interop 技術を使用して参照できます。その点群データのクラ
ッシュ検出は、他の Smart 3D オブジェクトや 3D Interop オ
ブジェクトのクラッシュ検出と同じ方法で行われます。これに
より、クラッシュがない設計を作成して、建設コストや遅延を
軽減できます。
3D ソリューションは、SmartPlant Review によって強化され
ます。SmartPlant Review は、プロセス プラントやパワー プラ
ントの大規模かつ複雑な 3D モデルを対話式にレビュー/分析す
るための完全なビジュアル環境です。このソフトウェアは、エ
ンジニアリング、建設、またはメンテナンス時に設計をレビュ
ーするために必要なビジュアライゼーション ツールをすべて備
えています。SmartPlant Review は、あらゆる視点からのビュー
を備え、従来のエンジニアリングモデルより効果的にレイアウ
トをレビューできます。たとえば、既存のアニメーション シー
ンにクラッシュ技術を適用することで、アニメーション中に静
的オブジェクトや移動オブジェクトのクラッシュが自動的にハ
イライトされます。動作試験の実施や複雑な動作シナリオの開
発に加えて、機器の配置や撤去をシミュレートして物理的クリ
アランスをレビューできます。SmartPlant Review Construction
モジュールと組み合わせて使用することで、建設プロセスをシ
ミュレートし、画面上でシミュレーションを確認したり、ビデ
オ出力のためのアニメーションを作成することができます。ま
た、プロジェクトのスケジュール機能と干渉チェック機能が
統合され、適切な時期に安全に機器を設置できるようになりま
す。干渉チェック機能は、機器がプラント内で移動される間、
音響効果とハイライトを使用して警告シグナルを生成します。
ャン データを表示することで、既存の状況データを管理できま
す。これは、プロセス プラントのレトロフィット エンジニア
リングや建設プロジェクトの時間、労力、コストの削減に役立
ちます。また、3D CAD を使用できるプロジェクトが広がりま
す。点群の統合により、点群スキャンによって提供される既存
のプラント設定と 3D モデル表示を組み合わせることで、既存
のプラントの再モデリングを計画できます。Leica CloudWorx
for Intergraph SmartPlant Review を使用することで、ユーザー
によって定義されたしきい値設定に基づいて、モデル化された
オブジェクトと点群のクラッシュが自動的に検出されます。定
義されたしきい値内のクラッシュを示すスキャン ポイントがす
べて視覚的に強調されます。
3D設計者や技術者は、ネイティブなレビュー環境内で仮想
サイトを存分に活用できます。プロジェクト チームや設計チー
ムは、現実の「見たまま」の点群の状況や完全なレンダリング
後の PDS または Smart 3D設計モデルをレビューおよび可視化し
たり、動的に対話操作することができます。これにより、建設
や運用に設計が及ぼす影響をこれまでより高い信頼性で評価す
ることができます。
■
サティッシュ ホタは、Intergraph の 3D Interop、干渉チェッ
ク、および SmartPlant 3D のプロダクト オーナーです (米国ア
ラバマ州ハンツビル)。
レーザー スキャン データとの統合
既存の設備 (既設プロジェクト) では、施設の変更やアップグ
レードが困難な作業になる可能性があります。ドキュメントが
なかったり、古かったりすることはよくあります。また、デー
タ収集には危険が伴い、エラーも多くなります。このような状
況では、寸法管理ツールを使用して、正確な距離と実際のサイ
ト状況をキャプチャします。詳細なエンジニアリングや設計レ
ビューを行えるように、レーザーで生成されたデータを 3D設計
モデルに統合することができます。正確な測定、動的なナビゲ
ーション、そして干渉チェック機能は、施設の日常作業にほと
んど影響を及ぼさずに、正確でスムーズなアップグレードを実
現します。
Leica CloudWorx for Intergraph SmartPlant Review
は、Intergraph SmartPlant Review に情報豊かなアズビルトレ
ーザー スキャン データを直接取り込み、利便性と高付加価値
を提供する最初の点群ソリューションです。High-Definition
Surveying™つまり HDS(レーザー スキャンとしても知られて
いる) は、既存の施設のアズビルト情報を正確かつ完全に収集
して操作できる費用効果の高い方法です。Intergraph ユーザ
ーは、長年にわたり、MicroStation ベースの Leica CloudWorx
ソリューションを使用して、PDS 内でレーザー スキャン デー
タを直接操作する機能を活用してきました。
SmartPlant Review の Point Cloud Integrator モジュールは、
ベンダーに依存しない形式で点群データをプラント モデリング
ソフトウェア環境に統合します。Leica Geosystems、FARO、カ
ンタポイント、トリンブル、Z+F などの製品とのインターフェ
ースが用意されており、SmartPlant Review 内でレーザー スキ
www.intergraph.com/go/smartplant3d
www.intergraph.com/go/smartmarine3d
2012 年第 2 四半期 » www.intergraph.com
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INSIGHT 29
顧客の観点
» エンプレサリオス アグルパドス
生産性の向上
» SmartPlant® 3D と SmartPlant Enterprise を標準とする
発電プラントのための世界的な成長戦略
エ
ンプレサリオス
アグルパドスは、
発電プロジェクトの開発を中心と
するスペインの大規模なエンジニ
アリング会社です。また、完全な
SmartPlant Enterprise ソリューショ
ン スイートに基づいて標準化を行っ
た最初の国際企業の 1 つでもありま
す。エンプレサリオス アグルパドスは、エンジニアリングの競
争優位性を長期的に提供する技術スイートに投資し、国際市場
において先進的なエンジニアリング会社としての評価を得てい
ます。
エンプレサリオス アグルパドスは、SmartPlant Enterprise
ポートフォリオ スイートを採用することで、エンジニアリング
業務でのプロジェクト開発能力を改善し、従来の発電プラント
(石炭および複合サイクル) と原子力発電プラントの開発を統合
することに役立てました。このソリューションには、以下の製
品が含まれます。
•
•
•
•
•
•
•
SmartPlant 3D
SmartPlant Foundation
SmartPlant Electrical
SmartPlant Instrumentation
SmartPlant P&ID
SmartPlant Review
CAESAR II
エンプレサリオスアグルパドスは現在、SmartPlant Enterprise
の製品 ‒ SmartPlant 3D、SmartPlant P&ID、SmartPlant
Instrumentation、SmartPlant Foundation、および SmartPlant
Review ‒ を使用して開発中の 8 つのプロジェクトを抱えてい
ます。
リガプロジェクト
これらのプロジェクトの 1 つとして、ラトビアの首都リガに
あるプラントがあります。このプラントは、すべて SmartPlant
3D を使用して設計されました。計画は 2010 年に開始されま
した。この都市の気温が -25°C(-13°F) にもなる凍てつく冬の
間、暖房システムに提供するための電力と温水を供給できる効
率的かつ生産的なプラントを建設することが目的です。
30 INSIGHT
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第 31 号
» 2012 年第 2 四半期
人口が 70 万人を超えるリガでは、さまざまな産業活動が行
われています。金融サービス、公益事業、飲食料品、医薬品、
木材加工、印刷、出版、織物、家具、通信機器製造などの産業
が中心です。近年、インフラの整備により、リガへの出張や観
光旅行が大幅に増加しています。
ラトビア政府は、首都近辺で増え続けるエネルギー需要に
対応する方法を模索していましたが、近隣地域から多くのガス
を調達できるため、複合サイクル プラントが最適であると決定
しました。このプラントは都心から 20 分の位置にあり、350420 MW (凝縮モード) および 270 MW サーマル (コジェネレー
