「国語力向上モデル事業」 による子どもの読書活動

「国語力向上モデル事業」 による子どもの読書活動推進
熊本大学教育学部附属中学校 校長
堀畑
正臣
所在地
〒860-0081 熊本市京町本丁5番12号
TEL 096-355-0375 FAX 096-355-0379
生徒数 475名
学級数 12学級
本校 「綱領」
真実を求めて
響きあえ たくましいからだで
響きあえ 厳しい知性で
響きあえ 豊かな心で
の精神を柱とし、 次の5つの目標に基づいて生徒を育成しています。
1 夢をいだいて心理を愛し、 自ら考え響き合いながら、 創意工夫し、 問題に対処していく心
を育てる。
2 自他の尊重の精神を高め、 正しい判断力・力強い実践力を養う。
3 心身を鍛練し、 最後までやりぬく精神力・体力を培う。
4 豊かな情操を培い、 美しいものに感動する心を育てる。
5 国際理解を深めるとともに、我が国の文化と伝統を尊重し、社会の一員としての自覚を高める。
本校は、 教育研究の実践校としての特色も持っていますが、 60年の歴史の中で受け継がれて
きた伝統を重んじる学校でもあります。 生徒達にとっては、 年間を通じて多くの行事もあり、
大変有意義な学校生活を送れる場です。 特に、 春の体育大会、 秋の 「附中文化の日」 に行われ
る合唱コンクール等には熱心に取り組んでいます。 部活動も盛んで、 各大会で活躍しています。
学業・スポーツ・文化的活動にと、 生徒達は大変多忙な日々を送っています。
学校生活にあわせ、 塾や習い事で多忙な日常を送る生徒にとって、 読書する (本に触れる)
時間は限られています。 塾や習い事も人間形成には大切ですが、 それ以上に本から学ぶこと
(主人公の気持ちになることや想像力、 文章を読み取る力・書く力など) は多くあります。 ま
た生徒から 「マンガじゃダメですか?」 と聞かれることがありますが、 マンガと本は別物だと
思います。 勿論、 マンガも決して悪くありませんが、 活字がポイントだと思います。 読書の大
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切さを知る為にも大人への啓発も必要です。 ですから保護者の方には 「本を読んでいる時間は
自由に読ませてあげてください」 等啓発を行っています。 そのうえで、 子どもたち自身が本の
面白さを感じてくれることが重要だと思います。
朝読書や、 読書には欠かせないしおりをデザインして応募してもらう 「しおりコンクール」、
貸出冊数を競う 「のびのび読破コンクール」 を実施しています。 しおりコンクールは毎年凝っ
た作品が多く、 実際、 しおりにして配布しますが好評です。 また、 読書 (本) や有名・人気作
家に関する新聞・雑誌記事を掲示して、 少しでも興味を持ってもらうようにしています。
まず、 改めて本に興味を持ってもらうことと、 更なる図書館活性化の
為に図書教養課 (生徒の委員会活動) で、 「図書館利用者倍増計画」 を
立てました。 始めに、 図書教養課のオススメの本を紹介するために 「オ
ススメ図書」 のポスターの作成してもらいました。 ポスターには書名・
著者名・簡単な内容・オススメポイントなどを載せ、 朝読書の時間にク
ラスで発表し、 発表後には、 それらを各学年の廊下の掲示板に掲示しま
した。 図書館内には選ばれた本を 「図書教養課が選ぶBEST50」 とし
てコーナーを設けました。 特に読みたい本が見つからない生徒・新しい
ジャンルに挑戦しようとする生徒には、 友達 (同世代) が薦める本
だけあって、 こちらから薦めるよりも取りかかりやすかったようでした。 「オススメ図書」 ポスター
またこの課活動の一環で、 「本に親し
む為に、 より本を知る」 として、 県立図書館から講師の先生を
お呼びして手作りの 「MY BOOK」 の作成を行いました。
完成まで四苦八苦でしたが、 これは本の構造を知る上で貴重な
体験になりました。
別の時間には書店に出向き、 研修・選書を行いました。 本の
レイアウトの仕方や薦め方、 POPの工夫など読書を広める為
の様々なことを学ばせていただきました。 書店と図書館は役割
MY BOOK
の違いはありますが、 同じ 「本」 を扱う所として、 とても読書
推進の参考になりました。 研修の最後に選書をしましたが、 生徒の興味・関心の深さ・広さに
驚かされました。 ヤングアダルト向けや近年ではケータイ小説等、 中高校生向けの本も多様化
し、 生徒の読書傾向 (趣向) が昔とは随分変わってきているように感じました。
本を読むことのおもしろさを知らせることが重要だと考えています。 本のおもしろさを伝え
ることはもちろんですが、 本のおもしろさがわかるまでには、 ある程度の道筋を示したり、 本
にふれる機会を意図的に仕組んだりするのです。 これには図書館に関係する職員と担任や教科
の教師との連携が必要です。 捉えようによっては強制的な感じを受けるかもしれませんが、 必
要なことだと感じています。
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