博 士(水 産科学) 加賀達 也 学位論文題名 P hy lo g en et i cs y s t em a t i c SO f t h e fa m i l y S i1 1 a g i ni d a e ( ACtinopterygii: OrderPerCiformeS) (キス科魚類の系統分類学的研究(条鰭綱:スズキ目)) 学位論文内容の要旨 キス科S il l a gi n i da e 魚類は,南アフリカからオーストラリア,日本にいたるインド一西部太平洋の主 に浅海や汽水域に生息し,体が細長くてやや 側扁する,口が小さい,背鰭が2 基ある,臀鰭棘が2 本で あることなどで特徴づけられる, N e ls o n( 2 0 06 ) によると本科魚類として3属約3 1 種が知られ,日本で は遊漁対象にもなっているシロギスS i ll a g o( P ar a si l l a g o ) 丿め伽血a をはじめ多くの漁業対象種が含まれ る, キス科は分類学的にはスズキ目スズキ亜目に属するが,本科の分類体系は今だに統一的な見解に達し ていない.G i u (1 8 62 )はキス科に3 属(S えロ:a 躬S 也b ぢむ印逸および&仏餌口D 出みを認めたが,F o w l e r (19 3 3 冫はG i l l(1 86 2 )の体系をさらに2 亜科に分割した.またM c K a y ,(1 9 8 5 )は,主に鰾の形態からキ ス科に3 属3亜属を認めたカミ,N e l so n (2 0 06 )は,外部形態の特徴から3 属のみを認めている.このよ うにキス科の分類体系について様々な見解が示されているが,それらはいずれも特定の特徴に着目した もので,包括的な比較形態学的検討がなされておらず,さらに分類体系の基盤となる系統類縁関係の提 示に至っていない. そこで本研究は,キス科魚類の骨格系,筋肉系,および鰾の比較解剖に基づき,1)詳細な形態記載 を行うこと,2 ) 得られた形態形質から本科の単系統性を検証すること,3)科内の系統類縁関係を推 定すること,4 ) 系統類縁関係に基づき本科の分類体系を再構築することを目的として行われた,さら に新たな系統仮説に基づき,キス科魚類の生物地理学的な起源と分散,およぴ進化傾向について考察し た. 【材料と方法】 本 研 究 では キ ス科 魚類 3 属 3亜属 2 3種 とス ズキ 亜目 12 科 12 属 12 種 の比 較 解剖 を行 った .系 統類 縁関係の推定には分岐分類学的手法を用いた .形質問の極性決定には外群比較法を用い,Fu n ct i o na l o ut gr ou p(W at rou sa nd Wh ee le r’1 98 1)の概念に基づき,典型的なスズキ 亜目の形質状態を原始根と 判断した.系統解析にはP A UP ゛v e r 14 .O b 1 0を用い,形質の最適化には変換促進および変換遅延を採用 した,生物地理学的な起源と分散はS a wa d a (1 9 82 )に基づき推定した.,なおキス科各種の学名は本研 究で新分類体系を提示する第7 章まではM c K ay (19 9 2)に従った, 【結果と考察】 1 )形態学的特徴の記載 キス科魚類の骨格系11 部位(眼骨,頭蓋骨 ,顎骨,懸垂骨および鰓蓋骨,舌弓,鰓弓,肩帯,腰 帯,脊柱,背鰭・臀鰭担鰭骨および鰭条,お よび尾鰭骨格),筋肉系10 部位(動眼筋,頬部筋肉,神 経頭蓋・懸垂骨および鰓蓋骨間の頭部の筋肉 ,頭部腹側部の筋肉,鰓弓部筋肉,肩帯部筋肉,腰帯部 ― 883ー 筋肉 , 尾 鰭 筋 肉 , お よ ぴ 体 側筋 ), および 鰾の 形態 学的 特徴を 詳細 に記 載し た. 2)キス科の単系統性 キ ス 科 魚 類 は 以 下 の 15個 の 共 有 派 生 形 質 で 定 義 さ れ る 単 系 統 群 で あ る こ と が 明 ら か に され た .1) 上 主 上 顎 骨 を 欠 く , 2) 板 状 骨 が 長 い , 3) 口 蓋 骨 歯 を 欠 く , 4) 鰓 条 骨 数 が 6, 5) 上 舌 骨 が 支 持 す る 鰓 条 骨 は 1本 , 6) 左 右 の 腰 骨 の 前 部 が 離 れ る , 7) 腹 鰭 第 1軟 条 の 分 節 が 著 し く 短 い , 8) 第 1血 管 棘 は L字 型 , 9) 脊 椎 骨 数 は 32− 44, . 