建築構造用鋼材の品質証明ガイドライン 運用に関する技術資料 社団法人日本鋼構造協会 建築鉄骨品質管理機構 鋼材品質証明ガイドライン・フォローアップ委員会 建築鉄骨品質管理機構 鋼材品質証明ガイドライン・フォローアップ委員会 名簿 役 職 氏 名 委員長 森 田 委 員 深 井 敦 夫 2011年10月現在 所 属 団 体 所 属・役 職 耕 次 千葉大学名誉教授/東京電機大学特別専任教授 学識者 国土交通省 国土技術政策総合研究所 建築研 国土交通省 究部 基準認証システム研究室室長 〃 春 原 匡 利 (財)東京都 防災・建築まちづくりセンター 日本建築行政会議 〃 藤 澤 一 善 JFEスチール(株)建材センター 建材開発部 部長 (社)日本鉄鋼連盟 〃 伊 藤 優 (株)日本設計執行役員 構造設計群長 〃 福 田 陽 一 〃 伊 藤 修 二 (株)伊藤構造技術研究所 常勤顧問 (社)日本建築士事務所協会連合会 〃 臼 井 美 文 (株)富士鉄鋼センター取締役 全国厚板シヤリング工業組合 〃 護 雅 典 (株)竹中工務店 東京本店技術部技術部長付 (社)日本建設業連合会・建築本部 (旧(社)建築業協会) 〃 松 下 眞 治 (社)鉄骨建設業協会事務局次長兼技術部長 (社)鉄骨建設業協会 〃 髙 田 泰 久 北榮興業㈱ 代表取締役社長 (社)全国鐵構工業協会 〃 齋 藤 博 萩浦工業㈱ 代表取締役社長 (社)全国鐵構工業協会 〃 伊 藤 清 (社)全国鐵構工業協会 常務理事 (社)全国鐵構工業協会 〃 永 田 匡 宏 (社)日本鋼構造協会 事務局長 (社)日本鋼構造協会 オブザー バー 志 村 保 美 (財)日本建築設備・昇降機センター 構造計算適合性判定員 (社)日本建築構造技術者協会 (社)日本建築士会連合会 新日本製鐵(株)建材開発技術部 建築建材技術 (社)日本鋼構造協会 グループマネジャー -1- 「建築構造用鋼材の品質証明ガイドライン 運用に関する技術資料」発刊にあたって 鋼材品質証明ガイドライン・フォローアップ委員会 2009 年 12 月、鋼材の品質証明に関して、従来の裏書ミルシート方式に代わる自工程責 任に基づいた証明方式を提案した「建築構造用鋼材の品質証明ガイドライン」(以下ガイド ライン)が、建築鉄骨品質管理機構・鋼材品質証明検討委員会により発刊されました。ガ イドラインは、建築鉄骨に係わる関係者が一同に介し、合意を持って作成されたものでし た。 ガイドライン作成当時から、委員会で話題となっていたのは「いかに広範にガイドライ ンを普及させ、利用してもらうか」ということでした。このため、発刊後、JSSC 主催の講 習会(東京 3 回、大阪 1 回)を開催し、さまざまな立場の参加者に多数ご参加いただきま した。また、関係団体にもご協力いただき、それぞれの会員への周知活動を展開していた だきました。 一連の講習会では、参加者から多くのご意見・ご質問が寄せられました。特に、「作成す べき用紙についての事例を作成してほしい」、 「行政・各団体でのガイドラインの普及状況・ 採用状況を教えて欲しい」等の質問が目立ちました。またその他にも、ガイドライン運用 に関する詳細の問合せ、さらにはガイドラインの基本的な考え方等にまで及びました。 委員会では、いただいたご質問に答えるため、Q&A 形式で回答を取りまとめ、JSSC の ホームページに掲載しました。しかし、Q&A だけでは応えきれない部分もあり、また質問 の中には回答に検討を要するものもありました。 上記のような状況を踏まえ、建築鉄骨品質管理機構では、2010 年 12 月、鋼材品質証明 ガイドライン・フォローアップ委員会を設立し、より実効性のある品質証明方式とすべく、 ガイドラインを補う技術資料作成の検討に着手しました。 その後、14 回におよぶフォローアップ委員会とワーキンググループでの議論・検討の結 果、今般「建築構造用鋼材の品質証明ガイドライン 運用に関する技術資料」を発刊する 運びとなりました。特に今回収録しているガイドラインの適用事例については、? 鉄骨建 設業協会、? 全国鐵構工業協会それぞれの担当委員会にて原案を作成いただいたものであ り、より現実の業務に即した内容となっております。 ガイドラインとあわせ本技術資料をご活用いただき、さらなる鋼材の品質証明の向上に 役立てていただければ幸いです。 なお本技術資料は、今後さらに運用方法の向上に資するご意見をいただき技術情報を蓄 積していく予定です。皆様からの建設的なご意見を、引き続きいただけますようお願申し 上げる次第です。 