しゅくがわスカウト広報誌 西宮第 3 団 団報 NO.10 2007年 夏 第21回世界スカウトジャンボリー(21WSJ) いよいよ世界スカウト運動100周年記念の世界ジャンボリーが始まり ます。概要と事前情報をご紹介いたします。3団からも6名のスカウト が参加します。世界を感じてきてください。 期 間: 2007年(平成19年)7月27日(金)∼8月8日(水)13日間 場 所: イギリス エセックス チェルムスフォード ハイランズ・パーク テーマ: ひとつの世界、ひとつのちかい (One World One Promise) 参加者: WOSM加盟の155の国と地域 他 合計40,000人 ↑ジャンボリーバッジ↑(21WSJの公式バッジ) これは、各国派遣団のユニフォームに付けられる。ここに表されているのは、スカウト活動新世紀の日の出 で、さらにジャンボリー・サイトであるグリーン・パークランドの起伏と平和の象徴である鳩が描かれている。 今まで開催された世界ジャンボリーの歴史 回数 開催年月 開催国(場所) 参加人数 参加国数 日本からの 参加数 1 1920.8 イギリス(オリンピア) 6,000 34 3 2 1924.8 デンマーク(エルメルデン) 5,000 32 32 3 1929.8 イギリス(アローパーク) 50,000 69 28 4 1933.8 ハンガリー(ゲデロ) 25,092 33 10 5 1937.8 オランダ(フォーゲレンザンク) 27,000 54 11 6 1947.8 フランス(モアソン) 24,152 71 0 7 1951.8 オーストリア(バド・イスル) 12,884 61 2 8 1955.8 カナダ(ナイアガラ・オン・ザ・レイク) 11,139 71 14 9 1957.8 イギリス(サトン・パーク) 31,426 82 22 10 1959.7 フィリピン(マッキンリンパーク) 13,000 45 520 11 1963.8 ギリシャ(マラトン) 11.398 89 138 12 1967.8 アメリカ(ファラガット・ステートパーク) 12,011 105 320 13 1971.8 日本(静岡、朝霧高原) 23,758 87 7,783 14 1975.8 ノルウェー(リリハマー) 15,292 94 141 1979.8 イランで開催予定であったが、延期(*) 15 1983.7 カナダ(カナナスキス) 13,500 117 42 16 1988.1 オーストラリア(カタラクトス・カウトパーク) 14,634 98 548 17 1991.8 韓国(ソラク山) 19,083 135 2,675 18 1995.8 オランダ(ドロンテン) 29,060 166 1,236 19 1998.12 チリ(ピカルキン) 31,534 158 227 20 2002.12 タイ(サッタヒープ) 24,000 147 1,261 1 世界ジャンボリーを楽しむ!! ①世界のスカウトと交流ができ、友達が数多く出来る。 できれば名刺(簡単なカードでも良い)を持って行きたい。所属・名前・住所・あればイーメール アドレス・顔写真もあればなお良し。もちろん英語で書く。帰国後、メールや絵葉書が届くこと がある。プレゼントが届くこともある。前回参加したスカウトには、タイの女性スカウトからプレ ゼントが届いた♡ ①世界のスカウトとの記念品交換 各国、記念のワッペンを作っている。もちろん日本もある。それを交換しよう。会場内を歩いて いると、そこいら中で地面に布などを広げて色鮮やかなワッペンやチーフリング・ネッカチーフ 等を並べた交換会を行っている。時には制服も交換しあっている。日本の場合は、「はっぴ」が 「ハッピー!(HAPPY)」としたわれ大人気で、はっぴを着て歩いていると、その場で何かと交 換してもらえることがある。他に和の小物(扇子・ちょうちん・手ぬぐい・浴衣・御札・お守りなど) は人気があるので、いろいろと交換できる。準備していこう! アメリカ 少し海外の参加章をご紹介します。 