売り方を決める 通販広告に関する基本的規制 広告表現に関する規制は、個別の商品群毎に定められているもののもありますが、商品共通の規制として、景表法(不当景 品類及び不当表示防止法)と特商法(特定商取引法)があります。 景表法 ■■不当表示 景表法4条 1 項では、不当な表示(広告)として以下の三つをあげています。 ●実際のものよりも著しく優良な商品であると示す表示(>>優良誤認とは) ●実際のものよりも著しく有利な取引であると示す表示(>>有利誤認とは) ●内閣総理大臣が指定する以下のもの ・商品の原産国に関する不当な表示(>>原産国に関する不当表示) ・無果汁の清涼飲料水等についての表示 ・消費者信用の融資費用に関する不当な表示 ・おとり広告に関する表示 ・不動産のおとり広告に関する表示 ・有料老人ホームに関する不当な表示 >>解説・詳細「不当表示」 □優良誤認とは 原材料や原産地、若しくは家電製品の消費電力など測定基準が定められているものについては、製造業者から得た情報を きちんと確認して広告表示するよう心がければ良いのですが、商品の品質や機能・性能について明確な評価指標が定まって いない商品も多くあります。 このような商品の品質や機能・性能が優れている旨の広告を行う場合は、科学的な根拠に基づいた内容であることが求め られます。 景表法では、行政から提出を求められた日から15日以内に根拠となる資料を提出するよう定めています。この期限内に 資料が提出できなければ不当表示と見なされるため、広告内容を決めるときには、根拠となる科学的資料をあらかじめ準備 しておかなければなりません。 ●合理的な根拠とは 「合理的な根拠」である旨の判断基準として、景表法では、①表示された効果、性能と提出資料によって実証された効果、 効能の内容が適切に対応しており、かつ、②提出資料が、客観的に実証された内容であることを要件として定めています。 【合理的根拠の判断基準】 景表法第4条第2項の運用指針では、“合理的な根拠”について、詳しく説明しています。 ●客観的に実証された内容とは 「客観的に実証された」内容とは、①学術界・産業界において一般的に認められた方法、或いは、妥当と思われる方法に よって行われた試験・調査で得られた結果であること、若しくは、②専門家、専門機関の見解或いは学術論文が裏付けにな っているものであることとしています。 □有利誤認とは その価値に比べてより安価に商品を入手できることは、消費者にとって大きな魅力であり、購買行動を左右する大切な要 素です。このため、販売価格に関する不正な表示を行うことは、厳しく規制されています。 安い価格が適用されるための条件(一定金額以上の購入など)がある場合には、これを明確に示さなければなりません。 また、安さを訴求するための「比較対照価格」の表示方法についても詳細な規定(不当な価格表示についての景品表示法上 の考え方)が定められています。 価格の表示方法については、価格表現についてのページでも解説しています。 商品を手にとって選んだり、サービスについて対面での説明が難しかったりという通信販売の特性上、返品や契約の撤回 が店舗販売に比べて増えることは避けられません。 通信販売の広告には、返品等に関する事項を「顧客にとって見やすい箇所において明瞭に判読できるように表示する方法 その他顧客にとつて容易に認識することができるよう表示する」ことが特定商取引法で定められており、その具体的方法に ついて、通信販売における返品特約の表示についてのガイドラインとして示しています。返品に関する事項の表示方法につ いては、お客様からの返品についてのページでも解説しています。 □原産国に関する不当表示 原産国に関する誤った表示は、“実際のものよりも著しく優良であると示して消費者を誤認させる“という要件なしに不 当な表示時と判定される恐れがあります。 商品の生産・調達がグローバル化した現代では、商品の原産国をどう表示するかについて特に慎重な確認が必要です。 文字による国名の表示だけでなく、地図や国旗のデザイン、略称などを用いた不適切な表示も規制されています。