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2 デリバリーバイクのパイオニアが 常に持ち続ける開拓精神

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No.381 平成22年8月10日
21
47
公社のさまざまな支援サービスをご利用いただいている元気企業を紹介する
“キラリ企業”
の現場から。第47回目
は、
デリバリー業務用バイクのレンタルシステムを構築し、
また、宅配・デリバリー業務に特化した商品を開発するなど、
他社に先んじた経営をされている帝都産業株式会社
(多摩市)
をご紹介します。同社には、
「 事業可能性評価事業」
や「I
SO取得支援助成事業」等の支援メニューをご利用いただいています。老沼映輔会長
(三代目)
と老沼清晴社長
(四代目)
にお話を伺いました。
デリバリーバイクのパイオニアが
常に持ち続ける開拓精神
帝都産業株式会社
業績上昇の高度成長期
進んで自社で製作まで手がけるようになっていた。この業
界では「光岡自動車」
「タケオカ自動車工芸」と並ぶ企業
帝都産業株式会社は、昭和22年にダンボール製造を
だったそうだ。
主な業務に品川区大崎で創業した。初代社長は戦前、果
またここで転機が訪れる。昭和61年に道路交通法がか
物等を梱包する木箱製造に携わっていたが、戦後はダン
わり、ミニカー運転に普通免許が必要になったため市場
ボールの需要が伸びるだろうと予測してその業界に飛び
が縮小してしまったのだ。しかし明るい話題として、これと
込んだのだ。
ほぼ同時期に「ドミノピザ」が日本へ上陸する。アメリカ
同社では、ダンボール原紙の仕入れから完成に至るま
本土での宅配手段は車である。広大な土地があるからだ
ですべての工程が社内という、効率的な作業がなされてい
が、日本国内では事情が異なるため原付バイクでの宅配
たほか、近隣には大手電気メーカーの工場が多く立地す
に頼らざるを得
るなど経営面でも非常に恵まれた環境にあった。そのた
ない。そこで商
め、戦後まもなくから高度成長期にかけて業績はぐんぐん
品 の「 安 全 」
上昇していった。しかし、ここで転機が訪れる。電気メー
「清 潔」を守る
カーもまたラインがフル稼働の状況にあり、業容拡張の
というコンセプ
ため郊外や地方へ大規模工場を求めて移転し始めたの
トで屋根付きの
だ。当然、メーカーは同社に対し移転先への進出を求め
三輪バイクが考
たが、その土地を離れられず、その答えはNOだった。
案された。この
バイクの考案者
2
ダンボールからバイクへ
こそ老沼会長であり、帝都産業は主業務をダンボール製
取引先が次々と移転していく中、帝都産業は都内にとど
号店に4台納入したものの、価格が高価なこともあり、な
造からバイク事業へと大きく転換することになる。当初1
まった。しかし、同社の下請企業はこの機会を逃さず、電
かなか次の取引に結びつかなかった。しかし、デリバリー
気メーカーと行動を共にする。このときとった経営戦略の
バイクが街中を駆け回る姿がマスコミに取り上げられ、そ
違いによって、帝都産業は下請企業と逆の立場になり、売
れに対する消費者の「安心」
「清潔」の認識向上がピザ
り上げはみるみるうちに減少していった。
の売り上げ拡大に寄与したことにより、取引台数は大きく
当時、老沼映輔会長は車関連のビジネスを手がけてい
増加していった。さらにバイクのみならず、デリバリー管理
た。ダンボール製造現場の過酷さが嫌で、家業を継承す
システムの開発、また、ダンボール製造技術を生かしたピ
ることについては考えていなかったのだそうだ。四輪のミ
ザ用のパッケージ、伝票などの製造も手がけ業界での地
ニカー(原動機付自転車)を輸入・販売し、それがさらに
位を築き上げていった。
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レンタルバイク事業の開始
その後しばらくは他社の参入がなく、デリバリーバイク
市場は帝都産業がほぼ独占する形で推移してきていた
が、大手メーカーの参入で競争が激化。バイクの販売数が
伸び悩むとともに修理件数も減少するようになっていっ
た。価格競争による体力の消耗を避けて、この状況をなん
とか打開できないものかと考えた次なる一手は、
「レンタ
ルバイク事業」であった。