ブルガリア ウルグアイ ② ニュージーランド その他アメリカは各エリアごとに肩章やジャケットに着ける大 型の物があります。 アルゼンチン 2 「母のワールド・ジャンボリー」 VS隊保護者 長谷川 久美子 久住高原(1994年)で開催された日本ジャンボリーの特集をテレビでみたことがある。10年以上も 前のことになるので詳細に覚えているわけではないが、阿蘇から北東に位置する久住連山の大自 然の中で、中学生、高校生という時代に、こんな素晴らしい体験をすることができる子どもたちもい るんだ、とうらやましく思って見たものだ。 私に示唆したつもりはないのだが、当時4歳だった息子は小学3年でカブ隊に入り、今は高校3年の ベンチャースカウトとなって活動を続けている。ボーイ隊にあがる頃、彼らの学年はジャンボリーの ハズレ年と聞き、せっかくボーイスカウトに入ったというのに、息子はあの体験ができないのかと心 底残念に思ったものだ。 とはいえ、機会はやってくるもで、息子は今年イギリスで開催される第21回ワールド・ジャンボリー に派遣してもらえることになった。だが、高3の夏というと、進学を希望する以上、大学受験に向け てラストスパートの時期である(もちろん、ウォーミングアップや助走等の準備があっての上だが)。 22日間のジャンボリー参加期間、加えて富士チャレンジキャンプに参加すること1週間と、高3の息 子の夏はスカウト活動で埋め尽くされる。果たして、この状況をどうとらえるか……、なんてことは 考えるまでもないことで、「今」しか体験できないことは優先順位のトップに他ならない。 歴代の先輩スカウトの経験に支えられ、この夏、我が3団から6人の子どもたちが派遣スカウトとし てワールド・ジャンボリーに参加する。国を超えて同じスカウト活動をする仲間たちと出会い、ふれ あい、見聞を広げ、これまでにない体験をし、感動を得て、ひと回りもふた回りも大きくなって帰って くるにちがいない。テレビでみたあの久住高原の様子を記憶の底から引っ張りだして、今もなお感 動にふけっている私である。 そして・・・・追加 「ワールド・ジャンボリー説明会でのちょっとした出来事」 今年のジャンボリーには、兵庫県から約70名のスカウトが派遣される。3月には参加スカウトの初 顔合わせと保護者への説明会が開かれた。名誉なこととはいえ、未成年の子どもを海外に送り出 すということは、親にしてみれば大なり小なり不安がある。日程や持ち物、出発するまで何をしない といけないかなど、さすがに海外となると子どもばかりに任せておけるものではないと、この私も参 加した次第である。 3 終盤の質問時間に、携帯電話をもたせてもよいのか、と1人の母親がたずねた。 それについて、日本連盟にも在籍している女性リーダーが、 「海外では日本の電化製品への羨望が強く、日本からのスカウトの持ち物に関心がもたれており、 実際に前回のジャンボリーで、日本のスカウトの持つ携帯電話が盗難にありました」 と答えた。「推して知るべし」の回答だったと思う。 しかし、さらにその質問者は、わが子との連絡はどうしたらいいのか。日々の状況はインターネット で流してくれるのか。なにか事が起こったときの対応は(携帯電話を持っていない状況でも)きちん とできるのか、ジャンボリー会場の警備テロ対策なども万全かどうか、などつぎつぎと並べたてた。 説明会そのものがあまりテンポのよいものではなかった上に、同一人物からの建設的とは言えな い質問が続き、一緒に参加していた3団の母3人はウンザリしていた。 そこへきて、おまけに班隊長が、 「携帯電話がここまで普及している以上、ケータイを使ったプログラムを入れることも考えてもいい かもしれませんね」などと言うではないか。自然の中でいろいろなことを身につける、そんなボーイ スカウトの活動に惹かれて、子どもの入団・活動を応援してきた。なのに、ワールド・ジャンボリーで 携帯電話はないだろう。 もう黙ってられない! この辺で言っておかないと、話がどんな方向に行ってしまうやら!である。 