リテール・マーケティングにおけるサービス・エン

Japan Marketing Academy
マーケティング・エクセレンスを求めて
リテール・マーケティングにおけるサービス・エンカウンター革新
シリーズ
●
第78回
∼イオンリテール(株)のセルフレジ導入のケース∼
〔イオンリテール株式会社〕
南 知惠子
森村 文一
● 神戸大学大学院 経営学研究科 教授
● 神戸大学大学院 経営学研究科 博士課程
マーケティングジャーナル Vol.29 No.1(2009)
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リテール・マーケティングにおけるサービス・エンカウンター革新
①
クアウト形態は,スーパーに限らず,ビジネ
はじめに
スホテルなどでも普及しており,また航空業
界など比較的早くから,顧客自らが機械操作
小雨がちらつく 2 月のある午後の JR 京葉線,
をすることによる,チェックインを導入して
稲毛海岸駅前のジャスコ・マリンピア店。創
いる。テクノロジーを用いたセルフ・サービ
業 20 数年の歴史のある古い店舗でありながら,
ス形態は,人件費削減やサービス業務の効率
明るい店内は買い物客でにぎわう。レジ待ち
性のために,サービス業界では導入拡大の傾
の各レーンにはそれぞれ 2,3 名の客が見える
向にある。しかしながら,サービス・エンカ
が,臙脂色のエプロンを着た従業員の女性が,
ウンターにおける「人」の部分を取り去り,
その客たちに元気よく声をかけていく。案内
機械操作で代替することには,顧客による抵
係とおぼしきその従業員が促している先は,
抗感や不満足感という点で議論も起こってい
セルフレジが 12 台設置されたコーナーである。
る。
セルフレジは,買い物客自ら操作するレジの
イオンが業界で他に先駆けてセルフレジ導
機械である。有人のレジ数列の端に設けられ
入にふみきった背景には,コスト削減という
たセルフレジ・コーナーの入口付近に 5,6 名
理由もさることながら,顧客満足度を向上さ
ほどの客が並ぶが,列をなす間もなく次々と
せるために,レジ待ち時間を削減することが
あいているレジに向かい,各々が手なれた操
急務であったという事情がある。つまりコス
作で品物をセルフレジ台でスキャンし,会計
ト削減目的のためのテクノロジー導入は,顧
をすませて立ち去っていく。
客満足度の低下が懸念される一方で,イオン
セルフレジ・システムは,米国のウォルマ
リテールでは,セルフ・サービス・テクノロ
ートやドイツのメトログループ,イギリスの
ジーを顧客満足度向上のための施策として積
テスコ等で導入され,普及している自動決済
極的に位置づけているのである。
形態(self scanning checkout)である。商品
本稿では,イオンリテールによるセルフレ
のバーコードを機械に読み取らせることによ
ジ・システムの導入事例について取り上げ,
り,買い物客自身が精算をすることができる。
導入プロセスを分析,検討することにより,
わが国の GMS(総合スーパー)・スーパーマ
小売業にとって,テクノロジー導入によるサ
ーケットにおけるセルフレジ・システムは,
ービス・エンカウンター革新を実現するため
2003 年 11 月にイオン(株)によって初めて
の組織的なしくみについて明らかにすること
導入され,2009 年 2 月 20 日時点で導入店舗
を目的とする。
は,189 店舗にのぼる。
昨今の小売業をとりまく環境は,商圏内の
セルフレジのメリットは,混雑時や従業員
様々な同一業態内の競争のみならず,異なる
が少ない時間帯に,レジ稼動台数を増やすこ
業態間でも競争が激化しているという状況が
とができ,それにより買い物客のレジ待ち時
ある。GMS の競合は,同じ業態のスーパーで
間を短縮できることにある。セルフ・チェッ
はなく,衣料専門店であったり,ドラッグス
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トアであったりする。店舗への顧客ロイヤル
業部門が分割され,継承したのがイオンリテ
ティを高めるためには,小売業自体が,メー
ール(株)である。イオンリテール(株)は,
カーの製品を再販売するのみならず,顧客に
GMS 及びスーパーマーケット事業,戦略的小
向けて,商品政策やプロモーション施策を一
型店舗事業から成る,総合小売事業を担うこ
層強化し,製品提供のサービス品質を高める
とになった。
という,リテールにおけるマーケティングの
現在,イオン(株)は GMS ・スーパーマ
重要性が増してきている。小売業におけるサ
ーケット業界で売上高第 1 位の小売業であり,
ービス・エンカウンターの革新による顧客満
当該業界シェアの上位 5 社においては,前年
足の追求は,小売業のサービス・プロバイダ
比売上高増減比率が 5.5%と,最も成長率が高
ーとしての側面をどう戦略的に強化していく
く( 図− 1 参照)1),2008 年 2 月現在,イオン
かについて重要性を持つテーマであるといえ
(株)における店舗数は,GMS が 606 店舗
