日本語訳

Passionate (Re)Search
情熱的な(研究)捜索
数十年の研究をもとに、私たちはオーストリアの仲間と共同で、サーチ・アンド・レスキュー犬の新し
い訓練方法を向上させました。そしてそれは、もちろん他の犬の訓練にも使用することができます。
何年もの間、犬はいくつかの異なる方法で、異なる仕事のために訓練されてきました。最近まで、何の
理論的背景のサポートも、結果を出す方法もなく、このような訓練がしばしば行われていました。80
年代、私たちはこれをサーチ・アンド・レスキュー犬のために変更し、『サーチ・アンド・レスキュー
犬:訓練とミッション』というオランダの本を出版しました。しかし時代も、私たちの臭いと捜索戦術
への研究も静止することはありませんでした。私たちは実際のミッション、訓練セッションの間も研究
を継続させ、新しい思考が定期的に集められ、それらが、サーチ・アンド・レスキュー犬の訓練に採用
されました。
そのとき、特定の訓練方法を通して、私たちは既に実際の捜索ミッションにおいて、遭難者の生死に関
わらず、犬からの信頼できるインディケーションを既に得ていました。1988 年のアルメニア地震への
私たちのミッションが、それについて説得力のある証拠を提供しました。しかし私たちの研究は続き、
私たちは自分たちの訓練にもっと多くの正確さと完璧さをもたらすことを求めていました。
接触が困難なエリアでの行方不明者の捜索は、瓦礫や雪崩の下の遭難者の捜索と同様に、私たちのもっ
とも重要な仕事でした。喜ばしいことに、私たちはたくさんの例で成功しました。多くの人々の命は、
私たちのよく訓練されたサーチ・アンド・レスキュー犬にかかっています。しかし、この犬たちの成功
は、1 日ではなしえませんでした。目標を定めた訓練方法による集中的訓練が、私たちの犬の成功の鍵
をつくりました。継続的に変化する周辺環境の中での定期的な訓練が、私たちの犬をこのような高いレ
ベルに保ちました。
雪崩や地震災害では、まだ生きている人々を救うためには、時間が最悪の敵です。私たちの犬の訓練が
よくできればできるほど、人々が生きるチャンスが増えます。これは、運営中のサーチ・アンド・レス
キュー犬は、精神的にも肉体的にも、常に完璧な捜索状態になくてはならないということを意味します。
雇用
世界中で、捜索犬は 15∼20 分以上集中して捜索が行えないと言われています。しかし、私たちは既に
繰り返し、私たちのサーチ・アンド・レスキュー犬は 3 時間以上もの間、非常に集中して瓦礫を捜索す
ることが可能であることを証明してきました。それは、自分たちの管理された訓練と、プレッシャーな
く犬が作業を行うという事実のおかげです。犬はプレッシャーや、ハンドラーの強制によって、より早
く疲れます。犬がハンドラーの要求によって作業する時、または犬が絶えず矯正されたり、ハンドラー
の励ましを必要としている時、これはすぐに精神的なプレッシャーを生み出し、それによって犬は非常
に消耗します。
もちろん、捜索作業は精神的、肉体的に非常に辛いものです。しかし、犬が大好きで作業する時、また
はいわば犬にそうするように頼んでいる時、犬は何時間も続けることができます。私たちの方法は、プ
レッシャーなく、犬の捜索に対する楽しみを強めることで、犬に幸せに感じさせることを基本にしてい
ます。連続した訓練セッションの間、犬はステップバイステップで、徐々に難しくなる課題に向き合う
ことになります。このようにして、犬は自分をより向上させていくことを学びます。犬は自分の仕事が
好きなので、スタミナと共に知識の境界を広げていくことができます。
もちろん、私たちは犬の潜在性が何であるかということを見つけ、それを訓練方法に取り入れていかな
くてはならないということも覚えていてください。私たちはサーチ・アンド・レスキュー犬のための 1
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つの訓練方法をもっていますが、犬種または個体において、可能性のあるもっとも高いレベルまで訓練