ション モード) の能力があります。
エンプレサリオス アグルパドスのプラント設計者と技術者
は、Intergraph ソリューションを使用して、プラントのグロー
バル設計、製造、およびライフサイクルの最適化を促進して
います。高品質な設計、信頼性が高く集中管理されたデータ処
理、および改善されたワークフローにより、意思決定支援機能
が強化され、プロジェクト遂行時の効率性が高まり、プラント
の実現性も高くなります。
2012 年 7 月にガス タービンが稼動を始め、最初のセクショ
ンがバイパス システムとともに稼動します。残りのセクション
はその後数か月間に建設され、2013 年 7 月にプラントは全面
稼動します。
エンプレサリオス アグルパドスの制御運転支援部長である
ラファエル ウエテ氏は「当社の技術者は、プロジェクト エンジ
ニアリング活動の自動化を推進し、このプロジェクトと他のプ
ロジェクトのエンジニアリング プロセスの統合および拡張に力
を注いでいます」と述べています。
「このプラントの設計や建設では、データの収集、共有、管
理を最適化し、専門部署間やワークフロー プロセス間の信頼性
と統合性を向上させることも目的としています。これにより、
プラントの運転でも保守でも意思決定が容易になり、効率が向
上します」
また、Intergraph PDS を使用している他のプロジェクトもま
もなく完了します。グループ内で開始されるすべての新規プロ
ジェクトが、SmartPlant Electrical などの SmartPlant Enterprise
プラットフォームで開発される予定です。アルジェリアのクー
ジェにある複合サイクル発電プラントは、22 GB のデータベー
スに 1,160,000 個のエントリが格納される規模の大きなプロ
ジェクトなので、特にここで触れておきます。
クリスティーナ ゴンザレス
カスタマイズの最適化
このような Intergraph製品への積極的な投資は、市場にお
いて強力かつ持続的な競争優位性を実現するという会社の目
標に基づいて推進されました。これらの競争優位性を最大限
に活用し、生産性を高めるには、導入プロセス全体を通して
Intergraph製品をカスタマイズすることが重要なステップでし
た。
カスタマイズの内容としては、すべての識別システム
(ISA、KKS など) や国際規定を処理したり、配管サポートやトレ
イのシンボルやカタログを開発するなどの作業もありますが、
特に自動データ計算、自己生成テーブルを使用したデータ チェ
ック、識別子の生成から得られるすべてのデータの情報出力の
最適化が挙げられます。その後、データは、会社がプロジェク
ト サイクルで使用するマップにまとめられます。さらに、信頼
性が高いデータベース レポートが容易に作成されます。
ワークフローの改善は、これまで独立して機能していたさ
まざまな部署からのデータを統合することに重点を置いていま
す。データの統合後は、すべての部署がすべての生成データを
共有することで、設計エラーが減少し、プロジェクトのスケジ
ュールが期限どおりに遂行され、意思決定が容易になります。
生産性の向上
現在、エンプレサリオス アグルパドスは、SmartPlant Electrical
の導入の最適化に全力で取り組んでいます。この製品をニー
ズに合わせてカスタマイズし、さらに他のシステムや製品
にうまく統合されるようにインターフェースを拡張していま
す。また、製品研究開発チームは、Intergraph と協力して、
SmartPlant Foundation と SmartPlant Instrumentation や
SmartPlant Electrical との統合レベルの強化に取り組んでいま
す。
イノベーションの育成に全力を注ぐことに加えて、エンプレ
サリオス アグルパドスは、今後 Intergraph 製品のさらなるカス
タマイズを模索する予定です。エンプレサリオス アグルパドス
は、プラント設計を目的として SmartPlant 3D を使用すること
で、これまでにも生産性が劇的に向上するという恩恵を受けて
いますが、製品の利便性につながる管理タスクのさらなる簡素
化に取り組む予定です。プロジェクト設計およびエンジニアリ
ング データの生成/アセンブリの改善によって大量の情報が生
成されましたが、これらの情報は、すべての専門部署とすべて
のプロジェクト サイクルでワークフローを改善するために、現
在処理および整理されています。ワークフローが完全に最適化
された後は、さらなる製品の統合が進められます。
「言うまでもなく、当社の技術的な屋台骨に対してこのよう
な変更を行うという決意と努力は無駄ではありませんでした」
とウエテ氏は述べます。
「いずれにしても、生産性は向上してきています。これは、
発電市場における成功例となる、エンプレサリオス アグルパド
スと Intergraph のパートナーシップの始まりにすぎないと確信
しています」
■
www.empre.es
クリスティーナ ゴンザレスは Insight の寄稿編集者です (オラ
ンダ、ホーフトドルプ)。
2012 年第 2 四半期 » www.intergraph.com
l
INSIGHT 31
By C R I»
S Tテムコ
I N A G ON Z A L E Z
顧客の視点
クリスティーナ ゴンザレス
無制限
» テムコは CADWorx が大規模プロジェクトも容易に扱えることを実証
テ
ムコは、小規模から大規模までのエン
ジニアリング
プロジェクトを設計か
ら施工まで円滑に遂行しているベルギ
ーの会社です。長年の Intergraph の
顧客であり、ソリューションの 1 つと
して、AutoCAD ベースのインテリジェ
ントな設計/モデリング ソリューショ
ンである Intergraph の CADWorx を使用しています。テムコ
は、CADWorx を小規模プロジェクトで使用していました。し
かし、最近になってテムコは、ある大規模プロジェクトの競争
入札で初めて CADWorx を使用することを選択しました。
SEA 投資グループのメンバーである SEA タンク ターミナ
ル アントワープは、重油、軽油、ガソリン、および生物燃料の
貯蔵庫のための新しいターミナルを開設し、アントワープ港で
1,000m³∼48,000m³ の液体タンク 30 基分の貯蔵能力を増強す
る計画でした。
テムコは、CADWorx の柔軟性とユーザー フレンドリーなス
ケッチ インターフェースを使用して、1週間以内に 10 個のポン
プ プレートのレイアウトを提案できました。第一印象がよかっ
たこともあり、テムコは、プロジェクトを 1 年半以内に開発し
てほしいと依頼されました。課題としては、エンジニアリング
ワークが 6,000 時間と平均 4 人のスタッフ、ピーク時には 10
人のスタッフが必要でした。
プロジェクトのスケジュール管理は重大な課題でした。技
術者は、迅速に状況を把握する必要がありました。これが可能
であったのは、AutoCAD の基本的な知識がある技術者にとって
は、CADWorx のインターフェースの習得が容易であったからで
す。
この基本的なエンジニアリング スケジュールは、迅速な開
発を行うための優れた見本となりました。付属品や機器のベン
ダー情報は入手が遅れがちでした。また、プロジェクトの間に
は、バルブやアクチュエータの寸法、ポンプのノズル方向、フ
ィルタのタイプ、パイプ サイズ、パイプ スペックなどを何度
か設計変更することがありました。にもかかわらず、情報を迅
速に取り込んで、変更点を簡単に組み込むことができました。
「CADWorx は実に柔軟なツールです」とテムコの主任設計者、
マーイク メルテン氏は称賛しています。CADWorx を使用する
www.temco.be
ことで、以下のメリットがありました。
• 選択したすべてのコンポーネントのパイプ スペックを 1
つのコマンドで変更できる
• 複数の設計セクションのコピーやすべての番号の振り直し
を容易に行える
32 INSIGHT
l
第 31 号
» 2012 年第 2 四半期
• アイソメ図上の材料集計が自動的に更新される
• コピー、移動、ストレッチなどの標準の AutoCAD コマン
ドが CADWorx でも機能する
• ルーティング ラインによって簡単にパイプ サイズを変更
できる
3D と応力解析の融合
このエンジニアリング ワークとして 3D設計は、プロジェク
ト管理、コスト管理、計画に加えて、P&ID、アイソメ図、レイ
アウト、部品表、および土木/構造設計との干渉を組み込みまし
た。3D設計のために行ったあらゆる準備が、アイソメ図やレイ
アウトの簡単な生成と、最終的にはすべてのエンジニアリング
ワークの好結果を決定づけました。
「3D モデルが完成したら、CADWorx を使用して簡単に建
設用のドキュメントを生成できました。このソリューションに
