2-1 第2章 不動産業に

目 次
第1章 土地・住宅の経済学の基礎
………………………………2-1
第1節 日本経済の推移と現状 ………………………………………………………2-3
1.フローとストック ………………………………………………………………2-3
2.フローの面から見た日本経済 …………………………………………………2-3
3.ストックの面から見た日本経済 ………………………………………………2-3
第2節 経済安定政策 …………………………………………………………………2-3
1.金融政策 …………………………………………………………………………2-3
2.財政政策 …………………………………………………………………………2-4
第3節 財政の仕組みと働き …………………………………………………………2-4
1.財政の機能 ………………………………………………………………………2-4
2.財政の仕組み ……………………………………………………………………2-5
第4節 国民経済 ………………………………………………………………………2-5
1.国民資産統計 ……………………………………………………………………2-5
2.国民所得統計 ……………………………………………………………………2-6
3.金利の波及効果 …………………………………………………………………2-7
4.インフレとデフレ ………………………………………………………………2-7
5.名目と実質 ………………………………………………………………………2-8
6.景気循環 …………………………………………………………………………2-9
第2章 不動産業におけるマーケティングの基礎 ……2-15
第1節 不動産業におけるマーケティング ………………………………………2-17
1.日本におけるマーケティングの発展と企業への定着 ……………………2-17
2.アメリカ・マーケティング協会(AMA)の定義 ………………………2-17
3.日本マーケティング協会(JMA)の定義 ………………………………2-18
4.不動産業のマーケティング …………………………………………………2-19
5.不動産業におけるマーケティングの必要性 ………………………………2-19
6.マーケティングの最終目的と留意点 ………………………………………2-19
7.マーケティング環境 …………………………………………………………2-20
8.マーケティング管理 …………………………………………………………2-21
9.マーケティング戦略 …………………………………………………………2-22
10.販売管理(セールス・マネジメント)………………………………………2-23
第2節 市場環境への対応化戦略 …………………………………………………2-24
1.競争対応化戦略 ………………………………………………………………2-24
2.競争地位別の競争対応戦略と需要対応戦略 ………………………………2-25
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3.戦略ドメイン概念 ……………………………………………………………2-27
4.戦略ドメインの策定 …………………………………………………………2-27
第3章 不動産業におけるマーケティング活動
………2-31
第1節 不動産業のマーケティング情報 …………………………………………2-33
1.不動産マーケティング情報システム ………………………………………2-33
2.不動産マーケティング調査 …………………………………………………2-33
3.不動産モチベーション・リサーチ …………………………………………2-34
4.不動産販売予測 ………………………………………………………………2-35
第2節 不動産業の店舗計画 ………………………………………………………2-36
1.これからの不動産店舗づくり ………………………………………………2-36
2.不動産店舗の立地 ……………………………………………………………2-36
3.不動産店舗の外観と設備 ……………………………………………………2-36
4.不動産店舗レイアウト ………………………………………………………2-37
5.物件陳列 ………………………………………………………………………2-37
第3節 不動産企画・不動産構成企画・不動産管理サービス企画 ……………2-38
1.不動産企画・不動産構成企画・不動産管理サービス企画の重要性と意義 ……2-38
2.不動産企画 ……………………………………………………………………2-38
3.不動産開発政策 ………………………………………………………………2-39
