平成17年度 事 業 報 告 書 平成18年5月 社団法人 日本鉄鋼連盟 目 次 頁 Ⅰ 平成 17 年度の主要な活動概要 ................................................1 1.環境問題への対応 .........................................................1 2.国際連携・交流の取り組み強化 .............................................2 3.鉄鋼需給を巡る環境変化への対応 ...........................................3 4.中長期的観点からの市場開発活動 ...........................................3 5.労働災害および設備事故再発防止に向けた取り組み強化 .......................4 6.標準化の推進 .............................................................4 7.鉄鋼業に対する社会的認知度向上のための活動 ...............................4 8.団体機能の充実化 .........................................................5 Ⅱ 平成 17 年度の分野ごとの主要業務の概要 ......................................6 1.経済・国内需給調査関係 ...................................................6 2.海外調査・国際会議・国際協力・通商問題関係 ...............................7 3.法規・財務関係 .........................................................14 4.原料関係 ...............................................................15 5.物流関係 ...............................................................16 6.環境・エネルギー関係 ...................................................17 7.技術関係 ...............................................................24 8.市場開発関係 ...........................................................26 9.特殊鋼関係 .............................................................35 10.亜鉛鉄板関係 ...........................................................36 11.労働関係 ...............................................................38 12.統計関係 ...............................................................42 13.電子商取引関係 .........................................................44 14.情報管理関係 ...........................................................45 15.広報関係 ...............................................................46 16.社会貢献活動等への取り組み .............................................48 17.標準化センター関係 .....................................................48 18.大阪事務所関係 .........................................................49 19.団体運営の効率化、会員サービス強化への取り組み .........................50 20.主要行事 ...............................................................51 Ⅲ 会 員 ・ 役 員 .......................................................53 Ⅳ 会 議 ...................................................................55 Ⅰ 平成 17 年度の主要な活動概要 平成 17 年度の世界経済は、中国を中心とした東アジアにおける急速な経済発展の継続や米国 の堅調な経済成長に支えられ、順調な発展を遂げた。わが国においても、デフレ脱却に向けて 着実に景気が回復し、とりわけ、製造業が景気回復の牽引役を果たしたことから、わが国にお ける「ものづくり」、なかでも素材産業の重要性が改めて認識されることとなった。 わが国鉄鋼業においては、こうした需要環境の好転に加え、これまでの合理化努力が結実し、 収益の改善傾向が継続したが、環境問題への対応、国際連携・交流の取り組み強化、鉄鋼需給 を巡る環境変化への対応、中長期的観点からの市場開発活動、労働災害および設備事故再発防 止に向けた取り組み強化、鉄鋼業に対する社会的認知度向上のための活動など、引き続き取り 組まなければならない課題を抱えている。 こうした中、当連盟は団体運営の効率化・会員サービスの強化など「中期計画」の着実な推 進に努めるとともに、変動する経済・社会情勢を把握し、業界の諸課題に迅速に対応するなど、 下記重点事項を中心に各種活動を積極的に推進した。 1.環境問題への対応 ・平成 17 年2月の京都議定書発効を受け、政府は京都議定書目標達成計画を同年4月に取り まとめた。同計画では、産業界の自主的取り組みは、地球温暖化対策推進大綱に引き続き、 中心施策として位置付けられることとなった。このような状況を受けて、自主的取り組み の目標達成の蓋然性について注目されることとなった。 ・鉄鋼業界の地球温暖化対策については、従来からの自主行動計画のフォローアップ調査を 行い、平成 16 年度実績でもエネルギー原単位の低下等、着実な成果をあげた。さらに、事 業所での取り組みに加え、前年に引き続き、本社ビルおよび従業員の家庭におけるエネル ギー使用量についての調査や民生・運輸部門における取り組みも進め、日本経団連、産業 構造審議会をはじめ関係者より高い評価を受けた。なお、家庭でのエネルギー使用量調査 については、対象世帯数が平成 16 年度の 700 世帯から、平成 17 年度は 2,800 世帯に大幅 増となった。また、目標達成の保険措置の一環として、日本温暖化ガス削減基金に加え、 世界銀行の「バイオ炭素基金」に5百万ドル出資し、クレジットを確保することとした。 ・また、環境税等強制的な施策に関する議論が高まる中で、当連盟では、運営委員会の下に 会長の特命として設置した「地球温暖化対策本部」のもとで、京都議定書目標達成計画を 着実に実行すべきであること、環境税等強制的な施策には反対であること、鉄鋼業は引き 続き温暖化対策に取り組む所存であること等を骨子とする「地球温暖化対策への取り組み に関する見解」を9月に取りまとめるとともに、日本経団連をはじめ各産業団体ならびに 中小企業団体とも連携し、各種の理解活動および広報活動を積極的に展開した。 1 ・一方、国際協力面でも、平成 17 年度は大きな節目となる年となった。平成 17 年7月には、 中国鋼鉄工業協会と当連盟の共催による「日中鉄鋼業環境保全・省エネ先進技術交流会」 を北京で開催し、この分野における日中交流の重要性を認識したほか、平成 18 年1月には アジア太平洋圏6カ国の地域協力である「クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パー トナーシップ(APP)」の第1回閣僚会合がシドニーで開催され、この取り組みの重要性 に鑑み、当業界でも積極的に対応していくこととした。 ・水生生物保全環境基準やVOC(揮発性有機化合物)規制など、大気・水質等における有 害物質の新たな法規制施行の具体的な政省令内容に対し、関係省庁の動向および情報収集 を図るとともに関連業界と連携し、合理的な施策の枠組みとなるよう関係方面に意見具申 を行い、併せて、鉄鋼業界にとっての適確な環境諸対策の検討を行った。 ・経済産業省補助事業「スラグ利用に係る研究開発」(当連盟、新日本製鉄㈱、芙蓉海洋開発 ㈱の3者による共同研究)については、平成 16 年度より平成 19 年度までの4年間で、鉄 鋼スラグ水和固化体の適用技術拡大、製鋼スラグの海域利用における安全性・環境改善効 果の検討等を行うものであり、第2年度の平成 17 年度は、実海域実験をはじめとした本格 的な研究開発を行った。 2.国際連携・交流の取り組み強化 ・わが国鉄鋼業にとって健全な鉄鋼貿易環境の維持・発展は不可欠との観点から、当連盟で は平成 17 年度についても、主要な鉄鋼輸出先で発生した通商摩擦問題に迅速に対処すると ともに、日本政府の様々な通商政策に対し積極的な協力を行った。 ・すなわち、日本政府が推進するフィリピン、マレーシア、タイ、インドネシアなどとの経 済連携協定(EPA)交渉では、政府に対し関連情報の提供や業界要望の具申を行う一方、 現地鉄鋼業界やユーザーとの意見交換に努めるなど、協定の早期締結に向けて、積極的に 支援・協力を行った。 ・また、二国間鉄鋼対話については、平成 17 年度も欧州、中国、韓国、台湾、タイとの間で 延べ7回の対話を開催し、鉄鋼市場および鉄鋼貿易に関する相互理解の増進と通商摩擦の 未然防止に努めた。 ・さらに、今後わが国への不公正な鉄鋼輸入が増大する場合に備えて、輸入動向の把握に努 めるとともに、わが国の通商法に基づく対処が可能となるよう各種の準備活動を実施した。 ・近年、中韓両国鉄鋼業の拡大基調は、世界の鉄鋼業へ大きな影響を与えており、生産、在 庫、原料等の正確かつ迅速な統計入手を通じて両国(特に中国)の鉄鋼需給状況を把握す ることが重要となっている。 ・平成 15 年度に開始した日中韓鉄鋼統計交流を、関係委員会等との連携により引き続き推進 し、3カ国における統計制度の仕組み、運用実態、鋼材品種区分等の相違点、問題点等に 2 関する概況を把握するとともに、生産および在庫統計等の既存統計の定期入手を推進した。 3.鉄鋼需給を巡る環境変化への対応 ・内外の鉄鋼需給動向および経済情勢、鉄鋼貿易動向などの把握に努め、広く情報提供を行 った。特に、中国に関しては、旺盛な需要を背景に高成長を続ける一方で過熱投資抑制の ためのマクロコントロール政策が強化されるなど情勢変化が著しいことから、周辺情報も 含め迅速な状況把握に努め、同国の鉄鋼需給動向に加え、マクロコントロール政策とその 影響に関する調査レポートを取りまとめるとともに、その後のフォローアップに努めた。 ・IISIが 2010 年の中国を見通すためのアドホック事業を平成 16 年度立ち上げたことを 受け、当連盟内に中国調査委員会を設置し、同事業のなかで必要な提言、情報提供等の活 動を行った。 ・同事業では、設備能力・技術、鉄鋼需要、原料、ビジネス環境、政治経済社会の体制およ び永続的繁栄条件等について、各分科会に分かれ検討されたが、わが国では特に鉄鋼需要 予測の検討に当たり、分科会の委員長国として同事業に大きく貢献した。 ・平成 17 年度、原料安定供給WGを新設し、①資源国の供給力拡大のための支援策および課 題、②開発原資調達等に寄与する国内制度、③省資源技術等の研究状況を中心に調査・検 討を実施した。供給力拡大に向けた対応は個別企業の取り組みを基本としながらも、これ を支援する観点から、開発プロジェクト・省資源技術の推進に向けた関係機関への支援要 請、税制、外交関連について適宜働き掛けを実施した。 ・原料政策課題の一環として、スクラップの活用余地・品位向上について、原料安定供給W Gが提起したところであるが、平成 17 年度、経済産業省指導の下、スクラップ品質向上対 策委員会が(社)日本鉄源協会に設置されたのを受け、側面支援の立場から本委員会に参加 するとともに、国際面では、IISI/スクラップグループ会合等への対応も図った。 4.中長期的観点からの市場開発活動 ・鉄鋼需要の拡大に繋がる諸活動を幅広く展開した。主な活動としては、①建築・土木分野 における鉄鋼製品の開発・普及に関わる事業活動、②鉄鋼の新たな用途開発に繋がる調査・ 研究(学校施設をはじめとした公共建築物の鋼製化の推進等)、③海外(東南アジア・中国) における鉄鋼市場開拓の一環として取り組んでいる、わが国の鉄鋼製品とその利用技術紹 介のための現地セミナー開催、④府省連携で取り組んでいる「新構造システム建築物の研 究開発」プロジェクトへ参画等が挙げられるが、これらの諸活動を産・官・学と連携をと りつつ実施した。また、平成 17 年度から鋼構造研究の活性化、研究者の育成を主たる目的 として、第2期の鋼構造研究・教育学助成事業が新たな体制で発足したが、その企画・運 営に関わる諸活動を展開した。 3 5.労働災害および設備事故再発防止に向けた取り組み強化 ・当連盟では、業界における労働災害が増加傾向にある中で、重大災害等の原因分析結果か ら会員各社が必要とする具体的な防止対策を策定し、業界一体の災害撲滅活動を展開して きている。 ・平成 17 年度には、アスベストによる健康被害が社会問題化し、石綿製品の全面禁止等への 対応策について、アスベスト対策検討タスクフォースを設けて鋭意検討した。また、一酸 化炭素中毒事故が連続的に発生したため、会員会社・事業所における関係設備、作業工程 についての緊急自主点検を実施した。 ・また、鉄鋼業における類似災害を撲滅するため、安全衛生管理者ならびに第一線監督者を 対象に夏季安全特別講習会、労働災害防止検討会を開催して安全衛生対策を推進した。 ・一方、厚生労働省では、労働災害防止の撲滅に向け、平成 18 年度事業として新たに「IT 機器を活用した新しい安全衛生管理システムの構築について」を研究することとなり、平 成 17 年度は、当連盟がそのFS調査を受託し、 「大規模装置産業における安全衛生管理上 の問題点」を研究報告した。 6.標準化の推進 ・JIS規格 102 件について審議し、うち 64 件を内容に応じて制定、改正、廃止、確認とし た。また、ISO規格については、140 件を審議し、うち 42 件を制定、改正、廃止とした。 特に、平成 17 年度には、当連盟が開発した屋外暴露試験と相関がとれる「腐食試験方法」 のISO規格化が実現した。また、当連盟・市場開発委員会・海外事業委員会から規格化 要請があった、耐震用鋼材(JIS G3136)のASTM規格化(A1043)も実現した。自動車 用鋼板の衝突安全特性を検討する高速引張試験規格については、ISO/TC164(機械試験)/SC1 (引張試験)に日本(当連盟)が提案し規格化の承認を得た。平成 18 年度から各国委員を 集めて規格案の作成に入る。日本工業標準調査会(JISC)と認証指針を作成し進めて きた新しいJISマーク制度が平成 17 年 10 月1日からスタートした。今後、各社での認 証取得が開始される。 7.鉄鋼業に対する社会的認知度向上のための活動 ・鉄鋼業界が抱える共通テーマについて能動的にPR活動を展開すべく、総務委員会の下に 常設の広報専門委員会を設置した。当面の活動テーマとしては、鉄鋼業に対する社会的認 知度が低下し、次世代を担う人材の確保が業界共通の課題となってきていることから、鉄 鋼業と一般の方との接点を増やす活動を展開することとし、次年度以降の活動に向けて多 方面からの検討を行った。 4 8.団体機能の充実化 ・当連盟は、平成 14 年3月の臨時総会で決議された「中期計画(平成 15∼19 年度) 」に基づ き、団体運営の効率化、会費の削減等を進めている。 ・平成 17 年度は、団体運営の効率化を図るため、事務局組織を7部1センターから4本部1 センターに改編した。加えて委員会組織と運営方法の見直しを行い、平成 18 年4月から新 体制に移行することとした。 ・内外拠点の構え方見直しの一環として、平成 17 年度末をもってワシントン事務所を閉鎖し た。 ・事務局のIT化を推進し、ホームページのリニューアル、コーナーの新設、統計データの 拡充などITを活用した会員サービスの向上や業務の効率化を図った。 ・鉄鋼業界が抱えている業界共通の諸問題について、記者会見、プレスリリースをはじめ、 各種媒体を通じた能動的なPR活動を展開し、広く鉄鋼業界内外に向けた積極的な情報発 信を行うなど、鉄鋼業界への理解・啓蒙を促進し、イメージアップに努めた。 5 Ⅱ 平成 17 年度の分野ごとの主要業務の概要 ※ 下線は平成 17 年度事業計画後に発生・実施した新規事業 1.経済・国内需給調査関係 (1) 鉄鋼需給事情の調査・分析 鉄鋼需給動向、鉄鋼需要産業の活動状況についての調査、分析を行い、月例報告として取り まとめるとともに、情勢変化に応じて随時、特別調査を行った。