総長選挙規程案に関する「実現する会」の取り組みと 今後の - j

2010.2.12
NEWS №
30
総長選挙規程案に関する「実現する会」の取り組みと
今後の議論の方向性
2010年2月12日
「総長公選制を実現し、学園民主主義を創造する会」運営委員会
本年1月20日付の常任理事会で、総長制度検証・検討委員会による「学校法人立命館総長
選任規程改正(案)」が承認され、全学討議に付されました。総長公選制の実現を目指す
運動は、今重要な局面を迎えています。
ここで、あらためて、総長選挙規程のあり方をめぐる「実現する会」と総長制度検証・
検討委員会の動向を振り返り、総長制度検証・検討委員会による規程改正案の問題点と今
後の議論の方向性について全学に提起するものです。
Ⅰ これまでの「実現する会」の取り組みと総長制度検証・検討委員会の規程改正案
公表に至る経緯
<「実現する会」の取り組み>
「実現する会」は、昨年10月28日の「総長公選制を実現し、学園の民主主義を創造する1
0.28フォーラム」において総長選挙規程案を既に公表しています。そこでは、立命館学園の
管理運営において、とりわけ、学問の自由と大学の自治の保障、「全構成員自治」、「教
学優先」(教学をすすめるための経営)を継承・発展させる必要があり、総長は、上記の諸
原則の担い手として、学園の管理運営において教学優先の貫徹を保障する存在として位置
づけられるとの基本認識に基づき、そのような総長の選び方として、「学園の政策に関す
る選挙人の熟慮を前提として、その意見分布が結果に反映される、公正かつ民主的な選挙
制度」を理念として掲げました。そして、このような選挙制度を具体化する際の原則とし
て、次の4つを掲げました。
学内者優先の原則
教職員・学生・生徒の参画保障と選挙人比率における優位保障
理事会から独立した選挙管理委員会による選挙管理
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公正かつ自由な選挙運動とあるべき総長像についての自由な学内論議の保障
総長選挙規程案の内容は、基本的には1969年制定の旧総長選挙規程をベースとしながら
、政策で争う選挙活動の余地の承認、理事会から独立した選挙管理委員会による総長選出
過程全般の管理、間接選挙制度の採用、推薦委員会による総長候補者の選定と立候補制と
の併用等を盛り込むものでした。
<12月7日懇談会と総長選任制度検証・検討委員会「中間報告」>
その後、昨年12月7日に、組合執行部及び「実現する会」の運営委員が、総長選任制度検
証・検討委員会の見上委員長(副理事長)との間で意見交換の場を持ち、その中で、「実
現する会」の主張に近い考え方が委員会の「雰囲気」とか「空気」として存在するとの説
明がありました。しかし、そのように曖昧模糊とした説明では物事は進まないので、総長
選任制度検証・検討委員会の検討結果を早急に公表して全学論議に付することを強く要望
しました。これを受けて公表されたのが、昨年12月10日付けの「総長選任制度と検討すべ
き論点・・・・中間報告にかえて・・・・」と題する文書でした。それは、
・現行選任規程は、その実施過程を含めてみると、「多くの意見を反映して実施されるべ
き総長選任の趣旨を十分に反映したものではなく、『公選』の性質の悖るとの批判の余地
を残すものであった」との認識に基づいて「規定自体の改正が必要」としていること
・総長選出に当たっては候補者の「政策志向」についても判断できることが必要であると
していること
・推薦委員会および選考委員会の構成において「学内を重視」するとか、「学内者を多数
にすべき」とされていること
において、「実現する会」の考え方を取り入れるかのように見えながら、推薦委員会の構
成等の面で、なお理事会が影響力を行使する余地を残すものでした。
<総長制度検証・検討委員会の規程改正案の性格>
本年1月20日付の常任理事会で承認された総長制度検証・検討委員会「学校法人立命館総
長選任規程改正(案)」は、中間報告に対して「実現する会」が抱いた懸念を実証するも
のでした。それは、全体的に見て、現行選任規程における、理事会(実質的には、理事長
)が「責任をもって」(実質的には、理事長の専断をもって)総長を「選任する」という
枠組みになお固執しています。
そもそも「選挙」で総長を選ぶことを標榜するのであれば、現行選任規程の「改正」で
済むはずはないのであり、現行選任規程を廃止した後、新たな選挙規程を提起するのが筋
道でしょう。総長制度検証・検討委員会がそのようにしなかったのは、結局、現行選任規