4.不動産コンサルティング・サービスと不動産アフター・サービス ……2-40
5.不動産構成企画 ………………………………………………………………2-40
第4節 不動産業の広告 ……………………………………………………………2-41
1.不動産広告の意義 ……………………………………………………………2-41
2.不動産広告展開の基本 ………………………………………………………2-42
3.中小不動産業者の広告表現 …………………………………………………2-42
4.不動産業の広告媒体 …………………………………………………………2-42
5.不動産業の虚偽広告と誇大広告 ……………………………………………2-43
第5節 不動産業の販売員活動 ……………………………………………………2-43
1.不動産セールスパースンの役割 ……………………………………………2-43
2.不動産セールスパースンの応対活動 ………………………………………2-43
3.新しい不動産セールス技法 …………………………………………………2-44
第6節 不動産業の販売促進 ………………………………………………………2-45
1.販売促進の意味 ………………………………………………………………2-45
2.オープンハウスとモデルハウス ……………………………………………2-46
3.ダイレクトメール ……………………………………………………………2-48
4.友の会、不動産フェア、講習会 ……………………………………………2-48
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第1章
土地・住宅の経済学の基礎
この章では、経済学の基本的な部分と市場経済のメカニズムについて説
明を加えています。
後半は国民資産統計、景気変動、物価、都心距離・立地選択、環境・土
地利用規制等との関連を説明しています。
数式や図に関しては、数学的な理解というよりも、その数式や図が意味
することの概略を理解するようにしてください。
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第4節 国民経済
1.国民資産統計
資産とは次の3つに分類されます。
a
再生産可能な有形資産…①純(償却後)固定資産(建物・構築物・設備等)、②
流動資産である在庫
s
再生産不可能有形資産(土地・森林・地価資源・漁場)
d
金融資産(現金・預金・債券・株式・貸出金・保険・売上債権)
一国全体について集計すると、一方の資金調達(負債)と他方の資金運用(資産)
とは一致するため、金融資産・株式の大半は、負債・株式により相殺されます。差
額はこの相殺によって消去されない「純」資産であり、「対外純資産」(外国に対す
る純債権)とよばれます。
そして、この相殺の対象とはならない在庫、純固定資産および再生産不可能有形
資産にこの対外純資産を加えたものが国民の正味資産であり、「国富」とよばれま
す。つまり、
国富=在庫+純固定資産+再生産不可能有形資産+対外純資産
となります。
一般にストック量《注1》の増加は、二つの原因によって生じます。一つは、ス
トックの新規形成です。在庫、純固定資産の場合には純投資、つまり償却・除去分
を超える投資で、土地の場合には造成や埋立への投資です。また、金融資産への投
資や新たな外部資金の調達によって、金融資産・負債のストックは増大します。
ストックの増加をもたらすもう一つの要因は、資産価格の変化です。投資財の価
格上昇は純固定資産等の名目ストック額を、債券や株式の価格上昇は金融資産スト
ック額の増加をもたらします。地価上昇は、土地資産の増加をもたらします。
国民資産統計の上では、第1の要因を「資本取引」とよび、第2の要因を「調整」
とよんでいます。そこで、
当期末残高=前期末残高+期中資本取引額+期中調整額
という関係が成り立ちます。
《注1》《ストック》
特定の時点における存在量として計測される経済量のことをいいます。
2.国民所得統計
国民所得勘定とは、一国において一定期間内に新たに生産された最終生産物《注
1》の価値額を推計した一連のフロー《注2》の勘定体系のことです。また、国民所
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得統計とは、国民所得と関連項目に関する統計のことです。
国民所得統計の諸概念の相互関係は次のとおりです。
総 生 産 額
国民総生産(GNP)
国民純生産(NNP)
国民所得(NI)
中間生産物
固定資産減耗
租税公課(間接税-補助金)
国民総生産(GNP)
内
国民総生産(GDP)
海外からの純所得
《注1》《最終生産物》
