6. 高速イーサネット

⑥ 高 速 Ethernet
Ethernet は 、 LAN シ ス テ ム と し て 、 最 も よ く 知 ら れ て お り 、 ま た 最 も 多 く 採 用 さ れ て き た
ネ ッ ト ワ ー ク シ ス テ ム で あ り 、 現 在 で も 、 そ の 高 速 版 で あ る ギ ガ ビ ッ ト Ethernet の 採 用 に 関
心 が 持 て れ て い る 。 Ethernet は 、 そ の 伝 送 速 度 で は 、 10Mbps、 100Mbps 及び 1000Mbps の3
種類があり、各速度ごとに、採用する伝送媒体であるケーブルへのアクセス方式として、複
数種類の仕様が存在している。
(1) CSMA/CD
こ れ ら 全 体 を 引 っ く る め た Ethernet 系 の ネ ッ ト ワ ー ク に 共 通 す る 特 徴 は 、 メ デ ィ ア ア ク
セ ス ( MAC ) 方 式 が 、 CSMA/CD で あ る こ と で あ る 。 CSMA/CD(carrier sense multiple
access/collision detect)と は 、 「 伝 送 路 上 の 信 号 ( キ ャ リ ア ) の 有 無 を 監 視 し 、 そ れ が 検
出されない場合に、送信メッセージがあれば、それを送出する。送信メッセージ送出中に、
伝走路上で他のメッセージとの衝突を検知した場合は、一定時間待って、メッセージを再送
する。」ということである。
(2) 伝 送 媒 体
上 述 の よ う に Ethernet で は 、 複 数 の 伝 送 媒 体 に 対 応 す る 仕 様 が あ る 。 複 数 の 伝 送 媒 体 と
は 、 以 下 の よ う で あ る 。 す な わ ち 、 ①UTP ケ ー ブ ル 、 ② 同 軸 ケ ー ブ ル 、 ③ 光 フ ァ イ バ ー ケ ー
ブ ル 、 で あ る 。 元 々 、 10Mbps の Ethernet で は 、 同 軸 ケ ー ブ ル を 使 用 す る 方 式 が 、 最 も よ く
使 わ れ て い て 、 こ の 同 軸 ケ ー ブ ル は 、 Ethernet ケ ー ブ ル と か 、 イ エ ロ ー ケ ー ブ ル と か 呼 ば
れていた。イエローケーブルとは、このケーブルの外側の被覆が黄色(イエロー)であった
ものが、多く採用されたからである。
(3) UTP ケ ー ブ ル の 種 類
UTP ケ ー ブ ル と は 、 untwisted pair cable の 略 称 で 、 通 常 、 ツ イ ス ト ペ ア ー ・ ケ ー ブ ル
とも呼ばれているが、より正確には、シールドなしのツイストペアー・ケーブルと呼ぶこと
に な ろ う 。UTP ケ ー ブ ル は 10Mbps の Ethernet だ け で な く 、高速 Ethernet で も 使 用 さ れ る 。 UTP
ケ ー ブ ル は 、 JIS X 5150 (ISO/IEC 11801)や ANSI/TIA/EIA-568A の 規 格 と し て 規 定 さ れ て お
り、その製品の性能や規格が、以下のような、複数の等級(カテゴリー)として分類されて
い る 。 な お カ テ ゴ リ ー 5 + は 1999 年 の 規 格 改 訂 に 含 ま れ る 予 定 、 そ れ 2000 年 末 の ISO/IEC
11801、 ANSI/TIA/EIA-568A の 新 版 に 含 ま れ る 予 定 。
カテゴリー
周波数 カ テ ゴ リ ー 3 ∼ 16MHz
適応アプリケーション
音 声 、 ISDN1 次 群 イ ン タ ー フ ェ ー ス 、 10BASE-T、 100BASE- T4
100VG-AnyLAN、 4Mbps ト ー ク ン リ ン グ 、 52MbpsATM
カ テ ゴ リ ー 4 ∼ 20MHz
上 記 す べ て 、 及 び 16Mbps ト ー ク ン リ ン グ
カテゴリー5
上 記 す べ て 、 及 び 100BASE-T、 XTP-TMD、 156MbpsATM、
∼ 100MHz
1000BASE-T
カ テ ゴ リ ー 5 + ∼ 100MHz