(下記、 運用基準及び運用細則参照) ・商品の原産国に関する不当な表示」の運用基準について.pdf ・商品の原産国に関する不当な表示」の原産国の定義に関する運用細則.pdf ・商品の原産国に関する不当な表示」の衣料品に関する運用細則.pdf >>売る商品を決める「食品の表示についての確認 原産国」 >>解説・詳細「原産国表表示」 ■■価格表現の法規制 ■不当な価格表示についての景表法上の考え方 商品を購入する際の重要な指標である価格について、実際よりも有利であるかのように消費者を誤認させる価格表現は、 不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある不当な表示として景表法で禁じら れています。 価格を有利であると“誤認”させる要因として、景表法のガイドライン「不当な価格表示についての景品表示法上の考え 方」は以下の3点を挙げています。 ●販売価格そのもの 虚偽の価格を表示することは論外として、より高い価格(対照価格)を併記して価格の安さを訴求すること(二重価格表示) は通常行われることだが、不適正な対照価格を表示して安価と誤認させる。 ●価格が適用される範囲 付属品や取り付け代金など商品・サービスと一体的に販売されるものの価格を明確に表示せず、商品・サービスのみの価格 を表示して安価と誤認させる。 ●価格が適用される顧客の条件 特定の有料会員や、一定額以上の購入実績のある顧客にのみ安い価格が適用されることを明確に表示せず、すべての顧客に 適用されるかのように誤認させる。 ■比較対照価格を用いた価格表示(二重価格表示)の注意点 比較対照価格を用いた価格表示にあたっては、以下の点に留意して適正な表示に努めなければなりません。 (価格そのもの の表示だけでなく割引率・割引額の表示においても同様に適用されます) ●同一商品の価格を比較対照価格に用いる場合 比較対照となる商品は、銘柄、品質、規格等からみて同一と判断されるものでなければなりません。同一性の判断が難しい 生鮮食品の場合、タームサービスのように商品の同一性が明らかな場合を除いて二重価格表示が認められません。 ●“最近相当期間”販売実態のある価格を比較対照価格に用いる場合 “最近相当期間”とは、セール開始時点からさかのぼる8週間について検討されるものとするが,当該商品が販売されてい た期間が8週間未満の場合には,当該期間について検討されるものをいいます。 この考え方は、他社の販売価格を比較対照価格に用いる場合にも適用されます。 ●将来の価格を比較対照価格に用いる場合 セール終了後直ちに将来の価格として表示された価格で販売すること セール終了後もセール時の価格で販売を続けたり、需給状況の変化等を理由に表示した将来の価格と異なる価格で販売した りすることは認められません。 ●不適切な対象向けの価格は比較対照価格に用いてはならない 容易に会員になれる会員制度を設け、非会員価格での販売がほとんど無い価格を比較対照価格に用いることや、ホテルの正 月料金など需要のピーク時にのみ適用される価格を比較対照価格にも散ることは認められません。 ●希望小売価格、参考小売価格を比較対照価格に用いる場合 製造業者等が設定する希望小売価格を比較対照価格に用いる場合は、広告や商品本体への表示などによりあらかじめ公表さ れている価格でなければなりません。 参考小売価格(製造業者等が小売業者にのみ提示する参考価格)を比較対照価格に用いる場合は、小売業者向けのカタログ 等で広く提示された価格でなければなりません。 ■価格の安さを強調する場合の注意点 具体的な価格や割引率を提示しなくても、「大幅値下げ」と強調して通常価格と同じ価格であったり、事実でないのに「倒 産処分品」と表示して安さを強調したりすることは認められません。 >>解説・詳細「価格表示」 ■「打消し表示」を行う場合の規制 広告で強調したい内容(強調表示)に関する例外条件や制約条件がある場合は、お客様が容易に理解できる形でわかりやす く表示しなければ景表法違反となります。 この表示を「打ち消し表示」と呼び、以下のような形で行うことが求められています。 ・強調表示に近接した箇所(事件例では「同一視野の範囲」としている)に表示する ・強調表示の文字の大きさとバランスする大きさで表示する、 ・消費者が手に取ってみる表示物の場合、表示スペースが小さくても、8ポイント以上の文字で表示する (強調表示と相対的なバランスを保って近接した場所に表示すること) ・背景の色と対照性をもった色文字で表示する 特商法 ■■法定表示事項など 「通信販売事業者の責務」を参照してください。 ■■価格以外の販売条件表示の法規制 通信販売の取引においては、特定商取引法により価格以外にも表示しなければならない事項が定められています。 ■送料 販売価格に商品の送料が含まれていないときには、送料を別に表示しなければなりません。 送料の表示は、 「送料実費」や「送料¥○○~」等の表示ではなく、対象地域と併せた明確な金額表示を行わなければなり ません。 [表示例] ・最低送料と最高送料の表示の場合には、下記のような表示が認められます。 「送料○○円(東京)○○円(沖縄)」 ・下記のように平均送料の表示も認められます。 「送料○○円(約○○%の範囲内で地域により異なります。) 」 ・数例の表示の場合には、下記のような表示が認められます。 「送料 ○○円(東 京) ○○円(大 阪) ○○円(鹿児島)」 ■工事費、組立費、設置費、梱包料、代金引換手数料、キャンセル料等 これらの費用が別途発生する場合は、消費者が具体的な金額を把握できるように明確に表示しなければなりません。「工事 費別途」など金額を記載しない表示は不適切です。 ■代金の支払い方法 代金の支払い方法は、具体的な表現ですべて表示しなければなりません。一部の支払い方法だけしか記載しないことは認め られません。 [表示例] 「代金引換(商品代引)、クレジット決済、銀行振込(前払い) 、現金書留(前払い) 」 ■代金の支払時期、及び商品の届く時期(サービスの提供開始時期等を含む) 代金の支払い時期と商品が届く時期は、消費者が明確に把握できるように表示しなければなりません。 特に、前払い方式の場合は、 「入金確認後、できるだけ早急に発送します」といった表現は、 「できるだけ」という表現が時 期を明確にしたことにならないため不適切とされています。 ■ソフトウェアを販売する場合は、その動作環境 ソフトウェアを利用するために必要な動作環境(OS の種類、CPU の種類、メモリの容量、ハードディスクの空き容量等)は、 必ず表示しなければなりません。 ■■返品に関する法規制 ■返品の原則 通信販売で商品・サービスに係る契約・申し込みをした消費者が、その契約・申し込みにかかる商品の引渡し(サービスの 開始を含む)を受けた日から数えて8日間以内に消費者から契約申込みの撤回や解除を行った場合、商品・サービスの瑕疵 の有無にかかわらず、原則として通販事業者は消費者の送料負担で返品に応じなければなりません。 >>解説・詳細「返品」 ■返品特約 事業者がこの原則とは異なるルールで返品に対応する場合、広告で予めこの契約申込みの撤回や解除について、具体的なル ール(返品特約)を“分かりやすく表示”していなければなりません。返品特約の表示についてのガイドライン.pdf ①返品特約は、商品に瑕疵がある場合とない場合に分けて、返品を認めるか否か、その条件、送料の有無などを 明示することが必要です。 例: 「商品に欠陥がある場合には送料当方負担で返品を受け付けます。また、商品に欠陥がない場合でも、 未使用商品について○○日間に限り返品に応じますが、送料は購入者の負担といたします」 ②瑕疵のない商品の返品を受け付けない旨の表示も認められます。 例: 「商品に欠陥がある場合を除き、返品には応じません」 ・・・単に「返品不可」とだけは不可 >>解説・詳細「返品特約」 ■分かりやすい表示の具体例 分かりやすい表示の具体例は、通信販売における返品特約の表示についてのガイドラインに以下のように示されています。 ・カタログ等紙媒体: ・インターネット: 分かりやすい返品特約表示紙.pdf 分かりやすい返品特約表示ネット.pdf 分かりにくい返品特約表示紙.pdf 分かりにくい返品特約表示ネット.pdf ・テレビ: 分かりやすい返品特約表示テレビ.pdf 分かりにくい返品特約表示テレビ.pdf ・ラジオ: 分かりやすい返品特約表示ラジオ.pdf 分かりにくい返品特約表示ラジオ.pdf 商品群ごとの広告(媒体)表現の法規制 ■■薬事法 薬事法では、医薬品や医療機器でないものが、身体の機能構造に影響を与えるかのような広告を禁じています。 