経営改善3か年計画書 (2014-2016)

~新生栃木サッカークラブを目指して~
経営改善3か年計画書
(2014-2016)
株式会社 栃木サッカークラブ
平成25年12月27日作成
目次
はじめに
P
1
1.財務体質の改善
(1)収支表(2013年~2016年)
P 2
(2)収入
【広告協賛事業】
P 3
【チケット事業】
P 4
【商品化ライセンス事業】
P 8
【スクール事業】
P10
【その他】
(3)支出
P12
(4)管理
P13
2.クラブの方向性の確立
(1)『育成型クラブ』への転換
(2)施設の充実
P14
(3)地域密着型クラブへ
P15
(4)ホスピタリティの向上
3.チーム運営・強化
(1)短・中・長期にわたる選手育成
(2)地域貢献のできる選手
P16
4.透明性のあるクラブ運営
(1)実効性の高い経営諮問委員会の設置
(2)コーポレートガバナンス体制の整備
P17
(3)コンプライアンス推進
(4)アカウンタビリティーの確立
5.社内組織の改革
(1)広報体制の充実・強化
(2)営業体制の強化
(3)アカデミーの分社化に向けた検討
P18
6.クラブライセンスへの対応
(1)施設基準への対応
P19
はじめに
新生栃木サッカークラブを目指して
栃木サッカークラブは2009年からJ2に参入し、今日まで5年間闘って参りました。参入
後は外国人選手を含むプロ選手との交渉や契約をはじめ、ホームゲームの運営、地域活動
など、県内初のプロフットボールクラブとして誰も経験したことがないことに挑戦させて
いただきました。これも多くの県民の皆様のご協力とご支援があってこそのことだと理解
し、大変感謝しております。この5年間、J1参入こそが栃木の活性化に寄与し、栃木県
民の夢であると考え。『5年でJ1』という目標を設定し、その達成を目指してクラブ運営
に取り組んで参りました。しかしながら最終年を迎えJ1参入は達成できず、その為の過
度なチーム強化による過剰投資により経営が悪化。結果として経営危機に陥り皆様にご心配
かけることになってしまいました。
そこでこの5年間の成功と失敗を検証し、これを反省として経営改善3カ年計画を策定し
ました。今後はこの計画に基づき経営改善に取り組んでいきます。改善計画は『育成型ク
ラブ』への転換という方針を基に設計しました。『育成型クラブ』とは、“チーム、クラ
ブを身の丈にあった手法とスピードで成長させ、栃木県民に愛され親しまれるクラブで有
り続ける”ということを意味します。そのためには地域と一体となった運営が必要だと理
解し、常にオール栃木で戦える環境づくりに努めなくてはならないと考えています。
まずクラブ経営では、社会に浸透したクラブ活動に努め、経営を透明化するために実効
性の高い経営諮問委員会を設置し、コーポレートガバナンス体制の構築とコンプライアン
ス推進、並びに、アカウンタビリティの強化に取り組みます。そのためにもまずは債務超
過の解消が急務と考えています。徹底したコスト意識を持ち、方針に基づいた予算・行動
管理の強化に取り組みます。
チーム運営・強化については、これまでのように”ある目的のために完成した選手で構
成する“ではなく”未成熟の選手をプロスポーツ選手、そして社会人に育てる“という考
えでチームづくりに取り組みます。結果は重要なことだと認識しながらも、短期間で結果
だけを求めるのではなく、中長期に亘りアカデミーからトップチームまでの選手を一貫し
た考えのもとに育成する『栃木スタイルの構築』その上で結果を出せるチームづくりをす
ることが重要だと考えています。また、アカデミー出身選手の積極的な獲得を行うことで、
将来地域に貢献できる人材づくりにも努めて参ります。
加えて提供するサービスも成長させなければなりません。特に運営するホームゲームは
勝敗の結果だけで来場者が左右されることがないよう、ホスピタリティーを向上させ、試
合は、アグレッシブなアタッキングサッカーを展開し、楽しめるホームゲームづくりを追
求していきたいと考えています。また県内唯一のJリーグクラブとして栃木県、並びに、
県内市町の広告塔の役割を果たし、地域活性に貢献していきたいと考えています。
栃木SCは地域密着型クラブの原点に返り、身の丈にあった戦力で常にJ1参入を目指
します。今後は地域の皆様と一体となりJ1参入という日を迎えるまで、ともに歩んでい
きたいと考えています。
新生栃木サッカークラブは子ども達に夢を与え、栃木県民に感動を与え、そして地域に
愛され親しまれるクラブで有り続けることを目標とし、達成のために役員をはじめ全社
員・スタッフ・全選手がともに全力を尽くしていく決意です。
以 上
1
1.財務体質の改善
(1)収支表(2013-2016)
2013年度
(推定)
