平成20年度JLAC技術情報セミナー 国際計量用語集VIMの改訂: JIS化

平成20年度JLAC技術情報セミナー
2008.9.24
国際計量用語集VIMの改訂:
JIS化と不確かさ評価の動向
今井秀孝
(独)製品評価技術基盤機構
(独)産業技術総合研究所
日本電気計器検定所
1
国際計量用語集VIMの改訂:
JIS化と不確かさ評価の動向
<発表の要旨>
適合性評価を必要とする専門分野の拡大に伴い、評価の規範となる
計量標準の整備・拡充が積極的に進められており、そこに至るマネジ
メントシステム並びに技術能力の評価の基準が文書化されて、国際整
合性並びに専門分野間の整合性の確認が重要視されている。
ここでは、計量分野を代表する8国際組織の合同委員会として設置さ
れ、「国際計量(基本)用語集:VIM」並びに「測定の不確かさ表現のガ
イド:GUM」の文書化に責任をもつJCGMの最近の成果を中心に、そ
の概念・意義を紹介するとともに、これらを翻訳JIS化する活動の現状
について報告する。
→VIM3の概要紹介・GUMとの関連・JIS化の課題
2
校正/試験/検査・検定/適合性評価
その根底にMRAあり(緊急課題)
*メートル条約:CIPM-MRA
Mutual Recognition Arrangement
*法定計量:OIML-MAA
Mutual Acceptance Arrangement
*試験所認定:ILAC-MRA
*産業・商取引への波及:保証と信頼
*地球環境・人間の健康・安全対応
3
測定の不確かさ評価の国際化
・国際組織における測定不確かさ評価の重視:
CIPM-MRA
1999:38+2 →71+2[45+26(Associate to CGPM)+2]
メートル条約加盟国:51(As of 2008)
国際比較、KCDB:Key comparison DB
・ISO、ILAC、IEC、IMEKO等
規格・ガイドの作成、シンポジウムの実施
(ISO/IEC 17025, ISO Guide 30-35)
4
測定不確かさの評価基準
国際組織における測定不確かさ評価の重視
→計量トレーサビリティと測定不確かさの表明
①CIPM-MRA(国家標準)
国際比較:Key comparison DBを登録(公表)
⇔計量トレーサビリティと校正不確かさの文書化
②ILAC等の適合性評価の基準
ISO/IEC 17025, ISO Guide 30-35等でルール化
⇔品質マネジメント要求+技術能力の表明
③学術組織(CITAC,IMEKO等)
ガイド類の作成、シンポジウムの実施
④GUM及びVIMのISO/IEC Guide化(2007年)
ISO/IEC Guide 99 (VIM),ISO/IEC Guide 98(GUM)
5
VIMとGUMの現状
JCGM: Joint Committee for Guides in Metrology/WG1:GUM,WG2:VIM
*VIM:International Vocabulary of Metrology(国際計量用語集)
*GUM:Guide to the expression of Uncertainty in Measurement
(測定における不確かさの表現のガイド)
VIM: 改訂第3版がISO/IEC Guide 99として2007年12月に発行
(JCGM編集)[第1版1984年,第2版1993年]
(VIMの翻訳JIS化委員会が活動中:JSA事務局)
GUM: 第1版の訂正版(1995年)をISO/IEC Guide 98 とする。
2008年にGUM/Supplement 1を発行。 引き続き,
GUM関連文書をJCGM-WG1にて編集中(7件)。
GUM本体(1995年版)の翻訳JIS化を検討中。
6
用語の定義の重要性
*国際学術用語
IUPAC(国際純正・応用化学連合):
Silver Book(Clinical), Gold Book(Combined)ほか;
The colours used are blue for organic, gold for the combined glossary, green for physical,
orange for analytical, purple for macromolecular, red for inorganic, silver for clinical and
white for biochemical
IFCC、ISO、IEC、OIML、etc.