2011 年 10 月 -2- 目 次 鋼材品質証明ガイドライン・フォローアップ委員会 委員名簿・・・・・・・・・・・ 1 「建築構造用鋼材の品質証明ガイドライン 運用に関する技術資料」発刊にあたって・ 2 目 次 1. 「建築構造用鋼材品質証明ガイドライン」に関する運用 Q&A・・・・・・・・・・ 4 2.建築構造用鋼材品質証明ガイドライン 行政等関連機関におけるこれまでの対応状況・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 3.ガイドラインの適用事例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19 ・適用事例1 ・適用事例2 ・適用事例3 4.補足資料 ・仕様書、指針等への実際の反映状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 52 -3- 「建築構造用鋼材の品質証明ガイドライン」に関する運用Q&A <全体的な事項> Q1.行政の具体的な導入スケジュールなどがあれば示して頂きたい。 A1.行政として規制するものではありません。ただし、ガイドライン発行以降、以下の 団体、冊子でガイドラインが紹介、引用されています。 ・ 公共建築協会 「公共建築工事標準仕様書」/「建築工事監理指針」 (共に平成 22 年度版) (国土交通省大臣官房官庁営繕監修) ・ 日本建築行政会議 「建築構造審査・検査要領 2011年版(第Ⅰ編)」 (今後発行予定の「検査マニュアル2010(構造編)」にも記載される予定) ・ ? 東京都建築士事務所協会 「構造設計特記仕様(平成22年7月改訂)」 それぞれの反映状況については、 「建築構造用鋼材品質証明ガイドライン 行政等関 連機関におけるこれまでの対応状況」(p.17)を参照ください。 Q2.このガイドラインを適用した際、違反した場合の罰則規定は設けられるのでしょう か。本方式の拘束力はどの程度でしょうか? A2.このガイドライン自体に法的強制力はありませんが、ガイドライン方式採用を契約 で決めた場合は当然ながら拘束力が働きます。例えば、設計図書にこのガイドライン が特記された場合で、それに従わなかった場合は,監・管理上の問題が発生すると考 えます。 Q3.このガイドラインによる文書を受け取るだけで、建築基準法及び建築士法による鉄 骨工事の材料確認に関する工事監理を行ったことの保証になりますか?また、後日内 容に虚偽が発見された場合の責任はどうなりますか? A3.工事が設計図書のとおり行われているかどうかを照合する責任が工事監理者にはあ りますので、当事者の一人として、異材の混入等により被害を受けた者が工事監理者 を訴えようとすることを否定することはできません。ガイドラインは証明書の様式を 示していますが、この様式に沿って使用鋼材の情報をきちんと記載するには、証明書 を作成するシャーリング会社やファブリケータ(以下、ファブと略す)において、適 切な管理業務がされている必要があるものと考えています。施工者や工事監理者が、 証明書があれば良しとするのではなく、記載内容に疑義があれば、作成者に確認をし -4- たり、あるいは、疑義のあるような証明書を作成する業者とは契約しない、させない というようなチェックの目を持つことで、この証明書の信頼性はあがり、工事監理者 の注意義務の負担も軽減されてくるものと考えます。 ガイドラインの証明書の信頼性が高まり、問題が生じにくく、無駄な検査コストな どを必要としない業界を形成していくことについて、鋼材や鉄骨の生産者、施工者、 工事監理者等がそれぞれ取り組まれる必要があるものと考えます。 Q4.規格品証明書原本、規格品証明書原本のコピー、原品証明書、用紙Bなどの保管期 限については、工事開始前に関係者で文書合意しておくとなっていますが、その後、 具体的な保管期間が決まりましたか? A4.建築工事にかかわる書類などの保存期間ついて、フォローアップ委員会で調査した 結果、一般的には下記の通りとなっていました。 ・建設業法:営業に関する図書の保存は、建物引渡し後、10 年(瑕疵担保責任期間 を踏まえて) ・建築士法:建築士事務所の開設者は、図書の作成後 15 年間保存 ・鉄建協、全構協のアンケート:5∼7 年程度。特に決まった年数は無かった。 ・鉄鋼メーカー:書面あるいは電子デーの保管は 5 年∼10 年。ただし、各社の判断 による。 このように現状では決まった数字はありません。