院外茶話 vol.103 平成 25 年 12 月 1 日 久しくモーニング娘。を見なくなってしま った。今は AKB48 が全盛で、他にも HKT と か NMB とかいうものができて、いったい柳の 下に何匹のドジョウを狙っているのか。 アルファベットの 3 文字はどうも覚えにく くていけない。これを知らないだけで、娘は私 のことを芸能音痴と決めつけるけれど、そうと は限らない。少し古いかもしれないけれど、 SKD だって知っているのだから。草笛光子と か淡路恵子とか。倍賞姉妹もそうだったかもし れない。 AKB はみんな可愛い 同じように可愛い だから舞台のセンターは だから舞台の センターは ジャンケンで決める 愛い女の子が集まったせいもあるだろう。しか し、本当の原因は可愛いらしさに、全国共通の 基準ができてしまったことにある。 四国の片田舎から東京のまん中まで同じテ レビ、インターネットを見るから、同じ顔を目 指して同じ化粧をするようになった。しかも化 粧の方法がどんどん進化をしたので、実際にか なりのところまで、思った顔に近づくことがで きる。 その化粧の核ともなるべき部分が目で、こ れさえできれば目的の半分は達成する。 「可愛い目」の全国標準基準とは何か。そ れは縁どりをはっきりさせて、できるだけ目を 大きく、しかも黒目がち見せること。要はアニ メの顔で、基本はアイラインにあるが、目の縁 をより際立たせるためには、まつ毛の増毛が行 われて、これをエクステと言う。 おじさんにはみなさんの違いがよくわからない 目はあくまで大きく、まつ毛はくっきり その倍賞千恵子と倍賞美津子の違いはわか るけれど、残念ながら AKB48 の一人一人を見 ても、同じ顔に見えて仕方がない。この中から 5 人を選んで 1 列に並んでもらって、ぐちゃぐ ちゃにしたら、もうもとに戻すことはできない だろう。もっとも、これは今に始まったことで はなくて、スピードの時もモーニング娘。の時 もそうだった。 なぜ AKB48 は全員が同じ顔になってしま ったか。または同じような顔になってしまった か。とびきりの美人ではなくても、ある程度可 エクステをした人がくると、これを守るた めに、なるべく瞼に力を加えないように気遣い はする。しかし、どう注意をしてもこちらの指 に何本か「エクステ」が残ることがあって、こ ういう時にはせっかくのまつ毛を台無しにし たような気分になる。 つけまつ毛に至ってはもう瞼の要塞で、触 れることすら難しい。万一診察の後、こちらの 指につけまつ毛が残ってしまったら、どうしよ うと思う。 あとはテープで二重瞼を作る特殊な技術も あって、手間さえかければ全国共通基準の「可 愛い目」ができあがるようになった。 こうして手にいれたアニメの顔に、とやか く文句を言うつもりはない。しかし残念なこと に、最近は日本人形までキューピーちゃんみた いな目になってしまった。切れ長で一重の目の 方が、よほど品がいいと思うのだが。 目が完成すれば次は髪で、20 年ほど前から 日本女性の髪は一斉に茶色になった。その女性 達が子供の頃に遊んだ着せ替え人形のリカち ゃんは、確か金髪だったと思う。茶髪も金髪も 女性の場合、慣れてしまえばどうということは ないけれど、サッカー選手の金髪にはどうも馴 染めない。余計なことかもしれないが、金髪の まま若禿になったらどうするのだろう。 その昔「軽蔑」というフランス映画があった。 プロローグの部分で、裸のブリジット・バルド ーがベッドに横たわる。お尻がツンと突き出た 見事な姿態に、ちょっと乱れた金髪が映えたけ ど、こともあろうに黒髪のカツラを被ってしま った。フランスではお洒落をすると、髪を黒く するのか。 まずはマツダに行って日産に行って、ホンダ のショールームを見る頃には、もうマツダの車 が思い出せない。どれもよく似ているので。 AKB と違って、車は個性を出した方がいい と思うけど、かくも似通ってしまうのはなぜか。 その理由は、恐らく空力学的な必然性とコスト パフォーマンスにある。 空気抵抗を減らして燃費をよくするとか、車 内を広くするとか、そんな条件をいっぱい入れ て、コンピューターで最適の形を計算すれば、 全国共通の車ができあがる。 特にハイブリッド車は、大きな電池を積み込 むという条件が加わるので、さらに似たような 車体になる。 これだけボディーがよく似るのだから、せめ て顔となり目となるヘッドライトに個性は出 せないものか。以前はヘッドライトが4つある 車が沢山あって、2つずつ横に並べたり、縦に 置いたりして、表情を出したものだった。 ライトの性能が上がったせいもあるだろう けど、今4つ目の車は見ない。大概はちょっと つり上がった切れ長の目で、1つのケースの中 にヘッドライトからウィンカーまで全てを収 納する。 驚いたことに、このヘッドライトのほとんど を作っているのが小糸製作所という会社であ る。多分トヨタのライト、日産のライトと特徴 をだしているのだと思うけど、AKB と同じで 私にはその違いがわからない。 ダットサンがほんの少しずつ内容を変えて、 48 種類の車を作ったら DTS48 なんて呼んで やろう。機能ばかりに囚われず、ちょっと不合 理でもユニークな表情の車ができたら、楽しい と思うのだけど。 50 年前、 年前、憧れだった 憧れだったブリジット・バルドー だったブリジット・バルドー 同じような顔が並ぶのは AKB ばかりではな い。 車にも顔というものがあって、SKD が活躍 をしていた頃、ベンツはベンツ、ボルボはボル ボの表情があった。今、私はスバルのワゴン車 に乗って、その性能はとても気に入っているけ れど、表情にはどうも個性が感じられない。 それより図体が大きくて、扱いにくい。特に 駐車場で難儀をすることが多く、妻が嫌がって 5ナンバーの車をさがしに行った。軽自動車が 欲しいと言い出さなければいいけれど。 普通のヘッドライト、上向き用の明るいライト。 普通のヘッドライト、上向き用の明るいライト。 スモールライトにウィンカーが一つのパッケー ジとなる
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