第4回伊丹市労働問題審議会資料【平成 23 年 3 月 22 日】 答 申 平成23年3月 伊丹市労働問題審議会 目 次 はじめに P2 答申 「現在の雇用・労働情勢のもと、多様化する労働行政において伊丹市が担うべき役割について」 1.伊丹市の雇用・労働環境をとりまく現状 P3 2.課題に対する対応及び現在の取り組み、今後市で取り組むべき施策について P4 ① 雇用(就労の場)の確保・拡大について ①−1 産業政策との連携 ①−2 就労形態の多様化 ①−3 若年者雇用の確保 ② 就労環境の整備について P7 ②−1 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現、潜在労働力の活用 ②−2 まちづくり施策による地域の活性化と就労者の確保 ②−3 若年者の就労支援・教育 ②−4 幼児・学校教育での職業意識の形成 ③ 求職者と求人のミスマッチの解消 P11 ③−1 介護・福祉分野への就労者の確保 ③−2 中小零細企業、特にモノづくり企業への就労促進 ③−3 若年者雇用のミスマッチ解消 ③−4 国・県・市および関係機関等との連携 ④ 福祉的側面からの就労支援 P16 ④−1 障害者雇用の推進 ④−2 社会経済情勢に対応した福祉面からの就労支援のあり方 むすび P19 資料 ・諮問 P20 ・審議会開催経過 P21 ・審議会委員名簿 P22 1 は じ め に 日本経済は、平成 20 年夏の金融機関の破綻に端を発した世界的な金融恐慌以降、実態経済 にも影響が及び、特に製造業を中心に長く厳しい構造的な不況が続いている。ここにきてよう やく海外経済の改善や各種の政策効果などを背景に、景気が持ち直していくことが期待される 一方で海外景気や為替レート、原油価格の動向等によっては、景気が下振れするリスクが存在 している。また、3 月 11 日に発生した東日本大震災が今後経済に与える影響も不透明な状況で あり、雇用情勢の不安定性が依然残っていることに対する配慮が必要な状況となっている。 雇用情勢において、失業率は 5%を下回ったが依然高止まりの状態であり、今年度の大学生 の就職内定率が統計史上最低となるなど、ことに若年層にとっては厳しく、また常用雇用者と しての就職が困難になっている状況である。高齢者雇用も同様な状況となっている。 しかしながら、求人数が低い水準にあるだけではなく、企業規模や職種などによっては必要 な人材が確保できていない状況もあり、こうしたミスマッチの解消も社会的課題である。さら には、就労意欲の低い若者も依然存在する。労働力が将来的に減少する社会において、こうし た若年層の就労支援にも地方自治体の果たす役割は大きい。また、女性・高齢者・障害者の働 きやすい環境を整備することも求められている。 伊丹市の特徴としては、住宅都市でありながら、約 6000 の事業所を擁する産業都市の顔も 持っており、市内には中小企業が数多く立地している。そのため、製造業を中心とする不況が 長びき、税収の伸びが大きく見込めない一方で、生活保護受給者の増加や住民の高齢化の進展 により、市の扶助費は増加の傾向にある。 このような中、今自治体においては「地方政府」として自らの判断と責任において市政運営 を行うための改革が進められており、伊丹市においては、平成 23 年度より 10 年間の「伊丹市 第 5 次総合計画」がスタートする。 伊丹市労働問題審議会は、前回、平成 6 年度より平成 7 年度にかけて計 5 回の審議を行い、 「伊丹市における若年労働者の確保について」を市長に答申した。その後長らく開催されてこ なかったのは、労働・雇用施策は国・県レベルが有効であり、市単独では効果が限定されるの ではないかという考えによるものであった。 しかし、先述のように近年の雇用情勢は厳しさとともに、多様な就労者に対する環境整備等 の様々なニーズが存在している。地方分権の考え方からも、一自治体であっても、市民の雇用 については国・県・関係機関と連携を図りつつ、一定の役割を果すことを認識する必要が出て きた。そこで、市長より「現在の雇用・労働情勢のもと、多様化する労働行政において伊丹市 が担うべき役割について」の諮問を受け、市としてどのような労働施策の実施や展開が出来る のかについて検討してきたところである。 今回の審議会は、1 月から 3 月にかけて計 4 回の会合を集中して開催し、それぞれの立場か ら各方面の意見を出し合い、活発な論議の内容について一定の整理を行い、答申としてまとめ を行った。 伊丹市においては、本答申をもとに、市民が安心して暮らし、個人の持つ能力を高めつつ、 いきいきと働き生活することの出来るまち、にぎわいと活力にあふれるまちづくりの大切な要 素である、労働・雇用政策について検討を加えられ、一つでも多く現実の施策となるように努 力をお願いするものである。 2 答 申 ◆「現在の雇用・労働情勢のもと、多様化する労働行政において 伊丹市が担うべき役割について」 1.伊丹市の雇用・労働環境をとりまく現状 全国的に人口が減少に転じ、少子高齢化が進む中で、伊丹市においても平成 22 年国勢調査 (速報値)では 196,160 人と前回調査より 3,910 人(2.03%)増加しているものの、将来的に は減少すると予測されている。年齢構成についても比較的高齢化率が低く(19.7%と県内でも 下から5番目) 、労働力人口についても年少者人口、生産年齢人口(15∼64 才)の割合は比較 的高いものの、これらは減少傾向にある。高齢者人口の割合も、平均より低いが全国値と同様 に増加している。生産年齢人口の労働力状態は、ほぼ国や県と同様の傾向にあるが、女性の年 齢別就業率を見ると、阪神地域と同様に、子育て世代の女性の就業率が国と比べて低い傾向に ある。 就業者の流出・流入状況(平成 17 年国勢調査)については、伊丹市民で就業している人の 48.1%が市内で従業しており、残りの 51.9%の市民は、大阪市(16.2%) 、尼崎市(13.5%) への通勤が多い。宝塚市、川西市、西宮市と比べて、市内従業者が多いことが特徴である。 事業所の動向については、市内の事業所数、従業者数はともに減少傾向にある。