個々の文言や図などでは具体的に身体の機能構造に影響を与えることを謳っていなくても、広告全体として身体に影響を与 えるかのような印象を受ける場合も規制の対象になるため注意が必要です。 また、これらの効果・効能は、事実であっても広告することが禁じられています。いかに効果の確かな商品であっても、 医薬品や医療機器の承認を受けた上でなければ、それを広告することはできません。 ■■化粧品、薬用化粧品の広告表現 化粧品や薬用化粧品の広告は、医薬品等適正広告基準(薬発第 1339 号)に従って正確な情報伝達に努めることが求められ ています。 通信販売事業者が広告表現を行う場合、特に留意しなければならない事項として以下のものが挙げられます。 ■効能効果に関する認められる表現の範囲 ●医薬品、医薬部外品の効能効果表現 承認を要する医薬品、医薬部外品(薬用化粧品、薬用ハミガキを含む)及び医療機器の効能効果は、承認を受けた内容を逸 脱しないようにしなければなりません。 (*)この内容については、 「製造販売承認申請書」や「製造販売届出書」などを入手して確認することが大切です。 ●化粧品の効能効果表現 承認を要しない化粧品の効能効果については、化粧品の効能効果の範囲の改訂について別表 1 に定められた「56 項目の表現」 の範囲内、及び「化粧品くずれを防ぐ」 、「小じわを目立たなく見せる」 、「みずみずしい肌に見せる」等のメーキャップ効果、 及び、「清涼感を与える」、「爽快にする」等の使用感を表示し、広告することは事実に反しない限り認められます。 ただし、「乾燥による小じわを目立たなくする」旨の表記は、日本香粧品学会のガイドラインと同等以上の適切な試験によ り効果が確認されていなければならない。 >>効能効果の内容を表現する場合の不適切な例 >>効能効果の程度等を表現する場合の不適切な例 □効能効果の内容を表現する場合の不適切な例 ●承認を受けた内容以外の効能効果(二次的、三次的効果を含む)を表現する 承認を受けた効能効果や性能は、原則としそのままの表現すること。承認を受けた内容以外の効能効果は、たとえ事実で あっても広告できない。 また、“日やけを防ぐ”という効能効果の二次的な効果として“肌を白くする”といった広告表現を行なうこともできない。 ●承認を受けた複数の効能効果のうちから、特定の効能効果だけを表現する。 前項の通り、承認を受けた効能効果は、そのままの文章で表現すること。承認を受けた複数の効能効果の一部だけを広告 する場合は、少なくとも二つ以上の効果を広告すること。(特定疾病に専門に用いられるものであるかのような誤認を与え るため) ●しばりの表現を省略する 「“日やけ・雪やけ後の”ほてり」の“日やけ・雪やけ後の”といったしばり表現を省略して広告を行なってはならない。 漢方製剤等のように比較的長いしばり表現の場合に限り、省略できるものとするが、その場合には必ず「この○○○は体質・ 症状に合わせてお飲みください。」等の注意喚起の旨を付記又は付言する。 ●医薬品の化粧品的若しくは食品的用法、医療機器の美容器具的若しくは健康器具的用法を強調する 肉体疲労時の栄養補給という効能効果で承認を受けたビタミン剤を日常的に用いるサプリメント的な使用方法をすすめ たり、医療機器であるバイブレーターや低周波治療器を運動不足の解消や痩身目的に用いたりする広告は、医薬品等の安易 な使用を助長するものとして禁じられている。 (>>「売る商品を決める」 健康器具、美容器具の表示) ●化粧品における特定成分の薬理作用によって効能効果が発現している旨の表現 化粧品の効能効果は、そのほとんどが薬理作用によらないものである。このため、特定の成分名を挙げて(特記表示)、 効能効果がその成分の薬理作用によって発現していると誤認を受ける恐れのある表示・表現や「生薬エキス」のように名称 に「薬」の字が含まれる成分名や、「漢方成分抽出物」のように医薬品という印象を与える成分名を表示することはできな い。 