母2人の応援を得ながら、私は手を揚げた。 「スカウト活動は、非常時にどう対応していくかを身につけるものと認識しています。従って、携帯電 話をプログラムに組み込むというのはいかがなものでしょうか。すくなくとも西宮第3団では、訓練 活動に携帯電話を所持することは禁止しています。ただ、こっそり荷物に忍ばせている親御さんが いらっしゃるのかもしれませんが・・・。また、私自身、息子を初めて海外に送り出す親として当然心 配ではありますが、決めた以上、無事に帰ってくれることを祈り、同行していただくリーダーに全幅 の信頼を寄せるということで、よろしくお願いいたします」 意見を言い終わると、どこかから拍手がパラ、パラと起こり、すぐに会場全体に広がっていった。 世の中捨てたもんじゃない。同じ思いの保護者が大半であったことを確認でき、安堵した3団の母 たちであった。 4 母親から見たスカウト活動 ∼ ひらしま編 ∼ カブ1隊 保護者 平島千秋 現在、うさぎの和博は、4人姉兄の末っ子。とは言え、上の3人とは歳が離れているため、我が家 では、大人ばかりの中に子供が1人という状況なのです!このままでは、ついついみんなが何でも 手を貸してしまい、依頼心の強い子のなってしまうのでは?!とい不安もあり、ボーイスカウトに入 れることにしたのです。 長男も次男も10年前にカブスカウトに入っていたこともあり、迷わずビーバーから入隊させてい ただきました。 入隊した当初は、いつも隊集会の日の当日のなるとお腹が痛∼い!だの、行きたくな∼い!だの、 泣いてばかりいて、本当に入隊させて良かったのだろうかと悩んだ時もありましたが、今では、「今 日はどこ行くんやろ?何するんやろ?」とカブの集会が自分の生活の中の一部になってきた様で、 口には出さないけれど楽しみにしている様です。 10年前、カブスカウトだった兄達も、今や大学2回生と高校3年生。2人ともボーイに上がる前に 夫の転勤で少し日本から離れてしまった為、帰ってきたときには、受験前の中学生になっていたの で、ボーイスカウトに戻る気は、全く無かったのです。でも、和博が入隊したお陰で、何かの縁があ ったのでしょう!ビーバーのリーダーの水口さんと同期だったのと、隊長からのお誘いもあり、長男 は、現在リーダーとしてお手伝いさせてもらっています。この事が励みになり、和博もカブの集会を 楽しみにしているのかもしれません。 「兄ちゃんビーバー行くん?かずも今日カブやで∼!」と集会の当日の会話を聞いてると あ∼微 笑ましい。あの時、辞めずに良かった! と私はひそかに自己満足しているのです。 先日、春のキャンプの付き添いに私も一泊だけ、行ってきましたが、隊長やリーダー達の子供 達に対する思いがヒシヒシと伝わってきました。 活動内容は、もちろんの事ですが、食事1つにしても、出来るだけ美味しいものをお腹一杯に食 べさせてやりたい!という隊長の言葉には、感動させられました。 自ら手作りのウインナーや焼き豚を持ってきてくださり、それを使っての料理。野外でこんな贅沢な ものを食べれるなんて、子供たち幸せだな∼っと思いました。 時々、和博は「あの時のウインナーとキャベツのスープめっちゃ美味しかったな∼また食べたいな ∼」と言っています。隊長、リーダー達に感謝です。 お父様、お母様方も時には、隊集会に一緒に参加されてみると、肌で感じられる事と思いますよ。 是非、皆様も一緒に参加される事をおすすめします。 5 父親から見たスカウト活動 ∼むらかみ編∼ 「息子がお世話になっております」 ボーイ1隊保護者 村上雅英 初めまして、次男の雅俊が現在ボーイ隊1隊のオオカミ班でお世話になっています村上です。 長男が小学校6年の夏から芦屋浜にある海洋体育館を拠点に活動しているジュニアヨットクラブに 入った直後から、当時、小学校3年生だった雅俊は友達に誘って頂いてカブに入隊しました。兄の ジュニアヨットクラブでは、親が全面的に参加することで成り立っている活動であり、親の負担が大 きく、カブスカウトの活動に親が殆ど参加できず申し訳なく思っています。 