上 記 す べ て 、 及 び 1000BASE-T、 622MbpsATM
カ テ ゴ リ ー 6 ∼ 250MHz
上記すべて、及び将来のアプリケーション
カ テ ゴ リ ー 7 ∼ 600MHz
上記すべて、及び将来のアプリケーション
こ の 表 の 適 応 ア プ リ ケ ー シ ョ ン 欄 の 説 明 に も あ る よ う に 、 各 カ テ ゴ リ ー の UTP ケ ー ブ ル は カ
テ ゴ リ ー に 関 し て 下 位 互 換 で あ る の で 、 大 学 等 の LAN で は 、 カ テ ゴ リ ー 5 ケ ー ブ ル を 多 く の
場 合 に 使 用 し て い る 。 カ テ ゴ リ ー 5 に は 、 ケ ー ブ ル の 構 造 上 、 4 対と 24 対 (4 対 ×6)の 二 種 類
のケーブルがある。
(4) Ethernet プ ロ ト コ ル
Ethernet は LAN 用 の ネ ッ ト ワ ー ク シ ス テ ム で あ り 、 Ethernet プ ロ ト コ ル は 、 LAN プ ロ ト
コ ル の 一 種 で あ り 、 LAN プ ロ ト コ ル は 、 物 理 層 と デ ー タ リ ン ク 層 か ら 構 成 さ れ る 。 各 層 の 詳
細 な 機 能 の 説 明 は 関 係 す る 文 献 に 譲 る と し て 、 こ こ で は 、 Ethernet の 特 徴 的 な 事 項 に つ い
て の み 説 明 す る 。ま ず 留 意 し て お く こ と は 、通 常 Ethernet と 言 う 場 合( 勿 論 、10Mbps の Ethernet
の 場 合 ) 、 広 義 の Ethernet に は 、 狭 義 の Ethernet(Ethernet V2.0)と 、 IEEE802.3 標 準 の も
の ( こ れ を Ethernet 802.3 と 呼 ぶ 。 ) を 一 括 し て 指 し て い る こ と で あ る 。 通 信 プ ロ ト コ ル 上
でも、両者はやや異なっている。フレーム形式でもそうである。 かなり似通っているもの
の 、 Ethernet 製 品 を 選 択 す る 場 合 、 こ の 相 違 に 留 意 す る 必 要 が あ る 。 ま た 、 組 織 内 LAN の構
築 や 改 造 の 場 合 、 こ の ネ ッ ト ワ ー ク の 最 下 位 階 層 の サ ブ ネ ッ ト を 10Mbps の Ethernet と し 、
そ の 上 位 に 100M Ethernet, 更 に 上 位 の 幹 線 部 分 に は ギ ガ ビ ッ ト Ethernet で 構 成 す る よ う な
階 層 型 の Ethernet LAN を 採 用 す る 場 合 は 、 上 位 の 高 速 Ethernet は、 IEEE802.3 の 系 列 で 標
準 化 さ れ て い る こ と を 考 慮 す る と 、 そ れ と 互 換 性 の 高 い 802.3 の 製 品 を 選 ぶ 方 が 妥 当 で あ ろ
う 。 以 下 で は 、 特 に 指 摘 が な い 場 合 は 、 Ethernet 802.3 を 説 明 対 象 と す る 。
デ ー タ リ ン ク 層 で は 、 以 下 の よ う な Ethernet の フ レ ー ム 形 式 が 規 定 さ れ る 。
プリアンブル SFD 送信先 発信
データ長
データと
フレーム
アドレス アドレス パディング チ
ェック
8バイト 1バイト 6バイト 6バイト 2バイト 512∼1518バイト
4バイト
OSI プ ロ ト コ ル 参 照 モ デ ル で は 、 デ ー タ リ ン ク 層 は 、 MAC(medium accsess controle)
層 と 論 理 的 リ ン ク 制 御 (LLC:logical link controle) と の 、 二 つ 部 分 層 に よ っ て 構 成 さ れ
る が 、 Ethernet の 場 合 は MAC 層 に 大 き な 特 徴 が あ る 。 LLC 層 で は 、 実 際 の デ ー タ の エ ン コ
ー ド に つ い て 規 定 さ れ る 。 MAC 層 で は 、 情 報 の 確 実 な 伝 送 、 デ ー タ 伝 送 の 同 期 、 誤 り の 検 出 、
