「ムービーキャメラ紳士録」CD 版発行に当って

「ムービーキャメラ紳士録」CD 版発行に当って
(協)日本映画撮影監督協会機関誌「映画撮影」1992 年発行118 号から2006 年発
行 169 号に亘り、当協会の理事および専務理事を長く歴任した伊藤正治氏が 43 回
のシリーズで「ムービーキャメラ紳士録」を執筆しました。
映画誕生 110 余年、映画誕生の当初は“見せ物”として興行的に動く映像を見せる
のが目的であったためか、上映時の情景描写や作品の記述はあっても、映画創生期
~発展期の撮影やキャメラに関する記述は少い。
映画の作品や有名俳優・監督等に関する資料・文献は多数ありますが、インター
ネットの普及した現在、撮影機器についてサーチしても撮影技術パートの見地から
書いたものは少い。特に日本ではキャメラに関する資料は少く、一般的には忘れら
れていくように思われます。その中でこの「ムービーキャメラ紳士録」シリーズは
貴重な資料となるのではとの思いから「映画撮影」誌掲載の記事を中心に、補足資
料を加えまとめました。
電子映像で育ち、フィルムを扱った経験の無いスタッフも第一線で作品を作るよ
うになった現在、撮影機器や表現技術の発達と共に歩んだ映画の歴史の一片に触れ、
110 余年前の映画が今でも再生できるフィルムのオリジナル性とファジーなフイ
ルム映像に親しんでほしいと思うと共に、皆様の参考資料となれば幸いです。
2007 年 2 月
編集人: 篠田雪夫(JSC 理事)
執筆者・文責
伊藤正治(JSC)
「ムービーキャメラ紳士録」
篠田雪夫(JSC)
「日本映画発展と技術の歴史 概要」
「写真機の原点~映画の起源~クラシック映画キャメラ 等」
発行所
協同組合 日本映画撮影監督協会(JSC)/Japanese
〒160-0022 新宿区新宿 1-25-14 第 2 関根ビル 5F
電話:03-3356-7896 / FAX:03-3356-7897
E-mail:[email protected] / URL:http://www.jsc.or.jp
Society of Cinematograhers
発 行 人:兼松熈太郎(JSC)
編集・装丁 :篠田雪夫(JSC)
主な参考資料
本協会機関誌 「映画撮影」バックナンバー
日本映画テレビ技術協会
機関誌 「映画技術」(現、「映画テレビ技術」誌の前身) / 別冊 「日本映画技術史」
※この「ムービーキャメラ紳士録」CD の著作は“日本映画撮影監督協会”に帰
するもので、無許可でのコピー又は転載を禁止します。
掲 載 内 容
❶
発行に当たって
❷
日本映画 技術の歴史 概要 (文責:篠田雪夫/JSC)
❸
ムービーキャメラ紳士録 (執筆:伊藤正治/JSC)
❹
写真機の原点~映画の起源~クラシック映画キャメラ 等 (文責:篠田雪夫)
❺
関連企業・法人等の情報・お知らせ
映画誕生 ~ 日本映画の創業期 ~ 過渡期から黎明期 ~ 発展期 ~ 戦後・カラー・
ワイド 近代映画へ ~ そして現在 フィルムと電子映像の融合の時代に・・・
本協会機関誌「映画撮影」
ʻ92 年 118 号からʻ06 年発行 169 号に掲載された「ムービ
ーキャメラ紳士録」 (掲載順はキャメラの古い年代順)
「ムービーキャメラ紳士録」掲載以外の図やキャメラの写真・解説 等
富士フイルム(株)
コダック(株)
(株)ナックイメージテクノロジー
(株)東北新社
(株)三和映材
東京工芸大学
(株)東京現像所
日活芸術学院
(株)IMAGICA
東映ラボ・テック(株)
(株)ヨコシネ D.I.A
スズキエンタープライズ(株)
掲載キャメラリスト
「ムービーキャメラ紳士録」 掲載リスト
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.
12.
13.
14.
15.
16.
17.
18.
19.
20.
21.
22.
23.
24.