するために、個別の訓練アプローチが要求されます。私たちの訓練方法は、犬の生来の能力と、生来の
ドライブに直接結びついています。ハンドラーは、自分の犬に対する特別な理解が期待されます。ハン
ドラーは自分のパートナーとして、犬を受け入れることを学ばなくてはなりません。犬は捜索しようと
します。ハンドラーが犬をサポートし、犬のアラートに気づいて読み取るために、犬を理解しようとし
ます。ハンドラーは犬に対して、コマンドに反応するよう教えているのではなく、犬のドライブを捜索
意欲として刺激しています。犬は常に、捜索を実行するための言葉で表現されるものと、そうでないも
のの両方の余地を与えられなくてはならないという理論です。
発展
しかし、まず最初に私たちの方法がどのように発展してきたかを見てみましょう。サーチ・アンド・レ
スキュー犬が南イタリアの大地震災害の後に、生存者の捜索中に多くの遺体を発見することになった、
1980 年にさかのぼらなくてはなりません。ハンドラーとして、私たちは犬たちの行動の変化に気づき
ました。そしてそれが、私たちの研究プロジェクトを始めた瞬間でした。そのとき、私たちは互いに言
い合いました。「生存者と遺体の違いが特別な訓練でわかるようになったら、サーチ・アンド・レスキ
ュー犬と作業をする我々の王冠になるね。」 もしサーチ・アンド・レスキュー犬が、瓦礫の下にいる生
存者と死者の違いを告知できたら、これは救出には決定的に重要になるでしょう。そのときまで、ハン
ドラーは瓦礫から上ってくる人間の匂いについてのインディケーションのみを得ることができていま
したが、その人間がまだ生きているか死んでいるかについては、わかりませんでした。救出の間、何が
まず掘り出されるか、つまり生存者か死者かは運の問題でした。
サーチ・アンド・レスキュー犬と作業をしたい人は、誰であっても利用可能な方法を使わなくてはなり
ません。私たちもそのように 70 年代はしていましたが、間違っていたことがたくさんあるということ
に、すぐに気づきました。私たちは、犬はある方向、または他の方向から、私たちが使用していた訓練
規範が好きではないということに気づきました。それが、私たちが自問自答した理由です。「私たち同
様、多くのハンドラーが持っている捜索やトラッキング面での問題は、何によって引き起こされている
のだろう?」 私たちが見つけた答は「なぜなら、私たちは犬のドライブを考慮していないから」とい
うものでした。
まだ自分たちがしていることを意識していないハンドラーがたくさんいたために、そのままに時間は過
ぎました。彼らは人間側から見て正しく見えるエクササイズから始めます。しかし、彼らは犬が先祖と
同じ重要な行動パターンを持っていることを忘れていました。つまり、犬が「機械として」訓練された
場合、そしてこれは捜索の断続的な瞬間だけになり、その人はたぶん捜索とトラッキングができる犬を
手に入れるだろうということです。しかしこのような犬は、喜んでいませんし、すぐに作業をやめてし
まうでしょう。犬の生来のドライブを刺激して、意図的に作業させる代わりに、その人は儀式的な行為
でそれを減少させ、しばしば物質的問題に感情的な価値を置きます。しかし、このような犬は、傍から
見ても集中力と捜索への熱意、そして、より長時間の捜索を実行する捜索ドライブが欠けています。
たくさんの訓練分野で、訓練は機械的な形式で行われるでしょう。たとえば、犬にオスワリを教えるこ
とです。私たちは左手を犬のお尻に置き、リーシュで犬を引きあげながら、同時に「オスワリ」という
命令を与えます。この場合、あなたは何の犬の知識も必要ではなく、インストラクターがあなたに言っ
ていることだけを聞いていればいいのです。
もちろん、これもサーチ・アンド・レスキュー犬に可能ですが、この機械的な訓練の類は、ハンドラー
と犬にとって大きな欲求不満にもつながります。このような方法を、私たちは犬の捜索作業への好奇心
に使っていました。犬が遭難者を見つけるや否や、犬が何をしているかわかっていなくても、私たちは