ただし、特定成分名、又は生薬名であっても生薬等の文字を入れずに、化粧品に認められた効能効果の範囲内で配合目的を 併記すれば成分名を表示して差し支えない。 (例)アロエ・エキス(保湿剤) また、医薬部外品(薬用化粧品)の場合は、承認を受けた成分については薬理作用を表現できるが、有効成分以外の成分の 表示に関しては、化粧品に準じて表示しなければならない。 □効能効果の程度等を表現する場合の不適切な例 医薬品等の効能効果又は安全性に関する表現は、それを保証したりその程度が事実に反して特別に優良であるかのごとく消 費者を誤認させたりする表現は、暗示的な表現を含めて認められません。 ●適正な効能効果が表示されていても、その効果や安全性が確実であるような表現 「根治」「全快する」等又は「安全性は確認済み」「副作用の心配はない」等の表現が不適切表現となる。 「副作用が少ない」 「刺 激が少ない」といった表現も同様で、これらの表現は、明示的、暗示的を問わず認められない。 なお、化粧品等であって、低刺激性が立証されている場合には、安全性を強調せず他社製品の誹謗に当たらないような表現 に限って認められる。 ●臨床データや実験例、使用前使用後の写真等を示して効能効果を説明すること 一般向けの広告にあっては、臨床データや実験例等を例示することは消費者に対して説明不足となり、かえって医薬品等の 効能効果等又は安全性について誤解を与えるおそれがある。このため、使用前、使用後の図画、写真等の表現とともに広告 表現に用いることはできません。 ただし、使用方法の説明のために使用中の図画、写真等を表現することは差し支えありません。 ●愛用者等による使用体験談的広告 一般の使用者、タレント等を問わず、使用体験談を引用した広告は客観的裏付けとはなりえず、かえって消費者に対し医薬 品等の効能効果等又は安全性について誤解を与えるおそれがあるので認められません。但し、使用感を説明することやタレ ントが単に製品の説明や呈示を行うことは差し支えありません。 ●効能効果、又は安全性が最大級、最上級である旨の表現 「最高」 「世界一」 「強力な」 「無類の」などの言葉を冠した表現が不適切表現となります。 「新発売」など新規商品である旨の表現が使用できるのは、発売後6ヶ月を目安とします。 ●効能効果の発現程度に関する表現の規制 「すぐに効く」 「ききめが○○日続く」などの表現は、原則として認められません。 「鎮痛剤」等の即効性について、承認された効能効果、用法用量等の範囲内で、医学薬学上十分証明された内容を表現する 場合も、①ヘッドコピー・キャッチフレーズとして使用しない、②「早く」という言葉を1回の広告中に2回以上使用しな い、③「液剤だから早く効く」等剤型に由来する説明をしない、④作用時間を明示、暗示しないといった注意が必要です。 ●他社の製品と比較する広告 医薬品等の品質、効能効果等、安全性その他について、他社の製品を誹謗するような広告は認められません。 広告内容が他社製品の誹謗に当たるか否かを問わず、製品の比較広告を行うときは自社製品の範囲で行わなければなりませ ん。 ●医薬関係者、理容師、美容師など専門家による推薦の表現 専門家が医薬品等を推薦する広告は、一般消費者の医薬品等についての認識に与える影響が大であることから、事実であっ たとしても認められません。 ●特許に関する表現 「特許」取得、及び出願中である旨の表現は、一般消費者に優良な商品であるかのような誤認を与える恐れがあるため、事 実であっても表現してはなりません。 特許権の侵害防止等の目的で表示することはこの限りではありませんが、その場合は、広告と明確に分離して表記して下さ い。 ■■食品(含む健康食品)の広告表現 食品の広告を行うときに特に注意すべきことは以下の2項目です。 ■医薬品や化粧品にしか認められていない効能効果を訴求する 肌や、ひざ、目など身体の特定部位の構造又は機能に影響を及ぼすことは、医薬品や化粧品にしか認められていない効能効 果です。 これらの効能効果を直接訴求すること、暗示することは薬事法によって禁じられています。 どのような広告表現が医薬品的な印象を訴求していると判断されるかということについては、「医薬品的な印象を与える表 示・表現等」に詳説されています。 >>医薬品的な印象を与える表示・表現等 ■根拠のない、若しくは誤った商品特性を訴求する 脂肪燃焼や体質改善といった、薬事法との関わりがあいまいな領域の表現も、合理的な根拠に基づいていない場合は、景表 法や健康増進法による規制を受けます。 また、栄養成分をはじめとする食品成分の含有や特定の産地・品種について商品の優良さを広告する場合も、広告内容の根 拠となる資料を取引先から入手して、自社のカタログ表記や広告の内容と照らし合わせることが必要です。 特定保健用食品や栄養機能食品など、一定の効能効果を表示することを認められた食品もありますが、これらについて認め られた範囲を逸脱する広告は規制されています。 ・加工食品品質表示基準改正(原料原産地表示等)に関するQ&A ・刺身盛り合わせの原料原産地等表示自主指針 ・豆腐・納豆の原料大豆原産地表示に関するガイドライン ・魚介類の名称のガイドライン(国産魚類・輸入魚類) ・特定保健用食品の広告表現 ・栄養機能食品の成分含有量と機能表示 □医薬品的な印象を与える表示・表現等 健康食品は、その形状や表示・表現によって性質上医薬品と混同される印象を持たれやすことから、医薬品的な印象を与え る表示・表現等については慎重な配慮が必要となります。 製品が医薬品に該当するかどうかの判断については、厚生省薬務局長通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭 和 46 年 6 月 1 日)及び厚生労働省監視指導課長通知「無承認無許可医薬品の監視指導について」 (昭和 62 年 9 月 22 日)に よって「医薬品の範囲に関する基準」が定められています。同基準では、以下の 4 項目を医薬品と判定するための主要な要 素として挙げています。 ●形状 形状面から医薬品的と判断されるのは①アンプル②舌下錠③スプレー管に充填した液体を口腔内に噴霧し、粘膜からの吸収 を目的とするもの等の 3 種類である。 ●用法用量 食品について「食前」 「食後」 「食間」などの摂取時期や量、方法などを細かく表示することは、医薬品的な印象を与えるた め認められない。 「1 日に○○粒を目安として」など目安量を示すにとどめること。 ●医薬品に該当する原材料 厚生労働省が作成した、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に収載された原材料は、着色着香等を 目的とした食品添加物として加えられていることが明確である場合を除いて食品には含有することが認められない。 「原材料名の表示」にも関連記事があります。 ●効能効果 病気の治療や予防はもとより、 「疲労回復」 「体力増強」 「精力回復」 「老化防止」 「新陳代謝を高める」 「血液を浄化する」 「風 邪を引きにくい体にする」「肝機能向上」「細胞の活性化」「免疫力強化」など身体機能の増強増進を目的とする表現は、医 薬品的な効能効果に該当するため、食品の表示・広告に表現することはできない。 (特定保健用食品、栄養機能食品の効能 効果表示については、 「売る商品を決める 商品の特長や品質を表示する場合」を参照) 「漢方」や「薬効」などの表現を名称、キャッチフレーズ、製法、起源・由来その他に用いることで医薬品的効果を暗示的 することも認められない。 さらに、摂取する食品のエネルギー自体が少ないこと以外の効果(例:「脂肪燃焼」や「吸収抑制」など)によって“ダイ エット効果”を訴求することは認められない。 なお、「栄養補給」 「健康維持」「美容」などの表現は、医薬品的な効能効果に該当しませんが、 「目の健康」 「肌の美しさ」 など特定部位に対する効果は医薬品的なものと判断されるため注意が必要です。 ■■公正競争規約 消費者庁長官及び公正取引委員会が認定する業界自主規制として公正競争規約があります。公正競争規約は、表示又は景品 類について「何が良くて、何が悪いのか」を具体的に明文化した、その業界のガイドラインとなるものです。 公正競争規約が設定されている業種のほとんどは、消費者に馴染みの深いものです。 公正競争規約は、消費者庁長官及び公正取引委員会によって認定されたものですから、通常はこれを守っていれば景表法に 違反することはありません。