これからの日本サッカー界を考える これからの日本サッカー界を考える

これからの日本サッカー界を考える
総合政策学部4年
小幡 将吾
1
目次
1、Jリーグ市場のビジネスモデル
2、日本サッカー界の現状
3、ファイブ・フォーシーズ分析による業界分析
4、Jリーグはどのような戦略的ポジショニングをとるべきか?
5,~政策提言~ファンと地域に根ざしたチーム作り
5,
~政策提言~ファンと地域に根ざしたチーム作り
6、参考文献
2
1、J
1、
Jリーグ市場のビジネスモデル
Jリーグの各クラブがどのようにして収益をあげているのか。
入場料収入・・・試合に対して支払われる対価(対収入比20%)
広告収入・・・ユニホームスポンサー、スタジアムの看板(対収入比
広告収入・・・ユニホームスポンサー、スタジアムの看板(対収入比80
80%)
%)
Jリーグからの分配金・・・放映権料、賞金など(対収入比
リーグからの分配金・・・放映権料、賞金など(対収入比20
20%)
%)
他に、各クラブのファンクラブからの年間会員料、選手の移籍に伴う移籍金
支出
人件費・・・監督、コーチ、選手に払う給料
試合運営費・・・スタジアム使用料、入場券販売、チーム遠征費、広告宣伝費
チーム運営費・・・チーム合宿費、練習場管理費
一般管理費・・・事務作業
参考:Jリーグ公式ホームページ
3
Jリーグ市場のビジネスモデル
収益の構造図
参考:Jリーグ公式ホームページ
4
2、日本サッカーの現状は?
2、
J1の1クラブ当たり平均営業収入は、
J1の1クラブ当たり平均営業収入は、30
30億
億1900万円(前年度比
1900万円(前年度比2
2%減収)、
J2は、
は、11
11億
億3900
3900万円(前年度比
万円(前年度比29
29%増収)であった。
%増収)であった。
営業収入が30億円以上のクラブが
営業収入が30
億円以上のクラブが2
2クラブ減少し、
8クラブとなった。積極的な補強によるチーム人件費が増加し、
収益状況が低下、経常赤字先が前年度の11
収益状況が低下、経常赤字先が前年度の11クラブから
クラブから15
15クラブに増加した。
クラブに増加した。
J1・・J2
J1
J2の観客動員数の平均
の観客動員数の平均
00年から大きく観客数は増加傾向にあった
00年から大きく観客数は増加傾向にあった
が、
が、04
04年をきっかけに減少傾向にある。
年をきっかけに減少傾向にある。
参考:Jリーグ公式ホームページ
5
3、理論分析~ファイブ・フォーシーズ分析による業界分析
3、
市場定義 プロスポーツ産業
弱
新規参入の力
中
売り手の力
強
弱~
強
市場内競争
買い手の力
強
代替品・補完品
2002 戦略の経済学 第11
11章
章 業界分析
デビット・ベサンコ、ディビット・ドラノブ、マーク・シャンリー著;奥村昭博、大林厚臣
訳 東京;ダイヤモンド社
6
理論分析~ファイブ・フォーシーズ分析~市場内競争
地域によって競争の度合いが生じている
関東地方にはJリーグチームが6チーム
プロ野球チームが3チーム存在している。
競争が強い地域
関西地方にはJリーグチーム
関西地方にはJ
リーグチーム2
2チーム
プロ野球チーム2
プロ野球チーム
2チームが存在
競争が弱い地域
東北地方は1チームずつ、
東北地方は1
九州地方も同様に存在
価格競争
2000
2000円~
円~5000
5000円ぐらいの
円ぐらいの
価格に落ち着いている。
市場内競争の脅威は弱~強
7
理論分析~ファイブ・フォーシーズ分析~参入
下部リーグからの参入
日本サッカー協会が
日本サッカー協会がJJリーグをさらに
活性化するべくチーム数を年々増加さ
せようとする動きがある。
強豪クラブを脅かすような
チームはすぐには現れない。
仮に下部リーグからの
参入があった場合
解雇された選手、比較的低年俸の選手
が集まっている。
参入の脅威は弱いと言える。
8
理論分析~ファイブ・フォーシーズ分析~買い手の力
・ファンクラブ会員
ファンクラブ会員
会員費を払いグッズを揃え応援に行く人が多い。
取引先(応援するチーム)を変えるスイッチング
コストは高くなる。
・一般人
応援するチームをもっていない。サッカーを
見ることが好きな人たち
観客
このような一般人をいかに多く取り囲むかによって
クラブの収益に大きな差が生じる
スポンサー
メインスポンサーの関係会社や
地元企業が出資してる場合が多い。
買い手の力は強いと言える。
9
理論分析~ファイブ・フォーシーズ分析~売り手の力
選手
多くのファンを惹きつけるスター選手や
能力が高い選手はチームにとって関係特殊的で
あると言え、その力は強い。
それ以外の選手は代替可能であるので、
それほど強くない。
監督
過去の実績にもよるがそれほど強くない。
売り手の力は中であると言える。
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理論分析~ファイブ・フォーシーズ分析~代替品・補完品
サッカー観戦に代わるサッカー専用チャンネルや
民放でのテレビ放送
代替品
スタジアムへ足を運ぶ機会を減らし、
クラブにとって収益減になる可能性が非常に高い。
クラブチームの応援グッズ
補完品
各クラブの貴重な収益源の一つになっている。
サポーターが多いクラブはグッズ販売で
利益を得ている。
代替品・補完品の力は強いと言える
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3理論分析~ファイブ・フォーシーズ分析による業界分析
市場定義 プロスポーツ産業
弱
新規参入の力
中
売り手の力
強
弱~
強
市場内競争
買い手の力
強
代替品・補完品
2002 戦略の経済学 第11
11章
章 業界分析
デビット・ベサンコ、ディビット・ドラノブ、マーク・シャンリー著;奥村昭博、大林厚臣
訳 東京;ダイヤモンド社
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4、J
4、
Jリーグはどのような戦略的ポジショニングをとるべきか?
