Technical news Vol.34 特集① JFA テクニカルスタディ 特集② フランスの育成年代における試合環境 U-15日本代表活動報告 AFC U-16選手権2010 予選 JFA メディカルセンター開設 財団法人 日本サッカー協会 Technical news Vol.34 特集① JFA テクニカルスタディ 特集② フランスの育成年代における試合環境 U-15日本代表活動報告 AFC U-16選手権2010 予選 JFA メディカルセンター開設 財団法人 日本サッカー協会 テクニカル・ニュース Vol.34 ○発行人:小野 剛 ○編集人:財団法人日本サッカー協会技術委員会・テクニカルハウス ○監 修:財団法人日本サッカー協会技術委員会 ○発行所:財団法人日本サッカー協会 〒113 - 8311 東京都文京区サッカー通り( 本郷 3 -10 -15 )J FA ハウス 電話 03 - 3830 - 2004(代表) ○発行日:20 09 年 11月 20 日 JFA テクニカルスタディ 2 特集② フランスの育成年代における試合環境 U-15 日本代表活動報告 AFC U-16 選手権 2010 予選 JFA メディカルセンター開設 JFA エリートプログラム活動報告 2009 ナショナルトレセン U -12 52 1 1 50 56 14 連載 キッズドリル・第29 回 16 連載 一語一会 17 活動報告 目指せ世界のトップ10 18 GK プロジェクト活動報告 20 JFA アカデミー活動報告 23 海外セミナーレポート 27 JFA 公認指導者海外研修会レポート 33 指導者研修会レポート 36 JFA 公認指導者研修会報告 38 連載 My Favorite Training 39 連載 トレーニングの発展 40 各地のユース育成の取り組み 42 連載 育成の現場をたずねて… 44 海外で活躍する指導者⑫ 45 連載 JFA フィジカルフィットネスプロジェクト 46 連載 審判員と指導者、ともに手を取り合って… 48 技術委員会刊行物・販売案内 60 A MEETING PLACE FOR READERS AND JFA 62 vol.34 1 3 2 4 Technical news 特集① ①高円宮杯第 20 回全日本ユース(U-18)サッカー選手権大会( 決勝戦 横浜 F・マリノスユース vs ジュビロ磐田ユース) ⓒ J リーグフォト(株) ② U-15 日本代 表(AFC U-16 選手権 2010 予選 ) ③ JFA メディカルセンター開設 ⓒ J リーグフォト(株) ④フランスの育成年代における試合環境・U-9 の練習試合の様子 ○ 制作協力:エルグランツ ㈱ ○ 印刷:製本:サンメッセ ㈱ ※本誌掲載の記事・図版・写真の無断転用を禁止します。 本誌は JFA 指導者登録制度において、所定の手続きを行った JFA 公認指導者の方に無償で配布されています。 1 U - 1 5 日本代表活動 報告 AFC U-16選手権 2010予選 【報告者】吉武博文(U-15日本代表監督) 1 期間・場所 ① 2009 年 9月25日〜 30日:直前キャンプ / J ヴィレッジ ②10月 1日〜12日:AFC U-16 選手権 2010予選/フィリピン (バコロドシティー) 2 チームの目指す方向性 Dream(夢) : 「世界に打って出る」 ⇒ Goal(目標) : 「ファイナリストになる」 ⇒ St yle(方法・やり方) : 「全員攻撃・ 全員守備」〜いつでもどこでも数的優位〜 ⇒ Concept( 方向性・あり方) :共鳴〜決 定機・インターセプト〜 という方向性の中で、 コンセプトである共鳴すること…同じ絵 を描く「共通意識 」を持ち → 状況把握を して「情報の共有」をし → 3人以上で「意 図を共感」して →「共同作業」を成し遂げ ることを『試してみる』 。 そして 90分間・4 試合・3 週 間・これま での知識・経験…等、トータルで『 試して みる』ことを追求する。 3 第 7 回キャンプ (AFC U-16 選手権予選直前) アジア1次予選の狙い テーマ (1)1 次予選を突破する ・これまで半年間取り組んできたことをアジア 予選で通用するのかしないのか…試してみる ・そしてそこから新しい物をつかみ進化する (2)意図対意図の闘いを挑む ・相手との駆け引きを楽しむ ・チームで判断をする (3)各種準備・役割の分担 ・オフ・ザ・ピッチでも共鳴する ・そのために自分の考えを伝える → 相手の 考えを受け止める → 相談する 直前キャンプの 4 内容とトピック 出来事として幅広く受け止められるように 準備することを心がけた。具体的には、0-1 で負けているときのシチュエーショントレー ニングや、セットプレーの攻守について94 ジャパン版プレー集を創ること、全体的に 動きの質&量を高めること、1点の重みを感 じ「最初の15分・最後の15分」が流れを決め て勝負を決めることを実感させてトレーニ ングやトレーニングマッチに取り組んだ。 (3)意識の統一 (1)これまでの確認作業 予選は終わってから気がつくことや「あ 心身ともに「94 ジャパン」のコンセプト のときにああしておけば良かった」と言う を確認した。 ことが必ずある。それを踏まえた上で、今 「心」については、代表のユニホームを着 を大切にすることを唱えた。ほんの一瞬、 ることの誇りやここでしかできないことに 一度きり、一つでもいいからと強調した。 挑戦する者が集まっていること。もしもゲー 特にピッチ上 のパフォーマンスに関係する ムでサブメンバーになったらどんな行動を ことは、些細なことも見逃さずに「誠心誠 とらなければならないかなど。 意取り組もう」を合言葉とした。 「身」については、食事や水分のとり方、 また、意図対意図の闘いを挑むためには、 ゲームにおいて90分間、常に良いスタート いつでもどこでも誰とでも、まず自分たち ポジションをとることを心がけること。コ の意図を持つことを共通認識した。 アトレーニングの意義と目的、ピッチ内の 問題は自分たちで解決することなど。 (4 )その他 そして、94ジャパンみんなつながってい これまで同様にこのキャンプから予選は、 ることを忘れずに、2010年につなげること きっかけでもあることを投げかけた。チャン を念頭に置いた。 スを得たら、そのままで終わらせずに、日常 をチェンジする強い意志を持つことを願って ( 2)1 次予選準備 働きかけた。特に選手は自分の考えをはっき アジアでは、本当にどんなことが起きる りと伝えることに慣れていない。日ごろより か分からない。だからこそハプニングをハ 思考することの「強いきっかけ」になればと プニングのままで終わらせずに、想定内の 考えた。思考が言葉を変え、言葉が行動を変 11 え、行動が習慣を変え、習慣が性格を変え、 スをするだけで主導権を握れる場面や決定機 性格が未来や運命を変えることにつながる。 をつくれる場面でも「ただただ安易なプレー」 で思い通りにゲームを運べなかった。また、 状況判断良くパスコースをつくれずにボール を奪われ、ビッグピンチ(相手の質が低く、 大事には至らなかった) の雰囲気を与えたこ とは課題となった。 5 試合内容 第 1 試合 vs. U-15 フィリピン代表 ○12- 0 相手は FWを1人残してディフェンスライ ンを低く保ち、守備の人数を増やしてボール を奪い、カウンター攻撃をしかけてくるスタ イルであった。 日本はシンプルに左サイドを突破してゴー ル前にボールを集め、ゴールを狙う攻撃をし かけた。タイミングの良いクロスへの飛び込 み、リバウンドの意識で得点することができ た。また、 これまでに少なかったセットプレー からの得点もあり、結果的に大差になったが、 フィリピンの勤勉にブロックをつくり、守備 を固める粘り強い守りにはひたむきさを感じ た。日本の守備面において、相手 FW 1人に 対し 3 〜 4人の DFを配置しながらシュート まで持ち込まれる場面もあり、次の試合の 課題となった。 (2)成果 その結果、ボールを保持する時間帯が長く、 相手のゴール前を固められる守備体系を敷か れたにもかかわらず、高速パスとゴールに向 かうトップスピードのランニングをぴたりと 合わせて得点すること、複数の選手が共鳴し、 人もボールも動く中で決定機をつくって得点 することができたことは成果と言える。 第 4 試合 vs. U-15 インドネシア代表 ○ 3-0 (3)課題 1年後のAFC U-16 選手権進出が決まっ 今回はプレッシャーが甘い中での戦いで た中での4 試合目となった。最終予選では 4 あったが、もし相手がイラン(=フィジカル 試合目の勝利が「世界への切符」 (FIFA 的に強い相手)だったら、あるいはオースト U-17 ワールドカップ )となることを踏まえ、 ラリア(=プレーの質が高かったら)だった そのシミュレーションと位置づけた。スタメ らと考えると、課題は山積している。中でも、 ンもサブメンバーも 23人全員で切符をつか 時間やスペースのない場所でのコントロール み取るというテーマで試合に臨んだ。相手 からシュートの精度やマークを捨ててでも危 は大敗しなければ 1 次予選突破という条件 険な選手を察知し、シュート阻止に体を張れ 下で守備的にやってくると思ったが、それ ることなど、ゴール前の攻防の質は今後の大 までの試合運び以上にオーソドックスなサッ きな課題である。さらに、 攻撃時にカウンター カーをしてきた。 を受けないバランスの良い配置も課題であ 日本は、ボールを動かしてポジション修正 る。 第 2 試合 vs. U-15 バングラデシュ代表 を繰り返しながらパスコースをつくり、決定 ○ 6-0 機をつくって得点するという戦いを挑んだ。 (4 )今後の取り組み 相手は 1-4-1-4 -1の布陣から、強いフィ 体調等が万全で 90分間ピッチに立てる選手 ここで言う「バランス」とは、リスク管理 ジカルを生かしてアグレッシブにボールを奪 の数も限られている中できっちりと役割分担 をしっかりし、攻撃参加を我慢するという意 う作戦を展開し、カウンターをしかけてきた。 できたことが結果につながった。ピッチの状 味ではなく、 それぞれのポジションの役割(そ 日本は、球際の強さに手こずりながらも 態が悪い、体調が万全でない選手が多い、猛 のとき、その場での)でパスコースをつくる ボールを動かし、相手の体力を消耗させなが 暑の土地等、ケース・バイ・ケースでどんな ことが数的優位な状況をつくり出すことであ ら得点を狙う方法を取った。流れの中で、 状況下でも言い訳なしで自分たちの力を出せ る。パスコースが重なっていたり、相手の影 「セットプレーを速くする」という基本を守り る試合運びは 1 年後の課題となった。 にいたり、オフサイドポジションだったりす チャンスをつくった。また、 相手のカウンター れば、すでに数的不利な状況であり、相手に ※アジアの 1 次予選くらい軽いという雰囲気の中 で「 常勝韓国 」 がグループ G で 4 位となり 1 次 を阻止するという 1 試合目の課題を克服し、 カウンターをしかけられて当然の状況ととら 予選で敗退した(最終予選開催地に立候補すれば 相手のシュート数をゼロに抑えたのは評価に えたい。したがって、常にボール保持者に対 復活参加の可能性あり) 。 値する。ただ、ボールを受ける前にチェック して 10 個のパスコースをつくることを、次 の動き等で駆け引きをせずにつかまる場面も 日本もグループ Eの中でターゲットにされ 年度の課題と位置づけて取り組みたい。 あり、課題となった。相手は体全体をうまく ながらも失点ゼロで、3 試合目で 1 次予選通 また、今年度はバイタルエリアにできるス 使ってルーズボールをマイボールにすること 過を決めたことは選手たちの成長の証でもあ ペースを「サークル」という私の造語で、選 に長けていたり、ヘディング時の腕でプレー り、大きな成果といえる。 手たちには強いインパクトを与えて意識づけ エリアを確保するなど見習うべき点も多々 ながら、観ること・関わること・共鳴するこ 成果と課題 あった。 とのコンセプトを写していった。次年度はこ (1)3 月から 8 月まで のスペースを意味するサークルという言葉か 第 3 試合 vs. U-15 チャイニーズ・タイペイ これまでの活動の中での「コンパクトな攻 らは離れ、 代表 ○ 5-0 撃にワイドな守備」 (守備と攻撃が反対)が ①まず裏を狙う…すると相手ディフェンスラ 下痢や熱中症で選手の体調が崩れた。交 現状であった。中心的な課題は「良いスター インは下がる… 代メンバーがフィールド 3人(GK 2人)とい トポジションをとり → ポジション修正を繰 ⇒②だからバイタルエリアへボールを運ぶ う中で総力戦を余儀なくされるゲームであっ り返す」ことができないことであった。そし …すると相手は中に固まる… た。この試合で勝てば予選突破が決まるこ て自分たちの感性で闘う戦士になることを目 ⇒③だからサイドのスペースが空く…する ともあり、 「何が何でも決める」 という目標で 標とした。8 カ月間の活動の中で「68m と と相手は数でゴール前を固める… 試合に臨んだ。 いうピッチの幅をうまく使い攻撃できつつあ ⇒④だからミドルシュートレンジが空く… 相手はピッチ全体に人を配置し、奪ったら る」 、 「攻撃のリズムやテンポの変化をつけら すると相手はゴール前から出てくる 素早くシュートするというシンプルな攻撃を れつつある」 、 「共鳴することからプレーの質 ⇒①だから裏が空く → 裏を狙う… しかけてきた。それに対し日本は、ボールを を追求しつつある」 、 「切り替えの速さがスト というようにプレーの原則にしたがう中 動かしながら相手を集め、空いたスペースを ロングポイントになりつつある」といった現 で、① ⇒ ② ⇒ ③ ⇒ ④ ⇒ ① ⇒ ②と循環し、 有効に使う方法で攻めた。しかし、丁寧にパ 状を踏まえ、1 次予選に臨んだ。 繰り返す意味で「サークル」という言葉を使 6 12 いたい。そして循環し繰り返す中で、プレー 内では見えにくかった「闘える選手と闘えな 代表候補として良い刺激を受けられるのでは の質を追求したい。 い選手」に、今の時点でくっきりと二分した のも確かである。以前、A代表のフィリップ・ トルシエ監督がアフリカ遠征を企画し、世界 で闘える選手が誰なのかを選別したと聞いた ことがある。どんな選手が「いつでもどこで も誰とでも闘えるのか?」今、私が言える ことは、やはりサッカーが好きで、そのた めならどんなことでもするという取り組む 姿勢を持っている選手。だから われわれは、そんな選手に育て るという根本的な部分に立ち返 らなければならないことを痛感 した。基本的なことは誰にでも 身につけられることであり、そ の環境をつくってきたのはわれ われ大人なのだから、 責任も「大」 であると反省し帰国した。 また、現在各チームでのポジ ションでは代表定着は厳しくて も、コンバートすれば U-15 日本 ないかと思っての働きかけが「裏目に」出た こともあった。私自身の各チームとの連携不 足、コミュニケーション不足には多大な反省 点が残った。実は次年度への最大の課題は私 自身かもしれない。 最後に各チームで活動のある中、選手を長 い期間派遣していただき、関係者には心より 感謝しています。 7 まとめ 今回は、直前国内キャンプに 25 人の選手 を招集し、23 人の選手が予選に飛び立つと いう、リスクとメリットのある流れに取り組 んだ。そんな中でも選手たちはそれぞれの立 場や力量を感じながら、目の前のハードルを 真摯に乗り越えようとした。人間的な成長速 度には本当に感銘を受けた。 しかし、この 1 年間を振り返ってみると、 われわれが取り組んできたことは、スパイク はきちんと磨こう、FK のボールはちゃんと 止めてから始めよう、相手国歌斉唱時の態度 には気をつけよう、相手とボールの見える位 置に立とう、ゲーム前にはピッチの状態を観 察しよう、食事はガッツリ食べよう、などな ど、本当に基本的なことへの働きかけが多い ことにも驚く。 また、アジアという場で 2 週間戦い、国 GK 報告 【報告者】大橋昭好(U-15 日本代表 GK コーチ) GK は山田が出場した。 攻め込まれること が少ない中、集中してプレーすることができて ●岩脇力哉(ジュビロ磐田ユース) いたが、攻撃時のリスクマネジメントに対する 1994 年 3 月19 日生 182cm / 72kg 味方への声での働きかけができていなかった ●斉藤康平(清水エスパルスジュニアユース) ( 相手の 1トップに攻撃の起点をつくられるこ 1994 年 4 月 3 日生 183cm / 71kg とがあった) 。 ●山田元気(FC XEBEC ジュニアユース) 攻撃参加の場面では、相手が下がり気味に 1994年12月16日生 183cm / 65kg プレーしていたため、判断に迷うことはなく流れ の中でプレーできていた。 1 招集 GK 2 直前合宿のテーマ 1次予選に向けてのコンディションづくりとメ ンタル面の充実 ①クロスへの対応 ②効果的な攻撃参加 ③ GK と DF との連携 3 テストマッチ U-15 日本代表 ● 2-3 JFA アカデミー福島 U-16 山田、斉藤は U-15 の GK。 岩脇は JFA アカデミー福島 U-16 の GKを務めた。 GK 3人のプレーを試合の中で見ることがで き、 それぞれのGKのコンディション、試合感覚、 課題を把握できた。AFC U-16選手権予選に 向け、短い時間の中で何を優先的にトレーニ ングしていけば良いのか、一人一人に何を求め ていけば良いのかを確認することができた。 4 AFC U-16 選手権2010予選 第 1 試合 vs. U-15 フィリピン代表 第 2 試合 vs. U-15 バングラデシュ代表 GKは岩脇が先発した。集中してプレーするこ とができていた。第 1 戦の反省から、攻撃時の リスクマネジメントに対する味方に対しての声で の働きかけの意識があった。前半は 1 得点の 後、決定機を何度となく逃しリズムの悪い中、 守備面は安定していた。後半はチームのリズム を取り戻し、得点を重ねることができた。 第3 試合 vs. U-15 チャイニーズ・タイペイ代表 G Kは斉藤が先発した。ウォーミングアップ から集中力があり、試合への入りが良かった。 クロスボールに対してのタイミングの良い飛び 出しからの確実なキャッチングと攻撃参加のパ スの判断が良く、試合の流れの中でプレーで きていた。 第 4 試合 vs. U-15 インドネシア代表 GKは斉藤が先発した。第 3 戦と同様にク ロスボールへの対応とキックが良かった。特に、 グラウンドコンディションが悪くGKからのビルド アップが難しい状況下で、持ち味である精度 の高いロングキックは、試合を有利に進める 上で効果的であった。 5 まとめ 攻撃時におけるリスクマネジメントに対する味 方への 「指示の声」が出せていない。特にディ フェンスラインやボランチのポジショニングの修 正に対する声が出せずに、ディフェンスラインと MF ラインの間にスペースが空き、相手のクリ アボールが攻撃の起点になってしまうことが何 度となく見られた。全体のポジショニング (バラ ンス)に対する意識を高める必要性を感じた。 GKのプレーでは、天候、グラウンドなど状 況に応じて安全確実にプレーするための判断 が求められた。実際、今回対戦したチームの GK は「つかむ、弾く」の判断があいまいで、 日本はシュートのリバウンドから得点をすること ができた。 攻撃の場面では、グラウンド状況 が悪く、GKからのビルドアップが難しい中、 FW あるいはサイドの MF への距離のある 「キックの正確性」が求められた。日本の GK は「つかむ、 弾く」の判断と「キックの正確性」 に関してはレベルは高く感じられた。 今大会を通じて「GKとしての技術、戦術」 は向上しているが、「攻撃時のリスクマネジメ ント」に課題を感じた。 来年行われる AFC U-16 選手権 2010 に向け、この経験を生か し GK のプレーの質を高めていきたい。 13 2009 ナショナルトレセン U-12 前期開催報告 このナショナルトレセン U -12 は、スポーツ 振興くじ助成金を 受けて実施しています。 【報告者】 星原隆昭(ナショナルトレセンコーチ) より多くの選手に経験すること・刺激を多く与えることを考え、 展開されてきたナショナルトレセン U-12 地域開催が定着してきた。 そしてさらに充実させていくために、2009年度各地域で複数回開催を試みた。今回は、北海道での開催を中心に報告する。 1.テーマ 「サッカーをしよう」 ここ数年変わらないテーマである。サッ カーが上手な選手を育てていかなければな らない。サッカーとはゲームである。トレー ニングは非常に重要な要素であるが、 トレー ニングのためのトレーニングではなく、 ゲー ムのため・ゲームを意識したものであると 考えている。トレーニングではうまくでき るといったところでその選手の評価が終わ るのではなく、ゲームの中で何ができるの か、ゲームで何をしているのかをしっかり と評価し、スキルアップしていこうと考え ている。 ナショナルトレセンの 4日間だけで劇的に 上達することはない。ここでの経験を日常 の練習でどう生かしていくかが大切である。 イベントとしてのトレセンではなく、日々 のトレーニングの流れの一つなのである。 したがって、今回のトレセンで取り上げた 各トレーニングセッションのテーマがこの年 代のすべてではない。これ以外にも多くの 課題を克服していかなければならない。し かし、各トレーニングで取り上げたテーマ はこれまでの世界大会を中心とした JFA テ クニカルスタディグループの報告から「目 指す姿」に向けて導き出されたものである。 〔目指す姿〕 みといったポジショニングを常に意識し、 状況に応じて適切にプレーに関わることが 大切である。 また、守備においても同様にオフ・ザ・ボー ルでのカバーリングやポジショニングを常 に意識することが必要である。このように 攻守にわたって常にプレーに関わり続ける ことができることを選手に求めていくこと が大切である。 そのような関わりがあるからこそ、ボー ルを持った選手は多くの選択肢を持ってプ レーすることが可能になる。ボールを受け る前に状況を把握するために周りを観て、 ゴールを奪うための最良の選択肢を判断し、 プレーすることが選手には求められる。も ちろんサッカーには唯一の正解があるわけ ではない。 「その状況で選手が」どのような 判断をするかはその選手に委ねられている。 これがサッカーの面白さでもある。さらに、 選択肢を複数持った選手への守備は難しく なる。 「パスするのかドリブルをするのか?」 「ワンタッチプレーをするのか、コントロー ルをするのか?」 。これだけのことを守備者 に意識させるだけで随分と相手との駆け引 きで優位に立つことができる。そのために 「観ておく・観る・観ながら」といったこと からのプレー( 実行)が非常に重要になっ てくる。 2. 基本の徹底 〜基本の追求に妥協はない〜 人戦術のレベルアップが必要である。特に ポゼッションではこれらの点に焦点を当て てトレーニングしていく。 これらの基本トレーニングも、味方・相 手がいる中で、また相手との「駆け引き」 やチャンス・ピンチ・スペースを感じるこ とを習得していきたいと考え、 すべてのテー マでトレーニング 1 からは、攻防になるよ うなトレーニングメニューとなっている。 3. 攻防 4つのトレーニングセッションがあるが、 すべてのテーマ・セッションで攻防がある ため、 「攻防」というテーマでのセッション はない。その中でもハイプレッシャーとな るゴール前のフィニッシュ (さまざまなシュー ト)については日本が克服すべき大きな課 題であり、この年代から特化して取り組ん でいく必要がある。サッカーの目的は得点 を奪うことである。そのことの大切さを十 分に理解させ、ゴール前での攻防の質を高 めることを目指す。 4. ゴールキーパー U-12年代はゴールキーパー(GK)の専門 的なトレーニングを導入していく年代であ る。GKの一貫指導を考慮すると、 「GK の 基本技術」 「ポジショニング」の習得が目標 となる。 ウォーミングアップを兼ねてのボールファ ミリアの中では「コーディネーション」や「空 間の認知」の向上も図る。ゲームやトレー ニングでは、 「ゴールを守る」ことを強く意 識させ、できるだけボールのコースに身体を 運び、ボールを1 回でつかむことを強調する。 そして、奪ったボールを確実に味方選手へつ なげていくことも意識させる。 ・育成年代だからこそ身につけられる! サッカーの基本には「テクニック」 「判断」 ・11人全員がフットボーラー 「コミュニケーション」 「フィットネス 」の 4 ・日本のストロングポイントで闘う! つの要素があり、これらのすべてを高めて Japan's Way の 構築 いく必要がある。この年代はテクニック (判 ・ボックス付近での攻守の質を上げる ・「〜 or 〜 」 (または)ではなく、 「〜 and〜」 断を伴ったもの)の獲得に重点を置きなが ら基本を徹底していくことが大切である。 (〜も〜も) 〜しながら〜できる選手の育成 今回のナショナルトレセンでも、すべて ■ テーマを達成するための留意点 のトレーニングセッションにおいて、テク 2009 ナショナルトレセン 「プレーに関わり多くの選択肢を持とう」 ニックを基礎的なドリル練習と攻防・ゲー U-12 北海道 ボールに関わるテクニックを向上させる ムによって獲得させていく。テクニックの ことは当然のことながら(オン・ザ・ボール) 、 発揮には常に判断の要素が含まれる。状況 1. スケジュール それと同時に自分自身がボールを持たない に応じて自らがさまざまな判断をしてプ ※右表参照 状況でプレーに関わることも非常に大切な レーすることが大切である。また、動きな ことである。U-12 年代からこのような、い がらの技術の発揮を引き続き求めていく。 2.トレーニングメニュー わゆるオフ・ザ・ボールで関わりながらプ 基本の追求に妥協はない。 「ボールに寄る」 レーできるようになることが求められる。 「パスしたら動く」 「 周りを観る・観ておく・ (1)フィールドプレーヤー ①全員で GKトレーニング& ボールを受けるタイミング、サポートの角 観ながら」といったことからゲームでのポ ボールフィーリング 度・距離・タイミング、ゲームでの幅や厚 ジションのとり方などのプレーの原則や個 14 2009 ナショナルトレセン U-12 前期開催報告 GKコーチを中心に、ボールフィーリング・ スピード・テクニックを発揮した突破も多 コミュニケーション〜徐々に GK の動きを く見られた。その中で、選択肢を持ちなが 経験していった。雨にもかかわらず楽しく らのプレー・選択肢を持たせるためのオフ キャッチング・セービングまで行った。これ の動きを意識することが必要と感じた。 は、GK がフィールドプレーヤー(FP)とし ヘディングの技術は課題で、少しずつでも ての要素をとり入れるのと同じく、FP も すべてのテーマの中に加え、技術を高めたい。 GKを行うことがあるためである。 ⑤女子 その後のボールワークでは、雨でスリッ 今回 4 名が参加した。男子に見劣りする ピーだったが、徐々に慣れてきた。動きな こともなく、逆に何度もスピードで突破す がら「止める」 「蹴る」の質を高めることと、 る選手もいた。課題は、やや孤立する場面 タイミング・コミュニケーションを合わせ が見られたことで、攻守に関わることを意 るために「 観ておく・観る・観ながら」を 識し高めていきたいと考える。 徹底、特にボールに寄りながら観る(タイ ミングを計る、選択肢を増やす)ことはこ (2)ゴールキーパー の後の課題でもあった。最後のゲームは 8 今回、以下の 4 点をテーマにGKトレー 人制で、さまざまなポジションを経験した。 ニングを行った。 ②パス&コントロール ①コーディネーション能力の向上 ウォーミングアップの途中から軽くDF を ・ボールを扱う能力の向上(ボールフィー 入れて観る〜判断の要素を入れた。同じ方 リング) 向・足で行っていた選手たちが徐々に相手 ・身のこなし、バランス能力の向上 を意識し、非常に柔軟にプレーし出した。 ②キャッチングの徹底 その後サポートをつけるとやや頼る傾向も ③ポジショニングの導入 出てきたが、さまざまな選択をする中で逆 ④ 攻 撃の意識づ け【確実に味 方選手にパ を利用しながらプレーすること、そして、 スをし、簡単にボールを失わない】 プレッシャーの中での正確なコントロール、 今回の 4 名は、この年代的に見て身長が 相手・味方の状況に応じたパスの質( 強弱・ 特別高い選手もいなかったためか、明らか コース)を追求していきたいものである。 なコーディネーション能力の低さは見られな ③ポゼッション かった。キャッチングに関しては、反応は速 ついついボールを保持することが優先に いが、構える姿勢とタイミングにおいて良 なりがちであるが、相手ゴールを意識した い準備ができず、シュートに対応しきれな 中でボールを失わないことを追求した。ま い、もしくは反応しても後ろ方向へプレー た、 トレーニング 2 ではラインゴールで行っ してしまう場面が多く見られた。また、 たところ、どうしても局面で打開しがちに シュートに対してステップを踏むことがで もなるが、意図的に中央・サイドに寄せて (も きず、簡単に跳んでしまうことが多くあった。 ちろんそこで突破できれば突破するが)相 ポジショニングに関しては、シュートに 手の薄いところを突くことも考えながらプ 対して若干の低さも見られたが、おおむね レーしたいものである。テクニカルな選手 意識してとっていた。特に、ゲームではど も多くオフェンス側の成功が多かったこと の選手もDFの裏への意識も高く持ってい から、逆にディフェンスに働きかけ、ボー た。 ルサイドへのプレッシングを強調した。 攻撃に関しては、優先順位を意識しなが ④さまざまなシュート らもつなごうというプレーが多く見られた。 利き足では強いキックのできる選手も多 しかし、パスの質の部分で粗さがあり、失 く見られた。相手のいる中 (プレッシャー) で うこともあった。意識すると、さまざまな の精度を高めることは、日本全体での課題 ことを複合的に行うことができるのである で、さらに追求していきたいものである。 から、動き出しの質を上げていくことが必 また、2 対 1、3 対 2 で個人での突破では 要である。そのために、やはり基本姿勢と 2009 ナショナルトレセン U-12 北海道 23日 選手 スタッフ 24 日 選手 スタッフ 26日 25 日 講習会 選手 スタッフ 講習会 選手 スタッフ 9:30 トレーニング① パス&コントロール 10:00 10:30 トレーニング② ポゼッション ゲーム 11:00 11:30 12:00 昼食 12:30 13:00 13:30 14:00 14:30 15:00 15:30 16:00 16:30 受付・集合完了 18:00 18:30 実技② 昼食 入浴 チェック 夕食 アディダスよりプレゼン ※アンバサダー 全員で GK トレーニング & ボールワーク 17:00 メディカル 17:30 実技① レクチャー トレーニング③ さまざまなシュート ゲーム メディカル チェック 入浴 夕食 閉会式 昼食 解散 講義① 講義② 入浴 閉講式 夕食 19:00 19:30 開会式/ガイダンス 大塚製薬よりプレゼン レクチャー レクチャー グループ別 グループ別 21:00 ミーティング ミーティング 21:30 打合せ 打合せ 20:00 20:30 レクチャー グループ別ミーティング 打合せ ※多少の変更あり そのタイミングを意識し、常に観ながら良 い準備を心がけていくことが大切である。 北海道 U-12 責任者・ 尾見秀樹氏のコメント ナショナルトレセンU-12 北海道はナショ ナルトレセンスタッフと地域スタッフがと もにトレーニング指導を行った。入念な 準備のもと、選手はもとより指導者も緊 張感を持ちながら取り組んでいた。また、 同日同会場で U-13・U-14 北海道トレセ ンも開催された。U-12〜U-14 が一堂に 会して活動し、選手同士や指導者の交流 など、目的以上の成果が上げられた。 3. 総括 初日こそ雨模様だったものの、翌日から は例年よりも暖かい中での開催だった。関 係者のご尽力により、全日程を天然芝で行 うことができた。トレーニングのテーマと ともに様子を記載しているが、 最終日のゲー ムで、観る・動きながら・判断する・技術 の発揮・プレッシャーの意識がより高まっ たと思う。ただ、この 4日間ですぐに向上 するものではなく、 日常でもそうしたトレー ニングは行われており、初めは緊張感もあ り発揮できないのかなとも感じた。個人の 技術を発揮する中で、相手・味方・スペー スを意識・感じながらプレーすることをさ らに高めていきたいものである。 ナショナルトレセンの刺激を多く経験する ために、今年度より複数回開催に取り組んで おり、関東・関西・四国・九州で 2 回、東 北に関しては 3 回開催した。北海道をはじ め従来通りの 1 回開催の地域もあるが、そ うした地域のほとんどでそれに準じた練習会 やキャンプを別に開催している。また、開催 に際しても地域 4 種スタッフが数回にわたっ てシミュレーションを行い、運営の役割を組 織して、しっかりとした準備の下、ナショナ ルトレセンを迎えたことを見ると、地域ス タッフの選手育成への熱心さ、意識の高さを 感じた。北海道では 3 種スタッフも参加し、 種別を超えた育成にも取り組んでおり、選手 を縦軸に種別(年代)の垣根を越えた育成を していこうという気概を感じた。 2009 ナショナルトレセン U-12 下記の日程で 2009 ナショナルトレセン U-12 を地域開催します。 指導者講習会開催などの詳細は、JFA のホームページをご確認ください。 北海道:10 月23日(金)〜 26 日(月) 札幌サッカーアミューズメントパーク★ 東 北: 7月 18 日(土)〜 20 日(月・祝) 安比高原 ASPA サッカー場 9 月 19 日(土)〜 21日(月・祝) 安比高原 ASPA サッカー場 10 月 9 日(金)〜 12 日(月・祝) 岩木青少年スポーツセンター★ 関 東: 9月 5 日(土)〜 6 日(日) 鹿島ハイツスポーツプラザ 12 月 26 日(土)〜 29日(火) 鹿島ハイツスポーツプラザ★ 北信越:10 月 9 日(金)〜 12 日(月・祝) アルウィン★ 東 海:10 月 9 日(金)〜 12 日(月・祝) ヤマハリゾートつま恋★ 関 西: 8 月 25日(火)〜 27日(木) 上富田スポーツセンター 12 月 25日(金)〜 28日(月) ビッグレイク★ 中 国:12 月 25日(金)〜 28 日(月) ビッグアーチ★ 四 国:12 月 19 日(土)〜 21日(月) はるのの湯★ 2010 年 3 月 20 日(土)〜 22 日(月) 野外活動センター 九 州:10 月 10 日(土)〜 12 日(月・祝) 由布市湯布院スポーツセンター 12 月 26日(土)〜 29日(火) 大津町運動公園★ ※複数回開催する地域は、上記★印の期間を従来のナショナルトレセン U -12 として開催する。 15 連載第29回 キッズドリル紹介 1 51 チェンジ腕組みおに) はみ出しおに (JFAキッズドリル ★基本型 逃げ: おに: 10m 10m <ルール> (1) 人数は、 15人〜20人程度。 (2)2人1組は手をつないでいる (はじめは場所を固定)。 (3) 手をつないでいない人が逃げ、 2人1組のどちらかの人と手をつなぐ。 手をつながなかった2人組の人が(玉突き的に)はみ出し、逃げる。 (4) おには、 はみ出した人のみタッチできる。タッチしたら、おにを交代する。 ※基本はルールを覚えるために使うことが多い。 (年齢に応じてであるが)多くの場合、 おにを2人か3人 (MAX) にする。 <発展> (1)2人組は自由に手を離し、 動くことができる。 (2)2人組そのものが動くことができる。 (3)2人組が姿勢を変える。 (ex.寝る(うつ伏せ、仰向け)、座るなど) (4)おにがボールを持ち、タッチした次のおにに投げてわたす(逃げるための時間をつくる)。 (5)走り方の変化。 (ex.サイドステップ、スキップなど) 〔 留意点〕 ・おにが複数で入り乱れるので、 事前に注意喚起する。 ・発達段階や選手のレベルを考慮して、時間(何回かに分けて)をかけて発展させていく。 〔 キーファクター 〕 ・観る ・動きながら判断 ・予測(動く前と後) ・駆け引き ・ステップワーク 16 一語一会 夢はすべてきっとかなう。 それを追求する 勇気さえ持てば。 ウォルト・ディズニー ©Jリーグフォト㈱ ウォルト・ディズニー(漫画家、アニメ製作者、映画監督、実業家。アニメーションキャラクター「ミッキー・ マウス」の生みの親であり、ウォルト・ディズニー・カンパニーの創業者) 17 活動報告 © Jリーグフォト(株) 第 7 回仙台カップ国際ユースサッカー大会 U-18日本代表 vs U-18フランス代表より 目指せ! 世界のトップ 10 U -18 日本代表 【報告者】布啓一郎(U-18 日本代表監督) 第7回仙台カップ国際ユースサッカー大会 1. 期間・場所 2009年 9月5日〜13日/宮城県仙台市 2. 参加チーム U-18フランス代表、U-18ブラジル代表、U-18韓国代表、U-18日 本代表 ※ブラジルと韓国は、U-17代表で出場。 3. 大会全般 会場のユアテックスタジアム仙台はサッカー専用スタジアムであ り、芝の状態も良好だった。気候も今年は残暑が厳しくなく、問題 なかった。ホテルから練習場およびスタジアムまでは20分ほどであ り、ミーティング会場もチームごとに確保してあった。また、ス ポーツクラブが併設されているので、プールを使用してのリカバー もできる良い環境であった。 日本は高円宮杯全日本ユース(U-18)サッカー選手権大会と重複 しているため、高円宮杯に出場するチームからの招集は行わない約 束でこの大会のメンバーを選考していった。しかし、直前において プロ選手の招集が不可能になったことや、怪我等で不足が出てし まったポジションにおいて、高円宮杯出場チームである静岡学園高 校、東京ヴェルディユース、サンフレッチェ広島FCユースの3チー ムに、招集に協力していただいたことは大変感謝したい。 フランスと日本は2011年のFIFA U-20ワールドカップに向かう チームであり、ブラジルと韓国は10月24日から11月15日にかけて 行われたFIFA U-17ワールドカップに出場するチームであった。 ブラジルはFIFA U-17ワールドカップでU-17日本代表と同じグ ループであり、この時期に来日してゲームを行うのは意外であった が、1歳下であっても個の能力は高く、チームとしても完成度の高 いチームであった。 フランスは18歳であるので既にイングランド(チェルシー、アー セナル、リバプール )のクラブに所属している選手もおり、個人の 能力はすばらしいものがあった。韓国も完成度が高く、フィジカル 的にも優れていた。また個人でも左右差異なく「止める・蹴る」等 18 の基本に関して日本よりも優れている所が多かった。 