は、自動注釈機能を使って自動的に生成されたセクションに基
づいてセットアップされる機器と配管のレイアウトが含まれて
います」とメルテン氏は述べます。「通常、材料の抽出や部品
表の作成には 1週間ほどかかりますが、これも半日で行うこと
ができました」
テムコは、CAESAR II との互換性を活用して、応力解析を実
施し、応力アイソメ図を作成しました。EPC は、1 つのツール
から別のツールに簡単にデータをエクスポートおよび転送する
ことができました。
テムコは、独自のパイプ スペックを作成するためにいくつ
かのツールのカスタマイズを行い、カタログでは標準でない付
属品をいくつか追加しました。建設段階では、最大のメリット
が明らかになりました。現場溶接を最小限に抑え、組立工法を
多用しても、配管設計にクラッシュはありませんでした。
カスタマイズの推進
現在、テムコは、CADWorx の使用範囲を拡大し、このツー
ルを使いこなせる技術者を増やしています。65 名の従業員のう
ち、10 名が CADWorx のトレーニングを受け、5 日間でマスタ
ーしました。現在、CADWorx は、テムコの 2 つの大規模プロ
ジェクトで使用されており、トレーニングを受けた 4 名の技術
者が顧客に派遣されています。
テムコは、他の Intergraph ソフトウェアの知識も深めてい
く予定です。たとえば、CADWorx fieldPipe では、レーザー ス
キャンやレーザー トレースの技術を使用して、正確なアズビル
トをキャプチャできます。SmartPlant Spoolgen® では、建設用
のアイソメ スプール図面を自動的に生成できます。
■
クリスティーナ ゴンザレスは Insight の寄稿編集者です (オラン
ダ、ホーフトドルプ)。
PLANT DESIGN
ワンタッチ操作の
AT YOUR FINGERTIPS
プラント設計
Intergraph CADWorx Plant Design Suite
®
®
Intergraph® CADWorx® Plant Design Suite
DELIVER ON TIME AND WITHIN BUDGET
期限内そして予算内の完成
®
Intergraph® CADWorx
the AutoCAD®-based solution which combines ease
Intergraph®
CADWorx®Plant
PlantDesign
DesignSuite
Suiteisは、使いやすさとすばやい起動に加えて、すべての
of use and quick startup with full functionality, extensive integration and
data-sharing capabilities.
機能、幅広い統合、さらにデータ共有の機能を備えた、AutoCAD®
ベースのソリューションで
す。小規模で比較的単純なプロジェクトでは、CADWorx
のすばやい起動と小さなオーバーヘッ
Smaller, simpler projects can take advantage of CADWorx’s rapid startup and small overhead
ドが有利になります。一方、複雑なプロジェクトでも、CADWorx
の自動化と統合によってダウ
needs while more complex projects can benefit from CADWorx’s automation
and integration
ンストリームの省力化が可能になります。困難なプロジェクトに取り組む際にも、複数のユー
to gain downstream savings. Multiple users can work together efficiently with greater ease and
ザーが容易に、かつ効率よく協力し合うことで、素晴らしい結果を生み出すことができます。
superior results to tackle your most challenging projects.
www.intergraph.com/go/cadworx
www.intergraph.com/go/cadworx
Intergraph, the Intergraph logo, and CADWorx are registered trademarks of Intergraph Corp. or its subsidiaries in the United States and in other countries.
Intergraph、Intergraph のロゴおよび CADWorx は米国およびその他の国における Intergraph Corp.またはその子会社の登録商標です。
顧客の視点
» 千代田化工建設
メガプロジェクトのための効果的な
資材管理
» 千代田化工建設が業界標準の資材管理システムを確立
プロジェクトの要件に応える
千代田化工建設は、経験豊富な SmartPlant Materials ユーザ
ーです。Intergraph ソリューションは、カタールの 3 つのメガ
プロジェクトに重要な役割を果たしました。
千代田化工建設の IT マネージメントユニット、IT 業務セク
ションリーダーである太田一朗氏は「SmartPlant Materials は
業界標準と認められており、その基盤となるデータ構造は、資
材管理システムの自動化という当社の要求に合致していまし
た」と述べています。
「SmartPlant Materials を導入したことで、我々は 3LLNG
カタール メガプロジェクトの要件を満たすことができました」
SmartPlant Materials は、プロセス、電力、海事業界で必要
とされる独自の資材管理システムを完全にサポートする唯一の
市販ソリューションです。千代田化工建設には、プラントとプ
ロジェクトのための総合的な資材管理および下請管理ソリュー
ションが提供されました。SmartPlant Materials は、実績ある
34 INSIGHT
l
第 31 号
» 2012 年第 2 四半期
技術として、業界トップクラスの EPC 企業に世界中で採
用されています。SmartPlant Materials のユーザーによる
カタールガスオペレーティングカンパニーの
ご厚意による写真
日
本の横浜に本社を置く千代田化工
建設(株)
は、世界でもトップクラ
スのエンジニアリング会社です。
エネルギー、化学、石油化学、医
薬品、環境技術、社会基盤、産業
施設などの分野で幅広くビジネス
を展開しています。千代田化工
建設は、1948
年の設立以来、数々の
プラントを建設し、世界 40 か国以上で数えきれないほどのプロ
ジェクトを遂行してきました。
千代田化工建設は、独自の資材管理システムを開発してき
ましたが、1998 年にこれを変更することにしました。市場の
すべてのソリューション プロバイダーを徹底評価した上で、独
自の資材管理システムを Intergraph SmartPlant Materials に移
行し、これを全社のグローバルな標準とすることにしました。
2005 年、千代田化工建設は、カタールで 3 つの大規模 LNG
(3LLNG) プロジェクトを請け負いました。各プロジェクトで
は、それぞれ年間780 万トンの生産力を持つトレインを 2 本
建設する必要がありました。これは、現在でも世界最大の生
産力です。この 3 つのメガプロジェクトにおいて、Intergraph
の技術を使用して困難な EPC ワークを遂行できたことは極めて
重要でした。
と、正確かつ効果的な資材管理を使用することで、リスクとコ
ストが軽減され、調達効率が向上したということです。
ソリューションのカスタマイズ
Intergraph は千代田化工建設と緊密に協力して、具体的な要
件に合わせて SmartPlant Materials を導入し、プロジェクト ワ
ークフローを作成し、材料コードを準備し、レポートをカスタ
マイズしました。千代田化工建設は、次のようなカスタム機能
も導入しました。
• インポートするスプールの BOM データ量の削減。これ
は、下請業者にすべてのスプールの BOM データを送るよ
うに求めているためです。
• カスタム レポートを毎晩自動的に実行。生成される中間
ファイルを共有することで、各ユーザーのレポート生成時
間を短縮できます。
さらに、Intergraph は、メガプロジェクトのデータ量に合わ
せて、SmartPlant Materials のいくつかのネイティブ プログラ
ムを調整しました。これは、プロジェクトの遂行に必要不可欠
でした。
統合的アプローチ
千代田化工建設は、SmartPlant Instrumentation や SmartPlant
アイリーン タン
P&ID などの Intergraph ソリューションも導入しました。これ