2014年度
2015年度
2016年度
営業収入
807,350
795,464
796,464
810,464
支出合計(営業費用+一般管理費)
884,451
734,749
730,249
758,221
営業費用計
719,104
576,322
573,322
592,504
事業費(チーム人件費)
409,194
302,839
301,839
314,839
事業費(トップチーム、アカデミー運営費)
118,534
101,959
100,959
101,959
事業費(試合運営、チケット、広告協賛等)
191,376
171,524
170,524
175,706
一般管理費計
165,347
158,427
156,927
165,717
人件費
99,405
99,300
99,276
106,026
物件費
65,942
59,127
57,651
59,691
-77,101
60,715
66,215
52,243
営業利益
(注) サプライヤー収入は除く。
(2013年12月18日現在)
2
1.財務体質の改善
(2)収入
【広告協賛事業】
オフィシャルパートナー90社とサポートカンパニー140社のスポンサー基盤をベースに、来季は、営業
人員の専任化や外部人材の協力体制の整備により、営業行動を更に増加させ、改めて、県内優良企
業の掘り起こしによる大口スポンサー(オフィシャルパートナー)の獲得と、小口スポンサー(サポートカ
ンパニー)の獲得を狙う。また、より顧客ニーズに合わせた商品の企画開発、及び、各種サービスを通
じて、顧客満足度の向上を図り、既存スポンサーの継続率向上にも努める。
①オフィシャルパートナー
来季は大口スポンサーの撤退や、既存顧客の減額不安もあり、最大3,500万円規模の減収
リスクがある。これをカバーするために、2014年は、新規パートナーの獲得や休眠パート
ナーの掘り起こし(1社450万円確定済※1)、既存パートナーのアップセル(11社1,400万円
増額済※1)を積極的に展開する。また、新規顧客を獲得する為、戦略的なエリア営業を行い、
既存パートナーによる紹介営業や外部人材の活用を行いながら、2014年度は、2013シー
ズンと同様の90社(継続81社/新規9社)を目標に営業活動を行っていく。
②オフィシャルサプライヤー
ユニフォームを始めとした各種ウエア、広告媒体、飲料、フィットネスクラブ、社用車、施設、オ
フィス消耗品、クリーニング、宿泊チケット、倉庫、教育プログラム、各種機材のサプライほか、
既に経費の掛かっているものをサプライ契約に変える広告商品を企画販売することで、収益改
善につなげる。来季は今季プラスαの7,000万円を目指す。
③サポートカンパニー
数多くの企業団体が参加しやすい小口のスポンサー商品であるサポートカンパニー。全社営業
や紹介営業等を通じて、現在の140社から2014年度は180社(継続120社/新規60社、計2,000
万円)を目標に営業を進める。また、スタジアム10km圏内のエリアにおいて、戦略的かつ効率
的に営業活動を行いながら、当面は200社を目標に支援の裾野を拡大し、毎年、そこからパート
ナー昇格を目指し、営業活動を推進する。
④その他広告協賛商品
冠試合協賛や大型映像装置CM、小中学生無料招待事業(夢パス)を始めとした招待事業協賛
などのチケット関連媒体、栃木SC公式サイトやイヤーブック、マッチデープログラム、ポケットス
ケジュール、告知チラシなどの栃木SC関連媒体、また、うちわやイベントなどのファンサービス
媒体や、スポーツ特別後援会やラッピングトラック等のホームタウン関連媒体などの広告商品
について、「企画提案型」の営業を強化し、新たな収益源に育てていきたいと考えている。来季
は今季プラスαの3,000万円を目標に取り組んでいく。
※1: 2013年12月22日現在
2013年
(推定)
オフィシャルパートナー
2014年
2015年
2016年
35,397
34,000
34,500
35,000
オフィシャルサプライヤー
6,778
7,000
7,000
7,000
サポートカンパニー
1,650
2,000
2,250
2,500
その他広告協賛商品
2,752
3,000
3,250
3,500
46,578
46,000
47,000
48,000
合計
(単位:万円)
3
1.財務体質の改善
(2)収入
【チケット事業】
チケット事業については、先ずは確実な収入確保の観点から、シーズンパスポート収入を確保し、その
上で、法人団体営業の強化と、既存招待者への営業により、全体的な前売券の底上げを図る。更に、高
価格チケットやターゲットを絞った各種企画チケットの販売強化、並びに販売チャンネル及び営業体制