審良家に機械的に作業します。「いい子だ! 見つけたね。吠えろ!」 犬は吠えたら褒められます。し
かし、それは何に対しての褒め? 答は、吠えたことに対して。発見に対してではありません。
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古いルールによって、サーチ・アンド・レスキュー犬は吠えることで、瓦礫の下の人間の匂いをインデ
ィケーションするように学びました。その後、私たちは吠えることそれ自体が、サーチ・アンド・レス
キュー犬の最善のアラートではないことを発見しました。ある場所にじっと立ち、瓦礫の中をしつこく
嗅いだり、引っ掻くこと、人間の匂いを発見した時の特徴的な体の姿勢、そして徐々に、自然に発生す
る犬の吠えは、遭難者の位置と状況に対する、ずっと信頼できるアラートです。
私たちは同様に、バークアラートを使うことも疑問視しました。なぜなら、過去に吠えるエクササイズ
が頻繁に、攻撃の表現と関連づけて犬を訓練するために使われたからです。これは攻撃的で予知できな
いサーチ・アンド・レスキュー犬を引き起こします。そして、私たちは中にはヘルパーが横たわってい
るところを避けようとする犬がいることを発見しました。犬のボディランゲージは、特定の「遭難者」
の臭いがあるということを告げていましたが、犬は吠えることなく歩き去りました。これらは吠えるの
が好きではない犬たちでした。吠えることは彼らの特徴の一部ではありませんでした。ハンドラー(とイ
ンストラクター)の中には、吠えることが唯一で理想的な方法であると見る人もいます。しかし、このよ
うな見方は、特に簡単に吠えない犬にとっては、非常に煩わしい結果になります。なぜなら、彼らはあ
らゆる手段を使っても吠えるようにさせられるからです。
私たちは、完全に咬捕用装備を身につけた「遭難者」を犬の鼻の前に横たわらせ、部分的訓練でするよ
うに、犬が見て吠えなくてはならないようにした訓練の経験があります。または、より深刻なところで
は、犬は「遭難者」に吠えるようにからかわれ、攻撃的になったという結果もあります。このような犬
は、サーチ・アンド・レスキュー犬として作業することに、ふさわしくないということになります。残
念なことに、これはまだずっとたくさん瓦礫や原野捜索で行われていて、その特徴にあっていない状態
でアラートが強要されています。これはしばしば、違うアラート方法に対する専門知識がない訓練士の
結果なのです。
なぜこうもたくさんの人々が、犬に犬が実際好きではない行動を使って、アラートをさせたいと望むの
でしょうか? なぜなら、彼らは犬を知らないし、捜索中の犬の行動についても何も知らないし、それ
に対して注意を払わなさすぎるからです。民族学と行動学研究は科学であり、そこからサーチ・アンド・
レスキュー犬のハンドラーは、たくさんのものを学ぶことができます。
私たちは当時、どんなアラートでも満足し、犬のどんな形でも吠えることに非常に喜ぶという訓練をし
ませんでした。瓦礫の下に隠れた人間を発見するという結果が常に下がっていったことは、私たちの損
失でした。なぜなら、私たちは犬のドライブを使って十分に作業をしなかったからです。
初め、私たちはフードを使用することで、捜索の目的を強めようとしました。しかし私たちは幸運にも、
このようなことがたくさんの問題をもたらすと言うことに、すぐに気づくことができました。想像して
みてください。フードによって瓦礫の中を捜索するように訓練された犬は、もはや人間の匂いを捜索し
ているのではなく、フードの臭いを捜索しているでしょう。70 年代終わりの私たちの作業は、雪崩犬と
の作業に強く影響を受けたため、私たちは人間の匂いのついた物品を捜索することで、人間の遭難者を
捜索する犬の能力を築こうとしました。再び、私たちはすぐに間違った方法をとっていることに気づき
ました。なぜなら、倒壊した家は人間の匂いのついた物品だらけだからです。
従って、私たちは再び自問自答を行いました。サーチ・アンド・レスキュー犬とはなんなのか。ええ、
サーチ・アンド・レスキュー犬は、訓練と臭いを取る能力をもとにして、ハンドラーのために人間の匂