*用語規格:ISO,IEC,OIML,JIS
(基本規格、用語規格、方法規格、製品規格)
*規格の中の用語の位置づけ
・JIS Z 8301: 2008 規格票の様式及び作成方法
1.適用範囲 2.引用規格
3.用語及び定義 ← 最初に用語の定義を明確化
7
JISにおける用語の定義
*用語関連の規格:225件
*主要な用語規格(計量・計測関連)
・JIS C 1002:
・JIS C 5600:
・JIS K 0211:
・JIS X 0001:
・JIS Z 8002:
・JIS Z 8101:
・JIS Z 8103:
・JIS Z 8202-0:
・JIS Z 8301:
電子測定器用語
電子技術基本用語
分析化学用語(基礎部門)
情報処理用語-基本用語
標準化及び関連活動-一般的な用語
統計-用語と記号
計測用語
量及び単位-第0部:一般原則
規格票の様式と作成方法
←VIM3の翻訳JIS化
8
JIS Z 8301-2008:
規格票の様式及び作成方法
6.3.6 試験方法
6.3.6.1 一般
*試験方法
a)原理/b)試薬・その他の物質・材料/
c)装置/d)試料・試験片の調整及び保管/e)手順
f)試験結果の表し方(計算方法、試験方法の
精度、測定の不確かさなどを含めることあり)
g)試験報告書
9
同等性・信頼性評価の拠り所
*分野: 計量標準/規格文書(標準化)/適合性評価
・計量トレーサビリティ/校正と信頼性評価(不確かさ)
*国際性: メートル条約/ISO・IEC/ILAC/OML
APEC地域:(APMP)・APLMF/(PASC/APLAC)
*基幹文書:Key Documents
・国際単位系:
SI文書/GUM(不確かさ評価)/VIM(国際計量用語集)
・適合性評価:ISO/IEC 17025/ISO9000/
ISO Guide 30〜35/ISO・TC212関連文書
・国際相互承認:
CIPM-MRA/OIML- MAA/ILAC-MRA
10
国際計量(基本)用語集: VIM
International Vocabulary of basic and general terms in Metrology
*1984: VIM第1版発行
*1993: VIM第2版発行
BIPM, ISO, IEC, OIML
BIPM, ISO, IEC, OIML,
IFCC,IUPAC, IUPAP
*1997: JCGM設置(ISO/TAG4の仕事の一部を移行)
*2007: VIM第3版発行 BIPM, ISO, IEC, OIML,
(タイトル変更)
IFCC,IUPAC, IUPAP,ILAC
International Vocabulary of Metrology
-Basic and general concepts and associated terms- (VIM)
←ISO/IEC Guide 99, 2007年11月発行
11
Charter
Joint Committee for Guides in Metrology (JCGM)
The Joint Committee
The Joint Committee for Guides in Metrology (hereafter referred to as the Joint Committee) is
composed of broadly-based international organizations working in the field of metrology.
図
JCGMのCharter と参画8国際組織のロゴ
12
VIM2からVIM3への改訂の主旨
(1)計量を必要とする分野の急速な広がりへの対応:
→各分野から の最新の成果と要望を導入することが必要:
物理,化学,臨床 医学,生物学,工学から,
生化学,食品科学,法科学,微生物学まで対象
(2)測定不確かさの概念導入への対応:
→EA(Error Approach)からUA(Uncertainty Approach )への
転換及びGUMの概念との関連
(3)測定装置に関連する(hardware的)用語の多くは削除
(IEC用語等参照で十分)
(4)(2)に関連して,計量トレーサビリティ、校正や不確かさ評価に
関する多くの用語を新規導入
(5)化学計測関連の用語を新規に多数導入
13
EA(誤差評価)とは?
EA: Error Approach/誤差評価
誤差=測定値ー真の値
真の値?
誤差の種類
用語の不統一(誤差、精度、確度、etc.)
合成方法(総合誤差の概念)?
分布や誤差の伝ぱの概念は活用可能!