平成 18 年 の事業所数は 5,770、従業者数は 73,365 人。従業者数を産業別に見ると、サービス業、製造業、 卸・小売業に従事する人が全体の 8 割を占めている(事業所数も同様) 。 また、全国や県と比較してみると、製造業の割合が高い(全国 16.9% 伊丹市 26.2%(平成 18 年民営事業所)) 。 有効求人倍率についてみると、平成 23 年 1 月では、全国 0.61 倍、兵庫県の 0.57 倍に比べ て、ハローワーク伊丹管内は 0.40 倍と低い。特に、事務的職業にいたっては 0.18 倍となって いる。 平成 21 年度に市内工業系企業実態調査を実施し、414 事業所(全部で 468 事業所の 88.5%) からの回答を得た。その結果をいくつか列挙すると、 ・従業員数 10 人以下の事業所が 56.6%、100 人以下の事業所が 90.2%、300 人以下の事業 所が 96.7% ・全事業所の年齢構成 20 歳台以下 15.5% 30 歳台 29.5% 40 歳台 30.7% 50 歳台 20.4% 60 歳台以上 3.9% ・従業員数の増減 1 年前と較べ、横ばいが 55.8%、増加が 9.2%、減少が 31.4% ・新規採用 採用した 22.5% 採用していない 75.8% ・市の労働施策への主な意見・要望 3 「製造現場職の採用に苦心」 、 「退職の補充を募集しても人が集まらない」 、 「即戦力となる 技術者の紹介」 、 「雇用に対する補助金等の充実」 等が出された。 平成 23 年度よりスタートする伊丹市第5次総合計画(2011∼2021 年)においては、政策 課題として「安全安心のまち」と同時に「にぎわいと活力にあふれるまち」を掲げ、産業の 活性化をはじめ、勤労者にとって暮らしやすいまちづくりに向け、地域が主体となって取り 組むこととしている。 2.課題に対する対応及び現在の取り組み、今後市で取り組むべき施策について 伊丹市の雇用・労働環境について、その課題と対応、現在の取り組みを、 ①雇用(就労の場)の確保・拡大について ②就労環境の整備について ③求職者と求人のミスマッチの解消 ④福祉的側面からの就労支援 という、大きく4つのカテゴリーに分け、それぞれの課題について、今後伊丹市として取り 組むべき施策について検討を行った。 ① 雇用(就労の場)の確保・拡大について ハローワーク伊丹管内の有効求人倍率は 0.40 倍(平成 23 年 1 月)と低く、求職者数に対 して求人数が少ないことを示している。 このことからも、市民の働く場を確保・拡大して行くことが、雇用問題解決の基本である ことは明らかであるが、伊丹市民の従業地は半数が大阪市などの市外であり、労働市場は市 域を越えて開かれていること。また、ハローワーク伊丹管内の有効求人倍率はあくまでも3 自治体(伊丹市・川西市・猪名川町)全体の値であることなどから、そう簡単に扱えるもので はない。 さらに、現実的な問題として、雇用の拡大については、企業誘致や景気回復による製造業 等の設備投資拡大など、経済要因や産業政策と密接に連動した要因があり、限定的な行政区 の一自治体のみの施策で雇用拡大するのは困難と考えられる。 ①−1 産業政策との連携 ○現状と課題 リーマンショック以降のデフレ経済と景気の長期低迷により、日本経済をリードしてき たものづくり産業、製造業が依然として厳しい状況に陥っている。ハローワーク伊丹管内 の企業は伊丹市内が大半を占め、かつ、ほとんどが中小零細企業である。人員も精一杯の ところでやりくりをしているところが多く、即戦力を必要とする中小零細企業にとっては 新規採用は難しいとも言われている。ハローワーク伊丹の求人開拓推進員による管内の事 業所巡回でも、新規求人の拡大が困難な状況である。しかし、一方で、企業の中長期的な 4 継続性の確保という目的からすれば、人材育成や技術の継承、専門性の確保も大きな課題 である。 現行施策 ◇産業振興ビジョン(現行)に基づく産業振興施策(伊丹市)や国、県の様々な産業振興政策 ○今後の取り組み 雇用の確保や拡大については、雇用政策と産業政策の両面からの推進が必要であり、特 に、市内事業所の大半を占める中小企業の元気回復、モノづくりの復権に向けた施策が重 要である。 伊丹市においては、現在、産業振興ビジョンを改定中であり、そのなかで、新たな取り 組みを、市立産業・情報センター事業を中心に計画している。 具体的には、センターに登録されたシニアアドバイザーからコーディネータを育成し、 積極的に現場に出向き、企業訪問により事業所のニーズを把握し、公的支援制度や支援機 関の紹介、企業間・産学間のマッチングを図る取り組みを進めることにより、事業所支援 活動を推進するというものである。 そのほかにも、施行後3年目を迎えた「伊丹市企業立地支援条例」により、製造業の事 業所の新規立地や、市内既存の工業系事業者の事業拡充等を、引き続き支援していくほか、 新たに、操業環境安定のため、住宅と工業系事業所の住工共存に向けた制度の検討や、環 境等に配慮しつつ、工場敷地の土地利用に係る規制緩和も検討するなど、総合的な産業振 興策を打ち出している。 ◆具体的に取り組むべき施策 短期 ・産業振興ビジョン(新)に基づく、中小企業活性化を中心とした総合的な産業施策の推進 ・産業・情報センター事業として、コーディネータの市内事業所訪問を活用し、産業支援とともに 、 市労働施策の紹介や意向の収集 ・商工会議所・ハローワーク・労働団体との定期的な情報交換・収集及び事業連携 中長期 ・ものづくりの新たな担い手づくりや継承者の養成について支援策の検討 ・総合計画をはじめ、都市計画マスタープランや都市農業振興計画等の取り組みと連携した、効 果的な施策展開(地元企業のPR:新たな付加価値商品の開発・技術開発等) ①−2 就労形態の多様化 ○現状と課題 企業による雇用という関係だけでなく、生きがい就労や協同労働、非営利活動組織(N PO)など様々な就労形態が出現している。また一方で近年の雇用形態の多様化は、働く 側にとってもその柔軟性ゆえに便利な側面もあるが、ワーキングプアという言葉でその問 題点も指摘されることもある。