いをインディケーションすることができる犬です。非常にシンプルで明確で、これが全てです。その後、
私たちは以下の結論にたどり着きました。サーチ・アンド・レスキュー犬は、普通、実際のミッション
の間、長時間かつ集中的に捜索しなくてはなりません。つまり、これを遂行するために、犬は訓練中に、
捜索することが本物の情熱になるところまで、持ってこられなくてはなりません。
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非常にはやく、私たちはもっとも効果的で成功する訓練は、本質的な行動が最後まで作業をし遂げると
いう欲求に移行する時、それは、犬の生来の能力とドライブの複合をもとにしたものであるということ
を発見しました。その方法からのあらゆる解離が、犬にとっての欲求不満を作り出し、私たちが犬に実
行させようとしている作業に関連した、不快さを犬にもたらしました。
しかし、主な疑問は、もちろん「どうやるか」ということです。どのモチベーターで、どの本能的行動
で、私たちはゴールを達成することができるのでしょう? 異なる可能性を考慮した後、私たちはハン
ティングが、人類が犬を使っていた第一の仕事であったことに気づきました。ハンティングは犬のもっ
とも強力な専門分野です。そしてハンティングは捜索です。犬のもっとも必要不可欠な特徴は、祖先、
つまりオオカミのそれと非常に似通っているので、サーチ・アンド・レスキュー犬の訓練で利用できる
かも知れない祖先のハンティング行動を理解することは、非常に価値のあることでした。
多くの疑問
私たちが望んでいたものは、ハンティングで犬を私たちのゴール、つまり、人間の捜索のために作業し
たい気にさせる役目である、ドライブの複合を使用することだけでした。理論を見ると、理論的に十分
に正しいように見えました。しかし、どうやってそれを実際に使えばいいのでしょう? ハンティング
のドライブの複合で作用をしている犬は、獲物を殺すために送り出されるべきでしょうか? このよう
な犬がオフリーシュで作業をすることに、信頼性を持ち得るのでしょうか? たくさんの疑問があり、
私たちはたくさんの疑いに悩まされました。さらに、私たちは専門文学では、著者が常に迅速なドライ
ブの満足について触れていることを発見しました。防衛ドライブのみが、同じレベルに留まっていると
書いてありました。
他のヨーロッパが攻撃ドライブをもとにした訓練を作るのに忙しくしている一方で、私たちは他の方向
への第一歩を踏み出しました。それはそう難しいことではなかったと、回想して言うことができます。
私たちは、野生の犬が食料を獲得することに関連した、いくつかの分野を調べました。私たちは、訓練
プロジェクトの最初から、失敗を避けるためにあらゆる面からの項目をアプローチし、調査しようと望
みました。
この調査の期間の後、私たちは自分たちの犬が現在も、その複合ドライブを利用できる状態で持ってい
るのかどうかを見極めようとしました。非常に驚いたことに、私たちはハンティングドライブの複合は、
犬が肉体的に疲労するまで、ハンティング種の犬でなくても、刺激できるということを発見しました。
「実験用マウス」として、私たちには利用可能な数頭の未訓練の犬がいました。私たちは本当に、正し
いドライブを使用することで、プレッシャーや不適当なサポートなしに、これらの犬に望んでいる行動
を引き出すことに成功しました。
犬自体の試行錯誤の学習方法に従って、犬は自分で作業の正しい方法を発見することができました。
「犬
らしく」が私たちのガイドラインで、私たちはそれを守りました。自分たちの「実験用マウス」が非常
に短い時間で、他の方法では何年もの集中訓練によってのみやっと到達できていた、、捜索に対する本
物の熱意を示した時、私たちはぞくそくしたものです。私たちは、自分たちの新しい方法が正しいもの
であったと発見しました。
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