デ ー タ の 流 量 制 御 な ど の 機 能 が 規 定 さ れ る 。 Ethernet で は こ の MAC 層 に 特 徴 が あ る 。
(5) 10 Mbps Ethernet の 種 類
Ethernet 802.3 は 、 物 理 層 の 信 号 方 式 が 違 う 以 下 の よ う な 4 種 類 の 規 格 が あ る 。 こ れ ら は 、
外 見 か ら は 、 接 続 す る 伝 送 媒 体 ( ケ ー ブ ル ) と MAU が 異 な る 。
10BASE5,
10BASE2, 10BASE-T, 10BASE-F
そ れ ぞ れ が 対 応 す る ケ ー ブ ル の 違 い で は 、 10BASE5 と 10BASE2 は 、 と も に 同 軸 ケ ー ブ ル で あ
る が 、 そ れ ぞ れ 異 な る 規 格 の ケ ー ブ ル を 使 用 す る 。10BASE-T は UTP ケ ー ブ ル( カ テ ゴ リ ー 3 )
を 使 用 す る 規 格 で あ り 、 10BASE-F は 、 光 フ ァ イ バ ー ケ ー ブ ル を 使 用 す る 規 格 で あ る 。
(6) ハ ブ の 使 用 か ら ス イ ッ チ 型 Ethernet へ
当 初 、 Ethernet は イ エ ロ ー ケ ー ブ ル 即 ち 10BASE5 ケ ー ブ ル を 使 用 す る 場 合 が ほ と ん ど で 、
わ が 国 で に イ ン タ ー ネ ッ ト が 普 及 し 始 め た 1995 年 頃 ま で は 、 大 学 の キ ャ ン パ ス LAN が 構 築 さ
れる場合、幹線部分や教室のような公共性の高い場所以外の場所では、素人配線によるイエ
ロ ー ケ ー ブ ル を 天 井 裏 に 転 が す よ う に ケ ー ブ ル の 敷 設 が 行 わ れ 、 研 究 室 の PC や EWS を LAN に
接 続 す る た め 、 各 自 で イ エ ロ ー ケ ー ブ ル に ト ラ ン シ ー バ を 取 り 付 け 、 そ こ か ら PC や EWS まで
の間にトランシーバケーブルで接続した。イエローケーブルもトランシーバケーブルも結構
固くて、小回りのきく配線どころではなかった。また、イエローケーブルのトランシーバと
取り付ける際にケーブルに刺すピン(針)が適切に刺せないためのトラブルも頻繁にあり、
10BASE-T 規 格 の 製 品 が 出 て く る と と も に 、 イ エ ロ ー ケ ー ブ ル に ハ ブ (hub) を 取 り 付 け 、 そ の
ハ ブ か ら PC 等 の 間 を UTP ケ ー ブ ル で 接 続 す る よ う な 配 線 の や り 方 が 広 ま っ て き た 。 こ の 頃 の
ハブとは、集線函のようなもので、いわゆるリピータ型のハブであった。トランシーバケー
ブ ル に 替 わ っ て UTP ケ ー ブ ル が 使 わ れ る と 、 ケ ー ブ リ ン グ の 仕 事 が 非 常 に 楽 に な る 。 更 に 高
速 Ethernet を 使 用 す る 際 に は 、 ス イ ッ チ ン グ ハ ブ と 呼 ば れ る ハ ブ が 登 場 す る よ う に な り 、
Ethernet の ケ ー ブ リ ン グ の ト ポ ロ ジ ー が 変 わ っ て き た 。
(7) 100M Ethernet
Ethernet の 高 速 化 は 、 LAN 内 の FDDI ネ ッ ト ワ ー ク の 代 わ り に 高 速 の Ethernet を 使 う こ
と が 試 み ら れ て き た 。 単 に FDDI に 替 わ る 経 済 性 の 高 い 高 速 ネ ッ ト ワ ー ク と 必 要 性 の 他 に 、
FDDI フ レ ー ム 長 や フ レ ー ム フ ォ ー マ ッ ト を 10Mbps Ethernet と 共 通 に し 、 CSMA/CD に 基 づ く
高 速 ネ ッ ト ワ ー ク と し て 、 100M Ethernet が 登 場 し た 。 100M Ethernet の 規 格 は