大会はブラジルが 3 勝して優勝したが、ブラジル対フランス戦は 質の高いゲームであり、技術・戦術面だけでなく、お互いの駆け引 き(審判との駆け引きを含む)も含めてサッカー理解のすばらしさ を感じるゲームと言えた。しかし短期間での3試合であり、2連戦 の90分ゲームでもあるので、試合後半は運動量が落ち、チームよ りも個人が前面に出る場面が多くなったことは残念であった。 4. 成果と課題 SBSカップ(8月)のメンバーから半数以上を入れ替えて、厳しい ゲームを行う中で、ラージグループに攻守のコンビネーションを共 有して高めていくことができた。現状は攻守両面において良い場面 と課題の両局面が存在しているが、これから行われるAFC U-19選 手権予選に向けて、主導権を握れる時間を増やしていくために、技 術と動きの両面で向上させていくことを目指していきたい。 (1)攻 撃 ①自陣からの組み立て 今回はGKを含めディフェンスラインはSBSカップからほとんどの 選手が入れ変わった。その中でGKを含めて自陣から組み立ててい くことは継続して行っていった。切り替えで素早く味方につないで いく意識は全体に少しずつ浸透してきている。しかし、相手が前線 からプレッシャーをかけて来たときには、パスとサポートが不安定 になり、危険な失い方をする場面がまだ出てしまう。また速く切り 替えられないときに、ディフェンスラインを上げていく中で相手F W との駆け引きで隙を突くことはできなかった。 ②相 手陣内の崩し 継続して技術の質と動きの量と質を高めていくことが必要だと思 われた。ミドルサードでの組み立てで相手のセカンドラインを突破 していく場面で、技術的なミスや、動きのタイミングが合わずに ボールを失い、相手のカウンターを受けてしまうことがまだ多い。 また、ミドルサードではボールに対してすべてのチームが厳しく 目指せ! 世界のトップ 活動報告 10 プレッシャーをかけてくるが、その厳しいエリアで前向きな起点を つくることや、相手を意図的に寄せてスペースを使って打開するこ とはまだ不十分であった。しかし、日本の目指すサッカーは技術と 運動量で相手を勝ることであり、プレッシャーの中でボールを失わ ずにゴールに向かうために、パス&コントロールの精度およびパス &ムーブからサポートの質を上げていくことは、今後も重要な課題 だと思われる。 ③ボックス付近の打開力 バイタルエリアへのくさびのパスに対してのサポートをもっと早 く行っていきたい。まだ縦パスに対してスピードアップして相手の 最終ラインを割って行く回数は少なかった。しかし、フランス戦で の2点目は縦パスに対して人数をかけてスピードアップしていく、 日本が狙っている形からの得点であり、少しずつ形になる回数が増 えてきているので、今後も継続して質を上げていきたい。また、味 方のドリブルに対しても、ドリブルをしている選手の選択肢がドリ ブルだけになっている状況もある。状況に応じた選択肢のあるプ レーをオンとオフの両面で高めていくことを目指していきたい。 クロスに対しては流れの中でクロスを上げて、人数をかけてゴー ル前に入っていくことを継続して行っていきたい。これもできてい るときとゴール前で止まって構えてしまっているときの両局面があ る。今後はその質を高めて回数を増やしていくことを行っていきた い。 (2)守備 薄い選手が多い。この課題も継続して取り組んでいくことが必要 である。しかし守備範囲を広げ、運動量を増やしている選手も出て きており、MFとDFでのマークの受け渡しも含め、チームの課題と して取り組んでいきたい。 ③ 個でボールを奪う力 個でボールを奪う力は課題として挙げられる。1対1の応対で体を 寄せていけない場面が多く、失点場面を見ても海外のチームとの違 いは明らかにある。またボールプレスの状況にもよるが、ボールに 対応していない選手が、自分のマークとスペースの両方を観ること ができる選手が少ない。相手の狙いを予測して自分のマークを捨て てでもボールを奪いに行くことができていない。 5. まとめ SBSカップと仙台カップを短期間で行えたことで、多くの選手に チームコンセプトを共有できた。今後は課題を克服して自分たちが 主導権を握れる時間帯を増やしていくことと、相手に主導権がある ときの戦い方を共有して、隙のないチームへと向上していきたい。 しかし、現在抱えている課題は攻守において基本的なことが多く、 代表チームでだけでなく、所属チームと協力して日常のトレーニン グとゲームで意識していくことが重要であり、基本のベースを上げ ていくことがチームとしての向上への早道である。また、この年代 が基本習得の最終段階だと思われるので、個人のためにも基本の徹 底を行っていきたいと考えている。 ① 前線からの守備の切り替え バランス良く攻めていくことから、攻撃から守備の切り替え時に 素早く高い位置から守備に入ることを行っている。前線からの守備 意識は今大会でもチーム全体で行うことができてきた。ボールプレ スの徹底とカバーリングをチーム全体で集中して行うことは継続し て精度を高めていきたい。 ②縦ボールの対応 縦ボールの対応は依然として課題と考えられる。ボールにプ レッシャーをかけて奪いに行くことにより、ディフェンスラインの 背後にスペースをつくることにもつながる。相手がDFの背後を狙 う縦ボールに対しての準備が遅く、蹴られるときに相手F Wと並ん でいるために並走してゴールに戻る状態の対応が多くなってい る。また自分のマークに出されないときにカバーリングの意識が薄 く、戻らないので、相手FWがゴールに向いて1対1を行う場面も多 かった。 また、中盤の選手においても縦パスをけん制する意識が少な く、自分のラインを縦パスで通されてもプレスバックする習慣が © Jリーグフォト(株) 第 7 回仙台カップ国際ユースサッカー大会・U-18 日本代表 vs U-18 フランス代表より 19 活動報告 JFA GK プロジェクト JFA Goalkeeper Project since 1998 © Jリーグフォト (株) U-18日本代表、第 7 回仙台カップ国際ユースサッカー大会より 今号では U -18日本代表チームとU -18/U-15GKキャンプ、中国 GKプロジェクトの活動報告をお送りします。 U -18 日本代表 第7 回 仙台カップ国際ユースサッカー大会 【報告者】川俣則幸(U-18日本代表GKコーチ) 1. 大会概要 U -18日本代表は9月5日〜13日まで、宮城県仙台市で合宿を行 い、第 7 回仙台カップ国際ユースサッカー大会を戦った。 2. 参加GK ●大森圭悟(サンフレッチェ広島F.Cユース) 1991年4月22日生 190cm/89kg ●川浪吾郎(柏レイソルU-18) 1991年4月30日生 192cm/82kg 3. 合宿のテーマ 今合宿では、8月のSBSカップと同様に、これまでのチームコンセ プト「人とボールが動くこと」 「攻守にハードワーク」をより浸透さ せ、攻守にコンビネーションの向上を図り、U-18フランス代表、 U-18ブラジル代表、U-18韓国代表を相手に、大会の真剣勝負の中 で、それらを発揮できるかに取り組んだ(ブラジルと韓国はU-17で の出場)。 GKもゲームの中で育成年代のテーマである「良い準備」 「 積極的 かつ堅実な守備」 「DFとの連携」 「効果的な攻撃参加」に取り組みつ つ、 「DFとの連携」の中でDFを指示して動かし、特に縦へのロング パスをしっかり守ること、またDFと連携してもうたれてしまう シュートやクロスに対応すること、さらにセットプレーの守備の強化 と、ゲーム状況に応じた「効果的な攻撃参加」にトライした。 取り組んだ。また、大会を前に攻守両面のセットプレーの確認を行 い、基本的なことができつつある中で、さらに質の向上に取り組ん だ。 5. 試合 ■練習試合 9月 7日 (20分×3本)vs ベガルタ仙台(若手)●0-4 GK:大森圭悟、川浪吾郎(各30分プレー) ■仙台カップ(45分ハーフ) 9月 9日 vs U-18フランス代表 △3- 3 GK:大森圭悟 9月12日 vs U-18ブラジル代表 ●0-2 GK:川浪吾郎 9月13日 vs U-18韓国代表 ●2-3 GK:川浪吾郎 6. 今後に向けて SBSカップから連続して参加した選手が 8名(磯村は負傷で交 代 )含まれたが、SBSカップでできたことからさらに上積みするこ とができなかった。移動や時差からコンディションの整わない同世 代のフランスには善戦したが、1つ下の世代のブラジル、韓国には 常に試合の主導権を握られてしまい、われわれが行いたかったサッ 4. トレーニング 大会に入る前に5回のトレーニングとベガルタ仙台の若手との練 習試合を行った。GKのトレーニングとしては、これまで取り組ん できたポジション移動からのシュートストップと、パス&サポート の確認、クロスの守備範囲拡大に取り組んだ。また、GKだけでな くグループとして、守備ではDFのラインコントロールやボールへ のプレスのかけ方の確認を行い、攻撃では、GKを含めたビルド アップを行い、試合の中で攻守にわたり効果的にプレーすることに 20 © Jリーグフォト(株)第 7 回仙台カップ国際ユースサッカー大会より 活動 報告 カーを表現できなかった。GKを含めて、人数をかけて積極的に ボールを奪いに行きつつカバーをする守備や、素早い攻守の切り替 え、セットプレーでの組織的で責任感ある守備、GKから相手の隙を 突いたり、駆け引きをしたりして確実にパスから組み立てる攻撃な ど、狙い通りにできなかったことを反省し、11月のAFC U-19選手 権予選に向けてさらにレベルアップする必要がある。 SBSカップでは、3試合で3失点だったが、今回は3試合で8失 点。そのほとんどを自分たちのミスからボールを失い、失点してい ることは反省しなければならない。選手間で互いにコミュニケー JFA Goalkeeper Project JFA GK プロジェクト ションをとり、しっかり連動して責任のあるプレーをし続けるこ と、その質の向上へ取り組みを継続する必要がある。こうした真剣 勝負の国際試合で、GK個人の課題に取り組んだ姿勢は評価でき る。しかし、結果を伴うことができなかったことを真摯に受け止 め、今後も課題に継続して取り組みたい。 GKグループとして、SBSカップとは違った選手がトライできた ことは、互いが競い合う環境をつくるという意味では評価できる。 各選手がさらに個人ならびにチームの課題克服にトライし、成長し てレベルアップを図ることを期待したい。 U -18/U -15 GKキャンプ このU-18/U-15 GK キャンプは、スポーツ 振興くじ助成金を 受けて実施しています。 川俣則幸(GKプロジェクトリーダー) 1. 期間・場所 5. ミーティング 2009年10月16日〜 18日/Jヴィレッジ 全体ミーティングでは、サッカー選手としての自分の夢、そこか ら自分のサッカー選手としての目標を設定し、それを実現するため にどれくらい時間がかかり、何をすべきか、さらにそれを踏まえて 今回のキャンプで自分は何に取り組むのかを書き出してもらった。 また、キャンプを視察した日本代表の加藤好男GKコーチに、直前 の日本代表にGKキャンプ経験者である川島永嗣、西川周作、山本 海人の 3 選手が招集されたことや、彼らがどのように努力して代表 選手になれたのかを話していただき、選手たちのモチベーションが ぐっと高まった。グループ別ミーティングでは、各トレーニング セッションから抽出した映像を見ながらプレーの評価、そこからさ らに良いプレーをするために何が必要かを話し合い、次のトレーニ ングに向けた準備を行った。 2. キャンプのテーマ ・自分を知る ・サッカー理解を深める U-15 :基本の徹底/U-18 : 技術・戦術の質を追求 3. スケジュール 今回のキャンプは下表のような日程で行った。4回のトレーニン グを行い、それぞれトレーニング前に良いプレーのイメージを映像 でつかんでからトレーニングに臨んだ。また、夜には全体でのミー ティング、グループ別のミーティングを行った。 10月16 日 10月17日 8:45 ミーティング 9:00 トレーニング ブレイクアウェイ 14:00 集合 メディカルチェック 14:15 ミーティング 15:00 トレーニング シュートストップ 14:30 トレーニング クロス 10月18 日 8:30 トレーニング 攻撃参加 12:00 ミーティング 解散 19:30 グループ別ミーティング 19:00 全体ミーティング グループ別ミーティング 4. トレーニング トレーニングのトピックは、シュートストップ、ブレイクアウェ イ、クロス、攻撃参加(パス&サポート、ディストリビューション) の4つを取り上げた。各グループ内で技術練習は、3〜4名にG K コーチが1人ずつついてそれぞれのテーマを徹底した。 U-15では、構え、構えのタイミング、ポジショニングの基本の 上に、キャッチング、ディフレクティングを、U-18では、技術・戦 術の質の追求に取り組み、ファンクショントレーニングでの確認、 ゲームでの的確な判断と技術の発揮に取り組んだ。 また、今回のキャンプでは、ウォーミングアップで、コーディ ネーショントレーニングをとり入れた。前回まで行ってきたステッ プなど下半身のみの種目から、さらに上半身、下半身を使う種目や 体幹部の補強につながる種目、U-18年代ではさらにGKの専門的な 動きをとり入れた種目を行った。 6. 成果と課題 キャンプに参加した選手たちの技術レベルは全体的に向上する傾 向にあり、日々の指導者の働きかけ、地域でのトレセン活動、GK キャンプやGKトレセンなどの成果が表れていることが実感できた。 U-15は、シュートストップでは、単純に蹴られたボールに対して はキャッチングできるようになってきているが、細かなポジショニ ング、移動方法、プレーの方向などに課題が残る。ブレイクアウェ イではボールを奪う意識が高く、アプローチするところまではでき ているが、アプローチした後、構えられなかったり、フロントダイ ビングの踏み切りができないなどが課題であった。クロスでは、フ リーな状況では落下地点の判断・ボールをとらえる位置が良く、パ ンチングも予想以上にできて守備範囲も広かったが、ゴール前に FWが入ると、予測がないこと、観て状況把握が的確にできないこ とから、極端に守備範囲が狭まってしまうことが課題である。攻撃 参加ではパスをつなぐ意識が高く、落ち着いてバックパスの処理は できたが、ボールをしっかり蹴ったり、投げたりする技術面に課題 が残った。またゲームの中では、味方、相手など人数が増え、判断 が入ると技術発揮ができなくなることや、味方への働きかけが不足 しているという課題が見られた。 U-18は、技術・戦術の質を求めた。シュートストップでは、ドリ ル形式の中では、身体をボールのコースへ運ぶ意識が高く、しっ かりボールをつかめていた。しかし、実戦的な場面になるとボール に的確に力を伝えられず、一度でボールをつかめない、あるいはパ 21 活動 報告 リーゾーンへしっかり弾き出すことができない場面が見られた。ま たポジショニングについても微調整が不十分で、適切なポジション に入れていない場面があったことは課題である。ブレイクアウェイ では、技術面ではフロントダイビングでの踏み切りのポイントをつ かめていなかったり、片方の足でしか踏み切れない。出る・出ない の判断ができていないなど課題も多かった。クロスでは、ゴール前 がフリーな状況では、積極的にチャレンジできていたが、F Wが 入った状況でのプレーでは、プレーエリアが狭く、クロスに出る・ 出ないの判断も悪かった。また、クロスに対しての動き出しの早い 選手が多く、キャッチングポイントが後方になる場面も見られた。 攻撃参加では、積極的に攻撃に参加しようという姿勢は見られた が、投げる、止める、蹴るの基本技術の精度が低く、ミスパスに なってしまったり、パスを受ける前の準備、パスの出し手および受 け手とのコミュニケーションが不十分なことが目に付いた。ゲーム JFA Goalkeeper Project JFA GK プロジェクト の中では、特に攻撃、守備の基本戦術の理解と「 観る」 「準備す る」 「伝える」部分をさらに向上させる必要がある。 U-15、U-18両グループともに、ゲームの中でのパフォーマンス の向上を図っていきたい。しっかりと技術を身につけ、戦術理解度 を高め、よりゲームの中で効果的に関わり、プレーできるように、 さらに取り組み続ける必要がある。 最後に、選手の所属先に感謝を申し上げるとともに、GKキャンプ を視察に来られていた指導者の方々の情熱にも感謝を申し上げた い。今年で11回目を迎えたGKキャンプ、これまでに各地域でGK キャンプやGKトレセンが次々に催され、選手のレベルが確実に上 がってきたことに感謝を申し上げ、今後ますます、より良い選手を 発掘・育成していくためにGKプロジェクトの責任と役割を再確認し たキャンプとなった。 中国 GKプロジェクト活動報告 【報告者】阿江孝一( ナショナルトレセンコーチ中国 GK担当) これまでは不定期で指導者研修会を行ったことはあったが、昨年 から年間スケジュールとして組み込むべく、新たな挑戦をスタート させた。昨年 8月の中国トレセンU-14時(山口県おのだサッカー交 流公園 )に中国地域のGK 指導者(2種、3種)を集めてトレセンの 近況報告を行い、今後の中国地域のGK選手指導のベクトル合わせ を行った。それを経て今年1月に広島県安芸高田市吉田サッカー公 園、8月に島根県出雲市浜山運動公園で、中国GKプロジェクト研修 会を行った(ともに1泊2日)。 「中国地域から代表選手を送り出そう!」をこの会の合言葉にして いる。それを実現するためには指導者がオープンマインドになり、 レベルアップしていくことが必要不可欠である。ここでの目的は指 導者のGK指導技術の向上であり、指導実践を主に行っている。現 在の体制はナショナルトレセンコーチ中国GK担当の加藤寿一氏(以 下、加藤)を中心に、同じく中国GK担当の阿江が指揮を執り、公認 GK-B級コーチ有資格者、広島県の前川和也氏、山口県の中村拓夫 氏、鳥取県の清水裕之氏に協力していただき指導を行っている。上 記のメンバーがグループのチーフとなって進行させ、各県のプロジェ クトメンバーが選手役、あるいはコーチ役として指導を行う。それ に対して指導後の意見交換やチーフからの指摘やアドバイスをして これからの指導現場にさらに生かしていただくという狙いがある。 ようになっている。 対象選手はその試合に出る選手だけではなく、その地域の選手に もなるべく多く参加してもらい指導を受けることができる機会を設 けている。また、GK指導に携わっている方々にも積極的に声をか け、グラウンドレベルで参加してもらっている。後々はこの指導者 の数を増やしてこのような機会にすぐ足を運ぶことができる体制に していきたい。というのも中国 5県は東西に広く、山口の最西はほ ぼ九州であるし、鳥取の最東は兵庫県北部である。この広さをカ バーできる位置に指導者が存在することが目的達成の近道になると 考えているからである。 今後、これらの活 動をさらに良くしていくためには、4 種とのか かわりも増やしていくことができればと考えている。現在は各県リー ダーが2 種中心なのでこのような流れになっているが、4 種の指導者 の方々にトレセンリーグの指導への参加や研修会へ参加していただ くように日程調整をしたり、参加への声かけをしていきたい。逆に 2種の方に4種のトレセン参加等があってもよいかもしれない(同時 期にミニ国体開催、中国トレセンU-12、中国トレセンU-14が別会 場で開催され物理的に移動が難しいという問題もあるが )。こうす ることで年代の垣根を越えて、選手の一貫性指導をすることができ る。あるいは指導者がその過程を実感できることで指導の現場に還 元できる。選手にとっても早い時期から良い習慣を身につけていく 機会にもなるというメリットが考えられる。 2. トレセンリーグでの GK 指導について 3. 終わりに 2009年度のトレセンリーグは、5月〜 2010年2月まで( 8月は除 く)の 原則第 4日曜日に行われる予定になっている。中国5 県のう ち 2 県ずつが 別会場で対戦をする形( 1県は休み)である。 試合はU-16、U-15の2試合だが、その試合前や試合間・試合後 でGK 練習を行っている。指導者はナショナルトレセンコーチの加 藤、阿江がそれぞれの場所で指導または指揮を執るが、2名の都合 がつかないときでも中国GKプロジェクトメンバーの中から参加して 指導する形をとっている (どうしても都合がつかない場合もあるが )。 そのときの状況をメールで報告してメンバー全員が状況把握できる 10月16日〜18日にU-18/U-15GKキャンプがJヴィレッジで行われ た。そのときの選手選考で中国地域からの選手を推薦する際にプロ ジェクトメンバーから各県の選手の情報・現時点での評価がすぐ上 がってきた。結局選手は1名の参加でやや寂しいものであったが、 指導者間のつながりの強さを感じることができ、協力体制ができつ つあるということを実感した。これは今後のGK選手育成に必ず良 い結果につながると信じている。今回協力していただいたすべての 方にこの場を借りて敬意を表したい。また今後ともご協力をよろし くお願いします。 1. 中国 GK プロジェクトについて 22 Technical study Technical study JFA 特集① Technical study テクニカルスタディ Technical study 高円宮杯第 20 回全日本ユース(U-18)サッカー選手権大会 期間 2009 年 9 月 6 日 〜10 月 12 日 優 勝 横浜 F・マリノスユース 場所 埼玉スタジアム 2002(埼玉県)ほか 準優 勝 ジュビロ磐田ユース 出場チーム数 24 第 3 位 三菱養和サッカークラブユース、サンフレッチェ広島ユース 【報告者】西村昭宏(ナショナルトレセンコーチ) 1. 概要 全国の地域予選を勝ち抜いた、高校・ク ラブチーム( 24チーム)が 6 グループ(4 チーム)に分かれ、 上位 2 チームが決勝トー ナメントへ進出し、ユース年代の頂点を争 う大会である。 全国各地で熱戦を繰り広げ、1 次ラウン ド(グループリーグ) を突破する (上位 2チー ム )戦い方も求められ、ベスト4 には J ク ラブ 3(横浜 F・マリノスユース、ジュビロ 磐田ユース、サンフレッチェ広島ユース) 街クラブ 1(三菱養和サッカークラブユー ス)が勝ち進んだ。 準決勝はともに 90分で決着がつかず、 延長戦・PK 方式と拮抗したゲームとなり、 横浜 F・マリノス対ジュビロ磐田の決勝戦と なった。決勝は横浜 F・マリノスが開始か らアグレッシブにゲームを支配し、7-1の大 差で優勝した。 この大会は、高校・クラブのチームの対 戦ということでなく、各チームが夏季の大 会(全国高校総体、 日本クラブユース選手権) より、一段と個人・チームが成長し、自分 たちのサッカーを発揮できるか、また、相 手の特徴を分析しつつ、自分たちのスタイ ルで勝利を目指し、連盟間の垣根を越えて 日本の育成年代のトップレベルと世界基準 を比較し、成果・課題を検証していき、指 針を打ち出していける重要な場である。 2. 攻撃 状況に応じたボールへの逆算が個人・チー ム戦術として意識されながら、プレーの優 先順位が正しく判断され、テクニック・プ レーのクオリティーが要求される。相手守 備に隙あらば早くゴールを目指し(ファスト ブレイク) 、それができなければボールを保 持しながら意図的にゴールを目指す、すな わち、速攻・遅攻の両方が状況に応じてプ レーされているか。 3. 守備 守備ライン・ボールを奪う位置、タイミ ングなどはチームスタイルがあるが、全体 的に自陣でブロックをつくり、相手がそこ に入ってきてからプレッシャーをかけ、相手 のミスを招き、守備するチームが多かった。 もちろん、常に高い位置や前線からプレッ シャーを与えることは難しく、チーム戦術 があることも理解できるが、あまりにもプ レッシャー(本気で奪いに行く)が弱く、位 置も低く、日本国内ではこのスタイルであ る程度、失点しない場合が多いが、世界基 準では相手のミスを待つのではなく、より ボールを奪う守備が要求される。国際ゲー ムでの守備と比較し、甘さが目立った場面 が多く見られた。 4. 切り替え ボールを奪った瞬間、失った瞬間、まず ここで先手を取り、有効にアグレッシブに アクションを起こすプレーヤーの意識が低 い。コートの全員がこの瞬間にアラートな 状態を保ち攻防することが、日本が目指さ なければならないスタイルであると思う。 5. 準決勝・決勝 © Jリーグフォト(株) 2 準決勝は 2 試合(横浜 F・マリノス対三菱 養和、ジュビロ磐田対サンフレッチェ広島) 共に延長戦・PK 方式まで戦う激闘であっ 特集① Technical テ た。特に唯一の街クラブ・三菱養和の健闘 に拍手を送りたい。優勝した横浜 F・マリ ノスに対し、自分たちのスタイルを崩さず、 チャレンジした戦い方は小手先の戦術に頼 らず、選手自身が次への課題を見いだした 戦い方であった。 決勝戦は思わぬ大差で一方的になってし まった。昨年も同様な大差の決勝戦となり、 失点した後のリバウンドメンタリティーが 弱く、失点に歯止めが利かない 90分になっ てしまった。準決勝ですばらしいサッカー を展開したジュビロ磐田は、スタイル(戦 い方) が違う状況になると対応できなくなっ てしまった。サッカーにおける基本、原理 原則が違う状況で機能しなかったように感 じた。また、2 年とも同地域の敗者となり、 地域リーグでの課題も垣間見られたように 感じた。 6. 世界基準 この年代で自分のスタイル=日本のサッ カー(Japan's Way) 、全員攻撃・全員守備 (攻撃と守備の役割が分かれているサッカー では駄目)をアグレッシブに 90分間、戦い 続けることにチャレンジすることが、次の ステップへの道であると思う。日本人の特 長を生かした世界のスタンダードを凌駕(りょ うが)する部分(テクニック・持久力<関わ る・動き続ける>・組織力・協調性)を磨 き伸ばしつつ、世界のスタンダードから劣っ ているもの(① 1 対 1 の攻防 ②ゴールへ 向かうプレー ③ Box 近辺の攻防 ④チャン スを感じる力/リスクを冒す勇気・ピンチ を感じる力/リスクマネジメント ⑤ボール を奪う力 ⑥勝つためのメンタリティー)を 世界レベルに近づけて、両面からトレーニ ングをする必要がある。 ゴールキーパー報告 【報告者】川俣 則幸( GK プロジェクト) 今大会は、夏の日本クラブユース(U-18) 選手権、全国高校総体の傾向の延長線上に あり、選手ならびにチームの成長が表れた 大会となった。 守備面では、クラブユース、高校総体と 同じようにGK のファインセーブでシュート を防ぐ場面が多く見られた。シュートに対 ク ニ カ ル study ス タ デ ィ © Jリーグフォト(株) して「つかむ」 「 弾く」の判断とその技術に 関しては安定感が見られた。また、ブレイ クアウェイでも、ドリブルやスルーパスか らの至近距離でうたれるシュートに対して も、最後まで粘り強く対応して防ぐシーン も見られ、シュートストップ、ブレイクアウェ イでは、オン・ザ・ボールでの対応は向上 しつつある。 しかし、夏の両大会と同じく、チームと して、あるいはグループとして、ゴール前 の守備に関してはまだまだ甘い部分が多く、 そうした局面をつくらせないという部分では 課題が残った。ゴール前ならば、DFのボー ルに対するプレッシャーがもっと厳しくか けられるべきであるが、その点はまだまだ 甘く課題である。また、GKも DFの後ろか ら、的確なタイミングでしっかりと強く指 示の声を出して組織的に守るシーンを増や していかなければならない。 攻撃側がサイドアタックからゴールを狙 う場面は数多く見られ、これに対してもGK 個人のクロスへのチャレンジでは、広い守 備範囲を守ることにトライする姿勢が見ら れたが、チームとしてクロスを上げさせな い、チームとしてゴール前のマーキングを 厳しくして相手に思い通りの攻撃をさせな いといった部分は不十分で、クロスに飛び 込む相手 FWをマークできず、フリーにし てシュートをうたれる場面も見られた。や はり、選手として育成の完成期を迎える U-18 年代では、個人としては当然、グルー プ、チームとしても意図的に、厳しい守備 ができるようになりたい。 また、オープンプレーでの組織的な守備 という課題の他に、セットプレーでの守備 も課題として挙げられる。特に、コーナー キックや、サイドからのフリーキック(FK) の際の守備の組織づくりに時間がかかり、 クイックリスタートで攻撃側が有利な状況 で攻められている場面が多く見られる。こ こでも、GKからの指示やリーダーシップの 不足が見られた。特に、サイドからのFKで は、壁の準備、スペースマーカーへの指示、 マークの徹底、ディフェンスラインの高さの 設定など、多岐にわたる仕事が求められる。 壁の準備をしている間に、攻撃側の選手に 駆け引きされてディフェンスラインが下がっ てしまい、ボールを蹴られるときには、ゴー ル前に GK が出られるスペースがなくなっ ている場面が多く見られた。GK 個人の能 力の問題もあるが、チームとして役割の徹 底を図り、組織的に守備をできるようにな りたい。 攻撃参加に関しては、GKも積極的に攻 撃に関わろうという意図が感じられた。準 決勝 2 試合、決 勝の計 3 試合で昨年と攻 撃参加の成功率を比較すると(表 1、2 ) 、 2008年は37.0%であったが、今年は41.8% と増加する傾向にあった。また、プレーの 頻度で見るとどちらの大会もGKは平均す ると60秒に1回プレーしている計算となり、 差は見られなかった。 3 この成功率の差は、流れの中でGK から のオーバーアームスローが増えたこと(7 回→ 14 回) 。キャッチしたボールを一度地 面に落として転がしてからのキックが減少 していること (6回→ 1回) と、近くへのゴー ルキックが増えたこと(6回→ 24回)が影 響していると考えられる。流れの中でも、 GK が時間を使わずに味方にパスし、セッ トプレーでも GKが時間を使わずに味方に 素早くパスする回数を増やし、パスを受け た味方に攻撃の選択肢を増やそうという狙 いがうかがえる。 また、試合ごとに GK からの攻撃参加の 成功率やパターンには変化が見られ、相手 との力関係、試合の流れ、時間帯などに応 じた攻撃参加の選択を行っていることがう かがえる。ここでは、 決勝に進出した両チー ムの準々決勝、準決勝、決勝を対戦相手の 成功率とともに挙げてみた(表 3) 。この表 から、成功率は相手との力関係に大きく左 右されることが分かるが、試合状況に対応 した攻撃参加をする基本技術・戦術に対し て GK、ならびにチームとして取り組んで いることがうかがえる。 この傾向は、決勝に残った両チームにだ けに限ったものではなかった。 試合の中で、チームとして状況に応じた 効果的な攻撃・守備をするためには、その 両面において GK のレベルアップが不可欠 である。今大会は、試合の中でそうしたこ とにトライする姿勢がチームならびに GK に見られたことは評価に値することであ る。今後も、こうした姿勢を維持し、さら なるレベルアップを図り続けることに期待 したい。 表1 2008年の攻撃参加集計 準決勝、決勝集計 試合時間合計 290分 パス&サポート フィールドプレー サイドボレー (ハーフボレー) 転がしてキック スローイング ゴールキック フリーキック 合計(プレー成功率) 長い 短い オーバー アンダー 長い 短い 長い 短い 成功 16 11 4 0 1 7 12 8 6 3 3 71 2008年 失敗 14 1 27 5 0 0 0 54 0 20 0 121 成功率 53.3% 91.7% 12.9% 0% 100% 100% 100% 12.9% 100% 13.0% 100% 37.0% 成功 1 20 0 9 4 0 0 0 14 16 9 16 1 4 94 2009年 失敗 10 12 7 1 30 1 1 0 0 0 39 8 22 0 131 成功率 9.1% 62.5% 0% 90.0% 11.8% 0% 0% 100% 100% 18.8% 66.7% 4.3% 100% 41.8% 表2 2009年の攻撃参加集計 準決勝・決勝集計 試合時間合計 310分 パス&サポート フィールドプレー サイドボレー (ハーフボレー) 転がしてキック スローイング ゴールキック フリーキック 合計(プレー成功率) 長い 短い 長い 短い 長い 短い 長い 短い オーバー アンダー 長い 短い 長い 短い ※集計は2008年攻撃参加の基準に、バックパス、フィールドプレー、サイドボレーに関しても、長い、短いと区別した (長い:相手陣へのパス、短い:自陣内へのパスと区別している)。 表3 試合ごとの攻撃参加成功率の推移 成功率の比較 準々決勝 準決勝 決勝 チームA 82.1% 39.4% 60.0% 対戦相手 66.7% 11.5% チームB 15.0% 55.8% 48.3% 対戦相手 68.4% 51.2% 第64 回国民体育大会 サッカー競技会 少年男子 期間 2009 年 9 月 27 日〜10 月 1 日 優 勝 神奈川県 準優 勝 大阪府 場所 東北電力ビックスワンスタジアムほか 出場チーム数 24 第 3 位 兵庫県 【報告者】吉田靖(ナショナルトレセンチーフコーチ)、北原由(都立武蔵野北高校)、慶越雄二(GK プロジェクト) 新潟国体少年の部を視察して 国体少年の部を U-16 の年代に移して今 回で 4 年目になった。JFA では育成年代の 大会の在り方の中で、高校年代の大会で 18 4 歳、17 歳の選手に集中していた公式戦を 16 歳年代にも経験できるようにするため、 国体少年の部を U-18 から U-16 年代に参 加資格を移した。これにより、今まで公式 戦の出場機会の少なかった U-16 の選手に、 高校年代の権威ある大会を経験させること ができるようになった。16 歳の選手にとっ て大きな目標となり、中学 3 年の後期から 特集① Technical テ 高校 1 年にかけての選手育成のブランク期 間を修正する上で大きなプラスになったの ではないかと思う。 またこの変更により、各都道府県サッカー 協会 (FA) では 2、3、4 種で一貫した選手 育成が必要になり、各種別の指導者の連携 が密になった。2 種の指導者が積極的に 3 種、4 種の指導にかかわるようになり、ま た国体の監督、コーチも 2 種、3 種が連携 して担当する FA が増えてきた。トレセン の集大成として国体に取り組む FA が増え たことにより、トレセンの活動自体も活性 化したように思う。 そして何より、16 歳の選手のプレーの質 が上がってきたように思う。特にパス、コ ントロール、判断(観る)等の基本の質の レベルが上がってきたため、以前のゲーム よりイージーなミスが減ってきており、ま た意図的なビルドアップ、崩しの回数も以 前より増えてきている。この年代のゲーム の質が上がってきた証である。これは国体 をU-16 に移行したことが大きく寄与して いるのではないか。 ただし、世界を意識した中での強化、育 成の観点からは、まだまだ課題もある。特 にディフェンスの面でもっと相手ボールを 奪うこと、相手に対してプレッシャーをか ける(自由にやらせない)ことを要求しな くてはならない。世界では、厳しい守備の 中で何ができるかが、攻撃では大切になっ てくるからでもある。 このようにこの年代の選手のプレーにつ いて、常に分析する必要性があり、そのた め JFA では毎年 TSG(テクニカルスタディ グループ )を組み、大会、チーム、個人を 分析している。今年も新潟県の全面的協力 を得て実施した。メンバーは林義規技術委 員を中心にナショナルトレセンコーチ、高 体連技術委員、クラブユース技術委員、開 催県技術委員が中心となり、すべてのゲー ムを手分けして分析を行った。 また、その分析結果をこのようなテクニ カルレポートにまとめて全国の指導者に発 信するだけでなく、大会期間中、毎日ミー ティングを開催し、その日のゲームの分析 結果を参加者でディスカッションし、 「この 年代のゲーム、選手についてこれからどう すべきか」等について活発な意見交換がな された。 ク ニ カ ル study ス タ デ ィ © Jリーグフォト(株) また日によっては「審判と技術の協調」 とディスカッションのテーマを決めて、試 合の映像から、この年代のゲームでの審判 の在り方について意見交換をした。実際に 笛を吹いた審判の方もディスカッションに 加わり、選手をよりよく成長させるために、 技術(コーチ)と審判はどうすべきかについ て非常に有意義な意見交換がなされた。 育成年代の後半の大切な時期にあたる U-16 年代でのゲーム、選手について今後 とも観察していく必要があり、JFA では国 体 TSG を継続する必要性を感じる。今後 とも、開催県と協力しながら、TSG の結果 をうまく地域指導者にフィードバックし、地 域の指導者のレベルアップに寄与できれば と思っている。 1. 大会概要 国民スポーツの祭典といわれる国内最大 の総合競技大会。毎年開催地を代えて行わ れる。本大会は 37 競技( 同時期に公開競 技として3) と、冬季大会(3 競技) が催され ている。 (1)参加チーム 9 地域(ブロック)予選通過の 24チーム が出場。予選方式は地域により異なる。 U-16 化 4 年目。今年 2 県が初出場を果たし、 41都道府県が本大会を経験した。高校 2 年 生の早生まれは 23 チーム延べ 59 名参加。 6 名登録のチームもあった。中学校 3 年生 の参加は 6 チーム 9 名。チームの中心とし て活躍を見せる選手も見られた。チームス タッフも 47FA のトレセン活動を反映する ものとなっている。 (2)オーガナイズ 試合時間は70分(35分ハーフ) 、延長 20分で、決しない場合は PK 方式。1 回戦 から決勝まで 5 連戦(1 回戦シードチーム は 4 連戦)となる。登録選手数は 16 名で 交代は 5 名以内。タフな大会である。会場 は東北電力ビッグスワンスタジアム、新潟 市陸上競技場、新津金屋運動広場多目的グ ラウンドに、 鳥屋野運動公園球技場 (人工芝) の 4 会場が使用された。天候に恵まれ、 ピッ チ環境はすばらしいものであった。3 位決 定戦と決勝戦は同時刻に別会場で行われた。 2.TSG の活動 メンバーは開催県・新潟 FAから4名、ク ラブユース連盟 2 名、高体連 4名、JFA か ら 5 名の 15 名体制で、 昨年の成果をもとに、 今年もすべての試合を対象にして活動を展 開した。また TSG での分析を 4 日間のミー ティング(オープン参加)でディスカッショ ンを行った。分析作業にあたり、ジャパン サッカーカレッジ生の協力を得て、全試合 のビデオ撮影、GK からの配球、パスの軌 跡のデータ収集を行った。また選手のピッ クアップも行った。 オープン参加のミーティ ングには、北信越の技術委員長、2 種委員 長をはじめ、県内の指導者、参加チームス タッフや関係者、 本大会出場を果たせなかっ 5 た県のトレセン関係者、ナショナルトレセ ンコーチも加わり、4日間延べ 218 名の参 加を得て、有意義なディスカッションの場 となった。 3. 