14
従来の誤差評価の問題点
(1)誤差評価では,「誤差=測定値−真の値」と
定義。実際に「真の値」を求めることは困難
(2)誤差評価においては,偶然誤差や系統誤差
を総合的に評価するための合理的な合成方
法が定められていない。
(3)測定結果を表現するための用語の定義が国
・地域や専門分野によって異なる場合がある。
15
WG1とWG2の活動
(1984: VIM1の発行: BIPM,ISO,IEC,OIMLの編集)
1993: VIM2及びGUMの発行(1995:初版の訂正版)
(上記4組織+IFCC、IUPAC,IUPAP、合計7)
1997: JCGM親委員会① ISO/TAG4→JCGM
1998: JCGM親委員会 ②
(1999: CIPM-MRA 署名開始)
2004:
2005:
2006:
2007:
2008:
VIM3原案編集・回付(WG1)
同上対応意見の収集
JCGM親委③
GUM・Suppl.1原案編集・回付(WG2)
④
VIM3発行,GUM/Suppl.1編集 ILAC参入 ⑤
GUM/Supplement 1 発行
16
測定の不確かさ評価に関わる
国際動向と関連文書の規格化
*EAからUAへ(VIM及びGUM関連文書)
・VIM3のISO/IEC Guide 99としての発行(2007)
・GUM関連→ISO/IEC Guide 98 シリーズとしての発行
*不確かさ評価の現状:
MRA文書、ISO/IEC文書での引用
ISO 9000, ISO/IEC 17025, ISO Guide 30-35, ISO 13528
多くの分野での引用: 臨床検査・環境科学・食品科学
→用語の定義の明確化(VIM)
→MU評価方法の定式化(GUM)
17
表
誤差評価(Error Approach)と不確かさ評価(Uncertainty Approach)の比較
関連項目
誤差評価(EA)の場合
不確かさ評価(UA)の場合
①真の値
存在を前提として誤差を求める 考慮しない
②ばらつきの指標
標準偏差
標準不確かさ(標準偏差)
③ばらつきの推定と分類
偶然誤差,系統誤差
統計的方法(タイプA),
統計以外の方法(タイプB)
④ばらつきの合成方法
二乗和の平方根,代数和
二乗和の平方根
⑤信頼の水準の決め方
標準偏差(σ)の倍数
包含係数(k),包含確率
⑥最終的な表現の方法
決定的な方法はない
拡張不確かさ(総合評価)
18
不確かさピラミッド
(1) 標準設定:国家標準
(2) 国家標準による校正
(特定二次標準器)
(3) 参照標準
(実用標準)
トレーサビリティの流れ
図
計量トレーサビリティと不確かさピラミッド
19
ISO/IEC Guide 99,2007
国際計量(基本)用語集の概要
*国際計量(基本)用語集の改訂:VIM3
・ISO/IEC Guide 99
International Vocabulary of Metrology (タイトル変更)
-Basic and general concepts and associated terms概念の転換
・EA→UA(Error Approach,Uncertainty Approach)
定義の変遷
・metrological traceability
・calibration:測定不確かさの表現が不可欠
20
VIM3の構成 International Vocabulary of Metrology:VIM
‐Basic and general concepts and associated terms
表
VIM3とVIM2の内容の比較(用語の構成)
VIM3:
VIM3:
VIM2:
章毎の用語数
新規用語の数
章毎の用語数
1 量と単位
30
12
22
2 測定
53
33
9
各章の表題
26
(測定結果:VIM2の第3章)
3 測定装置
12
1
31
4 測定装置の性質
31
10
28
5 測定標準(エタロン)
18
6
14
144
62
120
合計
Annex: Concept diagrams
[VIM2→VIM3で消去された用語の数:38]
21
キ−ワード:Key Words
・測定標準:Measurement Standards
(計量参照:Reference)
・計量トレーサビリティ:
Metrological Traceability
・校正:Calibration
・測定不確かさ:Measurement Uncertainty
・不確かさバジェット:Uncertainty Budget
・信頼確率/包含確率(区間):
Coverage Probability (Coverage Interval)
22
Annex:概念図/Concept diagrams(12)
−VIMの概要と用語間の関係−
①量: quantity [Chap.1]
②測定単位: measurement unit [Chap.1]
③測定: measurement [Chap.2]
④量の値: quantity value [Chap.2]
⑤測定精度: measurement precision [Chap.2]
⑥測定不確かさ: measurement uncertainty [Chap.2]
⑦校正: calibration [Chap.2]
⑧測定された量の値: measured quantity value [Chap.2]
⑨測定システム: measuring system [Chap.3]
⑩測定システムの性質: metrological properties of a
measuring system [Chap.4]
⑪動作条件: operating condition [Chap.4]
⑫測定標準: measurement standard(etalon) [Chap.5]
23
VIM3で新たに導入された主な用語(1)
(reference): 計量参照の概念
用語としては未導入:metrological reference
< referenceの内容>
*測定単位:measurement unit
*測定手順:procedure
*標準物質:reference material
+上記の組み合わせ
24
VIM3で新たに導入された主な用語(2)
*精度: precision関連(ISO/TC69に整合)
→実験的な確認(Type A の評価に対応)
・繰返し性(併行精度): repeatability
・再現性(再現精度): reproducibility
・中間精度:intermediate precision#
*測定不確かさ:uncertainty 関連
*包含区間:coverage 関連
*校正:calibration 関連
#が新規
(reference)
25
表
精度(precision)に関する用語の意味の比較