雅俊は長男とは性格が異なり、ヨットやスキーにも余り興味を示さず、友達も少なめで、専ら家でゲ ームばっかりしていました。しかし、冷めていて集団で行動することに対して積極的ではありません でしたが、カブに入隊して、野外で活動する機会を与えて頂き少しは集団生活になじむようになっ てきたのではないかと思って喜んでいます。 雅俊が3歳の頃に家族で海外に1年間滞在したことがあり、トレッキングに行っても雅俊は歩くのが 嫌いで殆ど私が背負っていたことを思うと、六甲山を迷いながらも我が庭のように歩き回っている 今が嘘のようです。カブに入隊するまでは、親が「歩け!歩け!」と言っても石像のように動かなか った子でしたが、歩けるようになったのはリーダーの皆様のご指導や班の友達先輩のおかげと感 謝しております。 最近の子供の遊びはゲーム中心で、外で体を動かして遊んだり、物作りをしたりと我々が子供の 頃にしていた遊びは殆ど姿を消してしまっています。また、価値観の多様化や核家族化が進んだこ とにより、社会奉仕や集団生活になじめない子供も増えて来ています。昔では考えられないような 青年の犯罪が増えている理由は、ゲームのような架空の世界で遊んでおり、子供が成長する過程 で社会人になるために必要な実体験ができていないためと思っています。我々の子供の頃と時代 が変わり、遊びの中その様な体験をさせることが難しくなった今、ボーイスカウトの活動は、大変意 義のあるものと思います。今後も、色々ご迷惑をお掛けすることもあると思いますが、宜しくお願い 申し上げます。 6 日本連盟発行「スカウテイング」誌2007年4月号に掲載された 「学ぶ機会」について ボーイ隊隊長 高田真志 私の投稿文がスカウティング誌に掲載され、団・地区内だけでなく多くの方々から良い反 響のお言葉をいただきました。また、団報に私の投稿文を掲載したいとの連絡をいただき私 の書いた文章がこのように皆様に取り扱っていただける事に感謝の気持で一杯です。 しかし、この文章を掲載する前にお詫びしなければならない事があります。実はこの投稿 文にはウソがありました。携帯の話の中で出てくるスカウトの行動に関して私の中途半端な 記憶により事実をしっかりと認識せず勝手な状況を投稿文の中に作り出してしまいました。 実際、このスカウトは自分の出来る事を全てやり尽くし本当に限界の状態で連絡をして来た のです。この文章にたいしてお褒めの言葉をいただく度に心苦しく、またそのスカウトに対 して申し訳ない気持で一杯になります。 そんな中での団報への掲載依頼でしたので最初はお断りしました。しかし、是非にとのお 誘いにお詫びを込めて文章を事実に沿って訂正し掲載する事とさせていただきます。指導者 としてスカウトの名誉を傷つけてしまったこと、心よりお詫び申し上げます。本当に申し訳 ありませんでした。 改めて「学ぶ機会」改訂版 昨年、5名のスカウトが2級進級への挑戦ハイキングを実施しました。私達の団では昔か ら2級挑戦ハイキングは一人で行っています。当然、野帳も一人で付けるのですから観察、 歩測、角度、全て一人で行い15キロ程度の道のりを歩き報告書を提出してやっと2級の全 課程が終了します。今年で隊長も7年目になりますが、去年初めてある事を許可しました、 それは携帯電話です。 基本的に活動には必要の無いものですから普段の集会では持ってこないように指導して います。ただ、この数年の間に携帯の普及に伴いある現象が起きてきました。町中から公衆 電話が無くなってきたんです。集合時間になっても来ないスカウトがいる場合、班長は電話 をしますがその電話が無い、、、。結局リーダーの携帯を貸して連絡させているのが現状です。 そんな状況の中、2級挑戦ハイキングにスカウトを出す時ある事に 悩んでいました。スカウトには必ず出発と到着の電話連絡を指導者に する事を義務づけています。ところが公衆電話が少ないためその連絡 が出発到着ポイントで出来ないんです。