個人の選択の自由を尊重するか社会的平等性を確保するの かは、社会政策的な観点からの議論を待つ必要がある。 伊丹市では、多様な働き方については国や県の施策に基づいて、公正な労働やワーク・ 5 ライフ・バランスの啓発等を行ってきているとともに、ワークシェアリングや短時間労働 についての具体的な施策展開は、国や県による支援策等の周知・啓発を中心に進めている。 現行施策 ○派遣労働者雇用安定化特別奨励金(兵庫労働局) ○シルバー人材センターによる高齢者の就労機会・社会参加の場の提供(市高年福祉課) ○今後の取り組み 多様な働き方を社会が受容していくことは、多様な就労形態で働くことを望む人々の就 労機会を生み出すことにもつながる。コミュニティビジネス、協同労働、社会的企業など、 高齢化社会や女性の就労などの進展から生じる様々な社会的ニーズを充足する活動を、新 たな就労機会と結びつけることで、雇用創出あるいは創業(起業)への支援、派遣労働の あり方、高齢者雇用といきがいづくりなどを可能とすることができる。このような個々の 課題に対しての行政の関わりは、今後益々期待されていくものであり、新しい形の就労に 対する支援のあり方について研究することも今後必要となってくる。 ◆具体的に取り組むべき施策 短期 ・こども施策や男女共同参画施策との連携によるワーク・ライフ・バランスの啓発 中長期 ・コミュニティビジネスや協同労働、社会的企業(起業)などへの支援 ①−3 若年者雇用の確保 ○現状と課題 平成 23 年 3 月大学卒業予定者の平成 22 年 12 月 1 日現在の就職内定率は 68.8%で、調 査開始以来過去最低の水準となっており、既卒者の就職環境となると一層厳しさを増して いる。 このため、雇用対策法に基づく「青少年の雇用機会の確保等に関して事業主が適切に対 処するための指針」が一部改正され、事業主は、学校等の新卒者の採用枠に学校等の卒業 者が、学校等の卒業後少なくとも3年間は応募できるようにすべきこと等が新たに盛り込 まれている。 一方、景気の先行きが見えない中、高齢者の継続雇用の推進と同時に若年者雇用の維持 や拡大を求められる事業主にとって、容易ではない問題となっている。 このような中、伊丹市では、ハローワーク伊丹、伊丹商工会議所との連携により、卒業 予定者を含む概ね 40 歳未満の求職者を対象にヤングサポートフェア(若年者就職面接会) と、産業マッチングフェア(商談等のマッチングの場)をドッキングさせた取り組みを行 った。140 人を超える求職者に対し、企業からは 12 社 28 人の求人があり、5 人程度の就 職に結びついている。 就職難の状況でありながらも、企業ブース毎に求職者の倍率が大きく異なり、求職者が 志望する業種や企業規模により特定のところに集中する傾向が色濃く見られた。 また、ハローワークでは、ハローワーク伊丹・尼崎・西宮の三所が合同で伊丹市とも連 6 携し、今年 3 月新規卒業者を含む概ね 39 歳までの求職者を対象とした、 「阪神地域若年者 就職面接相談会」を実施し、25 社の企業の参加を得ている。 現行施策 ○ヤングサポートフェア(伊丹地区雇用対策協議会、ハローワーク伊丹・尼崎、伊丹市、川西市、猪名川町) ○トライアル雇用奨励金、若年者等正規雇用化奨励金(兵庫労働局) ○今後の取り組み 高齢者雇用の推進が求められる一方で、労働力の維持や技術継承等の側面からも、若年 者雇用の確保がより重要になっている。 若年者雇用に関しての施策は、現行のヤングサポート事業をはじめ、ハローワーク伊丹 との連携を基に、市が伊丹商工会議所など経営者団体や労働団体との協力を得つつ、今後 も継続していくことが望ましい。 また、近隣市で今年度から取り組む、ふるさと雇用再生基金を活用した「しごと塾」が 参考意見として出された。若年層を就労へと結びつけるノウハウの学習や実践としてのカ ウンセリングからトライアル雇用やマッチングなども含め、就労に対して総合的に対応で きるパッケージ事業を、伊丹市の実態に合わせた施策として検討していく必要がある。 ◆具体的に取り組むべき施策 短期 ・ヤングサポートフェア等、若年者就職面接会の充実による市内事業所への雇用支援 ・若年層を対象とした就労に対して総合的に対応できるパッケージ事業の検討 ② 就労環境の整備について 伊丹市における生産年齢人口(15 才∼64 才)の割合は比較的高いが、少子高齢化に伴い 国と同様、減少傾向にある。 市内で就労人口を確保・向上するためには、居住人口を増加させること以外では、その中 で就労する人の割合を高めていくことが必要である。具体的には、女性の就労、高齢者雇用 等の機会が増大するような環境整備の課題解決が求められる。 ②−1 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現、潜在労働力の活用 ○現状と課題 伊丹市における女性の年齢別就業率を見ると、平成 17 年国勢調査の値は、同 12 年の値 からは総じて上昇している。いわゆるM字型曲線については、国・兵庫県とほぼ同様の傾 向を示しているものの、谷部分の落ち込みがやや深くなっている。換言すれば子育て世代 の女性の就業率が国・県と比較してやや低い傾向にある。 市内の保育所では、ほとんどで延長保育が導入され、また、小学校では全校で学童保育 が実施されており、一部延長保育も対応している。 次世代育成支援対策推進法の改正により、平成 23 年 4 月から、一般事業主行動計画の 策定・公表及び周知・届出義務化が従業員 101 人以上の事業主に拡大されるが、市の工業 系企業調査を見ても、市内企業にとって、次世代育成支援法に基づく子育てと仕事の両立 7 支援は規模的に難しいという回答が出ている。そこで、これらの中小企業のワーク・ライ フ・バランス実現に向けては、そのニーズを明確にして、行政との連携を図りながら充実 させていくことが求められる。 現行施策 ○育児・介護雇用安定等助成金、均等・両立推進企業表彰(兵庫労働局) ○両立支援レベルアップ助成金(21 世紀職業財団) ○両立支援のための各種セミナー(21 世紀職業財団) ○ワーク・ライフ・バランス表彰制度(市男女共同参画課) ◇各種子育て支援施策、男女共同参画施策(伊丹市、国、県) ○今後の取り組み 地域の活性化の視点からも、女性がいきいきと働き、暮らすまち、地域活動や企業活動 においても活躍する場が必要であることは重要である。