デュエル不平等な王国を平等にする話 ID:50730

デュエル不平等な王国
を平等にする話
あしゅき
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あらすじ
スタンダートより遠く離れた次元、貴族のみが決闘を許された国で平等のために反逆
の狼煙を上げる男が一人。
目 次 宣誓の声 │││││││││││
儚き花弁 │││││││││││
1
10
宣誓の声
世界は暗雲に包まれている。﹁たった一人﹂がたった一枚のカードを操り、この世界、
勇者の中にも後の世に真の勇者と言われる者がいた。普通の村で生まれた彼は古い
地へ送ることすらできずに葬り去られた。
すままに複数人で﹁たった一人﹂に挑んだ。しかし傷をつけることはおろか、下僕を墓
今まで間違いなど存在しなかったのもあるかもしれない。そして彼らはチャートの示
その気迫に圧されてか、他の勇者はその言葉を信じた。実際かの有名な知略の勇者に
﹁このチャート通りに進めば必ず奴を葬れる﹂
彼は数多の勇者を広場へ集め、隙間なく字を詰め込まれた紙を片手にこう言った。
あった。
を用いて葬りさっていく、王宮の中でも懐刀と呼ばれ、まさの彼は王宮の最終兵器で
百の勇者の中には賢い者がいた。彼は百年に一人の鬼才と呼ばれ、あらゆる敵を奇策
にも登ると言われているが、﹁たった一人﹂に傷をつけることは叶わなかった。
事態を黙って見れなかった数多の勇者達は何度もたった一人に挑んだ。その数、百
﹃ハルヅィド﹄は滅びを迎えようとしていた。
1
遺跡に封印されていたカードを十全に使いこなせるその腕を王宮の使いに買われて勇
者としてたった一人を倒すべく旅立った。その手に、幼馴染みである彼女の手作りのお
守りを握りしめて。
冒険譚にするには少し短い旅を終え、王都についた村人の彼はあの有名な賢い勇者が
破れたことを知った。聞くところによると傷一つ付けれずに惨敗したらしい。
玉座の座る王もこの報告を受け、顔を真っ赤にしてその場で怒鳴り散らした。
ここで俺は逃げることができる。あの賢い勇者が倒れてしまっては、もう勝ち目な
"
た自分から逃げ続けるんじゃないだろうか。
ところがあるのか、普段では考えられない程に皺をよせていた。村人の彼は自らの手が
ふと、指輪もまだ渡せていない幼馴染みの顔を思い出した。その表情は今の彼に思う
"
どない。けれど、もし、俺があの村に逃げ帰ったら、残された少ない時間を全て、逃げ
た。
達の心にも絶望という暗雲が少しずつ色濃く立ち込めていったその時、村人の彼は思っ
従者達でさえ床から頭を離すことはできなかった。少しずつ時がたっていく内に、勇者
その声は、城中に響き渡った。しかし目の前の勇者達は床を見つめることをやめず、
頭を上げよ﹂
﹁誰かおらぬか。あの男を仕留めんとする真の勇者はおらぬのか。我こそはと思う者は
宣誓の声
2
震えていることに気づいた、先程たった一人の恐ろしさを聞いていた時にはピクリとも
しなかった手が震えているのだ。村人は悟った、﹁自分を知っている女の方が万倍も怖
い﹂ということを。
王が再度声を張り上げようと拳に力を入れた時、村人は一人おじぎ草の群れから立ち
上がった。そうして、彼は││││
幼い子供達の抗議の声が狭い家を震わせるほど上がった。なんでなんでと子供達が
﹁││はい、今日はこれでお仕舞い﹂
少女の肩を揺らす、少女はそんなことを気にも止めないといった表情で年期を感じさせ
る本を静かに閉じ、棚に収めて南京錠でしっかりと鍵をかける。鍵を持っているのはこ
の施設の管理者である少女だけだ、鍵を閉められた時点で子供達に出来ることはもう何
もない。
しかし子供達はここまで来てもまだ抗議をやめない。横暴だ、とか、職権乱用だ、と
か、こんなのってないよおかしいよ、等と色々と好き放題に叫び始める。
そんな言葉どこで習ってきたんだろうと少女は思わず苦笑いを浮かべた。そんなに
﹂
有害な本は与えてないと記憶しているのだが、世の中不思議なものだ。
﹁あんまり文句ばかり言ってたら、もう読んであげないよ
?