クラシックキャメラ特集(1)
ウイリアムソン・キネマソグラフ
ユニヴァーサル モデル C
パルヴォ
ベル &ハウエル モデル 2709
ミッチェル モデル A~BNC まで
クラシックキャメラ特集(3)
ミッチェル 16 モデル SC
シネ・セプト ハンドキャメラ
アケリー
ベル &ハウエル アイモ
クラシックキャメラ特集(4)
デヴィラ スタンダード オートマチック
デヴィラ モデル 77
クラシックキャメラ特集(2)
八九式活動寫眞銃改二
ジュール・マレーの写真銃(1881 年 仏)
アスカニア・シュルター キャメラ
ジーメンス・キノ・キャメラ タイプ BD
ボレックス H16
シネコダック・スペシャル Ⅰ,Ⅱ
アリフレックス ⅡC
20 世紀フォックス キャメラ
カメフレックス M3
カメクレール
オーリコン・シネヴォイス
アリフレックス 16 ST
ドイフレックス
コニカラー(ワンショット)
ミッチェル ビスタビジョン
ドイ・プロフェッショナル
エクレール G.V.35 HS キャメラ
25.
26.
27.
28.
29.
30.
31.
32.
33.
34.
35.
36.
37.
38.
39.
40.
41.
42.
43.
パナフレックス ムービーキャメラシステム
ミリケン ハイスピードキャメラ DBM-5C
ミッチェル Mark-Ⅱ
エクレール NPR
キャノンスクーピック 16
フォトソニック 35mm-4ER HS キャメラ
シネマ プロダクツ CP-35(CP-35FX)
アリフレックス 16SR-1、2、3
アトーン XTR Prod
アリフレックス 35-Ⅲ
アトーン 35Ⅲ
ムービーカム・スーパー
ムービーカム・スーパー アメリカ
ムービーカム・コンパクト
アリフレックス 756
アストロビジョン 6510
アリフレックス 535/535B
アリフレックス 435、435ES
フィラフレックス ミニカムシステム
アトーン A-Minima super
エー カム SP-16 (スーパー16)
「写真の原点~クラシック映画キャメラ」 掲載リスト
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
キャメラオブキュラス
ゾートロープ
クラプシノスコープ
エディソンの映画機器
シネマトグラフに付いて
ゴーモン
Prestwich
パティー
Prevost
10.
11.
12.
13.
14.
15.
16.
17.
18.
ウィリアムソン
アンデルビュー
Ernemann
ユニバーサル
コーミツ
カメクレール
テクニカラー
シンクレア
コニカラーシステム
「日本映画発展と技術の歴史 概要」目次
❶ 映画前史∼映画誕生
❷ 日本映画の創業期
❸ 過渡期から黎明期
❹ 発展期
❺ 戦後・カラー・ワイド 近代映画へ
❻ そして現在 フィルムと電子映像の融合…
1
日本映画発展と技術の歴史 概要
(文責:篠田雪 夫)
❶ 映画前史∼映画誕生
人類が 光学 について論議しはじめたのは、紀元前のエジプト、ギリシャ時代と言われ、ガラ
スレンズの技術が発達してきた。
ピンホールレンズの原理で風景を写し描いたのが、写真の基と言える。
1540 年に考案され、キャメラ・オブスキュラと呼ばれ、その原理は
1508 年にレオナルド・ダ・ビンチも遠近法と共に記述して利用したの
ではと言われている。1550 年にジロモラ・カルダーがピンホールに替
って平凸レンズを使用。17 世紀に活躍した画家ジョハンネス・フェルメ
1685 年当時の
カメラ オブスキュラ
ールの写実的な技術は、これを絵画に活用したことで知られる。
ヨーロッパの長い君主封建時代、宗教と戒律の暗黒の中世が終り、本来の自然科学の思想を打
立てることが出来るようになった。1604 年ガリレオ・ガリレイが天体望遠鏡
を発明し、天体観測をして以来、真理を求める科学者、技術者の発明・発見・
実験により近代科学は急速に進歩。1729 年ドイツの I・シュルツェィが塩化銀
と白亜の化合物による黒変の論文を発表。1770 年フランスの I・ニュートン、
C・P・ダルシーが網膜の残像現象の研究を発表。19 世紀に於ける感光材料の発
見で、光学機器と感光材料の結合がフランスのニエプスとダゲールにより 写
真 の完成となった。