女性の雇用に対する施策(継続し て働ける、あるいは再就職しやすい)の展開は今後とも推進が必要である。 女性の活力を生かすには、早朝・夜間や休日も子どもを安心して預けられる施設がある こと、それも駅近郊の便利な場所にあれば、さらには緊急時には医療機関と連携できるこ とが望ましい。一方、介護施設の整備も女性が働きやすい環境整備のひとつとなっている。 子育てや介護を支援する施設については、行政の直接展開に加え民間活力を活用し、保育 や介護関連企業を市内に誘致することでの環境整備もその範疇に含めることができる。 子育て支援については、すでに次世代育成支援法に基づく次期計画を策定しており、そ の中で阪急伊丹駅近くの民間保育所の誘致や、市全域を対象とした認定子ども園の活用策 を検討しており、その推移を見守りたい。また、学童保育についての時間帯の拡大も、就 労者の環境整備のひとつということができる。 ◆具体的に取り組むべき施策 短期 ・市の子育て支援施策や男女共同参画施策と労働施策の連携強化 ・仕事と家庭の両立に向けた啓発に取り組む企業担当者へのセミナー開催等 中長期 ・子育て施設の充実(保育時間と労働時間のマッチング)、介護関連施設の充実の検討 ・民間活力を活用した保育や介護関連企業を市内に誘致 ②−2 まちづくり施策による地域の活性化と就労者の確保 ○現状と課題 自然環境、文化資源、産業基盤など地域資源を活かし、住みたいまち、働きたいまち、 訪れたいまちをつくる、そのようなまちづくり施策が行政に求められている。 日本経済は既に経済成長の時代から成熟社会への転換期と言われているが、地方分権と ともに地方においては都市間の競争が進んでいる。つまり、都市の魅力により、就労人口、 居住人口を確保することが、地域の発展やまちづくりの財政的な基盤安定の強化につなが る。 8 伊丹市では、「第5次総合計画」で、市の将来像である「みんなの夢 まちの魅力 と もにつくる 伊丹」の実現に向け、基本目標「市民が主体となったまちづくりの実現」と 4つの政策目標「支え合いの心でつくる安全・安心のまち」「未来を担う人が育つまち」 「にぎわいと活力にあふれるまち」「環境が大切にされ暮らしやすさと調和したまち」を 実現するため、具体的に事業展開すべく前期事業実施5カ年計画を策定して、地域づくり に取り組もうとしている。 現行施策 ◇伊丹市総合計画に基づくまちづくり(伊丹市) 等 ○今後の取り組み 住民の生活は、住民に身近な自治体が責任を持って地域住民の意見を集め調整し、まち づくりを行うことが大切である。また一方で、流動人口を増加させる側面からも魅力ある .. まち、行ってみたいまちでもあることが必要である。伊丹市は大阪の近郊都市としての住 宅都市、空港のある人々の移動の拠点都市、中小企業が多く集積する産業都市といった多 様な表情を持つ都市である。既にアピールプランや都市ブランド戦略などの取り組みを推 進しているが、地域の活力を維持・増進していくためには、今後ともまちが持つ魅力や潜 在能力を見い出し、内外に効果的に情報発信していくことが求められる。 委員からは、市の居住人口、就労人口の増加なくして産業の発展、まちの活性化はあり えないとして、 「安心して働けるまち、安心して暮らせるまちづくり」をキーワードにした 諸施策の展開、 「教育・医療・介護サービスの充実」等の地域性、特色を活かした施策、市 民が安心して生活ができる環境づくりや共働き家庭が住みやすいまち(子育てがしやすい、 住みやすいまち)への取り組み、大阪圏に近い伊丹の立地条件の活用、地域活性化の起爆 剤として、伊丹空港を最大限利用した地域の国際化などの意見が述べられた。 これらの施策化については、総合計画の中でいずれも展開していくべきものとして捉え ている。 ◆具体的に取り組むべき施策 短期及び中長期 ・第5次総合計画と連動した関連諸施策の着実な推進 ・共働き家庭が住みやすいまちというまちづくりの視点から子育てがしやすい、住みやすいまちの 積極的な情報発信 ・大阪国際空港を活用した地域の活性化 ②−3 若年者の就労支援・教育 ○現状と課題 明るく活力あるまちであるためには、若い人々が働き、楽しみ、憩うという姿をもつこ とが必要である。また、若年者の雇用の安定は、婚姻率や出生率の向上と密接な関係をも っている。就職氷河期とも言われるほど学生の内定率が低迷する中で、若年層の雇用確保 に対する支援や青少年に対する就労意識の高揚は、社会的な課題として認識する必要があ 9 る。しかも、若年層の就労環境が改善されない状況が続けば、社会の閉塞感を生み、将来 的な労働力の維持とわが国の強みでもある技術の継承等にも支障が生じることとなる。 若年者の就労を支援するため、独立行政法人雇用・能力開発機構や兵庫県において、職 業能力開発が実施されているほか、伊丹市においても各種就労支援セミナーなどを実施し ている。 また、塚口さんさんタウン内には若者しごと倶楽部・阪神サテライトが設置されており、 就職に向けたキャリア・カウンセリングや就職支援セミナー・しごと体験を実施している。 本市内でも一層の周知を図ることが求められる。 合同就職面接会やヤングサポートフェアについては、前述のとおりである。 現行施策 ○就労支援のための各種セミナー(ハローワーク、兵庫県、伊丹市他) ○ヤングサポートフェア(再掲)(伊丹地区雇用対策協議会、ハローワーク伊丹・尼崎、伊丹市、川西市、 猪名川町) ○若者しごと倶楽部(サテライト阪神) (兵庫県雇用開発協会等) ○こうべ若者サポートステーション(兵庫県等) ○今後の取り組み 若者が将来に希望を持ち自己実現の一つとして職業選択が行えるよう、青少年期からの 職業教育、しごと体験などにより、可能な限り社会的な活動である労働に触れる機会を創 出することが必要である。 