−タイプAの測定不確かさ評価に関連−
繰返し性(併行精度)
repeatability
中間精度
再現性(再現精度)
intermediate precision reproducibility
operating condition
測定手順:procedure
○
○
(×)
測定者
○
(×)
×
測定システム
○
(×)
×
測定条件
○
(×)
場所:location
○
○
時期:duration
短時間
長時間
注
○:同じ
×:異なる
×
(×):特段指定せず
26
VIM3で新たに導入された主な用語(3)
標準の階層
・国際標準
international (measurement) standard
・国家標準
national (measurement) standard
・一次標準
primary (measurement) standard
・二次標準
secondary (measurement) standard
・常用参照標準 reference (measurement) standard
・実用標準
working (measurement) standard
・移動用標準 travelling (measurement) standard
・仲介器
transfer device (VIM2では標準)
(固有標準)
intrinsic standard#
・キャリブレータ
calibrator#
#が新規
(計量参照)
(metrological reference)
27
新たな概念と用語
*metrological traceability
*calibration
*measurement uncertainty
probability/coverage
verification
validation
comparability/compatibility/
comutability(RM)
28
計量トレーサビリティ:
metrological traceability
注記
ILACは計量トレーサビリティを確認するための要素は,①国際測定標準又は国家測
定標準②文書化された測定不確かさ,③文書化された測定手順,④認定された技術
能力,⑤SIに至る計量トレーサビリティ及び⑥校正周期,からなる切れ目のない計量
トレーサビリティの連鎖と考えている(ILAC P-10:2002参照)←[VIM注7]
・トレーサビリティの連鎖:
traceability chain
・測定単位への計量トレーサビリティ:
metrological traceability to a unit
29
計量トレーサビリティの定義内容の変遷
(VIM1〜VIM3)
−トレーサビリティと不確かさの重視−
• 定義の内容
•
•
•
•
•
•
測定結果
国家標準への繋がり
参照(標準)への繋がり
比較の連鎖
校正の連鎖
不確かさの記述
VIM1
VIM2
VIM3
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
30
計量トレーサビリティの確認(要素)
*ILACの例:
(ILAC P-10:2002参照)←[VIM注7]
① 国際測定標準又は国家測定標準,
② 文書化された測定不確かさ(バジェット表),
③ 文書化された測定手順,
④ 認定された技術能力,
⑤ SIに至る計量トレーサビリティ及び
⑥ 校正周期, からなる切れ目のないトレーサビリティの連鎖
→透明性・公平性・客観性の表明が必要:必須要件の項目化
31
[SIの定義](国際標準)
標準供給の流れ
国家計量標準(特定標準器)
National standard
計量標準研究所:NMIJ
[指定校正機関]
(jcss校正証明書)
Primary standard
特 定 二 次 標 準 器
登録事業者(校正事業)
(JCSS校正証明書)
Secondary standard
常 用 参 照 標 準 器
登録事業者(校正事業)
(JCSS校正証明書)
Reference standard
実 用 標 準 器
トレーサビリティ
の流れ(方向)
一
図
使用者(社内標準等)
Working standard
般
計
量
器
使用者(一般の使用)
JCSSにおける計量トレーサビリティの概念
注:上記の計量学的トレーサビリティ体系は、いずれの階層(国家、二次、常用参照、実用等)
においても標準が存在する場合を想定しているが、ある階層で存在しない場合には、その 32
上の階層に直接つながる場合も容認する。
校正関連(calibration)
階層化の思想(Vertical)
校正階層:-------hierarchy
校正線図:-------diagram
校正曲線:-------curve
キャリブレータ: calibrator
*切れ目のない連鎖:いくつかの手法
33
測定不確かさ関連: 総合的な評価の実施
measurement uncertainty
定義不確かさ:
definitional uncertainty
タイプA(B)の不確かさ評価: Type A、(Type B)
標準不確かさ:
standard uncertainty
合成標準不確かさ:combined standard uncertainty
拡張不確かさ:
expanded uncertainty
相対標準不確かさ: relative standard uncertainty
不確かさバジェット: uncertainty budget
目標不確かさ:
target uncertainty
測定器の不確かさ: instrumental uncertainty
ゼロ不確かさ:
null uncertainty
34
主な計量用語の定義と意味
日本語
意 味
英語
測定
measurement
ある量に合理的に帰属することが可能な一つ以上の量の値を,実験的
に得るプロセス
計量
metrology
測定とその応用の科学
測定標準
measurement
standard, etalon
記述された値と測定の不確かさをもち,参照として使用する任意の量の
定義を具現化したもの
校正
calibration
特定の条件下において,第一の段階で,測定標準により提供される測
定の不確かさを伴う量の値と,測定の不確かさを伴う当該の表示値との
関係を確立し,第二段階で,ある表示値から測定結果を得るための関係
を確立するために,この情報を用いる操作
計量トレーサビリティ
metrological
traceability
測定の不確かさに寄与し,文書化された,切れ目のない個々の校正の
連鎖を通して,測定結果を表記された計量参照に関係付けることができ
る測定結果の性質
測定不確かさ
measurement
uncertainty
用いる情報に基づいて,測定対象量に帰属する量の値のばらつきを特