1877 年に プラクシノスコープ が考案され、この写真を利用して運動の分
析などの数々の研究が行われ、目の残像現象を利用した 動く写真 を撮影する
掻き落し機構が考案され改良された。
写真に於ける湿板・乾板の感光材料の支持体であるガラスを 1881 年にセルロイド製フィルムへ
の塗布を実現したアメリカのイーストマン・コダック社の開発は、トマス・エジ
ソンがイギリス人助手ディクソンとともに 1891 年に撮影機 キネトグラフ 、
1893 年に 1 人で見る覗き眼鏡方式の再現装置 キネトスコープ を完成させ、
動く映像 の先陣を切り今日の映画の基礎を築いた。(キネトグラフがどのようなも
のであったのかは資料を見出すことが出来なかった)
1895(明 28)年フランスのリュミエール兄弟による シネマトグラフ の発
明によって、多勢で見られるスクリーンに上映する映画の出現となった。 この
シネマトグラフは撮影機、映写機、焼付け機の 3 機能を兼用。写真右のフィル
ムが掛っている部分に生フィルム、本体内部アパーチュア下部に撮影済
のマガジンが付き、撮影機となる。
リュミエール兄弟は自らの工場の周辺で撮影した工場から出てくる
工員等の映像をパリのカフェの地下サロンで有料公開した。
「ラ・シオタ
駅への汽車の到着」では、目の前に驀進してくる機関車の映像を見て観
客が思わず席を立って逃げようとしたとの逸話が残っている程、当時の
人々にとって目の前のスクリーンに展開する現実の動く映像は驚異だ
ったようだ。
このスクリーン映写方式の映画が有料公開された 1895 年 12 月 28 日を
映画の誕生と見なしている。
1896 年にはエジソンが映写機 ヴァイタスコープ を発明。
注)
プラキシノスコープ
エ ディ ソ ンの 映 画 機器
ル ミエ ー ルの シ ネマ
トグラフ 等については「写真機の原点∼クラシック映画キャメラ」
の項 に 掲載 。
2
ラは特殊キャメラを除き殆どノイズレスで、パナビジョン《ミレニアム、プラチナ、ゴールデン、パ
ナスター》
、アリフレックス《アリカム、535、435、235、BL》等のラインナップと、ム
ービーカム、アトーン 35Ⅲなどがある。主な 16mm キャメラは《アリフレックス 16SR》
、アトー
ン《XTR PROD、A-minima》等があり、ビデオに対抗しアトーン XTR
やアリ 16SR3 は 22 分の長廻しの出来る 800feet マガジンがある。
ディジタル・インターミディエイト(DI) (注 7)を念頭に置いたフィル
ムの改良でスーパー16mm での製作も多くなっていて、2006 年米国
の映像機器展 NAB 2006 ではアリフレックス 16mm キャメラ
ARRILEX 416 が発表された。
(注 7)ディジタル・インターミディエイト(DI) = 撮影されたフィルムネガの内、本編で
使用するネガをすべてスキャニングし、ディジタルデータに変換した後、これを専用機で色彩調整等(カラー
グレーディング)をし、編集データを反映させてフィルムレコーディング、本編用完成フィルムを作成。これま
での制約に捕われず、自由に色彩を構築できる、新しい映画制作の手法。
ソニーや松下電器等は miniDV テープ仕様、24p対応で通常撮影に於いてスペックが業務機に
劣らないコンパクトキャメラを発売。フィルムレコーディング(キネコ)の技術が向上し、ミニ DV
からフィルム仕上げのドキュメンタリー作品が増た。2004(平 16)年には国産の 16mm 映写機は製
造を中止。PR 映画や短編・記録映画も殆どビデオに移行し、フィルム撮影の 16mm 映像が益々
衰退傾向となった。
国内で製作される放送用作品は一部固執する作品もあるが、フィルム撮影は皆無に等しい時代
となった。劇映画でも HD 撮影→電子処理→フィルムレコーディングの作品が増えている。
2005 年にはミニ DV テープ仕様のコンパクト HD キャメラが発売。
一方、走査線 2000 本や 4000 本のスーパーハイビジョンの開発も進み、
オリンパス(株)は HD の 4 倍相当の 800 万画素を持つディジタル動画キ
ャメラを開発。名称を Octavision(オクタビジョン) とし、大型展示映像、
イベント映像系での実用段階となり、電子映 像界は HD の時代に入った。