もし、保管期間について関連する 法的な数値を求めると、上記、10 年、15 年ということになりますが、御質問にある 書類が、どのような書類に該当するかは明確ではありません。 建築工事中、あるいは竣工後に対象となる建物の使用材料に関する質問、例えば設 計図書通りの材料が使用されたか否かに対して回答するようなことを考えると、設計 図書の保存期間と同じとするという考え方もあります。 上記のような状況でありますが、本ガイドラインでは「鉄骨工事終了後あるいは製 品出荷後、最低限5年間は保存する」ものとします。しかしながら工事によっては別 途決められることもあるのでその場合は、工事開始時に関係者間で協議して決める必 要があります。 ただし、保管にあたっては、印刷物のほか、PDFなどの電子データも可とします。 Q5.ガイドライン P.10 対象部位・部材について、講習会の説明で「一つ一つの部材で なく柱・大梁というグループで考える」との説明がありました。具体的にはどのよう なことでしょうか。 A5.用紙 C を作成する際、複数の柱、梁といった部材群と規格品証明書の複数の製品群 を対応させる考え方をいいます。 これに対して、1 対1の対応という考え方があります。これは、用紙 C を作成する -5- 際、柱、梁一つずつ、あるいは部材を構成する部品と規格品証明書記載の製品を対応 させる考え方をいいます。 あくまで、用紙 C を作成する際のまとめ方をいうのであり、切板会社やファブの切 断時の管理方法とは別です。 部材・部品と規格品証明書記載の製品の対応レベルは色々考えられますが、本ガイ 「梁」といったグループ対応を採用した」ということで ドラインでは、 「大きな「柱」 す。 柱の場合の例を右の図で説明します。 ・C1が 4 台、C2が 3 台、C3が 3 台あります。 B ・C1の 4 台を 1 つのグループ、C2の 3 台を 1 つのグループ、C3の 3 台を 1 つのグループという A まとめ方もありますが、今回はあくまでも、全 10 台の柱をまとめて、 「柱」として考えています。 ① ② ③ ④ ⑤ □: C1 ○: C2 △: C3とする グループの場合 C1∼C3 を「柱」としてグル ープ化し、 それに使用した規格品証明 書の製品を列記する。 ダイアフラムのような部品 の場合 複数のダイアフラムを「通 しダイアフラム」 「内ダイア フラム」とグループ化し、 それに使用した規格品証明 ●グループ対応の場合 書の製品を列記する。 C1、C2、C3 と各行の製品を対応させていない。 これらの製品が「柱」に使用された。 規格品証明書が複数ある場合も同様である。 ●1 対 1 対応の場合 C1,C2,C3 毎、あるいはそれらを構成する部品ごとに、各行の製 品を対応させる。 -6- Q6.“一つ一つの部材ではなく、「柱」、「大梁」というグループで考える”とありま すが、そのグルーピングは節毎、工区毎等の分け方を、工事監理者と協議し、決める 方向と考えてよろしいでしょうか? A6.宜しいと考えます。 Q7.本ガイドラインの方法とミルシートを見やすく目次(一覧表)を作成して添付する ことと同じように思えるが、どう違いがあるのか? A7.現状もガイドラインと同様の整理が行われているケースもあります。ガイドライン は各工程が自工程責任のもとで作成することをめざしており、その際の表示項目を示 しています。従って、目次(一覧表)の場合は、同様な項目が示されているので形の 上では同じように見えますが、自工程責任が全うされたかは別途照査が必要です。 Q8.本方式とするのか、ミルシート原本・裏書きミルシート方式とするのかを、事前に 工事関係者の合意で決定すると説明がありました。「どちらでもよいのか?」と捉え ることができます。 A8.現時点では、どちらでも仕方が無いといわざるを得ません。将来的にはガイドライ ン方式に一本化できればと考えます。 Q9.今回の品質証明ガイドラインのテキストp.14∼18にケース分けされたフローがあり ますが、1つの工事物件でこの 5パターンが出てくることも、物件内容によっては十 分有ると思います。ファブ(FAB)が用紙 Bを作成することになっていますが、かな りの負担であると思います(まだミルシートの方が楽です)。以前の SN材の品質証 明方式のように普及しないのでは?(監理者、ゼネコン(GC)はいまだ主流は結局ミル シートです) A9.今の方法より少しでも管理レベルを上げたいのが主旨ですので、負担増もやむを得 ないと考えます。 Q10.品質証明ガイドラインにかかるコストの試算、積算方法を教えていただきたい。