Metabolomics メタボロミック バイオマ ー カー 探索 Biomarker Solution 高精度質量分析(MSn )技術と多変量解析、組成推定ツールの組合せによる メタボロミックバイオマーカーの探索 血液・組織中の内因性代謝物や医薬品等の代謝成分など、生体中の低分子化合物はバイオマーカー候補として 重要な位置を占めます。多くの代謝物に対して、最適化されたLCシステムによる分離と、高性能なハイブリッド型 (四重極イオントラップ/飛行時間型)質量分析装置である高速液体クロマトグラフ質量分析計(LCMS-IT-TOF) と の組合せにより高度な精密質量情報が得られます。 LCMS-IT-TOFによるメタボロミック バイオマーカー探索 システムの特長 ・MSn情報を高い質量精度で得られる高速液体クロマトグラフ質量分析計(LCMS-IT-TOF) は、 低分子代謝物 のバイオマーカー探索にも適しています。 ・高速の極性反転機能およびMS測定機能が重要な代謝物分子を見逃しません。 ・専用のメタボロミクス解析ソフトウェア (ProfilerTM AM+) 、 代謝物構造解析ソフトウェア (MetID Solution) 、 組成推 定ソフトウェアの組合せが代謝物の構造解析・組成推定を強力に支援します。 ・ProfilerTM AM+ では、 群間比較による主成分分析(PCA) やクラスタリング解析が可能であり、 大量のデータの 中から特徴的な変動を示す成分(バイオマーカー候補) を探索する作業に適しています。 ・MetID Solutionでは、 代謝前のコントロールと代謝後ターゲットのスペクトル比較により代謝物を同定します。 また、 未知の代謝物についても、 ユニークな多変量解析を用いた機能などにより、 それらの構造情報を得ることが 可能です。 ・組成推定ソフトウェアは、 精度の高い質量情報のみでなく、 同位体パターンやMSn情報を加味して、 代謝物候補 を絞り込むことが可能であり、 高い信頼性で代謝物組成を推定します。 ■ 分析試料の分離および質量分析 液体クロマトグラフ/高速液体クロマトグラフ質量分析計 Prominence シリーズ / LCMS-IT-TOF ■ データ解析およびデータベース検索 LCMS-IT-TOF用 メタボロミクス解析ソフトウェア ProfilerTM AM+ 14 LCMS-IT-TOF用 代謝物構造解析ソフトウェア MetID Solution LCMS-IT-TOF用 組成推定ソフトウェア Metabolomics Biomarker Solution Data LCMS-IT-TOFによる2型糖尿病モデルラット(Zucker rat)血漿中のメタボリック バイオマーカー解析例 (実験・研究の流れ) 1. 正常/2型糖尿病モデルラット血漿を前処理後に、 LCMS-IT-TOFシステムに導入・分析する。 2. 多変量解析ソフトウェアを用いて、正常/2型糖尿病モデルラットの2群間の違いを主成分分析により 解析する。 3. 主成分分析で得られた結果から、 さらに脂質成分に注目し2群間の量的な差異を解析する。 4. 有意な差の見いだされたm/zを用いてマルチイオンクロマトグラムを描画し、 精密質量情報とMSnを利用 して組成推定ソフトウェアによって組成式を推定する。 5. 推定された組成式からデータベース検索により化合物を同定する。 2 型 糖 尿 病 モデ ル ラット メタボライトアレイ 変動の見られた成分のマスクロマトグラム、 MSおよびMS/MSスペクトル 正 常ラット 主成分分析結果 組成推定例 組成推定ソフトウェアによって得られた組成式候補を単一に限定でき、データベース検索によって 1-Palmitoyllysophosphatidylcholineと同定されました。同様にして、 他の脂質に関しても同定可能でした。 参考資料 : Loftus, N., K. Miseki, et al. (2008). "Profiling and biomarker identification in plasma from different Zucker rat strains via high mass accuracy multistage mass spectrometric analysis using liquid chromatography/mass spectrometry with a quadrupole ion trap-time of flight mass spectrometer." Rapid Commun Mass Spectrom 22(16): 2547-2554. 15 Metabolomics メタボロミック バイオマ ー カー 探索 Biomarker Solution GC/MSと代謝成分(アミノ酸・脂肪酸・有機酸)データベースの組合せによる メタボロミックバイオマーカーの探索 先天性代謝異常症など特定疾患のマーカー診断に、 しばしばGC/MSが使用されています。島津製作所は、 島根大学 医学部との共同研究により、 ガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS-QP2010 Plus)を用いて、 300種を超える代謝物(アミノ酸・ 脂肪酸・有機酸) に対する 「GC/MS代謝成分データベース」 を開発しました。LC/MSとGC/MSをベースにしたメタボロミック バイオマーカー探索を並行して行うことで、 より網羅的/相補的に代謝物バイオマーカー探索を行うことが可能です。 GC/MSによるメタボロミックバイオマーカー探索システムの特長 ・GCMS-QP2010 PlusとGC/MS代謝成分データベースとを組合せたシステムは、 アミノ酸・脂肪酸・有機酸を対象 とした代謝物バイオマーカー研究に適しています。 ・300種を超える代謝物に対して、 GCにおける保持指標、 マススペクトル、 化合物情報のみでなく、 対象成分の 分析用メソッドファイルやデータ解析条件までがデータベースに含まれており、 分析の条件検討やセットアップ 作業を低減し、 マーカー候補となる代謝成分の検出や同定を簡便・迅速化します。 ・アミノ酸分析には、 専用試薬キット (EZ:faast* ) を用いて、 容易に試料の誘導体化前処理を行うことができます。 * EZ:faastTM はphenomenex社の製品です。株式会社島津GLCで販売しております。 ■ 誘導体化 ■ データ解析・データベース検索 EZ : faast kitTM GC/MS用ワークステーション GCMSsolution Ver.2シリーズ ■ 質量分析 ガスクロマトグラフ質量分析計 GCMS-QP2010 Plus 16 GC/MS代謝成分データベース Metabolomics Biomarker Solution Data GCMS-QP2010 PlusおよびGC/MS代謝成分データベースによる 尿サンプルの分析例 (実験・研究の流れ) 1. 尿サンプルを液-液抽出後、 オキシム-トリメチルシリル誘導体化 * TMS : Tri-Methyl-Silane (TMS*化)の前処理を行う。 2. 右記の分析条件にてGC/MS分析を行う。 3. GC/MS代謝成分データベースを用いて、検出成分の同定 を行う。 GC条件 気化室温度:280℃ カラムオーブン温度:100℃(4min)( - 4℃/min) -320℃(0min) 注入モード:スプリット スプリット比:1:10 キャリアガス制御:線速度一定(39.0cm/sec) MS条件 イオン源:200℃ インタフェース温度:280℃ 測定モード:Scan 質量範囲:m/z35-600 GCMS-QP2010 Plusの分析条件 尿サンプルのトータルイオンクロマトグラム ID 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 化合物名 Lactic acid-2TMS Glycolic acid-2TMS Glyoxylic acid-oxime-2TMS 3-Hydroxypropionic acid-2TMS Pyruvic acid-oxime-2TMS 3-Hydroxybutyric acid-2TMS 3-Hydroxyisobutyric acid-2TMS 2-Hydroxyisovaleric acid-2TMS Urea-2TMS Benzoic acid-TMS Acetoacetic acid-oxime-2TMS 2-Propylhydroxyglutaric acid-oxime-2TMS Phosphoric acid-3TMS Ethylmalonic acid-2TMS 2-Ketoisocaproic acid-oxime-2TMS Phenylacetic acid-TMS Succinic acid-2TMS Methylsuccinic acid-TMS Glyceric acid-3TMS Uracil-2TMS Fumaric acid-2TMS Mesaconic acid-2TMS Glutaric acid-2TMS 3-Methylglutaric acid-2TMS 2-Deoxytetronic acid-3TMS 3-Methylglutaconic acid(E)-2TMS 2-Pentenedioic acid, 3-methyl-, bis(trimethylsilyl) ester Adipic acid-2TMS 2-Hexenedioic acid-2TMS 5-Oxoproline-2TMS 3-Methyladipic acid-2TMS 5-Hydroxy-2-furoic acid-2TMS 保持時間 [ min ] 8,155 8,586 10.310 10.874 11.109 11.460 11.478 11.707 14.019 14.490 14.907 15.348 15.559 15.624 15.683 16.213 16.668 17.114 17.461 17.656 17.739 19.487 19.650 20.341 20.774 20.892 22.160 22.904 23.259 23.652 23.846 24.323 化合物名 ID 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 Tiglylglycine-2TMS 2-Hydroxyglutaric acid-3TMS Phenyllactic acid-2TMS 3-Hydroxy-3-methylglutaric acid-3TMS 3-Hydroxyphenylacetic acid-2TMS 4-Hydroxybenzoic acid-2TMS 2-Ketoglutaric acid-oxime-3TMS 4-Hydroxyphenylacetic acid-2TMS 2-Ketoglutaric acid-oxime-3TMS 2-Hydroxyadipic acid-3TMS Octenedioic acid-2TMS Suberic acid-2TMS 2-Keto-adipic-OX-3 Aconitic acid-3TMS 3-Methoxy-4-hydroxybenzoic acid-2TMS Homovanillic acid-2TMS Azelaic acid-2TMS Hippuric acid-2TMS Isocitric acid-4TMS Citric acid-4TMS Hippuric acid-TMS Methylcitric acid-4TMS 3-(3-Hydroxyphenyl)-3-hydroxypropionic acid-3TMS Methylcitric acid-4TMS Vanilmandelic acid-3TMS Decadienedioic acid-2TMS 4-Hydroxyphenyllactic acid-3TMS 3-Indoleacetic acid Palmitic acid TMS 2-Hydroxysebacic acid -3TMS 2-Hydroxyhippuric acid-2TMS Uric acid-4TMS 保持時間 [ m in ] 24.632 25.204 25.693 26.074 26.156 26.684 26.775 27.067 27.329 28.029 28.122 28.580 29.194 30.116 30.572 30.799 31.319 31.992 32.361 32.366 32.658 32.875 33.001 33.095 33.755 33.961 34.301 35.892 37.363 37.800 38.369 39.331 同定結果 オキシム・TMS誘導体法とGC/MS代謝成分データベースとを用いることにより、 効率的にアミノ酸・有機酸・ 脂肪酸成分の分析・同定ができます。GC/MS代謝成分データベースにはアミノ酸・有機酸・脂肪酸など300種を 超える化合物が登録されており、 同定作業などの種々の煩雑な作業を大幅に省力化することが可能です。 17
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