の見直しを図り、収益向上を狙う。2013年シーズン平均入場者数は前年の3,850名を大きく上回る4,922
名となった。来季の平均入場者数は、この顧客基盤をベースに、前期5%増の5,168名を目指す。内訳と
しては、シーズンパス来場が1,260名(目標1,400名に対し、来場率を9割で試算)、一般チケット来場が
2,159名(予算9,500万円から試算)であり、目標数から試算すると、スポンサーチケットやホームタウン
招待チケット、夢パスなどのプロモーションチケット(招待券)による来場が1,749名となる。つまり、入場
者数を増やすには、チケットを売ることもさることながら、無料チケットの着券率向上も重要な要素となる。
今季はこの両面に対して、全力で取り組んでいく。
①商品施策
~ファン・サポーター目線の商品づくり~
a. シーズンパスポート
経営基盤を安定化させる上で大切なシーズンチケット。来季は継続率を原則として80%以
上(継続者目標1,050名)と新規顧客(休眠顧客の掘り起こしを含む)350名を目標として、電
話やDM、SNSなどのダイレクトツールを軸に、ファン感謝デーやシーズンパス所持者対象
イベントなどのプロモーション企画を組み合わせて販売拡大に努める。2014年度目標は、
営業売上4,500万円(税別)、会員数1,400名。
b. 前売・当日・企画チケット
今季、最も集客力のあったガンバ大阪戦がなくなり、ホーム開幕戦の松本戦といったカードも保
証されていない来季のチケット収入は、1,000万円を超える規模の減収が見込まれている。来季
の収入増に向けて、今季、売上を伸ばした法人団体営業を強化し、また、招待来場者を有料顧
客に転化させる施策、付加価値の高いチケット商品、同伴来場者/観戦回数UPにつながる
ターゲットを絞った施策を打つ中で、固くチケット収益を確保する。
c. 企画チケット
同伴来場を促すグループチケットや複数試合で観戦可能な回数券など、ターゲットを絞った企
画チケットの販売を行うことで、幅広い層にアプローチし、多様な顧客ターゲットから収益向上を
図る。
2013年
(推定)
シーズンパスポート収入
前売・当日・企画チケット収入
合計
2014年
2015年
2016年
4,250
4,500
4,600
4,700
10,250
9,500
9,700
9,900
14,500
14,000
14,300
14,600
(単位:万円)
4
1.財務体質の改善
②販売施策
~チケット販売数の増加~
a.チケット販売チャンネルの拡大
既存のコンビニ、プレイガイド、トッキースクエア、ベルモール等に加えて、特に、以下のような販
売チャンネルを強化することで来場者増を図る。
a-1. 販売店舗の拡大
○労働組合や生協を始めとしたチケット販売拠点の拡大
-構成人員が多い企業や自治体、団体、大学等を中心に100ヶ所の販売拠点が目標。
○インターネット店舗(Jリーグチケット)のチケット販売強化
-販売手数料が安いJリーグチケットによる販売を強化することで、より利益拡大に努める。
a-2. 栃木SCファミリーの販売強化
○スポンサー社員様の優待販売
○栃木県サッカー協会登録チームの優待販売
○栃木SCアカデミー&スクール生の優待販売
○シーズンパスポート所持者向け優待販売
- シーズンパスポート所持者による紹介キャンペーンなどを通じて新規顧客の獲得を目指す。
b. チケット販売体制の増強(行動強化)
販売チャンネルを拡大し、営業体制および営業行動を強化することで、入場者増強を図る。
b-1. 営業体制の強化
事業運営に加えて、試合運営業務との兼務で営業効率が低くなっている営業マンを営業専任
として効率的に営業活動を行う。これらのスタッフは、アシストエージェントとの連携により、チ
ケットの法人団体向け営業を先導する。また、チケット営業は原則全員営業で展開する。
b-2. 外部人材の積極活用
外部営業マンとして営業活動をサポートしてくれるアシストエージェントや後援組織のスタッフ
を積極的に協力依頼することで新たな収益機会を創りだす。毎月ミーティングを開催し、各種
営業活動の報告と商品情報を含む情報共有を行いながら営業力強化を図る。
b-3.招待来場者向けの販売強化
これまで招待事業を行ってきた招待先である企業、団体、およびサッカーチーム等への営
業活動、自治会住民への回覧板を使ったPRを強化する中で、再来場と観戦回数の増加
を図り、新たなチケット収入増につなげていく。
5
1.財務体質の改善
③プロモーション施策 〜魅力ある商品情報の提供~
a. スタジアム10km圏内(以下、コアエリア)の重点的活動
コアエリアでの地域活動による地域アプローチ、自治会回覧板やチラシポスティングによる家庭