大会分析 大会を通して、突出した個という点で物 足りなさを感じた。ただ、個々のプレーレ ベルは確実に向上している。そこに「自分 の特長」を加味した選手が多く出てきても らいたい。ベスト 4 は昨年と同じ顔ぶれと なり、3 年連続決勝戦へ進んだ神奈川は攻 守の切り替えを強く意識し、技術・戦術レ ベルの高さで連続優勝を果たした。準優勝 の大阪も昨年に比してたくましさを感じる 戦いを演じたが、前日の延長戦の疲れか、 決勝戦ではシュートまで持っていく力は 残っていなかった。3 位の兵庫は自分たち の戦いをする強い意志を感じるチームで あった。また、京都の最後まであきらめず に戦う姿勢はすばらしかった。すべての試 合で昨年より、勝つために全力を尽くす姿 勢が示されていたと感じる。 守備面では「寄せているが、奪うまでは できない」場面が見られた。ボールを持つ 相手に対して「奪う」ためにどこまで寄せ るか。またオフでポジションを正しく修正 しないために、簡単に突破される場面も見 られた。しかし、チャレンジ&カバーから 連続して奪う動きや、マークを捨ててイン ターセプト(ボール奪取)するなど、良い対 応も見られた。 攻撃では GK の配球でロングキックの有 効性は、キックの質も含めて一考の余地が ある。これは GK も含めた 11人の意識が 大切である。周りを観る習慣を( 何を観る かも含め)徹底させていく必要もある。世 界と比べたときに、 中心選手の運動量やゴー ルを目指す意識はさらに追求していきたい 課題である。しかし多くの選手が関わり、 複数の選択肢を持ち、ペナルティーエリア に 2 〜 3 人が入っていくという理想の形も 見られた。プレーの質は良い方向を向いて いる。フェアプレーに関してはカードが出 なかった試合は2試合のみであった。プレー だけでなく、リスペクトすることの重要性 や、ファウルをしないでボールを奪う技術 の習得が望まれる。選手は代表としての誇 りを持ってプレーしている。だからこそさ 6 らに人間性も含めて向上してほしい。 4.TSG ミーティングから JFA からの発信として、①国体 U-16 化 の意義と、世界を見据えた育成・強化【高 校サッカー選手権の分析から】 、②世界の トップ 10を目指す日本を見据えたユース 育成・強化【FIFA コンフェデレーションズ カップ・夏のユース日本代表の戦い】 、③ 審判と技術の協調〜世界で戦える選手育成 を目指して〜【黛俊行 JFA 審判トレセンダ イレクター、太田潔レフェリーカレッジス クールマスターに当日の試合を担当した審 判員とのディスカッション】 、④ユース育成 〜 U-12、15 とつながる育成・強化の重要 性 〜【全日本少年サッカー大会・全国中学 校サッカー大会・日本クラブユース選手権 U-15】の報告から質疑とディスカッション を前半部分で行った。そして国体の試合分 析に進んだ。ビデオ編集にあたっては、個 の能力を上げるために作成しており、チー ムの戦い方の良し悪しを基準にしているわ けではないことを前提に、その日のゲーム 場面から攻守の成果と課題を取り上げた。 それぞれに現在地を確認し、さらに発展を 目指すために、フェイス・トゥ・フェイスの貴 重な時間であった。 5. GKの配球(ディストリビュー ション)について 昨年の大分国体からデータを取っている が、成功か失敗かの見極めは、配球が 1 本 つながっても、2 本目がつながらなかった ら失敗である。ただし、1 本目が競り合い になり、味方がそのルーズボールを拾った ら成功としている。 「長い・短い」は、ハー フウェイラインを越えたボールか自陣内か という分け方である。長いボールはほぼつ ながっていないが、そこからサポートの質 を上げようという分析はできる。 配球とは、パスすれば良いわけではなく、 状況に応じたプレー(ダイレクトプレーが いいのか、近い味方に預けた方がいいのか、 時間帯、勝っている場面、負けている場面) で変わっていくものである。成功率が高い から OK、低いから駄目という単純なもの ではない。データは、数字だけ見ると低く ても、成功か失敗かだけのデータであり、 質までは追求できていない。よって、ゲー ムスタイル(カウンター狙い、相手がリト リートなど)によって、GKの配球は変わっ てくる。しかし、どんな戦い方でも、GK の配球が味方につながり、自分たちのリズ ムでサッカーをするのが理想的であり、 ボー ルを失わずに勝てるチャンスが高まるだろ う。 つなげる場面でむやみに意図のないキッ クをしてしまうと、自然とボールを失う。 2002 年の FIFA ワールドカップ決勝にお けるブラジルの 2 点目は、ドイツのGKカー ンが意図なく蹴り出したキックから始まっ たものであった。世界大会に行くとポゼッ ション率が出るが、GK の配球がマッチし てくると質の高いゲームと言えるだろう。 GK の配球率が高い、チームのポゼッショ ン率も高い、結果もついてくる、というの が理想に近い。成功・失敗だけで GK の良 さを判断してはならない。しかし、大会に なると 0%というゲームがあるが、問題だ と思う。 6. まとめ 「大人のサッカーの入り口」として定着し た感もあるし、年々進歩が見られている。 FIFA ワールドカップ 4 大会連 続出場をは じめ、日本サッカーの飛躍的な進歩があっ 9月28日ミーティング参考資料: パスの軌跡(失う) ボールの出しどころと失う地点を見ること で、育成年代で目指すものを検討する。 世界ではビルドアップからボールを失わず にゴールに迫り、最後( 勝負所 )で失って いる。 日本ではまだまだ自陣からの意図のないロ ングフィードや、サイドへのパスを失う場 面が見られる。 ・ゴールに向かったパスを失っているか。 ・相手ゴールに近づいて失っているか。 この国体では、果たしてどうか。 特集① Technical テ て、U-16 化を国体に持ち込めた。しかし、 ここからが重要である。世界大会へのハー ドルはますます高くなっていく。47FAそ れぞれが良い選手を生み出す努力をさらに 強めることの重要性を感じた大会であった。 ゴールキーパー報告 【報告者】井上祐( GK プロジェクト) (1)シュートストップ 弱いシュートやタイミングの合ったとき は、つかむことができるが、つかむか弾く かの判断と、キャッチングのテクニックが あいまいで、身体周辺のボールを簡単にこ ぼすことが気になった。それにより、決定 的(失点)場面にはならないものの、DF が 相手 FW をプロテクションしたり、守備か ら攻撃への切り替えが遅くなる場面があ る。 アンダーハンドキャッチは、フォーリン グのテクニックなど身についており安定し ている。 ポジショニングが全体的に前(身長との 関係)にあり、ボールの状況に合わせたポ ジションどりができていない(ミドルシュー トの対応 ) 。タイミングも、蹴られる直前 より早く動き出してしまう。それに伴って ローリング&ダイビングも倒れるのが速い (ボールをよく観ることができていない) 。 ク ニ カ ル study ス タ デ ィ (5)ディストリビューション 意図のない GK からの配球が多く見られ た。味方 DF はパスをもらおうとするが、 GK はキックを選択してしまう場面や、飛 距離の出るロングフィードができるのにも (3)ブレイクアウェイ かかわらず、前線にフリーな選手がいるの 積極的に前に出て、ピンチを逃れる場面 を観ることができずにチャンスをつくれな があったが、半面、自分の身体( 特に顔) い場面がある。 を守ることができず、 怪我が心配されるシー ンがあった。逆に、 状況を観ることができず、 (6)セットプレー GK が出るか DF に対応させるかの判断が トリックプレー(壁の前にボールを隠す できていない。 ためのブラインドをつける)で失点する場面 があり、いろいろな対応をできるようにな (4)パス&サポート らなければならない。 相手チームの戦術に合わせてプレーが変 FK もクロスの対応同様に、出るか出な 化した。リトリートする相手に対しては、 いかの判断ができていない。 良く関わってサポートすることができてい る。しかし、サイドへの配球は成功するが、 ■コーチング そこからの展開がなく、GK にボールが戻っ 声は出しているのだが、リーダーとなり、 てきて展開が遅くなる場面もあった。 DF をコーディネートできるまでにはなっ 相手が前線からプレッシャーをかけてく ていない。 るチームに対しては、奪われるかもしれな い恐怖心があるのか、サポートプレーより、 ■全体 前線へのフィードが多くなった。 良い準備をするということで最初は狙っ パス&サポートでつなごうとする意識は ているが、ボール状況が変わったときのポ あるが、ギャップを観るなど、状況把握(相 ジション予測ができていない。 手と味方との関係 )が判断できずにタイミ ボールのあるところは観ることができる ングを失っている。 が、ボールのないところ、いわゆるオフを ル前の状況をよく観ることにより、DF と の連携や GK が出るか DF が出るかの判断 を良くすることができ、守備範囲の拡大に つながる。 © Jリーグフォト(株) (2)クロス 積極的に前に出てプレーエリアを広く守 る GK はあまり見られなかった。さらに、 味方 DF や相手がいるだけで出る判断がで きなくなり、守備範囲が狭くなっている。 また、チャレンジできても、キャッチン グのテクニックがあいまいで、 シュートボー ル同様つかみきれていなく、キャッチのテ クニックが身についていない。 後方(クロスボールの逆サイド)へのチャ レンジはするものの、パンチングやディフ レクトの際に、テクニックと体の向きや相 手をブロックするフォームが確立されてい なく、思ったところへ弾くことができてい ない。 技術&体の向きと使い方に課題がある。 特にワンハンドパンチのテクニックに課題 がある。ボールばかり観るのではなく、 ゴー 7 観ることができない。 いつ、どこを、何を観るのか整理されて いないため、状況を把握することができな い。特に縦ボールのジャッジがあいまいに なった。ボールの移動中に状況を把握する ことで次のプレーの準備ができ対応できる ので、テクニックも重要であるが状況判断 も必要になる。特にゴール前の状況をよく 観ることが必要である。 資料 GKの身長 170∼174cm 175∼179cm 180∼184cm 185∼189cm 平均身長 4人 21人 20 人 3人 178.7cm FIFA U - 20 ワールドカップ エジプト 2009 期間 2009 年 9 月 24 日〜 10 月 16 日 優 勝 ガーナ 準優 勝 ブラジル 場所 エジプト 出場チーム数 24 第 3 位 ハンガリー FIFA U - 20 ワールドカップ エジプト 2009 JFA テクニカルレポート(速報) 【報告者】吉田靖、足達勇輔、佐々木理(JFA テクニカルスタディグループ) 1. 大会全般 (1)ハイレベルの大会 17回目となる FIFA U-20ワールドカップ ( 2005 年までは FIFA ワールドユース選手 権)がアフリカのエジプト・カイロを中心に アレキサンドリア、ポートサイド、スエズ、 イスマイリアの 5 都市 7 会場で 9月24 日 から 10月 16 日まで開催された。 グループステージで24チームから16チー ムが勝ち残り、準々決勝を経て勝ち残った のは(ベスト4 ) 、ブラジル、ガーナ、コス タリカ、ハンガリーであった。10 月 13 日 にカイロインターナショナルスタジアムで © Action Images/AFLO 準決勝 2 試合が行われ、第 1 試合はガーナ がハンガリーを 3-2 と退け、第 2 試合では ブラジルがコスタリカを 1-0 で破り、ブラ ジルとガーナが 10月16 日の決勝戦に駒を 進めた。 決勝戦はハイプレッシャーの中で、 両チー ムとも多彩な攻撃を繰り広げており、非常 にレベルの高いゲームとなった。お互い死 力を尽くした戦いであり、観ているものを 引きつけるすばらしい試合ではなかっただ ろうか。前後半、延長戦ともスコアレスで PK 戦の末、ガーナが勝利を収め、栄冠を 勝ち取った。今大会全体を通しては非常に ハイレベルの大会であった。 (2)グループステージでは、大陸間格差 A 代表 の FIFA ワールドカップとは異な り、各大陸により均等に出場チームが割り 振られており(ヨーロッパ 6、南米 4 、北 中米 4、アジア4、オセアニア 1、アフリ カ4、開催国 1 ) 、グループステージではや や力の違いの差のあったゲームがあったの は確かである。オセアニア代表のタヒチは 大きく力が劣っていたように思う。南米、 ヨーロッパはどのチームも非常に魅力的で すばらしいチームであった(ただしイング ランドは優秀な選手が国内リーグを優先し たためか、精彩を欠いていた) 。アフリカも 出場した 4 チームとも実力があったと思う が、カメルーン、南アフリカは個々の能力 は魅力的だがチームとしてまとまりを欠い ていた。 アジア、北中米は上記の地域と比べると、 すべての国がレベルが高いとは言えなかっ た。アジアでも韓国、UAEは強豪国とも対 等に戦いベスト 8 進出と健闘したが、オー ストラリア、ウズベキスタンは各大陸の強 豪国との実力差は明らかであった。北中米 も同じように、トリニダード・トバゴとホ ンジュラスは強豪国と比べるとやや力が 劣っていたように思う。 (3)決勝トーナメントでは拮抗した 好ゲーム 決勝トーナメント以降は非常にハイレベ 8 特集① Technical テ ク ニ カ ル study ス タ デ ィ ルの緊迫した接戦の連続であった。お互い プレッシャーの中でのボールの奪い合いや、 意図のある攻撃を繰り返しており、観てい る者を楽しませてくれた。準々決勝も 4 試 合中 3 試合が延長戦となり、各チーム死力 を尽くした戦いは見応えのあるものであっ た。ベスト 4 に入らなかったチームでもイ タリア、ドイツ(ベスト8 )スペイン、ウル グアイ、チェコ(ベスト16)等の国は、チー ムとしても非常にまとまりがあり、個人の 選手の質も高く、すばらしいチームであっ たように思う。 (4)攻撃的で積極的なゲーム運び どのチームも非常に攻撃的な試合運びを していたのが印象に残る。攻撃ではリスク を冒し、多くの人数をかけて積極的にゴー ルを目指すスタイルのチームがほとんどで © Action Images/AFLO あった。守備ではリトリートしてゴールを 固める守備をするチームは少なかったよう ハンガリーの⑨ KRISZTIAN NEMETH 等 ナメント 2 回戦のイタリア対ハンガリーの に思う。例えば、守備的なイメージの強い は、今後が非常に楽しみな選手であった。 試合では、イタリアは、3 人の退場者を出 イタリアは、常に積極的なゲーム運びを志 最近の各種世界大会の報告に見られるよ して、8人対 11人になった延長後半で、 向していた。守備ラインも高く保ち、積極 うに、 組織と才能のある個がマッチしたチー 再度リードされても闘う姿勢(勝ちたいと 的に前からボールを奪いに行くとともに、 ムでないとこのような大会は勝ちきれなく いう気持ち)を失わず、追いつくことに 攻撃では多くの人数が前線に飛び出して なってきているのは確かであった。 成功した。最終的には、カウンターから いっていた。たとえ同点の状況で退場者が ただし、A 代表の FIFA ワールドカップ等 決勝点を奪われて敗れはしたが、サッカー 出て人数が減っても、同じようなゲーム運 と比較すれば、もちろん U-20 世代という 王国のプライドを強く感じた。この 2 試 びをしており、今までのイメージを一新す ことで、チームとしても個人としても成熟 合を見る限り、選手の内面から強く「試 るような戦い方をしていたように思う。 していない面はある。特にゲーム運び等は 合に勝ちたい」という気持ちを感じた。 このようなハイレベルの戦いでお互いハ 勢いに任せて、ゲームを運ぶきらいがあり、 では、この気持ちを選手に持てと言っ イプレッシャーの中で意図的な攻撃を支え 受け身になると弱さが出るチームが多かっ て簡単に持てるのだろうか? いや、簡単 ていたのは個々の選手のテクニック、判断 た。ただ、この年代のゲーム運びとして、 ではないだろう。サッカー大国の積み上 等の基本の質の高さではないか。 相手の良さを消すというより、自分たちの げた歴史がそのプライドを選手に感じさ また、上位に進出したチームの共通点 良いところを積極的に出す戦い方は、今後 せていた。このサッカーを戦う上での原 は運動量の多さであった。特にブラジル、 につながっていく意味でも適切ではないか。 点である「試合に勝ちたい」という気持 ガーナ、イタリア、コスタリカ、ドイツの運 今後いろいろな経験をして成熟していくも ちこそが、何よりも最初に、技術や戦術 動量の多さは特筆すべきもので、まさし のと思われる。 を超えて選手に求められているのではな く攻守に関わり続け、ハードワークする いだろうか…。この次元に日本が近づく 2. 技術面・戦術面の分析 のが当たり前のように見えた。ただし、 には、相当の努力と積み上げた月日が必 ドイツ、イタリア等はその中で突出したタ (1)闘う姿勢 要になると感じた。 レントがいなかったことが上位に進出でき 今大会でもイタリア、ドイツに代表さ なかった理由の一つであると考えられる。 れるように勝つことに対する強い執着心 (2)攻撃的ゲーム運び を世界のトップランクの国々の選手から ①ゴールを目指す (5)組織と才能のある個がマッチ 強く感じた。 (切り替えと優先順位の徹底 )=カウン ベスト 4 に入ったチームにはゲームの中 ドイツは、決勝トーナメント 1 回戦でナ ターとポゼッションの共存 で、輝きを見せる選手が必ず存在した。 イジェリアを相手に、後半に退場者を出し、 この大会での攻撃は、 ボールをポゼッショ ブラジルの⑦ ALEX TEIXEIRA、⑨ ALAN 10 人で戦うことを強いられたが、体力的 ンしながら、チーム全体で分厚く攻撃する KARDEC、④RAFAEL TOLOI、ガーナの⑱ に最も厳しい後半ロスタイムに逆転ゴール 流れが強く感じられた。 RANSFORD OSEI、⑳ DOMINIC ADIYIAH、 を入れることに成功した。また、決勝トー なぜ、どのチームもカウンターサッカーで 9 特集① Technical テ はなく、ポゼッションサッカーを志向する ようになってきているのか? 守備意識の徹底でレベルの高いサッカー では、 カウンターサッカーが通用しなくなっ て久しい。また、前線の選手だけで攻撃を することにより、失ったときに守備の厚み をつくりづらくなってしまう。このために 失った所からすぐさまチームで厚みのある 守備を構築できるように、厚みのある攻撃 をつくり出しておく必要がある。このため に、どのチームもサッカーの進歩に追いつ こうとポゼッションサッカーを志向するよ うになってきたのではないだろうか。その ために、生命線である、相手にカウンター をさせないための攻撃から守備への切り替 えは、どのチームも素早く、この切り替え の遅いチームは、勝ち上がれなかった。 守備から攻撃への切り替えが遅く、もた もたしていると相手の守備ブロックができ あがってしまう。ひとたびできあがった守 備ブロックを崩すのは、至難の業である。 このために得点のために目指す一番の優先 順位であるゴールを、ボールを奪ったその ときからチーム全体で目指すこの傾向は、 勝ち上がっているチームに、特に目立って 強く意識されていた。 ポゼッションサッカー だけでは勝ち上がれない。常にゴールから 逆算した優先順位、つまりプレーの原則の 徹底が重要になってきている。そして、実 際はブロックをつくられる前の素早い切り 替えと、 優先順位の両方を持ち合わせたチー ムが試合を制していた。 ②ブロックを崩す ひとたび形成された守備ブロックを崩す のは、至難の業であることはすでに述べた が、それでも攻撃から守備への切り替えの 速いチームを相手にすると、このブロック を崩す手段を持っていないと勝つことがで きない。ボールの移動中に動き出し、ワン タッチプレーで素早く、多くの選手が関わ りながら、スペースをつくり、使う作業が できないと、ブロックは崩れない。そのた めに、スピードの中で動きながら、判断し ながら、ボールを扱う技術が不可欠になっ てきている。 しかし、もはや決め事のみではブロック を崩せないほど、守備の徹底がなされてき ている。ブロックを崩すために一番必要に 10 なるのは、タレント(個)である。ブラジ ルはタレントが多く、どこからでもしかけ られ、多くの関わりの中で個のスキルが発 揮されている。タレントを持ったチームが ブロックをつくられても、崩す最終手段を 持ち合わせていることは、今大会でもはっ きり見て取れた。ブラジルがドイツやコス タリカの堅固な守備ブロックを崩せたのは、 まさに個の力で勝ったからであった。 ③流動性 ビルドアップに対しても中盤でプレッ シャーが速く、立ち位置を決めてボールを 動かすだけでは、相手のプレッシャーから 逃れることができなくなってきた。そのた め相手に埋められたスペースを再びつくり 出すために、流動的にポジションを変えな がらポゼッションしないとゴールを目指す ことができなくなってきている。スペイン を代表するように安定してゲームを進めて いるチームは、例外なく流動性を持ちなが らビルドアップをしていた。流動性の持ち 方は、チームによりさまざまである。韓国、 ドイツ、イタリアのように決め事をつくっ て、例えばディフェンスラインの前に守備的 MF をアンカーとして守備的に置いて、両 サイド DF/MFを高い位置に押し上げ、そ の中で流動性を持たせてスペースをつくり 出すチームや、ブラジル、コスタリカ、ス ペイン、ガーナのように、ディフェンスラ インと MF でバランスを保ちながら、状況 に応じて MF 全体で前線へ関わりながら流 動性を持ちながら、スペースを意図的につ くり出すチームに分かれた。ブラジルは、 その両方を臨機応変に使い分けていた。 ④運動量 流動性を持ちながらのビルドアップ、ブ ロックを崩す動きの連続、攻守の切り替え など、どの場面をとっても運動量が要求さ れている。この大会での大きな発見の一つ に、どのチームも守備的ではなく、攻撃的 に攻め合うことにかなりのエネルギーを 使っていた。グループステージから決勝戦 までを通して、ほとんどのゲームで、たと えリードしたとしても常に攻撃に力点を置 いていた。戦略的に戦わず、常に運動量を 保ちながら、攻撃をし合う姿勢からこの年 代の選手に経験を多く積ませようという意 ク ニ カ ル study ス タ デ ィ 図を感じた。 (3)守備 ①攻撃から守備への切り替え (攻撃の厚み=守備の厚み) 攻撃に人数をかけているために、自陣に 大きなスペースを空けている。そのために、 守備への切り替えが非常に重要になってき ている。どのチームも切り替えには意識を 持って戦っていたが、チーム全体で切り替 えて守備のブロックを素早くつくれるチー ムは、まだ一部であった。また、局面の選 手だけボールへの切り替えをしているチー ムは、最終的には、隙を突かれて敗退して いった(カメルーン、トリニダード・トバ ゴ) 。 ②ブロックの形成 3DF で闘うチームは少なく(パラグアイ、 トリニダード・トバゴ、ベネズエラ) 、勝ち 残ったチームはすべて4DF であった。守備 ブロックの高さはチームにより異なるが、 前線から守備をするチームに押し込まれる ため、 自らの型で攻撃を組み立てられなかっ たために、勝ち上がれなかったといえるの ではないか。 守備への切り替えを素早くして、ボール を奪いに行く、または相手の攻撃に時間を かけさせる。このことに成功すると、意図 的に相手のボールを奪うための守備ブロッ クが形成される。ベスト 8 に残ったチーム は、すべて攻守の切り替えからチームとし て守備ブロックを形成できていた。 ③ 1 対 1 の対応/シュートブロック/ クロスに対して 攻撃側のブロックを崩す最終手段は、ド リブルやワンツーなどの個のしかけである。 しかけに対応できなければブロックを崩さ れてしまう。対応できれば強固なブロック を機能させられる。ドイツは、 強固なブロッ クを形成し突破を許さなかった。そして、 カバーリングの意識も高くシュートをうた れる状況では、身体を投げ出してシュート をブロックしていた。クロスの状況も同様 で、最後は簡単には上げさせない守備の対 応がすばらしかった。しかし、ブラジルだ けはこのブロックを個の力でこじ開けて いった。 JFA アカデミー 男子 【報告者】山本大(JFA アカデミー福島男子 U-13 監督) JFA プログラム「ロジカルコミュニケーションスキル」 2006年に開校した JFAアカデミー福島も今年で4 年目となりま す。ロジカルコミュニケーションスキル( 以下、コミュニケーショ ンスキル)の授業は、JFAプログラムの一つとして開校時より導入 されています。開校当初、 このプログラムは中学課程 3 年間での「言 語技術」の習得を目標にスタートしました(現行は高 1までの 4 年 へと変更) 。そこで今回は、当初の予定期間である3 年を終了しま したので、この3年間を振り返り、コミュニケーションスキルプロ グラムの成果と課題を報告いたします。 プログラム概要 ①目的 アカデミーで行われているコミュニケーションスキルのプログラ ムの目的は、 「 聞く・話す・読む・書く」の言語 4 機能のトレーニ ングを通して、論理的・分析的・批判的な思考方法を身につけ、最 終的に、自立して考える力を持った選手を育成することにあります。 ②カリキュラムの特徴 アカデミーでは、 このプログラムに年間30時間を充当しています。 基本的に月 1 回 3 時間の授業を、学年ごとに男女合同で年間10 回 行っています。カリキュラムは、つくば言語技術研究所の三森ゆり か所長が、欧米の母語教育を下敷きに日本人向けに考案した「言語 技術の体系的プログラム」を基に組んでいます。 中学 1 年生のカリキュラムを参考に、その特徴について説明しま しょう( 表 1:2009年度 4 期生 [ 中学 1年 ] のカリキュラム、表 2: カリキュラム内の各項目についての説明 ) 。 初年度の特徴は、基礎力を養う「問答ゲーム」と「 再話」の実施頻 度の高さにあります。選手たちはまず「問答ゲーム」を通して対話 の基礎やルールを学び、さらに「再話」から作文と読解の基礎を学 表 1:2009 年度 4 期生 [ 中学1年 ] のカリキュラム 回数 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 日程 2009.4.18 9:00 ∼ 12:00 宿題 2009.6.6 9:00 ∼ 12:00 宿題 2009.7.4 9:00 ∼ 12:00 宿題 2009.8.22 9:00 ∼ 12:00 宿題 2009.9.12 9:00 ∼ 12:00 宿題 2009.10.25 9:00 ∼ 12:00 宿題 2009.11.15 9:00 ∼ 12:00 宿題 2009.12.15 9:00 ∼ 12:00 宿題 2010.1.23 9:00 ∼ 12:00 宿題 2010.3.6 9:00 ∼ 12:00 宿題 ①問答 好きか嫌いか 問答作文 どちらが好きか 事実と意見 どちらが好き 理由の中身 ②再話・要約 宝の下駄 みそ買い橋 ③説明 自己紹介 家族の紹介 カギ括弧使い方 理由の中身 どちらを選ぶか L1p7 構造:桃太郎 要約 300 要約 200 具体的な質問 カラスと水差し 問答作文 賛成か反対か 問答作文2問 お婿さんの買い物 ⑤報告 ⑥絵の分析 ⑦テクストの分析 ⑧その他 ガイダンス フランス国旗 中国国旗 ドイツの国旗 手提げ鞄 電話連絡 緑の指シート 夏期課題 : 書評 丸本:緑の指 (アニマシオン誰のこと) 服装 ワーク3 (服装) 人物:晋太郎の姉 添削の練習 疑いの目で見ると ( 20 字要旨) ④描写 ピザ作り方 机の並べ方 私は誰でしょう 私は誰でしょう 時計(プリント) 人物 隠れ家 (やりとりのみ) 表情分析 コマ絵創作 禁煙マーク ワーク3(復習確認) 視点を変える: 捨て猫 作文 フクロウシート 丸本:フクロウ (アニマシオン題名) 作文 デパート (場所・季節) アンケート 作文 コマ絵創作 23 表 2:カリキュラム内の各項目についての説明 項目 目的 ① 問答ゲーム 問答の基礎技術習得 ② 再話・要約 作文と読解の基礎技術習得 ③ 説明 情報整理の技術、わかりやすい説明技術などの習得 ④ 描写 詳細な観察、秩序だった視点移動、情報整理などの習得 ⑤ 報告 情報重要度の優先順位をつける力、時系列の重視などを習得 ⑥ 絵の分析 観察力・論証力・分析力・批判的思考力などを含めた 論理的思考力の習得 ⑦ テクスト分析 びます。そしてこれらを土台として「説明・描写・報告・分析」の 方法論を学んでいきます。 「問答」 「再話」も学年が上がるにしたが い実施しないわけではありません。他の項目も同様に、難易度を上 げ、繰り返し実施することでスキルの定着を図ります。したがって、 継続的な実施による積み重ねが重要なプログラムと言えます。 ③特殊な授業形態 コミュニケーションスキルの特色はその授業形態にあります。授 業は基本的にすべて議論を軸に展開しています。授業中、生徒は一 方的に講師の話を聞くのではありません。講師と生徒、あるいは生 徒同士の意見交換を中心に進められます。そのため授業内では常に 発言することが求められます。そして最後に、議論を経た内容を必 ず各自作文にまとめます。年度末には生徒の成果の一つとして作品 集を作成しています。なお、上記のような授業形態ですので、評価 の際には、発言の質と量、作文の質が重視されます。 成果と課題 ①成果 〜言語4機能、 「書く」 「話す」には顕著な向上が見られる〜 これは昨年末、当プログラムについて、各アカデミースタッフに 3年間の総括と報告を求めたところ、その成果としてほぼ全員が挙 げています。この結果は授業の特徴からも明らかですが、着実にこ の点については力をつけることができたと言えます。 また、同じく昨年度末、実際に授業を受けてきた選手たち( 3 年 間の授業を終了した 1 期生 )にアンケートを実施したところ、全員 から「コミュニケーションスキルが入校時より向上したと実感でき る」との回答を得ています。以下併せて、回答の多かったものをご 紹介します。 Q. コミュニケーションスキルの授業が自身の生活の場で役に 立っていると実感できるか? (サッカーの場以外において) ・作文が早く書けるようになった。 ・頭で考えたことを素早く文章にできるようになった。 ・文章の組み立てができるようになった。 ・メモを取る習慣がついた。 ・人の話し方が気になるようになった。 ・相手の目を見て話せるようになった。 (サッカーの場において) ・結論に至った具体的な理由を言えるようになった。 24 ・試合中、自分の考えを端的に伝えることができるようになった。 ・自分のプレーの分析ができるようになった。 ・試合後 、 試合の全体像を客観的にとらえられるようになった。 上記回答からは、選手たちが授業を通し、大事な部分をメモし、 そのメモを基に素早く整理された文章を組み立てることができるよ うになったということ。つまり、基本的な「聞く」 「書く」の能力を つけることができたことが分かります。また常に 「なぜ?」 を意識し、 「話す」 「 聞く」といった習慣が身についてきていることも推測でき ます。さらに彼らが、特にサッカーの場において分析的に「読む」 ということを、少しずつながらも実感できてきているようであるこ とを、私たちは読み取ることができます。 ② 課題 〜コミュニケーションスキルをよりサッカーの現場で生 かすにはどうすべきか〜 これは、スタッフ(指導者) 、選手両者に突きつけられている課題 と言えるでしょう。例えば男子スタッフ(指導者)からは、ゲーム分 析や試合に向けたミーティングをカリキュラムに導入できないか、 といった要望があります。けれども、思考方法の習得を 「 読む・書く・ 聞く・話す」 を通して訓練しようというのが、 「ロジカルコミュニケー ション=言語技術」導入の目的ですので、サッカーに特化するべき ではないと考えています。また一方、3 年の授業を経た選手から「授 業内容をサッカーにつなげたい」といった感想が上がってきている ことも事実です。 「ロジカルコミュニケーションスキル」プログラムの内容を通した 成果を、よりサッカーの現場につなげることが今後の課題であるこ とは明らかです。そしてそのためにも、講師・スタッフ間での情報 交換は密に行い、より有効なカリキュラム作りと指導方法の検討を していくことが重要であると言えます。 まとめ JFA アカデミー福島で行われた 3年間のコミュニケーションスキ ルプログラムからは、成果と同時に課題も明らかになってきました。 「自立して考える力を持った選手の育成」という目標の基に導入され た当プログラムは、選手の意識・思考を変え、着実に浸透しつつあ るといってよいでしょう。そうした中で課題として明確になってき たのは、「この成果をサッカーに生かしていくにはどうしたらよい か」ということです。 前述したように、当プログラムは学問の基礎である欧米の母語教 育をベースにカリキュラムを組み立てており、サッカーに特化して いるわけではありません。もちろん将来的には具体的にサッカーに 生かす方法等も確立しなくてはならないでしょう。しかしながら当 面におけるわれわれ指導者の役割は、当プログラムが J FAプログラ ムの一つとして導入されたという原点に立ち返り、われわれ自身が コミュニケーションスキルをしっかりと学び、日常における対話を 通して、まだまだつたない選手の考えを引き出し、明確にさせるこ とにあるのではないかと考えます。われわれ指導者のかかわりが、 将来の自立した選手の育成につながる…。このことを忘れずに今後 も取り組みを重ねていきたいと思います。 女子 【報告者】小林忍(JFA アカデミー福島女子 GK コーチ) U-15 年代における1 週間の GKトレーニング 〔技術・戦術〕 はじめに 先日、中国で行われた AFC U-19 女子選手権で U-19日本女子代 表は見事にアジア女王の座を手にし、来年ドイツで開催される FIFA U- 20 女子ワールドカップの出場権を獲得しました。その代表 選手としてアカデミーを巣立った 2 名の選手が活躍してくれたこと は、私たちアカデミーにかかわる者にとって大きな励みとなりまし た。急速に成長を遂げている日本の女子サッカー。なでしこジャパ ン(日本女子代表)をはじめ、各カテゴリー代表チームの活躍は著 しいものがあります。しかし、私たちの進むべき方向である「なで しこ Vision」の具現化を考えると、今後さらに質の高い個の育成が 必要となってきます。 「質」とは人間的・内面的な「質」です。世界 で通用する選手、すなわち自立した選手こそが次世代のなでしこを 支える選手だと考えます。自らで状況を把握し、失敗に臆すること なく勇気を持って決断できる真のリーダー。私たちアカデミーの果 たすべき責任はそのような人材の育成であると痛切に感じながら 日々の活動に取り組んでいます。 U-15 年代における1週間の GKトレーニング ●火曜日「 フィールドプレー」 すべてのメニューを FP として行います。目的は多岐にわたりま す。サッカー選手としてのスキルアップ、サッカー感を養う、基礎 的な持久力の向上、アジリティー能力の向上、観て判断することの 重要性、孤独感を避ける、サッカーを楽しむ、戦術理解等々。攻撃 の役割が重要視されている現代の GK には、サッカー選手としての 能力が必要不可欠です。GKの専門的な動作に入る前にサッカー選手 としての技術・戦術トレーニングには多くの時間を費やします。 ●水曜日「 基本技術・戦術Ⅰ」 ボールフィーリングやコーディネーションに時間をかけます。全 身コーディネーションから始まり縄跳び、バドミントン、フリスビー 等、遊びを通じてそれらの能力を養っていきます。基本技術ではオ ンバランス(良い準備ができている状態)で行います。そして、一 つ一つの動作やプレー(構える・つかむ・移動技術・倒れる動作・ジャ ンピング・ポジショニング )に対して正確性を重視して行います。 シンプルなシチュエーションで動作を細かく分解して指導していき ます。 前育成期(U-15 年代)は将来すばらしい GK になるための基礎を ●木曜日「ゲーム」 築く最も重要な時期だと考えます。この時期は肉体的にも精神的に 紅白戦やアカデミー男子とフルピッチでのゲームを中心に行いま も多感で不安定な時期ではありますが、より多くの刺激を与え続け す。この年代の GK にとっては高校生や男子が相手だと少々負荷が ることで育成期(U-18 年代)へと効果的につなげることができるで 高くなり、多くの課題は見られますが、日ごろからパワー・スピー しょう。アカデミー女子の中学生年代には現在 2 名の GK が在籍し ドの上回る相手と拮抗したゲームを数多く経験することは大切で ています(U-14/13 それぞれ 1 名) 。スケジュールの都合上 2 名一 す。特に U-13 の選手はゴール・ボール・ピッチサイズとすべてが 緒にトレーニングを行っていますが、当然レベル差が生じるので、 変化するので、フルピッチでのゲームを通じてそれらの変化に順応 同じトレーニング内容の中で要求や負荷を変えています。GKの特 させていきます。 別トレーニングは週 2 回で 1 回のトレーニング時間は 30分〜 45分 を目安に構成します。この年代は基本要素徹底期であることから、 自身とボールの関係(足を運ぶこと、構え、つかむ、GK 特有の動作、 ●金曜日「基本技術・戦術Ⅱ」 水曜日よりトレーニングテンポを上げ、プレー機会を増やすこと ポジショニング)をできるだけシンプルなトレーニングの中で獲得 と、技術・戦術トレーニングを中心に行います。発展としてはオフ していきます。U-16 年代以降自らで課題解決ができるよう、この バランス(細かいフットワーク、ポジション移動、倒れた状態)から 年代で正しい動作の獲得と多くの判断材料を与えることが大切で のプレーなど少し実戦的に行いますが、選手の様子を見ながら負荷 す。 の調整をしていきます。U-14 年代からはスピードや反応トレーニ また、特別トレーニングは非常に重要ですが、あくまでも全体の ングを導入し、週末のゲームへ向けた準備をします。 一部ととらえ、大切なのはゲームの中で GK が生きているかどうかと いうことです。フィールドプレーヤー(FP)と合流した後もGKが効 果的にゲームに関わっているかを注意深く観察する必要があります。 〔フィジカル〕 〔アカデミー女子の1週間のGKトレーニング 〕 カテゴリー 技術 ・ 戦術 フィジカル 月 U-14/13 U-14 U-13 オフ 火 水 木 金 基本技術 フィールド 基本技術 ゲーム ・ ・ プレー 戦術 戦術 バランス 体幹 バランス スピード 体幹・バランス・股関節の可動域向上 土 日 ゲーム 補足 U-14 年代までは体の軸をしっかりと安定させる体幹やバランス のプログラムを中心に行っています。トレーニング前の約15分を 使って曜日ごとのエクササイズを年代別負荷に応じて行っています。 エクササイズ開始当初では震えていた身体も、 現在では正しいフォー ムでしっかりと支えることができるようになってきました。