らは SmartPlant Materials に統合され計装データやライン リス
ト データが共有できるようになりました。SmartPlant 3D や独
自の電気計装MTO システムなど、千代田化工建設の他のシステ
ムに SmartPlant Materials が統合されたことも重要です。千
代田化工建設は、1 つのシームレスなインターフェースを確立
し、完全に統合された資材管理プロセス用の単一のデータベー
スですべての EPC データを管理できるようになりました。プ
ロジェクトの状況を定期的に監視し、状況に応じてリスクを管
理できるようになりました。3LLNG プロジェクトのピーク時に
は、300 人以上のユーザーが SmartPlant Materials システムに
アクセスしていたでしょう。
「SmartPlant Materials は、資材管理システム全体の最適化
に大いに役立ちました。正しい数量の必要な材料が適切な時期
に建設現場に確実に届けられるようになりました」と太田氏は
述べています。
「プロジェクトの遂行には、SmartPlant Materials が大変役
立ちました。Intergraph ソリューションがなければ、3LLNG カ
タール メガプロジェクトを無事に完了することはできなかった
でしょう」
成功の鍵
業界トップクラスの EPC コントラクターとして、千代田化
工建設は SmartPlant Materials を使用した資材管理システムを
強化し続けています。
「SmartPlant Materials は、EPC コントラクターにとって最
適なソフトウェア ソリューションです。複雑で困難なプロジェ
クトにも対応できます」と太田氏は述べています。「効果的な
資材管理には、当社がメガプロジェクトで使用したこのソリュ
ーションを強くお勧めします」
千代田化工建設は Intergraph の長年の顧客であり、
SmartPlant 3D、SmartPlant Materials、SmartPlant
Instrumentation、SmartPlant P&ID などの多くの SmartPlant
Enterprise ソリューションを使用しています。千代田化工建設
は、SmartPlant Foundation、SmartPlant Process Safety、
SmartPlant Electricals など、SmartPlant Enterprise スイート
の他のソリューションも検討しています。これらのソリューシ
ョンを統合環境で使用することで、千代田化工建設はプロジェ
クトの安全性、品質、生産性をさらに向上させることができま
す。
千代田化工建設について
千代田化工建設株式会社は、1948 年の設立以来、数々のプ
ラントを建設し、世界 40 か国以上でさまざまな分野のプロジ
ェクトを数多く遂行してきました。それらの分野は、エネルギ
ー、石油化学、天然ガス、化学、石油化学、医薬品、環境保
全、一般産業など多岐にわたります。千代田化工建設は、エネ
ルギー関連技術のトップ企業であり、産業発展と地球環境のバ
ランスと調和を図りながら、エンジニアリングを通して、持続
可能な進歩を目指す社会に貢献しています。
■
www.chiyoda-corp.com
アイリーン タンは Insight の寄稿編集者です (オーストラリア、
メルボルン)。
2012 年第 2 四半期 » www.intergraph.com
l
INSIGHT 35
顧客の視点
ELIEEN
» アクシオナByアグア
TA N
再生可能エネルギーを使用して
生産される清浄な飲料水
» Intergraph が世界最大級の海水淡水化プラントの
設計エラーの半減に貢献
ア
クシオナ アグアは、用水処理、残留物
精製、逆浸透海水淡水化、三次処理の
ためのプラントを設計、建設、および
運用する最先端の水処理産業会社で
す。アクシオナ アグアは、スペインの
エンジニアリング、建設、およびイン
フラ企業であるアクシオナの一部門
で、20 か国で 5 千万人以上の需要を賄うプラントとサービスを
建設、管理、および運用しています。
アクシオナ アグアは、70 以上の施設で 1 日当たり計180
万立方メートルの飲料水を生産していることからもわかるよう
に、逆浸透技術による海水/汽水淡水化の応用分野における先駆
者です。
巨大なエンジニアリング課題
干ばつに襲われた後、雨量に依存しない水源からの給水を推
進する政策に取り掛かりました。このために、18.3 億豪ドルの
予算で世界最大規模のアデレード海水淡水化プラントが計画さ
れました。
アデレード市内と周辺地域に飲料水を提供するために、ポ
ート スタンバックに再生可能エネルギー発電プラントが計画さ
れました。南オーストラリア州の州都で、オーストラリアで 5
番目の大都市であるアデレードには、百万人以上の居住者がい
ます。
アデレード海水淡水化プラントは、オーストラリア最大の
河川であるマレー川から供給される水に対するこの地域の依存
度を低めます。この逆浸透海水淡水化プラントは、1 日当たり
300,000 立方メートルの水を処理する能力を持ちます。この海
水淡水化プラントは、ピーク時には年間100 ギガリットルの水
を生産すると予想されています。これは、アデレードの年間家
庭用水需要の約半分に相当します。
このプラントの建設予定地は課題が山積みでした。現場は、
セント ビンセント湾東岸部の海抜 52 メートルの断崖上に位置
していました。この地区で実施されていた環境保護対策に配
慮して、このプラントは独自の設計と建設を余儀なくされまし
た。
また、このプラントは、最新式のウルトラ フィルター膜前
処理と二重膜設計の構成を採用してエネルギー効率と浄水速度
の向上を図りました。
海水の取込口は 1.5 キロメートルの地下道です。これには、
十分な性能パラメータを確保し、メンテナンスを容易にする
ために、独自の設計が要求されます。海水は、1 時間当たり計
28,400 立方メートルの能力を持つ 12 基の乾式真空ポンプを使
用して、57 メートルの高さまで汲み上げられます。
このプラントには、高品質な設計と高品質なエンジニアリン
グ データの要求に答えることによりアデレード市から要求され
た極めて高い性能を達成することができました。
2D から 3D へ
アクシオナ アグアは、アデレード海水淡水化プラントの設
計、建設、運用、および保守を行う多国籍共同企業体の一員に
選ばれました。
36 INSIGHT
l
第 31 号
» 2012 年第 2 四半期
ジェリーフェルツ
アクシオナ アグアはそれまで、イタリア、モロッコ、
ベネズエラなどの海水淡水化プラント プロジェクトの設計ツ
ールとして Intergraph PDS を使用していました。PDS は、費
用効果とデータ品質の向上に最適な設計を提供する製造主導
型の包括的かつインテリジェントな CAD/CAE アプリケーシ
ョンです。
最初は、2D の紙の図面や複写の処理に慣れていた建設チー
ムに PDS を導入する必要がありました。課題は、概念を変え
てもらい、3D の処理と単一のプラットフォームに慣れてもう
ことでした。
チームは PDS を使用して 1 つの図面を作成し、プロジェ
クトのすべての関係者がその同じ情報を扱えるようになりまし
た。次のことを目標にしました。
• 困難な地理的条件の中で高品質な設計要件を満たすこと
• 迅速なプロジェクトの適用に役立つ正確なデータを生成
すること
• 情報の元を 1 つにしてコントラクター間の調整を適切に
行うこと
成果
「GIS モデルのインポートやエクスポートはスムーズで、仮
想モデルの統合には一貫性がありました。これにより、操作性
や能力が向上しました」とアクシオナ アグアの技術部門代表
であるジョン デ ラ イグレシア氏は述べています。
「技術者たちはアイソメ図の作成を最適化できるようにな
りました。アイソメ図の作成にかかるプロジェクト時間を 30
から 40 パーセントほど短縮できました」
詳細、関連付け、電気システム、配線、ループなどのエ
ンジニアリング データをプロジェクトで活用できました。ま
た、プロジェクトの進行とともにエラーの検出も速くなり、変
更の一貫性も向上しました。人為的なエラーは 50 パーセント
減少し、より一貫した変更がより迅速に行われました。
将来の展望
アデレード海水淡水化プラントは、2011 年に最初の淡水化
飲料水を生産しました。このプラントは、2012 年末までに完
成する予定です。最初は年間 50 ギガリットルの飲料水を生産
する予定ですが、完成時には 2 倍の 100 ギガリットルになり
ます。
アデレードの海水淡水化プラントでの実績を踏まえ、アク
シオナ アグアは、西オーストラリア、南オーストラリア、ビ
クトリア、クイーンズランドの各州で他の給水サービスや設
計/建設/運転契約に入札する機会も増えました。
アクシオナ アグアは、再生可能エネルギー発電による海水