結局、出発から1時間程して 7 から、到着は家に帰ってからの連絡になる事が多々あり、こちらは「もう出発しないと、、、」 「もう到着していて当然の時間なのに、、、」と不安とイライラを募らせる事が毎度の事にな っていました。そこで、昨年2級挑戦ハイクに関してだけは携帯の所持を許可したんです。 そんな中、1名のスカウトから道に迷ったとの連絡が携帯から入りました。それを伝え聞 いた私の最初に思った事は「しまった!」でした。当然、隊長として2級ハイクに行かせる にはそれなりに経験を有したスカウトであり技能的にも大丈夫と私が判断しており、またコ ースも何度も通ったコースを選んでいます。それでも道を間違えるスカウトは過去にもいま した。しかし、彼らはそのような場合どのように対処し克服するかと云う術をそれまでの経 験から体得しており何とか全コースを完走するスカウト、中には途中でリタイアし再挑戦す るスカウトもいました。 もし道に迷ったら地図を見ながら目指すべき目的地を探すために見晴らしの良い場所へ 移動し地図とにらめっこをするか、来た道を逆に戻り分かるところから改めて正規の道を発 見しハイキングを続けるか。彼の場合、最後まであきらめずに迷った場所から正規のルート に戻るべく努力をしたのですが時間的にも体力的にも精根尽き果てて最後に携帯で連絡を 取ってきました。 私が「しまった!」と思ったのは、携帯を持たす事で彼から困難を克服する為に自分で考 え行動する機会を奪ってしまったのでは?そういう思いから出た感情でした。結果として彼 はやるべき事をやり尽くし最後に携帯を使用したので、今回は携帯のお陰で難を逃れる事が 出来たと云う結果になりましたが、今後も全てがこのように行くかどうか?簡単に道に迷っ た事で携帯を使用するスカウトが出てこないとも限りません。 では、私は携帯を持たす事によって何を得ようとしたのでしょう?今回の様なケースの為 に、、、私はそう思って携帯を所持させたのでしょうか?いいえ、違います。先に述べた私自 身の「不安」と「イライラ」を解消出来る、出来た。それ以外に何があるのでしょう。自己 の欲求を満たす事でスカウト達の大切な「学ぶ機会」を私は奪ってしまっているのでは?自 問自答する日々を繰り返すことでスカウト活動、スカウト教育法の意義を再考する機会を逆 に私自身が得る事が出来ました。 私の団の話に戻りますが今も BS 隊のテントは家型で個人装備はキスリングを使用してい ます。ドームの方が便利だし軽いし管理も楽、アタックの方がかっこいいし軽いし。じゃ、 なぜ不便だし、重たいし、かっこ悪い(私はそうは思いません が、、、)物を使うのか。 当然そこにはスカウト達が学ぶ多くの事が潜在しています。 家型テントは皆の協力が無くてはきっちり張れません、弛んで 8 張られたテントの内部は狭く、長い日数快適に過ごすには無理があります。班員達と協力し て奇麗に張られたテントには協力する事の大切さとそれにより快適な野営生活、皆で力を合 わせて何かを作り上げる喜びをスカウトは体得するでしょう。キスリングは現存するリュッ クの中では一番使いにくい、詰めにくい物でしょうが反面一番強度のあるリュックでありま す。新入隊員の詰めたキスリングは必ず達磨が如き真ん丸な形になり、それを班長が「両サ イドからこうして詰めるんだよ∼」と指導して詰め直す、それでも「なんとものすごいこの 荷物!」なんですね。でも4年間の経験を有する班長は新入の半分くらいの大きさで必要備 品はしっかり詰まってる、それに加えてキスリングの上にはテントや炊具の班備品を載せて 颯爽とキャンプ場へ、そんな姿を班員達は憧れと尊敬の眼差しの中、重たく担ぎにくい荷物 と戦いながら必死に付いて歩く。教わる事と教える事、苦難や失敗を経験するからこそ生ま れる考える力と創意工夫、先輩への憧れといつの日か自分がその立場になる事へ準備。そん な事をスカウト達は学んでいるのでしょう。 便利さやかっこよさをスカウト達に体験させる為にキャンプやハイキングに連れて行っ ているのではありません。そこには彼らが行う事によって多くの事を学ぶ機会を私達は提供 しているんです。