中国での日韓のアイドル文化とドラマ文化

中国での日韓のアイドル文化とドラマ文化
「哈韓族(ハーハンズー)」とは、韓国の現代大衆文化を好む中国人の若年層の総称
です。最近はあまり使われていない言葉ですが、韓流が今も大流行中というのは間違い
ありません。
私は「哈韓族」の一員ではありませんが、周りに「哈
韓族」の友達が数多くいます。若者の間で人気があるの
は、韓国のアイドル、音楽、ファッション、ドラマやバ
ラエティーなどです。特に「東方神起」、「EXO」など
の男子グループが人気で、カッコいい韓国男性アイドル
が出演した番組やドラマを見ながら、「カッコいい!!
イケメンすぎる!!」と叫ぶ女子大学生がたくさんいま
す。ドラマ「相続者たち(中国語タイトル:継承者們)
」
の主演俳優として中国で大ブレークしたイ・ミンホは今
年の「春晩」(中国の紅白歌合戦)に出演し、台湾版の
イ・ミンホ
「花より男子」の主題歌である「情非得已」という歌を
歌いました。イ・ミンホの出演で、近年の「春晩」をつまらないと感じていた若者たち
も大いに盛り上がりました。また、最近、ド
ラマ「星から来たあなた(中国語タイトル:
来自星星的你)
」が中国で大ブームを巻き起
こし、ある有名人が中国の広告市場を席巻し
ています。道端やスーパー、テレビなど、あ
らゆる場所で俳優キム・スヒョンの姿を見か
けるのです。彼は、あわせて 35 本の広告に
登場したそうです。さらに、
「相続者たち」
と「星から来たあなた」があまりにも人気が
中国で広告のイメージキャラクターとして多
高いことから、その人気に便乗しようと、最
数登場する、キム・スヒョン
近になって、
「星から来た相続者たち」とい
う中国ドラマが撮影、放送されています。これを聞いてあきれてものが言えませんでし
た。また、
「少女時代」、
「f(x)」などの女性アイドルグループが、
「かわいい」、
「歌も踊
りも上手」
、「スタイルがいい」と高く評価されています。
実は「哈日族(ハーリーズー)」という言葉もあり、日本の文化が好きな中国の若者
たちのことを指します。「嵐」、「SMAP」
、「AKB48」、「NMB48」といったアイドル
グループの中国人ファンが大勢います。今年、AKB48 の選抜総選挙で渡辺麻友が 15
万 9,854 票を獲得し、第1位に輝きました。百度(検索エンジン)の「渡辺麻友贴吧」
(百度が提供するコミュニケーションプラットフォーム)ではファンが約 2,950 万円
を集め、約 3 万 5,000 票という大量の組織票を渡辺麻友に投票したそうです。このニ
ュースは新聞でも取り上げられました。
中国におけるアイドルグループの概念は、日韓よりもだいぶ薄いと感じています。中
国のアイドルグループといえば、既に解散したグループを含め、私は 5 つくらいのグ
ループしか思い出せません。しかも、4 人以上のグループは稀です。2012 年、中国
上海で、ついに AKB の姉妹グループ「SNH48」が誕生しました。
「AKB48」に関心
を持つファンが、自然に「SNH48」のファンになるケースも多いですが、
「AKB48」
のように国民的アイドルになるまでには程遠いです。また、「SNH48」を知っている
中国人は、まだごく一部の若者に限られています。つまり、中国のアイドルグループ文
化はまだまだ未熟で、流行っておらず、日韓と比べると発展途上にあります。
韓流ドラマは、中国において、若者だけではなく、大勢のおばさんたちもはまってい
ます。約 10 年前、私がまだ小学生のとき、「冬のソナタ」
、「秋の童話」
、
「人魚姫」な
どの韓国ドラマが中国で大ヒットしました。母もチェ・ジウとペ・ヨンジュンの大ファ
ンになりました。あの頃はいつも母と一緒に、何百話もある韓国ドラマをほぼ毎晩見て
いましたが、徐々にスト―リーがダラダラしている韓国ドラマに飽きてしまいました。
一方、韓国の家庭生活を取り上げたドラマに共感するおばさんたちは、今でも夢中にな
っています。韓流ドラマのストーリーでは、多かれ少なかれ事故やガン、不治の病とい
った 3 つの切り札が登場します。固定されたパターンということも常に指摘されてい
ます。
一方、日本のドラマは、80 年代の「赤い疑惑」やバレーボールのスポ根ドラマ「燃
えろアタック」などが同世代の中国人の中で絶大な人気を誇り、白黒テレビさえまだ普
及していなかったあの時代に、なんと視聴率が 80%以上に達しました。栗原小巻、山
口百恵といった日本人女優たちが広く知られるようになりました。
しかしながら、その後日本ドラマは影を潜めるようになってしまいました。CCTV
(中国の国営放送局)も地方の放送局も韓国ドラマまたはタイのドラマをよく放送しま
すが、日本のドラマを全く放送しません。今はネットで日本のドラマを見ることしかで
きません。ニコニコ動画に倣ってコメント機能がある中国の bilibili(ビリビリ)動画と
いうウェイブサイトで、中国語字幕の付いている最新の日本ドラマとアニメを見ること
ができます。
去年、久しぶりに日本のドラマが大流行し、2013
年版「イタズラな Kiss~Love in TOKYO」は中国
で大ヒットしました。実はドラマの原作である漫画
「イタズラな Kiss」は、1996 年にも一度ドラマ化
されており、その後台湾版と韓国版も出るほどの人
気になっていたことから、2013 年版が出る前にす
でによく知られていました。今年 9 月、
「イタズラ
な Kiss2〜Love in OKINAWA」が放送され、イタ
ズラなブームは再び起きるでしょう。ところが、こ
のドラマは、日本で全く流行っていないと聞きまし
た。日本人より中国人の方が、純愛ドラマが好きな
イタズラな Kiss~Love in TOKYO
ようです。
全体的に言えば、日本ドラマの人気はやはり韓国ドラマに及びません。最近、中国の
ネット上で、日韓のドラマに関するあるコメントが話題になっています。「日本のドラ
マは、毎日を笑顔で懸命に生き抜く登場人物が描かれ、視聴者はその姿に感動の涙を流
すのに対し、韓流ドラマでは、涙をとめどなく流し続ける登場人物を前に、視聴者はま
だ死なないのかと痺れをきらす」というコメントです。私からすれば日韓ドラマはいず
れも、それぞれの特徴と魅力を持っていますが、現代の深刻な社会問題や人間の本質に
まで踏み込んだ日本ドラマの方がより深く考えさせられる力があると感じています。
外交学院日本語学部 林
伊倫
(クレア北京事務所インターン勤務)