る。
(国内 569 店舗),スーパーマーケットが 1,182
店舗(国内 1,165 店舗)となっている 2)。
2007 年度のイオンの業界マーケット・シェ
②
イオンリテール(株)の概要
アは 11.5%であり,これにイトーヨーカ堂 3)の
8.3%,ダイエーの 4.7%,西友 4)とユニーの
千葉県幕張に本社を構えるイオン(株)の
4.0%が続く5)。各社シェアを落としている中,
。
唯一シェアを伸ばしている(図− 2 参照)
創業は 1758 年(宝暦 8 年),太物・小間物商
の初代岡田惣右衛門が四日市(三重)へ移住
イオン(株)は 1997 年より,世界の小売業
したことに始まる。1969 年にイオンの前身で
売上高ランキング上位 10 位以内を目指す「グ
ある共同仕入機構,(株)ジャスコ(Japan
ローバル 10」構想の下,この 10 年間で実に
United Store Company : JUSCO)が誕生し,
700 億円もの IT 投資を行っており,在庫管理
2001 年 8 月にイオン(株)へと社名が変更さ
や物流,仕入や,人事,経理といった後方シ
れた。イオン(株)は現在,GMS,スーパー
ステムの整備,改革を行っている 6)。2007 年
マーケット,戦略的小型店舗(コンビニエン
度においても約 160 億円もの IT 投資を行って
ス・ストア)事業,ドラッグ事業,専門店事
おり7),セルフレジ・システム導入もその一
業,総合金融事業,ディベロッパー事業,サ
環である。
ービス事業,ノンストア事業,海外事業を行
っており,2008 年 8 月に純粋持株会社へと移
③
セルフレジ・システムの導入
行した。この背景には,国内小売業を始めと
した主力事業のみに注力するのではなく,事
1.セルフレジ・システムの概要
業の枠を超えたスケール・メリットや共通化
による高いグループ・シナジーを創出すると
セルフレジ・システムを利用する顧客は,
いう意図があった。この移行に伴い,小売事
商品の入った買い物カゴをカゴ置きに乗せ,
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■図―― 1
国内総合スーパー 売上高推移
(単位:100万円)
2,500,000
2,000,000
1,500,000
1,000,000
イオン
イトーヨーカ堂
ダイエー
西友
500,000
ユニー
0
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
(出所)有価証券報告書より筆者作成。
■図―― 2
国内 GMS ・スーパーマーケット シェア推移
14.0%
12.0%
10.0%
8.0%
6.0%
イオン
ダイエー
4.0%
イトーヨーカ堂
2.0%
西友
ユニー
0.0%
年
年
07
20
年
06
20
年
年
年
05
03
04
20
20
20
年
02
01
20
年
年
00
20
20
年
99
19
98
19
(出所)市場占有率,日経産業新聞社より筆者作成。
商品を 1 点ずつ固定スキャナーでスキャニン
れており,スキャニング後にその商品をポリ
グ(バーコードの商品情報の読み込み)を行
袋に入れない場合は,エラー表示が出て次の
い,ポリ袋に順次入れていく。全ての商品の
処理を行えない様になっている。
スキャニングが終了したら,タッチパネル上
セルフレジ・システムの構成については,
の支払いボタンを押し,会計を済ませ,商品
店舗によって台数,設置レイアウトは異なる
の入ったポリ袋を取り外してチェック・アウ
が,基本的には有人レジに併設され,セルフ
ト処理が完了となる。支払い方法は有人レジ
レジ 6 台∼ 12 台に,それを使用する顧客をサ
同様に,現金,クレジットカード,商品券,
ポートするサポート係 1 名,各セルフレジ・
電子マネーでの支払いが可能となっている。
システムでのチェック・アウトをラップトッ
不正防止のために,セルフレジ・システムに
プ・コンピュータで管理する管理者 1 名で構
はその店舗で扱う全商品の単品重量が登録さ
成される。
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セルフレジを使用する顧客をサポートする
イオンリテールがセルフレジ・システムを
係は,通称「ベル」と呼ばれ,2 つの役割を
導入した目的には,コスト要因と顧客満足度
担っている。通常の有人レジが混雑している
の向上という 2 つの大きな点があった。
場合,セルフレジ・システムの方に顧客を誘
コスト要因については,セルフレジ導入に
導する役割と,顧客がセルフレジ・システム
よる人件費の削減効果への期待がある。近年,
の操作時に,エラーなど何か問題があればす
POS レジによる機械的な流れ作業の敬遠や,
ぐに手助けをする役割である。買い物に来る
道路交通法の改正による酒類提供者への責任
70%の顧客は目新しいセルフレジ・システム
などの背景から,有人レジにて決済業務を担
に興味はあっても,機械に対する恐怖心から
うチェッカーの確保が難しくなり,派遣社員