そうであるならば少々スカウト達や保護者に見た目の不評はあったとして も指導者としてその機会をスカウト達に与える事を考え行動する事が必要です。 ボーイスカウトは教育であって福祉活動ではない、最近この言葉を良く耳にします。社会 や環境の変化を理由に私たち成人指導者はスカウト達から貴重な「学ぶ機会」を奪ってしま い、単なる福祉活動に陥っていないでしょうか。ベーデンパウエルが最初にこのボーイスカ ウトを自分の手で始めようと思ったのはスカウティング・フォア・ボーイズを読んだ少年た ちの冒険心、好奇心に満ちた目の輝きに答えなければならないと考えたからではないでしょ うか。ボーイスカウト創始100周年のこの年に改めて思うスカウトの原点。私たちはスカ ウト達の目の輝きを曇らせてはならない、学ぶ機会を奪っては行けない。私たち成人指導者 もスカウト達に負けず劣らず冒険心と理想を胸にボーイスカウトの新たな世紀を歩んで行 きたいものです。 9 日本連盟発行「スカウテイング」誌2007年4月号より 広報担当 大垣昭博・恵子の投稿が掲載されました ∼ボーイスカウト隊長期キャンプについて∼ 一部抜粋 スカウティングNo、644号の「ボーイ隊の長期キャンプ」を興味深く拝見しました。兵庫・西宮地区、 地区コミッショナー中島さんのコメントにありました「10拍以上やっている団もあり・・・」 その、10拍以上のキャンプが40年以上も続けられている団が、私たちの西宮第3団です。 あえて、自隊のキャンプや活動を広報しないままでおりましたが、スカウテイングNo、645号の「読 者の声」欄で、ボーイ隊の長期キャンプに「5泊6日なんて現実不可能」や「5日以上にするというの は、普通の団の常識を破るもの」などのコメントを拝見しまして、いろいろな問題を抱えながらも、春 は一週間、夏は10泊以上のキャンプを継続している我が団を多くの方に知ってほしく、メールいた しました。 カブスカウト隊も、夏はボーイ隊と同じ場所で、一週間の舎営を行っています。 昭和46年から信州小谷村に宿泊ができる古民家を持っていることなど、条件は恵まれていますが、 若いリーダー・社会人の奉仕・保護者の理解と奉仕により運営されています。 大自然に囲まれての長期野舎営は、毎年色々なドラマを生み、子どもたちの心にすばらしい思い 出を残すとともに、「また来年も来るぞ!」とボーイスカウト活動を継続することの原点にもなってい ます。 日本ジャンボリー開催時も、閉会式後、ジャンボリーの祭典の思い出を片隅に置き、そのまま「ぼく 達のキャンプ」に直行です。水道も無い原始林の森の中でのキャンプ。大自然の中で、長期間自分 たちの力で生活することによって、子どもたちは五感を研ぎ澄ましながら、様々な葛藤・人間関係・ 苦しみを味わいますが、閉営式で男泣きをするスカウトたちを見ていますと、本当にすばらしいキャ ンプであることを痛感します。 40年以上も継続されているキャンプでは、その活動内容も変ることなく引き継がれており、便利な キャンプグッズが出回っている今の時代からは考えられないぐらい原始的なキャンプです。 春3月は、市内の近くの山で一週間のキャンプです。 他団ではリーダー不足も問題視されているようですが、自団で育ったリーダーたちが、ボーイ隊の キャンプを支えています。キャンプ場から就職活動や、大学のクラブ活動に出向いたりしながらも、 夜はキャンプ地に戻ります。 10 普段活動から遠ざかっているローバースカウトの一員や現役を離れたスカウトクラブの人達が リュックを背負いふらりとやってきて、本部スタッフの飯炊きや工作物を作ったり時間を忘れて語り 合ったりしています。この仲間意識こそキャンプで得たものであり、西宮3団の伝統です! 長期キャンプを体験し続けた者にとっては、キャンプは「生きる原点」になっていることと感じます。 私たちの団は、確かに環境的にも恵まれてはいるかと思います。しかし、何も問題が無いわけでも ありません。 スカウトの減少を食い止めるため、団委員とリーダーが力を合わせて体験入隊会を年二回行い、 増員活動をしています。