意見としては、中学生・高校生には、製造業などの体験や働きながら学ぶことへの支援、 高等学校の進路指導担当者との情報交換、高等学校における就職に関する知識や技術、専 門高等学校教育の実情についての研究・検討、民間企業での社会学習や就労体験、現場実 習、職業訓練、インターンシップ(研修生) 、トライやるウィークの若者型の実施などが出 された。 ヤングサポートフェアの拡充と就職に関する情報提供などに取り組むとともに、近隣市 が今年度より実施した事業(「しごと塾」)を参考に、国の定義する若年層(39 才まで)の 就職希望者の就労支援・マッチング策の具体化に向けた検討が必要である。 ◆具体的に取り組むべき施策 短期 ・若年者雇用に関するマッチング施策の充実による若年者の就労支援 ・ヤングサポートフェアの継続 ・若年層を対象とした就労に対して総合的に対応できるパッケージ事業の検討(再掲) ・若者しごと倶楽部(サテライト阪神)(兵庫県雇用開発協会等)の周知と活用 中長期 ・高校、大学生の学校教育過程における職業教育の浸透 ・民間企業での職業訓練や体験方法の検討 10 ②−4 幼児・学校教育での職業意識の形成 ○現状と課題 新卒者の就職状況がかつてない厳しさであるが、若年者のニートやフリーターなどが社 会問題化されて久しい。また、先述のように、若年層の求職者が特定の職種や大企業への 就職を希望する傾向が強く、後述の求職と求人の間の雇用のミスマッチという問題が生じ ている。 これらの問題の根底には、幼児・学校教育時点での職業観の形成に課題があるのではな いかとの意見が多く出た。 平成 10 年より兵庫県では中学2年生を対象にトライやるウィークを実施しており、ほ とんどの中学が実施している。伊丹市でも 600 事業所からの協力を得ており、子どもたち が就業体験する貴重な機会となっているが、それだけでは不十分であり、幼児期からの職 業観の形成や高校生になった後の体験学習も必要と考えられる。 現行施策 ○中学生のトライやるウィーク(市教育委員会) ○ひょうごの匠キャラバン(兵庫県) ○今後の取り組み 子どもたちが幼児期から働くということに興味を持ち、社会性や協調性を身につけるこ とは、教育面から見ても望ましいことである。 既に本市においても小学校での工場見学や中学校でのトライやるウィークなど実践され ているが、さらに「働く」ということに慣れ親しむような教育メニューも考え、市の産業 を支える中小企業等の情報提供をすることで、市内企業への関心を深めることが必要であ る。 ◆具体的に取り組むべき施策 中長期 ・市内企業に働く人の技能、匠の技を子どもたちの教育(技術や職業観)に活用 ・小学校、中学校、高等学校、大学における職業教育あるいは企業見学や体験の実施 ・市内企業への関心を深めるための市内中小企業の情報提供 ③ 求職者と求人のミスマッチの解消 先に述べたように、求職者の希望業種や企業規模が特定の指向をもつことから、実際に求 職者がいても採用する企業がない、あるいは企業が求人を募集しても求職者がいない、とい う現象、つまり雇用における需要と供給の「ミスマッチ」が生じている。 企業にとって必要な人材と求職者にとってやりたい仕事とのマッチングのズレ、結果とし てはこの「ミスマッチ」の解消が、本市における労働問題解決の一つの鍵になる。 ③−1 介護・福祉分野への就労者の確保 ○現状と課題 高齢化社会に入り、また 2000 年の介護保険制度実施後、福祉・介護分野への従事者は、 11 平成 17 年度で約 328 万人であり、その中で高齢者分野への従事者が約 197 万人と約6割 を占め、これらの高齢者分野に従事する方々のうち、介護職員の方々については、今後、 平成 26 年までに約 40 万人から約 60 万人の確保が必要となると予測されている。 一方で、マスコミ等でも取り上げられているように、この分野において労働者が大変厳 しい環境に置かれているということが課題の一つとなっている。このため、介護・福祉分 野における求職者は十分には増加していないが、介護保険制度など国レベルの課題であり、 市単独での施策展開は難しいと考えられる。 伊丹市においてもハローワーク伊丹管内の求人のうち約1/4を介護・福祉関係が占め るが、求職者が少なく労働力の需給バランスがマッチしていないのが現状である。 現行施策 ○就職面接会(ハローワーク) ○介護人材育成事業(伊丹市) (福祉現場で働きながらヘルパー資格を取得) ○今後の取り組み 介護産業の整備は、雇用機会の創出、女性等の労働環境の整備とも連動しており、住み やすいまちであるための条件でもある。そうしたことから、求人倍率の高い介護・福祉関 連職場への就職をいかにマッチングさせていくかは、今日の雇用問題の重点課題の一つで ある。 具体的な意見として、介護福祉士等の免許取得への助成(その後に市内の就労を一定期 間義務付け)や市内高等学校等での介護・福祉に関する専門教育の実施などが挙げられた が、現時点での実現については種々の検討を要すると考えられる。 ◆具体的に取り組むべき施策 中長期 ・国の施策と連携した介護・福祉分野の人材育成事業の検討 ③−2 中小零細企業、特にモノづくり企業への就労促進 ○現状と課題 モノづくり産業における景気動向の影響もあって、新規採用による技術の継承、高齢者 の能力活用のための雇用継続というそれぞれの課題について、両立が困難であると言われ ている。 ハローワーク伊丹管内における平成 23 年 1 月時点の有効求人倍率は 0.40 倍と全国の 0.61 倍、兵庫県の 0.57 倍に比べて低いが、生産工程・労務の職業については有効求人倍 率が 0.64 倍となっており、この数字をみると、全職業の倍率より高いものの、求職者が 求人数(または、伊丹管内全体の平均)を上回っている。しかし、伊丹市内には技術を持つ 個性ある中小企業が多く存在するが、なかなか求職者に知られておらず、人材確保に苦労 する話も聞かれる。市内のものづくり産業、特に中小零細企業の求人と求職にはミスマッ チがある。 現行施策 ○ヤングサポートフェア(再掲)(伊丹地区雇用対策協議会、ハローワーク伊丹・尼崎、伊丹市、川西市、 12 猪名川町) ○今後の取り組み 市内には多くの中小企業が立地しているが、景気動向の関係で求人が少ない。しかしそ の一方、技術の継承や、優秀な人材確保についても課題を抱えている。 