ま た、その負担者が誰たるべきか、考えをお聞かせいただきたい。 A10.費用の考え方など、各社により異なり一律には言えません。費用は各々の作業者が その発注元へ請求することになります。最終的には、工事発注者の負担となります。 <用紙の作成等について> Q11.ガイドライン P.30 に原品証明書(用紙C)に転記すべき”製品番号”に対応する会 社別、品種別の該当項目が一覧表として示されているが、具体的な会社名が示されて いません。また、ガイドライン P.9 以降の 3.2 節で示されている鉄骨工事使用鋼材等 -7- 報告書(用紙B)の作成対象の部位・部材で使用されるH形鋼以外の形鋼等も示され ていません。これら報告書の作成が容易になることは、本ガイドラインが広く、かつ 適切に運用されることにつながると考えられるので、参考資料である上記一覧表に具 体的な会社名の表示や品種の追記をお願いできないでしょうか。 A11.鋼材品質証明ガイドライン・フォローアップ委員会として確認できた範囲で、会社 名の表示と品種の追加を行い、別表 1(p.11,12)のように取りまとめましたので、 各種報告書作成時にご利用下さい。ただし、ミルシートの表記については各製造会社 の都合により変更されることがあるので、この一覧表以外の表記が確認された場合な ど疑義が生じた場合は、各製造会社に問合せしてください。なお、本表に記載されて いない製造会社や品種が使用できないということではないので注意して下さい。 Q12.用紙 C で記載する鋼材の寸法・数量の記入方法を教えてください。 A12. “寸法・数量”欄には、原則、ミルシートの重量を転記してください。但し、これま での慣習等で使用重量を書くことが作業上都合が良いという場合には、これを妨げる ものではありません。 Q13.スプライスプレート、ガセット・リブプレートなどは、用紙C作成の対象となって いるのでしょうか? A13.スプライスプレート、ガセット・リブプレートは、フォローアップ委員会で検討の 結果、用紙C作成は不要となりました。なおその他ガイドラインで用紙作成の対象と なる部位・部材については、改めて別表 2(p.13)のように整理しましたのでご確認 下さい。 Q14.高力ボルトについて用紙 C を作成する必要はあるのでしょうか。 A14.高力ボルトは、フォローアップ委員会で検討の結果、用紙 C の作成は不要といたし ました。なおその他ガイドラインで用紙作成の対象となる部位・部材については、改 めて別表 2(p.13)のように整理しましたのでご確認下さい。 Q15.溶接材料について用紙Cを作成する必要はあるのでしょうか。 A15.溶接材料については、設計者との協議による場合を除き、用紙Cの作成は行わなく ても良いことと致しました。 建設省告示に規定されているように、溶接材料は、溶接される鋼材の種類に応じ、 溶着金属としての所定の機械的性質が必要とされており、これを確実にするために、 ファブは、メーカーがミルシートで性能証明している溶接材料を確実に使用したこと の証明を行う必要があります。これについてガイドラインでは、ファブが用紙Bに使 用した溶接材料のメーカーと銘柄を記載することにより、証明しています。また、そ -8- の確実性は、実際の運用における適切な溶接材料管理によって保証する必要がありま す。 溶接材料のうち、汎用品は一般的には個別工事毎には発注されず、一定の在庫量 を確保するため定期的に発注されて、各工事に使用されています。従って、各工事に どの製造番号の溶接材料を使用したかを特定することは非常に困難です。一方、それ らの溶接材料は、発注納品時に受入検査を行い、日常的には、複数の溶接材料を使用 する場合は各工事にどの溶接材料を使用したかが分かるような使用上の管理をして おります。以上の状況から、個別工事毎に、溶接材料のミルシートの製造番号を転記 した用紙Cの作成は行わなくても良いことと致しました。 なお、設計者との協議により、特殊な溶接材料などでメーカーが行う溶接材料の 性能保証が必要な場合は、銘柄と使用時期(あるいは製造番号)を指定することによ り、溶接材料メーカーがミルシートを発行し証明することができるようになっている ので、ファブがその情報を転記した用紙Cを作成し、提出することができます。 Q16.アンカーボルト、ベースプレートについての記入方法を教えて下さい。 A16.アンカーボルト、ベースプレートは、セット商品として納入しているケースがあり ます。主な事例を別表3(p.14)に整理しましたのでご参照下さい。 Q17.