また、公正競争規約の運用は、業界に精通した運用機関(各種公正取引協議会等)により行わ れますので、規制が的確かつ効果的に行われることが期待されています。 担当する商品群が公正競争規約で自主規制を布いている業界に属するものかどうかを、以下で確認の上、該当する場合は必 ず問い合わせて規制の内容を確認し、それに従うことをお勧めします。 また、公正競争規約は適宜追加や修正がなされますので、(社)全国公正取引協議会連合会ホームページより最新情報を確 認してください。 ●公正取引協議会一覧表 :目指す商品の団体名と連絡先の確認 ●公正競争規約文書 :目指す商品の公正競争規約文書の確認 準備した広告表示の著作権等 他人の権利を侵害しないかどうか、以下の6項目のチェックが必要です。 ① 利用物が他人の権利の対象となるかどうか 利用物が著作物であることを前提とすると、下記3項目の検討が必要になります。 ・ 著作権 ・ 産業所有権(特許、実用新案、意匠、商標) ・ 判例上認められてきた肖像権、プライバシー権、パブリシティー権 など ② 対象となる権利の保護期間内かどうか ・ 著作権 著作者の死後50年、著作隣接権は、実演から50年 ・ 特許権 出願日から20年、実用新案権は、同じく6年 ・ 意匠権 登録後20年 ・ 商標権 登録後10年、但し、10年毎の更新が可能 ・ 肖像権など ③ 不法行為の場合は3年、一般の請求権の場合は10年 不正競争防止法に違反しないか 「形態」が問題となる場合には、日本における販売から3年以内であれば、同法2条1項3号に該当する可能性があること に注意するなど、詳細なチェックが必要になります。 著作権の保護期間を経過していたとしても、不正競争防止法違反の可能性を検討する必要があリます。 >>解説・詳細 商品形態を巡るリスク (ケース)著作物Aについて、保護期間経過後にそのレプリカを製造・販売する 保護期間中継続的に著作者の許諾を得て製造・販売していた企業があった場合、その企業と著作物の関係が周知の状態にあ るか否か、即ち消費者がそれを見た時に当該企業が製造・販売したモノと認識する状態に至っていた場合、不正競争防止法 2条1項1号に該当する可能性があります。 広告のデザイン、インターネットでショッピングサイトを立ち上げる際のサイト名称、ドメイン名、サイトのデザインなど も問題となる場合があるため注意が必要です。 ④ 権利の制限の範囲内か 権利者の許諾なしに利用できる場合を確認しておく必要があり、著作権法32条(引用)には要注意。 「引用」とは、報道、批評、研究等の目的で自己の著作物中に他人の著作物の全部または一部を採録するものであって、引 用を含む著作物の表現形式上、双方の著作物が明瞭に区別して認識することが出来、かつ、両著作物の間に前社が主、後者 が従の関係があるものをいう(バーンズ・コレクション事件:東京地判平成10.2.20、判時 643 号176頁) ⑤ 権利者の許諾を得たか 利用には、誰から許諾を得ればよいかが問題となります。 ⑥ 利用方法が適切か 利用方法については、著作権では著作者人格権が問題となります。 著作者人格権は、著作者の著作物の同一性についての意思を尊重したものであり、勝手に著作物を変更すれば、せっかく承 諾を得ていても、著作者人格権の侵害となってしまいます。 広告媒体ごとのガイドライン 媒体夫々でガイドラインを定めていることが多いため、それらの掲載基準等に要注意です。 (業界基準の事例) ・民放連放送基準、第 12 章乃至第 18 章(平成 16 年 4 月 1 日改正) ・日本通信販売協会:テレビショッピングに関するガイドライン(平成 16 年 11 月 9 日改正) ・日本新聞協会:新聞広告倫理綱領(昭和 51 年 5 月 19 日改正)・掲載基準(平成 3 年 3 月 20 日一部改正) (プロバイダー) ・インターネット上に掲載される未承認医薬品、指定薬物などの違法広告を適切に判断し、情報の送信防止など自主的な 対応を取るためのガイドライン ・電気通信サービスの広告表示に関する自主基準及びガイドライン
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