国の奨励制度の中にも、近隣市の「しごと塾」のメニューの中にも、トライアルワーク があるが、それを利用して、 「就労希望者は就業内容を把握でき、企業側は採用に値する人 材かを見極める」ことができる。 伊丹市内には技術を持つ個性ある中小企業が多く存在し、一度、就労体験してみること により会社の良さがわかるというような方法が可能であれば、ハローワーク伊丹との連携 も含めて検討することが望まれる。 また、これら中小企業の元気回復のため、ものづくりの新たな担い手づくりや継承者の 養成にあたり、製造業を中心とした中小企業への就労希望者の裾野を広げていく必要があ る。市内で活躍する企業の多面的な情報を求職者、さらには市民にアクセスの容易な方法 で分かりやすく伝達することがひとつの施策として提案できる。 さらに、継続就労がなかなか実現できない若者のため、伊丹市中小企業勤労者福祉共済 による継続雇用への奨励策の検討の意見も出された。 ◆具体的に取り組むべき施策 短期 ・トライアルワークの活用による、市内の個性ある中小企業の求人と市内の若年求職者との マッチング ・伊丹市中小企業勤労者福祉共済による若年層の継続雇用奨励策の検討 中長期 ・地元、近隣高校・大学との情報交換や連携により、地元企業への関心を高める ・移動型ヤングサポート(企業訪問型)事業 ・中小企業の情報発信・PR ③−3 若年者雇用のミスマッチ解消 ○現状と課題 円高、デフレ等の景気悪化により、就職氷河期とも言われる学生の内定率の低迷が生じ ている。 総務省の労働力調査によると、平成 22 年平均の完全失業者について、仕事につけない 理由別にみると、「希望する種類・内容の仕事がない」とする者が 100 万人(30.3%)、「求 人の年齢と自分の年齢とがあわない」とする者が 57 万人(17.3%)、「条件にこだわらない が仕事がない」とする者が 48 万人(14.5%)であり、特に 34 歳以下の若年層では、「希望 する種類・内容の仕事がない」とする者が 40%近くを占める。 このような求職者と求人のミスマッチ解消に向けて、ハローワーク伊丹、尼崎、西宮の 3所合同で、若者、障害者、新卒の面接会を年何回か実施しており、また伊丹管内におい ては、秋に就職面接会としてのヤングサポートフェアが、事業所の製品PRの場でもある 13 産業マッチングフェア(商談会)と同時開催され、求職者は実際に製品の展示を見たうえ で午後の面接会に参加できるように工夫されている。 また、キャリアカウンセリングやトライアルワーク(インターンシップ)などによって、 就労する若者が企業や仕事を理解したうえで就職する取り組みが行われているが、こうい った活動や情報についてもさらに周知を図ることが必要となっている 現行施策 ○ヤングサポートフェア(再掲)(伊丹地区雇用対策協議会、ハローワーク伊丹・尼崎、伊丹市、川西市、猪名川町) ○トライアル雇用奨励金、若年者等正規雇用化奨励金(再掲)(兵庫労働局) ○若者しごと倶楽部(サテライト阪神)(再掲)(兵庫県雇用開発協会等) ○こうべ若者サポートステーション(再掲)(兵庫県等) ○今後の取り組み 若年者雇用に関するミスマッチの解消の一環として、青少年期からの職業教育、体験な どの出来る限り社会的な活動である労働に触れる機会を創出することが必要であり、特に 高校生には、製造業などの体験や働きながら学ぶことへの支援が求められる。民間企業で の社会学習や就労体験、現場実習、また、職業訓練、インターンシップなどが考えられる。 高等学校の進路指導担当者との情報交換も、若年層の就労に対する考え方やその動向を知 る重要な機会となると考えられる。 既に実施しているヤングサポートフェアについても、継続するとともに実施機関の連携 強化によりさらに対象者・参加企業を広げることや、求職者が複数の事業所を訪問する事 業所訪問型マッチングも提案されている。 先述の近隣市で今年度より実施されている「しごと塾」における受講者による市内企業 へのトライアルワークなどの実施、労働相談の一環としての就職に際してのジョブカウン セリングなども、同じ形でなくとも伊丹市の規模や就労状況にあった手法について、検討 に値すると思われる。 ◆具体的に取り組むべき施策 短期 ・若年者雇用に関するマッチング(就労促進)施策の充実検討 ・求職若年者(39 才まで)のカウンセリング、研修、企業説明会(面接会)及びマッチング、トライア ルワークなどの支援充実の検討 ・企業訪問型ヤングサポート事業の検討 ・「若者しごと倶楽部サテライト阪神」など関係機関施設の周知と活用 中長期 ・ニート、フリーターへの対策を含めて若い人を就職に結びつける工夫 ・民間企業での社会学習や就労体験、現場実習への登録 ・大学生や短大生の進路指導・訓練 14 ③−4 国・県・市および関係機関等との連携 ○現状と課題 先述のように本市ではハローワーク伊丹と庁舎が地理的に近いということもあり、過去 から施策の連携を図っている。また、市立産業・情報センターの指定管理者が伊丹商工会 議所でもあり、三者の連携も図られてきている。 一方で、連携は大切ではあるが、訪れる側から見て、窓口を分かりやすくすることも大 事であり、労働行政は国(厚生労働省−労働局−ハローワーク)が主たる所管であること から、明確な役割分担とともに、市民に分かりやすい情報提供が必要である。 現行施策 ○就労支援のための各種セミナー(ハローワーク、兵庫県、伊丹市他(再掲))など、国・県・ 市の連携事業 ○今後の取り組み ハローワーク伊丹が市役所本庁舎と隣接しているという立地を生かし、兵庫労働局との 連携を図りつつ、半数の就労市民が市外で働くという労働環境も勘案し、施策展開におい て近隣市との連携を密にすることが、より施策のスケールメリットを生むと考えられる。 働きやすいまちであるための条件を整えることは、大阪圏に近い伊丹の立地条件を大いに 生かせることにつながる。 実際に、ハローワーク伊丹、尼崎、西宮の三所合同で、若者、障害者、新卒の面接会を 年何回か実施しており、また伊丹管内においては川西、猪名川を含めて秋に、就職面接会 が実施されている。 