コスト優位・・・コスト優位を持つ企業は競合他社より、低い費用と
同等もしくは少し低い知覚便益の製品を提供することによって競合
他社より多くの価値を提供するもの
便益優位・・・便益に基づいて競争優位を確立する企業は、高い
便益を持つ製品を、提供し、価値を生み出す。企業は競合他社より
も高い消費者余剰を提供できる価格を設定して便益を追及する。
2002 戦略の経済学 第12章 競争優位の戦略的ポジショニング
デビット・ベサンコ、ディビット・ドラノブ、マーク・シャンリー著;奥村昭博、大林厚臣
訳 東京;ダイヤモンド社
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コスト優位の分析
市場内では非価格競争が行われていて、チケット販売価格を下げて
優位戦略を行うと、チーム経営に大きな損益をもたらし、
健全な経営が行えなくなる。
また、買い手によるスポーツチャンネルで国内・海外の試合を
見るコストに勝ることはできない。
よってコスト優位の戦略を選択し競争優位を図ることはできない。
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便益優位の分析
多くの観客を魅了するために、高年俸の選手を雇うと
多額のコストが生じる
クラブの生産要素は試合である。試合のクオリティーを上げるこ
とも必要であるが、スタジアムに足を運び観戦することで味わえ
る臨場感を経験させることが重要である。
自分の大好きなチーム・選手を応援に行きたいと想う気持ちを
持ってもらう人を増やし、チケットの価格以上の価値を生産できる
雰囲気づくりが重要である。
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コスト・便益優位分析からのまとめ
• チケット価格は非価格競争が行われ、価格破壊が行われると、
クラブの収入は激減し、クラブ経営を行うには困難が生じる。
• メディアに対抗し、一人でも多くの観客にスタジアムに観戦に来
てもらうには、生産される試合以上に買い手を満足させられる
試合づくりが大切である。
よって便益優位の戦略を選択するのがベストである
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5、~政策提言~ファンと地域に根ざしたチーム作り
クラブ経営は筆頭株主の会社の場合がほとんどである。
経営陣は利益追求を目標にしているのでどうしてもお客様目線に
なることが少ない
ファン・地元地域から愛されるチーム作りが重要である。
親会社の人間ではなく、クラブ会員・地元住民がクラブ運営を行う
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~政策提言~ファンと地域に根ざしたチーム作り
クラブ会員・地元住民が経営陣になるメリット
・チームをこよなく愛する人たちが経営を行うことによって、
観客目線での経営をすることができる。
・地元地域を巻き込んだクラブ活動を行うことができ、地元
活性化へつながる。
この活動が全国規模につながることによって
日本サッカーはより発展することができる。
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~政策提言~ファンと地域に根ざしたチーム作り
なぜこうした地元・観客目線での経営が成功する可能性が
あるのか。
自分の大好きなチーム・選手を応援に行きたいと想う気持ち
を持ってもらう人を増やし、チケットの価格以上の価値を生産
できる雰囲気を作ることができるからである。
この結果、観客数は増加しメディアの注目度も上がる。チケッ
ト収入やグッズ販売収入が伸び、クラブ経営がスムーズに行
える。
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6、参考文献
Jリーグ公式サイト
http://www.j
http://www.j--league.or.jp/
日本サッカー協会
http://www.jfa.or.jp/
2002 戦略の経済学
デビット・ベサンコ、ディビット・ドラノブ、マーク・シャンリー著;奥
村昭博、大林厚臣訳 東京;ダイヤモンド社
浦和レッドダイヤモンズホームページ
http://www.urawahttp://www.urawa-reds.co.jp/
2004 JJリーグのマネジメント
リーグのマネジメント 広瀬一郎 東京;東洋経済新報社
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