3
めっ、と指を立てて注意すると子供達はえー、やだー等と喋り始め、部屋にいるのに
飽きたのか次々に中庭へと走っていった。本も好きだが、それ以上に外で走る回る方が
子供達は大好きなんだろう。いつ見ても駆けていく姿を見るとにやけてしまう。
しかしこれで一人、やっと一息つけると安堵すると、今度は誰かが廊下から走ってく
る音がした。子供達が忘れ物でもしたのかと思っていると、先生と呼ぶ声が聞こえてく
﹂
からカードを拾ってきたの 危ないから駄目っ
!
る。
あそこ
デュエルモンスターズ教えて
また
"
﹁せんせー
ルピス
て何度も言ってるのに﹂
﹁あっ、
"
を二つ取り出し、床に置くと少女は膝を叩いた。
﹂
きないことだった。何もこもっていないため息を一つつく。机の引き出しからデッキ
分の幼い頃と全く同じ様に喜ぶルピスを見て、それを奪うようなことは少女には到底で
は分かっているのだが、カード一枚でルピスはこんなにも楽しそうに笑ってくれる。自
困った子達だなぁと思っても、本気で叱るような真似はしない。確かに危ない事だと
﹁だってせんせーが教えてくれるデュエルモンスターズ楽しいし
?
!
"!
!
"
﹁うんっ
﹂
﹁さ、いらっしゃい。今日のデュエルの授業を始めるよ﹂
宣誓の声
4
!
5
王都﹃リリヴェス﹄は
三大陸 の中で最も大規模な街であり、それと同時に最も貧
"
ここでは珍しくもない捨て子や、親を亡くした子や、預けられた子などを引き受け、全
それが﹁アリクル孤児院﹂、悪に染まった貧民街に許された唯一の豊かでいれる場所。
ことが許されない貧民街にも、憩いの場と呼ばれる建物が存在する。
り前のように転がり、上流階級は虫を貶すように虐げる。誰一人心に豊かさを持ち歩く
貧民街はこの世の地獄を表したような場所だ。暴力行為は頻繁に行われ、死体は当た
域、貧民街が貴族街を取り囲む形で存在している。
階級の出すゴミすら生きるために自分の物にしようと必死にしがみつく者達が住む地
その地域を囲むようにあるのは普通は平民街なのだが、ここで一気に差がつく。上流
が強固なので失敗し、打ち首にされる。
まるでと言っていいほど事件が起こらない。極稀に泥棒等が入るようだが、基本は警備
域は貴族街と呼ばれ、上流階級の者達が王の恩恵を受け暮らしているが、この地域には
街の中枢部にある巨城を中心に囲むように大きな屋敷が数百ほど建てられている地
富の差が激しい街でもある。
"
ユエル・アリクル
は経歴不明の18の少女だ。何故孤児院を建てる財
うな人として世に送り出す施設として貧民の間でも有名である。
その院長、
"
"
力を持っているのか、この地獄でどう食料を確保して子供たちに分け与えているのか。
そんな小難しい疑問からスリーサイズまで謎の多い少女である︵一説にはバストは少な
くとも70はあると言われているが、定説したものは既にこの世にはいない︶。
孤児院で送られる一日はどこの家庭とも変わらないものだ。日が昇る頃に寝床から
立ち上がり、朝食を作り、本を読み上げ、昼まで遊び、昼食を食べた後には昼寝をし、起
きたら勉強を始め、夕食を食べて寝床に入る。
﹂
何年間もサイクルしてきた、何も変わらない緩やかな日常。遊ぶ子供だけでなくそれ
を見つめる大人たちにも幸せを与える憩いの場は
既に紅蓮の暴力に包まれていた。
﹂
!
絶対あぶないよ
!