また、若者しごと倶楽部阪神サテライトの事業など、兵庫県やその関係団体が実施する 施策や事業についてもさらに周知を図ることが求められている。 合同就職面接会やヤングサポートフェアには他市からも来場者があり、逆に近隣市の催 しに本市から参加も可能である。情報を共有し、相互乗り入れすることによりさらに効果 的な事業となることも期待される。 教育機関についても、高等学校などは県立施設が多いこともあり、教育委員会や工業高 等学校のノウハウや人材活用としての県市の連携が望まれる。 常々指摘のある、屋上屋を重ねることや二重行政のデメリットについては、窓口を分か りやすくするとともに、連携して効果的な施策実施とするほか、労働施策にかかる情報に ついては、少なくとも市においても市民に提供出来るような情報の一元化を図る必要があ る。 ◆具体的に取り組むべき施策 短期 ・市ホームページの充実や配布資料の作成により、市民に関係のある(国、県、近隣市等を含む) 労働施策を一体的にわかりやすく提供 ・市、商工会議所とハローワークの3者の定期的な情報交換 中長期 ・他市施策との広域的連携による市民の相互利用 15 ④ 福祉的側面からの就労支援 現時点における求職者を出来る限り就労につなげることが急務であるが、働きたくても働 けないハンディキャップを持つ人や、あるいは働く意欲が持てない、いわゆるニートという 人たちも多くいる。 全ての人に就労の機会を提供するとともに、各部門に横断する課題を総合的にまとめてそ の対策を考えられるのは、地域に最も身近でニーズを把握しやすい市であり、こうした課題 は市で取り扱うことが有効であると考えられる。 一例として、大阪市などでは生活保護受給者の雇用において、就労可能な世代には、ハロ ーワークでの求職活動、職業訓練を受給申請の条件とし、月 10 万円(単身者)の「訓練・ 生活支援給付制度」で対応するなど、生活保護受給までに一定のハードルを置くといった特 徴ある取り組みをしている。 ④−1 障害者雇用の推進 ○現状と課題 障害者雇用については、ノーマライゼーションをめざす現代社会において、根幹的課題 であり、「障害者の雇用の促進等に関する法律」で定められた法定雇用率により、身体障 害者、知的障害者及び精神障害者の雇用を推進しなければならない。 それぞれの法定雇用率は、民間企業(常用労働者数 56 人以上)においては 1.8% 、国 および地方公共団体(職員数 48 人以上の機関)については、2.1%と定められている。 ところが、市内工業系企業実態調査(平成 21 年度)では、全体の 80%近くが 30 人以 下の従業員数であり、障害者を雇用している事業所は 20%弱の 92 社に止まる。ただし、 社員 100 人以上の事業所では 80%近くで雇用されている。 現行施策 ○障害者雇用納付金制度(高齢・障害者雇用支援機構) ○特定求職者雇用安定助成金等各種助成金、トライアル雇用奨励金等各種雇用奨励金(兵庫労働局) ○伊丹市地域生活支援センター:就労サポーター・障害者専門職業紹介事業(伊丹市社会福祉協議会) ○伊丹市障害者雇用奨励金(伊丹市) ○障害者しごと体験事業(兵庫県) ○兵庫県立総合リハビリテーションセンター(職業相談、職能評価・職能訓練・障がい者専門無料職業紹介所) ○国立・県営兵庫障害者職業能力開発校(職業訓練) ○今後の取り組み 障害者雇用の取り組みは、企業の社会的責任でもあり、行政課題でもあることから、今 後一層の拡大促進が求められる。 一方、伊丹市における障害者・高齢者の雇用助成制度(雇用奨励金)については、既存 制度が十分に活用されておらず、昨年度は障害者雇用奨励金が 0 件、高齢者雇用奨励金は 1 件の実績であった。今後はこの制度の広報など周知を図ることにより活用度を高めてい く必要がある。 意見として、雇用に至った場合に一定助成をするという考え方もあるが、伊丹市におい ては、規模が小さいため、障害者雇用が難しい事業所も多いので、単独では障害者の雇用 16 が困難な企業がまとまり、株主として新たな事業活動を行ってはどうかという提案もあっ たが、法制度上の課題が残されている。 ◆具体的に取り組むべき施策 短期 ・福祉関係機関(市障害者地域自立支援協議会や県障害者雇用・就労支援ネット)との連携強化 中長期 ・障害者の雇用助成制度(雇用奨励金)の制度活用(必要に応じた制度変更の検討も) ・規模が小さいため、障害者雇用が難しい事業所への市の支援策の検討 ④−2 社会経済情勢に対応した福祉面からの就労支援のあり方 ○現状と課題 伊丹市の平成 21 年度決算を見ても一般会計歳出総額 646 億円のうち、扶助費が 120 億 円と 18.5%を占めており、バブル経済後期の平成元年度と比較して 3 倍以上に増加してい る。 扶助費のうち生活保護費では、平成 23 年度当初予算で 45 億円を見込まれており、厳し い社会経済情勢とはいえ、市として、自立に向けた就労援助をしていくことが、福祉サイ ドから雇用に繋がる施策として重要であり、他の福祉施策や子ども施策とも連携した取り 組みが重要である。 就労支援相談員については、生活支援課に相談員(嘱託)2名を配置し、生活保護世帯 の生産年齢層(15 歳∼64 歳)の自立支援のため、就労支援を行っている。また生活保護 の相談に来られた方の中でも、まず就労支援が必要な場合、ふさわしい支援を行っている。 実績は平成 21 年度で対象者 158 人中、就労者が 57 人となっている。 母子自立支援相談員については、こども福祉課に相談員(嘱託)1 名が配置され、正規 職員のケースワーカー1 名とともに担当している。平成 21 年度は 365 件の就職に関する 相談を実施している。この就職等の相談には直接ハローワークにつなぐケースの他に、就 職に向けた高度技能訓練の相談も含まれている。 現行施策 ○就労支援相談員の配置(市生活支援課) ○母子家庭相談員の配置(市子育て支援課) ○高齢者・障害者雇用奨励金(商工労働課) ○今後の取り組み 身近な地域において社会的生活を継続することが困難な人、あるいは自立した生活を送 るため就労が必要な人との相談は、住民に身近な自治体で行うことが最も効率効果的であ る。 現実には色々な条件が重なって仕事に就けない人たちがいる。