成果も出ています。保護者同士の連携・リーダーとの連携も積極的に、塾 やクラブ活動との両立の問題などをかかえながらも、今年も春 のキャンプのプログラムが例年通り完成しました。 私たちの団の活動が、皆様の団の長期キャンプを考える際の ご参考になればと願っています。 この掲載内容に対してのスカウティング読者からのコメント (2007年5月号より) ☆10泊キャンプ実施団の投稿には衝撃を受けた。10拍は無理としても、長期キャンプの提案をす る後押しになる。 ☆「長期キャンプは大事だな」とみんなが思えるようになったら、それがたとえ実現しなくてもキャン プの意識が認識され通常の活動の変化へと繋がるような気がします。 ボーイスカウトに本連盟平成19年度事業計画の重点事業の一つに ボーイ部門の「長期キャンプ」実施の提唱 「野外活動に求められる教育的効果は、週末のキャンプ程度では時間も限られており活 動テーマも多くは望めない。宿泊数が多い野外生活は、確実に青少年の成長を促すこと が日本ジャンボリー等への参加スカウトからも実証されている。そこで、日頃の訓練成 果を発揮すると共に、自信を高め自己を見つめ直し畏敬の念を感じとれるなど新たな発 見を得る機会として「5泊以上の長期キャンプ」を各隊が実施することを提唱する。」 とあります。 11 弥栄「世界スカウト運動100周年」 発祥 1907年、B-Pは自らの体験を基に『スカウティング・フォア・ボーイズ』(「少年のための 斥候術」)を刊行し、8月1日イギリスのブラウンシー島でB-Pと20名の少年たちで実験キャ ンプを行った。この本が評判になり、本を読んだ少年たちは自発的に組織(パトロール/班) を形成して善行を始める。これがボーイスカウト運動の原点・発祥とされている。 その後1909年 スカウト運動がアメリカへ伝わる。ボーイスカウト運動がイギリスからアメ リカ合衆国に広がるきっかけとなったエピソードが「無名スカウトの善行」として伝えられ ています。ここに紹介させていただきます。 「無名のスカウトの善行」 1909年秋のロンドンで、シカゴからきた出版業者ウィリアム・ボイス(William D. Boyce)は、ロンドン名 物の濃霧のせいもあり、道に迷って困り果てていた。 その時、霧の中からひとりの少年が近づいてきて、「何かお役に立つことがありますか。」と声をか けた。 ボイスが、行き先がわからないことを伝えると、少年はボイスの荷物を手にとり、先にたって ボイスを案内した。彼の案内によって無事目的地に着いたボイスは、習慣的にチップをあげようと ポケットに手を入れた。 しかし、少年はさっと敬礼をして、「私はボーイスカウトです。私に一日一善をさせてくださってあり がとう。スカウトは、他の人を助けることでお礼はもらいません。」と言い、ボイスが少年の名前を聞 く前に、ニッコリ笑って立ち去った。 仕事を済ませた後、イギリスのボーイスカウト本部でスカウト活動のことを調べ、またスカウト活動 に関する書籍を集めたボイスは、アメリカに戻ってから当時の大統領ウィリアム・H・タフト(第27代) などにこのことを話した。これがきっかけになり、1910年2月8日にアメリカのボーイスカウト運動が 発足することとなった。 15年後、アメリカのスカウトは100万人を越し、第一の功労者としてこの少年に功労賞(シルバー・ バッファロー章)を贈ろうということになった。しかし、この少年がだれだったのか、アメリカとイギリス のスカウトたちによる調査にも関わらず、わからなかった。 そこでアメリカのスカウトたちは、アメリカのスカウト功労章であるバッファローの姿の銅像を作って 贈ることとした。そこには「日々の善行を努めんとする一少年の忠実が、北米合衆国にボーイスカ ウト運動を起こさせた。名の知れざる少年のために」と刻まれていた。 1926年6月4日、ギルウェル指導者訓練所でこの銅像の贈呈式が行われ、当時の英国皇太子プリ ンス・オブ・ウェールズがスカウト制服を着用してこれを受領した。 