中々それを使ってみようとはしない。そこで
に頼らざるを得ない状況となっている。それ
このサポート係が積極的に顧客をセルフレ
により,決済業務に関わる人件費は高騰して
ジ・システムへと誘導し,セルフレジ使用の
いるという事情がある。セルフレジ・システ
手順を説明しサポートすることでその恐怖心
ムにおいては,レジ 6 ∼ 12 台に人件費が 2 人
を取り除き,次からはセルフレジ・システム
分で済むため,大きくコストを削減すること
を自ら使おうとする手助けをするのである。
ができるというインセンティブがある。
各セルフレジ・システムを管理する管理者
また,有人レジであっても,チェッカーが
は,セルフレジ中央後方に設置されているラ
レジに居ないと顧客は精算が行えない。つま
ップトップ PC や各セルフレジ上部に設置さ
り,例え 20 台のレジが並んでいたとしても,
れているランプにて各々の清算状況を監視す
チェッカーが 10 人しかいなければレジは 10
る役割を担う。ラップトップを扱うことから
台しか使用することができず,稼働率という
この管理者は「ラッパー」と呼ばれている。
点からも,セルフレジ・システムはコスト引
例えば,酒類がスキャニングされると,PC
き下げになると考えられたのである。
画面には年齢確認の表示がされ,ランプが赤
また,顧客満足度の向上という点において
く点滅し,年齢を確認・判断しロックをはず
は,スーパーでの不満の 1 位が「レジ待ち」
す。
(30 %)であり,「3 分以上」の待ち時間で 8
このように,セルフレジは,完全に買い物
割以上の人がストレスを感じるという調査結
客が一人で機械操作を行うしくみではなく,
果があり,そのうちの 42 %がひいきにしてい
通常サポート役がきめ細かく顧客サポートを
た店に行く回数が減ったと答えている。(シ
行うことになる。とりわけイオンリテールの
チズン・ホールディング「待ち時間調査」
場合,顧客サポートとシステム管理者を分け
2002 年)このレジ待ち時間の増大が顧客満足
て配置し,顧客サポート係にセルフレジへの
を低下させているという認識が,セルフレジ
誘導を行わせているところに特徴がある。
導入の主要な契機となったのである 8)。
ここで考えられたセルフレジ導入による,
2.セルフレジ・システムの導入目的
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顧客満足の向上とは,具体的には,①レジ待
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ち時間の削減,②プライバシーの保護,③自
フレジ・システムにて精算を行う場合,常に
身でモニターを見ながら精算を行うことによ
管理者とサポート係がすぐ周辺に待機してお
る売価違いの抑制,④自ら機器を操作するこ
り,何か問題が発生した場合,直ちにその顧
との楽しさ,という側面から実現されるもの
客のところへ行き,対応することができる。
と期待されている。
つまり,顧客 1 人 1 人にきめ細かな対応が可
通常の有人レジは,設置台数にかかわらず,
能になっているのである。
その時間帯に業務に従事するチェッカーの数
しか稼働できない。このため混雑時にはレジ
④
セルフレジ・システムの
導入プロセスと他店舗拡大
待ち時間が増える原因となる。これに対しセ
ルフレジ・システムは,顧客自らが決済業務
を行うため,常に全てのレジが稼動すること
1.セルフレジ・システム導入における組織
になるため,レジ待ち時間を短縮することが
的取り組み
可能になる。また,有人レジの場合,チェッ
カーが買い物カゴから 1 つ 1 つ商品をスキャ
「グローバル 10」構想における IT 投資の
ニングし,値段を読み上げるため,何を買っ
一環としてのセルフレジ・システム導入は
ているのが他人から丸見えになってしまう。
2003 年 6 月に構想が開始され,2003 年 11 月
また,レジ打ちをするのが人間であるため,
にイオン(株)のグループ子会社であるマッ
売価の打ち間違いなども起こりやすい。この
クスバリュ松ヶ崎店に日本で始めて導入され
売価違いもクレームの大きな部分を占めるも
た。実験 2 店舗目として,ジャスコ津田沼店
のであり,顧客満足低下の大きな原因となっ
に試験導入された。セルフレジ・システム導
ている。さらに,わが国の有人レジにおいて
入店舗の決定については,各店のレジ稼働率,
は,如何に速く精算を次々と行っていくかと
チェッカー人時当たり売上高などから優先店
いう点がチェッカーにとっては重要視されて
舗をリスト化し,当該店長が競争状況等を勘
いるため,顧客に対するフレンドリーさはな
案した上で決定された。
く,無機質な顧客接点になりがちである。セ
試験導入された当初のセルフレジ・システ
ルフレジ・システムにおいては,自ら精算を
ムの基本構成は,セルフレジ 4 台にサポート
行うので,プライバシーの保護,売価違いの
係 1 名であったが,コールセンターに入るク
抑制が実現できるのと同時に,自ら機器を操
レーム,試験導入店舗から直接入る情報によ