逆浸透海水淡水化プラントを設計、建設、および運転するアデ
レイドアクア共同企業体の一員です。他の共同企業体パートナ
ーには、マコーネル デュエル コントラクターズ、Abi グループ
コントラクターズ、トリリティ (三菱商事) などがあります。
アクシオナ アグアについて
アクシオナ アグアは、水の処理、浄水、淡水化のためのプ
ラントの設計、建設、運転におけるイノベーションを通して、
水産業セクターでの持続可能な開発に寄与するグローバル ソ
リューションの最先端プロバイダーとして、水質の保証に携わ
っています。アクシオナ アグアは、水産業セクターで先頭に
立つスペイン、イタリア、ポルトガルなどの国々において、不
可欠な水循環の分野で際立った存在感を維持することを戦略の
基本にしています。また、アクシオナ アグアは、国際レベル
での成長を極めて重視しており、米国、オーストラリア、ア
ルジェリア、メキシコ、ブラジル、コロンビア、ドミニカ共和
国、中東諸国などの戦略的国々において、数々の評価用淡水化
プラントや排水処理プラントを買収しています。
■
www.acciona-agua.com
ジェリー フェルツは Insight の寄稿編集者です (オーストラリア、
メルボルン)。
2012 年第 2 四半期 » www.intergraph.com
l
INSIGHT 37
顧客の視点
» IET
ジェリー フェルツ
ターンキー プロジェクトのための高品質設計
» SmartPlant 3D と SmartPlant Enterprise による大幅な効率化
チ
ュニジアの小さなエンジニアリング会
社が北アフリカの国際的な石油/ガス
オペレーターの中で頭角を現していま
す。
IET (インダストリアル エンジニア
リング テクノロジー) は、2003 年に
セコメニンによって設立されました。
セコメニンは、チュニジアの地中海を臨む港町スファックスに
本社を置く鋼材製作および配管ファブリケータです。IET は、
主に配管、電気、計装、圧力容器などのエンジニアリング サー
ビスを提供しています。独自設計の製品を含め、規模を拡大し
ながら数々のターンキー プロジェクトを遂行する実力によって
チュニジアの市場で地位を確立した後は、近隣諸国にもビジネ
スを拡張し続けています。IET は、包括的なサービスを提供す
る会社として、プロジェクト エンジニアリングおよびサイト サ
ービスとともに技術経済調査や経営コンサルティングも行って
います。
IET は石油が豊富な地域の中心に位置し、エンジニアリング
サービスやプロジェクト管理サービスによってグローバル石油/
ガス オペレーターの複雑なニーズを満たすことで、北アフリカ
市場での足場を固めました。Intergraph は、完全なプラント設
計エンジニアリング サービスで顧客をサポートするためのソリ
ューションを IET に提供しています。
IET は、ここ数年で急速に成長したため、コストを下げかつ
効率を高めながら、最新技術を導入して産業プラントに最先端
の設計を提供する必要に迫られていました。IET は、北アフリ
カのオーナー オペレーターからの要望が増えていた Intergraph
ソリューションを選択しました。これらのオーナー オペレータ
ーは、オンラインでさまざまな場所から作成したり送付するこ
とができる、ターンキー プロジェクトのための高品質設計を求
めていました。
IET は、以下の目的で Intergraph ソリューションを選択しま
した。
• 設計品質の改善によるプラント構成の強化
• 柔軟な情報フローとリモート エンジニアリング アクセス
の実現
• プロセスの合理化、プロジェクト管理ワークフローと文書
管理システムの改善
• 効果的な変更管理と迅速な意思決定の実現
IET は、SmartPlant 3D、SmartPlant P&ID、および
SmartPlant Instrumentation を購入しました。その後、小さ
38 INSIGHT
l
第 31 号
» 2012 年第 2 四半期
なプロジェクトをいくつか立ち上げて、チームをトレーニン
グしました。現在は、関連するエンジニアリング プロジェク
トをさらに多く獲得し、Intergraph のポートフォリオから他
のライセンスを購入する計画を立てています。
パフォーマンス
IET はそれまで、圧力バルブ設計用に PV Elite、配管の柔軟
性解析および圧力計算用に CAESAR II など、多くの Intergraph
製品を使用していました。
サービスを拡大するために、そこに Intergraph SmartPlant
Enterprise製品が追加されました。Intergraph は、ソフトウェ
アの導入、必要な Tekla Xsteel との統合、およびフランスの標
準を満たす配管のカスタマイズを支援しました。
Intergraph製品の導入以来、パフォーマンスが改善され、
結果が保証されたことで、顧客の満足度が上がりました。現
在、IET はより短期間により高品質の設計を提供しています。
作業はリモートで行うことができます。Intergraph ソリューシ
ョンは、他のツールとも効果的に連携し、プロジェクトの変更
に先回りして対応します。
収益性の向上
IET は、自社の従業員を 1 年間トレーニングしました。現
在、ハイドロカーボン施設やリン酸パルプ ユニットの拡張など
の小規模プロジェクトで SmartPlant 3D を使用しています。そ
こで、12 人のユーザーがこれらのツールを使用しており、8 人
のユーザーが同時アクセスしています。
IET は、ソリューションの収益性を向上させるためのツール
を数多く開発中です。配管サポートライブラリの準備や、チー
ム内の SmartPlant 3D ユーザーの増加に備えて、ツールのすべ
ての機能をカバーする視聴覚トレーニング プログラムの作成な
どが含まれます。
IET の今後の発展は、フルサイクル サービスやさらに総合的
なエンジニアリングによるエンジニアリング機能の拡大にかか
っています。チュニジアや他の国々の大規模かつ複雑なターン
キー プロジェクトで Intergraph ソリューションが使用されるこ
とになるでしょう。これらのプロジェクトに携わる下請のエン
ジニアリング活動により、北アフリカ経済が活発になることが
期待されています。
■
ジェリー フェルツは Insight の寄稿編集者です (オーストラリア、
メルボルン)。
www. iet-engineering.com
QUARTER 2, 2012
»
www.intergraph.com
l
INSIGHT 39
クイックビュー
By J E R RY F E LT S
Intergraph が
SmartPlant
FreeView™ を
リリース
Intergraph は、SmartPlant FreeView™
をリリースしました。これは、
Intergraph 3D モデルを表示およびナビ
ゲートしたり、関連するプラント プロパ
ティを表示できる無料の .VUE ビューア
です。SmartPlant FreeView は、 .VUE ファ
イルとしてパブリッシュされた
SmartPlant 3D および SmartMarine 3D
プロジェクトが開くことができます。ユ
ーザーは、プラント、船舶、オフショア
モデルなどを見て回ったり、ビュー内
の任意のオブジェクトを選択して、
MDB2 パッケージから関連するプラント
プロパティを参照することができます。
SmartPlant Review Publisher は、
SmartPlant 3D、SmartMarine 3D など
のプロジェクト タイプを SmartPlant
FreeView または SmartPlant Review で
表示できるように .VUE および MDB2 形
式に変換したり組み合わせることができ
ます。
この無料の .VUE ビューアにはオン
スクリーン ナビゲーション コントロー
ルが用意されているため使いやすく、初
めてのユーザーでもトレーニングなしで
複雑な 3D モデル内を見て回ることがで
きます。キーボード
ナビゲーションも
同じくシンプルです。ビューには、方
向を制御するための方向軸が表示されま
す。SmartPlant FreeView は、オブジェ
クト間の正確な距離が表示されるサーフ
ェス メジャー コマンドを備えています。
「カナダのオイルサンド プロジェク
トでは、AMEC の多くのクライアント、
パートナー、それに下請業者が 3D モデ
ルの表示から恩恵を受けることでしょ
う」と AMEC 天然資源部門エンジニアリ
ング システム代表であるヴラッド サヴゥ
リアン氏は述べています。「SmartPlant
40 INSIGHT
l
第 31 号
» 2012 年第 2 四半期
FreeView を使用すると、プラント モデ