その成 果がプレー面でも反映されているのが見て取れます。U-15 年代以 降に始まるストレングストレーニングの土台づくりをこの年代で 25 しっかりとしておくことが大切です。また、アクロバティックなプ レーが要求されるGKにとっては成長期が終わる前に柔軟性を高め ておくことが必要です。トレーニング後や入浴後のストレッチは積 極的にとり入れるようにしています。 おわりに 以上、アカデミー女子が実践している1 週間のGKトレーニング 例を紹介しましたが、各チームのトレーニング環境に応じてアレン ジしていただければと思います。今できないことも毎日コツコツと 取り組んでいけば必ずできるようになります。“ある日突然うまくな る!” を合言葉に日々、我慢と忍耐を胸に今後も取り組んでいきた いと思います。 熊本宇城 【報告者】濵田勇太(JFA アカデミー熊本宇城トレーナー) 開校からの半年を振り返って JFA アカデミー熊本宇城が開校し、半年が経過しました。つい半 年前まで、小学生だった 1 期生の生徒たちは、日々たくましく成長 しています。中学生という心も体も大人への階段を上り始める年代。 彼らは着実にその階段を上っているように思えます。 アカデミーで活動する 3 年間。生徒たちに身につけてもらいたい ことの一つにセルフコンディショニングがあります。自分の体の状 態を理解し、良いプレーをするために適切な準備をするということ です。そのためにはクリアしてほしい 3つの課題があります。1つ 目は、なぜコンディショニングを行わなければならないかを理解する こと。コンディショニングが適切ならばどのような効果があり、不 十分ならどのような危険性があるかを理解すること。2つ目は、 食事・ 睡眠・ストレッチなど、コンディションを整えるための方法を知る こと。3 つ目は、そのすべてを自らの意思で行おうとすることです。 1つ目に関して、数名の選手はコンディショニングの必要性を身 にしみて実感し始めています。実際に怪我を経験し、しばらくの間 サッカーから離れざるを得ないという経験が、自分の今までの不十 分なコンディショニングを省みる機会になっているようです。しか し、適切にコンディショニングを行えた場合の効果については、多 くの選手がまだまだ実感できていません。今後は今行っているコン ディショニングを継続・発展させていくことが重要だと考えていま す。また、一定の期間を経て、パフォーマンスの向上はもちろん、 怪我の回数の減少や、数値化できるデータは、その成長の推移を フィードバックすることで、コンディショニングの効果を実感させ ていきたいと思っています。 2 つ目はコンディショニングの方法を知ることです。この点に関 して、生徒たちは日々成長していると言えます。食事を残さずしっ かりとる、よく寝るなど、毎日当たり前のように繰り返し行われる ことも、コンディショニングの基本的な方法だと意識させています。 また、ストレッチ講習会を開催したり、インフルエンザ対策を説明 することで、より具体的な方法を学べる機会もつくっています。そ の一つ一つの機会を通して、また日々の活動を通して、彼らのコン 26 ディショニングについての知識は確実に深まっています。今後は T PO にあわせたコンディショニングの方法などについてもより具体 的に伝えていきたいと思っています。練習前にはどんな準備を行い、 練習後にはどんなケアを行うのか。暑熱環境、寒冷環境ではどう過 ごすべきなのか。疲れがたまっているとき、体に痛みがあるときに どう対応するのかなど、知識として学びつつ実践し、一流のサッカー 選手となるべくセルフコンディショニングの引き出しを増やしてほ しいと思っています。 3つ目の、そのすべてを自らの意思で行おうとすることについて、 生徒たちは想像以上に積極的に取り組んでくれています。例えば、 学校から帰ると何も言われずとも手洗い・うがいをしたり、消灯前 の限られた時間にはベッドの上でストレッチをしたりしている姿も 見受けられます。また、コンディションを良くするための方法を、 積極的に質問してくる選手もいます。その意識の高さには驚かされ ます。しかし、その意識にも格差があるのが現状です。教わったこ とを意識して実践しようとする者と、言われなければ何も行わない 者がいます。しかし、行っている者が行っていない者に対して声を かけたり注意を促したりする姿も見受けられます。今後も彼らの中 で気づかせ合い、注意し合って、日々進歩してほしいです。 コンディショニングを行う意味を理解し、方法を知り、実践しよ うとすること。彼らは少しずつそれぞれの段階を上っています。し かし、真のエリートと呼ばれる存在を目指す彼らには「自分だけで きていれば良い」という考えではなく、 「チームを、集団を、良い方 向へ導きたい!」という意識も重要です。アカデミーの中でもお互 いに指摘し合い、改善しようという姿勢を日々見せ始めている生徒 たち。今後彼らが、その力をさらにパワーアップさせて 2 期生・3 期生へと引き継ぎ、アカデミー熊本宇城の良き伝統として築いて いってもらいたいと思っています。そしてアカデミー卒業後の次の ステージでも、この姿勢を維持し向上させていくことは、サッカー 界のみならず、日本社会にも明るい光を差し込ませる大きな力とな るのではないでしょうか。 海外セミナーレポート インターナショナルゴールキーパーコングレス INTERNATIONAL GOALKEEPER CONGRESS ( 2009 年 6 月 26 日、27日/ドイツ・ミュンヘン) 1. コース概要 ドイツ代表 GKコーチの Andy Kopke 氏 がホストを務め、第 2 回インターナショナ ルゴールキーパーコングレスが 6月26日、 27日の 2日間、ドイツ・ミュンヘンで開催 された。 2. コーススケジュール 6月26日はゲストスピーカーによる講演、 質疑応答が行われた。午前中はミュンヘン にあるアリアンツ・スタジアムのイベントラ ウンジで行われた(表 1) 。 午後は場所をスポーツシューレ(Sports Academy Munich-Oberhaching )の講義 室に移して講演ならびに質疑応答が行われ た。ここでは 2 つのフォーラムが同時に開 催され、参加者は自由に部屋を行き来でき るように配慮されていた(表 2、表 3 ) 。 表1 日時 時間 6月26日 9:00 歓迎スピーチ 9:30 10:30 11:00 11:30 3. 内容 1日目は多彩なゲストスピーカーが GK に 関して、さまざまな角度から講演を行った。 午前中は特に、ドイツ代表GKとして、また ドイツ代表 GKコーチとして多くの経験を 持っている Andy Kopke 氏の話が非常に興 味深いものであった。彼は以下のポイント で講演を行った。 ①現代サッカーの中で求められるGK 像 フィールドプレーヤーのスキル、チームの 中でのGKの役割の変化。 ②ドイツ代表チームに求めれるGK 像、そ の選考、大会でのGKグループのマネジ メント 内容 内容 女子の GK トレーニング GK コーチライセンス ユース年代の GK トレーニング アマチュアのための GK トレーニング キッズのための GK トレーニング GK のキャリア GK の海外移籍について 表3. フォーラム 3 日時 時間 内容 6月26日 15:00 GKとメディアとの関係 15:30 16:00 17:00 17:30 18:00 18:30 また、27日はSports Academy MunichOberhaching のピッチでトレーニングのデ モンストレーションとその質疑応答が行わ れた(表 4) 。 講演者 Andy Kopke ドイツ代表 GKコーチ Dr.Koch(バイエルン州サッカー協会会長) ※電話での参加 Bernd Trautmann( 元マンチェスターシティGK ) 現代のゴールキーピング(2006FIFA ワールド Andy Kopke ドイツ代表 GK コーチ カップ、UEFA EURO 2008 より) Jens Lehmann( 元ドイツ代表 GK ) Jean-Marie Pfaff(元ベルギー代表 GK) 1980 年代のゴールキーピング Jorg Stiel( 元スイス代表 GK ) プロのための GK トレーニング OH Chuliang(中国代表 GKコーチ) Raul Garcia(エルサルバドル) 各国の GK 事情 Reaz Moorad(ニュージーランド) Mihairi MIhairo(ウクライナ代表 GKコーチ) ※電話での参加 南アフリカ代表の活躍 Grant Johnson(南アフリカ代表 GK コーチ) 表2. フォーラム 2 日時 時間 6月26日 14:30 GKコーチの教育 15:00 15:30 16:00 17:00 17:30 18:00 18:30 【報告者】川俣則幸( GK プロジェクトリーダー ) GK のフィジカルフィットネス GK の食事・栄養 ペナルティーキック インターネットとニューメディア GK の心理学 GK の用具 表4 日時 時間 内容 6月27日 10:00 ケプケコーチのトレーニング DVD Train like a No1 の内容紹介 14:00 チャリティーマッチ イングランド・GK トレーニングの紹介 15:00 技術練習からゲームへの発展 GERMAN GK SCHOOLのキッズトレーニング 17:00 ( 6つのステーションで紹介) 講演者 Thomas Roy(バイエルン州サッカー協会 GKインストラクター、 ドイツサッカー協会・バイエルン地方 GKトレーニングコーディネーター) Dr.Hans-Georg Moldenhauer(ドイツサッカー協会副会長)※電話での参加 Michael Fuch(ドイツ女子代表 GKコーチ)※電話での参加 Thomas Roy Wolfgang Kellner( U-19 ドイツ代表 GKコーチ) Bernd Gehring Sophia Gorlach(GERMAN GOALKEEPER SCHOOL ) Sven Ehricht,Sven Kuhn(ケプケ氏のマネージャー) Lutz Pfannenstil( 元プロ GK のライター) ※網掛部は報告者参加のレクチャー 講演者 Walter M.Straten(BILD 紙、チーフフットボール編集者) Dieter Nickles(プレミア TV プレゼンター) Markus Othmer(ARD バイエルン放送プレゼンター) Shad Forsythe(ドイツ代表チーム、フィットネスコーチ) Holger Stromberg(ドイツ代表チームシェフ) Thomas Hausner(TVジャーナリスト) Christain Holzer(元 TSV1860Munchen の GK) Jan Mayer(ドイツ代表チーム心理学者) Jorg Stiel ※網掛部は報告者参加のレクチャー 実演者 Andy Kopke(ドイツ代表 GK コーチ) 選手役は GERMAN GOALKEEPER SCHOOL のコーチが務める 参加者でゲーム Andy Poole(イングランド FA、地域インストラクター) GERMAN GOALKEEPER SCHOOL のコーチ フィールドプレーのスキルが重要な要素 となった(カーンからレーマンへ) 。第 1GK レーマンと、第 2 GK カーンへの対応。 また1980年代、ベルギー代表、バイエル ンミュンヘンで活躍した Jean-Marie Pfaff 氏のレクチャーでは、GKコーチがいないと ころでのトレーニングからゼップマイヤー コーチとの出会い、GK コーチの重要性、 GKコーチの役割について話をされた。特 に若い選手に対するGKコーチの重要な役 割、留意点として以下の点を挙げられた。 ①若い GKに夢と目標を持たせること。 ②何をすべきかを指示するのではなく、そ のヒントを与えること。 ③ GKの特別トレーニングを準備し行うこ と。 ④試合で失敗したからといって交代させな いこと。 また、GKとして大成するためには、グラ スルーツが重要で、早期のスポーツ経験と GK 経験が必要であり、6歳時の経験が後に 差になると述べられた。 午前最後のレクチャーは、ドイツ以外の 各国の GKを取り巻く現状についての報告 がなされた。 ①ウクライナ・Mihairi MIhairo 氏(ウクラ イナ代表 GKコーチ) 2012年のUEFA EURO開催に向けて準 備を進めている。現在はすべてのクラブに GKコーチがおり、 育成にも力を注いでいる。 彼自身もディナモ・キエフと代表チームの GKコーチを担当。 ②中国・OH Chuliang 氏(中国代表GKコー チ) 中国ではGKに対する理解が低い。プレ ミアリーグでも監督が GKトレーニングに対 する理解がないチームが多い。GK のタレ ント発掘もクラブ主導になり、その結果以 前よりもユース育成はうまくいっていない。 ③ニュージーランド・Reaz Moorad氏 (ニュー ジーランド) サッカー自体がラグビー、クリケットの次 という扱いなのでプレー人口が少ないこと が根本的な問題。 ④エルサルバドル・Raul Garcia 氏(エルサ ルバドル) 27 海 外 セ ミ ナ ー レ ポ ー ト GK の育成方法については、進んでいる アルゼンチンやメキシコに学んでいる。 ⑤南アフリカ( FIFA コンフェデレーション ズカップ参加中の南アフリカ代表GKコー チ Grant Johnson 氏が電話で参加) 若いGKの育成に力を注ぎはじめ、2年前 からGKコーチのコース (2週間のコース) を つくり、指導者養成に力を入れ始めた。 初日の午後は 2つのフォーラムに分かれ ての開催となった。私が参加したレクチャー は表 2、表 3 で網掛けしてあるものである。 GKの心理学は Jan Mayer 氏(ドイツ代表 チーム心理学者)が担当された。要点は以 下の3点である。 ①心理学的なアプローチも大事であるが、 一番重要なものはトレーニングである。 ② GKというポジションは特殊なポジション で、常に責任がつきまとう。それに伴う ストレスをマネジメントすることが必要と なる。そのための心理学的なアプローチ が必要となる。 ③ストレスマネジメントを考えたときに、ト レーニングの中でストレスを完全に取り 除くことは必要ない。常に試合において ストレスにさらされるGKは、ポジティブ なストレスをトレーニングの中でもかけ 続け、それをマネジメントするノウハウを 学ぶ必要がある。 GKコーチの教育では、Thomas Roy 氏と 電話で参加された Dr.Hans-Georg Moldenhauer氏(ドイツサッカー協会副会長)がメー ンスピーカーとなった。ドイツサッカー協会 では、協会としての GKコーチライセンス はいまだなく、各地域協会が独自のコース をつくり、それに参加した GKコーチに修 了書を渡しているのが現状とのこと。そう は言ってもドイツサッカー協会のコーチラ イセンスを持っていることがコース参加の 基礎資格になっている点は、ドイツ協会ら しさが見られた。また、今後開設を目指し ているドイツ協会のGKコーチライセンスで は、現代サッカーの変化に応じてGK に要 求されるさまざまなことに対して適切に対応 できるGKコーチの養成を目指していると の話を聞くことができた。 GKのフィットネストレーニングでは、2004 年よりドイツ代表チームのフィットネスコー チを担当されている Shad Forsythe 氏が 28 サッカー選手として要求される体力要素と、 GK 固有に求められる体力要素について分 かりやすく話をしてくれた。特に、体幹部の 安定が高いパフォーマンスを発揮するため に必要不可欠な要素であり、 この部分がしっ かりしていない選手が高いパフォーマンス を発揮すると怪我をする危険性が高くなる ということ。体力強化のためのトレーニン グもチームとしての戦術・技術トレーニン グの負荷を考慮してコントロールしながら、 プレシーズンからインシーズンを通してト レーニングを継続する重要性を話されてい た。また、高いパフォーマンスを継続して 発揮するためには、体幹がしっかりしてい ること、正しい姿勢で正しく効率的な動作 をしていることが重要であり、あくまでも 動作がトレーニングでの最も重要なトレー ニング手段になると説明されていた。また、 0〜 5mの速さをクイックネス、5 〜10mの 速さはスピード(加速局面) と定義しており、 GKは主にこのクイックネスの速さを求めら れ、トップの GK はここが速いとも述べら れていた。 ユース年代の GK トレーニングでは、 Wolfgang Kellner 氏が主に U-19ドイツ代 表(U-19 ヨーロッパ 選手権チャンピオン) を例にトレーニングの進め方と、タレント 発掘について語ってくれた。特にここで興 味深かったのは、タレント発掘についての 考え方で、常に複数の目で確認し、時には ビデオで試合を撮影し、それを元に複数の スタッフでそのGKが現在どんな状況にあり、 今後どのように成長していくかをディスカッ ションするというやり方をとっているとい う点であった。タレント発掘という部分で は、サッカー強国のドイツでさえ今も試行 錯誤し、新しいことに取り組む姿勢を持っ ていることが印象的だった。 女子のGKトレーニングは、Michael Fuch 氏(ドイツ女子代表 GKコーチ)が電話で話 をされた。彼は昨年の北京オリンピックで 日本女子代表と銅メダルを争ったドイツ女 子代表チームを担当されていた。女子のト レーニングについては以下のように述べら れた。 ①ドイツでは、男女であまりトレーニング に差をつけない。特に少年と少女は一緒 にトレーニングを行っても問題ない。 ②男女間で動きの種類や基本技術に差はな いが、女子では特にトレーニングの中で 技術の習得に時間をかけるようにしてい る。 キッズのためのGKトレーニングは、Kids are ou r No1 財団 の 会 長 である Sophia Gorlach 氏が担当された。この財団内に、 2008 年 9月、GERMAN GOALKEEPER SCHOOLが設立され、週末ごとにトレーニ ングが行われているとのこと。現在約 800 人の子どもたちが通っているが、今後はこ うしたスクールを大都市やクラブごとに設 け、60以上のトレーニングセンターを作る ことを目標にしているとのことだった。 2日目の実技は、表 4 のように行われた。 特に Andy Kopke 氏のトレーニングは、試 合中にゴール前で起こりうる場面とプレー を分析的にとらえ、そのプレーをより早く、 より確実に行えるように、特にフィジカル 面への負荷をかけながら行うものが多かっ た。GKが実際にプレーするボールの速度 が非常に速いこと、設定が難しいのでそこ で確実なプレーをする難しさがよく伝わっ てきた。また Kopke氏のサーブが非常に正 確だったことからも、日ごろからドイツ代 表チームで行っているトレーニングである ことがうかがえた。 次のセッションは Andy Poole 氏がイング ランドのGKトレーニングを紹介した。ここ ではシュートストップのテクニック、スキル、 ゲームと段階を踏みながら、それぞれのト レーニングでは何がトレーニングされ、何 がトレーニングしづらくなるのかを論理的 に説明しながら行われた。これらは JFA が とり入れている方法でもあり、非常に段階 的に基本のテクニックを押さえた上で、FW やDFを徐々に入れていき、判断の要素をと り入れ、最終的にはさまざまな状況が起こ るゲームの中でのシュートストップまで発展 され、必要なところで GKやフィールドプ レーヤーに対しての指導が入り、セッショ ンが終了したときには参加したすべての選 手が改善されているという理想的なデモン ストレーションを見せていただいた。 2 つのセッションから、代表 GK コーチと コーチングコースインストラクターは職種 が全く異なること、トレーニングの紹介と コーチングデモンストレーションは全く異 なるという2 点を再確認した。このセッショ ンを見ていたフランス代表 GKコーチの Bruno Martini 氏は、 「ドイツのトレーニン グは非常に分析的だ。イングランドはサッ カー全体をとらえたトレーニングを行って いる。どちらが良い悪いということではな い。しかし、私はイングランドのトレーニ ングを参考にしたい。しかし、 プレミアリー グにイングランド出身の GK が少ないこと、 代表 GK の人選が問題になる現実がある。 一方、ドイツはブンデスリーガに若手 GK がデビューし、代表 GK も競り合いがある。 この点が一番興味深い」と話されていたこ とが印象的だった。 この後は、キッズ GK のトレーニングを 見せていただいたが、大人と同じようなス テップやダイビングのドリルを行っていた ことには疑問が残った。ただし、この年齢 から天然芝の上で怖がることなく身体を投 げ出し、大人と同じようなユニフォームや グローブをつけて GK を経験することは非 常に重要であることは理解できた。 4. まとめ 今回のコングレスに参加して以下の 5 点 で成果があった。 ①今日のドイツ代表チームの GK がどんな 哲学を持って、日々のトレーニングに取 り組んできたか。そして現在の育成年代 の GK がどのように育てられているのか が理解できた。 ②ドイツの GK を取り巻く社会的な注目度 が日本とは全く違うこと(メディア対応の レクチャーが必要なことからも分かる) 。 ③参加各国の GK ならびに GK コーチを取 り巻く環境が理解できた(各国とも質や 種類はさまざまであるが問題を抱えてい ることは共通していた) 。しかし、スペ イン、オランダ、イタリアといった GK 先進国からの参加がなく、あくまでもド イツサッカーを中心とした GK について の情報が大部分であった。 ④現在、日本で JFA が行っている GK 育成 の方向性やコーチング方法は、日本人の 特性を考えた上で良い方向に進んでいる と再認識できた。 ⑤海外の場に出かけることにより、情報収 集を行えること、人的つながりができる こと、日本の現在が分かることなど利点 が多い。 なお、コングレスは、来年も2010 F IFA ワールドカップ 南アフリカ後の 7月 31日、 8月1日にスイスの FIFA オフィスで開催さ れる予定。協会、クラブ等の推薦がなくて も個人で参加可能とのこと。 詳細は下記ホー ムページをご覧いただきたい。 http://www.goalkeepercongress. com FIFA インストラクターコース 第 1 回 FIFA グラスルーツセミナー FIFA Instructors Course 1st FIFA Grassroots Seminar (2009 年 9 月 29日 〜10 月 2 日/スイス・チューリヒ) 【報告者】小野 剛(JFA 技術委員長 育成担当) 1. One Game, One Family インストラクター研修の一環として開催さ れた今回のセミナーは、FIFAの行う初めて のグラスルーツセミナーである。コースは、 まずはインストラクターとして FIFA のフィ ロソフィー、そしてミッションが徹底してた たき込まれる形でスタートしていった。 FIFA では "One Game, One Family" の キャッチワードのもと、3つのミッションを 掲げている。①「サッカーの発展」を目指す (Develop the Game)とともに、②世界大 会などを通して世界が触れ合う機会をつく り (Touch the world)、③平和な世界の実 現に貢献していく (Build a better future) という3 本の柱である。特に第 3 のミッショ 29 海 外 セ ミ ナ ー レ ポ ー ト ンはサッカーの枠にとどまらず、貧困、紛争、 人種差別…といった世界の諸問題にサッ カーがどう貢献できるか。すなわち、 「人種、 民族、政治、宗教等々を超えて人と人が結 ばれるのはサッカーしかない、だからこそ サッカーの果たすべき役割がある」という というもので、FIFA の決意が強く感じられ た部分でもある。そしてグラスルーツこそ、 その 3つのミッションどれにも深くかかわる 最も重要な分野であること、そして第 1 回 というこのセミナー実施にもFIFA のグラス ルーツを重視している並々ならぬ情熱が伝 わってくるものであった。 2. グラスルーツポリシー グラスルーツ指導者に向けたU-12年代の 指導ポリシーは、一言で表せば "The Game is the Best Teacher"(ゲームが最良の師) ということになる。この部分は日本の指導 者養成で行っているグラスルーツのコンセ プトとかなり共通する内容であり、ある意味 われわれのプログラムに自信を与えてくれる ものであった。 それを実践するためのキーとして強調さ れていたのが「 SSG ポリシー」、すなわちス モールサイドゲームによる選手の育成、そ の考え方の普及である。 そういえば、昨年日本で行われた FIFA クラブワールドカップのある会場で、前座 試合として U-12 の試合が 11 対 11 で行わ れようとしていた際に、 「FIFAではこの年代 の 11 対 11 は認めていない」と急にストッ プがかかったことを思い出したが、SSG ポ リシーをかなり強力に推し進めていること の一つの現れであろう。 3. パイロットプロジェクトの報告 FIFAの行っているグラスルーツプロジェ クトは多岐にわたっている。サッカーが普 及されていない地域に用具の提供などとと もに普及活動を行い、逆に勝利至上主義が まん延する地域には、サッカーの真の楽し みを伝えるようなセミナー活動も行なうな ど、Flexibility & Adaptation(柔軟性と 適応:その国や地域の実情に合わせた形で 柔軟に対応していく) 、というポリシーのも と、まさに世界各国におけるさまざまな事 例が紹介された。 中国におけるグラスルーツフェスティバ ルの実践、ドミニカ、スリナム、サンタル シアといったカリブの島国に、それぞれの 30 ニーズに応じたグラスルーツプログラムの 展開といった事例から始まり、実に多彩な サポート活動が紹介された。FIFA自体には、 それほど人が多くないので、このようなイ ベントも世界各国に散らばる FIFA インスト ラクターがカバーしていくことになる。 中でも印象的だったのは、コソボの紛争 地区に赴き、親を亡くした子どもたちに、 サッカーによって生きる希望を与えていく 活動の様子や、パレスチナとイスラエルの 子どもたちの合同グラスルーツフェスティ バルで、さまざまな障害を乗り越えながら 地元のコーチたちとともに奮闘し、最後は 選手もコーチたちも互いに笑顔で握手する 様子など。これらは胸にジーンとくるもの を感じた。 4. グラスルーツフェスティバル 3日目には近郊の子どもたち100名超が 集まり、FIFA ピッチを利用してグラスルー ツフェスティバルが行われた。これは実践 研修の形で、FIFAが準備したのは決められ た時間に近郊各クラブの子ども(コーチや 保護者も)を集めるまで。後はすべてわれ われインストラクターに委ねられた。ディ スカッションを重ね、プログラムを練った後、 インストラクター(すなわちセミナー受講生) をグルーピング(SSG グループ、スキルト レーニンググループ、全体オーガナイズグ ループとに分け、各グループに少なくとも 1人のドイツ語を話せるインストラクターを 配置した) 、どのようにしたら子どもたちに より楽しんでもらえるか、それぞれ意見を 出し合いながらグループ別のディスカッショ ンを重ねていった。 FIFA ピッチにはメインの人工芝ピッチの 他、壁に囲まれたスモールピッチ、ビーチ サッカー用の砂のピッチ、さらにポータブ ルも含め多くのミニゴールなどもあり、そ れらを有効活用しながら全員で会場を準備、 そして子どもたちを待ち構え、いよいよフェ スティバルを運営といった形式で行われた。 幸い天候にも恵まれ、子どもたちの笑顔 とともに終了することができホッとした。 その晩はグラスを片手に参加者同士より一 層話が弾んだのは言うまでもない。大陸を 超えてのこのようなサッカー仲間の交流は、 またすばらしいものである。 5. F I FA サポート (バイラテラルミーティング) 最終日は、FIFA インストラクターとして の心得、責務、ペイメント規定などのレク チャーの後、FIFA スタッフ(Jean-Michel Benechet:FIFA Technical Director, Juerg Nepfer FIFA Football Development )との 個別ミーティングが行われた。各国協会の グラスルーツの現状を説明し、各国あるい は大陸連盟に対する FIFA のサポートをど のような形で行うのがベストなのかを話し 合うのが目的である。 日本におけるグラスルーツの現状に関し て話したところ、かなり充実している面が 多いとの評価をされ、FIFA 側からは周辺の 国々へ向けてさまざまな試みを紹介したり、 指導者を派遣する形で貢献してほしいと言 われた。逆にわれわれから FIFA への要求 としては、核となるグラスルーツ指導者を 育てていくという面でのサポートをお願い した。具体的に言えば来年度中に日本で FIFA グラスルーツセミナーの開催を確認 し、ファイナンス面もFIFA がサポートして くれることになった。今後どのような規模、 形式で実践していくかさらに協議を続けて いく予定である。 FIFA としてアジアの拠点としての日本、 われわれとしても多角的な FIFA のサポー ト、双方をうまく調和させていき、日本の グラスルーツ発展のみならず世界における 日本の存在を大きなものにしていくことが 可能になるのではないだろうか。 6. 結び 日本でもグラスルーツを重要視しており、 今回のセミナーに参加して、その考え方が 間違いではなかったことを実感できた。と かくサッカーの発展だけに発想がいきがち であるが、 「より良い社会を築いていく」 、 その中でサッカーの果たす役割、あるいは 可能性は、われわれが考えている以上に大 きなものであるかもしれない。その可能性、 そして責任を考える上でも貴重なセミナー であった。日本は島国である以上、常に世 界への窓口を広げておくことの重要性もあ らためて感じた。今回は各大陸から36名 が集まったが、このような機会に人は変わ れど、組織として人を送り込み、われわれ の共有財産を築いていかなくてはならない だろう。 UEFA コーチングプログラム 指導者養成ダイレクターワークショップ UEFA Coaching Programme Coach Education Directors Workshop (2009 年 9 月 21日〜 23日/ギリシャ・アテネ) 1. コースの沿革 UEFAでは Football のさらなる発展を目 指す取り組みを積極的に行い、その一環と してさまざまなカンファレンスを行ってい る。中でも代表監督とテクニカルダイレク ター(以下 TD)によるナショナルコーチカ ンファレンスと、T Dと指導者養成ダイレク ターによるワークショップは、その中心に位 置づけられているものである。 基本的には UEFA 加盟協会を対象とした ものではあるが、毎回 2 〜 3 名のみだが他 の大陸連盟からゲストとして招かれるのが 通例である。幸運なことに前回のロンドン に引き続き招待してもらうことができ、こ れは日本にとっても非常に貴重なことであ ると考えている。 前回のロンドンにおいてはクラブライセン スシステムの流れから UEFAでのコーチン グライセンスの同等判断(各国にて主催さ れているライセンスを同等価値として互いに 認定すること)形成をどのような段階を踏ん で確立していくかがメインのディスカッショ ンとなった。そこに参加させてもらえたこ とで、われわれ日本のコーチライセンスを インターナショナルに認めてもらう礎を築く ことができ、非常に貴重であったと思って いる。その後、AFC とも協議を重ね、現在 JFAの公認 S級は AFC プロライセンス、そ して UEFA プロライセンスとも同等とする判 断を確保している。 【報告者】小野 剛(JFA 技術委員長 育成担当) ※ちなみにS 級への飛び級は認められない ことになったのはインターナショナルな ものにする過程での対応である。 指導者養成関連では、2 年に 1 回開催さ れるこのワークショップと、それと連動する 形で毎年開催される UEFA シンポジウム (指 導者養成コース)がある。ワークショップが UEFA の指導者養成システム自体の大きな 方向性を形成していくことに軸が置かれて いるものとすると、こちらは、指導者養成 の質的向上のための情報交換をメーンにし たより実践的なものと色分けされている。 リスボンで開催された昨年のシンポジウム では、JFA の指導者養成ポリシーに関する プレゼンテーションも行ったが、これはわれ われが考えている以上にヨーロッパの国々で は近年急速にサッカーが発展してきた国と して位置づけられていることの現れである (「この10年で最も成功した国の一つ」と位 置づけられていた) 。そのような機会を持た せてもらえたこと自体ありがたいことであ るが、われわれのような国からも何かを学 び取ろうとするUEFAの姿勢というのは、逆 にわれわれも学ぶ必要があると感じた。 またそのシンポジウムで立ち上げられた ものの 1つにSGS(スタディグループスキー ム)がある。これはサッカーのさらなる発展 のため、他国への研修をUEFAが後押しす るものである。例えばある国の育成コーチ たちがイングランドで学ぶツアーを企画した 際、ビジター、ホスト両国へUEFAがその連 31 海 外 セ ミ ナ ー レ ポ ー ト 絡および資金的な援助を行い、研修後のレ ポートはUEFAファミリーの共有財産にして いくというものである。その時点では、正 直どこまで実現性があるのだろうと思って いたのだが、今回のワークショップでは早速 今年はさまざまなフィードバックがケースス タディの形でなされており、そのスピード 感にも感嘆させられた。 今回もいくつかの取り組みの紹介、UEFA チャンピオンズリーグ(UCL) から見た世界 のサッカー最前線、FIFAとともに力を入れ ている TD の役割に関するプレゼンテーショ ン、Future Football…、そしてグループ ディスカッションと盛りだくさんのコンテン ツであり、ギリシャFA 会長、オットー・レー ハーゲル代表監督のスピーチをはじめ、ギ リシャFAのすばらしいホスピタリティーの もと、充実した内容のワークショップが展 開された。 将来のサッカーの発展を目指した指導者養 成とを連結していく試みをイングランドから 報告された。 例えば、劇的逆転を演じた特定の試合で のハーフタイムはどのようなものであった か、ある選手が突然ブレイクした舞台裏には 何があったのか、まさにその監督にしか語 れない、特定の試合の準備、局面の打開、 選手のマネジメント等インタビュー形式でビ デオクリップとして指導者養成への教材とし て活用。Eラーニングを用いて有料にてアク セスすることで、将来を目指す指導者、厳 しい世界を生きるプロ監督、双方にとって 有益なものとして来年から運用の方向でス タートする予定という、非常に興味深い試 みである。 (4)テクニカルダイレクター(TD)の役割 FIFA では近年の重要施策として各国協会 へのTD 設置を強く推進している(先日北京 で FIFA/AFC 合同のセミナーがあったが、 2. ピックアッププレゼンテーション そのときもゼネラルセクレタリー:日本で (1)世界のサッカー最前線 言えば専務理事とTDが集められ、 その役割、 さまざまなプレゼンテーションやディス 責任等のレクチャー、そこが確立されてい カッションの前に、いつものようにまずは ない FAへの強い指導があった) 。その流れ ここからスタート。 から FIFAテクニカルより Juerg Nepfer 氏 UCLから見た世界のサッカーの最前線を、 が呼ばれ、TDに関する FIFA ポリシーのプ 技術、戦術的動向がどのようになっている レゼン、それに引き続き、UEFA TDのアン か、その中でのコーチ(監督) の仕事の重要 ディ・ロクスブルク氏、そしてフランス協会 性など、豊富なビデオ等を交えて UEFA TDのジェラール・ウーリエ氏などにより、 TD のアンディ・ロクスブルク氏がプレゼン TDの仕事、その実際に関してのトーク、参 テーション。いつもながら時を忘れ没頭させ 加TDによる会場ディスカッションが行われた。 られた。 (2)"Competence-based learning" (能力別学習)の試み(オランダ) 3. グループディスカッション カッション。指導者養成ダイレクターとして 抱えている諸問題やその解決の試み、フッ トボールの将来における指導者養成の果た す役割などを互いに意見交換した。 いくつか挙げるとメーンルートに加え付 加的なライセンス(GK、フィジカル、ユー ス等) をどう体系化していくか、各国協会独 自のものと UEFAで共有した方がよいもの などの意見交換、さらに日本からはグラス ルーツ指導者や保護者をどう取り込んでい くか、またプロライセンス希望者が殺到し た場合の対処など質問、さまざまな助言を 聞かせてもらった。 グループディスカッションは翌日全体会で フィードバック。Foot ball Future、フットボー ルの将来という大きなくくりの中で、再び全 体のディスカッションとして提示された。 とかく、その国のサッカーが「うまくいっ ているときは忘れ去られ、うまくいかなくな ると指導者養成のせいにされる」 。そんな存 在ではあるがサッカーを支える最も重要な ものとの使命感を持って頑張ろうと、とこ ろ変われど似たような状況が妙な仲間意識 を生み出し、それがまた楽しい。 4. 結び 今回のシンポジウム参加で、その内容も さることながら、先端を走っている国がさ らに高いレベルを追求し、そこに追いつこ うとさまざまな国が凄まじい努力をしてい る姿に接することで、大きな刺激を受ける ことができた。その中で日本も満足するこ となく、さらなる努力を続けていかなけれ ばならないことを痛感した。 4つの言語グループに分かれてのディス 学校教育でも能力別指導がとり入れられ ている国ならではの指導者養成に関する新 しい試みの紹介。特に指導者養成コースで の研修を実際の指導現場に移していくこと の重要性、その際に能力別学習の考え方が 生きてくることを熱心に話していた。指導 者のプロファイリングをどのように行い、そ れぞれに応じた課題をどのようにプログラ ムに反映させていくか等、さまざまな困難 はあるが積極的に推し進めている過程には、 他国からも多くの質問、反響があった。 (3) プロコーチ協会設立と指導者養成の コ ラボレイト(イングランド) "Short Time Job"、短期的な仕事になり つつあるプロ監督の生活基盤安定を目指し た互助的協会を設立し、その財政面確保と 32 UEFA Dinner には、ジーコ氏(写真右) もゲストで参加。さまざまな会話が繰り広げられ、参加者同士の親交を深めた。 