﹁ルピス、後は貴女だけよ。早く逃げて
!
が家計簿なるもので頭を抱えているのを見ても困っていることぐらいしか理解できな
青い瞳が特徴のルピスはまだ七歳の少女だ。七歳には難しい世の中の流れやユエル
のだ。
の盾を模したディスクだ、ユエルは多くの子を逃がすための囮兼盾になろうとしている
いた。ユエルの手につけられているのはカードの束であるデッキが装着された金属製
孤児院から抜けた森の中、院長であるユエルと孤児のルピスは小さな声で話し合って
﹁せんせーもいっしょにいくの
宣誓の声
6
い小さな子供だ。けれども、今この瞬間で分かることが一つあった。ユエルではあの男
ユエル・アリクル
⋮⋮。子供を逃がそうとは聖母のような考えをしているな。思
たちに敵わないということを。
﹁
"
情に出し、ぐるりと振り返る。
黙りなさいっ。騎士の恥知らず共
!
せた覚えもないんすけど﹂
﹁あれ、隊長。俺らもしかして嫌われてないっすか
﹁ッ
﹂
ブルーアイズ
まだ爆弾をつけた覚えも起爆さ
くそれが庇っているルピスを捉えていた。ユエル・アリクルはその騎士の目に怒りを表
されたカードの束。﹃Wrest﹄と彫られた兜の奥に光る目は、前にいるユエルではな
には﹃Sacrifice﹄と書かれた盾と良くにた金属製のディスクとそれにセット
バキリ、と枝を掻き分ける音と共に現れたのは、仰々しい鎧を身に纏う男が二人。腕
わず拝みたくなるほどだ﹂
"
﹂
の子を差し出すだけでいい、そうすれば孤児院の再建、その他諸々は我々
受け持とう﹂
﹁黙りなさいと言ったはずです。ルピスには何の罪もありません
騎士団
が
"
ユエルは孤児院の子供たちにも見せたことないような鋭い眼光で男たちを睨み付け
!
"
﹁黙っていろハジメ。ユエル・アリクル、用があるのはそちらの青 眼の子供だけだ。そ
?
!
7
るが、隊長と呼ばれる男はそんなものをどこに吹く風のように扱い﹁あるではないか﹂と
呟いた。
んなことは猫であろうと知っているぞ。犬でさえカードには近づかないというのに、そ
﹁不法魔札所持罪、我が﹃リリヴェス﹄では極刑にあたる重罪だ。ユエル・アリクル、こ
﹂
の子供は恐れ知らずのようだな﹂
﹁くっ
ディスクは
決闘
に最も適した形態へと変型していく。周囲の光を吸い込みエネル
"
﹁我々に敵対するつもりか。ユエル・アリクル﹂
ode ON︾とネガティブな音声が暗闇の森に響く。
と書かれた液晶を軸とした円盤に吸い付くように合致する。それと同時に︽Duelm
ギーを確保、その後金属製の盾は二つに別れ、双刃剣のような姿となり中央の4000
"
目の前の男を殴れない代わりに空気に裏拳をかますような動きと同時に、金属製の
!
させた。それと同時に、ユエルはモノクルに手を伸ばし、スイッチを押しその本当の機
た男は﹁愚かな﹂と呟き、ユエルと同じように盾を展開しディスクとしての機能を起動
ハジメと呼ばれた男は﹁分かりやすすぎて涙が出るね﹂と一言もらし、隊長と呼ばれ
ば、決闘で勝敗を決しましょう﹂
﹁これ以上貴方達の不快な問答をするつもりはありません。私を従えさせたいのであれ
宣誓の声
8
﹂﹂﹂
能を呼び覚まし、その動きを見て騎士の二人も兜側面のスイッチを押した。
﹁﹁﹁Dゲイザー、ON
﹂﹂﹂
!
満たされた月だけだった。 を置き、視界の悪い森の奥へと歩き出す。火も持たない男の道先を照らすのは、静かに
決闘を始める者たちの所より少し離れた所、布を纏う男はその手に持つ焼きたての魚
﹁⋮⋮⋮宣誓の声、か﹂
﹁﹁﹁決闘ッ
デュエル
︽デュエルターゲット。ロックオン︾
!