スリーブ補強の既製品は鋼材証明書の対象部位に該当するのでしょうか? A17.原則として該当しませんが、工事関係者の協議により、用紙Bのみ対象とすることが できます。 (別表2参照) 。 Q18.写真は義務ではないとのことですが、あくまで写真等は資料として持っていること が証明の方法になります。現場配筋写真と同じレベルという考えは無理があるのでし ょうか?設計者、監理者は、どうしても監理の厳しい方へ流れる傾向があります。写 真、その他の件、どこかで歯止めをかける措置が必要では? A18.ガイドラインでは、「原則不要」としましたが、管理を実施していることを証明す る資料になりうると考えます。但し、写真の撮影や提出、付属資料の提出などについ ては、事前に関係者間でその扱いを協議するしかありません。 Q19.複数の問屋または中間加工業者にファブが切板を発注する場合、部位・部材名の指 定がないことが多い。その場合、ファブ固有の作番(注文番号)を用紙 C の部位・部 材欄に記入しても良いのか。 A19.良いこととするが、今後は、部位・部材名を表示した発注方式に改善すべきと考え ます。 -9- Q20.形鋼はミルシート原本・裏書ミルシート方式、鋼板がガイドライン方式、のように 併用は可能でしょうか? A20.何をどこに使用したかを明確にするのがガイドラインの主旨です。現状方式の場合 で、この主旨が全うできるのであればいいのですが、統一したほうが宜しいかと考え ます。 <その他> Q21.一例ですが切板の端面塗色については、ファブ毎の独自色方式が実情である。識別 表示標準への統一化など「ガイドライン」方式移行と共に、他の改善事項にも着目し ていく必要もあると思うが? A21.端面塗色については、JSSC標準への移行を提案しております。 Q22.規格色塗布方法について、ステンシル(板番)情報を現品へ塗布するということだ ったが、細かい切板に対しても記入しなければならないのか? A22.残材のうち、スクラップへ移行するほどの細かい材料には転記は不要です。 Q23.ミルシートに需要家名、工事名が入っているものを他の工事、需要家にそのまま使 うことが出来るのかどうか(需要家名、工事名を消して使うことに問題はないのか)、 よく理解できません。現場名の入ったミルシートが無くなると書いてありますが、ほ とんどの現場で他物件の工場名が入った鋼材は使用不可といわれています。ミルシー トについて需要家が購入先の名前になるということであれば、工事名の記載は無くな るという認識で良いのか? A23.ミルシートには試験結果に関係する以外の情報は記載しない方向が望ましいと考え ます。名前を消して使用するのは、関係者に余計な誤解を与えるので適切な行為とは いえません。また複数現場に使用することがわかっている場合(在庫として所有する 場合も同様ですが)工事名は入れないことが望ましいと考えます。ミルシートに工事 名が書かれたとしても,その鋼材の品質などに変化が有るわけではありませんので、 出所が明確であれば使用できると考えています。 -10- 別表1 原品証明書(用紙C)に転記するメーカー別ミルシート内容一覧 ガイドラインP.30にて紹介している、原品証明書(用紙C)に転記すべき“製品番号”に対応する会社、品種別の該当項目は以下 の通りとなっておりますので、ご参照ください。 厚鋼板 製鋼番号 ミルシート表記 試験番号 製品番号 新日本製鐵㈱ 製鋼番号 試験番号 製品番号 住友金属工業㈱ 製鋼番号 試番 板番号 JFEスチール㈱ 炉鋼番/鋼番 - 製品番号 ㈱神戸製鋼所 製鋼番号 管理番号 製品番号 ㈱中山製鋼所 溶鋼番号 (CHARGE No) − 製品番号 中部鋼鈑㈱ 製鋼番号 − ロールNo. or PLATE No. 東京製鐵㈱ 鋼番 Charge No. - プレートナンバー Plate No. 会社 平鋼 会社 新関西製鐵㈱ 王子製鉄i㈱ 共英製鋼㈱ JFE条鋼㈱ 中央圧延㈱ トピー工業㈱ 大三製鋼㈱ ミルシート表記 試験番号 製品番号 − − 鋼番 − − 溶鋼番号 (CHARGE No) 鋼番 HEAT NO 溶鋼番号 (Charge No) 鋼番 HEAT No. 鋼番 Charge No. 溶鋼番号 (CHARGE No) 溶鋼番号 (CHARGE No) − − 製鋼番号 製鋼番号 (Charge No) − − 試験番号 TEST No. − − − 製鋼番号 ミルシート表記 試験番号 製品番号 製鋼番号 試験番号 − LOT NO − − − H形鋼 会社 新日本製鐵㈱ JFEスチール㈱西日本倉敷 JFEスチール㈱西日本福山 住友金属工業㈱ トピー工業㈱ 合同製鐵㈱ JFE条鋼㈱ 住金スチール㈱ 東京製鐵㈱ ヤマトスチール㈱ 炉鋼番 HEAT NO 鋼番 HEAT NO 製鋼番号 HEAT NO 鋼番 HEAT No. 