程とその下での2006年の総長選任の過程に対する反省が欠落しているからです。
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Ⅱ 総長制度検証・検討委員会の規程改正案の問題点
総長制度検証・検討委員会の規程改正案は、「実現する会」のニュース26に詳述されて
いるように、具体的には、次のような問題点が指摘できます。
①選挙管理において理事会による影響力行使の余地があること
−・総長選挙管理委員会の位置付けの曖昧さ
・理事会からの権限行使の独立性の保障に関する明文規定の欠如、委員の一人に理事が
加わること
②総長候補者推薦委員会において理事会による影響力行使の余地が大きいこと
−・委員が学内役職者から選出され、学内構成員の総意とは無関係の「賢人会議」的性格
を帯びていること
・全推薦委員16名中半数弱の7名が理事によって占められていること
③選挙人(選考委員)の数に見る理事会の影響力の不当な大きさ
−・理事長が選挙人に含まれていること
・選挙人の選出母体における「有権者」数に占める選挙人数の比率が、理事選出区にお
いて異様に高いこと(教員区分全体で13.1%、職員区分全体で8.22%であるのに対して
、理事区分では42.11%)
④理事長・理事による選挙活動の自由、一般教職員による選挙活動の抑圧
−・選挙活動を禁止される者に理事長・理事が含まれていないこと
・選挙人どうし・推薦委員どうしの選挙活動の一律禁止
・集会・署名・「人気投票」の禁止等
なお、上記③について付言すると、対「有権者」数で見た選挙人数の比率が他よりも突
出して高い選出区としては、他に、学外評議委員(59.26%)があります。他よりもこの比
率が突出して小さいのは、前述の職員区分です。総長選挙では、自治の単位としての教授
会が含まれるため、いわゆる「一票の価値」の完全平等を図ることには無理があります。
とはいえ、ここに例示したような大きな格差は、学園構成員の総意の反映の観点から、放
置するわけにはいかないでしょう。
また、上記②と関わって、総長候補者推薦委員会における議論が学園全構成員の総意を
反映できないおそれが完全には拭いきれない以上、「実現する会」が提案した立候補制度
(立命館大学の専任の教員もしくは元専任の教員が、複数の学部にまたがる50名以上の推
薦状を選挙管理委員会に提出することを条件として立候補によって総長候補者となること
を認めるもの)は必要不可欠です。
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Ⅲ あるべき総長選挙規程の方向性
「実現する会」は、常任理事会に対して、改めて、現行選任規程の「廃止」と、旧総長
選挙規程をベースとする新たな総長選挙規程を提起することを求めます。その際、「実現
する会」が掲げる、「学園の政策に関する選挙人の熟慮を前提として、その意見分布が結
果に反映される、公正かつ民主的な選挙制度」の実現に向けて、少なくとも次の諸点を新
規定に盛り込むべきだと考えます。
①総長選挙管理委員会の職権行使の独立性保障
−・少なくとも理事長または総長の推薦に係る理事の委員からの排除
・父母・卒業生の委員からの排除
・職権行使の独立性保障の明文化
・事務局(総務部総務課)が選挙管理委員長のみから指揮命令を受けることの明文化
②総長候補者推薦委員会の民主的編成
−・選挙人選出区からの委員選出を基本とすること
・理事からの委員数の1∼2名程度への限定
・理事長または総長の推薦に係る理事の委員からの排除
③立候補制の導入
④選挙人構成の民主的編成
−・理事長の選挙人からの排除
・理事区分及び評議員区分からの選挙人数の削減(対「有権者」比で多くとも20%未満
)
・職員区分からの選挙人数の増加(対「有権者」比で少なくとも10%超)
⑤理事長・理事による選挙活動の禁止、一般教職員による選挙活動の自由保障
−・理事長・理事による選挙活動の禁止
・パワーハラスメントや金銭・飲食の供応による選挙活動の禁止等、禁止行為の一層の
具体化
・推薦委員や選挙人による選挙活動の自由、集会・署名・「人気投票」禁止規定の削除
Ⅳ 全学論議の呼びかけ
私たちは、立命館学園の管理運営の民主化・正常化に向けた、最初の正念場を迎えよう
としています。立命館学園で学び、働くことに誇りがもてるように、全学での旺盛な議論
を切にお願いするものです。
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