9
儚き花弁
ディスクから︽Battleroial mode︾という音声と同時に両者は手首
のスナップだけでデッキ︵カードの束︶から五枚ドロー︵束からカードを引く行為︶す
る。ハジメはなにやら格好ついたポーズを決めているが、隊長の男は五枚のカードを見
て小さく舌打ちをした。その両者は不動を貫いているがユエル・アリクルは違った、五
枚のカードを見て目を鋭くしすぐに動き始める。
この世界での先行の決め方はどちらがカードに早く手をつけ、宣言したか。この二つ
の動きで呆気なく決まるものだ。そして速攻で手札に手をつけたユエル・アリクルは二
人の手札があまりよくない物と予想した。ハジメは動きを止めており、隊長はじっとこ
ちらを見ている。どんなデッキにせよ、先行を取れるような手札ではないことが確かに
分かる。となれば、今やれることは動き出し、万全の布陣で相手の動きをカウンターで
﹂
!
阻害する。
たねがひめ
先行は貰いました、私は手札から﹃種子姫 くらざみ﹄を召喚
!
には一枚のユエルの身長︵平均的な成人女性と同程度︶と並ぶほどの大きなカードのシ
双刃剣を模したディスクにカードが滑らかな手付きで置かれる。するとフィールド
﹁私のターン
儚き花弁
10
ルエットが置かれ、そのシルエットから一人の女性が飛び立つ。彼女は華々しい見た目
とは裏腹に、染み一つない手に持つのは無骨な剣と鞍馬のような盾。その眼光は鋭く
この子はフィールドに現れた時、美麗なる世界から姫を呼
尖っており、二人の騎士を捉えて離さない。
﹂
﹁﹃くらざみ﹄の効果発動
び出す
?????????
だが時は刻々と進んでいく。空に昇った﹃くらざみ﹄であった粒子は黒き渦を産み出
の前の光景から目を離すことができない。
ようもなく美しく思えた。その身を犠牲にする精神の尊さに、同じ騎士である二人は目
ハジメは思う事ががあるのかその光景に表情を歪めるが、隊長の男は違った。どうし
く。
凜騎士は盾で自らの体を覆い、剣を天へと掲げると、その身を光の粒子へと変えてい
②:
キから﹃姫﹄と名のついた植物族レベル8モンスターを特殊召喚する。
①:このカードが召喚に成功した時に発動できる。このカードをリリースして、デッ
﹃種子姫 くらざみ﹄の効果は①②のどちらか一ターンに一度しか発動できない。
星4 光属性 ︻植物族/効果︼ ATK/1500 DEF/700
﹃種子姫 くらざみ﹄
!
!
11
﹂
していき、徐々に別世界へのゲートへと相応しい姿へ転じていく。
﹁自ら生み出し半身の呼び掛けに応じ、出でよ封殺の椿
その光をじっと見ているのはユエル・アリクル一人のみ。彼女にはこの光量が支配す
守ろうと自らの身を縮こませる。
の視界は純白に全てを奪われる。その光量に二人の騎士は思わず籠手付きの腕で目を
黒き渦から光の柱が下り、森林地帯のやらかめの地面にそれがぶつかると同時に三人
!
﹃椿姫ティタニアル﹄ッ
つばき
﹂
る世界で尚見えている物があるのだ、徐々に根を張り、騎士への反乱の準備を淡々とこ
なす姫の姿が。
!
を封じた正体がそこに居た。
圧を持ち合わせている。﹃椿姫ティタニアル﹄、人外でありながら姫の名を持つ存在、光
まるで神へ祈りを捧げる狂信者のようなそれからは、封殺の名を冠するに相応しい威
ルでもない。
地帯へと戻ってくる。しかし、光を払ったのは騎士二人でも、ましてやユエル・アリク
場の光を切り裂くように払った者のおかげで、視界は再びほんのり朱さが見える森林
﹁レベル8
!