ルを簡単にナビゲートしてプロパティを
表示したり、表示内容についてコメント
したり、わからないことについて質問す
ることができます」
www.intergraph.com/go/freeview
フルアが 22 の
プロジェクトで
SmartPlant
Enterprise を使用
Intergraph の顧客であり、世界トップ
レベルのエンジニアリング、調達、建
設、メンテナンス会社であるフルア コー
ポレーション (テキサス州アービング) は、
受注が増えているグローバル プロジェク
トのプロジェクト プラットフォームとし
て、継続的に SmartPlant Enterprise ソリ
ューションを使用しています。
フルアは、30 年来の Intergraph の
顧客であり、適切な計画、トレーニン
グ、およびビジネス理念に基づいて
SmartPlant Enterprise の展開を成功させ
ています。フルアは、進行中の 22 のプ
ロジェクトで SmartPlant のテクノロジー
を使用しています。
Intergraph とフルアは、SmartPlant
3D、PDS、SmartPlant Foundation、SmartPlant
P&ID、SmartPlant Instrumentation を初
めとする SmartPlant および SmartMarine
Enterprise ソフトウェア スイートを対象と
して、5 年間のグローバル アライアンス契
約を結びました。
「Intergraph のソリューションは、長
年にわたり当社のプロジェクト遂行のため
のツールボックスに入っていました。その
お陰で、当社のクライアントに優れた大規
模プロジェクトを提供することができまし
た」とプロジェクト遂行サービス部門代表
であるピーター ムーア氏は述べています。
「SmartPlant Enterprise スイートと自動化
機能により、プロジェクトのセットアップ
から遂行までのプロセスの一貫性を維持で
き、分散プロジェクト環境を最大限に活用
できます」
www.intergraph.com/go/smartplant3d
ARC が Intergraph
を再び世界一に
格付け
産業とインフラの大手調査助言会社であ
る ARC アドバイザリー グループは、最近リ
リースされた「Process Engineering Tools
(PET) Market Analysis and Forecast through
2015」(2015 年までのプロセス エンジニ
アリング ツール (PET) の分析および予測)
で、Intergraph を世界一のソフトウェア プ
ロバイダーとして再び認定しました。
この ARC の調査は、産業および地域ご
とにプロセス製造向けの PET 市場の詳細
な分析を行います。調査対象となる PET に
は、あるプラントまたは海事設備のライフ
サイクル全体でエンジニアリング
データ
を作成または使用するようなエンジニアリ
ング業務の管理に必要になるツールまた
はアプリケーションの大部分が含まれま
す。PET 市場にサービスを提供する主要な
供給業者のプロファイルもリストされてい
ます。
たとえば、エンジニアリング設計
ツールおよびエンジニアリング設計3D ソ
フトウェアの第 1 位のプロバイダーとして
Intergraph を挙げています。ARC は、化
学、採鉱/金属、石油/ガス、医薬品、バイ
オテクノロジー、精製など、数多くの産業
への供給業者として Intergraph を第 1 位に
格付けしています。Intergraph は、北アメ
リカ ラテンアメリカ、ヨーロッパ・中東・
インド アフリカ、アジア太平洋の 3 つの活
動地域のすべてにおいて、各地域の第 1 位
に格付けされています。
www.arcweb.com
ドリス エンジ
ニアリングが
SmartMarine
Enterprise を選択
フランスのドリス エンジニアリング
のブラジルの子会社で、オフショア石
油/ガス産業の専門企業であるドリス エ
ンジニアリングは、グローバル エネルギ
ー リーダー企業ペトロブラスをクライア
ントとする 8 基の浮体式生産貯蔵積出設
備 (FPSO) のトップサイドを設計するため
に、SmartMarine Enterprise ソリューシ
ョンを選択しました。この 8 つの FPSO
は、プレソルト層探査に使用される予定
です。
プレソルト層掘削は、腐食と高温/
高圧に耐える新しい探査モデルの始ま
りとなるため、このプロジェクトは、
ペトロブラスのプロジェクトの中で最
も重要なものとみなされます。ドリス
は、このプロジェクトのフロントエン
ド
エンジニアリングおよび設計(FEED)
で SmartMarine Enterprise ソリューシ
ョンを使用します。これには 1 年かか
ると推定されます。ペトロブラスは、詳
細設計のために別の入札を行う予定です
が、SmartMarine Enterprise は、その仕
事の落札を狙うすべての EPC 企業にとっ
て必要な製品スイートです。
ドリスは、FEED 段階では、
SmartMarine 3D、SmartPlant P&ID、
SmartPlant Electrical、および
SmartPlant Instrumentation を使用して
います。ブラジルで 30 年以上にわた
って Intergraph ソリューションの独占
的プロバイダーである SISGRAPH は、
ドリスの成功のために緊密に力してい
ます。最近、SISGRAPH は、Intergraph
の親会社 Hexagon の傘下に収められ
ました。
ションを購入する契約をインペックスと結び
ました。インペックスは、正式な入札要請
の後、Unifier 独自の強力な機能、グローバ
ルな石油/ガス産業での実績、および SAP
との統合機能を理由として、メガプロジェ
クトのコスト管理システムとして Unifier を
選択しました。
イクシス LNG プロジェクトは、インペ
ックス (76 パーセント、オペレーター) と
トタール (24 パーセント) のジョイント ベ
ンチャーです。イクシス
ガス田は西オー
ストラリア約 200 キロメートル沖合のブ
ラウズ堆積盆にあり、採掘されたガスは沖
合で水分の除去やコンデンセートの抽出
などの前処理が行われます。その後、ガス
は、889 キロメートルの海中パイプライン
を通じて、ダーウィンにある陸上の処理施
設に輸送されます。イクシス プロジェクト
は、LNG を年間840 万トン、LPG を年間
160 万トン生産し、コンデンセートを最大
1 日約 100,000 バレル生産することが予定
されています。
この事業の規模を考えると、イクシス
LNG プロジェクトでは、効果的なプロジェ
クト管理、プロジェクト制御、および調達
に役立ち、積極的な意思決定を支援できる
堅牢かつ「目的に応じた」ソフトウェア ソ
リューションが必要でした。
www.intergraph.com/go/
smartmarine3d
www.inpex.com.au
www.doris-engineering.com
www.skire.com
Intergraph と
スカイヤが
インペックスの
イクシス LNG
プロジェクトを
発表
Intergraph およびそのパートナーであ
るスカイヤは、イクシス LNG プロジェク
トのためにスカイヤの Unifier™ ソリュー
2012 年第 2 四半期 » www.intergraph.com
l
INSIGHT 41
今後の予定
イベントとお知らせ
[スマートに学習! オンラインセミナー] www.intergraph.com/ppm/webinars
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す。すべてのオンラインセミナーは無料で、お客様のコンピュ
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ディアを通じて、顧客やパートナー、デベロッパーと交流し
てみてはいかがでしょう。また、YouTube もご参照ください。
「Hexagon 2012」で先見的な考えに触れ
米
国ネバダ州ラスベガスの MGM グラン
ドで、業界の最新ソリューションやベ
スト プラクティスについて学べる毎年
恒例の国際会議「Hexagon 2012」が
開催され、世界中から業界リーダーや
顧客が集結します。
今年の最も重要なユーザー イベン
トの会議テーマは「先見的な考え (Think Forward)」です。参
加者は、最新の Intergraph 技術に触れ、業界の専門家による
プレゼンテーションを視聴できます。また、お好きな分科会や
実践的なトレーニングに参加したり、実践的なリーダーの示唆
に富んだ基調講演を聴くこともできます。
分科会では、激動の時代にあっても参加者がどのように
