消費者金融業界を取り巻く環境について

Promise Co., Ltd.
消費者金融業界を取り巻く環境について
貸付金利の低下とマーケットの縮小に伴い、業界の垣根を越えた競合が激化する中、
各社収益モデルの再構築が急務となっています。
貸金業法の動向
4条施行(2010年施行予定)
:上限金利引き下げ(上限20%)、総量規制*導入(年収の3分の1超の貸
付原則禁止)など
多重債務問題などの解決等を目的に改正された貸金業法は、2009年に指定信用情報機関制度の創設、貸金業
への参入条件の厳格化(貸金業務取扱主任者の資格試験制度導入、財務的基礎要件の引き上げ)など3条施行が実
施され、2010年予定の4条施行を控えるのみとなりました。
*総量規制について
*総量規制は、個人への貸付総額が、原則として年収の3分の1に抑制される仕組みです。個人向け貸付を行う貸金業者は、新たな貸付
に対し、指定信用情報機関が保有する個人の信用情報から他社の借入の有無、現在の借入総額などを調査し、貸付金額を定めていきま
す。従って、年収の3分の1を超えている場合、優良なお客様に対しても貸付ができないというケースが今後考えられます。
消費者金融業界の動向
2009年3月31日現在の登録貸金業者数は、前期末比2,937社減の6,178社に
消費者金融業各社は、4条施行を睨み、与信厳格化や不良債権の圧縮を通じて低金利下でも利益が確保できる
取り組みを進めています。その結果、消費者金融市場は縮小傾向が続いています。一方で、利息返還請求が依然
として高水準であることから、中小業者を中心に業界からの撤退が進み、大手でも再編の動きが見られます。
また昨年の秋以降、経済環境が急変し雇用環境は一段と悪化しており、当業界にとりましても債権の不良化リ
スクとして、その影響が懸念されています。
最近の主な動き
年月
社名
内容
2007年09月
クレディア
民事再生申請
2008年03月
アエル
民事再生申請
2008年06月
CFJ
全店舗閉鎖、日本市場からの撤退発表
2008年09月
GECF
新生銀行がGEコンシューマーファイナンスを買収
2008年12月
アコム
MUFGの連結子会社に
上限金利引き下げと登録貸金業者数の推移
22万社超
(万社)
■ 73.0% (83/11)
■ 39.5% (84/10)
6
5
4
3
2
1
4
●登録貸金業者数(左軸) ■出資法上限金利(右軸) ■プロミス貸付上限金利(右軸) (%)
80
■ 54.75% (86/11)
■ 36.5% (87/4)
4.6
4.8
4.6
■ 32.0% (88/3)
■ 29.2% (89/9)
3.7
3.8
3.7
3.6
■ 40.004% (91/11)
3.7
3.6
3.5
■ 25.55% (95/10)
■ 29.2% (00/6)
■ 20.0% (2010年を目処)
60
■ 17.8% (07/12)
3.4
3.3
3.2
3.2
3.0
3.0
2.9
2.8
70
50
2.6
2.4
40
1.8
1.4
1.2
30
0.9
0.6 20
0
0
83/10 85/3 86/3 87/3 88/3 89/3 90/3 91/3 92/3 93/3 94/3 95/3 96/3 97/3 98/3 99/3 00/3 01/3 02/3 03/3 04/3 05/3 06/3 07/3 08/3 09/3
業界データ
消費者ローン形態別新規信用供与額
消費者ローン形態別信用供与残高
19兆7,059億円
29兆4,078億円
(億円)
(億円)
250,000
400,000
200,000
■その他
■流通系クレジットカード会社
■銀行系クレジットカード会社
■信販会社
■消費者金融会社
■民間金融機関
300,000
150,000
■その他
■流通系クレジットカード会社
■銀行系クレジットカード会社
■信販会社
■消費者金融会社
■民間金融機関
100,000
50,000
0
03
04
05
06
2005/3
4月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
01月
02月
03月
年計
2006/3
2007/3
19,723 16,522 14,302
15,800 14,126 13,295
18,675 17,193 15,087
17,840 15,614 13,494
16,206 15,523 13,600
16,517 15,250 13,486
16,555 15,141 14,041
16,522 15,291 13,053
19,820 16,361 14,720
10,856 10,479
9,381
14,415 14,359 12,432
18,002 16,001 13,728
200,931 181,860 160,619
04
05
06
07
出所:
(社)日本クレジット産業協会「日本の消費者信用統計」2009年版
民事再生申立件数の推移(全国)
(件/%)
2009/3
前年比
(7.5)
(13.7)
(16.0)
(5.0)
(20.3)
(4.7)
(13.6)
(23.5)
(10.4)
(8.3)
(12.3)
(5.1)
(11.9)
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
3月
年計
出所:最高裁判所
(件/%)
2005/3
2006/3
2007/3
2008/3
2009/3
前年比
2,363
1,932
2,453
2,299
2,093
2,081
2,154
2,252
2,589
1,524
2,066
2,482
26,288
2,235
1,959
2,375
2,240
2,183
2,111
2,160
2,180
2,533
1,503
2,095
2,372
25,946
2,060
2,029
2,370
2,114
2,140
2,127
2,264
2,256
2,783
1,586
2,220
2,441
26,390
2,348
2,327
2,524
2,434
2,303
2,147
2,374
2,437
2,535
1,587
2,202
2,214
27,432
2,180
2,055
2,086
2,142
1,739
1,931
2,122
1,744
2,050
1,290
1,581
1,819
22,739
(7.2)
(11.7)
(17.4)
(12.0)
(24.5)
(10.1)
(10.6)
(28.4)
(19.1)
(18.7)
(28.2)
(17.8)
(17.1)
出所:最高裁判所
上位企業による消費者金融業界
寡占化の状況
上位4社グループの
(2009年3月31日現在)
大手19社の
貸付金残高合計
8兆1,832億円
(91.3%)
0
03
12,737 11,784
12,404 10,705
13,354 11,217
12,598 11,968
12,059
9,613
10,862 10,347
13,194 11,396
12,284
9,395
13,219 11,847
8,211
7,533
11,184
9,811
11,841 11,241
143,947 126,857
2008/3
100,000
07
出所:
(社)日本クレジット産業協会「日本の消費者信用統計」2009年版
自己破産申請件数の推移(全国)
200,000
貸付金残高合計
6兆996億円
(68.0%)
消費者向け
無担保貸金業者
貸付金残高合計
8兆9,659億円
■大手19社(貸付金残高500億円超の企業)
■上位4社グループ(アイフル、アコム、プロミス、武富士)
の連結貸付金合計
出所:金融庁、各社決算資料
業界の貸付金残高ランキング
(2009年3月31日現在)
(単位:億円)
順位 社名
貸付残高
順位 社名
1
アコム
11,719
1
プロミスグループ(連結数値)15,394
2
プロミス
10,166
2
アイフルグループ(連結数値)13,342
3
武富士
8,615
3
アコムグループ(連結数値) 13,162
4
アイフル
8,428
4
武富士
5
CFJ(外資)
7,800*
5
CFJ(外資)
7,800*
6
GECF(外資)
5,957*
6
GECF(外資)
5,957*
7
オリックス・クレジット 3,374
7
オリックス・クレジット
3,374
8
三洋信販
2,267
9
モビット
2,208
10
アットローン
1,263
*推定値
貸付残高
8,615
注)GECFは、新生銀行が買収し、新生フィナン
シャルに名称を変更しています。
出所:日本金融新聞2009年6月10日号
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