性付けるパラメータ
注)このパラメータは,例えば,標準測定不確かさと呼ぶ標準偏差(又は
その指定倍量),又は区間の半幅である場合があり,記述された包含確
率をもつ.又,測定の不確かさは,一般に多くの成分からなる
不確かさのバジェット
uncertainty
budget
測定の不確かさ,その不確かさの成分,及びそれらの計算結果と合成
に関する記述
妥当性確認
validation
規定された要求事項が記述された使用に対して適切であることの検証
35
第1章 量と単位(新語12/合計30 ):抜粋
→斜体表記は新規導入用語(以下同じ)
・量:
・同じ量の種類:
・国際量体系:
・測定単位:
・単位系:
・国際単位系:
・基本量:
・組立量:
・量の値:
・量方程式:
・単位方程式:
・数値方程式:
・名義性質:
quantity (general, nominal)
kind of quantity
ISQ (International System of Quantity)
measurement unit
system of unit
International System of Units
base quantity
derived unit
quantity value
quantity equation
unit equation
numerical equation
nominal property
36
第2章 測定(新語33/合計53 )
・測定: measurement
・計量: metrology
・測定(対象)量: measurand
・測定精度: measurement precision
・併行精度(繰返し性): measurement repeatability
・再現性(再現精度): measurement reproducibility
・標準(測定)不確かさ: standard measurement uncertainty
・合成標準(測定)不確かさ: combined standard measurement uncertainty
・拡張(測定)不確かさ: expanded measurement uncertainty
・包含係数: coverage factor
・不確かさバジェット: uncertainty budget
・校正: calibration
・校正階層: calibration hierarchy
・計量トレーサビリティ: metrological traceability
・計量トレーサビリティの連鎖: metrological traceability chain
・検証: verification
・妥当性確認: validation
37
第3章 測定装置(新語1/合計12 )
・測定器: measuring instrument
・測定システム: measuring system
・指示測定器(――計器): indicating measuring instrument
・表示測定器(――計器): displaying measuring instrument
・表示測定器の目盛: scale of a displaying
measuring instrument
・実量器: material measure
・トランスジューサ: measuring transducer
・センサ: sensor
・検出器: detector
・測定系列: measuring chain
・調整: adjustment of a measuring system
・ゼロ調整: zero adjustment of a measuring system
38
第4章 測定装置の性質(新語10/合計31 )
・指示値: indication
・ブランク指示値: blank indication
・定常動作条件: steady-state operating condition
・測定システムの選択性: selectivity of a measuring system
・分解能: resolution
・表示装置の分解能: resolution of a displaying measuring device
・不感帯: dead band
・検出限界: detection limit
・測定器の安定性: stability of a measuring instrument
・影響量による変動: variation due to an influence quantity
・ステップ応答時間: step response time
・測定器の不確かさ: instrumental measurement uncertainty
・校正線図: calibration diagram
・ゼロ(ヌル)不確かさ: null measurement uncertainty
・校正曲線: calibration curve
39
第5章 測定標準[エタロン](新語6/合計18 )
・測定標準: measurement standard
・国際(測定)標準: international measurement standard
・国家(測定)標準: national measurement standard
・一次(測定)標準: primary standard
・二次(測定)標準: secondary standard
・参照(測定)標準: reference measurement standard
・実用(測定)標準: working measurement standard
・移動用(測定)標準: travelling measurement standard
・仲介器: transfer device
・固有(測定)標準: intrinsic measurement standard
・測定標準の保護: conservation of measurement standard
・キャリブレータ: calibrator
・標準物質: reference material
・認証標準物質: certified reference material
・標準物質の互換性: commutability of reference material
・参照データ: reference data
・標準参照データ: standard reference data
・参照量の値(参照値): reference quantity value
40
今後の課題(国の内外対応)
*測定能力(Measurement Capability)の表現法
→CMC,BMC
*時間依存性のある用語の導入と整理
*適合性評価関連の用語の未採用
accreditation, certification, testing
conformity, etc.