へのアプローチ、そして工業団地企業への重点的なアプローチを行うことで地域プロモーション
を最大化する。
a-1. コアエリアでの重点的地域活動
より人が多く集まるコアエリアの公共施設や集客施設を中心に年間265回以上実施する。より多
くの地域住民に栃木SCの存在を知ってもらうとともに、栃木SCに愛着を持って貰うことが狙い。
宣伝カーを使用して試合日告知も行い、各種集客施設ではサポーターとの連携によるチラシ配
布活動も実施する。
a-2. 自治会回覧板とチラシポスティングによるPR
コアエリアにある全ての自治会において回覧板を通した試合告知を徹底する。シーズン中では
毎月の回覧板に情報掲載を依頼する。戦略重点エリアでは外部人材の力を借りながら、毎月チ
ラシポスティングにより戸別PRを展開する。
a-3. 工業団地企業への重点的PR
スタジアム近隣の清原・平出・高根沢・芳賀工業団地・宇都宮卸商業団地などの企業向けに試
合日程やチケット商品情報を含むチラシを配布し、重点的にPRを行う。
b.ダイレクトアプローチの強化
SNSやメルマガ等のデジタルツールで個々のお客様に直接アプローチしながら、電話やDMや
直接対話等のアナログツールも併せて活用し、プロモーションを最大化す。
b-1. SNS(フェイスブック、ツイッター、LINE)&メルマガの活用
フェイスブック、ツイッター、LINEを通じて、最低週2回更新を行い、合計で週10,000人規模の
リーチ(年間40万リーチ)を確保する。また、週1回メルマガ(シーズン中は試合直前、試合後を
含む計3回)を発行する中で、毎週約2,000名のメルマガ会員に向けて、選手やクラブ、及び商
品の訴求を図る。
b-2. 心を動かすPR活動の推進
紹介キャンペーン等、直接的かつアナログな手法(電話&DM)を使い、選手も活用しながら、サ
ポーターとの一体感も意識した上でPRを実施する。また、着券率の低いスポンサーチケットの
来場者数を増やすためにも、営業マンが訪問する営業先の企業およびその社員様へのチラシ
配布を通じて企業への直接的なPRを実施する。
6
1.財務体質の改善
c. 地元メディアでの露出拡大
すべての地元メディアを毎週訪問し、情報提供を行う中で、地元メディア上での露出拡大を図り、
チーム&商品の訴求を図る。また、地元メディアとの組織的連携を強化するために、定期的な
情報交換(隔月開催)を行い、報道による栃木SCの支援体制を強化する。
d. ステークホルダーとのタイアッププロモーション
普段から様々なPR活動を行っているスポンサーや自治体等とのタイアップ企画を推進する中
で、間接的に栃木SCの選手やクラブ、及び商品の訴求を図る。
e. プロモーションチケットによる観戦体験づくりと着券率向上
全ては感動体験から始まる。そのきっかけ作りとして、栃木SCは今季同様にホームタウン住民
の無料招待事業と、小中学生の無料招待事業(栃木SC夢パス)を通して、ファンづくりに向けた
プロモーションを行う。また、これらを配布して満足するのではなく、スポンサーチケットと同様に、
これらのチケットの着券率向上に全力で取り組み、入場者数増を狙う。
e-1. ホームタウン招待事業
百聞は一見にしかず。ホームタウン住民に無料の観戦機会を提供する中で、新たなファン獲得
に努める。自治会招待事業では、試合毎にホームタウンの各自治会を割当て、毎試合300〜
500名を招待し、年間10,000人を目標に招待事業を展開する。
e-2. 小中学生無料招待事業「栃木SC夢パス」
栃木SCでは2012年より小学生を対象とした無料招待事業「栃木SC夢パス」を運営している。
2013年は対象を中学生にも拡大し、約3,000名の子どもたちが試合観戦を楽しんだ。来季も本
事業を同様に継続し、更なる次世代のファン育成を図る。尚、本事業は協賛企業の協賛料に
よって提供されている。
7
1.財務体質の改善
(2)収入
【商品化ライセンス事業】
集客的に厳しい環境が想定されている2014年シーズン以降のグッズ販売は、今季築いた仕組
みをベースに、店頭販売、オンライン販売、法人団体販売、イベント販売等で売上を確保した
いと考えている。販路毎に顧客ニーズに合わせた商品を、タイムリー、かつ機会ロスが無い形
で投入し、効率的かつ効果的に売上を確保する。また、ライセンス事業の多くを占めるスタジ
アム飲食販売も、オリジナリティある魅力ある商品開発を行いながら、収益を確保する。更に、
利益率が高いライセンス商品も新たに企画販売し、総合的な商品化戦略の見直しを行う中で、
将来的な売上増の基盤を作る。
①グッズ販売
a. スタジアム販売
来季、減少リスクを抱えているグッズ販売は、まず、今季の実績を元に定番商品を、適切なタイ
ミングで、適切な数量を投入することで、機会損失を減らしながら売上のベースを確保する。そ