平成 17 年度は「粗鋼1億1千 万t生産時の需要構造比較」、「自動車の海外生産と部品輸出の動向」、「中国経済と鉄鋼業の動 向」等について調査、研究を行った。これらの調査・研究の成果は、運営委員会、市場委員会、 「鉄鋼需給・四半期報」などを通じて会員に報告した。 (2) 2006 年度鉄鋼需要動向予測 2006 年度鉄鋼需要に関する見通しを取りまとめた。同見通し調査では、2006 年度の実質経済 成長率をプラス 1.5%と想定したうえで、鉄鋼内需は建設が減少するものの、製造業が増加し、 内需全体では4年連続の増加を見込み、輸出は内需優先、価格重視の姿勢から減少を想定した。 こうした内外需要から、粗鋼生産は 2005 年度見込み比 40 万t減の1億 1,190 万t程度と試算 した。 (3) IISI短期需要見通し 「2006 年日本鉄鋼業の見通し」を平成 17 年9月、また「2006・2007 年日本鉄鋼業の見通し」 を平成 18 年3月に取りまとめIISIに報告した。 (4) 四半期別鉄鋼需要調査 平成 17 年度の四半期毎の普通鋼鋼材需要について、主要需要産業へのヒヤリングを基に、需 要動向調査を行った。 (5) 普通鋼鋼材消費パターンの作成 当連盟では毎年、過年度における部門別国内需要構造について推計する普通鋼鋼材消費パタ ーンを作成し、需要予測の際の重要な基礎データとしている。平成 16 年度の普通鋼鋼材消費・ 在庫動向等に関する調査に基づき、平成 16 年度の普通鋼鋼材消費量を 6,245 万tと推計した。 作成にあたっては、「用途別受注統計」、「需要部門別受入量」、「原材料統計」、「ユーザー特約 店在庫」等の各種統計資料を参考とし、また原単位変化を織り込んだ上で需要部門別品種別に 消費量を検討した。 6 (6) 鋳物銑需要動向の調査 鋳物銑需要動向の状況把握に努めるとともに、調査・分析を行った。また、鋳物業界各団体 等から需要動向のヒヤリング調査を実施し、その結果を「鋳物用銑統計資料」等を通じて会員 に報告した。 (7) 鉄鋼需給懇談会の開催 会員および金融機関、官公庁、鉄鋼流通販売業者を対象に「鉄鋼需給懇談会」を四半期毎に 東京、大阪、名古屋で開催し、需給調査委員会作成の「鉄鋼需給・四半期報」を基に内外鉄鋼 情勢に関する説明を行い、鉄鋼業を巡る諸事情について理解を深めるよう努めた。 (8) 鉄鋼産業懇談会の開催 経済産業省より当連盟が事務局を委嘱されている鉄鋼産業懇談会および下部組織である厚板 部会、薄板部会、条鋼部会、線材部会、特殊鋼部会に関する事務局業務を実施し、会議の円滑 な運営に努めるとともに、関連資料の作成・調査等を行った。 (9) 全国小棒懇談会の開催 全国小棒懇談会を毎月開催し、小形棒鋼の需要動向を把握するとともに各種小棒関連の資料 を取りまとめて関係方面の参考に供した。 (10) 鉄鋼流通問題懇談会の開催 メーカー、商社、全国鉄鋼販売業者連合会の各代表で構成される鉄鋼流通問題懇談会を毎月 開催し、鉄鋼流通段階の状況把握に努めた。 2.海外調査・国際会議・国際協力・通商問題関係 (1) 海外調査・情報提供関係 ① 月例報告「海外鉄鋼市場の動き」の作成 「輸出市場調査委員会」では、主要鉄鋼市場である米国、欧州、中国、韓国、台湾、ブ ラジルを対象に月例報告「海外鉄鋼市場の動き」を作成し、当該国の一般経済、鉄鋼需給、 鉄鋼貿易、内外市況、収益、業界動向等の最新情報を整理・分析し、月次単位で情報提供 を行った。 ② 「世界主要国の 2006 年鉄鋼需給見通し」の作成 「輸出市場調査委員会」では、会員商社の現地店へのアンケート調査結果をベースに、 主要輸出市場である世界 23 カ国1地域を対象とする 2006 年の鉄鋼需給見通し報告書を作 7 成し、会員各社に情報提供を行った。 ③ 「主要国の鉄鋼関税率と輸入制限措置および輸出奨励策」(第 21 改訂版)の作成 「輸出市場調査委員会」では、会員商社の現地店へのアンケート調査結果をベースに、 主要国の鉄鋼関税率と輸入制限措置および輸出奨励策を取りまとめ、第 21 改訂版として会 員各社の利用に供した。 ④ 中国・米国・ASEAN「鉄鋼関連情報」の作成 我が国の鉄鋼需給に影響の大きな、中国、米国、ASEAN地域を対象に、主に海外文 献、統計・調査関連資料類から文字情報を翻訳・分析し、週(隔週)単位で定例資料とし て取りまとめ、会員各社に情報提供した。 ⑤ 「中国の経済動向と鉄鋼市場」(2005/4月、2005/10 月) 今日、世界の鉄鋼需給バランス形成に多大な影響力を有する中国に関して、経済・需要 産業の動向、鉄鋼需給・貿易、企業、設備異動等の各動向に加え、一連の政府による鉄鋼 関連政策の進捗状況、鉄鋼企業の再編・統合等の最新状況をフォローし、半年に一度の頻 度で、運営委員会に報告するとともに、会員各社に情報提供を行った。 ⑥ 中国鉄鋼業設備データベースの開発・整備 平成 17 年度の新規重点事業の一つとして、膨大な鉄鋼関連設備を有し、かつ、近年、設 備の新増設・拡張・廃棄等の動きの激しい中国の鉄鋼設備について、業界共有のデータベ ースを構築すべく、内外文献・資料等の情報ソースを集約し、設備データベースの開発・ 整備を行った。同プロジェクトは、約1年間の準備期間を経て、初期段階の開発作業を完 了したことから、平成 18 年度早々、会員各社に対し会員サイトを通じた電子媒体での情報 提供を開始することとした。 ⑦ 「中国問題研究会」の開催 躍進著しい中国鉄鋼業の将来像を把握するに当たっては、鉄鋼の需給関連情報のみなら ず、同国の一般経済・政治、関連需要産業、金融・証券、不動産、経済法規等、同国の政 治経済を取り巻く広範な制度全般への理解が不可欠と考えられる。このため、平成 17 年度 の新規事業の一つとして、中国問題に関する各界の若手気鋭の専門家、実務者、研究家等 を講師として招聘し、業界関係者との自由討議の場を提供すべく、「中国問題研究会」を立 ち上げ、その開催・運営を行った。平成 17 年度については、以下の通り5回の研究会を開 催した。 8 第1回 7月26日「中国の鉄鋼需要産業の現状と将来展望」(自動車、電機) 講師:東京大学社会科学研究所助教授 丸川知雄 氏 第2回 8月29日「中国の不動産市場の最新動向と今後の見通し」 講師:みずほ総合研究所アジア調査部中国室研究員 劉家敏 氏 第3回 9月30日「中国造船業の現状と将来展望」 講師:日本郵船株式会社アドバイザー 長塚誠治 氏 第4回 10月28日「中国の株式市場と国有企業改革」 講師:㈱新光総合研究所投資調査部 吉川健治 氏 第5回 12月13日「中国のエネルギー危機の背景と今後の見通し」 講師:アジア経済研究所環境・資源研究グループ研究員 ⑧ 堀井伸浩 氏 その他鉄鋼関連レポートの作成 ・ 「2004 年の中国鉄鋼業」(2005/4月) ・ 「Mittal Steel Group の概要」(2005/6月) ・ 「中国の『鉄鋼産業発展政策』の概要について」(2005/9月) ・ 「インドの『2005 年国家鉄鋼政策』について」(2005/12 月)等 (2) 国際会議・国際協力 ① 二国間鉄鋼対話の開催 わが国政府および鉄鋼業界は、鉄鋼市場および貿易に関する相互理解の増進と鉄鋼貿易 摩擦の未然防止を目的に、欧州、中国、韓国、台湾、タイとの二国間鉄鋼対話を実施して きている。平成 17 年度についても、日欧鉄鋼対話(第6回:平成 17 年6月1日(東京))、 日中対話(第8回:平成 17 年6月 13 日(東京)および第9回:平成 17 年 11 月 10 日(北 京))、日韓対話(第6回:平成 17 年 11 月8日(ソウル)) 、日台対話(第6回:平成 17 年 12 月1日(東京)) 、日タイ対話(第3回:平成 17 年7月 14 日(バンコク)および第4 回:平成 18 年2月3日(東京))が開催され、相互の鉄鋼市場に関する情報交換等が行わ れた。 特に、変貌著しい中国との鉄鋼対話では、中国の鉄鋼需給動向や鉄鋼産業発展政策に関 して率直な意見交換を行い、相互理解を深めた。 また、日本とタイの間では、EPAに技術協力に関する合意が盛り込まれたことを受け て、鉄鋼対話の下に「日タイ鉄鋼協力プロジェクト専門委員会」が設置され、両国間にお ける技術協力の検討が行われた。 当連盟では、二国間鉄鋼対話を有益で実り多いものとするために、日本政府や相手国業 界との調整を行った。 9 ② 日中韓ビジネスフォーラム 日中韓ビジネスフォーラムは、三カ国首脳会談で設立が合意され、平成 14 年より韓国、 中国、日本の順で開催されてきた。平成 17 年度については、第4回フォーラムが 10 月 13 日∼14 日に韓国・ソウルで開催され、全体会合では「韓国、中国、日本はより緊密な経済 協力を通じて共同繁栄と成長を持続し、東アジア経済の連携を強化するために3国間の企 業協力の強化が重要である他、省エネルギー・環境問題については、今後協力を一歩進め、 具体的推進に努める」との主旨の共同声明が採択された。 また、分野別に行なわれた鉄鋼フォーラムには、当連盟を通じて日本鉄鋼業界より 21 名が参加し、日中韓 3 カ国間の緊密な協力関係を通じて、鉄鋼分野における環境・省エネ ルギー問題を解決していく必要性を訴えた。 ③ OECD鉄鋼委員会 OECD鉄鋼委員会では、平成 13 年より各国政府の局長クラスの会合である鉄鋼ハイレ ベル会合を開催し、非経済的過剰生産能力の削減や各国の市場歪曲的政策措置の規律強化 に向けた取り組みを進めている。 規律スタディグループ(DSG)で議論が進められてきた鉄鋼補助金協定については、 市場歪曲的な補助金の除去を目的とする協定の必要性は確認されたものの、例外的な補助 金(閉鎖、環境対策、研究開発)や途上国の特別取り扱い等に関して、関係国間で見解が 相違したことから、DSGを一時休止することとなり、平成 17 年度に大きな進展はみられ なかった。 こうした中で、当連盟では業界要望の取りまとめや日本政府への意見具申等を行なった。 ④ 東南アジア鉄鋼協会(SEAISI)への協力 SEAISI年次大会(平成 17 年5月 16 日∼19 日於ベトナム/テーマ「鉄鋼業成長の ための原料から最終製品にいたるまでの統合ソリューション」)およびセミナー(平成 17 年 11 月 14 日∼16 日於シンガポール/テーマ「鉄鋼業の工程、製品および環境に関する持 続可能な新技術とプラントの合理化」)への論文発表者合計 10 名の派遣、巡回セミナー(平 成 17 年8月 29 日∼9月9日於ベトナム、タイ、フィリピン、マレーシア、インドネシア、 シンガポール/テーマ「鉄鋼業における安全」)への講師2名の派遣による協力を行った。 また、同協会統計委員会会合、環境委員会会合・環境ワークショップに当連盟より専門家 を派遣し、域内鉄鋼業の専門家育成に貢献した。 SEAISI設立後 30 年余が経過したこと等により、運営改革を行う必要があるとの働 きかけを平成 14 年以来日本より加盟各国に積極的に行った結果、平成 17 年より漸次事務 局運営体制を日本、韓国、台湾、豪州の賛助国からASEAN6カ国の正加盟国へ移行す 10 ることが決定し、日本から常時行ってきた同協会事務局への上級職員の派遣は 17 年8月末 で終了した。あわせて次年度以降のSEAISIの開催行事を集約し、効率的かつ効果の ある活動とすることを提案し、これが決定された。 ⑤ 国際協力機構(JICA)「中国鉄鋼業環境保護技術向上プロジェクト」への協力 当連盟では、中国鉄鋼業のエネルギー効率化および環境保護技術向上を目的として主に 中国鋼鉄研究総院に技術指導を行う国際協力機構(JICA)のプロジェクト方式技術協 力「中国鉄鋼業環境保護技術向上プロジェクト」に関わる協力を、新日本製鐵㈱、JFE スチール㈱、住友金属工業㈱、㈱神戸製鋼所の協力を得て平成 13 年度より平成 19 年度の 予定で受託実施している。平成 17 年度は、現地への長期および短期専門家の派遣、研修員 の受け入れ、国内委員会開催等を実施した。当連盟の推薦により平成 14 年9月よりJIC Aから中国に派遣されている専門家2名による技術指導を平成 17 年度も継続した。 (3) 通商問題への対応 ① 主要輸出先への対処 平成 17 年度の国際鉄鋼市場は総じて堅調に推移したものの、中国における生産能力の著 しい拡大が過剰生産や輸出の増大を招き、東南アジア市場を中心に少なからぬ影響を与え た。こうした中で、大型の通商法提訴などは発生しなかったものの、米国の相次ぐサンセ ットレビュー調査でほとんどの案件の税賦課が継続されたことや、ロシアで大径管のセー フガード調査が行われたことなど、依然として保護主義的な動きが一部で見られた。 当連盟では、主要な鉄鋼輸出先における通商問題に対処するため、必要に応じて現地顧 問弁護士を起用し、正確な情報収集に努めるとともに、日本政府に対して業界要望を具申 するなど、的確な対応を図った。 特に、米国においては、米国政府による 201 条措置に係る評価調査や主要品種のサンセ ットレビュー調査、ゼロイングに関するパブリックコメント募集などに対して意見書を提 出したほか、バード修正条項の廃止などに関する米国議会の動きをフォローした。 また、ロシアにおけるセーフガード調査、中国におけるステンレス冷延薄板のサンセッ トレビュー調査等にも、適宜対応を行った。 ② 経済連携協定(EPA)交渉への協力 日本政府は 2002 年以降、主要貿易国との経済連携協定(EPA)交渉を推進しており、 シンガポールおよびメキシコとの間では協定が発効しているほか、フィリピン(平成 16 年 11 月大筋合意)、マレーシア(平成 17 年 12 月署名)、タイ(平成 17 年9月大筋合意)、 インドネシア(平成 17 年7月交渉開始)、チリ(平成 18 年2月交渉開始)とも、協定締結 11 に向けた取り組みが続けられている。こうした中、当連盟は、EPA協定に伴う関税の撤 廃ないし引き下げは、わが国鉄鋼業にとって国際競争力の面で極めて重要との観点から、 関連情報の提供、業界要望の具申、現地の鉄鋼業界関係者やユーザーとの意見交換などを 通じて、積極的に日本政府への支援、協力を行った。 (4) 対米広報活動 米国における通商問題への対応活動の一環として、日本鉄鋼業に対する公正な理解促進を図 ることを目的に、当連盟の在米広報窓口であるニューヨークJSIC(JAPAN STEEL INFORMATION CENTER)を通じて、ニューズ・リリースの実施、主要シンクタンク・鉄鋼アナリスト・主要メ ディアなどオピニオン・リーダーへの情報提供、米国の鉄鋼関連セミナーへのスピーカー派遣 等の広報活動を実施するとともに、これらの活動結果をJSICホームページ(英文)に掲載 し、内外からのアクセスに供した。 また、自由貿易を標榜する鉄鋼需要家組織である米国輸入業者団体(AIIS)および需要 家連合(CITAC)と連携・協力し、効果的な広報活動を展開した。 (5) 不公正な鉄鋼輸入への対応に向けた活動 アジア地域における鉄鋼貿易構造の変化に伴い、今後、わが国への不公正な鉄鋼輸入が増大 する可能性がこれまで以上に高まってきている。こうした中、当連盟では、主要品種の輸入動 向について詳細な調査分析を行うとともに、わが国の通商法に基づく対処が可能となるよう、 通商法申請手続きおよび調査の研究、輸入HSコードの改定要望に関する検討など各種の準備 活動を実施した。 (6) 海外事務所の活動 ① ワシントン事務所 ワシントン事務所は、顧問弁護士であるウィルキー・ファー・アンド・ギャラガー法律 事務所をはじめ、在米通商関連諸機関との連絡業務を遂行するとともに、米業界の動向や 米連邦政府・議会の通商政策、鉄鋼政策等に関する情報収集を行った。また、当連盟の在 米広報窓口であるニューヨークJSICの運営に参画し、米国内外のオピニオン・リーダ ーや有識者に対し日本鉄鋼業への理解が促進されるよう努めた。 なお、ワシントン事務所は、当連盟中期計画の下で平成 17 年度末に閉鎖することとなっ たが、米国市場の重要性に鑑み、東京本部が同事務所の機能をできる限り継承し、関係業 務の継続を図っていくこととなった。 12 ② 北京事務所 北京事務所は、大きく変貌する中国鉄鋼業および鉄鋼需給動向や貿易等に関する現地情 報の収集に努めるとともに、現地政府関係機関等との交流、通商問題への対応、当連盟会 員や中国日系コイルセンター協議会など現地日本鉄鋼業界への協力等を行った。同事務所 からの現地情報については「中国の鉄鋼関連情報」として市場委員会に報告するとともに、 広く会員の利用に供した。 (7) 保険・運輸関係 ① 鉄鋼包括保険の特約締結と運用 (独)日本貿易保険との間に、貿易一般保険包括保険(鋼材)の特約を締結し、会員の鉄 鋼包括保険契約の窓口として円滑な業務運営に努めた。平成 17 暦年の当連盟の取り扱い保 険金額は前年比 25.5%増の 9,818 億 6,100 万円、(独)日本貿易保険への支払い保険料は同 23.4%増の 10 億 3,200 万円、受取保険金はゼロであった。なお、平成 17 年8月末に米国 南部を襲ったハリケーン「カトリーナ」の被害に伴う増加費用事故については、現時点で はなお求償手続き中のため平成 17 暦年の受取保険金実績には未だ計上されていない。 その他、「輸出運輸保険委員会」では、「輸出保険専門委員会」において、平成 18 年度包 括保険特約の内容を検討するとともに、平成 19 年度より実施が予定される包括保険の制度 見直しに関し、日本貿易保険との間で意見交換を行い、会員への制度説明会を開催する等、 各種検討を行った。 ② 米国ハリケーン「カトリーナ」被害関連での対応 「輸出運輸保険委員会」では、「輸出運輸小委員会」を中心に、平成 17 年 8 月、北米メ キシコ湾岸を直撃した超大型ハリケーン「カトリーナ」による、ニューオリンズ港での被 害状況と同地域向け鋼材配船スケジュールに関する情報収集を行い、予想される追加費用 への保険金てん補に関し、(独)日本貿易保険への状況説明と今後の対応方針の確認等を行 った。 その結果、(独)日本貿易保険より今回のハリケーンの影響による運賃・海上保険料等の 追加負担額は貿易保険(増加費用)のてん補対象となり得るとの回答を得るとともに、今 後の具体的な保険金請求に向けての統一手続きを確認し、関係委員会各社ならびに当該貿 易保険の加入会員に対し、連絡、周知を図った。 ③ 中国での木製梱包材規制(ISPM No.15)導入関連での対応 「輸出運輸保険委員会」では、「輸出運輸小委員会」を中心に、中国が平成 18 年1月1 日以降に厳格適用を開始した国際基準(*ISPM No.15)への対応を検討した(*注: 「松食い 13 虫」等が輸入貨物の梱包材/ダンネージに使用される木材に付着して外国から自国に侵入 することを防止するための国際基準)。同基準は、梱包材/ダンネージの害虫駆除を行う際 の熱処理基準等を規定するものであり、処理の実施証明として角形の認証マークの押印を 求めるものであるが、従来の我が国の認証マークが丸形であったことから、中国植物検疫 当局が日本マークを不認可としたため、問題が顕在化する事となったものである。 「輸出運輸小委員会」では、(社)日本荷主協会より状況説明を受けるとともに、委員各 社における当面の対応方針を確認、並行して、経済産業省ルートで農林水産省への状況改 善への働き掛けを要請するとともに、関係諸団体との連絡、情報共有化を図った。さらに、 同小委員会では、鉄鋼メーカー各社における角形マークへの移行可能時期の確認作業を行 いつつ、委員会関係者を中心に対応に万全を期した結果、平成 17 年末に至って、中国側か ら当面の協議期間中は日本からの中国向け貨物の入管がストップしないよう取り計らう、 との通知があり、中国向け貨物の入港拒否の事態は回避されることとなった。 ④ 海運同盟の航路別運賃動向 「輸出運輸保険委員会」では、「輸出運輸小委員会」において、平成 17 年6月、12 月の 二度に亘り、海運同盟との間で各航路に適用される半年毎のスペシャルレート等運賃の延 長に関する荷主側との窓口業務を実施した。その結果、平成 17 年度の7同盟1協定(ラテ ンアメリカ、メキシコ、東アフリカ、西アフリカ、南アフリカ、タイランド、フィリピン、 香港ストレーツ)から、前年に引き続きスペシャルレート等の同盟運賃を据え置くとの連 絡が届いた。なお、 「輸出運輸保険委員会」では、委員会活動の各種見直しを実施した結果、 今後については、かかる海運同盟との窓口業務を当委員会の業務範囲から除外することを 決定した。 3.法規・財務関係 (1) 平成18年度税制改正に関する要望 平成18年度税制改正については、経済活性化の原動力である企業の活力が最大限に発揮され るような税制の整備が必要であるとの認識の下、企業活力の向上や国際競争力の強化に資する 税制の構築に向けて、鉄鋼業界の意見を集約し、関係業界とも連携を図りつつ、政府・自民党 等関係先に対し要望、意見具申を行った。 その結果、平成18年度改正においては、最重点項目と位置付けた「環境税」の導入が見送ら れたほか、研究開発税制の見直し、延長、IT投資促進税制の刷新等措置が講ぜられることと なった。また、減価償却制度の見直しについて、税制大綱の検討課題として取り上げられ、抜 本的な見直しに向けた一歩を踏み出された。 鉄鋼業界にとって最も負担の重い税目となっている固定資産税に関しては、非住宅用地に係 14 る固定資産税について、地方自治体による条例減額措置が3年間(平成18∼20年度)延長され たことから、その導入実現に向けて、会員企業事業所による各地元自治体への働き掛けを統一 要望の策定等を通じて支援した。このほか、鉄鋼業関連の各種租税特別措置の延長については、 制度の意義、必要性を整理し、所轄官庁を通じて対応した。 (2) 企業会計制度・経済関連法規の見直しへの対応 国際的な会計基準の調和の動きやわが国企業のグローバル展開等を背景に、わが国の企業会 計制度および会社関連法制については、その抜本的改正・整備に向けて、政府および関係機関 において検討が進められたが、それら関連情報の収集、整理を行った。 ① 企業会計制度 企業会計制度については、企業会計基準委員会(ASBJ)において、企業結合会計、 ストック・オプション会計等に関する詳細審議が行われてきたが、それら会計基準の適用 指針に関する情報収集、検討状況の取りまとめ、整理を行った。 ② 経済関連法規 経済関連法規については、会社法の現代化に関連し、情報の収集およびその改正内容の 整理を行った上で、「会社法の現代化の概要」、「企業買収防衛策を巡る最近の動向につい て」の資料を取りまとめた。また、独占禁止法の一部改正に際し、日本経団連を中心に産 業界の意見集約が図られたが、その検討状況を注視しつつ、情報収集、整理を行った。 (3) その他 ① 平成16年度および平成17年度上期の会員会社決算状況の取りまとめ ② 平成16年度の会員会社租税負担状況ならびに租税特別措置等の利用状況取りまとめ 4.原料関係 (1) 原料安定供給WGの対応 原料政策委員会では、平成 17 年度、原料安定供給WGを新設し、経済産業省が主管する原料 資源安定供給等研究会の検討状況を踏まえつつ、①資源国の供給力拡大に資する支援策・課題、 ②開発原資の調達・補償に寄与する国内制度の種類と適用条件、③省資源技術等の研究状況を 中心テーマに取りまとめを行い、関係省庁ならびに国際協力銀行(JBIC)他開発調査団体 等への支援要請を実施した。 併せて、平成 17 年度は、租税特別措置法である「海外投資等損失準備金制度」の見直し時期 に当たり、経済産業省を通じて存続要望活動を行うとともに、新エネルギー・産業技術総合開 発機構(NEDO)が実施したモンゴル石炭資源調査に参画する等各種活動を通じ、原料安定 15 確保に向けた取り組みを実施した。 (2) スクラップWGの対応 原料政策課題の一環として、経済産業省指導の下、スクラップ品質向上対策委員会が(社)日 本鉄源協会に設置された。スクラップの活用余地については、原料安定供給WGが取りまとめ た対策に盛り込んでおり、側面支援の立場から本委員会に参加し意見具申するとともに、国際 面では、IISI/スクラップグループ会合等への対応も図った。 (3) その他 ① 鉱石、原料炭に関する自主統計他、各種原料関係統計の整備 ② 各種原料の需給動向等に関する情報収集、調査・分析 5.物流関係 (1) 改正省エネルギー法への対応検討 京都議定書の発効・改正省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)の国会承認を 受けて、措置内容に関する検討作業が関係各省庁にて開始された。当連盟では、新設される荷 主事業者に対する措置の具体的検討主体「荷主判断基準小委員会(経済産業省主管)」に参画し 業界要望の反映に努めるとともに、小委員会での検討状況を踏まえつつ、環境・エネルギー政 策委員会と物流政策委員会の両関連専門委員会が連携し対応方法の検討を実施した。 とりわけ、鉄鋼物流に関する対応方法については、物流政策委員会物流研究会において、鉄 鋼荷主としての立場から、省エネルギー対策に資する取り組み項目ならびに燃料使用量算出方 法等を中心に検討を実施し、11月2日開催の物流研究会大会(会場:日新製鋼㈱呉製鉄所、参 加者:95名)において「省エネ法の改正に伴う鉄鋼物流の対応」と題し、成果報告を実施した。 また、環境・エネルギー政策委員会と物流政策委員会の両関連委員会が連携し、業界自主管 理目標の達成等に向けた各種活動に対する理解活動を鋭意実施してきた。 (2) 特殊車両の道路通行に関する課題(規制)への対応検討、他 セミトレーラの積載基準の緩和に関しては、鋼材輸送用セミトレーラを含む特例8車種に限 り、連結車両総重量44トンを上限とした分割可能貨物の積載が認められ、平成15年10月1日よ り適用となった。 これを受け、当連盟では、当該規制緩和の運用実態の把握に努めるとともに、特殊車輌通行 許可申請におけるB条件(徐行および連行禁止)での許可重量、積載寸法等関連する諸問題に ついて、実質的な規制緩和を享受すべく種々検討を継続実施し、課題整理のうえ関係省庁への 働き掛けを実施した。併せて、法令遵守および安全確保等に関し関係業界である(社)全日本ト 16 ラック協会他との意見交換を鋭意実施してきた。 また、日本経団連が実施した「2005年度規制改革要望に関する調査」に対して、内航海運事 業、港湾運送事業、特殊車両通行許可等に係る合計20件の要望案を取りまとめ、提出した(う ち、5件について政府に建議され当該省庁より回答を得た)。 6.環境・エネルギー関係 (1) 地球温暖化対策への対応について 地球温暖化対策推進大綱に基づく第1ステップ(平成 14∼16 年度)における国内温暖化対策 の進捗状況のレビューが行われた。また、京都議定書の平成 17 年2月の発効を受け、その目標 達成のために必要な施策や目標量についても盛り込んだ京都議定書目標達成計画が平成 17 年 4月に閣議決定された。 産業界の自主的取り組みは、地球温暖化対策推進大綱に引き続き、同計画でも中心施策とし て位置付けられることとなり、自主的取り組みの目標達成の蓋然性が注目されることとなった。 当連盟では、このような関係審議会の検討状況等を注視しつつ、2013 年以降の枠組みについ ては、排出総量のみをとらえるのではなく、各セクター(産業部門、民生部門、運輸部門)の 技術基準(ベンチマーク、トップランナー等) 、標準、研究・技術開発、技術移転・普及等、「複 合的アプローチ」をとり、環境と経済の両立を実現するモデルを対外的に示すことにより、米 国、中国等の参加が得られ、真に実効性のある枠組みとすべき旨、関係方面に提案活動を行っ た。 (2) 自主行動計画への取り組みについて 環境・エネルギー政策委員会では、業界としての地球温暖化対策の推進にあたり、平成7年 12 月に自主行動計画を策定、会員各社に対して削減目標を達成するための取り組みを要請し、 以降、自主行動計画の着実な推進に向けて毎年フォローアップ調査を実施してきた。 平成 17 年9月には、エネルギー原単位の低下等、着実な成果をあげた平成 16 年度エネルギ ー削減状況に関する実績の取りまとめについて、環境・エネルギー政策委員会の審議を経て運 営委員会に報告するとともに、日本経団連に鉄鋼業界の自主行動計画の推進状況を報告した。 さらに、同年 11 月には、経済産業省の関係審議会合同小委員会の下に設置されている鉄鋼W G(自主行動計画のフォローアップ機関)に対して、自主行動計画の実効性ならびに透明性、 信頼性の向上をめざした各種活動ならびに本社ビルおよび従業員の家庭におけるエネルギー使 用量調査等、民生・運輸部門での取り組み状況を含め報告した。なお、家庭でのエネルギー使 用量調査については、対象世帯数が、平成 16 年度の 700 世帯から、平成 17 年度は 2,800 世帯 に大幅増となった。 また、産業界の自主行動計画の透明性・信頼性の向上を図る観点より設置された日本経団連・ 17 環境自主行動計画第三者評価委員会のレビューを平成 18 年2月に受けた。同レビューは4年目 であるが、鉄鋼業界は毎年説明しており、本年も上述鉄鋼WGと同様、高い評価を受けた。 このような鉄鋼業界の取り組みを広く内外に広報するため、報告内容をHP上に和文および 英文で掲載した。 また、鉄鋼業では、目標達成の保険措置の一環として、平成 16 年度の「日本温暖化ガス削減 基金(拠出金は 500 万ドル、70 万トン−CO2に相当)」に続き、平成 17 年度は「バイオ炭素 基金(拠出金は 500 万ドル、60 万トン−CO2に相当)」へ参加し、クレジットを確保するこ ととした。 (3) 環境税および経済統制的な施策導入に向けた動きへの対応について 環境省では、平成 15 年8月の中央環境審議会・地球温暖化対策税制専門委員会における温暖 化対策税(環境税)についての取りまとめ以降、引き続き関係審議会で審議するとともに、環 境大臣が直接経済団体の首脳や一般国民に同税について理解を求めるなど、平成 18 年度以降の 導入に向け活発な活動を展開している。 また、農林水産省および林野庁では、現在の森林関係予算規模では 2.6%程度のCO2吸収 量しか見込めないとし、京都会議で認められた森林シンク(3.6%)実現に向けた森林整備財源 として、環境税の税収を利用したいとの意向を表明しており、一部自治体、林野関係団体にも これに同調する動きが見られている。 これらの動向に対し当連盟では、運営委員会の下に会長の特命として「地球温暖化対策本部」 を平成 16 年度に設置した。また、その下部組織であるタスクフォース(TF)を実働部隊とし て位置付け、京都議定書目標達成計画を着実に実行すべきであること、環境税等強制的な施策 には反対であること、鉄鋼業は引き続き温暖化対策に取り組む所存であること等を骨子とする 「地球温暖化対策への取組みに関する見解」を平成 17 年9月に取りまとめ、公表した。さらに、 同TFには、環境部門の他、財務、広報部門からの参画も得て、関係者への理解活動、日本経 団連をはじめ各産業団体ならびに中小企業団体とも連携し、全国紙(読売、朝日、毎日、日経、 産経、中日、東京)への意見広告掲載等、各種の広報活動および理解活動を積極的に推進した。 なお、平成 17 年度は本部長:友野当連盟副会長(住友金属工業㈱社長) 、TFリーダー:飯村 環境・エネルギー政策委員会副委員長(住友金属工業㈱専務執行役員)の下で活動を実施した。 (4) 国際技術協力事業の対応について 環境・エネルギー政策委員会 国際協力・規格委員会では、わが国鉄鋼業の優れた省エネルギ ー技術の海外鉄鋼業への技術協力に関し、従来から各種活動を行ってきた。また、日本プラン ト協会の「CDMグリーンプラント調査委員会」に引き続き代表委員を参画させ、CDMの整 備・構築に積極的に関与した。 18 京都議定書の発効にともない、CDM事業への取り組みが関係業界も含め内外で進められて おり、わが国鉄鋼業でも、中国でのフロン処理や鉄鋼省エネプロジェクトのCDM事業化の取 り組みが進められた。 一方、平成 17 年7月には北京において、三村当連盟会長(新日本製鐵㈱社長)および謝中国 鋼鉄工業協会会長をはじめ、日本側高炉各社社長、経済産業省幹部を含む約 200 名の参加を得 て日中鉄鋼業環境保全・省エネ先進技術交流会を開催し、継続的に環境保全・省エネルギーに 関し情報および専門家交流を実施すること等を骨子とする覚書を締結した。 さらに、「クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ」(APP)が、平成 17 年7月に米国の主導により、日本、米国、豪州、韓国、中国、インドの6か国が参加して発 足した。APPは、アジア太平洋地域において増大するエネルギー需要に対応するとともに、 環境汚染、エネルギー安全保障、気候変動問題へ対処することを目的とし、具体的には、クリ ーンで効率的な技術の開発・普及・移転のための地域協力を推進することとしており、この取 り組みの重要性に鑑み、鉄鋼業界でも積極的に対応していくこととした。平成 18 年1月にはシ ドニーにおいてAPP第1回閣僚会合が開催され、日本鉄鋼業を代表し関澤環境・エネルギー 政策委員会委員長(新日本製鐵㈱副社長)他が参画し、日本鉄鋼業の取り組み状況を説明する と共に、自主的取り組みの重要性等を主張した。なお、今後の分野別取り組みの中で、鉄鋼業 については日本が議長国を務めることとなった。 (5) 石油石炭税への対応について 平成 15 年 10 月に導入された石油石炭税については、申請手続き実務等に関し、鉄鋼会社お よび輸入商社による情報交換会を適宜開催し、申請手続き等において実務実態が反映されるよ う関係当局に働きかけた。 (6) 電気事業制度等への対応について 総合資源エネルギー調査会電気事業分科会(鉄鋼業界委員:新日本製鐵㈱ 三村社長)等の 動向について、環境・エネルギー政策委員会電力委員会では、情報収集に努めるとともに現行 の電気事業制度等に関する情報交換を行った。 (7) 水生生物保全環境基準設定への対応 水生生物保全環境基準については、環境基準の運用や環境管理等水生生物保全に係る施策 の重要事項について審議する「小委員会」が平成 16 年8月に設置され、4回に及ぶ審議を重 ねた結果、平成 17 年2月より事業所の排出基準を検討する「排水規制等専門委員会」と公共 用水域への環境基準当てはめを検討する「類型指定専門委員会」が設けられた。 「排水規制等専門委員会」では、亜鉛の排出源、排水濃度の実態、処理技術の水準等につ 19 いて、「類型指定専門委員会」では、環境基本法に基づき国が環境基準の類型指定をするこ ととされている水域(河川・湖沼・海域)について、ともに審議が行われた。 当連盟では経済産業省ならびに日本経団連、関連業界と引き続き連携しながら、同規制が及 ぼす産業界への影響が最小限となるよう、審議会にてプレゼンテーションを行うとともに、環 境省へ意見具申するなどの活動を強力に推進した。 