国内生産物(財・サービス)の総額からその資産のために国内で投入された「中
間生産物」(原材料の使用額)を差し引いたものをいいます。
《注2》《フロー》
一定の期間中における発生量として計測される経済量のことです。
国民総生産(GNP Gross
National
Productの略)は一年間に日本の国民が稼
い だ お 金 ( = 儲 け ) の 合 計 の こ と で す 。 一 方 、 国 内 総 生 産 ( G D P Gross
Domestic
Productの略)は一年間に日本の国内で稼いだお金(=儲け)の合計のこ
とです。
日本では、かつてGNPを使っていましたが、1993年後半からGDPを使うよ
うになりました。
生産されたものは、経済循環の過程で分配され、支出されるので、国内総生産(G
DP)は生産面、分配面、支出面のどの面から見てもすべて等しい価値額を表します。
このことを経済学で「三面等価の原則」と呼んでいます。
政府(内閣府)は、GDPを算出する場合に「三面等価の原則」を応用し、生産
面・分配面(所得面)・支出面(消費面)からの三通りの接近方法を駆使して、発表
された様々な統計を加工するといわれています。
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3.金利の波及効果
旧経済企画庁(現内閣府)の「第5次世界経済モデル」に沿って、金利の波及効果
を見ると次のようになります。
日銀が公定歩合を下げる→短期金利が下がる→長期金利が下がる→①株価②設備投資
③住宅投資④為替レート
① 株価
長期金利が下がる(→企業の資金調達コストが下がり、収益に寄与する)→株価
が上がる→資本コストが下がる→設備投資が増加する
② 設備投資のルート
長期金利が下がる(→資金調達コストが下がる)→設備投資が増加する
③ 住宅投資のルート
長期金利が下がる(→資金調達コストが下がる)→住宅投資が増加する
④ 為替レートのルート(米国金利が日本の金利より高い場合)
長期金利が下がる→日米金利差が拡大する→円安ドル高になる→(日米相対価格
の変化を通じて)輸出が増加し、輸入が減少する
4.インフレとデフレ
a
インフレ(インフレーション)
インフレとは、経済全体の現象として、持続的にモノの値段が上がることをいい
ます。インフレは、モノに対してカネ(通貨供給量)が多すぎることによって起こり
ます。
異常なインフレは、次のような問題を生み、経済を破綻させるといわれていま
す。
① 貨幣の価値が下がる。
②
物価上昇率が金利を上回った場合、預金をする人が少なくなり、金融が停滞す
る。
③
物価や金利などの上昇が激しいため、企業の長期的な事業計画が立てにくくな
る。
④
金利が物価上昇率よりも低いと、年金生活者などで金利で生活している人の収
入が目減りする。
⑤ 外国為替相場が不安定となり、輸出入に悪影響が出る。
⑥ 買占め、売り惜しみなどによる価格のつり上げが起きる。
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s
デフレ(デフレーション)
デフレとは、経済全体の現象として、持続的にモノの値段が下がることをいいま
す。経済学では、「デフレはデフレギャップ(総供給が総需要を上回ること)によ
って需要不足が発生し、値崩れが起こることに始まる。
」といわれています。
デフレは次のような経済状況を引き起こします。
① 価格の低下による企業収益の悪化。
② 倒産の増加
③ 失業の増大
④ 資金需要の停滞
⑤ 金利の低下
⑥ 株価・地価等の下落
⑦ 税収不足
これらの経済状況がさらに購買力や購買意欲を減少させ、ますます悪化する状態
のことをデフレ・スパイラルといいます。
5.名目と実質
GDPなどの経済水準を計算する際に、本当の経済活動の成果を把握するためには
物価変動分の調整が必要です。この調整前のものが「名目」、調整後のものが「実質」
です。また、この物価変動を調整するために用いられる一種の物価指数のことをデフ
レーターとよびます。
a
名目収入と実質収入
ある年の収入と消費者物価が10万円で、それから10年後の収入と消費者物価がそ
れぞれ20万円と16万円になったとします。この場合の実質の収入は次のように計算
します。
収入の上昇率=(10年後の収入)÷(ある年の収入)
=20万円÷10万円=2.0
消費者物価の上昇率=(10年後の消費者物価)÷(ある年の消費者物価)
=16万円÷10万円=1.6
収入の実質上昇率=2.0÷1.6=1.25
実質の収入=10万円×1.25=12.5万円
つまり、収入が2倍になったのは名目上のことで、実質的には25%しか増えてい
なかったことになります。