して、特定試合や選手に関連した企画商品の開発と販売、販売スタッフ&体制の見直しや販売
店舗の立地やディスプレイ改善等により、売上の底上げを図り、2013年度同等の売上を確保す
る。
b. 店頭販売
トッキースクエア、ベルモール、南図書館の3ヶ所で販売する店頭販売では、集客力の高いイベ
ントや企画を展開しつつ、プロモーションを強化することで、売上を確保する。また、委託販売を
軸とした新たな販路の確保も継続して行う中で、トータルでの収益向上を図る。
c. オンライン販売
オンラインショップ限定企画や高価格高付加価値商品の投入、インターネット上でのSNS等
ソーシャル媒体などを活用したPR、および地元企業との連携による商品開発やPRを通じて、
継続的な売上向上に努める。
d. 法人団体販売
スポンサーの既存営業ルートほか、招待や地域活動を行っているサッカーチームや学校、幼稚
園を始めとした各種団体や企業や自治体等のチケット営業先に対して販売する。また、応援
グッズの販売だけでなく、カレンダーなどの贈答品、並びに文房具を始めとした各種企業とのコ
ラボ商品を企画提案し、収益増を狙う。
e. イベント販売
地域活動では、より集客力があるイベント、並びに栃木SCやサッカーに親和性の高いイベント
で戦略的かつ重点的に販売することで前期プラスの売上向上を図る。
f. その他企画販売
ユニフォームオークションなどの企画、関係者向け販売を通じて収益確保を図る。
8
1.財務体質の改善
②ライセンス販売
a.スタジアム飲食販売
試合毎の企画メニューや選手関連メニューなどのオリジナリティ溢れる商品開発を行い、試合会
場での購入客数および客単価を向上させることで、集客課題がある来季も今季同様の売上を確
保する。
b.その他、ライセンス販売
これまでの栃木SC応援自動販売機、栃木SC応援マットに加えて、ライセンス商品を新たに企
画開発販売することで、将来の効率的なロイヤリティによる収入機会を確保する。
2013年
(推定)
項目
グッズ事業
ライセンス事業
①スタジアム販売
2014年
2015年
2016年
3,141
2,850
2,930
3,010
②店頭販売
728
710
730
750
③オンラインショップ販売
351
350
370
390
④法人団体販売
341
340
360
380
⑤イベント販売
133
150
170
190
⑥その他企画販売
103
100
100
100
⑦スタジアム飲食販売
799
800
840
880
⑧その他ライセンス販売
207
200
200
200
5,800
5,500
5,700
5,900
合計
(単位:万円)
9
1.財務体質の改善
(2)収入
【スクール事業】
スクール事業については、普及による商圏の拡大・人材発掘(育成・強化)の観点からも
非常に重要な事業である。
現在、①常設型スクール ②スポット型サッカー教室 ③講師派遣 の3つの考え方で積極
的にスクール事業を展開している。また、昨年から実施しているJFA公認B級指導者ラ
イセンス取得の講習会も好評であり、栃木県サッカー協会各委員会との連動した普及・育
成・強化の活動によりサッカー界への実績も少しずつ認められてきている。
今後は、これまで以上にサッカー協会との連携を密にし、スクールビジネスの確立と拡大
に向け、ホームタウン宇都宮市及び県内各地を網羅するスクールシステムやネットワーク
構築を図っていく。
①現況
・現在、宇都宮市、鹿沼市、大田原市の7か所でスクール事業を展開している。
キッズ(幼児の年中・年長クラス)、ジュニアA(小学5・6年生)、ジュニアB(小学3・
4年生)、ジュニアC(小学1・2年生)、GKコース(小学5・6年生)、レディース(中
学生以上の女子)の各クラスに分かれ、各クラス年間35回(GKコース隔週のみ18回)の
活動を行っている。2013年12月現在は、総会員数621名。2016年には指導者を育成し、パート
タイマーを入れることで、現在の7会場を増やし、会員数1,000名達成を目標に活動している。
②スクール事業展開のメリット
a. ライセンスを持つプロの指導者によるスクール事業を展開することによって栃木SCブランド
を確立すること。スクールの拡大により栃木SCファミリーを増やすことで集客や収益の増大
を図る。
スクール事業の拡大は、普及の観点から経営の安定化に資する効果が大きい。
b. 子どもたちのみでなく、各世代層へのアプローチをすることにより、地域とのつなが
りがより強くなる。
c. 指導者は育成コーチと兼務のため、スカウティング活動と連動することができ、地元
出身有望選手の早期発掘・育成が可能となる。
③スクール事業の展開方法
a.
b.
c.
d.