従来から季節的な繁忙期にはバイクのレンタル希望が
多く寄せられ、貸し出していたという。そこで本格的な事
業立ち上げに向けて、金融機関からの紹介で公社の事業
可能性評価事業を活用して、事業を評価してもらうことに
した。本事業のビジネスモデルの概要は次のとおりだ。
・1ヶ月単位での業務用バイクレンタル(23,000円/月)
・完全フルメンテナンスシステム(レンタル先の負担はガ
ソリンとエンジンオイルのみ)
・レンタル料に保険料が含まれており、また、故障・事故
時はすべて帝都産業が対応
・リースと異なり保証人が不要
・豊富な種類のリアボックスや出前機が、用途に合わせ
て選択可能
評価委員会は、デリバリーバイク取り扱い歴20年以上の
実績を基礎とした提供サービスや事業計画の具現性を高く
評価し、公社が継続的に支援していくことを決定した。
実際、平成18年に事業を開始したところ「低価格かつ
短期間」という気軽さが受け、また、リーマンショックなど
経済環境の変化の影響もあり、当初月平均100台であっ
たレンタル数が現在では850台にまで急伸した。まさに
時流に乗ったというべきであろう。
環境保全の取り組み
同社は事業可能性評価事業の利用からまもなく、東京
都中小企業事業化支援ファンドの投資先企業の決定を
受ける。同ファンド事業においては前述のレンタルバイク
事業に加え、デリバリーバイク業界では初のISO14001
認証取得、首都大学東京と行っていたLPGスクーターの
共同開発が評価の対象となった。
ISO認証取得には公社の助成事業を利用しているの
だが、社員数10名に満たない中での取得に大きな苦労が
ったのではとの問いに対し、会長からは「まったくそんな
ことはありませんでしたよ。」と答えが返ってきた。
「取得
のコツは余計な作業はしない、シンプルに仕事を進めるこ
とですよ。」とも。同社ではこの取得に基づき、部品の再
資源化や環境配慮型バイクの導入など環境保全に関する
取り組みに積極的に取り組んでいる。
またISO認証取得は新たな取引の形を生んでいる。レ
ンタル規模の拡大には、バイクの台数と種類をある程度
平成22年8月10日 No.381
確保しておくことが重要だが、1台40万円もするバイクを
一度に大量には取得できない。そこで、活用しているのが
大手企業からの中古品買取である。
仕入れたバイクには自社工場内で丹念にメンテナンス作
業が行われ、レンタルバイクへと生まれ変わる。またその過
程を記録し、販売元である大手企業へ報告することで、信
頼を得ているのだ。顧客が希望するバイクの型式にはすで
に生産中止になっているものもあり、ニーズに応えながら
規模を拡大するためにも、こうした取引は欠かせない。
いつも先端を切り開きたい
レンタルバイク事業が順調に拡大していく中で、次の目
標は何かとの問に対し、老沼会長からは「2年か3年後に
ある中小企業事業化ファンドのリターンを必ずすること。
投資を受けた責任がありますから。」とご回答いただい
た。投資を受けるということは財務面で余裕が出るのは
もちろんのこと、時間を与えられたのと同じことだとい
う。いまその与えられた時間でLPGバイクや新しい出前
機の開発に余念がない。
取材時間の都合上、全てのエピソードを伺うことはでき
なかったが、帝都産業には今日にいたるまで、上述した以
上に多くの分岐点があったことと思う。しかし、そこを自社
で収集した情報に裏打ちされた新しいアイデアと「他社に
まねされない、価格競
争に巻き込まれない」
という信 念で乗り越
えてきた。
最後に、今年6月に
横 浜赤レンガ倉庫で
開催されたエコカーワ
ールド2010に環境配
慮型バイクを出展した
目的を伺ったところ「先端を切り開いて、業界のトップを
走りたい。それには考えるだけじゃなく、実行に移さない
といけません。」と会長が語ってくれた。
短い時間ながらも、同社にはまだまだ多くのアイデアが
ありそうだと感じた訪問であった。
(企画課 小西祐子)
企業名:帝都産業株式会社
代表者:老沼 清晴
資本金:3,000万円 従業員数:10名
本社所在地:東京都多摩市和田 64−1
TEL :042-310-0903
FAX :042-310-0884
URL:http://www.teito-co.com
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