鋼番 鋼番 HEAT NO 製鋼番号 Heat No. 鋼番 Charge No. 製鋼番号 CAST No. 試番 TestPieceNo 試験番号 TEST No. − − − − − − 試験片番号 Test Piece No. − - - - - -11- 山形鋼 会社 大阪製鐵㈱ 共英製鋼㈱ 合同製鐵㈱ 製鋼番号 Charge No. 製鋼番号 溶鋼番号 (CHARGE No) 鋼番 ミルシート表記 試験番号 製品番号 − − 溶鋼番号 (CHARGE No) 溶鋼番号 (CHARGE No) − − − − JFE条鋼㈱ 鋼番 HEAT NO 東京鋼鐵㈱ 製鋼番号 − − トピー工業㈱ 鋼番 HEAT No. 試験番号 TEST No. − 北越メタル㈱ 溶鋼番号 試験片番号 − ミルシート表記 試験番号 製品番号 − − − − 溝形鋼 会社 大阪製鐵㈱ 合同製鐵㈱ 製鋼番号 Charge No. 製鋼番号 鋼番 鋼番 HEAT NO 鋼番 HEAT No. − − 試験番号 TEST No. − 製鋼番号 試験番号 住友金属工業㈱ 溶鋼番号 チャージNO. 試験番号 JFEスチール㈱組合せ1 製鋼番号 JFEスチール㈱組合せ2 JFE条鋼㈱ トピー工業㈱ 円形鋼管 ミルシート表記 会社 製品番号 (1本:単数) 製品番号 ピースNo. 製造番号 (複数本) 試験パイプ番号 製品パイプ番号 − 鋼番 − − 製造番号 (ロット) JFEスチール㈱組合せ3 製鋼番号 板番号 管番号 製造番号 新日本製鐵㈱組合せ1 製鋼番号 − − 製造番号 新日本製鐵㈱組合せ2 製鋼番号 − − 管理番号 佐々木製鑵工業㈱ 製鋼番号 板番 製品番号 (=試験番号) − 丸一鋼管㈱ チャージNo. − − ロットNo. クボタ 溶解番号 − 柱名称 製作番号 会社 ミルシート表記 製品番号 会社 ミルシート表記 製品番号 共英建材工業㈱ 管理番号 佐々木製鑵工業㈱ 製品番号および板番 JFE鋼管㈱ 造管ロット番号 ㈲三和コラム 製造番号 JFEスチール㈱ 製造番号 ㈱セイケイ 品質証明番号 ナカジマ鋼管㈱ ロット番号 ナカジマ鋼管㈱ 製造番号 日鐵住金建材㈱ 製鋼番号/製造番号 ニッテツコラム㈱ 丸一鋼管㈱ BCR:管理番号 STKR:チャ−ジNo. 製品製造番号 テーパーコアの場合は、 工号および部材マーク BCR295、STKR 作業番号 BCP -12- 別表 2 対象部位・部材と作成区分について 本ガイドライ ン作成 に当たり関係 者が現実の作業も加味して検討した結果、下表に示す 作成範囲で合意がなされた。 部 位 部 材 品 種・形 状 作成用紙 B C 柱 主材 ・H形鋼 ○ ○ 間柱 フランジ ・BH ○ ○ 仕口 ウェブ ・B−BOX ○ ○ ダイアフラム ・コラム ○ ○ スチフナー ・角形鋼管 ○ ○ ベースPL (主柱) ・鋼管 ○ ○ (間柱) ・鋼板 × (※ ) × 構造用アンカーボルト (主柱) ・切板 ○ ○ × (※ ) × 〃 〃 (間柱) ・鉄筋ブレース 大梁 主材 ・ターンバックル ○ ○ 小梁 フランジ ・形鋼 ○ ○ ブラケット ウェブ ・棒鋼 ○ ○ ブレース 主材 他 ○ ○ トラス 主材 ○ ○ スプライスPL ○ × (※ ) ガセット・リブPL ○ × (※ ) 溶接材料 ○ × (※ ) 高力ボルト ○ × 普通ボルト(主要構造部に使用したもの) ○ × 梁貫通孔の補強材 × (※ ) × デッキプレート(仮設用、型枠用を除く) × (※ ) × 母屋 × (※ ) × 胴縁 × (※ ) × 外装一次ファスナー × × 頭付きスタッド × × (※ ) は、工事関係者の協議により対象とすることができる。 -13- -14- 〃 〃 ロ ハ アンカーボルト 〃 〃 ロ ハ 部位・部材 イ 整理番号 [用紙C] アンカーボルト イ 部位・部材 [用紙B] SS400 ABR400 ABR490 規格 アンカーボルト セット JSSⅡ13 ABR490 JIS B 1220 ABR400 JIS G 3101 SS400 JIS 大臣 〃 〃 M22 JSSC規格 JIS 大臣 JIS 大臣 寸法 〃 〃 フルサト工業 納入者 確認欄 〃 〃 品種・形状 規格・種類 〃 〃 20 本 数量(kg) 〃 〃 1,5 現物 〃 〃 6,8 書類 〃 〃 フルサト工業 メーカー名 確認方法 174740 123456 174741 証明書番号 − − − 製品番号 用紙C作成者は、GCまたはFAB) 3 2 1 証明書ページ 用紙B作成者は、GCまたはFAB) イ 日本鋼構造協会(JSSC)規格(JSS)のアンカーボルトセット製品を、フルサト工業へ発注した場合 ロ JIS規格(2010.10.20制定)のアンカーボルトセット製品を、フルサト工業へ発注した場合 ハ JIS規格外のアンカーボルトセット製品(棒鋼はJIS規格)を、フルサト工業へ発注した場合 1. ア ン カ ー ボ ル ト 別表3 -15- ハ ロ イ ハ ロ イ 整理番号 ベースパック ベースプレート アンカーボルト ハイベースエコ ベースプレート アンカーボルト クリアベース ベースプレート アンカーボルト 部位・部材 [用紙C] 日本建築センター評定 ベースプレート アンカーボルト ベースプレート アンカーボルト ベースプレート アンカーボルト H6030-32F2 BT-HT440B-SP SD390 EJ300-4-30 SN490B HAB CB25-836 SN490B SD490 規格 クリアベース 日本建築センター評定 ハイベースエコ 日本建築センター評定 ベースパック 規格・種類 部位・部材 [用紙B] JIS 大臣 JIS 大臣 JIS 大臣 JIS 大臣 JIS 大臣 JIS 大臣 確認欄 鋼板 棒鋼 鋼板 棒鋼 鋼板 棒鋼 品種・形状 PL36 D35 PL40 RB30 PL65 D51 寸法 日立機材 日立機材 岡部 納入者 24セット 15セット 42セット 日立機材 日立機材 岡部 3 2 1 証明書ページ 890-234567-01 890-234567-02 123-456789-01 123-456789-03 PB0011H PB0011F 証明書番号 ー ー − 製品番号 (用紙C作成者は、GCまたはFAB) メーカー名 6,8 6,8 6,8 書類 (用紙B作成者は、GCまたはFAB) 確認方法 数量(kg) 1,5 1,5 1,5 現物 〈 工法として評定を受けている3事例 〉 イ ベースパック工法 (ベースPLが大臣認定品、アンカーボルトがJIS規格品のセット) ロ ハイベース・エコ工法 (ベースPLがJIS規格品、アンカーボルトが大臣認定品のセット) ハ クリアベース工法 (ベースPL、アンカーボルトともJIS規格品のセット) 2. ベ ー ス P L ・ ア ン カ ー ボ ル ト の セ ッ ト -16- 特約店 FAB なし ロ ハ (作成者) FAB FAB FAB (作成者) イ ハ ロ イ イ ロ ハ 3. そ の 他 ブレース 柱/主体 部位・部材 建築用ターンバックル BCR 295 JIS 大臣 JIS 大臣 確認欄 KB-55IM×KW-55 JIS Z 3183 S502-H 規格 銘柄 ターンバックル セット 角形鋼管 品種・形状 規格・種類 (建築用ターンバックル) 大臣認定 BCR 295 JIS A 5540 規格・種類 M16 □−400×400×22 寸法 神戸製鋼所 メーカー名 フルサト工業 特約店 納入者 (用紙Cの作成は不要であるが、「検査証明書」を取り寄せる必要がある。) 整理番号 [用紙C] SAW溶着金属 溶接材料 ブレース 柱/主体 部位・部材 [用紙B] 冷間成形角形鋼管 ターンバックル SAW溶着金属 40 本 2,728 6,8 書類 6,8 6,7 書類 −−− 証明書ページ 2 1 証明書ページ フルサト工業 共英建材工業 メーカー名 29738 11012345 証明書番号 − MQ5 製品番号 (用紙C作成者は、イは特約店、ロはFAB) 確認方法 数量(kg) 5 現物 1,5 1,2 現物 確認方法 (用紙B作成者は、FAB) 建築構造用鋼材品質証明ガイドライン 行政等関連機関におけるこれまでの対応状況 1.公共建築協会 ○公共建築工事標準仕様書 平成 22 年版(監修:国土交通省大臣官房官庁営繕部) ・ “7 章 鉄骨工事 2.10 材料試験等”でガイドラインを下記の通り紹介している。 [記載文] 「JIS 等の規定に適合する品質であることを証明する資料は、原則として、規格品証 明書とする。ただし、監督職員の承諾を受けて、その他規格を証明できる書類に代 えることができる。」 (その他規格を証明できる書類とは、(社)日本鋼構造協会が作成した「建築構造用鋼材の品質証 明ガイドライン」による「鉄骨工事使用鋼材等報告書」を指す。) ○建築工事監理指針 平成 22 年度版(監修:国土交通省大臣官房官庁営繕部) 7章 鉄骨工事 “7.1.2 基本要求品質”、“7.2.10 材料試験等”でガイドラインに ついて紹介がなされている。さらに 7.14.2 では、ガイドラインの内容の大部分が転載 され紹介されている(用紙の書式等も含め) 。 [3 刷り(平成 23 年 2 月 6 発行)“7.2.10 材料試験等”での記載文] 「・・建築鉄骨品質管理機構では、 (従来の鉄骨工事使用鋼材証明書による方法に対 して)より信頼性を高める方法の検討を行い、2009年12月に「建築構造用鋼 材の品質証明ガイドライン」を発行した。そのため、 「鉄骨工事使用鋼材証明書」は 廃止された。本ガイドラインでは、JIS規格等の適合性証明は、原則として、「鉄 骨工事使用鋼材等報告書」によるとしているので、 「標仕」でいう「その他規格を証 明できる書類」とは、((社)日本鋼構造協会が作成した)「建築構造用鋼材の品質証 明ガイドライン」の「鉄骨工事使用鋼材等報告書」と考えてよい。」 2.(社)東京都建築士事務所協会 構造設計特記仕様(平成 22 年 7 月 1 日) “6.鉄骨工事(2)工事監理者の承認を必要とするもの”の中で、“ 「建築構造用鋼材 の品質証明ガイドライン」の規格証明書方式、またはミルシート。”と紹介されている。 また、上記特記仕様書の“解説”では以下の通り記述がなされている。 「建築物に用いる鋼材、ボルト、溶接材料などの品質証明は、従来はミルシートや裏 書きミルシートにより行われてきたが、複雑な鋼材の流通ルートの各段階における品質 証明としては、必ずしも合理的なものではない。このため、本特記仕様における材料規 格証明の方法としては、(社)日本鋼構造協会が作成した「建築構造用鋼材の品質証明ガ イドライン」による方法を推奨するが、従来のミルシートまたは裏書きミルシートによ る方法としても良い。」 -17- 3.日本建築行政会議(JCBA) ○「建築構造審査・検査要領−確認審査等に関する指針 運用解説編−2011 年版」 出版 一般財団法人 建築行政情報センター(ICBA) p.220 及び p.221 に工事監理状況の報告書の例として、ガイドラインの活用方法が紹介 されている。 [記載文] (注) 検査における JSSC ガイドラインの活用 日本鋼構造協会の「建築用鋼材の品質証明ガイドライン」(以下「JSSC ガイドラ イン」という。)はミルシートに代わる鋼材規格品質証明方法として提案されたもの である。 日本建築行政会議構造部会では、従来の「ミルシート又は裏書ミルシート」と 「JSSC ガイドライン」いずれの方法によってもよいとしている。… ○「検査マニュアル 2011(構造編)」作成中 「建築構造審査・検査要領−実務編(検査マニュアル)−2011 年版」として平成 11 年 度中に刊行及び講習会を予定している。 [記載予定文] 【鋼材等の品質証明は、次のいずれかの方法とする。】 ①「建築構造用鋼材の品質証明ガイドライン(日本鋼構造協会)」による方法 ②ミルシート又は裏書きミルシートによる方法(従来の方法) -18- -19- -20- -21- -22- -23- -24- -25- -26- -27- -28- -29- -30- -31- -32- -33- -34- -35- -36- -37- -38- -39- -40- ガイドラインの適用事例3 0,1 230 BOX 80 BOX,BH 20% 2 5 41 B/C BH B 100 -41- -42- -43- -44- -45- -46- -47- -48- -49- -50- -51- -52- -53- 63 -54- 64 -55- -57- ガイドラインの反映状況4:日本建築行政会議 建築構造審査・検査要領2011年版 -58- -59- -60- -61- 建築構造用鋼材の品質証明ガイドライン 運用に関する技術資料 2011 年 11 月 08 日 1 版 編 集 社団法人日本鋼構造協会 建 築 鉄 骨 品 質 管 理 機 構 鋼材品質証明ガイドライン・フォローアップ委員会 発行所 〒160‐0004 社団法人日本鋼構造協会 東京都新宿区四谷 3‐2‐1 四谷三菱ビル 9 階 TEL. 03-5919-1539 FAX. 03-5919-1536 URL http://www.jssc.or.jp
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