Intergraph 技術を使用して素晴らしい成果を上げているかを
お互いに学ぶことができます。この会議では、具体的なビジネ
ス課題に対する創造的なソリューションが活発に提供されま
す。Hexagon 2012 への参加には次のメリットがあります。
• グローバルな視点を得られる
• 新しい業界動向を学べる
• Intergraph の SmartPlant Enterprise および SmartMarine
Enterprise を使用して、生産性を向上させ、プロジェク
トを加速し、競争力を獲得する方法を見つける
新しいアプローチの発見
Hexagon 2012 では、疑問に対する答えを見い出したり、新
しいアイデアや戦略を発見することができます。また、他の参
加者が Intergraph のソリューションを使用してどのようにワ
42 INSIGHT
l
第 31 号
» 2012 年第 2 四半期
ークフローを合理化しているかを知ることができます。この会
議の 3 日間のプログラムの中では、参加者が活用できるセッシ
ョンやセミナーが数多く開催されます。Intergraph の専門家か
ら直接指導を受け、会社に戻ってから学んだ知識を生かすこと
ができます。
これらの会議セッションは、単純なものから複雑なものま
で、国際的なユーザー、パートナー、そして Intergraph の観点
から、Intergraph の技術やエンジニアリング ソリューションを
適用する方法にそれぞれ焦点を当てています。
エンジニアリング タスクにおける次のステップ
会議セッションであれ、スケジュールに組み込まれて
いる交流機会やイベントであれ、専門家間の意見交換が
Hexagon 2012 の重要な部分です。参加者は、Interpraph
Process, Power & Marine ソリューションの導入方法や新し
い製品機能について相互に学ぶことができます。顧客から
も価値あるフィードバックが提供されます。
革新的なソリューションでビジネスを強化
競争の激しい環境の中で成功を収めるには、プロジェクト
の最適化を最大限活用することです。参加者は、SmartPlant
Enterprise および SmartMarine Enterprise ソリューションがい
かにプラント ライフサイクルの各段階で生産性を向上させ、そ
れが収益の拡大につながるか、そしてエンジニアリング投資か
らより多くの価値を生み出し、それが明らかな違いをもたらす
かを学ぶことができます。
www.hexagonconference.com
[ 今後のイベント ] www.intergraph.com/events
Intergraph が世界各国で参加する会議、見本市、業界イベントをご紹介します。6 月 3 日∼6 日にラスベガスで開催される毎
年恒例のユーザー会議「Hexagon 2013」については、www.hexagonconference.com をご参照ください。
今後のイベント
Multi-D (NIAEP) Forum & Exhibition
6 月 14、
15 日
ロシア、
ニジニ
niaep.ru
Shutdown/Turnaround/Outages
(STO) 2012
6 月 18∼20 日
米国テキサス州サンアントニオ
www.stoconference.com
ACHEMA 2012
6 月 18∼22 日
ドイツ、
フランクフルト
www.achema.de
American Nuclear Society Annual Meeting
6 月 24∼28 日
米国イリノイ州シカゴ
www.new.ans.org/meetings/m_78
Configuration Management
Benchmarking Group Conference
6 月 24∼27 日
米国イリノイ州シカゴ
cmbg.org
Neftegaz 2012 Exhibition (MIOGE)
6 月 25∼29 日
ロシア、
モスクワ
www.neftegaz-expo.ru
Navalshore
8 月 1∼3 日
ブラジル、
リオデジャネイロ
www.ubmnavalshore.com.br
Engineering & Construction
Contracting (ECC) Annual Conference
9 月 5∼8 日
米国テキサス州サンアントニオ
www.ecc-conference.org
Intergraph CADWorx & Analysis
Discovery Tour Scandinavia
9 月 12 日
ノルウェー、
オスロ
www.intergraph.com/global/no/events
Intergraph PP&M Finland
10 月 23、
24 日
フィンランド、
ヘルシンキ
www.intergraph.com/global/fi
Rio Oil & Gas
9 月 17∼20 日
ブラジル、
リオデジャネイロ
www.riooilegas.com.br
Deepwater Operations Conference
& Exhibition
11 月 6∼8 日
米国テキサス州ガルベストン
www.deepwateroperations.com
Intergraph Canada
9 月 19 日
カナダ、
アルバータ州カルガリー
www.intergraph.com/global/ca
Intergraph PP&M Scandinavia
11 月 6、
7日
ノルウェー、
オスロ
www.intergraph.com/global/no
Intergraph PP&M Italy
10 月 3、
4日
イタリア、
アッサーゴ
www.intergraph.com/global/it
Intergraph PP&M Benelux
11 月 8 日
オランダ
www.intergraph.com/global/nl
Emerson Global Users Exchange Americas
10 月 8∼12 日
米国カリフォルニア州アナハイム
emersonexchange.org
American Nuclear Society Winter Meeting
and Nuclear Technology Expo
11 月 11∼15 日
米国カリフォルニア州サンディエゴ
www.new.ans.org/meetings/c_1
FIATECH Member’s Meeting
10 月 15∼17 日
米国カリフォルニア州サンディエゴ
fiatech.org/events/member-meeting
Intergraph PP&M UK
10 月 16 日
イギリス、
ロンドン
www.intergraph.com/global/uk
Intergraph PP&M Spain
10 月 17、
18 日
スペイン
www.intergraph.com/global/es
Best Practices for Oil & Gas –
SAP Solutions for the Energy Industry
10 月 21∼24 日
米国テキサス州サンアントニオ
sap-oil-and-gas.com
CEGUG Germany, Switzerland & Austria
11 月 14、
15 日
ドイツ、
マンハイム
www.cegug.org
Intergraph PP&M France
11 月 20 日
フランス、
パリ
www.intergraph.com/global/fr
POWER-GEN International Conference
12 月 11∼13 日
米国フロリダ州オーランド
www.power-gen.com
業界展望
ジョー モレー
変化の事例を作る
» 裁判モデルに習う
この雑誌を読んでいるということは、
あなたは社内のチェンジ エージェントか
もしれません。私と同じくあなたも、技
術やビジネス プロセスに関するプレゼン
テーションを何百回も行ったり聴いたり
していることでしょう。それもすべて、
社員に新しいビジネスのやり方を取り入
れてもらうためです。この記事では、そ
の効果を最大限に上げるプレゼンテーシ
ョンのまとめ方について取り上げます。
ほとんどのプレゼンテーションは、
本のようにまとめられます。プレゼンタ
ーの経歴を説明する前置きで始まり、議
題(目次) が続きます。このように、伝え
るべきメッセージを順番に組み立ててい
きます。要点に差し掛かる頃までには、
視聴者はうわの空であったり、スマート
フォンに夢中になっていることがほとん
どです。
そこで、まったく別のスタイルによ
る変化のプレゼンテーションを提案した
いと思います。私はこれを「裁判」モデ
ルと呼んでいます。このモデルでは、裁
判のように情報を整理します。
まず、一通りの冒頭手続きでプレゼ
ンテーションを開始します。ここで、持