*metrology,measurement の意味(日本語)
41
測定の不確かさ評価に関わる
国際動向と関連文書(現状と将来)
・VIM3のISO/IEC Guide 99としての発行(2007)
・GUM及び関連文書のISO/IECガイド化(2008)
ISO/IEC Guide 98 Family
→将来のGUMの改訂に備えて!
GUM2への助走
42
不確かさ評価の手順
*測定方法の決定
①数学モデルの構築: y=f(x1,x2,・・,xm)
②入力量対応の母平均,分散,共分散の推定
③データの取得(平均,標準偏差,共分散): タイプA・Bの評価
④要因ごとの標準不確かさの推定,感度係数の計算
⑤自由度の計算
⑥合成標準不確かさの推定: 不確かさのバジェット表
⑦拡張不確かさの計算
⑧最終的な表示: 最良推定値と不確かさ
43
①モデルの構築:
②データの取得:
モデル式と要因分析
実験と計量学的知見
③要因ごとのばらつき:
標準不確かさ
④ばらつきの合成:
合成標準不確かさ uc
uc2 =∑(ciui) 2
ci:感度係数
⑤総合評価:
拡張不確かさ
U=kuc
Y±U
⑥最終表現
図
ui
測定不確かさの推定手順(GUM)
44
第一段階
モデル
<公式化>
(従来のGUM)[Ⅰ]
(数値計算)[Ⅱ]
入力情報
(1)物理的原理に基づくモデル⇒[Ⅰ]
(2)情報による確率密度関数 ( pdf )
の特定
⇒[Ⅱ]
確率密度関数(pdf)
感度係数
pdf
第二段階
( xi, ui )
<計算>
分布の伝ぱの原理
(1)測定量に pdf の導入
不確かさ伝ぱの法則
(2)最良推定値及び標準不確かさの決定
(3)測定量についての95 %信頼区間の決定
y : 最良推定値 best estimate
( expectation )
u ( y ): 標準偏差
測定量Yについての知識
測定量Yについてのpdf
Yについてのガウス近似
standard deviation
(平均と標準偏差)
Yについての知識
( y, u(y) ), 95 %包含区間
95 %包含区間 95 % coverage interval
Yについての包含区間
(95 %包含区間)
「測定不確かさ」の推定方法に関する総括的概念図(GUMの発展)
45
測定の不確かさ評価関連文書(将来)
・GUM本体(1995年版)→ISO/IEC Guide 98-3
基礎編
GUM本体
概要の紹介(98-1)
理論的背景(98-2)
補完文書 モンテカルロ法:1変数(1)
多変数対応(2)
モデリング(3)
応用編
適合性評価への応用(98-4)
最小二乗法の適用(98-5)
46
VIM3から何が見えてくるか?
*VIMで扱う対象は?
共通概念+用語の定義
・measurement/metrology 測定手法:(計量)参照
*実際に求めるものは?
・measured(quantity)value/measurement result
*測定の拠り所は?
・measurement standard (etalon):計量標準・標準物質
*信頼性確認の手段は?
・calibration/traceability:校正(比較)とトレーサビリティ
*それをどのように表現(表記)するか?
・measurement uncertainty
・信頼性の客観的表現・表明:校正による不確かさ表記
47
JIS化に当たっての留意事項
*VIMを起点とする概念の共有化
*ISO及びIECとの連携の重視
*具体的な課題の把握
用語規格/試験方法規格/製品規格
⇔JIS用語の整合化
⇔測定結果の表現の統一化
*不確かさ評価・表現との連動
⇔関連国際対応:
・VIM用語の普及/GUMの補完・改訂
48
不確かさの要因に注目
*測定(試験)のモデルの確認:
①測定対象の状況と②測定の手順、
③測定の実施、④結果の評価、⑤最終表現
*不確かさ要因の抽出
→フィッシュボーン図の利用
*不確かさ要因の分析
→評価マトリックスの作成:
モデル化から最終表現まで(Flowchart)
*バジェット表による整理と確認
→要因別の定量評価 →総合評価:包含区間で表現
49
測定・試験の状況を把握する
*測定(試験)原理・測定(試験)方法を明確化
*使用する測定機器(試験機)の寄与を明確化
*採用する精度条件(再現性、繰返し性)の明示
*計算方法を表記
*結果の表し方を明示
不確かさバジェット表(必要に応じ)
平均値、中央値など
ばらつき
不確かさ: 拡張不確かさ、包含区間など
50
総まとめ
*VIM3の発行により概念と用語を統一
*GUMおよびVIMのISO/IEC Guide化
*EAからUAへの転換をスムーズに!