星8 風属性 ︻植物族/効果︼ ATK/2800 DEF/2600
﹃椿姫ティタニアル﹄
儚き花弁
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自分フィールド上に表側表示で存在する植物族モンスター1体をリリースして発動
できる。
フィールド上のカードを対象にする魔法・罠・効果モンスターの効果の発動を無効に
し破壊する。
この子は﹃姫﹄
私はカードを二枚伏せて、ターンエンドです﹂
!
②:
召喚された場合、このカードは特殊召喚できる。
①:自分フィールド上に﹃姫﹄と名のついた植物族レベル8モンスターが召喚・特殊
﹃種子姫 おおひら﹄は一ターンに一度しか特殊召喚できない。
星3 風属性 ︻植物族/効果︼ ATK/150 DEF/400
﹃種子姫 おおひら﹄
威厳をもった姫と言えども苦笑をもらさずには入られなかった。
とはどうでもいいのか、
﹃ティタニアル﹄にすりよって猫のように甘え始める。これには
ひょーっと声を上げるが、隊長は全くの無反応。しかし﹃おおひら﹄はそんな汚物のこ
お 御 足 と 豊 満 な ス タ イ ル、両 手 に は 赤 い ポ ン ポ ン を 持 つ モ ン ス タ ー。ハ ジ メ は う
ディスクにカードを叩きつける心地の良い音と共に、フィールドに現れるのは美しい
が場に表れた時、特殊召喚される
﹁さらに私は﹃姫﹄を迎える応援団員、
﹃種子姫 おおひら﹄を特殊召喚
!
13
?????????
﹁レズビアンかよ⋮⋮。あ、俺のターンか。バトルロイヤルルールでは全員の先行でド
ローはできないっと﹂
ハジメの第一声に﹃おおひら﹄は言葉では表現しつくせないほどの意味をその視線に
持たせて睨むが、当の本人はデュエルに集中していて気づいていないようだ。隊長だけ
はその視線に気づいていたが、これもどうでもいいのかハジメに声をかける。
﹁ハジメ。攻撃も出来ないことを忘れるな﹂
﹂
﹁へいへい、わかってますよ。隊長さんは心配症なこって﹂
あーっくそ、俺のターン
﹁貴様が何故昨日婚期を逃したか││﹂
﹁その話はもういいんだよっ
!
!
クのあまりそのポンポンを地面へ落としていた。
W スリップブリザード﹄を発動
ホワイトウォリアーズ
このカードは、①と
ひら﹄は豚を見るような目で嘲笑をしていたがすぐに﹃ティタニアル﹄に叱られ、ショッ
怒りの衝動に任せて初手の五枚のうち一枚を乱暴に引き抜く。その愚かな姿に﹃おお
!
﹂
②の二つの効果を持つが、俺は①の効果、デッキから﹃WW﹄モンスターを手札に加え
﹁俺は永続魔法カード﹃W
る効果を選択
!
永続魔法
﹃WW スリップブリザード﹄
儚き花弁
14
﹃WW スリップブリザード﹄は一ターンに一度しか発動できず、①②のどちらか一つし
か発動できない。
苦笑させる。
﹁そして俺は﹃WW 鉄槌のヘイル﹄を召喚
れる
﹂
﹁まだだ
﹂
﹃WW﹄モンスターが場に出た時、
﹃WW 天槍のアイシクル﹄は特殊召喚さ
てんそう
で飛ばされたポンポンを回収しに森へと走り出し、先程と同じように﹃ティタニアル﹄を
タニアル﹄が出す不思議な力によりその極寒からなんとか逃れていた。﹃おおひら﹄は風
れデッキから飛び出したカードを冷静に取り、手札に加える。ユエル・アリクルは﹃ティ
緑葉は一枚一枚凍りつき、地面には霜が浮かび上がる。そんな中でハジメは吹雪に呼ば
突 風 と も 吹 雪 と も 言 え る 凍 て つ く 程 の 寒 冷 も 持 っ た 風 が フ ィ ー ル ド に 吹 き 荒 れ る。
②:
①:一ターンに一度、デッキから﹃WW﹄モンスターを手札に加える。
???????????????