なお、上記委員会の報告については、平成 18 年度早々にも報告書として取りまとめられる予 定である。 (8) 揮発性有機化合物(VOC)排出抑制への対応 大気汚染防止法が改正(平成 16 年5月)され、光化学オキシダントや浮遊粒子状物質(SP M)の生成原因物質となる揮発性有機化合物(VOC)については、法による排出規制と事業 者による自主的取組の双方の政策手法を適切に組合せること(ベスト・ミックス)により効果 的にVOCの排出および飛散の抑制を図ることとなった。 同法では、法規制対象施設の排出基準等の遵守ならびに事業者の自主的取組による大気への 排出状況把握、排出抑制措置の実施が規定されている。 鉄鋼業では主に塗装、洗浄工程においてVOCが使用されていることから、当連盟では「揮 発性有機化合物(VOC)排出抑制に関する自主行動計画」を平成 17 年9月に策定し、会員各 社における自主的取組を推進することとした。 一方、経済産業省では産業界における自主的取組を支援すべく平成 17 年7月に「事業者等に よる揮発性有機化合物の自主的取組促進のための指針」を策定するとともに、各業界団体の自 主行動計画および毎年の取組状況を取りまとめ、産業構造審議会における評価結果とともに公 表する予定としている。当連盟では同省の呼びかけに応じ自主行動計画を提出(平成 17 年 10 月)し、取組状況については 17 年度実績より毎年度報告することとしている。 (9) ダイオキシン類削減計画への対応 ダイオキシン類排出削減のための電気炉の自主管理計画は平成 14 年3月に、また、焼結機ガ イドラインは平成 14 年 11 月に終了しているが、平成 14 年 12 月から規制値が一段と厳しくな ったことから、関係各社では規制値を遵守するべく削減への取り組みを継続した。 また、平成 17 年度も、平成 16 年度と同様、ダイオキシン類対策特別措置法に基づいて事業 者が平成 16 年中に測定し、自治体に報告された排ガスまたは排水中のダイオキシン類濃度は各 自治体のホームページ等で公表された。このため、当連盟においても例年どおり、電気炉およ び焼結機からの年間ダイオキシン類排出量試算に際し、各事業所から当連盟に提出された測定 値と自治体公表値とを検証する等のデータの透明性に配慮しつつ、年間排出量の試算を行い、 国にデータを提出した。 20 一方、国ではダイオキシン類対策特別措置法に基づいた削減目標(平成 15 年3月における総 排出量を平成9年比9割削減する)が達成されたため、平成 17 年6月に「平成 22 年までに平 成 15 年比、約 15%削減する」という新たな目標を設定し、これに向けた総合的対策を推進し ている。 なお、国の新目標における焼結機および製鋼用電気炉の平成 22 年の目標値は平成 15 年実績 を維持することとしている。 (10) ヘキサクロロベンゼン等排出実態調査への対応 POPs(残留性有機汚染物質)に関するストックホルム条約において、非意図的生成物質 として対象となっているヘキサクロロベンゼン・PCB・ダイオキシン類の3物質については、 経済産業省ならびに環境省が排出量目録(インベントリー)を作成するための実態調査を実施 中である。これを受け、鉄鋼業界では製鋼用電気炉の施設に関し、国の立入調査の受け入れな ど、協力を行った。 また「非意図的生成POPs排出抑制対策調査検討会」(平成 16 年度3回開催)において、 鉄鋼業界はオブザーバーとして参画しており、ヘキサクロロベンゼンの実態把握や発生メカニ ズムに関する検討など、協力を行った。 (11) 有害大気汚染物質規制強化への対応 有害大気汚染物質の自主管理(当連盟はベンゼンをはじめ4物質)については、第2期自主 管理計画(平成 13 年度∼平成 15 年度)が、平成 16 年6月の中央環境審議会有害大気汚染物排 出抑制専門委員会にて、一応の成果を果たしたとの結論から終了を迎えた。平成 17 年度におい ては、自主管理計画で対象となっていた4物質をはじめ、リスク低減指針値にあげられている ニッケル化合物などについて、PRTRにより実態把握に努めた。 (12) PRTR制度(化学物質排出移動登録制度)への対応 「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(略称:化学 物質排出把握管理促進法)」に基づき、平成 16 年度に引き続き、平成 17 年4月に平成 16 年度 の各事業所における排出量および移動量実績の届出が実施されたことから、当連盟では、会員 各社から報告のあった届出実績を集計し実態把握に努めるとともに平成 16 年度実績を踏まえ 鉄連PRTRマニュアルを改訂する等、同法への対応を積極的に行った。 (13) 環境マネジメント国際規格:ISO 14000 シリーズへの対応 環境管理規格審議委員会、大気、水等の主要な規格毎の国内対応委員会・作業グループに、 当連盟から参画し、規格開発・改訂の検討に際し意見具申した。また、会員各社に対し、環境 21 マネジメントに関する国際標準化活動の動きの周知とともに、国内における標準化関連事項に ついても情報提供、情報交換を行った。 (14) 低濃度PCB問題への対応 平成 16 年度において経済産業省、環境省による「低濃度PCB汚染物対策検討委員会」にお いて、原因究明、測定方法、処理方策について検討されてきたが、原因究明については、報告 書において絶縁油メーカー、電気機器メーカーおよび機器ユーザーの関与を認める報告書がま とまった。現在、測定方法および処理方策については、引き続き検討中であるが、処理方策に ついては、日本経団連においても絶縁油メーカー、電気機器メーカーおよび機器ユーザーの関 係企業・団体で構成される「低濃度PCB問題に関する懇談会」が設置され低濃度PCBに関 する処理方策等について検討しており、当連盟もメンバーとして参画、積極的に活動を行った。 (15) 廃棄物処理法への対応 ① 『廃棄物処理法の適用に関する「廃棄物」か否か判断する際の輸送費の取り扱い等の明確 化』への対応について 平成17年3月25日付けにて環境省通知「廃棄物か否か判断する際の輸送費の取扱い等の明 確化について」が示され、FOB(輸送代を引いた価格)マイナスの場合における輸送は 廃棄物の収集運搬にあたるとされた。鉄鋼業界では鉄鋼スラグを長年にわたり資源化し、 鉄鋼スラグ製品として販売してきたが、一部の鉄鋼スラグ製品において品物代は有価であ るが、 FOBではマイナスとなる物があるのが現状である。 このような鉄鋼スラグ製品(FOB<0)が廃棄物に該当するか否か、環境・エネルギー 政策委員会資源循環委員会で検討を行い、スラグ製品の有効活用例を記したポジションペ ーパー「鉄鋼業におけるスラグ事業について」を取りまとめ、関係省庁と折衝を進めた。 今後、自治体等に対して、ポジションペーパーを活用し、積極的に鉄鋼業のスラグ事業に ついて理解を得て、リサイクル製品認定等を取得し、個別自治体の理解実績を増やすこと とした。 (16) 最終処分量に係る自主行動計画(平成 16 年度)のフォローアップ 日本経団連が実施する第8回フォローアップの結果(平成 16 年度)は、スラグ、ダストおよび スラッジの発生量は 4,622 万トンで、最終処分量は 79 万トンであった。最終処分量は平成 13 年度以降、3年連続で中間目安(平成 17 年度、75 万トン程度)を下回る(71∼72 万トン)実績 で推移してきたが、平成 16 年度は中間目安を上回った。 また、平成 16 年度末のスラグの在庫量は 1,650 万トン(在庫月数 5.3)となった。特に製鋼ス ラグの在庫量は増加傾向にあり、1,000 万トン(在庫月数 9.3)を上回り、 過去最高水準となった。 22 最近のわが国におけるリサイクル促進基調にともない、建設廃材や石炭灰等の他のリサイク ル資材との競合およびリサイクル資材の利用に伴う各種基準の整備などスラグ利用促進を巡る 環境は一層厳しくなることが想定されることから、新たな用途開発等の対応について、環境・ エネルギー政策委員会、技術政策委員会等の関係委員会において検討、対応を図っていくこと としている。 なお、日本経団連では、産業界全体の産業廃棄物最終処分量の目標を 3 年連続して前倒し達 成したことから、各業界ではこれまでの目標に加え、追加的取り組みとして、「集荷システム等 の条件整備を前提として、2010 年に年間 100 万トンの廃プラスチック等の利用を目指し努力す る。」という新規目標を設定した。 (17) 産業事故対応 平成 17 年の経済産業省等の産業事故防止の要請を踏まえ、引き続き、事故情報の共有、設備・ 部品のリスク管理等を中心に産業事故再発防止のための次の活動を展開した。 ① 事故情報の共有等の観点からは事故事例をベースに作成された、危険性評価手法(チェッ クリスト方式)の作成協力、普及・促進を図った。具体的には企業防災対策支援センターの 危険性評価手法の作成に参画するとともに、同評価手法を活用した自主保安推進のための リスクアセスメント方法の普及・促進に向け、危険物保安技術協会と当連盟の共催で講習 会を行った。 ② 最近の自然災害の発生状況を踏まえ、自然災害のリスク管理について有識者から講演を 受けるとともに、各事業所の取り組み事例について情報共有を行い、レベルアップを図っ た。 ③ 設備・部品のリスク管理の観点からは、機械学会で検討が行われている配管の減肉管理 に関する規格作成に対して協力。本規格は平成 17 年3月に制定が予定されている。 ④ 平成 17 年、厚生労働省に報告した「鉄鋼業における化学設備および特定化学設備の定期 自主検査指針」を会員全事業所へ周知徹底した。 (18) 特殊鋼環境委員会の開催 特殊鋼電炉業態特有の環境問題への対応を目的に設置されている特殊鋼環境委員会は、平成 17 年度に4回開催し、鉄鋼スラグ路盤材JIS化に伴う試験方法の実態把握など、業態特有の 環境問題に関する審議、意見交換を実施するとともに、行政動向を中心とした環境問題全般に 係る関連情報の報告等を実施し、情報の共有化を図った。また、会員会社の工場見学を実施し、 各社の環境対策設備の情報交換を実施した。 また、特殊鋼電炉業態における地球温暖化問題への対応として、取り組み強化を図るため本 委員会の下に「特殊鋼省エネ検討会」を設置し検討を開始した。 23 7.技術関係 (1) 原子力発電施設解体に伴うスクラップ再利用問題への対応 原子力発電施設解体に伴い発生する金属やコンクリート等について、平成 17 年5月の原子炉 等規制法の改正により、放射能濃度が著しく低い物については「核燃料物質によって汚染され た物」でないものとして取り扱うことを規定したクリアランス制度が導入された。 技術政策委員会では、電気事業連合会の協力要請に基づき、クリアランス制度によって最初 に搬出される日本原子力発電㈱東海発電所からのクリアランス金属(約2千トン)の取り扱い に関し検討し、これまで当連盟が主張してきた、その受け入れの前提条件となる、①国民的合 意、②技術的な安全性の確保、③異常時対処方法の確立の3項目を満足するものと判断し、10 月、同制度を社会に定着させるために電気事業者が実施しようとしている自主的運用措置に関 する同金属受け入れのための基本的枠組みに合意した。 (2) LCAの推進 鉄鋼業としてのLCA(ライフ サイクル アセスメント)に関する情報等の収集、分析およ び検討を行った。また、日本LCAフォーラムおよびIISIが推進しているLCAプロジェ クトのフォローアップを行ったほか、関係団体におけるLCA活動を補佐するなど循環型社会 構築の中での鉄鋼業の役割を検討し、要請に応じて、当業界におけるLCA取り組み状況につ いて説明を行った。 (3) 鉄鋼スラグの利用拡大への対応 スラグ類の試験方法に関する環境JIS(JIS K 0058-1,2 スラグ類の化学物質試験方法:溶 出量および含有量)が平成 17 年3月制定された。この環境JIS制定に伴い、道路用鉄鋼スラ グJIS(JIS A5015)に同環境JISを組み込むことを主たる目的として、鐵鋼スラグ協会と 当連盟との共同体制により、スラグ類に関する環境安全性等の評価、検討を行った。 なお、道路用鉄鋼スラグの改正は、日本工業標準調査会標準部会「環境JIS策定中期計画」 に基づき、平成 18 年度に制定されることとなっている。 (4) IISIにおけるCO2 削減プロジェクトへの対応 第 36 回IISI総会(平成 14 年 10 月ローマ)において、世界の鉄鋼業として抜本的CO2 削減プロジェクトに取り組むこととなった。このためIISIは、平成 15 年4月に 「CO2 Breakthrough Programme」の実施を決定し、その第1段階として各地域における取り 組み状況等の情報交換を促進するための Co-ordination Committee を設置した。 当連盟では、技術政策委員会と環境・エネルギー政策委員会合同による国内対応委員会を設 け、平成 17 年6月および 11 月に開催された Co-ordination Committee(第4回、第5回会合) 24 に委員を派遣し、日本国内での取り組み状況等について説明を行うとともに、本プロジェクト の目標・推進体制等について意見を述べる等積極的な協力を実施した。 (5) 資源循環・リサイクル技術の検討・提言 今後、資源有効利用ならびに新エネルギー利用のための具体的かつ技術的な検討・提言が重 要となることから、技術政策委員会/環境・エネルギー政策委員会両委員会合同の下部組織と して、平成 16 年 10 月より資源循環・リサイクル技術合同検討委員会を新たに設置し検討を開 始した。 本委員会では当面の検討テーマを、①容器包装リサイクル法見直しへの対応、②鉄鋼業での 社外循環資源の受け入れによる資源化の取り組み推進、の2点とし活動を進めている。 平成 17 年度は、容器包装リサイクル法見直し対応を中心に活動し、5月に提言書を取りまと め産業構造審議会ならびに中央環境審議会へ提出し、12 月には「再商品化手法の見直しに関す る要望書」を産構審に提出するなど一連の活動を通じ、循環型社会形成推進基本法の原則に則 った当連盟の主張が認められた。 (6) 電気炉スラグの利用促進 電気炉酸化スラグのコンクリート骨材としてのJIS化を目的に、8年間にわたり活動を行 った電気炉スラグ特別委員会を、その目的達成に伴い平成 16 年3月、発展的に解消した。平成 16 年4月より、新たに、①電気炉酸化スラグの普及促進・用途拡大、② 電気炉還元期スラグ の熱間ならびに冷間リサイクルをテーマとした電気炉スラグ普及委員会・還元期スラグリサイ クルWG・市場開拓WGを立ち上げ、鐵鋼スラグ協会、普通鋼電炉工業会および当連盟が共同 事務局となり、電気炉メーカー44 社の参加を得て、当面平成 18 年度末までの3年計画による 活動を進めている。 (7) 次世代コークス製造技術(SCOPE21)研究開発のフォローアップ 経済産業省の補助事業として平成6年度より平成 15 年 11 月末まで、10 年間にわたり進めら れた「石炭高度転換コークス製造技術(次世代コークス製造技術:略称=SCOPE21)」の研 究開発のフォローアップを行う目的でSCOPE21 推進委員会は活動している。 平成 17 年度の主な活動は以下のとおりである。 ① 産業構造審議会・産業技術分科会第 14 回評価小委員会(5月)において、 「石炭高度転 換コークス製造技術」開発プロジェクトの評価結果が個別審査のうえ承認された。 ② 鉄連承継特許の維持管理を行った。 ③ 研究成果の学会報での紹介、インドで開催されたコークス製造等に関する国際会議 (International Conference on Coking Coals & Coke making, 2005) (12 月)等、国内 25 外で開催された国際会議で成果発表を行うなどのPR活動のほか、実機化に向けた活動を 行った。 (8) 溶融還元製鉄法(DIOS)研究開発のフォローアップ 経済産業省の補助事業として8年間にわたり進められ、平成7年度末に終了した「溶融還元 製鉄技術(略称DIOS) 」の研究開発のフォローアップを行う目的でDIOS推進委員会は活 動している。平成 17 年度は、鉄連承継特許維持管理等を実施した。 (9) スラグ利用に係わる研究開発 経済産業省の補助研究開発事業として、鉄鋼各社の参画のもと平成 16 年度から「スラグ利用 に係わる研究開発」に取り組んでいる。当連盟では、平成 19 年度までの計画で製鋼スラグを海 域で有効利用し、セメント代替、天然資源代替による省エネを図るため、その安全性・環境改 善効果の検討を行っている。 平成 17 年度は、製鋼スラグを海域に利用するための安全性・環境改善効果の検討・評価する ため実海域試験のほか、鉄鋼スラグ水和固化体の製造、施工技術の開発等その適用性の詳細な 検討を実施した。 (10) 鉄鋼生産設備の作業成績等の調査 ① 主要設備操業状況調査 主要鉄鋼生産設備である高炉、焼結機、コークス炉、転炉、電気炉、連続鋳造機、圧延 設備(半製品、条鋼、鋼板、鋼管)等の各作業成績等について、継続的に調査を実施した。 ② 鉄鋼生産設備調査(出版事業) 4年毎に実施している全国鉄鋼事業所における鉄鋼生産設備調査(平成 16 年 12 月末現 在)を実施し、「鉄鋼生産設備の現況」(CD-ROM)を発行した。 8.市場開発関係 (1) 建築分野における鉄鋼製品の利用技術・開発 ① 新しい鋼構造技術の研究・提案 建築物へS造の適用をはかるために、次の研究・提案を実施した。 ・ 鉄骨複合建築構造技術(鉄骨造と軽量形鋼造等とのハイブリッド構造システム)の開発 ・ 建築基礎構造新工法の探索 ・ 合成構造への高張力鋼の適用研究 26 ② 新利用技術の提案活動 (独)建築研究所、(社)日本鋼構造協会とともに、鋼構造の若手研究者・技術者で形成し ている「21 世紀鋼構造フォーラム」では、次のような建築構造用鋼材の新たな利用技術の 可能性を研究した。 ・ 鋼材ダンパーを用いた既存建築物の耐震補強に関する研究 ・ 薄板鉄鋼材料を用いた鋼構造建築物の可能性の探求と開発 ・ テーパー付き鋼管柱を用いたリユース型フラットスラブ構造の提案 ・ 展開構造システムと損傷制御構造に関する調査研究 ③ 次世代学校施設委員会での用途開発の調査研究 学校、公団住宅など老朽化対策として、以下のような研究を実施し、公共建築分野での 鋼構造の適用可能性の研究開発等の活動を実施した。 1) JSSCへの研究委託 ・「鋼構造による学校施設研究(鋼構造学校施設-21 プロジェクト) 」 ・「中低層鉄骨造 各部構法マニュアル作成」 2) (財)建設物価調査会との共同研究 ・「耐震改修工事費マクロデータの作成」 ・-文教施設の改修工事費に関する調査共同研究3) 当連盟「建築鋼構造研究NW九州地区」との連携 ・学校建築のS造化検討 4) 木と鉄の環境共生建築研究 ・主体構造を鉄骨造とし、木を座屈拘束材や仕上材と同時に耐火被覆材として使用した 環境に優しく経済的で合理的な建築物の提案 ④ 薄板軽量形鋼造委員会での研究開発活動 薄板軽量形構造を一段と普及させるための活動を実施した。 ・ 「薄板軽量形鋼造設計施工指針」の作成 ・ ドリルねじ接合の適用範囲拡大(大臣認定の取得) ・ 鉄骨造を対象とした防耐火告示例示仕様の適用可能化 ・ 住宅工法としての利用利便性の向上 ⑤ その他のテーマ 1) 構造に関するテーマ ・超高力ボルトの性能評価法の確立 27 ・鋼製地中梁の利用技術開発 ・エネルギー法告示に基づく耐震性能評価法 ・四面ボックス柱溶接部の必要じん性に関する研究 ・ボックスコラム(冷間成形角形鋼管)に関する研究 2) 防耐火委員会に関するテーマ ・IISIパンフレットを翻訳し設計事務所への配付 ・建築構造用鋼材の高温強度保証規定制定への取り組み ・建築基準法に係る耐火性能に関する告示案を建築住宅性能基準運用協議会へ提案 ・鉄骨架構の高温時構造安定性の検証方法に関する研究(JSSC委託) (2) 土木・橋梁・造船に関わる研究開発活動の展開 ① 土木関連 1) 渋滞解消ミクロシミュレーション解析 都市再生プロジェクトを実施するために、様々の技術課題の解決が必要な中で、渋滞解 消の方策として、「乗用車専用立体交差」について検討を行った。「乗用車専用立体交差」 のメリットは、都市の制約条件(用地買収が困難、交通を止められない等)を解決できる ことや、短工期、省スペースなど鋼構造の利点が活かせることであり、都市内道路網にお ける新しい渋滞解消対策の切り札として、技術提案活動を行った。 また、「乗用車専用立体交差」の導入効果について検討し、問題点・課題等を洗い出し て、シミュレーションの前提条件の精度を高める等の追加解析を実施した。 2) 土木用鋼材製品のエコマーク対象製品化 エコマーク商品類型№131「土木製品Version1.0」の制定をうけ、環境を十分に保全しな がら、安全・便利・機能的で、快適な都市構造を創造するために必要な土木用鋼材製品の 技術提案を行った。その結果、8品目(透水性鋼矢板、低排土鋼管杭、高性能騒音低減装 置、透過型鋼製砂防堰堤、不透過型鋼製砂防堰堤、特殊型ふとんかご、鋼矢板護岸緑化用 植栽フィン、のり面保護網)が対象製品として選定された。 3) パンフレット「自然環境と共に生きる土木用鋼材製品」の作成 土木用鋼材製品のエコマーク対象製品化をPRするためのパンフレット「自然環境と共 に生きる土木用鋼材製品」を作成した。(財)日本環境協会が同月全国5地区で開催した「エ コマーク土木製品説明会」にて配布するなど、官公庁への普及活動を行った。 また、2006年3月、鉄連「Steel Construction Today & Tomorrow」、(財)日本環境協会 監修のエコマーク商品データベース「グリーンステーション」に特集記事を掲載した。 4) 防災に関する活動 防災分野の鉄需拡大として、臨海石油コンビナート地区の地震時側方流動に対する鉄系 28 耐震補強工法の技術提案について、検討を行った。 なお、本事案の検討・解析に当たっては、早稲田大学濱田研究室、鋼管杭協会等と適宜 連携協働して調査・研究を実施した。 5) 海洋技術総合試験施設を用いた腐食・防食に関する実験研究 各種防食仕様の試験材を暴露することによって、腐食・防食に関する経年変化を調査・ 研究するため、静岡県駿河湾の「海洋技術総合研究施設」を利用して暴露試験を継続した。 「20年暴露試験総括報告書」として取りまとめる作業を実施した。 6) 海洋鋼構造物の耐久性(耐蝕性)に関する研究 防食工劣化を考慮した耐久性能評価ならびにライフサイクルコスト評価、腐食構造部材 の残存性能評価マニュアルの作成に関わる活動を実施した。 7) 鋼製魚礁・増殖礁に関する調査研究 水産基盤整備生物環境調査事業「魚礁における間伐材活用調査検討委員会」への委員派 遣や、「鋼製礁技術マニュアル」の改訂作業を実施した。広報・普及促進活動として、パ ンフレット「鋼製魚礁・増殖礁」ならびにビデオ「鋼製魚礁∼獲る漁業から、つくり育て る漁業へ」の改訂にも着手した。また、第25回全国海づくり大会(11月19∼20日、神奈川) での模型・パネルの展示を実施した。 8) 被覆による都市内高架構造物の景観向上技術に関する研究 10年間暴露試験体の回収、提出会社への返却作業を進めるとともに、日本道路会議への 論文発表、総括報告書の作成、他材料グループも併せた「土木技術資料」への論文掲載等 を目的とした作業を実施した。 9) 大断面コルゲート・カルバート工に関する研究 「大断面コルゲート・カルバート工研究委員会」の研究成果を取りまとめて、「設計施 工マニュアル」として刊行し、全国各地区で技術説明会を開催した。 10) スチールファイバーに関する調査研究および普及促進 平成8年度より(財)日本建築総合試験所との共同研究「SFRMの耐久性・耐蝕性調査」と して、内陸(大阪府吹田市)と海洋(千葉県勝浦市)2箇所にて長期暴露試験(10年程度) を継続実施した。 新規事業として、「有機繊維調査」、「性能比較試験」を企画し、競合製品である有機 繊維系ファイバーに対する鋼繊維系の優位性に資する調査・研究を実施した。 ② 橋梁 1) 耐候性鋼WG 耐候性鋼の社会的信頼獲得と適用拡大のための技術基盤整備を実施した。7つの課題を 中心として活動を推進し、所期の目標(括弧内)をほぼ達成する目処が得られた。 29 a)適用規定の整備 ・JIS耐候性鋼(SMA)適用規定の改良(既設橋梁の実態に基づくみなし規定の改訂) ・健全性評価手法の確立(点検、診断マニュアルの作成) ・補修法の確立(維持、補修マニュアルの作成) ・防食設計法の確立(性能照査型設計に基づく具体的な防食設計法の提示) ・ニッケル系高耐候性鋼の適用規定の提示(本品種の適用規定構築、腐食量予測技術の 提案) ・表面処理適用規定の提示(本処理の適用規定、維持管理法の提示) ・新しい適用性評価試験法の開発(短期で架設環境ごとに耐候性鋼の適用可否を判断で きる簡易暴露試験法の提示) 併せて耐候性鋼の適用可否検討方法として、環境因子データ(飛来塩分量、気温、湿 度など)から耐候性鋼の腐食量を予測する技術に関して、当連盟統一的提案を作成。 b)公的認知活動 次の活動を通じ耐候性鋼の普及に貢献した。 ・(社)日本道路協会「鋼道路橋塗装・防食便覧」作成協力(H17.12 発刊) ・(社)日本橋梁建設業協会「Design Data Book」改訂への協力 ・橋梁新聞からの「新しい耐候性鋼材」取材対応(H17.11.1) ・(社)日本鉄鋼協会会報ふぇらむ特集号「鉄鋼材料の機能機能性付与/鋼橋の防錆・防 食機構」作成協力(H17.12) c)技術基盤整備のための基礎データ収集 ・耐候性鋼の適用性評価技術の改良、ニッケル系高耐候性鋼の統一的な性能評価、実プ ロを対象とした性能検証、維持・補修技術の適用性評価に資する基礎データを収集。 ・各社個別実施の土木研究所との桁モデル全国4暴露試験について、JIS耐候性鋼の データ共有化を図り対外報告へ向け整理中。 2) 鋼橋技術・普及WG a)普及活動 橋梁用高性能鋼ならびに耐候性鋼の内容の説明会を実施。 ・国土交通省 地方整備局:2回 ・土木学会 :3回 ・その他 :2回 b)新橋梁用高性能鋼材(BHS鋼)の提案 次の活動を通じて、BHS鋼の公的認知が得られ、東京港臨海道路への採用が内定。 ・BHS鋼の日本鉄鋼連盟製品規定化、国土交通省新技術登録制度によるPR普及活動 30 ・パス間温度による溶接継手特性の変化調査(H17.7:関東地方整備局へ報告) c)(独)土木研究所との共同研究 「鋼製橋脚隅角部の非破壊検査法」「鋼橋溶接部の非破壊検査方法に関する研究」を実施。 d)(社)日本鋼構造協会(JSSC)への研究委託 同協会の「鋼橋性能向上研究委員会」へ、鋼橋の競争力を強化するため、コスト縮減、 LCCのミニマム化をはかれる合理的な設計手法の確立、新技術の実用化の課題対応等 4部会で研究を実施。 ・合理化設計法部会 ・耐久性向上部会 ・耐震設計ガイドライン部会 ・耐候性鋼橋梁部会 ③ 造船 今後の造船用鋼材の需要見通しの参考とするため、「今後10年の船舶需要と供給」等につ いて、専門家を招聘して調査した。また、日本の造船業の競争力維持のため、鋼材メーカ ーがどのように係っていけるか検討した。 (3) 建築・土木用鋼材を中心とした鉄鋼製品の普及促進活動 鉄鋼製品の啓蒙・普及促進活動を研究開発活動の成果を基に以下のとおり実施した。 ① 建築用鋼材の啓蒙・普及活動 1) 第11回「建築構造用鋼材とその利用技術」講習会 東京 1月27日 220名 名古屋 2月3日 50名 大阪 2月9日 100名 広島 2月17日 46名 福岡 3月17日 70名 <講座内容> 「四面ボックス柱梁接合部の脆性破壊の危険性と防止対策」 「CFT柱を用いた鉄骨骨組の動的耐震設計法ガイドライン」 「エネルギーの釣り合いに基づく耐震計算法(鋼構造建築物への適用)」 「鋼構造による次世代学校施設の研究」他 2) 建築高性能鋼の海外普及(高性能鋼の海外規格へのコード・イン化と設計法の海外プロ モーション) 3) 海外事業委員会事業への各種協力 4) (社)日本建築構造技術者協会(JSCA)技術交流会でのリダンダンシーガイドライン を発表(12/13) 31 5) 2005サステナブル建築世界会議東京大会(SB05)へ出展(期間:9/27∼9/29、於:新高 輪プリンスホテル) 6) 鉄骨建築雑誌「スチールデザイン」第6号、7号の発行 6号:NTT青山ビル改修、福崎空中広場を掲載、7号:森山邸掲載 7) 鉄と建築の歴史−未来への遺産−の発行 ② 土木・橋梁用鋼材の普及・啓蒙活動 1) 土木用鋼材の利用技術説明会 官公庁の実務担当者を対象に、土木用鋼材の利用技術の事例を紹介し、鉄への理解者を 拡大するとともに、鋼材に対する要望を収集するため、国土交通省各地方整備局等で「土 木用鋼材の利用技術説明会」を開催した。 ・10 月 20 日 中国地方整備局 受講者数 150 名 ・2月 近畿地方整備局 受講者数 50 名 7日 2) 講習会等での講師派遣 鋼構造技術者に対し鋼材の諸特性、利用技術等を系統的に勉強する場を提供するために、 継続教育活動の一環として各種講習会に講師を派遣した。 ・6月 21 日 (社)日本鋼構造協会 受講者数 40 名 ・7月 1日 (社)土木学会(基礎講座) 受講者数 50 名 ・9月 28 日 (社)土木学会(鋼構造委員会) 受講者数 10 名 3) 製鉄所見学会 若手鋼構造技術者を対象とした製鉄所見学会を、土木学会・鋼構造委員会鋼構造継続教 育推進小委員会の主催のもと、実施した。 ・7月1日 JFEスチール㈱・東日本製鉄所(京浜地区):50 名参加 4) 第10回土木鋼構造研究シンポジウム 土木鋼構造研究助成制度における成果を基にシンポジウムを開催しており、今回は、平 成15年度から(社)日本鋼構造協会へ委託している「鋼橋性能向上研究委員会」の3ヵ年間 の研究成果報告を主テーマとして実施した。 ・日 時:平成 18 年3月8日(水) 13:05∼17:30 ・場 所:コクヨホール(東京・品川) ・受講者:大学・高専等の土木系教員、官公庁・公団、ゼネコン、コンサル、メーカー 等約 360 名参加 ・講演内容:1)合理化設計法に関する研究 2)耐久性向上に関する研究 3)耐震設計ガイドラインに関する研究 32 4)耐候性鋼橋梁に関する研究 (4) 鋼構造研究・教育事業活動の一般公募の実施について 鋼構造技術研究の一層の活性化を図るために継続していた学助成事業は、平成 17 年度より、 実効性あるテーマ選定・透明性の確保等を基本方針として、一般公募を開始した。 ① 新しい体制 助成事業の透明性・公平性を確保するため、大学・研究所等の学識経験者を中心とする 鋼構造研究・教育助成事業審査委員会(委員長:内田純司 新日本製鐵㈱取締役建材事業 部長)を新設して、一般にも対象を広げて、鋼構造研究・教育助成事業を実施した。 ② 建築・土木分野における助成事業の内容 助成事業の内容は、次のとおり。 1) 目的研究助成 鋼構造に関する特定研究助成 2) 教育助成(公募) 鋼構造の研究活性化を目的とした大学等研究機関への助成 a)先導研究(一般公募による候補) b)一般研究(鋼構造の若手研究者) c)学生(大学院生、学部生、高等専門学校生) d)地区ネットワーク(地区ネットワークで選定した候補者) e)実験用鋼材支給(建築分野のみ実施) (5) 建設環境問題への対応 ① グリーン購入法への対応 グリーン購入の特定調達品目化に向けて、積極的にリソースを振り向けることの是非お よび環境アピールに重点をおいた訴求方法の妥当性につき、下記の検証を行い、報告書を 取りまとめた。 ・ 環境製品の市場での訴求方法 ・ 先進的な環境配慮製品優遇制度の海外における状況の把握 ・ 環境面からの優位性を担保する方策の整理 ② 環境パンフレットの改訂と英文版作成 環境パンフレットである「アイアンサイクル 施し、日本語改訂版ならびに英文版を作成した。 33 鉄の命は無限です」の内容の見直しを実 ③ 環境講演会の開催 千葉県庁より講師を招き、「産廃コネクションに描かれた不法投棄根絶に向けた取り組 み」について、説明を受けた。 (6) 臨海部防災拠点、交通結節点などの社会資本整備推進 海洋分野における鋼材の市場開拓促進の観点から、「臨海部防災拠点研究会」の研究調査の 成果である「東京湾臨海部における防災関連の施設整備と社会基盤等」について、国・地方自 治体・関係団体等へ提案活動を行った。 また、平成 16 年度基礎調査を実施した「JR水道橋駅を対象とした駅の立体化等に関する交 通結節点整備モデル」の実プロ化を図るため、平成 17 年度は、国・地方自治体・JR等の関連 先に提案活動を行った。 さらに、平成 16 年度、都市再生を目的に「東京ワイヤーワーク 2020 構想」を取りまとめた が、その実プロ化に向けた検討を行った。 一方、プロジェクト講演の一環として、「港湾・海岸における防災力向に向けてー地震・津波・ 高潮対策ー」について、国土交通省港湾局の担当官より話を伺うとともに、懇談を行った。 (7) 薄板製品の市場拡大活動 各社が個別に取りくんできたPR、愛飲活動等の成果を共有化し、業界全体の底上げを図り、 一層のスチール缶需要の拡大を図るため、スチール缶ビールの全国地域拡販活動を展開すると もとに、スチール缶ビール季節ギフトキャンペーン活動およびスチール缶リサイクル協会と連 携したPR活動を推進した。 一方、自動車用鋼材については、IISI・自動車用鋼材委員会での活動内容をフォローし た。 (8) 海外市場開発活動 平成 14 年度より開始した海外の建設市場開発活動を継続した。具体的には、日本の高機能鋼 材の普及と認知度を高めることを目指して、10 月に、官公庁、設計事務所、建設会社、ファブ リケーター、大学関係者等を対象に、「中日鋼構造建築セミナー」を、中国の上海地区と深圳地 区で開催した。また、11 月には、官公庁、建設会社、コンサルタンツ、大学関係者等を対象に、 「東南アジア鋼構造建設セミナー」をベトナム(ハノイ・ホーチミン地区)、マレーシア(クア ラルンプール地区)で開催した。 一方、日本の鋼材関連技術等の発信媒体としている英文情報誌「Steel Construction Today & Tomorrow」については、編集方針の見直し・紙面のリニューアルを行った。その結果、下のよ うな方針に基づき、4回刊行し、会員会社をはじめ、東南アジア、中国、米国等の政府・自治 34 体等の技術者、設計事務所建設会社の技術者等に配布するとともに、セミナーテキストとして 活用した。 ① タイムリーなテーマによる特集記事の掲載 ② 関連する建築、土木分野の製品・基準等の紹介 ③ (社)日本鋼構造協会(JSSC)からの情報発信の実施 ④ アジアの鋼構造関連情報の提供 (9) IISI市場開発活動の情報入手対応 IISI・MDPG(Market Development Policy Group)の日本における対応の自動車用鋼 材委員会、容器鋼材委員会の活動状況等の最新情報の取りまとめを行った。 (10) 流通による鉄需拡大に向けた活動と鉄鋼産業に関する啓蒙活動 鉄需拡大の視点から、「海外事業委員会」より要請のあった「中日鋼構造建築セミナー」なら びに「東南アジア鋼構造建設セミナー」の開催に協力したほか、鉄鋼流通マンの養成を目的に、 座学研修会を1回、現場見学会を2回開催した。 また、大学生の鉄鋼業、鉄鋼流通業への関心、理解を高めることを目的に、実務経験が豊富 な商社マンを講師として神戸大学、東洋大学の2大学に派遣し、鉄鋼業および鉄鋼流通に関す るプレゼンテーションを行うとともに、質疑応答・懇談を行った。また、神戸大学・千葉大学 から希望のあった製鉄所見学について、それぞれ神戸製鋼所㈱加古川製鉄所、新日本製鐵㈱君 津製鐵所へ案内し、鉄鋼業への理解活動を実施した。 (11) その他活動 ① 「建設用鋼材研究会」では、建設用鋼材全般に関わる諸問題解決のため、建築・土木の 両専門委員会等の関連委員会と連携をとりながら、品種横断的な課題の検討ならびに業務 連絡等を実施した。 ② 当鉄連のホームページ上で、一般への情報提供のため、メーカー各社ごとに製造可能な 品種・サイズ等を表示した「普通鋼鋼材受注寸法表」の更新を行った。 ③ 「新構造システム建築物研究開発委員会」では、総合科学技術会議で決定された府省連 携プロジェクトである「革新的構造材料を用いた新構造システム建築物研究開発」に関し、 経済産業省直轄プロジェクト予算でFSおよび基礎調査を実施した。 9.特殊鋼関係 (1) 特殊鋼社長会の開催 特殊鋼専業社長による特殊鋼社長会を四半期毎に開催し、鉄鋼産業懇談会「特殊鋼部会」で 35 取りまとめる特殊鋼需要見通しについて、経済産業省から説明を受けるとともに、特殊鋼を取 り巻く需給事情や環境、原料、輸送、技術、税制、貿易問題等、特殊鋼電炉に係る最近の動向 や諸問題について幅広く情報交換・懇談した。 (2) 特殊鋼統計、調査関係資料の作成 会員企業のニーズに即した自主統計を定期的に調査・集計しており、調査ならびに結果報告 については、電子化による集計業務の簡素化、迅速化を図った。その他主要添加合金調査を実 施したほか、特殊鋼関係資料等の特殊鋼統計資料を作成し、関係方面に配布した。 10.亜鉛鉄板関係 (1) 亜鉛鉄板(ファインスチール)のPR・普及 ① 需要開拓活動 住宅分野における鋼板製屋根の普及促進を図るべく、平成 17 年度は北陸、関西、東北、 九州、中部の各地区を中心に、ラジオCM、専用パンフレットのポスティング等の普及P R活動を実施した。さらに、東海3県問屋会と連携したファインスチール普及キャンペー ン活動の展開ならびに同問屋会のホームページを活用した需要拡大に協力した。また、流 通・施工業者を含めたインターネットを活用した製品情報の提供を目的とした普及ネット ワークの構築と運営方法等の体制整備を検討した。 ② 普及活動 広報誌「ファインスチール」を季刊(4500 部)発行した。全国各地のファインスチール 利用事例の紹介を中心としたPR誌を作り、住宅メーカー、設計事務所等に配布するとと もに、当連盟ホームページ上でも開示し、広くPRした。また、旧来のトタンイメージを 払拭すべく紙面作りの検討を重ね、平成 17 年度にファインスチールの機能・特性につい て特集した。このほか、プロジェクト事業委員会として新規に発足したファインスチール 普及促進委員会と連携し、TVCM等メディアを活用した全国的なPR活動を行った。 (2) 基礎研究の実施および技術問題等への対応 ① 亜鉛めっき鋼板系JISの改正 亜鉛めっき鋼板系JIS7規格の改正が、平成 17 年3月 20 日に公示されたことにより、 併せて、改正JIS説明会を平成 17 年4月に東京と大阪にて開催した。また、次回JIS 改正の対応として、新たに、サイクル腐食試験相関検証WGを発足し、CCT、SST、 暴露試験を実施し検討している。 36 ② 国土交通省「公共建築工事標準仕様書」(平成 19 年度予定)改訂への対応 「公共建築工事標準仕様書」改訂対応のためクロムフリーの技術評価を鋭意検討した。 また、環境負荷物質削減の観点から、鉛化合物の使用禁止の動きがあり、近い将来、建材 部門においても使用禁止の可能性が高い。事前対応を図る観点から、鉛フリー化の実態調 査を行い今後の対策を検討する。 ③ 暴露試験の実施 継続実施している寒冷・積雪地での耐久性調査、酸性雨の影響調査、窯業材との比較暴 露試験を実施・基礎データの収集を行った。 ④ 技術情報交換会 製造技術の向上、コストダウンに役立てることを目的に昭和 59 年度より、塗装鋼板メー カーが参加して製造技術に関する情報交換を実施しており、平成 17 年度は平成 18 年3月 17 日に東京で開催した(参加者 87 名) 。 ⑤ 不燃材料における防火性能の検定 平成 14 年5月の建築基準法の改正に伴い不燃材料の移行手続き(第 1041 号よりNM− 8697 へ)があった。自主管理基準を適宜見直し、平成 17 年4月に改訂し、本基準に則り 新規製品の認定を行った。 また、亜鉛鉄板委員会会社の所有する防火認定商品からサンプルの提出を受け、燃焼試 験による性能確認を日本塗料検査協会において実施した。 ⑥ 環境問題への対応 VOCの排出規制については、環境・エネルギー政策委員会と連携し、VOC排出抑制に 関する自主行動計画の策定に協力した。塗装施設のVOC排風設備実態調査を実施し、環 境省への業界対応の説明・意見具申を行った。また、亜鉛の排水規制など環境規制動向へ の対応として、亜鉛排水規制に関する実態調査を行った。 (3) 内外市場調査の実施 亜鉛めっき鋼板に関する内外統計を収集・整備して、月次統計表を作成したほか、中国の亜 鉛めっき鋼板の需要動向および供給状況についてのレポートを取りまとめ、報告会を実施した。 さらに、亜鉛鉄板東部問屋組合、樹脂化粧鋼板会、断熱亜鉛鉄板工業会から業務委託を受けて 亜鉛鉄板関連の調査・PR活動を実施した。 37 11.労働関係 (1) 労働政策への取り組み 平成 17 年度は、我が国の将来に大きな影響が懸念される少子高齢化問題、平成 18 年4月か ら施行される改正高年齢者雇用安定法について、情報交換、行政や関係業界団体等から情報収 集を行った。また、厚生労働省は、就業形態の多様化等により、労働の最低条件を一律に定め た労働基準法では対応できなくなったことを受け、労使間で労働条件等を決める際の基本的な ルール、手続きを定めた労働契約法の制定を目途に、平成 16 年4月に「今後の労働契約法制の 在り方に関する研究会」を設置し、平成 17 年4月に中間報告の取りまとめ結果を発表した。 これらの検討・審議動向および政省令改正・指針策定等制度施行に向けた動きについて、適 宜情報の収集および会員各社への情報提供を行った。 なお、平成 17 年度において、業務の簡素化・効率化の視点から、労働政策専門委員会の組織 および運営方法を実態に即して抜本的に改組し事業を遂行した。 (2) 労務関係の各種情報提供 社会情勢、経営環境の変化により、会員会社を取り巻く労働面の状況も著しく変化してきて おり、こうした中、各社の今後の対応・施策の一助とするため、労務関係統計を中心に以下の 情報提供を行った。 ① 各種労働統計(鉄鋼賃金、雇用、生産性、福利厚生)の整備 ② 高齢者雇用施策(継続雇用制度、勤務形態、処遇、技能伝承、安全衛生等) ③ 障害者雇用対策 (3) 安全衛生水準向上に向けた活動の展開 当連盟では労働政策委員会とその下部組織である安全衛生専門委員会、業態別・地域別安全 衛生分科会において、重大災害の撲滅を最重要課題として安全衛生管理体制の再構築、管理者・ 監督者の指導力の向上、設備ならびに作業の安全化、安全教育の強化に向けた活動を下記の通 り実施した。 ① 重大(死亡)災害防止に向けた活動の推進 ・ 平成17年4月に600名以上の死傷者を出したJR西日本の脱線事故が発生し、6月には この事故を重く受けとめた厚生労働大臣から災害防止に向けた当連盟を含む関係業界団 体等に対する緊急要請があった。席上、当連盟から経営トップ自らが先頭に立ち、労働者 の安全と健康を最優先する企業文化の醸成に取り組む旨、発言した。 ・ 鉄鋼業における事故災害の増加と重大災害の多発に対しては、会員会社・事業所の安全 衛生管理者ならびに第一線監督者を対象に、夏季安全特別講習会を開催した(平成17年8 月大阪)。講習会では、厚生労働省安全課長ならびに経済産業省鉄鋼課製鉄企画室長によ 38 る指導講話とともに、会員事業所において効果のあった安全衛生活動、作業・設備の改善 対策、安全教育、技能伝承など取り組み事例の発表と情報交換を通じて相互啓発を図った。 また、労働災害防止対策検討会(平成18年3月東京)を開催し、「挟まれ・巻き込まれ」 、「転 落・墜落」、 「有害物との接触・その他」の3部に分けて災害発生状況、分析、対応策につ いてグループ討議を行った。 ・安全衛生の情報共有の場としての業態別、地域別安全衛生分科会では、引き続き工場安全診 断、事故災害情報の交換、事業場の安全衛生活動事例の報告等を通じて、会員間の安全水 準の向上と情報の共有化を図った。 ② 鉄鋼業における化学設備等の定期自主検査指針による検査の徹底 平成17年4月に鉄鋼業における化学設備等の定期自主検査指針に基づき、策定経緯と検 査要領について説明を行い、8月までに各事業所単位で自主検査を実施した。また、検査 の結果、発見された異常個所への補修を行うとともに、検査記録については3年間を目安 に保存することを指示した。 ③ 大規模装置産業における安全衛生管理上の問題点に関する調査研究 近年、製造業等の装置産業の現場において、機械設備の高度化・複雑化による危険有害 要因の多様化とともに、就業形態の多様化により、派遣労働者や業務請負等の増加などの 問題が顕在化し、これが労働災害等の発生の一因となっている。こうした状況下、厚生労 働省からの研究委託を受けて、鉄鋼の作業現場における安全衛生上の問題点の把握、IT を活用した新しい安全衛生管理手法へのニーズ等について、事業場に対する実態調査等を 通し基礎的な調査研究を行った。 ④ 国際労働機関(ILO)、IISI安全衛生WG活動の支援等、海外安全衛生情報の収集 を行い、対応した。 (4) 労災保険制度の改正について 労働政策審議会では、平成18年1月、同審議会に諮問された労災保険率改正に関する「労働 保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則等の一部を改正する省令案要綱(案)」を了承した ことから、平成18年4月から料率は改正されることになり、金属精錬業はこれまでの7厘から 0.5厘引き上げられ、7.5厘となった。 (5) アスベストによる健康障害の予防等について 平成17年6月にアスベスト関連工場の周辺住民の健康障害報告が発生し、社会問題化した。 39 かかる状況下、政府は7月にアスベスト問題に関する関係閣僚会合を設置し、健康被害の予防 対策と被害者の救済策等について鋭意検討を行い、12月に総合対策を発表した。この間、当連 盟では、アスベスト製品の全面使用禁止にむけた業界対応策を検討するため、8月に本件を担 当する副会長を選任(馬田 一 JFEスチール㈱社長)し、また、労政・安全、設備・技術、環 境分野の専門家からなる「アスベスト対策検討タスクフォース」(座長:相川 貢 労働政策委員 長 JFEスチール㈱常務執行役員)を設置した。 タスクフォースでは3分野のWGが中心となり、アスベスト製品の代替化促進にむけた実態 調査をはじめ、今後の基本方針と対応策、ならびに代替困難な技術的課題の究明を行うととも に、欧州鉄鋼業におけるアスベスト対策についての実態調査を行った。 また、厚生労働省ならびに経済産業省からのヒヤリング要請にも適宜前向きに対応するとと もに、石綿健康被害救済法の円滑な実施については業界として意見具申を行った。こうした一 連の対応成果として、石綿製品の使用については、既存のもの、技術的課題のあるものについ ては適用除外となった。 (6) 労働衛生問題への対応 鉄鋼業における労働者の作業環境、就業形態が変化している中で、職業性疾病予防対策を中 心に次の活動を実施した。 ① 厚生労働省は、第10次労働災害計画で死亡災害に直結しやすい一酸化炭素中毒の撲滅を 掲げている。同省からの要請を受けて、平成18年1月に会員全社を対象に緊急自主点検を 実施した。点検結果は厚生労働省に報告するとともに、会員各社に対して取り組み課題と 対策内容を周知徹底した。 ② 石綿製品の代替化促進計画調査の実施と健康障害防止対策の徹底を図るために、政府の アスベスト対策(全面使用禁止)の対応を目的にタスクフォースを設置し、労政安全、設 備技術等の分野で行政対応を図った。 (7) 金属精錬業安全衛生強化推進本部(金精安)の活動 金属精錬業安全衛生強化推進本部(製鉄業、製鋼圧延業、合金鉄製造業を営む915事業所、12.7 万人)は、厚生労働省の労災収支改善推進事業の第2次団体認定を受け、平成16年度から平成 17年度の2カ年間、労災保険収支の改善に向けて労働災害の撲滅活動を展開した。 平成17年度は、本部企画運営委員会ならびに地域別および業態別の安全衛生分科会を開催し、 重大災害の撲滅と職業性疾病の予防を最重要課題として、①事故災害情報の共有による類似災 害防止対策の展開、②工場安全診断と効果的対策の交換、③収支改善コンサルタント、外部講 師等による安全衛生の指導、④安全衛生問題のグループ討議、⑤労働安全衛生マネジメントシ ステムの普及促進等に取り組んだ。 40 なお、金属精錬業安全衛生強化推進本部は、平成17年度末をもって解散し、従来の活動の対 象外であった鍛造・圧延業態、鋳物業態を含む鉄鋼業全体を対象とした安全衛生水準のかさ上 げに資する新体制の構築に向けた検討に着手することとなった。 (8) 能力開発関係 鉄鋼各社の能力開発・人材育成に関する取り組みや制度についての実態調査を行い、「平成17 年度鉄鋼各社能力開発計画」を取りまとめた。また産業技術短期大学、各社が設置している職 業訓練学校の優秀卒業生の表彰、ならびに厚生労働省の「卓越した技能者(現代の名工)」 、黄 綬褒章(労働関係)の表彰候補者の推薦を行った。 (9) IE関係 鉄鋼各社の管理技術の効率的推進、業界全体のレベルアップのため、以下の分科会活動を行 った。 ① IE研究会 各社IE部門リーダーの情報交換とネットワーク作りのため、平成17年6月および12月 に研究会を開催し、各社におけるIEの位置付けとIE活用案件、今後のIEの果たすべ き役割と課題等について検討した。具体的には上期(6月)は「外注」、下期(12月)は「技術・ 技能伝承」に関し検討が行われた ② IE・システム事例研究会 各社のIE・システム関係者のレベルアップのため、平成17年5月(小田原市民会館、 見学:富士ゼロックス㈱竹松事業所)および11月(豊橋商工会議所、見学:トピー工業㈱ 豊橋製造所)に研究会を開催し、生産性向上・能率向上・業務改善・諸元改善等に寄与し た合計11件の事例発表があった。 また、幹事会では、IE・システム事例研究会の計画立案および円滑な運営のため種々 検討を行うとともに、当連盟の業務効率化の一環として、研究会の運営方法の見直しに関 する検討を行い、平成18年度から研究会運営の外部委託ならびに幹事会の自主運営化につ いて意見交換を行った。 (10) 自主管理活動関係 JK活動は、職場の小人数グループによる作業改善やコスト削減を目指した活動であり、各 社の専門家が積極的に推進しているが、当連盟では業界のレベルアップのため、以下の大会や セミナーを開催した。 41 ① JK発表大会 各社における自主管理活動の活性化、相互啓発を目的として、平成17年9月、2日間に わたり、37社、407名の参加を得て、職場の各サークルがこの1年間取り組んだテーマ(コ スト低減、能率向上、品質向上、安全衛生、環境保全、技術伝承等)43件の事例発表大会 を開催した。 また、特別講演として、神 昌久 ㈱中山製鋼所 社長を招き「JKに期待するもの」と 題した講演会を開催した。 ② JK研修セミナー 各社の自主管理活動の推進者を対象に、JK活動を積極的に推進する意欲の向上、各社 間の交流によるJK活動のノウハウの蓄積、およびJK手法による問題解決能力の向上を 目的に、平成18年2月、3日間にわたり、選択・指定・課題の3コースを設定し、23社、 109名の参加のもと研修セミナーを開催した。 ③ JK異業種交流会 他業界の自主管理活動の現状、問題についての知識を深めるため、平成17年8月:三菱 重工業㈱神戸造船所で異業種交流会を開催、意見交換を行った。 ④ JK交流会 同業種間の相互交流を通じてレベルアップを図るため、平成18年1月:日本高周波鋼業 ㈱を訪問しJK交流会を開催、意見交換を行った。 12. 統計関係 (1) 日中韓鉄鋼統計交流の推進 鉄鋼統計情報の迅速・的確な交換等を目的とした、中国・韓国との鉄鋼統計交流について、 年2回の交流会での検討に加え、メール等を活用し、両国間の統計実態、問題点・疑問点等の 解明を推進してきたが、平成17年度は3カ国間における交換統計の拡大を図るとともに、相手 国統計の利用・解釈方法(品種区分・定義等)について可能な範囲での統一フォーマットによ る統計交換を要請し、併せて、相手国の未整備な統計に関し、日本の事例を説明する等、必要 な側面的サポートを実施した。 この結果、既に平成 16 年1月から入手可能となった中国・韓国の鉄鋼生産統計に加え、メー カー在庫統計の入手交渉(平成 17 年1月∼)で韓中両国と合意するなどの成果を挙げ、当連盟 の海外・国内業務関連資料ならびに会員サイト等を通じて、会員への情報提供を推進した。 