*各分野に共通する新規用語の導入
*VIMとGUMに共通するキーワード:
・測定結果の信頼性評価(客観性・透明性)
・計量トレーサビリティ(metrological)
・校正(トレーサビリティの階層への連鎖)
・測定不確かさの表現
51
参考文献: 計量標準と適合性評価関連(1)
1) GUM:Guide to the expression of Uncertainty in measurement,1995年訂正版(1st edition)
(計測における不確かさの表現のガイド)
2) VIM:International Vocabulary of basic and general terms in Metrology,1993年
(国際計量基本用語集)
3) International Vocabulary of Metrology−Basic and General Concepts and Associated
Terms, VIM 3rd edition, ISO/IEC Guide 99,2007.
4) Evaluation of measurement data−Supplement 1 to the “Guide to the expression of
uncertainty in measurement ”Propagation of distributions using a Monte Carlo method,
JCGM--101, 2008(ISO/IEC Guide 98-3, Supplement 1)
5) Evaluation of measurement data−An introduction to the “Guide to the expression of
uncertainty in measurement” and related documents, JCGM--104, 2007--07--27 Draft
(to be appeared as ISO/IEC Guide 98-1)
6) 計測計量分野における用語及び信頼性評価に関する国際標準化に関わる検討成果報告書,
平成18年度経 済産業省委託(工業標準化原案作成等調査事業),㈶日本規格協会
7) 今井秀孝編著:ISO/IEC 17025に対応した「適合性評価と計量のトレーサビリティ」,
㈶日本規格協会,2007年3月.
8) 国際度量衡局(BIPM)HP:http://www.bipm.org/en/committees/jc/jcgm/
9) 製品評価技術基盤機構認定センターHP: http://www.iajapan.nite.go.jp/iajapan/index.html
10)産業技術総合研究所計量標準総合センター国際計量室HP:http://www.intermet.jp/
11) 今井秀孝:計量関連分野の国際文書に関する最新情報 −JCGMの活動を中心に−,標準化
ジャーナル、38-1(2008)22-27, ㈶日本規格協会.
12) 今井秀孝監修:トコトンやさしい「計量の本」, 日刊工業新聞社,2007年11月.
52
参考文献: 計量標準と適合性評価関連(2)
53
付録:Annex(Concept Diagrams)
54
(性質)
同種の量
(同種の性質)
名義性質
1.1
量の値
真の値
量
測定された量の値
測定尺度
同種
の量
順序量
便宜量の値
(測定単位で
表示される量)
量
演算
測定手順
便宜
順序量
尺度 参照尺度
測定単位
(図A.2を参照)
無次元
量
(計量参照)
量
方程式
量の
次元
基本
量
数値方程式
測定標準
組立量
量の数値
量方程式
単位方程式
国際量体系
量体系
55
A.1 ‘量’関連(quantity)
量
(図A.1を参照)
単位方程式
(測定単位で表示される量)
単位間の換算係数
順序量
測定単位
体系外の
測定単位
量体系
倍量単位
分量単位
(同一体系
の測定単位)
組立
量
量方程式
単位系
基本
単位
基本
量
一貫性
のある組立単位
組立
単位
(測定単位の
使い方)
一貫性のある単位系
一貫性のない
組立単位
国際
量体系
国際単位系
A.2 ‘測定単位’関連(measurement unit)
(CGS単位系)
56
計量
測定原理
測定方法
量 (図A.1を参照)
量の値
(図A.1を参照)
測定
(ほかの情報)
測定結果
測定手順
測定された量の値
(図A.4を参照)
測定不確かさ
測定結果
の両立性
参照測定
手順
測定量
測定結果の
比較性
一次参照測定
手順
(測定される性質)
(計量参照)
測定
モデル
量 (図A.1を参照)
A.3 ‘測定’関連(measurement)
57
量
(図A.1を参照)
測定量
測定器
指示
量の値
測定
システム