作するという行為が楽しさを生み,顧客満足
って改善を繰り返し,現在の 6 ∼ 12 台にサポ
につながると考えられたのである。
ート係 1 名,管理者 1 名の構成ができ上がっ
た。
レジ待ち時間の短縮や,人件費削減といっ
た点は,効率性の追求という意味で重要であ
このセルフレジ・システムの構成が作り上
るが,セルフレジ導入による一層のサービス
げられるまでには,3 つの大きな問題を解決
品質の向上がめざされることになった。セル
する必要があった。まず 1 つ目は,ある時間
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帯が来ると実施される割引の問題である。主
行いやすくする工夫が行われた。
に 3 割引や半額といったシールを商品に貼る
最後の問題は,セルフレジ・システムの管
のであるが,従来の有人レジではチェッカー
理と顧客のサポートである。当初試験導入さ
がそのシールを認識・判断して割引を行って
れたのは,セルフレジ 4 台にその管理を担う
いた。しかしながらセルフレジ・システムに
アテンダントが 1 名配置されていた。しかし
おいては,この割引操作を顧客自身にさせる
ながら,セルフレジの管理者を置くだけでは,
ことが出来ず,全ての割引情報を記載したバ
顧客の誘導やエラー時のサポートに対応する
ーコードとセルフレジ・システムをリンクさ
ことが出来ず,逆にセルフレジ稼働率の低下
せるシステムを 1 から作る必要があった。
によるレジ待ち時間の増大やエラー発生によ
2 つ目は,顧客自身に買い物カゴに入れた
る顧客満足の低下につながるという状況が生
商品を,正確に決済させるという問題である。
まれた。
有人レジにおいては,顧客が買い物カゴに入
これらの問題を解決するために,セルフレ
れてきた商品をチェッカーが判断し,スキャ
ジ導入店舗と情報システム部門をはじめとす
ニングまたはレジ打ちを行い,決済を行って
る関係部門の調整が行われ,店舗に改善され
いた。しかし,セルフレジ・システムにおい
た新システムを導入し,従業員に浸透させて
てはカゴに入れてきた商品が何の商品である
いくという作業が 1 年以上行われた。2005 年
か,品目の判断を顧客自身にさせなければな
9 月に,試験的導入であったジャスコ津田沼
らないため,全ての商品を最適な形で画面上
店と導入 3 店舗目であるジャスコ扶桑店に本
に表示させなければならないのである。その
格的に導入された。この扶桑店のセルフレ
ため「緑の野菜」,「赤の野菜」といったグル
ジ・システムの光景がマスコミによって報道
ープ分けを画面上表示し,顧客に商品識別を
されると,一気に日本にセルフレジ・システ
■図―― 3
ストア・オペレーション本部の位置付け
商品本部
人材教育
販促統制
お客様
サポート部
人材開発部
マーケティング
本部
ストア・オペレー
ション本部
後方統制
在庫削減
商品戦略部
売価変更削減
情報
システム部
総務本部
リスクマネジメント
ギフト改善
カスタマー・サポート・
センター情報
作業改善
システム導入
SCM
物流品質改善
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ムが知られるようになり,その後全国の店舗
セルフレジ導入後,推進していくにあたっ
に順次拡大導入されるに至った。
て , 日 本 版 CSI( Customer Satisfaction
セルフレジ導入に際し,店舗と関係部門と
Index :顧客満足度指標)調査のプレ(試行)
の調整を行ってきたのがストア・オペレーシ
調査から得られた結果も参考にされた。日本
ョン本部(当時)である。ストア・オペレー
版 CSI 開発は,サービス生産性協議会が実施
ション本部は,2003 年 5 月に設置され,図−
しているプロジェクトであるが,ACSI
3 に 示すように,各部門と現場である店舗と
(American Customer Satisfaction Index)を
の連携を促進させる役割を担っている。セル
日本に適用し,様々なサービス産業の顧客満
フレジ導入には,情報システム部門によるテ
足度を測定することを目的としている。イオ
クノロジー導入という側面が重要性を持つが,
ンは競合他社への相対的な満足度と,小売業
ストア・オペレーション本部は,システム導
における全体的な満足度のレベルを知るとい
入によって店舗が混乱しないために,本部の
う目的で,この調査プロジェクトに企業アド
立てた戦略やその意味を店舗に浸透させる
バイザリーグループの立場で参加している。
「翻訳係」としての機能を担い,店舗の業務
日本版 CSI のプレ調査の分析結果,レジ待ち
改革とその教育を担当する組織として位置づ
時間の削減に加えて,在庫切れへの素早い対
けられている。この業務を遂行するために,
応,ショッピング・カートの位置,床の綺麗
現場を熟知する店舗経験者の中でも,店長経
さ,なども顧客満足度の向上につながること
験者や店長候補といった店舗経験の豊富な人
が明らかになった。
材で構成されている。セルフレジ導入に伴う,
