2014年春闘 均等待遇の前進のために 「職務分析・職務評価調査」にチャレンジしよう! 2013.12.17 生協労連書記局 はじめに ヨーロッパでは、フルタイムもパートタイムもみな、正規雇用です。働く時間の長さによっ て賃金や有休日数などが決められ、均等待遇となっています。日本のように雇用形態が違うと いう理由で、パートや派遣、嘱託職員は低賃金・低労働条件とはなっていません。ではなぜ、 日本では均等待遇が実現できないのでしょうか。それは、同一価値労働同一賃金原則がつらぬ かれていないからです。従来の日本の正規労働者は、終身雇用・年功賃金・無期雇用で定年ま で働きつづけ、定年後も保障されるものでした。そのため、その妻がパートで働き、低賃金で も家族単位で考えれば OK でした。しかし、経団連が「新時代の日本的経営」でねらったよう に 95 年以降、派遣法の改悪など労働法制が改悪されつづけ、今や、非正規労働者が 38%とほ ぼ4割に届き、青年やシングルマザーがパートなど非正規労働者に参入しています。また、正 規であってもリストラ・合理化の対象になり、成果主義賃金で競争原理にさらされる実態にあ ります。非正規労働者の増大とともに、この 10 数年間日本の労働者の賃金は 70 万円も下がり 続けています。ここを改善させるためには、ワークライフバランスな働き方、自立可能な最低 賃金の確立と均等待遇の実現がまったなしの課題です。 同一価値労働同一賃金原則には、 「仕事賃金」へ移行が不可欠です。その際のモノサシとし て有効なのは、職務分析・職務評価です。2013 春、あいち(店舗・配送)とおかやま(配送/ 直雇用、配送/委託)で、跡見学園女子大学の禿(かむろ)あや美准教授のご協力のもと、調査を 実施しました。結果は春には報告される予定です。 ぜひ、一度書記局にご相談ください。禿先生の協力もお願いできます 1、 なぜとりくむの? ① 格差の実態があきらかになり、怒りがわき、賃上げ要求の原動力となります 自分の仕事の価値と賃金が見合っていないことに気づき、ベースアップは当然の要求 だという確信につながります。 時給 1000 円はもちろん、1500 円も当然の要求だという、根拠の一つになります。 正規もいっしょにとりくむので、双方の理解が深まります。 ② 仕事の洗い出しをすることで、個々が担っている仕事や役割があきらかになります。 はたらき方の改善につながります。 正規が抜けた後のパートの仕事・責任のあり方、課題が見えてきます。 職務を遂行するに必要な能力やスキルも見えてきます。 生産性を向上させることにつながります 2.「職務分析・職務評価」って何? ① 職務分析・職務評価は、均等待遇や同一価値労働同一賃金を具体的にすすめるための手法 ② 労働者が担当している職務(仕事)の「価値」をベースにして賃金を支払うという考え方 ③ 職務(仕事)の「価値」を点数(職務評価点)で表示するもの ④ 「パートだから○円」「嘱託だから○円」という、なんとなくの世間相場で決められてい た時給から、ベースアップを求めていくネタになります。正規も巻き込んでとりくむので団 結しながら正当な要求となります。「私の仕事の価値は 300 点だから、900 円の賃金をもら って当然だ!」という声をだし、店舗や宅配の地域の時給水準を引き上げていく原動力にな ります。 3.生協を対象とした調査(2008 年)では、1671 円が妥当という結果に ペイ・エクイティ科研費研究会 スーパーにおける雇用形態別の調査結果 仕事の価値と賃金格差の実態 ■職務評価点(仕事の価値) 正社員(755.5 点) 管理職パート(698.6 点)、一般パート(586.2 点) 比率 100 : 92.5 : 77.6 ■現在の賃金(ボーナス込みの時給) 正社員(2153 円) 管理職パート(1377 円)、一般パート(1024 円) 比率 100 : 63.9 : 47.6 ■職務評価点(仕事の価値)に見合った賃金に換算すると 正社員(2153 円) 管理職のパート(1991 円)、一般パート(1671 円) 4.職務分析・職務評価のすすめかた ステップ1 ステップ2 ステップ3 ステップ4 ステップ5 ステップ6 ステップ7 ステップ8 調査委員会の設置 対象者の確定 どの職場で 誰を対象に 職務の把握・分析 調査対象事業所での仕事のリスト化と整理 職評価ツールの作成・評価点数の基準作り 賃金データの収集 調査の実施 労働者にアンケート配布・回収 賃金の把握 職務評価点と賃金額の比較・検討 職場の状況をチェック、春闘の要求につなげよう 資料 ●禿調査の職務評価ファクター(モノサシ、メモリ、点数) おかやま・あいちで使用 ファクター ウエ 評価レベルと得点 イト 100 27 レベル1 レベル 2 8 20 40 サブファクター 1仕事によってもたらされる負担 ①重量物の運搬などによる身体 的負担 ②人間関係や仕事に伴う精神的 9 ストレス ③注意力・集中力 10 2.知識・技能 30 ④仕事関連の知識・技能 10 ⑤コミュニーションの技能 10 ⑥計画力・企画力・問題解決力 10 3.責任 35 ⑦商品やサービスに対する責任 10 ⑧人員の育成・管理に対する責任 10 ⑨利益目標の実現に対する責任 10 ⑩経営理念の実現に対する責任 5 4.労働環境 8 ⑪労働環境の不快さ 4 ⑫労働時間の不規則性 4 26 42 20 レベル1 40 レベル 2 20 20 20 レベル1 40 40 40 レベル 2 20 20 20 20 レベル1 40 40 40 35 レベル 2 10 12 20 19 最高得点 レベル 3 レベル4 1000 200 レベル5 60 80 - 80 58 74 90 90 60 レベル 3 80 レベル4 60 60 60 レベル 3 80 80 80 レベル4 60 60 60 50 レベル 3 80 80 80 レベル4 30 26 ●禿調査の賃金データ おかやま・あいちで使用 正社員については、 1)残業を含まない月例給×12 ヶ月 2)年間ボーナス(概算でもよい) を足して、正社員については所定労働時間で割り、時給を計算 パートについては、 1)契約している時給額をアンケートで尋ねる 2)アンケート月の労働時間を尋ねる 3)年間ボーナスを尋ねる をしたうえで、 ボーナス÷12 ヶ月=1ヶ月のボーナス額 と契約時給×労働時間で1ヶ月の賃金をだし ボーナスと賃金を足して、労働時間で割って時給を出す 40 33 100 100 320 レベル5 100 100 100 100 100 100 200 レベル5 100 100 100 - 100 100 100 50 180 レベル5 40 40 40
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