市町をはじめ各自治体の施設管理者との提携による常設型スクールの推進を図る。
常設型スクールの設置が困難な市町については、スポットでの教室開催を推進する。
公立幼稚園、保育園を中心に巡回型教室の講師派遣推進を図る。
栃木県サッカー協会各委員会との連携をこれまで以上に強化し、県内9地区に共催型の
スクールを展開していく。
④新たな取組み
現在実施している女子向けのスクール、中学・高校の部活動への指導者派遣、指導者講習
会などのほか、新たに親子参加型スクール、シニア層への浸透を図るなど、多様なメ
ニューを準備することで、各自治体のニーズや環境に合わせたスクールサービスを展開し
ていく。基本的には栃木県内全市町と3年以内に何らかの提携関係によるスクールの展開
を図る。
10
1.財務体質の改善
(単位:万円)
2013年
(推定)
スクール事業収入
2,976
スクール会員数目標
スクール会場数
2014年
2015年
2016年
3,300
3,300
3,300
650人
600人
800人
1,000人
7か所
7か所
8か所
10か所
※①
※① 2014年は、常設会場最古参の宇都宮市体育館が改修工事に入るため使用できず、収入の減が見込まれる。
(2)収入
【その他】
(単位:千円)
2013年
(推定)
2014年
2015年
2016年
スクール事業
29,761
33,000
33,000
33,000
アカデミー事業
35,249
42,214
42,214
42,214
Jリーグ分配金
93,000
93,000
93,000
93,000
その他
39,451
42,250
28,250
27,250
197,461
210,464
196,464
195,464
合計
11
1.財務体質の改善
(3)支出
2014年度は総額734,749千円として、2013年度予算対比81.5%を予定し、約1.66億円
削減する。
①チーム人件費
2014年度は総額302,839千円として、2013年予算比73.1%とし、約1.1億円削減する。
②トップチーム・アカデミー運営費
2014年度は総額101,959千円として、2013年予算比83.0%とし、約2千万圧縮する。
・アウェイ帯同選手人数限度設定16名(従来は18名)
③試合運営直接費
2014年度は総額66,410千円として、2013年予算比85.5%とし、約1.1千万円削減する。
④チケット事業費
2014年度は従来外注していた業務の一部を内製化して、総額33,950千円として、
約1.4千万円削減する。
⑤商品化ライセンス事業費
2014年度は単価軽減を図ることで、総額24,250千円として、約1百万円費用削減に取組む。
⑥フロント人件費
役員・部長職の報酬、給与のカット(役員10%、部長7%)、一般社員の夏季・冬季の
一時金凍結など人件費の抑制に努める。
⑦物件費
2014年度は2013年度同様、引き続き経費削減に取り組み、総額59,127千円として、増抑制
に努める。
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1.財務体質の改善
(4)管理
企業理念・経営方針に基づきながら「身の丈に合った健全経営」を再度肝に銘じ
実践する。
①2014年度黒字必達、債務超過解消の実現
2015年1月31日までに、2014年決算の黒字化及び債務超過解消を実現する。
②月次決算及び資金繰り精度の向上
月次決算及び資金繰りについては、精度の向上を図り定期的に常勤役員会等に報告します。
③制度に基づいた支出管理の徹底
・稟議制度は会社運営の重要な意思決定プロセスであり、決裁事項に関して最終決裁者まで
各階層の決裁者全員が情報を共有し、支出管理の徹底を図る。
・重要な案件については、取締役会、常勤役員会(原則月2回開催)、経営会議(原則月2
回開催)に付議、審議し、きめ細かな支出管理を実施する。
④費用対効果を追求した事業運営
・費用対効果にこだわった事業の進め方を行うことで、常にPDCAサイクルを回していくこ
とを基本として日常業務に取組む。
⑤コスト削減努力の徹底
・外部への業務発注及び商品発注の際には相見積もりを行い、費用の削減を図る。
・従来外部へ委託していた業務の一部を内製化してコストの削減を図る。
具体的項目は以下のとおり。
・ホームゲーム運営に関わる費用
・チケット業務に関わる費用
・チーム運営に関わる費用 等
⑥外部協力者によるコスト削減
・あらゆる手段を講じてコスト削減していくのが現在クラブにおかれた最重要課題と位置付け、
その一環としてボランティア、協会や後援会など外部と常に良好な関係を築き、その力を借
りてコスト削減に努力する。
具体的項目は以下のとおり。
・ホームゲーム運営に関わる費用(特にスタジアム案内係)
・ホームゲーム広報活動費用