従来の有人レジの場合,混雑がピークに達
割引や決済の正確性,アテンダントの適切な
するとレジ前に長蛇の列が出来てしまい,そ
配置などの漸進的な調整において,ストア・
れに対応するために商品補充や売場管理とい
オペレーション本部が重要な役割を果たすこ
った後方業務の人員がレジへと応援に出てい
とによって,店舗での導入を進めることが可
た。ところがセルフレジ・システム導入によ
能になった。
って,混雑時でもレジ業務に携わる人員は 2
ストア・オペレーション本部は,2008 年 5
名となり,その他の従業員は自身の業務に集
月 21 日付けで,ストア・オペレーション本部
中することができる。むしろ,余裕の生まれ
とマーケティング本部の両方を統括する営業
た人員が逆に後方業務に回ることができるた
企画本部が新たに設立されたのに伴い,それ
め,売り場全体のサービス品質が向上し,顧
まで営業担当部門内に位置づけられていたが,
客満足度の向上につながっているという確信
マーケティング機能を持つ営業企画本部内に
を得たのである。
位置づけられることとなった。
ストア・オペレーション本部内には,CS チ
ームがあり,顧客満足度を向上させるために
2.セルフレジ推進と顧客満足度向上への
様々な調査や分析を行っている。この CS チ
取り組み
ームは,先に述べたコールセンターに入るク
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レームと日本版 CSI の中でも再来店に影響を
イオンリテールは,効率性追求のためのみ
与えている約 160 にも及ぶ項目に基づいて,
ならず,顧客満足度向上のために,レジ待ち
各店舗の顧客満足度を定量的に調査し,顧客
の問題をセルフレジ導入により解決しようと
満足度が低いにも関わらず影響度が高い項目,
努力してきた。セルフレジは単に設置するの
つまり各店舗における問題点の抽出を行った。
みならず,人員配置や店舗運営において業務
そしてその問題点の改善を各店舗に求め,そ
の変更をもたらすことになる。ここで,IT 導
れをアクションシートという形で店長自身が
入による業務改善を実現するためには,各店
問題点に対して,何が原因で,どういう形で
舗の従業員を始め,組織内の全ての部門の従
具体的対策を講じるのか,それをいつ誰がど
業員が顧客のために連携することが求められ
ういう形で行うのか,という点について 4 半
る。そのために本社が意思決定した戦略を各
期ごとに事業部長を通じて営業担当役員へ報
店舗に浸透させ,問題が発生すればすぐに修
告させている。つまり,顧客満足度の向上の
正するという IT の導入・調整プロセスを円
ために,PDCA サイクルを意識的かつ組織的
滑に進めるためには,組織的な準備や調整が
に回しているのである。
必要不可欠である。業務の変更や改善に際し
て,社内の各部門の利害は決して同じではな
く,業務を進める際の姿勢や考え方,従業員
⑤
考察 イオンリテールのセルフレジ・システム
に基づくサービス・マーケティング戦略
の特性など,多くの点において異なり,調整
問題が多く発生することはこれまでも指摘さ
れてきた(例えば,Ahmed and Rafiq, 1995;
1.セルフ・サービス・テクノロジー(SST)
Collins and Payne, 1991; George, 1990; Rafiq
導入の組織的準備と調整プロセス
and Ahmed, 1993)
。
上述のように,イオンリテールは,小売業
つまり,業務改善を行う際には,従業員は
における新しいサービス品質と,それに伴う
何をすべきか,いつそれを行うのか,どの様
顧客満足度の向上をめざし,セルフレジの導
に行うのか,それによる従業員の戦略上の役
入店舗拡大を行ってきている。しかしながら,
割や意味を浸透させ(Ahmed and Rafiq,
IT を導入し業務を最適化させることは容易な
1995; Glassman and McAfee, 1992; Norman,
ことではない。なぜなら顧客自身のテクノロ
1991),そしてそれを適切に進めるための組
ジーへの抵抗もさることながら,業務の変更
織構造が鍵となる(Ahmed and Rafiq, 1995)
。
に対する店舗レベルでの調整が必要になって
なぜなら,業務変革がたとえ顧客満足度を向
くるからである。このセルフレジ・システム
上させるためであっても,業務に従事する従
の導入・展開を実現させた大きな要因として,
業員が自身の業務を理解し,満足し,顧客志
本社による意思決定と各店舗との「翻訳係」
向である事が重要となるからである(Berry
としてのストア・オペレーション本部を設置
and Parasuraman, 1991; Piercy, 1994)
。
したことが注目される。
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Ahmed and Rafiq(1995)は,変化に対す
80
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る組織的抵抗に打ち勝ち,全社的および部門