写真左はフランスサッカー協会テクニカルダイレクターのジェラール・ウーリエ氏、 中央は UEFA テクニカルダイレクターのアンディ・ロクスブルク氏 J FA 公 認 指 導 者 海 外 研 修 会レポ ート 8月21日〜30日/イングランド・リヴァプール、 マンチェスター、ロンドン 【報告者】大野聖吾 (岐阜県立大垣工業高校) 概要 アカデミー 期間:2009年 8 月21日〜 30日 (8泊10日) 場所:イングランド(リヴァプール、マンチェ スター、ロンドン) インストラクター: 小野剛 JFA 技術委員長 (育成担当) 参加者:17 名 スケジュール:下表参照 8月21日 8:15 集合、マンチェスターへ移動 8:15 オリエンテーション [アカデミー] マンチェスター U. 11:00 U-18 vs. サザンプ トンU-18 8月22日 [プレミアリーグ] マンチェスター C. 15:00 vs. ウルブス 20:30 振り返りミーティング ナショナルフットボールミュージアム 視察 8月23日 [プレミアリーグ] バーンリー vs. 15:00 エヴァートン 20:30 振り返りミーティング 11:00 10:00 [アカデミー] リヴァプール視察 リヴァプール vs. 8月24日 20:00 [プレミアリーグ] アストン・ヴィラ [アカデミー] マンチェスター・ 10:00 ユナイテッド視察 8月25日 [アカデミー] マンチェスター・ 13:30 ユナイテッド視察 21:00 振り返りミーティング 8月26日 8:00 移動 (リヴァプール⇒ロンドン) ウェンブリースタジアム視察、 FA訪問 15:00 ウエストハム視察 8月27日 9:30 [アカデミー] 8月28日 報告者の大野聖吾氏。ウェンブリース タジアム・ホームロッカールームにて) 9:30 [アカデミー] ウエストハム視察 [アカデミー] ウエストハムU-14 14:00 練習試合視察 8:30 総振り返りミーティング [プレミアリーグ] チェルシー vs. バーンリー 19:35 ロンドン発 プレミアのアカデミー研修は、下記 3つのク ラブを視察することができた。その中で各クラブ の特徴的であったことをいくつか挙げてみたい。 (1)リヴァプール 担当者:ジョン・オーウェン氏/アカデミーマ ネージャー 内容:① 講義、②トレーニング視察、③施 設案内、④質疑応答 U-18 のトレーニング( 前日試合のためコ ンディショニング )を見学した後に、天然芝・ 人工芝と室内練習場やロッカールームなどア カデミーの施設全体を視察した。 非常に充 実した施設に一同驚きを隠せなかった。 講義では、アカデミーマネージャーのジョン・ オーウェン氏に、アカデミーの概要や歴史、 活動意義など具体的な例を挙げながら丁寧に 説明していただいた。途中、サプライズゲスト で同クラブの名選手であり監督も務められたケ ニー・ダルグリッシュ氏に参加していただき、 活発な質疑応答が行われた。その中のやりと りで「選手を育てるのは指導者ではなく、両親 である」と回答があったが、「保護者の良い 教育なしに良い選手を育てることはできない」 と明確に言い切っていたことは新鮮であった。 (2)マンチェスター・ユナイテッド 担当者:トニー・ウィーラン氏/ アシスタント ダイレクター 内容: 〔AM〕①講義、質疑応答、②アカデミー 施設案内、③トレーニング視察 、 〔PM〕①事務所、 トップ施設案内、②ト レーニング視察 まず 8 月 22 日に U-18 のプレミアのアカ デミーリーグ(公式戦、U-18以外は公式戦 はない ) を観戦した(1- 3でサザンプトンが逆 転勝ち) 。18歳には見えないすばらしい体格 の選手が多く驚かされた。それ以上に驚かさ れたのはピッチのすばらしさであり、この施設 を日本と比較するのは到底無理だと思わざるを 得ないと感じた。 試合ではファーストタッチの 意識の高さや球際のハードさは Jリーグでもな かなかお目にかかれないプレーが多かった。特 にドリブルのスペースへの運び方の意識の高 さには驚かされた。 戦術面では単純なゴール キックでもターゲットを明確にしている点など、 あらためて勉強させられることがあった。また、 非常に印象的であったのはレフェリーである。 3 人の年齢構成もバラバラ (外見上)であっ たが、主審がよく選手とコミュニケーションをと り、あるときは選手を褒めることすらあった。 講義・質疑応答の中では、各カテゴリーの 指導者のステータスは同等であることや「チャイ ルドフット」 というものを理解することの大切さと、 その年代をコーチするスペシャリストでなければい けないこと。「人間を育てる」ことを強く説いて いたことが印象的であった。また、トップクラブ を維持することの難しさを「アポロ計画」に例え て、どれだけの人の労力と時間をかけてつくり 8月29日 12:45 8月30日 成田着、 解散 目的 ・プレミアリーグを視察し、世界のトップレベルの 基準、現状を見る ・プレミアクラブのアカデミーを視察し、育成の 環境と方法を学ぶ ・トップで求められる選手をいかに育成しているか という仕組みを勉強する ・これら活動を通して、お金では買えない伝統 と文化を肌で感じる ウエストハムのアカデミーにて。育成ダイレクターのトニー・カー氏(後列左から3 人目) と、 同アシスタントダイレクターのポール・ヘッファー氏(同 4人目) と 33 J F A 公 認 指 導 者 海 外 研 修 会 レ ポ ー ト 町クラブ(U-15)との練習試合であった。プ レッシャーの早さ・プレーの激しさ、とてつもな いタックル (日本では間違いなくイエローカー ド)を受けても、何事もなかったように次のプ レーに関わっていくその姿は鳥肌が立った。ま さしくフットボールの原点が見えた。 マンチェスターユナイテッドのアシスタントダイレクター、 トニー・ウィーラン氏の講義 上げて今があるか、という話は、深く感銘を受 けた。 (3)ウエストハム 担当者:トニー・カー氏/ダイレクター ポール・ヘッファー氏/アシスタント ダイレクター 内容: 〔1日目〕①講義、質疑応答、②トレー ニング視察、③質疑応答 〔2日目〕①トレーニング視察、②講義、、 ③試合視察 今回のアカデミー視察の中で一番の目玉は ウエストハムであった。それは、現在のイング ランド代表の約半分近くが同クラブのアカデ ミー出身であるという事実があるからである。 ウエストハムには 60年のノウハウがある。 現にダイレクターのトニー・カー氏は35 年、 アシスタントダイレクターのポール・ヘッファー 氏は30年近く携わってきている。 前出の 2 つのクラブとの大きな違いとして 思ったことに、プレアカデミー( 5 〜 8 歳)の 発掘に力を入れている点である。「ゼロポンド の選手」を見つけて育てるということに自信を 持っているように思われる。 トレーニングは U-15/16 と U-18 を見学し た。メニューはいたってシンプルであるが、キッ クの質・正確性や判断のスピード、プレーの 激しさはなるほどと感じさせられた。しかし、参 加者の誰もが度肝を抜かれたのは、U-14 の 3つのアカデミーを視察して気づいたのは、そ こには非常に多くの共通点があったことである。 まず、どのクラブの指導者も紳士的かつフレ ンドリーであること。指導者自身が各クラブ・ア カデミーに誇りとぶれない指導者の自信が感じら れた。われわれ参加者には、彼らは「人格者」 であり「育成のプロ」であることが、短い時間 ではあったが、十分に理解できた。 年代ごとの取り組み。U-9 〜 U-11 は楽し むということと技術の習得。U-12 〜 U-14 で は 技 術 に 加えて戦 術 に 取り組 みはじめ、 U-15 〜 U-16 では戦術に加え体幹やバラン ス能力の向 上に取り組みながらよりスピー ディーでタフな選手を育てようとしている。ただ し、トレーニングそのものは目新しいものはでは なく、 非常にシンプルなメニューばかりであった。 ピッチのサイズやプレー人数に変化をつけてい る点に注目すべきと思う。 次に、選手に求める資質があった。テクニッ クやフィジカルも大事だが、何よりも大事なこ とは「Determination =決意」 と 「Dedication =献身」だという話が、3 アカデミーすべてで 聞くことができた。これらのアカデミーが輩出し た現在のスター選手は、在籍当時からこの部 分で他の選手より秀でていたという。 また育成のコンセプトとして「チームをつく る」のではなく、「選手を育てる」という発想 であるということ。アカデミーの目的はあくまで 「個の育成」であり、そのためにサッカーを楽 しむということと勝利主義的な精神を排除する ことが徹底されていた。 そして最後に、フットボーラーとしてだけでな く、一人の人間として教育するということ。ア プレミアリーグ観戦。満員のリヴァプールスタジアム 34 カデミーは「トップチームでプレーする選手の 育成」を究極の目標として日々運営されてい るが、残念ながらそれはごくわずかな選手しか かなえられない現実であり、誰もがフットボー ラーとしての道を歩み続けるわけではないとい う冷静な見解を持っている。そのため、アカ デミーを、そしてフットボールを離れても社会に 適応できる教育を常日ごろから取り組んでいる という。それは一種のリスクマネジメントであり、 またそうした人間形成こそが一流の選手を生 み出す要素のひとつでもあるという。 プレミアリーグ マンチェスター・シティ 1- 0 ウルブス バーンリー 1- 0 エヴァートン リヴァプール 1-3 アストン・ヴィラ チェルシー 3-0 バーンリー 本研修会ではリーグ戦の日程にも恵まれ、上 記の 4 試合を視察することができた。どの試合 でも試合前からスタジアム周辺にユニフォームを 着たサポーターが多く、老若男女問わず町を挙 げてクラブを応援する雰囲気が感じられた。ス タジアムの大小や新古の差はあるが、仕様は 当然サッカー専用で、スタンドとピッチが近く、 ベンチすらスタンドに内蔵されたスタジアムが多 かった。応援は基本的に声と拍手のみ。一角 に追いやられた相手サポーターのわずかな応援 をかき消すホームの大声援と、局面ごとにバラ エティーに富んだ応援を聞き、われわれも自然 と応援したい気持ちにさせられた。得点やチャ ンスメークのような分かりやすいプレー以外にも、 フェアなコンタクトからのボール奪取や献身的な ディフェンスなどにも拍手喝采が起こり、つくづ くサッカーが根づいていることを思い知らされた。 マンチェスター・シティの上品な応援、バー ンリーの熱狂的な応援、リヴァプールの伝統を 感じさせる応援、チェルシーの都会的な応援な ど、それぞれ雰囲気は異なるものの、共通して 言えることはホームの圧倒的な声援と拍手の多 さ。そして、純粋にサッカーを楽しむという姿勢。 おそらく負け続けたとしても、監督を変えろとい う声は挙がるかもしれないが、「社長出せ!」と 居座るようなことはないだろう。サポーターは選 手を盛り上げ、選手はサポーターの期待に応 えていいプレーを見せる、それがさらにサポー ターの声援を誘う…といったスタジアムが一体 となった相乗効果を見ることができた。言い換 えれば、まさしくフットボールというゲームを皆で 共有しているということなのかもしれない。 また、想像以上にブーイングが少ないこと に驚いた。そしてそれ以上に驚いたのは、負 けているときのバックパスなどの消極的なプ レーには味方サポーターから容赦なくブーイン グが飛んでいたことだ。また非常に印象的だっ たのは、今年プレミアリーグに昇格したバーン リーが見せた攻撃的な姿勢である。アウェイ でのチェルシー戦においても守備的な戦いは せず、ディフェンスラインを高く保って攻撃的 な姿勢を見せてくれたおかげで非常にエキサイ ティングな試合になった。 ミーティング 小野剛 JFA 技術委員長(育成担当)に よるオリエンテーションと、一日を振り返っての ミーティング、そして研修会を振り返ってのミー ティングが行われた。 初日のオリエンテーションでは、小野委員 長から「お金では買えない伝統や歴史」を体 感するという本研修会の目的が説明された。 昨今、海外の指導者が来日して講演をしたり、 最新の戦術や分析をまとめた書物も簡単に手 に入る。 海外のリーグ戦も毎週テレビで見る ことができ、トップレベルのクラブが来日して J リーグクラブと対戦する機会も増えてきた。し かし、120 年前からリーグを持つ国の伝統や 歴史はお金を出して買うことはできない。現地 に足を運んで、生で見て聞くことで感じること ができるという考えのもと、この研修会が実施 されることになった経緯が説明された。 夕食後には全員で集まって一日の振り返りを 行った。参加者が感じたことを共有したり、イ ングランド事情を小野委員長から解説いただく などの時間となった。 最終日は、外出して試 合視察後そのまま帰国の途につくため出発前 に集まり、あらためて研修会の目的を再確認、 期間中に繰り返し出てきたキーワードや特徴的 なフレーズを引用して研修会全体を振り返っ た。また、試合視察前だったため、サポーター 文化に関する解説が小野委員長からあった。 研修会を終えて プレミアクラブアカデミーの視察、プレミア リーグの視察、フットボールミュージアムとウェ ンブリースタジアムの視察と盛りだくさんで、内 容も非常に濃く、充実したプログラムだった研 修会を終えて、早や 1 カ月以上がたっている。 今 で も 鮮 明 に 憶 え て い る の は、 「Determination =決意」と「Dedication =献身」という言葉である。この研修に参加 した受講生のすべての胸に深く刻み込まれた 言葉ではないだろうか。 選手に求められる資 質の中で、最も大切なことであること以上に、 指導者自身が身につけなければいけないこと であると皆が強く感じたことである。自分たち ができることは些細なことであるが、今「この とき」という気持ちで、「Determination = 決意」と「Dedication =献身」の意識を忘 れずに指導することが、「お金では買えない伝 統」(小野委員長の言葉)の一つ一つを積 み上げていくことになると確信し、われわれ一 人一人が努力していきたいと思う。 最後になりますが、このようなすばらしい研 修を提供してくださった日本サッカー協会、中 でもわれわれの講師(リヴァプールでは少しの 時間ではあったが観光案内・にわかサポーター の心得も)として引率していただいた小野委 員長、通訳をはじめさまざまなアクシデントに 親身に対応していただいた倉田氏、研修をよ り充実したものにするために事前にあらゆるこ とで交渉していただいた渋谷氏には、あらため てお礼を申し上げます。 追記:小野委員長にバスの中で伝授されたリ ヴァプールの応援歌「 You'll Never Walk Alone 」を自分自身に、またすべての指導者・ サッカー関係者に! ! 活動の振り返りのミーティング ◆アセスメントから〜参加者の感想など ◆ ・10日間というわずかな時間だが、イングラン ドのサッカーに触れることができたと思う。 ・その国の風土や国民性がサッカーに与える 影響の大きさを知ることができた。 ・イングランドに精通している小野委員長のガ イドもあり、普通に視察しただけでは知るこ とのできないイングランドのフットボール文化 を知ることができた。 ・フットボールが社会の中で認められ地位を築 いていると感じた。 ・選手も指導者も、いかに腹をくくってサッカー に取り組むことができるか、これがイングラン ドの強みだと思った。 ・アカデミー指導者の器の大きさに触れて、イ ングランドの強さを感じた。 ・アカデミーの指導者が全員立派な人格者であ り、 自らがそうでなければと再認識させられた。 ・アカデミースタッフが長年にわたって携わるクラ ブの強くぶれない理念「不易不変」を感じた。 ・どのアカデミーでも、重要とされる要素がほぼ 同じであったことが興味深い。 ・トップ選手に共通して「メンタルの強さ」と いう要素があるということ。 ・トップチームも U-14 も「戦う」という共通し た戦い方、姿勢が見られた。 ・トレーニングが非常にシンプルであったことは 参考になった。今の日本は多くのことを含み 過ぎている感もある。 ・指導者の、いかに選手を育てるかという明 確な長期ビジョンが必要と感じた。 ・流行も大事だが、今回感じた「原点」を 見直すことも大事だと感じた。 ・クラブハウスの規模は違うが、配置や整頓、 選手を動機づけるさまざまな工夫はまねでき ると思った。 ・スタジアムの一体感と、それに応じる選手の 頑張りに感動を覚えた。 ・今後このような意義深い研修会はないと思 えるくらいだった。 ・一生の財産になる研修会だった。 ・ディスカッション形式で質疑応答があり、熱 のこもったいい講義だった。 ・例えばトニー・カー氏のトレーニングを連続し て見るなどあっても良かった。 ・より年齢の低い層のトレーニングも見たかっ た。 ・選手の成長に、親の教育、協力が不可欠 という話の中で、指導者と親の接し方を知り たい。 ・育成年代の選手、トップの選手にそれぞれ 直接質問できる機会があってもいいと思う (どんな気持ちで取り組んでいるのかなど)。 ・日本でいうところの町クラブのようなクラブの 運営方法等を見てもいいと思う。3 部くらい のチームの様子も分かれば、日本の地方に 生かせるアイデアがあるかも。 ・ビッグクラブだけでなく、プレミア下位クラブ や 1 部のクラブの育成の現状も見てみたい。 ・育成年代のクラブと学校とのかかわり方を もっと詳しく知りたい。 35 指 導 者 研 修 会 レ ポ ー ト クロード・デュソー氏 指導者研修会 奄美大島で開催 JFA テクニカルアドバイザーのクロード・デュ ソー氏が、鹿児島県の奄美大島で実施された指 導者研修会の講師を務めました。 研修会に参加した関係者、受講者の感想をお送 りします。 <日程> 9月 19日 指導者講習(講義) 指導者講習(実技) U-16 選手トレーニング (実技) 90分 120分 120分 9月 20日 U-12 選手トレーニング (実技) 指導者講習(実技・実践) U-14 選手トレーニング (実技) 90分 90分 120分 保 裕寿(奄美大島サッカー協会技術委員長) はじめに、奄美大島でこのようなすばらしい 研修会を開くにあたり、ご尽力いただいたすべ ての方々にお礼申し上げます。 今回のデュソー氏の研修会では、選手はも ちろん、指導者にも新鮮な感動を与える研修 会になるよう望んだ。対象は指導者。U-12、 U-14、U-16 のカテゴリーで、それぞれ 90 〜 120 分の時間帯で行われ、それぞれのレ ベルに応じたトレーニングになった。 講義の冒頭で、「この講義が絶対というわ けではないし、古い考え方もあるかもしれない。 しかし、やらなければならないことは昔から変わ らない」とのことで、これは基本の部分だと思 い、育成年代での基本の徹底という部分が いかに大切かを伝えたいのだなと思った。 また、 サッカーは常に変化しているという話から、育 成に携わる指導者が柔軟な考えを持って選手 の個性を見つけ、伸ばすことが必要なのだと いうことも分かりやすく熱意を持って伝えていた だいた。 トレーニング内容はボールコントロール(次 のプレーまでを短くする) 、パスの質(特に強 さ) 、常に動きながらのプレー(サッカー時の 体力) 、スピードの変化(トップスピード)につ いて何度もコーチングされていて、より良い判 断のスピードも求められていた。実際にトレー ニングを受けている中で、手を膝にあてて休む シーンが多く見られ、普段のトレーニングの質 と量の違いを感じることができた。 選手・指導者への実技、講義ともにワール ドスタンダードでの対応にサッカーに対する熱 い思いを感じた。この思いをどのように受け止 めて今後の育成の現場にどう伝えていくか、こ のサッカークリニックを受講した指導者の活躍 に期待したいと思う。 【U-16】下窪 和幸(鹿児島県立大島工業高校サッカー部顧問) これまでも選手・指導者の講習会に参加し、 その数は決して少なくはないと思うが、これほ ど刺激を受けた講習は初めてだった。 中には私自身が普段のトレーニングで実践 していることと共通する面もあり、その点では 自信を持つことができた。しかし、日ごろ参考 にしている指導書からは伝わらない、 生のトレー ニングを実際に体験することができ、良い意 味でショックを受けた。 特に、1日目午前の講習会で話題になった 「レシーバーが手で合図を出すか」という点は、 私自身は(パサーが技術的に出したい場所へ 出せない現状を改善させるためにも)手を使 わせていたため、今後は世界スタンダードに合 わせて指導しようと思った。また、トレーニング 全体で感じたことは、「非常にハードである」 ということである。私自身、これまでもトレーニ ングでボールを扱いながら運動量を確保するこ とは意識していたが、まだまだ甘いということ 36 が実際に体験して理解することができた。 われわれ高校の教員としては、いつも優秀 な選手に出会えるとは限らないし、16 歳以降 のテクニック・持久力はなかなか伸びないとい う厳しい現実もある。しかしながら、赴任地で 多くの個性豊かな選手と出会えるという利点も あり、その出会いを大切にしていかなければな らない。そしてすべての選手 に対して、今回学んだ世界 のスタンダードを伝えていくこ とがわれわれの役割であり、 今後の日本サッカーの向上に つながると信じている。 2日間で学んだことは早速 現場のトレーニングで活用させ ていただいており、選手たち も何か変わったような気がす る。選手たちと一緒にプレー しながら、もう一度私自身を鍛 え直さなければと思う日々である。そういった面 ではデュソー氏の情熱・若さにも大変刺激を受 けた。 最後にデュソー氏、日本サッカー協会をは じめ、鹿児島県・奄美市サッカー協会、また この研修会を実現させてくださったすべての皆 さまに感謝申し上げたい。 【U-14】下田 浩治(沖永良部サッカー協会) 「目からウロコ」状態だった。 どういったプレーなのか」をしっかり考え、「必 のであった。 ネットや雑誌、テクニカルニュース、また指 要なトレーニングは何なのか」。また、実技講 奄美大島地区の各世代の指導者が、一 導者講習会などとはトレーニングメニューは同 習では、常に近くで、観察し、オーガナイズ 堂に会し、話をする機会を持てただけでもすば じでもひと味違う指導方法であり、これが目指 すべき方向だと感じた。 私は現在 U- 6から U-15 の世代にかかわっているので、講義も 指導者ライセンス講習会を思い出すとともに、 さらに身の引き締まる思いで耳を傾けた。 ・ハンドパスはテレフォンパス。悪しき習慣。 ・コーチングはレフェリーと同様に近い位置で。 ・16歳までにサッカーのスタミナを。 ・現代サッカーで多く出現する事象にフォーカ スしたトレーニングを。 なんとなく習慣的に行っていたトレーニング だが、だから日本が世界で通用しない。「現 代のサッカー、ヨーロッパのサッカーの主流は 変更を即座に行い、選手を盛り上げ、意欲 を引き出す。集中が切れてきたと見るや気分 転換のトレーニング、そして一番は実際のゲー ムでどれだけ出現するのか? 練習メニューは 役に立つのか? メニューを発展させ、また観 察し、アドバイスは短く、とにかくボールに触 れさせる時間を長く。そして、スタミナ練習は、 素走りではなくボールを使って、などなど、非 常に理にかなっており、反省させられることば かりであった。トレーニングは休むことなく行わ れ、休憩時間も余ることなく、まさに、サッカー によってスタミナは養われ、 「フットボールはフッ トボールをすることによって上達する」そのも らしいことだが、デュソー氏のトレーニングも体 感することができ、本当に充実した研修会だっ た。この機会を設けていただいた奄美サッカー 協会の方々、受け入れや準備などに携わった スタッフ、何より日本サッカー協会とデュソー 氏に感謝の気持ちでいっぱいです。本当にあ りがとうございました。 この経験を多くの子どもたちや参加できな かった指導者に伝え、還元し、よりクリエイティ ブな選手の育成に役立てたいと考える。 「学ぶことをやめたら、指導することをやめな ければならない」。この言葉を胸に、さらに勉 強を続けたいと思う。 【U-12】武野 弘嗣(U-12 指導者) はじめに、私はここ奄美大島で、普段は仕 事の傍ら、主に U-12 年代の子どもたちの指 導に携わっているボランティア指導者である。 今回のスクールも、その関係で受講させてい ただいた。 まず、講義では約 90分間、スクリーンを使っ た丁寧な内容で、デュソー氏のフットボールに 対する考え方を示していただいた。「フットボー ルはテクニックなしでは成り立たない」「指導 者も子どもたちと同じピッチに立って指導する」 など、もちろん子どもたちを指導していく中では ごく普通なことであるが、自分の中でどこかお ろそかになっていた部分を、あらためて再確認 することができた。 特に「テクニック」の部分については、 ボー ルを止める・蹴る・運ぶといったフットボール に必要な基本的な技術に対し、私自身が普 段の指導を振り返った場合、「テクニック=ド リブル」という概念が強すぎた部分が大きく、 パスやシュートといった「ボールを正確に蹴る」 という動きを子どもたちにもっと指導していく必 要があると感じた。 また、「日本の指導者の中には、テクニック とタクティクスのバランスがとれていない人もい る」ということで、それはまさに自分のような指 導者のことを指しているのだと感じた。確かに 自分は「戦術」といった面では全くといってい いほど、子どもたちに指導したことがなかった。 その理由としては、私から指示を出してしまい過 ぎると「子どもたちのプレーから自由を奪ってし まわないか」 「子どもたちが自分で考えてプレー することを怠るようになってしまわないか」と不 安があったからである。しかし、 「戦術を教える」 ということは「子どもたちに知識を与えるという こと」という風に解釈をすると納得ができた。 私は、指導の中で子どもたちに「もっと考 えてプレーをしてごらん」など、「考える」とい うフレーズをよく使ってきた。しかし、子どもた ちは何を考えたらよいのかが分からず、戸惑っ ているようにも感じられるときがあった。これは 私が「知識」を与えていないのが原因なのだ と、今さらながら感じた。 他にも、パスを受けるときハンドサインや声を 出し合うと相手にも気づかれてしまうので、しっか りとパスを受ける動きでパスを引き出せるように 指導するなど、今まで当たり前のように指導して きたことをあらためさせられるような場面もあった。 室内での講義が終了すると、次はグラウン ドに立って、指導者へトレーニングを行った。 そこでは室内での講義以上に、普段の自分の トレーニングをあらためさせられるような場面ば かりであった。 まずはグリッド内での「3 対 3 対 1フリーマン」 を行った。そこでは、ディフェンスの際にはトラ イアングルをつくることなど、基本的な戦術を学 んだ。また、同時に限られた人数でトレーニング を行うことで、フィジカルトレーニングにもなること を学んだ。普段どうしても「フィジカル」という フレーズを耳にすると敬遠しがちだったが、こう してトレーニングの中で人数を限定し、トレーニ ングをスムーズに行うことによって、普段のトレー ニングの中にもフィジカル的な要素を組み込むこ とができることに気づかせていただいた。デュ ソー氏の「1人の子どもの待ち時間が 20 秒以 上あるときは、そのトレーニングは考え直した方 がよい」という言葉はとても印象的であった。 次は、自分自身も一度は経験のあった「パ ス&ダッシュ」を行った。このトレーニングの中 では、正確なパスとファーストタッチでのコント ロールの重要性、またファーストタッチが乱れて もツータッチ目を素早くするなど、パスとコント ロールを重点に置いて指導されていた。しかし、 このトレーニングの中で最も印象的だったのは、 ディフェンスの重要性であった。このトレーニン グが少しずつレベルアップしていき、パスを出し た方が受け手側へ素早くプレッシャーをかけに 行く場面になったときであった。「常に100% の力でディフェンスをしなければ、試合で必要 なテクニックは磨かれない」と忠告があった。 講義の中でも「守備が向上すれば、攻撃も 向上する」という内容の話があったが、確か に練習のために練習をするのではなく、試合 で使えるようになるために練習するのだから、 練習から常に 100%の力で練習をしなくては いけないのだとあらためて感じた。その後も シュート練習などを行い、指導者への実技は 終了した。 時間的には約 120 分行ったが、 それを感じさせないほど、あっという間にトレー ニングは終了してしまった。 19日の午後からは U-16 のトレーニング、翌 日は午前中に U-12 のトレーニングと指導者の 実技指導、午後からは U-14 のトレーニングを 行った。U-16、14、12 のトレーニングでも、 指導者のトレーニング同様、一人一人の待ち時 間が少ないトレーニングを主に行い、トレーニン グの中にもフィジカル的な要素もとり入れて行っ ていた。指導者は講義でもあった通り、子ども たちと同じピッチの上に立ち、子どもたちのやる 気を引き出してあげるように指導を行い、また、ト レーニングの中でしっかりと盛り上げることを意識 して声をかけるようにとアドバイスを受けた。 2日間のトレーニング自体は、テクニカルな 要素を基本として、フィジカル的な要素も組み 込まれていて、子どもたちは体力的にはとても つらそうだったが、トレーニング終了後の充実 した表情や笑顔がとても印象的で、私自身、 子どもたちのこの表情を引き出せるような指導 ができるようになりたいと深く感じた。 最後になるが、今回の研修会の実現にご 協力いただいた方々や講義を行っていただい たデュソー氏、デュソー氏の言葉を分かりやす く通訳してくださった樋渡氏、本当にありがとう ございました。この経験をこれからの指導に生 かしていきたいと思います。 37 JFA公認指導者研修会報告 JFA公認指導者研修会報告 「仙台カップ国際ユースサッカー大会」 【報告者】鎌田安久 (JFA インストラクター) 1. はじめに 今回の指導者研修会は、世界のサッカー のトレンドを確認し、日本サッカーの現在地 を把握するために、強豪国であるブラジル やフランス、アジアのトップクラスである 韓国といった国々の U-17/18 代表チーム が出場する仙台カップ国際ユースサッカー 大会を活用し、指導者研修会を開催した。 今回の研修会は、受講生参加型の研修会 とし、受講生相互のディスカッションを中心 に各自の意見を出し合う中で、一つの結論 をグループで導き出すやり方を研修の柱と して実施した。 2. 研修内容 (1)研修初日 ①フランスにおけるユース育成の現状と課 題、U-18 チームコンセプト 研修初日は、各国の練習会場に隣接する 研修施設の一室において、U-18フランス代 表のシュメレキ監督の講義を受けることが できた。また、質問事項についても、事前 に問題意識を高めるために、グループで話 し合っておくこととした。シュメレキ監督 は、フランス国内に680カ所あるフットボー ルセンターでの育成の取り組みについて、 中でも生活圏内での育成やゲーム結果より もトレーニングを大切にすることの重要性 を強調されていた。課題として、タレント のある選手の中に若くしてお金を手に入れ ることで苦労をしたくなくなる例が出ている 問題等にも触れていただいた。 また、今回参加しているチームについては、 選手自身に対戦相手の VTR分析をさせる 等の手法を用いて、自チームのコンセプト を指導しているということであった。講義途 中や終了後には、受講者から多くの質問が あり、その中で、 「生活習慣における躾(し つけ) 」についての質問に対し、 「本人にとっ て目標が明確になっていることが重要であ る。目標が明確でありさえすれば、おのず と行動は決まってくるはず」とアドバイスを いただいたことはとても印象的であった。 ② U-17 韓国代 表のトレーニング視察 U-17 韓国代表は、フランス戦を翌日に控 えているということもあって、全般的に負 荷は軽めの調整練習であったが、その中で 38 シャドートレーニングによる守備のコンセプ トの確認やゴール前のフィニッシュの改善 のトレーニングを視察できた。また、視察 しながら同時に韓国のユース育成事情につ いてもピッチサイドでJFAインストラクター との質疑応答が展開された。 ③ゲーム分析の講義&グループワーク 現在の世界のサッカーのトレンドと日本 ユース年代の特徴や課題から今後の育成の 方向性を確認するために、 どんな観点でゲー ム分析をしたら良いか、ディスカッションを 中心に確認していった。また、後半は各グ ループが分析する担当チームを決め、新た なゲーム分析方法の創出にも挑戦しても らった。 (2)研修 2日目 ① FIFA コンフェデレーションズカップ 2009 南アフリカ TSGレポ ート 世界のサッカーのトレンドを把握するため、 今年 6月に 開 催されたこの大会をJ FAの TSGが現地に行って分析し、まとめたばか りの報告書について映像を交えて解説し、 質疑応答を行った。 この中では、①質の高い個が、チームの ために攻守にわたってハードワークすると いう現代サッカーのトレンドは、揺るぎない ものとして定着していること、②ファストブ レイクをめぐる攻防の重要性と、その優先 順位を失った後の組織的により洗練された 守備に対する攻撃のキーファクターについ ての分析、について重点的に解説した。 ② JFA における指導者養成 指導者養成の概要と取り組み(①公認 A 級・B 級トライアルの実施、②講習会コー スの拡充、③公認A 級 U-12、④モデル地 区トレセン、⑤リフレッシュ研修会の充実、 ⑥フェアプレーコンテスト等についての開 設) 、や地域の現状に関するディスカッショ ンを行った。 ③日本サッカーの課題と方向性(国内夏季 大会TSGレポート) 国内の U-15 や U-18 の全国大会の分析か ら、攻撃においてポゼッションしようとする チームが増えてはきているものの、安定性を 欠き、意図的にまだまだ未熟な点などが指 摘され、世界と戦う上ではこの年代までに テクニックを身につけておかなければならな いことについて、参加者とのディスカッショ ンを交えながら解説していった。 ④ゲーム分析のグループワーク グループごとに担当したチームのゲーム 分析の結果をもとに資料を作成し、発表の シナリオを検討してもらった。 (3)研修最終日 ①ゲーム分析結果の発表とディスカッション 今回の分析では、 単にゲームの 4 つのモー メントにおける分析だけでなく、新たな発 想で創出した分析方法から、結論を導き出 すことにも挑戦してもらった。その結果、 シュート数やその位置、パスの質(成功失敗、 方向、位置) 、ボールを奪う位置などの観 点で、資料を作成して発表していただき、 活発なディスカッションを通して結論の修正 や論点の整理ができた。 ② U-18 日本代表の分析 攻撃においては、日本が相手守備ブロッ クの外側では、ボールを保持し展開できて いるが、守備ブロックの内側にボールを入 れられず、相手守備を崩す有効な手立てが 見いだせない現象について、前線の動き出 しの不足やそのタイミングの悪さ、ギャップ への出入りの不安定さから有効なくさびが 入らない点を、VTR 映像を交えながら解説 した。また、守備については 1 対 1 の対応 について同様に解説した。 3. まとめ 今回の研修会では、インタラクティブ(相 互作用的 )な環 境がクリエイティビティー (創造力) を引き出すことをモットーに、一 方通行ではなく、できるだけ双方向で参加 型の研修環境をつくり出すことを目標に開 催した。その結果、 受講者から、 日本サッカー の課題や取り組むべきこと、ゲーム分析の 重要性について理解が深まり、内容の濃い 3日間の研修であったとの評価を得た。今 後も研修会の方法を工夫しながらJFAコン セプトのより高いレベルでの理解者を増や していきたいと考えているので、多くの方の 参加申し込みをお待ちしています。 【報告者】福 井 哲 (JFAインストラクター) プレーの原則 第19回 ©AGC/JFAnews UEFA EURO 2008、そして南アフリカで開催された FIFA コン フェデレーションズカップを通じて、サッカーの魅力 (攻撃)が増す ゲームが展開されつつあります。そして、攻守の切り替えの線が薄 くなり、攻撃と守備の連続するサッカーに変化してきています。 われわれ指導者はサッカーの変化を把握し、現場に活用するため、 世界のサッカー情報についつい目を奪われがちになります。しかし、 サッカーは過去・現在・未来と時間とともに変化しますが、サッカー をする上で普遍的なものがあります。それはサッカーの本質を追求 するためのプレーの原則です。どのようにサッカーが変化しようと 基本の技術や動きが必要なようにサッカーの仕組み(プレーの原則) を理解しなければチームプレーとしての 11人のピクチャーが鮮明 にならないのです。 この仕組みを指導者が理解し、ゲームを通じてプレーヤーが理解 することがゲーム形式でのトレーニング(参考:サッカー指導教本 2007 スモールサイドゲーム③④②)において、個人・グループ・チー ム戦術を押さえるトレーニングにつながります。基本を押さえ、戦 術的なトレーニングにも課題を発展させ、目的に応じてトレーニン グの内容を変化させることができるお気に入りのオーガナイズを紹 介します。 5 対 5 + 2ターゲット 〔オーガナイズ 〕 (1)大きさ 〜 25m × 35m ※長方形の攻撃方向を縦長あるいは横長に変化。 (2)用具 マーカー、ボール、ビブス( 2色× 6 枚 ) (3)方法 ①ゾーンゴールゲーム。 ②原則、コーチから配球。 ③ゾーンの中のターゲットにボールがつながると得点。 〔オプション〕 ・グリッド内の人数を 3 人以上に。 ・攻撃方向を「限定しない」から「限定する」へ。 ・ターゲットを入れる、入れない。 ・バックパスあり、なし。 ・タッチ数の制限を加える。 〔キーファクター〕 ●観ておく(いつ・何を) ●ポジショニング ●パス&ムーブ ●ボールに寄る ●スペースをつくる・使う ●パスの質(方向・スピード・タイミング) ●動き出しのタイミング ●ギャップの共有 ●動きながらのコントロール ●攻守の切り替え <攻撃> ●サッカーの本質(ゴールを奪う) ●プレーの原則 ●攻撃の優先順位 <守備> ●サッカーの本質(ゴールを守り、ボールを奪う) ●プレーの原則 ●ファーストDF の決定 ●チャレンジ&カバー ●守備の優先順位 39 © Jリーグフォト ㈱ トレーニングの発展 【報告者】 眞 藤 邦 彦 ( JFA インストラクター) 組み立てからスピードアップ これはボックスへスピードアップしながら進入し、ゴールを奪う ためのトレーニングで、日本の大きな課題の一つです。 目的は、確実にパスをつなぎ、組み立てながら厳しいライン間 (ギャップ )へくさびのパスをうち、リターンパスから一気に俊敏な 動きでパスを引き出し、スピードアップした状況でパスとうまくシ ンクロナイズし、シュートまでシンプルに攻撃することです。 つまり、組み立てから創り出した一瞬のチャンスをものにし、ゴー ルを奪うためのトレーニングなのです。 ゴールを奪う 突破( 3 対1) 〔オーガナイズ〕 (1)大きさ:縦 20m × 横 25m (2)用 具:ボール、ゴール、ビブス、コーン、マーカー (3)方 法:●中央の攻撃者は、マーカーからドリブルでスタート。 ●コーンでかわしたら、それをインフォメーションにし て、2人のFW が反応。