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2.クラブの方向性の確立
・Jリーグ、そして日本サッカーの発展は、「個」の育成、人間的な成長なくしては考え
られません。選手としてのレベルアップはもちろん、人間としての成長に配慮することも、
Jリーグの重視する取組みの一つです。社会貢献活動などを通じた人間教育、選手の引退後
の新たなキャリア支援、将来プロとなる選手の育成、それに伴う指導者や審判員の養成。
さらには、クラブ経営を担う人材の育成など、多岐にわたる人材育成に取組んでいる
Jリーグの活動に沿って、栃木SCの活動も底辺を広く、人を育てていく栃木スタイルの
確立を目指す。
・栃木スタイルとは先ずは3年、3年、4年の短・中・長期の育成を図り、特に、人を育てて
いくという育成の観点からのクラブづくり、チームづくりに重点を置いていきます。
選手、スタッフともにスポーツマンシップの徹底、Good fellow・Good loser・Respectの
精神を持った人材の育成、そして自立・自律・自発を導けるような育成を心掛けていく。
栃木スタイルの弛まぬ追求とともに、毎年J1への昇格を目指す。
(1)『育成型クラブ』への転換
1993年にスタートしたJリーグは「10年で選手がプロに、その後さらに10年で指導者が
プロに、そして、これからの10年でクラブがプロになる。」(岡田武史元日本代表監督談)
と言われている。
栃木SCは、Jリーグに参入して5年目。これから成長していくクラブでもある。
これまでの5年、少し急ぎ過ぎたことで、多くの方々にご迷惑をお掛けすることとなり
ました。
この反省をもとに、先ずは、2014シーズンから3年・3年・4年の10年間の育成プランを
作成し栃木スタイルを構築していく。
(2)施設の充実
「スポーツ振興基本計画」にうたわれた「総合型スポーツクラブ」や「生涯スポーツ社
会」は、Jリーグが目指す地域に根差したスポーツクラブであり、Jリーグが追い求める
スポーツライフそのものである。栃木SCは、Jリーグの一員としてこのJリーグの理念
を具現化する責任がある。原点に立ち返り、スポーツの環境を整えること…。私たちがJ
リーグを通して地域とともに取り組んでいくことの追求を続けていく。
豊かなスポーツライフを実現するために、クラブハウスを有する施設整備(拠点)は欠
くことのできないものである。希薄になったコミュニティの再生に向けて、行政との連携
協力を図り、スポーツを通して地域活性化に取り組んでいく。県民が豊かなスポーツライ
フを送るための施設の充実、環境整備への提言していく。
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2.クラブの方向性の確立
(3) 地域密着型クラブへ
「地域密着」の原点に返り、その実践により地域に根差したクラブに脱皮する。
①2013年から取り組みを開始した「イチマル作戦」をさらに進め、県民の10%をスタジアムへ、
スタジアムの半径10㎞圏内をサッカーの街の目標達成のために地域に密着した活動をする。
②ホームタウン宇都宮はもちろん、活動区域としている栃木県の各市町との連携を強化し、
アウェーツーリズムなどの観光施策や健康教室等の開催など積極的にさまざまな事業に取り組み
地域の活性化を図る。
③選手をはじめコーチングスタッフ、クラブスタッフが一体となって地域の皆様とともにあり、
支えられている感謝の気持ちを持った活動を実践するため研修会を実行し「県民に愛され親しま
れるクラブづくり」を目指す。
④活動の周知と理解を得るため、広報の強化を図るとともに、積極的な情報発信に努める。
(4)ホスピタリティの向上
①社員のホスピタリティの知識や能力、技術の向上を図るための研修会等の実施。
②笑顔やあいさつの心掛けなど、社員全体のおもてなし意識の向上。
③宇都宮市の特性を生かした各種イベントの充実。
④民間ボランティアを活用したパフォーマンスの演出等。
⑤ホームゲーム時の飲食売店の充実。
-栃木県名産品の販売等
⑥アクセス問題の改善への取組み。
-駐車場の確保
-公共交通の運営の要請
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3.チーム運営・強化
試合を楽しむという観点では、ピッチで戦う選手の気持ちとその姿こそが最大のゲームコンテ
ンツである。決して諦めず、最後まで全力を尽くすプレーを実行できる選手の育成、そして
それを前提としたチーム作りに努めていく。また、これまでの反省に立って、トップチーム
のゲームスタイルは、ファン・サポーターに楽しんでもらえるサッカーを実践し、アタッキン
グサッカーの実践に努める。ファンが試合結果に関わらずスタジアムへ応援に行きた
いと思わせるゲームコンテンツの提供に努める。
また、ゲームだけでなく、地域のクラブとして、ファン・サポーターをはじめ支えてくださる