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s
名目金利と実質金利
現在の金利が1.0%で、消費者物価上昇率がマイナス10%だとします。
現在の名目金利は1.0%ですが、消費者物価も10%下落しています。物価変動分
を調整して実質の金利を計算すると、次のようになります。
実質の金利=名目の金利−物価の上昇率
=1.0%−(−10%)
=11.0%
つまり、1%の金利負担だと思っていたら、実質的には11.0%の金利負担になっ
ています。
低金利だから企業の金利負担は軽くすんでいる、といった意見があります。しか
し、負担の大小は名目金利ではなく実質金利で考えるべきであり、そのためには物
価水準も考慮する必要があるのです。
6.景気循環
a
景気循環
景気は、必ず良くなったり悪くなったりを繰り返します。その流れには「好況→
後退→不況→回復→好況」というような一定のサイクルがあります。そのサイクル
を景気循環と呼びます。
s
景気動向指数(DI Diffusion
Indexの略)
内閣府の「景気動向指数(DI)
」という代表的な経済指標があります。
この経済指標は、景気循環という考え方を大前提にしており、「今の時期がサイ
クルのどこにいるのか、どういう方向へ向かおうとしているのか」について、景気
の動きをよく反映する多くの統計資料を分析して明らかにしようというものです。
景気動向指数(DI)の原文を見ると、次のような表現で書かれています。
・先行指数は4か月連続で50%を上回った。
・一致指数は2か月連続で50%を上回った。
・遅行指数は9か月ぶりに50%を上回った。
景気動向指数(DI)を見る際のポイントは次のとおりです。
①
景気動向指数(DI)は、景気の方向だけを表すものであり、「どの程度か」
という水準については全く情報を発信していません。
50%を上回れば景気が上向き、50%を下回れば景気が下向きであることを示し
ます。
50%を上回る・下回るというのは、相撲でいう「勝ち越し」「負け越し」と同
じです。
つまり、次の先行指標の場合、3か月前と比べて12指標のうち7指標が良くな
り、5指標が悪くなれば、勝ち越しだから「50%を上回った」となります。
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②
先行指数とは新規求人数や株価指数など景気に先行して動く指標を内閣府が12
個選別したものです。
③
一致指数は鉱工業生産指数や商業販売額指数など景気と一致して動く指標を内
閣府が11個選別したものです。
④
遅行指数は法人税収入や完全失業率など景気に遅れて動く指標を内閣府が7個
選別したものです。
d
景気動向指数(DI)の採用系列
景気動向指数(DI)は、前述のとおり12の先行系列(景気の変動を数か月早め
に反映する指標)、11の一致系列(景気の変動と一致して動く指標)、6の遅行系列
(景気の変動より数か月から1年程度遅れて動く指標)の合計29の経済・景気指標
を採用しています。
先行系列、一致系列、遅行系列の各系列別に景気の方向(50%を上回ったのか、
下回ったのか)を見て、景気が上昇傾向にあるのか、下降傾向にあるのかを判断す
るわけです。3か月連続して上昇傾向を続ければ景気は回復傾向にあると判断して
も良いのではないか、といわれています。
どの指標を選択するかについては、過去何回も見直しが行われ、最近では2004年
(平成16年)12月に改定されています。
① 先行系列
最終需要在庫率指数
生産財在庫率指数(鉱工業)
新規求人数(除学卒)
実質機械受注(船舶・電力を除く民需)
新設住宅着工床面積
耐久消費財出荷指数(前年同月比)
消費者態度指数
日経商品指数(42種総合)(前年同月比)
長短金利差
東証株価指数(前年同月比)
投資環境指数(製造業)
中小企業売上見通しDI
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② 一致系列
生産指数(鉱工業)
生産財出荷指数(鉱工業)
大口電力使用量
稼働率指数(製造業)
所定外労働時間指数(製造業)
投資財出荷指数(除輸送機械)
商業販売額指数(小売業)
(前年同月比)
商業販売額指数(卸売業)
(前年同月比)
営業利益(全産業)
中小企業売上高(製造業)
有効求人倍率(除学卒)
③ 遅行指数
第3次産業活動指数(対事業所サービス業)
常用雇用指数(製造業)(前年同月比)
実質法人企業設備投資(全産業)
家計消費支出(全国勤労者世帯、名目)(前年同月比)
法人税収入
完全失業率
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