さらに,サービス品質と顧客満足度向上の
レベルでの戦略を効果的に実行するためには,
ための組織設置にとどまらず,社内全体の調
従業員を協力させ,動かし,まとめるための
整的な役割を担わせたという点である。既に
計画された企業努力が重要であると指摘して
述べたように,ある組織的な変革を実行しよ
おり,変革への障壁,つまり組織内の顧客志
うとする際に,意思決定を行う本社と現場で
向の不均衡を克服しなければならないと主張
ある店舗との間のように,組織内の各部門に
している。彼らは顧客志向の不均衡を無くし,
おいては,調整上の問題が数多く存在する。
現場の業務変革を成功させるための鍵となる
Ahmed and Rafiq(1995)や Norman(1991)
要因として,プロセスとプロモーションを挙
が主張するように,組織的な変革を実行する
げている 。すなわち,目標とする変革の実
場合,従業員にそのための変革を受け入れさ
行のために,組織的構造や報酬システム,権
せる必要があり,それには戦略上その従業員
力や責任,リーダーシップを構築するという
がどのような位置づけで,提供する価値は何
プロセスが重要となり,従業員の戦略的変革
かについて意識的に伝達することが求められ
目的への意識を増し,戦略的な変革の計画の
る。これを,店長経験者や店長候補といった,
受け入れを促すことが必要となるのである。
特に店舗を熟知した精鋭部隊による組織に調
同様に,Norman(1991)も,従業員に対し
整させることで,非常に効率的かつ効果的に
て何をすべきか,いつそれを行うのか,どの
実行することが可能となったのである。つま
ように行うのかを知らせ,自身が何を提供し
り,システムの導入についての調整プロセス
ているのかを自覚させ,戦略上の自身の役割
を組織的に担う部門を設置したことで,シス
を明らかにさせることが重要となると主張し
テム導入が成功したのである。
9)
ている。
2.SST によるサービス・デリバリー全体の
イオンリテールのセルフレジ・システムの
導入・展開は,本部と各店舗の「翻訳係」と
サービス品質の向上と顧客満足度の向上
してのストア・オペレーション本部を設置し
既に述べたように,イオンリテールは独自
たことで,以下の観点において,成功したと
の調査によって,従来の有人レジにおいては,
考えられる。まず 1 点目は,サービス品質と
顧客満足度を低下させる原因がいくつかある
顧客満足度の向上を専門的に扱う組織を設置
ことを発見している。それは①レジ稼働率の
したという点である。つまり,顧客満足とい
低さ,②売価違い,③プライバシーの問題,
う視点から専門的に各店舗で何が問題となっ
が挙げられた。それらは決済業務を人が担う
ているかを評価し,それを基に組織全体の中
ことによる限界が存在することを示している。
で顧客志向に関して必ずしも一貫していない
Rayport and Jaworski(2004)は,IT と人の
という状況を解消するための組織を設置し,
持つ強み・弱みを認識し,サービス・エンカ
システム導入を効果的に行うために組織的な
ウンターにおける顧客とのインターフェース
準備を行ったという点が注目される。
が最適な形でそれらを補完するように融合す
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粐
ることで,サービス品質を高め,顧客満足度
参加してサービスを作り上げることで,①顧
を向上することができると指摘している。彼
客適応性(柔軟性),②効果的なサービス・
らは,図− 4 のように IT と人それぞれに優位
リカバリー,③進んでやる喜び,④技術的サ
な能力を分類している。
ービスと伝統的なサービスの選択肢の提示,
彼らは,人間は顧客に共感したり予想外に
を実現することで,顧客満足度を向上させる
起こる出来事に対応することができるが,優
ことが可能になるという点である。
れたスキルを持つ人材を適切かつ継続的に雇
さらに,Parasuraman(2000)や Walker et
用することはコストがかかってしまう。一方,
al.( 2002), Dabholkar and Bagozzi( 2002),
IT は情報処理や決まった反復作業を行うこと
Meuter et al.(2005)が指摘するように,新
に大変優れているが,無機質で均一的な相互
しい技術を使うか否かは顧客の技術に対する態
作用となってしまう。加えて,人によるサー
度や能力が重要であり,
「非積極性」
「技術への
ビス・エンカウンターの最大の顧客満足要因
不安」
「相互作用の必要性」
「以前の経験」変数
は,顧客がサービス・デリバリーの失敗に直
から構成される個人的差異,動機付けや能力に
面した際のサービス・リカバリーの成功であ
関わる顧客の技術への態度(Technology-
るが(Tax et al., 1998),Meuter et al.(2000)
Readiness)が重要な要因となる。イオンリテ
は IT によるセルフ・サービス,すなわち