縦パスを受けようとする。 ● F Wのどちらかに当て、サポートして落としを受ける。 ● 2 人の FW は突破を図る。 ●中央の攻撃者は、DFの動きを観て、突破のパスを出 す。突破からシュート。 ドリブルから インフォメーション DF の動きを観て どちらかに出して突破 10 15m 〔キーファクター〕 ●ゴールを奪う、そのために突破 ●積極的にシュートを狙う ●積極的に突破を狙う ●効果的な関わり ベースにあるのは、出し手と受け手のインフォメーション、動き 出しのタイミング、パスの質、サポートの質、さらにパスしたら動く、 動きながら観る等の動きの習慣化です。その中で選択肢を持ち、状 況に応じてのプレーを決断・実行できるようにしたいものです。 発展として、DF への働きかけは欠かせません。DF がパスを誘う ようなフェイントをかけて奪うようなアイデアを引き出し、イン ターセプトする場面が出てくれば、攻撃側も対抗して、観るものを 増やし、駆け引きを楽しみ、より効果的な突破を試みるようになっ ていきます。 40 育成年代でも、こうした質の高い楽しみの中でサッカーに必要な プレーを獲得できるようになってほしいと思います。 次の段階として、DF を 2 人にし、実戦に近い状況にしていきます。 その中で、シンプルに突破していくためには、より質の高いプレー が求められます。例えば、MF がくさびのパスをするにしても、意 図のあるプレーをすることで FW と崩していく共通の絵を描くこと につながり、シンプルにスピーディーに突破できるプレーができて くるはずです。 ゴールを奪う 突破( 3 対2) 〔発展〕 ●DFを2人にして行う。DFはFW にボールが入った後、 プレーに 参加。 〔オーガナイズ 〕 (1)大きさ:縦 20m × 横 25m (2)用 具:ボール、ゴール、ビブス、コーン、マーカー (3)方 法:●中央の攻撃者は、マーカーからドリブルでスタート。 ●コーンでかわしたら、それをインフォメーションにして、 2人の FWが反応。縦パスを受けようとする。 ● F Wのどちらかに当て、サポートして落としを受ける。 ● 2人の F Wは突破を図る。 ●中央の攻撃者は、DFの動きを観て、突破のパスを出す。 突破からシュート。 ● 2人の DFが FWをマークする。 FW にパスが入った後、 DF はプレーに参加 〔キーファクター〕 ●ゴールを奪う、そのために突破 ●積極的にシュートを狙う ●積極的に突破を狙う ●効果的な関わり この 2つのトレーニングにおいては、リターンパスを条件とし、 組み立てから突破のパスが頻発するようにします。確実な組み立て から突破の動きやパスが獲得されれば、サッカーのゲーム状況によ り近づけるため、リターンパスの条件もフリーにしていきましょう。 それは、ゴールへ向かうチャンスを失わないためです。せっかく動 き出しのタイミングが良く、パスとうまくシンクロしたならば、ゴー ルに向かってプレーすることは当たり前ですから、それを獲得させ たいのです。そうすれば、2人の FW のコンビネーションや 3人目 の関わりで崩すこともできるようになります。 3人目の関わりも中央突破が無理であれば、MF(サーバー) がサ イドに飛び出し、クロスからの攻撃を可能にしていくこともできま す。あるいは、サイドのプレーヤーを配置し、中央突破とクロスか らの攻撃もありにする方法もあるでしょう。よりゲームに近い選択 肢の中で、コンビネーションのプレーに発展させていくこともでき ます。 テーマからはずれていきますが、コーチとしてサッカーの本来の 姿を引き出しに持っておけば、選手がゴールを奪うチャンスにアイ デアを出してきたときのプレーを容易に認めることができるでしょ う。そのトライを認め、励ますことが大事だと思います。すると選 手は積極的にさまざまな状況に応じたプレーをトライすることが可 能になります。ただし、初めからフリーな状況でトレーニングする と、獲得させたいものが薄れてきます。テーマを追求するときには 条件等、さじ加減をコーチがコントロールする必要があります。ま た、トレーニングを発展させることもできます。選手に、最も良い 刺激が与えられるようにしていきましょう。 ゴールを奪う 突破(3 対 2 or 3 対 2+ サイドプレーヤー) 〔発展〕 ・中央での突破が難しい場合、 MF(サーバー)がサイドに 出てプレーする。 ・または、サイドプレーヤーを 配置し、中央が難しい場合、 シンプルに攻撃するために、 サイドを使って得点に結びつける。 ©AGC/JFAnews 41 各地のユース育成の取り組み 関東、九州地域の 活動から ▼ ▼ 日本サッカーの強化・発展を目的とし、個を高 めていくことを目標とする「トレセン活動」と リーグの創出。 ナショナルトレセンをはじめ、全国各地でさま ざまな形のトレセン活動やリーグ化の取り組み が行われています。 今号では、関東と九州地域の取り組みをご紹介 します。 関東 神奈川県のトレセン活動 【報告者】川名勝巳 ( 神奈川県サッカー協会第 3 種技術委員長 ) 神奈川第3 種トレセン セントラルトレセン U -13・14 の取り組み 前述の県トレセンの実施と同時に、県の代表であるセントラルト レセンも開設した。これは10 地区の県トレセンから推薦していた 42 九州 神奈川県は、4 つの J クラブ(横浜 F・マリノス、川崎フロンター レ、湘南ベルマーレ、横浜 FC) 、他クラブチーム63チーム、中体 連所属 316 チームが神奈川県サッカー協会に加盟しているという、 大家族を抱える地域である。 その中で 2006 年のトレセン改革を機に、県トレセン部会を中心 に「プレーヤーズファースト」を掲げ、 「より質の高い指導を、より 多くの優れた選手に提供できるように」と改革を行った。今まで東 西の 2 地区に分けていた県トレセンを、J クラブを除いた全チーム の選手を対象に、10地区に分けて開設。U-13・14・15 の各カテ ゴリーで約 20 〜 25 名の選手を招集している。それに対してスタッ フは、2 種・4 種の協力をいただき、各カテゴリー 5名程度が指導 にあたっているので、県全体で選手約 750 名、スタッフ約150名の 理解と協力を得て組織され、運営されている。 活動は各地区の実情に合わせて行っているが、基本的には月2 回 のトレーニングとマッチデーを利用した各地区対抗戦を実施してい る。会場は各地区の学校やナイター付きの公共施設を利用させてい ただいている。 指導内容は、日本サッカー協会の指針をもとに、関東トレセンス タッフのご協力を仰ぎ、年 2 回指導者講習会を実施しながら、指導 の質の向上やベクトル合わせを行い、各指導者の共通理解を図って いる。また、その他にも各地区でクラブや中体連独自のトレセン活 動も実施され、県トレセンとリンクしながら、すそ野を広げる活動 や事業が展開され、充実した取り組みがなされている。 さらに GKプロジェクトも定期的に開催され、年間 7 回のトレー ニングと講習会を各カテゴリー 30人前後の選手( 計 90人)に10 人のスタッフ( 計 30人)で実施し、 「選手 3人に対してコーチ 1人」 という充実した環境で行われている。 トレセン改革から 4 年間、反省を繰り返し、少しずつ改善しなが ら良い方向に向かっているのも、各選手、指導者、各関係者の情熱 と理解や協力がなければ成り立たないことと深く感じている。 だいた選手の中から 20名程度を選考し、8月から月 1 回のペースで トレーニングを行い、マッチデーに実施される関東交流戦に臨むと いうパターンで活動している。また、選考会後に伸びた選手や埋も れていた選手がいれば年度途中でも追加招集して参加できる柔軟な 体制で運営されている。 トレーニングは、ヘッドコーチが関東交流戦の結果を受けて課題 を抽出し、現在のチームの状況に合ったメニューを考え、事前にメー ルで各スタッフに送り、全員が内容を把握しトレーニング前にス タッフミーティングを行ってから臨むようにしている。また、年に 1 回は、 「選手・スタッフのモチベーションを上げる」 、 「トレーニン グ内容の充実」等の目的から日本サッカー協会から指導スタッフを 招いて、トレーニングの実技指導をしていただいている。 さらに今年度からこの年代(U-14)に良い経験をさせ、 レベルアッ プを図るために 3月に韓国遠征を企画し、準備を進めている。 また、この活動を運営していて強く感じることは、セントラルに かかわっているスタッフだけが携わるだけでなく、県全体の指導者 がかかわっているという意識を持つことが大切だと考えている。そ こで活動状況を共有するためにセントラル活動報告(トレーニング メニューや試合の結果)をマッチデー後に各地区スタッフ、チーム 指導者、関係者に配信し、できるだけ多くの方に理解していただけ るように努めている。 この活動を始めてから 4 年間、神奈川は国体少年の部において準 優勝 1 回、優勝 2 回という今までにないすばらしい成績を残してい る。もちろん Jクラブが多く、その力に頼るところはあるが、トレ セン活動がこの結果に少しでも影響し、神奈川全体のレベルアップ につながっていてくれるとしたら、これほどうれしいことはない。 宮崎県延岡市サッカー協会の取り組み 【報告者】都甲尚生(延岡市サッカー協会技術委員長、 宮崎県立延岡高校) 現在、延岡市サッカー協会では育成に関して下記のような事業を 行っている。 ①サッカークリニック ジュニアユース(U-13 〜 U-15)対象の事業。 ②延岡スペシャルトレーニング ジュニア(U-11)からユース(U-16)対象の事業。 ③県北 GK スクール ジュニアからユース対象の GK 育成事業。 これらの活動について事業を行うまでの経緯や成果・課題等につ いて紹介する。 ①サッカークリニック 私は日ごろ U-16 〜 U-18(高校生) を対象に部活動指導を行って いる。かつては延岡から全国大会に出場するチームがあったが、こ こ数年は県大会でも上位進出するチームが少なく、やや低迷傾向に あった。また、ここ数年、高校生年代における競技人口の減少も気 になるところだった。 そこで、私はまず、個々のレベルアップと競技人口の拡大を目指 し、2006年 1 月、U-13(中学 1 年生)の指導に取り組むことにし た。当時、延岡市内の中学校に赴任されてきた河野靖司先生(東海 中学校)にこの事業について話すと快く協力していただき、2006 年 4月のスタートを目指して準備を進めた。この事業を進めるにあ たり、まずは中学校(ジュニアユース)の指導者と事業の詳細を決 定していった。この中でどれくらいの頻度でトレーニングを行うか についていくつかの提案があったが「どうせ実施するなら」という 意見で年間を通して毎週金曜日19 時半から21時の時間帯で行うこ とで決定した。その後、少年団(ジュニア)の指導者に趣旨説明を 行い、協力を求めた上で参加者を募った。初年度は約60名の参加 申し込みがあり、各カテゴリーからも指導者が集まり、順調なスター トを切ることができた。 これまで一貫指導の必要性は感じていたが、なかなか思うように 実現できずにいた。しかしこの事業の開催にあたり、カテゴリーの 枠を越えて指導者とディスカッションを行うことで一貫指導の基盤 ができたように感じる。 翌 2007年には U-13(中学 1 年生)の指導の継続性と部活動を終 えた U-15(中学 3 年生)のトレーニングの機会の確保が話題になっ たため、U-13 のサッカークリニックと並行して 4月から 9月までを 前期として U-14 (中学 2 年生) 、10月から3月までの後期をU-16 (中 学 3 年生 )の指導も行うことにした。 この事業を進めていく上で大きな課題はグラウンドの確保にあっ たが、2008年以降は延岡市体育協会のスポーツ教室に認定され、 優先的にグラウンドの確保をしていただいている。また、毎週金曜 日19 時半から21時という日程・時間帯に実施するという点につい ても移動等や金曜日が週末の試合前ということで不安視されていた が、各チームの指導者や保護者の方々の理解や協力もあり、大きな 問題もなく実施されている。 現在の課題は 2 つある。一つは「指導内容の精選 」である。サッ カークリニックはボールコントロールの力を上げようということで スタートした事業であるが、やや単調なトレーニングになりつつあ る傾向がある。スタートして 4 年間を迎える現在、年間を通してあ るいは長期的な視野に立って系統的な指導内容を再編する時期に 来ているように感じる。2 つ目は「指導者の質の向上 」である。育 成年代では、世界と戦うためにはというコンセプトで長い視野で選 手を育成するかが問われていると考える。私も昨年度公認 B 級を 取得したが、世界のサッカーの進歩を確認することができ、大変勉 強になった。今年度もこの事業にかかわる清水則吉氏(延岡市サッ カー協会フットサル委員長/フォルトゥナ延岡 )が B 級を取得中で ある。 ②延岡スペシャルトレーニング この事業は 2007年12月に熊本県(大津)で行われたナショナル トレセン U-12 の指導者講習会で行われたグループ発表がスタート の発端であった。延岡から私以外に甲斐裕逸氏(延岡市サッカー協 会技術委員会事務局/城山少年団)と湯浅憲治氏(延岡東少年団) も参加した。そこで静岡県清水市で風間八宏氏が中心になって行わ れていた小学生(ジュニア)から高校生(ユース)までが同じピッチ で同じトレーニングを行う「スペシャルトレーニング」を参考に「延 岡から世界に通用する選手の育成を図るために」というタイトルで 全体発表を行った。その全体発表を具現化したものが延岡スペシャ ルトレーニングである。その趣旨は下記の通りである。 ●種別を越えた選手間でトレーニングを行うことで小中学生に高い 技術と判断力を習得させる。 ●模範となる高校生のプレーを見ることで小中学生の選手の技術向 上を図る。 ●高校生や中学生が下級生を指導することでサッカーに対する知識 をさらに深化させる。 ●指導者が各年代の選手を見ることでそれぞれの年代に対する指導 の問題点や課題が明確になり、系統的な一貫性のある指導が図れ るようになる。 ●種別・組織の枠を越えて、指導者間の交流を深めることで指導者 のレベルアップを図る。 これらのコンセプトの下、第 2 金曜日19 時〜 21時に上記のサッ カークリニックと同会場を使用し、実施していくことにした。前年 度にスタートさせたサッカークリニックがベースとなってそれを発 展させる形でこの事業を実施していった。対象をU-11 ( 小学 5 年生) 〜 U-17(高校 2 年生)の各学年 8名程度にしたため、選考会も実施 した。 このスペシャルトレーニングを行うにあたり吉武博文氏(U-15 日 本代表監督、ナショナルトレセンコーチ)を招聘し、指導・助言を していただいた。また、各カテゴリーの指導者を対象にこれからの 選手育成の在り方について講演をしていただいた。講演会では多数 の指導者が集まり、その後の懇親会も含めて大変な熱気であったの を覚えている。吉武氏にはこの後も選手を対象にした指導実践、さ らには指導者を対象にした講習会と毎年のように延岡に足を運んで いただいている。 スペシャルトレーニングの課題として、やはり体格差の違いによ るトレーニングのやりづらさを感じる。しかし、上記のコンセプト を踏まえた上で育成という長い視野に立ってトレーニングを工夫 し、実践していくことが大切だと考えている。 このような事業を進めていく上でどうしても必要不可欠だったの が技術委員会の存在である。これまで延岡市サッカー協会には技術 委員会が存在しなかったため、特に育成事業に対する取り組みが進 まなかった傾向にあった。そこでこれまでの事業でつくり上げてき た指導者の方々とともに技術委員会を協会内に設立することを要請 し、2008 年からは技術委員会の事業としてさまざまな取り組みを 行うことができるようになってきた。市サッカー協会の中に技術委 員会が設立されたのもこれらの事業の成果の一つだと言える。 ③ 県北 GKスクール これまでの 2 つの事業を進めていく中で、さらに県の事業である GK スクールを合同で行うという提案が出された。このGKスクー ルは清山和美氏(県GK 育成担当/城山少年団)が中心になって行っ ている事業であり、小学生から高校生までの幅広い年齢層のGK が 第 2・4 金曜日19 時〜 21時までトレーニングを行っているもので ある。この事業をサッカークリニックやスペシャルトレーニングと 同時に開催することでお互いに刺激し合い、より良いものをつくり 上げていこうと考えている。この GKスクールは小学生 8 名を含め 現在38名で活動しており、上記 3つの事業が行われる第 2 金曜日 の夜はサッカーコート 1 面に所狭しとサッカーボールを追いかける 姿が見られる。 延岡では一つの事業をきっかけにさまざまな形で各カテゴリーの 指導者が結びつき、 「世界に通用する選手を育成する」という大き な目標に向かって歩んでいる。これらの事業が継続して行われるこ とにより、延岡から 1 人でも多くの「世界に通用する選手」が出て くることを目指して今後も取り組んでいきたいと考えている。 43 今月の人 育成の現場をたずねて… 写真左から岩下稔氏、小野剛 JFA 技術委員長(育成担当) 、 寺中氏、廣田さん このコーナーでは、小野剛技術委員長 が全国各地で育成に携わっている指導 者をたずねて、紹介していきます。 岩下 稔 minoru iwashita (星稜中学校サッカー部監督) 例年初秋になると、われわれナショナルスタッ フの研修で夏期に行われた国内外の大会のTSG 報告、そして分析が行われる。現状を把握し、 今後の舵取りに不可欠な作業である。その中で U-15年代のサッカーで何度も名前が挙がったチー ムがあった。全国中学校サッカー大会に出場、16 得点、無失点ながらPK敗退してしまったのだが、 そのはつらつとしたサッカーはビデオでしか見る ことができなかった私も非常に強い印象を持た せてもらった。今日はそのチーム、石川県の星 稜中学校のトレーニングに訪れ、岩下稔監督に 話を聞かせてもらうことにした。 金沢の町を車で少し走っていくと人工芝のピッ チから元気な声が溢れてきた。ピッチ半面を 3 つ をしに行った覚えがあります。 出られなかったんです。高 2 では出場することがで きたのですが、先輩たちの力で「連れて行ってもらっ 小野:布さんもよく覚えていましたよ。自分のこと た」全国大会。 「自分たちで行く」というのを積み を率直に振り返ることのできる指導者はなかなかい 残してきてしまった思いが強くあるんです。だから ないと。それだけに今回の躍進はうれしかったみた 今でも最上級生には「君たちは今しかない」と常に いです。 口にしています。それと、大学では B チームだった のですが「蹴鞠団」といって、自分たちでトレーニ 岩下:そんなこんなで戦術を当てはめるのではなく、 ングを考えて、自分たちでつくっていくチームだっ 個々の技術とともに戦術的な理解を高めていくには たのが指導という面で自分の思いを駆り立ててくれ どうしたらいいだろうと。そんな試行錯誤をしてい たような気がします。 る中では、全国になかなか行けない時期も続きまし たが、 全国に「行かせてもらった」最初の 2 年よりは、 小野:石川県の中で全国レベルの選手を育てていく 上にいって通用する選手は逆に多くなってきたなと こと、それには多くの苦労もあったと思いますが。 いう実感はわいてきたのです。そんな中、ここ 2 年 のグループがほぼフル回転で、実に効率的にしか ほど中日本のナショナルトレセンのスタッフをさせ 岩下:石川県には Jクラブがない。すなわち良いプ も活気のあるトレーニングを行っている。コーチ てもらい、この年代のトップの指導に携わることが レーとかのイメージがどうしても不足してしまうん の 1 人は寺中くん、彼は私がサンフレッチェ広島 できました。今までもいろいろ勉強してきたつもり です。今ではテレビで多くの試合を観られるように の監督をしていたときにコーチ修行に来ていた懐 だったのですが、紙で得られるものと実際とはやは なってきましたが、やはり生の迫力であったり、画 かしい顔だ。もう 1 人は、新たに立ち上げた女子 り違う。ちょっとしたヒントを持ち帰っては、それ 面に映らないところでのハードワークであったり、 チームのコーチも兼任している廣田さん。ピッチ を現場でのフィードバックの中で噛み砕いていくこ そんな部分を少しでも多く触れさせたいと思い、 のもう半面で高校を指導しているのはもちろん河 とが非常に役に立ちました。この 4 月からは石川の チームの遠征のときにはできる限りレベルの高い試 トレセン指導者たちと指導実践を積みながら互いに 合を観るようにしています。石川県にそのような文 勉強する機会をつくったり、プレミアカップでの研 化を根づかせたいと思い、他のチームの選手や指導 修会のように北信越の大会でも期間中に指導者の研 者などにも声をかけてわれわれの遠征に一緒に来て 修をしようと提案したりしています。 崎護先生。トレーニングの合間につかつかと走り 寄って声をかけてくれた。いつお会いしてもこの 人柄は本当にたまらない。 小野:休んでいる時間がほとんどなかったので選手は そして、この 2 本の線はどこかで重なっていくは もらったりもしています。 また、U-15の北信越リーグに参加させてもらった きつかったと思いますが、みんな楽しそうでしたね。 ずだと。すなわち個を高める延長上にチーム力の向 のも大きいですね(中学校として唯一参加) 。移動等 上も達成されるはずであると。ただそのためには、 で大変な部分はありますが、それ以上に40分ハーフ 岩下:半面しか使えないので、コーチ 2 人と十分打 自分自身が日々成長していかなくてはと強く感じて のレベルの高い試合をコンスタントにできることと、 ち合わせをして、できるだけ伸び伸びとプレーでき います。 そして何よりも敗戦から再びチャレンジできるのは るようには心がけています。1 つのグループが大き めのピッチを取ると、その分他のグループは狭いエ 選手にとってかけがえのないことだと思います。 小野:それが、今回の全中で現れてきたのですね。 小野:最後にサッカー指導のフィロソフィーと将来の リアになってしまうのですが、その中でできること を工夫しながら、時間で変化させるようにはしてい 岩下:そのように評価していただけるのはうれしい るのですが。 ことですが、まだまだこれからです。 小野:全中(全国中学校サッカー大会)はお疲れさま 小野:ご自身とサッカーとの出会いを聞かせていた かね。特に北信越の子は自己表現が少し苦手な気が でした。われわれスタッフの間では非常に好感を持た だけますか。 するのですが、思っていただけでは何も起こらない。 夢を聞かせてください。 岩下:う〜む、 「自己主張をしよう」ということです れていましたよ。ずっと見ているスタッフからは、今 だからもっと自己表現しようと。 岩下:小学校 2 年生のときです。ごく単純にキャプテ 将来は、やはりこの地から日本一を出したいと思っ ン翼へのあこがれだけでしたね。でもやってみると ています。かつて南宇和高校(愛媛県)が地元の子 岩下:ここで指導して 12 年になるのですが、試行錯 これが楽しくて。また釜本、セルジオサッカー教室 どもたちだけで優勝したときのように、地方が頑張 誤の連続でした。最初の 2 年間は全国大会に出場さ に参加させてもらって「こりゃすごい」と強烈な印 れば日本サッカーもさらに活気づくと信じて頑張っ せてもらったのですが、まさに河崎先生の力で集 象を持ったことも覚えています。石川に転校したの ています。サッカーに取り組む姿勢をさらに高める、 まってきた選手たちの力で。周りの指導者にも「自 が小 6 だったのですが、ちょうど少年団の立ち上げ そのような自立した選手を育成できたら、その延長 分のメンバー」で全国に行けるようになって初めて の 1 期生で、キャプテンを務めることになりました。 上に日本一も見えてくるのかなと思っています。 認めてやると言われていましたし。ただ、せっかく 当時の安井コーチ(現:石川県トレセンスタッフ)にあ 出させてもらった全国大会ですが、 河崎先生にも「戦 こがれて、結局、高校、大学と同じ道を歩むことに 術を当てはめすぎると、指導者が変わったときの応 なりました。そして中学では島野さん(現:石川県 用力に欠けてしまう」とも指摘もされました。同様 トレセンスタッフ) 、高校で河崎先生と、本当に指導 のことを、プレミアカップに参加したときにも経験 者に恵まれた現役時代だったと思います。 までとサッカーが変わってきたとも。 今年 1 月にはフットボールカンファレンスを開催 し、大きな盛り上がりをみせた金沢が、その後 も多くのサッカー仲間の情熱で非常に活気に満ち ているのを感じることができた 1 日であった。 しました。大会の合間に布さんのレクチャーがあっ たのですが、 「個々の判断よりもチームとしてのやり 小野:指導者を志すきっかけは。 方を重視しすぎているチームがある」と。これは自 分のことを言っているのだと感じ、講義の直後に話 44 岩下:高校 3 年生のときは県で敗退して全国大会に 岩下 稔(いわした みのる) 1974 年 11月17日生まれ 星稜高校→大阪体育大学 現在は星稜中学校サッカー部監督。 公認 A 級コーチ。 海外で活躍する指導者 ⑫ 、12人目の今回 連載 「海外で活躍する指導者」 は本コーナー第 2 回にも登場したグアムで 企画 活躍している築舘範男氏からの報告です。 ファラリョン・デ・パハロス島 マウグ諸島 アスンシオン島 ●プロフィール 築舘 範男(つきたて・のりお) アグリハン島 愛知県出身。1960 年 4 月 2 日生まれ。 パガン島 愛知県立豊田西高校卒業後、当時の日本サッカーリーグ(JSL) 2 部、 トヨタ自動車工業サッカー部でプレー。その後、同サッカー部コーチを アラマガン島 経て、1992 年に名古屋グランパスエイト(当時) のトップチームコーチ ググアン島 に就任。同チームユース(U-18、U-15)強化責任者、スカウトを経て日 本文理大学付属高校(大分県)監督として指導。2002 年より清水エス サリガン島 パルスユース監督に。2005年 2月よりグアム代表チーム監督に就任。 アナタハン島 ファラリョン・デ・メディニラ島 サイパン島 アグイハン島 フィリピン海 写真左が築舘範男氏 © Kaoru Watanabe ティニアン島 ロタ島 グアム島 ■ 派遣国・地域の紹介 スペイン、アメリカ、日本の統治を経て、1950年にアメリカの自治属領(準州) となり、 現在に至る。日本の南東約 2,500km に位置し、面積は約 549 平方キロメートルで、 日本の淡路島とほぼ同じ大きさ (以上、グアム政府観光局 HP より)。 主な産業は観光業(旅行者は日本人、韓国人が主)。 FIFAランキングは 186 位( 2009 年 10月現在)。 代表になるまで継続した努力が良い結果を生んだことに間違いあり ません。 「競技サッカーのメンタリティー」を植えつけることがこの 時間と継続によって生まれたのだと私の中で信じています。 2005年 2月にグアムへ赴任し、5年目を迎えた今年、2010 年の 「プレーの責任」 「 試合に対する準備 」 「パフォーマンスへのマイ 東アジアサッカー選手権の予選が 3月にグアムで、引き続いて準決 ナス行 動の抑制 」など、純粋に取り組んだ選手たちの勝利でした 勝ラウンドが 8月にチャイニーズ・タイペイの高雄で行われました。 (選手と指導者の間には多くの戦いもありました) 。以前は練習の FIFA ランキングでは下位のグアムが、予選ラウンドでモンゴルに 優先順位は低く、家族、パーティー、恋人などに押さえ込まれて 勝ち、マカオに引き分け、A代表で公式大会における初めての勝点 最下位でしたが、粘り強く選手や家族に問いかけることで練習の を挙げることができました。準決勝ラウンドに進出し、朝鮮民主主 優先順位が上がり、夜遊びや酒、タバコのたぐいにも手を出す選 義人民共和国、香港、チャイニーズ ・ タイペイと対戦し、3連敗を 手も減りました。国を代表して戦うプライドも芽生えました。とに 喫してしまいましたが、朝鮮民主主義人民共和国とチャイニーズ・ かく小さな継続した努力や行動がグアムの歴史を変えることにつな タイペイからそれぞれ 2 点を奪い、わずかながらの抵抗をしたこと がったのです。 が大変うれしく感じられました。 また、この5 年間には日本では考えられないような選手が多々い まずはここで、今まで粘り強くグアムを支援してくださった JFA たことも事実です。多くの選手に裏切られ、人間不信に陥りそうに 関係者の皆さんや、われわれが日本遠征時にお世話になった J ヴィ なるのですが、選手とコーチがお互いに尊敬しあうことの重要性を レッジや福島県サッカー協会の皆さん、さらには練習試合でお世話 感じました。所詮人間です。私が感じていることは先方(選手)に になった Jクラブや大学関係者の方々に誌面を借りて御礼を申し上 以心伝心するものです。私がいかに頭を切り替えて怒りを抑え、人 げます。 として接することができるのかが選手の動機づけや向上心を大きく 左右することを、この歳になって選手に教えられました。 さて、大会を終えての総括ですが、2 つのことを選手に教えられ グアムでは選手数に限りがあります。この選手たちを育てるほか た気がします。1つ目は「継続は力なり」 、2 つ目は「サッカーをす に手はないのです。昔は「プロの世界の中で駄目な選手は代わりを るのは人である」の 2 点です。 探せば良い」 。そうした考えで人を粗末にする行動になりがちだっ 今年の A 代表の平均年齢は19.7 歳です。まるで U-20 の大会の た自分を戒めてくれた気がします。 ようですが、これが今のグアムのベストメンバーです。ほとんどが いずれにしても以上の 2 点について私の経験からの勝手な言い分 アメリカの大学生で、2005年に私が赴任したときの AFC U-16 選 ですが、この先いつも「おかげさまで」という気持ちを忘れることな 手権予選に出場した選手たちです。その後、彼らはアメリカの大学 く、サッカーの指導に携わりたいと思います。 へ進学するまで J ヴィレッジでのトレーニングキャンプや AFC U-19 最後に、グアムでは腹が立つことが多いのですが、こんな自分を 選手権予選など、数々の経験を積んできました。中学生の選手がA 鍛えてくれたグアム島に感謝です。 東アジアサッカー選手権 準決勝大会を終えて 45 JFA フィジカルフィットネスプロジェクト 年代別トレーニングの 考え方 ⑭ 〜ユース年代 (U-18)その3〜 〜 © J リーグフォト㈱ U-18 年代になると、晩熟型の子どもを含め、ほとんどの子ども たちは身長の伸びもほぼ終了します。 「大人の入り口」であるこの 年代では、基礎的な筋力アップを目的とした筋肉に負荷をかける筋 力トレーニングを本格的に始めるのに適しています。普段のピッチ でのトレーニングと並行して日ごろから計画的に筋力トレーニング を行うことによって、基礎的な筋力が向上すると同時に、筋肉量の 増加が期待できます。その結果、怪我をしにくい身体、またフィジ カルコンタクト時に相手に当たり負けしない身体をつくることが可 能であると考えられます。これに加えて、 現代のサッカーではスピー ドやスピード持久力が要求されることから、筋量をある程度増やす ことは、その源である筋グリコーゲンを貯蔵することにも役立ちま す。 筋力トレーニングへの取り組み 過去、サッカー界では、筋力トレーニングについて賛否両論があ りました。当時筋力トレーニングを否定する意見としては「身体が 硬くなる」 、 「筋肉が動きの邪魔をする」 、 「筋トレに割く時間がない」 などが挙げられています。その一方で、FIFA ワールドカップやオリ ンピックなどの世界大会に出場して結果が残せないと、そのたびに 「フィジカルの弱さ」を指摘されてきました。やはりヨーロッパや南 米などの諸外国の屈強な選手たちに打ち勝つには、日本人選手の技 術や戦術的要素などの長所を伸ばすと同時に、課題であるフィジカ ル、特に筋力やパワーの向上は避けては通れないことが明白になり ました。その結果を踏まえてか、現在では筋力トレーニングを否定 する指導者も減少傾向にあり、むしろその導入に肯定的な指導者の 方々が増えてきているように思われます。 この年代で筋力トレーニングを導入するにあたり、しっかりと正 しい知識や正しいフォームを身につけることが大切です。なぜなら、 将来、運よくプロ契約できればまた専門知識を持ったコーチにめぐ り合うことができますが、高校またはクラブチームを離れて大学や 46 【報告者】菅野 淳(JFA フィジカルフィットネスプロジェクト) 社会人チームなど、次に行ったチームに専門のコーチがいなくても 自分自身で筋力トレーニングを継続して行うことができるようにな れるからです。 サッカー選手に必要な筋力・パワー サッカー選手に必要な筋力トレーニングは、単にボディービルダー のようにむやみに筋量を増やしたり、やたら重たいものを持ち上げ ることを目的とするのではなく、より機能的にサッカーの動きに即 した筋出力を上げることです。ではサッカー選手に必要な筋力やパ ワーは試合中どんな場面で役立つのでしょうか。この限りではあり ませんが、いくつかを以下に挙げてみました。 ・より素早く動き出す。 ・安定して止まる。 ・安定して方向を変える。 ・高く跳ぶ。 ・力強くボールを蹴る。 ・遠くへスローインのボールを投げる。 ・自分のスペースを確保する。 ・相手からコンタクトを受けてもバランスを保つ。 ・スライディング、ダイビングヘッドなどのプレー時に自分の身体を 支える。 このようなパワーを発揮するために、まず行わなければならない のがその土台となる基礎的な筋力をつけることです。しっかりとし た土台づくりができていれば、その後あらゆるトレーニングにも活 用することができますし、何より怪我を予防することが可能になり ます。その例は本誌 vol.28をご参照ください。 ここでは、筋力トレーニングを行う場合に知っておかなければな らないいくつかの原則とその方法があります。 筋力トレーニングの原則 (1)過負荷の原則 筋肉に適度な負荷を与えることにより、高いトレーニング効果を 得ることができる。高すぎる負荷でも低すぎる負荷でも効果は期待 できない。 (2)漸進性の原則 過負荷の原則につながるが、負荷の設定を初めから高負荷で行う のではなく、適応の度合いによって徐々にその負荷を上げていく。 (3)継続性の原則 トレーニングは継続しなければ効果がない。特にトレーニング効 果が表れるのには 10週間程度必要といわれている。 (4)全面性の原則 上半身だけ、または下半身だけトレーニングすればよいのではな く、バランスよく全面的にトレーニングする。 (5)個別性の原則 すべての人に一律同じ負荷をかけてトレーニングしても同じ効果 があるとは限らないので、各個人に合ったプログラムを見つける必 要がある。 (6)意識性の原則 トレーニング中どの筋肉がどのように働いているか、またどの筋 肉がサッカーのどんなプレーに使われるのかをイメージしながら行う。 どこを鍛えるか? サッカーは、ボールを足で操るスポーツですから、一番重要なの は脚の筋肉のように考えられがちですが、必ずしもそうではありま せん。一番重要なのは、腹筋・背筋などの体幹の筋肉です。いくら 強いキックをしようとしても、腹筋・背筋の筋力が弱いと、強いボー ルは蹴れません。身体の中心に位置して、姿勢を安定させたり、腕 や脚を使って力を出すときのパワーの源になるのが腹筋・背筋です。 次に、下半身の筋肉です。その中でも、太ももの筋肉はボールを 蹴るときにとても重要です。ですから、大腿四頭筋と呼ばれる太も もの前面の筋肉とハムストリングスと呼ばれる太ももの後面の筋肉 を鍛えることが大切です。これに加えて大切なのがふくらはぎの筋 肉です。脚がつる原因はいろいろありますが、ふくらはぎの筋力不 足も考えられますので、しっかり鍛える必要があります。 さらに、下半身の筋肉と同じくらい大切なのは上半身の筋肉です。 サッカーは腕を使っていないようでも、実はとてもたくさんの場面 で腕を使っているものです。ボールを蹴る瞬間、片方の足で立つこ とになりますが、このとき腕を使ってバランスをとっていることに 気がつきます。また、相手を背負ってボールをトラップするときな どには、自分のプレーエリアを確保するために相手が入れないよう に腕を大きく広げてプレーすることからも分かります。また、転倒 したときなどにも腕を使って自分の身体を守ることにも役立ちま す。 サッカーは全身を使うスポーツなので、全身の筋肉をバランス良 く鍛える必要があります。ある特定の筋肉をトレーニングするだけ では、筋力トレーニングのためのトレーニングになってしまいます。 〔参考〕 ベンチプレス ベントオーバーロー ハーフスクワット ラットプルダウン レッグカール レッグエクステンション レッグランジ ショルダープレス 47 © Jリーグフォト (株) 審判員と指導者、 ともに手を取り合って・・・ C O O R D I N A T I O N B E T W E E N 芸術的なディフェンス 私は選手として、また審判員として42 年 間、フットボールとともに過ごすことができ ており、大変幸せな人間だと思う。20 歳か ら 26 歳で怪我のためセミプロとしてのキャ リアを終了させるまで、私はスライディング タックルが何よりも好きなディフェンダー (DF) であった。選手時代の私は、どう猛に タックルを仕掛けるDFだと考えられていた が、一度も警告を受けたり退場させられた りしたことがないことを誇りに思っている。 そこで、芸術的なディフェンスについて、と りわけ、スライディングタックルについてを 中心にお話しさせていただこうと思う。 「芸術的なディフェンス」は、いくつかの 理由からじりじりと忘れ去られてきている ように思う。 競技規則が変更されてアグレッ シブなチャレンジがやり難くなったことや、 監督がウイングバックにディフェンスの能 力よりも攻撃の質を求めるようになってい ることもその原因かもしれない。実際、最 近私が目の当たりにしたいくつかのスライ ディングタックルを行うようなシチュエー ションでは、 「すばらしい」というものから スライディングタックルを行うときに DF が 誤った判断をした結果「コミカル」となっ たり、立った姿勢のままでチャレンジした 結果、相手競技者を押したり引いたりと いった結果になり、ファウルを取られ、フ リーキック(FK)を相手チームに与えてし まい、相手が有利になってしまうようなも のまでバラエティーに富んでいた。 DF として私は、相手競技者を止める際 に、ペナルティーを受けること、すなわち 相手チームが有利になってしまうようなこ とがあってはならないと教えられた。また、 スライディングタックルを行う際には、自 分が地面に寝そべってしまうため、立って 48 T H E F I E L D S O F R E F E R E E I N G A N D T E C H N I C A L アラン・ウィルキー(JFA トップレフェリーインストラクター) いる相手競技者が有利になってしまうこと スライディングによる挑戦は単にボール がないよう、100 %成功する場合にしか を鋭く足で突いてどこか遠くへやることだ 使ってはならないと教えられた。