IEEE802.3u に よ り 規 定 さ れ て い る 。 100M Ethernet は , 物 理 層 の 信 号 方 式 の 違 い か ら 、 以 下
のような規格がある。
100BASET4: カ テ ゴ リ ー 3、 4、 ま た は 5 の UTP ケ ー ブ ル を 使 用 す る 。 4 対 す べ て を 使 用 す
る(4 対のそれぞれが異なる信号線として使用されるという意味)。
100BASE-TX: カ テ ゴ リ ー 5 の UTP ケ ー ブ ル 、 ま た は 、 150Ωの STP( シ ー ル ド つ き の ツ イ ス
ト)ケーブルの 2 対のみを使用する。
100BASE-FX: マ ル チ モ ー ド の 光 フ ァ イ バ ー の 2 芯 を 使 用 す る 。
( 100BASE-X と い う 規 格 が あ る が 、 こ れ は 、 物 理 層 に FDDI の 物 理 層 ( ANSI/ISO) の 規 格 を
用 い る も の で 、 上 述 の 100BASE-TX と 100BASE-FX が こ の サ ブ セ ッ ト で あ る 。 )
(8) ギ ガ ビ ッ ト Ethernet
100M Ethernet よ り 更 に 高 速 の ネ ッ ト ワ ー ク シ ス テ ム で 、 Ethernet 系 の シ ス テ ム と 互 換 性
の 高 い シ ス テ ム と し て 、 ギ ガ ビ ッ ト Ethernet の 製 品 が 開 発 さ れ た 。 ギ ガ ビ ッ ト Ethernet の
規 格 と し て は 、 IEEE802.3z が 規 定 さ れ て い る 。 ギ ガ ビ ッ ト Ethernet は 、 基 本 的 に は 、 そ れ
ま で の Ethernet や 100M Ethernet と 同 じ CSMA/CD 方 式 を 採 用 し 、 同 じ フ レ ー ム 構 造( フ ォ ー
マ ッ ト ) を 採 用 し 、 伝 送 速 度 1000Mbps を 実 現 す る 。 高 速 化 に 伴 う 問 題 点 の 克 服 の た め 、 こ れ
ま で の Ethernet 系 の も の と は 、 以 下 の よ う な 仕 様 の 違 い も 出 て き て い る 。
① キ ャ リ ア ー 衝 突 の 検 出 を 確 実 に す る た め の ノ ー ド 間 の 最 大 距 離 の 縮 小 と Ethernet フレ
ームの最小長の拡大
② 伝送周波数が高くなるため伝送損失の漏話特性の制限
ギ ガ ビ ッ ト Ethernet で は 、 物 理 層 の 信 号 方 式 の 異 な る 以 下 の よ う な 規 格 が 規 定 さ れ て い
る。
1000BASE-T:カテゴリー 5 の UTP ケ ー ブ ル の 4 対 に 分 配 伝 送 を す る 。最 大 伝 送 距 離 は 100m。
1000BASE-CX: 2 芯 平 衡 型 同 軸 ケ ー ブ ル を 使 用 す る 。 最 大 伝 送 距 離 は 、 25m。
1000BASE-SX: マ ル チ モ ー ド 光 フ ァ イ バ ー ケ ー ブ ル を 使 用 し 、 搬 送 波 と し て 、 850 nm の レ
ー ザ ー 光 が 使 わ れ る 。 最 大 伝 送 距 離 は 、 550m。
1000BASE-LX: マ ル チ モ ー ド / シ ン グ ル モ ー ド 光 フ ァ イ バ ー ケ ー ブ ル を 使 用 し 、 搬 送 波 と
し て 、 1300nm の 長 波 長 レ ー ザ ー が 使 わ れ る 。 最 大 伝 送 距 離 は 、 5km。
(9) 参 考 文 献
① 泉 谷 建 司 著: E t h e r n e t ソ フ ト ・ リ サ ー チ・ セ ン タ ー (1997-8).
② Robert Breyer & Sean Rikey 著 、 森 島 晃 年 訳 : 100BASE Ethernet の 理 論 と 実 装
ア ス キ ー 出 版 局 (1998-10).
③ 瀬戸康一郎、末永正彦、二木 均、大橋信孝 監修、マルチメディア通信研究会 編
ポ イ ン ト 図 解 式 ギ ガ ビ ッ ト E t h e r n e t 教 科 書 ア ス キ ー 出 版 局 (1999-3)