ールにおけるセルフレジ・システムの場合,
SST(Self-Service Technology)においては,
SST 導入が顧客満足を損なう,つまりコスト
IT がその失敗をリカバリーすることが困難と
削減と顧客満足がトレードオフになるという考
なり,より高い顧客不満足の原因となると指
えではなく,むしろ SST こそが顧客満足度向
摘している。同様に,Bitner et al.(2000)は,
上につながるという考え方を組織内に推進した。
技術は従業員と顧客の両方によって効果的に
セルフレジ・システムに管理者とサポート係が
使われることで,顧客満足度を向上させるこ
配置されることによって,IT と人それぞれが
とができると主張している。彼女たちの主張
持つ強み・弱みを適切に補完し合っており,ま
の重要な点は,技術に対して顧客と従業員が
さに適切な IT と人の融合を実現していると言
■図―― 4
える。有人レジとセルフレジ・システムが必ず
人間と IT の持つ強み・弱みの分類
強み
弱み
人間
経験
判断力
人格
思いやり
共感性
優れたスキル
を持つ人材を
継続的・適当
なコストで雇
用することが
困難
併設される点,サポート係によるセルフレジへ
技術(IT)
測定容易性
整合性
利便性
記憶
効率性
接続性
顧客との相互
作用において
個性が無く、
均質化されて
しまう
の積極的な誘導や,困っている顧客の発見・即
座の対応や混雑レーンからの誘導,そして管理
者による酒類購入の場合の年齢判断などがこの
SST と人との補完例である。
では,IT と人を適切に融合させることで,
どのような顧客満足を創出することができた
のであろうか。Dabholkar(1996)や
Dabholkar et al.(2003),Zhu et al.(2003)
Rayport and Jaworski(2004, 2005)より筆者作成。
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リテール・マーケティングにおけるサービス・エンカウンター革新
を始め顧客満足につながる SST の要因は数多
重要な発見事項である。つまり,チェック・
く明らかにされており,①機能性(容易性),
アウトという一時点でのサービス品質の向上
②操作する楽しさ,③プライバシー・セキュ
ではなく,サービス・デリバリー全体のサー
リティー,④確実性,⑤デザイン,⑥利便性,
ビス品質を向上させることで顧客満足度向上
⑦顧客適応性,が SST を使用した顧客の顧客
が実現されるという点の重要性が特筆される。
満足度に正の影響を与えることが実証されて
いる(Lin and Hsieh, 2006)。この Lin and
⑥
Hsieh(2006)の枠組みより考察すると,イ
おわりに
オンリテールのセルフレジ・システムの場合,
顧客が自ら精算を行うことによって,①セル
本稿では,小売業界においてイオンリテー
フレジ・システムの常時稼動によるレジ待ち
ルが導入したセルフレジ・システムの事例を
時間の削減,商品分類や各商品,チェック・
分析することにより,IT 導入による,サービ
アウトの手順タッチパネルのわかりやすい表
ス品質の向上や顧客の満足感を創出するため
示による操作(容易性),②自ら操作するこ
に,組織的にいかなる準備や調整が必要であ
とによる楽しさ(楽しさ),③プライバシー
るかということを検討してきた。
の保護,④売価違いの抑制(確実性),⑤セ
結論として,まず,ストア・オペレーショ
ルフレジ・システムのチェック・アウトの先
ン本部にみられるように,①顧客満足度向上
進性(デザイン),⑥マイペースで行うこと,
のための問題の抽出と対策の策定,②顧客満
全ての支払い方法が可能な点(利便性),⑦
足のための本部と各店舗の効率的かつ効果的
エラーが発生してもサポート係が即座に対応
なコミュニケーションや逐次的なシステム調
してくれる点(顧客適応性),を実現するこ
整の促進,を実現する組織体制が必要不可欠
とで顧客満足度の向上につながっていると言
であるということである。
2 点目は,SST は顧客満足を損なうもので
える。
さらに,イオンリテールのセルフレジ・シ
はなく,人と IT,それぞれの持つ強みと弱み
ステムは,チェック・アウト業務に携わる人
を認識し,それらを補完し合い適切に融合さ
員を削減することによって,意識的に店舗内
せることで顧客満足度を向上させることがで
の全体的な業務における人員の余裕を生み出
きるという点を認識することが重要となる。
している。従来の有人レジの場合,混雑時に
IT は情報処理能力や反復作業に優れるが,無
は後方業務を行っていた従業員がレジの応援
機質で均一的になり,サービス・デリバリー
に入っていたが,セルフレジ・システム導入
の失敗をリカバリーできないという欠点があ
によってレジ自体に携わる人員が削減するこ
るが,一方で人は共感性や判断力,予想外の
とができたため,逆に混雑時に後方業務へ応
出来事への対処には優れている。これらを補
援に行くことが可能となった。これにより,