10) 臀 鰭 棘 数 が 2, 11) 臀 鰭 基 底 部 が 長 い , 12) 閉 顎 筋 Alか ら 発 す る 腱 が 涙 骨 の 前 腹 側 部 に 停 止 す る , 13) 閉 顎 筋 A2が Alの 外 側 を 覆 う , 14) 鰓 弓 筋 要 素 ′ rVPが 発 達 す る , 15) 胸 舌 骨 筋 が 鰓 弓 と 肩 帯 を 結 ぶ 筋 肉 PCEの 起 始 部 を 挟 み 込 む , 3)キス科内の系統類縁関係 比 較 解 剖 に よ っ て 得 ら れ た 24個 の 変 換 系 列 を 用 い て 系 統 解 析を 行 った 結果 ,12本の 最 節約 的な 樹形 が 得 ら れ た . 本研 究で は, これ ら の樹 形の 厳密 合 意樹 (図 )を キス 科 魚類 の系 統仮 説と し て採 用し た. 以 下 に 本 科 の 主 要 な ク レ ー ド の 構 成 種 , 共 有 派 生 形 質 お よ び 固 有 派 生 形 質 の概 要を 記す . クレードAl 構成種: Sillaginodes punctata,Silla ginop sおpa 卿加S &:Z 幽舮(&:Zぬ冒む印D ¢み曲伽め叩uSおよび 黜な駟(協朋sめ劇閲a伽 畑お. 共有派生形質(1個):基 舌骨の前部が幅広い. クレードA2 構 成種 :& ぬ印 ( &ぬ 劇血 ぬ伽 e出 US& (S)sp.( 未 記載 種) ,S(め parレな gua皿逸 S(S)畆a皿a, S(nj.a血ぬ舒〇)a曲 施,&(め両〇ぬぬなど19種. 共有派生形質(2個):接 続骨の内背側面が発達する ,鰾に管状突起がある. クレードBl 構成種:&ぬ如Dぬsp珊cぬ ぬ. 派 生 形 質 ( 5個 ) : 第 3と 第 4下 尾 骨 が 癒 合 し , 尾 部 棒 状 骨 か ら 独立 する ; 第2咽 鰓骨 と 上鰓 骨を 結ぶ 筋肉M.Pb2‐Eb2がある ;鰾に単純な前側方突起が あるなど, 固有派生形質(2個):基 蝶形骨と副蝶形骨が離れる ,側線鱗数が129―147. クレードB2 構 成 種 : 鯔 ぬ わ 印 応 paロ 伽 s’ 脚 艪 p( & ぬ 如 印 Dめ あ 曲 伽 蛔 恥 お よ び 舩 舮 ( 協 朋 s泌 尠 皿a口a艪pA 共 有 派 生 形 質 ( 2個 ) : 第 4眼 下 骨 後 部 は 平 坦 , 腹 鰭 の 筋 肉 要 素 EXPが 腰 骨 の 背 側 前 縁 から 発す る. クレードCl 構成種:&ぬ如印曲pa口 め弧および&ぬ舮(&ぬ如印 D心凶む伽出叩Us. 共 有 派 生 形 質 ( 5個 ) : 鰓 弓 腹 面 の 筋 肉 要 素 TVPは 1層 で 中 央 縫 線 を 欠 く ; 鰓 弓 の 筋 肉 要素 AD4はAD5 と OBPに 完 全 に 覆 わ れ る ; 背 側 筋 の 背 側 前 部 が 上 後 頭 骨 窩 よ り 前 方 に 伸 長 し な ぃ な ど . &ぬ冒面印sおpa皿カ.,“ s 派 生 形 質 ( 9個 ) : 上 顎 骨 に 靭 帯 原 基が 付着 す る突 起が ない ;烏 口 骨の 前腹 側突 起が 細 い; 脊椎 骨の 側突起が細い;鰾がない など. 