芳香植物のテルペン合成酵素遺伝子のカタログ化 -ツバキの花を例に-

第 66 回日本生物工学会大会講演要旨集 出典
芳香植物のテルペン合成酵素遺伝子のカタログ化 -ツバキの花を例に○八反 順一郎 1, 田垣 千恵 1, 大野 史菜 1, 石井 純 2, 近藤 昭彦 3, 播本 孝史 4, 三沢
典彦 1 (1 石川県大・生資研、2 神戸大・自科、3 神戸大・工、4 神戸天然物化学)
【目的】芳香植物から、様々なテルペン合成酵素(TPS)をコードする遺伝子配列(Tps)を単離
し、大腸菌機能解析系によりこれらの機能の同定を行いカタログ化する。
【方法】メバロン酸経路等の一連の酵素遺伝子群を導入した大腸菌に、基質としてリチウムアセ
ト酢酸を加えることで、セスキテルペンの前駆物質となるファルネシル二リン酸(FPP)を多量合
成させることができる。芳香成分を含む植物の花や新芽から、既知の TPS とホモロジーのある遺
伝子配列を単離し、上記大腸菌に導入し発現させることで、FPP を基質とするセスキテルペンの
合成を試み、GC-MS 等により産物の解析を行う。
【結果】ショウガ科植物の紫ウコンや、ウコギ科植物のコシアブラ、ウド等から、Tps を単離し、
構造と機能解析を行った。これらの植物からは β-ユーデスモール、β-カリオフィレン等の合成
活性を持つ新規酵素遺伝子が得られた。さらに、ツバキ 2 品種の芳香を有する花に着目し、いく
つかの新規 Tps を単離し、機能解析を行った。その結果、エレモール、リナロール等の合成を担
う新規酵素遺伝子を単離することができた。生成したテルペンについては、健康の維持や病気治
療等への利用の報告があった一方で、機能未知のものも複数あった。本発表では、ツバキ科植物
を例に報告する。本研究は、経済産業省委託事業「革新的バイオマテリアル実現のための高機能
化ゲノムデザイン技術開発」の一部として実施された。
Cataloguing terpene synthase genes of fragrant plants -example of Camellia flowers○Jun-ichiro Hattan1, Chie Tagaki1, Fumina Ohno1, Jun Ishii2, Akihiko Kondo3, Takashi
Harimoto4, Norihiko Misawa1
(1Res. Inst. Bioresources Biotechnol., Ishikawa Pref. Univ., 2Org. Adv. Sci. Tech., Kobe Univ.,
3
Dept. Chem. Sci. Eng., Kobe Univ., 4KNC Laboratories)
Keywords
Camellia, fragrance, terpene synthase, cataloging