さらに、 と考えている人がいるかもしれないが、こ 競技規則に反して手や腕を利用することは れは正しくない。よく考えられて正しいタ 簡単なことであるが、相手チームにFK と イミングで行われたスライディングは攻撃 いうアドバンテージを与えてしまうことを の糸口と成り得るし、少なくともボールを 強く意識させられた。 得られるのである。 サッカーの試合はどんどんスピードが速 成功しているチームの多くが、がっしり く、クイックに、かつ長いボールが蹴られ としてかつ有能なDFを複数抱えているの るようになってきている。そのため DFと は疑う余地がない。彼らは試合を読み、熟 アタッカーはともに簡単に手を使って相手 慮した上でのチャレンジができ、近づきす 競技者を押したり引っ張ったりするように ぎることがない。彼らは彼らの腕をバラン なっていると思う。 このことは効果的なディ スをとるためだけに使用し、相手を押した フェンスを少なくさせており、多くの DF り引っ張ったりすることによって相手競技 は自チームの戦術を理解するためにもっと 者を楽にプレーさせることはない。また彼 頭を使わなければならない状況にある。 らはスライディングタックルを行うことを 私は、以下 のように DF へ 提言したい。 楽しんでいるが、彼らがスライディング DFは相手競技者にくっつくほど近すぎる位 タックルを利用するのは自チームに利益を 置に立つと、相手競技者が DFがどこにい もたらすときだけである。 るのか簡単に分かるようになってしまう すべてのサッカーを楽しんでいる人と同 し、一瞬ですり抜けられてしまい、相手に 様、私もどのようなゲームが面白いと感じ 有利になってしまう。さらに、相手競技者 られるかという視点を持っている。選手と が押されたふりをして FKを得る結果になっ しての経験から私は、どのようなスライ たり、ファウルを誘発するような態度をとっ ディングタックルが良いタックルであるかを たりすることによって DF は不利益を被る 知っている。私は選手とコーチには、現在 ことさえある。そこでそうならないような 「守備」の置かれている状況について考えて 微妙な距離感を保つことが重要である。 もらいたい。美しい試合はゴールだけでは スライディングタックルは以下のような状 存在し得ず、正しくかつ適正な、また選手 況で利用できる。相手が利用できるスペー の安全性に深く考慮されて行われる、確実 スが狭く、アタッカーがどちらに向かおう にボールが取れるという状況でのフィジカ とするかをDF が判断するために 1 〜 2 秒 ルチャレンジが欠かせない。 の時間がとれ、さらにうまくいけば相手の 私は、 「守備」が再び、技術と勇気をもっ 裏がかけるような状況。相手競技者がボー て実行される芸術的なレベルに復活するこ ルを受け、どちらかにターンして DFをか とを熱望している。Jリーグには質の高い わそうとしたときがチャンスである。タイ DF がたくさんいる。Jリーグのコーチに求 ミングさえ合えばチームを救い、攻撃に転 められるのは、その他の DFを質の高い DF ずることができる。 と同じレベルに導くことである。 日本からアジア、そして世界へ幅広い貢献を誓う FIFA ゴールプログラム初のメディカルセンターが 8 月1日、J ヴィレッジ(福島県)にオープンした。 「JFA メディカルセンター」。福島県と楢葉町がスポー ツ医療診療所として建設したこの施設は、日本サッ カー協会が楢葉町から貸与を受けて運営していくこと となる。 Jヴィレッジのナショナルトレーニングセンターとして のさらなる機能の充実と、スポーツ医科学の研究お よび教育・啓発活動の拠点として、JFA メディカル © Jリーグフォト ㈱ センターが期待されている。 カーのさらなる強化と発展が求められる中、 1997年に日本サッカー界初のナショナルト レーニングセンター(※1) 、J ヴィレッジ FIFA ゴールプログラムは国際サッカー連 が楢葉町に誕生した。スポーツの発展と地 盟(FIFA)のジョセフ・S・ブラッター会長 域振興に思いをはせていた福島県、東京電 の提案によって 1999年に設置された助成 力(株) 、J リーグ、JFAの相互協力により 制度で、協会本部やテクニカルセンター、 実現した施設だった。 ピッチなどの施設等に対する、FIFA 加盟 その後、 2005年には、なでしこリーグ 協会のそれぞれの施策( FIFA ゴールプロ (日本女子サッカーリーグ)に所属する「 東 ジェクト)に助成し、プロジェクトの達成を 京電力女子サッカー部マリーゼ 」が J ヴィ 支援するための制度だ。財政的に恵まれな レッジを拠点に活動をスタートさせた。翌 いために独自の普及・発展活動ができない 2006年には、JFAが「JFA アカデミー福島」 加盟協会をサポートすることで、各国間の (※2)を開校。現在、男女合わせて 94人 サッカーの基盤を均衡化させ、サッカーを のアカデミー生が寮生活を送りながら活動 普及させたいというFIFAの意図が込めら しており、全 学 年がそろう3 年後 には約 れている。 130人に増えることになる。 2009 年 7月現在、助成を受けている加 J ヴィレッジが軌道に乗るにつれ、各カテ 盟協会は192 協会で、承認された 349のプ ゴリー日本代表チームをはじめとする多く ロジェクトのうち158が完成もしくは進行中 のチームの合宿や各種大会、トレセン活動、 であり、そのほかに 17 のプロジェクトが計 指導者養成講習会など、実にさまざまな活 画段階にある。日本サッカー協会(JFA)が 動が行われるようになった。サッカー以外 1 期プロジェクトとして 「メディカルセンター にもラグビー、テニス、陸上などの各種ス の設立 」の助成を申請したのは 2007年。 ポーツ競技の合宿や研修の場として広く活 JFA が責任を持って運営にあたるという条 用され、 J ヴィレッジはトレーニングセン 件で承認された。FIFAゴールプログラムと ターとしての機能を十分に発揮してきた。毎 しては世界初のメディカルセンターであり、 年多くの利用者が集うようになったことで それだけに FIFA の注目も期待も大きい。 楢葉町を含む双葉郡地区の活力にもなった。 7月17日に J ヴィレッジで開催された JFA メディカルセンターの事業概要の記者会見 Jヴィレッジに希求された で田嶋幸三 JFA 専務理事は「1997年に J スポーツ医療機能 ヴィレッジが誕生したときには既に医療施 JFA メディカルセンターの設置は、JFA 設ができることを想定していた。やはり、J にとって12 年越しの悲願だった。 ヴィレッジのような施設に医療施設がある 1993 年 5月、J リーグが開幕。日本サッ ことは必須だった」と振り返った。しかし、 FIFA ゴールプログラム 初のメディカルセンター 50 当時それが実現できなかったのは、採算が 取れるかどうかという切実な問題に直面した からだった。 ところが、J ヴィレッジの活性化に伴い、 医療機能の整備は急務となった。大会や合 宿で選手が怪我をした場合、医療機能が備 わっていない J ヴィレッジでは適切な処置が できず、近隣の病院などに輸送しなければ ならない状況にあったからだ。しかも楢葉 町には MRI(※3)のある医療機関がないた め、時には遠方まで輸送して処置せざるを 得なかった。2002年 FIFA ワールドカップ 前の日本代表の合宿時には、重度の怪我を 負った選手にM R I 検査を受けさせるため、 東京の病院まで送り届けたこともあったと いう。そのほか、Jヴィレッジ周辺地域では 住民の高齢化が進み、健康増進や地域医療 の充実が求められたことも J ヴィレッジに 医療機関を置くに至った理由に挙げられる。 2007年、JFAはこの背景を受けて、福島 県、楢葉町、J ヴィレッジとともに、ナショ ナルトレーニングセンターとしての機能をさ らに充実させるため、メディカルセンターの 設置について検討をスタートさせた。その 結果、お互いに協働して設置、運営するこ ととなり、さらに FIFA ゴールプログラム の援助も決定して具体的な準備が進められ た。 ※ 1:選手の育成・強化および指導者、審判養成等 の拠点となる施設。 ※ 2:サッカーを越えて国際基準で社会をリードして いける人材を育成するためにJFA が開校した ロジング形式による中高一貫教育。 ※ 3:MRIは磁器共鳴画像法の略。磁器を利用して 体内を縦横に撮影できる医療機器。 社会的価値のある 施設を目指す プロジェクトに着手して 2 年が経った今 年、JFAが「悲願だった」とした JFAメディ カルセンターの落成式が 7月 17日に J ヴィ レッジで行われた。 MR Iは、国内 1号機となるオープン型 MRI を導入。横向きの姿勢や関節を曲げた状態 などでも撮影できるため、被検者への負担 が軽減される。この MR I の導入は、整形外 科だけではなく、地域医療にも大きく貢献 できると JFAでは期待を込めている。 JFA メディカルセンターは、 「JFA2005 年宣言」の実現に向けて欠かせない事業の 一つでもあるため、 事業理念には “地域社会、 日本社会におけるスポーツ文化の醸成に寄 与” し、ひいては “国際社会に貢献する” ことが掲げられている。そして、この理念 に基づき、3つの事業『スポーツ医療事業』 『 研究・普及事業 』 『 地域医療事業』を展開。 合宿や大会時に怪我をした選手のケアはも ちろん、地域で整形外科を必要とする人々 の健康をサポートするほか、スポーツの競 技力向上や障害予防などに関する研究も進 め、その成果を全国へと発信していく方針 だ。JFA メディカルセンターには、スポー ツ医科学のあらゆる分野での貢献が期待さ れている。 能とともに、J ヴィレッジで行われる合宿や 田嶋専務理事は「世界ではスポーツを中 心とした医療が日本よりも進んでいる。逆 に日本ではそういった機関が皆無に近い。 その中でわれわれは(スポーツ医療機関の) 先駆者になるべき」だと、JFA メディカル センターが担う役割を再確認した。 JFA は、J FA メディカルセンターが『ア ジアそして世界に向けたスポーツメディカ ル研究の発信拠点 』として、国内にとどま らず海を越えて国際社会に貢献できる施設 になると確信している。すべてのスポーツ 医療施設のモデルとなるよう、日本が世界 に誇れる価値あるスポーツ医療施設を目指 す。 フィジカルチェックやメディカルチェック、 さらにはさまざまなリハビリプログラム等を 通じて蓄積したデータ等の分析・研究を進 め、競技力向上や障害予防等に関する情報 を全国に発信していくことを促進していき たい。これらはサッカーのみならず他競技 の発展のために必要不可欠なことであり、 今後は FIFAやAFC 等と連携を強化するこ とで各国のスポーツ医科学の発展にも寄与 したいと考えている。 8月 1日、JFAメディカルセンターのオー プンとともに、JFAの新たな挑戦がスター トを切った。今後は、上記の研究・発信機 大会等における選手の怪我の診察や治療を 速やかに行い、専門的な医療サービスが提 供できることで、J ヴィレッジのスポーツ施 設としての機能がさらに高まることが期待 される。 リハビリテーションルーム © Jリーグフォト ㈱ 国内 1 号機となるオープン型 MRI © Jリーグフォト ㈱ JFA メディカルセンター概要(抜粋) <理念> 人々が健康な心身で生活していくこと、そしてスポーツにおいてパフォーマ ンスをいかんなく発揮することを、医科学の分野から積極的に支えること により、地域社会、日本社会におけるスポーツ文化の醸成に寄与します。 スポーツ医科学の新たな役割を創成し、日本からアジア、そして世界に発 信し、国際社会に貢献します。 <事業内容> (1)スポーツ医療事業 ① 施設利用者への医療サービス ②施設を利用したリハビリプログラムの実施 ③専門性の高いスタッフ(ドクターやトレーナー )によるプログラムの 実施 (2)研究・普及事業 ①スポーツ医科学の研究拠点として幅広い測定、分析、研究の実施 ②スポーツ医科学における研究、調査の受託 (3)地域医療事業 ①地域住民への整形外科医療の貢献 ②地域医療機関との連携 ③地域医療+運動療法を取り入れた予防・治療等の実施 <施設・設備> 施設整備主体 楢葉町 ※スポーツ医療診療所として整備し、 (財)日本サッカー協 会へ貸し付ける。 運営主体 (財)日本サッカー協会 建設地 福島県双葉郡楢葉町大字山田岡字美シ森 8 番 敷地面積 2,036.57㎡ 延べ床面積 517.40㎡ 構造規模 木造一部鉄骨造 平屋建 諸室内容 診察室、処置室、検査室(X 線、MRI) 、リハビリテーション、 研究室ほか 主たる機器 MRI(OASIS、日立メディコ) 、X 線、バイオデックス、 呼吸ガス分析装置 ※日立メディコの OASIS は日本の 1 号機となる。開放 型のオープンデザインの MRI となっており、閉所の 恐怖感や不安感をやわらげながら、自由な体位で撮像 できることが特徴となっている。 <診療体制> ・ 一般外来診療〔午前〕 地域への医療活動として、休診日を除き午前を一般外来診療日とする。 ・ 予約外来診療〔午後〕 アスリート向け診察として、休診日を除き午後を予約診療日とする。 ・ 地域医療 前述のほか、アスレティックトレーナーらによる地域巡回、派遣を実施 する。地域巡回や派遣を通じて、老人会や各学校の運動部、各種団体活 動等への訪問、アドバイスやプログラムを実施する。地域巡回や派遣活 動での相談は、傷害予防やケガの早期発見のきっかけの場と位置づけ、 アスリートや住民の健康維持管理に積極的にかかわっていく。 51 性別 男子 女子(※) チーム 年齢 成人 U-19 U-17 U-15 U-13 U-11 U-9 U-7 成人 U-18 U-15 19歳以上 17、 18歳 15、 16歳 13、 14歳 11、 12歳 9、 10歳 7、 8歳 6歳 18歳以上 15、 16、 17歳 13、 14歳 フランスの 特集② 育成年代における 試合環境 ※女子はU-13までは男子と同じカテゴリー分けで活動 図2.U-13リーグのグループ分け方法 前半リーグ (地域性を考慮した任意のグループ 分け。 各グループ10チームほど) 後半リーグ (前半リーグの成績から レベルごとのグループ分け) 【報告者】松原英輝 (上位リーグ) ( 2004年渡 仏。Dijon FCO U-16 コーチ 上位チーム などを経て、現在は INF Clairefontaine 上位チーム 研 修 中。 フランスサッカー協 会 公 認 中位チーム DEF、UEFA A級ライセンス取得) 上位チーム 下位チーム 1 (中位リーグ) はじめに 現在日本では年間を通したリーグや少人数 制サッカーの導入など、育成年代の試合環境 の向上を目的とした議論、活動が活発に行わ れていると思います。 フランスをはじめヨーロッパ諸国では、育 成年代にも日本の J リーグのような年間を通 したリーグが根付いており、週末ごとに子ど もから大人までそれぞれの年代で試合が行わ れます。これはサッカーに限ったことではなく、 バレーボールやハンドボールなど、さまざまな スポーツで同様の環境が存在しています。ま た、少人数制サッカーに関してはフランスで は40年近く前から取り組まれています。 フランスが 1998年の自国開催の FIFAワー ルドカップで優勝した際に、 エメ・ジャケ監督 は「ワールドカップでの成功は、30 年にわた る努力の成果である。ひとつの国がサッカー で成功するには、ユース育成と指導者の育成 が鍵である」 と若年層育成の成果を挙げました。 そしてその後も育成環境をより良いものとする ためにさまざまな施策が講じられています。今 回は、フランスの育成年代における試合環境 について、私自身のフランスでの体験も踏まえ ながら紹介します。 2 フランスのサッカー環境 まず簡単にフランスでのサッカーの位置づけ、 取り組まれ方について触れておこうと思います。 フランスでは、ツール・ド・フランスで有名なサイ クリング、 ロラン・ギャロスで有名なテニスなど、 サッ カー以外にも多様なスポーツに関心が持たれて います。しかし、他のヨーロッパ諸国同様にそ の中でもやはりサッカーの人気は圧倒的に高く、 スポーツ紙ではサッカーに大きく紙面が割かれ、 協会登録者数は約 232万人(2007年)に上 り、2位テニスの約 109万人 (2007年)を大き 52 上位チーム く上回っています。日本の協会登録者数は約 表1. クラブ内年齢カテゴリーごとの 上位チーム 中位チーム チーム構成 131万人(2008年)ですが、フランスの総人 性別 チーム 年齢 中位チーム 口(約 6,200万人)が日本( 約1 億 2,800 万 中位チーム 成人 19歳以上 人)の半分程度であることを考慮すると、そ 下位チーム 中位チーム U-19 17、18歳 の数はたいへん大きいものだと言えます。 ・ U-17 15、16歳 ・ ・ ・ 学校の部活動が盛んな日本とは違い、フ U-15 13、14歳 ・男子 ・ U-13 11、 12歳 ランスの青少年は地域クラブに入ってサッ ・ (下位リーグ) U-11 9、10歳 ・ カーを行います。 クラブには年代ごとにチー U-9 7、8歳 下位チーム ムがあり、育成年代は、U-7(6歳) 、U-9(7、 上位チーム U-7 6歳 成人 18歳以上 中位チーム 下位チーム 8歳) 、U-11 ( 9、 10歳) 、U-13(11、 12歳) 、 U-15 U-18 15、16、 17歳 女子(※) (13、14歳) 、U-17(15、16歳) 、U-19(17、 下位チーム 下位チーム U-15 13、14歳 18歳) と基本的に 2 歳ごとの年齢カテゴリー ※女子はU-13までは男子と同じカテゴリー分けで活動 に分けられています。19 歳以上は成人チー 図1.フランスのリーグ構成 ムに所属します (表 1参照 ) 。 成人のリーグ そして、育成年代でもプロと同じように プロ1部リーグ (20チーム) 図2.U-13リーグのグループ分け方法 インシーズンとオフシーズンが存在します。 シーズンは 9月にスタートし、翌年の 6月ご 前半リーグ ろに終了します。U-11カテゴリーまでは半 (地域性を考慮した任意のグループ 分け。 各グループ10チームほど) 公式戦のような交流試合が定期的に組まれ、 U-13 カテゴリー以上になると、シーズンを 通したリーグを戦うことになります。リーグ 上位チーム の合間にはトーナメント形式のカップ戦にも 参加します。 中位チーム それでは以下でもう少し詳しくフランス育成 下位チーム 年代の試合環境について触れていきます。 3 フランスのリーグ環境 プロ2部リ後半リ ーグ (20チーム) ーグ (前半リーグの成績から レベルごとのグループ分け) 3部リーグ: (上位リ 4部リ ーグ:ーグ) アマチュア全国リーグ 上位チーム 5部リーグ: アマチュア 上位チーム 全国リーグ2部 上位チーム 州リーグ: 州により2 ∼ 4部 リーグほど存在 (中位リ ーグ) 県リーグ: 県により2 ∼ 5部 上位チーム 中位チーム リーグほど存在 中位チーム11歳∼ 18歳のリーグ 図 1 はリーグ構成を簡単にまとめたものです。 下位チーム 各年齢カテゴリーでピラミッド型にレベル分け さ れたリーグが、年間(約 9カ月) を通して行われ ・ ・ ます。 対戦は 10 〜14 チームによるホーム& ・ アウェイ形式で行われ、最終順位によって次 ・ ・ シーズンの昇格、降格が決定します。 上位チーム U-13年代は県リーグのみ、U-15は州リーグ 中位チーム まで、U-17とU-19 ではナショナルリーグまで 組織されています。ナショナルリーグは、フラ ン 下位チーム ス全 土を U-17 では 6 つ(6 ×14 チーム) 、 U-19では 4 つ(4 ×14チーム)の地域に分 図1.フランスのリーグ構成 成人のリーグ プロとアマチュア混在 次年度 順位に 一から 中位チーム ナショナルリ ーグ:U-19と 中位チーム U-17カテゴリーのみ。 ・ フランス全土を前者は4地域、 後者は6地域に分けて実施。 ・ ・ 州リーグ:各州で (下位リ ーグ) 2 ∼ 5部リーグほど存在。 (U-15、 U-17、U-19) 下位チーム 下位チーム 県リーグ:各県で 2 ∼ 5部リーグほど存在。 (U-13、U-15、 下位チーム プロ1部リーグ (20チーム) U-17、 U-19) 表3.少 試 年齢カテ U-19 U-17 U-15 U-13 U-11 U-9 U-7 成人 U-18 U-15 男子 女子 (※) 17、 18歳 15、 16歳 13、 14歳 11、 12歳 9、 10歳 7、 8歳 6歳 18歳以上 15、 16、 17歳 13、 14歳 特集② フランスの育成年代における試合環境 ※女子はU-13までは男子と同じカテゴリー分けで活動 グの成績に関係なく、次シーズンの前半リーグは またグループを一から組み直すというものです(図 次年度前半リーグは 2 参照 ) 。 順位に関係なく、 U-11 カテゴリー( 9、10 歳)以下では年 一からの組み直し 間を通したリーグは組織されず、県サッカー協 会が週末ごとの対戦日程を組みます。例えば、 10月10日はAクラブのグラウンドに、 Aクラブ、 Bクラブ、 Cクラブ、 Dクラブの 4クラブが集まっ て総当たり形式の試合を行うというように、県 内のいくつかの場所で同様の試合が計画され ます。翌週はまた別の場所でチームの組み合 わせを変えながら行うという方法で、年間を通し て定期的に交流試合が組まれます。 この年代でのこのような試合形式は「リーグ」 ではなく、 「Plateau」 (プラトー。直訳すると「ト レー、テーブルなど」 )と呼ばれています。なお、 U-11 以下は、U-7(6 歳) 、U-9(7、8 歳) 、 U-11( 9、10歳 )の 3 つのカテゴリーに分か れて活動します。 少し付け加えると、2年ほど前からは各県サッ カー協会内に「小学生年代サッカー活動技術 委員 (Conseiller Technique d'Animation) 」 という12 歳以下のサッカーの発展、試合日程 調整、コーチ養成などを担当する専門ポスト が設置され、この年代のサッ カー環境をより 表3.少人数制サッカーにおける 試合形式と目的の段階的な発展 充実させるために力が注がれています。 各年代ごとの大会ガイ ドラインは表 2 をご 年齢カテゴリー 試合形式 目的 参照く だ さ い。 ・できるだけ多くの子どもたちの 図2.U-13リーグのグループ分け方法 前半リーグ (地域性を考慮した任意のグループ 分け。各グループ10チームほど) 後半リーグ (前半リーグの成績から レベルごとのグループ分け) (上位リーグ) 上位チーム 上位チーム 中位チーム 上位チーム 下位チーム 上位チーム (中位リーグ) 上位チーム 中位チーム 中位チーム 中位チーム 下位チーム 中位チーム ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ (下位リーグ) 上位チーム 下位チーム 中位チーム 下位チーム 下位チーム 下位チーム 図1.フランスのリーグ構成 成人のリーグ プロ1部リーグ (20チーム) プロ2部リーグ (20チーム) 3部リーグ: プロとアマチュア混在 U-7、U-9 (6 ∼ 8歳) 4部リーグ: アマチュア全国リーグ 5人制 5部リーグ: アマチュア 全国リーグ2部 州リーグ: 州により2 ∼ 4部 リーグほど存在 U-11 (9、10歳) 県リーグ: 県により2 ∼ 5部 リーグほど存在 7人制 11歳∼ 18歳のリーグ プレー機会の確保 ・サッカーとの出会い、 さまざまな気づき ・祭典、 パーティーの 精神を優先 ・運動能力、 知的能力、 感情の 発達過程への刺激 ここまで紹介してきたように、フランスではレ ・勝敗を気にせずに ベル分けされた リーグが組織されているため、 プレー を優先 4 多くの選手が試合を 楽しめる環境 ・できるだけ多く の子どもたちの 勝敗に関係な くどのチームも年間最低 20 試 プレー機会の確保 合ほどの公式戦を経験することができます。 ・5人制サッカーから9人制 サッカーへの移行の促進 以下にさらに 4 点、フランスの育成年代の ・地域(zone) やポジションの 選手たちを試合に参加しやすくしている条件 概念への気づき ・チームプレーの向上 を挙げたいと思います。 ・基本的なルールの理解 ・できるだけ多くの子どもたちの ①自由な選手交代。最近日本でもとり入れら プレー機会の確保 ・7人制サッカーから11人制 れていることですが、U-17 と U-19 年代 サッカーへの移行の促進 のナショナルリ ーグを除き、ベンチに退いた ・より合理的なポジショ ンバランスの カーの促進 U-13 けて行われ、リーグ終了後は全国優勝を決定 格、 降格制度が廃止となりました。 それと同時に、 とれたサッ 選手が何度で もゲームに復帰するこ とが認 州リーグ:各州で 9人制 ・各ライン間(DF-MF-FW)の (11、12歳) 2 ∼ 5部リーグほど存在。 するために各地域 1位チーム同士の対戦によ レベルの拮抗したチーム同士の試合を確保する められています。 より良いバラ ンスの確保 (U-15、 U-17、 U-19) るファイナルステージが設けられています。 ための工夫も施されています。例えば、1シーズ ・サイドプレーの向上 ・攻撃的なプレーの促進 また、プロクラブや一部の強豪アマチュアク ンを2 つ(前半リーグと後半リーグ)に区切り、 (より多く ②Bチームのリ 県リーグ:各県で のシュート) ーグ参加。B チームは最高で 2 ∼ 5部リーグほど存在。 ・状況に応じた個人プレー、 ラブは U-15 年代まで 1歳区切りでチームを持 前半 リ ー グは地域性を考慮 し な が ら任意の グルー Aチームの 1 部下のリーグでプレーすること (U-13、 U-15、 集団プレーの向上 表2.各年代の大会ガイドライン U-17、U-19) ち、それらのクラブ間での U-14(13 歳)リー プ分け(各グループ 10 チームほど)によるリー ナショナルリーグ:U-19と U-17カテゴリーのみ。 フランス全土を前者は4地域、 後者は6地域に分けて実施。 男子 グも組織されています。 グを行います。その順位に基づき、後半リーグ 登録選手 ゴール ボール 試合形式 ピ ッ チサイ ズ U-13リーグに関 しては、過度の勝利至上主 はあらためて上位リ ー グ、中位リー試合時間 グ、下位リー サイズ サイズ (登録) (交代) 義を防ぐ グなどを構成し直して行います。そして後半リー U-19 ため、昨シーズンからシーズンごとの昇 U-17 U-15 U-13 U-11 (※) 11対11 14人(※) 自由 9対9 7対7 自由。 フルコート 通常 半コートもしくは、 幅6m、 縦50〜75m × 横40〜55m 高さ2.1m 5号球 4号球 45分×2 40分×2 30分×2 最大50分 or 25分×2 ができます。例えば、A チームが州 1 部リー グに所属している場合、最高で州 2 部リー グに所属することができます。また、シーズ ン中に A チームと B チームのメンバーを入 53 こととなります。また、コーチに加えて最低 1 人の大人がチームに帯同することが義務づけ られているなど、フランス育成年代のリーグは 父兄の協力によって支えられていると言って も過言ではありません。このことは昨年、私 がコーチをしていた Dijon FCO のユースディ レクターが言った次の言葉に集約されている と思います。 「コーチ陣、選手たち、そして父兄、私たちは 良いサッカー環境をつくるためのパートナーで、 それぞれの努力が必要です」 。 U-9の練習試合の様子 れ替えることも可能です。クラブは各年齢 カテゴリーで選手数に応じたチーム数を組 み、リーグに登録することができるので、 選手は誰もがそれぞれのレベルに合った試 合に出場するチャンスがあります。 ③他クラブへの移籍。 地域クラブ主体の環 境が移籍を容易にしている一つの要因であ ると思いますが、選手は 1 シーズンごとに、 自分が出場できるより高いレベルのチーム を求めて移籍することができます。 ④ 2 歳ごとの細かい年齢カテゴリー分け。 ただし、複数チームをリーグ参加させるこ とや、年齢カテゴリーを細かく分けるためには、 それに応じたコーチの数が必要となります。 フランスではこれは多くのボランティアコーチ によって支えられていると言えます。フランス の場合、安全面や指導環境の質を保つとい う点から、基本的にコーチ 1 人に対して選 手は 20名前後となっており、選手の数に応 じてコーチを増やします。中にはサポートコー チとして、試合だけを担当するコーチもいま す。また、選手が多くなり過ぎるときは、それ 以上受け入れずに他のクラブを勧めることも あります。 を保ちやすい要因となっています。 ホームゲームに関しては、選手の家族や 友人、地域の子どもからお年寄りまでさまざま な人々が観戦に来ます。 強豪チームとの対 戦となると応援の数も増え、小さな運動会に でも集まったかのような雰囲気となります。規 模の大小はありますが、クラブハウスのバー もオープンし、ハーフタイムや試合後はそこで 一杯やりながら地域の人々の交流の場とも なっています。 アウェイゲームは、相手チームの観客の前 でプレーしなくてはいけません。 会場の雰囲 気、グラウンド状態、移動など、普段の慣れ たホームとはまったく違う条件で、選手もコー チもパフォーマンスを発揮することに集中しな ければなりません。 ここで選手の父兄のことにも少し触れてお きたいと思います。アウェイゲームの移動で は、州リーグにおいては車で片道 3 時間かけ て日帰りの試合もあります。U-17 や U-19 のナショナルリーグにおいては片道 4 時間以 上の試合もあり、泊りがけで移動することもあ ります。予算のある大きなクラブであればバス を借りることもできますが、それができない多く のクラブはコーチや父兄の車数台で移動する 6 12歳以下は少人数制サッカーで テクニックを磨きながらゲームを楽しむ 12 歳以下カテゴリーの活動に関しては、フ ランスでは「Ecole de Foot」 (エコル・ ド・フッ ト。直訳すると 「サッカー小学校 」) と呼ばれ、 子どもたちにサッカーの楽しさに触れさせるこ とが一番の目的となります。 試合方式は少人数制となり、フランス全 土で U-7( 6 歳)と U-9( 7、8 歳)では 5 人制、U-11 ( 9、10 歳)では 7人制、U-13 (11、12 歳)では 9人制サッカーが行われま す。この年代の少人数制サッカーのメリットと して「通常の 1 つのグラウンドをいくつかに 区切って活動することで、一度により多くの 子どもたちをプレーさせることができること(例 えば、11 対 11のサッカーでは 22人しかプ レーできないが、7 人制サッカーだと 1 つの グラウンドで 28人までプレーが可能。5人制 ではもっと多くの子どもをプレーさせることがで きる) 」、「ボールに触る機会が増え、特にテ クニック面の向上に効果的であることと、戦 術的な要素にもより多く触れられること」が 挙げられます。 フランスで少人数制サッカーが創設される きっかけとなったのが、1960年代のフランス サッカーの低迷でした。その解決策の一つとし 5 ホーム&アウェイ ホーム&アウェイは、シーズン前半で全チー ムとの対戦をまず一巡し、後半に同じ相手と リターンマッチを行います。2 度の対戦の間 には約 4 カ月空くため、チームの力関係が変 わっていることがあります。シーズンを通してよ り成長したチームがリターンマッチで順位を上 げることができます。このことは選手にとって も、コーチにとっても継続したモチベーション 54 U-17 ナショナルリーグの試合より 特集② フランスの育成年代における試合環境 表3.少人数制サッカーにおける 試合形式と目的の段階的な発展 年齢カテゴリー 試合形式 U-7、 U-9 (6 ∼ 8歳) U-11 (9、 10歳) U-13 (11、 12歳) 目的 5人制 ・できるだけ多くの子どもたちの プレー機会の確保 ・サッカーとの出会い、 さまざまな気づき ・祭典、 パーティーの 精神を優先 ・運動能力、 知的能力、 感情の 発達過程への刺激 ・勝敗を気にせずに プレーを優先 7人制 ・できるだけ多くの子どもたちの プレー機会の確保 ・5人制サッカーから9人制 サッカーへの移行の促進 ・地域 (zone) やポジションの 概念への気づき ・チームプレーの向上 ・基本的なルールの理解 9人制 ・できるだけ多くの子どもたちの プレー機会の確保 ・7人制サッカーから11人制 サッカーへの移行の促進 ・より合理的なポジションバランスの とれたサッカーの促進 ・各ライン間 (DF-MF-FW) の より良いバランスの確保 ・サイドプレーの向上 ・攻撃的なプレーの促進 (より多くのシュート) ・状況に応じた個人プレー、 集団プレーの向上 て、 1972年にジュニア年代での7人制サッカー が誕生しました。その後、子どもの発達段階 により適したサッカーとして1982年に U-8 で の 5 人制、1996 年に U-12 での 9人制が 導入されました(今シーズンからは U-9で 5人 制、 U-11で7人制。U-13で9人制へと変更) 。 5人制、7人制、9 人制と発展的にサッカーを 学習し、11人制サッカーへと効果的に移行し ていくことが意図されています(表 3 参照) 。 7 リーグと並行して 行われるカップ戦 フランスでは各年代ごとのカップ戦も行われ ています。カップ戦とは、規模の大小はあり ますが、日本の全国高校サッカー選手権のよ うなトーナメント形式の大会です。 全国規模 の大会は U-19 と U-13 年代で行われ、他 のカテゴリーでは、州リーグ所属チームには 州のカップ戦、県リーグ所属チームには県の カップ戦が存在し、リーグと並行してこれらの カップ戦が進められていきます。 例えば、最も伝統ある大会として 1954 年創設のガンバルデラカップというU-19 年 代の大会があります。日本の天皇杯に当た る「フランスカップ(Coupe de France) 」 という成人の大会があるのですが、ガンバル U-11 の試合より U-11 の試合より デラカップはその U-19 年代版と言えます。9 月のリーグ開幕とほぼ同時期に地方レベルの 1 回戦がスタートします。 選手はリーグの合 間にカップ戦を並行して戦い、決勝戦は毎 年 5 月ごろにフランスカップ決勝の前座試合 として、スタッド・ ドゥ・フランス(フランスナショ ナル競技場)で行われます。昨年はモンペリ エ U-19(プロ 1 部リーグ)がナント U-19 (プ ロ 2 部リーグ)を破って優勝しました。 また、リーグやカップ戦以外の活動や試合 も行われています。フランスの学校は 1 週間 〜 2 週間単位のバカンスが年に数回ありま す。そのバカンス期間には、選抜チームの 活動が行われたり、クラブで日本のフェスティ バル大会のような小さな大会に参加したり、 練習試合を組んだりします。 8 まとめに代えて フランス育成年代の試合環境について、 主な現状と特徴を紹介しました。リーグを中心 とした試合環境が組織されているジュニア年 代ではそれぞれの発達段階に配慮した 3 段 階の少人数制サッカーが体系化されているこ となど、発展的にサッカー技能を学習しなが ら、年齢やレベルに応じて多くの選手がサッ カーを楽しめる環境が整備されていると言える と思います。 このような充実した試合環境をつくり 出す要因は何かと考えていたとき、フラン スサッカー協会( FFF)が配布する小学生 年代指導ガイドブックの巻 頭に記された 「ESPRIT DU FOOTBALL(エスプリ 」 ・ドュ・ フットボール。直訳すると「サッカーのエ スプリ、 精神」)という言葉に出会いました。 その横に載せられている詩を一部翻訳する と次のような内容です。 「ピンチを防いだ、シュートを決めた、優勝カッ プを掲げて勝利の喜び…その通りさ、うまい、 下手なんて関係なく、僕たちみんなの心を揺 さぶるあこがれのシーンさ。このあこがれこそ がプロもアマチュアも関係なく、僕らをそれぞ れの挑戦へと突き動かすんだ…」。 詩はもう少し続くのですが、つまり、うまい 下手は関係なく、誰もがそれぞれのレベルで サッカーの持つあらゆる価値を享受することが できるということをうたっています。これが ESPRIT DU FOOTBALL であると思われま す。この ESPRIT の共有こそがフランスの 試合環境をつくり出している源ではないかと 思います。 55 JFA エリートプログラム 活動報告 JFA エリートプログラム U-14 (2009 年 9月23日〜 27日/青森県岩木山総合運動公園) この JFA エリートプログラム U -14 は、 スポーツ振興くじ助成金を受けて実施しています。 2009年度第 2 回 JFA エリートプログラム U-14 キャンプを 9 月 23日〜 27日に青森県岩木山総合運動公園で行った。今回のキャン プは、ピッチ外カリキュラムを含め、トレーニングを中心に 2 試合 のトレーニングマッチを挟んで行った。 トレーニングマッチは、高校生との体力差、速いプレッシャーか ら課題の意識づけを目的に野辺地西高校 2 年生と、そして地域のト レセンとの交流とトレーニングの確認を目的に青森県 U-15トレセ ンとそれぞれ対戦した。 1. キャンプのテーマ “質の高い選択肢を創る・相手の選択肢を奪う” を 大テーマにして、『 常に 関わる!』 動きながらのスキルの徹底 ポゼッション(ギャップの理解) ボールを奪いに行く 自己分析(自分を知る) <攻撃> ①切り替えスピード( 広がりのある立ち位置) …常にゴールから逆算する ②観ておく(状況把握)→ 観る(状況判断) …選択肢を増やす(よりゴールを目指すポジション) ③アクションを起こす(パス&ムーブ・関わる) 、変化を起こす(ス ペースをつくる) <守備> ①切り替え( 攻 撃 から守備 ) …原則のポジション ②奪いに行く姿勢 …ボールに近い者から(チャレンジとカバー) ③選択肢を奪う …ボールを中心に守備の塊を素早くつくる。 2. ピッチ外カリキュラム ①ロジカルコミュニケーションスキルは、U-13 より継続して行っ ている。継続してキャンプに参加している選手は、物事を整理し て思考する習慣が身につき始めている。今回は、特に「説明のス キル」に特化してレクチャーをした。 ②グループワークではテーマを与えて、グループごとに調査し、発 表準備を行い、模造紙、写真などを用いて発表した。コミュニケー ションスキルの延長上にあるこの発表では、グループ全体がより 良い発表をしようと協力して取り組んでいた姿がすばらしかっ た。 56 【報告者】 足達勇輔 ( JFA エリートプログラム U-14監督) 3. キャンプの成果と課題 (1)食事面 食事面では、キャンプごとに質と量を確保するために選手の食事 への意識改革に取り組んでいる。 食の細い選手が多く、量を取ることにストレスを感じる者が多く いたが、たった 5日間でも食べることの大切さを理解して積極的に 取り組む姿が印象的であった。