さらに、そういう人たち をとりまく背景として、現実に教育面からの支援が必要な子どもたちもいる。市はそれら を理解し指導助言を行いながら、雇用に結びつけていかなければならない。 この場合においても、先述の「しごと塾」的な手法とカウンセリング機能が有効である 17 と考えられる。また、例えばフルタイムとしての就労が困難な場合にパートタイム等の短 時間の就労形態が可能にならないかなど、ハローワークとも連携して実現の可能性を探る ことも考えられる。 また、働く意欲のある人は自分で仕事を探すことができるが、いわゆる引きこもりやニ ート等も含め、就労意欲を持つ段階にまで到達していない人をどうするのかということに ついても問題となった。 他市ではニート、フリーターの問題について、市内のNPOが実施主体となって相談窓 口や青少年の居場所づくり事業を担っている。 市内企業への体験就労(トライアルワーク)などの手法を用いて、行政から発信し 40 代未満の働く意欲に欠けている若年層に啓発していくこともひとつの案である。しかし、 実はそのような段階まで行き着くことも難しく、本人の仕事に対する意欲が出るところま で本人の自信を高める方法を工夫することが必要である。 伊丹市においても、平成 22 年 4 月の子ども・若者育成支援推進法の施行に伴い、地域 における子ども・若者育成支援ネットワークの検討を平成 23 年度から始めることとして おり、その議論の中で必要な体制や行うべき事業の検討を関係者で十分協議することが求 められる。 他に、障害者、高齢者、女性(母子家庭) 、生活保護者等の人たちが常用雇用となった場 合の就労支援としての雇用助成金の拡充などの意見が出された。この課題についても市全 体の就労支援施策の体系化と国・県および関係機関の施策との連携が必要不可欠であり、 市として、費用対効果を精査しつつ、厳しい社会経済情勢における自立に向けた就労援助 をしていくことが、福祉サイドからの雇用に繋がる施策として重要である。 ◆具体的に取り組むべき施策 短期 ・支援を必要とする人と実施機関とを結ぶカウンセリング機能の強化 ・国・県および関係機関との連携強化、情報提供 ・障害者、高齢者の雇用助成制度(雇用奨励金)制度の活用 中長期 ・高齢者、障害者や母子家庭をはじめとする単親家庭への就労支援 ・生活保護から雇用に至った場合における一定の助成 ・複合的条件による未就労者へのサポートの必要性とこどもへの教育面からの支援 18 む す び 今回の審議会で度々委員から意見が出された内容について、むすびに触れておきたい。 一つは、行政機関の使命として、国民から信託された貴重な財源をもとに、最少の経費で最 大の効果を発揮するべく、施策の立案はもとより、その執行についても常々心がけなければな らないこと、つまり頭冷心温で事に当たることが肝要である。 もう一点には、度々「二重行政」という言葉が出されたが、一つには市民から見て窓口が複 数存在したり、国・県・市が同じことを同じ方法で行うということは無駄に映るということで ある。もう一点、裏を返せば、どこかが責任を持って当たることが当然であり、例えば雇用行 政は国に責任があるが、自治体である県と市は国と連携しつつ、それぞれより身近な行政区域 で効果的に宣伝、啓発、実践をすることが肝要である。 最後に、効果測定である。一般的に行政評価とも言われているが、PDCAサイクルのこと である。今後施策の検討・展開にあたっては、①効果をどう求めていくのか、②短期的施策と 長期的施策の整理、③それを実施する際の財源や人員・人材等リソースの検討・確保、④企業、 行政(国・県・市)の関与と役割分担、⑤市マスタープランとの整合性の点検と確認、などが 必要である。 今後、市において、本答申に基づいて施策立案、執行される際、これらの意見に十分配慮し て進めていただくことを最後に要望する。 19 資料1【諮問】 伊創産商第 900 号 平成 23 年 1 月 19 日 伊丹市労働問題審議会会長 様 伊丹市長 藤原 保幸 諮 問 「現在の雇用・労働情勢のもと、多様化する労働行政において伊丹市が担うべき役割につい て」諮問いたします。 (理 由) 労働施策は全国レベルの広域で実施することにより効果的となりうることから、現在の労働 行政は国とその関連機関が中心となって雇用対策等に取り組んでおり、市レベルで行っている 労働施策は勤労者福祉施策が中心となっております。 近年の厳しい雇用情勢下で、労働問題は多様化しており、しかも公共職業安定所等国の機関 の縮小が進む中、市民の身近な相談窓口である市に対して、雇用問題・雇用対策等の面でも、 市民の期待が高くなってきておりますことから、 伊丹市として今後担うべき役割、取り組む べき雇用・労働施策について方向性を導き出すため、上記のとおり諮問いたします。 20 資料2【開催経過】 伊丹市労働問題審議会開催経過 第1回 平成23年 1月19日(水) 14:00∼ 市立産業情報センター 第2回 平成23年 2月17日(木) 10:00∼ いたみホール 第3回 平成23年 2月21日(月) 14:00∼ いたみホール 第4回 平成23年 3月22日(火) 10:00∼ 商工プラザ内 商工会議所 21 資料3【委員名簿】 伊丹市労働問題審議会委員名簿 ○会長 ■副会長 選出区分 氏 名 所 属 市議会 坪井 謙治 伊丹市議会議員 市議会 林 伊丹市議会議員 ○ 学識経験者 下崎 千代子 大阪市立大学大学院経営学研究科教授 ■ 学識経験者 横山 由紀子 兵庫県立大学経営学部准教授 労働者代表 大森 連合兵庫北阪神地域協議会伊丹地区連絡会会長 労働者代表 國田 昭夫 伊丹労働者福祉協議会会長 経営者代表 立石 美代子 株式会社タイチク 代表取締役 経営者代表 吉森 忠重 東リ株式会社 常務取締役執行役員 行政機関 菊森 秀俊 兵庫県阪神北県民局県民室市民文化創造参事 行政機関 大西 政信 伊丹公共職業安定所 次長 行政機関 西林 富恵 伊丹労働基準監督署 監督課長 実 誠 オブザーバー 22
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