完的に組み合わせ,セルフレジ・システムと
店舗全体のサービス品質の向上が図れた点も,
管理者,サポート係の三位一体によるチェッ
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ク・アウトというサービス・エンカウンター
ロジー導入は,技術や人の持つ強み・弱みを
を作り上げたことに,イオンリテールのセル
きちんと把握し,最適な形でそれらを融合さ
フレジ導入拡大の成功要因がある。セルフレ
せるという点で,小売業としてのサービス品
ジ・システムの導入によって,コスト削減,
質向上がめざされているのである。
稼働率の向上,売価違いの抑制,プライバシ
今後の課題として,各業態に適切な,人と
ーの保護,自ら操作する楽しさ,が同時に実
セルフ・サービス・テクノロジーとの融合を
現できることからくる顧客満足度の向上がめ
めざしていくことが必要となってくるであろ
ざされているが,さらに重要な点は,セルフ
う。
レジ・システムの導入が,チェック・アウト
という一時点のサービス・エンカウンターで
謝辞
はなく,店舗内の全てのサービス品質を向上
本事例研究について,イオンリテール株式
することにより,顧客の満足感を創出してい
会社,営業企画本部長(当時)の山本実氏に
るという点である。つまり,セルフレジ導入
多大な調査協力を賜った。記してお礼申し上
により,店舗全体としての人員配置や,業務
げたい。
運営が効果的に行われるという点が顧客の店
注
1)図− 1 における(株)イオンのデータは,(株)イ
オン単体の営業収益のデータを使用した。
2)イオン(株)ホームページ
http://www.aeon.info/company/holding/より。
3)(株)イトーヨーカ堂は 2005 年 9 月 1 日付けで,
(株)セブンイレブン・ジャパン,(株)イトーヨ
ーカ堂,(株)デニーズジャパンの 3 社の共同株式
移転により設立された純粋持株会社・セブン&ア
イホールディングス合同会社へ移行し,(株)イト
ーヨーカ堂のスーパーストア事業がセブン&アイ
ホールディングスのスーパーストア事業へ移行し
た。
4)(株)西友は 2008 年 4 月 25 日付けでウォルマート
の完全子会社となり,2009 年 3 月 1 日付けで,ウ
ォルマート・ジャパンホールディングスへ移行し
ている。
5)市場占有率 2009 年度版, 日経産業新聞社編より。
6)日経 MJ,2008 年 8 月 20 日より。
7)日本経済新聞 2007 年 7 月 24 日より。
8)イオンリテール(株)山本実 ストア・オペレー
ション本部(現:営業企画本部)本部長(当時)
インタビューより。コールセンターに入るクレー
ムとして,レジ待ちに続いて欠品,売価違いなど
が多い。
9)Ahmed and Rafiq(1995)においては,業務変革
舗内での経験についての満足度が高まるとい
うことが意図されていることが注目される。
すなわち,店舗のサービスについて,接客と
いった局所的なものではなく,店舗全体のサ
ービス品質として捉えられているのである。
この点において,欧米企業がコスト削減とレ
ジ待ち時間の短縮という効率性重視の考え方
を押しだしているのに対し,イオンリテール
は,イオン型,日本型ともいえる,店舗全体
のサービス品質の向上をめざす,今までの
GMS ・スーパーマーケットに無い新しい顧客
の満足感の創出を目標としているところが注
目される。
それを実現する鍵となるのが,サービス品
質や顧客満足度の向上について,レジ自体や
接客,商品の店舗内管理といったそれぞれを
局所的に捉えるのではなく,組織的に向上さ
せるしくみづくりへの取り組みである。セル
フレジに見られるセルフ・サービス・テクノ
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特に鍵となる要因がプロセス及びプロモーション
であると主張している。
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粐
南 知惠子(みなみ ちえこ)
神戸大学大学院経営学研究科 教授。博士(商学)
1984 年神戸大学文学部卒業。
1988 年米国ミシガン州立大学大学院,コミュニケ
ーション研究科修士課程修了。
1993 年神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期
課程退学
横浜市立大学商学部専任講師,助教授,神戸大学大
学院経営学研究科助教授を経て,2004 年より現職。
インターナル・アウトソーシングと内部市場戦略
森村 文一(もりむら ふみかず)
1982 年生まれ,2005 年立命館大学経済学部卒業後,
現在神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程
に在学中。
専攻は,消費者行動論及びマーケティング論
e-mail : [email protected]
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