固 有 派 生 形 質 ( 18個 ) : 前 上 顎 骨 の 上 向 突 起 が 短 い ; 第 2背 鰭 棘 が 伸 長 す る ; 眼 が 小 さ い な ど , 鯔塊ロ(&ぬ如印°めみむ 伽出叩“s 派 生 形 質 ( 4個 ) : 基 舌 骨 の 前 部 が 狭 い ; 舌 弓 に 舌 動 脈 溝 が ぬ い; 第5角鰓 骨の 腹部 突 起が 発達 する など. 固 有 派 生 形 質 ( 2個 ) : 腰 骨 後 方 突 起 が 長 い , 第 1腹 鰭 軟 条 が 肥 厚 し 棍 棒 状 を 呈 す る , クレードC2 構成種:&ぬ舮(協朋必尠 皿a伽畑轟 - 884 - 派 生 形 質 ( 3個 ) : 第 2お よ び 第 3基 鰓 骨 が 部 分 的 に 縫 合 す る ; 脊 椎 骨 の 側 突 起 が 血 管 孔 を 形 成 す る ; 鰾 に 管 状 突起 が あ る . 4) 分 類 体 系 の 再 構 築 得 ら れ た 系統 類 縁 関 係で 主 に 各 クレ ー ド の 共有 派 生 形 質お よ び固有 派生形質 の分布 状態を 検討し ,ク レ ー ド A2, Bl, C2, お よ び Cl内 の Sillaginopsis panijusと Sillago (Sillaginopodys) chondrop usに そ れ ぞ れ 属 の ラ ン ク を 与 え る の が 妥 当 と 判 断 し た . ク レ ー ド Blに 対 し て は Sillaginodes,ま た ク レ ー ド Cl内 の Sil_laginopsis panijusに 対 し て は 従 来 の 属 名 を 踏 襲 さ せ た , ク レ ー ド Cl内 の & : llag〇 ( . 鉦 ぬ 廊 印 Dめ み 出 伽 出 叩 usは & ぬ 鈩 属 の タ イ プ 種 で は な い こ と か ら Fowler( 1933) が 本 種 の 亜 属 名 と し た & ぬ 如 印 〇 め 璢 を 属 名 に 昇 格 さ せ た . ク レ ー ド B1の & ぬ 駟 ( 丑 z瑚 s. え ぬ 劇 皿 acm匁 ’ な は 属 階 級 群 の タ イ プ 種 で は な い た め , 新 た に 属 を 設 け る 必 要 が あ る . ま た 従 来 の 成 ぬ 靜 属 と め 朋 s. え ぬ 即 亜 属 は 本 研 究 の 結 果 , 非 単 系 統 群 で あ る と 判 断 さ れ た . そ こ で 両 属 階 級 の タ イ プ 種 [ 刪 ′ a舮 ( & ぬ 劇 必 a閲 a ( Forsskal, 1775) と 鯔 な 舮 ( ぬ 瑚 sZぬ め c. Zぬ ぬ Cuvier, 1829] が 含 ま れ る ク レ ー ド A2の 属 名 に 関 し て は 先 取 権 の 原 理 ( 国 際 動 物 命 名 規 約 第 23条 ) に 基 づ き 鯔 ´ aぎ ロ 属 を 用 い た , ま た , 本 研 究 で キ ス 科 に 亜 属 レベ ル の ラ ンク を 設 定 しな い こ と とし た . 以 下に 本 研 究 で提 唱する キス科 魚類の 新分類 体系を 示す. F ami lyS il lag in id aeRi ch ar dso n,18 46 キ ス科 Ge nu sSil la gC uvi er ’1 81 7キス 属 Ge nu s&ぬ 伽印曲 G i1 1,18 61 Ge nu s鯔な 如Dぬs Gi1 1,18 62 Ge nu sS 泌a 舮b 印D め 侮Fo wl er ’1 93 3 Un na me dne Wg e nu 8 (“&:ぬぎ.D(協′a鹹′a め”皿a口.D .