CMOS センサーを採用した 35mm キャメラ仕様のディジタルムービ
ーキャメラをアメリカのパナビジョン社が Genesis (ジェネシス) をド
イツのアーノルド・リヒター社が D-20 を開発
し、すでにリースを開始している。 D-20 は
2006(平 18)年 6 月、日本で(株)ナックイメージテク
ノロジーがレンタルを開始。
フィルムキャメラメーカーはムービーキャメ
ラの操作感・形態を踏襲したシステムで電子映像
に参入の時代となった。
PANAVISION Genesis
ARRIFLEX D-20
パソコンが大容量でコンパクトになりソフト
が充実。自宅で HD 映像の編集が可能となり、フィルムと HD 映像や CG のディジタル映像との
融合が益々進むと思われる。表現的にはアナログとディジタルの境目が無くなりつつあり、
1993(平 5)年にジョージ・ルーカス監督が提唱した E シネマが現実のものとなった。
残念なのは、欧米では映像資産として残すものは、アナログであるフィルムに主体を置いてい
るのに、文化国家を謳っている日本は映像のアーカイブ(映像の保存・資産化)が叫ばれている現在、フ
ィルム映像から離れていく傾向にあるように思われる。
----------------------------------------------------------------------------------------------頻繁に変るビデオフォーマット! 即時性はあるが、今のフォーマと再生機器何時まで使える?
一般的に将来再生できる? 保存性は……? 等々、発展段階とは思うがまだ安定していない。
フィルム映像! 110 年前の映像が再生できる映像資産としての価値観、50 年以上前のキャメラで
も撮影出来る実績。 粒子である故のフィルムの持つ質感、ファジーさを忘れてはならないと思う。
9
「ムービーキャメラ紳士録」目次
「映画撮影」1992 年 118 号から 2006 年発行 169 号に掲載
製造年代は目安です。型式・型番により異なりますので詳しくは本文をお読み下さい。
掲載頁 項番
14-15
1.
キ ャ メ ラ 名
フォーマット/原産国/製造年代
クラシックキャメラ特集(1)
ウイリアムソン・キネマソグラフ
ユニヴァーサル モデル C
(35mm)
(35mm)
(英国) 1900 年頃
(英国) 1910 年
掲載頁 項番
キ ャ メ ラ 名
フォーマット/原産国/製造年代
57-59
22.
ミッチェル ビスタビジョン
(35mm-8P) (米国) 1953 年
60-61
23.
ドイ・プロフェッショナル
(16mm) (日本) 1955 年
62-63
24.
エクレール G.V.35
(35mm) (仏国) 1955 年
64-66
25.
パナフレックス ムービーキャメラシステム (35mm) (米国) 1960 年
67-68
26.
ミリケン ハイスピードキャメラ DBM-5C (16mm) (米国) 1960 年
69-70
27.
ミッチェル Mark-Ⅱ
(35mm) (米国) 1963 年
HS キャメラ
16-17
2.
パルヴォ
(35mm)
(仏国) 1908 年
18-19
3.
ベル &ハウエル モデル 2709
(35mm)
(米国) 1911 年
20-21
4.
ミッチェル モデル A~BNC まで
(35mm)
(米国) 1920 年
22-23
5.
クラシックキャメラ特集(3)
ミッチェル 16 モデル SC
(16mm)
(米国) 1920 年
71-72
28.
エクレール NPR
(16mm) (仏国) 1963 年
(16mm) (日本) 1965 年
24-25
6.
シネ・セプト ハンドキャメラ
(35mm)
(仏国) 1921 年
73-74
29.
キャノンスクーピック 16
26-27
7.
アケリー
(35mm)
(米国) 1924 年
75-76
30.
フォトソニック 35mm-4ER HS キャメラ (35mm) (米国) 1970 年
28-29
8.
ベル &ハウエル アイモ
(35mm)
(米国) 1925 年
77-78
31.
シネマ プロダクツ CP-35(CP-35FX)
(35mm) (米国) 1972 年
30-31
9.