測定(図A.3を参照)
測定不確かさ
(図A.6を参照)
便宜量
2.12便宜量の値
かたより
参照量
の値
系統誤差
真度
測定精度(図A.5を参照)
測定
された
量の値
誤差
(図A.10を参照)
真の値
(量の定義)
正確さ
偶然誤差
(ほかの情報)
測定
不確かさ
測定量
測定結果(図A.3を参照)
A.4 ‘量の値’関連(quantity value)
58
測定器
測定システム
又は
量
(図A.1を参照)
測定
(図A.3を参照)
測定
不確かさ
2.26
(測定の精度条件)
量の値
測定された量の値
指示
測定精度
(図A.6 を参照)
測定量
測定手順
(操作者)
測定
測定器
システム
又は
キャリブレータ
校正
(操作条件、図A.11を参照)
併行
精度条件
併行精度
中間
精度条件
中間精度
再現
精度条件
再現精度
(場所)
(繰返し測定)
(時間経過)
A.5 ‘測定精度’関連(measurement precision)
相対標準
不確かさ
(不確かさ
不確かさ
成分の評価)
バジェット
目標
不確かさ
測定不確かさ
拡張
不確かさ
標準
不確かさ
定義の
不確かさ
合成標準
不確かさ
測定対象量
59
59
タイプBの不確かさ
測定された
量の値
(図A.4を参照)
タイプAの不確かさ
測定結果
包含係数
包含
区間
参照量
の値
量の値
測定モデル
便宜量の値
測定関数
真の値
包含確率
A.6 ‘測定不確かさ’関連(measurement uncertainty)
60
測定単位への
計量トレーサ
ビリティ
測定単位
計量トレーサ
ビリティ
測定結果
の両立性
検証
(要求事項)
妥当性
確認
測定不確かさ
測定結果
(使用目的のための要求)
校正線図
測定結果
の
比較性
量の値
計量トレーサ
ビリティの連鎖
(計量参照)
測定単位
測定標準
又は
測定結果
(図A.3を参照)
指示
(図A.10を参照)
キャリブ
レータ
校正
曲線
測定された量の値
(図A.4を参照)
校 正
測定器
測定標準
又は
測定手順
測定システム(図A.9を参照)
校正
階層
A.7 ‘校正’関連(calibration)
61
量
(図A.1を参照)
入力量
測定モデル
出力量
測定関数
補 正
測定された
量の値
影響量
測定不確かさ
(図A.6を参照)
測定量
指示値
ブランクの指示値
測定結果
測定システム
測定器
又は
(図A.9を参照)
A.8 ‘測定された量’関連(measured quantity value)
62
測定された量の値
(図A.8を参照)
(測定装置)
トランス
ジューサ
(測定システムの要素)
検出器
測定システム
仲介器
センサ
測定器
測定
指示
指示計器
測定の連鎖
(図A.8 A.10を参照)
実量器
(信号)
(測定システム
の出力要素)
表示計器
表示機器の
目盛
調整
ゼロ調整
A.9 ‘測定システム’関連(measuring system)
63
測定器
精度
等級
ブランク
測定
システム
(図A.9を参照)
指示
指示
区間
量
の値
名義
指示区間
(測定器 又は
測定システムの
計量学的性質)
検出限界
測定器の安定性
測定器のバイアス
名義量の値
測定区間
名義区間
の範囲 (動作条件、
図A.11を参照)
感度
測定器のドリフト
影響量による変動
ステップ応答時間
測定器の
不確かさ
最大許容誤差
測定
システムの
基底誤差
選択性
分解能
ゼロ
表示装置
不感帯 誤差
の分解能
分別域
測定不確かさ
(図A.6を参照)
零不確かさ
誤差
(図A.4を参照)
A.10 ‘測定装置又は測定システムの性質’関連
64
(metrological properties of measuring instrument of measuring system)
測定
システム
(装置)
(測定器又は測定システムの
計量学的性質、図A.10を参照)
測定器
(動作条件)
校正
(図A.7を参照)
定常
動作条件
指定
動作条件
参照動作条件
限定動作条件
A.11 ‘動作条件’関連(operating condition)
65
参照データ
測定標準の保護
参照量
の値
標準参照
データ
国際標準
測定
量の値
(図A.1を参照) 不確かさ
国家標準
一次参照
測定手順
(図A.3を参照)
量(図A.1
一次標準
測定
システム
実量器
を参照)
測定標準
二次標準
標準
物質
測定器
(真度管理用
物質)
キャリブレータ
参照標準
実用標準
計量トレーサ
ビリティ
移動用標準
仲介器
標準物質の互換性
認証標準物質
(標準物質の認証書)
(精度管理用
物質)
(管理用物質)
校正
(図A.7を参照)
固有標準
A.12 ‘測定標準’関連(measurement standard)
66