たp おに対して) 5) 動 物 地 理 学 的 な 起 源 と 分 散 キ ス 科 魚 類 の 分 布 域 を Briggs (1974)の 海 洋 区 分 と 現 生 種 の 分 布 域 を も と に 11領 域 に 区 分 し , 本 科 の 起源お よび系 統分散 を推定 した, その結 果,キ ス科魚類 の共通 祖先は オース トラリ ア南西 部に起 源し, そ の後 イ ン ド 一西 部 太 平 洋の 各 地 へ と分 散 し て 行っ たと 考えら れる, またキ ス科魚 類の耳 石の化 石が現 在 本 科 魚 類 が 分 布 し な い ヨ ー ロ ッ パ や ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド の新 生 代 第 三紀 の 地 層 から 発 見 さ れて い る (McKay1992).こ れ ら の こ と か ら , 本 科 魚 類 は 新 生 代 中 期 ま で は 現 在 よ り 広 く 分 布 し て い た が , 冷 水 化 など の た め に分 布 域 が 縮小 し た も のと 考 え ら れる . 6) 進 化 傾 向 本 研 究 で 提示 さ れ た キス 科 魚 類 の系 統 仮 説 に基 づ き, 本科魚 類の進化 傾向を 検討し た.そ の結果 ,キ ス 科魚 類 の 共 通祖 先 は 発 達し た 鰾 , およ ぴ 接 触 感覚 器と しての 機能を 備える 腹鰭を 有し, 海底近 くに生 息 す る 遊 泳 型 魚 類 と 推 定 さ れ た . キ ス 科 魚 類 の 主 要 な 2つ の ク レ ー ド (Alと A2)で 異 な る 進 化 傾 向 が 推 定 さ れ た . す な わ ち , ク レ ー ド Alで は 鰾 を 退 縮 さ せ , 一 部 の 種 で は 接 触 感 覚 機 能 を 備 え た 棍 棒 状 の 腹 鰭 や 発 達 し た 嗅 覚 受 容 器 な ど を 獲 得 し , 更 に 底 性 生 活 ー 適 応 し た と み な さ れ る . 一 方 , A2で は 進 化 に 伴っ て 鰾 の 突起 が 発 達 し, 鰾 に よ る聴 覚 機 能 がさ らに 発達し ていっ たと考 えられ る,し たがっ て,キ ス 科 は 独 自 の 進 化 傾 向 を も つ 2群 を 擁 す る グ ル ー プ で あ る と 結 論 さ れ た , - 885― コ Genu s Sill aginode s コ Gen us Si lla gi nop sl s コ Gen us Si ll a gi no p od y s コ New G enu s Ge n u sS il l a g o 図本研究で推定されたキス科の厳密合意樹(樹長8 8,ー致指数0. 46 59 ,修正一致指数0. 3) ー 886ー 学位論 文審査の要旨 主 副 副 副 査 査 査 査 教 授 教 授 准 教 授 助 教 矢 五 今 河 部 衞 嶋 治 村 聖 央 合 郎 俊 学 位 論 文 題 名 Phy log ene ticsy ste mat icsofthefa mil yS ill agi nida e (Actinopterygii: order Perciformes) ( キ ス 科 魚 類 の 系 統 分 類 学 的 研 究 (条 鰭 綱 :ス ズ キ 目 )) キス科魚類は、体が細長く、口は小さく、背鰭が2 基あり、臀鰭棘が2 本であることなどで特徴づけ られ、 南アフ リカからインド一西部太平洋の主に浅海や汽水域に3 属約3 1種が分布し、シロギスをは じめ多くの漁業対象種が含まれる。本科魚類については従来の研究により様々な分類体系が提示されて きた。しかし、分類体系の基盤となる本科魚類の系統類縁関係は未だに提示されていないため、いずれ の体系が妥当であるか一定の見解が示されていない。そこで本研究は、キス科魚類の骨格系、筋肉系、 およぴ鰾の比較解剖に基づき、1 )詳細な形態記載を行うこと、2 )得られた形態形質から本科の単系 統性を検証すること、3 )科内の系統類縁関係を推定すること、4 )系統類縁関係に基づき本科の分類 体系を再構築することを目的として行われた。