しかし、箸を使えない、水を飲みな がら噛まずに飲み込んでしまうなど、食事マナーにも課題が見受け られた。家庭を交えての早い年代からの改善が今後も大切だと感じ た。 (2)トレーニングについて 攻撃面では、すべてのトレーニングで動きながらの技術、動きな がら観て判断することを重視して取り組んだが、5日間のトレーニ ングでもボールを動かしながら人も動き、パスをした後も動きを続 けることはかなり表現できるようになってきた。また、ボールに多 くの選手が関わりながらの「組み立て」も同時に質が向上した。ボー ルを受けるためだけに動いていた選手が、前を向くこと、しかけて 変化を起こさせることなど、相手を意識した判断ができるように なってきた。その中で最後の突破の場面でのスピードアップと精度 は、今後の課題である。1 回目のキャンプ同様に動きながら意図の あるコントロールから精度の高いパスという技術にはかなりの向上 が見られたが、全体的にまだ課題が残った。どうしてもプレーのス タートがドリブル主体になってしまい、足元にコントロールしてか らプレーすることがテクニックという勘違いが多く、ファーストタッ チから意図のあるプレーを表現できない選手が多かった。彼らの将 JFA エリートプログラム活動報告 来を考えると今の時期に動きながら観る、判断する、コントロール する、またはパスをする、ドリブルをするといったテクニックを磨 いておかなければならないとあらためて強く感じた。 切り替えの場面では、流動性を持ちながら攻撃した後の守備への 切り替えも格段に速くなってきているが、正確な守備の原則のポジ ション理解などまだ全体として課題が残っている。 守備面では、ボールを奪いに行く姿勢はまだ習慣になっていない 選手が多いが、促すと 1 回目のキャンプに比べて反応が早く、すぐ に連動して奪いに行くこともできるようになってきている。このこ とが、トレーニングの質を高めてくれた。普段と異なるポジション でプレーすると特にカバーリングの習慣が身についていない印象を 受けた。ポジションが変わっても守備の基本であるチャレンジとカ バーは習慣として身についていないと攻撃のトレーニングの質も向 上してこないため、ぜひ非常に重要な個人戦術として身につけてお いてほしい。 トレーニングに臨む姿勢については、日本における選抜チームの 大きな課題が、 「集合初日から力を発揮できない」選手が多いこと を伝え、取り組みを促したところ、1 回目のキャンプよりも意識を 高く、そして非常に積極的に最初のトレーニングより取り組むこと ができていた。 4. まとめ 1 回目のキャンプに参加した選手と初めて参加した選手の間では、 スキルへの意識の差が顕著であった。ナショナルトレセン、エリー トプログラムと継続した取り組みが選手の成長を促していることを あらためて確認できたキャンプであった。“スポンジが水を吸うよう に” 吸収力の高いこの年代に触れるにつけ、この年代での取り組み が彼らの将来を決定してしまう怖さもあらためて感じた。将来に向 けて「良い習慣」を最優先してトレーニングしていってほしい。 今回のキャンプは、選手の強化、育成が目的であると同時に地域 指導者へのプログラムの発信をもう一つの目的に前回は関西地域、 今回は東北地域で行ったが、選手のパフォーマンスやトレーニング、 ピッチ外カリキュラムを研修に訪れる東北圏の指導者が少なかった ことは残念であった。唯一、青森県トレセンのスタッフは、トレー ニングの視察、ミーティングへの参加など積極的にかかわっていた だいたことにより、あらためてベクトルの確認ができたとの感想も 聞けた。地域差がなくなってきたように見えるが、それは選手のポ テンシャルに関することであり、選手のプレーの質にはまだまだ差 があることは認めざるを得ない。この差は、特にゲーム環境と指導 者の質を上げることによってのみ埋めていくことができるのではな いだろうか。 最後にキャンプを円滑に質の高いものにするためにご尽力いただ いた、 リベロ津軽の佐藤氏、 青森 FA の方々にあらためて感謝します。 ゴールキーパー報告 【報告者】望月数馬(ナショナルトレセンコーチ) 1. 参加選手 ●置田竣也(セレッソ大阪 U-15) 1995 年 1 月 17 日生 182cm / 71kg ●阿波加俊太(コンサドーレ札幌 U-15) 1995 年 2 月 7 日生 183cm / 72 kg 2. ゴールキーパーテーマ ●積極的なゴールキーピング ●良い準備(ポジショニング、観る、構えなど) ● DFとのコミュニケーション&コンビネーション ●効果的な攻撃への参加(パス&サポート、ディストリビューション) 3. 総括 トレーニングの流れとしては、フィールドプレーヤー(FP)と同 様にパス&コントロール、ポゼッションなどを行い、その後 GK ト レーニングを行い、再び FPと合流する流れであった。GKトレー ニングの内容としては、シュートストップ、ブレイクアウェイ、ク ロスを行った。 シュートストップにおいて、キャッチングは安全確実につかむこ とができていた。その中で、自分の判断でつかむのか弾くのかを考 えてプレーすることができていた。課題としては、構えるタイミン グが遅れることでプレーの方向が後傾したり反応が遅れることが あった。 ブレイクアウェイでは、ボールを奪う優先順位を考えながらプ レーすることができ、スルーパスや相手のコントロールが大きく なった所へ判断良く飛び出して奪うことが多かった。しかし、GK の前に大きなスペースがあり、DF 背後へ縦方向のボールが出たと きの判断が中途半端になることがあった。素早く状況を把握して的 確な判断ができていなかった。 クロスにおいては、状況に応じたポジションをとることができ、 広い範囲を守る意識が高かった。課題としては、パンチングの技術 とゴールライン近くからゴール前へ低いクロス(プルバック)の状 況のときの対応である。 攻撃への参加に関しては、 パス&サポート、 ディストリビューショ ンともに、まず攻撃の優先順位を考えてプレーできていた。その中 で、多くの選択肢を持つことができ、効果的にパスを繰り出せる場 面が多々あった。 ゲームの中では、常に GK も試合に関わり続ける中で、良い準備 を意識する姿勢が見られた。状況に応じて適切なポジショニングを とり続け、状況把握するために観る意識も高かった。今後の課題と しては、組織的に守備をするために、より具体的なコーチングをす ることやリスクマネジメントである。 57 JFA エリートプログラム〔女子〕 トレーニングキャンプ JOC 日韓競技力向上スポーツ事業 1. 日時・場所 2009 年 9月19日〜 23日/ J ヴィレッジ 2. スケジュール 9月19日 集合・フィジカルチェック・トレーニング ロジカルコミュニケーションスキル 20日 トレーニング レクチャー「 運動・休養・食事 ~トレーニングの3本柱 」 ゲーム U-14日本女子選抜 0- 0 U-14韓国女子代表 21日 韓国チームと合同トレーニング・フィジカルトレーニング ゲーム分析 JFAアカデミー福島U-15 4-1(2-0)U-14韓国女子代表 22日 JFAアカデミー福島と合同トレーニング レクチャー 「食べるを学ぶ」 ゲーム U-14日本女子選抜 1- 6(1-5) JFAアカデミー福島U-15 23日 ゲーム U-14日本女子選抜 4-1(0-1) U -14韓国女子代表 解散(韓国チームは午後近郊観光・翌日離日) 3. 目的 前年度のAFC U-13ガールズフェスティバルから引き続き、育成 年代の強化、育成、人材発掘を行うとともに、韓国との交流を深め る(この世代は 2012 年 FIFA U-17 女子ワールドカップ世代) 。 4. 内容 今回は初の日韓交流プログラムであり、手探りで進めていった部 分もあったが、U-14 年代の選手がこれから良いサッカー選手になっ ていくために必要な要素に、積極的に取り組んだ。例えばオフ・ザ・ ピッチではコミュニケーションスキル、栄養指導、試合分析、オン・ ザ・ピッチでは韓国、JFAアカデミー福島との交流試合、合同トレー ニングなど、少しタイトな日程と思われたが、なるべく多くとり入 れた。 5. 試合結果 9 月 20 日 vs U-14 韓国 △ 0 -0 9月 22日 vs JFA アカデミー福島 ● 1- 6(1-5) 得点:吉越 9月 23日 vs U-14 韓国 ○ 4-1(0-1) 得点:吉越・隅田・薄田・石井 6. 成果 昨年のAFC U-13 ガールズフェスティバルから約 1 年、今回はJFA 1. 日時・場所 2009 年 10月16 日〜 21日/韓国・坡州(パジュ)ナショナルフッ トボールセンター 58 髙倉麻子 (JFA エリートプログラム女子 U -14 監督) アカデミー福島の選手を除き、全国の各種大会視察などから選手を 選考、約半数は初めての招集となる U-14 の選手を選出した。 約 5日間という限られた時間の中で、 「すべてにおいて積極的に 取り組むこと」 、 「自分を出すこと」を要求した。タイトな日程であっ たにもかかわらず、選手たちは、何事にも積極的に、そして真摯に サッカーに取り組んでいた。特に、グラウンド外での知識(怪我の 予防・対処、栄養)については、その大切さを自分たちで感じ、真 剣に覚えようとしていたし、グラウンド内では、日ごろとは違う選 手とのプレーや要求に、最初は戸惑っている様子だったが、これも キャンプ終盤では少しずつ理解し取り組んでいた。 なかなか自分のプレーを出しきれないように見えた選手たちだっ たが、最後の韓国戦では 0-1から後半に 4 点を奪い、逆転勝ちでき たことは非常に良かったと思う。 7. 課題 各種大会で良いプレーを見せていた選手たちだったが、基本の ボールを止める、蹴る、という部分で、まず雑な印象であった。また、 相手を観てプレーしていないので、良い判断、良い準備がなかなか できず、ゲームの中ではボールがスムーズにつながらない。結果、 良い形で攻撃ができなかった。またディフェンスの部分でも、浮き 球の処理、チャレンジ&カバーがうまくできず、ピンチを多く招い てしまった。特に、JFA アカデミー福島との試合では、上記のよう な部分で差があり、1- 6という結果になった。 ただ、アカデミーの選手は、周りをよく観て、良い判断、準備を するということが習慣化されており、その「 習慣化」されているか いないか、ということが大きな差を生んでいるので、ここで彼女た ちが自覚し、これからトレーニングを積んでいくことで改善されて いくことを期待したい。 8. 総括 今回、総監督として U-16 日本女子代表の吉田弘監督に帯同して いただき、次のU-16 代表につながるアドバイスを多くしてもらっ た。トレーニングでは、良い判断、準備をすることに加え、個人で 突破できる選手、ということもテーマに加えた。先の課題のところ でも書いたが、与えられた練習をただやるのではなく、周りをよく 観て、より良い準備、判断を心がけてプレーすることで、この年代 の選手たちは飛躍的に伸びていくのではないかと思う。 今回のキャンプを彼女たちの刺激として、今後も常に上を目指し て、真剣にサッカーに取り組んでくれたらと思う。 JFA エリートプログラム 〔女子〕 韓国遠征 JOC 日韓競技力向上スポーツ事業 【報告者】 【報告者】 髙倉麻子 (JFA エリートプログラム女子 U -14 監督) 2. スケジュール 10月16日 集合・ソウル:金浦 空港へ トレーニング JFA エリートプログラム活動報告 17日 トレーニング ゲーム U-14日本女子選抜 4- 0(1-0) U-14 韓国女子代表 18日 韓国チームと合同トレーニング KFAハウス訪問・ソウル市内観光 19日 トレーニング ゲーム U-14日本女子選抜 7-0(1-0) U-14韓国女子代表 20日 ゲーム U-14日本女子選抜 3-2(1-0) U-14韓国女子代表 社会見学・パジュ近郊観光(韓国チームは午前で解散) 21日 東京:羽田空港へ・解散 3. 目的 前年度のAFC U-13 ガールズフェスティバルから引き続き、育成 年代の強化、育成、人材発掘を行うとともに、韓国との交流を深め る (この世代は 2012 年 FIFA U-17 女子ワールドカップ世代) 。 4. 選手選考 J ヴィレッジでの国内キャンプは、JFA アカデミー福島の選手を除 き、各地域トレセンや U-15 の各種大会を視察し、なるべく多くの 地域やチームから、将来性のある選手を選考した。 今回の韓国遠征では、JFA アカデミー福島の選手を含め、9 月の キャンプのパフォーマンスから判断し、基本的に中学 2 年生を中心 に選考した。 5. 活動内容 10月16日に集合し、韓国へ移動。21日に帰国した。滞在 5日間 中、U-14 韓国女子代表と3 試合を行い、その他、合同トレーニン グや合同観光を行うなど、積極的に韓国との交流を図った。また、 チームミーティングでは、試合の失点シーンなどから「どのように 守備をすれば良かったか?」などをグループで話し合い、みんなの 前で発表するなど、サッカーの戦術理解とともにコミュニケーショ ンスキルの向上を目指した。 6. 試合結果 10 月 17 日 vs U-14 韓国 ○ 4-0(1- 0) 得点:三宅 2・吉越・乗松 10 月 19 日 vs U-14 韓国 ○ 7-0(1- 0) 得点:増矢 2・井上綾 2・中村み 2・石井 10 月 20 日 vs U-14 韓国 ○ 3-2(1- 0) 得点:増矢 2・中村み 8. 課題 試合は 3 戦全勝で結果としては良かったが、今後、この選手たち が 2012 年の FIFA U-17 女子ワールドカップを目指すことを考える と、プレーの質はまだまだ改善していかなければならない。 ①ボールを蹴る、止める、ファーストタッチコントロールは、動き ながら、また少しスピードが上がると途端にぶれ出す。動きなが らの技術の取得、反復によるレベルアップは、日ごろからこだわっ て意識して練習してもらいたい。 ②ゲームの中で観ている所が、ボールのある所と自分だけになって しまう選手が多い。もっと多くのものを観てプレーすること、グ ラウンド全体を観ておくことを徹底的に習慣化し、その中からよ り良い判断と早い判断を促していきたい。 ③日ごろからしっかり指導を受け、教育もされている選手が多いと 感じたが、自分から動き出し、何かを率先してやりだす選手が少 ないと感じた。常に「指示待ち」で、“誰かがやってくれるだろう” という雰囲気があった。現 U-16 日本女子代表のチームコンセプ トである「観て、感じて、行動する!」は U-14 世代でも強く要 求していきたい。 9. 総括 9月に J ヴィレッジで 4 泊 5 日、10月は韓国で 5 泊 6 日、計 9 泊 11日の日韓交流プログラムは、今年からの初めての試みだったため、 いろいろな点で足りない部分もあったかと思うが、選手の頑張りと 各チームや韓国チームのご協力のもと、なんとか無事に終了するこ とができた。U-13、14 世代の普及・育成は日韓両国のレベルアッ プにおいて必要不可欠であり、また飛行機で 2 時間の距離の隣国な ので、今回のように試合を重ね、よきライバルとして今後も切磋琢 磨していけたらすばらしいことだと思う。 この U-14 世代の選手は、 「自分自身がプレーする」というところ から、少しずつ大人になり、 「チームとして自分を表現する」とい うところに来ている。ピッチ内外で、他者を意識し、感じてほしい と思う。その中で、自分の長所、短所を感じ、何をしなければなら ないのかを自分で考え、行動してほしい。 今回のプログラム参加選手の中から、将来、少しでも多くの「な でしこ」が生まれることを強く願っている。 7. 成果 今回の遠征は前回の J ヴィレッジでのキャンプとは異なり、JFA アカデミー福島の選手を含めた現時点での U-14(中学 2 年中心) のトップレベルの選手を選出した。海外遠征という日ごろと違う環 境、初めて一緒にプレーする選手もいる中で、 「自分自身のプレー をきちんと表現すること」 「他人にも自分の考えを伝えること」を 要求した。選手たちはピッチ内外で前向きに取り組み、真摯にサッ カーに取り組んでいた。 試合では、タイトな日程であったにもかかわらず、全勝すること ができた。韓国の守備にも当たり負けすることなく、ボールを動か しながら、 チームとして、 また「個」の力で得点を奪うことができた。 守備においては、DFのポジションに不慣れな選手もいたが、戸惑 いながらも少しずつチャレンジしてくれた。また、韓国との交流、 チームとしてのグループワークでは、初めは戸惑っていたように見 えたが、時間とともに積極性が増していったように思う。 59 JFA 技術委員会監修関連発行物のご案内 インターネットからも購入できます(クレジットカード決済のみ) 。 楽天市場内「日本サッカー協会 OFFICIAL SHOP」 http://www.rakuten.co.jp/jfa/ JFA 公認指導者資格保有者・ JFA 加盟登録チーム限定 FIFA U - 20 ワールドカップ カ ナダ 2007/ FIFA U -17ワー ルドカップ 韓国 2007 JFA テ クニカルレポート / DVD(※ 1) ¥4,900 2006 FIFA ワールドカッ プ ドイツ大会 JFA テクニ カルレポート /DVD(※ 1、※ 2) ¥5,145 ※ 1.FIFA の映像使用規定(ビデオ化権)により、JFA 加盟登録チー ムおよび JFA 公認指導者資格保有者のみ販売が許可されており、 一般の方への販売は許可されていません。 UEFA EURO 2004 JFA テクニカルレポート /DVD は販売を終了 しましたが、一部の CD ショップまたは書店で購入可能です。 どなたでも購入できます NEW Technical news 対談集 ピッチからのことば 〜世界トップ10 を目指して〜 ¥1,050 2006 年 9 月(vol.15) か ら の テ ク ニカルニュースに掲載された対談を 1 冊にまとめました。 NEW 北京オリンピックサッカー 競技総集編 JFA テクニ カルレポート/ DVD ¥3,150 北京オリンピックサッカー競技の特徴・ 技術・戦術を JFA テクニカルスタディ グループが分かりやすく分析し、映像 とレポートにまとめました。 2008 ナショナルトレー ニングキャンプ U -16 プログラム/ DVD ¥2,205 2009 年 3 月 に 行 わ れ た ナ シ ョ ナ ル ト レーニングキャンプ U-16 のトレーニン グをテーマ・キーファクターに基づき編 集したプログラムと DVD のセットです。 第 6 回 フットボール カンファレンス報告書 ¥2,520 2009 年 1月に石川県金沢市で行われ たフットボールカンファレンスの報告 書です。 (映像はありません) ※ JFA 公認指導者・登録チーム限定の ものは購入できません。 ● JFA ナショナルトレセンコーチを中心とした JFA テクニカルスタディグループが分析したレポートと DVD のセットです。 ●お一人様 1 セットのみの販売となります。 ●下記※ 2 は CD ショップまたは一部書店での購入も可能ですが、専用の申込書(JFA 公認指導者・JFA 加盟登録チー ム) で購入される場合は割引価格となります。 購入希望者は、申込書の①か②をご記入ください FIFA U -17 世界選手権ペルー 2005 JFA テク ニカルレポート /DVD(※ 1) FIFA ワールドユース選手権 UAE2003 JFA テクニカルレポート/ビデオ(※ 1) ¥3,435 ¥3,435 2002FIFAWorld Cup Korea/ Japan JFA テクニカルレポート(※ 1) FIFA U -17 世界選手権フィンランド 2003 JFA テクニカルレポート/ビデオ(※ 1) ¥5,325 ¥3,435 FIFA コンフェデレーションズカップフランス 2003JFA テクニカルレポート/ビデオ(※ 1) 第 3 回フットボールカンファレンス報告書 / CD-ROM+DVD(※ 1) ¥3,435 ¥7,875 JFA フィジカル測定 ガイドライン 2006 年版 2008 ナショナルトレセン U-12 プログラム/ DVD ¥1,050 ¥2,520 JFA キッズ(U -10) 指導ガイドライン 2008 ナショナルトレセン U -14 プ ログラム/ DVD(前期) ¥1,050 ¥1,890 JFA キッズ(U - 8) 指導ガイドライン 2008 ナショナルトレセン U -14 プログラム/ DVD(後期) ¥1,050 ¥1,890 JFA キッズ(U - 6) 指導ガイドライン JFA 2007 U -12 指導指針 ¥1,050 JFA 2007 U -14 指導指針 ¥1,050 ¥1,050 JFA 公認指導者資格保有者限定 サッカー指導教本・DVD 2007 年度版 ¥7,350 制作物の内容、購入方法などの問い合わせ先は右記まで 60 ¥1,800 〈JFA 公認指導者・キッズリーダー・ JFA 加盟登録チーム:¥1,400〉 DVD ブック ¥1,575 ¥2,100 ¥3,990 JFA キッズドリル JFA チャレンジゲーム めざせファンタジスタ! JFA 2008 U -16 指導指針 日本代表公式記録集 2008 Japan National Football Team Official Data Book 2008 冊 子 ¥300 DVD ¥700 ¥1,050 サッカー選手のための ランニングドリル DVD 小中学生を対象とした走り方の基礎を 学ぶための DVD です。 JFA チャレンジゲーム めざせクラッキ! UEFA EURO2008 JFA テクニカルレポート ¥1,050 アテネオリンピックサッカー競技総集編 JFA テクニカルレポート /DVD ¥4,410 一般販売価格(定価)¥4,910 AFC アジアカップ - 中国 2004 JFA テクニカルレポート ¥630 第5回フットボール カンファレンス報告書 ¥2,520 第4回フットボールカンファレンス報告書 ¥2,520 購入希望者は、申込書の①をご記入ください サッカー指導教本・DVD 2007 年度版 ゴールキーパー編 ¥7,350 この教本は、JFA 公認ゴールキーパー C 級・B 級・A 級養成講習会のテキストとして制作されたものです。 (財)日本サッカー協会技術部 TEL 03-3830-1810 申込方法 61 A MEETING PLACE FOR READERS AND JFA 62 新型インフルエンザに対しての注意 スポーツ医学委員会委員長 福林 徹 晩秋を迎え新型インフルエンザはますます猛威をふるい 手を隔離(帰宅)し、マスクをつけさせ帰宅させます。また つつあり、休校の学校も多数出ています。このインフルエ 練習に参加した一般の選手には頻回の手洗い、うがいを奨 ンザ はメキシコで今 年 3 月ごろ発生いたしましたが、従来 励します。 のインフルエンザと異なり誰 1 人としてこのウイルスに対 それでは具体的にサッカー現場で監督・コーチはどうす しての免疫を持っていないため、瞬く間に全世界に広がり、 ればよいか。まず選手が集合したら、体調不慮を訴える選 いまや日本でもパンデミックな状態になってしまいました。 手がいるかどうか聞く必要があります。万一体調不良、特 今回の新型インフルエンザは鳥インフルエンザに比べその に発熱を訴えたり、咳をする選手がいる場合は、他の選手 毒性は弱いとされ、通常の場合は、発熱とそれに引き続く咳、 と離し、マスクをつけさせ体温計測を行います。発熱があ 痰、喉頭部痛等の風邪に見られるような症状が見られます る場合は新型インフルエンザ感染を疑い、練習には参加さ が、通常数日で緩解します。治療には抗インフルエンザ薬 せず、両親に連絡をとるとともに自宅への帰宅と、近医へ であるタミフルやリレンザの初期投与が有効であるとされ、 の受診を促します。また元気な選手にも集合時クラブハウ 医師の診察で一週間程度の投与を受けます。しかし抵抗力 スやピッチでの手洗い(できればアルコール消毒)、うがい の弱い糖尿病、喘息などの持病を持つ患者さんや妊婦、乳 を慣行させるとともに、チームとして体温計とマスクを常 幼児、高齢者では重症化する傾向があります。重症化しま 備しておきましょう。そのほか練習時以外でも選手や家族 すと呼吸困難になるばかりでなく、脳炎のように意識障害 と連絡をとり、選手の状態を把握する必要があります。選 を伴い、生命の危険にさらされる場合もあり、入院加療が 手の体調が悪くなった場合、できれば事前に両親や本人と 必要になります。現在このインフルエンザに有効なワクチ 連絡をとり、直接病院に行き医師の診断を受けるように指 ンの生産が行われておりますが、この秋の流行には1,500 示することも大切なことです。病院でタミフルなど抗ウイ 万人分しか製造できず、特定の人以外は予防接種を受ける ルス剤を投与されると症状が緩解し選手はすぐ練習に参加 ことができない状態です。 したがりますが、まだ菌が体内に残存している可能性があ サッカー現場においてもインフルエンザ 対策は今や最重 ります。選手が元気になった場合でもすぐに練習に参加さ 要の問題となりつつあります。特にサッカー現場を預かる せず、通常 1 週間の自宅待機を行わせ、主治医の了解を取っ 監督、コーチは現場でのインフルエンザに対する適切な対 てから登校、練習への参加を許可します。また咳などが少 応が強く要求されています。インフルエンザの感染は飛沫 しでも残る場合は必ずマスクを装着させましょう。 感染と接触感染の 2 つがありますが、新型インフルエンザ 以上簡単ですが新型インフルエンザの現場での処置につ に感染すると発熱とともに、咳、痰などの呼吸器症状が現 いて記載しました。感染した選手が複数人(チームの 1 割 れます。そのためサッカー現場で要求されることは、発熱 以上 )出た場合は、クラブ自身の 1 週間程度の練習休止や し感染が疑われる選手を練習に参加させないことが第 1 に 試合出場の辞退も考慮すべきことと思われます。 重要なことです。万一参加した選手を見つけた場合には選 サッカー活動中の落雷事故の防止対策についての指針 1. 基本的指針 すべてのサッカー関係者は、屋外でのサッカー活動中(試合だ けでなくトレーニングも含む)に落雷の予兆があった場合は、 を行う人間をあらかじめ明らかにしておくこと。 ※トレーニングやトレセン活動なども活動中止決定者を事前に 決めてから活動を始めるものとする。 速やかに活動を中止し、危険性がなくなると判断されるまで安 ※中止決定者が近くにいない状況で現象が発生したときは、そ 全な場所に避難するなど、選手の安全確保を最優先事項として の場にいる関係者が速やかに中止を決定できることにしてお 常に留意する。特にユース年代〜キッズ年代の活動に際しては、 くこと。 自らの判断により活動を中止することが難しい年代であること を配慮しなければならない。 ※すべてのサッカー関係者とは主として指導者(部活動の顧問含 む) 、審判員、運営関係者などであるが、下記にある通り放送 局やスポンサー他、選手も含めて広義に解釈するものである。 3. 大会当日のプログラムを決める際はあらかじめ余裕を持っ たスケジュールを組み、少しでも危険性のある場合は躊躇 なく活動を中止すること。 大会スケジュールが詰まっていたり、テレビ放送のある試合な どでも、本指針は優先される。従って事前に関係者(放送局、 2. 基本的指針の実行のために、下記の事項について事前によ スポンサー含む)の間において、選手・観客・運営関係者等の く調べ、また決定を行った上で活動を行うものとする。 安全確保が優先され、中止決定者の判断は何よりも優先される ① 当日の天気予報(特に大雨や雷雲などについて) ことを確認しておくこと。 ② 避難場所の確認 ③ 活動中止の決定権限を持つ者の特定、中止決定の際の連絡 フローの決定 4. 避雷針の有無(避雷針があるからといって安全が保障され ることはないが、リスクは減る)や 避難場所からの距離、 ※サッカー競技規則上では「試合の中止は審判員の判断による 活動場所の形状(例:スタジアム、河川敷 G、等)によっ こと」となっているが、審判員が雷鳴に気付かない、審判員 て活動中止の判断時期は異なるが、特に周囲に何もない状 と他関係者との関係で必ずしも中止権限を審判員が持てない 況下においては少しでも落雷の予兆があった場合は速やか ケース(例えばユース審判員;これに限らない)などもあり、 に活動中止の判断を行うこと。 このような場合は中止を決定する/または審判員に中止勧告 1. 目的 9. 受講料 ナショナルトレセンU-15 開催時に指導者講習会を並行開催し、 ¥10,000(税込) ナショナルトレセンで行っているトレーニングメニューの実技講 交通費、宿泊費、食事代は受講料には含まれません。 習や講義を通じて、トレセン制度の趣旨を広く伝えるとともに、 指導者のレベルアップを図る。 10. その他 当講習会は、 公認 A・B・C 級コーチの「リフレッシュ研修会」 (40 2. 期間 ポイント)と認定してます。なお、受講時に指導者登録番号を 2009 年12月19日(土) 14:00 ~ 21日(月) 13:00(予定) お持ちでない方は、リフレッシュポイントは加算されません。 3. 場所 Jヴィレッジ 〒979 - 0513 福島県双葉郡楢葉町山田岡美シ森 8 番 (最寄駅 : JR常磐線広野駅) TEL 0240 - 26 - 0111 FAX 0240-26 -0112 11. お申し込み・お問い合わせ (財)日本サッカー協会 技術部 倉田・今関 〒 113 -8311 東京都文京区サッカー通り(本郷 3-10-15) TEL 03-3830 -1810 FAX 03 - 3830 -1814 「Kick off」の操作・入力方法に関するお問い合わせ (財)日本サッカー協会 指導者登録窓口 4. 指導 TEL 03-6713-8180 JFAナショナルコーチングスタッフ・ナショナルトレセンコーチ 講習会についての詳細は Kickoff の申し込み画面をご確認くだ さい。 5. 受講資格 指導者資格は問わないが、右記の全プログラムに参加できる方 のみとする。 6. プログラム(予定) ※右記の表参照。 7. 申し込み 締切:11月30日(木) ◆指導者資格をお持ちの方 ・JFA Web登録サイト「Kickoff」から申込可能です。 「Kickoff」 にアクセスして、 必要事項を入力してください。なお、 「連絡 欄」には以下の内容を入力してください。 ①指導チーム(日常指導チーム/トレセン等) ② 都道府県協会内での役職 ③ GKコーチである はい or いいえ ④実技講習見学希望の方はその理由 ・同封の申込用紙に記入の上、FAXしてください。 8. 募集定員 60名 JFA 公認指導者研修会のお知らせ Eラーニングについて 日ごろより E ラーニングをご利用いただきまして誠にあ りがとうございます。 さて、2009 年 7月 1日より E ラーニング問い合わせ窓 口のメールアドレスが以下の通り変更となりました。 旧メールアドレスへのお問い合わせにつきましては、 2009 年 6月 30日 をもちまして終了しておりますので、 お間違いのないようにお願い致します。 また、併せてナビダイヤルでの無料サポートにつきまし ても 2009 年 7 月 31日 をもちまして廃止となります。 今後お問い合わせの際は、すべて下記メールにてご対応 させていただきます。 ご迷惑お掛け致しますが、宜しくお願い致します。 日 時間 内容 場所 14: 00 〜14 : 45 受付・弁当券販売 エントランスホール 19日 15 : 00 〜16 : 45 トレーニング見学 ピッチ (土) コンベンションホール 17 : 45 〜19 : 15 講義 9 : 00 〜11: 00 トレーニング見学 ピッチ 11: 15 〜12 : 45 実技講習 20日 昼食・休憩(各自) (日) 14 : 30〜16 : 30 ゲーム見学 ピッチ 16 : 45〜18 : 15 実技講習 ピッチ 9 : 00〜11 : 00 トレーニング見学 21日 コンベンションホール 11 : 15 〜12 : 45 講義 (月) 13 : 00 解散 21日 14: 30 〜16: 30 トレーニング見学 (月) ピッチ 22日 (火) ピッチ 8: 30 〜11: 00 ゲーム見学 ※21日午前で指導者講習会は終了しますが、21日午後のトレーニン グ・22日午前のゲームもピッチサイドでの見学が可能です。 ※時間・内容はあくまで予定であり、事情により変更することがあり ます。 問い合わせ窓 口の メールアドレ スが変わりま し た!! ◆リフレッシュコース 【 旧メールアドレス 】 [email protected] 【 新メールアドレス 】 [email protected] ◆ 公認 B 級コース 【 旧メールアドレス 】 [email protected] 【 新メールアドレス 】 [email protected] A MEETING PLACE FOR READERS AND JFA 2009 ナショナルトレセン女子 U-15 指導者講習会 開催要項 63 A MEETING PLACE FOR READERS AND JFA 64 2009 ナショナルトレセン U -12 下記の日程で 2009 ナショナルトレセン U -12 を地域開催します。 指導者講習会開催などの詳細は、JFAのホームページをご確認ください。 北海道:10 月23日(金)〜 26 日(月) 札幌サッカーアミューズメントパーク★ 東 北: 7月 18 日(土)〜 20 日(月・祝) 安比高原 ASPA サッカー場 9 月 19 日(土)〜 21日(月・祝) 安比高原 ASPA サッカー場 10 月 9 日(金)〜 12 日(月・祝) 岩木青少年スポーツセンター★ 関 東: 9月 5 日(土)〜 6 日(日) 鹿島ハイツスポーツプラザ 12 月 26 日(土)〜 29日(火) 鹿島ハイツスポーツプラザ★ 北信越:10 月 9 日(金)〜 12 日(月・祝) アルウィン★ 東 海:10 月 9 日(金)〜 12 日(月・祝) ヤマハリゾートつま恋★ 関 西: 8 月 25日(火)〜 27日(木) 上富田スポーツセンター 12 月 25日(金)〜 28日(月) ビッグレイク★ 中 国:12 月 25日(金)〜 28 日(月) ビッグアーチ★ 四 国:12 月 19 日(土)〜 21日(月) はるのの湯★ 2010 年 3 月 20 日(土)〜 22 日(月) 野外活動センター ※複数回開催する地域は、上記★印の 期 間 を 従 来 の ナ ショナルトレセン 九 州:10 月 10 日(土)〜 12 日(月・祝) 由布市湯布院スポーツセンター U -12 として開催する。 12 月 26日(土)〜 29日(火) 大津町運動公園★ 新刊紹介 北京オリンピックサッカー競技総集編 JFA テクニカルレポート/ DVD 北京オリンピックサッカー競技の 特 徴 ・技術・戦術を JFA テクニカルスタディグループが 分かりやすく分析し、 映像とレポートにまとめました。 価格:3,150 円(税込) 新刊 Technical news 対談集 ピッチからのことば 〜世界トップ 10 を目指して〜 2006 年 9 月(vol.15)からの テクニカルニュースに掲載された 対談を 1 冊にまとめました。 価格:1,050 円(税込) Best Regards, from JFA 日本初のナショナルトレーニングセンターである J ヴィ レッジ(福島県)に、「JFA メディカルセンター」がオープ ンして約 3 カ月が経ちました。 このセンターは国際サッカー連盟(FIFA)の FIFA ゴール プログラムを利用して創設され、9月にはジョセフ・S・ブラッ ター FIFA 会長ご出席のもと、FIFA ゴールプログラムセレ モニーが開催され、オープンを華々しく飾っていただきまし た。 メディカルセンターは事業テーマとして「アスリートへの 高いレベルのスポーツ医科学サポート」、 「全国・世界にスポー ツ医学的リサーチ結果の発信」、「地域住民への医療および予 防に基づくスポーツ医学的サポート」の 3 本柱を掲げていま す。 8 月のオープン以来、J ヴィレッジでは各種全国大会やト レセン、各カテゴリーの代表キャンプが多数開催され、セン ターにはジュニアからシニアまで多くのサッカー仲間に足を 運んでいただいています。センターでお会いすることは多く の方が医学的に問題を抱えていらっしゃるわけですから、決 して良いことではないのですが、それでもサッカーを愛する 皆さまのお役に立てることに喜びを感じています。チームや さまざまな活動で J ヴィレッジへお越しの際に、不意の怪我 をしてしまったり、何か気になることがありましたらぜひい らしていただければと思います。 そしてご存知でしたか? メディカルセンターはサッカー選 手だけの施設ではないのですよ。テーマにあるようにスポー ツへのサポートをその使命と考えています。いらっしゃる患 者さんは実業団の陸上選手や地域の野球少年、ジュニアオリ ンピックに出場するようなバドミントンの選手、空手の全国 大会出場選手などさまざまです。 また、メディカルセンターでは午前中ですが一般整形外科 診療も行っており、地域の皆さんや運動選手以外の方も受診 していただいています。この地域に整形外科は少なかったの で、皆さんからは「便利になった」と喜んでいただいて非常 にやりがいを感じています。時には町のお祭りに参加したり と、町の皆さんとの触れ合いが増えていっています。このま ま少しずつ地域の皆さんの生活の一部分となっていき、地域 の皆さんの健康増進のお役に立てればと思います。 また J ヴィレッジには JFA アカデミー福島があります。 さまざまなメディカルチェックやフィジカルチェックを蓄積 し、分析、研究を行い、競技力向上や障害予防について、特 に子どもたちの発育発達にかかわる分野について、さまざま な情報発信ができるよう頑張っていきたいと思います。とい うことで、J ヴィレッジにお越しの際は、怪我をしていなく ても J ヴィレッジ入口のお向かいにある黄色い建物へお立ち 寄りいただければと思います。 最後になりましたが、先日、AFC U-16 選手権予選に向か う U -15 日本代表チームの直前キャンプのサポートを行いま した。センターとして初の代表チームのサポートでしたが、 若きサムライたちが凛々しく旅立つ後ろ姿を見て、ここから 多くの選手が世界に羽ばたいて行ってくれることを夢見てな りませんでした。皆さんの夢のサポートをする愛される施設 となるようこれからも頑張りたいと思います。 中堀千香子(JFA メディカルセンター アスレティックトレーナー) テクニカル・ニュース Vol.34 ○発行人:小野 剛 ○編集人:財団法人日本サッカー協会技術委員会・テクニカルハウス ○監 修:財団法人日本サッカー協会技術委員会 ○発行所:財団法人日本サッカー協会 〒113 - 8311 東京都文京区サッカー通り( 本郷 3 -10 -15 )J FA ハウス 電話 03 - 3830 - 2004(代表) ○発行日:20 09 年 11月 20 日
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