12 世界スカウト機構 世界的組織である「世界スカウト機構」(WOSM, World Organization of the Scout Movement)には、 155カ国と26地域のスカウト組織が加盟しており、事務局はスイス連邦のジュネーブにある。 2006年現在、世界スカウト機構(WOSM)に加盟している181の国と地域の他、加盟していない35カ 国を合わせ、216の国と地域で活動が行われており、参加総人口は2,800万人にのぼる。 豆知識 ボーイスカウト出身の著名人 海外・・・ジョン・F・ケネディ(第35代アメリカ合衆国大統領)ビル・ゲイツ(マイクロソフト社の創業者) スティーヴン・スピルバーグ(映画監督)デビッド・ベッカム(サッカー選手)ロナルド・W・レー ガン(第40代アメリカ合衆国大統領)ウィリアム・J・クリントン(第42代アメリカ合衆国大統領 妻のヒラリー・クリントンもガールスカウトであった) 他多数 日本・・・野口聡一(宇宙飛行士、茅ヶ崎2団ビーバー隊副長)橋本龍太郎(元首相)長野博(V6・歌 手)宮川大輔(お笑いタレント)石井竜也(ミュージシャン)マイク真木(俳優、港第1団カブ 隊)ビーバー隊の歌集にはマイク真木作詞作曲による「キャンプだホイ」が収録されている 他多数 今年も夏季長期野・舎営が始まります。スカウトたちの班サイトから響く歌声・笑い声を池原の地は 待っていることでしょう。 班サイトにもこんなすばらしい工作物が出来上がることを楽しみにしています。 ←食器置き 食卓→ 13 編集後記 我が3団、山田明良団委員長が平成19年4月1日から平成21年3月31日まで二年間、日本連盟 教育本部副コミッショナーに任命されました。山田明良団委員長は、兵庫連盟理事長、西宮地区 副協議会長も兼任で、ボーイスカウト活動に長年尽力されていらっしゃいます。ご多忙な中、わた したち3団の活動の舵を取ってくださり、それがゆえ、私たちは安心してスカウト活動を行うことがで きます。 ボーイスカウト活動が低迷化する中で、活気のある我が3団!伝統を継続させながらも、時代とと もに新しい視野も持ち、これからも歩んで行きたいと思います。 今回の挿絵の一部はボーイ1隊保護者村上様に寄稿していただきました。ありがとうございまし た。 弥栄「世界スカウト運動100周年」の記事はインターネットフリー百科事典「ウィキペディア」より引 用しました。 次号はこんな話題を・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ボーイスカウト日本連盟「平成19年度事業計画」重点事業の 3 項目目に ③ボーイとベンチャー部門再編成についての研究 「スカウト教育法」は、青少年の成長を促すため思春期の当該年代を中心にプログラミングされて おり、各要素を個別ではなく総合的に活用して初めて効果が期待できる。 特に高校生年代には、自己実現に向けた専門性の高い活動と共に、自らの経験と修得技能を隊 活動の中で発揮できる環境整備と機会提供が必須であり、リーダーシップを養うことができる。そこ で、区分されている二つの部門を統合し再編成することでそれらの達成に向けた研究を行うととも に、全国的な周知を図りながら、その期待できる成果を確認するための実験を試みる。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・とあります。この件に関してご意見要望をお聞きし一緒に考えていきたいと思います。お待ちしております。 日本連盟の資料・プログラム委員会資料は http://briefcase.yahoo.co.jp/kotaroh06252 こちらからご覧下さい。 発行 ボーイスカウト兵庫連盟西宮第3団 団委員長 山田明良 広報担当 大垣昭博・大垣恵子 HPhttp://www.shukugawa-scout.net/ Mail [email protected] 発行 平成19年7月 14
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