クラシックキャメラ特集(4)
デヴィラ スタンダード オートマチック (35mm)
デヴィラ モデル 77
(16mm)
79-80
32.
アリフレックス 16SR-1、2、3
(16mm) (独国) 1975 年
(米国) 1926 年
(米国) 1930 年
81-82
33.
アトーン XTR Prod
(16mm) (仏国) 1980 年
クラシックキャメラ特集(2)
八九式活動寫眞銃改二
ジュール・マレーの写真銃
83-84
34.
アリフレックス 35-Ⅲ
(35mm) (独国) 1980 年
(日本) 1929 年
(仏国) 1881 年
85-86
35.
アトーン 35Ⅲ
(35mm) (仏国) 1982 年
87-88
36.
ムービーカム・スーパー
(35mm) (オーストリー) 1982 年
ムービーカム・スーパー アメリカ
(35mm)
ムービーカム・コンパクト
(35mm)
1995 年
89-90
37.
アリフレックス 756
(65mm) (独国) 1988 年
91-92
38.
アストロビジョン 6510
(65mm) (日本) 1989 年
93-94
39.
アリフレックス 535/535B
(35mm) (独国) 1990 年
95-96
40.
アリフレックス 435、435ES
(35mm) (独国) 1995 年
97-99
41.
フィラフレックス ミニカムシステム
(35mm) (米国) 1996 年
100-101
42.
アトーン A-Minima super
(16mm) (仏国) 2000 年
102-103
43.
エー カム SP-16 (スーパー16)
32-33
10.
34-35
11.
アスカニア・シュルター キャメラ
(35mm)
(独国) 1930 年
36-37
12.
ジーメンス・キノ・キャメラ タイプ BD
(16mm)
(独国) 1933 年
38-39
13.
ボレックス H16
(16mm) (スイス) 1935 年
40-42
14.
シネコダック・スペシャル Ⅰ,Ⅱ
(16mm)
(米国) 1936 年
43-44
15.
アリフレックス ⅡC
(35mm)
(独国) 1937 年
45-46
16.
20 世紀フォックス キャメラ
(35mm)
(米国) 1940 年
47-48
17.
カメフレックス M3
カメクレール
(35mm)
(35mm)
(仏国) 1947 年
1928 年
49-50
18.
オーリコン・シネヴォイス
(16mm)
(米国) 1950 年
51-52
19.
アリフレックス 16 ST
(16mm)
(独国) 1952 年
53-54
20.
ドイフレックス
(16mm)
(日本) 1952 年
55-56
21.
コニカラー(ワンショット)
(35mm)
(日本) 1953 年
(16mm) (スエーデン) 2004 年
(掲載順は製造年代順です。本誌掲載順ではありません)
写真機の原点
〜
映画の起源 ~ クラッシック映画キャメラ 等
文責:篠田雪夫(JSC)
掲 載 目 次
掲載頁 項番
キャメラ名等
国 名
年 代
105
1
キャメラオブキュラス
イタリア
1540
105
2
ゾートロープ
イギリス
1834
105
3
クラプシノスコープ
フランス
1877
106
4
エディソンの映画機器
アメリカ
1891
107
5
シネマトグラフに付いて
フランス
1895
108
6
ゴーモン
イギリス
1897
108
7
Prestwich
イギリス
1898
108
8
パティー
フランス
1900
109
9
Prevost
フランス
1901
109
10
ウィリアムソン
イギリス
1906
109
11
アンデルビュー
フランス
1908
110
12
Ernemann
ドイツ
1908
110
13
ユニバーサル
アメリカ
1916
111
14
コーミツ
日
本
1919
111
15
カメクレール
フランス
1920
112
16
テクニカラー
アメリカ
1932
112
17
シンクレア
イギリス
1934
112
18
コニカラーシステム
日
1952
0
本
写真の原点=キャメラ・オブスキュラ / (イタリア)
1540 年に考案され、ピン
ホールレンズの原理で風景
を写し描いた。発明・発見に
ついては諸説があり定かで
なく、現在の写真機の基と
なった。1550 年にジロモ
ラ・カルダーがピンホール
に替って平凸レンズを使用。