皆様に感謝の気持ちで応える選手の教育・育成を目指します。
クラブの身の丈に合ったチーム作りに努め、選手の育成と工夫によってしっかりとしたチーム
の編成を行っていく。また、良い選手を獲得するためのハンディキャップを払拭するため専用
練習施設とクラブハウスの整備を2年以内に対応していく。
(1)短・中・長期にわたる選手育成
・これまでのような“ある目的の為に完成した選手で構成する”チームから共に学び、ファ
ン、サポーターから愛される人間味のある選手の育成、感謝の心を忘れない社会に貢献でき
る選手の育成を心掛ける”チーム作りに取り組む。
短期間で結果だけを求めるのではなく、アカデミーからトップチームまで短中長期にわたり一
貫した育成を基本に、その上で結果を出せるチームづくりを行う。
多くの地域の人々に支えられるチームをめざし、積極的にピッチの外に出ていく選手の獲得と
育成も重視、ピッチの内外での教育を徹底する。
・世界では学校との連携強化の取り組みが進んでおり、栃木SCも環境の整備充実はもちろん、
この3年間で学校との連携を強化する。
(2)地域貢献のできる人材養成
・アカデミー選手との積極的な交流を行うことで、将来地域に貢献できる人材づくりにも努めて参
ります。また、クラブとチーム、サポータの「一体感」→「一体観」に努める。
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4.透明性のあるクラブ運営
(1)実効性の高い経営諮問委員会の設置
・経営諮問委員会を設置し外部監査機能を強化して会社を側面から支援、強化する
体制を構築する。
(2)コーポレートガバナンス体制の整備
・会社の経営方針に沿い、規則、規程、基準、マニュアルに準拠して業務を
推進する体制を構築する。
・監査における指摘、提言事項を遺漏、遅滞なく改善する。
・法令違反行為の未然防止機能の強化を図る。
・賞罰委員会を設置し、賞によるモチベーションの高揚を図るとともに、
コンプライアンス違反行為に対し公平、厳正に対処する。
(3)コンプライアンス推進
・コンプライアンスは『法令遵守』のみに留まらず、その原点は『公正・適切な
企業活動を通じ社会貢献を行う』という思想があり、クラブとしては、社会貢献
や企業倫理への取組みを積極的におこない、社会的責任(CSR)を果たして
いく。
(4)アカウンタビリティーの確立
・スポンサー、株主等あらゆるステークホルダーに対するアカウンタビリティーの
強化を図る。具体的施策については今後検討する。
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5.社内組織の改革
(1)広報体制の充実、強化
・広報体制及び機能の充実、強化を図り、あらゆるステークホルダーに対して
タイムリーに情報発信を行っていく。
(2)営業体制の強化
・営業効率が低くなっている営業担当を営業専任として効率的に営業できる
体制を推進する。
・アシストエージェントとの連携により、法人団体向け営業を促進する。
・アシストエージェントや後援組織などの外部人材を積極的に協力依頼することで
新たな収益機会を創り出す。
また、毎月ミーティングを開催し、各種営業活動及び商品情報等の情報共有を
実施しながら営業力強化を図る。
(3)アカデミーの分社化に向けた検討
・総合型地域スポーツクラブを立ち上げ、非営利法人、社団法人という法人格を
有することで、toto助成、並びに、税制上の優遇措置等メリットが考えられる
ことから完全分離、独立採算に向けて分社化の検討に着手する。
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6.クラブライセンスへの対応
(1)施設基準への対応
クラブライセンス制度の施設基準の関連で、2015年6月までに必ず具備しなければ
ならない条件があり、今後とも行政の支援・協力を得ながら実現する。
①栃木県グリーンスタジアムの改修
a.観客席
・椅子席で、10,000席以上の座席があること
(ベンチシートは1席あたりの幅を45CM以上とする)
※現状 現在41CM。45CM計算では9,524席
b.チーム更衣室
・2室 25人以上の更衣設備を備えること(ACLは30人)
※現状 25人/部屋
c.記録室
・4人が原則、横に並んで座れる広さであること
※現状
3名
d.カメラマン(フォトグラファー、TVクルー)室
・ピッチへの容易なアクセス動線が確保できること
※現状 1FからB1(ピッチ)まで距離有
②トレーニング施設の充実
トップチームを始めとしてトレーニング施設の充実は急務であり、ピッチ、クラブ
ハウス及びメディカルルームの建設を行政と密接な連携を図り実現する。
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