さらに新たな系統仮説に基づき、キス科魚類の生物地理 学的な起源と分散、韜よび進化傾向にっいて考察した。 以下に本研究の結果を要約する。 1 ) キス科 魚類3属2 3種を 比較解剖 し、骨格 系1 1 部位(眼骨、頭蓋骨、顎骨、懸垂骨および鰓蓋骨、 舌弓、 鰓弓、 肩帯、腰 帯、脊 柱、背鰭 ・臀鰭担鰭骨および鰭条、および尾鰭骨格)、筋肉系1 1部位 (動眼筋、頬部筋肉、神経頭蓋・懸垂骨および鰓蓋骨間の筋肉、頭部腹側部の筋肉、鰓弓部筋肉、肩 帯部筋肉、腰帯部筋肉、尾鰭筋肉、および体側筋)、およぴ鰾の形態学的特徴を詳細に記載した。 2 ) キス科 魚類の単 系統性を分岐分類学的に次の定義する15 個の共有派生形質を提示した:上主上顎 骨を欠くこと、板状骨が長いこと、口蓋骨歯を欠くこと、鰓条骨数が6 であること、上舌骨が支持す る鰓条骨は1本であること、左右の腰骨の前部が離れること、腹鰭第1 軟条の分飾が著しく短いこと、 第1血管棘 はL 字 型であ ること、 脊椎骨数 は32 −44 で あるこ と、臀鰭 棘数が2 であること、臀鰭基 底部が 長いこ と、閉顎 筋A1 から 発する腱 が涙骨 の前腹側 部に停 止するこ と、閉顎 筋A2 がAl の 外側 を覆 うこと、 鰓弓筋要 素TV Pが発達す ること、胸舌骨筋が鰓弓・肩帯間の筋肉P CE の起始部を挟み 込むこと。 ―8 8 7― 3 )比 較解剖 の結果か ら得ら れた24 形質 変換系 列を用い て系統 解析を行 い1 2本の最節約的樹形を得 て、それらの厳密合意樹をキス科魚類の系統類縁関係に関する系統仮説として提示した。また、分岐 図上の各クレードの共有派生形質を特定した。 4 )新たな系統仮説をもとに従来のキス科魚類の分類体系を検討し、本科魚類に設定されていた従来の 3属 3 亜 属 の う ちSJU. lago 属 と Pa ras洫ぎ , 。 亜属 が 非 単 系統 群 で ある こ と を明 ら かに した。 5) キ ス 科 魚 類 を 5属 ( 1新 属 を 含 む ) と す る 以 下 に 示 す 新 分 類 体 系 を 提 唱 し た 。 F a md y S ma g 血i da e Ri c h ar d s on ,1 8 46 キス科 くk D u s&ぬ印C uv i er ,1 8 1 7キス属 G e nu s &ぬg むD p sお蝕1,18 6 1 G e nu s &ぬ如D d 曲G m,18 6 2 G e nu s S ヱぬ冒む(’pD d .閂F o wl e r ,1 93 3 U n na m e dn e W醫en u S:“駈ぬ印(PI 脚砠ぬ劇”皿a c .r D珀p幽に対して 6 )本研究で提示された系統仮説に基づき生物地理学的な考察を行い、キス科魚類の共通祖先はオース トラリア南西部に起源し、インド一西部太平洋の各地へと分散したこと、本科魚類は新生代中期まで は 現在よ り広く分 布して いたが、 冷水化な どのた めに分布 域が縮 小したこ となど を推論し た。 7 )キス科魚類の共有派生形質に着目して、本科魚類の進化傾向を考察した結果、キス科魚類の共通祖 先は発達した鰾および接触感覚器としての機能を備える腹鰭を備えた、海底近くに生息する遊泳型魚 類と推 定された 。また、 本科の主要な2つのクレードで異なる進化傾向が推定され、一方では鰾を退 縮させ、接触感覚機能を備えた棍棒状の腹鰭や発達した嗅覚受容器などを獲得し、更に底性生活ヘ適 応し、他方では進化に伴って鰾の突起が発達し、鰾による聴覚機能がさらに発達していったものと推 論された。 このような申請者の研究成果は、水産科学の基盤の1 うである魚類系統分類学分野に大いに貢献する ものと高く評価された。よって、審査員一同は、申請者が博士(水産科学)の学位を授与される資格の あるものと判定した。 ― 888 -
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