42 (2) 「鉄鋼需給月報」等の統計業務の受託について 当連盟では、経済産業省・鉄鋼課より、平成 14 年1月実績分以降、承認統計「鉄鋼需給月報」 ・ 「鉄鋼生産内訳月報」の統計業務を受託しているが、平成 17 年度も引き続き、調査票の回収・ 集計業務を実施した。なお、調査結果は毎月、経済産業省発行の「鉄鋼・非鉄金属・金属製品 統計月報」や同省ホームページに掲載された。 (3) 在庫傾向調査の運用および実用化の検討について 『普通鋼鋼材在庫速報』は、全国調査のために集計に時間を要する等の理由により公表は翌 月末になっているが、在庫情報の重要性が増す中、情報の早期化に関する業界ニーズを受けて、 在庫速報の先行指標としての傾向把握を目的に、調査事業所、調査品種を限定した速報性重視 の「在庫傾向調査」を業界自主統計として、平成 16 年6月分データより運用を開始し、従来の 在庫速報から約半月早く在庫傾向値の情報が入手可能となった。 その後、試行期間を経て鉄鋼統計専門委員会で進捗状況、精度等をフォローした結果、利用 上の留意事項への配慮を前提に、ほぼ在庫傾向の把握が可能なレベルにまで達していることを 確認し、業界統計としての実用化について検討した。 (4) HS鉄鋼貿易統計の国内品目分類見直しに関する検討 公正貿易委員会/公正貿易WGでは、平成 16 年度において財務省から経済産業省鉄鋼課を通 じて依頼のあった標記に関し、中長期的な観点に立った「鉄鋼関係」の輸出入統計品目表の在 り方、基本税率の在り方等を踏まえ、また中国鉄鋼業の供給過剰等を反映した輸入鋼材の増加 傾向等、通商上の必要性から、国内輸入コードの増設を中心とする業界要望案を作成した。 一方、鉄鋼統計専門委員会では、上程された公正貿易委員会作成の業界要望案に関し、鉄鋼 関連団体への意見照会等を含め検証し、当連盟案として鉄鋼課経由で財務省に具申したほか、 将来のAD提訴等の可能性に鑑み、同業界要望案の輸入コード増設内容を踏まえた国内統計対 応(指定統計・自主統計の改訂等)を必要に応じて実施する旨、確認した。 なお、財務省では、上記業界要望案において基本税率の改正および米国バード修正条項との 調整に絡むコードが相当数あることから、平成 18 年国内コード改訂に業界要望の輸入増設コー ドを反映することを見送ることとしたため、公正貿易委員会/公正貿易WGでは引き続き基本 税率および財務省から指摘のあった改正理由の再考等の課題に早急に対応し、平成 19 年改訂に 向けた改定案を作成・提出した。 (5) 主要国との貿易統計データ交換 ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、ベルギー、韓国、台湾の各国鉄鋼団体との間で、 Eメールによる鉄鋼製品関係貿易統計データの相互交換を、平成 17 年度も引き続き実施し、当 43 連盟の海外・国内業務関連資料ならびに会員サイト等を通じて、会員等への情報提供を推進し た。 なお、平成 17 年度においては、新たにタイ鉄鋼協会と鉄鋼製品関係貿易統計データの相互 交換に関する交渉を行った結果、平成 16 年1月分データに遡って実施することで合意した。 (6) 国際機関への日本の統計報告ならびに統計協力 国際鉄鋼協会(IISI)、東南アジア鉄鋼協会(SEAISI)等への統計協力をするため に、日本の銑鉄、粗鋼、鋼材生産、輸出入実績等について月、四半期、年計分の取りまとめを 行った。また、東南アジア鉄鋼協会の統計委員会への参画を実施した。 (7) 統計の作成、配布について ① 統計情報サービスの拡充・迅速化・効率化 各種統計情報類の電子媒体化(ペーパーレス化)を進めることにより、会員サイト掲載 の統計情報の拡充を図るとともに、併せて会員への統計情報サービスの迅速化、効率化を 推進した。 ② 会員会社への配布 会員各社の業務上の参考資料として、会員以外の協力も得て鉄鋼生産速報、鉄鋼生産実 績、鉄鋼用途別受注統計、鉄鋼需給統計月報等を作成するとともに、鉄鋼輸出入実績(Excel 版)、主要国鉄鋼貿易統計(Excel 版)、鉄鋼統計要覧、等の統計を整備し、会員各社宛配 布した。 ③ 報道関係者、一般関係者への配布 毎月の鉄鋼生産動向等を報道関係者および広く一般の関係者にも周知する観点から、鉄 鋼生産概況(速報)、鉄鋼需給速報、貿易概況、用途別受注統計概要等の各種関係統計情報 を配布するとともに、当連盟ホームページを活用した各種統計の情報発信を拡充し、統計 情報サービスの迅速化、効率化を推進した。 13.電子商取引関係 (1) 鉄鋼EDI標準の見直し 平成 16 年度に実施した鉄鋼EDI標準の利用実態調査の結果に基づき、インターネット技術 を取り入れた鉄鋼EDI標準の追補版策定に向けた検討を実施した。 44 (2) 新たな標準化分野の検討 利用実態調査結果において、新たな標準化分野として要望が高かった鋼材検査証明書(ミル シート)の電子媒体化に関し、改めて予備調査を行ってニーズを確認し、技術・運用両面から モデルケースを想定して検討を行った。 (3) 調査研究事項 電子商取引の新国際標準であるebXMLのわが国における推進団体である次世代電子商取 引推進協議会(ECOM)の委員会活動への参画を通じ、関係業界でのXML/EDIの普及 状況、国内外におけるebXML仕様の標準化動向等の情報収集等に努めた。 (4) 標準企業コードの登録・管理/鉄鋼EDI標準・57 項目の維持管理 (財)電子商取引推進センター(ECPC)が運用管理する標準企業コードに関する鉄鋼業界 のコードセンターの役割を担い、新たに鉄鋼EDI標準に基づく電子商取引を開始する企業の 標準企業コードの発番・登録業務等を実施した。 また、鉄鋼メーカー・商社間で取り交わされる電子商取引情報(標準項目コード、揚港・最 終仕向国コードの新規採番等)ならびに帳票類で使用される 57 項目の業界標準項目の維持、管 理業務を実施した。 これらの情報に関しては、鉄鋼EDIセンターのホームページに掲載し、情報の開示と、メ ンテナンスに努めた。 14.情報管理関係 (1) 統計集計システムの開発・メンテナンス 平成 16 年度に引き続き、亜鉛めっき鋼板統計ならびにPRTRデータ集計等のメンテナンス を行うとともに、一層の事務効率化を目的として、手作業によるデータ入力の省力化ならびに 誤入力防止の観点から、事務局内のデータベース利用統計や生産・出荷・在庫統計等における データ入力の自動化メンテナンス、各種統計における原データの電子媒体化に対応した自動デ ータ読み取りシステムの開発等を実施した。 (2) ライブラリー関係 業界を代表する鉄鋼情報センターとして、鉄鋼に関連する内外の諸資料の収集、整備に努め るとともに、会員を中心に一般の利用者に対しても次のような資料情報の提供サービスを実施 した。また、一連のサービスを通じて、広く鉄鋼情報の普及、鉄鋼業への理解向上に努めた。 ① 図書・資料の閲覧、貸出しと著作権法に基づく複写サービス ② 鉄鋼関連新聞記事、雑誌ファイルの作成 45 ③ 映像ライブラリーの運営(鉄鋼業ならびに需要業界作成のビデオ無料貸出) 15.広報関係 鉄鋼業界を取り巻く内外情勢の変化に対応して、業界が共通に抱える諸課題とその対応等に ついて、マスコミ、需要家、政策当局に対し、活発な広報活動を展開した。 平成 17 年度は、鉄鋼業の社会的認知度向上のための活動を展開すべく、広報専門委員会を設 置し、検討作業を進めたほか、地球温暖化等環境問題、税制改正、通商政策等について、適宜、 鉄鋼業界の見解の周知に努めた。 また、鉄鋼業界への理解・啓蒙促進の観点からPRパンフレットを刊行したほか、鉄鋼業界 の地球温暖化対策への取り組み状況や新規需要開発活動等について、ホームページ等の媒体を 通じてPRした。 (1) 会長による記者会見の実施 運営委員会終了後に会長による定例記者会見を実施し、鉄鋼業界の見解等についてマスコミ を通じて広く周知に努めた。 (2) 各種プレスリリースの実施 ① 生産速報等各種統計データ ② 地球温暖化対策、通商問題等に関する会長コメント ③ 各種委員会資料 (3) ホームページのリニューアル 平成 16 年度から継続して実施していた掲載コンテンツの拡充を目途とした一般向けホーム ページのリニューアルが完成し、英語サイトの掲載と併せ、4月に公開した。 リニューアル後も業界活動の各コンテンツの更新を逐次行うとともに、鉄鋼業の社会貢献を 紹介するため会員各社の各種受賞事例のコーナーの新設等を行った。 また、従来はメール等によって会員に送付していた英文月刊統計ならびに参考統計を、ホー ムページへの時系列統計データの拡充・掲載に切り替え、会員サービスの電子化を促進した。 (4) 出版事業 鉄鋼業に関する正しい知識と理解の促進を目的として、PRパンフレットを編集・発行した。 ① パンフレット「日本の鉄鋼業 2005 年」(和文版)を5月に発行した。 ② パンフレット「鉄ができるまで」および「鉄のいろいろ」の改訂版を作成した。 ③ パンフレット「鉄の旅」、ビデオ「鉄―地球の記憶、地球の未来」等、既存の出版物につ 46 いても引き続き販売業務を行った。 (5) 広報専門委員会の設置 平成 14 年4月の団体統合に伴う組織再編により広報政策委員会が廃止されて以降、業界とし ての基本的な広報方針は総務委員会にて審議する一方、個々の広報活動については各委員会お よび事務局の業務として分散して運営されてきた。 ところが、近年、鉄鋼業に対する社会的認知度が低下し、次世代を担う人材の確保が業界共 通の課題となってきており、その対応策として業界共通の広報戦略の重要性が高まってきたこ とから、その企画・立案および推進ための機関として総務委員会の下に常設の広報専門委員会 を設置することとなった。また、機動的かつ時宜を得た広報活動を展開すべく、広報専門委員 会の下に広報幹事会を設置した。 当面の活動内容としては、大学生や小中学生等、将来を担う世代を主な対象として、製鉄所 見学会や鉄に関する実験・工作などの各種イベントを通じて鉄鋼が社会を広く支えていること を伝える活動を展開することとし、次年度以降に向けて多方面からの検討作業を行った。 (6) 主な外部団体等への協力 ① 科学技術館・鉄鋼展示室の改装 科学技術館・鉄鋼展示室は昭和 49 年に開設され、その後、日本自転車振興会の補助を受 けて8∼9年間隔で3度の改装を実施し、現在に至っている。本展示室は、小学校高学年 の児童を主な対象として鉄鋼に関する様々な情報を提供するなど業界の広報媒体として大 きな役割を担ってきた。 しかし、平成 10 年度に実施した最後の全面改装以降、既に6年が経過し、展示の老朽化・ 陳腐化が進んでいることから、同館を運営する(財)日本科学技術振興財団より改装実施の 依頼が寄せられた。平成 17 年7月 19 日開催の運営委員会において、審議の結果、全面改 装に向けた検討について了承されたことから、総務委員会の下部組織である総務幹事会の 下に科学技術館鉄鋼展示室改装検討WGを設置し、平成 18 年 12 月1日「鉄の記念日」オ ープンに向けた検討作業を実施した。 ② クリーン・コールデー (財)石炭エネルギーセンター(JCOAL)が主催するクリーン・コールデー(石炭の日:9 月5日)の記念行事の一環として㈱神戸製鋼所神戸製鉄所ならびにJFEスチール㈱西日 本製鉄所の見学会の実施に協力した。 47 ③ エコライフ・フェア 環境省主催のエコライフ・フェア 2005(6月 11 日∼6月 12 日、代々木公園にて開催) に協力し、当連盟からも「ストップザ温暖化!自主取組でCO2 削減」をテーマに出展し、 鉄鋼業界の取り組みを広く理解してもらうようPR活動に努めた。 ④ 経済広報センター (財)経済広報センター事業企画委員会への参画を通じて、鉄鋼業界の意見反映に努めた。 16.社会貢献活動等への取り組み わが国産業界において、企業コンプライアンスへの関心や取り組みが年々高まっていること を踏まえ、会員に関連動向の周知を図るとともに、年度末に開催された臨時総会の機会に警察 庁暴力団排除対策官による「企業対象暴力対策」をテーマとした特別講演を行うなど、反社会 勢力との絶縁の徹底に努めた。 また、福祉・学術・スポーツ・国際協力・環境保全などの分野における財界募金に協力する など社会貢献活動に積極的に参加し、業界の社会的地位の向上に努めた。 17.標準化センター関係 (1) JIS規格の審議・作成 JIS規格 102 件について規格審議を行った。最終的に、2件を制定、32 件を改正、2件を 廃止とし、28 件を確認とした。主な制改正内容を次に示す。 ① 顧客ニーズへの対応 ⇒ ハット型の新鋼矢板を追加。自動車用Alめっき新グレード 追加など ② 生産効率の向上 ⇒ 鋼管へん平試験の省略、工具鋼鋼材の試験ロット拡大など ③ 品質厳格化 ⇒ 圧力容器用鋼のSi下限廃止による溶接性改善など ④ 規格体系の改善 ⇒ ばね鋼材3種類を1種類に集約など (2) ISO規格の審議・作成 ① ISO規格 140 件について、JISとの整合性向上(優れたJISを反映)を目的とし て規格審議を行った。最終的には、15 件が制定、22 件が改正、5件を廃止とした。また、 ISO国際会議に出席し、71 件のISについて制改正審議を行った。 ② 当連盟が提案してきた世界で初めて酸性雨による腐食条件を再現する腐食試験方法(ISO 16151)が発行された。 ③ めっき鋼板で、受注時の厚さを日本独特の「原板厚」で実施する方法をISO規格に含 めることが出来た。 48 ④ IISIで審議し、当連盟・市場開発委員会・自動車用鋼板委員会から要請のあった、 自動車鋼板用「高速引張試験方法」規格案を ISO/TC164(機械試験)/SC1(引張試験)で提案 し規格化推進が承認された。 ⑤ 当連盟・市場開発委員会・海外事業委員会からASTM規格化の要請があった「耐震用 鋼材」が ASTM A1043 として発行された。 ⑥ 当連盟が主導してきた他のIS規格化プロジェクトも順調に進捗した。 (例)耐震性建築用鋼材(発行完)、鉄筋コンクリート用鋼(耐震性・発行完)、 厚板UST規格(継続) (3) ISO幹事国業務 2005 年も引き続き次の5件のISO幹事国業務を実施した。 ① ISO/TC102(鉄鉱石および還元鉄) ② ISO/TC102/SC1(サンプリング) ③ ISO/TC17(鋼) ④ ISO/TC17/SC1(分析方法) ⑤ SO/TC67/SC5(油井管) (4) 受託事業 「鉄鋼分野の国際規格適正化調査研究」を国から受託し、JISの優れた内容 31 件について ISへ反映すべく調査・研究を行った。 (5) 鉄鋼標準物質(JSS) 平成 17 年度は、9品種の製作を完了し、販売開始した。 18.大阪事務所関係 大阪事務所では、本部との連携を保ちながら、関西地区の会員を対象に下記活動を積極的に 実施した。 ① 関西地区運営委員会、鉄鋼総務会などを通じ、運営委員会・市場委員会での審議、決定 事項などを地区会員に報告・伝達するとともに、当面する諸問題についての情報交換を行 い、新年賀詞交換会などの地区会員を対象とした諸行事を行った。 ② 地区の鉄鋼需給ならびに関連する一般経済動向、鉄鋼需要産業の動きなどの調査・分析 を行い、参考資料に取りまとめて会員各会社に配布した。 ③ 労働問題について、水曜会で検討、情報交換を行い、水曜会労働懇談会を開催し組合と 意見を交換した。 49 ④ 地区の電力諸問題について、関西地区電力委員会を通じ検討を行い、業界の要望事項や 意見を取りまとめ、電力会社ならびに関係先に意見具申した。 ⑤ 大阪鉄鋼記者会、鉄友倶楽部に場所を提供するとともに、会員各社の広報活動に協力し、 会合を通じた情報交換を適宜実施した。 ⑥ 近畿経済産業局をはじめ関係諸官庁より要請された各種調査の実施および要請事項など に関する会員各社への周知を図る一方、関係諸官庁、関連団体などと常時緊密な連絡を保 ち、鉄鋼業界に対する一層の理解促進に努めた。 ⑦ 全国小棒懇談会の地方組織である関西地区小棒懇談会を開催し、事務局として同懇談会 の円滑な運営に努めるとともに、地区小棒関連の参考資料をとりまとめ、会員各社に配布 した。 19. 団体運営の効率化、会員サービス強化への取り組み 当連盟は、平成 14 年3月の臨時総会で決議された「中期計画(平成 15∼19 年度) 」に基づき、 団体運営の効率化、会費の削減等を進めるとともに、団体機能の強化、会員サービスの強化を 図っており、平成 17 年度は以下の施策を実施した。 (1) 委員会組織および運営方法の見直し ① 全体で 260 の委員会のうち、見直し対象として 110 委員会を抽出し組織・事業内容のあ り方を検討した結果、廃止・統合などにより委員会数を 200 に削減し、このうち事業委員 会である「国際協力委員会」も所期の目的を達成したことにより廃止した。これにより、 年間の会議開催数も 1,600 回から 1,200 回に減少する見込みとなった。また、運営方法・ 事業内容の見直しを行った委員会のうち、プロジェクト事業については、その受益程度を 勘案し、新たに「運営規程」を定め、自主運営化を図ることとした。 ② 委員会組織の見直しに併せて、これまでは申し合わせ事項としてきた委員会組織の改 廃・運営方法等に関する事項を「委員会規程」として定め、今後、原則3年に一度の定期 的な見直しを行うこととした。 (2) ワシントン事務所の閉鎖 1980 年に開設したワシントン事務所は、25 年間にわたり情報収集や広報活動を中心とする事 業を実施してきたが、近年における日本の対米輸出シェアの急落、急拡大するアジア市場への シフト鮮明化、IT技術の飛躍的進化等を勘案し、中期計画で求められている「内外拠点の構 え方の見直し」の一環として、同事務所を平成 17 年度末をもって閉鎖した。 50 20.主要行事 (1) 新年賀詞交換会 当連盟の新春恒例の賀詞交換会を下記のとおり開催した。 ① 東京地区 平成 18 年1月5日、ホテルニューオータニにおいて、業界関係者 1,600 名の参集のもと に開催した。当日は三村当連盟会長(新日本製鐵㈱社長)の年頭挨拶に続き、来賓の松あ きら経済産業副大臣、安倍晋三内閣官房長官、与謝野馨内閣府特命担当大臣(金融経済財 政政策)、小池百合子環境大臣から挨拶があり、西沢当連盟副会長(伊藤忠丸紅鉄鋼㈱会 長)の音頭による乾杯が行われて盛会裡に終了した。 ② 大阪地区 平成 17 年1月6日、リーガロイヤルホテルにおいて、業界関係者 700 名が出席して開催 された。主催者を代表して、馬田当連盟副会長(JFEスチール㈱社長)の年頭の挨拶に 続き、福水近畿経済産業局長の祝辞が行われ、盛会裡に終了した。 ③ その他地区 ・ 札 幌 1月 5日 札幌グランドホテル ・ 仙 台 1月 5日 仙台メトロポリタンホテル ・ 広 島 1月 6日 リーガロイヤルホテル広島 ・ 福 岡 1月 10 日 ホテル日航福岡 ・ 名古屋 1月 13 日 ホテルウェスティン名古屋キャッスル (2) 平成18年鉄鋼安全表彰式 平成18年鉄鋼安全表彰式は、平成18年2月23日、鉄鋼会館8階会議場において開催された。 表彰式には、三村当連盟会長(新日本製鐵㈱社長)、相川労働政策委員長(JFEスチール㈱常 務執行役員)をはじめ、各社社長、さらに来賓として、厚生労働省の青木労働基準局長、経済 産業省の石毛製造産業局長、中央労働災害防止協会の澤田理事長など、多数の関係者が列席し、 下記事業所が表彰された。 <優秀賞> (高炉事業所) 該当なし (製鋼1部事業所) 大同特殊鋼㈱ 知多工場 (製鋼2部事業所) 大同特殊鋼㈱ 築地テクノセンター (鍛造・圧延事業所) 大同特殊鋼㈱ 川崎工場 51 (合金鉄・鋳物・その他事業所) 三菱製鋼㈱ 宇都宮製作所 <優良賞> (高炉事業所) 新日本製鐵㈱ 君津製鐵所 (製鋼1部事業所) 日新製鋼㈱ 愛知製鋼㈱ 周南製鋼所 知多工場 (製鋼2部事業所) 東北特殊鋼㈱ 共英製鋼㈱ 本社工場 大阪工場 (鍛造・圧延事業所) 新日本製鐵㈱ 日新製鋼㈱ 釜石製鐵所 東予製造所 (合金鉄・鋳物・その他事業所) トピー工業㈱ JFEマテリアル㈱ 神奈川製造所 <努力賞> (高炉事業所) (製鋼1部事業所) 該当なし 新日本製鐵㈱ 室蘭製鐵所 (製鋼2部事業所) ㈱中山製鋼所 日本高周波鋼業㈱ 船町工場 富山製造所 (鍛造・圧延事業所) 共英製鋼㈱ 日本金属工業㈱ 枚方工場 相模原事業所 (合金鉄・鋳物・その他事業所) 日新製鋼㈱ トピー工業㈱ 市川製造所 鹿沼工場 日本電工㈱ 日高工場 <無災害記録賞> 該当なし 52 Ⅲ 会 員 ・ 役 員 1. 会員の異動 (1) 会員数 平成 18 年3月 31 日 平成 17 年4月1日 製造業者 61社 61社 販売業者 61社 61社 団 体 6団体 計 6団体 128社 128社 (2) 名義変更 製造業者 JFE鋼管建材株式会社 → J F E 鋼 管 株 式 会 社 販売業者 新 津 田 鋼 材 株 式 会 社 → 株 式 会 社 新 津 田 変更年月日 平成 17 年 4月 1日 2. 役員の異動(敬称略) (1) 副会長退任 數 土 文 夫 JFEスチール株式会社 前社長 (4月 1日) 金 田 守 司 株式会社メタルワン 社 長 (5月 24 日) 下 妻 博 住友金属工業株式会社 会 長 (7月 19 日) 一 JFEスチール株式会社 社 長 (4月 三 住友商事株式会社 副社長執行役員 (5月 24 日) 宏 住友金属工業株式会社 社 (7月 19 日) (2) 副会長就任 馬 田 大久保 友 憲 野 長 1日) (3) 理事退任 數 土 文 夫 JFEスチール株式会社 前社長 (4月 1日) 杉 山 修 美 トピー工業株式会社 会 長 (4月 1日) 高 橋 啓 悟 日本電工株式会社 前社長 (4月 1日) 平 沼 重 巳 住友商事株式会社 前副社長執行役員 (4月 1日) 53 籾 井 勝 人 三井物産株式会社 前副社長執行役員 (4月 1日) 大 塚 寿 郎 普通鋼電炉工業会 副会長 (朝日工業株式会社 社 長) 博 住友金属工業株式会社 会 長 (7月 19 日) (5月 24 日) 下 妻 萬 谷 興 亞 新日鐵住金ステンレス株式会社 前社長 (7月 19 日) 田 辺 博 一 東洋鋼鈑株式会社 前社長 (7月 19 日) 上 田 英 一 住金物産株式会社 前社長 (7月 19 日) 吉 澤 富 雄 日鐵商事株式会社 前社長 (7月 19 日) 一 JFEスチール株式会社 社 長 (4月 1日) 朗 トピー工業株式会社 社 長 (4月 1日) 長 (4月 1日) (4) 理事就任 馬 田 清 水 良 三 井 陽一郎 日本電工株式会社 社 憲 三 住友商事株式会社 副社長執行役員 (4月 1日) 博 三井物産株式会社 専務執行役員 (4月 1日) 男 普通鋼電炉工業会 副会長 (5月 24 日) (王子製鉄株式会社 社 長) 宏 住友金属工業株式会社 社 長 (7月 19 日) 大久保 多 田 髙 山 隆 友 野 米 澤 敏 夫 新日鐵住金ステンレス株式会社 社 長 (7月 19 日) 田 中 厚 夫 東洋鋼鈑株式会社 社 長 (7月 19 日) 天 谷 雅 俊 住金物産株式会社 社 長 (7月 19 日) 宮 本 盛 規 日鐵商事株式会社 社 長 (7月 19 日) 雄 JFE商事株式会社 会 長 (4月 1日) 脩 JFE商事株式会社 社 長 (4月 1日) (5) 監事退任 成 木 宏 (6) 監事就任 佐 藤 54 Ⅳ 1. 総 会 議 会 (1) 第 91 回定時総会 平成 17 年5月 24 日に鉄鋼会館で開催、新日本製鐵㈱をはじめ 128 社中 128 社(委任状 71 社含む)の代表者が出席、次の議案について審議し、それぞれ承認された。 第1号議案 平成 16 年度事業報告について 第2号議案 平成 16 年度収支決算報告および剰余金処分について 第3号議案 大手町再開発による新経団連会館建設について 第4号議案 役員の選任について (2) 臨時総会 平成 18 年3月 29 日に鉄鋼会館で開催、128 社中 128 社(委任状 75 社を含む)の代表者が出 席、次の議案について審議し、それぞれ承認された。 第1号議案 理事の承認・選任について 第2号議案 平成 18 年度事業計画(案)について 第3号議案 平成 18 年度収支予算(案)について 2. 理 事 会 3回開催し、重要事項を審議決定した。 第 353 回(5月 24 日)/第 354 回(7月 19 日)/第 355 回(3 月 29 日) 3. 運営委員会 第 578 回(4月 20 日)/第 579 回(5月 19 日)/第 580 回(6月 21 日)/第 581 回(7 月 19 日)/第 582 回(9月 20 日)/第 583 回(10 月 21 日)/第 584 回(11 月 21 日)/ 第 585 回(12 月 20 日)/第 586 回(1月 19 日)/第 587 回(2月 23 日)/第 588 回(3 月 29 日) 4. 総務委員会および市場委員会 総務委員会、市場委員会は毎月(8月を除く)委員会を開催、重要事項については運営委員 会、理事会に報告し、承認を求めた。 55 5. 運営委員会委員の交代(敬称略) (1) 委員退任 數 土 文 夫 JFEスチール株式会社 前社長 (4月 1日) 杉 山 修 美 トピー工業株式会社 会 (4月 1日) 平 沼 重 巳 住友商事株式会社 前副社長執行役員 (4月 1日) 籾 井 勝 人 三井物産株式会社 前副社長執行役員 (4月 1日) 大 塚 寿 郎 普通鋼電炉工業会 副会長 (朝日工業株式会社 社 長) 博 住友金属工業株式会社 会 長 (7月 19 日) 一 JFEスチール株式会社 社 長 (4月 1日) 長 (4月 1日) 下 妻 長 (6月 21 日) (2) 委員就任 馬 田 清 水 良 朗 トピー工業株式会社 社 大久保 憲 三 住友商事株式会社 副社長執行役員 (4月 1日) 博 三井物産株式会社 専務執行役員 (4月 1日) 男 普通鋼電炉工業会 副会長 (6月 21 日) (王子製鉄株式会社 社 長) 住友金属工業株式会社 社 長 多 田 髙 山 友 隆 野 宏 (7月 19 日) 6. 総務委員会、市場委員会委員の交代(敬称略) 〔総務委員会〕 (1) 委員長退任 米 澤 敏 夫 新日本製鐵株式会社 前副社長 (4月 1日) 哲 新日本製鐵株式会社 副社長 (4月 1日) (2) 委員長就任 関 澤 秀 (3) 委員退任 森 山 雄 一 JFEスチール株式会社 副社長 (4月 1日) 天 谷 雅 俊 住友金属工業株式会社 副社長 (4月 1日) 清 水 良 朗 トピー工業株式会社 専務取締役 (4月 1日) 鈴 木 英 男 日新製鋼株式会社 取締役上席常務執行役員 (4月 1日) 三 浦 悟 三井物産株式会社 常務執行役員 (4月 1日) 上 野 史 朗 株式会社メタルワン 執行役員 (6月 7日) 56 佐 藤 豊 普通鋼電炉工業会 (朝日工業株式会社 常務取締役) (6月 7日) 佐 藤 信 吾 愛知製鋼株式会社 前副社長 (7月 7日) 吉 田 英 穂 大同特殊鋼株式会社 前副社長 (7月 7日) 三 宅 尉 雄 株式会社中山製鋼所 前専務取締役 (7月 7日) 塚 田 尚 史 株式会社日本製鋼所 前副社長 (7月 7日) 雄 JFEスチール株式会社 副社長 (4月 1日) 力 住友金属工業株式会社 副社長 (4月 1日) (4) 委員就任 石 川 良 安 藤 村 田 孝 雄 トピー工業株式会社 常務取締役 (4月 1日) 柏 原 裕 次 日新製鋼株式会社 常務執行役員 (4月 1日) 渡 邉 清 孝 三井物産株式会社 執行役員 (4月 1日) 小 森 晋 株式会社メタルワン 副社長 (6月 7日) 小 林 美 普通鋼電炉工業会 (6月 7日) 雅 (王子製鉄株式会社 常務取締役) 近 藤 俊 雄 愛知製鋼株式会社 副社長 (7月 7日) 俣 野 一 彦 大同特殊鋼株式会社 常務取締役 (7月 7日) 藤 井 博 務 株式会社中山製鋼所 副社長 (7月 7日) 野 村 英 雄 株式会社日本製鋼所 専務取締役 (7月 7日) JFEスチール株式会社 前副社長 (4月 1日) JFEスチール株式会社 副社長 (4月 1日) 〔市場委員会〕 (1) 委員長退任 佐 藤 脩 (2) 委員長就任 福 島 幹 雄 (3) 副委員長退任 宮 本 盛 規 新日本製鐵株式会社 前副社長 (4月 1日) 天 谷 雅 俊 住友金属工業株式会社 前副社長 (4月 1日) 保 田 武 尚 日新製鋼株式会社 前取締役 (4月 1日) 平 沼 重 巳 住友商事株式会社 前副社長執行役員 (4月 1日) 籾 井 勝 人 三井物産株式会社 前副社長執行役員 (4月 1日) 57 (4) 副委員長就任 宗 岡 安 藤 鈴 木 正 二 新日本製鐵株式会社 副社長 (4月 1日) 力 住友金属工業株式会社 副社長 (4月 1日) 英 男 日新製鋼株式会社 取締役副社長執行役員 (4月 1日) 大久保 憲 三 住友商事株式会社 副社長執行役員 (4月 1日) 多 博 三井物産株式会社 専務執行役員 (4月 1日) JFEスチール株式会社 前専務執行役員 (4月 1日) 田 (5) 委員退任 日 野 光 興 寺 田 幸 雄 JFEスチール株式会社 前輸出企画部長 (4月 1日) 岡 茂 美 トピー工業株式会社 専務取締役 (4月 1日) 米 澤 常 克 伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社 社長 (4月 1日) 成 木 宏 雄 JFE商事株式会社 前社長 (4月 1日) 河 合 宏 日鐵商事株式会社 取締役 (4月 1日) 三 浦 悟 三井物産株式会社 常務執行役員 (4月 1日) 古 本 満 雅 住友金属工業株式会社 前営業総括部長 (7月 14 日) 吉 田 英 穂 大同特殊鋼株式会社 副社長 (7月 14 日) 塚 田 尚 史 株式会社日本製鋼所 特別顧問 (7月 14 日) 上 田 英 一 住金物産株式会社 前社長 (7月 14 日) 吉 澤 富 雄 日鐵商事株式会社 取締役相談役 (7月 14 日) 湯 浅 美 臣 株式会社メタルワン 執行役員 (1月 1日) (6) 委員就任 矢 島 勉 JFEスチール株式会社 常務執行役員 (4月 1日) 小 野 定 男 JFEスチール株式会社 輸出企画部長 (4月 1日) 木 内 勝 新日本製鐵株式会社 取締役 (4月 1日) 生田目 光 男 トピー工業株式会社 執行役員 (4月 1日) 今 西 茂 伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社 取締役兼常務執行役員 (4月 1日) 佐 藤 脩 JFE商事株式会社 社長 (4月 1日) 三 木 治 彦 住友商事株式会社 理事・鉄鋼第二本部長 (4月 1日) 松 川 秀 彦 日鐵商事株式会社 副社長執行役員 (4月 1日) 渡 邉 清 孝 三井物産株式会社 執行役員 (4月 1日) 木 村 和 弘 住友金属工業株式会社 営業総括部長 (7月 14 日) 58 俣 野 一 彦 大同特殊鋼株式会社 常務取締役 (7月 14 日) 野 村 英 雄 株式会社日本製鋼所 専務取締役 (7月 14 日) 天 谷 雅 俊 住金物産株式会社 社長 (7月 14 日) 宮 本 盛 規 日鐵商事株式会社 社長 (7月 14 日) 武 田 禅 次 株式会社メタルワン 専務執行役員 (1月 59 1日) 7. 正副委員長(平成18年3月31日現在) (敬称略) 委員会名 総務委員会 市場委員会 委員長名 新日本製鐵(株) 副社長 JFEスチール(株) 副社長 JFEスチール(株) 総務部長 財務政策委員会 新日本製鐵(株) 副社長 環境・エネルギー政策委員会 新日本製鐵(株) 副社長 副委員長名 関澤 秀哲 福島 幹雄 業務委員会 JFEスチール(株) 常務執行役員 労働政策委員会 JFEスチール(株) 常務執行役員 物流政策委員会 住友金属工業(株) 副社長 国際協力委員会 (株)神戸製鋼所 常務執行役員 調査企画委員会 新日本製鐵(株) 取締役経営企画部長 原料政策委員会 新日本製鐵(株) 常務取締役 SCOPE21推進委員会 新日本製鐵(株) 技術総括部部長 DIOS推進委員会 JFEスチール(株) 常務執行役員 標準化センター運営会議 新日本製鐵(株) 取締役技術総括部長 東南アジア鉄鋼協会 (株)神戸製鋼所 日本国内機構 常務執行役員 白川 省吾 藤原 信義 関澤 秀哲 技術政策委員会 関田 貴司 相川 貢 安藤 力 賀屋 知行 進藤 孝生 北川 三雄 三輪 隆 関田 貴司 黒木 啓介 大西 功一 60 新日本製鐵(株) 副社長 住友金属工業(株) 副社長 (株)神戸製鋼所 副社長 日新製鋼(株) 取締役副社長執行役員 伊藤忠丸紅鉄鋼(株) 会長 住友商事(株) 副社長執行役員 三井物産(株) 専務執行役員 (株)メタルワン 副社長執行役員 住友金属工業(株) 総務部長 住友金属工業(株) 常務執行役員 住友金属工業(株) 専務執行役員 JFEスチール(株) 常務執行役員 新日本製鐵(株) 取締役技術総括部長 新日本製鐵(株) 取締役人事・労政部長 新日本製鐵(株) 取締役原料第二部長 新日本製鐵(株) 技術協力事業部長 (株)神戸製鋼所 鉄鋼総括部長 JFEスチール(株) 常務執行役員 新日本製鐵(株) 取締役原料第二部長 宗岡 正二 安藤 力 木村 敏夫 鈴木 英男 西沢 和彦 大久保憲三 多田 博 小森 晋 湊 裕彦 石塚 由成 飯村 修 関田 貴司 黒木 啓介 平山 喜三 小畠 徹 島川恵一郎 森地 高文 藤井 善英 小畠 徹 委員会名 特殊鋼専業社長会 鋼隆会 需給調査委員会 公正貿易委員会 市場開発委員会 鉄鋼流通情報化委員会 亜鉛鉄板委員会 輸出市場調査委員会 国際貿易委員会 輸出運輸保険委員会 委員長名 大同特殊鋼(株) 社長 東洋鋼鈑株式会社 社長 伊藤忠丸紅鉄鋼(株) 会長 新日本製鐵(株) 取締役営業総括部長 新日本製鐵(株) 副社長 JFEスチール(株) 常務執行役員 日新製鋼(株) 常務執行役員 三井物産(株) 執行役員 新日本製鐵(株) 常務取締役 (株)メタルワン 専務執行役員 副委員長名 小澤 正俊 田中 厚夫 西沢 和彦 木内 勝 宗岡 正二 矢島 勉 永井 峻 渡邉 清孝 今久保哲大 武田 61 禅次 住友商事(株) 副社長執行役員 三井物産(株) 執行役員 (株)メタルワン 副社長執行役員 JFEスチール(株) 常務執行役員 JFEスチール(株) 副社長 住友金属工業(株) 副社長 (株)神戸製鋼所 副社長 新日本製鐵(株) 取締役営業総括部長 (株)淀川製鋼所 上席執行役員 新日本製鐵(株) 海外営業部長 住友商事(株) 理事鉄鋼第二本部長 JFEスチール(株) 常務執行役員 三井物産(株) 執行役員 大久保憲三 渡邉 清孝 小森 晋 矢島 勉 福島 幹雄 安藤 力 木村 敏夫 木内 勝 大森 眞 橋本 英二 三木 治彦 中村 正俊 渡邉 清孝
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