!
だ。
手に持つのは眼前の敵を殺める物だが、彼らが天使族であるのは違えようのない事実
る。そのゲートから飛び出してくるのは二人の純白の戦士、ヘイルとアイシクル。その
ハジメの怒声とも言える宣言は吹雪を巻き起こし、カードをフィールドに上表させ
!
!
15
﹃WW 鉄槌のヘイル﹄
星4 光属性 ︻天使族/効果︼ ATK/1800 DEF1600
このカードが相手モンスターを戦闘によって破壊した時、フィールド上に存在するモ
ンスター1体を破壊する。
﹁レベル4のモンスターとレベル2のモンスター⋮⋮﹂
︽トリックアウト︾
﹂
このカードが自身の効果で特殊召喚に成功した時、相手の伏せカードを一枚破壊
﹁なんとなく察してるみたいだが、そう慌てるな。まずは﹃天槍のアイシクル﹄の効果発
動
する
!
﹂
ニアル﹄だけ。﹃おおひら﹄は何が起こったのか理解すらしていないようだ。
そのあまりにも速い動作を見切り、被害が出ないようにバリアを張ったのは﹃ティタ
を入れた所を見て、来ると確信したところで、セットカードは砕かれた。
新たな刃と変わっていく。ユエル・アリクルは﹃アイシクル﹄がぐっと全身の筋肉に力
き槍を構える。するとその槍には冷気が集約していき、少しずつ氷を纏いはじめ、氷が
ハジメの声が一枚の伏せカードへと向けられた時、
﹃アイシクル﹄は軽く頷き、その白
﹁対象を取らない効果⋮⋮っ
!
!
!
星2 光属性 ︻天使族/効果/チューナー︼ ATK/700 DEF/200
﹃WW 天槍のアイシクル﹄
儚き花弁
16
﹃WW 天槍のアイシクル﹄は一ターンに一度しか特殊召喚できない。
①:﹃WW﹄が召喚された時に発動できる。手札のこのカードを特殊召喚する
②:①の効果で特殊召喚された場合に発動する。相手フィールド上にセットされた
ソーンウォール
カードを一枚破壊する。
椿に棘はないと思っていたのに、恐い恐い⋮⋮﹂
﹃棘 の 壁﹄が⋮⋮﹂
﹁﹃棘の壁﹄だって
通常罠
﹃棘の壁﹄
﹂
!
を自身を中心に振り回しはじめる。﹃アイシクル﹄の体は半透明になっていき、最終的に
その手に宙へ舞う。﹃アイシクル﹄はそれより前に空中へとその身を投げ出し、自慢の槍
状の泥が跳ね飛ぶ音と一緒に、地面の奥まで響く音をたて、気合いを入れた所で武器を
霜が溶けはじめ、ますます柔らかくなった地面に、
﹃ヘイル﹄が鉄槌を叩きつける。液
ンスター、﹃天槍のアイシクル﹄でチューニングッ
﹁俺はレベル4の﹃WW 鉄槌のヘイル﹄と、同じく﹃WW﹄のレベル2、チューナーモ
﹁さてと、容疑者さん、あんたが危惧してたことを見せてやる﹂
相手フィールド上に攻撃表示で存在するモンスターを全て破壊する。
①:自分フィールド上の植物族モンスターが攻撃対象に選択された時に発動できる。
?
﹁ッ
!
17
は﹃アイシクル﹄のエネルギーが込められた二つの輪となって空を駆ける。
﹂
ここで飛んだ﹃ヘイル﹄と﹃アイシクル﹄の輪が合流し、重なりあう。
!
宙に浮かぶ人と輪、一筋と重なる時。閃光が走る。
!
﹃WW 墜病のハンセン﹄ッ
﹂
!
﹁光天よ。無知なる穢れし時代に終末を与えよ
レベル6、吹き荒れろ
!
だまだこれからだ。
儚き椿達の前に、天に見放された人間が降臨する。デュエルまだ先行二ターン目、ま
﹁シンクロ召喚ッ
儚き花弁
18