1508 年のレオナルド・ダ・ビンチのノートに遠近法と
共に記述があり、利用していたのではないかとも言わ
れている。左図は 1685 年頃の物で、17 世紀に活躍
した画家ジョハンネス・フェルメールの写実的な技術は、
これを絵画に活用したことで知られる。
ゾ ー ト ロ ー プ / (イギリス製)
1834 年イギリスのウィリアム・ホーナ
ーが発明。
円環の内側に動きを分解したアニメーシ
ョンの基となる絵があり、筒を回転させ
スリットから中の絵を覗くことによって、
スリットがシャッターの役目をし、残像
現象により絵が動いて見える。
動く映像の基とも言える。
プラクシノスコープ / (フランス製)
フランスのエミル・レイノーが考案。
1877 年 7 月 20 日に科学アカデミーに
報告、特許申請する。
回転する円環の内側に動きを分解し
た手書の画の紙が巻付けら、中心に角
度を付けた10 個の鏡と、上部にランプ
を置き、鏡に映る絵の動きを見る。
投射式のものもあり、アニメーション
映画の原点とも言えるのでは。
ゾートロープに似ているがスリットの
替りに鏡を使用しているので素早く次
の絵に入れ替り、スリットより鮮明な
像を得ることが出来る。
投射式
1
トーマス・エディソン発明の映画システム / (アメリカ)
発明家であり実業家のエディソンは 1887(明治20)年イギリス
人助手で発明家 W・K・L ディクソンに、写真を媒体にしたゾ
ゾー
フ ォノグラフを組合わ
トロープとすでに発明した蝋管蓄音機フ
せたトーキー映画の開発を命じている。
写真に於ける湿板すでに発明されていた、蝋管・乾板の感光
材料の支持体であるガラスを 1888(明治 21)年にアメリカのイ
ーストマン・コダック社(E・K)がセルロイド製フィルムへの塗
布を実現。その開発でエディソンは今の映画方式に近いものを
完成させた。
1889年10月に試作機が研究室で試写されている。
キネトスコープ
1891 年に撮影機 “キネトグラフ” 。1893 年に 1 人で見る覗
き眼鏡方式の再現装置 “キネトスコープ” を完成させた。
キネトグラフは 35mm・4 パーフォレーション/1 駒で、フリッカ
ーを無くすためと思われる 35~50 駒/秒撮影だったようだ 。
キネトスコープは掻き落し機構がなく、フィルムは連続走
行し、回転円盤の細いスリットのシャッターがストロボ効果的
な映像の動きを見せる。フィルムは 40feet、46 駒/秒で 30
秒見ることが出来た。
1894 年ニューヨークでキネトグラフ・パーラーが出来、商品
として世に出てフィルムでの “動く映像” の先陣を切り今日の
映画の基礎を築いた。
このエジソンの映画システムは、覗き見である方式の他は優
れた特徴を持っていて、その規格は 1892 年に特許となって
いる。それに基づい E・K 社は映画用フィルムを製造し始めて
いる。その規格は現在の 35mm フィルムとほぼ同じである。
日本には、1896(明治 26)年に輸入されたが、続いて輸入さ
れたシネマトグラフやヴァイタスコープの投射上映方式に押
され僅か半年の興行だったという。
フィルム幅:35mm
4 パーフォレーション
ヴァイタスコープ(映写装置)
シネマトグラフを参考に1896 年、
フリッカー解消の 3 枚羽シ
ャッターの投射式の “キ
キ ネマスコープ” を開発、ニューヨーク
で公開。これを機に各国で映画機械製造が盛んになった。
キネマスコープ の特許を買取ったメーカーが改良し”ヴ
ヴァ
イタスコープ”と改称。現在の映写機の魁けとなった。
(エディソンは音の無い方式では、人は金を払わないと考えた様だ)
日本には 1897(明治 30)年シネマトグラフと同時期に入って
きた。直流駆動だったので、直流電流のある工場へ持込んで
の映写や、大八車に発電機を積んで出張映写もしたという。
ヴァイタスコープ
エジソンは撮影装置“キ
キ ネトグラフ ”も発明しているが、キ
ネトグラフの写真や記述が見あたらない。
キネトスコープ (再
生装置)やリュミエールのシ
シ ネマトグラフ (次頁参照)は映画の起
源として知る人は多いと思うが、シネマトグラフも撮影に関
する記述が少ないのは、映画の形態となる前は見
見 せ物的興行
で、再生機や映写装置が有ってのキャメラだったことを覗え
させられる。
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コ ー ミ ツ / (日本製)