ち帰ってもらいたいメッセージを視聴者
に伝えます。10 枚目や 11 枚目のスライ
ドまで待ちません。
そこから、重要なメッセージを立証
するための証拠を提示する必要がありま
こは重要な部分です。変化が実現可能
であることを立証するために、ツール
やデータのデモンストレーションによ
って信用を得ます。デモンストレーシ
ョンは説明に信憑性をもたらします。
簡潔に、提案が補強されるように構
成してください。ソフトウェアをデモ
ンストレーションすることもあります
が、これは、あなたが示した提案を立
証するための専門家の証言と考えてく
ださい。
裁判と同様に、力強い論告で締めく
くります。これは、会議終了前に
視聴者が受け取る最後の情報とな
www.trinitytechnologies.com ります。プレゼンテーションで行
った説明を再度繰り返すことが重
要です。視聴者が提案されている
す。ここで、変化に対応する必要があ 対策を講じる必要がある理由を明確に
る理由を提示し、実際に変化によっても 述べてください。
たらされた発展や成果を強調します。ま
次に新しい開発、ビジネス手法、ま
た、他の会社による成功例も目撃証言と たは革新的なアイデアを提示する際に
して紹介します。
は、検察官になったつもりで考えてく
次に、専門家の証言に移ります。こ ださい。難しい裁判になるかもしれま
44 INSIGHT
l
第 31 号
» 2012 年第 2 四半期
せんが、きっと支持を得ることができ
るでしょう。
ジョー モレーは、プロセスと電力業界向
けのコンサルティング会社であるトリニ
ティ テクノロジーの社長です。同社は、
オーナー オペレーターや EPC が情報シ
ステムの採用に成功するためのサポート
を提供し、プラント環境にワークプロセ
ス、技術、組織的な変更要件を調整する
ことの推進に特化しています。
BOOST PRODUCTIVITY
BY
30 PERCENT
生産性を
30%向上
®
SmartPlant
3D3D
SmartPlant®
プロセスおよび電力業界向けの唯一の次世代型の
3Dwith
プラント設計ソリューションである、最新版の
Gain a competitive edge and accelerate projects
the latest release of Intergraph®
Intergraph®
を使って、競争優位を獲得し、プロジェクトを迅速化させることがで
SmartPlant®SmartPlant®
3D, the first3D
and
only next-generation 3D plant design solution for the process
きます。SmartPlant
3D SmartPlant
は、今日入手可能な別のシステムに比べて生産性を最低
30%向上させます。
and power industries.
3D delivers at least 30 percent more productivity
than any
other system available today.
最新版の SmartPlant 3D は、強力なルールと連関を提供することで、繰り返し作業を自動化し、設計
SmartPlant 3D now offers powerful rules and relationships that automate repetitive tasks,
基準を実施するとともに、設計の整合性を確保し、設計の一貫性を保護します。グローバルなワー
enforce design standards,
ensure design integrity, and protect design consistency. Benefit
クシェアリングやモデル
データの再利用、安全性を中心とするルールを通じて、メガプロジェクト
from enhanced support for mega-projects thanks to global worksharing, model data reuse,
向けの強化されたサポートの恩恵を享受することが可能です。
and safety-centric rules.
デモンストレーションやケーススタディ、オンラインセミナーなどの詳細については、
To see demonstrations, case studies, webinars, and more,
www.intergraph.com/go/smartplant3d
をご参照ください。
visit www.intergraph.com/go/smartplant3d.
Intergraph, the Intergraph logo, and SmartPlant are registered trademarks of Intergraph Corp. or its subsidiaries in the United States and in other countries.
Intergraph、Intergraph のロゴおよび SmartPlant は米国およびその他の国における Intergraph Corp.またはその子会社の登録商標です。
BETTER OFFSHORE DESIGN
オフショア設計の向上
SmartMarine Enterprise for Offshore
®
SmartMarine® Enterprise for Offshore
ACCELERATE
PROJECTS AND GAIN A COMPETITIVE EDGE
プロジェクトの推進と競争優位性の確立
なぜオフショア産業界のリーダーが
Intergraph®
SmartMarine
を選択するか理由をご確
See why Intergraph® SmartMarine Enterprise
is the clear
choice of Enterprise
offshore industry
leaders. Intergraph
offers data-centric, 3D offshore
design for the design, construction, and safe operation of your offshore
認ください。Intergraph
は、オフショア施設の設計、建設、安全操業のためのデータ中心型
3D オ
facilities.
Take
advantage
of
an
integrated
suite
of
solutions
with
automated,
configurable
engineering
フショア設計を提供します。設計から稼動までの正確さを保証する設定可能な自動化エンジニア
rules that ensure design-to-production accuracy.
リング
ルールに基づく統合ソリューション スイートをぜひご活用ください。
Boost productivity by an average of 30 percent and build safety into the design from the start. Global
生産性は平均
30 パーセント向上し、安全性が最初から設計に組み込まれます。貴社のプラット
workshare, operations,
and life-cycle asset management are also optimized with SmartMarine
Enterprise
engineering
information
management, the industry standard for maintainingSmartMarine
your platform’s
フォームのエンジニアリング設計データを今後数十年間維持管理する業界標準の
engineering
design
data
for
decades
to
come.
Enterprise エンジニアリング情報管理を活用すれは、グローバルなワークシェア、運転、およびラ
イフサイクル設備管理も最適化されます。
The future of engineering – today.
エンジニアリングの未来が、今ここにあります。
www.intergraph.com/go/offshore
www.intergraph.com/go/offshore
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logo, and SmartMarine
are registered
trademarks of Intergraph Corp. Intergraph
or its subsidiaries
in the United States and in other countries.
Intergraph、Intergraph
のロゴおよび
SmartMarine
は米国およびその他の国における
Corp.またはその子会社の登録商標です。