1919(大正 8)年日本の高密工場(後の高密工業)が映
写機を作る傍ら英国のウィリアムソンキャメラを
参考に研究・改良を重ね、1923 年頃に木製の小
型キャメラを完成。
200feet マガジン。F 型機は 4 本ターレット。
シャッター機構は 140 度から全閉でき、全閉す
ると駆動が停止する。
当時の尾上松之助(通称、目玉の松ちゃん)全盛時の
全作品に使用され、忍者ものなどの種々のトリッ
ク撮影が出来たとの記録もある。
初の国産キャメラであるが、使用談等の資料が
少ない。
昭和初期の F 型機
カメクレ-ル 120 / (フランス製)
カメクレールはフランスのエクレール社が
1920(大正 9) 年に設計・開発。このキャメ ラは
1928(昭和 3)年に発表。
ターレット板に、撮影用とファインダー用の
3 組 6 本のレンズを装着。スリガラスのピントグ
ラス上の像を、拡大してファインダーで機体後部
から見ることができるのが特徴で、当時革新的な
機構で、パルヴォと競合していた。
“120”は 120m(約 400 ㌳)を意味し、日本での初
使用は 1930(昭和 5)年。
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テクニカラー3 色分解キャメラ / (アメリカ製)
1932(昭和 7)年、米国のジョージ A・ミッチェルが開
発、22 台製造された。
図のように 1 本のレンズを通った映像はプリズムで 2
方向に分かれ、フィルターを通しパンクロフィルム(赤感
色性)・オルソフィルム(緑感色性)・レギュラーフィルム(青感
色性)に分解された、光の 3 原色である赤色・緑色・青色に
感光した 3 本のモノクロネガとなる。その感光した部分
を各色で染色し、重ね合わせると元の色となる。ムービ
ースプリッター式ワンショットキャメラと呼ばれた。
このテクニカラーで撮影された最も有名な作品は、
1939(昭和 14)年公開の米国映画「風と共に去りぬ」で、
2005(平成 5)年末にデジタルマスター版として公開され、
3 色分解によるテクニカラー方式の保存性と色の再現性
の良さが話題となった。
シ ン ク レ ア / (イギリス製)
イギリスのニュ-マン・シンクレア社製キャメラ。
フイルムの交換は、200 ㌳入りの角型マガジンを簡
単に入れ替えることができ、ピントや絞りがキャメ
ラ後部から操作できる珍しいキャメラ。10~24 駒
/1 駒クランク駆動。
1934(昭和 9)年このキャメラで撮影されたドキュメ
ンタリー作品「アラシ」がベニス映画祭でグランプリ
を受賞している。
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関連法人・企業・団体等の情報・メッセージ
法人・関連団体名(50 音順)
/ ホームページ(各社 URL をクリックでリンクします)
(株)IMAGICA
(有)映像サービス
http://www.imagica.com/
http://www.eizoservice.co.jp/
(株)オムニバスジャパン
http://www.omnibusjp.com/
(株)関西ロケーションサービス
http://www.sgp.co.jp/kls/
コダック(株)
http://www.kodak.co.jp./go/motion/
(株)三和映材社
http://www.sanwa-group.com/
スズキエンタープライズ(株)
http://www.sei8404.com/
東映ラボテック(株) http://www.toeilab.co.jp/
(株)東京現像所
http://www.tokyolab.co.jp/
(株)東北新社
http://www.tfc.co.jp/
(株)特殊映材社
http://www.tokushu-eizai.jp/
(株)ナックイメージテクノロジー
http://www.nacinc.jp
日活芸術学院
http://www.nikkatsu.com/school/
日本映画学校
http://www.eiga.ac.jp/index.html
(社)日本映画テレビ技術協会
http://www.mpte.jp
富士フイルム(株)
http://www.fujifilm.jp/motion_p/
報映産業(株)
http://www.hoei.co.jp/
(株)ヨコシネ D. I. A
http://www.yokocine.com/